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1951-11-27 第12回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十七日(火曜 日)    午後二時九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十一月二十六日委員溝淵春次君辞任に つき、その補欠として九鬼紋十郎君を 議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君    委員            大矢半次郎君            楠瀬 常猪君            廣瀬與兵衞君            赤澤 與仁君            常岡 一郎君            田中  一君            鬼丸 義齊君            菊田 七平君            石川 清一君            森 八三一君   政府委員    大蔵省管財局長 内田 常雄君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵大臣官房地    方課長     太田 源蔵君    建設省管理局総    務課長     高田 賢造君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       小峰 保栄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度政府関係機関収入支  出決算(内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それではこれより本日の会議を開きます。  お手許に差上げてありまするが、本日は第三百三号より三百六十号及び三百八十七号より三百九十二号を議題に供します。先ず専門員より調査の結果について御発表を願いたい。
  3. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 今日は先ず大蔵省管財局関係で、主として国有財産につきまして御審議願いたいと思いますが、別紙に認めておきました通り会計検査院検査番号の三百二号から三百六十号までの間に庁舎の工事、国有財確関係事柄などが記されてあります。それから少し離れまして、三百八十七号から三百九十二号までは各地の財務部における職員の不正行為に関するものであります。  以上の中で三百三十三号は聖十字学院に関することでありまして、先般すでに審議に入りまして、小委員会にも付託して慎重に審議いたしたいと決定されたものであります。又三百二十九号乃至三百三十一号は特殊物件に関するものでありまして、これは大蔵省ではなく建設省の所管に属するものでありますが、本日の御審議の中にこれをも含めて頂きたいと思います。ここに列記いたしました事柄は、内容は割合に単純なもののようでありまして、検査院報告並びに内閣からの説明書を読んで頂けば明瞭になることと思いますので、ただ三百二十七号だけは検査院当局との間に必らずし意見の一致をみておりませんので、これはよく当局のかたがたの御説明を伺いたいと思うのでございます。先ず最初に申上げますることは極めて簡単なそれだけのことなのでございます。
  4. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それでは便宜上三百二十九号から三百三十一号の特殊物件売渡、これは建設省関係であります。これを最初一つ審議を願いたいのであります。
  5. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは先ず検査院のほうから一括して御説明を願いましよう。
  6. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今のは三百二十九号から三百三十一号までと伺いましたが、三百二十九号はこれは京都終戦直後の問題になりました特殊物件案件であります。御承知と思いますが、昨年度の検査報告と申しますと、二十三年度の検査報告までは終戦後の特殊物件処分という案件が非常にたくさん掲載されたのであります。特殊物件不当処理でありますが、ところが二十四年度になりましてからは、もう大体整理が済みまして、批難事項もなくなつたのでありますが、三百二十九号だけは犯罪がからみまして、書類検察庁に長い間とめられる、こういうようなことになりまして、実は処理が遅れたのであります。たつた一つこれが残つたのであります。二十四年度になりまして検察庁のほうの片もつきまして、全部処理ができて、そうして取るべき代金を取つたと、こういう関係に相成つております。  それから三百三十号、三百三十一号でありますが、これは艦艇解撤、これは別の所に、終戦処理費のほうに出ておりますが、艦艇解撤の片割れと申しますか、跡始末と申しますか、それによつて生じた案件であります。これは担当官庁も実ははつきりしておらんというような案件つたのでありますが、広島県が一般特殊物件と同じように扱うということでここに掲げられたわけでありますが、艦艇解撤の結果、発生いたしました鉄板類をここに書いてございます播磨造船所なり或いは日立造船株式会社向島工場、これが買いました値段のきめ方が、古い時代の統制額をとつてきめましたために非常に安くなつた。これは売ることがきまつたときの統制額で売り渡すべきだと、これがこの案の趣旨になつております。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 京都府の増産協会に放出した物件に関する件は、現在はこれは徴収をして全部終つておるのか、どういうことになつておるのか。
