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1951-11-09 第12回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月九日(金曜日)    午後一時二十八分開会   ―――――――――――――   委員長補欠 本日小串清一委員長辞任につき、そ の補欠として平沼彌太郎君を議長にお いて委員長に指名した。   委員の異動 本日委員小串清一辞任につき、その 補欠として山本米治君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            山本 米治君            菊川 孝夫君            松永 義雄君            小林 政夫君            田村 文吉君            菊田 七平君            森 八三一君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○所得税法臨時特例に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正すゑ法律案  (内閣提出衆議院送付) ○財産税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○会社利益配当等臨時措置法を廃止す  る法律案内閣提出) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○日本輸出銀行法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第九回の大蔵委員会を開会いたします。  議題といたしましては所得税法臨時特例に関する法律案法人税法の一部を改正する法律案財産税法の一部を改正する法律案、これは予備審査、この三案を議題といたします。よろしく御審議をお願いいたします。御質問ございましたら……、いずれ近く池田大蔵大臣がお見えになるそうでございますが、その前に主税局長さんがお見えになつておりますから、どうか御質問ございましたら……。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 臨時特例法の第十五条によつて法第三十二条の第三項を読替えることになつておりますね。その読替え規定と法第三十二条第三項の期限後の申告の場合には控除を適用しないというこの規定と矛盾するというか、この二十六年分の所得税については、特に申告期限後の申告であつても諸控除を認めるという趣旨であるのか、そういうふうにもとれるのですね。
  4. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) ちよつと御質問の御趣旨がよくわかりかねますので、なおよく取調べましてお答えをいたしたいと思います。
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 池田大蔵大臣がお見えになりましたから、大臣に対する御質疑をお願いいたします。
  6. 松永義雄

    松永義雄君 或いは安本長官関係する点に触れるかも知れませんが、その点は諒察して御答弁願えれば結構であります。先だつて主税局長さんのお話で承わりましたが、私がまあくだくだ申上げるまでもなく、現在の世界の情勢というものは、どうしたら平和が維持できるか、どうしたら戦争を防止し得るか、その方法として力には力を以て用意をあらかじめして置かなければならん。そのためにヨーロッパ、或いはアメリカに対して財政上及び経済上非常な大きな影響を及ぼしておるのであります。勢い日本財政経済にも当然その影響は免かれないのでありまして、一体日本財政経済は将来どうなつて行くか。それは恐らく国民全部が憂慮していることではないかと思うのであります。重点的に考えれば、或いはインフレという問題でもありましよう、或いは国民生活という問題でもありましよう、いろいろの点に触れるかと思うのでありますけれども、具体的に二、三御質問を申上げて、政府はどういうふうにこれに対して対処して行かれるかという点についてお伺いいたしたいと思うのであります。それは最近言われておることでありますが、長期の投資をすればインフレを刺戟する、こういうことを言われておるのであります。それは投資の時期と、実際に生産に寄与して、生産の効果を挙げるに至るまでのズレがあるから、それだからインフレを刺戟するのだ、こういうことを言われているのでありますが、そのほかに物が不必要な方面に流れて行くということにも原因があるのではないか。そこで金を貸すという場合においては、必要な方面には流して行かなければならんが、不必要な方面に流れて行くというと、十分に物があれば結構であるけれども、十分に物がないというと、ことによるとインフレを刺戟して行きはしないか、こういうことを言われているのであります。そこで大蔵省といたしましてはそれが理由で以て通達せられたかどうか知りませんが、現在の金融界に対してどういうふうに金が実情として流れておるか、又大蔵省としまして、それに対してどういうふうなお考えを持つていられるか、先ずその点についでお尋ねいたしたいと思います。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のような議論がありまして、私はその議論は一応尤もだと考えております。従いましてインフレ抑制方法として生産を殖やして行く、これは一つ議論であります。併し生産を殖やすために金が出て行く、而して品物がないというときには、物価上つてギャップが出る。これを矯めなければいかん。そこで先般大蔵省から通牒を出しましたように、重点的な方面使つて不要不急設備資金は遠慮してくれ、こういうことを言つておるのであります。昨年の暮ぐらいから非常に物価が上り、景気がよくなつて利潤が殖えて来ました。そうするとみんなが設備拡張に向つて行く。こういうことをやつたのでありますが、それではいけないというので、実は抑えております。金の流れと申しますと、これは各銀行がやつておるのでありますが、今がやはり輸入資金なんか、相当大量に使われておるのであります。それから物価上つたための運転資金も必要でございます。そういう方面に出ておりますし、又今後も出て行くのでありますから、不要不急設備のほうをとめよう、こういう考え方でございます。
  8. 松永義雄

    松永義雄君 今更ここで大蔵大臣議論しても始まらないのでありますが、その言葉はどういう言葉であろうとも、何らかの、英話で言うとおかしいが、コントロールというものが必要になつて来るのじやないか。通達が、そういつた意味の効力を持つものであるかないか、法律上の見解は別といたしましてともかく市中銀行のやり方というものは、少くとも大蔵省からそうした通達が出て来なければならんような状態であるというふうに認められるのでありますが、そういうふうに解釈してよろしいかどうか。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今の場合の指導方針は、金融根本方針はこうあるべきだ、こういうふうに出しておるのであります。而して市中銀行のほうにもそれがよくわかりまして、自主的にこういう方向で行こう、こういう申合せをしたようであります。
  10. 松永義雄

    松永義雄君 そこでこれ又世上によく伝えられることで、くどくど申すことはないのでありますが、金融の面から仮にコントロールしても、物の面においてこれに副つて来なければ意味をなさぬ。こういうことを言われておるのですが、実際そうですか。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そこまではないと思います。私は金融のほうで適正にやれば、物の直接統制をする必要は今のところないと思います。
  12. 松永義雄

    松永義雄君 私は直接統制とかいうような言葉が弱いとか強いとかいうことでなく、通達というような言葉に副うような何らかのそうした指示というものが安本からは出ておるかどうか、恐らくまだ出ちやおらないでしようけれども、そういうものを出す必要な段階に入つて来ているのではないかというふうに考えるのでありまするが、如何でございましようか。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はまだ安本長官から聞いておりません。
  14. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 松永君に申上げますが、安本長官は今官邸を出られたそうであります。じき来られるそうでありますからもう少しお待ちを願います。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 じや続いてもう一点お伺いしたいのですが、この問題は安本長官お答えを得るのが適切かと思いますが、金融の面から見てどういう方面に重点を考えられて投資したらよろしいのか、或いは又必要ではあるけれども、併しそれほど必要ではないと考えられる方向には投資は遠慮してもらいたいというふうに考えられるのでありまするが、一体そういつた産業の種類はどういつたものでしようか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この前の指定は、通達は重点的のものといたしましては水力、造船、鉄綱石炭、勿論天然ガスを含む、そういう基礎産業物資でございます。それから農林漁業方面特別会計から出しておりますこういうふうなもの、或いは開発銀行とタイ・アップするようなもの、こういうふうなことでやつております。まあよく言われますように、ビニールだとか、或いはひどい消費物資べの何と申しますか貸出しと申しますか、料理屋とか、ああいうふうなところには金を出さないようにという当局指導をいたしておるのであります。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 かなり具体的に御説明になつたのでありまするが、只今説明の中の料理屋とかいつた点のほかに、生産的な工業の中で遠慮してもらつたらいいというようなものはないのでございましようか。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今のように輸出向け物資を優先的にして、国内消費物資のものはあとにするというふうな考え方をしております。それから輸出物資にいたしましても急激に殖やすといつてはなかなかそうは行きませんので、やはり必要な部分の度合を考えながら質的でなしに程度という方面での思料も加わるべきだと思います。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 これから先はちよつと意見になるのですけれども、国内消費部分にも関係が及んで来る、こういう点でその方法を誤まると国民生活に非常に大きな影響が来るかと存じます。その点を我々側としては心配しておるということを意見を申上げて、安本長官あとでお尋ねいたしたいと思います。
  20. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ほかに御質問があればお願いいたします。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 前に主税局長には一応意見を、質問をいたすかたがた意見を申上げましたが、大臣が御出席になつておるので、特に質問いたします。この前もお尋ねしたのでありますが、はつきりしておらないのは、主税局の提示された実効税率が今度の改正によつて五二・九七となるということの前提として市町村民税が、現在の税額よりも高く据置かれる。表面税率において五・二五に据置かれるという前提の下にそういう計算ができておるわけであります。これが主税局当局事務当局の何では、必ずしもそういうふうに据置かれるということには地財委とも十分話合いができており、大体そういうことになつておるのだと、又地方市町村財源が一方に片寄るというような点から考えて是正すべきだという考え方から、当然据置かれるであろうということでありましたが、その点についての地財委当局のほうの責任者からは、はつきりそういうふうにするのだということの言明が得られないのです、この点について至急内閣においてはつきり、少くとも市町村民税については現在の負担表面税率五・二五よりも引上げないのだということの打合せがやつてもらえるのかどうか。我々の審議法人税率改正負担がどうなるのだということを判断する上において最も重要であります。法人税、そして事業税市町村民税を通じての法人負担がどうなるかということの判定の重要な問題になるので、至急に内閣としての責任ある御答弁を頂けるような措置にしてもらいたいと思います。  それから第二点としては、この二〇%の税率引上げますけれども、一方において特別償却、又は退職引当金損金算入、又価格変動準備金制度創設というようなことによつて、かなり一部法人については税負担が軽くなるのだということでありますが、少くとも今はつきり法案の形において出ておるのは、退職引当金損金算入のことだけであります。そうした特別償却或いは価格変動準備金等についてはまだ法案としての形において提案されておらない。そこで大臣も本会議の席上でも言われたと思うのでありますが、二十七年度の増収法人税率引上げ、二割引上げによる二十七年度の増収は大体において三百億だ、それにいろいろな軽減を、税額軽減考えて百億円、差引二百億円は法人税関係増徴になる、こういうのでありますが、そういつた特別償却、又は価格変動準備金制度創設がない場合においては、二割の引上げをするならば、三百億法人税において増徴になる。そうすると大体大蔵大臣の肚ずもりとして二百億と考えらているよりも百億余分に入るというようになる。そういうことであれば二百億だけ大体取ればよいというであるならば、二〇%、二割まで法人税率を上げなくてもよい。数字的に計算すると、一割三分三厘、引上げればいいということになるのであります。そういうことが一つ……。それから法人について一律に二割税率を上げるという考え方がどうであるか、法人の中には少額所得法人もあるわけであります。又業態によつて非常に好調な業態もあるし、不調な業態にあるものもある。そこで法人税全体においては自然増収八百有余億の増収があつたと言つても、これは中には欠損をしておるものもあるわけであります。そういうことで一律に二割増徴ということが如何なものであるか。特に特別償却、又は価格変動準備金等制度創設して、税負担軽減を図り得る企業というのは、一部好調法人であります。不調の法人はそういつた特別償却制度が認められても、実際それをやることはできない、それだけの経理的余裕がない、普通の法定償却すら十分にできかねるという法人もあるわけであります。好調法人は勿論二割の税率引上げには堪え得るでしようし、又堪え得るにもかかわらず、そういつた特別な償却、又は制度創設によつて或る程度実質的に税負担が軽くされる。一方の不調法人税率は重くなるし、又そういつた軽減の恩典にも浴し得ないということでますます不調に陥る。又聞くところによれば、地方税制改正の場合において、特に事業税府県税において売上高の何%というようなことを加味しようというようなこともあるように聞いております。そうなつて来ると収益の如何にかかわらず税金がかかるということで、ますます不調法人の不調を重からしめることにもなる。そういう点、以上のような点を兼ね合せて考えると、特にこの補正予算において、この税制改正によつて法人税関係増収が見積られておるのは、二億六千二百万円に過ぎないわけであります。そこで一応もう少し検討をしてもらつて、又関連したいろいろな法案の確定するのと相待つて、この法人税についても改正考えてもらうというほうがいいのじやないか。僅かにこの補正予算において、この税制改正による増収は二億六千二百万円に過ぎないのでありますから、次の二十七年度の税収に若し増収を図るという必要があるならば、間に合うような意味においてこの補正予算と関連して、今ここですぐに法人税改正考えられんでもいいのじやないかというふうにも思われるわけですが、以上の諸点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 地方税負担の問題につきましては、御尤もな御意見でございまして、私は今の住民税等を、本税が上つたから同じ割合で上げて行こうという考えは全然持つておりませんが、それは私の所管でございませんので、共管になつておりますので、他の大臣話合いまして確定してよろしうございます。第二番目の退職積立金の非課税の問題が出ておるが、特別償却の問題は出ていない、こういうお話でございます。これは司令部OKは取つてあります。ただ産業合理化法で出すか、或いは税に関係したものだから税法改正で行くか、この点も国内的にはいいのですが、どこへ持つて行くかが、司令部関係で今話しております。おくことはきまつております。価格変動準備金につきましては、私は先般お話申上げましたように、これは是非この際やるべきだという強い信念を持つて実は今折衝をしております。これはまだ結論が出ておりませんが、近いうちに是非とも価格変動準備金制度をおくという結論に到達するように努力いたしたいと思います。第三番目の、小法人或いは不調法人について特別の措置とつたらどうかという考え方は、この前もお話申上げましたように、私はこの程度税率ならば我慢して頂けるのではないか、小法人につきましてもいろいろな点から勘案いたしまして、又今の実情から申しまして、この程度負担はして頂けるのではないか、こういう考えでございます。それから補正予算では二億六千万円ではないか、これだけのものならば、何も急いでやらなくてもいいだろう、こういうお話でございますが、私の考えは、今回の所得税軽減をやる場合に、税の調整ということを強く主張いたして、この制度につきましてのOKをもらつたのでありますから、所得税軽減一体をなしておるのであります。来年度におきましても私は八百億円の減税をする強い決意をしておりますので、この一連の税制調整軽減ということから申しまして、これは分けてやるということは、私は今後の折衝支障を来たすのじやないかと考えるのであります。而も二億六千万円でございまするが、これを本国会でできなかつたならば、来年度の税収入相当影響があるのであります。これは御承知通り三月期の決算が、大法人は勿論のこと、その他の法人につきましても、三月、九月の決算が非常に多いのでございます。三月の決算期の分は来年度に入る、これは私は九十億から百億ぐらい来年度に影響するのじやないか、こういう観点から、是非とも来年度も本年の線に沿つて減税をするということで話を進めて来ております関係上、法人のほうと個人のほうと一体をなして考えないと、今後のなにに支障を来たすというように考えておるのであります。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 関係当局との折衝において一方法人税関係は上げて、所得税関係を下げるという、これが両者関連をしておるために、所得税関係減税が認められたということのようでありますが、併し成るほど大臣もよく言われる税法上の減税であることは間違いがないし、給与をもらつたときの手取りが今までより多くなるという点においては間違いがないのであります。従つて自由党としての公約として減税をやるということにおいて、減税ということを言われることは結構でありますが、実際問題として物価上昇、頂いておる資料から言つても、目に見えたマル公的な費用だけが減税によつてどうにか吸収される、この資料の中で鉄道貨物運賃引上げによる物価へのはね返りというものは見てない資料でありますが、そういうことで実際上その物価騰貴減税によつて吸収するということであつて、実質上の減税とは言いにくいのだ、従つてこれは物価騰貴に対する税法上の減税をやつて調整をするのである、あえて関係方面に対しては、減税じやないのだ、国内的にはどうおつしやつても結構でありますが、関係方面に対しては、税の調整である、減税じやないということを強く強調されるならば、一方の所得税の面においてそういつた調整をやるのであるから、一方の法人税のほうを引上げなければならんということのそこの関連付けないような説明はできないものでしようか。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは説明をいたしましても向うのとりよりもありますし、それから全般的にどこも物価が上つておるのですが、税法上の減税でも実はできるのは殆んど日本だけでございまして、お話のような点は十分心得て話はしております。私といたしましては、今の負担状況から申しまして所得税是非とも下げたい、併し法人税につきましては或る程度我慢して頂ければこの際この程度で、全体の負担の点から言つて適正じやないか、こういう考えであります。
  25. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 安本長官がお見えになりましたから……。
  26. 松永義雄

