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1951-11-27 第12回国会 参議院 水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十七日(火曜 日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十六日委員大野木秀次郎君辞 任につき、その補欠として青山正一君 を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            松浦 清一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            青山 正一君            玉柳  實君            櫻内 義雄君   衆議院議員            石原 圓吉君   政府委員    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   衆議院事務局側    常任委員会専門    員       徳久 三種君   説明員    水産庁漁政部漁   業調整第二課長  高橋清三郎君    水産庁漁政部漁    業調整第二課課    長補佐     小関 信章君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○真珠養殖事業法案衆議院送付)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。本日予備審査に付託されました真珠養殖事業法案を議題に供します。提案者提案理由並びに内容についての御説明を願います。
  3. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 提案者を代表いたしまして真珠養殖事業法案に対する提案理由説明いたします。  我が国におきましては、古來より英国のダイヤモンドと共に、宝石界の双璧として世界独自の優秀なる養殖真珠が産出されるのでありますから、その事業を国策的に保護育成して、母貝生産者並び養殖業者経営の安定すると共に、輸出の振興により国民経済発展に寄与せんとする次第であります。今この真珠輸出高について見ますと、昭和二十三年には一億円程度であつたものが、次の二十四年には七億円になり、昨年度においてはその倍以上である十五億という工合に、終戰後においても急速に上昇はして参つておりますが、これは数量において戰前の四分の一程度であつて、この程度では、到底欧米の需要に応じ切れないのが現状であります。そこで今後数カ年後には、百億輸出を期している次第であります。而もこの真珠養殖事業は、自然力及び人工に最も多く依存する産業であつて輸入資材その他は誠に僅少であり、輸出額の九〇%以上が取得外貨の純度で、我が国には誠に適切なる産業であると存ずる次第であります。  次に本案の主なる内容について御説明いたします。第一は、母貝生産事業並びに養殖業経営を安定するため、農林大臣は毎年真珠貝施術数量目標公表し、養殖事業者に対してはその年の事業計画提出せしめ、これが指導をし、以て合理的な真珠生産を期すると共に、品質向上により優良なる真珠増産を図り、又これがため必要なものに対し資金斡旋もしようとすることであります。第二は、真珠貝増産に関することであります。現在真珠養殖事業最大の隘路は、その根本である母貝生産の問題であります。即ち漁業協同組合生産する真珠貝の不足であり、且つ真珠価格の不安定に基き母貝生産事業が十分に事業化しないことでありますから、真珠母貝増産を図り、組合事業として確立させるため、漁業協同組合の行う採苗事業投石事業並びに母貝産地及び養殖場底質改良事業に対し助成を行い、積極的な増産を行わしめ、且つ優良品種母貝の供給を指導せんとするものであります。第三は、真珠検査真珠研究所設置であります。宝石として日本の真珠品質を保持するため、国立真珠検査所において検査をするようにし、又関係法令改正し本事業発展を期するため国立真珠研究所を設けて真珠貝及び真珠に関し科学的に調査研究をすると共に、これが実効を期する点等であります。  以上が本法案提出する理由及びその概要でございます。何とぞ慎重に御審議上速かに御賛同あらんことをお願いする次第であります。以上であります。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ついでに法案内容について御説明を願いたいと思います、逐条的に。
  5. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 便宜徳久専門員より説明をいたさせます。
  6. 徳久三種

