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1951-11-01 第12回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月一日(木曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            伊藤 保平君    委員            愛知 揆一君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            松永 義雄君            小林 政夫君            菊田 七平君            森 八三一君   政府委員    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    大蔵省政務次官 西川甚五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    大蔵省管財局長 内田 常雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    通商産業省臨時    通商業務局経理    第一課長    羽柴 忠雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公聴会開会に関する件 ○連合委員会開会の件 ○所得税法臨時特例に関する法律案  (内閣送付) ○財産税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○外国為替資金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣送付) ○米国対日援助物資等処理特別会計法  の一部を改正する法律案(内閣送  付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) これより第五回の大蔵委員会開会いたします。  最初にお諮りいたしたいことがあります。所得税法臨時特例、その他税法改正案について公聴会を開きたいと思いますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。公聴会の日時は大体十一月七日といたしまして、公述人の数及び選定方法委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。なお公聴会開会につきましては、本院規則第六十二条により議長に対して公聴会開会承認要求書提出しなければならないことになつておりまするが、本件につきましては、委員長にその手続を御一任願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  6. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に、公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求める件につきまして、労働委員会より連合委員会の申込があつた場合におきましては、これを受諾することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。大体の連合委員会の予定は二日の金曜日午後に提案者側説明を聞き、五日の月曜の午後には参考人より意見を聴取することにいたしまして、参考人といたしましては、仲裁委員長の今井氏、公社総裁の秋山氏並びに労働中央執行委員長の平林氏、三氏にお願いしようと思います。   —————————————
  8. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に所得税法臨時特例に関する法律案財産税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑を願います。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、これは資料も出ておりませんし、恐らく他の委員からも御質問があつたかと存じますので、若し重複、無駄な質問でありましたら、その点省いて適当に御答弁を願えれば結構だと思うのでありますが、大体のお話で結構でありますが、今度の減税賃金ベース引上げと相待つて物価値上りに相当するものであるかのごとく言われておるのでありますがその点について……。
  10. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 御質問のごとく、最近八月以来、政府に関連しまする生活物資並びに料金等引上げております。主食を八月から引上げましたし、又電気料金引上げる、鉄道運賃料金引上げ、その他そのように生活に最も緊密な関係のありまする重要な物資なりサービス価格又は料金引上げておるのでございまして、そのような点と関連いたしまして、所得税につきまして、できる限りの減税をいたしたいということはお話通りでございます。そうして賃金が若干それに伴つて上ると思いまするが、上らない場合におきましても、先般お手許資料としましてお配りいたしましたように、今回の減税はそのような価格引上げをカヴアーいたしまして、なお若干余裕があるということになつておる次第でございまして、勿論給与等も若干引上げになると思いますが、そうなりますれば勿論更によくなりまするし、そうならなくても政府関係物資並びにサービス料金引上げなどは今回の改正十分見合つております。それをカヴアーしまして若干余りがあるということは言えるかと思います。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 その点で、私ども数字上において意見を異にしておるのでありますが、若し願えれば二人の子供のある場合の減税と、それから主食配給価格値上り、その他消費物資値上り、なお来たるべきベース引上げによつて生ずる額とどういう関係になるかと、いう数字を若し御面倒でなければ頂きたいと思うのであります。最も頂いた資料はよく拝見をいたすつもりであります。そういたしますと、只今局長さんの答弁によると、賃金ベース引上げなくても減税によつて俸給生活者生活はよくなるかのごとく話しておられましたけれども、実際の物価値上りによつてたとえ減税しても、たとえベース引上げをやつても決して追付かない。特に物価上つたから税金を下げる、或いは賃金引上げる、いつも物価に遅れてそうして賃金引上げが行われるのが経済の常道かのごとく言われておるのでありますが、今まあ局長がそうでないと言われたその辺もう一遍一つお答え願いたい。
  12. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お手許所得税改正及び主食等値上り生計費に及ぼす影響という横書資料がお配りいたしてございますが、それをちよつと見て頂きたいと思います。この資料は、独身者夫婦、それから夫婦子供一人、二人、三人というところまで大体を平均的な所得階級を選びまして計算いたしたものでございます。これは御指摘夫婦及び子供二人の場合でございます。まん中頃にございますが月収が一万五千円でございまして、夫婦子供二人の世帯がどうなるかという欄でございますが、現在は所得税を千四百十七円負担いたしております。従いまして所得税を差引きました残り手取りが一万三千五百八十三円になつておりますが、今回の改正によりまして、所得税が千四百十七円から七百一円ほどこういう人の税額負担が減ることに相成りました。七百一円ほど減りまして手取りの一万三千五百八十三円に対しましては、手取りが五・一六%殖えるということでございます。これに対しまして主食等値上りによつてどの程度生計費に響くか、これは家計費調査に基きまするそれぞれのそれらのウエイトをその下に参考に示しておりますが、統計の結果出ておりますウエイトに対しまして、それぞれの値上りの率をかけまして、それによつて家計費にどういう影響を及ぼすか、それを出しまして算出いたしましたのが主食以下の欄でございまして、主食値上りによりまして二・五七%が全体の家計費に響く、以下同様な方法によりまして電気料金ガス料金水道料金交通費通信費、食塩合せまして全体で三八八%だけ生計費が高くなる。で、その絶対額は五百二十七円の支出増になります。これは勿論主食でございますと、現在の米とか麦とかの全国的な配給比率にそれぞれ米の分、麦の分を見まして計算いたしておるのでございますが、そのようにしまして計算しました結論数字が五百二十七円響きまして、それが手取り所得に対しまして三・八八%響く。従いましてこの減税で五・一六%手取りが殖えますが、値上りによりまして三・八八%食われますので、差引本当に負担の減る分は一二八%百七十四円、これだけは賃金が動かなくても今度の改正によりまして、これらの値上りによりまする負担をカバーして残る、こういうことに相成るのでございます。これは一つ世帯でございますので、そのほか独身者の場合、夫婦者の場合、或いはもう少し所得の多い場合どういうふうになるか、これはすべて同様な方法で計算しまして出しましたのがこの表でございまして、先ず政府関係しております生活必需物資並びに基本的なサービスの値上げは所得税の今回の改訂によつてカバーしまして、若干平均的なところでは残りがある、こういうことに相成つております。ただこの中でガス料金、これは一割二分の値上りを入れたのでございますが、最近一割八分程度引上げざるを得ないのではないかというので、ちよつとガスの分が多くなるかも知れません。併しそれは全体にしますと僅かでございますので、今後作りますれば、その点調整いたしたいと思うのでございます。資料を作りました当時は一割二分程度ガス値上率で計算いたしましたので、御了承願います。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 この数字を争つていると切りがありませんから、ただ附加えておきたいことは、この三・八八%というのは、ここに掲げてある品種のものだけであつて主食が上つて来るとその他のものの値段が、三・八八%だけの騰貴率でとどまればいいけれども、実際問題としてはそれ以上に上つて来ると見なければならぬので、最近非常にあれやこれやの物が上つているので、各家庭が悲鳴を挙げていることはこれは事実であります。そこで半面頂いているこの資料によりますと、法人のほうの利益、これが極めて莫大に達しているのですが、その利益というものは一体どうして上つて来たか。それは形では特需だとか何か申しますが、一体それは物価とはどういう関係になるのかという点を一つお尋ねしたい。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 朝鮮動乱後の経済状況は非常に一般的によくなつておりまして、すでに御承知通り生産指数が昨年の六月に比べますと、今年の八月で約五〇%実は鉱工業生産が上つております。それから物価指数は二つございますが、御承知通り消費者物価指数は昨年の六月に比べましてたしか二八%でしたか、正確に申上げますと、昨年の六月に比べまして鉱工業生産指数は八月は四九・九%上つております。消費者物価指数は昨年の六月に比べまして八月は二八・二%上つております。それから賃金は三三・二%給与が上つております。卸売物価消費者物価よりも余計上つておりまして、五二・二%上つております。それで大体法人企業成績は私は鉱工業生産卸売物価、それから賃金、この三つの関係利益状況が出て来るのではないかと思いますが、今申しましたように生産が五割上り、卸売物価が五割上つて賃金が三三%でございますから、企業の利潤は相当殖えるというのはその数字から行きましても当然出て来るのではないか、ただ生活費に相当しますCPIは二八%の増でございます。生活費一般消費者物資価格とはこれは大体釣合がとれて最近までは来ているようでございます。生産と卸が何より非常に上りましたので、法人業績一般的に見ましていい、これはこういう一般指数の示すところだけではなくて、会社決算御覧になればおわかりと思います。それから法人企業の全体の成績につきましては、別は会社の収益及び資本蓄積状況という一表をお配りいたしておりますところでもわかりますように、この二、三年の間に業績は著しく立ち直りまして、広い意味の社内留保、即ち減価償却会社積立金を加えましたところによりましても、税金とか配当とか差引きまして、昭和二十四年度が四百三十五億に過ぎなかつたのが、昨年が千五百二億円に殖え、更に本年は三千五百九十億円程度に殖える、著しく会社業績は立ち直りつつあるということを指摘し得るかと思います。これは新聞紙等に出ております各会社決算御覧になりましても直ぐおわかりかと思います。それから上場されております会社等におきましても、昨年までは大分無配会社がございましたが、大部分が有配になりまして、無配は非常に最近は少くなつております。日本会社企業、殊に大きなほうの会社企業は昨年度の前半期ぐらいまではいろいろな悪条件がございまして利益を出していなかつたのが、最近の一年乃至一年半で相当な成績を挙げることになつております。そういうふうに私ども見ておるのでございます。これはお配りしました資料によりまして、利益率配当率、それぞれをお出し願えればおのずから成績の判断が出て来るのではないかと思います。以上概況を申上げたのであります。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 そういたしますと、御提出になりました資料だけを仮に真実であるとして見ても、今度の減税によつて二人の子供のある夫婦家庭の得られる利益は極めて少額であつて言うに足りないものである。然るに会社利益は非常に莫大でありまして、大体基準金額が何億円、億円を以て数えているような状態であります。それが一体株主にどういうような好影響を与え、或いは会社に勤めている人にどういう影響を与えているかは別にいたしまして、少なくとも働く人たち生活はそのままである、先ず大体そのままである、御提出数字だけで判断してもそのままである。然るに会社利益は非常な莫大な利益を得ているのであります。そこで一足跳びに私の考え結論に持つて行きたいと思いますから、途中はできるだけ省いて参りまして、お聞きいたしたいと思います。最近金融関係新聞で拝見いたしますと、金融規制委員会と申しますか、何か委員会ができて、そうしてできるだけ自主的に各市中銀行が自粛して融資する、適当な方面に融資するという考えを持つておる。こういうことを新聞で拝見いたしております。ところが実際は金が極めて奔放に動いて、そうして必要な方面に行かない、それに対して日本銀行の人が申されるのに、これも何遍も新聞に出ている記事ですが、金のほうだけを仮に統制をしてみても、いろいろ規制してみたところで、物の方面規制をしてもらわなければその通りには行かないのだ、こういうことを申されているのであります。そこでそれをどうしたらよいかということは、この問題の範囲外になりますから申上げませんが、事実金というものが必要な方面へ行つておらないということを仮に前提としまして、そこで少くとも各会社において持つておる金をこれをどういうふうに使わして行くかという点を考えてもいいんではないか、会社利益金を要するに生産増のほうに向けるために使用しなければならないのではないかということをここで私は申し上げたいのでございます。そこでいつでも私は例によつて会社の揚げ足をとるようなことになるのですが、会社利益金が非常に上るので、会社経理が非常に放漫になる、然るに日本の今の現状はお互いに緊張して行かなければならん状態だ、然るに会社が極めて放漫なことをあえてしている。そういう点について税の徴収の上といいますか、まだ一体法人からは税をとる余裕があるのではないかという点について一つお聞きいたしたいと思います。少し一足跳びになります
