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1951-11-12 第12回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長            平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            黒田 英雄君            山本 米治君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            松永 義雄君            小林 政夫君            田村 文吉君            菊田 七平君            森 八三一君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省管財局長 内田 常雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省管財局外    国財産課長   佐々木庸一君    農林省農政局農    林保険課長   鵜川 益男君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○国家公務員等旅費に関する法律の  一部を改正する法律案。(内閣提  出) ○関税法等の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○農業共済保険特別会計における家  畜再保険金支払財源に充てるため  の一般会計からする繰入金に関する  法律案内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)(第  十一国会継続) ○小委員の選任の件 ○連合国財産補償法案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは大分遅れましたが第十回の大蔵委員会を開催いたします。ここに書いてあります国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案関税法等の一部を改正する法律案、これは予備審査農業共済保険特別会計における家畜再保険金支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案予備審査、この三案を議題といたします。この三案について提案理由説明を聴取して頂きたいと思います。
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  現行国家公務員等旅費に関する法律に定める外国旅行のための日当宿泊料食卓料及び支度料定額は、全権委員等のように特殊な使命を帯びて旅行する者に対し支給する旅費といたしましては妥当な額ではないと思われましたので、先般の平和条約締結のための会議に際しまして、同法の規定に基いて、臨時に、政令をもつて金権委員等に対する旅費定額一般の場合よりも増額いたしたのであります。  併しながら、かような措置は、最近の国会において法律改正されるまでの暫定措置でありますので、今国会において改めて御審議を願うため、この法律案提出いたした次第であります。  次に農業共済保険特別会計における家畜再保険金支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  昭和二十五年度おきましては、農業災害補償法に基く家畜共済の対象となつております牛及び馬について、乳牛結核病及び牛の流行性感冒並びに馬の伝染性貧血が異常に発生し、これが支払財源といたしまして二億一千三百四十万二千九百円の不足が生じたのであります。  併して、この支払財源不足は、通常予想することができない異常な事故により生じたもので、保険料率改訂によつて収支均衡を計るべき性質ではなく、又、農業災害補償制度趣旨に鑑みましても、この支払財源不足一般会計からの繰入金をもつて補てんすることが、適当と考えた次第であります。  次に関税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由を御説明申上げます。  この法律案は、関税法関税定率法及びとん税法等の一部を改正しようとするものでありますが、その改正の主要な点は次の三点であります。  第一点は、平和条約発効に伴い、条約第二条の規定により、明確に外国となる地域につきましては、関税法関税定率法及びとん税法上も外国として取扱うことを明らかにいたしました反面、条約第三条に規定する北緯二十九度以南南西諸島及び小笠原群島等につきましては、本邦領域であることを明らかにするとともに、引き続き、当分の間これらの地域外国とみなして、これらの地域との間に出入する船舶及び貨物につきましては、すべて関税法規適用しようとするものであります。  第二点はう従来北緯三十度以南南西諸島生産された物品につきましては、輸入税を免除することとしておりましたが、平和条約発効後は、只今申し述べました北緯二十九度以南南西諸島及び小笠原群島等地域生産された物品について輸入税を免除することにするとともに、その免税に関と必要な事項は、政令で定めようとするものであります。  第三点は、最近、新聞用紙国内における需要の増加に対し、生産がこれに伴わないため緊急輸入を必要といたしておりますのに加えまして、海外より輸入される新聞用紙価格国内産のものを上廻り、これに対し関税を課しすることは、これが用途から見て適当でないと考えられますので、暫定措置として明年三月三十一日までの輸入について、現行一割の輸入税を免除しようとするものであります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その内容説明を御聴取願います。
  5. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 只今提案になりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案内容を御説明申上げます。  現行旅費法によりますと、大体海外旅行の場合の日当宿泊料は、せいぜい一日二十四、五ドルでございます。又支度料も大体最高で十万円、非常に低額でございますので、先般のサンフランシスコ平和会議に派遣されました金権委員及び全権委員代理等旅費につきましては、この定額を若干上廻る金額を定めることが適当であるということになりまして、特別の政令を以て措置いたしたわけでございます。金額につきましては、全権委員等が大体日当宿泊料は総額を五十ドル、全権委員代理は三十ドル、随員が二十五ドル。支度料については、全権委員が二十万円、全権委員代理が十五万円、随員が十二万円、大体こういうふうな旅費が支給できるように定額改正いたしたわけでございます。ところがこの政令国家公務員等旅費に関する法律附則第十項の規定に基きまして、単なる臨時的措置として出された政令でございまして、同じ法律規定によりますると、そうした臨時的な政令は、その後の最近の国会法律化しなければならないという規定がございますので、今回この政令法律化いたしまして提案いたした次第でございます。以上御説明申上げます。   —————————————
  6. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に関税法等の一部を改正する法律案につきまして、その内容説明を御聴取願います。
  7. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 只今政務次官から提案理由の御説明がございましたが、更に私から若干補足いたしまして御説明申上げます。  現行関税法第百四条、それから関税定率法の第十二条、噸税法の第四条には、それぞれ「本法適用ニ付テハ本州北海道四国九州及命令ノ定ムル其附属島嶼以外ノ地域ハ当分ノ間之外国ト看做ス」と書いてございます。これを今回の法律案におきましては、「本法適用付テハ本州北海道四国及九州以外ノ本邦領域政令ノ定ムル地域ハ当分ノ間之外国ト看做ス」と書いてございます。従来の規定によりますと、朝鮮、台湾、樺太等講和条約第二条の規定におきまして当然日本の領土でなくなつた地域も「当分ノ間之外国ト看倣ス」となつてつたのでありますが、平和条約発効に伴いまして、第二条の地域はこれは「看倣ス」という問題ではなくて当然外国であるというわけでございまして、その「看做ス地域からは除外するように書き直しましたのと、もう一つ講和条約第三条の規定地域、即ち北緯二十九度以南南西諸島、それから孀婦岩の南の小笠原諸島、南鳥島、沖の鳥島、これらの島々につきましては本邦領域であることは明らかでございますが、信託統治問題等と関連いたしまして、まだ我が国の行政権がこれに及んでおりませんので、引続き「当分ノ間之外国ト看做ス」ということにいたしまして、これらの地域と内地との間を往来する船舶及び貨物につきましては関税法規適用を受けしめようという趣旨でございます。  それから第二点の改正点は、只今申しました規定によりまして、本邦領域政令の定める地域外国とみなされますが、この外国とみなされた地域生産された物品輸入税政令の定めるところによつて当分の間免除できるという改正でございます。これが現在の規定では関税定率法附則の第四項を見ますと、「南西諸島生産に係る物品で、政令をもつて定める原産地証明書を添付するものの輸入税は、当分の間、免除する。この場合において南西諸島とは、関税定率法第十二条の規定によつて外国とみなされる北緯三十度以南南西諸島」というようになつておりましたが、今回の規定におきましては、北緯二十九度以南南西諸島のほか講和条約の第三条によりまして、信託統治に一応予定されておりますような地域全部を政令規定いたしまして外国とみなすけれども、ここから来るここで生産されました物品につきましては、輸入税を当分の間免除しようという改正でございます。  それから第三の点は、新聞用紙につきまして、現在一割の輸入税になつておりますのを、来年の三月三十一日までの間暫定的にこれを免税しようという提案でございます。最近新聞用紙ページ数が相当増加いたしまして、大体月々四千三百万ポンド程度新聞用紙需要があるのでございますが、これに対しまして国内生産量一般新聞巻取紙及び新聞用紙の代用をせられるところの紙を合せまして、大体三千八百万ポンド程度でありまして、月月五百万ポンド程度輸入を必要とするような情勢になつたのでございますが、その価格CIF価格におきましてトン当り二百六十五ドル、即ち九万五千四百円、これをポンド当りに換算しますと、四十七円七十銭でございますが、現在の国内価格苫小牧製紙あたりでいたしておりますのがトン当り七万二千円、それからその他中小メーカーまで入れますと、大体トン当り八万二千円から八万五千円程度価格でございまして、仮に今度輸入いたします分につきまして関税を免除いたしますにいたしましても、なお外国紙のほうが高いという状況なので、新聞用紙公益性に鑑みまして、暫定的に年度一ぱいだけ一応輸入税を免除しておこう、こういう趣旨でございます。以上が本案の大体の御説明でございます。   —————————————
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に農業共済保険特別会計における家畜再保険金支払賦源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内容説明を御聴取願います。農林省農政局農業保険課長
  9. 鵜川益男

    説明員鵜川益男君) 提案理由説明が済んだようでございますので。
  10. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 説明はもうお済みになつたのですか。ではもう一度詳しく課長さんから御説明願います。
  11. 鵜川益男