    衆議院専門員徳久三種君) 真珠養殖事業法目的であります。「第一条この法律は、真珠貝及び真珠養殖を助長し、並びに真珠品質向上を図り、もつて真珠輸出促進とこれによる国民経済発展とに寄与することを目的とする。」ここにあります通り真珠貝とそれから真珠の珠を作ること、この二つを助長するということであります。並びに真珠の珠の品質向上を図り、輸出促進国民経済発展とに寄与する、これは石原先生からもお話がございましたように、真珠貝養殖というものがこれが根本でありまして、ここに真珠の珠を作ろうといたしましても、真珠貝というものの数量を殖やし、而も優良なる種類をたくさん殖やすということが先決でございますので、それに応じて真珠の珠の、優良なる珠を出す、なおこの法案の中には後に御説明いたしますが、やはり輸出検査もいたし、それから真珠貝の繁殖を図る、品質向上を図ると共に、粗製の真珠を出さないようにする、輸出いたしますものはいいものだけ出しまして、価格の低下を免かれる、而もこの産業は先にも申しましたように、天然の真珠貝と、人工技術が主なるものでありまして、外国から購入する物資は極めて少いのでありまして、又二ユークリアスとして、真珠の珠を作る核を現在アメリカから輸入しておるという僅少の輸入品であります。輸出総額が百億といたしますれば、殆んど百億がネツトされるという点をここに強調いたしておきたいと思うのであります。それで「(定義)第二条で、『この法律において、『真珠養殖事業』とは、真珠貝若しくは真珠養殖し、』」これは真珠貝養殖いたしますのは漁業協同組合がやる仕事でありまして、これは漁師仕事であります。それから真珠養殖するというのは、真珠養殖するものは漁師ではないのでありまして、純然たる養殖をする業者が別におります。それから真珠を加工すると申しますのは、真珠ネツクレスを作るために加工いたしますのみならず、できた真珠色彩を整え、濁つた色彩なんかはこれを除去するとかという、できた真珠そのものを使うこともありますけれども、そのできた真珠をやはり処理いたしまして加工いたしまして純良ないい真珠にすること、又ネツクレスを作るというにはやはり御承知通り穴をあけなければならず、いろいろ加工方面においても仕事がたくさんあるのであります。ただ真珠養殖する者と真珠を加工する者とは同一の場合も多いのであります。或いは多くは同一人が養殖し、これを加工しておるという場合が多いのであります。又は真珠の核を製造する業、真珠の核というのは真珠の珠を形成する種の核、これは、ミシシツピー河淡水の貝の貝殻を小さく珠にいたしまして、それを挿入するのであります。戰前は中国のどぶ貝を使つておりましたが、いろいろな関係上今は主にアメリカ淡水の貝の貝殻によつて核を作るのですが、この核を作る専門業者もおります。又この業をするのは養殖業者もこれを兼業してやつておるのもあります。(「真珠養殖事業者」とは、真珠養殖事業を営む者をいう。」というのは、これだけの真珠貝そのもの養殖する者、真珠の珠を養殖する者、真珠を加工する者、真珠の核を製造する者、これを総称して真珠養殖事業者と本法においては定義いたしております。その次、「(施術数量目標公表)第三条 農林大臣は、毎年、真珠養殖事業審議会意見をきいて都道府県別及び核の大きさ別の真珠貝施術数量目標を定め、公表するものとする。」これは如何なる必要がありましてこういうことを農林大臣がやるかと申しますと、御承知通りに、真珠の大なる製品ネツクレスであります。ネツクレス生産というものがこの生産の大部分であります。ネツクレスは御承知通りに婦人がネツクにかけるものでありますが、あの大きさというものは下のほうに大きい珠が一個あつて、それから順次小さくなつて頸にかける珠の連鎖であります。これは即ち大きい珠がたくさんでき過ぎて困るということはございませんけれども、小さい珠はたくさんできる、又作りやすい、一年もすれば小さい珠はたくさんできます。だんだんと大きくなつて、そうして肝心な大きいやつになると非常に数量が少い。そういう関係上、ネツクレスを作るにいたしましても、あり余るほど小さいものはたくさんあるけれども、肝心な大きい珠、最大のものでなくても、それから順次小さくなるその大きい珠は非常に少い。そういう関係上、真珠の珠の数量はたくさんあるけれども、ネツクレスを作るに当りましては非常に困る場合が多いのであります。まあそれが只今現状であります。それで一つ農林大臣施術数量目標、而もそれは都道府県別及び核の大きさ別に真珠貝施術数量目標を定め、これを公表せよというのであります。「(計画提出)第四条真珠養殖事業者は、毎年、省令の定めるところにより、その営む事業につき計画を定め、農林大臣提出しなければならない。」これはこういう義務業者に負わせまして提出させるという義務を負わせるのであります。それからその次は、「(計画についての助言及び勧告並びに資金のあつ旋)第五条 真珠養殖事業者は、前条規定による計画を定めるについて、農林大臣助言を求めることができる。この場合には、農林大臣は、必要な助言をしなければならない。2 農林大臣は、第三条の規定により定めた目標を達成するため必要があると認めるときは、真珠養殖事業者に対し、前条規定による計画の変更について勧告することができる。3 農林大臣は、第一項の規定による助言又は前項規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該助言又は勧告に応じて真珠養殖事業を営む者に対し、当該事業に要する資金をあつ旋するものとする。」この計画につきまして農林大臣公表すると、それに応じて真珠養殖事業者に自分の毎年の計画農林大臣提出させる、そういたしますると、農林大臣はそれに対して助言若しくは勧告を与えてやる。併しながらこの勧告助言若しくは勧告でありますから、命令ではないのでありまして、それに副うてやることを強制はいたしておりません。併しながらそれに対して勧告に応じ、助言に応じてやる者に対しましては、第三項にあるように、当該事業に要する資金斡旋農林大臣はしてやるという便宜を図つてやるのであります。「(真珠貝養殖事業者に対する助成)第六条 農林大臣は、左の各号の一に掲げる事業を営む者を組合員とする漁業協同組合又はその漁業協同組合会員とする漁業協同組合連合会に対し、予算範囲内において、必要な助成を行うことができる。一 真珠貝種苗生産並びに真珠貝の稚貝及び成貝の育成。二 真珠貝生息場所底質改良。」これは漁業協同組合会員とする漁業協同組合連合会又は漁業協同組合に対して真珠母貝増産に関する助成をするという項目であります。「(真珠貝標準価格公表)第七条 農林大臣は、真珠貝養殖を助長するため特に必要があると認めるときは、真珠貝標準価格を定めて公表することができる。」この標準価格公表と申しますのは、真珠は御案内の通り世界経済に非常に左右されるのでありまして、大体真珠貝価格というものは予想がつくのでありますから、その標準価格公表する。併しながら真珠は、御承知通り売る者と買手との関係がありまして、必ずしもそれが米や綿花のごとく標準価格というものを定めることは非常にむずかしいのでありますが、大体世界の情勢を鑑みて公表いたすことができると思うのであります。「(真珠検査)第八条 真珠真珠製品に用いた真珠を含む。)は、省令の定めるところにより、国の真珠検査所検査を受け、その結果を省令で定める様式により表示したものでなければ、輸出してはならない。但し、標本用その他農林大臣が定める用途に供するために輸出する場合であつて農林大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」この真珠検査ということにつきまして一言申添えておきたいのは、各国の真珠検査所検査というものは、これは他の物資のごとく特等品一等品、二等品、三等品というように数段階に分けてこれを検査するというのではありません。この検査目的は粗惡品を出さないという段階でありまして、検査の等級といたしましては輸出可能のもの、これだけは輸出していいと、これ以下のものは輸出してはならんというような、大体合格、不合格というような程度のものでありまして、これが優等品一等品というようなことは考えておりません。「(聴聞会)第九条 前条規定による検査決定に関し不服のある関係業者その他の利害関係人は、農林大臣に、聴聞会の開催を請求することができる。2 農林大臣は、前項の請求があつたときは、聴聞会を開いて、不服の事由を審査し、前条規定による検査決定が不当であると認めるときは、真珠検査所に再検査をさせなければならない。」これはさつき私が御説明いたしたような点から申しますると、これだけの聴聞会を実際には開いてやる必要は実はないのであります。ありませんけれども、やはり法を作る上におきましてはこういう制度を置いたがよかろうと思つて置いたわけでありまして、実際問題としてはこれだけのことをするケースというものはないと考えております。「(検査手数料)第十条 第八条の規定による検査を受けようとする者は、真珠一匁につき三十円の範囲内において省令で定める額の検査手数料を国に納めなければならない。「(報告の徴収及び立入検査)第十一条 農林大臣は、必要があると認めるときは、真珠養殖事業者から第四条の規定による計画実施その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、真珠養殖事業者事務所、事業所その他の場所に立ち入り、真珠若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。2 前項規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。3 第一項の規定による立入検査権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」これは別に御説明いたす必要はないと思います。「(真珠養殖事業審議会設置及び権限)第十二条 この法律規定によりその権限に属させた事項その他真殖養殖事業に関する重要事項調査審議するために、農林省真珠養殖事業審議会(以下「審議会」という。)を置く。「(審議会組織等)第十三条 審議会は、農林大臣が任命する委員七人をもつて組織する。2 委員任期は、二年とする。但し、補欠委員任期は、前任者残任期間とする。3 審議会会長を置き、委員の互選により選任する。4 会長は、会務を総理する。5 審議会は、あらかじめ、委員の中から、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。6 委員非常動とする7 前各号に定めるものを除く外、審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、審議会が定める。「(罰則)第十四条 第八条の規定違反した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。第十五条 左の名号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。一 第四条の規定による計画虚偽事項を定めて、これを提出した者。二 第十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忘避した者。第十六条 法人代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して前二条の違反行為をしたときは、その法人又は人が、違反計画を知りその防止に必要な措置を講じなかつたとき、違反行為を知りその是正に必要な措置を講じなかつたとき、又は違反を教唆したときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。  「附則 1 この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。但し、第八条から第十条まで、第十四条、第十六条中第十条の違反行為に関する部分規定施行期日は、昭和二十七年六月三十日までの間において、政令で定める。「(水産庁設置法改正)2 水産庁設置法昭和二十三年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。第七条の二中「水産講習所」を「水産講習所 真珠検査所 真珠研究所」に改める。第七条の七を第七条の九とする。第七条の六第一項中漁港審議会の部の次に次のように加える。真珠養殖事業審議会真珠養殖事業法昭和  年法律第  号)の規定によりその権限に属させた事項調査審議すること。同条第二項中「漁港法」の下に「、真珠養殖事業審議会については真珠養殖事業法」を加え、同条を第七条の八とする。第七条の五の次に次の二条を加える。「(真珠検査所)第七条の六 真珠検査所は、真珠検査を行う機関とする。2 真珠検査所名称及び位置は、左の通りとする。名称 東京真珠検査所 位置 東京都、名称 神戸眞珠検査所 位置 神戸市、3 真珠検査所内部組織については、農林省令で定める。「(真珠研究所)第七条の七 真珠研究所は、左に掲げる事項を行う機関とする。一 真珠貝に関する試験研究及び調査、二 真珠貝の優良な種苗生産及び配布、三 真珠貝種苗生産技術及び真珠貝養殖技術普及、四 真珠養殖の密度その他真珠に関する試験研究及び調査、五 真珠に関する知識の普及。2 真珠研究所は、三重県に置く。3 農林大臣は、真珠研究所事務の一部を分掌させるため、所要の地に真珠研究所支所を設けることができる。4 真珠研究所内部組織並びに支所名称位置及び内部組織については、農林省令で定める。  提出理由……。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) もうよろしうございます。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。大体逐条的に御説明をされましたが、なお真珠研究所真珠検査所その他についての予算並びに職員に対する問題、これに対しては便宜水産庁から御説明を願います。
  9. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) この法案関連する予算といたしましては、本年度補正予算で過般衆議院を通過しておりまするものが真珠研究所の建設に要する経費として一億円ございます。この財源は閉鎖機関からの剰余金の下附ということになつております。これは臨時費でございまして、本年度補正予算経営費の計上はございません。それから明二十七年度経費として、目下大蔵省に交渉中のものが三千万円ございます。この内容只今提案されております法案の中の研究所運営費と、それから輸出検査のための経費並びに真珠養殖審議会経費及び真珠母貝増産奨励費、この四つでございます。各別に概算を申上げますと、研究所運営に要する経費ラウンドナンバーでございますが、約一千二百万円でございます。それから検査所運営に要する経費が約一千万円でございます。それから母貝増産奨励費が六百二十五万円ほどでございます。残る百八十万円足らずが審議会経費になつております。関連します人員は、大蔵省要求中の職員数研究所関係が二十人でございます。それから検査のための職員数が八人、合計二十八名でございます。非常に大まかな説明ですけれども、以上でございます。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問があつたらお願いいたします。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 只今予算のほうの説明準備費ですが、一億円を補正予算に、もうすでに衆議院で通過したのでしようが、若しこの法律案が通れば実施は四月一日ですから、人員等の点に関しては、來年度予算に人件費等問題になるでしようが、今の定員法改正ですね、整理関係とはどういう関連がございますか、全然関連なしに考えているわけなんですか。
  12. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 御意見通り経営費は來年の四月一日以降を要求しておりまして、從いまして、定員法改正は当然必要になりまするが、通常国会提案する予定になつております。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 今内閣委員会審議されておる定員法の中の整理をされる部分の中には、すでにその水産庁関係法律ができておつて、当然増員をしなければならん点まで減員をせられるというようなうき目になつておるわけなんです。そういう状態にあるときに、どの程度復活するか知りませんけれども、來年度予算で、この真珠養殖事業関係で二十八名の人を確保する御自信がございますか。今までは法律を生み放しにして、そうして当然人を増員しなければならんのに増員どころじやない、減員をさせられるというのが今の定員法のこの政府案なんだ。
  14. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 今までの大蔵省との水産庁事務的な折衝では、十分可能性ありと確信しております。
  15. 松浦清一

