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1951-11-15 第12回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 十一月九日委員高良とみ君辞任につ き、その補欠として川上嘉市君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            田中  一君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            三輪 貞治君            東   隆君   委員外議員    石原幹市郎君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    特別調達庁長官 根道 廣吉君    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    建設大臣官房会    計課長     植田 俊雄君    経済安定本部建    設交通局次長  今泉 兼寛君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君   説明員    外務省連絡局地    方課長     田中 弘人君    大蔵省管財局国   有財産第二課長  牧野 誠一君    農林省農地局災    害復旧課長   堀  直治君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○請願及び陳情に関する件 ○北海道大谷地せき止工事等施行に関  する請願(第一五二号) ○岩手県の災害復旧工事費国庫補助増  額に関する請願(第一六八号) ○横須賀追浜転換工場地区接収中  止に関する請願(第四六八号)(第  五二一号)(第五六〇号)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から建設委員会を開会いたします。  本日は請願並びに陳情議題に供するのでありますが、先ず請願百五十二並びに百六十八を議題に供します。百五十二は実は一昨日農林省関係であろうというので、一応そちらへ送付することになつたわけでありますが、いろいろ時間の関係もありますので、特にこちらへ農林省関係者に出席してもらつて、ここで御審議を願う、こういうわけであります。
  3. 菊地璋三

    専門員菊地璋三君) 請願百五十二は、北海道の岩内郡の前田村でありますが、大谷地というところのせき止工事工事費の点で只今行悩んでおりますので、本工事の促進について特別の援助をせられたい、こういう趣旨であります。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは災害復旧課長堀君の説明を一つ……。
  5. 堀直治

    説明員堀直治君) 只今請願趣旨は水田六百町歩灌漑及び町歩の開田を行うための井堰の工事のように思われますが、北海道におきますこの程度工事は、団体の二十七年度新規着手事業になるかと思われます。まだ計画書農林省のほうに届いておりませんので、即時御返事はいたしかねますが、実施計画書が出て参りまして、これが農林省の一応の基準に合格さえいたしますれば、来年度の予算で着工して行きたい。このように考えております。
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) 採択することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林英三

    委員長小林英三君) 採択することに決定いたします。  次は百六十八号。
  8. 菊地璋三

    専門員菊地璋三君) 百六十八号、これは岩手県が昭和二十二年のカザリン台風以来、全般的に被害をこうむつておりまして、特に耕地関係だけでも二十六億七千万円に達する被害があるので、復旧費を要するので、特に国庫補助を増額せられたいという趣旨のものであります。これも同じく農林省のほうから特に来てもらつて審議を願うわけであります。
  9. 堀直治

    説明員堀直治君) 過年度災害につきましては、二十六年度予算の編成当時、農地局といたしましては、二十二年度までの災害を一〇〇%、二十三年度の災害を八八%、二十四年度災を三五%、二十五年度災を一九%整備する計画で以て百四億五千九百万円を要求したのでございますが、予算の都合上、八十三億七千百万円になりましたので、成立いたしました予算がそれだけになりましたので、その予算範囲内で成るべく古い災害から先に片付ける方針で、二十二年度災までは一〇〇%、二十三年度災害は五九%、二十四年度災は三〇%、二十五年度災は一九%の全国平均を以て整備する計画を立てまして、只今三分の二は認証し、残りの三分の一を認証手続中でございます。で岩手県につきましては、特に工事進捗程度と睨み合せまして、二十三年度災は六一%、二十五年度災は二三%の予算をつけてありますので、まあ全国的に見ましても、特に岩手県に低い割当をしたということにはなつておりません。で、ただ毎年の災害の発生するもののほうが大きくて、予算が追いつかないような状況でありますので、過年度のものが順遅れになつておることは誠に残念なことと思つております。
  10. 小川久義

