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1951-11-20 第12回国会 参議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            山本 米治君            小林 政夫君            田村 文吉君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            松永 義雄君            櫻内 辰郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局給    與課長     岸本  晋君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    文部省管理局長 久保田藤麿君    農林省農政局長 東畑 四郎君    水産庁次長   山本  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    食糧庁総務部長 清井  正君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員会設置の件 ○昭和二十六年度における給與改訂  に伴う国家公務員共済組合法規定  による年金の額の改定に関する法律  案(内閣送付) ○旧令による共済組合等からの年金受  給者のための特別措置法規定によ  る年金の額の改定に関する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○所得税法臨時特例に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)(第  十一回国会継続) ○関税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○学校及び保育所の給食の用に供する  ミルク等讓與並びにこれに伴う財  政措置に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○外国為替資金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○農業共済保険特別会計における家  畜再保險金支払財源に充てるため  の一般会計からする繰入金に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○食糧管理特別会計歳入不足を補て  んするための一般会計からする繰入  金に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) これより第十六回の大蔵委員会を開会いたします。  数氏からお話がございましたのは、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣委員会との連合委員会をこちらから申出をしたのでありますが、それにつきましてこの大蔵委員会としまして小委員会をこしらえてそのお申出の案件を練るということにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それにつきましては後刻理事会を開きまして打合せまして、そしてその方法については決定いたしたいというふうに思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつとそれに異議があるのですが、時間的の関係もあるから、理事会を開いて次に間に合えばいいがこういうように延びておるからここで委員長に一任して、各会派から一名ずつ出して小委員会をこしらえるというふうに委員長に一任したら如何ですか。(「それでいい」と呼ぶ者あり)
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでよろしうございますか……。それでは各会派から一名ずつ小委員のかたを選任して頂くことになりますが。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 議長に一任したらどうですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  7. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 議長に一任というお話がございますが、それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは先ず、一、昭和二十六年度における給與改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案予備審査)二、旧例による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案予備審査)三、租税特別措置法の一部を改正する法律案予備審査)、以上三案を一括して政府より提案理由説明を聽取することにいたします。
  9. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました昭和二十六年度における給與改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案ほか二法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  国家公務員給與につきまして、昭和二十六年十月分からその給與水準改定することといたしたのでありますが、これに伴いまして本年九月以前に退職した共済組合年金受給者に対する年金の額を、これを新給與水準基準とするよう引上げる必要がありますので、この法律案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容の概略を申上げますと、先ず、年金額改定でありますが、昭和二十六年十月分以降は、従前年金額算定基準なつ俸給国家公務員の新給與水準に引直して計算することといたし、又国家公務員共済組合法施行以前の公務に起因する年金についても、同様に増額することといたしております。  次に、この年金額引上げによつて増加する費用は、国、地方公共団体又は公社がそれぞれ負担するごとにいたしております。  次に旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案提案理由を御説明申上げます。  国家公務員等給與につきましては、昭和二十六年十月分からその給與水準改訂することといたしたのでありますが、これに伴いまして、恩給法及び国家公務員共済組合法による年金額もこの水準まで増額することとし別途法律案の御審議を願つているのでありますが、陸海軍関係共済組合外地関係共済組合等の旧令による共済組合等からの年金受給者に対する年金額も、同様に引上げることとし、この法律案を提出いたした次第であります。  即ち旧令による共済組合等からの年金受給者に対する年金額は、昭和二十六年十月分以降は、従前年金額算定基準なつ俸給を、国家公務員の新給與水準に引直して計算することといたし、なお、これに要する費用は、国庫より交付することといたしているのであります。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明いたします。  政府は、先に所得税法臨時特例に関する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案提案し御審議を願つている次第でありますが、更に、最近における経済情勢の急激な変転に鑑み、企業の有する棚卸資産又は有価証券について新たに価格変動準備金制度を創設してこれらの資産価格の低落による損失に備えることとするほか土地区画整理等があつた場合における課税特例を設ける等の必要を認め、ここに本法律案を提出することといたしたのであります。  以下本法律案の大要を申上げます。  先ず、価格変動準備金に関する制度についてでありますが、この制度青色申告書を提出する法人又は個人に対して認めるものでありまして、その有する棚卸資産及び有価証券について、帳簿価格に比して期末時価の九割相当額が低い場合に、その差額に相当する金額以下の金額価格変動準備金勘定に繰り入れたときには、その繰入額を税法上の損金又は必要な経費とすることを認めることといたしているのであります。これによつてこれらの資産価格変動があつた場合に、それによつて企業の受ける急激なる影響を緩和することができるものと考えるのであります。而して、その時価に対する低減割合は、租税收入に及ぼす影響を考慮して二年後に九割となるように、順次逓減することとしているのであります。  次に、日本経済の再建に資する特定機械設備又は船舶につきましては、現在その取得後三年間、法定償却額の五割増の償却をすることができることといたしているのでありますが、法人の場合におきましては、取得後三年間の償却不足額は、その三年の経過後でなければ償却できないこととなつておりますのを、今回その三年を経過する前におきましても繰越償却し得ることとして、その合理化を図つているのであります。  次に、土地収用法等により土地等収用があつた場合の租税負担軽減につきましては、先に提案いたしました租税特別措置法の一部を改正する法律案において御審議願つたのでありますが、今回、更に土地区画整理又は土地改良事業による換地処分又は交換があつた場合におきましても、軽減を図ることとしているのであります。即ち、換地処分又は交換により清算金取得した場合には、その清算金の額を再評価額として再評価税課税し、所得税及び法人税課税しないこととしているのであります。又、換地として土地等のみの交付を受け金銭の交付がない場合には、その時においては再評価を行わず、譲渡所得に対する所得税課税せず、課税を延期することとしているのであります。  次に、国及び地方公共団体に対して贈與又は遺贈があつた場合におきましては、その性質に鑑み、再評価税及び譲渡所得に対する所得税課税しないことといたしているのであります。  更に、先に制定されました森林法により立木の伐採制限を受けた者に対して農林漁業資金融通法により伐採調整資金の貸付が行なわれる場合の抵当権取得の登記につきましては、その実情に鑑み、その登録税の額を現行債権金額の千分の六・五から千分の一に軽減することといたしているのであります。  最後に、先に御審議を願いました所税得臨時特例に関する法律案に関連して、外国人対外支払手段の提供により取得した株式配当所得に対しましては、社債利子の場合と同様に、一般源泉徴収税率は二〇%となつておりますのを、一〇%に軽減して急激な負担の増加を避けることとする等の措置を講じているのであります。  なにとぞ、御審議上速かに賛成せられんことを切望してやまない次第であります。    〔委員長退席理事大矢半次郎委員長席に着く〕
  10. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に昭和二十六年度における給與改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案につきまして内容の御説明をお願いいたしたいと思います。
  11. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 先ず昭和二十六年度における給與改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案内容を御説明申上げます。国家公務員共済組合は御承知通り組合員の掛金及び事業者たる国及び地方団体、或いは公社等からの負担金と合しまして、組合員に対しまする福利厚生施設なり或いは社会保険事業を営んでおるものでございますが、そのうち従前雇用人に対する年金給付の支給を重要な仕事としてやつておるわけでございます。従来この国家公務員共済組合法によつて支給されます年金は、おおむね国家公務員給與ベース改訂に追随いたしまして引上げられて参つております。現在におきまして年金額は昨年末本国会で御賛同を得ました国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律によりまして本年一月以降七千九百八十一円ベース引上げられております。今回国家公務員ベースが又七千九百八十一円ベースより一万円ベース引上げられますので、これに併行いたしまして共済組合年金給付引上げようというのが今回の法案趣旨でございます。法律案内容といたしましても、第一條、第二條はすべてこの年金計算基礎となります俸給を新しい、ベースに引直した、新しい、ベース俸給額に引直しいたしまして、これを基礎として新しい年金額計算するという単純なる技術的な規定でございます。ただ第三條におきましてこの費用負担関係を若干規定しておりまするがこれもやはり事業者たる国庫において負担する。ただ国職員地方職員公社職員と入りくんでいるような場合におきましてはそれぞれその負担割合において按分するという負担規定でございます。以上が第一の法案内容でございます。  次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案内容でございます。従前陸海軍におきましては雇用人を対象といたしまする共済組合がございました。又朝鮮、台湾等におきましても同様な趣旨共済組合がございまして、その一つの重要なる事業といたしまして年金給付仕事をいたして参つたわけであります。それが終戰によりまして全くその共済組合事業が壊滅いたしまして、年金給付仕事も行われないというような事態に遭遇いたしたわけでありますが、これも幸い昨年末本国会の御賛同を得ました旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法という法律によりまして、本年一月以降国家公務員の七千九百八十一円ベースに引直した新しい年金額を支給するという特別の措置が講ぜられるに至つたわけでございます。大体このやはり旧令による共済組合等からの年金受給者年金額考え方といたしましては、前の国家公務員共済組合と全く同様に取扱うという趣旨でございますので、今回一般共済組合年金引上げを行うものと並行いたしまして、この分につきましても年金額改訂しようというのが本法律案内容でございます。規定の中味といたしましても全く技術的な規定でございまして、年金算定基礎となりまするところの俸給額を新ベースに引直し、その新ベースに引直した俸給額で、新しい年金額計算するという全く技術的な規定でございます。以上本法律案内容につきまして申上げました。
  12. 木内四郎

    木内四郎君 この二法案に対する質疑は別にあとからということですからその際に譲りたいと思うのですが、今あなたの御説明にあつた両法の別表ですね、別表は前の給與の額を新しいペースに引直すだけで、極めて簡單な技術的なものだとあなたはおつしやるのですが、それはその通りだと思うのだが、実際この地方においては新給與ベースに対する引直しが従来非常に不公平になつておつたということは言われておるのです。数次に亘つて給與改訂して来ていますね、これは勿論恩給法にも通ずる問題ですけれども、その間の均衡はあなたのほうで十分考慮しておられるのだろうと思いますが、そういうことを、終戰後たびたび給與改訂した、それに伴つてあなたがたは新給與ベースに対してどういうふうに改訂されたかということを示されて、それが余り不公平になつておらんということを示すような資料を出してもらいたいと思うのですが、私どものところにはその点について非常に頻繁にいろいろなことを、余りに不均衡だ、不公平だという苦情を言つて来ていますから、今日はその資料は私ども持つて来ていませんけれども、あなたのほうで單に二つの資料だけでなく、過去に遡つて終戰後給與改訂伴つていろいろな変化があつたということを新給與ベースに直したならば均衡もとれているというようなことを示された資料を出して頂きたい。
  13. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 次回の質疑の際までに只今御要求になりました資料を準備いたしたいと思います。
  14. 木内四郎