    松浦清一君 山本次長に伺います。新らしい法律作つて、この真珠に関する職員は二十八人の新規増員が可能であるという御自信を持つておられるという今の答弁でしたが、今までの具体的に説明すると長くなりますけれども、たくさん法律作つて、その増員をしなければならんやつを減員をさせられておるということはどんなものですかね。
  16. 山本豐

    政府委員山本豐君) この間内閣委員会で事の問題がいろいろ出たようであります。あの際にも例えば蚕糸関係等につきましても、今後の問題があります。丁度これと同じような問題があるわけでありますので、それらについてのいろいろの御質問等もあつたのでありますが、現在の行政整理の考え方が当初と現在とでそこに若干動きもあるようであります。一応その現在問題になつておりますのは、いわゆる将來二十年度以降に出て参る問題については、これは予測を許さないのでありまして、幾分気長に考えざるを得ないじやないか。ただ水産につきましては、只今のお述べの通り漁港法であるとか、或いは農業協同組合法であるとか、すべて法律の上で一つ仕事が殖えてこれに伴う極く少数の人員も実は今までとれていないのであります。併しこれは一つには行政整理というのは大分前から掛声もございましたので、そういうふうなのと睨み合いの関係も相当に左右されておると思います。勿論この行政管理が或る程度一段落いたしますれば、やはりその通り増員がなるかどうかという問題は、これは軽々には申上げる問題ではないと思いますが、併し将來新らしく出て來るという問題については、或いは一応考慮になるのではないか。それからもう一つ、先ほど高橋君から申しましたように、真珠関係のいわゆる経営費の問題でありますが、これは大体大蔵省との予算折衝の過程から言いましても、要するに検査料を取つてつて行くと、こういう一つ繋がりのある、ほかの予算と違いまして繋がりのある組み方になつておりまするから、その点はほかの在來とつて参りました予算とは少し趣きが違つておるのじやないか、そういう意味で状況がどうなりましようとも、これは要求通りの人間は或いは殖えないかも知れませんが、或る程度のものは、可能性があるのではないか、こういうふうに考えます。
  17. 松浦清一

    松浦清一君 よくわかりましたが、今までも関連のあることですけれども、新らしい法律だけを生みつ放しでその事務機構整理しないで、仕事が中途半端になるというようなことのないように、予算関連してその点は十分御高配を願つておきたいと思います。
  18. 玉柳實

    玉柳實君 現在真珠養殖事業の行われております主な都道府県、それから事業者の数、その生産高等を参考のためにお知らせ願いたいと思います。
  19. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 詳細な資料を置き忘れて参りましたので、ちよつと今、手許にありませんが、結局ラウンドナンバーになると思いますが、主な県は三重県、これが大体総生産額の七割以上を占めております。その次は長崎であります。
  20. 玉柳實

    玉柳實君 量はわからないのですか。
  21. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 量はあとでまとめて申上げます。それから関係の県だけ申上げますと、三重長崎以外は非常に少量の生産県でございまするが、和歌山、高知、愛媛、熊本、静岡等でございます。あとなお一、二ございますが、極く少量でございます。それから從業者の数は昨年の明確な統計によりますと、三百五十名でございますが、その後続々として殖えておりますので、現在は恐らく倍以上になつているのではないかと推定されておりますが、現在数の明確な点はちよつと不明でございます。
  22. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それは從業者ですか、業者ですか。
  23. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 失礼いたしました。業者数でございます。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 生産量は……。
  25. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 生産数量は最近年度の、昨年におきます生産数量が約一千貫でございます。このうちの約七百貫が三重県の生産でございます。残りの二百五十貫が長崎生産でございます。あと五十貫が先ほど申上げました数府県の合計生産数でございます。
  26. 玉柳實