    松永義雄君 安本長官にお尋ねします。率直にお尋ねしますが、二十六年度及び二十七年度の見通しとして日本生産総衆と、それから何と申しますか、今朝の新聞に出ていた内需とか或いは外需、或いは昔の言葉ちよつと当らないのですが、民需、国民生活に必要なる生産に向けられる資材と、それ以外の生産に向けられる資材、例えば輸出その他の需要に対して向けられる資材は大体どの程度でしようか。又どういうような比率になつて行くというお考えでしようか。
  27. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは先の問題でありますから、的確にこうということを申上げることは如何かと思いますが、第一のお尋ねである生産上昇割合はどうかという第一の点についてお答えすると、恐らく今年の二十六年度の関係電力関係で一時生産が下りましたが、非常に今臨時応急の処置としてこれが補完を考えております。これが若しこのまま今のまま、もつと下るということがなければ、今年は一三六ぐらいに行くのじやないか。それから若し電力事情がこの上悪くなれば一二四ぐらいのもの、そういう形で進めて行つての二十七年度は大体一四二、三ということになるのじやないか、かように考えております。これらはすべて電力石炭に関連いたすのでありますが、石炭については一例を挙げて申しますと、去年石炭は三千九百二十三万トン、約四千万トンであるのでございますが、今年は一割三分ぐらいの増加計画を立てておつたのが、大体四千五百万トンですが、石炭生産はこれを恐らく超えるのじやないかというぐらいになつております。電力におきましては、この間の異常渇水によつて水力関係が二〇%減じたのですが、平水時の関係からいたしますと、先ほど申上げたような数量の確保はできるだけの電力があるとかように考えております。要はそれに対する資材の問題がどうなるかということでありますが、今日までの輸入状況考えましても、一時輸入関係が落ちましたが、最近の状況は一万八千ドル、一万九千ドル、二万ドルというような形で月々進んでおる状況でありますからそう悲観する必要はないと思います。殊に問題は必要な物資をできるだけポンド地域から買いつつ、而も輸出ドル地域に出すというような形でのドルポンド調整は必要でありますけれども、大体において市場の獲得についても見込がある。そこで生産状況は先ほど申しましたように電力その他石炭等に特殊な原因がなければさつき申したように伸びると思います。第二の質問の、その中で、生産消費資材にどのくらいに割当ててへ国民生活以外にどれくらいだということは的確に何は何というわけには今申上げる数字を持ちませんが、併し政府考えているところは、飽くまでも国民生活に最低限必要なものは確保しつつ輸出その他に向けるという政策をとつております。その間においては御承知通り、ときに多少の変動はありますけれども、繊維品にしろ、食糧品にしろ、食糧繊維等国内必需品というものの確保については遺憾ないようにしておりまするし、今後もその問題はそう続けねばならんし、続け得るものと思います。
  28. 松永義雄

    松永義雄君 どうも只今答弁では数字的にはつきりしないので非常に残念なんですが、或いは又調査が行届きかねるということかも知れませんが、まあ何も濁すと申すわけじやないのですけれども……アメリカでは二十七年度には約百分の二十、極めて必要な方面に使用される、その結果アメリカにおいてすらもインフレが起るかも知れんと言つて憂慮しておるものもあるということを聞いているのであります。従つて先ほど大蔵大臣に御質問いたした際に申上げたことでありますが、世界の財政経済、これは勢い日本つて影響を受けなければならん。二十六年度、七年度、どういうふうに一体資材の需要が動いて行くかということが我我だつて大きな関心があるのであります。そこでこの数字がはつきりしないような御答弁でありまして、それから先に議論を延ばして行くことも非常に困難なんです。私はそれくらいの資料是非一つ研究願つて、そうして我々の手許に差出して頂ければ非常に結構だと存じている次第であります。そこで我々としても靴の上からものを痒くように、はつきりと行かんのですが、勘で判断して行きつつある、どうかして数字を求めたいと思つたつてなかなか数字を得られないので的確な御質問を申上げるということはできにくいといつたような状態で、御説明を伺えば極めてあいまいである。別に濁そうというわけでもないのですが、実際数字がなかなか困難であることかも知れませんが、そこで或いは、お尋ねしたいことは、我々の心配していることは只今お話の一端にもありましたように、二十七年度において我々国民生活にどういうふうな影響が来るかということ、これが最も我々の関心のある点であります。それに対して恐らく安本としましては貿易を促進する、或いは生産を増加する、こういうことを言われるかと思うのでありますが、併しながら生産が仮に殖え、或いは貿易が殖えても実際国民生活のほうへその資材が廻つて行かない限りにおいては国民生活は伸びて行かないと我々は考えるのでありますが、大体の見通しとしては二十七年度は国民生活にはどういうふうになつて行くかという点を一つ承わりたい。
  29. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えしますが、今御指摘のように、日本経済の回復、インフレ防止のためにも生産を増強し、輸出規模の拡大を図るということにあるということは御指摘の通りだと思います。併し御意見によりますと、そうすることによつて輸出ばかりして国内の必需品を確保されなければ内地においては物が少くて値が上るということになるのではないかという御説のように受取るのでありますが、私ども非常にその点は警戒し施策を立てる上においては一番重点を置いておる点でありまして、今後いろいろの形で出て参るにしても、常に言つておることは国民生活の水準というものを急速に、一遍に一〇〇%確保することはむずかしいとしても、今日の現況から徐々に上げることを目的としておるという考え方でいるのであります。今総合的な案ということは申上げかねますが、併し例えば、多分国民に必要な繊維、木綿のごときは曾つて一月民需品三万七千梱しか確保できなかつたのですが、今日は五万梱を確保すると、それに相当して人絹、スフというものも加えますと、一人当りの繊維製品というものは約四ポンド弱、もうちよつと上になるかも知れませんが、詳しい数字は出しておりません。こういう形で一応確保する。又大きな鉄材のごとき大体四百二、三十万トン程度少くとも輸出というものについては今日までのところはその三分の一以下であります。そういうふうに民需と輸出関係については常に考えつつ施策を進めておるのであつて、御心配のように輸出は振興するけれども、全部外へ取られてしまつて内需は確保されないで困るという御心配は御尤でありますが、私どもはいつも先ず国民生活に必要なものを……物によつて随分違いますが、いずれも最低限度は常に確保しつつ徐徐に増加しつつある、そうして輸出に対して外貨の獲得なり、或いは講和条約後新たに殖える負担の増加に備えて行く、そうして国民生活の安定に資して行きたいという考えであります。
  30. 松永義雄

    松永義雄君 今繊維製品のお話がありましたが、最近のアルミの関係は非常に増大して、鍋、釜が高くなつておる。昨日も聞いたのですが、そのように物によつて相当ひどい凸凹ができるのではないかと思うのであります。で、それじや資材をどんどん安くしたらばいいではないか、ところが絶対必要資材についてはそれぞれ制限を受けるのであります、そうすれば我々が日常生活に必要なものの製品が、たとえ手に入れられても非常に値が高くなる、少し言い過ぎかも知れませんが、勤労階級の生活に大きな影響を来たす、こう考えられます。なお又国内において生産し得るものであつても、又それが仮に多量であつても、それが国民生活に必要な方面資材が相当廻つて行けばよろしいけれども、それが若し廻つて行かないということになると、勢いそうした資材の取合いが始まつて、そうして値上りを来たす。物価の騰貴を来たすということになるのでありますが、例えばアルミであるとか、或いは銅であるとか、或いは硫黄であるというような資材については相当強い影響が来るのではないかと思うのであります。一体そうした意味資材について今繊維の話がありましたが……。
  31. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御指摘の銅とかアルミ、ニツケルというようなものについては、これは大体日本にほそれに必要な原鉱石と言いますか、非常に少いということは御承知通りでございます。併し世界的に見てもこれらのものについてはかなり少いのであります。いわゆる稀少物資であります。従つてこういうものにつきましては世界的に今その原材料の割当会議というようなものもあります。日本としても物資委員会に入つているし、又はかのものも入つていないものもありますが、こういう委員会の割当によつて日本へは如何に稀少な物資でも割当てて輸入さしてくれるようになつておりますし、これは是非つてもらわねばならんと思いますが、そういう際におのずから国内における取合いが起るが、どうかということの御質問でございます。今後の情勢を見ますれば、そういう稀少な物資については或る種の割当制というものを起し得る、現にニッケル、コバルトというようなものについては、すでにその実施をいたしておるのでありまして、そういう稀少な物資、而も外国から割当を受けて特に日本に入つて来るというような物資については、効率的な使用、効率的な需要に的確に応じさせるために必要な措置は要すれば行いつつ、国民生活には影響をしないように一つ善処したいと思います。
  32. 松永義雄

