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1951-11-21 第12回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十一日(水曜 日)    午前十一時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            中田 吉雄君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君            岡本 愛祐君           小笠原二三男君            相馬 助治君            石川 清一君   政府委員    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方自治庁政務    次官      小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政の改革に関する調査の件  (警察運営並びに人権尊重に関し  て、要望を申入れに関する件)  (地方自治庁及び地方財政委員会の  定員に関する件) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方財政平衡交付金の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今より委員会を開会いたします。  最初に今朝の理事会の御報告をいたします。昨日委員会にお諮りいたしました例の警察に対する申入書案文を訂正いたしましたから、新しい案文をここで朗読いたします。    〔専門員朗読〕     申入書(案)   最近我が国警察運営について世上の問題となり種々論議をかもした事例が少くない。これらの事例を通じてややもすれば、警察側において基本的人権を尊重することが十分でなく独善的、威圧的態度が窺われ、或いは国家地方自治体警察間の連携緊密ならず、ために警察に対する国民の信頼と期待の念を損い、ひいては発足後日なお浅い新警察制度の前途に一抹の不安を感ぜしめるに至つたやに見られることは遺憾であり、我が国民主化の推進と国内治安確保の上において憂慮に堪えない。我々はこの際国家地方警察と言わず自治体警察と言わずひとしく自粛自戒以警察運営の万全を期し、今後全警察一丸となつて民主警察の健全なる発展のためにますます努力されることを期待する。  地方行政委員会全員一致意見として以上の点につき警察の善処を要望する。
  3. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今朗読いたしました通りでありまするが、この程度でよくはないかと思いますが御意見を伺います。
  4. 相馬助治

    相馬助治君 この申入書処理方法をお聞きしないとわからないのですが、この申入書は単独で、これだけでこの各宛名のところに出す予定なのですか。
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) お答えいたします。その点につきましては、この案文を御決定相成つた上におきまして、委員長において先般来お話通りここに書いてございます大橋国務大臣を初め、辻、小畑両公安委員長並びに齋藤、田中両国家地方並びに自治体警察の人に来てもらいまして、案文を示し口頭を以て要望したいと思います。
  6. 相馬助治

    相馬助治君 恐らくここに書いてある五人の人たちは、この委員長申入れを受けて、これを何らかの形で下部に指示するだろうと思うのですが、その場合突如としてこういう申入書を見て、参議院地方行政委員会が何の必要があつて、こういうことはもう十分考えていることとしても、私は、何の必要があつて、又緊急にどうしてこういうものが出たのであろうかということを、案外新聞等を見ているようでも見ていない向も多いので、下部では奇異の感に打たれるのではないかと思うのですが、具体的に申せば最初の案ですね、この八幡浜事件を我々は取扱つてみて、結論するところこういうふうに考えたという、この八幡浜事件取扱つたということを何らかの形で表現する予定ですか、それには全然触れずに一般原則論としての申入書にとどめるおつもりですか。
  7. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) お答えいたします。先般の八幡浜事件に関しましては、ここに明記してある人々に出席を求めて意見等も徴してございますし、改めてこの申入れをする際には口頭においてはこういうふうな具体的な問題、八幡浜の具体的な問題も話しますが、昨日の小笠原委員の御発言もございましたので、こういうふうな申入れの結果、具体的に或いは事件関係者の退陣をしなければならんというふうなことがあつてはならん。そういうふうなことでございますから、申入書の文面には具体的な事件の名前は書かないで、口頭の場合にはそういう点の委員会としての気持をよく話しておきたいと思います。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 それで了解いたしました。ちよつと速記をとめて下さい。