    玉柳實君 今の生産金額は……。
  27. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 生産金額を申し忘れましたが、昨年の生産金額は、これは輸出金額で申上げますと、十五億円でございますが、このうちには実は過年度生産のものが若干含まれておりますので、多少相違があると思いますが、大体一致していると思います。そうしますと平均しまして大体一匁千五百円程度になりますから、先ほど申上げました各県別の生産数量から大体平均して各県別の生産金額も出て來るはずだと思います。
  28. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 内地の販売高は……。
  29. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 内地の販売高は総生産額の五%未満でございます。
  30. 松浦清一

    松浦清一君 これは三重長崎、和歌山、高知、静岡の内地産だけですね。今の二十五年度一千貫というのは内地産だけですね。
  31. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 関連いたしまして、母貝の現在の生産数量を申しますと、戰前は大体平均しまして、三十万貫、年間三十万貫程度生産がございました。現在は約八万貫程度でございます。このうちの約五万貫が三重県の生産でございます。残りの二万五千貫程度長崎県の生産数量でございます。あと五千貫がその他の関係府県において少量ずつ生産されております。
  32. 松浦清一

    松浦清一君 あの先ほど二十五年度一千貫と私承わつたように思つたのですが、これは間違いですか、一千貫……。
  33. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) さようです。一千貫でございます。それは珠の生産でございます。
  34. 松浦清一

    松浦清一君 今おつしやつたのは貝ですか。
  35. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 母貝です。
  36. 松浦清一

    松浦清一君 これは内地だけですね。それから戰前南洋か、何群島というか知らないが、あの辺に大分三重県あたりは出ていましたね。それはどのくらい取つておりましたか。
  37. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) これは俗に蝶貝と申しまして、全然三重県などに産する真珠の貝と大きさも質も違うのでありまして、貝の大きさも大きいのでありますが、珠も又大きいのであります。数字から申しますると、極く僅かであります。戰前最高の場合に、先ず貝の数量で一万貫、価格におきましてもその当時の二十万円内外であつたかと思います。その後の状況はわからんのでありまして、最近又三重県からも從來の慣例によつて採取に出かける準備中であります。
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと申上げますが、それは恐らくアラフラ海の蝶貝であろうと思いますが、パラオに三重県の御木本がこの真珠養殖をやつております。私、見ましたが、そこの統計はわかりませんか。
  39. 小関信章

    説明員(小関信章君) パラオの様子は御木本で秘密にしておりますのでよくわかりませんが、併し実際にはあそこで珠ができたことは確実でありますが、御木本の事業としては実際には失敗に終つたということがはつきりしておりますので、大した問題には考えていないのであります。
  40. 松浦清一

    松浦清一君 恐縮でございますが、今パラオとかその方面に真珠貝を採りに行くということは今できないわけですね、現在は。
  41. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 別に不可能ではございませんが、ただ現在司令部の許可を得て行つておるものは一艘もございません。
  42. 松浦清一

    松浦清一君 これはマツカーサー・ラインがなくなつて、日米加の漁業協定が進んでいるが、そうするとどこかの国と漁業協定をやらなければ行けないものなんですか、やらなくても行けるものなんですか、マツカーサー・ラインがなくなりますと。
  43. 山本豐

    政府委員山本豐君) 私は、私個人の意見ですが、それは一応漁業協定とか何とかいう問題ではなく、ラインがなくなれば事実上は行けるのではないか。併し実際問題としまして、或いは南方あたりで、一例を申上げますと、濠洲あたりでそれらに対して又非難的な、いろいろな輿論が出るかも知れません。出ましてもこれは程度次第ですが、その向うの出方によつてその点は協定問題も或いは出て來るかも知れませんが、一応はラインがなくなれば事実上は行けることになるのではないか。現在まだこれははつきりしないのですが、先ほど石原さんの御話がありましたように、実績を持つておる、和歌山方面とか、二、三の所がその司令部の許可があれば現在でも行けるわけですから、そういうものは多少あるやに聞いております。
  44. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、マツカーサー・ラインがなくなれば、日本の自主権が回復をすれば、若しあの方面に真珠貝を採りに行きたいという業者があつて、許可申請を農林大臣に出すということになれば許可しますか。
  45. 山本豐

    政府委員山本豐君) その点は今私個人的にはつきりとしたことはちよつと申上げかねるのでございますが、これは建前としては不可能でないと思います。併しいろいろ影響するところもありましようから、そういう、やはり情勢判断で、例えば外務省筋あたりに一応その意向を打診するとか、何とかいうような方法を講じて問題を起さないようにして考えなければなるまい、かように思います。
  46. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 只今お尋ねの点は、今度の漁業協定の実績という問題に深い関係があると思うのであります。そういう点からも今回の漁業協定が非常に重要視されなければならんと思うのであります。それはパラオには私の県の中村藤四郎というものがあそこの開拓者であります。約三十年以上連続してやつておりましたので、戰争のために中止をしまして、その後あそこに出かけるために許可の手続を申請中であります。すでに採集する船、その他の準備を進めておりますが、今のところまだ許可の指令は來ないのであります。
  47. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私申しますが、私は今のアラフラ海は天下の公海だと思つている。これは公海自由の原則に基いて何ら協約がなくても行けると思つております。それから許可漁業じやない、だから許可は要らんと思います。
  48. 山本豐

    政府委員山本豐君) ちよつと私も訂正しておきますが、從來の実績を調べて見ますと、小型の船だそうです。從つてこれは当然許可漁業にはならんと思います。ただいろいろ影響するところもあるということになつて参りますと、これは国内法規で、或いは許可的な扱いをしようと思えばできる余地はあると思います。併し從來の通りであれば、小さい船なら抑えようがないのが真相じやないかと思いますから、訂正しておきます。
  49. 松浦清一

    松浦清一君 ちよつと問題なんだが、黙つて行くことができるということになると、水産庁で放つておきますか。
  50. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それは何もそれをどうするという権利は日本政府にはないと思います。自由漁業だから、マツカーサー・ライン撤廃後においては自由漁業です。今までもそうだつた。
  51. 松浦清一

