○
政府委員(
平田敬一郎君)
只今お手許に配付しておりまする
新旧対照表、これに基きまして各條追いまして若干補足しまして御
説明申上げたいと存じます。
最初にお断りしておきますが、
現行法と書いておりまする
事項の中には、目下別途に御
審議願つておりまする、前
国会に
提案いたしました分は、一応織り込みまして、その上で書いておりますので、その点御了承願いたいと存じます。その点は註をつけなければならないところでございまするが、私からその点特にお断わり申上げまして御
説明申上げたいと存ずる次第でございます。
最初に
條文の順序で申上げますが、三條の
関係におきましては、
提案理由の御
説明に申上げましたように、今回
配当所得に対しまして二割の
源泉課税を行うことに相成
つたのでございますが、従来は
源泉課税はございませんでしたので、
外国人が、
外国人といいますか、精密に申しますと、
本法施行地に住所又は一年以上の居所のない人が
配当所得を受けます場合には何ら
課税がなかつたわけでございますが、今回は二〇%の
課税を受けることになるわけでございます。併しながら今
社債につきましては
外貨で
取得しました
社債には、外資の導入という見地を考慮いたしまして二〇の
税率を一〇に引下げているのでございますが、やはり
配当所得につきましても同様な待遇を與えますのが今の
日本の
情勢においては妥当であろう、こういう
考え方からいたしまして、
外貨を以て
取得しました
株式の
配当所得に対しましては、百分の二〇の
税率を百分の一〇に逓減するというのが第三條の
改正でございます。
それからその次に第
五條の二、それから第五号の三
並びに第
五條の四、この四つはすべて同
趣旨のものでございますが、今までは
外国人の受けまする、
特定の
外国人、全部ではございません、
日本の
経済の復興上望ましい
事業に従事するような
外国人の受けます
給與所得と、
退職所得につきまして、
特例を設けておりますことは御
承知の
通りでございますが、そのうち
退職所得につきましては、実は今回
相当この
所得税の
臨時取得税で、大幅の
軽減措置をとることにいたしますので、もはや
一般の
所得と同じようなこの
優遇措置を認める必要もなかろうというので、
退職所得に対しまする
外国人の
優遇措置は今回やめることにいたしまして、そのための
改正をいたしましたのが、今申上げました
五條の所から
五條の四までの
規定の
改正でございます。すべてそういう
趣旨の
改正でございまして、それに必要な法文の修正を行
なつておる次第でございます。
それからその次は四ページの
五條の五でございますが、この
規定は
法人と
個人を通じまして
規定を設けておるのでございまして、そういたしましてすでにこれは御
承知の
通り近代化に役立つような
特定の
機械設備等を
取得いたしました場合におきましては、三年間その次の
償却の五割増の
償却ができるということに現在
なつております。でございますが
償却はあくまでも各期それぞれ五割増の
償却をしなければ、
最初の期の五割の
償却できなか
つたのを、その次の期に繰延べることはできないことに現在
なつております。
ただ三年たつてなお
償却が
不足をした場合におきましては、その
償却不足額は後の二年を引続いて
償却できる、こういうことに現在
なつておるのでございますが、どうも少くともその点は会社の実際の
状況等から見て嚴に過ぎはしないかということを考えて、今回の
改正では
法人につきましては、
最初のこの
事業年度で五割増の
償却できなかつた場合におきましては、その
償却不足額はその次の
事業年度におきましても、直ぐ
繰越を
償却できるように、そういう
改正をいたすことにした。
個人の
償却は御
承知の
通り毎期々々
法律で定めた
償却額を必ず
個人が
計算すると否とにかかわらず
損金を差引くことに
なつておりますので、
繰越の問題を生じないのでありますが、
法人におきましては御
承知の
通り償却として計上しなければ
損金を認めないことにいたしております
関係上、このような
改正を加えることにいたしたのでございます。で、そういう
趣旨でございますので、この