    木内四郎君 お願いいたします。
  15. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) それではこの二法案質疑は次回に譲ることといたします。   —————————————
  16. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に租税特別措置法の一部を改正する法律案について内容説明を求めます。
  17. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今お手許に配付しておりまする新旧対照表、これに基きまして各條追いまして若干補足しまして御説明申上げたいと存じます。最初にお断りしておきますが、現行法と書いておりまする事項の中には、目下別途に御審議願つておりまする、前国会提案いたしました分は、一応織り込みまして、その上で書いておりますので、その点御了承願いたいと存じます。その点は註をつけなければならないところでございまするが、私からその点特にお断わり申上げまして御説明申上げたいと存ずる次第でございます。  最初條文の順序で申上げますが、三條の関係におきましては、提案理由の御説明に申上げましたように、今回配当所得に対しまして二割の源泉課税を行うことに相成つたのでございますが、従来は源泉課税はございませんでしたので、外国人が、外国人といいますか、精密に申しますと、本法施行地に住所又は一年以上の居所のない人が配当所得を受けます場合には何ら課税がなかつたわけでございますが、今回は二〇%の課税を受けることになるわけでございます。併しながら今社債につきましては外貨取得しました社債には、外資の導入という見地を考慮いたしまして二〇の税率を一〇に引下げているのでございますが、やはり配当所得につきましても同様な待遇を與えますのが今の日本情勢においては妥当であろう、こういう考え方からいたしまして、外貨を以て取得しました株式配当所得に対しましては、百分の二〇の税率を百分の一〇に逓減するというのが第三條の改正でございます。  それからその次に第五條の二、それから第五号の三並びに第五條の四、この四つはすべて同趣旨のものでございますが、今までは外国人の受けまする、特定外国人、全部ではございません、日本経済の復興上望ましい事業に従事するような外国人の受けます給與所得と、退職所得につきまして、特例を設けておりますことは御承知通りでございますが、そのうち退職所得につきましては、実は今回相当この所得税臨時取得税で、大幅の軽減措置をとることにいたしますので、もはや一般所得と同じようなこの優遇措置を認める必要もなかろうというので、退職所得に対しまする外国人優遇措置は今回やめることにいたしまして、そのための改正をいたしましたのが、今申上げました五條の所から五條の四までの規定改正でございます。すべてそういう趣旨改正でございまして、それに必要な法文の修正を行なつておる次第でございます。  それからその次は四ページの五條の五でございますが、この規定法人個人を通じまして規定を設けておるのでございまして、そういたしましてすでにこれは御承知通り近代化に役立つような特定機械設備等取得いたしました場合におきましては、三年間その次の償却の五割増の償却ができるということに現在なつております。でございますが償却はあくまでも各期それぞれ五割増の償却をしなければ、最初の期の五割の償却できなかつたのを、その次の期に繰延べることはできないことに現在なつております。ただ三年たつてなお償却不足をした場合におきましては、その償却不足額は後の二年を引続いて償却できる、こういうことに現在なつておるのでございますが、どうも少くともその点は会社の実際の状況等から見て嚴に過ぎはしないかということを考えて、今回の改正では法人につきましては、最初のこの事業年度で五割増の償却できなかつた場合におきましては、その償却不足額はその次の事業年度におきましても、直ぐ繰越償却できるように、そういう改正をいたすことにした。個人償却は御承知通り毎期々々法律で定めた償却額を必ず個人計算すると否とにかかわらず損金を差引くことになつておりますので、繰越の問題を生じないのでありますが、法人におきましては御承知通り償却として計上しなければ損金を認めないことにいたしております関係上、このような改正を加えることにいたしたのでございます。で、そういう趣旨でございますので、この個人條文法人條文とを書き分けまして、第五條の五は個人所得税関係、それから新らしい第五條の六が今申上げました法人のこの特別償却関係規定に相成るのでございます。なおこのほか先般申上げましたように、別途にこの五割増の特別償却を更に重要産業について設けるという問題がございますが、これは別途に取進めることにいたしまして、今度の措置法のごの規定の中には、織込んでないということを御了承願いたいと思います。  次は六ページ目でございますが、この六ページ目に第五條の七の改正規定がございます。この規定が今回の措置法改正事項のうち一番大きな項目だと考えておる次第でありますが、価格変動準備金制度を新らしく導入いたしまして、法人経営並び経理を最近の経済情勢変動に対応し易くしまして、経営並び経理円滑化を図ろう、こういう趣旨で新たに設けた規定でございます。即ちいずれも個人法人も認めることにいたしておるのでございますが、両方とも青色申告を提出するものでなければならないということが一つの前提でございます。そういたしまして期末におきまする棚卸資産につきましては期末時価の一割まで準備金に繰入れることができる。有価証券につきましては、株式価格変動が激しうございますのでこれは棚卸資産と同様に一割まで準備金に繰入れることができる。但し社債等時価変動がそれほど激しくございませんのでこれは五分以内で認める。国債につきましては、更にこれは政府の債務でございますので、貸し倒れになるというような予想をするのもちよつと合理的でございませんので、国債につきましては認める必要はなかろう、こういう考え方有価証券につきましては、今申上げましたように、株式は一割まで、社債につきましては時価の五分まで価格変動準備金を設けまして、それを準備金勘定に繰入れればその事業年度損金に算入しておく、こういうわけでございます。但しこれは毎期累積するということになりますと非常に不合理でございますので累積はいたしません。各事業年度ごとにそういう計算をいたしまして常に積立てるべき額を計算して行く。つまりこの法律の行き方からいたしますと、その次の事業年度に一遍損金に繰入れました棚卸準備金利益金に入れてもらう。そうして新たにその期の期末におきましてそれぞれ計算した額を損金に立てることができる。従いまして一割に達しまして、将来棚卸資産なり有価証券に増減がなくて価格も同じだということになりますと、一割まで一遍やつてしまうとそれ以上はできないということになるわけでございます。併し時価の一割まで特に含みを持つということになりますればそれ以上累積は認める必要はなかろう、こういう趣旨からいたしましてそのようにいたしておるのでございます。    〔理事大矢半次郎退席委員長着席〕  その点が一点申上げたいのと、それから今一点は一割乃至五分まで一挙にこれを認めますと、実は相当大きな利益の減になる企業がございまして、それは少しいくら何でも行き過ぎだという考え方でありまして、一割とか五分に達しまするのは二年後ということにいたしております。各事業年度ごとに四回に亘りまして逓増して行きまして二年後に一割、そこで打ちとめる。最初事業年度におきましては、一割の分は二分五厘、その分の事業年度は五分まで、三回目の事業年度は七分五厘まで、四回目の事業年度に至りまして一割までの準備金を繰入れることができる。社債につきましても同様な意味におきましてその半分ずつ程度の逓増をする、そういうことでこの規定を設けることにいたしておるのでございます。やや細かいことでございますが、これは実は法人企業の種類によりましては相当な損益に影響がございますので、このような方法をとりまして企業経営の実態に即すると同時に、余り負担の不公平を来たさないように両面から考えましてこのように規定を設けた次第でございます。  それからその次は八ページ目でございますが、第五條の九、第五條の十、第五條の十一は、それぞれ條文を挿入しました関係上、若干條文をずらしただけでございまして内容の変更はございません。  第九條に一つ三項といたしまして新しく設けましたのは、森林法によりまして森林の立木の伐採制度を受ける場合に、農林漁業資金融通法規定により資金の貸付をなす場合でございます。この場合におきましては、抵当権を設定することになりまして、新しく登記するという問題が出て来る。その登記する場合におきましては、抵当権の登記をなす場合におきましては、普通の場合は千分の五でございますが、これは特別な伐採制限を受けました一種の公益的見地から、特別に資金の融通を行うということに相成りますので、千分の五の税率を千分の一に軽減する、そういう改正をやつたのでございます。  それからその次の十四條の規定は、先ほど申しましたように、若干まだ審議中の條文一つに属するかと思います。第一項は提案のままでございますが、第二項と、それからその次のページの第十六條、これは二つ一緒に御説明いたします。この二つの規定によりましてさつきちよつと申上げましたようにこういう趣旨改正を加えたい。で、都市計画法などによりまして、補償金をもらいませんで耕地整理又は昔のいわゆる区画整理の場合におきまして補償金を金でもらわないで、代りに土地をもらう、つまり土地の交換と申しますか、そういう場合には何もそれぞれの所有者は現金を入手しない、土地だけが交換になる。そういう場合におきましては、どうもやはりよく考えてみますと、その際に所得税は勿論免税しておる、再評価税だけでも課税するのは少しどうも行過ぎだろうというので、土地同士の交換の場合におきましては、これは強制でございまするので、その際には再評価税譲渡所得税も課税しないでおきまして、新たに得ました土地が次に移つた場合に課税しよう、その課税する際に新たに得た土地の原価というものを前の土地の原価と見て課税する、つまり土地の中味だけが変りまして、課税の上におきましては前の土地を引続いて持つていた場合と同じような課税関係におこう、こういう改正でございます。つまりもう一遍申しますと、区画整理なり耕地整理の場合におきまして補償金をもらわないで土地を交換いたしました場合におきましてはその際には課税しないでおきまして、新たに得た土地を更にその後売却したり相続したりしたような場合におきまして、それぞれ讓渡したものとして課税しよう、こういう趣旨改正でございます。なおその際に細かく申しますと、一部補償金をもらう場合がございますが、その場合におきましては、その補償金をもらつた限度の額は再評価税だけ課税する、現物でもらつた部分は今申しましたように後でその現物を処分したときに課税する、こういう趣旨にいたすことになつておりまして、最後に申上げました事項、十四條の三項でございますが、なお詳細按分計算等にむずかしい問題もございますので、更に細目は命令で細かく書くことにいたしております。それがこの第十四條と第十六條の改正規定でございます。第十五條は同じく法人が持つております場合の同様の規定でございまして、実体といたしましては今私が申上げましたことに大体盡きると考えておるのでございます。  それから最後に十一頁の十七條でございます。これは現物を国又は地方公共団体に贈與しました場合におきましては、二十五年度の改正でやはりその際に譲渡所得税と再評価税課税することにいたしておるのでございますが、これはどうも少し負担の実情からしまして行過ぎではないかというので、国又は地方公共団体に寄附しましたような場合におきましては、現物を寄附しました場合におきましては、個人の場合といえども譲渡所得税及び再評価税課税しないという趣旨改正しようというのが第十七條の規定なつておるのでございます。  以上が本文の改正規定でございまして、なお附則にはそれぞれその規定の適用になる時期を明らかにいたしておりまして、それから先に申しました経過的に一割と五分に達するのはどういうふうに順次持つて行くかということもそれぞれ規定しております。  以上御審議を願いたいのでございます。
  18. 木内四郎

    木内四郎君 私主税局長に希望を述べたいのですけれども、私どもは基礎控除の引上、扶養控除の引上ということを従来主張して来たのですが、主税当局において漸次引上を図つておられることはまあ非常に結構だと思うのですが、それと関連いたしまして、源泉控除の二〇%の控除という問題、これが基礎控除とか扶養控除が非常に低い場合には或いは実際の害が少かつたかも知れませんけれども、これが五万円になり、一方は二万円ということになつて来ますと、免税になるものが相当あると思うのですが、そういうものに対するものもやつぱり源泉において二〇%引かれるということはちよつと酷じやないか。そういう連中は払戻しを請求するという場合に、実際問題としては、そういうことをやつておらないので泣寝入りになるという結果になるのじやないかと思うのですが、この源泉控除を一〇%に引下げられるお考えはないかどうか。殊に今日貯蓄奬勧、資本蓄積を奨励しようとする際に小さいものも大いに資本蓄積をして行く。それから資本の関係だけでなく、例えば文芸作家の連中、あれなんか勤労によつて得るところのものについても、勤労といつてはあれですが一種の勤労みたいなものも二〇%控除しているのを引下げられるお考えはないかどうか。そのほうがいいのじやないかと思うのですが、どうですか。何か統計その他で弊害がないということですと別ですが、御考慮願えるのだつたらお考え願いたい。
  19. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 配当所得の場合と今最後にお述べになりました勤労所得税の場合と若干違つておりますが、配当所得の場合におきましては、御指摘の通り大分控除を上げましたので課税にならない人も若干は出て来るかと思いますが、二〇%になりましたのは、実は所得税改訂税率でこれが二〇%ということになつておりまして、大部分の人は配当所得だけあるのではなくして、ほかの所得と一緒に配当があるという人が、まあいろいろ調査の上におきましてもそのようになつておるのでございます。従いまして、このほかの所得がありますと配当所得の分がその上に乗つかつて来ておるということになりまして、税といたしましてはまあ相当負担を申告でしてもらわなくちやならないという場合があるのでございますが、株式資料等につきましても余り細かいものを収集する煩を一つは避けたい。それからもう一つは先般申上げましたように、どうも最近税制改革等が十分行われていないので、申告が十分出ていないというのも相当見受けられるのでございます。従いましてまあこの際所得税改正で二割程度を源泉で課税いたしておきまして、そして申告してもらつてなお控除の申告などで赤字になるという場合の人はこれは所得税の申告の場合には返すことになつておりますので、それを円滑に運用しまして相当するような課税をして行く、こういう面から配当所得につきましては妥当ではないか、こういうような考え方で二〇%の源泉課税をすることにしたのでございます。法人が持つておる場合等につきまして若干問題がございまして、そういう問題につきましては、この次の通常国会におきまして、これを基本法に織込みます際に検討いたしまして、妥当な線にいたしたいというのは先ほどの生命保險の際にも申上げた通りでございます。で一般の行き方といたしましては、大体二〇%の税率で源泉を納めて行くというのが納税者にとりましても、又政府にとりましても至当ではないかと考えております。  それから原稿の場合はちよつと問題が変つておりまして実は必要経費を差引いたします。従いまして原稿料の二割となりますと、所得に対します三割か三割五分になる人も場合によつて出て来る。そこで少し負担率を源泉で取過ぎるではないかという議論もあるわけでありますが、これは率直に申しまして今資料を集めまして若干取調べておりますが、実際の影響はこうなつております。相当原稿料収入の多い有名な著作家その他の場合は二〇%もらつており、更に申告で相当納めてもらつておるようでございます。それから中小、殊に小さい著述業者の場合におきましては、収入が少い関係上返さなければならんという例があるようでございます。それからほかに所得があつて原稿料の收入がある。まあこういうのが大分ございますが、そういう人の場合は原稿料の所得が総合しますと上積みに乗つかつて参りますので、むしろ若干追徴せざるを得ない、或いはすれすれかという人が大部分のようでございます。大体この三種類の関係にうまく行くようにするために一体税率をどの程度に盛ればいいかということでございまして、一つがうまく行くとほかのがうまく行かんというのでむずかしいのでございますが、この問題も小著作家に返すのがなかなか簡單に返らないというような非難もございますので、よく検討いたしたいと思つておりますが、併し今の国税庁の方針といたしまして、今までと違いまして税法上返し分になつておる税金は特に請求があつた場合には早く返すように、それから税務署でわかつております場合は還付の請求をするように親切に教えてやつて行くようにということで、最近国税庁におきましてもそういう方針で還付を特に督励しておりますので今までよりもよくなると思いますが、併し臨時所得の上におきましても若干問題がございますのでなおよく次の機会までに検討してみたいと思つております。
  20. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつとお諮りいたしますが、ここに書いてあります所得税法案と法人税法案、それから租税特別措置法案、これはこの法案に関連性がありますが、便宜上一括して提案、御質疑を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶあり〕
  21. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ではそういうことにいたします。
  22. 木内四郎

