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1951-11-19 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十九日(月曜日)    午後二時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事      古池 信三君    委員            中川 以良君            松本  昇君            加藤 正人君            山内 卓郎君            片岡 文重君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君   政府委員    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    振興局長    井上 尚一君    中小企業庁振興    部金融課長   谷敷  寛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業信用保險法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○輸出信用保險法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) これより通産委員会を開催いたします。本日は輸出信用保險法改法案並びに中小企業信用保險法改法案を議題といたしたいと思います。  先ず中小企業信用保險法改法案逐條説明をお願いいたすことにいたしまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは御異議ないと認めまして逐條説明を願います。小笠長官並びに金融課長谷敷君にお願いいたしたいと思います。
  4. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 中小企業信用保險法の一部を改正する法律案を極く簡單に御説明申上げます。  第一章を設けまして、このたびの改正一つは、本法の第一條を、従来は金融機関に対する債務保証ということがなかつたのであります、いわゆる保險では信用保險だけであつたのを今度は「指定法人中小企業者金融機関に対する債務保証」という……、これは簡單に申上げますと、信用保証協会債務保証保險にかけ得るということをするために、本法の第一條目的を書いたということが中心であります。本改正はそれに伴いまして必要な規定を設けたのと、もう一つは、従来の信用保險法におきまする一企業者に対する貸付金保險にかけ得る貸付金総額が三百万円でありましたのを五百万円に引上げた。この二点にあるのであります。逐條につきましては金融課長から御説明申上げることにいたします。
  5. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) それでは今回の改正法律案につきまして逐條御説明を申上げます。内容は十二項目ございまして、そのほかに附則がついておりますが、最初から逐次御説明申上げますと、第一の項目は、第一條の前に目次章名を加えるという改正でございます。これは改正前は章別に区別はしてございませんで、一本の法律なつておつたわけでありますが、今度信用保証協会に対する保險制度を新らしく設けることになりましたので、そのために新らしい章を設けることにしたわけであります。従いまして内容を第一章から第四章までに区別しましたので、それに伴いまして目次章名、それから第一章総則というのを法律の一番最初に附加えることにしたわけであります。次の第二点が、第一條中「貸付」の下に「及び指定法人中小企業者金融機関に対する債務保証」を加え、「信用保險」を「保險」に改めるというのでありますが、これは第一條法律目的を書いておりまして、従来金融機関中小企業者に対する貸付のみを保險対象にしておつたわけでありますが、今度信用保証協会保險対象にすることになりましたので、これを附加えたわけであります。なお「信用保險」を「保險」というふうに改めましたのは、第二章、第三章としまして、金融機関に対する保險と、それから信用保証協会に対する保險と両種の制度ができましたので、これを広く保險というふうに改めたわけであります。第三点は第二條改正でありまして、そのうち第二條の第二項のうち「資本金額株金総額出資総額又は株金総額び出資総額合計額)」とありますのを「資本の額若しくは出資総額」に改める、これが第一点でありますが、これは改正商法施行によりまして株式合資会社制度というのが廃止されましたので、これに応じて括弧の中がこういうふうに分けて書く必要がなくなりまして、資本の額若しくは出資総額ということで十分になつたためにこういうふうに改めたわけであります。それから同じく第二條に一項を加えまして、指定法人の定義を書いたわけであります。これは指定法人というのは、現在の信用保証協会のことを言うわけでありますが、信用保証協会信用保証協会法というような特別法がまだできておりませんので、民法に基く公益法人で運営されておるわけであります。従いまして、これを法律の上で書き現わしますと、「中小企業者金融機関に対する債務保証をすることを目的として民法第三十四條の規定により設立した法人」であると、こういうことになるわけであります。今度の改正後の運用におきましては、信用保証協会政令で一々個別的に指定をするというやり方をとる予定なつておりますので、ここで特に政令指定するものというふうに書いてあるわけであります。現在財団法人が三十八、社団法人が十二、合計五十でございますが、特別の支障のない限りは全部指定をする方針で行きたいというふうに事務的には考えております。それから第四番目の改正條文は、「第二條の次に次の章名を加える。第二章 金融機関相手方とする保險、」これは今度の信用保証協会に対する保險制度を第三章というふうに一章作りましたので、これに対応しまして現在やつております金融機関相手方とする保險を第二章ということでまとめたわけであります。  その次に第五番目の條文は、「第四條第二項中「三百万円」を「五百万円」に、「一千万円」を「二千万円」に改める。」という改正でありますが、これは現在この保險制度対象なります一件の貸付最高限度は、個々の企業につきましては三百万円、中小企業等協同組合につきましては例外的に一千万円というふうになつておりますのを、この限度引上げまして、三百万円を五百万円、中小企業等協同組合につきましては一千万円を二千万円というふうに限度を上げようという内容でございます。それから第六番目が「第九條の次に次の一章を加える。第三章 指定法人相手方とする保險」、この第九條の二以下第九條の五までを今度新らしく新設いたしまして、この條文によりまして信用保証協会相手方とする保險制度内容規定しておるわけであります。最初條文が第九條の二になるわけであります。これを読みますと、第九條の二 政府は、会計年度半期ごとに、指定法人相手方として、当該指定法人中小企業者金融機関からの借入による債務保証をしたことを政府通知することにより、保証をした借入金の額の総額一定金額に達するまで、その保証につき、政府当該指定法人との間に保險関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。2 前項保險関係においては、保証をした借入金の額を保險価額とし、中小企業者に代つてする借入金の全部又は一部の弁済保險事故とし、保險価額に百分の五十を乘じて得た金額保險金額とする。3 政府は、第一項の保險関係が成立する保証をした借入金の額の総額指定法人を通ずる合計額が、会計年度ごと国会議決を経た金額をこえない範囲内でなければ、同項の契約を締結することができない。  これは現在の金融機関に対する保險に関しまする第三條の規定に対応する條文でございまして、信用保証協会に対する保險の根本的な問題を規定したものであります。第一項は契約の締結の方式を規定しておりまして、これは金融機関に対する場合と全く同じで、指定法人のほうから通知がありましたならば、自動的にその法人に対する一定額の枠の範囲内で当然保險関係が成立する、こういういわゆる予定保險契約という形の契約をするわけであります。もう少し詳しく申上げますと、会計年度半期ごとに、当該保証協会に対しましては何億なり何十億なりという枠を設定いたしまして、その枠まで保險契約をするのだというまあ枠を與えまして、その枠の範囲内では保証協会側保証をしたという通知政府にしますならば、それによつて保險関係が成立して行く。こういう形になるわけで、現在の金融機関に対する保險とこの点は全然同じであります。こういうふうにして締結しました保險関係内容が第二項に規定されておるのでありまして、現在の信用保証協会が行なつております保証は、中小企業者金融機関に対する債務利息をも含んだ包括的な保証である場合が普通であります。ところが利息をも含んでおりますと、保險目的である金額が不確定になりますので、これを借入金元本に相当する部分だけに限定をしようというわけであります。「保証をした借入金の額」というのはそういう意味であります。そこで信用保証協会中小企業者に代つて借入金弁済をしました場合に、中小企業者全額債務不履行なつた場合は勿論保險事故になるわけでありますが、一部は自分で弁済しまして他の残額信用保証協会代位弁済をしたという場合にも信用保証協会代位弁済した部分のみについて保險事故となるわけであります。金融機関に対する保險と違います大きな点は、この場合に保險金額保險価額の百分の五十とする点が一番大きな違いであります。金融機関の場合は保險金額保險価額の百分の七十五になつておるわけであります。これは信用保証協会は元来が保証業務とする機関でありまして、いわゆるその再保險をするという建前になるわけでありますので、百分の五十程度を保險するのが至当であろうということでこれを百分の五十にしているわけであります。第三項は政府は無制限に信用保証協会に対する保險をできるわけではないのでありまして、会計年度ごと国会議決を経まして、政府が締結できる保險契約総額範囲をきめて頂くわけであります。これは本来ならば予算総則のうちに謳うのが当然でありますけれども、年度の途中であり予算総則を変更する余裕がございませんので、最後に申上げますが附則の第二項でこの総額を掲げております。これは附則の所で御説明を申上げます。その次が第八番目の條文なりますが、これは第九條の三であります。読んで見ますと、「前條第一項の保險関係が成立する保証をした借入金は、中小企業者の行う事業振興に必要なものに限る。」第二項「前項借入金の額は、中小企業者一人につき、合計五百万円(その中小企業者中小企業等協同組合であるときは、二千万円)をこえてはならない。」これは現在の金融機関に対します保險の第四條に規定しておりますところと対応する條文でありまして、大体これと同じでありますけれども、ただ異なつています点は、現在の金融機関に対する保証では「貸付期間が六月以上のものに限る。」というふうになつておりまして、六カ月以下の短期貸付につきましては、現在保險対象にならないわけであります。併し信用保証協会が現在行なつております保証は、殆んどが六カ月以下の短期資金であり、比較的少額の資金でありますので、特に金融機関に対する場合と異なりまして、六カ月以下の短期資金であつてもこれを保險対象にする、こういうふうに謳つておるわけであります。第九番目の條文は九條の四でありますが、これを読みますと「政府が第九條の二第一項の保險関係に基いて支拂うべき保險金の額は、指定法人中小企業者に代つて弁済をした借入金の額から指定法人がその支拂請求をする時までに中小企業者に対する求償権弁済をした日以後の法定利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。以下同じ。)を行使して取得した額(指定法人借入金外利息又は費用についても弁済をしたときは、求償権を行使して取得した額に、弁済をした借入金の額の総弁済額に対する割合を乘じて得た額)を控除した残額に、百分の五十を乘じて得た額とする。」これは非常にわかりにくい規定でありますが、要するに政府信用保証協会に対して保險金支拂う場合に、どういう計算によつてどれくらいの金額支拂うのかという点を規定した規定であります。非常にわかりにくくなつておりますのは、先ほどもちよつと申上げましたように、信用保証協会は現実には借入金元本のほか、利息その他借入人の負担に帰するような場合も弁済を期するような規定がありますけれども、保險計算を明確にします、簡單明確にするために、この制度では借入元本だけを保險対象にしておるわけであります。従いまして利息等信用保險協会支拂つた場合にその計算をどうするかという細かい問題が起つて来ますので、それをここにこういうふうに書いたわけであります。これをもう少し詳しく申上げますと、保証協会弁済をしましてから、保險金支拂請求をするときまでに、求償権を行使して中小企業者から取得した額があつた場合には、当然それを差引いた残額の半分を保險金として支拂うわけでありますが、求償権を行使して取得した金額のうちには、先ほども申上げましたように、元本に相当する分のほか、利息その他の部分も含まれておるわけであります。そこで元本以外は保險対象とならないのでありますから、その部分は差引く必要はないわけであります。併し利息その他の費用の中に二種類ありまして、信用保証協会弁済をした日以後の利息と、それから弁済をする以前の利息と、二種頼の性質があるわけでありますが、これが法律性質を異にするわけであります。即ち弁済をした日以後、保險金支拂請求をするときまでの分はこれは民法四百九十一條規定によりまして、信用保証協会が優先的に取得する分であります。従つてこれは求償権を行使して取得した額というものに含める必要はないわけであります。弁済をした日の以前の分はすでに信用保証協会代位弁済をしてしまつておるわけでありますから、これは民法四百九十一條の適用はありません。ただすでに信用保証協会利息その他の費用についても弁済をしておるのでありますから、求償権を行使して取得した額は、すべてが元本相当部分ではなく、一部に利息の分が入つておるわけであります。そこでこれは信用保証協会弁済した借入金元本に相当する額と、それから保証協会弁済をした利息その他の費用を含めた総額に対する割合を乘じて得た金額となるわけであります。こういうふうに申しましても、これでもまだ非常にわかりにくいと思いますが、要するにもう一回申上げますと、信用保証協会代位弁済をしまして、代位弁済をした後六カ月たたないと保險請求ができないわけであります。これは現行法の第七條規定準用されておりますが、六カ月たたないと保險金請求はできない。そこで信用保証協会代位弁済をしまして、六カ月たつて保險金請求をするときまでに代位弁済をしました中小企業者から、一部を回收するわけであります。でその回收した金額のうちから代位弁済をした日以後の利息を先ず差引きまして、これは信用保証協会の純粹の取分になるわけであります。その利息を差引いた金額につきまして、これを代位弁済をする日以前の利息と、それから元本を加えた金額、それに対する元本だけの金額、この比率を掛けた金額が、保險金計算する基礎になるわけでありまして、その金額の半分を出す。(笑声)これはあと数字計算をした資料を作つてありますので、これを御配付いたしますから、それをもう一度見て頂きたいと思います。  それから第十番目は九條の五でございますが、これは準用規定でありまして、第一項は「第五條規定は、指定法人相手方とする保險準用する。」これは第五條規定保險料の額を定めた規定でありまして、これは保險金額に年百分の三以内において法律で定める率を乘じて得た金額ということで、百分の三以内であります。それから第二項は、第七條及び第九條の準用でありまして、第七條保險金支拂請求の時期、これは保險事故が発生した日から六カ月以後これを準用しておるわけであります。それから第九條は信用保証協会代位弁済をした後、求償権の行使に努力をして回收をしなくちやいかんという義務を規定したわけであります。第三項は第八條の準用でありまして、これは政府保險金支拂つたときに指定法人の有していた求償権について代位をするという規定準用してあるわけであります。十一番目は第九條の五の次に次の章名を加える。これはいろいろな規定を雑則という章に一括したわけであります。第十二番目の規定はこれは読み替えの規定でありまして、第十條、これは契約解除等に関する條文でありますが、これに対して指定法人相手方とする保險の場合を加えたわけであります。第十一條業務の委託の規定でありまして、この業務は商工組合中央金庫に取扱わせることができるというふうになつておりますが、指定法人相手方とする保險につきましても同様にしようというわけであります。第十二條業務の管掌の規定でありまして、通商産業大臣保險契約を締結しようとするときにはあらかじめ大蔵大臣協議をするということになつておりますが、信用保証協会保險契約を締結する場合にも同じく大蔵大臣協議をするという規定でございます。  最後附則なりますが、第一点は施行期日を十二月一日からというふうに書いてあります。第二点が先ほど申上げましたように、第九條の二の第三項で、信用保証協会相手方とする保險総額国会承認を受けるということになつておりますが、これを今回例外的にこの法律附則に書きまして、これによつて承認を得ようというわけであります。この合計額を取りあえず昭和二十六年度においては百億円というふうに書いてございます。これはどういうわけでこういう数字を出したかと申しますと、現在保証協会新規保証が毎月二十億程度行われております。これが十二月以降三月まで、四カ月間で八十億円、それから年末には若干資金需要が殖えるからということを見込みまして、百億円というふうにきめたわけであります。なおそれではこれに対する保險基金が必要ではないかという問題がありますが、これは十二月一日から信用保証協会に対する保險を実施しましても、保險金支拂請求期間事故発生後六カ月ございますので、本年度内に保險金支拂うという事態は起りませんので、本年度補正予算には資金増額を要求してございません。二十七年度予算において、これに必要な基金の増額を要求しておるわけであります。最後附則の第三項は中小企業信用保險特別会計法改正でございます。これは特別会計法には現在金融機関に対する保險保險金支拂つた場合に、政府代位した貸付金債権回收したものが特別会計に入つて来るわけでありますが、今度の信用保險に対する保險を実施いたしますと、それに準じまして代位による回收金政府收入になるわけでありますので、そういうふうに改めたものであります。以上が今回の改正法案逐條説明であります。
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  7. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。第九條の三ですが、事業振興に必要なものに限るということは、金融機関においては六カ月以上の長期のものであるが、信用保証協会には六カ月以下であるということを……以上のことを……。
  8. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 第九條の三の規定はこの信用保証協会の再保証をする場合に信用保証協会保証する、いわゆる金融機関から借入れしたときに債務保証をする場合の貸金の性質中小企業者消費資金ではいかん、要するに事業資金でなければならん、運転資金……消費資金を排除して行く、こういう道徳規定であります。
  9. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に第九條の四の先ほどいろいろ御説明なりましたけれども、ちよつと数字的に御説明を願いたいと思います。
  10. 谷敷寛