    松浦清一君 戰前も自由にあれはやつておつたのですが、許可漁業じやないですか。
  52. 山本豐

    政府委員山本豐君) そうらしいです。
  53. 松浦清一

    松浦清一君 保護もされない代りに、制限も受けない、こういうわけですね。
  54. 山本豐

    政府委員山本豐君) そうです。
  55. 玉柳實

    玉柳實君 参考に伺いたいのですが、近々価格の安い人工真珠生産が相当盛んになりまして、輸出もされていると聞いているのでありますが、それと関連して天然の真珠養殖事業の将來性というものがどういうお見通しであるか、お話を伺つたらと思います。
  56. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 人造真珠なるものは丁度一時的の祭とかお祝いとか何かで、そういうような場合に使う、例えば先ず日本で申しましたら紙で作つた日の丸の旗という程度アメリカ人の趣向であると思うのであります。現在のところではこの養殖真珠とほぼ同額の輸出を見ておるのでありまして、現在ではかなり大きいものであります。併しこれは一回か二回使えば色が剥脱し、汚くなり、到底連続的に使えないものでありまして、この養殖真珠なるものが多くできるに從つて、人造真珠は今日までのような比率での輸出の増加率は見にくいのではなかろうか、こういう感じがいたします。
  57. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私から二三質問いたしたいと思いますが、農林大臣助言というのはどういう意味ですか、この法の解釈を御説明願いたい。
  58. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) この農林大臣が、いわゆる養殖真珠関係母貝生産関連を持ち、母貝が多くできる場合、少くできる場合に、その価格に影響がある。從つて母貝の安い場合に、できた真珠価格にも影響を見る、そういうような点、それから農林大臣の必要なる点を助言をするということの余地を挙げたのは、第一にその計画であります。計画が厖大であつてもいけないし、又過小であつてもいけないし、そういう点について十分水産庁等においても調査研究を遂げ、当業者意見も参酌して、その年度計画を立てる以前に妥当なる勧告をする、こういう意味になつておるのでございます。
  59. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) もう一つお伺いしますが、資金斡旋をすると、こうなつておりますが、農林大臣資金斡旋をしなければならん、こういう意味に解釈するのですか、如何ですか。
  60. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) これは非常な重大な問題でありまして、これが実は表面化できなかつたのであります。この問題を完全に資金斡旋する、そうして価格を維持する、安い物をアメリカなり外国に出さないということをはつきりする場合には、いわゆる独占禁止法と申しますか、とにかくもそういう点が向うさんの感じを刺激するという点がありましたので、そういうことは表面化せないのであります。從つてこの金融の問題は生ぬるいように見えるのでありまするが、実際の日本の国の真珠価格を推持し、又丁度現在の罐詰を、輸出罐詰を罐詰業者が売競争して、そうして価格をみずから暴落するというようなことを真珠においてはあつてはいけない。この点にはでき得る限りの資金斡旋をするということを含まれているのであります。現在におきまして生糸が今度三十億円のいわゆる価格調整資金が政府より出るという法案が出そうでありまするが、この真珠もそれと同様の扱いを受けて、そうして日本価格の維持をして行くということに役立つように金融をつけるということが根本の建前でありまして、そういうところへ至らしめたいと考えている次第であります。
  61. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それからもう一つ伺いますが、資金斡旋をするというのは農林大臣義務付けられたと解していいですね。
  62. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 先ずそう解釈して行きたいと思います。
  63. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 一億円という金は一体何に使う金ですか、本年度において。
  64. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 一億円の大部分研究所の建設、並びに器具機械の充実、要するに建物と什器、器具機械、科学的な薬品その他、研究が一通りでき得るようにする設備に使う予定であります。
  65. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この法律案を見ますというと、今まで自由に仕事をしておつたものを、いろいろな面において拘束して行くような感じを受けるのですが、先ほどの提案理由のうちにもあります重要な輸出産業であるということはよくわかりますけれども、この事業についてこんなに目標を定めて、その一分珠を幾らだとか、二分五厘の珠を幾ら生産するといつたようなことまで指図をしなければならないものでしようか。それはどういう理由から出で來ているものですか。もう少しフリーにこの仕事をやらせるということについては……少し私は行き過ぎているという感じがしますが、どうですか。
  66. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) この真珠の大部分は、いわゆるネツクレスであります。頸飾であります。そうして頸飾の趣向の傾向といたしましては、だんだんと珠の大きい、それから光沢のいいものが好まれる。こういうのが大勢でありまして、その場合にネツクレスなんかは、中心へ最もよい珠を、色のよい珠をつけて、それからだんだん左右へ漸次形の小さいものを並べて行く、こういうことで初めて優良な珠ができるのであります。ところが現在にありましては、大きい珠を作りたい者は作る、小さい珠を作りたい者は作る、そうしてこれだけ作つたらネツクレスが何本できるか、何千本できるかというようなことは、ちつとも業者そのものが考えずにやつておるわけであります。その関係から、小さい珠ばかりたくさんできて、大きい珠が少い、そのために数においては百万本作る珠があつても、実際は形を整えるところのネツクレスは三十万か四十万しかできない。その他のものはばら珠と称してそのまま売つてしまう。そのための非常な価格の等差、そうして又どれだけのものを何本注文するというアメリカの注文にも、そういうことのために応じられないという現状であります。そういう点からも統一が要る、こういうことであります。それから色沢におきましても、漁場によつて非常に等差があります。成るべくよい珠のできる場所を選んで多く作る、そういうようなことも計画の中に入れなければ、これは一つ宝石でありまするから、品質の改善並びに粗惡品の生産の阻止ということにやらなければ、本当の増産輸出を対象としての外貨獲得の上からも、日本真珠としての価値を向上させる上からも、これをやらなければならん、こういう建前をとつておる次第であります。
  67. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 一応の御計画に対する見通しはわかりますが、大体真珠を作るといたしましても、この各県が同じように同じものを作るということはなかなかむずかしいと私は存じます。場所によつては今お話のように、非常に色沢のいい漁場もありますし、又母貝によつて大きい珠を生産し得るところもあります。大きい珠を作るとすれば、母貝関係も考えなければならないし、なかなか一様には行かない。從つて大きな珠、而も光沢のいい珠、形のいい珠になりますれば、非常に高いことになる、小さい珠の何十倍、何百倍とするような価格になるのであつて業者は恐らくいい珠を作ることに、然もいい珠はよく売れるのであるならば、それに意を用いることは、私は当然だと思うのだが、それがなかなか思うように行かないところに今日の現状があるのではないか。從つてここに農林大臣がそれぞれ目標を示して見ても、果して目標通りできるか、目標通り作らせるということになれば、それにふさわしい条件も備えてやらなければならん、單に金融面だけではいけないので、漁場というものを考えなければならない。殊に昨今漁業制度の改革によつて、漁場の問題はいろいろむずかしくなつておりますが、そういう面も考えなければならんところへ持つて來て、この机上でこういう法律を作りまして、果してその効果がどれだけ出て來るか、これには先ほどお話がありましたが、大きな資金の裏付が必要ではないか、その資金がはつきりと出て來なくて、ただ斡旋する程度じやなかなかむずかしい、どこかの銀行からそれに対してぐんぐん出してやるという裏付がなければ、ただ斡旋してやると言つても、なかなか斡旋もそう思うように現状では行つておりません。大きいところは勿論行きますが、中小のほうになりますと、なかなかそうは行かないと思うので、こういうふうに形はいいが、実質面において果してこれが円滑に行くだろうかということを私は心配するわけであります。その辺はどういうようなお見込ですか。
  68. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) その点は至極同感でありまして、この真珠事業法を作るか作らんかというときにおきまして、養殖業者資金の大きな、力の強い者もある、零細な者もある、現在でもう大小七百人くらいの養殖業者があるのでありまして、これらの意見は最初はまちまちでありまして、なかなか統一がとれなかつた、又それと同時に母貝生産地、いわゆる漁業協同組合、この漁業協同組合におきましても、これはそういう真珠事業法ができたならば、このほうに独占されて、母貝の利益は皆養殖業者に取られるのではないかというので、このほうも相当議論があつたのでありまして、そのために数カ月を費やしたのでありまするが、結論におきましては、養殖業者母貝生産をするところの漁業協同組合は共存共栄で、不可分のような関係で進むことが、この真珠事業を生かし、又真珠増産を図るゆえんである、こういうことに結論がなつたのでありまして、この事業法なるものは、單に養殖業者の問題のみではないのでありまして、母貝を完全に生産する、その生産する母貝も最も優良なものでなければならない、そのために先刻高橋君より説明しましたように、最近は四、五万貫しか貝ができないのでありまして、戰前には三十万貫以上もとれたものが、それが四、五万貫しかとれない、而もそれがこのままに置けば減少して行くという傾向にあるのでありまして、如何に珠が立派なものができましても、それを生み出すところの母貝ができなければ、これは一つ事業にならないのでありまして、どうしても母貝を、所要量を先ず作り、そうしてそれを合理的に珠を作る原料とするということにせなければならんということに、そう両者の意見が一致したのであります。而もこの母貝生産するいわゆる漁業協同組合組合員三重県及び九州その他を合せると約一万四、五千人になると思うのであります。これらの者は母貝生産によつて生活を支えて行くという立場にあるのでありますから、これと養殖業者とが共存共栄でやるということにおいて、本当の効果が挙がると、こう見ておるのであります。又珠の優良なものは大きいのは一個四、五万円、今年もそれくらいの、ただ一個の珠が四、五万円のものができたのであります。そういうもののみできたならば、我々の予想しておる百億円が或いは千億円にもなるかということは私は断じてできないと、少数の珠を高く売るために多数のいわゆるネツクレスというものが犠牲になるということが起つたならば、これは百億が五十億円の輸出にもなるまいと、どうしても適当な最も優良なるネツクレスを多く作つて、これを日本においては価格を維持して輸出するということにおいて理想的な真珠事業が完成すると、こう考えておる次第であります。
  69. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 真珠養殖というものは、そう古いものではないので、真円真珠の形成法が西川氏によつて発見されて來てから盛んになつたわけなんでありますが、私が言うまでもなく初めのうちは随分余裕があつて各地にできて來て発達して來たものでありますけれども、最近になりましては漁場と母貝というものが関連しなければ、これは絶対に成立たん。で漁場があつて母貝がなければ駄目なんだし、母貝があつても適当な漁場がなければ、これはいけないといつたようなことで、漁場そのものは恰好においてはいいが、母貝が思うようにならないというので、むしろ今日では母貝の争奪といつたような恰好になつて來ておるのではないか。從つてまあ私は三重県の事情をよく存じませんが、聞きますというと、三重県などには非常なまあ小さな養殖業者がたくさんあつて、そうして魚の目玉みたいなものを出して行くために、価格も暴落するというような傾向にあるということは、曾つて伺つたことがあります、こういつたような法律を以てこの事業助成し援助するというようなことになるならば、その業者を或る程度整理して行くというふうな御意図はないものでありますか、この点お伺いします。
  70. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) それは今度の漁業法によりまして、いわゆる生産組合というものが作られておることになつております。そうして、養殖業者の零細なものは、生産組合を作つて、そうしてその団体の力でやつて行くこともできるのでありまして、そういう傾向はぼつぼつ出現しつつあるわけであります。そうならんものでも、御承知のように、從來の真珠養殖場と称する海底は漁業協同組合が所有しておつたものでありまして、今回の法律改正によつて養殖業者漁業協同組合の権利を引継ぐことになつたわけであります。從つて、この海底の附近の海底は母貝生産地であり、その附近が養殖場ということになつておるのでありまして、そういう関係からも非常に密接でなければならんのであますが、そこの漁業者が、一部が養殖業を始めて、それが生産組合若しくは申合組合にして、二十人、三十人ずつの協同組合で経営をする傾向になつておりまするので、今日のところ零細な養殖業者が虐待されるとか、資本的に困るから、そのために濫売というような虞れはないように思うのであります。ただ一部今日でも恐れることは、大きな真珠養殖業者真珠のブローカー、売買も兼ねておつて、それらの人たちが真珠の相場を左右するような傾向があつたのでありまして、そういう場合には、非常にこの法律が必要である、そういう意味に感じておるのであります。
  71. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私差挾みますが、お忘れじやないかと思いますが、只今石原さんのお話で、以前の協同組合で持つておつた専用漁業権は、今度養殖業者に引継ぐというようなお話がありましたが、三重県でそういう工合にされることは差支えないけれども、法においては、協同組合も真珠業者も同じ立場に漁業権はとられるわけでないからして、誤解のないようにお願いいたします。
  72. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 現実におきまして、極くこのいわゆる從來の専用漁業権の中の、そのうちの何分の一かが真珠養殖に適当なる水面であります。その水面の大部分養殖業者に許可、認可される建前になつております。その問題はまだすべての漁業権が海区調整委員会において大体決定されたけれども、真珠に関する養殖場という水面は、これから海区調整委員会において決定すると、こういうことになつておるのでありまして、その一漁業組合の専用漁場内の何分の一かは、所によつて養殖業者に許可が與えられるという実情になつております。
  73. 玉柳實