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私どもも今申上げましたような法人業績状況でありまするし、一方日本経済の再建を図るためには、やはり資本蓄積ということが大事であり、そのためにはどうしても法人企業内部留保と申しますか、積立金償却という形で蓄積して行くということが一番いい方法ではないかと考えられますので、余り法人税増税ということは如何かという考え方があるのでございますが、併し今御説明申上げましたように、或いは今松永さんからもお話になりましたように、最近の業績が著しく改善されつつありますので、この際としましては若干の引上げはいいだろうと、二割程度法人税引上げまして、その半面個人所得税を下げる、こういう政策をとることにいたしたのでございます。もつと法人税引上げたらどうかという意見も恐らくあるかと思いますが、併し何と申しましても、法人業績は最近急速度によくなりつつありますが、まだまだ本格的な国際競争に勝つだけの合理化能率化という点におきましては、欠けるところもございますし、社内蓄積の増加を図りまして、今後ますます健全発展を図る必要がございますから、そう引上げるにいたしましても急激な負担の増は如何かと考えまして、二割程度法人税増税を妥当と認めて提案いたしたような次第でございます。個人所得税下げ方が少ないのではないかというお話でございますが、一人々々にしますと、そう大きな額ではございません。併し先ほど申上げましたところにおきましても、一カ月千四百円の現在の税が七百円になる、半分に下る、それを年額にしますと、一万六、七千円の税額が七、八千円になるということでございますから、これは相当な私は負担軽減であるということは言い得る、で累積いたしますと、非常に大きな額になるわけでございまして、今年の補正予算の四百億の中でも勤労所得税減税が三百億でございます。来年度はこの所得税を一年に延しますと、所得税で約千億程度の減収と見ておりますが、そのうちの六割以上は勤労所得税の減というわけでございまして、年額から申しますと、今回の所得税改正勤労所得者には相当な負担軽減になる、一人ずつはさほどの金額でなくても、集めますと巨大な金額に相成りますことを御了承願いたいと存じます。会社経理状況その他につきましてはいろいろ申上げたいことがございますが、現在のところこの程度増税が妥当であるということを考える次第でございます。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 私の考えかも知れませんが、大体資本蓄積という言葉が出たから一口に申上げて結論に向いたいと思いますが、資本蓄積というものは要するに賃金物価に遅れて行くというか、会社利益に遅れて行くからできるのであつて、相当な利益が上れば、その利益賃金の方に廻してくれれば私はもつといいのじやないか、こういう考えと同時に、税金一体下つたから生活が浮くんだ、こう言われるのですけれども、これはまああなたも外国に行つていらしたのだからよくおわかりの通り税金が下つてもそれは物価の中へ吸収されてしまうのじやないか。こういうことをやつてそうして減税々々だと言つても、実際の勤労者生活には大して影響がない、むしろ吸収されてしまうので撥ね返りという程度になり、吸収されて物価のほうが高くなる、物価が高くなつて来て、それじや誰が利益を得ておるかといつたら、それはいわゆる資本家と称する部類ではないか、こういうようなまあ議論があるのであります。それはまあ別にしまして、とにかく会社利益が挙がる、それをできるだけ留保所得を殖やしてそうして資本蓄積に向ける、これは誰しもが言つておることであります。ところがこの頃新聞ででかでか書かれて、外国でも言われておる東京温泉の話でありますが、そうしたように会社が如何なるルートをとつて如何なる方法によつて行われておるかどうかは別としまして、少くとも非生産的な方面に金が廻つておることはこれは事実である、この非生産的な方面に廻つておる金が会社自己資本の中から出ておるのか、或いは銀行会社でありますが、銀行の金が出ておるのか、とにかく我々勤労階級、貧乏人の手から出ていないことだけはこれは確かであります。そうした無駄な金がある。ただこれがひとり東京温泉ばかりでなく、この頃ビルデイングが建つ、そのビルデイングをやめてしまえといつたような議論もあるし、これについて諸外国でもそうした例があるということを聞いておるのでありますが、少くとも会社挙つた利益というものをこれを留保所得にして資本蓄積にして生産的な方向に向けるということが仮に正しいとして、併しながら会社として非生産的のほうへ利益の中から金を向けているような事実はないかという点を一つお尋ねしたいと思います。
  18. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 会社経費の使い方につきましていろいろ批判がありますことは、御指摘通りでございまして、非常に細かくいろいろ政府で干渉を加え、統制を加えて行くという考え方にいたしますと、或る程度ビルデイングの建築などにつきましても許可制をとるというのも一つ方法かと思いますが、我が国の現状からいたしますると、今の段階でまだそのような措置をとるのは少し早いというのが現在の考え方になつておりまして、直接規制するという方策は政府といたしましてはとらないということに相成つておることは御承知通りでございます。併し行き方がいろいろございますことはお話通りでございまして、どういう方法とつたほうが結局一番全体として妥当かというところできめて頂くよりほかないのじやないかと考えます。税金関係におきましては、やはり余り増税いたしますると、今お話のような方向にますます仕向ける虞れがある。私はやはり希望といたしましては、経費を引締めまして、税の負担を調整して、そうして資本蓄積会社としましてますます図つて行く、こういう方向に行きますのが望ましいと思うのでございますが、そういうことを積極的に政府におきまして拘束し、経理統制をやるといつたような考えは現在のいろいろな流れからいたしまして、今の段階でやるのは妥当でないというのが現在の政府考え方でございますので、その点は御了承願いたいと思います。それで課税の上におきましても、従いまして余りにも増税過ぎますと、お話のように面白くない結果を逆に来たす虞れもありますので、この際といたしましては、二割程度増税というのが妥当ではないかと、かように私ども考えた次第であります。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 只今局長さんのお話によると、ビルデイングのごときは今規制する段階には至つておらないけれども、その先は私の思い違いかも知れませんが、併しその趣旨については決して反対ではないかのごときお気持であるように伺つたとみてよろしいですか、成るたけ早く結論に入りたいと思いますが。それから只今減税によつて税金をたくさん取らないことによつて法人は取れるけれども、取らないことによつて資本蓄積をさせるのだ、こういうことをおつしやられたのでありますが、然らば会社に対して資本蓄積にならないような若し経費支出があつたら、そういうものに対しては一つ税金をかけるというお気持でしようか、それをちよつとお聞きしたい。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私は軽くしてかけるということは申したつもりはないのであります。引上げ程度につきましては、そういう点も考えてやはり決定したほうが妥当であるというふうに申上げたわけであります。それからいろいろな投資の統制と申しますか、そういうことに対する考え方はまあいろいろな考え方があるということを申上げたわけでございますが、私その点につきまして、政府の有権的な意見を申上げる立場でございませんので、今の政府がとつております考え方を申上げた次第でございます。まあいろいろ考え方がありますことは、これは御指摘通りだろうと思います。それから税の上におきまして、経費を少し抑えるような方法がないかということだろうと思いますが、これは税の点におきましては、極力償却等に向いますと一番好ましいわけでありまして、償却を余計いたしまして、それによりまして設備の更新、近代化を図るということになりますれば、将来の日本産業発展のために一番望ましい結果になりますので、課税の上におきましても、できる限りそういう方向に誘導するような税制にいたしたいという考えは持つております。ただ交際費その他の濫費を積極的に抑えまして、経費としまして否認するというようなことにつきましては、私どもいろいろ考えてみたのでございますが、なかなかいい基準等がなくて現在のところまだこれならば実情に即応し、且つ適切な効果を生ずるような方法であるといういい案を持合せていないのでございますが、併しまあいろいろ将来ともそういう問題につきましては研究をいたしてみたいと考えておるような次第であります。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 今度たしか提案になつている法案の中で、新たに仕入れた機械設備に対しては償却率を資本蓄積のために殖やすと、こういうように承知いたしておるのでありますが、それで先ほどお尋ねしたのですが、この精神を以てすると、非生産的の経費支出しているような会社、そうした余裕があるというか、そうした余裕のある会社に対しては税金をかけるつもりはないか、これをもうちよつと具体的に言えば、生産的のものであるから償却する必要がある、だから償却率を殖やしてやろう、こういう御親切があるなら、生産的でないものに償却率を認めるのは不当ではないか、こういうことを私は言つておるのです。
  22. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 償却の問題として考えますと、これはたしかに松永さんのお話のように、最近のニユースで、私共今研究させておりますが、カナダでやはり一定の建物につきましては償却を停止する、望ましい投資に対しましては相当償却を大幅に認め、望ましくない投資に対しましては停止したり、むしろ縮減する、こういう政策をとつている所があるようでございまして、なお少し調べておりますが、併しなかなかそういう政策をとるといたしましても、然らばどういうのを望ましいと見るか、どういうものを望ましくないと見るか、なかなか問題があるのでございます。従いまして、今私ども具体的にどうという案を持ち合せていないのでございますが、併し課税が直接税が殊に最近のように多くなりますと、税の政策を通じまして経済政策を相当左右し得る面もございますので、そういう問題につきましては、将来とも一つ研究してみたいと思つておりますが、今までの考え方から行きますと、税の上で若干特典を与えるとかいうように有利にしてやるということによりまして、望ましい方向に行くように導く、こういう租税政策をとつて来ておるのが通例でございまして、反対の方向に行きます例は我が国でも余りございません。将来におきましても、どちらかというと少いのでございましようが、まあ確かに問題だろうと思います。一番初め私申上げましたのは、交際費とかいろいろな濫費に亘るものを禁止するとか、或いは課税上は非常に不利にする方法はないか、こういうお尋ねかと思いましてお答えしたような次第でございます。そういうものでも確かに問題としてはあるわけでございまするから、具体的にどうするかということになつて来ますと、なかなかいい案が見付かりませんで、結論が出るまでに至つていない状況でございます。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 私の聞いておるのは償却の問題であります。諸外国の例はこれは私が申上げるまでもなく、主税局はよく御研究で御承知だと思います。我々社会党としましてはビルデイングのようなものは禁止しろということを言つておる。料理屋、大きな木造家屋は殆んど料理屋です。都内をお歩きになるとわかる。これは会社組織でやつておるのか或いは個人組織でやつておるのかわからないですが、少くとも日本現状をあれやこれや考えて、どうしても生産を殖やさなければならんようにして行つておる会社は犠牲を払つて勤労階級にまでも犠牲を払わしてまでもそのほうへ金を向ける、多少それがインフレになろうが長期の資金を投じろと、こういう方向に向つて、而もここに機械というものに関しては償却率を増大しようといつたような法案が出ている。全体の気持としましては、どうかして生産を殖やそう、そしてその生産を殖やそうといつた方面に対しては税金を成るたけ高くとらないようにして助長して行こう、こういうお考、大体その程度でいいんだと、こういうお気持ですが、それは今の日本現状のこの生活の苦しさ及びいろいろな世界情勢及び国内情勢を考えますときには、もう少し進んだ方法をとらなければならんというのがこれは常識ではないかと思うのであります。だから従つて生産的のものにまで償却を認めるなんということは、これは不当であつて、ただ徒らに会社利益を増し、会社配当金を増すだけに過ぎない。而もそれが消費されて物価値上りになり、延いてはそれは勤労階級が買いたい物も買えないという結果になつて来るのであります。そういつたような次第で、話が少し横道に進み過ぎたのですが、要は、会社が建てるようなビルデイングだとか、必要のないような体裁で作るビルデイングだとか、大きな建物とかいつたものに対しては償却をやめる、償却制をやめるというお考はないかどうかということです。