    説明員谷敷寛君) この具体的な数字について御説明申上げますと、今中小企業者金融機関から借りた借入金元本を百万円と仮定いたします。この百万円の元本に対しまして信用保証協会代位弁済をするときまでにこれについた金利が十万円ついたと、こういうふうに仮定いたします。それからその他信用保証協会代位弁済をするときまでいろいろな中小企業者の責に帰すべき費用が十万円かかつたといたしますと、指定法人は即ち信用保証協会は百二十万円中小企業者に代つて金融機関代位弁済をするわけであります。そこで今度信用保証協会が先ず百二十万円代位弁済をいたしまして、それから政府に対して今度保險金請求をするわけでありますが、この保險金請求するときまでに更に利子がついて来るわけであります、その利子が十万円つくと、こういうふうに仮定いたします。なおそのときまでに利子のほかにいろいろな費用が十万円ついたと、こう仮定いたします。そうしますと信用保証協会としましては、中小企業者が百万円の元本借入したのに対して、百二十万円金融機関弁済をいたしまして、なおその後弁済してから保險金請求するまでの間に二十万円のいろいろな利子、その他の費用がかかつておると、こういうことになるわけであります。そこで信用保險保証協会保險金請求をするときまでに回收努力をいたしまして、仮に中小企業者から五十万だけ金を取立てたと、こういうふうに仮定いたしますと、この五十万円をどういうふうに考えるかということになるわけであります。そこでこの五十万円のうち先ず最初信用保証協会代位弁済をしたあとで生じました利息なりいろいろな費用というものは民法四百九十一條によりまして、当然優先して信用保証協会が取れるわけでありますので、この二十万円を五十万円から差引いてしまうのであります。そうすると保險関係で控除すべき金額は……三十万円だけ受取つたと、こういうふうなことに相成るのであります。そこでこの三十万円を保險金計算をするときにどういうふうに振当てるかと申しますと、この三十万円は、信用保証協会が先ほど代位弁済しました利子を含めた百二十万円というものに対応する金額が三十万円であります。従いましてこの三十万円を百二十分の百、これで割るわけであります。三十万円を百二十対百の比率で分けるわけであります。そうしますと二十五万円と五万円と、こういうふうになるわけであります。ということは三十万円信用保証協会回收をしましたが、そのうち二十五万円は元本百万円に対する分、それから五万円は利息その他の二十万円に対する分と、こういうふうに考えられるわけであります。従いましてこの借入元本の百万円から二十五万円だけは回收した、こういうふうに考えまして、百万円から二十五万円を引いた七十五万円が保險対象になるわけでありまして、その七十五万円の半分を保險金として支拂う、こういうふうになるわけであります。
  11. 加藤正人