    松永義雄君 問題は方法論ですが、効率の上るように手配をしておると、こういう答弁なのですが、まあコントロールと言いますか、という政策を施したのですか、何らかの規制が行われておるという意味ですか。
  33. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それぞれコバルトとかニッケルなどにつきましては、使用について特殊な制限があります。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 外国からできるだけ入れたい御希望で以て努力しておるように感ずるのですが、併しそれが折角入つて来ても製品となつてそのまま外国へ出て行くということになるのですか。それとも幾らか余りがもらえるのですか。
  35. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 勿論全部外国に出るのじやなくて、むしろ今のところ銅でもニッケルでもコバルトでも日本において使われるのが今のところ多いのです。銅あたりは日本で使われるのも極く少数が民間に行つておる、その点は今のところ、国内における必需の量と勘案しつつ必要なる場合に必要なる量だけが外国に行くということです。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 只今お話はまあニッケルとか極く稀な品物について最近の状態をお話になつたのですが、漸次これがこの種類が広められて行つて、そうして二十七年度、八年度には相当その範囲が狭ばめられて行くのではないかというふうに考えられますが、そういう見通しについては……。
  37. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) まだ私のほうはそうひどく考えておりません。というのは今のコバルト、ニツケル、銅に対しましても、アメリカ等ではすでに早くいろいろな使用制限、輸出制限というようなものをやつております。日本日本としての独特な経済状態に応じつつ日本に必要な輸出制限をやつてもよいことになつておりますので、まだ二三種類しかやつておりませんが、要は今後の原材料の獲得の状況なり、或いは稀少物質についての割当状況なりということを考えつつ、事態に即応して適切な措置考えたいと思いますが、今急に輸入されるようになつたら何もかも統制され、規制されてしまうというふうに私は考えておりません。
  38. 松永義雄

    松永義雄君 最近伝えられるところによりますと、講和後においていろいろの事情のために日本の復興も又これは遠慮しなければならん、或いは産業の合理化をもこれは一時ちよつととどまらなければということを耳にいたしておるのであります。それはその原材料とどういうふうな関係であるかということを一つ……。
  39. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 日本産業の復興のために思い切つた合理化をやらなければいかんという御意見は、私それは産業のそれとまあ原材料の関係という御質問、どういうふうなことかちよつとわかりかねますが、問題は今後の貿易の規模の拡大と外貨獲得ということから申しましても、恐らく松永さん御承知のように、国際競争ができるような価格で輸出されなければいかんということになるわけであります。それはいろいろの点について改良が加えられるというようなこともありましようが、何と申しましても今日日本の税金の割高という、高の大きな問題だ、戦争中及び戦後、ここ十四、五年の間償却もされず置換えもされない。古い、即ち能率の悪い機械によつて生産性の低い設備を持つておるということがあるということは、何人も認めなければならん。これをできるだけ早い機会に設備のよい、能率的近代的な設備に置換えて行かなければコスト高を落すわけには行かん。そこに国際競争上不利な点もあると思います。そういう点を私ども考えておる次第であります。今度企業合理化ということが出るわけでありますが、これらにつきまして設備等もやる場合においては償却というような形で極く短い期間に償却するという場合の金に対しては減税するとか、税を加えないとかいうような形で、一には資本蓄積ということの考え設備の置換えというようなことも思い切つてつて行きたい、こういうふうに考えております。よく言われます鉄なんかについては原鉱石、或いは粘結炭等が遠いところから来るから運賃割高だというのでありますが、そのコスト高の中に占める割合は運賃の問題よりやはり合理化の問題が最も大きなウェイトを占めておるので、これはすべての産業についてもそうだと思う、こういう意味において是非とも合理化をきつくいたしたいと思つております。こういたしませんと折角日本の余剰労力もあり、有力な、そして各方面からの原材料の日本への輸出日本には大きな援助、協力を惜しまぬとしても生産費が高くなるということにおいて一番輸出が警戒されるわけであります。そういう意味合いにおいて原材料の確保を私ども心配しておりません。むしろ生産設備のできるように、内地の設備を合理化いたしたいと考えております。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 極めて長官のお話は結構だと思いますが、ところが産業の合理化がいろいろの事情からして離する結果になる、そういうことを聞いておるのであります。
  41. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) それは御指摘の通り、貧乏世帯の中からやり繰りしてやるのでありますから一遍に何もかもやろうとすれば恐慌ということは来ると思います。これは計画の中に重点的に順位をきめて進めて行くということになると思います。これは具体的に政策をすべき問題と考えております。
  42. 松永義雄

    松永義雄君 そうなりますと、少いものを以てできるだけ産業の合理化をやつて行こう、貧乏国なら貧乏国なりに一つ自分の家を改善をして、国の内部から改善して行こうということになりますと、どうしても物資というものは重点的に浮いて行かなければならん、こういうことになつて参ります。大体今の程度ではそれほど心配しなくてもいいのか、或いは又重点的にそういう点について考えて何らかものの方面から考えて行かなければならんのじやないかということを一つ伺います。
  43. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 質問の要旨がよくわかりませんが、大体御趣旨はそうなると競合して行くから原材料を重点的に配給をしなければ駄目じやないかと、こういう御趣旨のように同つております。私どもはまだ国全体として産業計画を立てておりますが、そこで必要な原材料をこのくらい輸入することが必要だというところに計画を立てておりますが、入つたものについてはまだ割当ててどうするということをしなくてもおよそ各資材というものが全体の計画の下にどういう産業をどのくらい伸ばすということで、どの原材料がどのくらい要るということが計画から出るので、各人の企業に任しておつていいと思います。各産業に任してあるからコスト高であるということ、これは自分が一番よく知つておる。それは産業の中において思い切つた機械設備の合理化を図りつつありまするし、又そうやらせております。そういう面に必要な資金を廻し、又自然に内部的な資本蓄積をやり、現在の出資によつて推進して行くということがまだできる段階にあると思います。
  44. 松永義雄

    松永義雄君 話は大分抽象的になつて来ますが、具体的にできるだけ入つて行きたいと思いますが、実際は最近の物価の値上りというものはかなりひどいようであります。ここ二、三日いろいろなものが上つている。この二、三日電気、ガスとか、郵便料金の問題とか、あのことがあつてからここ僅か四、五日のことですけれどもそれで物の値段が上つて行つて、そうしてそれが一般の国民生活影響をするのであります。あなたがそういうふうに非常に楽観的にものを申されますけれども、事実はどんどん物価は騰貴いたしております。国民生活はだんだん苦しくなつて来る。こういう状態に対してただこのまま楽観的な態度を以て放擲していいのか、こういうことになるのでありますが、いずれどつちの言うことが本当かどうかということは、他日これが立証されると思います。どうなんでしようか。
  45. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは前々からよく質問に出ますが、電気の料金の値上り、ガス、水道料金の値上り、八月における米の値上りというものの影響というものは、今漸く出て来ておるという御質問でありますが、それは実は生計費の関係においては私どもすでに織込済なんです。ガスなり電気が料金値上げをして更に或いは通信、交通関係の経費の賃金の値上げという問題も頭に織込んで、これら総合してどのくらいかということは、実は頭に入れて計算し、それに対応するように減税考え、又公務員についてのベース・アップを考えておりますので、今のお話の点についてはすでに私ども織込済であり、今後の一般の値上り、物価の動向がどうなるかということは慎重に考えておりますので、今の御質問のところはすでに織込んでおるのであります。
  46. 松永義雄

    松永義雄君 最後にそれでは大蔵大臣ちよつとお尋ねしたいのですが、産業合理化のために特別償却を、例えば機械とか何とかいうお話ですが、ところが実際問題としては資材が必要な方面へ廻らないで、比較的必要でない、不必要とまで行かなくても必要でない方面へ行く、そういつた面の償却というような制度をおやめになるようなつもりはないか。償却制度を例えば只今安本長官の言われたように、産業合理化のために機械を輸入したとか、そうした機械に対しては特別償却を認めるとか、こう言われた。そういう法案が今出ている。その半面に余り必要でないものに対しては償却制をやめるというようなお考えはないか。
  47. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは各資産によりまして、償却年数は違つております。産業別にやつておるのでございまして、この耐用年数のきめ方は、余り必要でない方面のものはおのずから少し差等があると思います。
  48. 松永義雄

    松永義雄君 我々としては、そういうようなものは、もう製造なり或いは建築なりを禁止したらいい、こう言つている。併しそれは大蔵大臣から言えば統制し過ぎるお気持になつたかどうか。だけれども税金の面から一つの税源をとつて参るということも考えられる。従つてそういつた不必要なものに対して、三十年なり五十年、そういう年数を認めて、そうして償却率を規定して、そうして税金をかけない、利益勘定に見ないというのは少し方針として矛盾してはいないか。勿論そういつたようなものに対しては償却制をやめて、普通の税金をかけて行つたらどうなんでしようと思うのです。
  49. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 償却というものは、これは物理的、経済的の観念からきめて行かなければならん。ほかの観点から耐用年数に差等を設けるということは、それは如何なことかと思われます。
  50. 松永義雄

    松永義雄君 不必要なものは統制して、そんなものは建てるな、こう言いたいと思う――こう言いたいけれども、併しそれでは少し行過ぎだということであるとして、せめてそういつたものに対して保護を加える必要はないじやないか、保護を加えてまで、そうして税金を取らないようにしてやるということは不当ではないか。何でもかんでも、建物が、或いはいろいろな建造物が、一定の年間において必ず腐朽してしまう。これはその間の腐朽率というものはペーしておいて、そうしてこれは税金をかけないようにしてやる、こういうような規定になつておるのでありますが、併し諸般の今の事情からして極めて問題は卑近なことではありますけれども、先ずそうしたことから心持を向けて、そうして行くことが必要ではないか。大蔵大臣におかれまして、一体そういう考えに対してどういうふうに……。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は逆でございまして、償却というものは物理的にどんどん減耗して行く、こういうところで一般の償却を保護する方法を加えるほうが本当だと思います。
  52. 松永義雄

    松永義雄君 まあ同じことを繰返すことになるのですが、程度の重い軽いによつて、片方は保護を加える、片方は減耗を認めてやるということになるのですが、併し大体が、そういうものは必要ないものだ、必要のないものに、大体がそういうものはまだそこまで情勢は行かないかも知れませんが、国によつてはそういうことですでにいろいろな点から整理をしている、そういつたようなものに対しては、そこまでこの点を施す必要はない、減耗があるということを認める必要はない。ところがそれを経費として見るのはどうかと思う。併し余り過ぎたことはいけないから、その程度の税金の面から、統制の軽い意味においてとつて行くということが必要であろう、こういうふうに考える。この間まあ国税局長から、又よその話もあつて、すでにカナダにおいてそういつたお話、而も非常にいい結果を示している。ただ徒らに統制でやるとかやらんということよりも、償却制を認めてもらわないで税金はやはり払わせなければならないという一つの圧力が結果においてあると、そうしたものが比較的建てられない、建築せられないという結果で、これで非常に効果を挙げている、こういうことを聞いております。……まあ意見の相違ですから……。
  53. 田村文吉

    ○田村文吉君 この間大蔵大臣に御質問申上げた問題に関連して質問したいと思うのですが、日本の今後の物価をどういうふうに持つて行くかということは、今後の平衡をきめる上から見ましても、国民生活の安定という上から言つても非常に必要な問題でありますので、それに対しては大蔵大臣は持論として、国際水準に従つた物価で行きたい、でき得れば成るべく早く行きたい、これは私は尤もなる意見だと思うのでありますが、もう少しこれを分析しまして、例えば食料品のごとき、これは急に増産しようたつて増産できん、どうしても外国から持つて来なけばならん。こういうものは一体内地へ到着した価格を以て基準としたのであるかどうか、それから鉄鋼のごときものになりますると、これはニューヨークの相場と東京の相場というものとは、非常に日本が高い、そういうようなものでちりまするから、これは果して本国同士間における物価としての水準をとろうとお考えになつているのか、或いは品物によつては、今の食料品のごときものは、日本統制価格において水準をとろうと考えておられるのか、この点について大蔵大臣はどうお考えになつておられるか。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは議論のあるところでございまして、国際的に競争し得るようにやるということになれば、やはりこれはFOB価格で行くべきだ、何もCIF価格でやつた分にこちらの分を合わして行くということになると、こちらは非常に高くなる、殊に食糧なんかにつきましては、やはりFOB価格を基準とするという方法が合理的と考えます。全部FOBにするかというと、又物によつて違うのでございます。鉄なんかの問題も、イギリスとかベルギーは二重価格制をとつているようでございまして輸出価格は非常に高い、国内価格は安いというのがここ一、二カ月前の状態であつたのであります。最近は日本の高い物を買いに来るというような状況になつております。値段をどこに置くかということは、やはりお話のように、品物によつて違いますが、生活必需物資の食糧なんかにはむしろ基準をFOB価格でとるほうが都合がいいと思います。必ずしもFOB価格通りには行きませんけれども、主食なんかはそうあるべきだと思います。
  55. 田村文吉