    木内四郎君 今の国税庁において順次納税者のほうに返すべきものは簡單な手続でできるだけ返すようにするというお話、非常に結構だと思いますが、とかく従来税務署に足を運ぶのは億劫であつたし、又忙がしいのに僅かなもので行くということそれ自体も非常に困難のところがあつたろうと思います。それにつきまして、只今主税局長からお話がありましたように、文芸作家の小さい人、小さいといつては悪いかも知れませんけれども、そういう小所得の文芸作家にそういう問題がありましたら勿論そういう問題についてお考えを願うということは、外にそういう似た者がありましたらそれと合せてこの次の機会に御考慮を願いたいと思います。今御考慮下さるということでありますから御考慮を願えれば小さい所得者が非常に助かるということになると思いますから御研究を願いたいと思います。  なお株式の源泉徴収を今度復活されたのですけれども、これは最近株式が非常に殖えたりしておつて非常な手数になりはしないかと思うのですが、その辺はどうです。
  23. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私どももその点を考えまして、どうしても源泉課税をしないで申告して総合をするということになりますと、細かい資料を集めなければならないという手数が出て参りますので、一時に源泉課税をいたしますと、余りに小さい株式の配当金を一々書いてこういう資料を作りまして税務署に送る必要もない資料の提出限度も引上げたいと思つております。源泉で徴収するのは一般的のことでございますので、そのほうはこれは改正してもそれほど手数でない。むしろ資料の徴収は御承知通り二枚続きの小さいものでございますけれども、あれを相当小さい株主まで徴収しますと手数が厄介でございますのでそのほうをむしろ引上げて、源泉二〇%程度納めてもらつてそれでうまく行かない場合は申告の際に徴収する。こういうほうがむしろ完全ではないか、こういうふうに考えますからさような制度を考えておる次第でございます。
  24. 木内四郎

    木内四郎君 そうしますと源泉で二〇%というのは、細かい資料を送つたり処理したりなんかしないということでありますか。
  25. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 現在も配当金につきましては一定の限度を設けておりますのでその限度を引上げまして、余り会社に資料の提出の問題で手数を煩わさないようにしております。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと資料を、租税特別措置法ですが、外国人に対する課税、これは例えばアメリカならアメリカと日本との場合で不公平があるのではないか。不公平というのは例えば日本では外国人課税しないのに向うでは課税するというような問題がいろいろあると思うのです。その調整に行くのじやないのですか、それと関連して、どういう点で不均衡があるかという資料がありましたら御提出願いたいのです。
  27. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今お尋ねの問題は実は相当大きな問題でございまして、国際二重課税の問題をどう処理するかという問題、それが今提案されております法案特例を認めております。いろいろの項目にも若干関連がありまして基本的に若干タブつて参る点が相当多いのであります。それを今アメリカ等におきましていろいろ調べてみますと十数カ国の間において條約を結びまして、それによつて相互に二重課税をなくする條約を結んでおります。我が国の場合におきましても、今後はやはりそういう必要がございますので、近くその協定の下打合せと申しますかそういう趣旨におきまして日本からも派遣することにいたしておりますが、これは問題が相当ございますし、又いずれ條約が出来上りました場合におきましては御審議を願わなければならないので、適当な機会にこの問題について別途御説明してもよかろうと思いますが、併し相当問題がございますので今ここで短時間に申上げることはむずかしかるうと思います。
  28. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつとお諮りしますが、大臣がお見えになりましたから今提案なつておる法案は一時中止して。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと待つて下さいよ。結末が出ていないから、結末をつけずにやめようというのはおかしい。是非いつかの機会にお願いしたいのです。それとこの改正案との関係はどうなんですか。
  30. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この改正案の関係につきましては、前から申上げておりますように、これは日本側として外資の導入その他の見地から望ましいという意向を自発的に指示しておるのでございます。こういう指示しております事項が交渉上の一つの有利な條件になるかと思いますが、これはこれとしまして、これで進みまして條約との関係を考えて交渉の上で正式にきめたいと思います。
  31. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではちよつとお諮りいたします。大臣がお見えになりましたから、今までの提案されておる法案は一時中止しまして、次に第十国会提案されました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして質疑を行いたいと存じます。
  32. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私はこの際大蔵大臣に対しまして漁業証券の課税の問題について伺いたいと考えます。政府原案におきましては、この漁業証券の課税につきましては我が国漁業の再編成の重大面を考慮せられまして、課税上非常に特例を設けられましてその負担の緩和を講じておられることは私ども十分承知しておるのでありますが、併しながら仔細に検討してみまするとまだ不十分の点があると思うのであります。即ち漁業証券の交付を受ける漁業権者は個人があり、営利会社があり、又漁業会があるのでありまして、この個人及び営利会社が受ける漁業証券につきましては政府原案で十分だとは思うのでありますが、漁業会の受ける漁業証券につきましては、今回の漁業再編成の意義及び将来漁業協同組合が我が国沿岸漁業に有するところの使命等に鑑みまして甚だ不十分である、どうしても私どもは漁業会の受ける漁業証券に対しては非課税の取扱をするのが適当だと考えましてこれは本委員会一致の意見でありました。いろいろ努力しましたが客観情勢はこれを許しませんので到底これが実現不可能という状態になつておるのでありますが、併しながら私どもはただ政府原案のままにしておいてはどうしても実情に適しない、従いまして政府原案を認めるのほかないとすれば、次善の策として何かこれを補う措置が必要であると考えまして、その第一といたしましては、漁業会の負担すべき再評価益の税金に相当する部分、即ち約十億程度のものを、すでに政府において本年度漁業証券の買入償還を内定しておるものにプラスいたしましてこの際是非買上を実行して頂きたい、これによつて漁業会の税の納付に支障がないように考えますが、その点につきまして大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
  33. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 漁業証券の譲渡に対しまする課税について非常なる議論がおありになつたのでありますが、今お話のような点がありますので、私が先般お話を聞きましてその日に省議を開きまして、すでに内定しております本年度の漁業証券の償還五十五億円にプラス十億円をきめまして本年度六十五億円漁業証券を償還することに決定いたしました。
  34. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 次にそういたしますというと差当りの納税には支障がないのでありますが、併しながらこの漁業会の漁業証券を継承する漁業協同組合におきましては、従来課税を受けないものといたしましていろいろな資金計画を立てておるのでありますが、これをどうしても評価益税を納めなければならないといたしまするというと、従来の資金計画を根本的に変えなければならないという事態が起つて来るのでありますが、これはなかなか至難のことでございます。従いまして政府におきましては明年度予算におきまして農林漁業特別融資の点につきまして特にこの点を御考慮いたされまして十億円程度の資金をこの漁業協同組合のために別枠として特に融資方御考慮願いたいと存じまするが、この点につきまして大蔵大臣及び農林大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  35. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 農林漁業の長期資金といたしまして、御承知通り資金運用部と合わせまして本年度百二十億円を計上いたしておるのであります。来年度この資金がどの程度になりまするかまだ結論を得ておりませんが、只今大矢委員お話趣旨を体しまして、漁業方面に相当金額が行くように努力いたしたいと考えております。
  36. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 大蔵大臣から御答弁がありました通り、明年度の農林漁業融資特別会計に紐付きの枠として別途増加出資がありました場合には、それは農林関係、水産関係に融資するということには異議はございません。
  37. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 農林大臣の今の御答弁では別途紐付き融資のあつた場合にはというお話でございまするが、それを実現するように御努力なさるお考えはございませんですか。
  38. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 勿論我々といたしましてはこの農林漁業一帶を見ておりますけれども、特に水産関係におきましては只今大矢さんから言われた通り非常に重大な問題でありまするので、十分研究いたしたいと存ずる次第であります。
  39. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 大蔵大臣に重ねて伺いますが、できるだけ考慮するというんじやなくて、はつきり十億円別枠融資で融通するということをこの席で言つて頂けないものでしようか。
  40. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) まだ私は責任を持つてはつきりここで幾ら幾らというところの結論が出ておりませんが、できるだけ御意向に副うように努力したい、これで御了承願いたいと思います。
  41. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 最後にそのように御配慮願いましても、全国の幾千の漁業協同組合のうちには随分弱小のものがありまして、将来その使命を十分に達成するにはなかなか困難なものがあるようでありますからして、今回の漁業証券に対する特別の考慮のほかになおこれらの点も考慮下さいまして、将来漁業協同組合の育成強化には十分御配慮願いたいと存じます。私は特にその希望を申添えて質問を打切ります。
  42. 小林政夫

    ○小林政夫君 只今の大矢委員の質問に対する両大臣の御答弁で大体において盡されておると思いますが、農林大臣の先ほどの御答弁で、極力別枠融資があつた場合においてはこの漁業のほうにその趣旨を体して金を受けるように努力するというような御答弁でありましたが、その点についてはこてでわざわざ両大臣御出席願つたということについては、すでにそういつた打合せは済んでこれから努力してもらうんではなしに、もうそういうことについては了解がついて御出席を願つておると我々は思つておつたのですが、そこで御了解付いたものと考えてよろしうございますか。
  43. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 実は農林大臣がこの部屋へ入つて来たんで私は驚いたんですが、この問題について実は話をしていない、何の問題か知りませんが、さあといつたところが農林大臣が、あの漁業権の問題だという話で、これはもう同じ内閣で一緒に仕事をしておりますから、(笑声)両方とも今答弁いたしたような状況で意見は一致いたしております。
  44. 小林政夫

    ○小林政夫君 それでは特に農林大臣に要望しておきますが、従来紐付漁業のほうにということで、大蔵省のほうから枠が来たという場合に、どうも今金額が明示されておらないので余計心配するわけでありますが、大蔵省並びに我々の気持は、そういうふうにお聞きの通り漁業に是非向けたいということであるにもかかわらず、農林省内の都合によつてそれが農林方面に廻らないように、是非我々の趣旨を体して漁業のほうに廻すということについて、はつきり御言明を願いたいと思います。
  45. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。先ほどお答えいたしましたように、農林漁業融資特別会計に対する要望は、非常に件数において金額において多いのであります。そこでこの総枠をきめた場合におきましては、実は農林省において一案を作り、更に大蔵主計局と十分に連絡の上、この程度は塩田関係、この程度は水産関係というふうに、実は計画をもつて予算の配分を内定しているところであります。この際更に漁業証券の再評価税と関連して特別にこの枠を増したものについては、間違いなくこれはこの筋にちやんと副うてやるようにいたしたい、こう申上げるのでありまして、その点は我々として良心を持つて処置いたしたいと考えております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 その点は、今大矢さんがこの前に特別措置法の修正が元になつているというお話でありまして、当然漁業一杯の枠じやないことは御了承のことだと思いますが、はつきりしておいて頂きたいのですが、協同組合にという要望になつたのでありますか。
  47. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 御承知のように、農林漁業融資特別会計の融資の対象が、組合施設に関する協同施設でございまするので、たとい紐付で参りましても個々の漁民に対して融資するというのは、現在の特別会計法の建前でございません。従いまして、これは一般漁業関係には使われまするけれども、溝澤さんが言われたように、個々の漁民に対して十億になりますか何億になりますか、その点だけは別に現在の法律の建前を超えて個々にやるというわけには参らないと思います。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は個々の場合を言うているのでなく、漁業協同組合を中心にして出してもらいたいというのであります。
  49. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) その通りでございます。
  50. 小林政夫

