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1951-10-25 第12回国会 参議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)    午前十一時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉田 法晴君    理事            杉山 昌作君            千葉  信君    委員            加藤 武徳君            木下 源吾君            森崎  隆君            小野  哲吉            紅露 みつ君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君   事務局側    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○調査承認要求の件 ○派遣議員報告国家公務員給与問題に関する調査  の件  (給与改訂に関する件)  (地域給に関する件) ○本委員会運営に関する件   —————————————
  2. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それでは只今から委員会を開会いたします。  二十二日の委員長理事打合会の結果によりまして、公務員制度に関する一般調査承認要求を提出することにいたしたいと思うのでありますが、御異議ございませんか。
  3. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それでは調査承認要求書を提出することにいたします。   —————————————
  4. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 次に議員派遣報告をお願いいたしたいと思います。
  5. 木下源吾

    木下源吾君 これは大分時期が何して遅れたのですが、そうして現在の情勢と非常に又変つて来ているのですけれども、主要な部分だけを一つ報告します。  六月七日公務員給与、特に勤務地手当の問題について、各地事情調査した概略を御報告申上げます。参りました所は、只今申上げた六月七日から十日間、主として四国、九州地方であります。現地は香川、愛媛、大分宮崎等の各県について調査したのでありますが、途中徳島、鹿兒島、岡山、和歌山の各県にも寄つて参りました。この各地とも特に痛感いたしましたのが、やはり従来と同じ公務員給与問題、特に勤務地手当の問題に関しましては、理事者、組合、或いは党派の別なく、共に適正な支給実現を期待しておるということです。而してこの適正なる支給率、或いは又地域区分等に関して早急にこれを是正し、そうして実現するように希望しておる点であります。各地方とも人事院の去る五月十七日の勧告以来、地方支給地比較上どうしても自分たちのほうもこれが支給されなければならないということは、地方々々において一般的にもうこれは認められて、これは勿論当然だという何がありますので、従つてこれが実現のために自分たちではどうすればいいのかということを強く我々に聞かれたんです。従つてそれはまあ我々としては、政府はいろいろ調査をしておるが、なかなかこれは広汎な地域亘つて、又経済事情等も時々変るので非常に困難な問題であるので、できるだけ要望国会又はそれぞれ当局に反映するような努力が必要であろうというようなことを申さざるを得なかつた次第であります。従いまして、爾後これらの各県の未支給地からはいろいろ陳情請願等が来ておるだろうと思いますので、これらについて仔細に調査せられることが当局も又国会も非常に参与になると考えております。従いまして、私はこの場合は個々のこれらの問題については詳しく御報告を申上げることを省略しても可なりだと思うのであります。なお併しながら詳細につきましては、別に書面の報告を提出いたしますので、只今申上げました地域調査をして来たということにとどめて御報告を終りたいと、かように考えております。
  6. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 別に御発言ございませんか。
  7. 千葉信

    千葉信君 それでは私から第十回国会閉会後に派遣されました地方公務員に対する給与実情、特に地域給に関する調査報告を申上げます。同道されました紅露委員のほうから、あとで私の申上げた報告についての補足御報告をお願いすることを前提として御報告申上げます。  七月一日に出発いたしまして、参りました地方盛岡秋田、それから岐阜市、高山市、富山市、高岡市、金沢市と、日程以外に福井に七月十七日立寄つて調査をして参りました。盛岡に参りましたときには、岩手、青森、宮城の各県から御参集を頂きましたし、又秋田に参りましたときには、山形、福島の各県を加えて三県の調査をいたしました。  それから岐阜高山等もその各県の状態についてつぶさに調査をいたしたわけでございます。いずれも各地においては公務員諸君代表者並びに地方における理事者側幹部諸君も多数の御出席を得まして、盛岡秋田等におきましては、前後七時間に亘る懇談会を開催したわけでございます。ところがそのいずれもの懇談会で一致した要望としてありましたことは、現在の段階においては少なくとも人事行政上貢献すべき筋合の地域給の問題が、むしろ人事行政の障碍になりつつある状態が非常に多数発生しつつある事実がある。従つてそういう状態についてはいずれも政府から資料の提出も受けましたし、又個々については非常に微細な点に至つて要望がありましたので、そういう点については私どもとしても慎重に取扱う必要があると考えて参つたわけでございます。  次に一般的な問題として、今申し上げたように地域給の問題で非常に不利益な取扱を受けたとか、或いは納得できない支給を受けそうだということで非常に心配している問題の一つには、やはり従来我々が国会において問題にして参りました。この前の人事院の五月十七日における勧告の欠陥というものが、大きい影響を与えているようでございました。特にそのうちで具体的に申し上げますと、例えば東北等の場合、東北の現在の物価水準状態、特に朝鮮動乱等影響が、接壤地帶から始まつて比較的緩慢な形において影響を受けた東北実情からすると、東北に未給地一つもないということはどう考えてみても、どう物価調査してみても、どうしても自分たちとしては納得できないというような、そういう意見もかなり強硬にあつたようでございます。  それから又具体的には、例えばこの前の人事院勧告の非常に特異な性質としては、人事院給与局のほうで作成されました最後案に対して、最後人事官会議等におきまして、給与政策上従来の実績を割らないというような考慮が頭にくつつけられたということが、これが非常にアンバランスを生ずる原因になつておるようでございます。例えばその点を具体的に申し上げますと、岐阜県の各地と、名古屋を中心とする愛知県各地とのアンバランスの問題、一方は既得権が尊重されており、而も一方はその後における物価の上昇の状況は、完全に既得権を保障された地方と不公平を生じつつあるというこういう点、それから又そういう状態というのは例えば北陸地方に参りましたときに、やはり北陸の或る県庁所在地既得権を保障されたために、それらに連なる各県のうちにも又同様の均衡上何らかの考慮が加えられた傾向があるということを、地方諸君は非常に強硬に主張しております。