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1951-11-24 第12回国会 参議院 水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十四日(土曜 日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            松浦 清一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            玉柳  實君            櫻内 義雄君   衆議院議員            田口長治郎君            川村善八郎君   政府委員    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部漁    業調整第二課長 高橋清三郎君    水産庁生産部漁    港課長     林  真治君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産資源保護法案衆議院提出) ○漁港法の一部を改正する法律案(衆  議院提出)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  水産資源保護法案議題に供します。この前の委員会におきまして提案者のほうから詳細なる御説明を得ましたが、なおこれについて御質問がありましたらお願いします。先ず逐条審議をいたします。第一条から第三条の総則、これに対して御質問がありましたらお願いいたします。……これは総則でありますから、御質問もないようでありますから、第二章に移りまして、第四条に対して御質問がありましたらお願いいたします。
  3. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この水産資源保護法というものは、非常にまあ水産法規としては広汎なものですが、これと現在の漁業法との関係はどういうことになるか、大体の面は漁業法に語つてあるはずなんですが、それをこれに取入れて、漁業法の一部だけの改正のような点がおしまいに加わつておりましたが、これで漁業法のとは全然分離するような恰好になるのでしようか、提案者お尋ねいたします。
  4. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 大体漁業法漁業権を中心とした法令に体系付け、それから資源培養資源に関する問題はすべてこの法案のほうにまとめましたのでございますが、從つて水産基本法であります漁業法、それから資源保護法水産憲法のような二大法規になる、こういうような観点から二つは完全に分離をいたしまして、漁業法の中に少くとも資源に関する条項のあるものはすべてこつちのほうに持つて参りましたようなわけであります。それから資源枯渇防止法も單独でも利用ができますけれども、体系資源保護法のほうに全部吸収合併した、こういうような形になつておりますから、この法規制定によりまして、漁業法改正をすべきものは、すべてこの附則のほうに列記してあるあの点だけを改正いたしますと尽きると、こういうふうに仕組んであるのであります。
  5. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 秋山君にちよつと申上げますが、今の第一節は、これは水産資源枯渇防止法そつくりでございます。
  6. 山本豐

    政府委員山本豐君) 今のお尋ねの点は、大体田口議員からお話がありましたが、少しく具体的に申しますと、第一が水産資源枯渇防止法、これは全部廃止であります。全面的に本法案の中に取入れてあるはずであります。ただ漁獲限度というようなものを多少追加して、こちらの法律の中に入つておるわけであります。それから第二の今御質問になりました漁業法との関係でありますが、これは具体的に申しますと漁業法の第六十五条の一項中にこれを分けまして、一号、二号、三号、これは重複恰好になるわけです。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 何条ですか。
  8. 山本豐

    政府委員山本豐君) 六十五条です。漁業法をお持ちですか、これは六十五条一項の一号、二号、三号、この規定は、本法にも必要でありますけれども、漁業法の側にもやはり当分必要であろうと思うのであります。そこで、この二つだけはダブつて両方法律にあるわけであります。從つて漁業法のほうにも一応残してあるわけであります。併しこれは適当な機会に廃止してもよくはないかと思うのでありますが、ただ、漁業法の現在の関係から言つてもこれは必要なのであります。そこで一号、二号、三号だけは重複して規定をしております。それから五号、六号、七号、これは全部こちらへ持つて來ております。從つて漁業法のほうから落ちて來るわけであります。それからその次に、漁業法の六十八条であります。六十八条、それから六十九条、七十条、七十一条、これはもつぱら漁業上の保護といいますか、そういう関係規定でありますので、この四つは全部削除しまして、そうして本法案の中に規定しております。六十八条、六十九条、七十条、七十一条、この四つだけを本法のほうに全部持つて來ております。だから結局、六十五条の一号から三号だけがまあ重複規定ということになつておりまして、大体において本法の狙つておる関係条項は全部こちらのほうへおさめた、こういうことになるわけであります。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 つい二、三日前に改正を議決しました六十六条の二というやつがありますね、小型底びきその他のあれは、これとの関係は、これに入つてもいいのじやないかと思うのですが、どうなんですか。
  10. 山本豐

    政府委員山本豐君) 六十六条の二……。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 つい最近、二、三日前に上げたやつです。
  12. 山本豐

    政府委員山本豐君) 小型底びきのやつですか。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ええ。
  14. 山本豐

    政府委員山本豐君) これもあの性質の上から言えば、こちらへ入るような関係になるかも知れませんが、ただ、これは例えばこつちのほうにだけ規定し放しということであつては、これは基本漁業権のいろいろな問題とも関連の非常に深い規定でありますので、或いはこれは重複規定というふうな式のものになるのではないかと思うのであります。從つて、この法案提出関係も時期的にいろいろ前後しました関係で、一応これは現在の漁業法で参りまして、なおそのほかの規定、例えば先ほど申しましたような六十五条関係規定におきましても、或いはその他の規定においても、或る段階に達しますれば、両方関係は、やはり整理按配をする必要があるのだろうと思うのであります。そういう機会に、又一括して扱いの問題として処理してはどうかというふうに、私としては考えるのであります。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、漁業法と今度の資源保護法の両建となつております場合に、まだ私はこれを詳細に検討していないのでありますが、例えば漁船の整理について、或いは漁場の制限について食違いを生ずるような場合がありませんか。
  16. 山本豐

    政府委員山本豐君) 大体においてないだろうと思うのでありますが、これも併し十分検討を要すると思います。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この問題は非常に重大な問題だと私は思うのです。大体においてないだろうと思うくらいのことでは、問題の起つた場合に我々の責任もあることでありますから、この漁業法というものと、これと両建になるということについて、この点はこれできめるのだ、こういう場合にはこちらできめるのだということをはつきりいたしておきませんと、いやしくも法律を制定する場合に、その点があいまいでは私は困ると思うのであります。特に最近これはできたのであつて、これは両方で進んで來たのですが、勿論検討はされていると思いますが、その点実際にこれを作られたかたが、果してそういうことを念頭においてやつておられたかどうかということですね、これはよほど研究しておきませんと、これはどつちで処理するのかということになつて、殊に漁場整理のような場合には問題を起す場合がないとも限らないと思うのでありますが。
  18. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) その点は十分検討して決定したのでございまして、そういうような点は、資源に関する関係本法できちつとまとまりがつきますし、重複した点はどちらかで行ける。そのほかの部分漁業法で行ける。その点は十分研究したつもりでありますから、さような御心配は将來といえども起らないと思うのであります。
  19. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それでは逐条審議に入つて下さい。その際出て來たときに又伺いますから。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは第四条を議題に供します。四条で御質問がありましたらどうぞ……。第一節水産資源枯渇防止法そのままのようであります。十分審議を尽したと思います。第四条、第五条、第六条、第七条、第八条、第九条、第十条、それから第十一条、第十二条、第十三条までは、これは枯渇防止法をそのまま、ここへ載せてあるように思います。
  21. 千田正

    千田正君 告示期間は今の第一節にはないようでありますが、告示期間は定めなくてもいいのですか。その辺はどういうふうにお考えですか。例えばここに一つの例といたしましては、第十条の第五項に「前項告示をしたときは、当該漁業に係る許可は、その有効期間にかかわらず、その指定された期日に取り消され、又は操業区域の変更があつたものとする。」こういうことになつているというと、漁撈をやつているものはその告示がいつ出ているか、何日前のものかわからないわけなんだが、それに対しては勿論あと補償規定がありまするけれども、でき得れば告示期間の予定を書かれたほうがいいのではないかと思うのですが、その点御意見はありませんか。これはもう、例えば今日なら今日、もうすでに告示があつたものとして取消されてもしようがないということになつておりますね。第十条の第一項第四号「各漁業者の経済が当該漁業に依存する程度」というのが掲げられておりますが、そのうちの第五でありますが……。
  22. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは大体資源枯渇防止法をそのままとつている。だから実際の扱いとしては省令その他の関係でいまのお説のように支障がないように扱われて來ていると思いますが……。大体從來通りこれはやることになるだろうと思います。
  23. 千田正

    千田正君 そうすると、特に政令告示期間を定めるというのはそれはまずいのじやないか。これだつたらこういう突如告示をされて、今操業中にもかかわらずそれによつて停止を命ぜられるわけですからね。
  24. 山本豐

    政府委員山本豐君) ですから、これは告示をした場合の項目だけを書いてある。從つて告示をどういうふうにやるかということについては政令で掲げると思う。
  25. 千田正

    千田正君 この件においては恐らく立案者考えから行くというと、或いは附則、或いは政令によつてその期間を定めるのが便法であるというふうに考えられているようでありますが、いやしくも法律として出す場合においては、やはり政令又は何かの便法を講ずるならば、告示期間については政令においてこれを定むという一項を入れなければ効果がないだろうと思います。この点についてお伺いしたいと思うのであります。
  26. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて。    〔速記中止
  27. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めますから、質問と応答をはつきりいたしまして……、今の千田君の質問に対して御答弁を願います。
  28. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 只今の御質問至極尤もと思うのでございますが、從來この条文資源枯渇防止法そのままをこちらに持つて來ておる条項でございまして、以西底曳その他の整理問題から勘案いたしまして、告示の方法によりまして或る程度長くすることもできる、こういうような彈力を持たしたほうが都合がいいと思いまして、本条文のようにいたしましたような次第でございます。
  29. 千田正

    千田正君 実際的の場合において、それで十分にこの法文の効力を生かして行けるというならばそれでも結構と思います。ただ一応法文の解釈上、何か便法に対する法的な規定はあつて欲しいという点から私は質問したのでありますが、それで今水産庁にお伺いします。これで十分にまあ彈力性を持つた意味を含んで、そうトラブルがないと、こういうふうに断言せられればそれで結構でございます。
  30. 山本豐