    説明員鵜川益男君) 家畜共済、これは御承知のように農業災害補償法というものが昭和二十二年の法律で新しく発足しておりまするが、家畜保険といたしまして、昭和四年に法律ができまして、昭和五年以来二十年の歴史を持つてつておりまする家畜保険、これが災害補償法の中では家畜共済という名前でやつておるわけでございます。でこの種類といたしましては大体大家畜である牛馬を中心にいたしまして三つの種類に分けてやつております。第一が死んだり用に立たなくなつたり、即ち死亡廃用共済、それから第二が病気なつたり怪我をした場合、疾病傷害共済、第三が胎児の関係でございまして、生産共済、かような名前を以てやつておるわけでございます。この制度家畜共済という名前になりましてからも国会のほうでいろいろ整備充実をお願いして参り、現在家畜の中で特に牛馬につきましては、相当任意共済から強制共済に近い形にこの決議によりましてこれをやろうということでございますると加入義務を生ずるような、義務加入制度にまで牛馬についてはやつてつておるわけでございます。  でこの家畜共済につきましては、従来料率を大体四年ごと改正しておるというようなことで、ほぼ長期の均衡を得てやつて参りましたのでございますが、御承知通り終戦後、家畜衛生の思想が徹底いたしません。又いろいろ道徳的な、モーラル・リスクと申しますか、そういつた面保険事業としまして異常な事態が生じて参りましたわけでございます。それが特に二十五年には、ここにお願いしておりますような非常な従来の危険率、こういつたものとは丸でけたはずれの事態が起つたり、で今までずつと長らく二十年間も考えで参りました被害率では賄い切れんような異常な事故が起つておるというわけです。これは特に牛の流感、結核及び馬の伝染性貧血病というものが二十五年度に殆んど従来の考えでは及びもつかなかつたような非常な発生を見ておるという点につきまして、一応これをば異常な事故として扱つて参るということにいたしましてここにお願いいたしましたように二億一千三百四十万三千円というもので、これは国の再保険特別会計の赤字の分でございますが、この分をばこの際異常のものとして扱つて一つ一般会計から不足補填して頂きたい。かような考え方でこの案を出した次第でございます。  それでどのような異常の現われ方をいたしておるかという点につきまして簡単に御説明いたしますると大体過去におきまして即ち昭和五年から二十三年のずつと長い平均危険率、これは危険率と申しますのは、事故頭数事故が出ました頭数、これを割ることの経過頭数、そのときのかかつておりまする頭数保険にかかつております頭数、これは一年間いつでもいいわけでございますので経過頭数という観念が一つ必要なわけでございますが、簡単に申しましてその一年間に保険にかかつておる頭数割つた率でございます。この平均危険率で申しまして過去の例が乳牛結核で〇・〇一五%、それから牛の流行性感冒が〇・〇〇六%、馬の伝染性貧血症は〇・一四七%、かような率を示おしてるわけでございます。大体こういつたところから考えまして二十五年の予想事故頭数を申しますと、乳牛結核で大体十一頭、牛の流行感冒で七十七頭、馬の伝染性貧血症関係では八百八十二頭程度かようの予想を持つておりました。ところが二十五年の実績を申上げますると、乳牛結核事故頭数は三百五十九頭、即ち予想に対して三十二倍と六、率にいたしまして〇・四八九%、牛の流行性感冒は七千百三十六頭、これは九十二・六倍、約九十二・六倍になるのです。率にしまして。〇・五五五%、又馬の伝染性貧血症関係は七千四直二十八頭、八・四倍、パーセントにいたしまして一・二三四%、かようの次第でございます。御承知通り末端組合共済掛金を払いまして、それを今度は連合会保険関係を結び、その上で政府が再保険をやつておるという形でございました。この制度でございますが、再保険の要支払額として一応今申した実績を申しますと二億二千七百五十八万二千六百円ということになりまするので、前段申しましたような予想事故で考えておりました要支払額千四百十七万九千七百円、ここに要求いたしましたように二億千三百四十万二千九百円超過しておるというので、かようのことをお願いしたわけでございます。私どもといたしまして、相当な末端組合団体が特に昨年度の牛の流感等異常の発生につきましては非常な事故防止に当つたのでございますが、こういうような本当に曾つて見ざる今までなかつたような異常の場合でございますので、一つこれを特例として扱つてもらいたい、で大体四年ごと料率改訂の点から申しますると、二十六年度料率改訂の時期になつておりまして、本年度即ち本年の六月一日から新らしい料率改訂したわけでございますが、この点につきましては二十五年の実積が当時まだはつきりしておりませんので末端から吸い上つて参りますものですから、従いましてこの間の改正につきましては二十三、二十四の両年度の実積を以てやつております。で又こういつた病気につきましては、今申した通り戦後の異常の事故でございますので、従来長い経験からしましてもこういつたものをむしろ異常の分としてはつきり扱つてもらいたいと、かようなことで現在方針としては考えております。   —————————————
  12. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは三案に対する説明もお聞きになつたのでありまするからそのうちの国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきまして御質疑を願います。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつとお尋ねしたいのでございますが、今国家公務員等旅費に関する何が出ましたが、これは全権委員全権委員代理とその随員だけになつておりますが、これは大使公使というような分はどういうふうにするおつもりなんでしようか。
  14. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) お答えいたします。今回の措置は特に講和条約締結のために派遣される、講和条約と申しますか国際条約締結するために派遣になりまする全権委員及びその代理、首席、随員、ということについてきめたもので、ございまして、一般大使公使につきましては現行基準通りで当分の間運用することになつております。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 こういう国際会議に必ずしも全権委員として行く場合ばかりじやなしに、昔からよくあつたが全権大使というわけで行つたわけです。そういうものとの開きをどういうふうに考えておられますか。
  16. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 現在正式に条約締結をいたします場合、たとえそれが平和条約でありましても、漁業条約でありましても、これは条約締結のために派遣された使節は一応全権使節という扱いでやつております。特命全権大使或いは特命全権公使という呼称がありますが、これは一般的に外交関係で国を代表して参ること郷使節で、いわゆる普通の外交使節でございます。従つてこれが性格において若干の相違があるわけでございます。一般外交使節の分につきましては、現在は先ほども申上げましたように、国家公務員等旅費に関する現行法律規定運用をいたしております。併し将来正式に外交関係が復活いたしまして、正式の大使公使というものが外国に置かれるということになります場合には又改めて再検討する必要があるのではないかと思つております。現在はまだ大公使はございません。
  17. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねするのは、これはまあ最高額でありましてあとは大蔵大臣の定める額、これは例えばフイリピンへ今後賠償の全権に行く、或いはインドネシアに行くというのとアメリカへ行くのと大分金額が違うということになるだろうと思います。その大蔵省で定める額というものは政令でどういうふうに定める方針であるか。その点についてはこれは為替相場その他によつてやるのか、或いはニューヨーク或いはワシントンに行くのとマニラに行くのと朝鮮に行くのとでは同じ全権の資格で行きましても、宿泊料その他ずつと違うと思うのですが、そのときには甲種、乙種というようなものをこしらえるつもりであるか。一々そのときどきに大蔵大臣が勝手に定めることができるのか、それとも政令なり何なりに基いてきめて行くのかどうか、その点についてお伺いしたい。
  18. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この全権委員等の将来に派遣されます場合に、この最高額範囲内でどつちかに運用するかという御質問と思いますが、これは現在現行旅費等日当宿泊料等において外国における物価差建前にして区分しております。それと同じような方針によりまして、例えばロンドンに行く場合、パリに行く場合それぞれ大体先方における物価状況並にその会議性格というようなものを考えてその都度決定して行きたいという方針になつております。  それからもう一つの御質問のこれを政令でやるかどうかという問題でございますが、この法律建前は一応大蔵大臣と諸官庁との実質的には協議できめて行く、個別的な問題としては一々政令では取上げないという建前になつております。
  19. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大体旅費規定というようなものをそのときどきの大蔵大臣の判定によつてきめるということはおかしいのじやないかと思うのですが、というのはそのときによつてはどうにでも大蔵大臣がきめ得るわけです。これはアメリカサンフランシスコや或いはワシントンあたりへ行くのはこれを目標にしているだろう、これは何といつても一番高いから。その次に今度はインドネシア或いはフイリピンへ行くのとでは随分違つて来るだろうと思います。これは大蔵大臣の肚一つでいやこれはこの辺にして行こうというふうに支度料にしたつて何にしたつて、インドヘ行くのとサンフランシスコに行くのとでは大分違うと思いますけれども、その点を政令でも全然きめずに何を標準にしてきめるということも書かずに、ただ大蔵大臣がきめるのだというのはちよつとおかしいと思うのですがどうですか。そういうきめ方はないはずですがね。
  20. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 旅費の決定は、確かにこの分だけは大蔵大臣がきめるということになつておりまして異例かと存じます。現行法律自体におきましては、大体各種旅費最高額だけきめましてその範囲内の運用は各省庁大蔵大臣協議できめるという形になつております。それを今回全権委員の問題だけにつきまして特に大蔵大臣が定めるということになつて異例のようでございますが、これは別にこの運用に当りまして大蔵大臣が恣意的に運用するということをいつているのでは、ございませんで、客観的な物価状況でありますとか、その使命重要性というものをいろいろ考えまして、同時に使節の派遣される各省庁の御意見伺つてその上で決定いたして行きたい、かように考えております。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはあなたのほうではそういうふうに考えているけれども、この法律建前から行くと、池田さんの一流のやり方で行くなら、何にも関係大臣協議するということは全然法律にございませんから大蔵大臣の権限できめましたと言つてしまえばそれで実際済むことになるのですね。或いは物価差、そのときどきのその土地事情、或いは使命重要性というようなことを全然書いてないとすれば、私のお尋ねするのは政令でそういう内規をこしらえるのか、或いは大蔵大臣の達というような恰好でそういうものをこしらえて来たのか、そういう点をお尋ねしているのです。全然そういうものを考えておらない、ただこれだけの法律だけで政府はその都度その都度きめて行くのか、こういう方針をとるのかどうかということをお聞きしているので、若しそういう内規とか達というようなものを考えているならば、どういうふうにこしらえようとしているか、試案があつたら示してもらいたい、こういうことを聞いているわけです。
