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説明員(
松尾泰一郎君) 先ず最初に講和條約との
関連におきまする
貿易協定改訂の問題についてお尋ねでありますので、先ずそれから御
説明申上げます。
御存じのように現在
各国との
通商協定、それは嚴密に申上げますと、或いは
金融協定とか、貿易協定とか、或いは貿易
計画とかというふうに分れるのであります。まあ一ロに
通商協定が全部で二十五ほどあるわけなんでありますが、これも勘定の仕方によつて数も若干増減をいたしますが、大体二十五
地域とそういう貿易協定を結んでおるわけでありますが、ところが御存じのように現存の
通商協定が講和條約が発効いたしますと同時に効力を失うことに相成つておるのであります。従いまして通産省といたしましては外務省、或いはその他の
関係官庁と協議をし
司令部の指導を得まして、講和條約発効後ギヤツプのできませんように今日から講和條約発効後の協定を締結をしなければならんということで大分前から凖備をいたしておりました。もうすでに具体的な交渉の段階に入つておるのであります。その
状況を
簡單に申上げたいと思います。すでに現在までそういうふうな講和條約後有効な協定のできておりまするのは、スターリング
地域との間におきまして
金融協定がすでにできまして、それが本年の九月の初から有効に
なつた、協定がすでにできております。それからその次は西ドイツとの間におきまして、これ又すでに協定が誕生いたしております。そのほかフランス及びスペインとの間におきましても、講和條約後新らしい協定を結ぶまで現在の協定を延長するというような話合いの、要するに講和條約が発効いたしましてもギヤツプができませんように、現在の協定がそのまま延長されるような取極がすでにできておるのであります。従いまして四
地域との間におきましてはすでにそういう準備が完了したのでありますが、その他の
地域につきましては、一々
国別に申上げても甚だ大変でありますので、一言で申しますと、
通商使節団を
派遣をいたしまして、その改定の交渉をいたすもの、それから
現地に出ております在外事務所を活用いたしまして、そういう交渉をいたすものと、それから
日本におきまして、東京において
各国のそういう経済
使節団とやるものと三つに分れるのであります。なおもう
一つは
簡單な協定の場合におきましては、電信の連絡によつてやるところもあるわけであります。従いまして
方法といたしましてその四つの
方法で以て現に進めておるという段階でございます。まあこれは御存じのような相手方との話合いの問題でありまするので、こちらが
向うに出かけて話をすると申しましても、
向うからそれと変つた意見がありますとできないわけでありまするが、一応いま事務的に心がまえとして進めておるラインを申上げますと、ブラジルそれから
アルゼンチンとか、セイロン南阿連邦等につきましては、こちらから
使節団が参りまして、改定交渉をいたしたほうがよかろうということで、すでに申出をいたしまして
先方の返事を待つておるというような段階でございます。
次に在外事務所を活用しまして、交渉をいたさんとしております所は大分たくさんあるのでありますが、なお近く在外事務所ができる
予定の所も早急に在外事務所の設置を急ぎまして、在外事務所をして交渉に当らしめようという所も含んで申上げますと、先ずメキシコ、それから
パキスタン、
ビルマ、ウルグアイ、それらの
地域は在外事務所を活用してやる。それからこちらに
先方の有力な
通商使節団の存在している所は大体東京でやる方針でありまして、先ほど申しましたスターリング内以外の
地域は殆んど全部、それからアジア
方面では
タイとか
インドネシア、それから
インド、それからヨーロッパ
方面におきましては、スエーデン、オランダ等につきましては東京で交渉をやる
予定ですでに予備的な話合いが進められておるような次第であります。なお電信連絡をいたす
予定の
地域といたしましては、ペルーとか、チリー、コロンビア、或いはフインランド、ベネズエラ、等については電信連絡の
方法によつてやる
予定に
なつております。今申し上げました
地域以外、例えば琉球、韓国、
台湾、等につきましては、今直ちに交渉に移るということがそれらの