    ○田村文吉君  そこで問題は、品物によつてきめるということになりますというと、何かしら日本物価政策に対してのしつかりした方針がきまらないように感じていかんのですが、何か大体例えば運賃が高過ぎるから非常にCIFが高くなるというような問題であるとか、いろいろな問題が起つて来る。でありますから、大体日本の方針としては、これは私は御質問申上げて是非答弁という意味ではありませんが、この日本物価一体どういうところに水準を置こうとするのか、FOB価格でもよし、CIFでもよろしい、このCIFであれば、日本経済が又行詰る時代が来るであろうと思います。そういうような点について少しでも大蔵大臣がお変えになりたいという御意向があるとするとすれば、現在でも私はFOB価格にする場合においては日本物価は平均して二割から二割五分くらい高いのじやないか、そうすると或る程度までこれは下げることを考えなければならぬ、こういう問題が起つて来ると思う。そこでこの大方針は大体どうお考えになつていらつしやるか。今後どういうふうなそれについての手をお打ちになろうとお考えになつているかということを私は知りたいのであります。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) こういう問題、FOB価格とか、CIFのいずれによるかということで議論を立てますと、それはむずかしいと思います。やはり先ほど来から言つているように、国際市場において競争し得るような平均物価にしたい。こういう考え方のほうが実際的じやないかと思います。
  57. 田村文吉

    ○田村文吉君 そういたしますと、輸入し得る物、例えば食糧品のごときものは、外国から持つて来た価格と大体それに釣合う値段まで内地の価格を持つて行くということになり、それから例えば東ア方面輸出をする場合には、向うのCIFで競争ができる程度の価格に国内の物を持つて行かないと、ダンピングの弊があるように解釈されますが、そういう意味に解釈してよろしうございますか。
  58. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 食糧品につきましては、先ほど申上げましたように、CIF価格にずつと食糧を合わしてしまうということになりますと、日本の生活程度が非常に高くなつて来ます。こういう基礎的なものにつきましては、私はどちらかと言えばFOB価格を原則とすべきものじやないかと思います。それから今の輸出についての点はちよつと聞きとりにくかつたのでありますが……。
  59. 田村文吉

    ○田村文吉君 例えば東ア方面輸出する、そういうようなことになれば、競争のできるような価格にまで下げるというようなことが必要になつて来る。そういうことを目途にしていらつしやるか。
  60. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りでございます。
  61. 田村文吉

    ○田村文吉君 もう一つ、それじや簡単に伺いたいのですが、私の産業生活四十年ばかりやつておりますうちで、どうも今年あたりくらいかなり事業の金融に困る年はないと、こういうふうに実際年末を心配しているのですが、大蔵大臣は強気でいらつしやるから、余り御心配をなさらぬと思うのですが、それで私はこういうことが毎年毎年なつて来て、而もそれが強くなつて来るということは、いつも申上げる通り、やつている事業に割合して、民間資金というものの頒布が割合に少い。結局民間自体が資金を貯蓄できればよろしいのでありますが、今日終戦後の状況として税金を皆んな国に納める、国だけは借金がだんだん減つて、国は金持になつた。市町村と個人というものは、だんだん貧乏する。こういうようなしきたりに今日なつて来ておるのでありますからして、従つて始終金融に困る。従つて天門の門を叩いて何とか助けてくれと言つて行かないとやつて行けない。こういうようなことは、実は不自然な状況なのでありますので、その意味から行きまして、私は法税人を増徴なさるとか率がどうこうとかという問題もあるのですが、民間の資金をだんだん取上げてしまいますと、ますくこの勢いが強くなつて来ると私は考えておりますが、これは議論になりますので差控えまして、差当り年末あたりにおきまして市中銀行の事業金融等についての大蔵大臣として心配のないような御用意が十分におありになると信じますけれども、念のために一つつておきたい。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 田村さんのお考えになられますように、かなり資金に困つておる向きが多いようであります。これは例年の今頃はそうでもありませんが、本年は特に生産の拡充が進んだために急激に多くなつた、生産増強のためにそういう事態が来たと思うのであります。併し飽くまでこの金融産業について行かなければならぬのでありますからして、万全の措置をとる用意をいたしております。
  63. 田村文吉