ところが例えばこの場合に問題になりますのは、そういう取扱を受けた際、富山市の場合と全く同等な条件に置かれておるところの高岡市等の場合に、そういう点について非常に不満が多かつた点でございます。又これに対する資料のようなものを私ども頂いて参つたわけでございます。こういう状態を見ますと、そうして又懇談会を通じての地方の多数の公務員諸君、或いは理事者諸君意見としては、必ずしも自分たち都市だけとか、自分たち地方だけを何とかしてという、そういう要望というふうに私ども聞いて参つておりません。私どもの聞いて参つた結論というのは、結局人事行政上からも、それから給与の公平という原則から言つても、物価状態生活程度状態等を十分に考慮しながら各地域に対して公平な地域給支給決定をしろ、こういう意見でございました。決して私たちのほうだけを何とかしてくれというような、そういう意見ではなかつたようでございます。まあそういう地域懇談をしました結果、例えば実情を上申といいますか、請願をするために持つてつた資料等について、いろいろ私どもの公平な立場からの助言を試みた地方もございますし、又場合によつては私どもの実際の調査と必ずしも即応しておらない資料なんかに対しては、私ども正直にその修正方勧告して参つたようなわけでございます。こういう状態から見ますと、地域給の問題は非常に安易に取扱われて来た傾向がありまするけれども地方公務員諸君等要望を考えますと、私どもとしてはやはりこの問題は個別的な地域的な問題として取上げるよりも、先に先ずどうして公平を期するかということがこれが一番我々として真剣に考えなければならん問題だろうと思うのです。勿論地域給支給区分等決定については相当困難もありますし、例えば幾ら調査をし、幾ら研究しても、これを最後的に絶対公平を期するなどということは不可能事だというような御意見もあるようでありまするが、併しながら現在のような非常に給与の低い生活給という段階の中では、やはり我々としては地域給支給はこれは尊重しなければならないし、尊重する以上、相当困難性はあるとしても、我々としては絶えずこの問題に対するまじめな真剣な研究を続けながらいろんな困難を克服する必要がある。こういう私ども結論を持つてつたわけでございます。で、今度の調査をいたしました先に申上げた各県並びに福井県の実情等については、私どもその陳情や個個の面接の中から、その陳情請願趣旨が妥当だと認められたものに対しては、これを別途携行して議長宛請願書として提出するという方法をとつて参りましたので、詳細については委員会における地域給の審査の際に私ども携行いたしました請願書の具体的な御説明や、又慎重な審議をすることによつてこれ以外の御報告に代える所存でございます。
  8. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 別に御発言、御質疑等ございませんか。
  9. 紅露みつ

    紅露みつ君 東北北陸方面における調査報告は、只今同行者千葉委員から詳細にお述べになられまして、この上補足することはないと思いますが、ただ私の印象に深く残つておりまするのは、この勤務地手当の問題が公務員のかたがたに、当事者だけでなく、人事交流等に対してもこのアンバランスは非常に悪影響を持つということで、各地婦人団体等が特にこの公平な扱い方を今後に期待するという発言を到る折で私はその陳情を受けたのでございまして、全くこの勤務地手当というものは、人事院では如何にもその部分的な問題だというようなお考えが未だにあるようでございますが、決してこの問題はそう小さな部分的な問題でない、波及するところは非常に広いということを痛感して帰つた次第でございます。その他につきましては、千葉委員からお述べになられました通りでございまして、補足する点はほかにないと存じます。
  10. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 別に御発言、御質疑等ございませんか。
  11. 加藤武徳

    加藤武徳君 私もこの機会に私の調査いたしました地区につきましての御報告をいたしたいと思います。国家公務員給与問題につきまして、主として勤務地手当支給地区分の問題、これにつきまして、私は北九州福岡佐賀長崎の三県の調査を行なつたのでありますが、これにつきまして簡単に御報告申上げて置きます。  給与問題、特に勤務地手当の問題につきましては、各地方においても非常な関心を持つておられることは、いま千葉委員が御報告された通りでありまして、特に勤務地手当支給地区分の問題は長い間の懸案でありまするし、先に五月の十七日人事院から勧告が出ておるのでありまするが、各地方で熱心に討議が行われていまして、各種の調査も進められており、その適正な解決を要望する公務員諸君の強い要望、これが津々浦々にまで行き亘つておるのであります。従つて今回の調査に当りましては、終始熱心な議論が展開されまして、各地方からも詳細な資料が出て参つておりまするし、我々の調査も得るところが極めて多かつた、このように考えております。これらにつきまして、各地方別に簡単に概要を御報告いたします。  先ず福岡地区におきましては、県下全般実情に関して各地区代表者参集願つて懇談を行なつたのでありまするが、個々地方、各市町村実情に関しましては、別途資料を添えまして、文書で御報告いたしたいと思うのでありまするが、先ず第一に問題となりましたのは、昨年以来朝鮮動乱影響によりまして、局部的な物価の騰貴が起つておる、特に北九州は基地が多く設定されておりまするので、市場が急激に活況を呈しておりまして、従つて特殊な繁華街の様相を呈しておりまするし、日用品、雑貨、生鮮食料品等の諸物価も急騰を示して参つておりました。これに伴いまして、多数に上る日本人労務者通勤接客婦、商人の集中、農耕地減少等によりまして、純然たる消費地として在住官公職員生活も重大な影響が起りつつあるという実情をつぶさに見て参つたのであります。これらが第一点であります。  第二の問題は、大都市周辺隣接町村の場合であります。地域給制度を認める以上は、何らかの境界によつて地域差をつけなければ、ならないのは止を得ない措置ではございまするが、これはただ単に行政区画が異るために隣接の市と格段の開きがあるということは、人事行政上極めて支障がある。このことはいま紅露委員が申された通りでありまして、私もこの点をつぶさに眺め、又屡々事情を訴えられたのでありまして、人事院措置につきまして、若干了解に苦しむ点がないこともなかつたということを附加えたいと思うのであります。  第三番目に鉱山地帯でありまするが、御承知の鉱山地帯は特殊の事情を含んでおるのでありまして、嘉穂とか田川とか、鞍手とか、遠賀、この筑豊四郎は日本最大炭田都市でありまして、この地区に関しましては、特に配慮が必要である、このように感じたわけであります。  それから次の佐賀県についてでありまするが、先ず県下全般実情調査いたしまして、二班に分れて県内の各市町村廻つたのでありまして、私の担当いたしました地区につきまして、これ又資料を添えまして、文書報告をいたしたいと思いまするが、先ず問題となりましたのは、県と県のバランスの問題であります。