  22. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 運用方針をどうきめるかという御質問でございますが、先ほど申上げました客観的な物価の条件、或いはその土地事情、これは大体客観的な要素でございまして、さきほど大蔵大臣が懇意的にきめるといたしましてもなかなか実際的には行かんのじやないかと思います。実際の運用に当りましては十分相手方意見も取入れて運用して行く。そういう方針でやつておりますので、そうした余りにかけ離れた低い額をきめるというのは、異例は起り得ないのではないかと思つております。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたは起り得ないのじやないかとおつしやいますが、これに一般的に行くものの身になつて、支給を受けるほうの身になつてみなければならんと思います。これではひどい、大蔵大臣のきめ方はひどいと言つても、全権には任命され、或いは議員には任命されてしまつた、さてマニラに行け、ニユーデリーに行けということになつたら、旅費のことで今のような殆んど……自分の与党の者だけが行くというじやなしに、今後公務員なんかも相当行かなければならんことも出て来るのじやないかと思います。外務省の職員のかたなんかもどんどん行かなければならんと思いますが随員ということになりましてね。そうなつた場合に大蔵大臣がその都度或いは全権随員との差、この比率なんかも今までは全権全権委員代理、それから随員の比率は一応きまつております。今後この比率等も変更もできることになる。すべて最高だけをきめてこれだけであとは自由裁量で以て、例えば最高額を越えない限りにおいては、どうにでもその開き等もきめられることになつておりますが、そういう点も一応その土地々々によつたならば、せめて全権全権委員代理随員との比率はこれによつてきめるとか、そういう点も考えなければけらんと思うのですが、そういう程度はこれは大蔵省内規なりなんなりできめて、はつきり明らかにしておくことは是非必要だと私は思うのですが、あなたはそう事故は起らないと思いますと言つてしまえばそれまでだけれども、今まで旅費等が法律できまつたつてそういうふうな内規とか政令というものは用意されておつて、そうしてこういうふうに政令できめるからというので、この法律は一応通つているわけです。これだけは何にも用意していない。ただ単にサンフランシスコ全権委員派遣の場合を考慮した場合にはそれでもいいと思いますが、今後の場合はそうサンフランシスコの場合のような工合にばかりは私は運び得ないと思いますが、その点について一つお伺いいたしたいと思います。
  24. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 只今の御質問の点は誠にその通りでございまして、これはできるだけ公正に運用して行くという方針に変りないわけでございます。ただ今回のこの政令の条文を法律化いたします場合は、大体政令で語つた文句その通り法律に移して行くということでございますので、その方針従つてこういう文句を作つたわけでございます。個々的な運用方針につきましてこの際政令を出すということは、なかなかこれは細かいことでそのときにならなければ実際問題としてどうなるかわからないというような条件もございますので、政令まで出す必要と申しますか、事実上としてできないのじやないかというように考えられます。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今そういうお話でございましたら、大体これはサンフランシスコ全権派遣の場合は政令で以て処置されておるのに、わざわざ法律でこれをきめなければならんという理由はどこにあるのですか。その個々の場合によつてきめて行くというのならそれは政令で一向差支えない。これは法律でコンクリートにしなければならん必要はどこにあるのですか。
  26. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 本来旅費定額は行政的な権限といえども勝手にやるべきものでございませんので法律でやらなければならん、これは建前でございます。ただ国会閉会中におきまして急に突発な事件が起りまして法律でどうしても出せないというような場合には一応政令で以てきめることができる。これは現行旅費法にあるわけなんであります。この現行旅費法を先般政令で出したわけであります。その場合には必ずその次の国会で以てこの政令法律の形に置き替えなければならないということは、これもやはり現行法律に書いてございます。その意味におきまして、今度法律提案いたしたわけであります。前回政令で定めましたこと自体を法律で慣用されておりまする最小限度の処置というふうにお考えになつていいと思います。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこの旅費法によつて定められておるところの政令によつて処置した面を、あとでこれを法律化するという処置として改正法律案が出たのだと、こういうふうに解釈していいのですか。ただその法的な手続上の問題であつてこれは将来を考えた問題ではない、ただ一つ法律的な処置としていわゆるあと始末をやつたものだ、率直に言うと。そういう意味でお出しになつたのじやないのですか。ところが私見てみますと、全権委員の特殊性に鑑み、これらのものに支給する日当定額改訂する必要がある、こういうふうにあなたのほうは言つておられるのだが、第何条によつて処置しなければならないために出したのだ、サンフランシスコ会議のあと始末として出したい、こういうふうな話ならわかるのです。そうでなく将来にこれを適用するために一応きめておくのだという意味で提案されているのです、理由を読んでみますと。
  28. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この全権委員旅費は、先般のサンフランシスコ会議のときに急に問題になりまして、定額改訂いたしたわけでございますが、同時にこれは将来全権委員等が派遣される場合の一般的な規定一般なつまり法律……、何といいますか、一般的な取極めである、両方の性格を持つておるわけでございます。法理論といたしましては先般きめましたもののあと始末でございます。併し中味といたしましては将来派遣される全権委員全般に又適用がある、こういうことになります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今実際にはサンフランシスコ会議のあと始末というのですが、あのときなぜ法律を出さなかつたのですか。あのとき十分法律を出す余裕があつたのです。それで政令でいけないというのなら、あのときどうして法律を出さなかつたのですか。大体国会議員が国家公務員になるためには、あれは法律によらざればなれないということになつておるわけです。これはそういうのは別として、あのとき当然、あなたが起案されたというのですから、あのときなぜ国会に出さなかつたのですか。
  30. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 全権委員等旅費に関する政令が施行されましたのは八月の末でございまして、当時は国会はたしか閉会中でございまして御審議を頂くわけに参りませんでした。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 全権承認の国会が開かれたでしよう。そのときなぜ出さなかつたか。
  32. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) その増額の話がきまりましたのはそのあとでございまして、当時としては一応増額するかどうかという問題が出ておりましたので、旅費の面で以て増額するかどうかという問題が若干ございまして承認のこの国会には間に合わなかつたのであります。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはなぜ私くどく御質問申上げるかと申しますと、そうたくさんかからなくてもいいような、先ほどからも何回も繰返して申しましたニユーデリーだとか、或いは今後一番考えられるのはマニラあたりへ行かなければならんことになると思うのでありますが、その場合にもこの最高額をきめておけば、なおワシントン並に出そうと思えば出せる、又減らそうと思えば減らせる、而もそれを自由に大蔵大臣が定める額に定めるというようなことにしておいたのでは、これはそのときそのときの、特に今言われたようなそのときの物価、その土地物価の状態、或いは使命の重要度から考えてやるんだということを言つておりまするけれども、そういうことはこの法律には何も定めてない。ただこの範囲内で大蔵大臣が定めるといつている以上は、大蔵大臣が今度定める場合は何によつて定めるのかということだけは、はつきりどこかで謳つておかなければ、幾らでも逃げ口上が出るわけです。大蔵大臣が自由に定めるところのその権限でございますから、ということを言えるわけでございます。従いましてこれは政治的に利用しようと思えばできる、こういうことになるわけです、将来として。この点について旅費の定め方にそういう定め方をしてあるのは私はないと思うのですがね。
  34. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 実は旅費の全般の問題としまして金額のきめ方というものは大変むずかしいものでございますので、現行法律におきましても、旅費定額は一応法律の別表として掲げております。例えばアメリカ合衆国の場合でございますると、日当宿泊料三千六百円、そういうように上つておるのでございますが、実際の運用におきましてはこの定額範囲の内でそこまでかからなかつた場合には下げるというような、各省の長がきめました方針従つて実情に応ずるように運用しておるわけでございます。これは旅費法全般の建前からもそういうふうになつておるのでございます。この全権委員等の場合におきましてもやはり一応最高額は掲げております。併しその後の運用は、先ほど申上げました物価とかいうような一つの客観的なもので運用しておる、特に今度の金権委員等旅費は、現法の旅費がこの金額では足りないから少し殖やすということになつておりますので、少くとも現行法律金額、最低金額を割ることはないわけであります。その上で具体的な場所場所の運用はどうなるかと申します。と、現在の旅費法におきましても日当宿泊料というものは地域別に一応区分した金額が定まつております。そういうような比率があるわけでございます。そうした比率などを考えまして、今後の全権委員随員旅費というものが運用されて行く、従つて一時的にこれを決定するということは万々ないと確信いたします。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは最後にもう一点お伺いするのは、戦前に大使とか公使とか国際生活が盛んな当時に、一体全権などの場合の派遣の旅費規定は一体どういうふうになつておるか、その点を一つ説明願いたいと思う。御検討の点も参考としてこれを起案されたと思いますから。
  36. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 戦前と申しますと、私ども戦前の最も最近の資料といたしまして昭和十八年当時の特命全権大使の場合を一つ参考に申しますれば、当時は日当二十三円、宿泊料七十七円、合せて百円でございます。当時の物価比率、為替相場の換算二十三ドルといたしまして、更にそのままアメリカにおける物価の上昇率を見るということになりますと大体四十ドルでございます。つまり昔の定額を基礎としてそのまま為替相場物価の変動というものを考慮いたしますと、大体四十ドルを特命全権大使がもらつていた、そのままで参りますと、今日でも四十ドルもらわなければならん。特に先般のように重要な講和条約のような条約締結に行くときには、かなり、一般的な特命全権大使より更に若干上廻つた五十ドルくらいのところを持つて行かなければならない必要があろう、そういう思想を述べたわけであります。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いやそれを私はお伺いしているわけではなくて、派遣される会議の性質、並びにその派遣される地域等の差を全然きめずに大蔵大臣の定めるところによつて最高額だけはきめて、あとは大蔵大臣の定めるものだけで、政令も何も定めてなくてそのままにしてあつたかどうか、その点をお尋ねしたい。
  38. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 戦前におきます旅費規則では、外交官の分は地域別に、又身分別に日当宿泊料定額がきまつておりまして、その範囲内の運用は外務大臣に任されているわけであります。
  39. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、この大蔵大臣が額を定めるということと、今外務大臣が本当はその運用をするのが本当ではないですか。この点について。