  8. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 或いは政府側から御答弁があつたほうかいいかと思いますが、これは政府答弁にもございますように二十六年の一月に全額、そこに書いてございます金額国庫に収納になつております。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 三百三十号の広島県で株式会社播磨造船所の呉ですか、これに鉄屑払下げたと言つておるのですが、これは本当の屑なのか、現場はどういうような状態に当時なつてつたか、政府側から一つこの件について、三百三十号について極く詳しい一つ説明を頂きたいと思うのですが。
  10. 高田賢造

    説明員高田賢造君) 三百三十号につきましてお尋ねの点をお答え申上げます。三百三十号にあります鉄屑は、これは終戦直後に当時の軍が投げ込みました鉄屑でありまして、終戦のどさくさ紛れに艦艇のほうと一緒になりまして実はあつたものでございます。特殊物件処理の上で、実は艦艇だけは特別な機構処理いたしておりましたので、広島県といたしましてはこの三百三十号の案件になりました鉄屑の所在が実は気がつかなかつたのでございます。その後検査院のほうでいるいろお調べになりました過程におきまして、幸いその艦艇解撤検査の際にあることがわかりまして、県のほうにも御連絡を頂き、そこで県ではそれをわかりましたので、早速処理をいたしたような案件でございます。まあさような次第で、この艦艇解撤事務一般特殊物件事務とが扱い機構を異にしておりました関係で、多少事務が遅れたわけであります。幸い発見いたしましたので、大変遅れたのでございますけれども処理をいたしまして、三百三十号の案件はその後いずれも代金徴収済でございますから御了承を願いたいと思います。  なお三百二十九号につきまして先ほど検査院のほうから御説明がございましたが、三百二十九号の案件は正に検査院お話しの通りでありまして、当時事件刑事事件として裁判所に係属しておりましたので、そこで書類等も一時は検察庁のほうで持つて行かれるというようなことがありましたので処理が遅れたのでございます。その後事件がいずれも無罪となりまして解決を見たのでございますが、判決が下ります前に実は建設省からも出かけまして書類検察庁から返してもらいまして、その書類によつて事務処理いたしまして、その後先ほど説明がありましたが、今年の一月二十八日には全部国庫に納めております。  なおその次の三百三十一号の案件性質はその前の三百三十号と全く同一でございます。やはり艦艇解撤の際に発見されまして、早速その処理をいたしたのでございます。その分は三百三十一号にございますように代金徴収済でございます。いずれもこれ又当時の事情から多少遅れたのでございますが、今日におきましてはすべて解決を見ておるような次第でございます。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 三百三十号の鉄屑の一万七千四百八十トンという数字でありますが、これはどういうような方法で且つどういうような点からこういう数字が出て参つたのか、具体的に一つ説明を願いたいのですが。
  12. 高田賢造

    説明員高田賢造君) この案件先ほども申上げました通りあとになりまして発見をしたのでございます。併しながらその記録検査院がいらつしやいましたときにも相当調べ下さつたわけでございますけれども、その中にどの程度のものが浸つたのかということについては相当判然とした或る程度記録もあつたのではないかと思いますが、数量につきましてはさようなあとからの調べでございますけれども、これは検査院のほうからも或いは御説明があるかも知れませんけれども事後において調べたものでございますが、大体この程度のものは間違いなかつたと思います。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますとこの鉄屑数量というものは事後において調べたものだ、従つてこれは実際とはよほど違うということでいいわけですか。
  14. 高田賢造