    小川久義君 過年度の分は今漸く二十二年が一〇〇%であると、二十三年が八八%だと、二十四年が非常に割合が減つております。これではなかなか災害復旧がむずかしいと思うのですがね。今二十三年のやつがまだ八八%だということなんですね。二十二年から五年たつた、五年前のものがまだ復旧しないということではこういう請願の出るのは無理からんことだと思うのです。特にそういう事情にありますれば、もつと詳しく資料を出してもらつて、国会もこの問題を十分取上げて行くべきだとこう思うので、その内容をもう少し詳しく文書を以て提出願いたい。全般的に検討の要があると思いますので、さようにお取計らいを願います。
  11. 小林英三

    委員長小林英三君) どういたしましようか、採択することに決定いたしますか。    〔「採択でありますね」と呼ぶ者あり〕
  12. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは採択することに決定いたします。  次に請願四百大十八号、請願五百二十一号、請願五百六十号、これは内容はいずれも同様な請願でございます。紹介者が違うのであります。この請願につきまして紹介者の一人であります石原議員の一応御説明を承わりたいと思います。
  13. 石原幹市郎

    委員外議員石原幹市郎君) それでは私より紹介議員を代表いたしましてこの請願の要旨を申上げたいと思います。  このたび追浜地区米軍当局から再接収されるやの話が出て参りました。その準備調査等が開始せられておるということでありまして、この問題につきまして横須賀当局は勿論のこと、追浜地区に仕事を始めておりまする二十二の転換工場会社といたしましては死活に関する重大問題でありますので、只今非常な大きな問題になつているのであります。この問題につきまして委員各位の十分なる御検討をお願いしたいと思うのでありますが、御案内のごとく昨年本委員会でいろいろ御審議を願いましてでき上りました旧軍港転換法に基きまして、横須賀市におきましても従来の軍港都市としての性格を一擲いたしまして、平和産業港湾都市として更生すべく立市の対策を立てまして、爾来政府当局を初め非常な御援助を頂いて今日に至つておるのであります。なかんずく米海軍基地司令官の非常なる御援助と御高配、御指導によりましてこの追浜地区に二十二の工場会社操業を開始しておるのでございます。で、横須賀市内にもいろいろこの軍施設平和産業への転換を出現しておるのでありまするが、この追浜地区は最も集団的に転換を見た工業地帯でありまして、この地区は将来横須賀市の産業中心地帶ともなるべき地区になつておるのでございます。この地区が今度再接収されるということは、横須賀市の将来の都市計画と申しまするか、或いは立市対策の上から考えまして根本的な重大問題でございまして、市の財政、経済に影響するところも非常に大きいものがあると思うのでございます。又ここへ参つておりまする二十二の会社実情を見ましても、これらはいずれも昭和二十二年の夏頃から工場建設に着手いたしまして、当時殆んど壊滅しておりました建物を改修、整備いたしまして、爾来四年の間あらゆる経済界の変動の荒波に、困苦と戦い、原料、資金等の不足にも屈せず操業を続けまして、今日漸く事業が軌道に乗りかけて来た状況なんでございます。各社資本金総額は約八千万円、建設に要しました経費は三億九千五百万円、借入金は四億一千万円を投じまして、現在では年産二十億一千五百万円に達するような状態になつておるのであります。而もここへ参りましたこれらの会社は、いずれもまあ中小企業と申しまするか、まだ経済基礎もそう強固なものでもありません。又本社をこの地区に持つておりまする単一の工場会社でありまするので、万一この地区が再接収されるというような事態になりましたならば、各社は殆んど破産の憂目を見るほかはないと思うのであります。で、会社経営社の当惑はもとよりでありまするが、千八百名に及ぶ従業員、又一万名に及ぶ下請であるとか、或いは関連従業員、そのほか数万に及ぶこの家族等失業問題等を考えまするときは、経済問題としても又社会問題としても誠に看過することのできない問題であろうと思うのであります。で、先ほども申上げましたように、この地区横須賀米海軍基地司令官の勧奨もございまして、業者が進出して来た故もあるのであります。で、講和の締結を目睫に控えまして、再びこういう事態になるということになりましたならば、誠に横須賀当局といたしましても、これらの関係業者としても言うに言われぬ困惑した非常な気持になつておるのでございまして、ここらの事情も十分お察しをまあ願いたいと思うのであります。殊にこの地区は先ほど申上げましたように、この委員会において御審議を願い、法案化されました旧軍港転換法によりまして、特別に保護育成されて来ている土地柄でありますので、本委員会皆様がたに十分御洞察を願いまして満場一致を以ちましてこの請願を御採択あらんように哀心からお願いを申上げる次第でございます。  なお本日はこの問題の経過を非常に心配いたしまして、地元から横須賀市長横須賀商工会議所会頭、それから市議会のほうからこの問題に対する特別対策委員長も参つておられるのであります。その他関係者も多数参つておられまするので、各委員から、若しいろいろ御質疑等がございましたならば委員長のお許しを得まして、又それらの人からもいろいろ実情を御説明申上げてもよろしいと思つております。よろしくお願いいたします。
  14. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日は只今この紹介議員を代表されまして石原議員から本請願に対する説明があつたのでありますが、いろいろ委員各位としてこの問題に対する御質問もあると思いますので、一応政府のほうからは特別調達庁長官官房長、それから外務省のほうは丁度政務次官が今平和会議のほうで手がすきませんので、この問題に関係のあります地方課長田中君が見えております。それから大蔵省管財局長ちよつと手があきませんので、国有財産第二年の牧野君が見えておりますから……。
  15. 小林亦治