即ち福岡長崎両県との比較、釣合の問題でありまして、佐賀県の最高は佐賀市、唐津市の二級地にとどまつておるのでありまして、これを隣りの県の市町村比較いたしました場合に、まあ経済的な条件物価実情等から比較いたしました場合に、殆んど逕庭がないにもかかわらず、他の県とのバランスが破れておりはしないか、こういう感じを強く持つて参りました。従つて受給者側といたしましては、納得できない点を多々指摘しておりまして、その多くは我々の了承できた点なのであります。又県から申請されました資料人事院勧告の相違について、現地では疑問を持つておる点があつたのでありまして、県より申請した資料がどの程度尊重されておるのか、又このSCPSも実施されない町村について、如何なる調査を行い如何なる根拠によつて判断を下されたのか、人事院措置につきまして、これらのことについて現地の強い意見等があつたことを附加えておきたいのであります。なおこの他に最近急激に進展いたしました二、三の都市につきましては、是非特殊事情を織込んで頂きたいという強い要望があつたのであります。  最後に担当いたしました長崎県についてでありまするが、長崎県は日程の都合上十分に余裕が当えられなくて、県庁におきまして各地区代表者参集願つて懇談を遂げた程度でありまして、実地について検討できなかつたのは極めて残念だと思いまするが、福岡なり長崎におきまして我々が受けました印象、又要望された事項、大同小異のことを伺つて参つております。で、その大要は、朝鮮動乱によりまして同じく随分と影響を受けた都市があるのでありまして、これらの都市北九州におきまする状況大同小異で、特に佐世保等におきましては、この印象を強くして参つておるのであります。長崎におけるSCPS地域差指数比較しましても、福岡市とやはり大差がない、こういうことで長崎市につきましては現地を見せて頂いております。それから特殊の事情といたしまして、五島、壱岐、対馬等につきまして、これらの離島について格別の配慮が欲しいという要望でございました。  以上が各県におきまする調査概要でありまするが、最も公平を要する給与問題について、地域給の適正な決定は技術的にも極めて困難であり、とかく地元の不満を招きがちである事情は了承いたしましたが、全国各地方におきましても真剣な検討を加えて、詳細な調査資料を作成し、提出せられておる熱意に対しましては、立案者たる人事院といたしましても、誠意を以てこれを受け入れて、所要の検討を加えられたいと、このような結論を得て参つております。  以上が私の担当いたしました地区におきまする概略報告でございます。
  12. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 各地調査においでになりまして、正規の調査地域以外に互つて、御調査願つたことについて深くお礼を申上げなければなりませんが、これにつきましての発言質疑等もございませんならば、了承いたしまして、それぞれ調査報告書を提出して頂くことにして、この点については終りたいと思いますがよろしうございますか。   —————————————
  13. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それでは次に、人事院の先般の一般職職員給与に関する法律の一部改正に関する説明をして頂きたいと思います。
  14. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それでは去る十月の十八日に、人事院が八月二十日附で行いました給与水準引上げ勧告に伴いまして、これを実施するためには如何なる法律案を作つたらよろしいかということにつきまして、意見申出でをいたしたのでごでいます。そのことにつきまして御説明申上げたいと思います。  この一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律の案につきましては、去る八月二十日勧告いたしました給与水準引上げの際にも、いろいろ申出でいたしましたことを、法律の条文の形にして書いただけでございまするから、取り立てて申上げることはないのでございます。ただ勧告になかつた点で、新らしく法律意見申出で加つた点がございまするので、その点につきまして若干御説明申上げたいというふうに考える次第であります。なお勧告の際に申上げておいたことではつきりしなかつた点をこの法律の一部を改正する法律の案におきまして、はつきりいたした点がございます。その点はどういう点かと申しまするといわゆる現業的な職務に従事されまおりまする特殊な職員に対しまして、特別に俸給表を作成するということを申出で勧告いたしたのでありまするが、その俸給表名前を今回ははつきりといたしました。それは企業官庁職員級別俸給表というふうにはつきりいたしたのでございます。その趣旨は特に企業官庁というもの特殊性というものを十分認めまして、そうしてそういう職員に対しまして特別俸給表を適用いたそうという趣旨であります。現業という言葉を仮に使いまするならば、現業事務というのは非常にあいまいでございまして、いろいろの場合に現業範囲を限定するような説明が付せられておるのであります。非常に広くなつて、各省庁全般に及ぶようなことになる可能性もあるのであります。我々が企図した今回の狙には、飽くまで企業官庁の実態に即応するということが趣旨でございまするから、現業という言葉を避けまして、企業官庁職員級別俸給表というような言葉にいたしておるわけであります。即ち造幣庁工場勤務する職員印刷庁工場勤務いたしまする職員、林野庁の営林局に附属しておりまする工場及び営林署に勤務いたしまする職員、通商産業省のアルコール工場勤務する職員、郵政省の地方貯金局地方簡易保険局及び郵便局勤務いたしまする職員電気通信省地方電気通信局建設部及び地方電気通信部建設工事を所管する課、並びに地方電気通信管理所地方電気通信取扱局、及び施設局資材部出張所と、こういう所に勤務をいたしまする職員というふうに、範囲を明確に限定いたしたのであります。  この企業官庁職員給別俸給表は、一級から九級までございます。併しこれはすでに御存じのように、一般俸給表で申しまするならば、二級から十級に相当いたすわけであります一般俸給表の十級以上の人につきましては、この企業官庁給別俸給表というものの適用はないということになるのであります。  次に今回の意見申出の中におきましては、去る五月十七日に勧告いたしました勤務地手当支給地域区分表というものがこの中に載つております。別表を御覧頂きまするならば、この中で従前我々が勧告いたしましたものと若干違いがあるのであります。それは如何なる理由かと申しまするならば、その中に従前大蔵省においてこの問題を所管されておりました際に、いわゆる官署指定ということがございました。即ち或る特定地域、即ちまあどこでもよろしうございまするが、勤務地手当のついておりまする地域、その地域には存在しないのでありまするけれども、それから比較的近いというような地域におきまして、そういう勤務地手当のついておりまする所からの通勤者が多い、どうして市外にそういう官署が設けられたかといいますと、それはその市、その勤務地手当のついておりまする地域内においては、なかなか土地等が得られませんために、止を得ず少し離れた地域官署が設けられておるという場合があるのであります。