    ○田村文吉君 その御用意があることと考えておりますが、今大蔵大臣みずからおつしやつたように、昨年以来の景気でかなりに事業が拡張しているが、今ここで設備資金を全然出さんということになりますと、しかかつた仕事も途中でやめなければならぬ、こういうような困難な問題も出て来る。又いま一方はさつきの話に戻るのでありますが、物価が上らんで行つてくれれば、実際よかつたのですが、物価が先に行きますと、三割とか四割とか上つている。こういうことのために事業資金自体が非常に要る、こういうような状況でございますから、何かこれは特殊な手をお打ちにならぬと、そう楽観的にこの年度をお越しになるということは困難ではないか、こういうことを心配するのであります。特にこの点について大蔵大臣の御善処を要求したいと思います。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度のこの税制改革は補正予算との関連において出されておるわけですが、この補正予算大蔵大臣財政演説でも来年度の講和と関連して生じて来るいろいろの財政負担を考慮に入れて、今度の補正予算を組んでおるという御説明ですが、そこでこの税制改革を我々審議するに当りまして、一応来年度の租税収入というを大体睨み合せながらも審議しなければならないと思いますし、大蔵大臣も大体来年度の租税収入というものを考えながら、例えば法人税においても本年度の補正では二億数千万円に過ぎませんが、来年度はこれを三百億くらいに見込まれておるのでありますか。この機会に大体来年度の租税収入というものはどの程度にお見込みになつているかどうか、その規模、そうして一部には減税はできないのではないかというような、例えばドツジさんの意見がどうも相当きついので、現にできないのではないかという意見もありますし、今度は間接税というものが相当出て来るのじやないかというようなことも言われておりますので、明年度の大体の租税収入の見込、それと又減税の問題、これはこれまでもたびたび大蔵大臣から言われておりますけれども、米の統制撤廃をやると言つても、ドツジさんの考え方が変るとこれもできなくなるのでありますから、やはりそういうことも我々としては問題になるわけです。それから関接税の問題、先ずこの点についてお伺しておきたいのです。
  65. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 田村さんの御質問に対しまして補足をいたしておきますが、設備資金は、新たにやるものは一応原則的に止めてもらうようにしておりますが、今やりかけておるものは状況を見まして出すのは差支えないと、こういう内容の程度をきめております。  木村委員の明年度の租税収入の見込というお話でございますが、これは大体の見当はつけておりまするが、ここで申上げるほど固まつておりませんので、御了承願いたいと思います。それから来年度減税はできるかと、これは私は補正予算で御審議つておるものを本法化す、こういう強い希望を持つて関係方面折衝する考えであります。それから増税、特に関接税のほうの増税はどうかというお話でございますが、只今のところ間接税の増税は考えておりません。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その只今の御答弁だけでは、来年度の講和後における日本財政経済を頭に入れてこの補正予算を編成し、そうしてそれに関連して税制改革をされるということなんですけれども、そういう抽象的な御答弁では我々どうも満足できないのです。と申しますのは、来年度の税収の見積り如何によつては、例えば講和関係費というものも仮に相当出て来た場合、それでは無理に来年度の税収の範囲内で講和関係費を引つくるめて大体まあ本年度程度、八千億程度に予算を組むとなると、この講和関係以外の経費は著しく少くなつて、公共事業費とか、或いは平衡交付金とか、そういうものが削減されたり、この民生的な、国内的な政策のための費用が非常にうんと減るのではないかということが懸念されるので、あれはインフレに又持つて行けば自然増収が殖えますから本年度の補正予算みたいに楽に組めますが、インフレに持つて行かないとすればそういう点が非常に問題になりますので、お差支えなければ、このくらいの程度できるのだから、税収と専売益金を合せてこのもらいになるのだから来年度の財政規模は大体八千三百億か八千五百億くらいになつても大丈夫だということをお伺いしないと、講和後の来年度の財政経済考えてこれを編成したというふうに我々は納得できないわけなんです。ですからもう少し具体的にその点の構想をお漏らし願いたいのです。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体来年度の歳出規模は今年度と大差のない八千億円台の見通しを持つておるのであります。その場合におきまして、租税収入が幾ら幾らになるかということにつきましては、まだここで私としてお話いたすまでの数字を固めておりません。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではまだ固まつてないそうですから、私無理に御説明を求めることはやめますけれども……次にお伺いしたいのですが、先ほど田村委員からも御質問があつたのですが、物価と税との関係についてお伺いしたいのですが、今度のこの財政演説を拝見しましても、どこにも物価の問題が出ていないのです。それでまあ歳出についても歳入についても物価の問題が一番重要だということは、誰でも常識として明らかなんですけれども、大蔵大臣故意か何か、これを避けられたのかどうか知りませんが、どうも物価の問題について我々割切れないのですが、特に又物価と税との関係についてこれまで幾度も大蔵大臣意見を闘かわしたのですが、今度の補正予算、この税制改革を見ましても、全く減税等にならないわけなんです。具体的に私はお伺いしたいのですが、その前に一体今後日本物価をこの程度に安定させて行くのか、或いはこれ以上下げて行くのか、もう少し上げても輸出関係或いは国内の一般経済秩序の関係等から見ていいと考えているのか、どの点に目標を置かれるのか、物価政策としてこの点大きな目標だけでも構わないのですが、上げて行くのか、今のところに安定さすのか、下げるのか。下げるのかと思うと物価が上るような措置をとつている、じや上げるのかと思うと金融を締めて下げようとしている、一体どつちの方向に行くのかさつぱり我々にはわからないのです。而もそれは全体の経済政策のバツク・ボーンになるところでありますから、その点を一つお伺いしたいと思います。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日本経済が国際経済に繋つております関係上、政府が上るものを下げようと言つたところで、なかなか下げられるものではございません。これは経済の原則でございます。而うして私としては成るべく上るのをとめたいと、而も外国のほうで上れば、上つた以上には上らさないようにする、外国が上るよりも上り方を低目にしようというのが私の念願であります。外国の物価が下れば、それ以上に下げたいという考えでございます。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、大体まあ目標は、現在程度物価を堅持する建前をとつて、そうして今後において海外物価上つた場合、例えば二割上つた場合には、その影響を一割或いは五分と、こういうふうにするという意味で現在の物価水準をいろいろな政策をとつて、国際物価水準まで鞘寄せするというような物価政策はとらない、こういう意味なんですか。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) やはり国際物価水準に適応するようにいろいろな施策をやつて行きたいと思つておるのであります。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併し実際はそういう政策がとられてないわけですね。実際には国際物価水準よりも割高であるということになつているのに、いろいろな、例えば米の問題、或いは電気料金等々各種料金を上げる政策をとつておる。そうすればますます国際物価との開きはひどくなるわけなんです。実際にとられている政策が、これはもういわゆるインフレーシヨンと言つていいかどうか知りませんが、インフレ的な政策をとつているわけなんです。その結果として自然増収というものが非常にたくさん出て来たと思うのですが、実際は今大蔵大臣の言われたような政策をとつておらないと思うのです。その点はどうなんですか。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 実際は国際物価水準に合うようにやる考えで、而して国内のいろいろな点から考え調整しておるのであります。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際にはインフレ的になつていることはまあ明らかで、最近ではどうも海外の要因に基いて日本物価上つたので、決してインフレでないという意見が非常に多いのですが、海外の要因によつて物価上つたのに対して、政府がその影響を少くしようとする努力は一つもとつていないのです。最近においてむしろこれはドツジさんの言うことが本当で、海外の物価影響が一割であるのに、日本政府は一割五分にも二割にもそれがはね返つて行くような政策をとつているのです。そうしておいて海外物価に鞘寄せしようとしているから、我々わからないのです。これはまあ今後を見なければわからないと思うのです。恐らくこういう野放しな政策をとつていれば、今後の貿易には私は非常な支障が出て来るのじやないかと思いますが、まあその点は議論になりますから……。政府は結局物価対策としては何も持つていない、行き当りばつたりで、政策というものはとつていないと、そういうように解するよりほかしようがないと思うのです。それは政府の政策はそれで構わないかも知れませんが、国民生活に対する影響は非常に深刻なわけで、政府は今度税制改革で減税減税言つておりますが、そうして先ほど小林君も言われましたが、今度の減税によつて、生計費の物価騰貴による負担増をカバーしておると言つていますが、数字的に示しておりますが、併しああやつて数字的にお示しになる以上は、これは減税でないということは明らかだと思うのです。これでも一時は減税でなくて調整というふうに言葉を換えるように言われましたが、やつぱり大蔵大臣は、これは何回も意見が違うのですが、私は大蔵大臣くらいわからない人はないと思う。まるで主税局長時代の考えがちつとも変つていないと思う。大臣なつたからには、物価と税との関係考えないで税制改革なんというのは私はおかしいと思うのです。数字的に私は根拠を示してもらいたい。というのは、数字的に根拠を出さなきやよろしいのです。なまじつか我々に数字的に、例えば主食の値上げ、電気、ガスの値上りは何%であつて、今度の減税によるのは何%である、差引二・何%の減税である、こういうような編かしの資料を我々に出すから我々は問題にせざるを得ないので、こんなことで納得できつこないのです。先ほど小林君も言われたように、貨物運賃のはね返りも入つておりませんし、その他の一般物価の上りというものも入つておりませんし、それから結局この補正予算を組む前の物価騰貴によつて、名目的に所得が殖えた。その名目的に所得の殖えた分についての税の考慮というものをちつとも考えていない。これでも大蔵大臣やつばり減税であると……、これはくどくなりますからその点だけ一応お伺いしておきたいのです。
  75. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 数年来議論を続けておるのでありますが、今まで申上げた通り考えに変りはございません。私は減税と心得ております。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の税制改革では、先ほども大蔵大臣言われたように、調整ということにまあ非常に重きを置かれたと言いますが、例えば個人所得税法人税との調整、勤労所得税のいわゆる源泉徴収と、それから申告納税者の税との間の調整ということはお考えになつていたかどうか。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来から考えておりまして、今回の税制には特にそういうところは入れてはおりません。それから先ほどお答えしたうちで、来年度間接税は増徴しないということを申上げましたが、今の計画では、砂糖消費税は引上げるつもりでおります。ただ全体といたしまして、今食管のほうで特別価格によつて売捌ぎする利益、高く売つておる部分を普通の税率に置換えると、こういう考えでおりますので、誤解があつてはいけませんので、附加えておきます。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 間接税のお話が出ましたが、今度の税制改革で直接税と間接税との比率は当初計画したよりも間接税の比率が多くなつて来ておるわけであります。今後そういう方向でお進めになるのか。直接税というものは、シヤウプさんが来まして、直接税中心という税制を勧告して行かたれのですが、その方針を従来と変えて行かれるのかどうか。
  79. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 理想としては直接税中心で行きたい考えを持つておりまするが、何分にも今の直接税は高過ぎるという考えを持つておりますので、今回は所得税軽減を図つたのであります。調整と申しますのは、所得税法人税の上げ下げを主として調整という言葉使つておるわけであります。それから補正後におきましては、直接税の割合は殖えておるようであります。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 当初計画に比べてです。
  81. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 直接税と間接税の比率につきましては、ちよつと補足して御説明申上げておきます。が、お手許に印刷物で二十四年度租税収入予算の説明というものの一番最後に掲げておきましたが、これは昭和二十五年の実績でございまして、それによりますと、五五%が直接税、最初の予算ではそれが五三・七%に下つていたのでありますが、今回は改正後におきましても五八・七%というもので、当初よりも若干直接税が殖えております。これは主として法人税の収入が相当殖えましたために直接税が殖えて来た。今度減税をやりませんと、もつと殖える。ところが所得税減税によりまして、税制改正をやらない場合に比べますと若干下つております。昨年の実績及び今年の当初予算に比べますと若干殖えるということになります。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど私が申上げたのは現行法です。現行法による場合よりも下つておるかと、こういう意味つたのです。先ほど今度の調整という意味所得税法人税との調整という意味であるという御答弁ですが、それでは所得税問の調整というもの、税の合理化、こういうものはやはりお考えにならなかつたということなんですか。
  83. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それはやつております。今基礎控除、或いは扶養家族控除引上げ、或いは税率の引下げをする、そうして一般労務者、勤労階級のほうの軽減割合を多くしておるのでございます。こういうのも調整一つであります。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の考えによると、むしろ法人以外の個人の所得税間の税の負担は不均衡が拡大しておると思うのです。逆だと思うのです。合理化合理化と言つておりますけれども、第一に今度の物価の問題を考慮に入れれば、税金を納めない人が、主食その他の料金値上げによつて一体何によつてその負担をカバーできるのか、これが一つの問題だと思うのです。その点についてはどういうふうにお考えになつておるか。  それから、第二にはいわゆる源泉徴収分とそれから申告納税分とのギャップなんです。これは泉税制課長にも質問したのです。その地方税との関係として非常にこれは重大な影響があるわけでして、これは大蔵大臣も十分御承知のことと思うのです。これまで農業所得者或いは中小業者等相当税負担が重かつたので、この緩和措置を講じたことはこれは我々も非常にいいことをされたと思うのです。それについては賛成でありますが、それに比例をとつていわゆる給与所得者のほうのこの税負担の合理化調整をなぜ図らなかつたか。それと、最近ではむしろ逆に給与所得者の税負担が業種所得者の税負担よりも著しく大きくなつておる。これは常識になつておる。どこの地方へ行つても住民税を引つくるめての税負担というものは給与所得者が業種所得者より著しく大きくなつておる。これはもう常識であります。税の合理化、税負担の合理化調整ということはなぜこれをお考えにならなかつたか。泉税制課長にも、私は平田主税局長にも質問したのですが、この勤労控除の問題なのですが、この勤労控除の問題を大蔵大臣はもう一度シャウプ勧告前にまでこれを戻すお考えはないか。一割五分を二割に戻す考えはないか。若しそういうことで調整されないとするならば、他にこの不合理をどうして調整されるか。何かの対策を講じなければ余りひど過ぎると思うのです。税制の合理化とか、或いは調整と言わなきやいいのです。言わなきやいいのですけれども、むしろ逆に非常に不均衡になつているのです。これは住民、地方税を通じて、その点大蔵大臣は何かこの措置を講じなければならんと思うのですが、どういうお考えでありますか。
  85. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 税制の合理化ということよりも、問題は所得の把握率の問題で来ているのじやないかと考えます。従いまして片一方の業種所得の把握がぴつたり行つておれば、これはこの問題は起ることが少いと思います。そこで問題はその業種所得の把握を十分にやるということで解決するよりほかはないと思うのです。シヤウプ勧告のときから、或いは一時は二割五分のところをシヤウプは一割と言つたと思います。一割五分で落着いておるのでありますから、これを二割とか二割五分に所得控除をやるという考え只今のところ持つておりません。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はこの勤労給与所得者の税負担がいわゆる源泉徴収分と申告納税分と税負担が非常に不均衡が拡大したという事実はお認めになりますか。
