○野溝勝君 第一点の自然増収の見解でございますが、そう紋切型にならなんで欲しい。御
承知のごとく、この一千五百億近くの自然増収が水増じやないと、ばかに
池田君は強がり、六回も予算を立てたがそういうことはないと、自信たつぷりの御答弁なんですが、併し上つ面ばかり見ちやいかんと思うのです。と申すのは、全体農村あたりを見ましても、預金の
関係がこの二、三年前とどういうふうに
変化しているかという点などを見てもおわかりだと思う。更にあなたは上手に編成されているように言いますが、今日この
委員会における公聴会の公述を聞くと、まだ一千億も滞納があるじやありませんか。厖大なる予算のうちで一千億ばかりのことは問題じやないと言えばそれまでのことでありますが、とにかく滞納が一千億もあ
つて、健全な予算であり、順調に行
つているという
考え方は、政治家としてどうかと思うのです。こういう点は
一つ大蔵大臣においても私は十分
考えてもらわんと、この増収の見方が
日本経済に悪
影響を及ぼす。私は予算のやりくりからして無理に増収を作
つたのか、さもなければこれは悪意的の判断をするならば、これはまあ杜撰な予算だと私は思う。一体一千五百億も自然増収があ
つたというようなことをよく
補正予算に出せると思うのですよ。こういうことは決して感情的にものを言うのではなくて、これは
大蔵大臣たる賢明なる
池田君において十分に
考えて頂きたいと思う。
更に問題は、私が心配をしているのは、一応今回はまあ
補正予算を作
つたといたしましても、次の
通常国会における予算編成に当りまして、私は又こんな水増案を中核といたしまして予算編成をされたならば、それはもう
日本財政の根幹を揺がすものだ。かように
考えますので、こういう点は今一応私はすなおに
池田大蔵大臣の見解を聞きたいと思います。
それから第二の点で、減税に対して勤労階級は手取りが殖えている、であるから実質賃金も殖えている、こういう
お話でございますが、
大蔵当局から示された
資料によりまするというと、大体勤労
所得の源泉課税が、五百四十八億であります。そうすると、結局減税におきまして三百六億になります。そうすると、二百七十二億というものが差があると思います。大体源泉課税が今申した
通り五百八十四億、そこであなたのほうから、示された
所得税の
改正及び主食等等の値上りの生計費に及ぼす
影響という
資料からこれを見て数字的に出しまするというと、二百七十二億というものが差引き利得といいましようか、収益が多くな
つている、こういう御
意見でございます。併し実際において、あなたが言われるような物価情勢でありましようか。私はこの
一つの例を挙げても、
大臣においては十分
考えて頂きたい。と申すのは、あなたがたが非常に強調されまして暗礁に乗り上げました米の統制撤廃の問題であります。殊に米価の問題等におきましてもここで示された統計はでたらめである。伝えられておる七千三十円の生産費米価といたしましても、又消費者価格にいたしましても、依然としてまだきまらん
状態です。御
承知のごとく、生産費価格の七千三十円もパリテイ二五〇の指数から割り出しまするならば、まだまだ
結論は出ておらんようであります。包装費から一部出すか、或いは等級の価格差を変えて三等・四等級の価格を多くして出すかという点についてもまだ
結論が出ておらんようであります。いわんや消費者価格におきましては、
決定的のものは出ないと思うのであります。示された
資料は、いわゆる参考案だと思うのであります。参考案を
決定的な案としてやればこそ、あなたの言われるように実質
所得が多く
なつたということになりますが、事実はそんなもんじやありません。更にこの案を作るときには、郵便料金もこんな二倍半になるとは思
つていなか
つた案でございます。更に運賃な
ども、実際は三割上
つたと言いますが、この運賃だけでなくて、この上
つた波動を受けまして他の物価の値上りは恐ろしいものです。特に肥料などは、硫安十貫当りが六百円からもう千円近くな
つておる。更に農機具の
状態などはどうでございましよう。こういう事実を私はよく
大臣が検討してもらいますならば、実質
所得が上廻