    ○小林政夫君 先ほどの農林大臣の言明で安心できるわけでありますが、今大矢委員からも要望がありましたように十億ということが問題なのであります。大蔵大臣は金額についてはまだ考慮しているというようなことでございましたが、少くとも十億が実現するように是非大蔵大臣と御相談願いたいということと、それれから紐付で来たものは必ず漁業で使うということでありますが、本年度百二十億の資金の中で十三億というものは漁業に割当てられ、同様の意味において来年度そういつた時に今の補償金課税が免除されなかつたということを考慮して、特にふやしてもらう以外のもの、この農林漁業資金特別会計の基金として増加する分、この中で当然漁業へ行く分があるはずであります。当初の六十億の中では三億四千万円、今度六十億ふえて全体で十三億というものが漁業全体に廻ることになつているようでありますが、そのような正常な普通の状態において特別に考慮せずにおいても漁業に行くべきものがある。そのほかに紐付で漁業関係へ仮に十億出るといたしますれば、その十億が漁業へふえたことによつて、漁業のほうはあるのだから、今までのものは漁業へ廻さずにということにならないように、もう一度念のために御答弁をお願いします。
  51. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 御趣旨に副いまして配分いたしたいと考えます。
  52. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは只今提案なつております第十回国会提案された租税特別措置法の一部を改正する法律案について、他に御発言がないようですが、質疑は盡きたものと認めて差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。(「省略、省略」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) これより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決するごとに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  55. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條により本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとしてあらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それから本院規則第七十二條により多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     清澤 俊英  野溝  勝     田村 文吉  櫻内 辰郎     伊藤 保平  大矢半次郎     木内 四郎  愛知 揆一     山本 米治  木村禧八郎     松永 義雄  菊川 孝夫     森 八三一  小林 政夫
  57. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは午前はこれで休憩にいたします。午後又継続いたしますからお願いいたします。    午後零時三分休憩    —————・—————    午後一時五十一分開会
  58. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは休憩前に引続きまして委員会を開きます。関税法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。それでは内容について簡単に説明願います。
  59. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 関税法等の一部を改正する法律案につきまして、若干御説明申上げたいと思います。  従来の関税法の第百四條、それから関税定率法第十二條及び噸税法の第八條には、「本法ノ適用ニ付テハ本州、北海道、四国、九州及命令ノ定ムル其ノ附属島嶼以外ノ地域ハ当分ノ間之ヲ外国ト看做ス」こう規定されてございます。この規定によりまして、終戰後我が旧領土でありましたが我が国の支配下を離れました朝鮮、台湾、樺太等につきましてはすべて外国とみなされまして、これらの地域と内地とを往来するところの船舶及び貨物につきまして、関税法規の適用を受けさしておつたわけでございます。ところが今度平和條約の発効に伴いまして、平和條約第二條の規定によりまして、明確に外国となる地域につきましては、外国とみなすという規定の必要もないわけでございますのでこれを明らかにしますと共に反面、本邦の領域でありながら、政令の定むる地域については、当分の間これを外国とみなそう、こういう趣旨でございます。そこで政令で定むる地域と申しますのは、只今考えておりますのは、平和條約第三條に規定する、「北緯二十九度以南の南西諸島、孀婦岩の南の南方諸島並びに沖の鳥島及び南鳥島」でございます。これらの地域につきましては本邦の領域であることは明らかではございまするが、未だ我が国の行政権等が及んでおりませんので、当分の間これらの地域を外国とみなしまして、これらの地域との間に出入する船舶、貨物についてすべて関税法規を適用しようというのが第一点でございます。  それから改正の第二点は、従来北緯三十度以南の南西諸島で生産されました物品につきましては輸入税を免除することといたしておつたのでありますが、平和條約の発効後におきましては只今申しました外国とみなす地域、即ち北緯二十九度以南の南西諸島及び小笠原群島等の地域で生産された物品についてひとしく輸入税を免除するという趣旨でございます。  それから第三点は、関税定率法の附則第五項の別表改正いたしまして、新聞用紙につきまして暫定的に本年度一ぱいの輸入税を免除しようというのであります。最近新聞用紙の頁数の増加に伴いまして相当需要が殖えたのでありますが、生産がまだこれに伴わないため大体本年度におきまして七千トン程度の緊急輸入を必要といたしておのでありますが、海外から輸入されまするところの新聞用紙の価格は、CIF価格におきましてトン当り今回の契約のほうは九万五千四百円であります。これに対しまして現在の国内産のものはトン当り七万二千円から或いは八万五千円程度でございます。従つて国内産の価格よりも今度の輸入されるところの外紙は相当高いものでありまして、関税を免除いたしましてもなお国内産より高い。こういう事情になつておりますので、これに対しまして、更に関税を課しますることは、その新聞用紙の公共性、公益性に鑑みまして適当でないと考えられますので、暫定的に本年度一ぱいまでの輸入について現在一割となつております輸入税を免除しようという趣旨でございます。
  60. 野溝勝

    ○野溝勝君 一点お聞きしておきたいと思う。只今お聞きするところによると、まあ用紙の輸入免税の点でございますが、輸入する紙のほうがトン当り九万五千円、内地産が七万二千円、相当の開きがあるのですがね、大体日本の輸出物資は国際価格より非常に高く今問題になつておるというのですが、これは余りにも輸入品のほうが高くて国内品が非常に安いのですが、これはどういう理由なんです。これは他の物資と非常に違うように思うのですがね。
  61. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 実は、米国の国内価格、米国の新聞社が買つております価格は大体アメリカにおきまして百十六ドルでございます。これをCIFにいたしますと恐らく百五十ドル近くになると思いますが、この程度の値段で入りますれば我が国における新聞用紙の値段よりも安いのでありますが、遺憾ながら輸入いたされまする価格はこういう安いアメリカの国内価格じや買えないようでございます。いわばグレー・マーケットのような形になつておるようであります。
  62. 野溝勝

    ○野溝勝君 聞くところによると、今政府委員の答弁とは少し違つておるように私聞き及んでおりますが、というのは、大体輸入される新聞用紙はアメリカにおいては質のよくないもので、割合にまあ二流品である、それであるからかような値で入るのだ、こういうように言われておるのですが、併し二流品にしても内地産のものよりまだ高いというのですが、こういうものを入れることになれば非常に外国製品を無條件的に入れて、なおその上に免税をしてやつて、アメリカ側の商売人を喜ばせるというようなふうになるのですが、一体品物のまあ品質といいましようか、そういう点はどういうふうにあなたは考えておられるのですか。
  63. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 輸入されまする紙は現在の日本の新聞巻取りよりも多少良質だそうでございます。
  64. 松永義雄

    ○松永義雄君 少し問題は離れまするけれども、ガットのその後における日東の加入といいますか、それはどうなつたでしようか。
  65. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) ガツトヘの加入の問題でございますが、従来ガットに新らしく或る国が加入いたしまする場合は、過去におけるフランスのアヌシーという所で開かれました会議におきましても、或いは又昨年の秋から今年の春にかけまして英国のトーキーという所で行われました会議におきましても、新規に加入しようとする国がひとしくその関税引下交渉会議に既締約国と一緒に集りまして、そうして多角的な関税引下或いは据置の交渉をいたしまして、その結果に基いて既締約国の三分の二の多数決によつて加入しているのが従来の例でございます。ところが今年の一月でございましたか、アメリカのアチソン国務長官が国会におきまして、現在やつているようなあの大規模な関税引下交渉会議はここ三年間開く意思はなホということを答弁しておるのであります。若しそうなりますと今までのやり方によれば、一般的な関税引下交渉会議が開かれないと新規加入希望の国の加入の機会がないということになるわけでございまして、私どもも大変実は心配しておつたわけでございます。ところが九月の十七日から十月の二十七日までスイスのジユネーヴにおいて第六回の締約国会議が開かれまして、その会議の席上アメリカ側から簡単な加入の手続の方式の提案があつたようでございます。これに対して小委員会におきまして案をまとめて本会議に出したようなわけでございますが、最後的にどういうような案にきまつたかということは、まだ私どもの手許にないわけで詳細には申上げかねるのでございますが、いずれにいたしましても今までのような大規模な関税交渉会議を開いてその機会に新しく加入するということでなくて、もつと簡單に加入できるような手続がきまつたようでございます。そういたしますと、アチソン国務長官が国会で申しましたが、三年間開く意図はないという言明にもかかわらず、加入の機会は相当近くなつたのじやないかとこう考えます。但し大蔵省からこの第六回締約国会議にオブザーヴアーの一員として出ておられます伊原財務官、現在はロンドンの在外事務所次長であられますが、この伊原さんからの手紙によりまずと、これで大体ガット加入については手続の面においては恐らく問題はもうなくなつた、但し一番の問題はやはり英国連邦の反対である、特にランカシア方面の日本に対する反対が非常に強いからこれを自主的にすつかりなだめて、すつかり異存がなくなつた上で入つたほうがあとのさしさわりがなくていいのではないかというような意見もございます。我々といたしましては、十分その意見も尊重いたしまして、いろいろこれから考慮いたしたいと思つております。とにかく当初心配せられておりましたように、あと三年近くも入れないというようなことはなくなつたようでございます。
  66. 松永義雄

    ○松永義雄君 ところが一旦ガットに入つた国であつても脱退する国もある。こういうことを承知しているのですが、たしか南米方面の国ではなかつたかと思います。それはどういう関係ですか。入れば日本利益であるから入るということになるでしようが、ところが脱退するものがあるということは、どういう理由によつて脱退しているか、その点伺いたい。
  67. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 只今までにガツトに加入しまして中途で腕退いたしました国は、ちよつとその点は記憶いたしませんが、た上し中国などはそうでございます。それからあと南米でもございましたし三、四カ国あつたように存じております。それらの国内事情については私どもまだ実はよく研究いたしておりませんが、何らかのやはりそれぞれの理由があつたのではないかと思います。ただ日本といたしましてはガットに入るとどういう利益があるかという点でございますが、ガットに入りますと、過去三回に亘りまして関税引下交渉会議が開かれましてその結果ガットの税率というものができまして日本が加入いたしますと、最恵国約款の適用を受けましてガットの低い税率の適用を受けるという利点があるわけであります。
  68. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の輸入税を暫定的に撤廃する問題ですが、これは政府では三月末日まででそれ以後においては復活する意思がありますか。それとも止むを得なければ今日の状況をそのまま継続しなければならぬ、こういうお考えか。
  69. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 只今審議なつております法律案におきましては勿論本年度一ぱいということになつております。来年度以後の問題につきましては、又状況の推移を考慮いたしまして、十分他の品目と一緒に検討いたしたい。ただ我々の事務的な考えといたしましては、一般の関税というものはそう変えるべきものじやないと考えております。製糸業は勿論我が国の重要産業一つでございますしそれから今後もその増産が予定されております。こういうような状況を見ますと1軽々に関税率改正して無税にするということは非常に考えものだと思います。来年度については更にほかの品目と合わせて検討いたしたいと思います。
  70. 田村文吉

    ○田村文吉君 そこで今度の法案の御趣旨はどういうところにおありになるのか。例えば現在の紙の状況というものが到底需要が激増しているので間に合わないということであるとすると、それじや来年の四月からも急にそういう問題が解決されるとは思われない。そうすると、これはただ單純に三月までというわけには行かない、こういうような問題が起つて来るわけです。そこで今度の三月末日まで免税なさるという根本の御趣旨は一体どういう新しい状況だからどうだ、こういう点について御説明一つ頂きたいと思います。
  71. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 通産省の意向を総合してみますと、大体現在新聞用紙で需要が毎月四千四百万ポンドのようであります。これに対しまして新聞捲取紙が大体三千万ポンド程度、あとは大体代替紙でいたしておるわけであります。今後の教科書用紙等の需要を考えてみますと年度内にどうしても七千トン、即ち一千四百万ポンド程度の緊急輸入をする必要がある、こういう結論に達しておるわけであります。ところが只今申上げましたように今回輸入しようとするところの代替紙は非常に高価なものでありますので、そうした事情を酌みまして暫定的にこれに更に一割の関税をかけますということは必らずしも適当でない、こう考えますので、只今までは三月一ぱいにしようというわけであります。
  72. 田村文吉

    ○田村文吉君 七千トンのあれはどのくらいの価格になりますか。
  73. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 一トン当り九万五千四百円といたしまして、それで七千トンといたしますと、輸入価格におきまして六億六千七百八十万円、関税にいたしますと一割ですから六千六百七十八万円の関税をかけるということになります。
  74. 田村文吉

    ○田村文吉君 一面において代替紙という言葉が出たのですが、この代替紙は物品税が五分くらいかかつておるのですね。そういうものを一方にとつておきながら、そういうものの代替をむしろなくすることになるような輸入紙を多くするというようなことは、ちよつと矛盾しているとしか考えられないのですが、若しこういうことをなさるなら、それだけ一方において物品税というものを廃止するのかというように我々は考えるのですが、その点はどうですか。
  75. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 紙の輸入は実は大蔵省で決定したのでございませんので、通産省におきまして諸般の事情を考慮の上輸入を許可することに相成つたわけであります。私どものほうではそのあと始末をどうするかという問題で、暫定的に関税としては年度内は免税しよう、こういう御提案を申上げておるわけであります。輸入の許可そのものは通産省のほうでありまして私のほうではちよつと何とも申上げられません。
  76. 田村文吉

    ○田村文吉君 併し大蔵省としましては、一方的にやはり物品税というような関係もあるのですからそういうことを全然考慮しないで、ただ大蔵省からこういうことをしてくれと言うて来たからただやるのだということでは、そこに一貫性がないのでいかんと思うのですが、そういう点についてお考えになつたのか、ならんのか。
  77. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 私どものほうといたしましては、勿論通産省が免税してくれと言うて来たから免税したというのではありませんので、果してその必要ありや否やという点を十分考慮いたしまして、新聞の公益性という点から今回は免税も止むを得ないことと、こういうふうに考えたわけでございます。
  78. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の一時的に入れる、それからあとのことはそのときにならなければわからんと、こういう御説明でありまして御無理もないことだろうと思うのでありますが、ただ説明によりますと、アメリカの国内価格というものが百五十ドル、つまり五万四千円である。日本に今現在持つて来るのは九万五千四百円、こういうお話でありますね。そうするとつまりアメリカに二重価格が行われている、輸出する価格と国内価格と分けてやつている。こういうようなふうに非常に紙というものに対して重要性を認めているわけなんですね。ところが日本では今の消費規正というものはなくなつておりますから、そうすると新聞のようなものはどんどんこれからふえる一方だろうと思うのであります。そういうものを全然考えないで、向うで国内価格と輸出価格と二つに分けておるものを、どんどんこつちは何らの規正もなくてそうして無税で入れるということが果してどういうものであろうかと、こう考えますのですが、その点についての御見解はどうですか。
  79. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 今回は高い外紙を輸入しなければならんことは非常に遺憾なことでありまして、私ども調査いたしました結果、現在のアメリカの国内価格は非常に安いわけでございますから、どうしてこれで買えないのだという点をいろいろ検討したわけでございますが、只今申しましたアメリカの安い国内価格というものは、カナダとの長期契約によりましてアメリカの新聞社が特に安く購入するわけであります。外国からこれを輸入するとなれば、どうしても只今申したような安い価格じや買えないという結論でありまするので、私どもといたしましては甚だ残念ではございまするが、これに対して現在国内産価格よりも相当上廻つておりますので、関税を一時免税しなければならん、こう考えたわけであります。
  80. 田村文吉

