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1951-11-09 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月九日(金曜日)    午後二時開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事      栗山 良夫君    委員            入交 太藏君            中川 以良君            松本  昇君            佐多 忠隆君            山内 卓郎君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君            油井賢太郎君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    資源庁炭政局長 中島 征帆君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出信用保険法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (石炭需給に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通産委員会開きます。  先ず輸出信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。同法提出に当り政府当局趣旨説明を求めます。
  3. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 講和の成立に伴いまして、本邦経済自立を達成いたさねばなりませぬことは、今更言を待たないところでありますが、輸出貿易飛躍的振興こそは、その自立達成基本的要件であります。政府は、輸出貿易振興方策の一環といたしまして、最近における東南アジア地域南米諸国経済開発の進展に即応し、これらの地域機械設備等資本財輸出促進を図るため、先に日本輸出銀行を設置して、長期輸出資金融通円滑化を期する等の措置を講じて参つたのでありますが、このたび現行輸出信用保険制度を拡充して、資本財輸出取引における信用危険を担保する保険制度を確立することとし、ここに輸出信用保険法の一部を改正する法律案を提出して御審議を仰ぐ次第であります。  現行輸出信用保険法は、昭和二十五年三月三十一日に施行せられ、同年六月より輸出信用保険引受を行い、最近における緊迫した国際情勢の下にありまして、輸出取引に伴う為替制限戦争等非常危機に基く不測の損失を救済し、輸出振興上少なからざる効果を収めて参つたのであります。併しながら、先に述べました資本財輸出につきましては、輸出貨物引渡後長期亘つて代金の全部又は一部の支払が延期される特殊決済方式がとられるのが通例でありまして、買手側資金が乏しく、売込について各国間に激甚な競争が行われている現状におきましては、このような特殊決済方式によつて買手側長期信用を供与しなければ、東南アジア、又は南米諸国等に対するプラント輸出促進は実効を期しがたいものがある現状なのであります。このような資本財輸出後その代金を回収するまでの間における買手の破産、支払義務遅滞のごとき信用危険を、保険制度によつて救済しようとするのが本改正法案趣旨とするところでありまして、本改正法案において乙種保険として規定いたしましたものが、これであります。  なお、本改正法案におきまして甲種保険と呼称しておりますところの現行輸出信用保険におきましては、損害保険会社が直接輸出業者保険契約を締結し、政府がこれを再保険するという方式を採用いたしているのでありますが、新設する乙種保険制度におきましては、買手側信用調査保険引受の可否の審査等を、政府が直接責任を以て行う必要があります関係上、保険契約締結損失査定等一連保険業務をすべて政府が直接取扱うことといたしております。  何とぞ御審議の上、御賛成あらんことを切望いたします。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今説明のありました法案審議はまだ予備審査段階でありますので、次回に譲ることにいたしまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に石炭需給に関する件を議題といたします。先ず左の諸点について一応政府当局からの説明を求めたいと存じます。一、今回の石炭スト経過並びに今後の見通し。二、スト解決のためにとつた政府当局措置。三、石炭ストによる減産程度。四、石炭減産による産業部門に対する影響度。五、石炭スト長期化した場合、需給調整のためにとる政府当局措置。以上につきまして政府当局の御説明を願いたいと思います。