    小林亦治君 只今石原君から詳細な説朗を伺いましたが、御希望通りこれは満場一致採択すべきものと考えております。でその理由はです、すでにこの米軍の駐留が確定的に見通しができるんであります。そうなると将来の日本にとつて最も重大な問題は折角長年の間工場地帯として建設が完成しておる場所或いは旧軍用地が、その後農地化されて、漸くそれが開墾地なつたというようなのが今この接収対象になつておるんであります。この農地ですら由々しい問題であるのに、この工場地帶となりますると、その設備やその他におきまして、殆んどこれは農地に比較にならないほど経費もかかつておる、基礎も完成しておる、従つて転換も非常に至難である。かような場合に無條件に、天降り的にかようなものがどんどん接收対象になる。而も日本政府が殆んどまあ唯々諾々ではないでありましようが、これに対する何ら換地の努力を拂わずして応ずるといつたような形勢が見えるのであります。これは重要な問題でありますので、是非かような問題については本委員会としてはこれは殆んど條件を附する必要がない次第であります。満場一致を以て採択すべきものだと考えております。それに加えまして政府に対するいろいろな申出が最近農地にからんでたくさん出ておるのであります。この理由只今申上げましたように、軍用地は成るべく農耕地化しておらない場所、それから市街地として完成しておらない場所工場地帶としてすでに何といいますか、設備が完成しておらない場所、かような三点について接收対象とする申出が行われつつある。どんどんこれから出るのであります。本問題も率先してかような請願になつて現われたと思うのでありますが、是非以上のような観点からこれは細かく、関係官庁各位もお見えになつたようでありますが、もう殆んど私としてはこれは説明を承わる必要はないのであります。賛成であります。
  16. 田中一