    加藤正人君 九條の二の指定法人では百分の五十、金融機関では百分の七十五と言いましたね。あれはどういう意味から来ているんですか。
  12. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これは御承知の通り今度の改正によりまして、この中小企業信用保險と申しまするが、保險内容としては普通の信用保險、それからもう一つ責任保險、こういう観念になるわけでありまして、金融機関が貸した場合の貸倒れを保險するというのがいわゆる信用保險、第一次の保險に相成るわけであります、この分は元本の百分の七十五、七割五分まで見よう、こういうことが従来きまつているわけであります。それから今度新らしく追加いたしました、いわゆる責任保險、第三章の指定法人相手方とする保險というのは信用保險ではなしに、内容責任保險、いわゆる保証協会保証事務を履行するということを内容としたものを保險するということであります。従いまして保証協会で先ず第一次の一〇〇%の保証がかかる、それを更に再保証ということになりますので、五〇%ぐらいで先ずいいのじやないか、こういうふうな考え方でございます。従いましてこれは施行の状況によりましては順次上げて行つたほうが信用保証協会の活動能力というものをそれだけ拡げて参りますわけでありますが、先ずスタートとして五〇%を再保証することによりまして現在の活動力が倍になる。例えば大阪府の保証協会なら保証協会が、現在五十億ぐらいの限度でやつておる、これが百億ぐらいまでやれる、こういうことになると思うのであります。そういう意味で一応第一次保險と第二次保險、こういう形になりますので率を変えて見た、こういうことでございます。
  13. 加藤正人