  9. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  10. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を始めて下さい。では只今相馬君からの御意見がありましたが、以上の通り取計うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では御異議ないものと認めます。今皆さんがたにお諮りいたしました通りこの申入書に基きまして関係官を呼びまして、十分にその意向を伝えたいと思います。   —————————————
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に昨日地方税法並びに地方財政平衡交付金法の両一部改正法案について政府提案理由説明を聞いたわけでありますが、本日はその具体的な問題について更に質疑を続行いたしますか、如何いたしますか、その点をお諮りいたします。
  13. 相馬助治

    相馬助治君 その質疑を続行することに賛成ですが、その前にですね、私は緊急質問がございますので、取上げて頂きたいと思います。
  14. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 相馬君。
  15. 相馬助治

    相馬助治君 この際地方自治庁にお伺いしておきたいのですが、伝えられるところによると、行政簡素化本部において天引定員減という案を作り、それが閣議決定の線で了承されたやに聞いておるのでございますが、御案内のようにこの地方財政が非常に逼迫して、平衡交付金等をめぐつて政府部内においても或いは国会においても議論がいろいろ錯綜しております。その際我々が感じますことは、大蔵省に比較いたしまして地方自治庁或いは地方財政委員会というものが職員構成の脆弱と申しますか、人員の不足と申しますか、ために資料その他において十分大蔵省と太刀打ちして、地方財政を守る力に欠けているのではないかということを我々は常日頃憂えております。それを反映して、地方財政委員会は本年度においても中途において定員の増をやつているというような次第であつて、この際地方自治庁並びに地財委関係についてどういう定員減が行われんとしているのであるか、それらについて現在明らかなる点について我々に一つお示しを願いたいと存じます。
  16. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からお答えをいたしたいと思います。只今相馬さんから地方財政運営に当りまして、今日の段階において地方自治庁及び地方財政委員会に関しまして御配慮を頂いております点につきましては誠に有難く思うわけでございます。政府におきましては御承知のように行政簡素化方針をきめまして、目下これに基いて定員法の一部改正法律案を提案して国会におつて御審議を願つているわけでございます。地方自治庁といたしましては、政府機関といたしまして政府方針則つてその具体的な実施に当らなければならないわけでございますが、定員法改正法律案国会に提案され審議されておりまする今日におきましては、最後的には国会の御決定に待たなければならないと、かように思つている次第でございます。なお只今質問内容につきましては、現状等について鈴木次長から説明をいたしますのでお聞き取りを願いたいと思います。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 関連しているんですが、鈴木さんの御答弁の前に併せてお聞きしたいのですが、自治庁の機構と人員等についても一つ併せてお願いしたいと思います。
  18. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方自治庁関係の組織並びに定員配置状况を申上げます。  地方自治庁は長官、政務次官、次長の下に四課ございまして、連絡課行政課財政課公務員課、こういう恰好になつております。連絡課仕事は、政府地方団体との間の一般的な連絡ということでありますが、そのほかに地方の例えば褒奨條例によりまするいろんな褒奨でございまするとか、或いは緊急の敍位敍勲といつたような地方各種褒奨敍位敍勲等に関する関係事務整理いたしまして、これを内閣のほうに伝達するという関係仕事をいたしております。それから又地方団体に勤務いたしました国家公務員等で恩給の裁定をいたします者等につきましても、これも又地方自治庁におきましてそういう者を連絡課におきましてその処理をいたしております。その他要するに従来の内務省におきまして人事会計文書等処理をいたしておりました仕事で、それぞれの独立機関、例えば国家地方警察本部でございますとか建設省でありまするとか、それぞれ独立いたしました役所が持つて行きました仕事の残りの残務に当るものをこの連絡課においては引受けておりまして、なかなか目に見えないいろいろの細かい仕事が多いのでございます。それから行政課でありますが、行政課地方自治法なりの運用を中心にいたしまして各種地方制度実施の責任に当つておりますと共に又それの調査研究をいたしておるわけであります。