地域の政治的の地位がもう少し……はつきりいたしませんために研究を進めているという段階でありまして、これらの
地域は少し
あと廻しになるではなかろうかというように
考えます。大体現在のところの進捗
状況を申上げますとそういうふうな次第であります。
それからその次に対
中共貿易の
現状についてという
お話でございますが、お
手許に対
中共貿易の
現状という刷物をお配りいたしておりますので、それで御覽を願いたいと思います。先ずこの二の
実績のほうから申上げますと、この表によつて御覽の
通り、本年一月から九月までの
中共向けの
輸出の総
合計が六百二十四万ドルということに
なつております。なおこれは船積統計をとりますと少し遅れますので、便宜
輸出認証統計と申しまして、為替銀行が認証した
合計で申上げておりますので、その点をお含み願いたいのであります。
従つて積出
実績とは若干のズレがあろうかと思いますが、大要はこれによつておわかり願えるかと思います。要するに六百二十四万ドルということでありますが、一番上の欄におきましては、一月から六月までの
合計を示しておりますが、五百七十八万三千七百ドル、それから七月、八月、九月は非常に減少して参つておりまして、七月が三十五万一千五百ドル、八月が六万四千ドル、九月が四万一千ドルというように非常に減少して参つておるような情勢であります。なおこれは御存じのように昨年末以来
輸出許可品目が非常に拡充をせられまして、いわゆる対
中共貿易についてかなり強い
制限が課せられたがためでありまして、次の表によります
輸入と合せて御覽を願えればおわかり願えると思います。ついでに
二枚目の、本年に入りまして以来のパーター取引の
状況をここに現わしておるのでありますが、滑石、それから小豆、塩、強粘結炭、屑ゴム、この
程度の商品と、こちらからはこんぶ、自転車部品、綿布、
綿糸布、それから粉ミルク等のバーターがこの六月以降、特に九月以降主として
綿糸布を
対象に行われておるような
現状でありまして、その
金額は僅か七十一万四、五千ドルにしかならんような
現状に
なつておりまして、
輸出のほうと併せて見まして、対
中共貿易は非常な不振の
状況にあるということはおわかり願えると思うのであります。
あとで御
質問願うことにいたしまして、ずつと申上げて行きます。
次に
輸出の
現状でございますが、時間の
関係上非常に急ぎましたので、十分な
資料ができなかつたことは甚だ残念でありますが、実は追々本
委員会に対しもう少し詳しい
資料を差上げたいと思つております。これは取りあえず一月から九月までの
輸出認証統計を
月別に大きな
商品別のカテゴリーに分けまして作つたものでありまして、これによつて大体の概況を判断をして頂けるのではないかと思うのであります。先ず一月—九月のこの
輸出認証統計におきまする
輸出合計は十億三千五百万ドルということに相成つておりまして、これを一番上の一月から九月までずつと縱に御覽願えばわかりますように、三月を頂点といたしまして、三月が一億七千九百万ドルなんでありますが、それを頂点といたしまして、かなり下降の傾向を示して来ておるわけであります。尤もこの
輸出認証統計と申しますのは、先ほども申しますように、船積統計とかなりズレがありまするので、例えば三月のこの一億七千九百万ドルというのは、仮に三月の船積
実績から申上げますと、一億三千四百七十五万ドル
程度に
なつておるのでありまして、書類の集計上ややずれると、こういうふうに固
まつて非常に大きく出る場合もありますが、長
期間ならして見ますると、そう船積
実績とは大差が出て参らんのでありますが、まあ併しながら一般的傾向といたしましては、その辺を頂点としてかなり下落の傾向にあるわけであります。尤も七月になりまして又一億五千万ドル台に復活をして参つております。従いまして十億ドルを月平均で見ますと、一億一千万ドル
程度になるわけでありまして、今後の三月の間にどういう推移を迫るかということはわかりませんが、まあ本年の
輸出目標が十三億
程度、これも本年の四月から来年三月までの
輸出目標でありまするので、三月ばかりずれるわけでありまするが、一月から十二月までで十三億に行かんにしても、十二億