    政府委員山本豐君) 以西底曳整理もやつて参つたわけでありますが、この条文水産資源枯渇防止法の第三条に当る条文であります。字句もそのままでありまして、先般やりました際にも支障なくこれは行政官庁の裁量で今千田さんの申されたような趣旨に、実情に沿うようにしてやつて参つて來ておりまして、支障はないものと思います。
  31. 玉柳實

    玉柳實君 ちよつと包括質問のようになりますが、議事進行とも関係がありますので御了承を得たいと思いますが、漁業関係憲法とも言うべき漁業法が成立しましてから漸く二年、水産資源枯渇防止法が生まれましてから一年半を経過するに過ぎないわけでありますが、今回水産資源保護法を制定せられます趣旨は、これら既往の法律を適当に体裁を整えるということのほかに、実質的に從來法律においては足りない、從つてかような理由から新規法案を制定するのだという点をいま少しくはつきり承知をいたしたいのであります。從つてその方便といたしまして先ず委員長のほうで音頭をとつて頂きまして、各条の審議に入ります前に、この条文漁業法の第何条に相当する、この条文資源枯渇防止法の第何条に相当する、この条は全く新規であるというような点を先ず以てはつきりするように一つお取運びを願いますれば、審議をする上において非常に便宜がいいかと思います。
  32. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 承知しました。それでは山本次長からこの保護法の一条から何条までは漁業法の何条に相当する、これは新法である、これは資源枯渇防止法の何条であるということを我々に御指摘を願います。
  33. 高橋清三郎

    説明員高橋清三郎君) 私から申上げます。この水産資源保護法案の第一章の第一条、これは新らしい条文でございます。それから第二条、これは漁業法の第三条のそのままでございます。それから第三条は漁業法の第四条の条文そのままでございます。  それから第二章、第四条、これは漁業法の六十五条の条文を少し加除して持つて來ておりますが、詳しく内容を申上げますと、第一項の一号、二号、三号は漁業法の第六十五条第一項の一号、二号、三号と同様で、重複して記載してあります。それから第四号は六十五条第一項の五号でございます。それから第五号、これは六十五条の第一項第六号でございます。それから六号、これは六十五条の第一項の第七号でございます。それから二項、三項、四項、五項、六項、これは六十五条のそれぞれの該当項目と同様でございます。それから第七項は、これは第六十五条の第七項と同様でございます。それから第五条から六条、七条、これはそれぞれ漁業法の六十八条、六十九条、七十条と同様の条文でございます。それから第八条は漁業法の七十三条と同様でございます。第九条以下は水産資源枯渇防止法をとつて規定しておりますが、第九条は資源枯渇防止法の二条と同様でございます。第十条は第三条と同様でございます。多少内容的に字句の違つておる点はございますが、ほぼ同様でございます。第十一条は同じく枯渇防止法の第四条と同様でございます。第十二条は第五条と同様でございます。第十三条の漁獲限度、これは新らしく資源枯渇防止法規定以外に付け加えられた条文であります。今度新らしく入つた条文であります。第二節の保護水面の、十四条から十九条までは全部新らしく出て來た規定であります。それから第三節の二十条、二十一条、これは新規に入つた規定であります。二十二条は漁業法の七十一条を削除してこちらに移した条文であります。漁業法の七十一条の内容説明しまして、二十二条から二十四条まで三ヵ条に分けて規定してあります。二十五条は新規に入つて來規定でございます。三十六条は漁業法の七十三条をそのまま持つて來たのであります。それから第四節の二十七条、二十八条、これは新規規定されました。  次に第三章の第二十九条は資源枯渇防止法の第六条の規定をそのまま持つて参りました。第三十条は同じく資源枯渇防止法の第七条をそのまま移しております。  それから第四章の第三十一条以下第四十一条まで、これは幾分関連する事項はありますが、全部新規に入つた規定でございます。以上。
  34. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今の御説明によりまして、すでに審議した漁業法及び資源枯渇防止法規定が大分入つているようでありますが、審議都合上新らしく入つた条文について審議したいと思いますが、如何でございましよう。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  35. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは第一条はこれは目的でありますからいいといたしまして、次に新らしい条項は第十三条であります。これを……。
  36. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今新規のものについての御審議ということでありましたが、新規と古いのとの関連がありますの、で必ずしも新規のものだけでということはどうかと思いますから、その点は一つ御斟酌願います。
  37. 木下辰雄

    委員長得う(木下辰雄君) 新規の箇条を説明する場合に関連事項に及んで頂いたら如何でしよう。
  38. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私はこの資源保護法で「保護培養」という言葉を使つてありますが、又中には漁業法では「漁業調整」といつたような言葉を使つておるのであります。これはということは「漁業調整」という言葉の中にも含まれているものだと考えているか、その点は如何でございましようか。
  39. 山本豐

    政府委員山本豐君) 直接には片方は主として培養言つておるのであります。片方漁業調整を指しておるのでありますが、併し広義に解する場合にはこの「保護培養」もいわゆる漁業法の「調整」の中に含まれると思います。
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体消極と積極の意味じやないですか。
  41. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういうふうに考えます。そういたしますというと、第九条の、これは新規ではありませんが、第九条の第三項「農林大臣は、定数を定めようとするときは、中央漁業調整審議会意見をきかなければならない。」、こういう文句があります。つい最近改正いたしました漁業法第六十六条の二によりまして四項に「主務大臣は、前項規定により最高限度を定めようとするときは、関係都道府県知事及び中央漁業調整審議会意見をきかなければならない。」、こういう、これは衆議院修正意見として「関係都道府県知事」と、こういう言葉が入つております。これはこの保護法にこの保護培養のためのときには、関係都道府県知事は聞かなくてもよろしいということなんですか。
  42. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) この資源保護法による定数の問題は、すべて農林大臣許可をする漁業限つてであります。それから小型その他のものは農林大臣都道府県知事許可するもの、それから現在におきましては全然許可のないもの、言い換えますというと、都道府県に直接に関係のある漁業定数の問題でありますから、これは農林大臣許可漁業にのみ限つておりますから、ここに都道府県を入れないで中央漁業調整審議会意見だけ聞くようにしておるのであります。
  43. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、この保護法農林大臣許可する漁業についてのみ保護法を適用するのであつて知事或いは許可漁業でないところの漁業その他についてはどういうことになる。それはもう保護をしなくてもいい、こういうことになるのでしようか。
  44. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) この定数の問題だけは農林大臣許可した漁業にのみ適用するのでございます。この定数外との問題につきましては、いろいろその他の問題につきましても本法を適用することになつておるのでございます。
  45. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 定数と申しますと、この六十六条の二によつて許可する枠がきまりまして、そうしてその枠内において知事許可するということになる分があるわけですが、これはその枠をきめるときに都道府県知事意見を聞く、それと中央漁業調整審議会意見を聞くということになつてつて農林大臣の指定するものは農林大臣だけが許可をするから、都道府県知事意見を聞かなくてもいい。こういうことになるのでしようか。
  46. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは私からちよつと申上げますが、第九条は指定遠洋漁業だけを規定してある、こういうのでありますから、指定遠洋漁業に対する中央漁業調整審議会意見だけを聞いたらいいという意味じやありませんか。指定遠洋漁業省令規定による農林大臣許可を要する漁業、この二つを限定しているようであります。
  47. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 次に第十二条、この許可取消を受けるという、これも全部こういう取消をするとかせんとかいうものも、知事許可には全然及ばないで、今第九条に挙げた指定遠洋漁業及び省令によつて定める漁業のみについて、補償金を交付する取消をする、こういうことになるのですか。
  48. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) そういうことになつております。
  49. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは本法とは多少関連はしておりまするが、直接の関係はないかと思ひますけれども、この間も十二条によつて補償金を出すような場合があるが、そのときには補償金ではない、補助金という意味であつたと思うけれども、從業員に対する、或いは乘組員に対する補償というものは、全然見込まれていなかつたということについて、実は本委員会でも問題を起しているわけなんです。個々のこういうふうな場合には、同じ資源保護をするという意味において、政治をする場合に、その名称の如何を問わず、こつちに補償金を出した場合には、乘組員にもやらなければならん、片一方には行かないという場合には、水産当局お尋ねしますが、ちよつと矛盾するような感じがいたしませんか。
  50. 山本豐

    政府委員山本豐君) お説のような感じはいたすのでありますが、ただ御承知のように小型の場合と以西底びきの場合と、乘組員の点については、数の問題でなくして質の問題におきましては、同様であるとは思うのであります。從つて水産庁といたしましても單に経営主に対するものだけでなく、乘組員等についても或る程度予算措置を講じたいというふうに努力したのでありますが、現在のところそれが認められない。こういう状況になつておるのであります。将來の問題としましては、それらの点も十分考えて見たいとは思つておるのであります。從つて現状におきましては小型底びきの場合には、これは別途補助金という観念をとつておるのであります。これは税との関係もございますので、補償金はつきり言わずに、補助金という意味にいたしまして、補助金交付規則というふうなものを別途作りまして、それによつて運用して参りたい。併しこう使い分けしましたから、その政治的な意味において乘組員、つまり小型に対する乘組員については政府は援助は要らんのかというお尋ねに対しては、我々としましてはなお、やはりこれと同じに考えて行きたいと思つておるのであります。併し現状では一応それらに対する予算は認められておらないのであります。それから法制的にはそういう事情もございますので、一応区別して扱つて参りたいと考えております。
  51. 玉柳實

    玉柳實君 先ほど説明して頂いたことに関連して、ちよつと抽象的なことをお尋ねしたいと思いますが、よろしうございますか。
  52. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) どうぞ。
  53. 玉柳實