    玉柳實君 ちよつと伺いますが、最近、真珠養殖事業が不振に陥つておるというお話でございましたが、その原因は、主としてどういうところにあるのでございますか。一面相当海外の需要もあり、この養殖事業は利潤が上つておるのではないかと伺つたこともあるのでございますが、その実情はどうなつておるのでございますか。
  74. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 真珠事業が不振に陥つておるという実情ではないのであります。終戰後諸物価が高くなつたのにつれて、真珠養殖に必要なるところのいわゆる、とたん、針金で作つたところの金網、或いはそれを吊るところの筏の設備、それから櫂で操縦する舵子の価格向上、それから真珠母貝価格向上等、そういうような点で非常に一個の單価が、養殖する單価が非常に高くなつて、そのために資金的に養殖業者は苦心をする、こういうことになつておりまするが、そのために真珠養殖事業が振わないということもないのでありまして、本年でも約五万貫の母貝生産しましたが、これが十万貫あつて養殖業母貝が消費されるところの大勢であります。今日の一番困ることは諸物価の騰貴につれて資金が多くを要する、それに母貝が少い、こういうわけで活溌なる経営ができないというのが実情であります。
  75. 玉柳實

    玉柳實君 そうしますと、現在では利潤は相当上つておるのでございましようか。
  76. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 利潤は実は純良なる珠は満四年乃至三年間海の中に貝に核を入れて吊るしておかなければいかんのでありまして、そういう関係から終戰後始めてまだ年月がたたないので本格的な珠の取入れ及び販売という時期には至つていないのであります。多分明年、明後年頃から相当の量の終戰後に操業した貝が取上げることになるという実情であります。
  77. 玉柳實