    説明員高田賢造君) 私の説明で多少補足しなければならんと思いますが、特殊物件一般処理というものが普通の財産処理とは多少趣きを異にしておるところがありまして、当時処分そのものも又扱い全体が、進駐軍が非常に急速にその処理を講ずる、或いは進駐軍が来たばかりで、非常に強い力で関係事務をそれぞれ迅速に而もかなりの強権を以て、今日で考えますと、当時としては相当無理ではなかつたかというようなこともあつたのでありますが、そういう進駐軍のほうの扱いそのものもございましたし、又もう一つ終戦当時のああいう混乱期でもございましたので、特殊物件につきましては、必ずしもこればかりではないのでありまして、従来の検査の際の御指摘等でもあつたわけでありますけれどもあとからいろいろ調査をいたしましたものも実は相当あるのでございます。併しながら当時止むを得ない事情であつたのでありまして、調査その他につきましては相当努力をいたしまして正確なものをつかむという恰好につきましても、それらの結果につきましてはいずれもあとから又検査院でも更にお調べを頂くというような恰好で始末をいたしたような次第であります。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 次に正規の手続を経ないで使用したり、これを又他に売り渡しておつた、だから注意したのだ。注意したところがこれこれしかじかの金額があつたの徴収さしたのだ。こういうことですが、ただ注意をせずに放つておいたならばこの金額は何というか、俗な言葉で言えば猫ばばになつてしまうのだ、こういう結果になると思うのですがね。その点ではどうお考えなんですか。やはり注意をされたので、少しでもこれだけ取り戻した、取つたという形なのか、注意せずにおいたらこの金額猫ばばしてしまう、こういうような状況にあつたのか、どういうのですか。
  16. 高田賢造

    説明員高田賢造君) 特殊物件処理、これがたまたま先ほどお話に出たと思いますが、まああとから相当、こればかりではありません。たまたまこれが挙つておりますが、あとから県の当局におきましても事後において相当努力をされております。場合によりましては県庁の中から特別に班を構成いたしまして特殊物件らしき物があるという所へは相当人を繰り出しておりますから、これ以外のものにつきまして、やはりそういう混乱期において軍が放つておいて返つてしまつたというようなものもあつたわけでありますけれどもかなり発見に努めまして処理をいたしておるのであります。これはたまたま処理の役所が違つてつた。ところがこういうところにつきましては軍が介在をするわけでなかつたものですから、不幸にして残りまして、あとからわかつたわけでございますけれども、まあ全般的に眺めますと各府県庁相当手を尽してやつておるわけであります。こういう事例がたくさんあるということでないように、実は当時も県のほうに督励もいたしておりますし、その後私ども見ました範囲でも相当特殊なものもございます。これはさような次第で処理が比較的遅れた、先ほど検査院お話がございましたように残つたものの大きなものではないかと思うものであります。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで引続き伺うのですが、今私が尋ねておることは、注意をしたからこれだけ取り返したのだというのか、注意がなかつたならば当然猫ばばになつてつたと思いますが、それはどうするか、政府は……、それを聞いておつたのです。当時の事情でいろいろな複雑な事情にあつたということはそれはわかるのですよ、だからそれはどう思うのだと、こういうのですよ。
  18. 高田賢造

    説明員高田賢造君) これは私ども考え方ですが、これは初め造船所でやられたものにつきましては、これは造船所自体としても、私行つておらんのでございますけれども、話を聞く程度でございますけれども扱いについて造船所自体も知らなかつたという点があるのじやないだろうか、そこに多少の齟齬がありまして、まあぐずぐずしておつたわけだというところがあるのではなかろうかと思います。この点が検査院現場に行かれまして実は発見したものでございますので、或る程度その辺の事情もあると思いますけれども、まあ当時の事情は、これは猫ばばをきめるという筋のものでもなかろうと思います。早晩これは発見されたものに違いなかろうと思うのでございます。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点についてはまあこれは検査院検査に行かれた当時の実情から推して、御判断を後ほど承りますが、続いてこういうような、この件について政府としては盗難或いはその他の不正の行為によつてこれらの国の財産が被害にかかつておるというようなことがあつたのかなかつたのか、あつたとすれば具体的にはどういう実例があつてどういうような手当をしたか、これについて一つ伺いたい。
  20. 高田賢造