それから財政課のほうは地方財政制度全般について調査研究立案、こういうことをいたしておるわけでありまするが、その基本資料地方財政委員会から頂戴してやる、又人員地方財政委員会と表裏一体の関係でありまして、財政課長地方財政委員会財務課長を兼ねるという形になつておりますし、事務官はすべて財政委員会事務官が兼務しておる、こういう恰好であります。それから公務員法その他地方公務員制度の企画、立案等に当るわけであります。  大体そういうようなことでありまして、全体の定員といたしましては五十七人ございまして、欠員が二名ございますので、現在五十五名であります。今回整理になります予定職員は五名であります。事務の分量と職員配置ということに関しましては、政府としては行政管理庁におきまして一応の調整をとり、それに基いて全体のバランスをとりました上で定員五十七人の約一割減、こういうことで閣議方針をきめましたわけでありまして、事務当局といたしましてはその方針従つて事務処理方法その他をできるだけ工夫をいたしまして処置をいたして行くように努力しておる次第であります。
  19. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 地方財政委員会は昨年の六月出発いたしましたが、その当時は定員百一名でありました。ところが本年の一月一日から固定資産税関係によつてどうしても人員を増加する必要がありまして十名増加いたしました。更に七月一日から平衡交付金関係或いは監査関係等につきまして三十人の増加をいたしました。今日においては百四十一名の定員と相成つておるのであります。その百四十一名の定員中、これを官房財務部税務部に分けまして、官房のほうには総務課二十三名、この二十三名の中には文書会計人事庶務等を取扱う事務的の仕事をなす者或いは自動車の運転、給仕、小使のような仕事をする者等がおるのであります。そうして調査課に二十五名おりますが、うち欠員二人おりますから、現在においては二十三名であります。この調査課というのは、地方実情をよく調査いたしまして、そうしていいことはいい、悪いことは悪いといつて助言もし又指導もする、その材料を収集することに当つておるのであります。そうして財務部には財務課監理課との二つの課がありまして、財務課には二十九名、うち一名欠員でありまして、実員は二十八名であります。この財務課においては交付金配分或いは地方財政計画樹立等事務に鞅掌いたしておるのであります。監理課は十五名でありまして、地方債配分、競馬、競輪、宝くじ等の許否に関するいろいろの事項を取扱つておるのであります。税務部府県税課市町村税課二つがありまして、府県税課は二十名、市町村税課は二十九名でありまして、これは名の示す通り府県税課においては府県税に関すること、市町村税課においては市町村税に関することを扱つておるのでありまして、府県税課には欠員一名ありますから実員は十九名であります。合計百四十一名でありまして、欠員四名あるのであります。  これに対して今度の人員整理によつて一割の減小、つまり十四名減らすということに相成つておることを聞いておるのでありますが、財政委員会事務は非常に多端でありまして、各部課とも真に昼夜兼行仕事に忙殺いたしております。これがためにどの部課かには必らず病人が数名あるような状態でありまして、事務の運行の上に多大なる障害を来たしておることを私ども遺憾に思いますと同時に、この事務に当つておる職員に対してお気の毒に感じておるような次第であります。申し忘れましたが、このほかに財政委員会委員として五名の委員がおるのであります。今申したのはこの財政委員会事務局内容説明でありましたことを御了承願いたいと思います。なお詳細のことは総務課長が参つておりますから、総務課長から御説明申上げたいと思います。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 地方行政委員会としては地方自治庁、それから地方財政委員会が如何に今の少い人員で厖大な而も重要なお仕事をやつておるかということを各委員とも了解しております。御案内のように参議院でこの定員法について、今度のこの行政整理の各試案というものを各党も作つておるというのが今の段階です。従つてたちとしては、でき得べくんばこの行政委員会の最終的な結論をまとめて然るべく措置したい、仮にそれができないまでにも、各党として試案を作成する場合に、与党の自由党は別といたしましても、その他は十分皆様がたの御意見を参考にしてこれを織込みたい、こういう念願を持つて私個人として聞いておるのではなくて、各委員を代表してお尋ねしておるわけです。そこで只今お話をなお念のためにお聞きしておきたいことは、鈴木次長にお聞きしておきたい点は、閣議決定で五名の減員ということに相成りますれば、止むを得ないからその範囲内で何とかやるように考慮して行きたいという御意見でございまするが、次長立場からいたしますれば、一割の天引減員というものは国家財政その他を見合つて止むを得ないという立場をとられるのか、是認されるのか、この点だけを伺つておきたいと思うのです。なお地方財政委員長結論は、今頭から十四人引かれて極めて迷惑する、こういうふうな御意見と了承しておりますので、その私の了承が誤りでなかつたら別段なおこの答弁はもう頂かなくても結構です。鈴木次長に一つお尋ねいたします。