  87. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 税負担の不均衡が拡大したというのはどういう点でございますか。或いは予算上源泉徴収の所得が非常に伸びて行つて、そうして申告納税のほうが減つて来ると、こういうことをおつしやるならばそれは企業形態その他がだんだん変つて参りますので全体の収入としてはそういうような点は認めます。併しその他のことで非常に不合理化したとは私は考えておりません。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは具体的な例を申上げますと、私は去年、一昨年と二回東北地方へこの税金の調査に行つて方面で、農村の人、それから都市の人に集まつて頂いて税に関する意見をいろいろ聞いたのです。ほうぼうで聞いたのです。そのときに一番問題になりましたのは住民税、それは例えば国鉄ならば国鉄の普通の従業員が納める住民税と、農村では一町、或いは一町五反ぐらい、そのくらいの農家経営をやつている人のいわゆる住民税と同じぐらいだ。或いは又営業者なら呉服屋さんで三人ぐらい小僧さんを使つている人の住民税と同じくらいである。それで著しく不均衡である。そういうところへ持つて来て、それでも農村とか中小企業者の税負担が重かつたからその後減税措置によつて税負担軽減されて行つたと思うのですけれども、勤労者のほうの、その人たちとの税負担の不均衡は、勤労者のほうに対して捕捉率というのはやはり同じでありますから一向比例して軽減されて行かない。むしろそれで逆に片方が軽減されれば逆に不均衡が拡大する、こういう実情になつているわけです。私は不均衡が拡大したというのはそういう意味なんです。これはもう常識なんです。ただどうしてこれを是正するかということが問題なんでしようが、やはり今把握率を、これを勤労給与所得者と同じにするということは実際問題として困難ですから、どうしてもこれは給与控除ですか、給与控除率を一応引上げるという形で調整して頂かなければこの不均衡は是正できない。それで税の合理化とか、或いは調整とかいうことであつたらば、この点に触れなければ私はもう意味がないのじやないか、それは法人と個人との税負担の不均衡を是正されたところについては我々反対じやありません、賛成ですけれど、一番重要なことについて考慮されなかつたということは私はどうしてもこれで税制の合理化とか、調整と言えるかと思うのです。この点議論したつて仕様がないのですが、大蔵大臣は、何とか給与控除率を引上げるのが困難ならば、片方の業種所得者の捕捉率を高めると言つても、これは実際問題として困難ですから、それは大蔵大臣一番よく知つているのですから、又平田主税局長も一番よく知つているのですから、そういうことで調整すると言つたらばいつまでにたつたつて調整されないのですから、何かこれは具体的に考慮して頂きたい、又すべきだと思うのですが、把握率だけでなく、そりや把握率の上昇だけでは実際問題としてできないのですから、それは大蔵大臣は非常な貧乏人は麦を食えばいいとおつしやる、そういう調子でおられるのならばこれは仕方がないかも知れない。やはり本当にこれから講和後の困難な日本経済再建を担つて行く勤労者の給与所得者に対して税の負担の均衡がとれていないことは私は重大な問題だと思うのです。それで、どの程度不均衡かということは、これは泉税制課長が我々に説明されたのです。速記に載つております。それは著しい不均衡だと思うのです。ただそれを引上げると税収が減るから、ここが一つの難点だと思うのです。税収が減るから、五%給与所得率を引上げると二百億円減る。そこで困つておるのだと、こういうお話です。そういうことと税の不均衡そのままということとは私は違うと思うのです。減収するから不均衡のままにおいていいということにはならないと思うのです。この点何とか我々は大蔵大臣考えて頂きたいのですが……。
  89. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先般この問題につきましては木村委員に私も、先ほど大臣お話通り、どうもやはり事業所得の所得の把握が不十分なところが相当あるので、これを解決するのが一番いいのだと、そういうことで行きたいということを申上げておいたのでございますが、なおもう一点附加えておきますと、昨年ですか、或いは今年でございますか、木村さんが地方にお見えになつて感せられたのは、一つはこのどこかに勤めておりますと、独身者等の場合におきまして相当な税を、源泉税が差引かれておる。それから農村でも一方これに対しまして農家でまあ相当の所得あるが、いろいろな控除がありますと所得税がそれほどでない。従つて如何にも息子のほうが親父さんよりも場合によると負担が高いといつたような感じがする点もある。もう一つ、この把握率のほうであつたのじやないかと思いますが、その点は今度の改正で今までよりもよほどよくなつて来る。と申しますのは、昨年と今年の改正で実は扶養控除を相当大幅に引上げたのでございます。それでそのほかに農民に対しましては専従者の控除も認めることになりまして、まあ農業所得は相当大幅に、適正に把握されている人の所得税も減つているのであります。今度はそういう点が少し今まで行過ぎの点もあるのじやないかと考えまして、主として基礎控除引上げに重点をおいたのであります。基礎控除引上げますと、お手許に配りました、今申上げました予算の説明の四頁のところをちよつとお開き願いたいと思うのであります。四頁のところでありますが、一番響きますのは、やはり基礎控除によつて響くのは源泉所得税、その横の説明のところ、その四頁目のところではここで所得税改正による減収額というものを示しておりますが、基礎控除引上げによりまして二百四十二億ほど今年減るわけであります。そのうち源泉で減ります分が二百一億九千二百万円、申告で減ります分が四十億九千六百万円、これに対しまして扶養控除の1引上げによりましては総体百億減るわけでありますが、その結果源泉で六十五億、申告で三十四億、税率改正によりまして六十二億減りますが、そのうち源泉で三十八億、申告で二十四億、これで御覧になればわかりますように、扶養控除税率引上げは源泉と申告に対しまして、申告のほうにも相当影響があるわけでございますが、基礎控除引上げは、尤も源泉所得税が高くなれば、これは主として独身者等で相当給与所得者の納税者がございまして今までは基礎控除が三万円でありましたので相当かかつている、ところが今度はこれを五万円に引上げますので一番減る影響が大きい、その結果このような数字に相成つているのでありまして、今度の改正は直接お話のように勤労控除引上げるという方向には行つていないが、独身者等の給与所得者の負担は今までの改正より大幅に減りまして、一般の世帯の減り方はそれほどでもない。まあこういうことに傾向として相成るかと思います。従いまして、今申上げましたように地方におきまして相当な所帯主と比べてどこかにちよつと勤めている若い人の市町村民税は、仮に所得が適正に把握されておりましても、若干常識的でないといつたような点はよほどよくなつて来るのじやないかと考えているのでございます。それで扶養控除は今まで基礎控除の半額でございましたが、今度は三人までが一万五千円を二万円に引上げられております。基礎控除は三万円に対しまして五万円でありますから、今までよりも少し低いから、そういう点からいたしまして今までお話を申上げました地方における給与所得者と農家の所帯主の負担の一般の常識に合わんのは幾分是正されるのじやないか。これは勿論完全な解決というわけではございませんが、傾向としてそういうことになると、まあこのように考えているのであります。併し基本は何と申しましても事業所得がなかなか適正な把握のむずかしいというところであります。これに対しましては鋭意努力をいたしましてそういう方向でバランスをとつて行くのがいいのじやないかと思います。再び繰返して御説明申上げておきます。
  90. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 木村委員ちよつとお願いいたしますが、大蔵大臣はルース台風の問題その他で閣僚懇談会に行かれるそうでありますから……。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではもう少しあと十分ぐらい……成るべく簡単にやります。  法人税について或る一定率配当以上のものに対して、その法人税引上げるという差別的な引上げ方ですれ。これを考慮されないと思うのですが、個人が法人に移つたものが随分あるのです。この前の税制改制から……ですから法人というてもこれは非常に小さいものもあると思うのですよ。非常に小さい法人と、今度の大きな、或いは紡績会社とか、鉄鋼会社とか、その他糸べん景気、金へん景気で非常に太つたというところを無差別に一律に引上げるというのは私は無理だと思う。今日の朝鮮景気は非常に不均衡ですから、普通のノーマルな景気上昇と違うのですから、非常に利益上の差別があるのです。ですからこれは一律でなく、やはり私は差別をつけるべきものと思うのですが、そのほうが却つていいと思うのですが、その点と、もう一つは、この法人税が若し今度の国会で成立しないとしたらどの程度の実害というか影響があるか。まあ一応当面は二億何千万円ですが、実際差支えるかどうか、例えば通常国会で、この法人税を出した場合にそれが通ればそれでもいいのかどうか。
  92. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この二つの問題はもうこの前の委員会でもお答えしておりますし、又二つのうちの一つの問題は、先ほども小林委員に御答弁申上げたのでありますが、重ねて申上げます。初めのほうの御質問は超過所得のことかと思つて聞いたのですが、そうでなく低額所得のことのようでございます。景気はそれは跛行という点もないことはございませんが、只今程度税率では、少額所得の法人に差別待遇をする程度にはまだ至つていないと実は考えているのであります。差別待遇をする場合においてどういうふうにするかいろいろな問題もありますし、まあ今回はこの程度のものならば我慢して頂けるのではないかという結論に達しております。次の問題は本年度の予算では二億数千万円でございますが、御承知通り三月――九月の決算期が非常に多うございますので、今度通して頂かないと三月期、二月期の法人につきまして約九十七、八億の減収ではないか。これは減価償却その他の分で或る程度は減つて参りまするが、その程度の減収が来年度において出て来る。而も又今回は先ほど来申上げておりますように、所得税軽減をするかたわら法人のほうで増徴をするといつたような一体を成した考え方でございまして、来年度におきましてもこの一体を成した考え方を続けて行きたいというので、関係方面とも折衝いたしておりますので、いろいろな点から考え是非法人税は御審議御可決を願いたいと、こう申上げておるのであります。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後にそれではお伺いしたいのですが、今度の減税考える場合に、地方税というものをどういうふうにお考えになつておるかですね。而も地方税は今度大分又多くなる。四百八十億ぐらい殖えるような見込になつているようです。それで現実的には総合的に考え地方税をも含めるべきだと思うのですが、今度我々資料として頂いておる中には地方税のことは何ら触れていないのです。物価の騰貴ということは挙げていますが、地方税が殖えるということは何らこの中に入つてないのです。地方税というものをどうお考えになるか。それからもう一つは、これは税制じやないのですが、ついでですからお伺いしたいのですが、大蔵大臣は今度の財政演説で貯蓄債券の発行を行う、インフレ対策として……。そしてこの貯蓄債券発行法は出されるのかどうか。この二つなのです。
  94. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 地方税の四百八十億は、これは住民税、或いは法人事業税自然増収でございます。減税増税には関係いたしておりません。それから長期の貯蓄債券につきましては、只今関係方面とも話をしておる。できるだけ早い機会に出したいと思つております。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと待つて下さい。さつき大蔵大臣自然増収と言われましたけれども、住民税なども自然増収ですか。
  96. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは法人にも住民税がございますから……。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 去年所得税が減りまして、住民税は一割八分かけることになつていたですね。それで地方税は減収になるのですね。税のとり方は三つありますね。地方税所得税にかけるのと、所得額にかけるのと……。ああいう地方で相当かけ方が違つて来まして、相当高くなつておるところがあるのです。ですから単なる自然増収ではないと思うのです。やはり増税ということが相当含まれておるのですが、そういうような増税が考慮されてないのじやないかと思うのです。今度のものでは……。その点なんです。
  98. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今お話のように個人の住民税におきまして税額の一八%によらずして所得金額を元にして課税するということを法律上認めております。これはもう最初から認めていたわけでございますが、それを最近市町村がやつておる例がありますことはお話通りでございます。ただ大部分の市町村、地方団体の自然増収は今大蔵大臣からお話のありましたように、法人事業税法人市町村民税でございます。これは今年から申告納税制度に切替えまして、法人と同じように事業年度終了後二カ月以内に納めるという制度にいたしました結果、特にそういうことがはつきり出て参つておりまして、大部分はそのようなものであるということは申上げることができると思うのであります。
  99. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつとお諮りいたしますが、この租税の三法案につきましてはまだ御質問がたくさんおありになると思いますが、次回に譲ることにしまして、今日はこの程度にして他の簡単な法案を御審議願うことにいたして差支えございませんでしようか。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと先ほど主税局長に尋ねたのはお答えできるでしよう。
  101. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 泉税制課長からお答えいたします。
  102. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほどの小林委員の御質問お答えいたします。臨時特例法案の第十五条の規定におきましては、同法案第三条第五条第一項及び第七条から第十条までの規定により計算した金額からこれこれの控除をした後の金額の所得税を第三期分の所得税額とするというふうに書いてある点で、所得税法の三十三条の第三項の規定によると基礎控除以外の控除申告書に記載がなければ適用しないという規定との関係がどうなるかという御意見だと拝聽したわけでございますが、その点につきましては、臨時特例法案の十四条におきまして控除に関する点につきましては、今度従来の老年者控除、勤労学生控除、寡婦控除、不具者控除といつたものを所得控除から税額控除に改めたのでございますが、そういつた控除につきましてもやはり従来の所得税法の二十八条及び二十九条五項、三十三条の三項、それぞれにおきまして、申告書に記載がなければ適用しないという規定を、やはり今度の控除をそういうふうに直したものもそういうふうに申告書に記載がなければ適用しないというふうに読替えることにしておるのでございます。従つて十五条に書いてあります七条から十条までの規定控除規定により計算した金額と申しますのは予定申告の段階で不具者控除なり、或いは老年者控除なり、或いは勤労学生控除なりの控除申告が記載してございますから、それによつて確定申告の際にもそれを申告書をそのまま認めて計算する場合がありますので、そういうふうに規定を設けておるのでありまして、やはり確定申告書に記載しなければ適用しない。併し確定申告書に書かなくても予定申告に記載してあればそれを適用するという従来の規定はそのまま動いて行くわけであります。ただ十三条の二項のほうの規定をお読み下さいますとおわかりになりまするように、本年分の所得税につきましては基礎控除額の三万八千円と扶養控除額の、各人が受けられる扶養控除の金額を超えた総所得金額の者のみ申告書を提出する義務があるということにいたしておきまして、本年分の所得税につきましては、従つて扶養控除の結果、申告書を要しないものができることにしてあるわけでございます。そういつた場合におきましても後に更正決定所得顔が、納税者のほうは自分の所得は十万円くらいしかないから基礎控除と扶養控除の結果で申告しなくてもいいと思つて申告しなかつたわけでありますが、実際税務著のほうで調べて見ますと所得は十万円でなしにもつと多かつたというような場合があろうかと思いますが、そういつた場合にはあとから扶養親族の申告をしてもそれを認めるという取扱で行きたい。但し扶養親族以外の老年者控除、不具者控除、寡婦控除、勤労学生控除、雑損控除、生命保険料の控除、そういつた控除につきましては従来通り申告書に記載がなければ認めない。但し税務署長において止むを得ない事由があると認めたというような場合にはこれを認めることは従前と変りがございません。大体そういつた関係になると思います。
  103. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 先ほど私が申上げましたこの三法案につきましてはこの程度にさせて、次回に譲ることにしまして他の簡単な法案の御審議をお願いすることにして差支えございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議なしという御意見がありますから、それによりまして三法案はこれによつて次回に譲ることにしまして、次の法案議題といたします。  会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案、これを議題といたします。御審議願います。(「採決」と呼ぶ者あり)  別に御発言がないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。
  106. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 只今会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案につきましては、もう賛成、反対の意見の開陳もないようでございますから、討論を省略して直ちに採決に入られることの動議を提出します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  107. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今の菊川君の動議に御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは異議ないものと認めまして、採決に入ります。  会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案について、御賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  109. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致、以て本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会の質疑、討論、表決の要旨を報告することとして、あらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     清澤 俊英  伊藤 保平     森 八三一  松永 義雄     大矢半次郎  木村禧八郎     黒田 英雄  小林 政夫     菊川 孝夫   ―――――――――――――
  111. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案これを議題といたします。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど一般的な年末金融対策について田村委員から大蔵大臣質問があつたのですが、大蔵大臣から抽象的にまあ万全を期すと、こういうようなお話であつたのですが、中小企業に対する年末金融対策として、政府は具体的にどういう手を打たれるか伺つておきたいのですが……。