    説明員高田賢造君) お答え申上げます。この終戦時の状況につきましては、先ほども私一言申上げたのでありますけれども、殊にこの放出物件というようなものがございまして、これは実は一旦軍が払下げをしたのであります。そうして軍としてそれぞれ適法のつもりで処理したものが相当あります。これらがいずれもやはり特殊物件になるわけであります。それをあとから取戻すという措置を、よほど後になりましてから、約四カ月か五カ月先だと思いますが、なりましてから進駐軍当局の意向がありました関係で、そうして又措置をし直したというところがございます。そこでこれは法律論からいたしますといろいろ議論があると思うのでありますが、お話盗難とかがあつた、或いは横領というようなことがいろいろ揣摩臆測されますけれども、それは大部分が終戦の直後に進駐軍が来る前に、一応国内的には適法措置として扱つて放出をしたというものが、実は事後におきましてそれを遡つて戻させるという異例の措置を講じたのでございます。そこでこれはその結果府県なり町村当局相当熱心にやりまして、かなりのものが返つております。併しその簡単の放出されました物資等でこれが適法に、当時としては適法であつて、一体国内的には果してそれがどうなのかというようなものもあろうかと思います。そういう関係で非常にたくさんなものが不法に流れておるというような感じも実は一面いたしますけれども事情はそういうわけで、一旦国内的には適法のごとくにしてそれが措置されたものがあとから、誰でも一応は適法思つてつたわけでありますけれども、それがあとから遡つて措置をしたというような関係で、事柄は単純でないわけでございますが、ですから私はその意味で、当時の事情がそういう事情でございますから、府県なり町村当局といたしましても、できるだけのことは相当努力をいたしまして返つたものと、当時の政府の力で及びまする限度の上に相当のものが確保できたものと思つておるわけでございます。そういう事情でございます。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今ここで議論をしておるのは、あなたが言われるように軍が進駐して来て、そうして何したという以前のことを論じておるのじやないのです。恐らくこの三百三十号の事案というものも、そんな遠い昔のことじやなかろうと思うのです。これは恐らく先ずそういうような措置が法的に明らかにされて、帰属が明らかにされて、そうして返すものは返すということにきまつてから、それから恐らく以後の問題であろうと私は思うのです。従つてそれはあなたの言われておるのはそれ以前の問題であつて、その以前の問題と以後の問題とを私がここではつきりと区別をして、その以後においてどうであつたか、その以後においては一体どういう措置をしたか、こういうことを主として尋ねておるわけなんです。従つてその前のことを引合に出して答弁をしてもらう必要はなかろうかとこう思つておるのですよ。そこでもう少し進んで申上げますと、実際払下げという名目で、或いは清掃費として何がしかのものを支払われたと言つておるが、これが適当なる金額でないのじやないか、従つて実際に国としてもらうべき金額は、これの遥か数倍、若しくは十数倍に当る大きなものであつたのではなかつたか、問題は、それは私はこの委員の中にも広島、特に呉には仁田氏もおられるから、恐らくその辺の事情は御承知であろうと思うのですね。だからそういうようないわゆる不当なる、税金もかからなければ、そうしてその只取山のようなそういう大きな山が終戦後できた、そうしてそれが今日までずつと来ておるというのが、これに限らず一般状況なんですね。だから私の言うのは、ここでこういう工合に辻褄をただ合しただけのことであつて、これは実体はこういうものではない、もつと大きなものであつたが、併しながら何とかそれらのことについて始末をつけねばならない、そこに追い込まれた結果、そこでどのような始末をつけたらよかろうかということで出て来たものがかような数字であると我々は判断をしておるわけなんです。そこでその実体は、実のところは真相はどうであつたかということをお伺いしているわけなんですよ。それはお答えができなければ、次は会計検査院のほうから一つ当時の事情から推して御説明を願いたい。なお又仁田君からも当時の事情について一つ説明を補足願えればなお結構だと思います。
  22. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今カニエさんの御質問にお答えする前に、実は一言お詫びをさして頂きます。先ほど私冒頭に御説明いたしましたときに甚だ恐縮でございますが、案を若干取違えまして、価格差、安い価格で売つたのを直さしたと、こう申上げました。これは実は間違つておりまして、まるつきり取つていなかつたの検査の結果取らしたものでございますから、どうぞ一つお許し願います。  それで今の御質問にお答えいたしますが、この三百三十号の案件は、実は終戦直後にあの焼けた呉の工廠の中に進駐軍が入つて参りまして、焼けた残骸の鉄屑を邪魔だというわけでドツクの中に、ブルトーザを持つて来てみんな抛り込んでしまつたのであります。これをあと会社ドツクを使うにつきまして全部それを清掃して揚げた。そのスクラツプが主なものでございます。ほかにも勿論ございますが、主なものはそういうものでございまして、この一万七千トンという量は決して小さい量ではないのでありまして、相当なものであります。そういう性質のものですが、その後に会社が勝手に、焼けたスクラツプとは言いながら、国有のものを勝手に使つたり、中には売つたものもあります。これが問題になりまして、検察庁相当この案件は実は調べたのであります。そうしてその後に検察庁では、これは結局国の物品を横領した犯罪ではないということで不起訴にきまりまして、そうして私どもも当時艦艇解撤検査をしていたわけですが、御承知のように播磨が全体の半分以上、日本中の旧軍艦の全体の半分以上の解撤をいたしまして、相当検査はよくやつたほうなのでありますが、そのときにこれが全然もう会社が使つてしまつたのに金を取つていないということを検査院で指摘したわけです。