  21. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方自治庁といたしましては、職員は、現在の定員が定まります際におきましては、現在の事務量見合つて五十七名という定員が定められておるわけであります。自治庁におきましても病気のために長期欠勤をいたしておりまする者が三名おりますし、そういうようなことが更に加つて来ておりますので、結局におきましては現員が非常に過重な負担をいたしておるわけでございまするが、併し国全体の方針といたしまして、一定の基準によりまして全政府機関亘つて行政整理を行う。それは行政能率化事務処理合理化というようなことを前提といたしておるということでございますので、私どもといたしましては、できるだけその趣旨に副いまして更に行政能率化事務処理合理化を図りまして、若しも定員が五十二名というふうに五名減というふうにきまりましたならば、それでやつて行くように努力して行きたい、かとうに考えております。
  22. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  23. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を開始して……。  それでは次の議題に入りたいと思います。昨日地方税法一部改正法案並びに平衡交付金法の一部改正法案提案理由説明を聞いておりますが、本日はそれに関連して総括的な質問をお願いいたします……。それでは委員長よりお尋ねいたしますが、附加価値税事務的な点についての内容が入つておりますが、附加価値税そのものをどういうふうに取扱う、最終的な政府基本的な考えを伺つておきたい。
  24. 小野哲

    政府委員小野哲君) 今回の地方税法の一部改正法律案におきましては、昨日ちよつと御説明いたしましたように手続きの点につきまして所要の改正をいたしたい、かように考えております。附加価値税そのものをどうするかという御質問でございますが、御承知のごとく地方税法改正いたしました際に、国会におきましても附加価値税に対しては相当御論議があつたわけでありますし、又関係業界方面におきましてもいろいろと意見があつたことは御承知通りであります。なお又我が国経済事情等考えまして、その後の情勢の推移にも応じて附加価値税の問題は考えて行かなければならないのではないか、附加価値税そのものがまだ各国におきましても十分に実施をされておるというふうな実情にもなつておらない新しい税でありますのと、附加価値額そのものを把握して行くということにつきましての手続上の問題等もございますし、又附加価値税そのものに対しまして賛否両論が戦わされておるというような実情に鑑みまして、政府はこの問題につきましては慎重に取扱つて参りたい。さような考えでこの附加価値税をどうするかということの最後的の決定はなお暫く時日を頂きまして、十分に検討の上で態度をきめたい、かような考えを持つておりますがために今回の改正法律案におきましてはその間の混乱をできるだけ防止する、こういう見地から青色申告期限を延期するとか或いは又仮算法で申請する場合の期限を延期するとかというふうな方法によつて、成るべく混乱を生じないようにいたしまして、その間の時間を十分に活用して、政府としては最後的な意見をきめて参りたい、かような心組を持つておるような次第であります。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 昨日の岡野国務大臣説明によりますと、二回に亘るシヤウプ勧告に基いて大改革をやつたが、最近における経済事情変化伴つて相当大幅の修正を要する、こういうふうに申されているわけでありますが、我々から見ると経済情勢は昨年改革したときと大して変りはない。むしろシヤウプ勧告が日本の実態について十分な認識を持たないものが消化されずに、杓子定規に適用したところに大きな誤りがあるので、すでにあのような地方税改正をやつたならば、一年を出ずして大改正をやらねば時代に即応できないということは予見されていたのであつて、むしろ我々としては経済情勢社会経済状態変化というよりか、シヤウプ勧告が杓子定規に適用されたところに一年を出ずして……、シヤウプ勧告ではできるだけ税制改正しないように、一度改正したら長期亘つて住民が親しめるようにという趣旨改正するのだというようなことを謳われているが、むしろ逆であつて社会経済情勢変化よりかも実態に即しない大きな大改正を強制的にやらされたというところにあると思うのですが、岡野大臣説明には社会経済事情変化伴つてというふうにあるのですが、昨年と今頃とどういう点で変つているように御認識でありますか。私はむしろ杓子定規に、うまく消化されずに適用されたところに原因があるので、経済情勢は昨年とさして変りはないというふうに見るのですが、この点について御所見を承わりたい。
  26. 小野哲