  24. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今そのような方面につきましては、極力例の銀行からの融資の方針といたしまして、設備資金等の貸出を一定の健全な方向に導くべくやつておりますことは、松永さん御承知通りかと思いますが、税の上におきまして、そういうものに対して非常に抑制するような積極策を講ずるかどうかということになりますと、先ほど申上げましたように、いろいろ問題が多くて、具体的にやるというところまでは至つていない次第でございます。そういうものに特別に有利にしているわけではございません。そういうものにつきましては、税法の理論上当然認むべき償却を認めているというだけで、ございまして、それをむしろ認めない、反対に不利にしてしまうというところまでやるかやらんかという問題につきまして、先ほどお答えをいたしたわけでございますが、一つ考え方だと思いまするから、よほど私は慎重な考究を遂げた上で実行すべきではないかと考えます。御了承願います。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 融資のことは先ほども申上げましたように、これも新聞で書いてあります通り日本銀行だけに任せてもらつたのでは駄目だ、できやしない、物の方面規制をしなければ、金についてだけ責められても困るのだと、こういつた言葉があると、こう承知いたしております。然らば一体それは禁止しろというのが我々の考でありますが、それじや禁止なんといつたつてそれはあなたがたの考え方から言うと少し行き過ぎだとすれば、何か別の方法はないかということになつて来るときに、何もそんな恩典を与える必要はないじやないか、料理屋なんか建てて、その家屋に対してだんだん償却して行き税金を負けてやるなんて、そんな必要はないじやないか、償却なんかやめたらどうか。大体が御承知通り日本の我々の住宅問題、これは誰でも言つているのですが、何百万戸が不足して、そして我々は窮々しているのです。衣食はどうにかこうにかここまで進んで来たけれども、住のほうの問題は絶対にまだ解決されておらないと言つてもいい。この住の問題を解決するためにも、贅沢な建物が建つているのに、その建物に対して税金を負けてやろうという考え方は不当ではないか。少くともこの点は改正する必要があるのではないか。聞けば必ずしもこれは私の独創でも何でもないので、諸外国のどこかの国にも前例があるということを聞いている。それが最も効力を挙げて実効的である、禁止するよりはるかにそのほうが実効的であつたという成績が挙つているという言葉も聞いているのですが、少くとも禁止する精神を活かさんがために、贅沢な建物に税金をまけてやるといつたような考え方は、今の日本現状から考えて不当ではないか。物の現状の見方は、おれはこう思う、おれはこう思うでは意見の相違でしようが、少くとも常識的に考えて、日本の今の住宅問題にしたつて、その他のいろいろな関係から見たつて、そう悠長にはしていられない状態ではないか。少くとも住宅問題一つとらえても、贅沢な建物に税金をまけてやるなんということは私は不当だと考えるのです。その点くどいようですが。
  26. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 贅沢なものに税金はまけてやらないのです。取るべき税金を取るというだけであります。償却は、松永さん償却を認めるということは何か特別に軽減してやるというお話でございますが、普通の償却のほかに政策的に特別に近代化等の機械を償却する部分は、これは本来の償却以上に償却率を認めて促進してやろうということで、そのほうはどつちかと申しますとまけてやるほうでございますが、普通の例えば木造家屋でありますと、三十年で償却すべきものというのは、三十年経てば経済的に建てた家の価値がなくなる、従つてその使用している間に最初に投資しました金額を年々経費として引くというのがこれが償却でございまして、これは税の理論上当然これは引くべきものなのでございます。当然引くべき償却以上に特別に見てやろうというのがこの特別償却でございまして、これは政策的にそれだけ早いうちに償却しまして国民経済を有利な方向に来たそうと、こういう考え方であります。然らば一歩進んで税で認むべきものも認めないでやつたらどうかというのは、私の先ほど言つたどこかの国でやつておるという例で、ほかの国は殆んどやつておりません。カナダでやつておりますのが最近なかなか面白い考え方だと思つて、私ども研究しておりますが、ほかの国ではそういうことをやつておりません。取るべからざる税金を取るということになりますと、なかなか問題は多うございますので、そこまでは行つていない。料理屋等も勿論償却は認めておりますが、木造家屋は当然一定の年限がたちますと使用に耐えられなくなる。それを最初の建築費を毎年割りまして年々落させて行くというわけで、それを認めないとなりますと、最初の投資額が最後には全く回収できないで、えらい重税をかけるということになるのでございまして、その点は御了承願いたいと思いますが、併しこの特別償却に関する限りは、お話のようにあとでたくさん償却すべきものを早く、理窟で考えるより以上に早く償却させまして望ましい方向に行こうという点でございますが、これは利益を与えるということは間違いないのであります。一般償却のことにつきましては、理論通り償却で行つておるということを御了承願いたいと存じます。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 そこで私とあなたと意見が違うので、税の理論からいつて、家屋は三十年、堅固な建物は五十年間或いは百年間という間に消えてなくなるから、その点は見てやろうじやないか、それが税の理論だ。それをやめろというのです。禁止しろというのです、私のは。ビルデイングなんか建てるなといつても建てるのだから、そんな贅沢なものを三十年間に償却なんというそんな制度をやめろというのです。昔のように戦争時代のように統制で絶対建てちやいかん、十五坪以上建てちやいかん、そこで十五坪の家を二つ建てて三十坪の家を建てた者があつて、そういう脱法行為はいかんのだといつたような問題があつたことは御承知通り。それくらいにそういう贅沢な建物を建つべからずといつて禁止しておるのです。禁止しておるのに、税の理論から贅沢なものに三十年間の償却率を見てやらなければならん、五十年間見てやらなければならん、それが間違つておる、それを除いたらどうか、税金でどんどん取つたらどうか、経費を見ないでですよ、そうしてやつて行つたらどうか、こういうのです。今の住宅問題の不足しているとぎに、そんな建物に対して三十年間の償却を認めてやろうなんて、そんな悠長にあるときではない、こう考えるのであります。
  28. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今のお話は、松永さんの禁止までするという御意見は御意見として承わるのでありますが、今の政府としては禁止するということにはなつていないのであります。そういうものにつきましては、全面的に禁止するということを方針としてきめておるわけではないのでありまして、償却といたしましては、建物ができまして、その営業をやつている以上、必要経費として引くべきものは引くという考えであります。従いまして、租税政策の上で禁止するという考え方で政策を立つべきかどうかということになりますと、これはそれがいいか悪いかという議論になつて来る。そういう問題といたしましては、今そういうことには政府としてはなつていない。松永さんの御意見は御意見としまして、そういうものもあろうかと思いますが、今はそういうふうにはなつていないということを私申上げた次第でございます。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 もう一つ意見の相違でしようけれども、少くともこういうことだけは、私は一応独断的だと……、併し一つ認めたということにしておきたいのですが、とにかく銀行のほうで融資を按配しなきやならんといつた考えは、当然私の申しているビルデイングに対する償却制をやめるという精神に通ずるものである。少くともその社会情勢並びに世界情勢、経済情勢から言つて、当然それは考えなければならないときが来るのではないかということを私は一言ここで申上げておく次第であります。  もう一つ簡単に一点だけですが、これは国税の問題であるかないかは別としまして、とにかく住宅問題が非常にやかましいし、住宅が非常にみんな不足して悩んでおる、こういうときに、昔間地税というものが行われなきやならんということを御承知のようにやかましく言つたときがある、都内の大邸宅を持つておる連中はいろんな理窟を付けてこれに反対しておつたのであります。ところがいろいろこの頃インフレとかいろんなことを見越して土地を買う。丁度あれは封鎖の時ですが、山林を盛んに買つたりしたり、あつちこつちに空地にしておる土地を相当買つておる人がある。ああいう所も住宅政策の問題から、家を建てさせるようにするために土地をそのまま空けておかないのです。それを又統制によつて規制して行くということだけでなく、税金の面からいつて一つ空地にしているようなものには税金を余計取るというような方向に向つて行く。非常に僕の言う議論はなまぬるい議論なんで、家へ帰ると叱られるかも知れませんが、とにかく非常になまぬるい実際的の議論を先ほどから申しておるのです。一概に反対されるとこつちもいい気持しないのですが、間地税ということについて何かお考えないかどうか。
  30. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) まあ先ほどの償却の問題でも、私どもも積極的に税の上で抑制すると申しますか、そういう方向まで行くべきかどうか、これは一つの研究問題ではあろうと思いますが、絶対的に禁止するという考え方をとりますと、やはり建築制限令でも出すかということでございますが、そういうことまではやらないということになつているということを御了承願いたいと思います。それから今の間地税の問題でございますが、これは実は固定資産税の増税が間接には相当そういう役目をいたしておりますことは御承知通りかと思います。大きな家を持ちまして小人数しか住んでいないという所では、今度の固定資産税では到底住みきれないという弱い者は、それを売つてたくさんの人に入つてもらうか、或いは料理屋でもするということが一方にございますと同時に、土地においても遊ばしておいたのでは固定資産税の負担に耐えられないというので、何か利用しようかという方向に大分来ておるようでございます。併し松永さんの御意見はそれでは不十分で、もつと目的を明らかにして効率的な課税をしたらどうかという考え方だと思いますが、まあそこまで行けますかどうでしようか、その辺はやはり全体の住宅の政策その他と関連して決定すべき問題ではないかと思いますが、政府におきましても住宅の必要は非常に感じまして、今回も補正予算で、たしか住宅金融公庫から相当な住宅資金を出しておる、それから預金部のほうからも出すということになつておりますが、なお公営住宅等につきましても推進を図ることになつております。これも一挙にはなかなか解決むずかしいかと思いますが、私はやはり今の状況か申しますと、貸家がなかなか建たない状況でございますので、そういう国家の投資、或いは地方公共団体による庶民住宅の建設、まあこういう方向にもう一段と努力すべきではないかと私、個人的にも考えておりまするが、今の政府方向も御満足行く程度かどうか、私は問題だと思いますが、同じような方向に行つておりますことは、今度の補正予算にも出ておると思うのであります。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 もう一点ちよつと、たまたまあんたが住宅金融公庫の話をされましたので一言述べておきますが、住宅金融公庫の貸付金ですね、何か新聞で見ますと、一坪当りの住宅の値段が二万円とか三万円とか莫大な物価の騰貴です。さつきあなたがここに出されたガス、電気の率なんかと比較にならない率です。これだけの数字では先ほどの一応あんたの言うことが本当だということを前提として私は議論しておるのですが、只今住宅金融公庫の貸出しの一坪当りの値段の騰貴ということは莫大なものです。実際の物価問題は、あなたがここに出されておる数字では即断はできない。賃金ベースの問題が如何に低いか、資本蓄積というものは賃金ベースが低いのでそれで行われておるのです。物価というものが上れば必らずプロフイツトというものは資本家利益する。儲けた金はだらだら遊びに使つて、そうして勝手な建築をしておる、こういうことです。  それから固定資産税の話がありましたが、東京都内では今度の再評価では上らないと言つております。大体据置だと言つております。あなたのおつしやるのを一遍お取調べ願いたいと思うのです。田舎のほうは上る。却つて田舎のほうが上つて、田舎が非常に困るという結果になる。都会は上らない。だから都会の空地に対しては税金を取つて、そうして納めるのが嫌なら早く家を建てるようにするか、土地を提供さして家を建てさせたらどうか。これは住宅金融公庫の金を貸しても一つの土地に権利金幾ら出すということで、これだけだつて厖大な金です。到底あとからあとから貸付金額を殖やしたところで追つ付く余地がない。物価が盛んに上つてプロフイツトは皆資本家が独占する。これは贅沢な遊びに使つてしまう。資本蓄積々々々々と言つたつてまるで資本家に対して資本蓄積をさせて、その利益を独占させて、そうして金を余らして贅沢をさせておる。それじや全く勤労階級はいつまでたつても浮ぶ瀬はないということになる。まあ私の結論を申上げて、これで終ります。