    田中一君 今の小林君から結論が出て賛成言葉があつたのですが、私はこれは単に横須賀地区ばかりじやなく、こうした問題が佐世保なりその他の海軍地区において同じような問題が起きると思います。つきましては政府のこれに対する根拠、我々は陳情陳情だけにとどめるのではなくて、この接収される根拠、或いは一時使用するところの根拠、法的な根拠についてそれぞれのかたがたから、政府当局から説明を伺いたいと思うのです。  先ず第一にこの地区が、私の承知するところによりますると、当時の司令官が率先して市民に対してこうした工場の誘致をされたように聞いております。その場合国有財産部と申しますか、そのほうではこの米軍と、進駐軍とどういう話合いの下にそれを誘致したか、その点を先ず明らかにして頂きたいと思うのです。次いでその後司令官が、現在その当時の司令官が今日までおるものかおらないものか、おるものとすればその後六年間の間にどういう形で以てこうした地帯の育成がなされて来たか、発表がなされて来たか、この点、これは特別調達庁から伺うのが本当かと思いますが、その点も承知したいと思います。次いで外務省のほうに伺いたいのは、我が国は平和の機会を持ちまして、九月に総理は平和條約に調印をして帰つて参つております。従つて我々は今後新らしい自由な独立した国に住めるという喜びを持つておりますが、その際無論これを不可分のものと言われておるところの安保條締結調印をされて帰つて参つたのでありますが、これに対して今日までまだ安保條約に対する行政的な取極が、我々の前に明確になつておりません。併しながらこのたび再びこれを接收しようという、陸軍か海軍かは存じませんが接收しようということは、平和にからみ、殊に安保條約の行政取極に関して如何なる根拠からこういう交渉を受けねばならないかという点について明確に御説明を願いたいと思うのです。
  17. 小林英三

    委員長小林英三君) どちらから先に……。
  18. 田中一

    田中一君 一番最初の一時使用を許可したところの取極の問題からお伺いしたいと思います。ここへ国有財産部から来ておりますか。
  19. 小林英三

    委員長小林英三君) なお先ほど委員長特別調達庁官房長が来ておるように言いましたが、これは長岡管理部長の誤りでありますから訂正いたします。今の問題につきましては、大蔵省国有財産第二課長牧野君の説明を求めます。
  20. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) お答えいたします。今日請願で問題になつております地域は、元海軍の第一航空技術廠でございます。これは占領軍としましては、海軍地域に入つております。それで当時デツカー司令官横須賀地区におりまして、そのかたが非常に熱心に横須賀軍港から平和産業港湾都市への転換のために、いろいろな業者を誘致いたしまして、それで各方面に入れたわけでございますが、そのときの一部として、本日問題になつております第一海軍航空技術廠へ入れた団体が二十幾つかございます。それで当時第一海軍航空技術廠賠償指定になつており、又進駐軍の指令第三号による軍事占領という形態になつておりますので、国有財産とは申しましても、日本政府が勝手に処分できる財産ではないという関係から、一時使用という形で使うことを日本政府としては許可したわけでございます。それで一時使用法的根拠大蔵大臣訓令で出ております。これはこういう占領下というような変態的な状態を前提にして、初めてできることであると我々は思つております。普通の平常の状態においては、こういうようなことはできないのじやないか、貸付けるなり、或いは売拂うなりという形で行くのが本当であろうと思つております。一時止むを得ず一時使用というような形で許可をしております。それで現在二十数団体のうち、幾つかはすでにこの施設を買取つておるものもございます。それからその後入りましたときは、まあデツカー司令官としては、当然長くそこの土地産業経営をやるようにという趣旨であつたと我々も思つております。現在の……デツカー将軍は、今変りましてほかの司令官が来ておりますけれども、現在の新らしい司令官も我々の承知しておる範囲では、末長くおつてもらいたいという趣旨であると思つております。それで我々としては、その後一時使用を許可しまして、その後賠償指定を解除されました。それから更に軍事占領という状態を解かれまして、軍事返還を受けております。それでこの土地については現在においてはもうすでに普通の国有財産という形で、我々としては進駐軍の網はかぶつておらんというふうに了解しております。大体その程度で今の御質問、よろしうございますか。
  21. 田中一

    田中一君 国有財産部としては、これを若し地元が買取りたい意思があれば、拂下をする意向はあるのですか。
  22. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これにつきましては、普通の国有財産になつておりますから、その産業が引続きそこで動き得るという状態にあるもの、それから又それが適当であると思うもの、それから又この産業自身がそこに引続き動く意思があるというものについては売拂うのが当然であるというふうに思つております。ただこれはもともとが海軍航空関係の研究所でございます。それで若し更にデツカー将軍の見た見方と、それから時期も違いますし、更に適当した企業がそこへ入りたいというような話があつて現在おるかたと話合いがつくならば、その新らしいかたに売つてもいいのじやないかと思つております。
  23. 小林英三