    玉柳實君 先ほどの御説明によりまして新規条文がどれどれであるかということがはつきりしたわけでございますが、この新規条項を貫く狙いと申しますか、目的と言いますか、從いましてこの既存法律を改廃して新たに水産資源保護法を制定しなきやならぬ、これが根本の理由だというところをもう少しわかりやすく簡單でよろしうございますが、御説明を願いたいと思います。
  54. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 御承知通り漁業法でも或る程度資源培養に関するやり方ができる条文があるようでございますけれども、御承知通りいずれも非常にぼんやりした規定ばかりでございまして、強いて実行いたしますというと、あとに疑問が残る。後味が惡い、こういうような条文が大部分でございますから、実際にできそうであるけれども実行しないと、こういうような場合が非常に多かつたのでございますから、その点をはつきりといたしまして、少くとも資源培養に必要なる、実行しなければならぬと、こういう問題については後味を惡くしないで実行できるようなふうにはつきりと条文を明記いたしましたのでございます。その点が一つと、それから第二に、これから先、この問題に触れる場合におきましては、どうしても既存漁業に触れなければならぬ、既存漁業に触れるといたしますと国家の補償がなければ実際にはできないのでございまして、この法案によりましてかかる場合の国家補償を国に義務付けると、こういうような意味一つあるのであります。それから第三は、他産業に対する水産資源保護と、この問題が現在の漁業法だけでは十分でないと思うのでございまして、この点を非常に強化をいたしましたのが第三でございます。それから第四に、この保護水面の設置、これは稚魚の発育、或いは種苗の設定と、こういうような資源培養する上におきまして非常に重要な問題が漁業法だけではどうしてもできなかつたのでございます。この法律によつてこういうことがはつきりできるようになります。第五点は日本の全漁業者資源培養の思想を打ち込もうと、こういうような意味におきましてこの第十三条の限度をきめて、そうして勧告する。実際にはそれじや勧告を守らなかつたならばどうなるかというような問題もありますけれども、主として資源に関する観念を漁業者に持つてもらう。そういうことによつてこの国際信用を回復しようと、こういうような点が大体この法案の大きな狙いでございます。さよう御承知を願います。
  55. 千田正

    千田正君 今のお話で玉柳委員の御質問にお答えになつておられるのですが、その中で新規に出た保護水面という問題は、或いは愚問に類するかも知れませんが、一応伺つて置きたいと思うのは、これは勿論常識的には日本の領海を意味するわけでありましようね。
  56. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) そういうつもりでおります。
  57. 千田正

    千田正君 なぜ私がこういう質問をするかというと、日本の海域或いは領域に棲んでおらない動物にまで日本政府が或る場合にはいわゆる水産資源枯渇防止法を作つているので、誠に脾肉の歎に堪えないのでありますが、それで保護水面という問題については、厳格な意味から言えば、日本の領海のことと私は考えておるのですが、この資源枯渇防止をする際において、ああした他の国に生存する海獣、動物がこの日本の領海内に仮に侵入して來て、魚族の枯渇するような方法をとつた場合においては、日本はどういう方法をとるかというようなことは、これには全然規定しなくてもよろしいのですか。
  58. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) そういう問題につきましては全然予測をしておりません。
  59. 千田正

    千田正君 勿論この法案は、今や国際漁業条約が一つの大きな問題として現われて來ている現状においては、この点こういう法案を作らなければならないということはよくわかつておりますが、同時に又、そういう点も十分一つ考えておく必要があると思つて聞いたのですが、保護水面というのは領海三マイルを限定したというふうに承知してよろしいのですか。
  60. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 領海三マイルという限定はありませんが、少くとも属地主義の意味と属人主義という、そういうような観念もありますから、本当の沿岸ではございますけれども、領海三マイルに限る、こういう考えでもいないわけでございます。
  61. 千田正

    千田正君 そうしますと、今国際漁業条約の三国間の問題になつているような、カナダ、或いはアメリカ側が主張しているような沿岸におけるところの三マイルということは問題にせずとも、その国の沿岸に棲息するいわゆる魚族或いは水産植物等に対してまでもこれを適用するという意味でありますか。
  62. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 属人主義から領海外の保護水面というような設定の仕方になりますというと、日本人だけが拘束されて、誰か外国人でそこにいる者があればその外国人を拘束することはできない条文になつておるように御承知願います。
  63. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに質問はありませんか。第十三条及び十四条、十五条までお願いします。
  64. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 保護水面農林大臣都道府県知事の申請に基いてやるということになつておるのでありますが、これは都道府県知事の申請がなければ、農林大臣だけがここは保護水面にするという必要を認めても、知事が申請しなければ規定することはできないことになるわけですか。
  65. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 四項にあります。
  66. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 わかりました。
  67. 千田正

    千田正君 私、又繰返して言うようでありますが、この保護水面の問題について非常にクロスする面が起きて來るのは、恐らく北海道の水面が今後においてソ連領に限定されるような場合においても非常に接触する面が出て來ますが、そういう場合においても、これは飽くまで国内法としてこの問題は堅持して行こう、こういうわけでありますね。その点も一つはつきりと書いたほうがいいと思います。
  68. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) この保護水面を設定する目的が「水産動物が産卵し、稚魚が生育し、又は水産動植物の種苗が発生するのに適している水面」、こういうようなことになつておりますから、クロスする水面ということはちよつと予想がつかないわけでございますけれども、若し国際的に非常に複雑になる海面でございますれば、保護水面を設定する際によほど研究をして、そういう支障がないようにしなければならんと思うのでございます。
  69. 千田正

    千田正君 ただ心配するのは特に北海道のいわゆる北端に位しているところの、千島との間の接触面あたりの問題についてはやはりこれは国際公法……いろいろな法的な問題とも接触するので、その辺は特別に勘案して農林大臣の考慮によつてやろう、こういうわけですね。
  70. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) そうでございます。
  71. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この保護水面を設定するという問題は、從來保護水面としては何もなかつたのですけれども、特に河川等において始終問題を起して來たのでありまして、特に最近では国家が総合開発というような意味において河川の大きな工事を始めるというような事柄も現に起りつつありますし、更に又、今後も起るのでありますが、そういう水面について保護水面を設定するということは非常に困難な事情が出て來ると思う。從つて農林大臣が單独でこれきめることはなかなか容易でないと思うのでありますが、例えば水力電気の問題であるとか、或いは河川工事の問題であるとか、或いは干拓事業、埋立等についても非常に問題が起り、水産から見るというと保護しなければならん水面であるけれども、その他の事情からそういうものは抹殺せざるを得ないというような場合がしばしば出て來て、常にそういう場合に水産業者が犠牲になるような傾向があるのでありますが、そういう点について水産当局は、この保護水面を設定するという場合に、勿論閣内において協議するのでありましようけれども、そういつた場合に必要な水面を本当に指定し得る自信がございますか。
  72. 山本豐

    政府委員山本豐君) これはやつて見なければ何とも申上げかねるのでありますが、併し從來お説のようにそういう点が多分にあつたと思うのでありますが、それもこれもやはりはつきりした漁業法には若干そういう今回のこの法案の基礎になるような規定もありますけれども、先ほど田口議員からも申しましたような不備な点もありまして、これで完全ではありませんけれども、将來この法律を手がけて、なおもつと完全なものに持つて行くというような一つの大きな方針の下に、今後はやつて参るわけでありますから、関係大臣等とのいろいろ交渉等におきましても、主管大臣のほうから相当の発言もして頂けるようなことになりはしないか。又水産庁としましてもこれによりまして、從來殆んど放任主義でありました水面等の計画も、調査に基きまして相当のものを立てまして、必要な所につきましては関係大臣によく諮つて実施して参りたい、これは結局実力の問題でありますので、一挙に理想的には参らんかと思いますけれども、從來よりは交渉その他においても有利になり得るのじやないかと、こういうふうに考えます。
  73. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。
  74. 松浦清一

    ○松浦清一君 あとから來て……、どういう審議の……。
  75. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今十三条、十四条、十五条に行つております。
  76. 松浦清一

    ○松浦清一君 先に遡及したらいけませんか。
  77. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) すでに我々が議した水産資源枯渇防止法漁業法に明記してある条項ばかりでございまして、新規のやつは十三条以降であります。十三条、十四条、十五条を今議題に供しておりますが、併し何かほかにありましたら……。
  78. 松浦清一

    ○松浦清一君 ちよつと教えてもらいたいことがあるのですが、非常に不勉強なものですからわからないのですが、先にひつくり返して済みませんが、第一章総則の二条の「公共の用に供しない水面」というのはどういうことですか。「公共の用に供する水面」と「公共の用に供しない水面」とはどういう区別がありますか。
  79. 山本豐

    政府委員山本豐君) 「公共の用に供しない」というのは、水利であるとか、特に灌漑などの場合には、これは「公共の用に供する」というように思うのですが、そういうふうな何のない水面、こういう意味合であります。
  80. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体私有水面のことだと思います。
  81. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは明確に区分ができるわけですね、公共の用に供しない水面であるということは。
  82. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは河川法、港湾法にもいろいろこういうような用語がございますから、從つてこれは法律用語として通用しておる言葉でありますから、具体的問題においても大体判断がつくのじやないかと思います。
  83. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから第四条第一項の第二号の「水産動植物の販売又は所持に関する制限又は禁止」というのですが、水産資源保護するということが建前になつておるこの法律の中に、その場所において水産動植物の販売や所持に関することまで制限したり、禁止したりしなければならんものかどうかということに、私は疑問を感じておるのですが、それで差支えないものですかね、こんなもので。
  84. 山本豐