  7. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 今月七日から入つておりまする第二次スト前後の頃から現在までの大体の経過を申上げまして、今日におきまする今後の見通しを申上げますというと、十一月二日にこの交渉問題が停頓いたしましたので、労働大臣から中山中労委員長に自主的な斡旋方をお願いいたしまして、二日に中山委員長双方に対しまして何らか自分の斡旋案を出したいがどうかというような申出をいたしましたところ、経営者側はこれを受諾いたしましたが、労働者側は翌日部内の会議開きまして、漸くこの提議を受けるということに意見を決定したわけであります。それにつきましては、二、三の条件が付いておりますが、これは省略さして頂きまして、これに基きまして、十一月四日の七時四十分に中山委員長が現在までに各社から出されておりました増額案、大体七月乃至九月の実績を基礎といたしまして、三井、三菱の場合に千二百五十円の増収を図るという提案がそれまで出されておつたのでありますが、それに七百円をプラスいたしました千九百五十円の増加というふうな案を出されまして、これを基準にしまして労使双方で自主的に解決を図つて参りたい、こういうことになつたのであります。この千九百五十円の数字中心にいたしまして、双方団体交渉に入つたわけでありますが、これを経営者のほうは、この基凖をそこまで近付くというふうな意味にとり、又労働者のほうは、これは最低であるというふうな意味にとりまして、その間にかなり開きがありましたが、結局において意見の一致を見ませんで、五日から……、先ほど七日からと申上げましたが、五日から七日までの七十二時間ストに突入したわけであります。その間におきまして、炭労側からも賃金要求の案を又更に出しまして、経営者側坑内五百二十円に対して五百七十円という案で以て要求を継続しております。その後なかなかこの間の妥協が付かなかつたのであります。で、一昨七日に関係方面のほうで双方の呼出しがございまして、速かに争議解決を図るようにという申入れがございました。それぞれそういうつもりで努力をしておるという程度の回答をして引上げたわけでありますが、更に昨日も又両方を呼びまして、速かにこの交渉に入れと、それで交渉経過を逐次報告しろというふうな話もありまして、現在、昨日の晩から交渉を継続中であります。その内容等につきましては省略いたしますけれども、現在までの状況ではすでに常盤炭鉱坑内五百五十円という線で以て妥結いたしましてストを中止いたしましたが、九州方面でも経営者側の案も出ております。その間の事情から見通しを付けますというと、大体今明日中には解決し得るのじやないかというふうな段階に至つておるわけであります。私どもは是非とも明日のストに入る前に片付けてもらいたいという希望を持つておりますが、これはなお今夜の交渉経過如何によるということになろうかと思つております。これに関連いたしまして、どの程度それでは現在までに減産し、又それが如何に各産業に対して影響を与えるかということにつきまして申上げますというと、今日までの、九日までの減産数量を推定いたしますと、総額で五十四万九千トン、約五十五万トンの減産になります。それから更に明日から第三回目のストに入りますと、一日で約十一万五千トンほどの減産になりまして、これが累加されて行くわけであります。今日までの五十五万トンの減産影響というものは、現在現われておりますのは、それほど顕著ではございませんけれども、たまたま十月の出炭予定の四千五百万トンの計画に対しまして、約十八万トンの増産を来たしております。従つて第一回のスト、三十一日及び一日の二日分と、それに続く二日ほどの九州電力スト、この分だけに相当する程度のものは、十月分の増産で一応計算上はカバーされたというふうな恰好になつておりまして、それを仮に差引きますというと、三十七万トン程度が現在四千五百万トン計画に対する穴となつております。御承知のように九月までの全国の出炭状況は殆んど四千五百万トンベースに対しまして一〇〇%に近付いておりますので、今度のスト分影響だけを減産すると考えていいわけでありますが、大体三十七万トンぐらいになつておる。で、これが今後逐次影響を現わして来るわけでありますが、第一回のストが、たまたまその先月分の増産分でカバーされたというわけでありますかどうですか、二日分の減産影響というものは急激には今日までのところ未だに現われておらんのであります。で、私どもの心配いたしますのは、七日までで終つた三日間のストライキがいつ頃どういう方面に現われて来るかという点でありまして、これは山から需要地に参りますのに、九州から関西方面に持つて来る場合には三、四日でありますし、北海道からこちらに参りますときには約一週間かかりますので、従つて四日、五日以後のストのものが今明日からあと四、五日かけて出て来る。こういうふうなことになろうかと思つております。勿論その間に各需要工場等貯炭を持つておりますので、本当に工場運転に差支えが出て来るのは更にその貯炭分だけ先に延びるわけでありますが、現在入炭状況は、今日までのところはまだ関西方面電力にいたしましても、この東京ガス用炭にいたしましても、大体順調に来ておりまして、いつこれがスト中の穴がはつきり出て来るかという点が問題だと思うのであります。で、私どもは現在までのところは、特に電力用炭中心にいたしまして、これの優先出荷と申しますか、そういう措置について関係業者協力を求めておりますが、その関係から電力用炭は比較的改良されつつあります。現在大ざつぱな貯炭傾向を申上げますと、電気東京大阪が比較的少いほうでありますが、約十日分から十一日分、その他のところは二週間分以上でございます。