    加藤正人君 計算上のあれじやないのですね。気持の上で第一次第二次で……。
  14. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) そうでございます。
  15. 境野清雄

    ○境野清雄君 大体今度信用保險法の一部を改正する法律案が出て来たのですが、この国会の当初に中小企業庁が考えておられたことと、それから今度出て来ました法案とには、私どもは相当食い違いがあるのじやないか。当初の案では私どもは非常に賛成したのですが、勿論この今度出て来た改正法案では、或る程度骨拔きになつてしまつておるというような点があるのでありまして、私まだよく勉強しておらないので、若しそういう点がどこかの項目で加えられていれば結構なんですが、例えば信用保險というようなものが現在各地区で非常に活用されていない。厖大な枠だけ持つていましてそのものがさつぱり地方においては活用されていない。これは勿論一番大きな問題は資金が不足しておる、金融機関資金が不足しておるという情勢にあるのに、こういうようなものを出しましても、資金源の対策がなければなかなか活用されないのじやないかというのが先ず第一点なんであります。それから続きまして最初中小企業庁が計画せられておつたときには従来の七五%というものに相当難点がありますので、これを九〇%まで引上げる、これは私は勿論九〇%まで引上げてもらうことによつて、この中小企業信用保險というものが非常に活用される一番大きな問題じやないかというようなふうに考えておつたのでありまするが、この七十五から九十への引上げも行われておらないようでありますし、それから保險料負担を中小企業者に或る程度転嫁するというような問題も最初は考えておられたのじやないか。従来の問題は、これを金融業者に負担させるというようなことが相当難点になつておつた、併しそれは実質的には前の保險法時代から見まして、そのものは金融業者が負担するというようなふうにはなつておつたけれども、金利自体で操作がされておりましたので、全部が全部金融業者が負担しているとは私は考えておらないのですが、少くとも法律の明文の上で中小企業者に転嫁するということを謳うほうが、この保險法の実際の活用には非常に役立つのじやないかと思われましたら、これも今度はないようでありますし、それから保險金支拂の期日が従来六カ月でありましたものが、先般来の案によりますと、三カ月というようなことに相成つておりましたので、今私の申上げましたような支拂期日が六カ月から三カ月に短縮される、それから保險限度が七五%から九〇%に引上げられる、そして保險料の負担というものは中小企業者に負わされるのだというような、この三つの問題が相当強く要望されておつたので、私どもはこの法案には必ずこれは入つて来るのだろうというような期待をしておりましたことと、そういうようなことが行われないことには、なかなかこの中小企業信用保險法というものは改正しましても幾らも効果がないのじやないだろうか、二十五年度にしましても二十六年度にしましても、殆んど六分の一か七分の一くらいきり使つて、これを活用しておらないというような状況なのでありまして、そういうような点から見ましても、今のような大きな三つの改正点が落ちちやつておるということと、併せて資金が不足していまして資金源の拡充或いは資金源対策というものを考えない限りは、この十分な活用というものは相当難点があるのじやないか。こういうふうに思いますので、一応今の二つの問題に関しまして、中小企業庁としてどんなお考えでおられるか、その点について伺いたいと思います。
  16. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 第一点の本法自体の制度論といたしましての改正の要点が、いつでしたか腹案として考えておるときにお話申上げましたのと違つておるじやないか、こういう点がお話の第一点だと思います。御指摘の通りに、昨年の十二月の十五日から中小企業信用保險制度が実施されておるのでありますが、九月までに保險にかけられました金額が約二十七億であります。従いまして予定の、月十二億円というものに比べますと、非常に成績が思わしくないわけでありまするが、この成績が思わしくないよつて来たる原因はどんなところであるのだろうか、ということにつきましては、いろいろ検討を加えておるわけでありまするが、先ず考えられまする問題は、お尋ねの第二点の、資金源の確保という問題が最も大きく響いて来ることだと思うのでありまするが、制度自体につきましての欠点と申しまするか、そういうような点で保險率の問題、それからもう一つの問題は、保險料負担の問題、第三点は御指摘の、保險金支拂の時期の問題というふうな問題が一応考えられると思います。そのほかにもなおいろいろな問題があるとは思うのでありまするが、取りあえずそういうことが考えられるので、これらの問題につきましてどう改正をして行くかということにつきまして、実は検討を続けておるのでありまするが、保險率を、例えば御指摘のように現在の七五%から九〇%まで、九〇%に上げるか、或いはもつと低いところに上げるか、こういうふうな、少くとももう少し保險率を引上げるという問題が実はあるわけであります。それで私どもといたしまして、一応九〇%くらいがマキシマムというふうな考え方を一応持つてつたのでありますが、部内の意見がまだ最終的な確定を得ないということは、この前にもお答えいたしたと記憶いたすのでありますが、そういうふうな事情で、この保險率の引上げの問題に結論を得なかつたというような状況で、目下なお検討を続けておる、こういうふうな状況であります。同様に保險金支拂の期間を六カ月を三月に短縮するということを私どもも一応一案として考えておつたのでありまするが、保險率と同段に、部内の意見がまだ最終的結論を得ないというふうなところから、今日御審議を願うということにならなかつたのであります。保險料の転嫁の問題につきましては、現在約年々、金融機関半分、借入人半分の負担に相成つておるわけであります。これは法律論ではなしに、行政措置として、この保險料を年分だけ借受人に転嫁できるというふうな通牒で、行政措置でやつておるわけでありますが、これも法律論ではなしに、成るべくもう少し転嫁率を多くするというような方向で考えたほうがいいというふうに考えておるわけでありますが、これ又まだ結論を得ていないわけであります。そういうような事情で現行の中小企業信用保險制度全体の改正、もう少し活用しやすいような形に改正して行くという問題につきましては、検討中であるわけでありまするが、他方におきまして中小企業金融の大きな支柱になつておりまする信用保証協会、特にこれは短期資金を多く賄つておるわけでありまして、この信用保証協会の活動が、各府県の状況を見ますると、もうぽつぽつその財政的負担等の関係から、限界に来ておる。そこでそれを国の力によつて少しすけて欲しいという要望が昨年来あるわけであります。これは制度論から申しますると、信用保証協会をいわゆる特殊な法人にして、いわゆる保証協会法というようなものを作りまして、その保証協会を更に政府が損失補償するというふうな形で以て行くことが最も素直な、私は制度だと思うのであります。ところがこの保証協会を法制化する問題につきましては、いろいろ各方面との折衝の結果、まだなかなかうまく行かない、こういうふうな実情にあるわけであります。従いまして一方から申しますると、保証協会の実体は早急に政府からの援助を要請されておる、いわゆる政府による再保証の実を要求されておりますので、そこでこの信用保險法を借りて、これに責任保險というふうな観念でその実を挙げて行きたい、こういうことを早急にやりたいと考えまして、今回の信用保險法の一部改正に相成つたわけであります。従いまして従来の……、本来の信用保險といたしましては、金額を、一企業が附保し得る金額限度引上げただけで、多くの改正の問題を他日に残した、こういうふうなものが現状で実はあるわけであります。できるだけ結論を、政府部内の結論を得次第に、私は、改正を早急にしないと御指摘のような点に私もなると思うのでありまして、部内の結論を急ぎたい、こういうふうに考えておるわけであります。それから保險制度自体が動いて行く前に又今回の信用保証協会の再保証というふうな制度を布きましても、これが活用を図つて行くという意味におきまして、資金を流すという資金源の確保の問題というふうなものが実はあるわけであります。資金源の確保の問題につきましては、私どもといたしましては、できるだけこれに資金を流して行くというような考え方を以ちましていろいろ努力を続けておるわけであります。なかなか成果は御承知の通り挙がりかねて恐縮に存じておる次第でありますが、先ず第一にどうしても財政的な資金の導入というもの、或いは地方公共団体の余裕金の導入というふうなところに重点を置いて、この中小企業金融の資金源というものを確保して参るというような形で進めておるわけであります。この点につきましては御指摘がありますので、一層努力を重ねて参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。以上簡單でありますが……。
  17. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話でよくわかりましたが、例えば保險限度引上げとか、或いは保險金支拂期間の短縮とかいうようなものが、今のお言葉では政府部内でまだまとまらない、こういうようにお聞きしたのですが、政府部内でまとまらないということは、私どものほうとして考えると、中小企業庁と大蔵省の間がまとまらない、こういう意味なんでございますか。
  18. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 政府部内とは政府部内のことであります。
  19. 境野清雄