  40. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) これは大蔵大臣が定めるのでございますが、現在、現行の各省設置法の建前におきましては、旅費制度の所管、所轄は大蔵省にあるわけでございます。当時におきましては旅費の所管大臣は確かに大蔵大臣でございますが、そうした特に明確な規定はなかつたわけでありますが、最近の設置法におきましては、大蔵省において明確に旅費規定運用権限を持つているということになつております。もう一つ海外払いの経費がございます。その運用は一応大蔵省で現在やつているというわけでありますので、特に重要なドルの使用を伴うような海外払い経費の運用につきましては、特に一応大蔵省に統轄するということになつております。
  41. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたの御説明によつて、これはサンフランシスコ会議のあと始末だという意味であつたならばそれで了解できるのです。併し内閣は今の吉田首相が何でも言つたらそのままきまつてしまうような、内閣ばかりでもないわけなんでして、よく各省間の対立というやつはどこでもあるわけで、外務省や大蔵省重要性なり、例えば会議重要性なりというようなことで大臣がきめるのだといつてその重要なことを大蔵大臣が定めるなんということになりますと、例えばアメリカへ行くのと、又マニラへ行つたり、或いはインドネシアあたりへ行くようなときには、相当機密費というようなことも考えなければならん。支度料の場合にアメリカあたりでは日本の機密費なんということは問題になりませんが、日本より後進と言つちや語弊がありますが、アジア各地へ行くと機密費というようなものも考えなければならん、重要性等もそのときのそれは外務大臣が判定するのが当然です。それを大蔵大臣だけできめるというのは、あなたのほうの立案としてはなるほどいいだろうけれども、外務省関係から見ますると、今のような内閣であれば別問題ですよ、併し将来そんな内閣ばかり起るわけじやない。あと始末だけという意味でお出しになつたのならば私はよく了解するのだが、ところが今後長く行くということになりますと、将来の問題も考えてということになると、何も自由党内閣がそう百年も続くわけでもなんでもないのですから、そのことも考えておかなければならん。これはなぜかといいますと、私らも官庁におりましてなかなか官庁間の意見の対立は凄いものでありまして事務当局同士の折衝になると非常にむずかしいのです。而も将来こういうことになつておりますると、すべて今後の外国旅費の場合に大蔵大臣が全部握つてしまう。それでなくても大蔵大臣はなかなか鼻柱が強くて横暴だという声が起きている。にもかかわらずこんな旅費までも大蔵大臣が定めるという規定はおかしい。会議重要性の判定を大蔵大臣の権限に委ねるということは立法的な技術上からいつて非常に問題だということを私は申上げるのでありますが、この点について外務省との協議はされているのですか。
  42. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 先般施行いたしました政令は一応外務省とも実質的には相談いたした上で出したものでございます。今度取りあえずその政令をそのまま法律に移すということで提案いたしたのでございます。
  43. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 只今までの質疑応答を伺つてつてそれに関連して私からちよつと伺いたいのですが、現に国家公務員等旅費に関する法律菊川君も御存じだと思うのですが、例えばアメリカ合衆国から始まりまして予想し得る国が相当ずつと列挙されているのですが、その中で日当も或いは宿泊料もあつてその額が違つている。私の伺いたいと思うのは、恐らく今後講和条約が批准ができて効力が発生して、日本の外交官或いはその他の公務員が頻繁に外国に出られるということになれば、当然新憲法の下における新らしい給与制度の下においては、その公務員の身分に応じ、又行く先の国柄に応じ、或いは又そのときの職責に応じて、詳細な外国旅費規定が当然法律で似てきまるべきものだと私は了解するのですが、その点を一つ伺つて置きたいと思うのです。  それから今一つついでに伺いたいと思うのでありますが、今問題になつておりまする国家公務員等旅費に関する法律の一部改正案、この提案理由でも非常に明瞭になつていると思うのですが、「先般の平和条約締結のための会議に際しまして、同法の規定に基いて、臨時に、政令を以て」云々と書いてある。更にその直ぐあとを受けて「しかしながら、かような措置は、最近の国会において法律改正されるまでの間の暫定措置でありますので、今国会において改めて御審議を願うため、この法律案提出いたした次第であります。」こういうことが明瞭に書いてある。その点からいけば、菊川委員の御指摘の通り、今審議されているものが少くとも立法者、提案者の趣旨としては、先般の平和条約に関連するものを法律的にはつきりして国会審議を願いたい、この意図が殆んど全部ではなかろうかと思うのであります。ただ法律論的に非常に詳しくそこの所を説明されると、ほかに先ほど私が申しましたように、詳細な規定外国旅費法律ができるまでの間に、菊川君の言われるように、或いは明日ビルマへ行かなければならん、或いは数日後にフイリピン使節団が出るという場合に、何によつてやられるのかということを聞かれるならば、やはりこの法律で行かざるを得ないのだ。純粋の細かい法律論からいえばそういうことになるので、その点を給与課長として答弁されているのじやないかと思いますが、今申しましたような二つの点について給与課長の答弁を伺いたい。
  44. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 只今の御指摘の通りでありまして、今回提案いたしましたのは先般の政令のあと始末ということが第一の主眼でございます。ただ実質的に全権委員等一般的な表現を用いてございますので、当分これが運用されるのじやないか、こういうことでございます。ただ当分と申しましても、将来在外公館が設置されまして正式に外交使節が近い将来において派遣されることになるわけでありますが、そうした場合におきましては、これは在外公館の職員の身分を初め、給与、旅費、こうした面についての再検討は勿論必要なわけでございます。そのときによつて詳細な規定はできるわけでございます。それまでの間この法律が繋ぎとして使われるという次第でございます。
  45. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それじやこの題目は国家公務員等旅費に関する法律の一部、こういうことになつているのですが、国家公務員法には、立法技術上私は申上げますが全権委員とか随員なんということは国家公務員法にはなかつたわけですがね。これは給与課長御存じだと思いますが、国家公務員法にはそういうものはない。一体国家公務員法にないような法律熟語といいますか、そういう言葉、熟語をこのような附属法に謳うのは立法技術としていいのですか。昔はこういうことを法制局あたりがやかましく言いまして、今はルーズになつちやつて字句などそんなことは平気できめておりますが、我々がおるときには法制局でとつちめられて「てにをは」までやかましく言われましたが、今はルーズにやつておりますが、この点よろしうございますか。人事院あたりと御協議になつておりますか。
  46. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 全権委員全権委員代理という言葉の問題でございますが、これは人事院規定におきましてそういう言葉が使われております。国家公務員法にはございませんが、国家公務員法の規定に基いて人事院規則ではつきり全権委員全権委員代理という名称といたしております。規則は性質上大体政令に準ずるような性格のあるものと我々は了解しておりますので、その言葉をそのまま使うことはあえて妨げないだろうと考えます。
  47. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたのは、公務員法にはないけれども人事院規則にある、だからしてそのまま語つている。これは法律だからして人事院規則よりは一枚上になるわけですがね、だから国家公務員法と関連を持たなければならないわけであります。この公務員法によつて制定するところの人事院規則は、ここに謳われていない細かいものを謳うのは、これは話がわかるのでありますが、公務員法にないような字句を、而も公務員等の旅費規則の法律に、同じ法律にそういう字句を使うどうことは果して妥当であるかどうかということについて、私は大きな疑問があると思うのでありますがうその点について。
  48. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 国家公務員法には全権委員という言葉はないのでありますが。
  49. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 併し昔はこういうことはやかましかつたものですよ、こんなだらしのないことは。
  50. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 国家公務員等旅費に関する法律自体におきましてもいろいろな、例えば法務総裁とか或いは経済安定本部長官とか、最高裁判所長官という言葉を用いております。併しその言葉は別に公務員法自体にはないのでございまして、広い意味の国家公務員であることははつきりしておりますので、これは正式にこの言葉を使つてもいいのじやないかと思います。この法律において特に取上げたとお考え頂いても結構だと思います。国家公務員等とございまするので、国家公務員法にございませんければ、おかしければその等の中に入れてもいいかと思います。
  51. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 全権委員と金権代理、これは国家公務員の一般職だということはこの前はつきり明確になつたわけであります。おかしければ等の中へ入れるというようなことではない。この前の国会で、国家公務員の一般職であるということを解釈をはつきりして、その上に立つてこの前の派遣が決定されたわけでありますから、そういうことを言つてもらつちや困りますが、さて本論に入りまして、公務員法に謳つてないような字句をここで国家公務員の給與関係におきまして、旅費規定だけこういうふうに明確に謳うということはこれで初めてで、法律的には何ら全権委員とか、全権代理及びその随員なんということは全然今まではないわけであります。この公務員法等の旅費に関する法律でこの言葉をこしらえたということになる。法律的には全権委員だとか代理とかいうような言葉は全然出ていないのに、その言葉をこんないわゆる旅費規定においてそういう言葉をこしらえるということは、法律技術上非常にまずいと思うのであります。
  52. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 用語の使い方につきましては、法制局と相談の上研究いたしましたことでございまして、政府といたしましても、法律最高権威者である法制局の了解を得たものでありますので止むを得ないことであると思います。
  53. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは法制局はそれでいいかも知れんけれども、我々国会議員としては立法は国会でやるのであつて、その立法府が、大体一番本法にないような字句を初めてここで全権委員だとか、金権代理とか、随員とかいうような言葉を用い、而もここで公務員であるかどうかということを解釈すべきものでありまして、本法にもないことを規則でこしらえてしまうということは立法上非常にまずいことだと思います。  これは委員長にお願いいたしますが、人事院総裁並びに法制局長官を今度お呼び願つて一つ質問申上げたいと思います。それはなぜ申上げるかと言いますと、問題は小さいことでありますが、この前のときにもこれを一般職にするか特別職にするかで非常に論議があつた問題でありまするからして、こういうことをおろそかにしておくということは、簡単なようでありまするけれども立法府の権威においても私は重大だと思いますので、一つこの点委員長においてお取上げ願いまして次回においてお呼び願うことを要請いたします。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単ですがちよつと伺いたいのでありますが、このサンフランシスコ会議全権全権代理随員が行きまして、その使つた総額の旅費がどのくらいか、それの外貨としてどのくらいになるか、おわかりになつたらお知らせ願いたいと思います。