    玉柳實君 この法案の全体を通じまして真珠養殖事業の企業の自由性というものは何ら規制しておらないように思うのであります。強いて言えば国営検査を受けたものでなければ輸出ができないというだけで、その他の面では全く自由企業を認めておるわけであります。そうでありますれば、助長行政の一環として行政的な指導を加え、予算的な措置を講じて行くならばほぼこの法案の狙いとする目的は達成できないものであろうか。先ほど秋山委員からもちよつと申されましたごとく、わざわざ立法措置によりまして特に真珠養殖事業の助長をしなければならないというのは、これは行過ぎではないかと申されたような疑念をやはり感ずるのであります。特に内容におきましては殆んど企業の自主性は認めておるわけでありますが、わざわざ罰則の規定もございまするけれども、これなども無理に設けられたような感がしないわけでもないのでありまして、やはりこの根本の点を今少しくはつきりしておきませんと、この立法措置が果して妥当であるかどうか、という疑念が解けないのじやないかとも考えるのでありますが、いま一度お考えを願つたらと思います。
  78. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) これは日本の生糸に次ぐ外貨獲得の対象物であると固く信じておるのでありまして、殊に世界中日本以外には現在真珠生産をする所は微々たるものでありまして、日本においては相当の計画を立てれば増産可能なることは現実にはつきりしておるのでありまして、ただ事業の拘束とか不拘束とかそういうこと以外に、外貨を獲得することと、日本の独特なる産物の生産を殖やして、そうして我が国産業発展可能性の点において十分これらの措置をとらなければならん。こういう考え方を持つておるのでありまして、單に業者関係のみを申すわけには参らんことと、大きな一つ産業の復興、同時にこれを対外的な大きなものにすべきであるという見地からこの問題が取上げられたのでありまして、ただ拘束とか、不拘束とか、この事業に対する單に法律に適当な措置というよりは、外貨を多く獲得するところの唯一の対象物であるという点に重きを置かなければならんと、こう考えておる次第であります。
  79. 青山正一

    青山正一君 これは先ほど委員長からの質問にありましたのですが、この五条の第一項、「農林大臣助言を求めることができる。」という点とか、それから第三項に「資金をあつ旋するものとする。」という言葉ですが、これはえらい抽象的な言葉ですが、こういうような法律がほかにあるのですか。何かほかの法案を参考にしてこういうものを持つて來たのですか。その点について承わりたいと思います。
  80. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) ほかにこういう例があるかないかということは、まだ実は調べた上でやつたのでございませんけれども、この法案なるものは真珠そのものを優良なものを多く作つて、そうしてそのものを安く、安くというのは、いわゆる普通の値段より安く投売りをしなくともよいようにするということ、品質向上せしめるということが真珠養殖に関する部門でありまして、又そのことを達成するのには、漁業協同組合仕事範囲は、母貝の必要量の優良なものを作つて、そうしてそのものを養殖業者に供給して所要の養殖作業ができるようにするということ、そうして母貝生産をするところの漁業者養殖をするところの業者との二つの不可分の関係を以て、そしてこの真珠の理想的な生産並びに発達を遂げさしたいということに重点があるのでありまして、從つてこの農林大臣が妥当なる指導、斡旋勧告等をすることにおいてこの問題が達成する、こういう意味に解釈をしておる次第であります。
  81. 青山正一

    青山正一君 つまり、この石原さんの本当の真意というものは、この真珠というものは殆んど全部が輸出の対象となつておる、ところがこれは一例なんですが、輸出罐詰などはこういつた法律がないためにいろいろな面において非常な掣肘を受け、非常なひどい扱いを受けておる、それでこの日本の特産品の真珠というものをそういうような扱いを受けないようにはつきりした自主的な計画的な建前ですべて物事を考えて行こうというための法律だと、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  82. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) そうでございます。ちよつと、只今青山さんの申された罐詰であります。罐詰がよい例でありまして、純良な鮮度を保つた罐詰を作つて、そうしてそれを日本人同士が安売りの競争をして遂にアメリカに税を課するような阿呆なことをさせておる。これは大きな実例であると私は思うのであります。こういうことは早く是正しなければ日本の水産が将來外国の市場で非常にみじめなことになりはしないかということを痛感するものでありまして、我が国現在の産業のうち、一番発展性のある水産において、このことは、我々は水産関係する限り最も妥当な制度を急速に実施しなければならないと考えております。その矢先に向われまして、最近に生糸が今度は三十億程度の国の予算において価格を調節するところの制度ができることが大体予想できるのでありまして、それができたならばこの真珠や罐詰にすぐにそれを適用することに努力して、そうして価格の調節を図らなければ、日本の今後の水産輸出は誠に心細いものであると考えるのでありまして、こういう意味でこの問題の達成を熱望いたしておる次第であります。
  83. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  84. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。
  85. 青山正一

    青山正一君 そうすると具体的に申しますと、例えば国営の検査所というようなものを設けて、例えば輸出の場合とか、その他価格の問題についてやはり一貫したような、そうしてお互いこの方面はこの値段で一つ輸出する、この方面は値段を高くして輸出するというようなことじやなしに、やはり計画的にすべてのことを考えて行こうというような目的なんでしようか。その点について伺います。
  86. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) そこが狙いであります。先ずこれによつて出発すれば大いに実際的に教えられるところがあると思うのでありまして、それによつて最も適する方法を講じて行くべきであると考えております。
  87. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いろいろ論議がありますが、この法案をずつと見てみます場合に、今提案者の御説明はよくわかるのでありますけれども、この法案の文面から見る場合にどこに重点があるかというと、真珠検査にあるのではないかと思います。要するに不良品を出さないでいいものを出すというところにあるように思うのです。というのは計画もありますし、助言もあれば勧告もあるけれども、これらのものは單なる助言として聞いておく、或いはただ勧告を聞いて守つても守らなくてもいいような恰好であります。これは從つて農林大臣資金斡旋するといつてもどこの銀行から斡旋するのかそこがさつぱりわからないし、どこから斡旋するとか、どの金を出すとかいつたことに触れていない。まあ一つどこかの銀行に出してくれという話をするくらいで、これは何ら重味がない。ただ不良品を作らないように検査をする、そしてそれに重い罪を課するということではどうも少し感じが出て來ないと思う。私としてはもつとこれを生産を高めていいものをたくさん作るというなら、四条、五条、その辺にもつと重点を置かなければならないのではないか、そうしないと幾らこういうものをこしらえておいても罪を課するような恰好になりはしないか。結局不良品を出すのも、三年おけばいいものを二年で出す、二年半で出すというのは、資金が詰つて來て出すというのが、私は多いのじやないかと思う。そういう面において母貝のほうは助成するようですが、実際生産しておるのは協同組合を作らなければ、この面で見ますとできないので、そうなると結局法律ができても実際においては現在と大して変らないので、検査を受けないとか、或いは受けても不合格品がどんどん出て來てむしろ業者が非常に困りはしないか、こういうように全般的に見て感じがするのですが、只今お話のありましたように、まあ余り大つぴらに言えないところもあつたかも知れませんが、それにしても大きな方針でできたものが、実際実施して見ると、その方針からほど遠いものであるということはこれはよほど考えなければならん、こういうような感じを受けるわけであります。
  88. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  89. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。
  90. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今罐詰の例を言われましたが、罐詰は必ずしも日本だけの特産物でない、ところが真珠は日本だけの特産物で、他に競争品がないわけであります。そこで下手な価格の標準なんかを公表して抑えたりする必要はないのであります。向うの買手が高く買うならどんどん高く売ればいいのではないかと思う。安くなるときは自然に安くなるので、ここに下手に価格の標準を公表したりしたのではみずから損をしはしないか、こういつた感じも受けるわけですが、罐詰のごときは、これはアメリカでもたくさんできます。あつちこつちに競争者がある。真珠は競争者がない。だから余りに価格の点について生糸のように安売りをしていかんということは言えるかも知れませんが、結局生糸が安くなつたのも合成繊維、或いは人造繊維がたくさん出て抑えられるためであります。この真珠に限つては競争相手が今はないと私は思う。そういう意味において余り価格の点に政府関係は触れないほうがいいのではないか。ただ御心配の点は相場を知らないから安売りするのだという御懸念かも知れませんが、少くともこれを生産する人はそれくらいの輸出相場は知つておらなければならんと思います。そこへ余計おせつかいをすることはみずから問題を招きはしないかと思うが、その辺如何ですか。
  91. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) それは全然真珠価格をきめるということはこの法律においても予想していないのです。真珠貝母貝価格農林省公表指示することがある、参考として指示することがある。これは從來の例によりまして母貝養殖業者の談合のために非常に安く買収されて、そうして翌年はもう母貝増産漁業協同組合は努力しないということのまま例があつたのであります。そういうことになつては本当の母貝生産ができないから、そこで農林大臣は妥当な指示をするというので、只今のは何らこれには触れてないのでありますから……。
  92. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私の誤解でありました。貝とありますが、併し貝にしましても実はお話よりもどうかすると逆な高価で以てむしろ買漁つて非常に高くなつて來る。高くなつて行くこともいいのですが、そうするとその土地で予想しておつたものが、その貝がさつぱり手に入らなくなつてよそに行つてしまつたという例も幾らもあるのです。そこで現在では養殖業者自体が母貝養殖を相当やつておるようですが、むしろ私のほうとしては安く、談合どころでなくなつて馴れ合いの形ではないかと思うのですが、三重県ではそういうふうになつておりますが……。
  93. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) それは今までのことはそういう例も多々あつたのです。ここに標準価格を置くということは買手にも売手にも、これは養殖業者にも母貝生産者にも適用する案なのでありまして、いわゆるその土地の妥当な値段で取引をさせる、買漁りもさせない、又談合もさせないという意味のそういう最も公平妥当な価格を指示する、そうして安心して母貝生産者にも努力をさせる、養殖業者にもやらせる、こういう建前なのであつてこれは非常に苦心を払つた問題なのであります。
  94. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると一種の公定価格みたいなものになるのですか。
  95. 石原圓吉