そういう際にその官署には多くその地域から通勤しておる人がおる、こういう人の生活事情というものは当然その市に官署がある場合と同様なわけでございまするので、官署指定という措置が講ぜられておつたのでございます。人事院はこういう地域指定というような問題につきましては、人事院に権限を残し、そうしてこの人事院判断によりましてそういう特定地境を追加するというようなことは、いたさないほうがよろしいのではなかろうか、これはすべてこの法律の上で、国会でおきめ願う。およそ給与に関する問題でありまするから、そういうふうにしたほうがよろしいという判断の下に、前回におきましては官署指定を逐一調べ上げまして、それを皆字ということで別表に載せたのであります。これは話を聞いて見ればよくわかることでございますけれども、この表だけ単に見ますると、どうもおかしい、そういう字が入つているのはおかしいというような感を非常に起すのであります。そのためにそういう字とバランスをとりまして、まだまだ地域指定されて然るべきではないかというような要求が非常に多い、これは我々非常に困るところでありまして、むしろそういう官署は一応表の上から落しまして、そうして従来大蔵省でやつておられたように、官署指定とするのがいいのではなかろうか、余りどう申しまするか、こういう問題を取扱いまする場合に、きれいなことだけといつていますか、国会できめて頂くというようなことだけやつておりますると、実際運営支障がある点があるということを考えまして、今回その官署指定の途を一部開く、即ち五月十七日に勧告いたしました別表から落ちておりまする地域にあります官署は、その官署指定ということで、人事院の規則によりまして指定して行くということにいたしました次第であります。その点が違うだけであります。そのほかよく調べて見ました結果、村でなくて町であつた、或いは町でなくて村であつたとか、或は字の書き間違いがあつたとか、或いはこれは特別でございまするが、同じ名前の所がございまして、間違えて指定しておつたものをこれを今回訂正したというような事務的な訂正はございますが、そのほかは五月十七日の勧告通りということに一応相成つております。  次に奨励手当の問題でございまするが、奨励手当は十九条の三に規定いたしております。この奨励手当は一体どういう人々に支給されて然るべきであるかという問題でございます。これもいろいろ研究いたしました結果、差し当りは企業官庁職員級別俸給表の適用を受けまする職員、これが即ち企業の能率を挙げるという実態に尤も即応いたすわけでありまするから、そういう職員を中心にいたしまして、この奨励手当というものを支給する、但し先ほども申上げましたように、企業官庁級別俸給表と申しまするのは、一般俸給表で申しまするならば、二級から十級に相当いたすところしかない、従つて十一級というようなところは、これははみ出しているわけであります。郵便局長等で十一級というかたがおられる、こういうかたがたにそれでは企業官庁級別俸給表の適用がないから、この奨励手当支給しないというのでは余りにこれは画一過ぎるのでありまして、やはり関係が非常に深い部面に対しましては、奨励手当支給されて然るべきであるというふうに考えまして、そこのところは企業官庁職員級別俸給表の適用を受ける職員及びこれに準ずる職員ということで幾らか範囲を拡げているわけであります。で、この奨励手当の問題は、実は今後職階制に基きまする給与準則というようなものを定めまする際には、改めて検討し直さなければならない問題であろうというふうに考えております。即ち奨励手当というものは、いわゆる企業官庁といつたような一日に申しまするならば、現業的な所というふうなものに支給されるべきものである。現業的なものと言つてもこれはやはり独立採算制をとつておりまするようなところに支給するのが適当であると思うのです。然らば同じ一般職国家公務員でありまして、そういう企業官庁でないところは能率を挙げないでよろしいかということになりますと、これは困るのでありまして、そういうところもやつぱり能率を挙げなければならないわけでありますけれども、それに対する報奨方法といたしましては、必ずしも奨励手当という方法が適当であるかどうかということは問題でございます。従いまして、こういう問題は給与準則の際に、現在の政令三百二十三号というものできめてあります特殊勤務地手当というもの、それから特別手当というようなもの、或いは超過勤務手当のものを今後どういうふうに取扱つて行くかという問題と併せまして、今後きめなければならない問題である。差し当り企業官庁職員級別俸給表の適用があるものを中心といたします職員についてはこれは適用してもいい、併し現在の段階におきましてはまだまだそういう奨励手当支給の基準と申しまするか、規定と申しまするか、そういうものが整備されておりません。従いまして、今後我々はそういうことが必要であるところの官庁と折衝いたしまして、早くこれの規定を定めたいというふうに考えておるわけであります。  以上が八月二十二日に申出いたしました勧告の部分につきまして、主だつた点を申上げたのであります。その勧告になかつた点で、今回新らしく附加えられた部分がございます。それは二十三条に規定いたしておりまする体職者の給与の問題であります。職員が公務上負傷いたし又は疾病にかかりました場合には、現在どういうふうな取扱を受けておるかと申しますと、これは国家公務員災害補償法というのがございまして、その適用を受けるということにもなります。併しながら現実には官吏俸給令等の規定によりまして、その職員が公務上負傷いたしました際には、それが治癒するまで現実に給与の全額の支給を受けておるというのが現在の状況でありまして、併しながらそういう職員が或るポジシヨンを占めておるというものになりますと、公務に支障がある場合がある。従つて休職ということで一応そのポジシヨンから離れて頂きまして、そうして十分休養して頂くということが必要な場合が起るわけであります。尤も皆これを休職にしてしまわなければならんという規定はございません。官吏俸給令は現在生きておるわけでありますから、これは短期間に回復する見込みのありますものは、何も休職にいたす必要はない。従つてこういう方法もとり得るというようなことでこの方法を開いております。公務上負傷し、又は疾病にかかりまして、そうして必要があつて休職にさせられる、そういう場合におきましては、その休職の期間中、これに給与の全額を支給する、こういうことをいたしたいというわけであります。  次に結核性疾患によりまして休むという場合であります。現在はこれはやはり官吏俸給令の規定と、それから結核対策要綱というものによりまして、これは一年間はそういう公務員に対しましては結核の療養をいたす間全額支給されておる。これは休職ではございません。併しながら非常に長い期間やはり療養を要するということになりますると、これは或る場合にはポジシヨンから外に出て頂きまして、そうして十分療養して頂く必要があるので、この場合には結核対策要綱の一年間という規定でなく、従いまして官吏俸給令第三条によりまして、先ず三カ月間は、これは有給で行くわけであります。その間によく見極めをつけまして、これはその後においてそれほど長い期間かからないで治癒するということでありますれば、これは結核対策要綱というようなものによりまして、何も休職にいたさないで全額支給で行く。