    ○田村文吉君 そこで話は元に戻りますが、こういうようなあなた自体も遺憾に考えられ、外貨をたとえ七億でも払う、なお続いて参りますと、一年には厖大な外貨を払う、そういうものに対して国内の新聞紙の生産というものが伴つてくれれば、そういうことをしないで済むのだ、それに対してせいぜいいわゆる代替紙というものがそれに代つてくれることを望むのです。その代替紙が国内で物品税を五分かけるということでは、こういうことでは甚だ政策として矛盾しておる点がありはしないか。こういう点を考えられますので、何かそれについてただ四月までやる、それからあとのことはそのときにならないとわかりませんではいけないので、もう少しはつきりとしたお見通しが御表明できないものであろうかということなんですがね。
  81. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 大変どうも説明が不十分で御了解頂けなくて申訳ないと思いますが、現在国内におきましても今後相当増産さるべき態勢は整いつつあるようでございます。先般重要機械類の輸入税を免除する政令に新らしく製紙用の機械を若干追加いたしました。これはこの機械を輸入することによりまして、国内における新聞用紙の増産を図りまして輸入の防遏を図ろうという趣旨も多分にございます。私どもといたしましては、今後におけるそういう措置に期待いたしまして、できるだけこういう高い外紙は輸入しないで済むようにあつてほしいと考えるのでございます。現在目下のところはどうも需給状況からして七千トンの輸入をしなければならん。而もそれが国内産よりも相当高い値段であるということを考えますと今回は一応免税しておかなければ工合が悪かろう、公益性に鑑みてこう考えたわけであります。
  82. 野溝勝

    ○野溝勝君 この際委員長に、今田村委員質疑のように物品税との関連を持つ故に、本法案審議は物品税法提案された際に合同審議をするようにお取計らいを願いたいと思うのです。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今野溝委員から物品税が提案されたときに合同審議をしたいというふうな御意見がありましたが、差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それじやそういうふうに取計らいます。  それではこの法案は他に御質疑がなければ。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 説明員のかたにちよつとお尋ねいたしたいのでございますが、今御説明なつた二番目の理由の中で、南西諸島との特別な、当分の間免税するというわけですね、その点につきましてこちらの物品を向うに輸出する場合に、やはり向うでも免税になつておりますか。
  86. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 向うでは現在関税はかかつておりません。
  87. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると相互相殺というわけですね。わかりました。
  88. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御質問もないようでありますから、この法案はこれくらいにしておきまして次に移ります。   —————————————
  89. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案、それでは説明してもらいましようか、それじや簡潔に政府委員説明をお願いいたします。
  90. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 御審議をお願いいたしておりますこの法律の要旨は、学校給食用のためにミルクを今までガリオア関係でいわば無償で頂いた関係のものを、今度は政府の金で買つて頂いて学童には従来通りの姿のままで供給してやろうという仕組でございますので、政府が買上げましたミルクを学童に渡せるような法律上のお許しと、その金を一般会計から食管のほうの特別会計に埋めて頂くその行き方。更にそれを府県に一応譲渡いたしまして府県が又それを学童に譲り渡さなければならんというような意味の規定と、又ミルクなりパンにいたします小麦及び小麦粉の原価以外に輸送費とか加工賃とかいつたようなものがかかります。その関係が学童の家庭から取立てられて政府のその関係に還元して来るという形を明白にさして頂きたい。而もこの仕事は御存じの通りアメリカから輸入をいたします関係から或る時間そこに実際の時間の通過が必要でございますので、その経過を見まして成るべく早く御審議を頂いて実際の運営に支障の来たさないようにお図りを願いたい。こういう次第でございます。
  91. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 別に御発言もないようですが、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議なしと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかに願います。  では御発言がないようでございますから討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議なしと認めます。  これより採決に入ります。学校及び保育所の給食の用に供するミルク等讓與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案を原案通り可決するごとに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全回一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例によりまして委員長に一任願います。それから多数意見者の署名をお願いいたします。   多数意見者署名     山本 米治  森 八三一     菊川 孝夫  小林 政夫     松永 義雄  野溝  勝     田村 文吉  伊藤 保平     大矢半次郎  岡崎 真一   —————————————
  95. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、これを議題といたします。政府委員説明を願います。
  96. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) それでは外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。  只今の外国為替特別会計法の規定によりまして、外国為替管理委員会の運営に関する事務は日本銀行に一部を委任することができるという規定があるだけでございますが、先だつて外貨資金の管理を受けますことになりまして、この外国為替管理委員会の日銀に委託しております仕事の一部を外国為替銀行にも再委任いたしまして事務を取扱わせることが、外国為替の円滑な運営を図ります上に是非とも必要でございますので、今回第六條に第一項を加えましてそういう再委任ができるということを法律上明示いたす必要がございますので、この一項を設けることを提案いたしたわけでございます。外国為替の管理権を委譲を受けます以前におきましては総司令部がこの管理権を持つておりましたので、その総司令部の委任によりまして外国為替管理委員会が事務を運営し、委員会日本銀行にこれを委任しておつたので、日本銀行及び外国為替銀行に委任いたしておつたのでございますが、管理権が外国為替管理委員会に委任されましたので、今度は外国為替管理委員会が本人になります関係上、どういたしましても為替銀行を復代理人に選任するということが必要になつて参りましたのでこういう改正提案いたしました次第でございます。
  97. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 別に御発言もないようでありますが。
  98. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつと簡單な質問なんですが、為替相場の闇相場というものがあるのですが、このことは幾多質問があつたと思うのですけれども三百六十円なら三百六十円ときまつておるのです、米国で今問題にもなつておるのですが。併し闇相場というものの現状は日本とアメリカとの関係日本と英国との関係、ボンドの値打、円の値打ですね、その実情を若し御存じでしたら一つ我々の知識の参考にお話願いたいと思います。
  99. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 只今日本の為替相場は為替管理法によりまして公定されることになつております。基準相場を政府がきめ、その基準相場と申しますのはドルと円の相場でございますがこれは三百六十円に公定されております。その基準相場によりまして裁定相場というものがきめられるわけですが、これは円とポンドの相場でございます。これも一ポンドが千八円という相場に公定されております。でこの基準相場と裁定相場を中心にいたしまして、実際為替管理委員会が取引をする相場及び外国為替銀行が顧客と取引というものは、為替管理委員会が定めることになつておりまして、これも公定されておるわけでございます。為替管理法によりまして相場が公定された場合には何人もこの相場によつて取引しなければならないということになつておりますので、これ以外の相場でもつて取引することは禁じられておる次第でございます。で、実情を見ますと、外国為替管理委員会の売買する相場は勿論でありますが、外国為替銀行が顧客と取引をする相場は、為替管理委員会がきめました相場によつて為替の売買をやつておるのでございまして、この点については何ら異例のことが行われるとは存じません。為替管理委員会のほうでも相場の励行につきましては、始終監督をいたしておりますしこの違反はないと思います。  ところで御承知通りなお日本の国内におきまして、外国の通貨或いは軍票なども殖えまして、こういうものが闇で取引されておるという事情は私ども承知いたしております。その人たちが闇で以て例えば軍票であるとか或いは米ドル紙幣を売買する相場、これを調べますと、何分闇の取引でありますのでなかなかはつきりした実情はつかめませんのでございます。まあその時時の状況によりまして本来三百六十円見当であるべきものが四百円になるとか、或いは三百八十円になるとかいうことがあるようでございます。尤も軍票につきましては取引の例はそう多くはないんじやないかと思います。それから米ドル紙幣につきましてもさようでございます。伝えられるような非常に広範な闇札の取引が行われておるとは考えられません。
  100. 松永義雄

    ○松永義雄君 私としましてはその闇相場から日本の円の実力がいくらかわかりやしないかというのでお尋ねしたわけなんですけれども、英国の商社なんかに行きますと四百円、五百円と聞いておるのです。又一体ポンドと円との関係でどういうふうな闇相場が建つておるか。建つておるとすればどれくらいの円の値打になつておるかということをお聞きしたいと思つて、そうするといくらか日本の円のこともわかり、英国のこともその方面からわかるというので御質問したわけです。ただその実情だけのお話、実際私の聞きたいのは円とポンドとの関係を聞きたいと思つておつたわけです。闇相場があるとすれば一体どんな見当なんですふ。公定は公定として公定に比較して闇相場はどれくらいのものか。
  101. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) ポンドの紙幣が日本で取引されるということは私ども全然聞いておりません。目下そういうものは恐らく取引はないと思います。ですからポンドに対する闇相場というものはないのじやないかと思つております。もつぱらあるのはドルに対する闇相場でございますが、これも御承知通り軍票は日本人は所持禁止になつておりますし、又ドル札の取引も為替管理法上禁止されて許可がなければできないわけであります。取引の範囲というものは極めて狭められておるのじやないかと思います。只今実勢がどのくらいになるかちよつと記憶いたしておりませんですが、時によつて非常に変動があります。非常に狭いものでございます。
  102. 山本米治

    山本米治君 ちよつと一点だけお伺いしたいのですが、この法律によつて外国為替銀行に再委任しようとしておられる事務の差当り主なものはどんなものですか。
  103. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 為替管理委員会の勘定に委員会に代つて資金を預け入れるという点が一つ。それか委員会に代つて委員会勘定から資金を支払うという、支払の指図をするということが一つ。それからもう一点は委員会勘定を引当にいたしまして信用状を開設する、その三つの点を予想しておるわけでございます。
  104. 小林政夫

    ○小林政夫君 外銀のユーザンスを原則として使わしておらない、一部大口のものについては許した例もあるようですが、それについてどういうお考えでそういうふうになつておるのか。
  105. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 外銀のユーザンスは食糧につきまして極く一分使わしております。そのほか一般の輸入につきまして外銀のユーザンスを使うことは輸入金融を正常化します点と、もう一つは輸入業者の資金コストを引下げるという点で望ましい制度のように思うのでございますが、この点につきましては今年の一月頃ポンドにつきまして実行いたしたきりでございまして、ドルにつきましてはまだ考えだけであつて実施の段階にまでなつておらないのであります。と申しますのは、まあ日本外貨資金が最近の輸出輸入の状況から見ましてかなり予想いたしました以上に現金が殖えた。従つて期限付で以てこれの決済をしなくとも十分アツド・サイトの決済で都合は付くということが一点と、もう一つはこの外銀のユーザンスをいたしますと、ユーザンスの期間だけ特別会計の円收入が繰延べられることになるわけでございます。只今のいわゆる日銀ユーザンスでございますと信用状を開きましてから約二カ月後に、つまり船積み書類が参りましたときに円が入りますので、資金繰りには関係がないのでございますが、ユーザンスを使いますと更に三カ月或いは四カ月円の収入がずれる関係がございまして、特別会計の円資金繰りが御承知通りかなり窮屈な現状におきましてそういう制度を今とるということが若干問題なもんでございますから、まだ実施の機に達していないわけでございます。
  106. 小林政夫

    ○小林政夫君 今外貨が、米ドルが相当溜つておるということは事実でありますが、併し大体輸入の時期としては大体戦前からもずつと一—三月に輸入が集中するというような傾向もあり、少々今ドルが溜つておると言つても国際収支の将来を見ればドル不足になるということが非常に心配されておるのであります。そういつた面から考えても外銀が折角與えてくれるというユーザンスであるならばこれを利用する途を今積極的にそれに合うような態勢を整えておくべきじやないか。今のうちからというふうに考えるわけですが、それについて何か、若しそのままユーザンスを、今のところは一応外為関係の円不足になるということが心配されるわけでありますので、インフレ要因も考えられるわけですが、方法はあると思うのですがね。それについて何かこうすればいいというお考えをお持ちになつておるのじやないですか。
  107. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 先ほど申述べましたように、輸入の促進をいたしますのにコストの点、或いは正常的にUCが出せるという点で外銀ユーザンスが非常に望ましいのであります。これの実施につきましては十分考慮いたしたいと思つておりますが、ただ只今のところ考えておりますのは、米綿の輸入につきまして、輸出入銀行からクレジットをもらうというような、金額にいたしましては、現在四千万ドルでございます。これは非常に長期でございまして九ヶ月以上、つまり米綿の輸入から加工を経て輸出綿製品が許されるまでそういう長期の繰入れでございます。而も金利は非常に安い、市中の金利に比べますと安いのでございまして、二分七厘五毛ぐらいがこれはまだきまつておりませんが予想されるのであります。これを話が整いますれば最近からの輸入につきまして実施いたしたいと思つております。ほぼごのクレジットの交渉は成立するのではないかという見通しを持つております。そのほかなお米綿のみならず一般のものにつきましても、お説の通り只今資金が相当豊富なようでございましても、輸入を相当の規模にやりますと資金というものは急激にやはり減少するはずのものでございまして、そういう点から睨み合せまして他のものにつきましても外銀のユーザンスを実施いたしたいというつもりでおりますが、まだそれらにつきましては実現の段階に達しておりません。
  108. 小林政夫