  32. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 物価のことでございますから、なお若干事実を申上げておきますが、さつき言いましたように日本銀行の卸物価ですね、これで昨年度六月から比べましてグラフを持つておりますが、六月を一〇〇にいたしまして一五二になつております。実際の家計費影響しまするあらゆる物資価格及び料金の……この家計費調査によりまして出て来ました一種の生計費指数に該当しますが、消費者物価指数というのが先ほども申しましたように一二八・二、九月全国的に見まして、今日の新聞に出ておりましたが、一二八・二、賃金が現金給与全部を入れまして、六月に比べまして八月が一三三、こういう状態になつておる。建築費等は御指摘通り主として卸売物価に私は影響されると、こう思う次第でありまして、従いまして建築費は御指摘通り昨年に比べまして相当値上りを来しております。そういう新らしい建築ができて、新らしい高い家賃のものを払わざるを得なくなりますと、これは勢い徐々に消費者物価指数が高くなるという傾向になると思いますが、今のところそういう状態になつておるということを申し添えておきたいと思います。賃金物価との関係につきまして、今政府では直接コントロールしておりませんので、それが果してどう考えるべきかということにつきましては、これはいろいろ問題があろうかと思いますが、少くともさつき申上げましたように、政府関係の重要生活物資及びサービス料金で最近値上げしまする分につきましては、今度の所得税減税によりましてカバーできるということを申上げた次第でございますので、念のために附け加えさして頂きます。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 今度の改正関係で退職所得につきましては、他の所得と分類をして特例を設けられたという点忙つきましては、私どもかねての希望が一部通りましたことで非常に結構と思いますが、ただここで退職所得と申しましても、相当長年月就職いたしまして、本当に老後のために取得するような退職所得と、そうでないような意味における退職所得、内容にはいろいろあろうと思うのであります。そういう場合に今度の特例におきましては、一律の、一定の方法で計算をするというような建前になつておりますが、これは恐らくこういうような改正案を、お考えになる際には、一般勤労者のようなもので相当長年月、二十年、三十年就職いたしまして、本当に老後退職する場合にもらうというような場合には、更に考慮をなさるような必要もあろうと思うのでありますが、そういうような点につきまして、改正案を作られる場合にどういうような考慮が払われたか、又今後どういうふうに考えて行かれるか、私どもといたしましては、そういうようなものにつきましては、特例に就職年数との関係において調整をすべきであるというように考えるのでございますが、お考え一つ伺いたいと思います。
  34. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 退職所得に対する税金を相当大幅に軽減しましたことは先般も御説明申上げた通りでありまして、お手許に配つてありますところの資料の一番うしろの計算を御覧下さいますればおわかりと存じますが、まあ第一に負担軽減するということと、それから成るべく課税の簡素化を図るというのが二つの狙いであつたのであります。退職年数等による差を付けますとなかなか計算がむずかしくなりますし、而も事実の調査がなかなか又困難であるという点がございますので、むしろこの際全般的に思い切つて軽減したらどうかという考え方で、これは相当の軽減になるのでございます。それで二百万円退職金をもらいましても、三十五万六千円、二割足らずの税金で済む。百万円でございますと、十三万五千円、これは一割三分五厘、地方税を加えましても二割弱という程度でございますから、お話のように相当長年月勤められまして、退職金をもらわれる際におきましても、まあこの程度税金ならば今の所得税負担からいたしまして十分じやないか、かように考えまして、余り複雑な方法は取らないということにいたした次第でございます。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 私の申上げましたのは、今のその長年月勤務いたしまして、お話の二百万円で三十五万六千円ということがいいか悪いかという問題じやなくて、経営者のような立場で、二年とか極く僅かな年数の勤務によつて二百万円を取得したという場合においても三十五万円、二十年、三十年勤続して二百万円取得した場合にも三十五万円というところに問題があるのじやないかというように考えるのですが、そういう点についてどうお考えになるか。
  36. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点は退職所得に対する税負担が相当に高い場合でございますと、私どももやはりそういう考慮を加えるのも一つ方法だと考えます。ここまで引下げますと、大体そういう問題はおのずから解決するのじやないか。非常に公平論を貫きますと、お話のような議論も出て参りますが、そうなりますと、現在の平均課税が複雑で非常に実行がむずかしいというのと、そこにやはり同じような非難が出て参りまして、他に欠陥が生ずるということになりまして、むしろ簡明な方法とつたらいいのじやないかという考え方でありまして、一律に相当思い切つて引下げた、こういうことであります。お話のような点を細かく言いますと、もつと長年月で多額の金をもらつた人は、三割も或いは四割も負担していいじやないかという議論も出て来ると思いますけれども、その辺の問題を成るべく簡単にする意味合におきまして、一律に軽減するという方法を選んだわけであります。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 先刻の御説明で、今度の主食を中心とする物価値上りは大体今度の減税によつて吸収ができるのだというようなお話でございましたが、これは今まで税を負担をしておつた人にはそういう関係が起きると思うのでございますが、今まで配付になりました資料によつてみましても、課税の対象になつていない階級があるわけであります。恐らくどういう数字になりまするか、私はよくまだ承知をいたしませんが、国民の何分の一かはそういう階級におると思うのでございます。そういう人々に対する物価値上りというものをどこで吸収して行くかということについて、今度の減税との関係でどういうように考慮が払われたか、又そういう点は他の社会保障施設によつてカバーをするということでありますれば、そういうような施設がどういう点に現われているか、御説明願いたいと思いますが。
  38. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 御指摘通り昭和二十三年頃に比べますと、大分納税者も二、三年の経験で減りまして、若干納税者でない国民のかたがたが出ております。これは一番多いのは農業者でございます。農業者の納税者は昭和二十三年三百七十万くらいございましたのが、今年は百七十万ぐらいでございますので、農業者の場合におきましては、現在も税を負担していない、所得税負担していないかたがございます。こういう場合におきましては、御承知通りいろいろパリテイ計算で物価上つただけははね返りで米の価格がきまるということになつておりますので、まあそれでバランスはとれるのじやないか。勤労所得者の場合にはこれは御承知通り大分軽減いたしましたが、なお相当大部分のかたが納税者になつておりまして、まあ私どもの統計でございますが、八割から八割五分程度給与所得者の場合はやはり納税者である。営業者の場合は殆んど極く零細な副業みたいなものは出ておりますが、そうでないものは納税になつておる。こういう実情でございますので、先ず大半は今度の改正でその点の調整はできるのじやないか。それ以下の場合はどうなるかということでございますが、これは一面におきましては、生活保護法の適用を受けているかたはやはり主食値上りでその支給額を殖やす、或いはその他いろいろなできる限りの措置を講じまして、救済することになると思いますが、それでもどうしてもできない分はやはりこれは働いて所得を殖やしてもらうということより率直に申上げましてないかと思いまするが、併し大多数から申上げますと、大体税の改正と両方で調整ができるのじやないか、かように考えております。絶対例外がないわけではないのであります。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 今度の改正の一点に、退職積立金の問題でございますが、一定条件を具備するという条件については、大体常識的に想像はいたしておりまするが、どういうようなことを具体的に考えておられまするか。
  40. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大体今二つの点を考えておりまして、一つはやはり労働協約などによりまして雇い人が雇い主との間に約束いたしまして、将来出さなければならないということになつているということが一つ、任意のものでございますと、どうもその際に出さんほうがいいのじやないか……それともう一つは、その退職金が将来確実に払われるという保証が得たい、そのために半額程度預金その他の形で資金をはつきり取つておく、こういう二、三の条件を附しまして、積立てたときには損金にする。勿論それに該当しないものにつきましては現物支給したときに損金にする、こういうことに相成るわけでございます。積立てたときに大体その二つの条件が主体になるということでございます。
  41. 小林政夫

    ○小林政夫君 法人税のことですが、只今松永さんから大分法人税はもうちよつと上げたらいいということだつたんですが、私は消極的な意見なんですが、最初の大体法人税の税収が一昨日も泉さんとの間に質疑があつたのでありますが、非常に過少であつた、過少に過ぎるということがこういうようにいわゆる自然増収として非常に大きな税額が現われたという結果を呼ぶのであつて、これは、必ずしも著るしく業績が好転したとのみは言えないのでありますが、法人税を上げるために最初にまあ殊更に過少評価して自然増収を多く見積つたというような意見を言う人もあるくらいであります。この点については当初の最初の審議において、大矢委員からだつたと思いますが、法人税の見積りが過少に過ぎるというような御指摘もあつたと思います。そこでこの法人税の増収の要素でありますが、かなりいわゆる法人に新らしくなつたために殖えて来たという面があると思うのでございますが、それから真に業績が好転して成績が挙つたというものもやはり業種によつてありまして、全体の企業の私の推測ではせいぜい三割くらいじやないかと思う。そうするとあとのその法人にはつても相当欠損をしておる法人も業種によつては多いのであります。単純な物価騰貴によつてのみでなしになつている面もある。そういうような分解をしてみて、それから法人によつてどれだけの自然増収があるか、又この法人収益の好転の中で、単なる物価騰貴による面というような点の検討というものを分解をして考えてみられたことはありませんか。
  42. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 非常に具体的な計数に互つてその分解をしまして、この分が幾らということはなかなかむずかしいと思いますが、大体の見当は付くかと思います。今御指摘のような点が確かに法人の業種には収入が上りました理由でございます。今まで個人企業のものが法人になりまして、それで法人税が殖えるという面もございます。併しこの金額は全体の増加額から行きますとそれほど多くない、少くとも一年分だけを見ますと一番大きいのはやはり私、業績がよくなりまして増収になつた、よくなつた理由は先ほど申しましたように物価上つただけでなくて生産上つた、昨年に比べまして生産が五割上つております。セメントでも鉄でも何でも昨年の前半期に比べますと、下半期あたりの生産状況というものは飛躍的な増加となつておりまして、生産が殖えているのが一つ、それに先ほど申しましたように物価も又上つている。この二つの理由で業績がよくなつた。お手許に配りました一年の説明にもちよつと書いて置きましたが、昨年の下半期でございますね、この日本の主な会社の百四十社につきまして、実は個別的に調べてみたのですが、この経過を申上げますと  よくその間の真相がおわかりだと思います。各業種に亘りまして、日本の相当代表的な法人につきまして百四十社実は調べてみたのでございます。それの昨年の下期、即ち昨年の九月決算でございます。
  43. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちよつと資料をもらつていないのですが。
  44. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その細かい資料は差上げてないのですが、ちよつと結論を申上げますが、昨年の下期の利益の総額が載せてあるかと思いますが、それを申上げますと、百四十社の下期の利益が二百九十七億、これはまあ朝鮮動乱影響を若干受けておると思いますが、フルには影響を受けておりませんが、併し九月乃至十月に終つた決算でございますから相当もう影響を受けておるのでございますが、それに対しまして今年の上期、つまり三月乃至四月に終つた事業年度の成績が七百一億に増加しております。一三五%の増です。二倍半近くに利益が殖えた。私ども昨年の予算を見積りましたのは大体昨年の暮でございまして、朝鮮動乱影響を或る程度受けております。昨年の下期の成績がわかりまして、それを基にして若干の生産の増を見込みまして今年の予算を見積つたような次第でございます。それがその後生産の増も予想より多くなりまして、卸売物価も上りまして法人業績がよくなつて、今年の上期は昨年の下半期から約半年でありますが、半年の間の成績は二倍半近くによくなつている。その後実は状況は少し悪くなりまして、御承知のごとく糸ヘン景気も大分値下りが来まして、最初は今年の下期はどれほど成績が悪くなるか、紡績、人絹は赤字を出すというような噂が世間にもあつた通りでありまして、今年の七、八月頃歳入見積につきまして、実は若干内輪にせざるを得なかつた。上期の成績は相当よかつたけれども、下期が悪くなると簡単に行かんのじやないか。その当時計算しましたのは私ども新聞等に出ておりました自然増収千億前後の数字でございまして、ところがだんだん下期の予測が具体的に付くようになりまして、予測を立てて見ますと、少くとも上期の九割程度まあ全体といたしまして見ることができるのじやないかという見込を立てまして、今度の予算を計算いたしたのでございます。これはまあ主要法人で、その他の中小の法人につきましては、一般生産物価が伸びて計算いたしまして、これほどの増加は見ておりません。全体といたしまして法人税で八百五十億円の自然増収が出る、こういうことにいたしたのでございます。まあ、主としてやはり日本の代表的な企業がこの一年間で非常に業績が立直りをした。今年の上期の成績が下期にも相当やはり持続した、或るものは下つておりますが、逆に下期になつて初めて相当な利益を出すことになつているものもございます。例えば石炭、船舶、これらの業種は最近におきましてよくなつております。そういう点からいたしまして自然増収が出て来たというわけでございまして、まあ大部分はやはり私、法人業績がよくなつた、殊にそのよくなつた理由は生産上つたこと、物価騰貴だけでなくて生産上つた、この二つが一番大きな理由じやないかと考えております。