  55. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 金権委員金権委員代理、それから首席随員、この政令関係で上つております分につきましては総額におきまして邦貨で九百七十万円を使つております。外貨にいたしまして約二方五・六千ドルになります。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それ以外には旅費として使つた分はないのですね。
  57. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) ございません。
  58. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではこの法律案につきましては、法制的に疑義がまだあるようでございますからして、次の機会に人事院総裁、法制局長官に来て頂いて、いろいろ又御質疑願うことにいたしたいと思います。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どうぞ一つ、これははつきりしておく必要があると思いますからお計らい願います。
  60. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御質疑はありませんでしようか。ちよつと速記をとめて下さい。    午後三時四分速記中止    —————・—————    午後三時二十一分速記開始
  61. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。  それでは租税特別措置法の一部を改正する法律案、これを議題といたします。つきましては懇談中において小林委員から発言がありました通り租税特別措置法の一部を改正する法律案に関する小委員を設けることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議なしと認めましてそれでは小委員を設けることに決定いたしました。  なお小委員委員長の指名に御一任願つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないようでございますからそれでは御指名いたします。大矢委員、松永委員、小林委員、菊田委員、森委員、この五名のかたに御指名いたします。それで小委員長一つ互選でお願いいたします。  暫時休憩いたします。    午後三時二十二分休憩    —————・—————    午後三時二十七分開会
  64. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 休憩前に引続き開会いたします。  それでは互選の結果小委員長は大矢委員にお願いすることに決定いたします。   —————————————
  65. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に連合国財産補償法案、これを議題といたします。質疑をお願いいたします。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律は、御承知のようにいわゆる講和関係費の一部の予算と関連があるわけです。それで実はこの法律案だけぽつんと出されたのでは我々審議するにも実はしようがないわけで、(「異議なし」と呼ぶ者あり)この法律の裏付となる例えばこの提案理由の中にありますように、大体毎会計年度百億を限度として補償をする。併しこれはこつちできめても相手側のほうで承知するかどうかわかりませんが、併しこの百億というものはいわゆる講和関係費・賠償の問題、或いは対日援助費の支払の問題、或いは外債の支払の問題そういう対外講和関係費として予想されるものと一括して予算上は考えられる性質のものだと思うのです。従つて予算の面から見ますと、こういう法律案だけぽこんとここに出されて来たのについては我々どうも了承できないのです。そこで一応伺つておきたいのは、そういう関係はどう考慮されておるのか。一応伺つておきたいのです。
  67. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) この法律はこの前のあの全般説明のときにも私及び政務次官から申上げたのでありまするが、本来なればこの条約の十五条の中にながながと規定され、或いは附属書の形で規定されるはずだつたのでございます。それはイタリアの条約そのほかの条約皆そうだつたのです。ただ余り条約が長くなると各国のまとまりが悪いということで別扱いにして、その別扱いのものを又これを協定のような扱いですと又まとまりにくいということでアメリカ側から日本と打合せがついておつて、特別の立法措置をさせろ、他の連合国は皆アメリカに任せいという形で、これが十五条或いは附属書から落ちてこういうふうになつたわけでございます。それですから実体的には条約規定と同じ趣旨のものであると御理解を願いたい。従つて今木村さんがお話でございました一会計年度百億円以内の支払しかしないということは、こつちが勝手にきめたのではありませんので条約の一部であるこの法律案の打合せをいたします際にこちらから要求を出しましてアメリカ側も納得をいたし、納得いたしたところでこの平和条約の第十五条、現在の規定にもあります一九五一年の七月十三日の日本閣議が決定した法律案によると、あの中にもこれが入つております。先方が承知であるためにこの点はよかろうかと思います。それでなおこの支払の起る時期でありますが、これはこの法律案の第十五条に、それぞれの国との講和条約の効力が発生した時から十八カ月以内の請求を待つて日本側はこの条約上及びこの法律に関する義務を履行するということになつており、更にその前提として、これはたしか四条あたりにも出ておりますが、この補償を請求するためには先ず連合国財産の返還のほうを先に請求しなければならん。而もその連合国財産の返還には平和条約の十五条そのものに規定がございまして、一条約が効力を発生した時から九カ月以内に請求をさせてその請求の期限に日本側が返す。日本側が返せない場合に初めて補償の問題が起る。これはこの法律案の第三条の第三項にもそのことがよく謳つてありまして「返還できる状態にある財産について平和条約規定される期限までに返還の請求がされなかつたときは、その財産について生じた損害は、補償されないものとする。」ということです。従つてこれが現実に補償を生じますのは、返還の請求があり又その後を待つて補償するのでありますから、従つて仮に平和条約が本年度内に関係国の批准があつて効力が発生しましたといたしましても、この補償のためにする国の歳出は直ちには余り起らない。極く一部は、非常に気の早い準備のいい連合国人があつて講和条約発効と同時に返還の請求があり、又日本側がそれに応じて返還できないことを立証し、又向うからすぐ補償の請求でもありますと、この二十六年度内にも補償のための事実があり得るわけであります、理論的には。併し現実には余りあるまいと思います。但しそのためにそれの用意として御承知のあの補正予算案におきます百億円の平和回復華後処理費という、まあいろいろな意味の補正歳出が載せられておりますが、万一、二十六年度にそういう請求があり、又支払の手続の準備ができましたときには、その百億円の中から一部を支払うことになろうと思います。二十七年度には恐らく百億円の範囲で一応二十七年度予算には載せなければなるまいかと思います。なお補償総額でありますが、その総額もこの前御説明いたしましたように、今の終戦後の日本としては非常に大きな負担ではありますけれども、比較的にそう大きいような数字にはならないで、大体二百億から三百億ぐらいの円の範囲で補償が済むであろうと、今のところ推定でありますが、まあ百億円ずつ二会計年度なり三会計年度に亘りまして計上をし、それでこの十五条関係の補償は多分やり得るではないか。外に十四条の役務賠償のための支出或いは十八条でございましたか、外債の償還というような財政上の負担も起りますが、無論それと全体として考えなければならんことでありますが、これだけの関係においては今申した金額措置ができないことはないと思います。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 更に外貨との関係はどうですか、外貨支払ということが起り得る。
  69. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 外貨との関係におきましては特に条文が置いてございまして、十七条に補償金の支払は原則としてすべて円貨で本邦内で支払う。それが原則でございますが、ただ連合国人の日本国内において有しておる財産自身が外貨で所持する場合、例えば外貨債権であるとか、或いは外貨債であるとか、或いは外貨契約による特許実施契約というような場合は、外貨の補償をしなければならん立場になつておりますが、これも無条件に外貨補償をするわけではなしに、外貨補償をする場合でもこの法律にありますように、「日本の為替状態の許す最もすみやかな時期において、外国為替に関する法令の規定」に従つて請求権者が外貨が得られるような方法を講ずると、こういうことにいたしており、なおその場合においても請求権者が日本の外貨の許す時期まで待つということはいろいろな意味において待てないから、換算した円貨で補償を受ければ満足するということで話合いがつきました場合には、十七条の三項にありますように円貨で支払が済ませると、こういう手続にいたしております。  なお外貨の関係ですが、余り多くはありません。この十七条の二項の例外的な外貨で払わねばならん場合を一応当つてみますと、仮りに補償総額が我我は二百六七十億と一応想定しておるのでありますが、その中で外貨払になり得るものは精々その二割程度、三百六十円に換算した五十億等度であろうと一応見当をつけておりますが、はつきりしたことはわかりません。  なお先ほど立ちましたときに申忘れましたが、この補償法は大体手続規定であります。従つてこの条約の十五条は手続上の規定を載せておりますから、将来の財政等の問題等も無論ありますけれども、法律自体としては、そのような支払手続が適当であるかどうかという問題を主として法律案にいたしているわけであります。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは補償を支払うためには手続規定が必要ですけれども、併しこれには必ず今お話になつたように財政支出が伴うのですから、而もこの財政支出はこれは講和の結果出て来る費用であつて、今後日本の財政としては新らしく考えなければならない問題ですし、一般国内の財政資金以外のこういう支出が出て来るのです。そこで先ほど一応これはあちらさんとも話合があつて、そうして了解済みということを言われましたが、併しこれを払うについては、前後の問題ですね。例えば賠償を先にするか或いはアメリカの援助費の支払を先にするか、外債支払を先にするか、連合国財産を先にするか。そういう前後の問題も一つあるわけですし、それから総体の講和関係費の一部として、これが国内の内政的な財政の方面に相当大きな影響をもつて来るのですから、大体講和関係費としてこれは主計局のあれに属するのかも知れませんが、一括して我々考えなければならないので、賠償、外債支払、対日援助費の支払、それから防衛分担金、そういうものをひつくるめて大体どのくらい予想されているのですか。そういうものの中の一部と我我考えているのですから、大体それがちよつとわからないと審議する上に都合が悪いのですが、これは大蔵大臣に聞かなければ無理かも知れませんが。
  71. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 木村さんのおつしやることはその意味において私もわかるのでありますが、政府委員としてお願いいたしますことは、先ほども又この前も申上げましたように、この条約の一部のような形で従来の経緯においてもやつてつておりますから、国会におきまして条約が承認せられるものとするならば、大体それと前後してこの法律を制定して頂きたいと存ずるのであります。批准書の帰着等に関連いたしましてこの十五条に基く、ああいう形の法律が立法化されないような形でいつまでもぶらぶらになつておりますと適当でないようにも思われますので、木村さんの御質問は御質問として、これは手続規定でありますから、委員会の審議だけは一つ手続規定範囲において御審議を願つておいて、政治的関連における質問等は留保しておいて、大蔵大臣なり或いは他の政府委員から説明がありましたならば、適当な時期においては委員会及び国会の御審議が進んでおるような恰好に是非お願いしたいと思つております。
  72. 小林政夫