    政府委員小野哲君) 中田さんが御指摘になりましたように地方税法全面的改正シヤウプ税制報告書に基いた勧告によつて行われたということは私も別に否定はいたさないのであります。なお又シヤウプ税制報告書内容が極めて理論的であり又合理的であるということも、私は決して否定はいたさないのであります。要は税制が合理的に且つ理論的にこれを打建て実施いたしました場合において、その実績がどういうふうに現れて来るかということは、これは又実際問題として私ども日常十分に関心を持ち、その検討をいたして行かなければならない問題だろうと思います。従つて一概に杓子定規であるからということで以て割切つてしまうということは、私どもといたしましては必ずしも御同感の意を表するわけには参らないと思うのであります。同時に昨日岡野大臣から経済事情変化ということを説明書内容として申上げておりますが、当時の実情と今日の実情、なお又将来どういうふうに我が国経済が推移して参るかということは、今のところ確言いたすということは困難であろうと存じますし、少くとも今回提案いたしております地方税法の一部改正法律案内容と照し合せて考えて見ますというと、例えば法人企業について申しましても相当経済的にも変つて来ておる。言い換えれば金融事情変化ということは、これは否めない事実であろうと思うのであります。従いまして納税者立場における法人企業者のあり方というものを考えますと、法人税並びに地方税等におきましては、法人事業税及び法人税割等の徴収につきましては成るべくその間に調整を図つて行くということが法人企業者、即ち納税者たる立場を十分に配慮して行くということが必要となつておるのでありまして、この点につきましては今回の地方税法の一部改正法律案が具体的な経済、特に金融事情に照しましてこの間の調整を図つて行きたいという意図が現われておるものと私は思うのであります。なお平和條約発効後における我が国経済事情の将来につきましては、相当いろいろと今後において変化が起つて来るだろうということは推測にかたくないのでありまして、従つてシヤウプ税制報告書によりまして地方税法全面的改正をいたしました当時となお将来を考えて見ました場合において、これに対してどういうふうに対処して行くか、言い換えれば地方税制を如何なる程度において改正すべきであるかということは、なお十分に研究いたさなければならないと思いますが、必ずしも杓千定規の法律改正つたとは私は考えておりませんと同時に、経済事情の点を考えながら税制につきましても逐次改正を行なつて行くということが常識的に考えましても妥当ではないか、かような考えを持つております。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 金融情勢のことを申されましたが、インフレーシヨンが進むから最近金融引締めをやつて法人が相当弱り切つておるということはわかるのですが、その程度のことはもうドツジ政策がとられても、ともすればその間におきながらインフレーシヨンが昂進しそうだということは、ここに謳われたような税制改正する、社会経済事情変化とは私は言われないと思います。その点は見解の相異ですから打切りまして、これによりますると、差当つて最小限度改正を行うというふうに謳われていまして、次期国会には相当大きな改正がなされるのではないかというような片鱗が窺われ、又政府筋からも地方税の大規模改正が伝えられているのですが、シヤウプ勧告に基く大きな改正は、この附加税制度をなくいたしまして、それぞれの財源を都道府県と市町村に与えたというところにあると思うのですが、ああいう体系を変えるような大規模改正考えられているわけですか。先ず最初にお尋ねしたいことは、来国会地方税の大改正をやられるかどうかという問題と、更に改正されるといたしますれば、ああいう附加税制度を廃止いたしまして、すつき割り切つた体系を整えたわけでありますが、ああいう問題にもメスを触れられる用意があるのですか。その辺お伺いしたいと思います。
  28. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答えをいたします。地方税制改正につきましては、現行地方税法が施行された以後における実績等に鑑みて是正すべき点は是正して参りたい。かような考えを常日頃持つておるわけであります。ただ問題はシヤウプ税制報告書勧告されました税体系を根本的にこれを変改して改正を行うべきであるかどうかということにつきましては、なお相当研究をしなければならない問題が私はあると思います。同時に単に現行地方税法改正するにとどめてよいかどうか、むしろ地方財政全般等から考えまして、地方税法のあり方というものについての検討を加えて来ることも私は重要な問題であろうと、かように考えるわけであります。従つて政府は未だ確定的な成案を得ておりません。如何なる程度地方税法改正することが妥当であるかということは、なお結論を得ますには時日を要するものと考えております。従つて地方財政全般の立場から現行地方税法を見ると同時に、国税と地方税との関係において調整すべき点があるか否かも検討しなければなりませんし、地方税そのものがだんだんとその税種から考えまして、弾力性が乏しくなつておる現況、言い換えれば地方公共団体の一般財源が固定しつつある。更にもう少し端的に申しますると、枯渇しつつある現状を考えますというと、何らか伸張性のある、且つ又弾力性のある財源を地方公共団体に与えるということを十分に念頭に置かなければならない。かような考え方も持つておりますので、種々なる個点及び各方面から出ておりまする意見等を斟酌しまして、政府としてはできるだけ結論を得まして、若し可能ならば次の通常国会に何らか改正法律案を提案いたしたい。かような心組を持つておる次第であります。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 今朝ですか、昨日ですかの毎日か読売だつたと思うのですが、地方税改正試案が出て、これが通常国会に諮られるであろうというようなことが出ておつたのですが、あれはどうなんですか。