    政府委員山本豐君) これはまだ今具体的にははつきりした目安を持つているわけではございませんが、これは例が惡いかも知れませんけれども、先ほど千田さんから出ましたように「らつこ」「おつとせい」、これは国内ではないのでありますが、ああいうふうな場合に、殊に獲るのみの制限だけでは目的を達しない。それを販売しておる、或いは所持しておるという者までその制限を及ぼす場合があるわけであります。又国内的におきましても、例えば北海道の「さけ」「ます」、こういうふうなものについては現在においてはまだそういつた具体的なものはないかも知れませんが、将來この資源保護法上必要を生じて参るという場合に、例えば或る数量をきめてそれ以上をとること、或いは売買することはいかんというような場合も、これは可能性があると思うのであります。これを無闇に活用しなければならんというふうな事態は少いとは思うのでありますが、併し今後全体の施策の一環としてやはり想像できるものでありますので、特に加えておるわけであります。
  85. 玉柳實

    玉柳實君 この十三条の規定は、新規に挿入した規定の最初のものでありまして、先に提案者からも特に新らしい水産資源保護法案を設定しなければならない理由一つに数えられたようでございますが、この条項の適用につきましては何か差迫つた必要を痛感しておられ、そうして近き将來におきまして漁業の種類を限り、或る水域別に漁獲限度を勧告しようというような御腹案でも持つておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  86. 山本豐

    政府委員山本豐君) 現在差当つて早急に、この条文を活用するというはつきりした具体的な目標は別に持つておらないのであります。併しながらこういう方向において魚族の保護を図るということは当然でありますので、この規定を設けました。将來これをいろいろ考えて参りたいと思うのであります。特に「さんま」等につきましては現在取締規則等もございまして、現に漁獲数量等も今年度から一応抑えてやつておりますが、そういう例もございますし、今後又そのほかの適用についても必要を生じて來るのじやないかというふうに考えられるわけであります。
  87. 玉柳實

    玉柳實君 「さんま」の漁業につきましては漁獲を制限していると言われましたが、それは何によつてでありますか。
  88. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは漁業法と、それに基きまして「さんま」の取締の省令がございまして、この省令は昨年……、改正も時々しておりますが、「さんま」取締規則という規定によりまして、取締その他をやつているわけであります。
  89. 玉柳實

    玉柳實君 そうしますと、かような漁獲制限は從來漁業法規定並びにそれに基く規則におきましても同様の制限ができるわけでありますから、從つて実質的には全然新らしい規定だということは言えないわけでありますか。
  90. 山本豐

    政府委員山本豐君) それはお説の通りに、大体できると思うのであります。併し一層完璧を期すという意味におきましては、この法の中に、これは單に最高限度のみではないのでありまして、そのほかにいろいろ規定がございますが、こういうふうな規定を設けておいたほうが、より適切じやないかということであります。
  91. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この法律によつて保護される水産動植物、又はここにありますさく河魚類というものは「さけ」「ます」が対象になると思いますが、大体どういう魚種を目標にして考えておられるのですか。それは特に目標なしに全般的に考えているのですか、その点をお伺いします。
  92. 山本豐

    政府委員山本豐君) これも実は全般的に一応考えているわけであります。併し結局これは具体的な問題になりますと、今のお話のように「さけ」「ます」、或いはそのほかに内水面におきましては鮎だとかというふうなものも、これは考えられると思うのであります。それから又浅海におきましては、浅海増殖をいろいろやつているのでありますが、「あさり」蛤等の苗圃、こういうものが設定になりますが、そういうものの保護だとかいうものが、具体的な問題として起ると思うのであります。併しこの法律の狙つておりますのは、例えば只今規定によるのでありますが、毒物を流してはならんという点につきましては、これは全然新らしい規定ではございませんが、これらはまあ全魚族に及ぶ問題であります。ただ我々の考えといたしましては、実際の必要において今後この法律の運用におきまする予算の問題も、結局いろいろ保護するにつきましてはそれ相当な措置も必要といたしますし、措置するについても予算が伴うのであります。それらの予算とからみ合わして、今後ますますこの法律の運用を図つで参りたい。こういうふうに考えている次第であります。
  93. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは十六条、十七条、十八条に移ります。保護水面に管理者、保護水面の管理計画、工事の制限の問題であります。
  94. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私先ほどもお尋ねし、又意見を申上げたのですが、從來におきましても、この魚族の保護ということについては当局並びに漁業者も相当な関心を持ち、いろいろ施策を行なつたのでありますけれども、どうもいざとなると、非常にむずかしくて水産庁の意思がなかなか通らない。資源枯渇防止法にいたしましても、又漁業法においても、この法律においても同じようなことが出て來ているのでありますが、例えば水質の汚濁の問題は、長い間農林省はやつきになつてこれを制定しようとしたり、又これに対する処置を苦心したのでありますが、殆んどこれは効果がない。ということは水産業の持つているウエートといいますか、なんかが他の事柄に対して低いといつたような意味合い等もありまして、実際には非常にむずかしい問題であり、又その毒物の影響が果してどれだけであるかという判定も非常に困難であつて從來非常なる難問題になつているのでありますが、こういつた法律ができたから、それが打開されるということも安易に考えられないと思うのです。從つて場合によつては、こういう法律があるために却つて自縄自縛になるような虞れがないとも限らないので、私は先ほどこの自信のほどを伺つたのでありますが、河川の問題或いは浅海に対する問題は非常にむずかしい問題でありまして、十八条に掲げてある保護水面の区域において云々、こういうようなことも実際の問題としては非常にむずかしい問題だと思う。それでこれは我々水産関係の者は無論非常に結構な法律であり、是非これを貫かなければならないと思いますが、他の方面におきまして、我々が單にここでこの法律を制定することに協賛を与え、本会議で通りましても、この実施という問題が非常にむずかしく残るのであります。從つてこういう法律を作るためには、当局或いは提案者は、他の関係、例えば建設省であるとか、或いは農林関係であるとか、こういうような方面とはどういう連絡をとつて來られておりますか、お伺いしたいと思います。
  95. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) ほかの省と折衝したかどうかという問題でございますが、これは折衝しておりません。それからこの法律を制定すれば漁業者保護するという観点から考えますというと、少くとも漁業者保護にはなると考えるのでございます。例えば保護水面を設定した後におきまして、埋立だとか或いは浚渫だとかいうような、そういう問題がその水面内で起りますというと、非常な大きな発言権を持つて來るというような意味におきまして、漁業者保護にはなると考えるのでございます。ただ併し只今秋山君からお話がありましたように、從來とも、仕事のウエートの関係と思いますが、とかく押され気味であるという点は争われない事実でありまして、その点は立法その他で裏書をして一つ農林省を強くする、こういうような必要があると考えるのでございます。実際においてとかく押され気味だ、その点だけは私らも平素非常に遺憾に考えております。
  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この保護水面を設定するとか、或いはこの法律に盛られた内容を実施するために今後に起つて來る問題でありまして、全然何にもないところを指定するのじやなくて、今後今まで使用されているところを保護水面として指定する、或いは水質の汚濁に関する規定を適用するということになつて來るわけでありますが、そういう問題は相当むずかしい問題でありまして、この法律を制定してこれができ上つた、そうしてその問題にぶつかつたときに非常に関係当局の争いが激化するという事実はいろいろな面に現われる。例えばこの前にも漁港法ができまして港湾法との関係において妙なところにぶつかつて、この争いが非常に激化したといつたようなこともあるのでありまして、私はこういう法律を農林省関係單独で作つて通したということについてあとにいろいろなむずかしい問題が残ることを恐れるものでありますが、と言つて私はこの法律案に反対するものじやない。勿論是非とも作らなければならん法律であると考えますけれども、実施の面において今後非常にむずかしい問題が起つて來ると思うのです。それで実を言えば、もう少し関係筋とのしつかりした連絡をとつておいて、この法律を通すならば今後の問題は或いはスムースであるかと思いますけれども、実際問題としてぶつかつた場合に相当実施上に困難があるのじやないかと思います。從つて今からでも一つ法律が通つてすぐにでも、審議中でもいいですが、こういう面が或る程度関係方面に、関係方面と申しますのは国内的の問題でありますが、或る程度の工作をしておくことがこの法律を生かすために非常に結構じやないか。何にも知らんうちにこんなものができておつて、俺たちはこういうものは承服できない。法律だから承服できないということは言えないけれども、実施の面において先ほど申しましたような問題が起つて來る。法律のあるなしにかかわらず……。法律が全然なければ問題にならないかも知れませんが、漁港法においてきめられておつた場合にも実際上非常にむずかしく殆んど行われて來なかつた。それは要するに水産の立場が弱いと申しますか、從來いつも犠牲ばかり強いられて來たのであつて、この法律ができたからと言つて直ちに浮び上るとも考えられない。そこで実施の面において強く打出すような工作が相当必要ではないかと思います。併しそれを持つて行つたらこの法律を制定するに又難関があつてできないというような感じもあつたかも知れませんが、併しそれができないなら、できてもこれはうまく行かないということになるのでありまして、これは私ども意見になつて今述べるのはおかしいですが、そういう面は一つ今からでも相当強く手を打つことを私は希望いたします。
  97. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと申上げますが、国会議員がこの議案を提案して国会全体がこれを可とするならば、これに対して政府はこれを実施しなければならんという義務がありますから、実施の場合においては農林大臣は強く主張していいと私は思つております。
  98. 千田正

    千田正君 ただこの法律の実行に当つて只今秋山委員考えておられると同様なことなんですが、例えば河川の災害復旧のような場合において、河川の河口が変更されるような場合、それがいわゆる從來の「さけ」「ます」等の保護区域であつたというような場合におきましても、この法律のほうが先行になつて、その河川工事に対しては停止又は変更を命ずることができるだけの強い法律になるかどうか。この点はどういうように考えておられますか。
  99. 山本豐