数量もなかなかこれは確認できなかつたのでありますが、今申上げましたような関係もありまして、一応は検察庁の手も入つたものでありますから、ほかの非常に不確実な数字よりはまあ確定に近い数字、こう私どもはこれを考えておるのであります。大蔵省にも、最初先ほども申上げましたように広島県でこの種のものを扱うということがきまつておりません。私どもは実は大蔵省へこれを初め御注意したのでありますが、その後政府部内でいろいろ御相談になりまして、やはり普通の特殊物件として扱うのが相当だ。軍艦の一部として扱うよりも、特殊物件として扱うべきだというので、県が担当になつたような次第でありまして、大蔵省なり県なりが相当正確にお調べになつた数字と、こう私どもでは思つておるのでございます。会計検査院が自分でこれを測るわけにも実は参りませんので、そういう資料を集めまして、私どもとしても一万七千トンという数字が先ず正しい、現在の状態においては正しいと認めざるを得ない数字だ、こういうふうに考えております。
  23. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで先ほどの問題に戻つて来て、今検査院が言われたような趣旨であれば、仮に検査院注意をせなければ、その当時の金で一千四百四十五万円というのは大きな金ですよ。それを猫ばばされている。私の言うのは、だからそれを一体あとになつて発見されたと思いますというようなことは、どういうところから推してそういうことになるのか私はちよつとわからんのですが、まあそう言わざるを得ないのでそう御答弁なすつておるのだろうとは思いますが、実際はあの当時のいわゆる播磨ドツク内部事情をあんたは御存じか知りませんが、内部引揚げて、そうして売つちやつたんですよ。よろしいか、売つちやつたものをそれはおかしいということで調べて、注意して、こんな一千何百万円取つた。今の金にすりやあ大した金ですよ。併しながらそうじやない。実情はもつとたくさんなものがあつて、而もその周囲にあつたものも一切合切括めて売つちやつたんですよ。実際は。ところが今検査院が言われているように県なり或いは何かで調べさせた数字によるとこういうことになつた、こう言つておられるのですが、私はそうじやないということと、それからこれは播磨としてはもう本当の一部分でしよう、根が屑鉄ですからね。屑の部類ですよ。屑でない部類にもこういつたものが相当あるということなんです。だから本来もつとこれは徹頭徹尾調べ上げて、そうしてそれぞれ国庫へ金を返してもらわなければならんと私は思うので、そこでいろいろお尋ねをしているわけなんですから、勿論これは不注意であつたにも違いないだろうと思いますが、そういう点について一つ考えを述べて頂きたい、こう言つているのですよ、私は。ちよつと私の言いようが悪いので一つわからないのかもわかりませんがね。
  24. 高田賢造

    説明員高田賢造君) 今カニエ委員お話よくわかりまして、御趣意はよくわかつているわけでございますが、まあこの案件につきましては少くとも先ほど来いろいろ御意見もございましたが、特に起訴はされませんでしたけれども刑事事件になりそうであつた、捜査の対象になつたわけであります。又検査院とされましてもわざわざ相当詳しくこの案件をお調べになつておりますから、私どもとしては一応検察当局なり或いは取調べの過程なり、或いは又検査院のほうの御措置を信頼申上げているわけでございます。特殊物件全般につきまして只今申上げましたようなことがございますわけでございます。この件につきましてはさような次第で、一応相当詳しく検査院のほうでお調べを頂いていると思つているわけでございます。こういうような時期が非常に遅れまして、又一般の疑惑を招いて而も相当のものが出たということは、扱いの上で誠に遺憾であると衷心思つているのでございます。残りましたものはこの程度だけ、今私ども承知しておる限りにおきましては大きいものはこれでありまして、その他相当検査院からいろいろ御調査になつておりますけれども、この二つの分が済みますというと、ほぼ妙な事件はなかろうと思つておるのでございます。御了承願いたいと思います。
  25. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで建設省では、ほかの話ですが、定員法のほうで見ると、特殊物件処理関係している人員が全部今度は零になつているのです。従つて特殊物件に関する者はもう全国津々浦々どこにももう一つもなくなつたということで、さようなことになつているのか、或いはそれとも特殊物件を扱うところが今度は所管が変つたということでそうなつているのか、その点と、それから特殊物件の現在まで状態はどういうことに一体なつているかということです。それからもう一つは、建設省で扱われました特殊物件に関して今まで売り払いをなした売払先、或いは売払金額、品名等の資料は全部残つているのかどうか、明細に、それがあるなれば資料として整つているかどうかということで、一応あれば決算委員会としては一つ終戦後における特殊物件を払い下げた、今日までにおける具体的な数字なり物なりを一遍調べて見たいと、こう思つているのですが、先ずその先ほどの二点と、それから今の点について一つお答え願います。