  30. 小野哲

    政府委員小野哲君) 新聞の報道でございますので、私も責任があるお答えをいたしかねるのでありますが、何らか推測いたし、又情報を集めまして新聞社としては記事といたしたものであろうと考えております。併しながら政府としてはまだ如何なる内容改正を行うかということについては決定はいたしておりません。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういう工合でしたらよく御趣旨はわかるのですが、この補正予算でもはつきりいたしておるように恐らく二十七年度予算におきましては講和に伴なつての経費が二千億から二千数百億要ると思うわけであります。その際に我々は、最も弱い一環である地方財政のほうへ皺寄せされてしまうということは明らかであります。そうして私は今朝出されておるような改正試案におきましては、財政、特に府県財政のこの弾力性のないものを十分補強いたしまして、自治体としての地方財政を防衞するということは殆んど不可能であるというふうに考えるわけでありますが、政府とされましてすでにドツジ氏と平衡交付金なんかの折衝がなされておるように承わつておるのですが、当局で要求されておる平衡交付金の来年度の額は大体どれくらいなんですか。
  32. 小野哲

    政府委員小野哲君) 二十七年度における地方財政につきましては只今検討を加えておりますが、大体事務当局においてこの程度は必要ではないかと思つております数字は一応千三百億程度考えております。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは具体的な問題に入りまして、今回改正法案の第一点であります市町村民税の法人割及び法人の事業割の支払猶予限度を二カ月を三カ月に延ばされた点でありますが、今回の補正予算におきましては政府は国税におきまして千五百六十八億ですか、自然増収を認めまして、相当特需景気に潤つてつたような形で補正予算の財源措置がなされておるのですが、そういうふうな状態であるにもかかわらず、なおなぜ法人だけにそういう特権的な立場をお与えになるか、市町村税におきまして法人の負担が軽いということはすでに明らかでございまするが、それにもかかわらずなお法人に対してこういう優遇措置を講ぜられる御趣旨をもう少し詳しく承わりたいと思います。
  34. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今回新らしく制定をして頂きたいと思います徴収猶余の制度は、昨日も申上げましたように徴収猶余の期間は現行法でありますと一年ということになつておるわけであります。税額の全部又一部についてこれを行う、併しその條件は非常に限定されておるわけでありまして、列挙されたこの事由に該当しない限りはやれないわけであります。今回の期間は三カ月ということでありまして、適用されておるものは法人の事業税と法人税割、この二つだけであります。そういう点で違つておるのでありますが、これは実質的に申しますと、結局納期を四回にするということであります。法人につきましては国税の法人税と事業税を市町村民税の中の法人税割、この三つがいずれも事業年度終了後二カ月以内に申告をしなければならんこういうことになつておりますので、法人に対しましてはこの三税が一時に年二回に分けてかかつて来る。一方先ほど来いろいろ御審議のありましたように金融の状態が非常に窮屈になつて来ておりまして、法人税割というようなものが一五%もかかつて来るというようなことで、なかなか法人企業といたしまして資金のやり繰りに困つておるわけでございまして、このことは却つて徴収のほうが不円滑になりますわけでありまして、むしろ半額だけは納期を延ばすような形にいたしまして徴収猶予の制度をとる、併しながら延滯金は取るということでありますから、地方団体といたしましては実質的には何ら支障がない、而も円滑に法人からは税金が収まる、こういうところを狙つておるわけであります。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 納期を回数を多くして地方財政にはむしろ影響ないではないかと言われているのですが、昨年度の昭和二十五年度の税の徴収状態を見ましても相当二割五分から三割ぐらいは繰越しているのですが、そういうふうに猶予することによつて滯納の繰越ができて地方財政に支障を来たすというようなことにはならないのですか。