    ○境野清雄君 よくわかりませんが、政府部内というような問題ですが、支拂期日を六カ月を三カ月に短縮する、或いは今の保險限度を七五%から九〇%に引上げるという、まあ九〇%というものがマキシマムなのだというお話ですが、そのものが一応政府部内では一体七五%から八〇%くらいまでのものなら折合いがつくとか、支拂期日も六カ月というものを四カ月なら折合いがつくというような段階には未だに入つておらないのでありますか。
  20. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 只今の御指摘の、いわゆる保險率をどの程度まで引上げるか、先ほどもお話申上げましたように、まあ常識的に九〇%が一番最高位だとは思うのであります。そこまで持つて……、中小企業金融を円滑にするためには、私どもといたしましては一応そこらが狙いではないかという感じを実は持つておるわけであります。ただ部内で、然らば九十まで行かないで七十五かそこらの線で落着けるか、こういうようなことにつきましてはいろいろな問題がありまするが、まだはつきりと、例えば八十五なら八十五という線で落着きそうだという線まで実は参つておらないのであります。又支拂期限の短縮の問題は、先ほども申上げましたように、私どもは三月くらいでいいのではないか、こういうような感じを持つておるのであります。この点につきましては更に一カ月短縮或いは二カ月短縮というようなところまで実はまだ話を進めておらんのであります。問題は、私どもの意見というものが少しまだ話が通じかねておる。そこで漸進的に、全体的にこの保險制度をもう少し利用しやすい形に直して行くには、今御指摘の二点と、今のほかに私はまだ若干あるのではないか、ほかの事項もあるのではないかと思いますので、それらを併せてできるだけ早い機会に一つの妥結線と申しますか、点を見出したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  21. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話の、私が最初質問いたしました第二段階の三つの中の保險料の転嫁というようなものは、現実の問題ですと、この資料の中に入つております二十六年二月二十六日の銀行局長通牒によつて保險料転嫁の措置に関する銀行局長通牒によつてこれをもう前に訂正をしておる、こういうようなことを考えますと、銀行局長通牒のままでも、この保險料というものを中小企業者に転嫁するという措置は講じ得られるのではないか。これは私は勿論中小企業庁にお聞きするのでなく、次の機会に銀行局長に十分に私はお聞きしたいと、こう思つてつたのでありますが、こういうような、少しでも一つの難点が切開かれるというような点があるのでありますし、只今の保險限度引上げるとか、或いは支拂期日を短縮するというような問題は、即ちこの中小企業信用保險法というものが現実に活用されるのかされないかというような大きな分岐点にあるのでありまして、延いては中小企業が年末金融というものを控えた今日、このものが幾分でも法律的に是正されて、そうして本当にこの金融業者が中小企業信用保險法というものに同意して、自発的にこれを活用してくれるような段階に来てくれたら、私は年末金融というものは非常に中小企業者にも希望が持てたのではないか。そのものはたまたま部内の結論が出なかつたために大きな二点が阻止されておる。そこで保險料の転嫁の問題も銀行局長通牒でやり得るものまでやつておらないというようなことは、私は甚だ中小企業庁としても遺憾であり、又当委員会としても、こういうような問題なら、むしろ大蔵省に向つて私どもはもつとこれを促進するのだつたというような考えもありますので、一応中小企業庁のお考えで、今の保險料転嫁の措置というものは銀行局長通牒でやり得るのかどうかという点に関して一応承わりたいと思います。
  22. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほどお答えいたしましたように行政措置でもできるのであります。御指摘の本年二月二十六日附銀行局長通牒でありますが、これを改正することによつて可能であるというわけであります。私のほうといたしましては、この点を大蔵当局に対しましてできるだけ転嫁率をもう少し多くしてもらうように、具体的に申しますと、私個人の意見を申上げますと、三分の二程度転嫁するというところまで行きますれば、銀行側のほうの引受と申しますか、それがよくなるのではないか、こういうふうに実は考えておつたわけであります。又その線で大蔵当局にもお願いいたしておる。こういうことでありますが、なお只今まで実現を見ておらないのでありますが、この上とも努力をなお続けて参りたい、こう考えております。
  23. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のような問題は、中小企業庁のほうの御説明でよくわかりましたが、委員長のほうにおきましても次の機会に一つ大蔵省のほうに出席してもらいまして、中小企業金融の一つのめどとしての信用保險法についても私は十二分に質問して見たいと思いますので、そういうような機会ができるように一つお取計らい願いたいと思います。  続いて私は今の信用保証協会というものについて二、三点お伺いしたいのでありますけれども、先ほど中小企業庁長官がお話になりましたように、大体この信用保証協会というものの出資はここにもあります通り地方公共団体が九二・七%というような大きなウエイトを占めておりますので、どうしても私は地方公共団体というものに対して裏付をしないことには、保証協会というものは各県の力の入れ方によつて非常にばらばらになつておりはしないか、こういうような点を考えますので、でき得るならば、私は信用保証協会の拡充強化というような問題については、これまでお話のありましたように保証協会自体の法制化というようなものは、これは勿論必要でありますが、事業者団体法の関連性もありますので、これはいずれそういうような時期に到達すると、こういうふうに思つておるのでありますが、ともあれこういうような問題に関しましては政府が最終の責任を負うということによらないことには、信用保証協会が全国一律に同じような活動をして行くというようなことはなかなか期待し得ないのではないだろうか。こんなように考えておりますので、取りあえず今度の法案で謳つておりますところの五〇%を再保險するのだという考えは、この限度で止めておくということが中小企業庁のお考えなのか、或いは全部をやる前提として取りあえず百分の五十というものをお考えになつておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  24. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 先ほどの境野さんの銀行局長を呼ぶことに対しましては、さよう取計らいます。
  25. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほど加藤委員からのお話がありましたように取りあえず五〇%で行こう、こういう考え方であります。これはいわゆる戰前におきます国家による再保証というものが二割ぐらいからスタートしまして漸次ずつとこれを上げて参つております。そういうふうな歴史もございますので、私といたしましては実施の経緯によりまして漸次上げて参りたい、こういうふうな考え方であるわけであります。
  26. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうすると保險をする場合の協会の金額はどんなふうにお定めになるのか。例えば第九條の三にありますような点を見まして、借入金額の限度がありますけれども、この限度を各協会にどんなようなふうに割当てるのか、その辺を伺いたいと思います。
  27. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これは只今の信用保險と同じように各保証協会五〇でございますが、保証協会からの申請を待ちまして、その後割当てて参りたい。先ほども金融課長から御説明申上げましたように大体月の保証の伸びが二十億弱であります。従いまして十二月一日から施行いたしまして八十億弱見当のところへ二十億の余裕を実は見ているわけでありますから、希望によりましてそこは割当てて参りたい。飽くまで各保証協会の希望を中心として持つて行きたい、こういうふうな考え方であります。若し超過いたしましたときには適当な按分なりなりにするということで、できるだけ各地方の実情に合つたような形で持つて行きたい、こう考えております。
  28. 境野清雄