    ○小林政夫君 その折衝しておられるというあなたのほうの構想をできればお示し願いたい。ちよつとその前に大蔵大臣も予算委員会で為替銀行の機構について相当金融制度の体系の問題として、現在長期金融機関と外国為替の銀行と、この体系が今組んであるというふうに考えおるということでありますが、そういうことも関連して委員会として現在一応の御構想があるのじやないかと思うのでお請じ願いたい。
  109. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 委員会といたしましては、輸入の促進の点と、もう一つは会計の円資資金繰の問題と、両方を腕合せて考えなくちやなりませんので、円資金の状態は只今予算の補正をお願いしておりますが、これができますれば、本年度に関する限りは資金繰について或る一定の見通しを持ち得るわけでございます。それから又輸入の季節的なシーズンに入りますので、必要と認めればいつでもやれるように考案をいたしておるわけであります。ただ米ドル輸入全般につきましてユーザンスを行いますことは、非常に円資金の收入が大巾に遅延するわけでございまして、今商品を限りまして特に重要なもの、例えば鉄鋼石であるとか、粘結炭であるとか、或いは原油であるとか、数種或いは数十種にも及びまして、これを実施するという構想を持つておるわけです。できれば米ドル輸入、棉花を含めまして五〇%ぐらいは利用をしたいということで法案その他をいろいろ検討しておるわけであります。ユーザンスを與える側においてはもうすでにその以前から構想をいたしましてほぼ話はできておるわけであります。而もその條件その他の日銀の問題のユーザンスに比べましてインポーターにとりましても相当有利な條件であり得ると、そういうふうに只今予想はいたしておるわけであります。
  110. 小林政夫

    ○小林政夫君 この問題はいろいろありますが直接の法案関係ないからよしましよう。  次に為替の売買差益といいますか、委員会が収められる手数料につきましてこれが非常に金額が多いというふうに思うわけです。その点はどうしてもあのくらいのものを差益としてとらなければならないわけですか。
  111. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 売買とも三十五銭の手数料をとつております。これはたしか一昨年の十二月にきめましたとき、各国の機関が中値からどれくらいの開きをとつておるかということを見まして、先ずこのくらいなまば決して多くはないという点できめましたのですが、只今委員会といたしましても三十五銭のさやというものは決して大きいものではないと、そう考えております。大体この売買三十五銭のさやをとりまして、年間の売買収益、これが只今の売買料から申しますと約十億円くらいの収入でございます。委員会といたしましても、会計の独立採算という見地から見ましてこの程度の収益は是非とも確保したいと、そういうふうに考えておるわけであります。
  112. 小林政夫

    ○小林政夫君 正当な理由でですね、輸入が不可能になつたという場合においても一応手数料をおとりになるわけですね、これは何とか不可抗力で金融ができなかつたというようなときに返還するというような措置はできないものでしようか。
  113. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) これはまあ収入の機関といたしましては為替率等を会計をやつておるという点もございます。不可抗力で何か取引がキャンセルされたような場合に、この手数料をまけてやるということはちよつと取扱いにくいだろうと思います。むしろ問題は為替の売買規定、このマージンをどうするかという点にあろうかと思います。これらの点につきましてはなお只今木内委員長がヨーロツパのほうに参つておりまして、各国の例その他を検討して来ることになつております。帰りましてからなお十分検討したいとこういうつもりで実はおるわけであります。
  114. 小林政夫

    ○小林政夫君 是非御検討願います。
  115. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。……別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。これより採決に入ります。外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  118. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお諸般の手続は前例によりまして委員長に御一任願います。それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     山本 米治  森 八三一     菊川 孝夫  小林 政夫     松永 義雄  大矢甲次郎     岡崎 真一  伊藤 保平     黒田 英雄  野溝  勝   —————————————
  119. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に農業共済再保險特別会計における家畜再保險金支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、これを議題といたします。
  120. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 農業共済再保險特別会計に二億一千三百四十万二千九百円の一般会計からする繰入をするわけであります。家畜事故の中で、乳牛の結核牛の流行性感冒、馬の伝貧等は、過去昭和五年から二十三年までの平均の計数で申上げますと、それぞれ〇・〇一五%、〇・〇〇六%、〇・一四七%という非常に低い危險率でございますが、通常予想される事故のための再保險金の要支払額と申しまするものが、大体一千四百十七万九千余円程度で実はよかつたのでありますが、遺憾ながら昭和二十五年度の事故の実績は非常に乳牛の結核、牛の流行性感冒、馬の伝染性貧血という流行病がはやりまして、我々が予定いたしておりました平均の危險率いうものに対しまして、乳牛は三二六倍、牛の流感は九二・六倍、馬の伝貧は八・四倍というような非常な事故になつたのでございます。これに要する再保險金の支払額が二億二千七百五十八万二千六百円というように相成つたのでありまして、通常予想されました一千四百十七万九千七百円との支払の差額二億一千三百四十万二千九百円となるのであります。異常事故といたしまして家畜勘定の支払財源不足一般会計から補で心をお願いするというのが趣旨でございます。
  121. 松永義雄

    ○松永義雄君 牛馬税というのがありますね。御存じないですか、牛や馬に税金をかける。(「地方税だよ」と呼ぶ者あり)これは説明しなくてもわかつている通り生産的な牛馬に対して税金をかける、これくらい悪税はないと思うのです。これについて農林省は一体どう考えておられるか。まあ主計局がいないから。(「自治庁を呼べ、ほかの者では」と呼ぶ者あり)それではお答えできなければ(笑声)ほかの点をお聞きしたいのですが、今の共済金の負担の問題です。これが問題になつていることは御承知通りでありますが、農村が最近非常に財政が困難になつて来ていることは私が強調するまでもないと思います。一々数字を挙げなくてもいいと思います。農村は非常に負担が重くて昔のように負担軽減というような運動が漸次起きて来るのではないかということが考えられる。ところが米に対する共済の負担金が非常に重い。来年度においてこれは大いに考慮してもらわなければなりませんが、国家負担と農家負担の率、これはどういうふうにせられて行きますか。何か御意見がありましたら農林省にお聞きしたいと思います。
  122. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 水稻料率改訂は来年度その時期に当るのでございます。我々といたしましては、目下大蔵当局といろいろ予算の事務折衝をいたしております。料率改訂等につきましては、過去二十年の被害統計等によりまして、大体全国平均で申上げますと改訂料率が六・八二〇というふうに相成るのであります。現行の料率は五%〇五八という料率から比べますと、最近における異常事故その他が反映いたしまして相当料率そのものが高くなるのであります。これの農家負担、国家負担との釣合でございまするが、現在農家負担から申上げますと、大体水稻料率におきまして約三十九億三千万円、料率で申上げますと二形七六一というのが農家負担の実情でございます。今後の料率改訂におきましては、農家負担三十九億三千万円というものを一つ基準にいたしまして、農家負担の増大にならざるように農家負担、国家負担の区分を目下検討中でございます。
  123. 松永義雄

    ○松永義雄君 どれくらいの負担か、国庫と農家の負担区分の割合を研究中はよいけれども、どれくらいの程度にされるつもりですか。
  124. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 現在は国庫負担が四五%、農家負担が五五%というように政府としてはなつております。我々の今いろいろ考えております点は、安全率等を国で持つという前提の下に考えますと、国庫負担は六二%農家負担が三八%程度になるのであります。この料率の区分よりは農家負担の絶対額のほうが我々は大事じやないかというので、現行負担額総額を上廻らない程度で一つ料率改訂をいたしたいと思つております。
  125. 松永義雄

    ○松永義雄君 我々としては三対一くらいにして頂きたいと思う。国庫負担は三、農家負担は一くらいの割合で、国庫負担というのは七一%、農家としてみれば二九%くらいにして頂きたいと思つております。それはなぜそういうことを言うかというと、農家の最近の景況は数字の上ではつきりだんだん悪いほうに向つていることが見えておる。殊に米作の地帶だけの一毛作の所ではなかなか容易ではないというふうに想像されます。又米の統制を撤廃したら一体農家はどういうふうになるか、これは取りやめられたわけですが、統制撤廃でもされると昔のように屑米を食べていい米は出さなければならないというように農家はだんだん陷つて行きはしないか。そうしてくどく申上げるようですけれども、都会は金が集中し、且つ又昔のような時代が来た半面、農家はどんどんどんどん苦しんで行く。そうして負担軽減を求めて行き、税金を負けてくれ、或いは電燈料が高いこういうふうになる時代が来る。少くともそれは現状を見てもそれがはつきりしていると思います。一つできるだけ農家のために負担割合を少くして農家を助けるように努力して頂きたいということを希望いたします。
  126. 野溝勝

    ○野溝勝君 農業災害の家畜再保險の支払財源に充てるための一般会計から繰入れる法律案でございますが、本法案は家畜被保險者に対し当然の処置と思いますが故に原則的には私は賛成するものであります。ただこの際農業共済保險全般に関連のある問題として、一、二政府当局からお聞きして置きたい点があります。その一つは前年農業共済組合の行き詰り、赤字補填の利子補給の予算を計上したのでございます。それで共済組合もちよつと息はつきましたが、依然として被保險者に不便と不安を與えております。御承知のごとく予算の多くは人件費にとられておるのでございます。かようなことでこの共済組合の精神、性格に対しましては非常に共感をし、私はこの法案の創始者となり大いに期待をしていたのでありますが、遺憾ながらこの法の持つ性格であります農業社会保障制、いわゆる農業災害保障制としての性格が期待を裏切つておるのでございます。そこで特に私が指摘するまでもなく講和後の農村の方向は世界農業との太刀討ち即ち競争をしなければならない近代化の方向へ努力をしなければならぬと思います。農業は土地改良を軸心とする近代化、これは当然やらなければならぬと思います。併せて世界農業と太刀討するには、如何に生産費を少くして、能率を上げ、それで品質を改良して行くというような点に工夫と創意を凝さなければならぬと思います。そのときに当つて今の農家の事情を分析いたしますると、実際容易でないのです。それはどこに因があるかといえば経済事情にあるのでございます。特に農民ほど危險な仕事をやつておるものはないと思うのであります。お天道様が仕事の対象となつております。天候の自然條件を相手にしておるのでありますから、これほど不安の仕事はないと思います。そこでこの天候の自然條件を相手にし、四つに組んで仕事をしておる農民でございますから、この大きな自然條件というものに対する不安は絶えず付きまとつております。それに対する心配を除く一つの方法としてかような共済制度というものができたのでございますが、ところが実際においてこれが先ほど申した通り徹底しておりません。現行制度は、大体国が七、農家が三ということになつておる。大体予算の総額が少いので誠に不徹底だと思つております。ところが聞くところによると、来年度におきましてはむしろ国家負担を減らして、農家負担を多くしようというような考え方の下に作業をされておるということを聞いておるのでございます。かようなことで若しあるとするならばこれは非常な重大な問題でございまして、特に今農村経済が非常に不安で、将来講和條約成立後において海外貿易が活発になり、その一番先に影響をこうむるのは何と言つても農民だと思うのです。その矢先、若し農民に負担を過重されるようなことに事実なるとするならば、これは許すべからざることだと思うのです。まさかそんなことはないと思うが、仮りにそういうような方向について農林当局、大蔵当局の間に話合いがあつたとするならば、この際はつきりお知らせ願いたい。それによつて質問を継続したいと思います。幸いにして私の不安がないとするならば質問をこれで手切ります。希望だけにいたします。その点農林当局から先きにお伺いして置きたいと思います。
  127. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 水稻等の事故等が最近災害その他が多いために共済掛金率そのものが上りますことはこれは止むを得ないかと思います。先ほど申上げましたように六・八二〇というようにこういう標準率が上りましたのを、これを農家と国のほうでどう負担するかというような問題でありますが御了承願いたい点は、従来反当五千三百円平均で考えておりましたのを来年度には五千七百円パリテイ等の値上りを考えまして平均で五千七百円程度に絶対額を上げておりますので、負担率というものと負担額というものが又変つて参ります。案といたしましては先ほど申上げましたように大蔵当局と今折衝中でありまして、本年度の負担率というものを基準にいたしまして、この上りました全体で百億円くらいある金額をどう負担するかという問題を、先ず農家の負担を合理的な線で一つ維持するということを中心にしまして目下折衝中であります。
  128. 野溝勝