  36. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 個人の関係におきましては所得税も相当軽減をされて参りました。然るに法人税は御承知のごとく増収されることになつておりますし、又事業税等は個人は納期が実際四回に分れておりまするから、そういうようなものと調子を合わせるというようなむしろ恰好になつておりまするし、又実情から申しましても法人の納める法人事業税或いは法人税割は納期の延長というような措置によりまして相当程度企業のほうとの話合いと申しますか、そういうような各地方団体の徴税当局の税法の運用によりまして、すでにこれと同じような状態が相当起つておるのでありまして、それをむしろ今回ははつきりと法制化いたしまして、現在の金融事情等との調整も図り、又地方団体としても的確に徴税を円滑に行いたいというのが狙いでございまして、従つてこういう制度をとりましたために特に滯納を生ずる或いは税収不足を来たすというようなことはないのではないかと思われます。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 改正の第二点である附加価値税ですが、シヤウプ勧告に基きます地方税法改正は全体として仕組まれていまして、一貫して一つの体系を持つたものである。附加価値税が課せられたのは課税客体をはつきりいたしまして、できるだけまあ負担の公平を期するというのも一つの大きな狙いだと思うのですが、特に法人なんかに対しましてこの事業税ですが、往民税におきまして法人を非常に優待することによつて、この住民税で法人を優待し、その代りに地方税の中で府県税では附加価値税を課してそれとの均衡を取るというのが大きな狙いなんですが、附加価値税がこういうふうに無期限に延期されてなくなるといたしますれば、シヤウプ体系が乱されて、負担の均衡ということに明らかに不平等が起ると思うのですが、そのことについて、全体の体系が乱されるわけですが、どういうふうにお考えになりますか、負担の均衡という点……。
  38. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 附加価値税実施につきまして政府としてはこれを無期限に延長するという方針をすでに決定いたしたというのではないのでございまして、先ほど政務次官から御説明申上げましたように附加価値税実施が果して現行の規定通り来年度からやつて行けるかどうか、この点についてまだ最後的な結論に到達いたしませんので、一応とにかく仮算法の採用でありまするとか青色申告についての承認というものの期限だけを三月ぐらいまで延ばして置きまして、その間に検討いたし、次の通常国会におきましてはこれにつきましての何らかの決定案を得まして提案いたし御審議を願いたい、こういう考え方であります。  今の均衡の問題でございまするが、勿論先ほどいろいろ論議のございましたように、シヤウプ税体系全体といたしましては、附加価値税をとるということが一つの建前になつているわけでございまして、そういう意味においての均衡が一応図られた勧告になつておる、それを採用いたしたわけでありまするが、将来若しも事業税をこのまま継続いたして行くというようなことになりまするならば、やはり全体としての税体系上の均衡につきましては十分考慮いたして参りたいと思うのであります。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 今度の政府改正案はつきり見ていないのですが、附加価値税はなくなるように思つたのですが、その点はどうなんですか。
  40. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは只今申しましたように政府といたしましてはまだ最終の態度決定いたしていない次第であります。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 今日ですか昨日ですか、これも自由党の二十七年度予算の編成方針では、附加価値税がなくなるようなドツヂ氏に対する折衝があつたと思うわけであります。或いは附加価値税はなくなるではないかと思うわけであります。そういたしますと法人は住民税におきまして非常に優待されております。そこで新たに固定資産税が加わるといたしましても、なお非常に我々としては有利なように思うわけでありまして、今後来国会でも地方税改正をなさるといたしまするなら、その均衝という点で全体のシヤウプ体系が活かされるのでありましたら、一つ附加価値税が事業税に代つて起ることによつて法人が非常に負担上有利な立場に立つという点を是正する考慮を一つお願いしておきたいと思います。これは希望であります。  改正の第三点の固定資産税ですが、最近固定資産の評価をやりまして、あちこちで相当土地については東京なんかを見ますると、土地については低くなるが、建物なんかについては非常に増収になるようになつているのですが、土地建物等につきまして全国の大体の予想はどうなつておりますか、そういうことについておわかりでしたら一つ承わりたいと思います。  それからもう一つ、あの再評価をやつているのは、だんだん平衡交付金が少くて、財政は多くなるし、そこでその調整をやるために固定資産税をたくさん取上げるための再評価をやつておるのですか、その辺はどうなんです。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産税の土地家屋の評価がどの程度殖えておるかということにつきましては、あとから財政課長から御説明申上げます。再評価をして殖やしているのは増徴をするためかというお話でありますが、そういう趣旨ではないわけでありまして、現在の地方税法に定めておりまする価格というものを評価せよということになつておるわけであります。その価格のありのままの姿をできるだけ正確に把握しようという努力の結果、昨年はただ機械的に賃貸価格の九百倍という一律方式をとりましたのに比較いたしまして、それぞれ実際の価格が上廻つて来ておるわけであります。その結果として固定資産税の増徴ということが税率を変更せざる限り起るわけであります。そこでこの点は地方財政委員会のほうで現に運用いたしておるわけでございまするが、増徴が余りにも甚だしいような結果になりませんように、この点につきましては若干の運用上の調整をいたしておるわけであります。この点につきましては財政課長から……。
