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政府委員(
平田敬一郎君) 先般この問題につきましては木村
委員に私も、先ほど
大臣が
お話の
通り、どうもやはり事業所得の所得の把握が不十分なところが相当あるので、これを解決するのが一番いいのだと、そういうことで行きたいということを申上げておいたのでございますが、なおもう一点附加えておきますと、昨年ですか、或いは今年でございますか、木村さんが地方にお
見えにな
つて感せられたのは、
一つはこのどこかに勤めておりますと、独身者等の場合におきまして相当な税を、源泉税が差引かれておる。それから農村でも一方これに対しまして農家でまあ相当の所得あるが、いろいろな
控除がありますと
所得税がそれほどでない。
従つて如何にも息子のほうが親父さんよりも場合によると
負担が高いといつたような感じがする点もある。もう
一つ、この把握率のほうであ
つたのじやないかと思いますが、その点は今度の
改正で今までよりもよほどよくな
つて来る。と申しますのは、昨年と今年の
改正で実は扶養
控除を相当大幅に
引上げたのでございます。それでそのほかに農民に対しましては専従者の
控除も認めることになりまして、まあ農業所得は相当大幅に、適正に把握されている人の
所得税も減
つているのであります。今度はそういう点が少し今まで行過ぎの点もあるのじやないかと
考えまして、主として基礎
控除の
引上げに重点をおいたのであります。基礎
控除を
引上げますと、お手許に配りました、今申上げました予算の
説明の四頁のところを
ちよつとお開き願いたいと思うのであります。四頁のところでありますが、一番響きますのは、やはり基礎
控除によ
つて響くのは源泉
所得税、その横の
説明のところ、その四頁目のところではここで
所得税の
改正による減収額というものを示しておりますが、基礎
控除の
引上げによりまして二百四十二億ほど今年減るわけであります。そのうち源泉で減ります分が二百一億九千二百万円、
申告で減ります分が四十億九千六百万円、これに対しまして扶養
控除の1
引上げによりましては総体百億減るわけでありますが、その結果源泉で六十五億、
申告で三十四億、
税率の
改正によりまして六十二億減りますが、そのうち源泉で三十八億、
申告で二十四億、これで御覧になればわかりますように、扶養
控除の
税率の
引上げは源泉と
申告に対しまして、
申告のほうにも
相当影響があるわけでございますが、基礎
控除の
引上げは、尤も源泉
所得税が高くなれば、これは主として独身者等で相当給与所得者の納税者がございまして今までは基礎
控除が三万円でありましたので相当かか
つている、ところが今度はこれを五万円に
引上げますので一番減る
影響が大きい、その結果このような数字に相成
つているのでありまして、今度の
改正は直接
お話のように勤労
控除を
引上げるという
方向には
行つていないが、独身者等の給与所得者の
負担は今までの
改正より大幅に減りまして、一般の世帯の減り方はそれほどでもない。まあこういうことに傾向として相成るかと思います。従いまして、今申上げましたように地方におきまして相当な所帯主と比べてどこかに
ちよつと勤めている若い人の
市町村民税は、仮に所得が適正に把握されておりましても、若干常識的でないといつたような点はよほどよくな
つて来るのじやないかと
考えているのでございます。それで扶養
控除は今まで基礎
控除の半額でございましたが、今度は三人までが一万五千円を二万円に
引上げられております。基礎
控除は三万円に対しまして五万円でありますから、今までよりも少し低いから、そういう点からいたしまして今まで
お話を申上げました地方における給与所得者と農家の所帯主の
負担の一般の常識に合わんのは幾分是正されるのじやないか。これは勿論完全な解決というわけではございませんが、傾向としてそういうことになると、まあこのように
考えているのであります。併し基本は何と申しましても事業所得がなかなか適正な把握のむずかしいというところであります。これに対しましては鋭意努力をいたしましてそういう
方向でバランスをと
つて行くのがいいのじやないかと思います。再び繰返して御
説明申上げておきます。