    ○境野清雄君 総額保險できない場合にはこの協会の保証のどの部分が再保險されているかを定めるのはどんなようなふうにするのか、併せてこのような手続をどういうような方法でするか、例がありましたならば、そんなふうなもので一つ説明願います。
  29. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これは旅行の先ず第一に手続といたしまして指定法人、例えば東京なら東京の信用保証協会政府で、本法の第九條の二によりまする保險契約というものをいたします。保險契約で東京は年五十億ばかりやつておりますので、半年二十五億なら二十五億、二十五億までは第九條の二によつて保險にかけるというような一応枠の契約をいたすわけであります。そのあとはこの九條の二によりまして信用保証協会中小企業者保証をする。例えば五十万円なら五十万円の支拂保証するという場合に、保險にかけようと思えば、これこれの事項について、この貸借について保險にかけるという簡單な書式にその旨を記入いたしまして政府に届ける、そうすると自動的にかかつて来るということにいたしておるのであります。特にスタートは先ほど申上げました九條の二の政府との保險契約というものができれば、その以後その期間内、そのきめた枠、二十五億なら二十五億の枠内において個々の保証のうち保証協会の選択によつて通知を出すことによつて自動的に保險契約が結ばれて行く、こういうことになるわけであります。
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかにありますか。
  31. 加藤正人

    加藤正人君 中小企業信用保險法の一部を改正する法律案というものに直接の関係がないことですが、いいですか。
  32. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) よろしうございます。
  33. 加藤正人

    加藤正人君 今私が聞いたのですが、緑風会の奥むめお君が一昨日の晩イギリスに発ちました。それでやはり緑風会の議員の小林政夫君に頼んで行つたそうですが、その頼んで行つたことを又小林君から僕に申入れるということになつたので、政府の御意見も聞いておきたい、又同時に委員諸君の御意見も聞いておきたいのですが、この法律の第二條で、資本金の額が五百万円以下の会社若しくは中小企業中小企業等協同組合、農業協同組合、同連合会、水産業協同組合、森林組合、同連合会、こういうものが対象になるとあるのですが、奥むめお君は婦人団体やいろいろな方面に関係している人であるものですから、この法律の適用の中に生活協同組合も入れてもらいたい。この中には靴の製造をしたり事業を営んでおるものもあるから、かなり中小企業者と似ているものが多い。従つてそういう意味で、生活協同組合もこれに入れたらどうかという意見が多いのであるから、これを特に今回の改正案に加えなかつたのは、如何なる理由かということを聞いているのですが、同時にこれは加入を認めてもらえる方法はないだろうかというのでありますが、ざつと私考えると、生活協同組合の中に、たとえ靴の製造など営んでいるものがあつて、一応中小企業者と似ているものがあるとしても、それはこの法律で適用する対象にしている企業者として、同一に見得するものであるかどうか。どうもちよつと感じは似ているけれども、どうかと思われるのですが、政府はどういうふうにこの点を判断されるか、それを伺いたいと思うのであります。
  34. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 生活協同組合は、消費生活の合理化或いは消費生活の改善ということを目的とした一つの協同団体であると思うのであります。一方中小企業等協同組合以下農業協同組合等は、それを一つ事業として、経営としてやつて行く、こういう事業者の集まりの団体であると思うのであります。そこに生活協同組合と事業者組合との、私は相違があると思うのであります。この保險法の狙いは、事業者としての協同組合、或いは事業者自身というものの経営の合理化、或いはそれの裏付としての金融の疏通を円滑にする、こういうことを狙つておるのでありまするから、私は法域が違うのじやないか。加藤さんのお話のように違うのじやないかと思うのであります。特に御指摘のように、靴を例えば共同で作るというのは、自己の消費の便利のためにこれを作つているのであります。靴を共同に作ることによつて、それを販売するという工程まで入つていないのが、本来の生活協同組合の事業内容だと思うのでありますが、余分の靴を若干流すということがありましても、本体は飽くまでメンバーの消費の目的、こういうことになつておるのであります。従つて私はその靴の修理加工というようなものをやつているものは形は同じでも狙いは違うというふうに考えまして、生活協同組合を本法の適用対象にするということは適当でないのじやないかというふうに私は実は見ておるわけであります。
  35. 加藤正人