    政府委員山本豐君) それは現在十八条の規定によりまして一応農林大臣許可を得なければならんというふうに縛つてありますので、形の上からは可能だと思うのであります。併し先ほど秋山委員からのお話もありまして、実際問題としてはこれは関係大臣の対立の問題にもなりまするので、私たち重要な問題になると思うのであります。
  100. 千田正

    千田正君 ですから私の聞くのは、この法律は例えば建設のほうより先行するか、優先順位の問題としてこの法律はどつちが一体強くなるかということについての実行関係についての意見を聞きたいと思うのです。
  101. 山本豐

    政府委員山本豐君) これはまあどちらも法律に基いて所管大臣の権限を明示してあるのでありますから、どちらが先行するかという点はこれは法律の上ではないと思うのであります。法律の上では対等であると思うのであります。併し実際問題としましては從來もそうでありましたように、大体從來の例をとりますと、河川のほうがもう相当な日数を費してはつきりした計画ができちやつて、それから形だけ農林大臣に相談があるというのが從來の例であつたと思うのでありますが、併し今度の法律でこういうふうになつておりますから少くとも相当日を置いて、或いは我々の希望としては計画がはつきりまだ固まらんうちに相談しなければならん。そのとき一つ十分相談をいたしましてこちらの主張も或る程度通るようにしたいと思つております。
  102. 玉柳實

    玉柳實君 私も秋山千田委員と同じような危惧の念を持つということだけを表明しておきたいと思うのであります。先ほど提案者の御説明によりましても関係各省と協議をしておらないという御回答であつたのであります。それで何らか他省所管でこの法律関係のありそうな河川法なり、或いは建設関係法律の運用面においてスムースに行くように十分研究し尽されておるかどうかにつきまして、若干の危惧の念を持つのであります。私自身まだそれらの法律との関係を研究しておりませんのでまだよくわかりませんけれども、例えば河川などでも直轄河川である場合と然らざる場合とにおきまして、この保護水面の指定なり、管理なり、或いは工事の施行なり、変更なりにおきまして、この条文の体裁上変化はないのかどうか、念のために伺つておきたいと思います。
  103. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 先ほどから各省との連絡その他のことが非常に問題になつておるようでございますが、提案者側といたしましては先ほど委員長からお話がありましたように、少くとも自由党といたしましては政務調査会或いは総務会を通過しておりまして、いろいろな関係の人とも協議しておるのでございます。それと衆議院、或いは参議院でこの法律を通しますれば少くともこの法律政府を拘束すると、こういうような考えもありまして、いろいろ水産問題と他産業との陶関で問題が起りました際におきまして、先ほど山本次長からもお話がありましたように協議をいたします際は、こちらに対等の資格がないために好意的に打合せをする、相談をする、こういうような状態で折衝しておつたのでございますが、この法律が制定されますというと、こちらも対等の地位におきましていろいろの問題が折衝できるのみならず、この法律があるがためにあらかじめ農林省と折衝しなければならない、こういうような建前になるのでございますから、少くとも現在よりも一歩前進だ、こういうようなふうに考えるのでございまして、この点は私らはそういうような観点で本案を制定したのでございますから、その点御了承を願いたいと思います。いろいろ各官庁とあらかじめ相談するということになりますと、これはなかなか些細なことで話がまとまりません。どうしても政治的に考えてむしろ高所から法律を作つてしまう、こういうようなことが近道ではないか、こういうようなふうにも考えられるのでございまして、先ほどからのいろいろな話至極御尤もでございますが、むしろ作つてしまつたほうが早いのじやないかと、こういうふうに考えておるのでございます。
  104. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今の御説明は十分了承するのでありますが、問題は実施の問題になつて來るのであつて、例えばこの最初にあります第四条第四項の「水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に附する制限又は禁止」、こういつたようなことも今後省令によつて定められるものであつて、この拘束を定め得るという農林大臣の権限はできましても、省令によつてこれがどういうふうにきめられますか。或いは又十八条の政令の定めるところにより云々とありますが、建設大臣が行うところの事項に対して農林大臣許可を受けるというようなことはあり得ないだろうと思います。知事許可を受けるようなこともないだろうと思う。併しこういう問題は電気の問題においても起つて來る、水利権の問題等が起つて來まして、この間うちも水利権はどこに権限を持つておるかといつたようなことで論争があつたのでありますが、そういう問題にぶつかりまして、実施上には非常にむずかしい問題があるので、省令或いは政令で定めるところによる、これは結局問題が起つて來ると思う。そのときにこれはまとまらなければ、これは法律だけではどうにもならない。そこで私は前以て或る程度の工作をしておかなければ、実施のときにこれは死物になる虞れがありはしないか。幾分前進はするにいたしましても、從來と余り変らないことになつて來るのじやないか。もう少しこれを作つた以上は強力にこれが実施されるようにどうしてもやつて行かなければならない、そういう意味で私は申上げておるわけであります。
  105. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんければ第二十条、第二十一条に移ります。
  106. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 このふ化放流は委任事項として都道府県知事に委任することができるようでありますが、実際において農林大臣が直接行うというようなことがありますか。
  107. 山本豐

    政府委員山本豐君) 北海道においては直営をやつております。そのほかにおいてはまだ府県に大体委任してやつております。
  108. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、大体現状においておくということ、まあ必要があれば農林大臣が直接やることもあると思いますが、現在府県知事がやつておるものを農林大臣が直営としてやるというような箇所が相当見込まれておりますか。
  109. 山本豐

    政府委員山本豐君) まあ漸進的に行くつもりでありまするので、すぐに直営をやるというところは内地ではまあ今のところ予想していないのであります。
  110. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ありませんければ第二十五条に移ります。……ありませんければ第二十七条に移ります。第二十七条、二十八条。……ありませんければ第四章補助、第三十一条以下全部を議題に供します。別に御質問ございませんか。
  111. 玉柳實

    玉柳實君 第三十二条の水産資源保護指導官並びに指導吏員の設置はどの程度の人員を配置すべくお考えになつておりますかどうか。又予算化は若し本法が今国会で通りますれば、今国会の補正予算に或いは見ておりますのか。或いは明年度から考慮しておられますのかどうか伺います。
  112. 山本豐

    政府委員山本豐君) 現在この関係予算におきましては、御承知のように直接には沖合とか或いは遠洋の取締船、こういうものの、いわゆるこれに乘船しております吏員が若干名あるわけであります。併し将來の問題としましては、これらを更に拡充することと同時に、まあ将來の問題としましては内水面等につきましても何らかこういうふうな人員を府県に設置するということも我々としては理想としては考えておるのであります。これは一挙にも参りませんので、大体二十七年度の予算の総額におきましては、取締関係從來予算等もございますので、大体十一億程度を一切合切含めて一応計上しておるのでございます。
  113. 玉柳實

    玉柳實君 これはそうしますと、單なる補職なのですね。
  114. 山本豐

    政府委員山本豐君) そうです。
  115. 玉柳實

    玉柳實君 わかりました。
  116. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 第三十三条の「漁業協同組合その他の者に対し、水産資源保護培養に関し協力を求めることができる。」、こういうことがありますが、これはどういうことなのですか。
  117. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは協同組合等を以ちまして、例えばいわゆる魚を盗まれるとか、或いはそういうふうな面がある場合におきまして、組合にこの保護の責任をとつてもらう、まあみんなで共同管理というふうな意味合いでやる場合もあるかと思うのでありますが、そのほかまあこれは積極面におきましてはいろいろとあろうと思いますが、消極面においては先ほど申上げましたような、そういうことも一つの方法ではないかと考えておるわけであります。
  118. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういう組合に対して何か政府から費用の交付というようなことを考えておるのでありますか。
  119. 山本豐

    政府委員山本豐君) これはお説のように我々考えたいと思つておるのであります。併し現在のところまだ予算的には具体化しておりません。
  120. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 若しそうであるとするならば、これに何かそういう意向を語つた面がありますか。單にただ協力を求めるということだけだつたら法律規定しなくても、そんなことはいいと思うのですが、ここに協力を求めることができるという以上は、これに対して何らかの裏付けがなければ、ただ協力を求めるのだつたら法律になんか書かなくてもいいと思うのですが、その点どうですか。
  121. 山本豐

    政府委員山本豐君) 秋山委員の申されますように、規定しなくてもできるのではないかという御意見、御尤もだと思うのでありますが、ただこういうふうな規定を先にしておきまして、予算面で、先ほど私が申しましたようなものを具体化する一つの手掛りにしたい、逆な行き方になるのでありますが、そういう意味合もございまして、できれば一つこういう規定をおいておいで頂きたいと思うのであります。
  122. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういうことなら、ついでに、ここに、そういう場合には費用を国が負担するとか何とかいうことを附け加えたらどうですか。そうしておけばそれが出て來るので、すぐ予算措置ができるが、それがなければ予算とからみ合つて來てできないので……。
  123. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  124. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。ほかにございませんか。……ほかにございませんければ質問は終了したと認めて御異議ございませんか。
  125. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちよつと待つて下さい。少し戻りますけれども、第四条において、いろいろな規則を定めることができるということがありますが、それについてそれを改める場合、改廃する場合の規定は何もないようですが、それはなくてもいいのでございますか。例えば制定するときには、中央漁業調整審議会意見を聞かなければならん。併しながら改正するときは何も聞かなくてもいいということになる。ほかの条文には多くは改廃するときには聞かなければならんというようなことがある。中には作るときにはいいが、変えるときには聞かなければならんといつた規定もあるぐらいですが、この点はどうでしよう。全部、定めるときばかり書いてあつて、これを改めるときの規定が何にもない。
  126. 山本豐