程度まで行くのではなかろうかというふうに判断をしております。
商品別に見ますと、食糧及び飲料品につきましては、大体八月が一番多い月でありまして、九百万ドル以上出ておるのでありますが、まあこの食糧品についてはかなり月によりましての上下はありますが、大体順調であるということが言えるかと思います。それから纎維製品につきましては、三月の纎維製品だけで以て一億ドル、これを頂点としまして、七月で又八千二百万ドル
程度に上りましたが、下つて参つておるのであります。これは御存じのようないろいろな事情によりまするところの価格の下落に基因しました海外からのいろいろキヤンセルとか等の問題がこの夏頃から集中しましたがために、こういうふうな
状況に
なつておるのでありますが、もうすでにこの九月以降から新らしい
契約統計で見ますと、かなり又上昇の傾向に
なつて来ておりまするので、認証から見ますと、かなり減つてはおりますが、今後はそう悲観したものではなかろうというふうに判断しております。それから木材及び紙につきましても、これも三月を頂点としまして少し減つて参つております。以下の商品も大体三月或いは四月、或いは物によつては七月を頂点としまして少し下落の方向にあるわけでありまして、
金額の順番で申しますれば、纎維製品が何と申しましても大体半分以上を占めておるわけでありまして、五億八百万ドルを占めておるわけであります。それから
鉄鋼製品が一億六千七百万ドル、
機械類が八千六百万ドル
程度、雑貨が五千七百万ドル、食糧品及び飲料品が約四千九百万ドル、その次が非鉄金属或いは木材及び紙製品、それから化学製品、こういうふうな順序に相成つておるのであります。
なおこれらの
輸出を
地域別に申上げますと、その
資料は
ちよつと印刷に間に合わなかつたがためにお配りはいたしておらんのでありますが、十億三千万を
地域別に分けて申しますと、いわゆるドル
地域が二億四千万ドル、精密には二億四千二十二万二千ドルということに相成つておりまして、全体におけるパーセントは二三・二%ということに
なつております。それからボンド
地域が四億一千九百八十万五千ドルというわけで、全体の四〇・五%を占めておるわけであります。それから第三
地域としまして清算勘定
地域いわゆるオープン・アカウントの
地域は三億七千五百四十八万五千ドルということで、パーセントにしまして三六・三%を占めておるのでありますが、これを昨年度二十五年度の
地域別の傾向を比較してみますると、ドル
地域が昨年度は三五・九%でありましたがためにかなりドル
地域のほうが傾向としては減つておるということが言えるわけです。それからスターリング
地域のほうは、昨年度は全体におきまして二九・八%を占めておつたわけでありますので、本年になりまして非常に順調に伸びておるということが言えるわけであります。それから清算勘定のほうはパーセントとしてはそう大した変りはないのでありますが、二十五年度は三四・三%、こういうふうな
状況に相成つております。
それから特に電力不足の影響についてということでありますが、昨日の
委員会におきましてもこの電力事情によりましてかなり生産に相当の影響があるということは御
説明申上げたのでありますが、これが
輸出にどの
程度影響するかという判断につきましては、例えば九月、十月の
状況のみならず十一月、十二月、或いは来年の一月—三月ぐらいまでの電力の事情を推定し、それから起る生産の
状況も推定しましてからでないと、今すぐこの電力の不足の
状況から
輸出に、或いは
輸出計画にどの
程度の影響があるかということを即断することは非常にむずかしいのでありまして、今実は本年下半期の電力事情を想定するということは非常にむずかしいのでありますが、まあ三割とか四割ぐらいの
制限が仮に続くとした場合に生産がどの
程度減り、それが
輸出の上にどの
程度響くかということを作業いたしておるような次第でありまして、ところが生産が減ればそれに応じて
輸出が減るかどうかという見通しになりますと、結局しわがどちらに、内需のほうに多く寄るか、
輸出のほうに多く寄るかという問題になりまして、物によつてははつきりした推定が出るわけでありますが、国際価格の如何によりまして、生産が減りましても同じような比率において