併しながら相当期間療養を要するという場合には休職を命じまして、そうしてその期間中給与の全額を支給しよう、その期間はこれは教育公務員特別法の例によりまして、二年間は全額を支給しよう、そうしてあとの一年間は予算の上におきまして余裕がありますならば、満二年を超えまして、満三年に達するまで給与の全額、これは予算の範囲内でございますから、或いは一部になることがあるかも知れません。そういう方法で支給したいということを考えておるわけであります。この結核というものは、大体現在はつきりした統計がございませんが、併し我我が持つております或る種の統計によりますると、例えば発病いたして一年以内に治癒する、或いは不幸にして死亡されるかたもあるでありましようが、そういうふうにして一年以内にとにかく治癒するか或いは不幸にして死亡されるというものは約七五%ということになつております。満二年に達しまするものが八五%という数字になります。満三年に達しますと九七%という数字になるのであります。従いまして先ず最初の三カ月間、九十日間は、これは休職になりませんで行くわけでありまするが、その後満二年、更に予算の余裕がありますれば一年、場合によつては結核対策要綱の一年間というものがある場合には使われる場合があるかも知れません。大概そういうようになるわけでありまして、こういう規定を設けるならば結核対策としては万全だろうというふうに考えております。  この問題は、先頃国家公務員災害補償法をいろいろ御審議願いました際に、結核の問題を公務員傷病として取扱うかどうかというふうな御議論がありまして、この点に関しましては人事院としては十分今後研究をするというような申出もあるわけでございます。従いまして今回こういう措置をとらして頂けるならば非常にいいのではないか、そういうふうに考えておる次第であります。結核以外の体の故障によりまして休職させられまする場合、これはまあ現在傷病の七五%以上は結核と言われておるのでありますから、従つてそういう場合は多くないと思うのであります。この場合にこの休職期間が満一年に達しまするまで給与の全額を支給することにいたしたい。又国家公務員法の第七十九条第二号、即ち起訴されましたような場合におきましては、これは本当に初めから有罪だということがわかるものもあるわけでございます。又実際にそうでなくて、とにかく判決があります際まで疑念を以て見られる。ところが実際に無罪になる人もあるわけであります。従いまして刑が確定いたすというときまでは新憲法の精神によりますると、これは常人として取扱われて然るべきであるという感じがいたすのであります。従いましてそういう期間はやはり生きておるということは必要であります。ところが現在はそういう人々が休職させられまするならばこれは無給になります。無給になりまして、そうしてほかに勤めるところもない、どうにもにつちもさつちもいかないというような状況が起るのであります。それで今回休職の期間中に給与の百分の六十、それに扶養手当及びこれに対する勤務地手当支給することができるというふうにいたしたらどうだろうか。尤も明らかに起訴されて刑がきまるというような者にまでこれはやる必要はありません。  従つてこれはできるということにいたしたいのであります。百分の六十という線をなぜ出したかと申しますと、現在生計費の中におきまして、いわゆるエンゲル係数と申しまするか、食糧費の割合は五〇%乃至六〇%というところでございます。従いまして百分の六十というのはとにかく食うだけは見よう、こういう考え方でございます。  その次に人事院規則が定める場合と申しますのは、これは留学生等の場合でございます。留学いたしておりまする際に全然無給というとかあいそうでありまするし、又そういう人々が出張というようなことで行くということでは取扱に又余りに有遇に過ぎるということもあるわけであります。尤も役所の用事等で非常に必要な場合でありまするならば、それは出張にいたして結構であります。併し現在アメリカなどに招聘されて留学いたしておりますような場合、こういう人は割合若い人が多いわけでありまして、主として妻帶していない独身者という人に多いわけであります。こういう人が参ります際に何も全額やる必要はない。併し全然無給というのはこれは甚だひどいわけであります。この第四項に言つておりますように、起訴されましたような場合と同様に食うだけのことはしていいのではないかというので、そういう際には百分の六十以内、これは以内ということを特に付けました。又六〇%やる必要がないものがあるかもわからない。従つてそういうふうなやり方にいたしておるわけであります。即ち只今説明申上げましたように、休職者の給与というものを新らしく勧告以外に附加えたわけであります。そのほかの点につきましては、大体勧告通りでございまするが、ただ勧告のときに比べまして明確にいたしました点と、それから勧告のときになかつた部分につきまして御説明申上げたわけであります。
  15. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 勧告になかつた部分についての四点ほどの御説明がございましたわけでありますが、私から総括的に二、三の点について簡単に御質問を申上げたいと思うのでございます。
  16. 千葉信

    千葉信君 委員長からは後で総括的に御質問願うことにして、先ず委員のほうから特に疑義のある点について二、三御質問をお許しを願いたいと思うのであります。
  17. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 結構です。
  18. 千葉信

    千葉信君 先ず第一番目には、企業官庁職員給別俸給表、この問題についてはたしかに本院における現業職員特別俸給表設定に関する決議の中には、これ以外に厚生省職員に対しても適用するようにしたいという決議があつたはずでありますが、御承知の通り厚生省関係には企業官庁とは言えないまでも、実際上現業と目されるような仕事がかなりあるわけでありますが、これをどうして除かれたかという点が一点と、それから第二点は、例えば郵政省関係等を見ますと、地方貯金局地方簡易保険局及び郵便局勤務する職員というふうになつておりまするし、その次の電気通信省の場合も又同様であつて、通例私どもこういう条項が設けられる場合には、第七としてこれらに準ずる官庁の職員ぐらいの私は手心があるのが常識上普通だつたと思うのです。ところがそういう条項がないばかりが、非常に厳格にこれが規制せられ、而も実情から言いますと、例えばここに挙げられておりまする地方貯金局或いは地方簡易保険局と同様な仕事をやつている職員地方郵政局なんかにはたくさんいるのです。これは調査課という名前でやつているところの仕事ですが、そういう場合の職員の作業の実情、作業の内容等は全く地方貯金局地方簡易保険局職員と変つていない。こういう点で私はなぜもう少し先ほど申上げたように第七としてこれらに準ずるぐらいの条項を設けられなかつたかという点が一点。それから次の勤務地手当の問題に関する御説明の中で第十二条の四項に官署指定の方法を今度おとりになられようとして意見書を出されたようでありまするが昨年九月におけるこの改正に関する意見書の中で、初めて人事院地域給支給別の区分等については国会でこれを最終決定するというそういう勧告を行いました。