個人の
條文と
法人の
條文とを書き分けまして、第
五條の五は
個人所得税の
関係、それから新らしい第
五條の六が今申上げました
法人のこの
特別償却の
関係の
規定に相成るのでございます。なおこのほか先般申上げましたように、別途にこの五割増の
特別償却を更に
重要産業について設けるという問題がございますが、これは別途に取進めることにいたしまして、今度の
措置法のごの
規定の中には、織込んでないということを御了承願いたいと思います。
次は六ページ目でございますが、この六ページ目に第
五條の七の
改正の
規定がございます。この
規定が今回の
措置法の
改正の
事項のうち一番大きな項目だと考えておる次第でありますが、
価格変動準備金の
制度を新らしく導入いたしまして、
法人の
経営並びに
経理を最近の
経済情勢の
変動に対応し易くしまして、
経営並びに
経理の
円滑化を図ろう、こういう
趣旨で新たに設けた
規定でございます。即ちいずれも
個人も
法人も認めることにいたしておるのでございますが、両方とも
青色申告を提出するものでなければならないということが
一つの前提でございます。そういたしまして
期末におきまする
棚卸資産につきましては
期末の
時価の一割まで
準備金に繰入れることができる。
有価証券につきましては、
株式は
価格の
変動が激しうございますのでこれは
棚卸資産と同様に一割まで
準備金に繰入れることができる。但し
社債等は
時価の
変動がそれほど激しくございませんのでこれは五分以内で認める。
国債につきましては、更にこれは
政府の債務でございますので、貸し倒れになるというような予想をするのもちよつと合理的でございませんので、
国債につきましては認める必要はなかろう、こういう
考え方で
有価証券につきましては、今申上げましたように、
株式は一割まで、
社債につきましては
時価の五分まで
価格変動準備金を設けまして、それを
準備金勘定に繰入れればその
事業年度の
損金に算入しておく、こういうわけでございます。但しこれは毎期
累積するということになりますと非常に不合理でございますので
累積はいたしません。各
事業年度ごとにそういう
計算をいたしまして常に積立てるべき額を
計算して行く。つまりこの
法律の行き方からいたしますと、その次の
事業年度に一遍
損金に繰入れました
棚卸準備金を
利益金に入れてもらう。そうして新たにその期の
期末におきましてそれぞれ
計算した額を
損金に立てることができる。従いまして一割に達しまして、将来
棚卸資産なり
有価証券に増減がなくて
価格も同じだということになりますと、一割まで一遍やつてしまうとそれ以上はできないということになるわけでございます。併し
時価の一割まで特に含みを持つということになりますればそれ以上
累積は認める必要はなかろう、こういう
趣旨からいたしましてそのようにいたしておるのでございます。
〔
理事大矢半次郎君
退席、
委員長着席〕
その点が一点申上げたいのと、それから今一点は一割乃至五分まで一挙にこれを認めますと、実は
相当大きな
利益の減になる
企業がございまして、それは少しいくら何でも行き過ぎだという
考え方でありまして、一割とか五分に達しまするのは二年後ということにいたしております。各
事業年度ごとに四回に亘りまして逓増して行きまして二年後に一割、そこで打ちとめる。
最初の
事業年度におきましては、一割の分は二分五厘、その分の
事業年度は五分まで、三回目の
事業年度は七分五厘まで、四回目の
事業年度に至りまして一割までの
準備金を繰入れることができる。
社債につきましても同様な意味におきましてその半分ずつ程度の逓増をする、そういうことでこの
規定を設けることにいたしておるのでございます。やや細かいことでございますが、これは実は
法人企業の種類によりましては
相当な損益に
影響がございますので、このような方法をとりまして
企業の
経営の実態に即すると同時に、余り
負担の不公平を来たさないように両面から考えましてこのように
規定を設けた次第でございます。
それからその次は八ページ目でございますが、第
五條の九、第
五條の十、第
五條の十一は、それぞれ