  45. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体の見込でもいいんですが、法人税のパーセンテージと、単なる物価騰貴の面、今のお話生産増強による面、このおよその概数がわかつておりましたら……。
  46. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 個人企業法人になりましたものは戦後ずつとございますが、累積しますと、相当な額になると思いますが、昨年一年くらいの間に法人なつたために法人税が殖える額というものはまあせいぜい五、六十億程度のものじやないかと、かように見ております。
  47. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから一昨日ですか、泉課長はこの法人税引上げによつて市町村民税は上らない。この頂いた資料にもそういうふうなことで資料が作成してございますが、地方財政委員会とはつきり話が付いているということだつたんですが、あなたの局長から……。
  48. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今日お手許にこの表面税率と実効税率をお配りしましたけれども、これを改めて御説明申上げて見ます。どうも世間では税率を機械的に合計しまして、それが法人のために負担のように言つている人もあるのでございますが、実際は事業税を経費として差引きました残りに税がかかります。事業税の方面利益に対しましては実効税率として書いてある欄でございます。現在表面的に合せますと五二・二五%が改正後は五九・二五%になるのでございます。事業税の関係を調整いたしますと、事業税込の利益に対しましては現在四六・六五%が改正後は五二九%になる、これが実際の国税、地方税を通じました税金を払う前の税に対する負担ということになつております。その際にお話の市町村民税がどうなるかという問題でございますが、これは少くとも所得に対して同じにする、つまり引上げない、これはもう当然のことでございまして、これ以上に上すということはする必要ない。勿論自治庁もそういう考えでございますから、むしろ地方税の改正におきましては、市町村民税が非常に地方によつて歳入が偏在いたしますので、例えば都市近郊の農村財政が紡績工場が一つありますと、固定資産税と法人税だけでもうほかの税金をとらなくてもいいといつたような事態も生じておりますので、市町村民税の法人税割は少し引下げたほうがいいんじやないか、現在の五・二五%よりも所得に対しまして引下げたほうがいいんじやないかと思つておりますが、併しこれは又来年度通常国会において地方税制全体の改正案に結論を下すことになつておりますので、まあそこまでこの表には織り込んでないのでありますが、所得に対して同率にとどめるということも少くとも異存のないところであろうと考えております。
  49. 小林政夫

    ○小林政夫君 引下げるということは、法的措置によつて引下げるということが地財委のほうと話合いが付いておるのでありますか、というのはこのままに置いておきますと、今お話のようなこともあるわけでございますが、併し現在の市町村財政の窮乏の状態から考えると、税率が一応国税の一五%までとれるんだということになつておる、恐らくそれ以下でとめるような市町村は私の見るところでは少くなるんじやないか。で法的に一五%ということを規定するというふうに地財委と話合いをしておられるのですか。
  50. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 日本政府といたしましては、むしろ今の一五%を一〇%程度に下げたらどうかという話合いをいたしております。併しこれはまだ最終決定になつておりませんので、そういう計算をせざるを得ないのでございます。現在と同じ所得に対する地方税の負担、これは私少なくとも問題がないところではないかと考えるのでございますが、むしろ若干引下げまして地方財源の偏在を防いだほうがいいんじやないか、その半面全体として財源の過不足は平衡交付金その他の方法によつて全体として調整したほうがいいんじやないか、まあかように考えております。
  51. 小林政夫

    ○小林政夫君 一昨日も要求しておいたのですが、この税制改正による事項別の増減収額ですね、これを二十七年度に引直した表を頂きたい。特にその中で法人税その他の制度改正による減収額が九億七千万円と一応これには書いてありますが、これを一カ年分に引直すというか、二十七年度においてはどうなるか、そうしてそれのおのおの更にその月割事項別にどうなるかということの資料をもらいたい。それからそこでお話ができれば話して頂きたい。
  52. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 来年度の租税増収の見積額は実はまだ固まつておりません。大体の見当はついておりますが、まだ予算と一緒にきめるということになつておりまして、具体的な正確な計数を申上げるまでに至つていないのであります。先般大臣がお話になりましたように、所得税をこのまま引伸ばしますと、千億に近い年間の減収になる。法人税におきましては、まあ大体二百億程度の増収になるのじやないかと思います。次に税率の引上げによりまして、もう少し収入が殖えると思いますが、積立金その他の改正をいたしまするので、それを差引きまして二百億程度の増になるだろう、まあこのように見ております。次の細かい計数につきましては、もう少し来年度の計数を固めました上で申上げるほうが正確だと思います。概況さようなわけでございます。
  53. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると、大体普通の四二%の法人税率になつて三百億の増収になる。その他の制度改正によつて百億の減税になる。差引き二百億法人税は殖えるという割合で、そうすると三分の一減るということになるのですね、減税予測というものは。そういうことで今の実効税率を検討して見てもいいわけですか、概数的には。
  54. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 概数的には大体もう少し減度が少いかも知れませんが、大体見当としましてはそのような見当に相成るかと思います。ただこれは正確に只今計算いたしましても、自信のあるところの計算は出て来ませんので、私ここに算入いたさなかつたのでありますが、税率の改正に関する減を差引きますと、実効税率五二九%がもう少し低くなれば幾らになるというところまでは、どうも正確に出しますと却て判断を誤まらしめることになりますので、まあこれよりも少くとも低くなるということで御判断願つたらどうかと思います。
  55. 小林政夫

    ○小林政夫君 提案理由の説明では所得税のほうですが、配当所得に対しては源泉徴収した分を総税額から差引くということになつておりますが、この法律案を検討して見ると、それに該当する条文がないように見受けるのでする
  56. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは御承知通り所得税臨時特例でございまして、源泉課税も来年の一月から三月までというふうにいたしております。いずれ通常国会にはこれを本改正に引直しまして今後ずつとこの源泉で引いて行くということになりますが、それに伴いまして所得税法改正いたしまして、所得税の計算上源泉徴収せられた分は差引くということを、次の通常国会の所得税法改正でそれを行う考えでございます。今のうちから源泉はいたしておきませんと、来年の通常国会に出しまして四月以降になる。そうすると一月から三月までの間の分は源泉で引かれていない、四月以降のものは源泉で引くということになりますと、あとで配当を総合しまして計算します際に非常に錯綜しまして混乱すると思いますので、この分は取急ぎ所得税の特例法で先ず差引くことにいたしたい。いずれこれは本法改正お話のような点は解決いたしたいと思います。
  57. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 先ず第一にお伺いしたいのは捕捉率だと思うのでありますが、これは大分問題になつておるので勤労者の源泉徴収は殆んど九九%ぐらいまでは捕捉される、ところが法人税その他の税金におきましては、その他の所得につきましてはどうしてもこれは捕捉率は非常に私は悪いのじやないか、こういうふうに一般考えられるのでありますが、大蔵当局において捕捉率について統計をとられてあるか、調査されてあるかどうか、調査されてあつたら一つお示し願いたい。
  58. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 捕捉率の正確な調査ということは実はなかなかむずかしいので、わからないから課税ができてないというわけでございまして、正確な統計で出すのはなかなかむずかしいのでありますが、併し私もいろいろな点からしまして、この問題は大問題でございますから検討いたしております。御指摘通り勤労所得はやはり一番比較的適切に課税されておるのじやないかと思います。それから農業所得がやはりその次に割合よく捕捉されておる。営業所得が一番むずかしい、併し営業所得の中でも大きな会社になりますと、殊に取引所に上場されておるような大企業になりますと、この頃はなかなか査察でやかましくいたしました関係で、税法を合理化いたしましたので、この頃よほど少くなりまして、相当手を入れて調べてみましても、申告の差が相当少いようでございます。これは相当改善されて行くようでございます。問題は中小の営業者、これは一番実はなかなか問題がございまして、法人といい個人といい、中小の営業者が一番むずかしい問題でございます。でこの方面につきましては、税務署、国税局で力を入れまして、いろいろ実額調査と申しますか、これを徹底して行いまして、捕捉率をよくしようと目下懸命な努力をいたしております。そういう状況だろうと思います。併し附加えて申しますと、勤労所得者の中でやはり中小企業に勤めている人の勤労所得者はどちらかというと、必ずしも完全に行つてないことは事実でございまして、全部ではございませんが、概して申しまして今お話のような次第でございます。
  59. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この勤労所得のうちで一番捕捉率のいいのは官公庁に勤めている公務員、並びに国鉄、専売公社に勤めている職員、これは完全にやられておる。ところがちよつと会社あたりに来ると多少落ちるだろうと思うのです。これは我々の六感でありますが、そうなつていると思うのですが、この点から言つて、併しそう言いましても勤労所得は殆んど九〇%以上も捕捉されているにもかかわらず、法人税その他営業所得等におきましては、なかなかこれはどう考えても完全な捕捉ができてないものと言い得るでありましよう。その面において租税の負担もただ税務だけで以ては私は言えないと思うのです。これは公平であるということは言えない。この辺を先ず十分考えなければならんと思います。その前提に立ちまして、昭和九年—十一年の国民所得に対する国税、地方税の負担率の参考資料を頂いたのでありますが、これを一つ今度は昭和九年—十一年の今の勤労所得に相当するものの負担率と、それから或いはその他の負担率というふうな統計をお持ちになつておるかどうか、いわゆる源泉徴収するところの勤労所得に相当するところがどれだけ、何%の負担率になつておるか、その他の例でどれだけこういう点について御調査になつたものがあるかどうか、それが十一年のべースと今のとの比率はどうなつておるかという点についてわかつておつたら一つお伺いしたいと思います。
  60. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 十一年の時代は源泉課税はやつておりませんで、全部総合課税でございます。古いのはございませんが、最近の調べたのはございます。今手許にございませんので、調べましてお答えいたしたいと思います。ほかの御質問をお願いいたしたいと思います。
  61. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に法人税でございますが、先ほどからも大分皆さんお聞きになつておつたと思うのでありますが、二率に二割の引上げということになつておりますが、これは配当率による調整ということをお考えになる必要はないかどうか、と言いますことは、資本蓄積を今も局長盛んに強調せられておるのですが、これが配当のほうに廻ると資本蓄積にならんと思うのですが、その点からいたしまして、資本蓄積を奨励し、これを勧奨する意味から行きましても配当率によつてこの逓増法、これをお考えになる必要はあるんではないかと思うのです。この点について考慮されたのであるか、そういうことは全然無視してただ一律に二割こういうことにされたのであるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  62. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 会社の収益及び資本蓄積状況という表を御覧になりまして、事実を出して頂けばわかると思いますが、配当も成るほど相当増加しておる……。
  63. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 六割くらい……。