    委員長小林英三君) それからちよつと皆さんにお諮りいたしますが、今特別調達庁長官が見えておるのですが、今平和会議のほうで労働大臣と一緒に入ることになつて労働大臣が向うで待つているのですが、管理部長だけでよろしいですか。
  24. 石川榮一

    石川榮一君 折角長官が来ておるならばこの問題に対して……。
  25. 田中一

    田中一君 来ておられますか。
  26. 小林英三

    委員長小林英三君) 来ておられます。長官に対する御質問がありましたら……。
  27. 田中一

    田中一君 長官に対してこの問題に対する見解を伺いたいもんです。
  28. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 各種の接收の問題に相成りますと如何なる場合を問わず、大抵の場合におきましては接收を受けて非常な難儀をこうむる場合があるわけであります。農地の問題もとよりでございますが、今回の追浜地区におけるような事柄につきましては、そこに相当長く業務をなし得る、こういう建前で非常な御苦心を拂つて事業を立てられた。而もそのことたるや経済上社会上に相当なる大きな影響を及ぼす当事者にとつてはまさに死活の問題である、ということは私どもよく承知いたしておるのであります。従いまして本問題が起きましてから、特別調達庁といたしましても誠に同情に値いする事柄であると存じまして、関係者陳情趣旨を十分に酌みまして、軍当局に申入をしたわけであります。又そういう関係者の困窮、或いは市としてのいろいろなる困難な問題もありまするが、同時に国全体といたしましも、折角いろいろな施設がなされそこに操業を開始して今日に至つた、それを接收ということによつて一切これが中止になるというばかりでなしに、そういうことをすることによつて、国も又同時にいろいろな余分な経費を負担せねばならん、こういう問題が生ずるわけでありまして、でき得るならば他に適当なる代案というものを考えてもらいたい、こういうふうに軍側に折衝して参つたわけであります。この点につきましては、恐らく外務省側等といたしましても、同様なことを申入れておるはずと私は存じます。只今まで承知いたしておるところによりますると、まだものは最終的には決定しておらない、軍としては接收したいという考え方を持つておりまするが、最終的には決定しておらんのだというお話であります。又同時に若しものが最終的に決定するような場合に、その方面経済上の諸問題等も十分に考慮するという意図がある、というふうに今までのところ聞いておるような次第であります。大体考え方といたしましては、こういうようなつもりでございます。
  29. 田中一

    田中一君 長官にもう一遍お伺いしたいのですが、若しこれが接收された場合、この一時使用に対してはどういう補償をするという今までの行き方ですか。
  30. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 接收に相成ります場合には、従来接收地に対しましたと同じように、或いは接收工場等に対すると同じような基準を以ちまして、補償をし、或いは移転その他の経費支拂うことに相成つております。如何なる、どういうようなものが補償されるかということにつきまして、細かいことは管理部長からお望みによりましてお答えさします。
  31. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) 本件地区接收に若しなりました場合の補償の問題につきましては、本件土地が一時使用ということになつておりまするので、従来の経験から申しますと、軍のほうといたしましては、一時使用土地につきましては元来使用さすべからざる土地ではないか、かようなものに対して補償をする必要がないのではないかという、こういう疑念があります。本件土地につきまして直接交渉はまだいたしておりませんが、実はこういう土地接收されますときには、日本国内法規に照らしまして正当に支拂うのが、補償するのが正当であるかどうかということを日本政府として進駐軍側に申入れることになつております。その際にほかの地区につきまして一時使用條項が問題になつたことがございます。それでこの一時使用條項国内法として有効なものであるかどうか、言葉を換えて申上げまするならば、何か強行法規に違反する点はないか、民法九十條の公序良俗に反するような関係はないか、そういう点については法務府の見解を質して報告せよという命令を受けております。つきましては法務府にこれを質しましたところが規定といたしましては、まさに強行法に反するものでもなし、有効な規定であるというこういう一応の見解を頂いております。但し一時使用條項がありますと、その通りを実行いたしますと、何ら補償のできない場合が生じます。併しこれは法務府とも十分打合せましたのでありまするが、たとえ一時使用條項がありましても、その後の事情の変更によつてそれぞれ具体的の場合に考慮すべきものではなかろうか、一概に一時使用條項があるという点で、直ちに補償すべからざるものであるとか、補償すべきものであるとかいう決定はできない、一応各個々のケースについて法務府からの見解を求める、こういうことに相成つております。不幸にいたしまして、本件土地接收されるようなことがありまするならば、只今申上げました通りに一応その当時の契約の事情をいろいろ取調べまして、法務府の見解を質し、軍に申入れる必要があると存じております。
  32. 田中一