    ○小林政夫君 私も今言われた意味においてこの案を呑むかま呑ないかということは疑義があるのですが、疑義があるということについては平和条約全体に関するものである。そこで今内田さんの言われた意味で条文の解釈について質問いたします。  先ず最初にこの前も質問をして政務次官から御答弁があつたのですが、要するにこれは、この法案にきめられておる条件よりも重くすることができるけれども、軽くすることはできないという状態に置かれておるのですが、平和条約の十五条に規定してあるように、本年の七月十三日の閣議決定の法案だということになつておるのですが、非常にこれが国会提案されたのが遅かつた。その遅かつた原因は字句の訂正であるとか翻訳の関係でなかなかうまく行かなかつた、そのためにのびのびになつたということでありますが、どうも七月十三日に決定された法案が二カ月の後にやつとまとまつて行くのはおかしいのですがどうも納得できないのです。それで私の想像ですが、七月十三日にはこういう賠償をするのだという大綱だけきめておいて、逐次アメリカ等と話合つて行く、或いは全権が向うへ行くからそのときにお話をされて、ということで七月十三日には余り具体的にきまつていなかつたのじやないか。きまつておつたとすればどういう点できまつたのか、だんだん日にちがたつに従つて向うからああもしろこうもしろというようなことで、条件が七月十三日当時に大よその日米両国に了解がついておつた線よりも、この法案に盛られておる補償条件というものは重くなつておるのでないか。その点は若し重くなつておるとすると、法律的な解釈で行くならば七月十三日に決定した線で、この補償条件を下げても我々差支えないのじやないか。
  73. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) その経緯を御説明申上げますると、小林さんがお想像になるようなことではございません。七月十三日の閣議決定の法案というのは今日この委員会にお出ししてある法案と殆んど同じでございます。やはり全文が二十五条でありまして殆んど同じでありまして、その七月十三日の閣議決定の法律案平和会議が調印される前に大蔵省発表として新聞等で発表いたしております。かなり当時の新聞も詳しく報道がされておりました。ここにも持つておるのでありますが、八月二十八日の大蔵省の発表、平和条約第十五条に引用された連合国財産補償法案、本年七月十三日閣議決定、及び大要は別の通であります。こうして発表をいたしました。ただ新聞は法律案そのものを発表した新聞があつたかとも思いますが、大体我々の作つておつた大要を述べておりました。ただ今度の臨時国会で一番初めから述べられなかつた理由として政務次官が話されました通り、字句の訂正、この現在法律案として提出いたしております第二に連合国の定義があります『「連合国」とは日本国との平和条約第二十五条に規定する連合国をいう。』とこうなつておりますが、これは七月十三日の閣議、あれでは平和条約の二十五条を引用しないで、この法律において連合国とは、日本国と戦争した国、又は交戦状態にあつた国で、日本国との平和条約の当事国となるものをいうとこういう書き方がしております。大意は同じですが、一旦平和条約が調印されてその十五条に基いてこの法律を作るとすれば、同じことを狙つておるのに抽象的な言い廻しをするよりも、その条約の二十五条に、二十五条にいうよりもそれから又他の部分におきましては、この法律案の第三条に、「連合国又は連合国人が昭和十六年十二月八日(以下「開戦時」という。)において本邦内に有していた財産について戦争の結果損害が生じた」ということで十二月八日という字を引いておるのでありますが、元の閣議決定の第十三条にこの具体的な日時を引かないで、第三条「連合国又は連合国人が開戦時において本邦内に有していた財産について戦争の結果損害が生じたときは、」こういう書き方をしております。それを十二月八日という字に直しました。場合によつてはこのほうが利益のように思う点がはつきりいたしております。かような点を直します際に、一応その日米両国の間で閣議決定の文を英文で交換もいたしておりましたために、それをこちらから向うにこう直したほうがいいということを送つて行くと、向うからこの十二月八日につきましては十二月七日に書けということでありましたが、向うでは十二月七日でもこちらでは十二月八日だから日本のほうで書く場合においては十二月八日だと、即ち英文に直すときには十二月七日と書いておくからというような往復をいたしましたし、又向う側で極くつまらんことを「てにをは」を言うて来たことがあります。あとはいずれどなたかから御質問もあり御説明しなければならんことと思いますので申上げますが、この四条の損害の原因が書いてあります。我々が連合国財産について補償する場合に、こういう原因によつて損害をこうむつたものだけに限るということの第一号に、「日本国又は日本国と戦争し、若しくは交戦状態にあつた国の戦闘行為に基因する損害」と明らかに書いておりますが、最初の閣議決定案ではこれがただ簡単に「戦闘行為に基因する損害」とある。私案はこの法律案と申しますか、アグリーメントのときに外務省の条約局長と一緒に交渉の当事者となつたのでありますが、閣議決定においては「戦闘行為に基因する損害」というのはアメリカの飛行機がらメリカ人の日本における財産に対して空襲を加えて損害を及ぼした場合は日本は補償しないのだ、こういう趣旨ではないので、戦闘行為に基因する損害は両方相互の間の戦闘行為は初めから了解し合つておつたと思うのであります。日本軍の戦闘行為、或いは米国軍の戦闘行為は書かなかつたのでありますが、後にアメリカが日本の閣議決定案をカナダその他小さい国に見せたときに日本側でごたごた言うて来るといかんから、やはりこれは日本国の戦闘行為及び日本国と戦争し又は交戦状態にあつた相手方の交戦行為、両方含むことをはつきり書いてもらいたい、それはこの前の交渉のときに別に日本側が日本軍の戦闘行為による損失を補償するという、こういう字句になつてつたのです。実は我々の打合せの結果補償するということは明らかな結果であるということで申入れて来たことがあります。ただしまいの二十一条に、現在の法律案は一項と二項に分れておりまして、補償金には租税を課することができないという規定と、それから補償金をもらつた連合国人には租税を課することができないと二つに書き分けております。最初に閣議決定案はどつちか一方だつたと思います。ところが向うも心配した国があつたそうでありまして、源泉徴収で補償金にかかるというようなことになると、連合国人には補償金について課税しないと書かれても、所得に総合してかからんのみならず源泉徴収でかかるようになると困るので、如何なる意味においてもこれは損害の補填だからかからんと書いておくべきだというような極めて神経質な意見がありまして、これはこちら側が決して向うに閣議決定案よりも有利な内容で補償することではなしに、こちらでもかけないで補償金額にも別に源泉徴収はかけないというのでいたずらにかような所で論争を続けてみましても、あの点は全く字句の点だけでありましてフロムとあるのをバイとなつたりという点で、その間先方に閣議決定よりも新らしい利益を供するような趣旨はございません。
  74. 小林政夫