つたという、手取りが多く
なつたというようなことは言えないはずです。これは
自由党の予算編成上止むない御
意見とは思いますが、事実を私はよく御検討願いたいと思います。更にこの際折角
大臣がお見えでございますから、この点を強く申上げたい。あなたの膝元でありまする
大蔵省の労働組合の
かたがたは、私
どもにかような陳情書を出しております。
「我々税務官吏は終戦以来敗戦の苦悩に喘ぎながらも民主的税務行政確立の為に寧日ない努力を傾注し、孜々営営として公正適実なる賦課徴収に全力を注ぎ
租税収入の確保に万全の策を講じ今日に至
つたのであります。其の間経済九原則による予算の削減は我々の外部調査事務を阻み旅費の大巾削減により義務出張を余儀なくせられ為に生活の根源である給料を侵蝕し薄給生活者としての見苦しい様相を呈するに至
つたのであります。然るに職務と責任を自覚した我々は生活苦をも顧みず職責遂行に邁進して来たのであります。為に精神的肉体的過労は日を追
つて加重となり病に倒れるものの続出する事態を現出するに至
つたことは誠に遺憾にたえないところであります。加うるに必需物資の高騰は今尚我々の生活をおびやかし一方賃銀は却
つて逓減の形をとり実質賃銀は絶対に増加して居ないのであります。」云々。あとはこれは
委員長の了解を得まして速記録に載せることを御了解を願いたいと思います。かようなこの事実
大臣の足元からかような労働者の要求、血の叫びの声が挙
つておるのでございます。かような点から見ましても、
大臣の言われるごとく、形式的には手取り賃金が多くな
つておるかも知れませんが、実質的には以上の次第であることについて、十分検討を願いたいのでございます。更に
大臣が私の質問に対して、言い足りなか
つた点もあると思うのでございますが、これは
議題にな
つております
所得税法の法案と関連がありましたので、私は専売職員の給与
所得の問題を質問したのでございます。例えば予算が組めない、又組むにいたしましてもどうも無理がある。こう言われたように私は拝聴したのでございます。併し実際においてこの専売公社の経理を見ますと、利益はあるんじやありませんか。たばこだけの面から見ますと、たばこ売上げ代金は四月以降九月までの予定が売上げ予定額は七百四十二億七千八百万に対し八百億六万六千七百万円の実績を記録しております。九月末現在ではすでに六十三億八千九百万円の増収を挙げておるのであります。この数字から見ましても私は独立採算制上当然これに対する中労委の裁定は妥当なりと見ております。かような妥当な要求に対しで、
大臣が予算がないというようなことで、又予算上できないということはどうしても私には論理上わかりません。特にこの中労委の裁定も万四百円でございます。この一万四百円が現在の給与ベースからいいますならば、私は何も無理なベースではないと思います。これが無理なベースでありましたならば、こんな裁定
委員会などを設ける必要はないと思う。裁定
委員会というような制度を設けておきながら、その裁定
委員会の裁定提示案までもこれに応じられんというに至りましては、労働者階級は、どこを頼ればいいのだ、合法的に妥当性を以て要求の運動をしておるのにかかわらず、この合法的の機関の
決定をも承認するわけには行かんというならば、一体どこを対象にして労働者の生活苦悶を訴えればいいです。又はその要請をすればいいです。この点について
一つ大蔵大臣は、今回は
補正予算にはどうしても織込むわけには行かないが、運営についてはほかの
方法で
考えて見ようという御
意見があるならば、一応検討もし、
考えなければならんのでございますが、そういう点について、労働者が現在困
つておる事情、且又現に議会の周辺におきましては、
大臣御存じか存じませんが、ハンストまでや
つて歎願をしておる
状態でございます。この事実を見られるならば、
大臣はこの際
一つお
考えを願いまして、この合法的な要求運動に対して、十分
政府として
一つ善処を願わなければならんと思
つておるのでございます。これにつきまして、
大蔵大臣の気持を
一つ最後に聞いて私の今日の質問はこれで打切
つておきたいと思います。以上三点を
一つ御答弁願いたい。