    田中一君 その際不幸にして接收された場合を考えますと、その際その補償金はどういう予算から支拂われるのですか。
  33. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) 若し補償する必要があるということになりますと、現在では終戦処理費事業費から補償いたします。
  34. 田中一

    田中一君 現在終戦処理費事業費幾ら残つておりますか。
  35. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) はつきりした数字を只今失念いたしましたが、実はそういう費用に相当のものを見込んでおりまするので、補償するということに相成りまするならば、予算面ではさほど困ることはないかと思つております。
  36. 石川榮一

    石川榮一君 只今お話を伺いますと、一時使用という形で工場地帯にしたということであるから、米軍のほうではこの一時使用の建前からそういう補償の必要はないというようなお話でありましたが、先ほど大蔵省の管財局国有財産第二課長からのお話を伺いますと、一時使用の形では一旦解放された形になるのだが、その後賠償の解除もあり、すでに普通国有財産になつておるということでありますから、今の大蔵省見解から行きますれば、これはもう一時使用というものは過ぎて普通国有財産というものになつたのであるからして、日本の国庫の財産であるという建前から言いますれば、新たに米軍がこれをお使いなさる場合には、日本政府に向つて新らしくこの土地接收を求めて来るという建前であると思うが、そうなりますれば、当然今の一時的使用による補償の責任を逃れることはできない、こう思うのですが、見解の食い違いがあると思うのですが、ちよつと説明してもらいたい。…要するに国有財産にもうなつておると言いましたね、普通国有財産になつておるものだからして、一時使用というものはもう過ぎて、日本国の国法によつてできておる工場だという建前がとれるのじやないかと私は思う。ですから米軍のほうでおつしやる一時使用であると、或いは今までの経緯から考えまして海軍司令官が二代に亘つてこの工場地帯の推進をしてくれたという事実からも考えまして、すでに一時使用となつておる、むしろ日本国にこれを賠償解除をして日本国自体これを持つておるのだから、新たにこれを使う場合には新らしくこの土地接收したいということの折衝が日本政府にあるべきだと思うのですがこれらに対する見解をお聞きしたい。
  37. 長岡伊八

    政府委員長岡伊八君) お答えいたします。今の大蔵省の御見解のように国有財産なつおるということになりますと、接收いたされましたときに将来の借賃の問題につきましては解消いたします。国有財産に対して借賃を拂うということは国が認めておりません。ただ大蔵省のお貸付になりました條件がもうすでに一時使用の域を脱しておる、普通の貸付であるという状態になつておりまするならば、この接收によりまして損害の発生するものにつきましては、補償の途があるかと思いますが、ただ私が先ほど申上げましたのは、非常に懸念いたしますのは、こう使いう一時使用という條件がついておりまして、若し契約がそのままになつておりますと、従来の経験から見まして、日本のほうでそういう文句が出て来るのではないかと、さように考えております。
  38. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 只今質問にお答えいたします。先ほど私申上げましたように賠償解除になり、軍事返還が済んでおりまするので、一部売拂いということで正式に所有権の移転の済んでいるところもございます。それで残つたそれ以外のかたに対しては一時使用許可という形でこの間まで来ております。これは普通の賃貸借契約——貸付契約と申しておりますが——に切替えるのが当然であると考えて、今その手続を進めておるところでございます。それで本年の四月から貸付契約という形にいたすように進めております。
  39. 石川榮一