    ○小林政夫君 それではその問題はそうしておきます。次に第二条第二項第四号の連合国人の支配する団体を規定してあるわけです。その支配する団体というか、支配関係は具体的にいうとどういうことになるのでありますか。
  75. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 二条の第二項の三号と同じ趣旨ですが、三号のほうは営利法人を指しておるのに対して、四号のほうは非営利法人を三号と同じ考えで規定したものでございます。従つてこの三号ですと株式の全部を持つておるとか、ただ日本人の役員等に対する貸株は別でありますが、四号のほうはそういう書き方ができないものでありますから三号と同じ気持ですが、こういう書き方をしておる、例えば日本の宗教法人、学校法人であつてもその役員理事者が全部連合国人であるとか、その寄附行為が全部連合国人によつてなされておる、運営自身も連合国人の手によつてなされておるというこういうものを意味するつもりであります。
  76. 小林政夫

    ○小林政夫君 成るべく具体的に。
  77. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) キリスト教団のようなものでこういうものが具体的に。
  78. 小林政夫

    ○小林政夫君 その理事者が全部……、
  79. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 今の点につきまして具体的に大体こういうような団体だというものを調べたものがありますから御説明いたします。
  80. 佐々木庸一

    説明員佐々木庸一君) 具体例としてつかまつておりまするものを申しますとアメリカ関係では、アメリカン・クラブというのがあります。アメリカン・スクール・イン・ジャパンというのがございます。それからメソジストエピスコパル・ミツシヨナリー、プレスビテリアン・ミツシヨナリー・イン・ジヤパンというのがございます。
  81. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから次に第三条第二項に規定する損害は、これは戦時特別措置によるものではないので、我々日本のほうで日本政府としてその補償を当然すべき義務がないと我々は考えられるのですが。
  82. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) この点は私どものほうがむしろこの法律建前を理解して頂くのに大変都合がよいのでありますが、第一条に「連合国又は連合国人が本邦内に有していた財産について戦争の結果生じた損害に対し、補償を行うことを目的とする。」こう書いておるのであります。例えばイタリアの平和条約における損失の補償の原則が、大体このわが方の法律の第一条をながなが延ばしたようなことで、どこまで行つても戦争の結果生じた損害を補償するということがながながと書いてあるのであります。その結果どうもよくはわかりませんが、非常に広い範囲に補償をしなければならないようなことになつて、その後いろいろごたごたして覚書が交換されたりして苦しんでおるようであります。そこで我々の場合には戦争の結果生じた損害の全部を補償しないんだ、戦争の結果といつても第四条に掲げたような限定的な原因だけをとらえてその原因にかかるものを補償すると同時に、補償を受ける人間も日本国内でぶらぶらしておつて、日本国人と同じような扱いを受けた連合国人には補償する必要はないじやないかとだんだん狭めて参りまして、今お尋ねに関連するような第三条が、向うと大分面倒な折衝の結果置かれたんでありまして、原則としてはお尋ねのような戦時特別措置、つまりその身体を逮捕、抑留されたり、或いは財産について処分されたり、つまりいじめられた連合国人が特定の原因で戦争の損害を受けたものをこういうふうにしてくれと狭めて参つたのであります。従つて例えばフランス人は当時敵産管理法で敵国として告示しないのでフランスの宣教師はぶらぶらして国内におつた者があります。そういう者が仮に如何なる戦争の損害を受けてもこれは補償しないのであります。同じフランス人でも本国に帰つたというか帰されたというか、恐らく戦時特別措置ではなかつたが引揚げてしまつて、自分の財産の面倒を見ることができなくなつた者がある。そういう者を日本で自分の財産の面倒を自分で見れた連合国人と同じようにするのも酷だということで、我々はできるだけ原因を絞つたのでありますが、まあ結局の妥協といたしまして、これは自分で財産を見れなかつたから損害を補填するが、その補填する原因は四条の全部を補填するようにしないで半分分けにしようということで、その他の第四条の第五号の本邦内におらなかつた連合国人については、第四条の第一項第五号だけの損害を補填しよう、こういうことで妥協の産物でございます。とにかく連合国人全部について無条件に補償するのではなしに、一つの事柄を限つて補償するという一つの現われになつておる、この点御了解願いたいと思います。
  83. 小林政夫

    ○小林政夫君 半分分けと言つたつて第一号と第五号をやれば殆んど補償するようなものじやないですか。
  84. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) まあ大部分は第一条の戦争損害が多うございます。だからそういうものが第一号と第五号の損害は敵の空襲であれ日本の空襲であれ、連合国の占領軍のほうの一部の損害でありますが、いわば物理的の損害だけを見ようということで、日本におらなかつた連合国人の分だけを拾つてみざるを得ません。それでもおよそ連合国人全部について広い意味の戦争の損害を見るといつた建前にあつてもできるだけ絞つたつもりでございまして、なおこのイタリア条約のほうの、戦争の結果生じた損害とかいうことについてイタリアの条約規定は非常にただあいまいに広い範囲で書いただけでありまして、後にこれは連合国側と打合わしたと申しますか、連合国側の要求として突きつけられている、戦争の結果生じた損害の解釈の問題があるのでございますが、非常に英文だとうまい意味が出るようでありますが、ここに何か仮に日本語に直して読んでみますと、戦争の結果受けた損害というのは、イタリア政府によつてとられた一切の行動に基く損害を含むのみならず、イタリアの相手国、交戦国によつてとられた一切の行動に基因する損害を含むし、更にこの一九四三年九月三日の休戦に伴つてとられたあらゆる行動に関連する損害をも含むし、更に戦争があつたという状態に基く一切の作為、不作為に関連する損害を含むものとするといつたようなその申入を連合国側からイタリアへ突きつけられておるのでございます。それをできるだけそういうようにならないように、これは外務省の調査でございますが、私どもは第三条の一項、二項、特に第二項については更に広く置き過ぎたのじやないかという御質疑のようでございますが、かようになつて来た点御了解を得たいと思つております。
  85. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると第四条の第一項の第三号ですね、「当該財産の管理者又は所持人が相当の注意を怠つたことに基因する損害」というものは得べかりし利益も入るのですか、それは。
  86. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) いわゆる得べかりし利益は入れない了解であります。これは私どものほうの法律関係条約関係ばかりでなしに、例えば返還するまでの間の使用料に相当するものとか金利とか、そういつた意味のものは補償はしないのであります。ただその有価証券等で利札が一つの有価証券として独立の意味を有するというふうなものについては、利札その他のもので返さないものについては補償することが書いてございますが、一般的には向うの土地、建物の敵産管理をした、その間の毎年の預金収入といつたものがある、そういつた式の補償をするといつた建前のものではありません。ここにいう第四条第三号というのは敵産管理人或いは敵産管理人からの財産取得者がそいつを壊してしまつたと、これは敵産管理に基くものだから、財産取得者の不注意による損害、そういうものも日本政府の損害と同じものだから補償する、こういうことを言うておるのであります。
  87. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちよつと暫く続きますがいいですかね。第五条の第三項「前二項に規定する有体物以外の有体物」というのですがね、その「前二項に規定する有体物以外の有体物」というのはどういうものでしよう。
  88. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) それは大変小林さん各条について細かい御勉強で恐れ入りますが、それは五条の一項が有体物で返還できたものが、返還はできたけれども一部壊れておつたから損害は残るというもの、それから二項が有体物で返還すべきだけれどもそれがすつかりなくなつたり解体しちやつて、返すに由ないというものが二項でありまして、三項はそうじやなしに、返還する義務がないもので、損失だけ補填すればいいもの、例えばさつき小林さんがお尋ねになりましたような、第三条の第二項で、日本から引揚げた連合国人の財産について、これはフランス人についてでありますが、フランス人については敵産管理を原則としてしなかつたが、日本にフランス人がおらなかつたために、彼らは自分の財産が管理できなかつたための戦争損害の一部を補填します。そういうものについては返還する必要はないのでただ損失の補填だけすると、こういうことになるのです仏ら、その返還を伴わないで損失補填だけの義務のあるものを、「前二項に規定する有体物以外の有体物」と、こういうのであります。非常にわかりにくい条件で、これはまあ日本の法制局もその意味でこういう表現をしたようであります。
  89. 小林政夫

    ○小林政夫君 この第五条の書き方を、戦争の結果による損害額を補償するという場合に、戦争の結果によるものに限定するという、例えば第七条の第二項にあるようにそういう規定を入れておくべきか。
  90. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) これは小林さんの御質問は、むしろこの第六条にそういうことを入れて置けばよかつたのでありますが、実は五条であつても、或いはその他の条文であつても、本当はそれには全部第四条の原則がかぶさつてしまう、後の条文は、特に第四条の戦争の結果受けた損害ということも各条では言う必要はないと思いますが、そのときの向う側との、そのときの考えで入れたのもある、入れないのもある。必ずしもこれがいい体裁ではないですが。  第六条の地上権云々のこれに関連する損害があつたものは、これは四条に掲げるこういう以外のものをも補償するということにはならないので、すべて四条がかぶつて来る、こういう言い方であれば了解できると思います。体裁が悪かつたので。
  91. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは了解しますが、念のために聞くわけですが、第八条の「戦時特別措置適用を受けた公債等」というものは、身体を拘束された連合国人所有の公債も含むわけですか。
  92. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) そうではないのでございまして、これは今の措置法で公債、社債、或いはその他の物権等を敵産管理として、連合国人から政府が召し上げてそれを敵産管理人をして他に転売した、こういうものを指すつもりであります。
  93. 小林政夫