  43. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように宅地に対しましては賃貸価格の九百倍、昨年の評価基準と大同小異なんでありますけれども、家屋につきましては相当これを上廻つた状態になつておるわけであります。従来賃貸価格という一種の収益を基凖にして定めておりました関係上、都市の家屋でありますとか或いは宅地というものは割合に割高に定められておつたようであります。固定資産税におきましては時価を課税標準に採用いたして参りまする関係上、家屋等におきましてはどうしても再取得価格というものが基本になりまして時価が算定されて参りまするので、自然賃貸価格に対する倍数だけから考えて参りますと、都市よりも地方のほうがこの倍率が高くなつて参るというふうな傾向を示しておるようであります。併しながら現実坪当りの価格というふうなことから考えて参りますと、もとより町村の価格よりも都市の価格のほうが内容がよいだけに高く評価されておるわけであります。ただ賃貸価格を基礎にしてその倍数だけから取つて参りますと、田舎に行きますと価格が賃貸価格の二千倍、三千倍というふうな倍率になつておる所がざらにあるようであります。従いまして本年度におきましては便宜税額につきまして軽減の措置を講ずるというふうなことにいたしておりますし、来年度におきましてはむしろ固定資産税の税率を或る程度引下げたほうがよいのではなかろうかというようなことで、現在時価がどういうふうに決定されるかということと睨み合せながら軽減税率をどのようなところに持つて行くかということを事務当局において検討しておる最中であります。
  44. 安井謙

    ○安井謙君 只今の評価ですが、実際田舎に行きますと二千倍、三千倍というものが相当あるのですが、一つは家屋不足を補うために止むを得ず意識的に上げなければならんというようなやり方をやつておる場所が視察して見てあつたのでありますが、あの指令はどういうような指令を出されましたか、それについては……。
  45. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 家屋につきましてはやはり再建価格を基礎にいたしまして、そこに年数を経過しておりますとか、或いは住宅にむしろ不適当に大きな家屋を擁しておりますようなものにつきましては一種の陳腐化といいますか、そういうようなところから勘案いたしまして、その額を引上げて行くというような方針をとつてつて来ておるわけであります。ただ二千倍、三千倍になりました場合は、坪当り何円の評価をしておるかということを合せて御検討されました場合には、必ずしもそれが不当な評価になつていないところが多いのではなかろうかと私たちはそう見ておるのであります。
  46. 安井謙

    ○安井謙君 今の評価を適正にさせるような措置を指示されておるということと、又評価した結果が二倍とか三倍或いはひどいのは四倍というのが出た場合には、二倍の限度で貸せというような具体的な指示をされておつたように伺つたのですが、その点はどうですか。
  47. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように二倍を超えるところのないようには指示をいたして参つて来ております。
  48. 安井謙

    ○安井謙君 二倍を超える場合は二倍を限度にしろという趣旨ですね。
  49. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように二倍を超えるような額になりました場合には、全体的にそれを限度にして引下げて参るように指示をいたしております。
  50. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) お諮りいたしますが、本日はこの程度にいたしまして、質疑の続行は明日の午前十時よりいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) さよう取計います。 本日は……。
  52. 中田吉雄

    中田吉雄君 明日は平衡交付金法の一部改正も議題にされますか、お伺いいたします。
  53. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) まあ内容が割合簡単であろうと思いますから、両方議題にしてもいいのではないかと思います。
  54. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますとお願いするのですが、平衡交付金の計算についていろいろお尋ねして見たいと思いますので、一つ計数を持つて出て、一つ問題になりそうな点を奧野さんよろしくお願いいたします。
  55. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会