九州は若干減つておりますが、一週間分程度になつておりますけれども、これもずつと以前からこの程度維持しておるわけであります。そういうわけで電力は一時に比べて維持日数は比較的殖えておるという状況にございますが、ガス関係が割合に貯炭が少うございまして、東京が今日のところ、約四日分程度であります。大阪も大体その程度であります。但しあと数日間は配船計画がございまして、数日間にはまだ今までの影響は現われて来ない。こういうふうな見通しになつております。それからその他の産業は比較的貯炭を持つておりまして、大体まあ普通が二週間から二十日、多いところは一月以上もございますが、そのうちで最も少いのがセメント関係工場でございまして、数工場貯炭を調べますというと、高低はございますけれども、大体五日分前後というふうになつております。場所によつてセメントあたりはかなり電力用炭と競合いたしますので、窮屈になるところが出て来るのではないか。これはまあ特にこれからは気を付けなければならん点だと思つております。それからガス用炭につきましては、これが切れますというと、炉の維持に早速支障を来たします。又一般家庭燃料もこれは特に大都市におきましては根元でありますので、非常に影響力が大きいわけでありますが、従つて仮にストが中止いたしました場合に、ガス用炭、これは東京におきましては、日に毎日三千トンも焚くというような大きな数量でございますので、ほかの方面からこれを持つて来て埋めるということはなかなか簡単に行かんわけでございます。対策といたしましては、従つて現在附近にあります例えば鉄鋼用工場にございます原料炭を一時借りるとか、或いはガス工場でできましたコークスを水性ガスに変えることによりまして、多少カロリーは落ちますけれども、これでガス量維持を図る、そういうふうなことで以て繋いで行くということ以外にはないわけであります。結局最終的にはスト解決して全体が操業したときに、各炭坑に対しまして、こういつたような方面に対する最優先的な出荷で以て従来の穴を埋めてもろうということをやる以外にはないかと思います。それから更に全般的にこれが長期スト影響が及んで来まして、逼迫が非常に深刻になりました場合にどうするかということでありますが、一応の我々の見解を申上げますというと、この影響が急激に来ました場合には、実は例えば全面統制というようなことが一応問題になるわけでありますけれども、そういうことをやる機構も人手も資料も直ちには間に合わないわけでありまして、従つてそういう場合には殆んど対策はなしということを言わざるを得ない。ただ現状程度で収まれば、それにしても数十万トンの減産がありますので、その影響は逐次出て来るわけでありますが、その影響の最もひどい、又一般影響するところの最も大きい部分に対しまして、逐次優先配給等の手を打ちまして、だんだんこれをまあ小さな範囲内で収めて行くように進めたい、こういうふうに考えるわけであります。併しながらこの穴が大きければ大きいほど、最重要産業に対する優先配給をした結果は、更にその次順位産業影響しますし、そうすると、そこまで手を伸ばし、更にその次に及ぶということで、だんだんこれは広く又深く政府の干渉というものが拡がらざるを得ないことになるのでありますが、そういうふうに統制措置というものが法的にせよ、或いは実質的な方策に委ねるにせよ、だんだんひどくなりますことは、決して結果において完全なものを望むわけには参りません。又いずれにいたしましても、減産そのもの影響というものを如何に統制しても完全にこれでカバーすることができないのでありまして、少いものを少いながらに如何に大体の調和を破らないで使うかということでありますので、非常にむずかしいことになろうかと思つております。従つてそういう場合にはやはり輸入でありますとか、代用燃料でありますとか、そういうものを考えなければならないけれども、これも急速に参らないということであります。この際一層ストというものが大きくなり、且つ減産数量が激しくなりますというと、現状直ちに如何ともしがたいような事態が来ないとも限らないということを実は憂慮いたしておるわけであります。ただ先ほど申上げましたように、昨日、今日におきまして、比較的交渉が近付き、且つ進んでおりますので、恐らくは第三波に一時入りましても、これが更に継続するということでなくして、解決するということを我々は希望しておるわけであります。
  8. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今政府説明に対しまして御質問のあるかたはどうぞ……。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 今ストライキの問題になつておる賃金ース内容につきまして、もう少し詳しくお聞かせ願えないでしようか。実は甚だ不勉強でその内容をよく知らないものですから、わかつておる程度で結構ですから、御発表を願いたいと思います。現行がどうなつてつて、今度の要求がどういう工合になつておるのか、その間をお願いしたいと思います。