  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 標準価格というものを守らなければどうなるのですか。
  97. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) 守らない場合には妥協があります。
  98. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ここの第五条において、結局問題は母貝の問題に來るのです。そうすれば母貝は少々高くても買つて來いということに結局なるのじやないかと思うのですがね。
  99. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) それですからそう高くも買わさない、安くも買わさないというのがいわゆるこの標準価格です。
  100. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そこは買わさないと言つても別に公定価格がなければそうはいかんでしよう。
  101. 石原圓吉

    衆議院議員石原圓吉君) これは丁度米を作るのに苗代に苗を作る、その他餌、飼料、そういうものと同じような性格を持たさなければ安定したところの真珠養殖ができないということに重点があるのでありまして、飽くまでも商業的な頭でこれをやらすべきでないというところに、農林大臣にこの権限を附興するということになつたのでありまして、非常なこれは妥当なる穏当なる処置であると我々は考えておるのであります。
  102. 千田正

    ○千田正君 真珠の問題は国内市場と国際市場を相当勘案して考えなければならないのであつて真珠養殖事業法が出るということは非常にいいとは思います。ということは、我々はこの間海外に行つて見て來た場合において、真珠がむしろ海外においてはダンピングされる虞れがある。而も真珠は本当はダイヤモンドと同じようにいわゆる宝物として、或いは宝石としての価値を海外において維持するためには日本の国内においてそれを維持すべき方法を考究しなければならない。それにはどういうふうな方法を講ずべきか、或いは種々なる問題があるでしよう。ただ残念なことには從來は一、二の資本家によつて独占されておつた。最近に至つてはいろいろ三重県その他を中心にしていろいろな真珠業をやる人たちが殖えて來た。この人たちのいわゆる海外における真珠の信用、或いは真珠宝石としての価値を価値付けるためには、国内において何らかの方法を講じなければならない。これは恐らく一般的常識だろうと思う。それについてはどうすればいいかという意味において真珠業の養殖事業法というものが出て來たろうと思うのでありますから、ただ問題は折角こういうものができてもその裏付となるところのいわゆる資本或いはそういう金融的処置を国でなすべきであるか、或いは団体においてそれを補助して行くべきかというような問題について、相当養殖事業法の効果的な価値というものを論ぜらるべきであると思うのであります。秋山委員の説と私は又別な考えの点から、飽くまで日本の国産の真珠世界に類のないところの宝石として、そしていわゆる世界のマーケツトにおいてマーケツト・プライスを落さないような方法にするためには、国内におけるところの養殖事業という問題はどういうふうに持つて行くべきか、どういうふうに持つて行つたらば国際価格を維持できるか。ダンピングを防ぎ、そうして不正な取引を防ぎ、なお且つこの養殖事業に從事する人たちのいわゆる向上を図り、そうして十分に国際的な価値を維持する方法を講ずるのがこの事業法の主体であると私は思うのであります。でありますから、私は今日の途中から参りまして石原さんの御説明を十分承わりませんのですが、これはよほど慎重に審議しまして、できるならば効果的な法律にしたい。そうして実際苦しんでいるとろこのたくさんの殊に真珠業者に対して、国は何らかの方法において金融の裏付をしてやらなければ、国際マーケツトにおいて現在ダンピングされつつあるところのアメリカの市場、或いはヨーツパの市場において、もう日本の真珠というものは養殖真珠というのじやなくて、イミテーシヨンの真珠と変りがないのだ、一山百文だ、そういうふうに売出されるということは、日本の国策上からも甚だ悲しむべきことでありますから、この真珠養殖事業法というものに対しては慎重に考えて、どうしたらこれが効果的になるか、どうしたならば農林大臣がこの法律を本当に生かすために金融の措置をどこまでやるべきか、私はこの条文を考えて見たときに非常に物足りない点があるのであります。これはむしろはつきりと謳つて欲しい。「あつ旋するものとする。」というよりも「あつ旋しなければならない」というくらいの力強いものを持つて行かなければ、国際市場における日本の真珠の価値というものは今後といえども或いは下落の一歩を辿つて行くならば、国際市場で下落するということは、国内市場における立場、生産者というものは、結局疲弊困憊に陥つて真珠の価値というものはなくなつてしまう。どうしたならば国際的ないわゆる真珠の価値を維持し、且つ又日本の今後におけるところの真珠業の発展に寄与するかということを私は十分に各委員からも研究して頂きたいと思うのであります。私はこの全文を見たときに少し弱いのじやないかと思いました。もつと強く国策として、これは通産省並びに農林大臣つて一丸として日本の真珠の成果を維持する方法を考えて頂きたい。私はこの点を要望して止みません。
  103. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  104. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。  本日はこの程度で散会いたしたいと思います。明日午後一時から更にこの法案について審議いたしたいと思います。本日はこの程度で散会いたします。    午後三時三十六分散会