一面から見れば実はああいう地域給支給区分の決定のような煩雑な、而も非常に決定に困難の伴なう、且つ種々雑多な問題を当然予想される決定国会に持つて来られたということは至極迷惑だというような気持を持つておられるかたがたもあるようでありまするが、併し根本的に言えば、結局人事院が非常に民主的にああいうものの決定というものを国民の代表である国会にやらせるという態度をおとりになつたことは私は非常に大きな人事院の進歩だと思う。ところが今度図らずもそれに逆行して官署指定という問題については人事院が今度これを定めることができるというふうにやられたことは、これは問題の困難性を考えてそういうふうに持つて行かれたのか、それとも人事院の権限を拡大する必要が起つたためにこういう態度に出られたのか、その点を第二点として御質問申上げます。  それからその次に、これは頭の悪いせいでお尋ねするのですけれども、第十九条の二の四項において「各庁における前項の特別手当の支給総額」ということになつておりますが、この場合私ども文字通り解釈すれば各庁における特別手当の総体の金額が、これが百分の八十に達するまではやるようにしてもよろしいということだと思うのです。私の今申上げたような解釈であるとすれば、お尋ねしたいことは各庁におけるというのはどういう区分の各庁を指しておられるか、その点をこの際明確にして頂きたい。  それから給与の問題に関連いたしまして、最後にお尋ね申上げたいことは、人事院の発行しておりまする人事院月報によりますと、第十七号の三十ページの総平均月額と各項目の構成比率という条項の中で、人事院資料によりますると、本年一月一日切替えのものとして公務員に対する一月一日の給与実情は八千二百八十七円ということになつております。俸給が六千四百二十七円、扶養手当が八百七十七円、勤務地手当が七百七十八円、特殊勤務手当が二百五円、この総合計が八千二百八十七円、ところがその次の第三十一表によりますると、この表と同じものが私どもに対する勧告資料としてこの国会に提出されておりまするが、この三十一表によりますると、今申上げた総平均が八千三十三円という数字になつております。これは職員の俸給が六千百七十六円、扶養手当八百九十三円、勤務地手当七百五十九円、特殊勤務手当二百五円その総合計が八千三十三円、而も第三十一表のほうは年間における二十六年度の予算総額を年度を通じて予算定員の総月延人員千百三万八千九十九人、こういうふうに正確な数字で公務員の平均給与額が出されておる、そうするとこれは余りにも違いすぎるのではないか。この点については御承知の通り現在政府のほうで立案されておるという公務員給与ベースの改訂の考え方の基本としては、現在の平均給与見込みが八千五百六十九円になつておる、こういう前提の下に千五百円というような馬鹿々々しい給与の引上げの問題を政府は考えておるようです。従つて現在の給与の月額は一体どういう状態にあるのかということが相当問題になつて来るのであります。これは数字ですから相当政府のほうではいろいろな魔術を巧みに使つておるとは思うのですけれども政府のやり方は別として、人事院自体がこういうような一月現在で八千二百八十七円にしておりながら、一方で年間の平均を見て八千三十三円、而も平均月額というようなものについては、これは単にその月だけではなくて、一年間における平均月額を基本とすることのほうが私は正しいと思います。そういう正しいとか何とかいうことを抜きにしても、なぜ一月一日現在と総平均月額とにこれだけの違いが出たかということについてその理由を御説明願いたいと思います。以上四点についてお答え願います。
  19. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ず最初に厚生省の現業職員を除いたというわけでございますが、これは我々いろいろ研究いたしておるのでありまするが、なぜ企業、官庁職員級別俸給表というものを考えなければならないかという根本は、こういう官署におきましては、どう申しますかその企業の実体をなします職員というものが、その上の監督的業務に従事いたしまするものとの比率が非常に少い、監督的な業務に従事いたしまするものに比べまして、その企業の中心をなすべき職員の数が余りにも大いというような点によりまして考えておるのであります。従いまして申しますならば、頭打ちというような点、そういうものが必然的に七級、八級というところに一番多く現れるというのがこういう企業官庁の特性であります。これはどうしても企業官庁におきましては、上の監督者に行けないようなそういう作業の実体をなす人々が多数おるというような実情があるわけであります。ところが成るほど現業的であるという点は似ておるかも知れませんが、併しやはり上に行き得る余裕が給与定数の問題、或いは級別推定表等によりまして、これはやりようによつて上に行き得るというものも相当あるわけであります。こういう点が一番の重点ではなかろうか、従いましてこの問題を考えますときには、企業というところに特に重点を置いて考えたいというのが趣旨でありまして、従いまして厚生省の職員というものがこの表から一応除かれたという点でございます。併しながら我々は近く給与準則というものを考えたいと思つておりますが、そういう際に、そういう職員に対しましては又適当な俸給表が設定されるであろうということを考えておる次第であります。又郵政省の地方郵政局の調査課というのがございますが、我々が研究いたしました結果は、この企業官庁級別俸給表を適用しなければならないというものはこれは郵政当局とも十分関係者と膝を交えてよく研究いたしておるのであります。大体こういうようなことでありまして、その他は或る程度、運用によつて行き得る部面もあるというようなことで、結局このように限定いたしたわけであります。  次に官署指定の問題でございますが、官署指定人事院に権限を残すというようなことを考えておるわけでは決してございません。従いまして、官署指定となりますものは五月十七日に掲げましたものから字指定の落ちた部分があるので、その部分をああいう方法でやろうというのであります。併しながらその後わかりましたもので二、三のものについて追加しなければならんというものもあろうかと思います。そういうものはやはりやるべきであろう。従いまして、これによつて人事院が権限を残そうという手段では決してございません。  その次に「各庁における」ということでございますが、これは俸給支給等をいたします際に単位となります各省でございます。  それから一番終りの平均給与額の問題でございますが、この三十ページにあります本年一月一日に切替のものと申しますのは、これは実験の一人当りの平均額でございます。それから三十一ページにございます数字といいますと、これは予算定員で割りました数字でございます。現在御承知のように予算では一般職は百十万ばかりおるわけでございますが、実員は予算定員と違うわけであります。従いまして本年一月には八千二百八十七円ということになつております。人事院でその後調べております統計をちよつと御紹介申上げますと、本年の八月頃におきましては、これは若干推計もまつじておりまするけれども、大体八千四百七十七円というぐらいの数字になつております。その前のはつきりした統計から申しますと、六月が八千三百四十六円というような数字になつております。