  113. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 年末金融の問題につきましては、いろいろな問題で相当考えて参らなければならん点があると思います。特に中小企業に対する金融の問題につきましては、特別むずかしい問題があるように考えております。これらの点から考えましても、一般の中小金融、普通の金融機関が行なつておりまする一般の中小金融について更に適正なる促進を図つて参りますと共に、それだけではどうしても中小金融というものの特質から見まして十分でございませんので、今御提案申上げておりますような国民金融公庫の資金を拡張するとか、或いは従来一般会計からの余裕金の指定預金を各金融機関にいたしておりますが、これらにつきましても、中小金融の専門の金融機関につきましては、原則的にはこの十一月の中頃で全部引上げる方針であつたのであります。これらの特殊の事情を十分加味いたしまして、或る程度のものを残して、特に信用金庫と相互銀行でありますが、これらにつきましては相当部分を残して来年の二月頃まで繋いで行くというような措置考えたのであります。殊に災害地等に対する年末金融の梗塞に対処いたしまして、災害地の信用金庫或いは相互銀行に対する指定預金は全額更に三カ月延ばすというような措置も臨時的にとつたのであります。そのほか国民金融公庫には、この前もちよつと申上げたかと思いますが、今般の増資以外に、資金運用部から更に相当程度のものを注入したいと思います。なお見返資金のうちの、中小企業の枠、今、本年度四十億あるわけでありまするが、今後の見通し次第によりましては、このうちの一定資金を更に国民金融公庫に注ぎ込むような措置考えて参りたい。これはまだ決定しておりませんが、そういうふうな方法考えております。今申上げましたのは例に過ぎませんが、その他いろいろな点で、できるだけ年末における特に中小金融の梗塞を打開することに努めて参りたいと思います。ただいつも申上げることでありますが、年末の金繰りが非常に窮屈だということで野放図に資金を放出するということは、これはどうしてもできませんので、インフレーシヨンを抑えながら、できるだけ重点的にこの資金の活用を図つて参りたい、かように考えておる次第であります。
  114. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この国民金融公庫の十億増資の問題でありますが、将来これをもつとうんとだんだんと拡充して行く方針であるか、それともこれはだんだんと縮小する方針であるかどうか。一般の市中銀行のほうへ振替えて行く方針であるのかどうか。そういう金融政策をとる方針かどうか。
  115. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ず最初にお断りいたしておきますが、国民金融公庫の資金源の拡充につきましては、ただ一般会計からの出資だけでは実はないわけであります。先ほどずつと申上げましたように、資金運用部からの資金の放出もありますし、又見返資金その他から放出することも考えられる。これらを合せて形は如何ようにもあれ、要するにあらゆるところから国民金融公庫の使い得る資金の源を殖やして行くことがいいのではないかと思います。国民金融公庫の資金需要というものは極めて旺盛でありまして、現在申込まれておるものに対しまして二〇%程度しか需要に応じ得ないということでありますが、言葉は非常に悪いのでありますが、これは多ければ多いほどこの資金の性質からいつていいのであります。併しながら一般の財政の需要の一環として、この問題を考えて参らなければなりませんので、無制限にこの拡充を図ることには相成らんかと思いますけれども、私どもといたしましては極力国民金融公庫の資金源を財政の許す限りにおいて拡充して参りたいという希望を持つております。ただ、今具体的にそれではどの程度を増額するか、この次の通常国会で更に増資の法律案を提出するかという御質問に対しては、只今のところ、まだそこまではつきりお答え申上げる段階に至つておりません。以上で御了承願います。
  116. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 第二にお尋ねしたいのは、どこへ参りましてもこの国民金融公庫に融資の申込をいたしましても、その調査さえもなかなかされない。で金融公庫横暴、それはもう一部その繋りを持つている者には何とかなるけれども、即ち運動を相当した者は利用できるけれども、ほかの者は殆んど利用できないという非難の声が相当あるわけでありますが、これをどういうふうに……、そういう非難のないようにこれは処置して行かなきやならんと思いますが、この点について先ずお考え願わなければならん。それに関連いたしまして、本委員会におきましても、これは各委員からたびたび発言があつたわけでありますが、社用族の横行ということでありますが、而もその社用族一番何を対象として今やつておるかと言うと、あなたの担当しておられる金融部門の融資を受けんがために社用族が招待をしてそうしてはびこつておる。而もこの前にあなたは金融政策についてこの間御説明がありましたのですが、その際にもオーバー・ローンなんかの問題については相当厳しい記名通牒ですか、記名通達を出してと、こうおつしやつたのですが、依然としてなかなか金融業者の横暴、而もそのからくりなどは、あなたがこの間説明されたようなからくりが依然として絶えない。銀行なんか危くてしようがないというような玄人筋のお話も一部流布されておるわけでありますが、それはさておきまして、とにかく金融業者横暴という声が相当上りつつあるわけでありますが、従いましてそういう金融業者の横暴を抑えてと言いますか、これを或る程度緩和するためにもこの金融公庫の果す使命は私は大きいと思うのでありますが、その果さなければならん金融公庫さえも、これは又使いものにならんという声が多いということになりますると、これは問題だと思いますが、それにつきまして、一つ将来この金融公庫がせめて調査をしてあかんならあかんという決定をすればいいのだから、それが申込んでから半年もたつたのに何の決定もない。ただ受付けただけというのは一体どうなつているのか。その点について一つ説明願いたい。
  117. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 詳細につきましてはお許しが得られますならば国民金融公庫総裁が見えておりますから、そのほうからお話をお聞取りを願いたいと思います。一般論といたしまして、国民金融公庫といたしましても、極めて多くの申込者があるわけであります。これらについて、できるだけ親切に、而も迅速に取計らうべきであるということで、公庫の総裁も非常に一生懸命にやつておられるわけであります。今後も若しそういうことがありますならば、そういう点はできるだけ是正をして参りまして、速かに処置を進めて参りたい、改善の途は講じさせて頂きたいとかように思つております。詳しくは国民金融公庫総裁からお聞取り願いたいと思います。  なお、今そのお話をお引出しになる問題として社用族の問題、金融機関が横暴だという問題、いろいろお話があつたのでありますが、(「それは本当だよ」と呼ぶ者あり)それでこの問題につきましては、私どももたびたび金融機関には自粛を十分強く要望いたして参つておりますし、いやしくも公共的な使命を持つておりまする金融機関が、そういう点で不当或いは不正なる行為があつてはならんということで、常に戒めておるのであります。多い中でままそういう例がありますることは、誠に遺憾に存じます。今後といたしましてもできるだけこれらの点につきましては、一般の世間の非難を受けることのないように、十分厳しく監督をして参りたいと、かように考えております。
  118. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、復金の貸付が相当焦付きになつたというので、問題になつたわけでありますが、この国民金融公庫の回収、これから貸付先が健全に今のところは行つておるかどうか、この成績は銀行局長としてどう見られておるか、その点について一般の民間の銀行、その他の金融機関と比較いたしまして健全に歩みを続けておるかどうか、この点について一つお尋ねしたい。簡単な何がありましたら例を挙げて一つ説明願いたいと思います。
  119. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 国民金融公庫は、これはこの委員会でもいつかお話申上げたと思いますが、回収振りは極めてよろしうございます。九九%まで回収は順調に進んでおります。一般金融機関との比較は今のところ、私の手許に持つておりませんが、それに決して負けないような優秀なる回収成績を挙げております。
  120. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは総裁がおいでになつておるそうでありますからお尋ねいたしますが、一体申込を受付けてから、それに対して何らかの回答をするまでの、今までの成績は、比率によつて出ておると思いますが、何カ月平均なんですか。一体申込を受けてから、これは貸出ができない、或いは貸出をする、これを処理した総計が出ておると思いますが……件数と、それからどのくらいの平均で以てこれが処理されておりますか、この点についてお伺いしたいと思います。
  121. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) お答え申上げます。先ほどもお話がございました通り、私どもの所に参るお客様の数が実に大変な数に上つております。直接窓口にお見えなつた数は、本所を通じて二年間に三十万以上を超えております。これを処理いたします人間が第一線から後方勤務まで入れまして、当初は五百十人でスタートしましたが、現在は九百三十人の人間でやつております。かようなわけでありまして、大変な件数があるのに、人手が比較的少いということ、そういつた関係から当初は、二年ほど前の話でありますが、ともすると、三カ月くらい処理をするのにかかつたことがございます。で、最近はその点は非常に勉強いたして参りまして、大部分は、大体一カ月内外で処理することを目標としてやつておりますが、ただ現在は店の数が三十八ございます。主として各府県に一つずつということが原則になつておりまして……、まだできていない県もございますが、県庁所在地に店がありまする関係上、大きな県になりますと、遠隔地等からもいろいろな申込がございます。そういつた場合におきましては、人手の関係等からいたしまして、実地に調査に参ります手順がなかなか参りません。と申しますのは、私どもの感じでは、調査員が一日に調査いたしまする目安が大体三件くらいのところが能力に応じた無理のないところというふうに存じておるのでありますが、最近の傾向は大体一日に五・七件調査をいたしております。そこで私どもが能力から見まして、肉体的或いは時間的に見まして、倍くらいの仕事をいたしております。夏場のごときは日が長い関係からいたしまして、日暮まで、大体朝八時頃から出かけまして、午後八時頃まで勤めまして帰つて参りまして、調査の報告をしたためて、上の課長なり、所長なりに報告しまして、その決裁を仰ぐという段取までいたしましても、そういうふうに数が非常に多いので、なかなか手が廻りかねています。で、地方の大変遠隔地等の申込になりますと、一件、二件のために泊りがけで調査に行くということも能率の上からいつてもできませんので、自然或る特定の所になりますと、日にちをきめて出張する。或いは十件とか、二十件とか、相当程度申込件数が集まりましたときに、それを利用いたしましてお伺いするというふうなことにならざるを得ない。仕事の取運びの関係上、しばしば郡部のかたとか、遠隔地のおかたに対しましては、最近伺つたのでありますが、相当長く日にちがかかつてしまう。お申込を受けてから相当長く日がかかつて、誠にその点申訳なく存じておるのでありますが、できる限り短縮するように努力いたさしております。今後も或いは人手の関係なり、旅費の関係なり、或いは内部の配置の工合等を更に更に研究させまして、できる限り早く、できるだけ広範囲のかたがたに御利用願えるように大いに努力を重ねるわけでございますが、まあ先ほど申上げましたような関係もありますので、そこら辺も暫らく御猶予を賜わりまするようお願い申上げたいと存じます。大体最近の大部分は一ヵ月内、まあ平均しますと三十五人くらいになるのでございましようが、そんなことになつて来るのじやなかろうかと存じております。
  122. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今総裁から一ヵ月内外というお話でございましたが、我々のところに参ります陳情を聞いておりますると、なかなか一ヵ月くらいでは来ないと言つて文句を言つて来る。一ヵ月くらいで片附いておるならば話はわかるのですが、而も大きな県で県庁の所在地だけに一つ出張所があるというようなことでは、これはなかなか大衆性と言いますか、庶民性ということは非常に困難じやないかと私は思うのであります、本来の目的からしまして……従いまして今まあ五百十人が九百三十人になつておるが、将来は今の公庫の営業成績から考えまして個々の職員を殖やすという余地があるかどうか。行政整理等によつて今度相当定員法で問題になるわけでありますが、そういう人たちをこういうところに配置転換ということも考えなければならん問題である。そういう余裕があるかどうか、営業成績から考えて……。  もう一つは代理店制度というものを考える必要があるのじやないかと、こう考えるのでありますが、その点について総裁の御意見をお伺いいたします。
  123. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 只今人数の問題がございましたのでありますが、店の数は法律で各府県に一つずつ、それから三十八でございますが、来年度中にはできる限り全体で五十にするつもりでございます。最大限五十の店ができれば置かして頂きたいということで予算上の措置と申しますか、二十七年度の予算にそれをできまするように只今御相談を政府といたしておる最中でございます。人数でありますが、今の経営の工合から見て、どのくらい人が置けるか、只今九百三十人でございますが、大体これは全体の資金量とも関連をいたすことになるわけでありますが、差当り目標千百人くらいまで増加をいたしたい。あと百九十人くらい増員の余地があろうと思いまして用意を進めております。全体の営業の規模から見てどのくらいまで置けるかという問題は、資金量と申しますか、全体を動かしまする大きさにも関連いたす問題でありますが、私どものつもりといたしましては、二十七年度は新らしい店が約十ほどできまするが、このこととも睨み合せまして、あとまあ二、三百人見当のところは是非とも殖やして頂かなければ恐らく仕事が運ばないのではないかという工合に考えて、その点も併せまして今予算の関係方面といろいろ相談を申上げておる、そういう状況でございます。  それから代理店の問題でございますが、代理店は現在でも普通貸付、更生資金貸付、両方大ざつぱでありますが、四百四十ほどの代理店がございます。これは主として相互銀行及び信用金庫、信用協同組合、そのほか若干の銀行がございます。このほうも全国的に或る程度分布いたしております。これもできる限り活用いたしております。今後ともこれを活用いたしまして働かして頂くつもりであります。
  124. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に一つお伺いしたいのですが、金融公庫の資金はすべてが一般会計から資金に繰入れしまして、又見返資金を運用するにいたしましても、いずれもこれは国民の懐から出た税金の汗の結晶だと私は思う。従つてその運用につきまして、いやしくもこの前の復金のような轍を踏むというようなことになつたのでは大きな問題だと思いまして、将来これは発展しないと思いますが、ややもすると、今の金融の逼迫状態からいたしまして、下部におきまして事故の起り勝ちな問題なんでありまして、十分警戒しなければならんし、又総裁においてはこの点については細心なる御注意を払われておると私は信じておりますが、今日まで公庫のそうした金融をする、融資をするに当りましての不正事件というようなものが、今日まで発生して来たことがあつたかなかつたか。あつたならば……なければ幸いでありますが、あつたら、その件数等をお知らせ願いたい。
  125. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) お話通りに全く国から大事な資金を預からして頂いておるのでございますから、これの貸付に当りましても全く公明正大な一点の間違いもないということを自粛自戒し、お互いに大いに戒め含つて運用しておるのでありますが、やはり数多い人間の中でありますので、今まで二年間に地方でございましたが二件ございました。これはやはり少しばかりの問題でありましたが、やはり或る程度の饗応を受けたというふうな関係でございまして、司直の手を借りまして裁判になりました。その件が二件ありました。甚だ残念に存じておりますし、私といたしましてもこれは一昨年と昨年に一つずつあつたのでありますが、大変に残念に存じます。その都度全職員に改めて又相互に戒め合いまして、国からお預りしておるこれだけの大事な資金でありますから、この上とも十分に気を付けてやるようにいたして参らなければならんのでありますが、残念ながら過去において二件ありました。ここで皆さんにそのお話を申上げるのは大変残念に存ずるのでありますが、そんなわけであります。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君  簡単に、銀行局長に……。今度十億殖やすわけですが、明年度、いやそればかりじやなく、今後ですが、どうも講和後の財政支出が相当大きくなるので、どうも公庫のほうの政府出資金を殖やすについて困難を来たすのじやないか。そういう場合には資金運用部ですか、あれを運用する途が開けて来たように伺つておりますが、まあそういうものをもつと大きく活用する方針であるかどうかですね、政府支出を殖やすような方針であると伺つたんですが、それは結構なんですが、又我々も賛成です。併し講和後の支出が大分殖えるようですが、どうなんですか、その辺は……。今後の資金です。
  127. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 只今説明申上げました通りでありまして、私は一般会計からの出資だけでなくして、要するに国民金融金庫が使用し得る資金の源を拡充いたすといいますか、殖やして行けばいいと思うのであります。それにはまあいろいろなルートがあるということを申上げたのでありますが、いずれにいたしましても、これは広い意味財政資金、まあ政府資金と申しますか、そういうものでありますから、結局これは財政と裏肚をなす、総合的な資金需給計画の一環としてこれは考えて参らなければならない。そういう意味財政との繋りを申上げたのであります。なお私といたしましては、まだはつきり申上げられない。先ほど申上げたのでありますが、一般会計からも少くとも或る程度の出資は明年度にも期待いたして参りたい、かように考えております。
  128. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとお伺いしておきますが、開発銀行べ復金の未整理金が、もう引渡しがそろそろ始まつているのですが、その未整理金の額はこの間資料を頂戴したと思いますが、内容をこの前信用に関するから出せない、こういうことで、その内容を御発表願えなかつたのですが、いよいよ開発銀行へ移るということになれば、一応委員会ぐらいはその整理の状態を詳細にお聞きするわけに行きませんでしようか。やはり今まで通り信用に関するから、それは発表できない。こういう御態度を堅持されるのですか、どうですか。
  129. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今お話の点は、復金から開発銀行に引継ぎます資産の内容のお話かと思います。それでよろしうございます。
  130. 清澤俊英