    政府委員山本豐君) 厳格に申しますと、秋山委員の申される通りになるかと思うのでありますが、併しこの設定することができるという以上は、無論変更もできるわけでありますし、從つて又、変更の場合でも内容の重要なものにつきましては、つまり設定の場合と同様に手順は踏んで行つていいんじやないか、又踏んで参るべきだと考えるのであります。從つて運用面では、さしたる支障はないのではないか、特に断わらなくてもいいのではないかというふうな気持でこのようになつております。
  127. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それは運用の面で、そういうふうにやればよろしいが、併し意見を聞かないでやつても違法でないということになるのですね。
  128. 山本豐

    政府委員山本豐君) そうです。
  129. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それはどうでございますか。法文とする場合は、そういうときばかりは意見を聞くけれども、変えるときには聞かない、聞かんでもいいということですね。
  130. 山本豐

    政府委員山本豐君) この中央漁業調整審議会というものの扱い方だと思うのでありますが、設定の際に諮つておきますれば、変更、これも非常に根本的な場合は当然、行政庁も必要を感ずればやるわけでありますが、それは一つの民主的、或いは聞かない場合には非民主的になるといわれますが、実際問題としてはそこまで四角四面にやつておかなくてもいいのではないか、こういう気持がするのです。
  131. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 運用の面において当局が、しかとさような意見を持つて、必ず制定当時と同じような処置をとるということを明言できますか。
  132. 山本豐

    政府委員山本豐君) 明言できます、いたします。
  133. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういうことであるならば、私は今後何らかの機会において、それを附け加える必要があると思うのです。今これを直ちに修正とか何とかいうことは、まだ関係もありますが、他の法文にはあるのです。それがこの法文だけそれを除くということは、実際から言つても私はおかしいと思うのです。後日の機会においてその意思を持つておられるならば、今後はこれを制定するときに審議会の意見を聞いたものは、これを廃止するとか、或いは改めるという場合にも必ず意見を聞くというように、運用の面ではやつて頂く。他日の機会においてそういう条項をどこかに盛るということが私は必要だと思うのです。
  134. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか。
  135. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 第三十二条の水産資源保護指導官又は水産資源保護指導吏員、これと、それから第三十八条の取締の規定がございますね。「犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船又は漁具は、沒収することができる。」という、この取締は、この三十二条の指導官、指導吏員にこの取締の権限があるのですか。
  136. 山本豐

    政府委員山本豐君) あるわけです。
  137. 千田正

    千田正君 議事進行について。本日上げる予定ですか、それとも継続する予定ですか。
  138. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ずつと継続して、質問を打切れば討論に移ります。ほかにございませんか。
  139. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちよつと待つて下さい、いろいろな法律関係しておるから。
  140. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 この法律の実施に際して、政府職員は相当増加を要するのですか、それとも現在の人員のうちで、配置転換か何かでやるのですか。
  141. 山本豐

    政府委員山本豐君) この、広汎な内容を持つているのでありますが、併し実際問題としましては在來やつて來ている仕事が一挙にそう殖えるわけではないのであります。從いまして特にこのために人員を殖やすということは考えていないのでありますが、併し尤も、今問題になつております小型関係、或いは沖合の関係、これらの取締に当る人員は若干増員を要求しておる次第であります。これはまあこういう状況でございますから、予算の上で認められるかどうかわからないのでありますけれども、どうか一つその配置転換、その他によつて善処して行きたい、かように考えております。
  142. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 この四十条の二号に「第二十七条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者」というものに対しての罰則ですね。これは六カ月以下の懲役、一万円以下の罰金、拘留又は科料のいずれかによつて取締るものと思うのでありますが、この届出の問題で広汎な罰則規定というものをここに置いておくと、余り行き過ぎが起きやしないかと思うのですが、その点はどうでしようか。
  143. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは二十七条だけの問題じやございませんが、特に二十七条のこの届出の内容は、二十七条に規定がございますが、これらは併しこの届出がうやむやになるというようなことになりますと、はつきりいたさないのでありますので、やはり規定としてはまあ六カ月以下の懲役、或いは又罰金、拘留ですか、この程度にしておきまして、実際罪状によりまして、或いはそれが本当に善意であつたというような場合はおのずからこの科する場合に然るべく情状は酌量されることになろうと思いますから、この程度で或いは弊害はないじやないかと思うのであります。
  144. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 その次の三の「第三十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」も、これはちよつと罰則規定が少しどうも重いような気がするのですが、そういうことはないでしようか。
  145. 山本豐

    政府委員山本豐君) 四十条の三号は三十条の規定によるものでありまして、これは農林大臣、或いは府県知事がこの二十九条の調査を行うため必要があると認めたときにこれに対して報告させる、これはいつも單なる簡單な報告でなくして、相当に資源調査上いろんな措置を講ずる基礎をなすために必要と感じた場合に命ずる報告でありますので、やはりこれも権威を持たす意味から、この程度の中へ入れて置かないと……。実際問題としてその当該者は、先ほども縷々言つておりますように、全然惡意がないとかというふうな場合には、これは勿論然るべく又情状酌量できるわけでありますから、少くともいろんな措置をなす基礎の調査でございますから、而も大臣或いは知事が特に必要と認めた場合に限るわけでありますから、その調査の権威を持たせる意味においても、この程度のことはむしろあつたほうがいいのじやないかというふうに感じますが。
  146. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 調査、届出報告、それらの範囲の程度のものとしては相当この罰則が強いように私は感ずるのであります。只今の次長のお話のようであれば結構でありますが、これはどうぞ希望としては行き過ぎにならざるように是非お願いしておきます。
  147. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 第二十四条について。第二十四条の第七項に「第一項の規定による工作物の除害工事の命令があつた場合において、当該工作物の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、」云々となつて、末尾は「農林大臣は、第三項又は第四項の補償金を供託しなければならない。」こうあるのですが、この場合に第四項の規定による申請者も供託金を供託しなければならんのじやないかと思うのですが、それはなさんでもいいのですか。農林大臣だけが供託しなければならんのであつて、申請者は供託しなくてもいいのですかね。
  148. 山本豐

    政府委員山本豐君) 農林大臣が供託するわけであります。併し申請人から農林大臣がそれを取つてそうして供託することになる。
  149. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 農林大臣補償金を取るということになるのですか。
  150. 山本豐

    政府委員山本豐君) 第四項の場合は申請によつてやるわけでありますから、その申請人が内部の関係になるのでありますが、補償金に相当するものを出すわけでありまして、それを大臣の名前で供託してやる、こういうことになると思います。
  151. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それから附則の問題ですが、附則の第四項に、調整委員の五人を十人に増すとなつております。これは百十三条に、学識経験ある者五人というものが十人になるわけで、五人殖えるわけでありますが、この新らしく殖える委員の任期はどういうふうになりますか。新らしく五人というものが殖えて來るのですが、その任期が前の人との関係でちぐはぐになるのか。若しならないとすれば、何か規定がなければいけないはずです。やはりこれは二年なら二年の任期になつていると、五人は二年あるが、前の人はもう何カ月しかないといつたような場合……。
  152. 山本豐

    政府委員山本豐君) この中央漁業調整審議会委員の任期は二年になつておりまして、それが準用になつているわけであります。從つて何も特別断りがなければ、切り替えられる人もやはり二年の一応任期があることになつていると思います。或いはその末尾を揃えるというような問題もあるかと思いますが、一応法律の解釈上はさようになると思います。
  153. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは内閣総理大臣がきめるのでありますから、必ずしも選挙によらないのだから、任期は違つていてもいいのでありますが、それは意識してなのですか。落ちていたのですか。
  154. 山本豐

    政府委員山本豐君) この補欠委員の場合に、前任者の残任期間存在するという規定があるわけでありますが、それとは違いますしいたしまするから、やはり任命した日から二年間新らしく発生する、こういうことになると思います。
  155. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 勿論そうなるとこの法文では、それは選挙や何かによるのではないから違つていてもいいということですか。
  156. 山本豐

    政府委員山本豐君) そのつもりでおります。
  157. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか。
  158. 玉柳實

    玉柳實君 第十条の規定は現行の水産資源枯渇防止法の第三条をそのまま受けた規定のようでございますが、從つて法律的にも疑問のないものとして施行されているわけでございましようが、若干の疑問は、すでに政府において許可を与えたものにつきまして、許可を受けたものの責任においてでなく、政府が一方的と申しましようか、勿論水産資源保護といつたような理由はあるわけでありますけれども、併しすでに許可を与えたものについて、その既得権を侵害して取消すというようなことが妥当であるかどうかという疑問がないでもないと思うのですが、かような場合、主としてその経過的な規定を設けて、許可を受けた者の保護を適当に考慮して行くというのが例になつておるわけでありますけれどもかように許可を受けておる者に対して本人の責任でなくして、既得権を侵して許可取消すというようなことは穏当であるかどうか以上の点を承わりたいと思います。
  159. 山本豐

    政府委員山本豐君) この十条の規定、いわゆる既得権を持つておるものを取消しするということは法律上疑義があるのじやないかというお尋ねでありますが、我々もその点につきましては、この資源枯渇防止法自体を制定する際にも、法務府その他とも十分いろいろと検討をさして見たのであります。その結果、別に憲法違反とか、そういう問題ではないということで、こういうふうになつたのでありますが、御承知のようにこれは本人の承諾は一応要しないのでありますけれども、この十条の規定にもございますように、いろいろな各事情を十分勘案いたしましてきめるわけであります。而も又、かようにいたしましても、なお取消されるものになつて見れば不承々々でございましようから、そこでいわゆる補償規定を置いたのであります。十一条にございますが、そこでこの補償をする、こういうふうな補償があるからというわけでもございませんけれども、これらの規定もいわゆる財産権を国が一つの公益的な目的のために必要を感じ取消す。從つて国はそれに対して補償しなければならぬ、その補償規定と両々相待つてかような措置自体が必ずしも違反であるとか、何とかいう問題ではなくなるのではないか、かように考えておるのであります。併しこの扱いにつきましては在來やつて参つたのでありますが、できるだけ慎重に、親切にやつて來たつもりであります。
  160. 玉柳實