    石川榮一君 そういたしますと、この問題は占領軍に対する日本政府関係が非常にデリケートなものがあると思うのですが、例えば先ほどの両者の意見の食い違い等も、要するに事占領軍に関することであるからというので、いろいろ意見を出しておるようであります。只今管理部長のお話を聞きますと、すでに日本会社に一部売つた場合もある。もうすでに貸借関係も成立つている点もある。普通の国有財産と同じような手続をとりつつある。若し占領軍がこの土地をどうしても接收しなければならぬとすれば、政府に向つて恐らくこれは再接收の表示がある、これに対して政府はどういう態度をとるか、これから安保條約の成立等も目睫の間にあり、いろいろこういう事態が起つて来ると思うのですが、ただ恐れるのは安保條約の前に、占領政策中に、こういうものを処理しておくという建前でやられますと非常に困る。これらに関する見解について外務省等のしつかりした態度をきめてもらいたい、こう思うのです。この問題を採択するのは勿論私は賛成でありますが、非常にデリケートなものがあるようでありますのとそれからもう少しこの市当局見解並びに商工会議所等の御見解をお聞きして愼重な態度で研究いたしまして、態度を決しましたならば……普通請願の形をとらずして政府を鞭撻して、この請願をいたしました以上は、それを効果あらしめるように方法を講じてもらいたいと、こう思うのですが、どうかよろしく委員長のお取計らいを…。
  40. 小林英三

    委員長小林英三君) 今日は市長、商工会議所会頭、その他の地元の有力なかたの関係者が見えておりますから一応そういうかたの陳情の御意見も聞いて見ますか。
  41. 田中一

    田中一君 外務省は来ておりますか。外務省見解を一遍伺いたいと思うのですが……。
  42. 田中弘人

    説明員田中弘人君) 講和條約の調印が終りまして、而も條約の発効が非常に近い将来に見通されているという時期におきまして、この種接收問題がどうして起るかという点につきましては、私どもの従来の交渉の経過、それから調査の結果によりますと、大体二つの種類に分かれると思います。一つは申すまでもなく、朝鮮事変を契機にいたしました東亜の軍事情勢に即応するための飛行場の擴張、その他であります。それから第二は安保條約の行政取極の話合いは現在始まつていないわけでありますが、軍側で自発的に大都市の施設を郊外と申しますか、大都市から他の地域に移すと、こういう自発的な準備が進んでおるようであります。本件追浜問題はこの第二の範疇に属するものと従来の交渉の経過から我々は判断をいたしておるのであります。この問題が起りましてから、横須賀の連絡調整事務局長の報告により、横浜においてはJ・L・Cの本部、東京においてはGフオアと折衝を続けまして、すでに約十回程度の折衝をいたしております。昨日までの交渉の経緯を申上げますと、軍としては大体京浜地区施設を他へ移すために幾つかの候補地を物色、研究をして、追浜がその一つに当るということであります。なお総司部の当局者といたしましては、日本側の操業中の企業に対しましては、非常に同情的な態度をとつておるのでありまして、これが本件の決定が延びている最大の理由だと思います。昨日もこの問題について話合いをしたのでありますが、軍側としては、現在操業中の日本側の企業に如何にして影響を与えないで済むかということについて目下研究中というのが最近の情報でございます。従いまして他にも候補地があるようでございますので、本件最終決定までにはなお若干の時日を要するかと思うわけでございますが、万一追浜地区接收するということが決定されるといたしましても、それまでに十分外務省その他関係省との接触を維持いたしまして、軍側としては日本側の利益を如何にして保護するかということについては、十分の注意を拂うだろうと期待をいたしておりますし、我々のほうとしても今後とも折衝を継続するつもりでおります。
  43. 田中一