  10. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 各社によりまして賃金のべースも、又その構成もいろいろ違つておりますので、具体的な社名を申しましても何ですが、一つの例を引いて御説明を申上げたいと思います。三井鉱山の場合は、現行賃金坑内四百五十九円、坑外二百七十七円、こういうことになつております。これに対しまして、当初会社が出された第一次案乃至第二次案というものが、坑内五百円、坑外五百三十円という案であります。これを大体基凖にいたしまして、他の会社もそれぞれそれに相当する第二次案なり、第三次案を出されておる、この現在の四百五十九円は三井鉱山ベースは大体これの上下に各社とも近付いておりまして、そう大した開きはないことをお答えしておきますが、これによりますと、大体私の聞くところによりますと、全体の平均坑内外平均月収が税込で一万二千円程度になるということであります。で、それに対する中山案なるものは、それに千九百五十円増すということでありますから、約二千円増の平均月収一万四千円ということになるわけでありまして、坑内に対しましては一万五千乃至六千円、坑外で一万一千円余ということになるわけであります。そういうふうな案が今出されておる、これを基準にして各社交渉しておるわけでありまして、先ほど申上げましたように、経営者のほうから出されました現在までの案は、最終案が五千七十三円、炭労側要求坑内五百七十円ということになりまして、坑内基準賃金と五十円の開きがあるということになります。これに対しまして、一昨日妥結いたしました常盤炭坑の場合が坑内五百五十円ということにきまつておりまして、丁度その中間に、中間よりも少し炭労のほうの要求に近いところで妥結したと、こういうことであります。又九州方面も、それよりも若干下廻つた案経営者のほうから出されたということも聞いております。そこら辺に比較的まあ具体的な手がかりが出て来たということが言えるかと思います。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 中島さんにお伺いしますが、資源庁と申しますか、通産省と言いますか、政府ではストが長く続いたら、臨時物質需給調整法出荷命令を出す準備をしておられるという新聞の報道になつておるのですが、実際にそういうことを考えておられるかどうか。
  12. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 事実私どもはそういうような凖備もいたしております。これはどういうことを予想しての凖備かと申しますと、現在関係者の自主的な幹旋による適正配炭ということに主眼をおきまして、各現地で資源局も参加いたしまして、その日暮しを続けておるわけでありますが、今日まで十月の初めからの成績を見ますというと、必ずしも完全とは言えませんけれども、比較的成績を挙げ得たと考えておるわけであります。従つて今後も急速に大きな影響が来ない限りは、こういつたような自主的な斡旋によつて相当程度重点配給ができると我々は信じておりますし、又関係業者のかたがたの御意見も、例えば電力でありますとか、ガス、鉄道或いは進駐軍といつたような重点需要に対しましては、これは相当需要方面はむしろ官庁よりはよくわかつておるから、そういう方面を困らせるようなことはしないとはつきり言つておりますし、ただそういたしますと非常に影響が大きくなり、又石炭業者のほうはそういうような措置で、仮に別の需要家に振向ける予定であつたというものを電気その他に変更しようといたしましても、当初の仕向け先需要家がどうしても肯んじない、而も貯炭等から言つて必ずしもそれを必要としないというような場合には、これはむしろ出荷命令で出してもらつたほうが協力もしやすいということになりますので、そういう場合には出荷命令を出すということも考えております。それから更に今一歩進めますというと、石炭販売業者乃至生産業者でありますか、そちらのほうの側といたしましても、やはり従来の得意関係その他がありますので、相当なことはいたしましても、もう一歩踏み切つて問題をほかの方面にかけて参るということについては一応の限界がございますので、その限界を超える段階に参りますというと、やはり政府責任で以て出荷命令を出さざるを得なくなるとも考えられますので、そういう事態が来たときはいつでもそれに対応して命令等措置をなし得るということでいろいろ凖備をいたしております。準備と申しましても、具体的な数字等につきましては、その段階に入りまして初めて出て来る問題でありますが、現在のところは物調法に基きまして出荷先変更等命令を出す場合には、一応それに基いた損失補償をするという規定がございますので、補償をする途だけは置く必要がありますので、補償令等の政令は準備しておく必要があります。従つてその方面の手続を進め、且つ需給調整規則、現在施行されております省令につきましても、そのままで行けるか、或いは多少の変更改正を加えたほうがいいかを検討いたしまして、必要な場合には若干いじりまして、直ちに対処し得るように法的な凖備をするというような意味でやつておるわけであります。
  13. 西田隆男

    西田隆男君 物調法による出荷命令を出される準備をされておるということはわかりましたが、それに関連してお尋ねしたいのは、日本各種産業工業貯炭がどういうふうになつておるかということをお伺いしたいのであります。