    ○野溝勝君 農林当局は折衝中と言いますから、大蔵当局の御意見を聞きたいと思います。
  129. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 農業共済の掛金率の改訂に伴いまして、農家と国庫とどうするかという問題でございますが、先ほど農政局長が言われたように、できるだけ合理的な線において利用者が負担するということについては、私ども別に異議があるわけではありません。ただ明年度の予算編成の途次におきまして如何ようにいたすかこれはいろいろ予算全体にからんで来ることでありますので、只今確定的なことは申上げられませんのでありますが、いろいろな他の共済制度その他との関連において十分考えてみたいと思つておるわけであります。
  130. 野溝勝

    ○野溝勝君 後で私は議論をしたくないと思いまするので、この際質問し明らかにしておきたいと存じます、先ほど農政局長又主計局長の答弁通り掛金の殖えるのは止むを得ないと思う、併し料率の点については現状の比率を維持して行くのかどうか見解を承わりたい。
  131. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私は農家の掛金全体を合理的な線に置いて負担して頂くように考えたい。その合理的な線とは具体的に如何なるところになるかという問題は、まだ予算全体がきまつておりませんので、その際において十分検討して行きたいとこう考えております。
  132. 野溝勝

    ○野溝勝君 先ほど松永さんの御心配したのは私と同様この点にあると思うのです。これ以上農家の負担率を多くするということは、全く農家の生産を低減するだけでなく、農民に希望を失わせることになります。今の情勢からいいまして掛金の少し殖えるということは止むを得ないと思います。併し共済制度の意義からしても、むしろ政府のほうにおいて負担を多くして頂きたいというのが私どもの希望なんです。農業団体の希望なんです。併しそれを一挙に目的通りに行くというのは日本の財政から見てなかなか容易でないことも承知しています。だから今即時解決を図ろうとはいたしません。併し少くとも現状よりは農家の負担が多くなるというような本制度と矛盾せる料率の改悪決定に対しましては、遺憾ながら賛成することはできないのです。今主計局長の御答弁はわからない、私は。合理的という言葉は理解できますがこの場合の合理的とは基本的感じが保險の負担料率を替えないという点において合理的な方法を考えてみたいと解釈してよいか。さようであれば、私はそれで質問を打ち切りたいと思いますが、さように解釈して差支えないのですか、
  133. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 先ほども申上げましたように、反当りの共済金額も上ることであります。その場合において農家の負担がどの程度が適当であるかという点を勘案いたしまして全体的にきめて行きたいと、こう考えておるわけであります。
  134. 野溝勝

    ○野溝勝君 主計局長に現実の問題として特にあなたの御考慮を促したいと思います。と申しますのは、改正されんとする負担料率で行きますると、長野県の場合には負担が莫大になる。というのは、現在国の負担が三〇%農家負担が七〇%が逆になつて来るわけですね。かようなことになりますると、これ長野県は今まででも負担の分担から申しましても全国平均負担を非常に上廻り損をしておるのでございますが、今度は、又負担が増してくるのであります。でありますから、かようなことになりますならば農家としては実際堪え得ないことになるのでございます。私は特にあなたの御留意を願いたいと思います。更に長野県は養蚕地帶でございます。従来は異常災害に対しては国が八分の七を負担していたのでございます。ところが改正案によりまするというと、国が四六%農家の負担が五四汚ぐらいになります。これは異常災害の場合です。以上は長野県の例でございますけれども、全国をおしなべてそういう傾向にあると思います。特に單作地帯などは御承知のごとくに奨励金も、或いは従来の加算金も廃止になる。昭和二十六年産米におきましては二千五百五十万石の供出に当り、政府は奨励金も成るべく努力するという程度にとどまつております。具体的に数字も示しておりません。かようなわけで、農家は手をもぎとられ、足をもぎとられ、おしまいにはだるまみたいになつて歩かなければならんという状態で働くこともできませんから生産は勢い減退すると思います。こういう点は單に大蔵省の予算技術という点だけでなく、本当に日本の生産者の地位というものが如何に重大であるかということを十分お考えを願いまして、一つ最悪の場合にも従来の負担料率を基準にして共済事業を推進してもらいたい、こう思つておるわけです。これについて一応くどいようでございますが、農林当局は先ほど東畑局長が申されたように、今日までの料率区分を限界として努力するということについて、今後も努力を継続するという御意思をこの際具体的に明らかにしてもらいたいと思います。
  135. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 共済掛金標準率そのものにつきましては、我々大蔵省当局と別段異論はないのであります。負担区分につきましては、やはり財政その他農家負担等と関係がございますので、まだここでははつきり申上げるに至りませんことは甚だ遺憾でございますが、我々としましては先ほど申上げましたように、料率そのものは、絶対額が変つておりますので、仮に料率を下げましても農家の負担は殖えるのであります。従つて農家負担そのものを合理的の線で維持したい、こういうことを申上げておるわけであります。そのことにおきましては大蔵当局と折衝する熱意を持つておるわけであります。
  136. 野溝勝

    ○野溝勝君 どうも先ほどの答弁と少し違つたように思うのです。というのは、掛金の殖えるのはこれは私どもは或る程度止むを得ないと思うのですこれは是認するのですよ。併し掛金の殖えるということとそれから料率の違うということとは、これは農家の合理性を持つということにはならないと思います。この点は非常に私は数字的にどういう技術を現わすか知りませんが、その点は三歳の童児でも大体わかると思います。掛金はとにかく殖えても自分のふところに入る率が多ければ私はこれは農家の経済としては損失でないと思います。掛金が少くても農家のふところへ入らないということになるならば、これは農家の利益にはならんと思います。そこで私は掛金の少し殖えるということはこれは間違いないと思います。だけれども料率の点についてはこの七、三の率を、現在の区分率を変えるということになりますならば、農家経済としては非常な影響をもたらすことである。特に被害のある地方はそれは少しは変つてもいいかも知れません。併し全国的におしなべて大体共済保險には実際大して恩惠を受けておらないのであります。そういう点から見て私は料率だけは農林当局は最善の努力を払うということに意見を統一してもらわんことには、我々農家の立場から見てどうしてもこれを承認することはできないと思います。これについて更に東畑局長の一段の御努力を願いたいと思います。なお河野主計局長にも一つ、農家の事情をあなたも御承知だと思います。特に私政府に御厄介になつておるときに、農村の事情から土地使用税の問題についてずい分あなたがたとは意見が対立いたしました。併し結局あなたも農村の事情をとくと御承認を願いまして、最後は私の案を承認して下さつたのでございますが、今回もあなたは主計局長になられて、そうしてそれぞれ財政方面を検討されまして、如何に農村が彈力がないかということは十分おわかりだと思うのです。どうか私がくどく申すようでありますが、この料率区分だけは是非変えないように、一段と御努力をお願いするということによつて私はこの質問を打切りたいと思うのでございます。
  137. 森八三一

    ○森八三一君 農業の共済保險といいますから、今いろいろ率の問題で御議論があつたのでありますが、この際一つ私はこの問題につきまして基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。と申上げますのは、農業の災害を補償するということが趣旨であるわけでありまして、結局野溝委員からもお話がありましたように、米麦等の主食を生産するということが日本の国情から考えまして如何に重要な問題であるかは、もう今更申上げるまでもございません。更にこれを拡大いたしまして、国内自給が完成するような程度にまで推し進めて行かなければならんという、極めて切迫した必要に追られておることも申述べる必要はないのであります。而も日本の農業は気象的な関係で災害を避け得ないという状況に置かれておるのでありまして、そういうことから生じまする災害の負担が一部でも農家に課せられるということは、結局それが米価なり麦価なりに跳ね返つて参りますることでありまして、そこにいろいろの問題が更に派生して来ると思います。そういうような考え方から申しますれば、むしろこれはいわゆる国家的な災害補償という点に強く指向されて然るべきではないか。端的に申しますれば共済制度ではなくて国が丸抱えで補償をして行くことが日本の置かれておる食糧問題の解決ということの最終目的を達するためにも非常に重要な私は問題ではないかとこう思うのでございますが、基本的な考えについて、ただ財政の現状から考える場合にはいろいろ農民の負担も止むを得ないということもあるかも知れませんが、基本的な考えとしては一体どうお考えになりますか、そういう点を一つお伺いしたいと思うのであります。
  138. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 只今の御意見誠に御尤もでございますが、現在の農業災害補償法はやはり末端は農家の一つ共済制度というものを自治的に作りまして、勿論これが災害の多い村、災害の少い村等がございまして、全体としてのこれをやります場合においてはどうしても共済ならざるを得ないのであります。あくまで農民の共済制度というものを基盤にいたしまして、その上に国がなるたけ災害が多かつた場合にこれを掛金を負担することによつて填補して行く。勿論異常事故等が起りました場合に国家の再保險料で足りない場合は当然これは国が支出する責任を持つておるわけであります。料率そのものにつきましては六対四というような比率になつておりまして、異常事故の起りました場合には完全に責任を持つということでこれをなして行きたいというように実は考えておる次第であります。
  139. 森八三一

    ○森八三一君 今お伺いしましたのは現行法の農業災害補償法に基いてということを前提にいたしまする場合にはお話通りと思うのであります。併し私の申上げましたのは日本農業の持つておる、殊に米麦という主食の問題に関連いたしまして、その異常な飛躍的な生産をここに増強しなければならんことと、日本農業は避け得ない天然的な災害というものを宿命的に持つておるということと、それからその負担というものが米価、麦価に織込まれて来るということから生ずる経済的の問題を考えまする場合には、而もそれが全国画一に起きる問題ではなくて地域的にいろいろな差がある問題でもありますので、これは全部国の力で補償をして行くというようなことに補償法を変えて行くのが本筋ではないかというように考えますが、そういう考え方は一体間違つておるのか、やつぱりこれは普通の保險という観念で律すべきものかという基本的な考え方なのです。日本農業というものの特質に立つて考えた場合に一体どちらが正しいのだという考え方一つ伺つておきたいと思うのであります。
  140. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 我々といたしましても災害の起りました場合にこれを国家が完全に補償して行くということは勿論必要だと思いますが、災害の中にもいろいろなまあ例えば病害でも通常的なものがございます。通常災害的なものにつきましてはやはり農家自身がこれの事故を防止して行く、事故を防止する努力によつて生産を挙げて行くということもやはり農政上必要ではないかというように実は考えておりまして、そういうもの等につきましても、やはり農民自体がこれの責任を以てやられてはどうか。その上の異常的の風水害とか病害等による事故につきましては飽くまでこれを国が完全に責任を持つて参るということで実は考えておるのでありますが、将来だんだんとこのパリティ等で米価等が上りました場合に、又事故が非常に多いために農家負担等が非常に上つて来るということ自体が保険制度そのものを危殆ならしめる虞れがありまして、我々としましては何かこれの根本的な考え方等につきまして今いろいろ検討をいたしておるのでありますが、その考え方は飽くまでやはり農家自体が或る程度の通常的なものにつきましては自分で責任を持つて行く、異常なものにつきましてはなるたけ完全に国が補填をして行くというような方向にやはり立案したほうがいいのじやないかという根本的な考え方は実は変つていないのでございます。
  141. 野溝勝

    ○野溝勝君 関連してちよつとお聞きしますが、あなたの言う通常災害と異常災害の限界ですね。じや異常災害はどういうもの、通常災害はどういうもの、こういう通常災害に対しては農家みずからこの災害に対策をつけて行け、こういう御意見のようでありますが、一体あなたの考えておる通常災害というのはどういう範囲です。
  142. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 通常標準被害率という実は概念がございまして、これは過去二十年の被害統計等から相当敷衍数字で一応計算をいたしまして、県別或いはグループ別に標準被害率という概念を実は出しております。この標準被害率までは保険制度で申上げますればその県における共済組合連合会が責任を持つという制度なつておるのであります。掛金のほうは通常掛金の一部、異常掛金の一部を農民が負担しておりますが、保険責任というものは通常標準被害率までは農民の団体である共済組合連合会が責任を持つということになつております。標準被害率なるものは何で区分するかと言いますと、何分保険数理の問題でございまして、私から御説明してもなかなかむずかしいと思います。
  143. 野溝勝

    ○野溝勝君 ではこの際時間の関係もありますから通常災害に対する限界の一つ資料を提出してもらうことにいたしましよう。
  144. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは資料の提出をお願いします。
  145. 森八三一

    ○森八三一君 今局長のお話の通常災害と異常災害と申しますか、これは恐らく資料を御提出になるのでありまして、それを拝見してから申上げにやならんと思いますが、恐らく私はこの災害というものにつきましては農家の努力によつて防ぎ得るというものではなくて、これは宿命的に避けがたい一種の災害である。ただその程度が強いか弱いかというだけで区分されておるのじやないかとこう思うのでございます。そういうようなことであれば、これはただ観念的に分けるきりで、分けることがおかしいのじやないか、全面的に農業災害というものは異常災害であつて国が補償すべき性格のものじやないかと思うのでございますが、そういうものじやございませんですか。
  146. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 実はこういうものは被害統計からいろいろ制度を作つておるのでございまして、或る県における、例えば過去二十年の被害率統計等をとりますと非常に被害が少い年と、非常に被害の多い年、又冷害等で非常に殆んど収穫皆無のような状態の年といろいろございます。おのずからそこに被害率等に地理的な、又事態によつて区分がございます。そういう区分等が或る一つの法則でつかみ得るのであります。そういう年と通常被害的なものにつきましては或る程度これは農家自身が努力をして一つ責任を持つてもらうという一つの計数が出るのでございます。こういうもの自体も全部国が負担をしろということになりますと、相当の財政負担等もございますし、この制度そのものの建前が又変つて参ります。只今のところここまでは国の責任にしないという考えがいいと思います。
  147. 森八三一