條文を挿入しました
関係上、若干
條文をずらし
ただけでございまして
内容の変更はございません。
第九條に
一つ三項といたしまして新しく設けましたのは、
森林法によりまして森林の立木の伐採
制度を受ける場合に、
農林漁業資金融通法の
規定により資金の貸付をなす場合でございます。この場合におきましては、
抵当権を設定することになりまして、新しく登記するという問題が出て来る。その登記する場合におきましては、
抵当権の登記をなす場合におきましては、普通の場合は千分の五でございますが、これは特別な
伐採制限を受けました一種の公益的見地から、特別に資金の融通を行うということに相成りますので、千分の五の
税率を千分の一に
軽減する、そういう
改正をや
つたのでございます。
それからその次の十四條の
規定は、先ほど申しましたように、若干まだ
審議中の
條文の
一つに属するかと思います。第一項は
提案のままでございますが、第二項と、それからその次のページの第十六條、これは二つ一緒に御
説明いたします。この二つの
規定によりましてさつきちよつと申上げましたようにこういう
趣旨の
改正を加えたい。で、都市計画法などによりまして、補償金をもらいませんで耕地整理又は昔のいわゆる区画整理の場合におきまして補償金を金でもらわないで、代りに土地をもらう、つまり土地の
交換と申しますか、そういう場合には何もそれぞれの所有者は現金を入手しない、土地だけが
交換になる。そういう場合におきましては、どうもやはりよく考えてみますと、その際に
所得税は勿論免税しておる、再
評価税だけでも
課税するのは少しどうも行過ぎだろうというので、土地同士の
交換の場合におきましては、これは強制でございまするので、その際には再
評価税も
譲渡所得税も
課税しないでおきまして、新たに得ました土地が次に移つた場合に
課税しよう、その
課税する際に新たに得た土地の原価というものを前の土地の原価と見て
課税する、つまり土地の中味だけが変りまして、
課税の上におきましては前の土地を引続いて持つていた場合と同じような
課税関係におこう、こういう
改正でございます。つまりもう一遍申しますと、区画整理なり耕地整理の場合におきまして補償金をもらわないで土地を
交換いたしました場合におきましてはその際には
課税しないでおきまして、新たに得た土地を更にその後売却したり相続したりしたような場合におきまして、それぞれ讓渡したものとして
課税しよう、こういう
趣旨の
改正でございます。なおその際に細かく申しますと、一部補償金をもらう場合がございますが、その場合におきましては、その補償金をもらつた限度の額は再
評価税だけ
課税する、現物でもらつた部分は今申しましたように後でその現物を処分したときに
課税する、こういう
趣旨にいたすことに
なつておりまして、最後に申上げました
事項、十四條の三項でございますが、なお詳細按分
計算等にむずかしい問題もございますので、更に細目は命令で細かく書くことにいたしております。それがこの第十四條と第十六條の
改正規定でございます。第十
五條は同じく
法人が持つております場合の同様の
規定でございまして、実体といたしましては今私が申上げましたことに大体盡きると考えておるのでございます。
それから最後に十一頁の十七條でございます。これは現物を国又は
地方公共団体に贈與しました場合におきましては、二十五年度の
改正でやはりその際に
譲渡所得税と再
評価税を
課税することにいたしておるのでございますが、これはどうも少し
負担の実情からしまして行過ぎではないかというので、国又は
地方公共団体に寄附しましたような場合におきましては、現物を寄附しました場合におきましては、
個人の場合といえども
譲渡所得税及び再
評価税を
課税しないという
趣旨に
改正しようというのが第十七條の
規定に
なつておるのでございます。
以上が本文の
改正規定でございまして、なお附則にはそれぞれその
規定の適用になる時期を明らかにいたしておりまして、それから先に申しました経過的に一割と五分に達するのはどういうふうに順次持つて行くかということもそれぞれ
規定しております。
以上御
審議を願いたいのでございます。