    ○小林政夫君 第七条、第八条によつて金銭債権又は公債等の損害は円貨表示のものは貨幣価値の下落による損失は補償しない、要するに額面だけで補償すると考えていいわけですか。
  94. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 第七条の関係においては、御質問通り額面だけを補填するということになります。ただこの第八条の公債については先ほども触れましたが、利札というものは独立したる有価証券と見る限り、有価証券を補償するということが例外としてあり得るわけであります。  なおこののちの十七条でありますが、本来この外貨建の財産であつて損失補償を外貨ですべきものを、この十七条の第三項で連合国人との妥協がついて、外貨でなしにそれを円貨換算で補償をして事を済ますという場合には、まあ観念的には昔例えば二十三ドル十六分の七が百円であつたものが、こいつを今の公定為替相場でやると、三百六十円が一ドルということになるために、その間の関係を見ると、日本の為替比率の低落、即ち貨幣価値の低落分がカバーされるという結果に観念的にはなると思います。併しこれは物価の低落を補填したという一般の観念とは違つて、むしろ日本の通貨そのものの位置が変つて来ておる、その関連と見てよろしいと思つております。
  95. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると時価で補償するとありますね、これは市場で値段の時価がきまつておる。その時価でいいわけですか。
  96. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 第何条ですか。
  97. 小林政夫

    ○小林政夫君 第八条の第二項。
  98. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) そうであります。そのときの証券市場でものを買つて返せばいいわけですから、そのものを買うに相当する金というわけです。
  99. 小林政夫

    ○小林政夫君 市場相場があるものは。
  100. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 市場相場を時価と見ると、こういうふうになろうと存じます。  なお五条から各条に対しましては観念的には戦争開始時の状態にものを返還するものは返還時において、又返還を伴わないものは講和条約の効力発生以来或いは現実には補償する時期なりにおいて、元の状態に復帰するに必要な金額という抽象的には割り切れたことを書いてありますが、実際個々の場合に当つては、やはり必ずしも割り切れないと思いますので、これはむしろ相手方がこれで満足するかどうかという問題にもなると思いますが、我々としては各条についての評価の仕方とか、減価償却の仕方とか、時価の考え方とか、こういう細かい事務規定のようなものを作らなければならんかと存じます。
  101. 小林政夫

    ○小林政夫君 第十一条及び第十二条は連合国人に株式又は出資金を返還した上に、更にきめられたような方法で計算した損害を補償する趣旨であるのでありますか。
  102. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) そうであります。株式その他財産すべて同じでありますが、現在政令がありまして、連合国人財産で敵産管理にかかり、或いはその他正当ならざる理由によつてその占有権を奪つておるものは返還する仕組になつておりますが、従つて株式等につきましては敵産管理人が連合国人から取上げて売つたものはその現物を還す仕組になつております。ところが一方株式がその紙としての現物に意味があるのではなくて、その株式が代表する会社の財産に問題があるのでありまして、その会社の財産が第四条に掲げたような理由で非常に戦争損害を受けておるという場合には、株式たる紙を還すのほか、その株式によつて代表される連合国人持分の割合に応じて会社の損害補填部分を還すという考え方です。その際十二条では成るべく連合国人に会社の損害額について補填するものが少くてすむようにいろいろな理由を引き出しまして、差引くものを挙げまして、まあ株式を還した以上、会社自体に生じた損害額についてそう大きな金額を還さないで済むようにいろいろ配慮したわけであります。
  103. 小林政夫

    ○小林政夫君 その配慮がしてあるということは認めますけれども、これは非常に過酷だと思う。実際普通の株式を還し、又その出資金を還して、そうして戦争被害によるその会社の資産内容に損があるというものを還す。結局実体価値を補償するようなものですから、これは意見として言いますが、いろいろ控除の方法は考えられておるけれども、連合国人を非常に有利に扱うということは言えると思うのですね。そこまで補償されるとは我々予想しなかつたくらい考えて補償してある。
  104. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 私も小林さんと同意見でありまして、これは連合国人に聞えると困るのでありますが、できるならば株式については紙だけ還せばその紙が代表する会社財産が損害を受けておつても、それで株式としては還したのだ、財産の実体価値は還さんでも済むようにということで大分頑張つたのでありますが、イタリアの条約の中などにも不幸にして条約そのものに非常に明瞭な規定がありますためにどうも逃げ切れなかつたわけであります。そこで逃げる方法といたしまして、一項、二項、これはお読み下さつて若し向うに払うようになりますれば、当然二重払いになりますから差引くのでありますが、第十二条の第三号では、今日は自分でもどうも説明がつきにくいようなわけのわからんものをとにかく補償の中から引去る、一つの補償を免れるというようなことで、これはいわば会社のインフレ利益のようなものを頭の中に想定して、それを連合国に補償する分から差引いて、補償額を小さくするというような形をとりましたが、これはもと英文で往復いたしました双方のコメントといいますか、オブザーヴエーシヨンといいますか、それの文書に載つておりますので、御覧を願いたいと思います。それで最後まで問題として残つたのでありますが、それはこの補償の問題につきましては、アメリカ側としては、外の小国と違つて、日本の財政負担にならないようにということを割合よく認めまして、それを一つ載せておこうということで、これは日本の利益のために載せてもらうことを認められたのであります。
  105. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は当然引去るべきであると思いますが、それにしても相当過酷であるように考えます。連合国財産補償審査会を設ける。この審査会の決定というものは最終決定になるのですか。その決定に不服がある場合には。
  106. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 審査会の決定に不服がある場合には、少くともこれを法律、手続、これは国内法でありますから、この法律手続に従つて請求するものである以上、条約に基く請求権であつても、日本法従つて日本の裁判所に出訴する権利は残るのじやないかと私は思います。これはなお間違つたらあとで訂正させて頂きたいと思いますが、請求権者は最終的に補償審査会の決定に服するのじやなくて、裁判所に出訴する権利を言われないと思います。
  107. 小林政夫

    ○小林政夫君 裁判所でなくて、平和条約の第二十二条に書いてある特別請求権裁判所というものとの関係はどうなるのですか、こういう問題については。
  108. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 今の御質問に関連して、第十八条には第三項が置いてありましてこれの経過をお話いたしますと、他の国の場合は不服申立を敗戦国の機関が最終的にきめるという建前になつていないで、たしかイタリアなんかの場合には英・米・仏三国の大使か何かが推薦する人物を入れた特別の委員会が審査するような形になつていたと思います。    〔委員長退席、理事大矢半次郎委員長席に着く〕  従つて日本の場合でも、連合国と日本側との混合委員会を作るような申入れがされておりましたが、それに対しまして、いやしくもその補償の手続その他については日本の法律に任せるという原則をとるからには、この救済も原則としては日本側の機関に任せられたいということで、この一項二項の連合国財産補償審査会というものを日本側の機関として設けましてこれに不服の申立てをする。ただ連合国もたくさんあつてこの点だけはアメリカ側の最終的の押えがきかなかつたわけでありまして、特に希望する国がある場合には、この一項二項によらないで例えば中立国人等を入れた特別委員会を作つて、その委員会が不服の再審査をする。只今小林さんのおつしやつた講和条約の何条でしたか、特別請求権裁判所というああいう形にはしないで、ここの十八条第三項による打合せで設けられる日本国内の含みで処理する、こういうことになつたわけであります。
  109. 小林政夫

    ○小林政夫君 その第十八条第三項の協定は、そういうような問題で外国と協定するということになると、一応国会の承認も経るということにならなければいかんと思うのですが、どうですか。
  110. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) これはまだこの委員会が続けられる間にはつきりしたことをお答え申上げたいと思いますが、この協定が憲法七十三条にいう条約であると見られるならば、事前或いは少くとも事後において国会の承認が必要だろうと思います。これはまあ技術的な内容を持つところの協定でありましようし、最近私もよくは存じませんが、連合国との間の平和条約効力発生を停止条件とする金融協定、支払協定等が行われておるようでありまするが、ああいうものとの関係もあつて何かここに技術的に条約とは違うのだという解釈になれば別だと思いますが、私は国会の承認にかかるものではないかと今でも考えております。なおこれは改めて研究させて頂きます。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
  111. 小林政夫

    ○小林政夫君 なお十八条の関係はもう一度よく調べて下さい。
  112. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) なお適当な政府委員のほうの出席を御要求下さつて質問下さつたら有難いと想います。
  113. 小林政夫

    ○小林政夫君 それでは条約局長ですかね。私の質問はこれで終ります。
  114. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) どうでしよう、大分時間も経過したのですが……。それでは連合国財産補償法案審議は本日はこの程度にしまして大蔵委員会を閉じます。    午後四時二十七分散会