  14. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 先ほど一部触れましたが、国鉄に関しましては、現在約二十六万トン、二十日分ございます。これは地区によつて多少違いまして、一番少いところは札幌で約一週間分、門司は六日分、そういうようなことになつております。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 私がお聞きしているのは、国鉄とか、電力とかいう出荷命令を出される先の貯炭ではなくして、出荷命令を出して優先的に石炭を持つて行かれない他の産業工場貯炭がどうなつておるかということをお聞きしておるのです。
  16. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 各種のやつは実は少し古い数字を調べましたときのものがあるだけでありまして、最近の数字は明確でありませんけれども、大体の傾向といたしましては、先ほど申しましたように二週間乃至二十日が、まあ少くとも貯炭されておる、多いものは一月以上持つておると、こう思つております。具体的に例えば鉄のごときはいずれも十日分以上、多いところは一月半ぐらいのところもございますし、それから先ほど触れましたように、セメントにつきましては、やはり電力用炭と競合して、いわゆる持つて行かれる側のものでありますけれども、これはもうすでに相当その影響を受けまして、五日分内外ということでかなり減少しておる、従つてこの方面から持出し得る数字は余りない、こういうことになります。あと考えられるところは、例えば繊維でありますとか、化学でありますとか、窯業でありますとか、そういつたところはたくさんあるわけでありますが、いずれもこういうところは少くとも二週間分程度貯炭を持つておるというふうに聞いております。ただ窯業等のごときは、やはり先ほどのガスと同じように或る程度のところまで行きますというと、炉の維持のためにはどうしても若干の石炭が必要でありますので、これも優先出荷対象となるようなときは、場合によつて一つ産業部門になるわけであります。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 今の局長の御説明の、この日本石炭を使用する各産業貯炭というものは、資源庁でもう少し詳細に現在の状態を調べられて当委員会資料を出して頂きたいと思います。それともう一つお尋ねしたいのは、若し出荷命令を出されるとすれば、出荷命令を出される前に、政府としてはこの争議が片付かなかつた場合においては何らかの処置に出るお考えであるのか、或いは現在のまま争議が幾ら長引いても不介入の態度をとられるのか。
  18. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 部分的に非常に今日、明日の運転に困るというふうなものが出ました場合には、争議中でありましても、これは必要によつては出さなければならんと思つております。ただ現在までのところは自主的な斡旋によりまして、大体切抜け得ると思つておりますが、更にこれがうんと長期化いたしました場合にどうなるかということにつきましては、これはその場合におきましては、出荷の指示をいたしますにも、すでに対象となる炭が殆んどないということになつておりまするので、そういうことでは恐らく片付くまい、そういたしますと、やはり急場を凌ぐためには、現在近くにある貯炭を一時融通して、電力ガス等維持を図るということ以外にないのでありまして、これも自主的斡旋によりまして、奏功しない場合におきましては、最終的に譲渡命令等措置に出ざるを得ないかと思います。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 私のお尋ねしておるのは、政府は若し第三次ストに入つた場合強制調停をやられるか、やられないかということをお聞きしておるのです。その点はどうですか。
  20. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 質問を取違いまして失礼いたしました。その問題は実は私どもだけの見解では不十分だと思つておるのでありますが、常に労働省のほうといろいろ連絡をいたしておりますけれども強制調停に付するということがストを一層長引かせる見通しである場合には、これはやはり避けたほうがよろしい、併しそれにも限度がありますので、いずれにしても避けられない場合には、強制調停に持つて行かざるを得ないじやないかというふうな線で、その時期或いはやり方等については、事態の推移に応じて両省で以て相談をしております。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 それは少し意味が違うと思う。強制調停をやれば一カ月間争議ができないということになるということであろうと思う。石炭の需給の限度が第三次ストに入ることによつて逼迫するということになれば、一応強制調停をやつて一カ月間は仕事に従事をさせるということは考えられますので、あなたのおつしやる強制調停をやれば争議が長引くということとは、逆のことを私はお聞きしておるので、そういう御意思がおありかどうかということです。