    加藤正人君 委員諸君は今の政府の御意見に同調されるのでしようか。これは小林君に聞かれたときに、政府の御答弁はこうであつた、又試みに委員諸君の御意向を聞いたところが皆こうであつたというふうに言いたいのですね、完全なる返事として……。
  36. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今加藤君からの御提案でございますが、各委員のかたからの御発言を求めたいと思います。
  37. 境野清雄

    ○境野清雄君 私は今小笠長官の話された話にも幾分疑点を持つているのであります。ということは、先般その問題は多分何らかの形式で当委員会へパンフレツトか何かで陳情があつたと思うのであります。私も実はそれを見出したのですが、御承知の講和や何かの問題がなかなかうるさくなつて来たので、まだはつきり読み切らないのですが、それを私は見まして後に加藤委員の質問にお答えしたいと思うので、一日二日保留を願いたいと思います。
  38. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかの委員のかたは……、島さんどうでしようか。
  39. 島清

    ○島清君 私はやはり奧さんなんかが言われておるように、生活協同組合も明確に今長官のおつしやつたその概念の範疇に入るかどうかは、境野委員のお話がございました通り、もう少し検討を要することだと思います。明確に概念付けるということになればですね。併しながら私今加藤さんから聞き出されて、お前何とか返事をしろと言われた場合には、やはり生活協同組合の持つておりまするところのこの協同体的な性格、そういう面からいたしましても、やはりその範疇の中に入れて差支えないのではないかと、私はそう考えております。
  40. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 私も実は生活協同組合のほうからそういう問題を入れてくれという話があつたのです。ところが、私も実は疑念がありましたので、まあよく研究してからと、こういうことで返事をしております。
  41. 中川以良

    ○中川以良君 私もこの問題はそう軽々しく最後の断定を下すわけに行かんと思いますから、大体私は政府側の言われるところの方向に考えらるべきものではないかというふうに考えておりますが、併しなおこれは一つ研究をいたしましてお答えを申上げたいと思います。
  42. 松本昇

    ○松本昇君 私も個人としてはやはり今の長官のアイデアが正式のもののように考えます。
  43. 加藤正人

    加藤正人君 有難うございました。
  44. 境野清雄

    ○境野清雄君 最後に私一点お聞きしたいのですが、中小企業信用保險に対しては、多分十五億円ばかりの今基金を持つておるはずでございますが、この十五億円の基金というものは現在使つておるのかどうか、使つておるとすればどのくらい使つておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  45. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 実は御承知の通りに、十二月の十五日に施行しましてから、実際は舟山君の通牒が出たのが一月の二十六日、それ以降が活動に入つたわけでございます。従いまして二月からということになります。それで六カ月以上の期限で、一番最初のやつが六カ月以上の期限の経過と、こういうことになりますので、もうぼつぼつ十一月頃から来そうなことに実はなるのでございます。今までのところ、実は保險金請求一つも参つておりません。
  46. 境野清雄

    ○境野清雄君 私もその通りだと思つて実は質問をしたのでありますが、その十五億円の金を温存しておるということは、私は非常に勿体ないのではないか、でき得るものならそういうようなものを従来各金融機関がやつておりまする貸出の実績にでも応じてこの十五億円を幾分でもその方面へ臨時措置を講じて流してやるというような措置が講ぜられるのなら、今のような私のいろいろ申上げました問題を解決しないでもこの信用保險というものが非常に効果的なものになるのではないかと、こんなようなふうに考えるので、それはいろいろな法律がありまして困難だと言われればそれまででありますが、一応そういうような面から見まして、年末金融というような差迫つたものであり、又その十五億というようなものをそういうような臨時措置を講じましても、相手方が危險性のない金融業者というような点から考えましても、そういうような臨時措置を考えられるか、或いはそういうような措置が講ぜられるかという点についてお伺いしたいと思います。
  47. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 現在の法制から申しますと、運用が実はできないことになつております。基金は資金運用部に全部預け入れるという形になつておるわけでございます。資金運用部の資金の産業面への導入は、金融債の引受と、こういう狹い途になつておりまするので、現在のところ制度的には困難であります。そこで私もそういうふうな着眼というものを一つ考えてもよいのではないかというふうに実は考えたことがあるのであります。そこでこれは中小企業の金融体系のときに、保險制度を兼営するというような形を持ちますと、例えば私ども前に考えた中小企業金融金庫に保險制度と両方やらせるというような形が一つ考えられますと、そこに彼此融通の途がつくということになると思うのであります。現在の特別会計制度ではちよつと制度的にむずかしいのではないかというふうに考えております。
  48. 境野清雄

    ○境野清雄君 勿論私もそう思うのでありますが、昨年十二月に五億円の基金を持つて始められて、そのものに手を着けずにいるうちに、この苦しい財政の中から本年度は十億追加されたというような形体になつておりますので、これは殆んど十五億円が寢ておるような形になつておる。これをどういうような方法かで、一つ中小企業庁といたしましても、年末金融として中小企業に十五億近いものが流れるということ自体でも相当大きな希望が私は持てるのではないかと思うので、そういう点に関しても一つ特段な御研究を願い、そうして時期的に切迫しておりますので、私は幾らでもいいから、三億でも五億でもいいからそういう措置が講ぜられるように一つ御配慮が願いたいと思います。
  49. 中川以良