    清澤俊英君 違います。
  131. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 開発銀行自体の……。
  132. 清澤俊英

    清澤俊英君 復金から移る未整理金ですね。
  133. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 復金から開発銀行に……。
  134. 清澤俊英

    清澤俊英君 いわゆる焦付きを移すでしよう、その分を……。
  135. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 御説明申上げます。焦付きというお話でありますが、別に焦付いているわけでもないので、要するに復金が貸出をいたしておりまするもので残したものを、回収未済になつておりますものを、お話のように開発銀行に引継ぐわけであります。引継ぎの時期はこの国会で予算を御通過、御決定を願いますならば、成るべく速かに引継ぎたいと思いますが、この引継がれるべき復金の貸出の内容につきましては、今後の開発銀行の貸出の対象になつて参りますものとも非常に関連が深いわけであります。内容につきましては別にお隠し申上げる意思はございませんけれども、非常に多数の金額にも上つておりますしいたしますので、件数も相当……。
  136. 清澤俊英

    清澤俊英君 資料は頂戴しておりますから、その詳しいことはよろしうございますが、根本の方針として一応委員会へ焦付きの様子を御発表願いたい、こういうのでございます。この前は信用に関するからできないと、こうおつしやるけれども、行つてしまうのだから、行かん前に一遍そいつを一応聞いておきたいというのです。
  137. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この点は復金の貸出自体が非常に長期の資金でありまして、一応は一年、二年、三年、という期限になつておりますけれども、当初から貸出をします場合にも、すでにやはり相当永い期間設備資金として寝る金であると考えられておるわけでありまして、現在はこれらの資金の回収に当りましては、回収計画というものを別に具体的に作りまして、今逐次回収に当つておるわけであります。回収の成績は必ずしも悪くない。焦付きという意味はいろいろ専門的な点から申上げますとなかなかむずかしいのでありますので、どこで線を引くかという問題もありますけれども、現在のところは回収の成績は、回収計画に対する限りにおいては、割合順調に進んで、ると、こう申上げることができると思います。
  138. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は成績を聞いているわけじやございません。この前は信用に関するからそういうことはまあ一つ遠慮してもらいたいというから、今まづ遠慮していましたが、いよいよ向うに行くというのだから、初めからもうわしらから見ればあれは駄目なんだ、わかつているのに貸してあるのだ、そういうものが今どうなつているか調べて見たいから、その焦付きの様子を一つ聞かして頂きたい。こういう意味なんですが、それをして頂く意思があれば、又相談して小委員会なりを作つて逐一検討して見たい、こう思うのでありますから……。
  139. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 個々のものにつきまして大体焦付きがどういうような状況にあるか、何パーセントぐらいが焦付いているかという程度の問題でよければ、これは調べてお話申上げて差支えないと思います。ただ焦付きという意味が、これは専門的に言いますとなかなかむずかしい問題でございまして、今回収計画は、当初の貸出いたしました場合の計画よりも、若干延ばして回収計画を改訂いたしまして、それに基いて今やつておりますので、当初の計画から言いますと、或いは三年でやるべきものが或いはそれを五年の計画に直すとか、或いは七年に直すとかというようなことをいたしておりますから、当初の計画に比べて回収が十分でないという点はあるかと思いますけれども、改訂いたしました計画については、割合順調に回収ができている、焦付きという意味は、改訂いたしました回収計画に基いてなお且つ回収が遅れているというようなものについてのお尋ねかと思います。そういうふうなものでありまするならば、数字的に個々の問題でなくして、全体がどういうふうになつているかという程度のことなら適当な時期に、今資料を持つておりませんから、資料を整えて御説明申上げる機会があろうと思います。
  140. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと食い違つているようでありますが、私の申上げているのは初めから利子も入つていないし、証拠は勿論一つも入つていない、こういうふうなものがそこにあるとすれば、現地へ出張して、今後回収できるものか、できないものかというようなことも考えて見なければならないし、当時の貸出しの条件に副つた使い方を、果してしておつたか、しておらんかというようなことも当然調べることも必要が出て来ると、こう思いますので、そういう個々のものを調べさせるという御意思があるのかないのか、こうお尋ねしているのであります。
  141. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……前にそういう資料を頂いてあるのです。例えばもうどうしても未回収になるという件数も具体的に出して、資料として頂いたことがあるのであります。であるから、資本金幾らか、個々の会社について現在の融資状況ですね、それが焦付きであるかどうかということは、我々はこれから判定するわけであります。改訂計画というものが、おありだというのですが、改訂計画もお差支えなければそれに加えて、最初はこういう計画だつたのを、今度こういうふうに改訂をした、こういう資料を、非常にたくさんありますが、この前出して頂いたことがあるのであります、資料を……。この前のをサンプルにして結構なんですが、そういう意味なんですね、清澤さんそうじやないのですか。
  142. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この前資料がたしか……私も失念いたしておりましたが、出しておるものがあるようでございますので、その資料を参照いたしまして、出した程度資料だつたらそれを更に改訂いたしましたものをこちらに提出いたしたいと思います。
  143. 小林政夫

    小林政夫君 開発銀行のことについて開発銀行当局から銀行局長のほうに相談がありました。この前この委員会でいろいろ問題にした資料の提出か報告をお願いしたいと思います。今清澤さんは自分の意見と同じよう、おつしやつたが、銀行局長は取違えておるようですが、具体的な個々の件数について清澤さんも問題にしておるようですが、開発銀行の融資についてもそういうことを緑風会としては要求しておるわけです。この点についてどういうことを御相談になつたのか、その後大分前のお話なんですが音沙汰がないのです。
  144. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この問題につきましては開発銀行からもいろいろお申出がありまして、この委員会としてお呼出をして頂けば参つて説明申上げる段取にいたしております。お呼出を頂いたら結構だと思います。
  145. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 別に御発言もないようでありますから、質疑が尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないようでありますから、これより採決に入ります。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案、これに対して原案に賛成のかたは御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決したものと決定いたします。  それでは委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  菊川孝夫     清澤 俊英  小林 政夫     大矢半次郎  伊藤 保平     木村禧八郎  黒田 英雄     松永 義雄  岡崎 真一   ―――――――――――――
  149. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 大分時間が経過しましたけれども、次に日本輸出銀行法の一部を改正する法律案議題といたします。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一言だけですが、今度二十億ですね、日本輸出銀行の融資、あれは実際年度内に使えるのですか。
  151. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今私どもの作つておりまする輸出銀行の資金計画から見ますと、大体年度末におきまするまでの貸出及び回収その他を差引き計算いたしますと、二十六年度末の貸出融資残高見込が大体百六十六億程度になるように考えられます。従いまして今度御決議を頂きまして、二十億の増資ができますと百七十億の資本金になるのでございます。若干の金額は勿論繰越の準備金として、手許の資金として必要でありますから、大体百六十六億と申しますと、大体一ぱい使うというような計画になつております。ただこの輸出は、殊にプラント輸出でありますから、なかなか国際経済の情勢等で将来の見通しということはなかなか困難であります。現在まで私どもが見通しておりまする計画によりますると、政府の立てておりまする飢餓輸出の見込その他の数字からいたしまして、大体今申上げましたような輸出銀行の融資残高ということになるかと思います。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この前輸出銀行の山際総裁に来て頂きまして、この輸出銀行金融についてお話を伺つたのであります。大体融資期間が平均して九ヵ月、ところが例えばインドその他東南アジアあたりの融資資金の申込は五年ぐらいの長期申込が多いのであります。それでそういうような状況でありますので、実は二十億で発足してもそれが順調に行くのかどうか、その点山際総裁のお話でも、最近はうまく行つていない、こういう話なんです。それでまあ来年度困難だが、ここで年度内にそれだけ必要じやないかも知れんけれども、そういうふうにやつておくと、ちよつとこういうようにもとれるのですが、実際にどうなんですか、プラント輸出の見通しについて……。
  153. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 御指摘のように今までは、輸出銀行が発足いたしましてから今日まで、世界の経済が非常に変動が激しかつたために、予定通り実は融資は進んで参つて、おりません。併しだんだん国際経済も安定し、大体見通しがついて来たようでありますので、今後におきましては相当活溌に融資活動は進んで参ると、かように考えております。現在引合のありますものだけで申しましても百八十億程度の引合がすでにあります。尤もこれは必ずしも確実に融資の対象になるというものではございませんので、向うから申入れのあつたものを大体引合として挙げてあるのでありますから、これから相当更に選択されますし、又そのうち相当部分市中銀行で消化いたしますためにその全額は決して輸出銀行の融資対象として、而も本年度内に実現するというものではございません。引合が今申上げましたように相当多額に上つておる際でもあります。今後の経済界の見通し等、国内でなくむしろ国際経済界の見通し等にもよりますけれども、私どもは相当今後のプラント輸出の実績というものは進んで参るというふうに考えておるわけであります。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 引合が随分ありますけれども、その融資期間について問題ですね。
  155. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この融資期間の問題は、今お話のようにだんだん長い資金というものが出て参るわけでありますが、それならそれだけになお更輸出銀行として差当りは回収が遅れるわけでありますから、資金量としては更に二十億要する、こういうことに相成るわけでありますが、製作期間その他について国内の円の金融というものはこれはどうしても要りますから、それが円として返えつて来る期間が延びるわけでありますから回収が遅れる、従つて差当つての円の資金は更に拡充を要する、こういうことに相成るかと思います。
  156. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものとして御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないようでありますから、これより採決に入ります。  日本輸出銀行法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  159. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお諸般の手続は委員長に御一任をお願いいたしたいと思います。  それでは委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  菊川 孝夫     清澤 俊英  小林 政夫     大矢半次郎  伊藤 保平     木村禧八郎  黒田 英雄     松永 義雄  岡崎 真一
  160. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会