  64. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 六割ではございません。昭和二十四年が四十一億円程度配当でありましたのが、二十五年が百八十四億、今年は五百七十五億円程度の予想でございますが見ております。それでそういう利益、従いまして配当も相当二、三年のうちに利益と同様に改善されて来たと言い得ると思うのであります。ただこの点は御承知通り払込資本金というものがまだなお非常に低い、実際の会社資本に比べまして。それで資本蓄積状況調という表を御覧になればわかりますように、本年六月末の払込資本金三千三百八十一億、積立金が千四百八億、例の再評価しました固定資産の、これも若干内輪でございますが、企業がやると思われる再評価額が七千百一億、合せますと、自己資本というのは実は一兆一千八百九十一億になるのでございます。従いましで、この配当率を見る場合に、払込資本に対する配当率自己資本に対する配当率を両方合わさないと、本当の意味の配当ということはわからないと思います。そういう点から見てみますと、配当率は大分払込資本金に対しましてよくなりまして、最近二十四年が二九%でございますが、計算しますと払込資本に対して二・九%、二十五年が七・三%、それから二十六年が一七%というふうに増加いたしておりますが、その自己資本全体について見ますと、二十六年におきましても四七%程度でございます。今の状況から見ますと、勿論中には戦後に資本を非常に増資しました会社で、而も相当な高率の配当をしておる所もございます。四割、五割という高率の配当をしておる会社は払込資本金が割合に少なくて、再評価積立金、その他の積立金が非常に多い、これは概して多いようでございます。従いまして、本当のこの自己資本に対する配当率というものは今申しましたように、当面の配当率と比べますと、なお相当低い、利益の中からいたしましても、税金を差引きました残り利益は今年は三千二百二十六億になりますが、この中で配当が五百七十五億、一割七、八分、二割弱、あとは積立金、役員賞与その他でございますが、配当といたしましては、若干営業成績より少し遅れて増加になつておる、従いまして、余りまだこの際配当を積極的に日本企業の場合は抑制するというところまで行きますのは、まだちよつと早いのじやないか、それでなお一、二年経ちまして、配当率が全体としてこの本当の自己資本に対しまして相当な配当になり、その上に高率配当もする会社が出て来ます場合におきましては、イギリスでやつておりますように、配当に対しては特別に高い税をかけるというような政策もこれは一つの政策かと思いますが、日本の場合はまだちよつとそこまで行きますのには少し早い、又やつていいかどうか、検討すべき余地が多いのじやないかと考えるのであります。償却を殖やしまして、それによつて社内留保の増加を図るという方向で行きますほうが、今の企業の実体から行きますといいのじやないかというのが現在の考え方でございます。それと高率配当に税を高くかけると申しましても、非常に払込資本積立金関係がまだ完全に立ち直つておりませんので、課税いたしましても、本当に高率配当はどれであるかということをつかむにむずかしい点がございまして、今のところではまあそういうような考え方をいたしております。
  65. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の高率配当の問題でありますが、まだ主税局長は時期尚早だと言い、検討するには早いとおつしやるのですが、資本の再評価ということが一応出された以上には、もうすでにその段階へ来ておるのじやないかというふうに僕は考えるのでありますが、その点は見解の相違で止むを得ませんが、次に考えなければならんのは、この法人におきまして、これは最近の新聞種でありますから、余りここで問題にするのは如何かと思いますが、一つの社会問題になつておりますから事実だと思いますが、この社用族というものは局長もすでにお考えになつておるだろうと思いますが、税金にどうせ取られるくらいならというので、各会社法人のそこにおる幹部職員、社員連中が取引先或いは金融機関の招待にかこつけて連日大宴会をやつている。而も東京市内における、或いは大阪市内におけるこうした都市の料理屋の利用というものはこういう社用族によつて占められておるということは、これは一つの社会問題に近いし、どういうふうにこれをつかまえるかということは問題だと思いますが、こういうのが即ち損金になるわけですが、そういうものに使つたやつは全部損金にしてしまう。これについて一つ税法の改正によつて税的処置というようなことをお考えになつておるかどうか伺いたい。これは社会問題で放置することはできないと思うのでありますが、如何ですか。
  66. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の問題につきましては、その経費の使途が明らかでないものはこれは否認いたしております。否認しまして月給にする。併し会社がお客さんの招待その他広告、宣伝と同じような意味におきまして使途を明らかにしまして、受取書もはつきりしておる。こういうものにつきまして営業費と認めざるを得ない。そういうふうに考えまして否認いたしておりません。併し何に使つたかわからないで重役等が適当に使つておる、こういうものは調べまして経費としまして否認いたしまして月給に入れて課税する。更に一歩進んで何か交際費についても枠をきめたらどうか、或いは全部否認してはどうかというような意見もありますが、全部否認するということは戦時中経理統制をやつていた時代においてもなかなかむずかしかつた。枠を作りましても売上金によつて枠を作るか、資本金によつて枠を作るか、利益によつて枠を作るか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、下手に枠を作りますと逆に奨励になりまして出さなくてもいい会社まで出してしまうということになりまして、なかなかむずかしい問題があるのでございます。何かいい案がございましたらお教えを願いたいと思います。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 今局長さんは交際費について枠はないとおつしやつたが、ところが実際極く小さい会社などの交際費が馬鹿に上つていると言つて皆否認されていますがね、現に。そうでないものも地方の税務吏が否認するということになります。この際はつきりしてもらわんと大分文句が来ておるのですが、今度は皆断つていいのですか、ここは今おつしやつた通りにして行かなければならんということになると、大きいところは許すが小さいところは許さんということになると、実際大きな社会問題になつてしまう。小さいところは全部否認されて困つておる。
  68. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 同族会社になりますと、個人の目的で金を出したのか、会社のために出したのか、実ははつきりしないものが多い。個人の付合いの費用を会社で出したということになりますと、これはどうもやはり会社の月給にするわけに行かないので、それは個人会社の月給からそれだけ取得しましてそれを消費しておる。こういうふうに見るのが妥当でございますので、同族会社につきましてはそのような方法によりまして否認している例がございます。大会社になりますれば、これは重役等が会社以外の用でそういうことをいたしますのは法律上背任になるか、背任にならないとすればこれは営業の金だということになりまして、一律に同族会社のようなふうに否認するわけには参らないということを申上げたわけであります。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 私のお伺いしておるのは同族会社じやないやつでやられておる。だからそのおつもりで……。
  70. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは「所得税改正及び主食等値上り生計費に及ぼす影響」、主食以下の、(ロ)、(ハ)、(ト)まで挙げられております。今回の物価値上り減税によつて吸収するという説明、これは大分大蔵大臣の財政演説でやられたのだが、このうちで住居費の問題がこれは抜けておるのでありますが、固定資産税の設定に伴つて借家賃が大分上つているのでありますが、この上りのパーセンテージを一つここで考えておられるかどうか。  それからこのほかに主食だけでなく副食もすべて上つておると思うのでありますが、そういうものを考慮してなお更にこれを吸収するという資料もおありになつておるのか。この点について住居費が一番大きく響いておると思うのでありますが、これは恐らく局長も認められるだろうと思いますが、どうしてこれを抜かしてあるのか。
  71. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 昨年固定資産税を二倍半ほど引上げました際にはやはり増税による家賃の増を見ましてこういう表を作つたはずでございますが、今年は固定資産税につきましては、地方的に若干増減がございますけれども、全国的には大したことはない。都会のほうはむしろ松永さんのお話のように若干下る所もある。地方のほうには上る所もありますが、これは賃貸価格と申しますか、その改訂によつて若干の増減がございます。これは過去の事実としまして今回は見ていないで、固定資産税は新らしく増税するということになつております。  それから副食等はこれは御承知通り米価を上げましても必ずしも物価主食によつてきまるのでなく、一昨年頃は米価を上げましてもほかの物価はむしろ下つて来た。公定価格引上げましても闇物価は下つた時代もありますが、最近の傾向とすると或いは上るかも知れない。併しそれにつきましては、極力全体としてインフレをとめる。抑制するという方策をとつて極力安定を図るということでございまして、これが上るとも上らんとも私ども断定はできないと率直にいつて考えるのであります。ここに示しておりますのは、政府がコントロールして政府の方針によりまして引上げになる、そういうものは少くとも所得税の増減に関連しまして見なければならない。そういう考え方で作つております。  それからいま一つ関連しまして申上げますが、昨年の大月に比べましてさつき申しましたように、これは労働者の給与は上つておる。やはり税だけでは調節できませんので、やはりインフレ傾向になりまして、止むを得ず結果がうまく行かない、インフレ傾向になりますとやはり賃金も上つて来る。そういうことになるかと思います。その点につきましては、極力抑制策をとりまして安定を図るようにするというのが大蔵大臣の方針でございますが、ここにはそれを織込んでいないということを申上げておきたいと思います。  なお主食統制撤廃後におきましてどうするかということにつきましては、これはその際にいろいろ問題になると思いますが、今どうもこの表に織込むのは早過ぎる。まだ具体的には予想は私どもとして付きかねるのでございまして、今として表を作るとすれば、そういうフアクターをつかむべきではないというふうに考えております。
  72. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の局長お話では政府のコントロールする分として挙げられておるのであります。これが又悪循環いたしまして、ほかの物価に対してすべてこれは基幹料金とも言うべきもので、運賃、通信、電気料金というものはこれはすべて物価の基礎になるべき料金だと思いますから、これは影響しないと言うことはそれは一つの強弁だと思います。これは必ずはね返るもので、而もはね返るときには雪だるまのように太つてはね返る。これで以て如何にも減税によつて吸収されるというふうに強弁されるのは、これはされれば見解の相違で止むを得ないといたしましても、ちつとこの資料では私は無理だと思う。而も住居費に対しましては固定資産税の際にあの地方税法が改正された時にと言つておられますが、丁度今私名古屋に住んでおりますが、今名古屋あたりでは家賃の値上げを家主が盛んに言つて来ておりまして、丁度この際に電気料金水道料金、こいつらと睨み合せてかも知れませんが、先ほど松永氏が言われましたように住宅の不足につけ込んで、そうして料金改正の時機をつかまえまして、そういうふうにはね返つて来ておるので、これはほかの物価にも来ておるのでこれはちよつと無理じやないか、私はこういうふうに考えますが、それは見解の相違であとに廻しまして、最後に一点お伺いしたいのは、税務行政でありますが、徴税行政といいますか、これについて各方面で忌わしい風評も聞けば、事実これは明るみに出ている幾多の事実もあるわけであります。而も今巷間、今までは地震、雷、火事、おやじ、この四つが一番怖かつたが、今では警視庁よりも怖いのは銀行屋と税務署であるという俗語さえもはやつておるということは認めざるを得ないと思うのであります。而もその怖い銀行も税務署も、酒と料理によつて相当地獄の沙汰も金次第というような風評さえも飛んでおることは、私は国民の納税意識というものに悪い影響を与えておると思うのでありますが、これはほうぼうにこうした事実が全然ないということは局長も否定できないだろうと思いますが、この税法改正に当りまして、今はもうすでにそういうものを徹底的に排除し、根絶しなければならん段階に来ているということはお認めになるだろうと思うのであります。これにつきまして主税局長として如何なる措置を考えておられるか、具体的に考えておられたならばお示し願つて、そうして国民の前に明らかに願いたいと思います。