    ○中川以良君 もう一点私は承わりたいのですが、信用保証協会制度化する問題ですが、これはどういうふうに考えておられますか。
  50. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 実は信用保証協会法を作るという狙いは、三年ほど前からいろいろ考えておるわけでございます。ところが、事業者団体その他の関係、その法律体系からなかなか了解が得られないという状況であつたのであります。実は昨年も当りましたし、この改正案を作るに先立ちまして、今年の秋頃でありますか、やはり当つたのでございます。併し、結局それは話にならなかつたのであります。そこでまあ先ほども申上げましたように、実体を急ぐものですから、まあこういう考え方を実は編み出したというのであります。これは私はこの制度としては適当な時期にやつぱりすらつとしたもののほうが、いわゆる保証協会という団体に対する監督権というものがすつきりして行くということがあるので、そうしなきやいかんのじやないか、ここでは民法規定だけで、中小企業信用保險法の監督と、民法上の監督だけでは不十分な場合が起りはせんかということを実は心配いたしておるわけであります。
  51. 中川以良

    ○中川以良君 私のお尋ねするのもそこにあるのですが、今のところでは法規上監督権は政府にないわけですね、そうすると政令で以て今これを指定されるが、今五十ある全部を恐らく指定されると思いますが、中には内容においていろいろ疑問を持つようなものが将来出て来ないとも限らない、やはりそういうのは早く制度化されるほうがよいのじやないかと思うのでございますが、今のところでは全然監督権はないわけでありますか。
  52. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) まあ民法に基く監督権というものだけになつております。それでは弱過ぎやせんか、こういうふうに実は考えております。
  53. 境野清雄

    ○境野清雄君 ここに今頂きました第九條の四の規定によつて政府が実際に支拂うべき保險金の算出方法というものを簡單で結構ですから一つ説明願いたいのですが……。
  54. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) やりました。
  55. 境野清雄

    ○境野清雄君 それならばいいです。それならあとで……。それでは今のは取消します。   —————————————
  56. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に輸出信用保險法に関しまして、中川君より質問の御要求がありますから……。中川君。
  57. 中川以良

    ○中川以良君 海外市場調査会、いわゆるジエトロについてちよつとお伺いしたいのでありますが、これは政府から助成金を出されるのですが、このジエトロ自体の経費というものは、助成金とそのほか、どういうものを以て賄われておるかを一つ……。
  58. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) ジエトロ、これは海外市場調査会、今年度国のほうからの補助金三千万円の予定であり、これ以外に地方公共団体及び民間のほうからの結局寄附というものがその大部分でございます。大体財源としましてはそういうふうに国と地方公共団体、それから民間のほうからの寄附、三つでございます。
  59. 中川以良

    ○中川以良君 本年度の三千万円も全部出しておるのですが、それともどの程度出しておるのですか。
  60. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) 五百万円はすでに国のほうから交付が済んでおります。これは海外市場調査会の海外における活動に要する経費の補助ということに相成つております。そういう関係上、今年出発しましてから人的、物的、いろいろな事業上の準備に相当の月日を要しました関係上、本格的の活動に入りましたのは、比軽的最近であるという関係で、国のほうからは末だ五百万円程度を交付した、そういう程度でございます。
  61. 中川以良

    ○中川以良君 もう年度も半ば以上過ぎておるのに、まだ六分の一しか出ていないのですが、あとの残りの二千五百万円は本年度中に有効に消化されるという意味において助成するという見通しが付いておるのですか。
  62. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) 前回にも海外市場調査会の事業の状況につきまして、最近の経過を申しましたわけでございまするが、海外の調査員につきましては、最近十八名の任命を見ましたし、又いろいろ海外競争商品の收集などもやつておる、今後は海外調査員のほうも急速にこれを増員を考えておる、そういうふうに一応軌道に乘つて参りました関係上、今後は急速に活溌化して参るというふうに我々としても考えておりまするし、又できる限りそういう方向に指導をやつて参りたいと思いまするが、率直に申しまして、今日並びに今年度中の事業活動の見通し等から申しまして、三千万円全額、これの三千万円の全額交付に相当し得るような事業内容を見得るかという点につきましては、多少疑問を持つておるわけでございまするが、先ず最小限度二千万円近いものは交付をしたい、そういう予定を以て進めております。
  63. 中川以良

    ○中川以良君 これは会員組織にでもなつておりまして、会費とか何とかいうものを各事業者が拂込をするというような形式をとつておるのでございましようか。
  64. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) 財団法人ではございまするが、一定の会員と申しまするか、協賛者を今いろいろ募集中でございます。
  65. 中川以良

    ○中川以良君 この会のできます当初と現在と比べますると、現在は各大きな事業会社等は、みずから海外派遣員を出して、いろいろ調査をし、その他いわゆる輸出入の実体の仕事等に携わつておるのでありますが、従つて初め期待していたほど、そういう大きな事業会社が最近はこれに協力をしないというような面が多いのじやないかということを私ども心配をするわけでございますが、その点はどうでございましようか。
  66. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) ジエトロの計画当初の情勢について申しますれば、仰せの通りに、当時は日本の貿易業界全般を通じまして、海外の的確なる情報の收集ということが極めて困難な状態にあつたという意味で、この調査会の創立を逐次進めて参りましたが、最近の段階としましては、大きな会社は海外に支店乃至は駐在員をかなりつておるという関係で、只今御質問のような点、言い換えれば、大商社のほうでは漸次その期待と申しますか、必要性が軽減、小さくなつておるのではないかという点は、そういう傾向もこれはないではないかと存じまするけれども、現に海外の事情につきましても、調査の依頼の項目としましても、日本貿易協会方面からこの海外市場調査会に対しまして、東南アジア、アフリカ向けの綿糸布の値段についての調査の問題がございましたり、或いは綿スフ関係の検査協会のほうからも、塩基本染スフ製品の東南アジア向けの輸出の現状及びその可能性についてというような調査項目がこちらに参つていますように、大きな産業の方面でも、この海外市場調査会の調査機能を利用するという面は今後も続くであろう、かように考えておりまするが、一般的に申しますれば、海外市場調査会の情報の供給、或いはこれの機能の提供という方向は、むしろ中小企業者の便宜という方向に重点をおいて今後はやつて参りたいと考えております。
  67. 中川以良

    ○中川以良君 これは本部が大阪にございまするために、関西方面では相当に利用もされておるようでありまするが、関東のほうがどうも私はこの会に対して協力がまだ鈍いのじやないかと思います。これにつきましては一つ通産省においてもよく御指導頂きまして、折角これだけの補助を国として出すのでありますから、この会がもつと活溌に各方面に一つ活用せられるように、この上とも一段と御指導頂きたいということをお願い申上げまして、私の質問を終ります。
  68. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。散会いたします。    午後三時四十一分散会