    玉柳實君 只今の点でありますが、国家が補償するから既得権を侵害していいという理窟にはならないことは当然でありますが、ただ若し漁業に無期限に許可をしておるものでございますれば、最近のような濫獲によつて資源が枯渇することを防止して、いろいろ漁業永遠の振興を図るというような大局的な目的から、既得権でも構わない、制限を加えるということは、或いは公共の利益に合致するというふうに考えられるのでありますけれども、漁業許可に大体私は期限を附してあるのではないだろうかと思うのであります。從つて或る期間たてば権利は消滅して行くことになると思うのであります。而も又、許可を與えます際に、それを許可することが一応公共の利益に合致しているか、違反していないかということを考慮して、然る後に許可を與えると思うのであつて、それを後方から政府が別の理由を担ぎ出して、あれは公共の利益に反するからというので、取消すということは、やはり既得権を尊重するゆえんではないという疑義が確かに残るのではないかと、私は思います。もうすでに現行法にもなつておるわけでありますから、他の多くの議員も違反はなしとして御承認になつたことかと思いますので、これ以上申上げるのも如何かと思いますけれども、将來立法せられる場合において相当私は考慮せられるべき問題ではないかと思つております。意見だけを申上げます。
  161. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何かございませんですか。……ございませんければ御質問は終了したと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは本案の討論に移ります。賛成のかたははつきり賛成、反対のかたははつきり反対とお述べ願いたいと思います。
  163. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この水産資源保護法の制定につきましては、提案者各位が熱心に長い間研究されまして、日本の水産業について最も重要な、又必要な問題を盛り込んで、漁業法と共に重要な法律として今後実施されて行くことと存じます。勿論この法案に対しまして私は賛成をするものでありますが、ただ今朝來質疑を交しますうちに、内容的には何ら問題となる点はないにいたしましても、法文の上においてなお多少の手を入れる必要のある点が二、三あるかに存じます。この点につきましては、今後の機会を以て、これを是正するような手段を講じて頂きたいということが一点と、もう一つは、先ほど來私が述べましたように、これに盛られております条文は、すでに長い間実施せられております漁業法のうちにも幾多ある問題であります。又資源枯渇防止法のうちにも盛られておるものをこちらにまとめたに過ぎないものも多々あるのでありますが、問題はこの規定されております重要事項の実施如何ということにあるのでありまして、過去において法文がありながら実施されなかつた。ここに法文ができたから実施されるということにはなかなかならない。從つてかような独立した保護法というものを制定いたしましたからには、この法の趣旨に則りまして、從來の水産の絶えず弱い地位に置かれておつたことを、この法律制定を契機といたしまして、強力に推進いたしまして、この法律内容を活かして行くように、御当局の一段の努力を要望するものであります。この二点を要望いたしまして本案に賛成いたします。
  164. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御意見ございませんか。
  165. 玉柳實

    玉柳實君 私も只今秋山委員の発言と同様な希望を申述べまして、原案に賛成いたします。
  166. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは採決に入ります。本法案に賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  168. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決されました。  なお本会議における委員長の口頭報告は、その内容一切を委員長にお任せすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは本院規則によりまして、多数意見者の署名を附することになつておりますから順次御署名を願います。   多数意見者署名     千田  正  櫻内 義雄     秋山俊一郎  玉柳  實   —————————————
  170. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に漁港法の一部を改正する法律案議題に供します。本法律案は極めて簡單な法案でありまして大体港湾法の改正に合致するように漁港法の一部を改正されております。これに対してご質問があつたらお願いいたします。この法案は総括的には川村議員から逐条的には林漁港課長からこの前の委員会で詳細に御説明がありました。
  171. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 ちよつと次長さんにお尋ねしたいのですが、この案の説明の、理由というところに、「北海道の漁業の発展を図るため北海道における漁港施設を速やかに整備する必要上、その修築に要する費用に関する国の負担又は補助の割合を引き上げる等の必要がある。」と、その理由がここにちよつと書いてございますが例えば国の負担又は補助の割合に、大体お見通しとしては、北海道は從來よりはどのくらい余計補助、負担を引上げて行くのでありますか。
  172. 山本豐

    政府委員山本豐君) 從來の補助率から三割五分程度引上げになるわけであります。これは御承知のように、例の港湾法との均衡の問題が前国会でありましたか、港湾法が通りましたときに、港湾法ではこれを当初から北海道は十割補助というものになつておつたのであります。そのときにも漁港がこれらの率で、港湾だけが全額補助をいたしますと、均衡を失するというのでいろいろ議論になつておつたようでありまするが、然らば予算の上でどういうことになるか御懸念だろうと思うのでありますが、大体北海道は現在の公共事業の予算の結局配分の方法でありますが、北海道の公共事業につきましては、大体内地と北海道とを大分けにいたしまして、そのうちで、北海道で具体的に漁港を選んでやつておるわけであります。我々といたしましても、漁港の予算が現在そう十分でないのでありまするが、併しこのことによつて内地が非常に圧縮を食うというふうなことはないであろうというふうに考えておるのであります。問題は又北海道の特殊性を考慮いたしまして、港湾法の扱いと同じにするという点にあるわけであります。
  173. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 私のお尋ねが無理なのですが、実際上は北海道に從來この程度出ておるが、これだけ今度の引上げで殖えるのだということが、本当は聞きたいのです。それから同時に、今次長のお話のように、それが内地のほうに影響があるかないかというところに大きな懸念を持つのでありますが、そうしますと、この負担なり補助の割合の引上げによつて水産庁としては予算がそれだけ殖えるだけの分は、從來よりも余計獲得できるという御確信を持つておられるのですね。
  174. 山本豐

    政府委員山本豐君) 現在すでに今、來年度の予算の折衝に入つておるのであります。ところが御承知のように、予算扱いは北海道は開発庁という関係で、公共事業のやつは全部そこでまとめて総額が一応出て來るわけです。そこで内地のほうは内地のほうで別途に大体所定の方針に基いて予算の要求をやつておるわけであります。勿論北海道の漁港と内地の漁港と、結局漁港全体では幾らになるかということが結果として出て來るわけでありますが、実際上の扱いといたしましては、北海道は北海道の漁港その他を加えまして開発庁が全体幾らというふうな大枠がきまるわけであります。そういうような事情がありまするから、間接的には、お話のような点もこれはなきにしもあらずと思うのでありますが、面接には一応区別をしておりまするから、そのことによつて内地が非常に圧縮を食うというようなことはあり得ないであろうし、我々もそういうことのないように努力したいと考えておるわけであります。
  175. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 今のお話で大体了承は行くのですが、そうすると、更に私ら少し疑念をもつのであります。というのは北海道の開発庁ができる時に、この水産関係の問題について委員長からもいろいろ質問をせられたのでありますが、今のお話を聞くと水産庁のほうにはいわば殆んど権限がなくて、開発庁任せだと、こういうふうにとれるのでありますが、そうなつて來ると、この法案審議に際してはどうしても開発庁の人に來て頂いて、いろいろ私はお尋ねしたいと思いますが、如何でありましようか。
  176. 山本豐

    政府委員山本豐君) 開発庁任せという意味ではないのでありますが、勿論漁港につきましては、現在水産庁の漁港課で全国の計画を立てております。又それに即応してやつておるわけであります。ただ扱いとして、それを一応二つに割つて北海道分については開発庁で、開廃庁の門をくぐつて安本その他大蔵省と折衝する、そうして全体の中の一つとして入つて行く。内地のほうについてはそういう中間団体がございませんから、直接安本、大蔵省と話して行く勿論出発と最後においてはやはり漁港としては内地、北海道を通じた予算額になると思うのでありますが、段取を言いますると、北海道はその間に開発庁が狹まつて参るという、こういう意味であります。ただ将來開発庁がどのようにこれを強く取上げて行くようになるかの問題は、これはまだ現在わかりませんけれども、現状におきましては開発庁もできた早々でございますし、大体においては実体は水産庁のほうであずかつて、ただ手順として開発庁の介在があり、又開発庁の発言は若干あると思うのでありますが、大体は水産庁の意向が相当にそのまま安本なり、大蔵省に伝わつておると、こういうふうに思つております。
  177. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私から申上げますが、あの時、私は開発庁の法案に対しては絶対に反対しておりました。その際、田中道知事の答弁は、北海道の水産に関するすべての計画は道知事において立てる、こういう工合に私に答弁があつた。その際、増田長官は、開発庁においても立てる、立てるが、大体その両方の案は十分勘案して一致するようにしたい、こう初め言つておつた。あとでは大体北海道の立て方の基本として開発庁でやるというような答弁がありましたが、その辺のことを一つはつきりお伺いしたい。
  178. 林真治