    ○森八三一君 最後に希望として申上げたいと思うのですが、局長も先刻本質的には国が全部負担をするということが好ましいというような御見解であつたように思いますが、私は日本農業の本質的なものから考えまして、ここにいう農業災害は共済制度ではなくて、国の補償制度に将来は改めて行くべきであると確信をいたすのであります。そういうことで今後も一つ十分御研究も願い、御努力も願いたいと思いまするし、そのことが国庫負担でありましても結局国民の全体の負担の軽にも直接の主食代その他をめぐつて軽減にもなるということでありますので、好ましい方向ではないかと考えるのであります。そこで只今野溝委員からお話がありましたように、明年度はいよいよ五カ年間を決定すべき率の改訂の年にぶつかつておるわけでありますので、ここで変に率がきまりますると、申上げまするような理想のものからますます遠ざかつて行つてしまうということになるわけでありまするのて当面いたしておりまする率の改訂という問題は、私はひとりただ單にそれが生産農民の利害という問題ではなくて、及んで消費大衆にも非常な影響を持つて来る重大問題であると思うのであります。そこで大蔵当局と御折衝になつておると申しまするが、すでに昭和二十七年度の予算というものについては、昨日も承わりますれば大蔵大臣とドツジさんとの間に交渉が展開されておるように承わるのであります。率の問題は一方で協議されておるけれども、予算総額がその筋の了解を得てきまつてしまいますると、予算総額のほうから抑えられてしまつて、率の改訂ということが拔き差しならんはめに追込められてしまうという危険が多分に私は伏在をしておると想像するのであります。国の負担する災害補償、農業災害の補償充足金は幾らであるということに金額のほうでドツジ公使の話が進んでしまつて、一方で事務的に率の問題は折衝されておるが、その率の問題は金額の総額からもう抜き差しならんはめになつてしますて、結局野溝委員のおつしやる農民の負担が結論的には増させるという結果を生む危險が多分になるのじやないかとこう思いますのです。これは大蔵委員会の審査事項ではございませんが、農林委員会等におきまして一刻も早く、農林省といたしましてはこの率の問題について民意のあるところを十分聞いて(「賛成」と呼ぶ者あり)予算の結果が生まれるということをやつて頂きたいという希望を申添えまして質問を終ります。
  148. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありまするが、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)……別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。農業共済保険特別会計における家畜再保険金の支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、本件を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例によりまして委員長に御一任を願います。  なお多数意見者の署名をお願いいたします。多数意見者署名   黒田 英雄  伊藤 保平   田村 文吉  岡崎 真一   大矢半次郎  野溝  勝   松永 義雄  木森八三一   菊川 孝夫  小林 政夫   —————————————
  152. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) では次に食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、これを議題といたします。政府側から簡単に御説明願います。
  153. 清井正

    説明員(清井正君) 只今提案になりました法律案につきまして簡單に御説明申上げます。  政府の、本年度生産いたしました米及び麦が農業パリティが上昇いたしましたことによりまして、その後の当初の予定よりも価格引上げられましたということが一つ理由と、それから昨年産の米麦に対しまするところの追加払、或いは運賃、保管料等、いろいろその後の食糧管理特別会計におきます経費が増加いたしましたので、そういつたことを勘案いたしまして、本年八月におきまして御承知通り米麦の政府の売却価格改訂をいたしたのでございます。その際考慮いたしました事項といたしましては、本年度の末におきますところの食糧証券の発行高を千二百四十億という年度当初の発行高にとどめておきますということが一つと、それから本年度におきます年度末の現金収支を均衡させるという二つの理由からいたしまして、この政府の売却価格によつてそのまま消費者価格引上げるということになりますと、約二四%の大幅な引上げ相当することになつたのであります。併しかくのごとき二四%という大幅の消費者価格引上げということは、諸般の事情に鑑みまして余り消費者に対して一般の過重になるということに鑑みまして、結局この消費者価格引上げは、いわゆる本会計の支出純増見込を本年八月から約一カ年の間に回収をするという建前の下に本年の八月に政府の売却額をきめたのであります。従つてそのために当初二四%という計算上出て参りました消費者価格を結局一八%程度の上昇によつてとどめることにいたしたのであります。かくのごとく政府の支出増とそれに見合うところの収入という関係が、年度の関係においてちぐはぐになつ関係がありますので、こういつたことを見合いまして収支を計算いたしました結果、結局本年度末におきましては、食糧管理特別会計といたしましては約百五十億の収入が不足するということに相成つた次第であります。この百五十億円の収入不足につきましては、一方業務用の砂糖を入札によつて売却いたすということによりまして、約五十億円の増収を期待することができますので、その百五十億より五十億を差引きましたところの百億というものを本特別会計に繰入れますれば、結局収支がきちつと補填されるということになりまして、年度末の現金収支は均衡を保ち得るということに相成るのであります。これが本特別会計に百億円を一般会計より繰入れるところの理由でございます。
  154. 森八三一

    ○森八三一君 これに直接関連した問題ではありませんが、一つ食糧庁のほうにお伺いいたしたいのは、二十六年度の当初予算の審議に当りまして特別会計という政府の御説明では、一応予算編成上六千百六円という米価を想定いたしまして、諸般の作業の行われたことは説明もあり御承知通りであります。六千百六円という米価の想定された内容につきましてもその当時御説明があつたのでありまして、基準年次の平均米価二十七円十六銭に想定、パリテイ指数の一九五をかけて出まする五千二百八十七円ですか、それに一割五分の特別加算額を加えて、更に予算にございます早場米奨励金三十億円の石当り相当額を控除して、残りの金額とそれに包装費を百九円を加えて、六千百六円に想定したという御説明があつたようにお伺いいたしておりまするが、そういう御説明はあつたのか、間違いないのか、その点を一つ先ずお伺いしておきます。
  155. 清井正

    説明員(清井正君) 正確には記憶しておりませんが、六千百六十円を決定いたしましたる根拠は只今お話の大体通りであります。
  156. 森八三一

    ○森八三一君 恐らく六千百六円という想定米価につきましては、今ここに資料をお持ちになつておらんのではつきりしたことはわからんがそうであろうということでありまして、これは間違いないと思うのでありますが、そういう想定米価が基礎なつて二十六年度の予算が編成されるということにつきましては、その内容等につきましてもドツジ公使との了解が十分にできて説明があつたものと私は了解いたしております。ところが最近伝えられておるところによりますと、パリティ指数が九月末で二四八・〇四になつたから七千三十円という価格政府が発表になり、二十六年産米価には達しないというようなことを政府当局のほうでお話なつておる模様でありますが、二十六年度当初予算編成の当時に説明された條件を、二十七円十六銭の二四八・〇四のパリテイ指数をかけて、それに一割五分の特別加算額を加えて、それから三十億円の予算、早場米奨励金の石当り想定額を控除して、それに包装費を加えますると七千三十円を割るというのではなくて、遥かに七千数百円にならなければ理論的に一致をいたさない、計算上七千数百円になるんだということが明白でありまするのでありまするが、当初予算説明のときに説明ざれた條件をどういうように、知らんでおるうちに変更になつてしまつたのか、その辺のいきさつがありますればお話を願いたいと思います。
  157. 清井正

    説明員(清井正君) 只今の御質問の点でございますが、只今お話のございました通り、本年度の予算編成の当初に当りましては、基本のパリテイにより算出いたしました価格に一五%加えまして所要の包装費、当局がやつたこととして差引きまして、更に早場米奨励金に相当する百円程度のものを控除するということで計算いたしたのでありますが、その後本年の八月に新たなる消費者米価を決定いたします際におきまして、この麦類の価格を決定する際に当りまして、当然それに伴いまする財政上の問題その他いろいろ勘案いたしまして、当初一五%加増するように計算いたしましたものを、それを五%にいたすということに当時決定に相成りまして、只今説明申しました通り七千三十円なり、本年の麦類の価格なり或いはそれに伴いますところの米価価格が決定になつておるのでございまして、結局お話の一五%加算の点が五%になつておるということに基きまして、計算上七千三十円になるということになつておるわけでございます。  なおこの点につきましては成るほどパリテイはお話通り二五〇と想定をいたしましたのでございますが、実際は二四八・〇四ということでございますので、それに所要の計算をいたしますると裸計算で七千円ちよつと切れる数字になるのでございます。併しながら私どもといたしましては、是非ともこの点は当初の見込通り七千三十円ということにいたしたいというふうに考えまして、いろいろ先般から考究を重ね折衝等を続けておる最中でございまして、未だその点については本決定になつていないようでございます。併しながら私どものほうといたしましては、只今申上げました通り七千三十円ということによつて進めて参りたいというふうに考えております。いずれにいたしましても本問題は近いうちに開かれます米価審議会等におきましても十分御審議を願いまして、本年産の米価価格が最後的に決定するものと考えておる次第であります。
  158. 森八三一

    ○森八三一君 今お話を承わりますと、特別加算額の一五%が五%になつたとおつしやいますが、二十六年度の予算の説明のときは、ドツジ公使の了解を得て一五%というものをお示しになり、一五%というものは農業再生産を維持して行くために当然必要なものであるという確認と申しまするか、そういう信念に基いて一応説明のあつたものが、消費者米価を決定するときに突如として五%になつてしまうということはどうしても私には理解ができないのでございます。一五%を農業再生産上必要と考えて了解を得て説明もなすつておるものが、加える必要はないという積極的な理由の御説明があつて、これが五%に圧縮されるということでありますれば、これは十分理解をしなければならんと思うのですが、何う説明なしに財政上の都合というだけで再生産が危殆にひんするような方向に一方的に変更されてしまうということは非常に遺憾と思います。そこでこの問題は直接の関連事項ではございませんので、これ以上質問をすることを私はとりやめたいと思いますが、特に食糧庁といたしましては重大な米麦等主食の生産、その流通等につきまして全責任を持つておやりになつておることでありますので、一たん決定をいたしまして広く生産農民にも徹底をいたしまして、殊に経済的に関係を持つ條件等につきましてその変更等をなされるという場合には、生産意欲を減退せしめないように十分理解させてその取扱をして頂くということでありませんと、影響するところが私は非常に大きいと思います。ただ財政上の都合だけであつてはならんのでありまして、飽くまでも国内食糧の確保という基本線を維持拡大して行くという基礎を強く進めて行かなければならんと思いますので、十分一つ御善処を願いますと同時に、決定さるべき二十六年産米価につきましては、当初確定いたしておりまするものが確保せられまするように努力を頂きますることを希望いたしておきまする次第でございます。
  159. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は基本的な質問は予算委員会でやりましたからやりませんが、数字で予算書の明細書によると一般会計よりの金額が百八十一億八千三百万円ということになる。この原案のままで行くと、百四十三億四千八百万円、これから学校給食用を予算のほうから引いてみても数字が合わないのですが、その数字の食違いの点を政府委員から説明してもらいたい。
  160. 清井正

    説明員(清井正君) ちよつと只今の御質問の点は百八十一億八千万円の……。
  161. 小林政夫

    ○小林政夫君 その次です。学校給食、これを引いてもまだ多いですね、それはどつちでもいいんですが、この百四十三億円が百八十一億八千万円のうちなんでしようけれども、この百四十三億は何と何かということです。
  162. 清井正

    説明員(清井正君) ちよつと待つて下さい。只今の御質問でございますが、百四十三億四千八百六十六万一千円というものの中には、只今お願いいたしておるところの百億と、それから当初いわゆる農業保険関係で繰入れることになつておりますところの四十一億六千百六十四万五千円、更に今回の農業保険関係で新たに加わりますところの一億八千七百一万六千円、この三つの合計に相成つておるわけであります。
  163. 小林政夫

    ○小林政夫君 質問ではありません。この法案の取扱い方についてですが、私予算委員会で大蔵、農林両大臣に質問をし、これを検討する上においての資料を要求いたしております。まだ資料の提出がないのでありますが、而も重要な予算の審議とも関連いたしますので、予算審議の状況と睨み合せて本法案の処置を御決定するようにお願いいたしたい。
  164. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは本案につきましては又次回に御質疑を続行願うことにしまして本日はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) なお議事進行につきまして本日委員長及び理事の打合会をいたしましたその結果を御報告申上げます。  一、所得税法人税及び租税特別措置の三法案一つ二十四日(来る土曜日)までに質疑終了。二、二十六日(来週月曜日)に採決することにいたしましたから御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは本日の委員会はこれを以て終了いたします。    午後三時五十五分散会