  26. 高田賢造

    説明員高田賢造君) 特殊物件の現在の仕事の進捗状況と、それからそれにかかつております人の問題であります。この点と、又更に先ほどお話のございました点を申上げたいと思います。現在の特殊物件の進捗状況といたしましては、過去におきまして処置いたしました物件代金が若干残つております。これが、その中には取立ての上でいろいろ困難をしておるものもございますけれども、そう額といたしましては非常に少くなりまして、来年度に、実はできますれば今年度のうちに極力取りたいと思つております。仮に若干残りますかも知れませんが、これはそう大きい数字ではなかろう。現在のところは極力全部取りたいと思つておるわけでございます。併しながら若干残る可能性もなきにしもあらずと思つております。大体事務のボリウムから申しますならば、今申上げました代金取立て事務の今年度やりましたものの残りが幾ばく出るかということでございます。今のところはつきり、まだ約四、五カ月もございますから、その間に相当督励してやつておりますので、かなりまあ取立てができるのじやないか。併し若干何千万円か仮に残りましたといたしましたならば、これはまあ極力来年度におきましては取るつもりでおります。事務の実際は主として今申上げましたような代金事務が中心でございます。その額は今申上げた通りで、来年度におきましては見当がまだはつきりつきませんですけれども、全国的に見て全体の全国府県で何千万円、或いは残るかも知れんと、かように思つておるのでございます。そこでこれに伴う人でございますが、代金取立て事務の実務は実は各府県でやつてもらつております。そこで来年度の予算の要求といたしましては、各府県に対する事務費も、その中にできますれば、これはまだ二十七年度の予算がきまつておりませんので、何とも無論案としましてもきまつておりませんので、大蔵省との話がまだついておらんわけでございますけれども、無論国会に提案にもまだなつていないわけでございますけれども、できれば若干府県のほうでそういう代金取立て事務に応じまする事務費、それから又最小限度必要なものがありましたならば、人も何したいと、かように考えておる次第でございます。本省のほうは先ほど御指摘がございましたように一応行政整理で落ちております。これは特殊物件の性格が、進駐軍関係におきまして、占領が終りますというと、これは特殊物件たる性格もなくなりますので、いわゆる私どもがここで申上げておりますような特殊物件というものはなくなるわけでございます。そこでこのどこで扱うかという問題も一つはあるわけでもございます。特殊物件でありました関係で、本来筋が多少違つておりました内務省がそれをやり、そのあとを引き継ぎまして建設省がやつたということでございますので、若し占領が終りまして特殊物件たる性格がなくなりますというと、これは当然扱いそのものも変えなければならんことになるわけでございます。その関係で一応落ちておるわけでございます。二十七年度にどういう方法になりますか、これは又一つは今申上げましたように府県事務費等も若干のものが或いは必要じやないか。そこでこの点国会に御提案、政府で提案になります前に、不審査として大蔵省当局のほうにもいろいろお願いをしておるような筋合でございます。来年度の扱い等につきましてはさようなわけで多少見通しがつかん点がございますので、現在ありのまま申上げますと、今申上げたような状況になつておるわけでございます。  なお特殊物件の過去の記録でございますけれども、これも実は過去において特殊物件が国会でもいろいろ御審議になりまして、過去において国会等に出しました記録もございますわけであります。それら、或いはその後にできましたものも若干ありますから、それらも追加して、作ることはこれはできるわけでございます。そういう資料は無論準備はできないわけはございません。さようなわけになつております。
  27. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今言われたように特殊物件はもう全国で何も現品としてはなくなつてしまつておる。何もない。ゼロになつておる。ただ府県を通じて取立てるやつですね。いわゆる債権が残つておるから、債権の取立てだけが残つておるというのか、特殊物件そのものもやはりあるのですか。あるとすれば一体どういうような物がどのくらいあるかということですよ。
  28. 高田賢造