  73. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 最初に前の問題で若干ここで補足してお答えいたしておきますが、公定価格なり政府のコントロールしております料金を上げた場合にほかの物価はどうなるかということは、これはなかなか理論的にもむずかしい問題でございますが、過去の例から申しますと、公定価格を上げたと同時にほかの物価も一緒に上つた時代もございます。併し反対に公定価格上つたが、闇物価その他は一般に下りまして、全体として物価は下つたという例も実は極く近くあるのであります。二十四年あたりはその例であります。心理的に米の値段が上るとほかの物価も上るという傾向のありますことは否定しがたいのでありますけれども、全体の物価水準というものはそうではなくて、全体としての需要と供給と申しますかそういうものに影響される。従いまして、これは全体の財政政策なり経済政策がどうなつて来るか、財政政策をどうするか、金融政策をどうするな或いは物資の供給が全体として殖えることになるかならんか、そういうことによりましてきまるわけでありまして、これはなかなか私簡単には判断はいたしがたい。政府としましてはできる限り上らないように政策を考えるということにいたしておりますということだけを申上げまして、附加えておきたいと思います。  それからそのあとの問題は、誠にこれは私ども遺憾な問題でございまして、厳重に実は督励いたしまして、非違のある場合におきましては責任を問うということにいたしております。納税者に対しましては、極力一方におきましては懇切丁寧に扱う、国税庁は今信頼される税務官吏であれということをモツトーにして一生懸命やつておりますが、最近は漸次改善されつつある。ただ遺憾ながら納税者の数も多うございますし、税務官吏の数も多い。戦後に採用しました若い諸君も多くて、まだ実力が十分でないという者が遺憾ながらございます。こういう者につきましては、できる限りあらゆる方法で訓練をいたしまして、仕事もでき且つ常識も備わつた税務官吏を一刻も早く育て上げるということに一生懸命になつております。それから内部におきましては監察官という制度がございまして、これは相当非違を摘発いたしまして、悪かつた分につきましては辞職、譴責等、積極的にやつております。数字はあとで調べまして申上げてもよろしいのでございますが、内部監査を相当徹底してやりまして、それによつて信頼に努めたいと思つております。併しこれは全体としまして、税務官吏の素質と申しますか、レベルを一刻も早くよくいたしまして、御期待に副わないようなことのないように、万全の努力をいたして行きたいと考えておる次第でございます。  なお先ほどちよつとお話になりました国民所得の中の所得別の比率でございますが、二十五年でございますね、昨年の所得税の、ほかの税はなかなかむずかしいので完全にはわかりませんが、所得税の比率でございますが、勤労所得が七・七%、それから農業所得は三・四%、それから営業所得は九・九%、その他事業と申しまして、自由職業その他の事業、これが七・二%になつております。今年は若干税を減らしましたので、これよりもそれぞれ少しずつ下ると見ておりまして、改正後におきまする正確な計算が今手許にございませんが、大体の計算は余り差がない、いずれも今申上げました数字よりも若干下るというふうに見ております。
  74. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に、先ほどのお答えの税務行政の公正明朗化という点についてなお一層の御努力を願わなければならんと思うのでございますが、私はここで申上げたいのは、下級職員の戦後入つた若い人だちの訓練、訓育ということも勿論大事だと思いますが、より以上に大事なことは、大きないわゆる今問題になつておりまする法人等の課税に当りまして、これが捕捉につきまして公正なる捕捉をせんとし、そしてそういう意図の下に税務署が挙げて活動を開始した場合に、ややもするとその途中において税務署長の更迭或いは関係課長の更迭というような事実が発生した例をほうぼうに私聞いておるのでありまして、具体的な話申上げろと言われれば申上げてもいいのですが、それはちよつと公開の席でありますから避けたいと思いますが、そういう点につきまして、今まで或いは主税局として直接的に何らかやり方が悪いというために途中においてやられたということは、主税局の指令に基いてやられたというようなことはおありになるかどうか、その点について一つ大事な問題だと思いますので、具体的な例を挙げろというなら挙げてもよろしいのでございますが、それはしないほうがいいと思いますが、これは私は大きな問題だと思います。そうすると、その裏には何らかの時の権力或いは大きな資本力によつて納税が左右されるというふうな結果になると思いますので、むしろ訓練ということも一つでありますが、より以上に私はこの際に税務官吏の自分の保障ということも私は大事だと思うのですが、この自身保障ということについて主税局長はお考えになつているかどうか、検討されているかどうか、一般公務員と同じような辞令一本によつて自由に動かされるという、今のところはそうだと思いますが、ただこれは国家公務員法に基きまして、人事院に対しまして訴願することは認められておりますが、それ以上に私は或る程度の税務官吏の身分保障ということは考えなければならんのじやないか、かように考えますが、その点について考慮されているかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  75. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話の点でございますがこれは直接国税庁の責任でやつておりますので、まあ私が承知いたしておる限りにおきましてお答えする次第でありますが。
  76. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 あとの分だけでいいです、前のやつはつけたりです。
  77. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 適正な仕事をやつておるにかかわらず何かの勢力で動かされるということは、私はない、又あるべきでないというふうに考えております。誤まつたことをやつた場合に責任を問うという場合はあるかも知れませんですが、それはどこの勢力ということでなくて、やるべきものはやらなければならんと思つております。  それから身分保障の問題でございますが、これは確かにお話のような点は一つの問題だと思います。殊に査察官なんかになりますと、特にそういう問題は考究に値すると思いますから、併し余り身分を保障しますと、実は逆に悪い弊害も出て来まして、行過ぎなり或いは如何かと思うようなことをやつた場合におきましても、なかなか役所としまして適正な処置がとれないというようなことにもなりますからまあその辺はやはり運用の点と考えまして、余り堅い身分制度を今すぐ実行するということにつきましては如何かと思いますが、まあ併してこれは確かに一つの問題でありますので、今後の状況等を見まして研究して行きたいと思います。今までのところすぐやらなければならんほど問題はないのではないかというふうに考えるのであります。
  78. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) ちよつとお諮りいたします。税法関係の質疑はまだまだたくさんあるだろうと思いますが、今日新らしく付託になりました法案もありまするので、税法関係の質疑は今日はこの程度にとどめまして、次に移りたいと思いますが……。
  79. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと資料を要求したいと思いますが、先ほど局長さんのお答えの中にカナダのお話がありましたが、カナダの税法といいますか、その点について若し御存じであればその要旨を一つここに御提出願いたいと思います。  それから建築問題についてアメリカや英国はどういうことをやつておるかということは、いろいろ諸雑誌に出ておるのです。その点も一つそれに附加えて御提出できますればお願いいたしたいと思います。
  80. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今のカナダの資料も私どもも或るニュースで見まして、今調べさせておるのであります。調査ができましたら適当な機会に差上げるということにいたしまして、二三日のうちというのはちよつとむずかしいかもしれませんが……。
  81. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとやはり資料がありましたらお願いしたいと思うのですが、法人の税収八百億、こうおつしやるのですが、法人の全部がそうとは思いませんので、特需景気等によつて会社で二十億も三十億も儲けたというお話を聞いておるのですが、これの大部分は限られた特需事業並びに特需会社がその大部分を占めておるのであります。残余の中小企業等におきましては、そういう率に余り入つていないとこう思いますので、資料としてできておりましたら、そのまあ区分というか、どういう会社が大体どのくらいまで行つておるんだ、どういう業種が行つておるのだというような区分のものがありましたら、資料を頂載したいと思いますが。
  82. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは全部に亘りまして調査しなければならないので、なかなかむずかしいので、御承知通り取引所に上場されておる会社は特需景気というだけでなくて、最近は殆んど全般的に立直りを来たしております。又新聞紙上にありまする決算で御存じだと思いますが、昨年の下半期から今年の上半期等にかけましては、例の糸へん金へん等がよく、その他はよくなかつた。それが糸へん金へんが若干落ちまして、ほかの産業は一般に最近立直つておる。配当無配会社も昨年の下期と今年の上期と比べますと、非常に少い。これは大体そういう状態でありますが、例えば石炭鉱業の例をとりましても、ただ大会社だけではなくて中小の炭鉱も前に比べますと、よほどよくなつております。機械工業なんかにおきましても、これはやはり大分立直りを来たしておるのでございまして、最近の状況は大体法人企業に関する限りにおきましては、よほどで一般的によくなつて来つつある、勿論例外もないわけではございません。全体としましてよくなつて来つつあることは今日否定できないのじやないかと思います。ただ生産が一応殖えましたし、物価が上りましたし、金詰りという現象は免れない、或る意味におきまして金繰りが果してどうかということになりますと、かなり下請工場等は相当苦しいところがあろうかと思いますが、全体といたしましては一般的によくなつておるということは言えるのじやないかと考えます。この資料を全部と言いましてもなかなかございませんので、一応御説明申上げます。
  83. 小林政夫

    ○小林政夫君 今清澤さんの御要求の資料、あれは今なければ、そういう観点で研究をして作るようにしてもらいたいのであります。上場されておる株はこれはよいにきまつておるのであります。よいから上場されておるので、その他の部分においては相当業種によつては不況な業種もあるのであります。こういうことは言わなくてもおわかりだと思うのでありますが、特需のほうによつてつて圧迫を蒙つておる業種もありますし、そういう意味から言つて特に中小法人等については相当考えなければならんものがあります。必ずしも業績がいいとは一概に言えないと思いますから、是非若し差当つてなければそういう観点から研究して資料を作つて頂きたいと思います。
  84. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 中小の法人につきましても、課税の調査で調べておるのは相当ございますが、時期が若干調査が遅れますので、直ちに最近の状況を詳細に調べるとなりますと、これはなかなか簡単にできないのであります。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 大ざつぱでいい。
  86. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 大ざつぱに申上げますと、私が今申上げましたようなことをもう少し時間をかけて申上げる、そういうことで、できるだけ私ども将来そういうことも勉強いたしたいと思いますけれども、今のところ……。   —————————————
  87. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) それでは次に外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案を議題に供します。予備審査であります。提案理由の御説明を願います。
  88. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提出の理由を御説明申上げます。  現在外貨資金の運営につきましては、外国為替管理委員会が一元的にこれに当つているのでありまして外国為替銀行外国に自己名儀の外貨資金を保有して輸出入取引を行うことができず、これら取引はすべて外国為替管理委員会名儀の外貨勘定を通じて行われ、輸出代金は直ちに外国為替管理委員会勘定に入金され、輸入信用状は原則として外国為替管理委員会勘定引当に発行され、輸入代金は同勘定から支払うこととなつているのであります。このような機構の下におきましては、外国為替管理委員会が外国為替銀行に対し、外国為替管理委員会に代つて委員会の勘定に外貨資金を預入し、又は同勘定からの支払の指図をする等の権能を賦与いたしますことが、外国為替資金特別会計の事務の円滑な運営を図る上において必要であります。従来、外貨資金の管理者が総司令部であつた当時におきましては、外国為替管理委員会が総司令部の委任を受け、同委員会日本銀行及び外国為替銀行に委任し、外国為替資金の運営をして参つたのであります。その後外貨資金の管理権が日本政府に委譲されてからは、実際の取扱におきましては、日本銀行から外国為替銀行に再委任しているのでありますが、現行の外国為替資金特別会計法におきましては、外国為替管理委員会の業務の委任は日本銀行に対してなし得る規定があるにとどまりますので、この際日本銀行がその委任された事務の一部を外国為替銀行に再委任し得る旨を明定して、外国為替銀行外国為替管理委員会に対する地位を明確にして、以て外国為替資金の円滑を運営に資することとしたいのであります。以上の理由によりまして、この法律案提出いたしました次第であります。
  89. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案を議題に供します。これも予備審査であります。先ず提案の理由の説明を願います。
  90. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案に  つきまして、その提出の理由を御説明申上げます。  米国対日援助物資等処理特別会計において取扱つている軍払下物資の対価につきましては、従来は、米国対日援助物資及び援助役務の場合のように、この会計からこれを米国対日援助見返資金特別会計へ繰り入れることとする規定を欠いていたのでありますが、今回、これを見返資金特別会計へ繰り入れること秘する必要でありますので、これに関する規定を設けようとするものであります。即ち軍払下物資についてこの会計から見返資金特別会計へ繰り入れる金額は、その売払代金からこの会計で負担した当該物資に関する諸掛等を控除した金額といたしているのであります。  以上がこの法律案提出の理由であります。なにとぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