  20. 千葉信

    千葉信君 そういうことになりますと、結論として出て来ることは、前の八千二百八十七円というものは一月現在ではあるけれども、これはもう絶えず流動しておりますから、絶えず動いておりますから、これは基礎にならない、そういうことになるわけですね。絶えず実態を把握してなければその月に受ける公務員の総平均は幾らになつているかわからない。それからその次の今新らしく御報告がありました八千三百四十六円であるとか、それから七月の八千四百七十七円というようなものもこれは推計ということであつて、而もその推計というものは大体が予算を基礎としながらそれは実際人員で予算を割つたのか、それとも定員で予算を割つてこういう推定の数字を出されたのか、どちらにいたしましてもこれ又不確定な数字ということになるわけでございますね。
  21. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほど申上げました中で、一番終いに申上げました数字は八月のところでまだ資料が十分統計報告が集つていないものがありますから推計ということを申上げました。その以前の六月くらいの数字は人事院報告が来ておるものを集計したわけで、実際支払つた額の一人平均ということになるわけであります。我々は従来からベースということが言われまして、現在八千二百八十七円ではないかとか、八千三十三円ではないか、或いは現在八千五百六十九円ではないかということが言われておりますけれども、これは時々移るものでありまして、人員構成等におきまして動き得る数字なんです。従いましてそういうことは我々は従来とも問題にしなかつたわけであります。従つて二級三号のところがどうである、こういう数字がたくさんある、こういうふうに考えております。
  22. 千葉信

    千葉信君 そこで問題になるのですよ。それは大体人事院が途中から給与ベースの基礎というものをぐらつかせたからこういう問題が起つて来るわけです。今あなたがおつしやつたように、満十八歳の公務員が一体幾らになるかという問題を基礎として、これは前には十八歳ではなかつたはずなんですが、前に二千九百二十円のときもその次の勧告のときも、一体どの基準にある公務員がどういう給与水準でなければならないかという明確な態度を以て勧告して来たはずなんです。それを今度いつの間にかそういうベース計算というものは平均給与なんといういい加減なインチキ極まるものに置き換えてこういうふうに問題を紛糾させて来たから、従つてこういうふうに私ども給与ベースを決定するに当つても、一体いま公務員給与の実態がどうなつておるかということが問題になつて来る。それをそういう状態の中でも滝本さんが今言われたように十八歳なら十八歳というものを基準にして公務員給与の問題を考えて行くということになれば別なんですけれども、実際は十八歳の職員を基礎にして考える一方一番国家的な問題になつて来るのは、一体公務員の実際の平均給与は一体幾らかということが問題になつて来るわけです。その問題とすり変える、すり変えるというか、混同されておる問題が非常に公務員諸君にとつては不利に扱われて来る。御承知の通り今度政府のほうでは大体現在の公務員給与を八千四百六十九円だということを言つておるが、一体どこからこういう数字を出して来ておるのか、その基礎が頗る不明確で、而も非常に自分たちの立場に有利なようなでたらめの数字を並べておるというふうにしかとれないのです。これは現在の状態でどこで一体八千五百六十九円という数字をでつち上げたか、これは今後の委員会でも十分問題になると思うが、いずれにしてもやはり人事院の立場から言つてもこの問題の適正なる解決のためにはこういう平均給与額などという、特に一体一月にも二月にも三月にも毎月変動があつて、そんな変動のあるものを基礎にしては最終結論を出す場合に非常に左右される、こういう点がありますから、これは今ここで滝本さんにこの問題について追及する意思はありませんけれども給与問題の適正なる解決のためその根本の基準をどこに置くかという問題を重要な今度人事院として御研究願いたい。それをやらなければ公務員の適正な給与決定ということは到底不可能だということになつて来るわけです。そのことを一つ強く御要望申上げておきます。
  23. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 前の勧告と、それから法律案給与に関する改正意見書の食違いの点について質疑が重ねられたわけでありますが、ほかに御質問ございませんか。——ございませんようでしたら私から一二点お尋ねしたいのでありますが、千葉さんからも御質問がございましたが、企業官庁職員とこういう限定で給与法を作つておられるが、説明の中に現業という言葉がしばしば飛び出すわけです。現業という仕事の点から言うならば、下のほうの現業に働いておる人と、それから本省あたりに働いておる人の中にも同じ仕事をしている者が出て来るのじやないか、これは仕事の性質から見て……。そうすると今お話の厚生省あたり、或いは教職員給与問題もありますが、これは企業でもなければ、それから現業というかどうか、これもわかりませんが、広義においては現業職員と言えるかも知れませんが、特別俸給表を作るものについてのどういう仕事、或いは役職に当つて考えられますその現業というのも不正確、それから企業官庁職員というのも必ずしもそうではないんじやないか、こういうことを考えるのでありますが、これは今言われますようなあいまいな点でありましようか。その辺一つ承わりたいと思います。
  24. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 我々が今回設定して頂きたいと思つておりまするのは、企業の実態に即応したような俸給表を作りたいということであります。御指摘のように現業ということを私ども何遍も申したわけでありますけれども、この俸給表現業に適用するのであるということは申上げなかつたのであります。飽くまで企業の実態ということを考えておるわけなんです。今御指摘のようにこういう現業庁におきまするこの人々、現業庁といいますか、企業官庁といいますか、企業官庁におきまする職員と同様の職務に従事しているという者が中央官庁等におけるわけであります。これは御指摘の通りであります。そういうことでありまして、若しそういう人を現業というならば、この現業というのはあらゆる部門に広がつて行くことになるのです。これは誠に拾収のつかない問題であろうかというふうに考えております。我々が特に問題にしたい点は郵政、電通のようなあの企業官庁というものの実態に即応いたしたいというのが今回こういうものを設定して頂きたいという狙いの中心でございまするから、そういう中心から余り外れたことは、これは拾えばきりのないことであります。併し私ども給与準則に参ります際は、そういつた特殊の職員に対しましては、その実態に即応するような俸給表を作りたいというふうに考えております。