    説明員高田賢造君) その点は多少敷衍しましてお答え申上げます。私が申上げました点は、現在特殊物件が全然ないというわけではございません。主たる事務の仕事は大部分は代金でございまして、まだ例えば埋没しておつた物が出て来たというようなこともございますわけであります。さような物は若干あるわけであります。併しながら事務といたしましては極く僅かでございます。その点が一つでございます。それから更に進駐軍が今来ておりまして、メモランダムを出しておりますので、メモランダムで、元の旧軍物資はこれを司令部の承認を得よという手続になつておるのでございます。その関係で、そのメモが活きておるということで特殊物件があるというわけでございます。特殊物件という性格を持つた物があるわけでございます。併し占領が終りまして、条約の効力が発生いたしますというと、メモは一応当然失効するのじやないか、而してその際にメモに代るべき何らかの協定ができるかというようなことも考えて見ますけれども、まあ今の私どもの観測では、それについて新しいメモに代るべきものが出るということは先ずないと見ておるわけであります。これは先のことですからわかりませんけれども、大体今の事態では返還についてそうやかましいことを言つて来ておりません。恐らく一応私はなくなると、その意味で元特殊物件であつた類似の物は残るかも知れません。あとから埋没しておつた物が出て来るというようなことはあろうと思います。併しそういうような、今のようなことになりますれば、特殊物件と銘打つた特別手続のものは私はなくなる、かように考えておるのでございます。
  29. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、今言われた建設省の中で特殊物件業務を担当しておつた人員がゼロになるということになると、一体特殊物件に関する仕事は誰がやるのか、それがまだあなたの今の説明であると、どこが果して受持つか、それもわからんというような実情のように聞えるのですが、我々まあ決算委員としては結局国の歳出を監視し、これを管理するということに主力が注がれておるわけなんですから、従つてそういう特殊物件がなおないとは言えないと、それはあると、あるが、併し講和発効後においてどうなるかということは別として、まだ現在あるのです。従つて金銭取立ての業務もあるのだ。従つてそれをやつてつた役所、所管をしておつた建設省の中でその特殊物件を扱う人間が一人もいなくなつたということになると、一体これはどういうことになるのですか。
  30. 高田賢造

    説明員高田賢造君) お答えいたします。先ほど申上げた通りでございますけれども、なお私の御説明の足らんところがございますから……。二十六年度におきましては少くとも建設省がずつとやつておるわけでございますけれども、御心配になつていらつしやるところはそのあとの問題でございますね。これは先ほど申上げました通りでございます。お話通りで、実は正式にはまだきまつておらんのが実情でございます。これは二十七年度の予算の編成の際にいろいろ関係省の話合いでこの問題を処理して行きたいと思つております。これは二十七年度の予算において編成の際に政府としていろいろ議がまとまるのじやないかと思つておるのでございます。現状は実はさような次第で、メモとの関係がございまして、なおいろいろきまつておらん点がございます。二十六年度限りはこれは建設省で全部やりますが、而してまだ数カ月ございますけれども、この間に極力仕事を進めるつもりでございます。さように一つ御了承願いたいと思います。
  31. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで私はまあ三百二十九号は、もうこれは代金を取つてしまつたので了承いたしました。それから三百三十号については、そういつたやはり疑義が私は残つておるので、ここで議論をこれだけに集中してやつておると困るので、一応これは留保いたします。それから次の三百三十一号について一つ政府から説明を願いたいと思います。
  32. 高田賢造

    説明員高田賢造君) 三百三十一号の点につきまして先ほど検査院からも御指摘がございましたが、この案件性質といいますか、どうして遅れたかという原因につきましては、大体ほぼ似たようなところで、ドツクのほう、船のほうの仕事をやつておる所にたまたまそれがあつた。それが関係の役所は艦艇解撤のほうを扱われるところでやつておりましたので、そこでその辺がやはり同じような趣旨で実ははつきりしなかつたわけでございます。これはここにもございますように二十四年の十一月におきましてと書いてございますが、代金も決定いたしまして徴収も済んでおるのでございます。
  33. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 会計検査院はどうなんですか、調べに行かれたらたまたまあるべき所に、鉄鋼以外に重油があつたので、それでこの重油はおかしいじやないかということでお調べになつたら、その鉄鋼と共に中に含まれて引揚げたもので、猫ばばをしておるのじやないかということを見付けられたと、こういう事情なんですか。
  34. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の三百三十一号でありますが、これは先ほどちよつと申上げましたが、艦艇解撤検査を全国的にいたしまして、会計検査院会社へ行つて検査するというのは実は非常に少いのでありますが、日立造船所播磨造船も全部検査の指定を法律によつてやりまして、そうして艦艇解撤検査に実は行つたのであります。向島工場と申しますか、尾道の対岸でありますが、ここへ参りまして艦艇解撤のほうを調べるために会社の帳簿をいろいろ調査したのであります。そういたしますとこれを実は発見したのであります。私どものは偶然というとちよつとおかしくなりますが、そういうようなあれで、大量のものがあるじやないかと、これでこの事実がはつきりしたような次第であります。