  91. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) この際両法案についてなおその内容の御説明を願いたいと思います。外国為替管理委員会委員大久保太三郎君。
  92. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) それでは外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申上げます。  今回の改正案は、只今の外国為替資金特別会計法の第六条に一項を加えまして、「日本銀行は、外国為替管理委員会の指示するところに従い、前項の規定により外国為替管理委員会から取扱を委任された事務の一部を外国為替一銀行に取り扱わせることができる」。というのでございまして、現在の第六条には「外国為替管理委員会は前条の規定による」前条のと申しますのは、外国為替資金の運営を規定したものでございますが、その第五条の規定による外国為替資金の運営に関する事務を日本銀行に取扱わせることができるとございまして、その日本銀行に委任いたしました事務の一部を今回更に外国為替銀行に取扱わせることができるというふうに規定いたしたいと考えるわけでございます。  それではこの改正案の中の事務の一部を委任しよう、再委任しようとする事務の一部と申しますのは、只今提案理由に述べられました外貨資金を委員会勘定に預け入れること、それから委員会勘定の外貨資金の支払を指図する、そういうことを再委任しようと考えているわけでございます。で、これにつきましては、何故にこういう改正が必要かという点につきまして、只今の外国為替の集中の機構から御説明申上げますのがおわかりになり易いかと存じますので申上げますと、現在我が国の為替管理制度におきましては、輸出その他によりまして、日本の取得しました為替等を外為委員会に集中するという建前をとつております。輸出業者が輸出手形を振出しますと、それをすぐ十日以内に為替銀行に売らせる。又外国から日本に外貨の送金がございました場合には、その人は十日以内に必ず外国為替銀行に売らなくちやならないということにいたしております。そして又為替銀行がそういうふうに取得いたしました外国為替資金を又委員会に、即ち外国為替資金特別会計に集中する、売り上げるという建前をとつているわけであります。尤もそのアメリカのドル資金につきましては、為替金融をできるだけ正常に行わせるという趣旨から、外国為替銀行が必ずしも委員会に売らなくちやならんというのではなくして、為替取引に必要なドルの資金は保有してもよろしいという建前をとつておるわけでございます。若し為替委員会が必要があればいつでもこれを召上げるが、一時為替の持ちを持つてもいいという建前に相成つております。ポンドの資金につきましては、これはいわゆる全面集中でございまして、為替銀行が業者等から買いました資金は全部委員会に売り上げまして、一つも持ちを持たないという建前にいたしておるわけでございます。ところが戦後におきまして非常な特殊な事情がございます。と申しますのは、日本の為替銀行は只今のところ自分でドルの資金を持ちますのに十分な円資金を持つていない、円資金のほうの制約がございます。それから同時に内外の金利差がございますので、若し自分の勘定で外貨を持ちますと採算がとりにくい。つまり国内の高いコストのかかる金で以て安い金利しか生まない。又全然金利の生まない外貨資金を持つということは資金的に採算上困るという事情もございます。第一に挙げました資金上の制約というものが大きな理由だと存じますが、そういう実態でございます。それからなおもう一点といたしまして、為替銀行の中には戦前に海外において債務を負つておるというものもございまして、その戦前の債務が残存する限り、自分の名義で外国に預金を置きますと差押えを受ける危険も若干考慮されるわけであります。そういう関係もございまして実際に殆んど外国為替銀行が自分の資金を保有できないという状態、従つて自己の買取りました外貨資金は殆んどすべて外国為替特別会計に集中されまして、委員会がこれを運営いたしまして、そうして輸出入の為替取引を順調にやつて行くということに相成つておるわけでございます。従いまして、委員会外国為替銀行とほぼ同じような内容の事務を行うという権能を与えられておるのでございまして、その資金運営上の権限といたしまして、外国為替資金特別会計法の第五条に具体的に規定いたしておるわけでございます。この条を御覧願いますとおわかり下さいますように、委員会が外貨資金の集中の機関といたしまして、外国為替等の売買、それからこれに伴う取引の当事者になり得るということは勿論でございますが、この目的を達成いたしますために、円貨、円の資金或いは外貨いずれをも外国にある銀行或いは日本にある外国為替銀行に預入いたします、或いは貸付ける、又預入れを受ける。それから借入れができる、そのほか外国為替手形の引受けをしたり、又外国為替等にかかる債務の補償をすることができる、こういうふうに大体外国為替銀行の業務内容に相当する権能を持つておるわけでございます。こういう業務内容の権能がございませんと、先ほど申上げましたような、日本側の外国為替銀行の実際の状態から見まして、そのビジネスを行わせ、そして日本の輸出入貿易の伸展に寄与させるということができないわけでございますが、先に申上げましたように、外国為替銀行が輸出入貿易に関連いたしまする為替の取引をやる、そのために外国に自己名義の外貨預金を持てないという状態にございますので、これらの取引はすべて委員会名義、委員会が外貨勘定を設けまして、その外貨勘定を通じて行われておるのでございます。輸出代金は直ぐに委員会勘定に入金される。そうして輸入の信用状は原則としてこの委員会勘定を引当てといたしまして発行される。それからそれらの信用状に基きまして振出された輸入手形、それはその勘定から決済されるという実情なわけでございます。こういう仕組でございますので、外国為替銀行が輸出入その他の為替取引を至極円滑に迅速に行いますためには、丁度銀行が自分の自己名義の預金を持つてつて操作するのと同じように行わせるというために、委員会といたしましては、為替銀行に特定の取引につきまして、為替委員会に代りまして為替銀行がその資金を委員会勘定に預け入れる。それから委員会勘定の支払いを指図する、先方の預かつておる銀行に対してそれから支払つて下さいという指図をする。そういう権能を与えることがまあ運営の技術といたしまして是非とも必要なわけでございます。ところで委員会の行います為替の売買、その他の運営は、これは本来銀行業務でございますので、委員会は全部日本銀行に取扱わせておるわけでございます。これは第六条の只今の規定でございますが、それで先ほど来申上げました二、三の取引につきましても、委員会の代理人である日本銀行がその為替銀行に再委任いたしまして、委員会の復代理人という資格でやらせるのが適当と思われるのでございますが、特別会計法にはその再委任という点につきまして明文がございませんので、これを今回の改正によりまして、為替難行の委員会に対する地位を明らかにしようというのが狙いでございます。提案理由にもお述べになりましたように、従来は司令部が資金の管理者で、委員会はその委任状を司令部からもらいまして、司令部の代理人の資格で運営しておつたのでございます。その委任状で復代理人の選任の権限が与えられておりまして、委員会も又代理人として限られた一定の行為をしておつたのでございますが、先般外貨資金の管理権が司令部から外国為替管理委員会に委譲されまして、同時に司令部の委任状が撤回されましたので、為替銀行に会計法によりまして、委員会の権能を委任するということが必要になつて参つたわけでございます。先方の預託先の外国銀行におきましても、再委任について法律上の明文が欲しいという要望もございます。外国為替取引を円滑に運営するためには一部改正を必要とするという点から今回の改正案を出しまして、御審議をお願いしておる次第でございます。
  93. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に通産省臨時通商業務局の経理第一課長羽柴忠雄君の御説明を願います。
  94. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申上げます。  終戦以来本年三月までの援助物資、それから軍払下物資、これの輸入総額は約十九億ドルに上つておるのでありまして、これを我が国の輸入総額の約三十八億九千九百万ドルに比較しますと、ほぼ五〇%を占めておる現況であります。そのうち、昭和二十五年の四月から、昭和二十六年の三月までに引取りました援助物資の額は約一億七千万ドルでございまして、その主な品目といたしましては、棉花、それから食糧、油糧、石油、肥料、麻、これが主な品目になつておるのでございます。一方軍払下物資の引取り総額は約百七十万ドルに達しておるのでありまして、その品目は古繊維であるとか、古タイヤ、車両、機械、雑品等多種類に亘つておるのでありまするが、援助物資の引取額に比べますと、その額は微々たるものというふうになつております。そこで問題になりまするのは、今次米国対日援助が一九五一年の米会計年度で以て打切られたわけでございまして、又これと歩調を合せるかのごとく軍払下物資の払下も打切られたわけでございます。そこで従来は米国対日援助物資等処理特別会計におきまして、輸入援助物資を売却いたしまして、その売却金の相当額を見返資金特別会計に繰入れまして、見返資金の運用を行なつておつたわけでございまするが、軍払下物資につきましてはその規定はなかつたわけであります。そこで軍払下物資につきまして若干御説明を申上げます。その主なものは二つございまして、略称SIMそれからQM、二つになつておるわけでございます。SIMというのはサープラス・インシエンテイヴ・マテリアルズ、普通報奨余剰物資を略しております。この物資は軍の余剰軍需物資でありまして、たとえて申しますと、衣料品とか、医薬品とか、キヤンデーとか、その外の繊維類でありまして、主として日本国内の重要産業労務者に報奨用として配給する目的のために、昭和二十二年六月以降米陸軍の供給計画に基きまして、米本国並びに太平洋諸島から本邦に入港した物資でございます。この物資の国内における配分はこの物資の性質上、安本の配分計画に基きまして通産省が農村とか、鉄鋼、化学、電力、繊維、交通、通信関係等の重要産業労務者に対して行なつて来たわけであります。この物資日本への供給計画は、昭和二十四年の六月末日を以つて打切られまして、この計画に基く最終物資昭和二十五年八月末に入港したのが最後となつております。  次にQM物資でありまするが、QM物資はグツズ・レリーズド・フロム・クオーター・マスターの略でございまして、米軍払下物資というふうに略しております。この物資は旧米第八軍でありますが、それから日本政府へ払下げられますところの衣料、それから食糧、廃品、スクラツプ、これを中心にいたしまして、昭和二十一年の三月から最近まで払下げが行われて来たわけであります。この物資の配分につきましては通産省が行なつておりまして、尤も昭和二十四年の五月までは貿易庁がやつておつたのでありますが、通産省が行いまして、配分に関しましては総司令部の承認を要しないということになつておるわけであります。そこで現在問題になりましたのは、この軍払下物資を見返資金に、その軍払下物資を売却いたしました金額を見返資金に繰入れるという明確な法文がなかつたのでありまするが、今回これを見返資金特別会計に繰入れるという必要が起りましたので、法案を上程したわけでありまするが、大体金額にいたしまして約二十五億円の繰入れが予想されておるわけでございます。そこで米国対日援助見返資金特別会計にもともと繰入れることを前提といたしまして、この二十五億の金が米国対日援助物資等処理特別会計に積立てておつたのでありますが、今次この援助物資の打切りに伴いまして、これを見返資金にいよいよ繰入れるという処置をせざるを得なくなつたわけでございます。  次に条文の簡単な御説明に移りますが、問題は二点ございますが、第一点は第三条第三項中「援助役務の」を「援助役務に係る分については、その」というふうに改めるわけでありますが、これは字句の修正に過ぎませんので、特に説明は要しないと思います。その次の「金額とし、」の下に「軍払下物資に係る分については、その売払代金の金額から当該物資に関する諸掛の金額及び政令で定める金額の合計額を控除した金額とし、」を加えるのでありますが、この諸掛と申しまするものは、主として引取、保管、修理、加工、売却に要する経費並びに物品税額の諸掛を申すわけでございます。更に敷衍いたしまするならば、引取に要する経費といたしましては、港湾作業料、それには船内荷役、艀廻漕料、沿岸荷役料がございます。そのほか倉庫荷役料とか、貨物自動車運賃、陸上小運搬料等の経費を含んでおるわけでございます。保管に要する経費といたしましては、保管料と保険料を含んでおります。引渡しに要する経費、それから整備に要する経費、この整備に要する経費というのは、加工や修理費を指しておるわけであります。次に労務に要する一般経費、これを大体諸掛というふうに称するわけでございますが、ここにもありますように、修理費、これはたとえて申しますと、非常に大きな靴が払下げられます。これは向うの人は非常に大きいものを穿いておりますから、それをこちらで修理して払下げなければならないということで修理費が食うわけであります。それからこれには物品税がかかるわけでありますが、その物品税を控除する、そういつたような物品税、修理費、それから純粋の諸掛、これを含めまして諸掛というふうに観念をいたしておるわけでございます。  以上のような内容を持つておりまして、要するに従来の援助物資の、見返資金としての援助物資売払代金を見返資金に繰入れておつたのでありますが、今次、将来見返資金に繰入れることを予想しておりましたところの軍払下物資につきましても、援助の打切に伴いまして、これを見返資金に繰入れる必要を生じた、従つてこれを見返資金に繰入れるというのが今次の法律案の趣旨でございます。以上を以ちまして説明を終ります。
  95. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  最後にちよつとお話しておきますが、明日は午後一時から労働委員会と專売公社裁定の件につきまして連合審査会をいたすのでありまするが、労働委員会が明日午前正式に決定するまで公報に掲載できませんので、公報にはありませんが、是非御出席をお願いいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十六分散会