  25. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) そうすると、重ねてお伺いをいたしますが、企業官庁のほうは、ちよつとよくわかりかねますが、五項ですか五号ですか、というので、例えば問題になつた厚生省或いは教職員等についてはその二の特別俸給表のあとに入るべき性質のものであつて、それを給与準則の中に入れる、こういうことのように解していいのですか。企業官庁別表としてそれは企業官庁だけに限る。それから厚生省だとか或いは教職員の点等は別に例えばここに税務職員や、警察職員と、こう並べてありますが、それと並べて官庁職員特別俸給表と並べて別な項目でやる、こういうお考えかということです。
  26. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 厚生省の職員ということでございまするが、厚生省の職員というような形ではないのでありまするが、給与準則の際には俸給表の形といたしましてそういう職員に適応するような俸給表も又出て参る、その際には特別俸給表のところに税務職員以下並べて書いてありますが、こういう形はなくなるかも知れません。といいますのは、現在警察職員といい、税務職員といい、その適用範囲は相当あいまいな点があるのでありまして、今後給与準則のときには、こういうことが明確化されるであろうというふうに思つております。従いまして給与準則の際にはそういうのが出て参りまするが、それは、現在あるものに附加えるという趣旨でなしに、すべてを一応御破算にした上でそういう作業の実態に即応するような俸給表を作るという趣旨であります。その際には教職員俸給表も出て参るということであります。
  27. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それからもう一点、これは勤務地手当に関連しまして、官署指定は全然この別表からはなくして、先ほどの御説明だと現在のところでは官署指定言つても、この場合においては勧告と実質的には変らん、併し今後これは全然別の問題になるから、官署指定については実情に即して時々訂正されて行く、こういう緊急の勧告地域区分とは別に切離して時々指定をして行くと、こういうことに了解してよろしいのでしようか。
  28. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 我々は今後官署指定をどんどん附加えて行くというようなことは考えておりませんのです。これは現在別表から落しましたものを官署指定という形でやつて行く、併し今後におきましても、それとバランスをとるために是非必要なというものが必ず出て来ないということは断言できませんので、そういうものをやる途だけは開いて行く。これはバランスをとりまするためでありまして、従いましてこれから抜け道を作つてどんどん拡げて行こうという気持ではございません。
  29. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) ほかに御質疑ございませんか。——なければこれで質疑を打切りますが、次の委員会の日どりを御相談申上げておきたいと思います。
  30. 加藤武徳

    加藤武徳君 給与法の一部改正の法案が近く出るはずでありまするが、勿論我々のほうが先議でなく、衆議院のほうが先議になろうというふうに考えるのですが、これについてのお見通しはございませんか。いつ頃政府法律案を上程しようとしておるか、このことによつて我々の委員会のこの次の会合もやや変つて来るのではないかと思いますが、委員長は如何なる所見を持つておりますか。
  31. 千葉信

    千葉信君 今の加藤君の御発言は頗る皮肉な御発言かと思うのです。政府のほうで一体給与法をいつ頃提案するつもりかどうかということは加藤君のほうから聞かれても、その見通しについては実際上は委員長が逆に加藤君のほうに聞かなければならん恰好だと思う。それを開き直つて聞かれても委員長のほうでも答弁できませんし、又私たちの立場としても政府のほうから提案されるにしてもされないにしても、常に加藤君は政府のほうから提案されて来る審議については、先頭を切つていつでも早くやれやれと頑張られる委員なんです。加藤君の従来の主張から見ても、今給与法案を政府のほうではいつ出すかわからない恰好にまごついておりまして、而も問題の動向を見ますと、公務員にとつては非常に不利な結論さえ出ようとしているのです。従つてそういう政府のやり方に対して我々としては或る程度これを追及しなければならん部分もあるようですし、又法案を至急提案してもらうという方向へもできるだけ早く持つて行かなければならないと思う。従つて今の加藤君の皮肉な質問はやめて、今の委員長のお諮りになつたこの次の会議の問題については、月曜日に開くということにして終りにしてはどうでしようか。
  32. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 今お二人からお話がございましたが……。
  33. 加藤武徳

    加藤武徳君 私月曜日に開くことに勿論異論があるわけではないのですが、この委員会で与党とか野党とかいう問題でなくして、委員長は我々の委員長であつて委員会を代表するのだから、委員長が若し政府与党と交渉なさつて資料を得られれば御開陳を願いたいという意味であつて今の千葉さんの御発言を聞いて大いに参考になつたのですが、我々の知り得ない点を極めて豊富に御承知になつているので、我々の委員長はより以上に豊富に知識を持つていられるということも予想できるのですが、これについて委員長如何ですか。
  34. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) 只今の知識の内容については、別に千葉委員より以上の知識を持つているということを申上げる必要はないと思うのですが、加藤委員の言われます政府給与法に関する何と申しますか、審議決定のいきさつは、今日次官会議にかかるということを承知いたしております。順調に行けば明日の閣議にかかるのではないかということを聞いておりますが、この前の委員長理事の打合せ会では、出ないまでも或いは調査という形で意見を聞いて参つたらということを申合わせたのでありますが、先ほど官房長官の実は出席要求がしてあつたのでありますが、この段階で官房長官に来てもらつて説明を願つても、これは余り具体的にお話ができんのではないかということでお断りをしたわけであります。そこでこの前の委員長理事の打合せ会の線からみても、或いは現状から考えてみても、待つて委員会を開くか、或いはその前にも続けるかとどうかということになるかと思いますが、そういうものを合わせていつにいたしましようかということを御相談申上げておるのであります。
  35. 加藤武徳

    加藤武徳君 私実は月曜、火曜はほかの委員会があるわけなんです。できれば今週開けませんか。
  36. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それでは明後日十時からということにして……。
  37. 千葉信

    千葉信君 出席してもらう人は、官房長官、河野主計局長がこの問題で明確な答弁をされているそうですから……。
  38. 吉田法晴

    委員長吉田法晴君) それじや官房長官と河野主計局長、人事官、それでいいですね。それじや明後日十時からそれらの人々を呼んで委員会を開くということにいたしまして、本日はこれで散会いたします。    午後零時三十九分散会