    田中一君 今のお話のうち、他にも候補地があるというようなお話がありますが、それはどこを指しておりますか。
  44. 田中弘人

    説明員田中弘人君) これは明確にどこということを私どもには向うで明かしておりませんが、京浜地区施設を移すわけでございますから、やはり関東地区で従来利用し得るような施設のある地区ということになると思います。大体域玉県、東京都、神奈川県の中頃とでも申しますか、海岸線から山脈までの間ぐらいの地区というふうに我々は判断をしております。
  45. 田中一

    田中一君 只今説明のうち、安保條約によるところの行政取極というものがいつ頃、これは條約委員会でも相当突つこんで話をしておりますが、いつ頃でき上るか、批准後にでき上るのか、批准前にでき上るのか、発効までにできないのかということがおわかりになりますか。
  46. 田中弘人

    説明員田中弘人君) 行政協定の話合いがいつ始まるかは私は存じませんが、行政協定そのものは当然條約の発効までにでき上つておるべきであると思います。
  47. 田中一

    田中一君 外務省としてはこの追浜の問題が行政取極ができるまで引張れる見込ですか、見込じやないですか。
  48. 田中弘人

    説明員田中弘人君) この問題につきましても十分の見通しはつきかねますが、総司令部としてはこの問題を非常に慎重に研究をしておるようでありますので、あと若干の時日がかかるということも昨日私ども聞いて来たばかりでありますが、他方行政協定の話合い、このほうがいつ頃始まるかわかりませんので、時間的に行政協定の対象としてこの問題が取上げられるようになるかどうかという点につきましては、何とも私としては判断がつきません。
  49. 田中一

    田中一君 もう一点……。外務省としてはこの国民のこうした災難をどこまでも守ろうという建前で交渉しておりますか、それとも向うからの注文を受入れるという建前でやつておりますか、その心がまえを承わりたいと思いますが……。
  50. 田中弘人

    説明員田中弘人君) この点につきましては、先ほど申上げましたように、この問題だけにつきましても総司令部ばかりでなくつて横浜、横須賀その他で各責任官が絶えず折衝をいたしておりますし、我々としては今後といえども十分の誠意と熱意を以て折衝を続けて行きたいと思つております。
  51. 田中一

    田中一君 その外務省の態度はどういう態度ですか、接收されまいという態度で言つておるのですね。
  52. 田中弘人

    説明員田中弘人君) この点は井口次官その他幹部も承知をいたしておりますし、我々としては日本側の利益は十分に擁護したいと考えて折衝を続けております。
  53. 小川久義

    小川久義君 地元からおいでになつておるかたがたの御事情を聞くことも必要かと思いますが、先ほどから伺つておりますと、すでに普通国有財産であるということがはつきりいたしましたし、我々が審議すべきことは願意が果して妥当であるかないか、そこに重点を置いて審議を進めて行くべきだと思いますが、願意極めて妥当なりと私は考えるのであります。それに附随するいろいろの問題は関係官庁が全力を傾注して善処すべきである、かように考えますので、この請願は採択に決定したいと考えるのでありますが、委員長においてお諮りを願います。
  54. 小林英三

    委員長小林英三君) なお……。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  55. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて……。
  56. 田中一

    田中一君 今の小川君の提案に賛成します。従つてこの問題は皆さんの御意見を、お互い採択すべさか、採択すべきでないかを御決定願います。
  57. 小林英三

    委員長小林英三君) それではお諮りをいたします。本請願につきまして、請願趣旨を妥当と認め、これに御賛成の諸君の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  58. 小林英三

    委員長小林英三君) 総員であります。本件は採択することに決定いたしました。
  59. 石原幹市郎

    委員外議員石原幹市郎君) どうも有難うございました。
  60. 小林英三

    委員長小林英三君) それではこれにて暫時休憩いたします。    午前十一寿三十六分休憩    —————・—————    午後二時五分開会
  61. 赤木正雄

    ○理事(赤木正雄君) 休憩前に引続いて委員会を開会いたします。速記をとめて下さい。    午後二時六分速記中止    —————・—————    午後三時十九分速記開始
  62. 赤木正雄

    ○理事(赤木正雄君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十分散会