輸出が減ると即断できんような物もありますので、非常に作業がむずかしいのでありますが、一応そういういろいろの電力事情、生産
状況を来年三月ぐらいまでの推定を立てて
輸出のほうの影響を実は作業中でありまして、ここで電力不足の影響を明確に
お答えできないのは甚だ申訳ないのでありますが、いずれできた上で御
説明を申上げるということで御了承を願いたいと思うのであります、まあ最近一二言われておりまする問題について一言申上げますと、先ず綿糸或いは人絹糸とか琺瑯鉄器等では節電のために
輸出契約の施行期日に間に合わん、いわゆるデリヴアリーが遅れるということのために若干のトラブルも起つておるのでありますが、この点につきましては、まあ或る
程度不可抗力的なことでありまするので、できるだけ海外に事情を
説明し、国際的信義に反することのないように、できるだけ海外の
バイヤーに納得をさせるような努力をしてもらいたいということを貿易業者のほうに申出でておるのでありますが、最近そういう傾向が若干見えて参つております。
それから第二点としましては、やはり操業中にときどき電力が切れるので、
輸出品の品質が低下しているという憂えを受ける場合も起つておりますが、特に金属メツキのもの等についてはこの現象が起つておるように先般聞いたのであります。これにつきましては、そういうものが果して検査で以てうまく出るか出ないかというふうな問題も起るわけでありますが、まあ納期遅延その他につきましては、できるだけ
向うの了解を得るよりほかなかろうとこういうふうに思つております。なおこの減産がどの
程度影響を及ぼすかというこの問題は、先ほど申しますように、作業をいたしておりますので、はつきりここで申上げられんのでありますが、かなり肥料或いはアルミ等につきましては現段階においても
輸出計画なり
輸出見通しを改訂する必要が起るのではなかろうかというふうに
考えております。
それから次には
輸入の
現状でありますが、お
手許に、これ又甚だ
簡單な
資料で恐縮でありますが、相当数のストツク、それから年間消費量、
輸入必要量、或いは
輸入の進行
状況、それらのことを一欄表に現わそうといたしましたがために、非常に無理な表の作り方に
なつて却つておわかりにくかろうと思うのでありますが、大豆、加里以下塩までの商品につきまして、国内消費量、それから国内の生産量それを差引きました
輸入の必要量、それから八月末の在庫量、それからその次にはいわゆる七—九の外貨予算を組んで、要するにその以前において
輸入の
契約をし、それが大体十一月末くらいまでに入着の確実なものを掲げ、そうしまして、十一月末の在庫がどの
程度になるかという推定を載せました。現在十—十二月の外貨予算でどの
程度の
買付をいたそうかとしておるのをこの
最後の欄に掲かげているのであります。一番初めの大豆がミステークがございますので、四百と書いてありますが、これは四十の間違いでございます。四万トンであります。一言で申しますと、いろいろ
金融の問題等はありますが、
輸入のほうは
数字的に見れば非常に順調に進んでおると申上げて差支えなかろうかと思います。本年の一月から八月までの
輸入の
実績を申上げますと、全部で十四億三千六百万ドルに
なつておるのであります。昨年度の年間
輸入が確か九億六七千万ドル
程度でなかつたかと思いますが、もうすでに八月末におきまして十四億三千六百万ドルに
なつております。そのうちアメリカ及びその属領からは四億六千六百万ドルの
輸入があり、スターリング
地域からは三億六千百万ドル、それからオープン・アカウント
地域から二億四千二百万ドル、それからその他の
地域、いわゆるこれはドル
地域に入るわけでありますが、三億六千六百万ドル入つておりまして、
合計十四億三千六百万ドルに
なつております。それから現在のこの重要
商品別のいわゆる既
契約で、これから入着するものもかなりの量に相成つておりまするので、大体
輸入のほうは、理想を言えばきりはないわけでございますけれども、大体順調ではなかろうかと思います。この
商品別にどの
程度今日まで入り、在庫があり、それから年間の
輸入計画と比べての率ということを一々申上げておりますと、時間もたちまするので、これは省略さして頂きます。
一応大体以上で
説明を終り、
あとは御
質問で……。