  22. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 只今の方針は多少実際の制度と違つておりますので、現在なし得る強制調停というものは、全然ストを停止させる権限はないので、御意見のような効果を生むためには公益事業に指定いたしまして、それによつて指定された場合には、ストをやる前に一カ月間の予告期間が要るということで、一カ月間はストができない、こういうことになるのでありますが、それを指定するには国会の承認が要るのであります。又承認いたしても、現在進行中のストはとめられないということになつておるので、こういつたような断続的なストというものは、現在進行中のストになるか、ならんかということは法律上の解釈問題がありますけれども、少くとも今すぐの役に立たない。こういう実情であります。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 えらいうかつな質問ですが、今第二次ストが終つて作業を始めておる。第三次ストに入る前に強制調停に入る、そういつた場合に、ストライキは続けられるような現行法になつておるのですか。
  24. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 制度上はそうなつております。但しそういう場合には、後の交渉そのものが、いわゆる公けのものになりますが、徳義上はストライキを長く継続することは好ましくないと考えられます。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 炭政局長のお言葉を信頼して、石炭の需給はここ当分は大丈夫だというふうに解釈して差支えありませんね。
  26. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) ちよつとむつかしい問題でありますが、やはり山は現在の三日間のストライキ影響が現われます十四、五日頃までであろうかと思つております。若しそれを過ぎて大した影響がなければ、先ず我々の希望通り何とかなる、こういうことだと思つております。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 現段階では炭政局長のおつしやることを信頼しておきます。将来ストライキのために石炭の需給が逼迫したということを資源庁方面でおつしやらないように万般の処置を講じて頂きたい。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 現在のところ、各炭坑で区々になつておることを承知しておりますが、一番解決に困難を極めておるところは、主としてどういうところでありますか。
  29. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 今の内容でございますか、それとも会社でございますか。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 常盤方面は一応妥結したということなんですが、そういう工合に漸次妥結をして行くわけでしようか。一番困難なところ、一番強いところと言いますか、そういう炭坑はどこですかとお尋ねしているのです。
  31. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) これは個々の会社別の交渉でありますので、私はよくその辺の実情はわかりませんが、表面的には結局最後に炭労の本部で統制をとつておりますので、現在そういうふうに歩調が極めて整つておるという結果になつております。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、常盤はまあ別として、ほかは殆んど炭労の本部の統制で一致した行動をとつておる、脱落するものは先ずないと、こういう工合に見ていいわけですか。
  33. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 常盤とか、九州は、これは別々に一々交渉いたしておりましたから、別の線が出ておりますけれども、一応中央の八社につきましては、炭労で完全に統制をとつておりますので、現在の見通しとしては脱落するというようなことは殆んど考えられません。
  34. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほどの西田委員の質問にちよつと関連するわけですが、この争議の行政力による強制解決の途はいろいろ困難な部面があろうかと思います。併し石炭の事情がどうしてもこのまま放置するわけには行かんというような事態なつたときには、この国内的な現行法による解決というよりは、関係筋からの強制的なストライキの禁止令、そういつたようなものが発動される大体見通しがありますか、そういうことはもう全然ないと考えてよろしいですか。
  35. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) その辺は昨日まで双方が一、二回呼ばれて行つておりますし、又昨日それと別個に資源庁から資料の提供を求められて課長が行つておりますが、その辺の空気を全部総合いたしまして、この際関係方面が積極的に何らかの手を打つというふうな形勢は全然見受けられておりません。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際伺つておきたいのですが、石炭の輸入についてですね、資料が若しおわかりだつたら、今年度の輸入はどの程度で、全額にしてどの程度、品質というものの区別があつたらちよつと伺つておきたいと思います。