    説明員(林真治君) 私から補足的に申上げます。只今次長から御説明がありましたように、総括的には水産に関する問題、即ち漁港に関する問題といたしましては、農林省の外局であります水産庁が所管をしておるわけであります。從いまして先に御承認を得ましたいわゆる整理計価というようなものは、これは私のほうで、私のほうと言うと語弊がありますが、水産庁で原案の確立を見たわけであります。それから先ほど申上げました予算編成の問題につきましては、これは閣議の申合せによりまして、御承知のように公共事業全般につきましては経済安定本部が編成いたしまして折衝をしておるわけであります。各省はこれに対する資料の提供は内容的にやつておるわけでありまして、現在の制度から行きますと、直接に予算の編成には参画はしていない。公共事業一本といたしまして経済安定本部がやつておるわけであります。これに対しまして北海道開発に関する公共事業費というものは予算編成の面から申しますと、経済安定本部でなくて開発庁にあるわけであります。事業の認証に当りましては、その他の北海道以外の地域におきましては各省が経済安定本部の認証を得て実施に移しておる。そこで予算の組替えが行われるという、こういうことに相成つております。北海道に関しましては、開発庁の予算上から申しまして、先ほどのように北海道開発に関する公共事業費というので別枠になつております。総理府所管になつております。これは勿論内容は各省と協議してやつておるわけでありますが、從つて開発庁から安本の認証を得ましたものを、実施に当つては、直轄事業は開発庁に、その他補助事業については各省に予算の組替えが行われるわけであります。そこで北海道に関しまする現在の漁港修築事業は、これは御承知のように北海道営でやつております。即ち補助事業として扱つておりますので、農林省、水産庁予算の組替えがありまして、私どものほうから補助金も交付し、実施に移しておるわけであります。それから先ほどお話のございました内地と北海道との予算上における今後の問題というふうな点につきましては、先ほどのお話のようにそういう予算の編成に相成つておりまする関係上、表面的に申しますると、お互いに掣肘を受けるということは現在のところない、こういうことになろうと思います。実質的に申しますと、それは法律上問題になつておりましても、いろいろな問題があると思いますが、少くとも内地と北海道の漁港の問題について直ちにこれが必ず及んで來るという問題ではないと考えておるのであります。又、丁度編成期でございますので、事業計画としてまあ我々はいろいろ進めておるわけでありまして、ここでこの法律案が成立いたしまするならば、それに從つて現在編成の途上にありまする予算についても経済安定本部、或いは大蔵省としても大体の了承を得ておりますので、予算の金額の面についても考慮を払われるべきであろう、こういうふうに考えております。
  179. 玉柳實

    玉柳實君 今回の改正案の趣旨は、北海道における補助率の引上げのほかは殆んど事務的な規定ばかりでありまして、別段私も異議はないのでありますが、この機会関連して、ちよつと議題以外の点についてお伺いいたしたいと思うのであります。それは漁港法におきまする漁港審議会の存在価値につきまして世上とかくの批判を聞くのでありますが、水産庁におかれましては從來の実績から考えまして、漁港審議会は将來に亘つても存続すべき理由が大いにあるというふうにお考えになつておられますか、或いは将來のことは一つ輿論を聞いて十分研究して見ようといつたようなお気持を持つておられますかどうか、この機会に伺つておきたいと思います。
  180. 山本豐

    政府委員山本豐君) 漁港審議会の扱い方についてお尋ねがあつたのでありますが、これもまあ私たち率直な意見を申述べますると、現在までのところは予算の獲得であるとか、或いは又この漁港法に謳われておりまする漁港整理計画の作成であるとか、こういう点におきましてかなり私は審議会自体が働いてくれたと、こう思つておるわけであります。ただ御承知のように漁港の予算は制限がございまして、而も全国的には非常に必要を感じておりまする個所が多いのでございまして、あつちこつちの各県から要望が非常に多いのでありまして、從つて漁港審議会の委員のかたは、只今これは全国で或る程度区域を割りまして、そこからの代表という意味で一人ずつ出てもらつておるのでありますが、その海区から出ておられる委員のかたがたにとつても、又地元にとつてもそのかたに頼るということ等もありまして、これは実際には審議の上に直接非常に影響を及ぼしているとは思わないのでありますが、第三者から見てそういうふうな噂も或いは出て來ておるのではないかというふうに思うのであります。從いまして、この委員会の構成等につきましては或いは今後或る程度修正をして行かなければならんじやないか。現にここに川村さんが前におられまして、随分変な話でありますが、当初国会方面からも一、二出るということで川村さんが出ておられたのでありますが、任期が満了になりまして、今回は川村さんのあとは国会方面から出ていないのであります。そういうふうなことでありまして、今後のいわゆる構成の問題につきましてはやはり相当輿論その他も頭に入れて考究しなければならんとは思つておりますが、審議会自体を今直ちに廃止する、そういうふうな考えは私としては現在持つていないのであります。ただこれをとかくの批評を受けないようにいい面だけを更によく伸張させて行きまして、漁港政策の推進に役立たせて行きたいと、かように考えております。
  181. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 二十八条の四項の第一号で、委員の選挙について從來は選挙によつて出て來ておつたのが、今度は推薦によるということになつておるようでありますが、この理由をもう一度御説明を頂きたいと思います。
  182. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 特に漁村を代表する委員は、その選挙の方法を省略して、選挙によつて選任をされたような趣旨を失わない程度に、漁業協同組合の推薦によつて管理委員を市町村がこれを任命して行くというふうに改めたいと、こういうことになつておりますが、実は公選にいたしまする場合におきましては、もう御承知通り選挙になりますというと、相当時間的にも長くかからなければなりませんし、又、経費等の問題も相当にこれは町村の負担なり、或いは漁業協同組合なり或いは漁民の関係団体が負担をしなければならん。なかんずく盛漁期に若し選挙に入りましたときには漁を休んでもその選挙をしなければならない、又その選挙期間は運動をしなければならないといつたようなことで、相当煩瑣になる虞れと、時間の消費と、それから経費が非常にかかるといつたようなことでありますので、漁村においては中核団体でありまする協同組合が推薦した者であるならば、やはり漁民の選挙によるも同様でないかというようなことでありますので、かような方法で今度はいわゆる推薦をして、任命をするというふうに改めるというふうに相成つたのであります。
  183. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この問題は、表面から見ますと何か逆戻りをしているような感じがあるのですが、今の御説明によりまして時間の問題及び費用の問題は御尤もに存じますが、こういう意見が相当業者の間にあるのでございますか。
  184. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 業者の間におきましては、やはり協同組合が推薦したほうがいいという声も相当聞かされておるのであります。なお国のほうからいたしましても、選挙によりますとこれは実際問題として相当に手続上の煩瑣があるのであります。かようでありますので協同組合がいわゆる推薦したという場合は、漁民が選挙によつたも同様でありますので、そういう煩瑣を避ける。或いはこの漁港の管理は一ヵ町村に一つの場合もありますし、又三つの場合もある。それから甚だしきに至りましては、北海道のごときは四つも五つもあるところがある。こういうふうになりますので、これらを一々管理することをするたんびに、選挙をしておりますと、非常な漁業協同組合が、つまり漁民も迷惑をこうむるといつたようなことから、その漁港の管理は漁業協同組合が中心となる場合が多いのでありますから、そうした今のような公選の煩瑣を省略して、その地元の漁業協同組合が、いわゆる漁港にありまする漁業協合組合が推薦をしたほうがむしろ民主的でないかと、かように考え改正をしたのであります。
  185. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 御趣旨はわかりました。わかりましたが、市町村長が関係水産業協同組合の意見を徴するということになつておりますが、協同組合が意見を述べる場合には総会なら総会でその推薦する者をきめるか何かしないと、協同組合の一部の人間が推薦したのじや困ると思いますが、そういうことは何か協同組合のほうにあるのでございますかね。
  186. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 勿論重要な役割をなす管理委員を決定するのでありますから、ただ單に役員会においてこれを推薦するとかというようなことをせずに、でき得れば総会でありますが、総会と言えば何千人といつたようなところもありますので、これ又漁業協同組合の事務の煩瑣と経費の問題もありますので、少くも二百人以上のところは総代会が決定されておりますので、その総代会いわゆる、総会に代るべき総代会で推薦するという建前でやらなければならないと、かように考えております。
  187. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか。
  188. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちよつと法文を見ておりますから待つて下さいませんか。……お伺いしますが、そういつたような場合に、漁業協同組合がその委員を推薦するということについて、この水産業協同組合法に何か謳つた個所がございましようか。
  189. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 水産業協同組合法にはありません。恐らくこの法律改正されますというと、あの協同組合の定款の上に何かこれを現わさなきやならんじやないか、かように考えております。
  190. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは場合によつては問題を釀す虞れがあると思うのです。何かそこにはつきりした筋途が通つておりませんと、協同組合が今言つたような経費の節減で簡便な方法をとりますといろいろ異論が出て來て、地方によつてはスムースに行くところがあるが、地方によつてなかなかやかましくなる問題もあると思いますが、私もまだこの協同組合法を調べておりませんけれども、何かそういう重要な事項について総会とか或いは総代会とかいつたような規定があるはずでありますが、ただここに委員を推薦するという何があるかどうかということをまだ見出し得ないのですけれども。
  191. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) そういうようなのは協同組合法にありませんけれども、重要事項に対しては総会若しくは総代会を開くことに大体なつておりますので、管理委員を推薦してもらいたいという申込がありましたら、これは重要事項として現在の法律でも組合の総会若しくは総代会を開くだろうと思います。
  192. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういうふうなお取計らいになるならば了承できます。今後この問題はいい加減にやると問題を起しやすい点だと思いますので……。
  193. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 今秋山さんの御意見至極御尤もであります。勿論この法律改正されますと、いわゆる漁業協同組合の末端まで行き渡るように、これは水産庁からよく指導をしなければならない。又勿論、都道府県にもこの旨を十分会得せしめて指導させるような方法で以て万遺憾なきを期したいと、かように考えております。
  194. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問ございませんか。……御質問がなければ御質問は終了したと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。御意見がなければ採決いたします。本案に賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  196. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 全会一致と認めます。よつて法案は原案通り可決いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告は、例によつて委員長にお任せ願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それから本院規則によりまして、多数意見者の署名を附することになつておりますので、御署名を求めます。   多数意見者署名     千田  正  櫻内 義雄     秋山俊一郎  玉柳  實
  198. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会