  37. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 品質価格等は明確でありませんが、下期の輸入の見通しといたしまして、現在予定されておりますのが、電力用に三十八万トン、ガス用に七万トン、それから鉄鋼用に百七万トン、コークス用に三万トン、合計いたしまして百五十五万トン、これだけが下期の輸入炭の業種別の内訳であります。で、この輸入先は大部分がアメリカでありますが、この中にインド炭がたしか四十八万トン下期全体で入つておると思いますが、その他ガス用炭でありますとか、コークス用炭は無煙炭でありまして、仏印その他から入つておる。残りの大部分はアメリカ及びカナダとなつております。それから価格は、アメリカの原料炭につきましては二十八、九ドルちよつと、三十ドル近い。インド炭が二十四ドルから五ドルくらい、およそその見当と記憶しております。
  38. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 日本のこの石炭ストに関連して輸入を変更するというようなことはやらないのですね。
  39. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 只今申しました輸入契約は、これは九月、十月の電力危機に際しまして、その対策に特に輸入炭を増加したわけでありますが、これについても電力危機のほかに、石炭そのものが不足を考えられておりますので、一層できるだけこの際輸入を図つたらどうかというようなことも相談したわけでございますけれども輸出国の事情等からいたしまして、これを急にこれ以上更に大幅に殖やすということは非常にむずかしいというような見通しであります。従つて仮に電力その他のために石炭の供給が減少いたしましても、それをカバーするために輸入を急に殖やすということはちよつと困難ではないかと思つております。
  40. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まあ満洲炭とか、開らん炭、ああいつたような近い所の石炭を輸入するという計画は全然ないのですか。
  41. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) これは見通しが付けば、むしろ仏印、満洲方面の炭を入れるのでございますけれども、これは交換物資の関係その他の事情から、今のところはちよつと見込が立たないのであります。
  42. 中川以良

    ○中川以良君 ソ連からの売込があるようですが、この点はどうですか。
  43. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) ソ連のほうの話は私ども正式には聞いておりませんが、一、二年前に、やはり樺太炭が入つて来ておつて、これは主としてガス用炭、に廻つていたと思いますが、原料炭でございますけれども、入れたところが、割合にこの灰分が多くて品質が悪いために非常に使いにくかつたというふうに聞いております。ガス乃至はカーバイド方面に使つた従つて今後入るものの品質が余りに悪いものであるというと、需要家のほうでも歓迎いたしませんので、品質と値段の点は十分検討する必要があろうかと思つておりますが、併しこの際でありますから、そういう点を十分考慮の上で、差支えないものであるならば、むしろ入れたほうがいいというふうに考えております。只今私は一、二年前と申しましたが、御訂正申上げますが、当初、今年度も五万トンの樺太炭の輸出の申入があつたそうですが、これは積出資金関係で話合いが付きませんので、これは今年の初めだつたと思いますが、そういうふうになつた経緯があります。
  44. 中川以良

    ○中川以良君 今の樺太炭のソ連からの輸出の申入があつたわけですか。
  45. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 最近にはそういうような話は直接聞いておりません。
  46. 中川以良

    ○中川以良君 その話は中絶していますか。
  47. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 前の五万トン分は中絶しています。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のに関連して、そういうのは政府輸入になるのですか、民間輸入で行つているのですか。
  49. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 民間の輸入で行つております。
  50. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 他にありませんか……。  それでは委員会はこれで散会いたします。    午後二時四十九分散会