  35. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これも三百三十号と同じような性質のもので、たまたまこれは帳面を調べておつて重油というものが発見されたが、恐らくこれは潜水母艦の中には重油以外にやはり相当なる物件が積み込まれておつたということも大体窺われるわけなんで、こういつたものの実態も当時どういう工合であつたか、一応まあわかる範囲に一つ見てみたいと思いますので、これも一応留保いたしまして、そして三百三十二号、物納財産売渡代金徴収処置当を得ないものというところへ移つて頂いたらどうかと思うのです。
  36. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それでは三百二号から、主として財務局関係であります。これに移ります。
  37. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の私の申上げましたのは番号が違つておりましたので、三百二号について、三百二号ですか、今度……。
  38. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) そうです。
  39. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 だから私の先ほど申上げました番号が違つておりましたから、改めまして三百二号についての検査院の御説明を願つたらどうでございますか。
  40. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の三百二号について御説明申上げます。これは福岡の財務部で、長崎の支部の庁舎移改築工事費二百四十万円を支払つたと、こういうことで会計検査院に証明をしたのでありますが、二十五年の四月に会計実地検査をいたしますと、実際は元川棚海軍工廠の建物一棟を移築するということにしておりましたのを、移築でなくてそのまま山口某という人に三百万円で売りまして、その代金先ほど申上げました二百四十万円、これを合せた五百四十万円で長崎の駅前に長崎支部の庁舎、それから附属建物、合計して二百六十四坪、これを新築してしまつたのであります。まあ予算が少い関係で或いは止むを得ないというような事情もあるかも知れませんが、国有財産の歳入官庁、大蔵省としては実際珍しい案件でありまして、会計法の厳禁しております歳入、歳出を混淆すると、こういう処理になつておるのであります。これは今申上げましたように大蔵省はなかなか会計法についてやかましい役所でありますが、こういう役所でこういうことがありましたのは実は珍しいのであります。
  41. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今会計検査院から指摘された通り大蔵省としては特に会計法四十六条の規定によつてやかましく調べなければならん大蔵省が、自分のところからこういう会計経理を見るに至つているということは甚だけしからんと思うのですが、それほど一体その重要な責任を持つ役所があえてこういうことをやらねばならないということにはよほどの事情があるように思われるのですが、大蔵省当局から一つこれについての御説明を願いたいと思います。
  42. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 本件は只今検査院から御指摘を頂きましたように歳入と歳出を混淆いたしまして、誠に大蔵省といたしましては申訳ない事件でございまして、深くお詫び申上げる次第であります。  当時の事情について申上げますと、本工事は大蔵省におきましても当初二百四十万円で川棚会館を移築するという条件で予算を配付したのでございます。ところが福岡財務部の長崎支部におきまして、川棚町の町民が、この財産を移築しないで現地で活用して頂きたいという強い要望と、たまたま長崎カトリツク教会の山口愛次郎という男でございますが、そのかたが現地に参りまして、これを教会と学校に使いたいという要望があつたのでございます。併し当時はこの建物はすでに移築することに決定しておるのであるからそういうことはできない。ところが業者のほうからこの建物を三百万円で売ることができるならば新らしい材料で以でお役所の希望する建物ができるのだから、一つこの際売つたらどうかという話があつて、当時本省に連絡することなしに現地管理で当該財産を業者に渡し、業者がその財産を教会に売払つた代金で材料を購入してやるという恰好になつています。誠に申訳ない次第でございまして、深く謝意を表する次第であります。事情只今申上げたような状況であります。
  43. 田中一

    ○田中一君 ちよつと大蔵省に伺いますが、これは設計はどこでしたのですか。初めの二百四十万円の予算の支出の設計は。
  44. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 当時の事情を申上げますと、まあ予算というものは十分にございませんので、少しの予算でまあできるだけ役所をたくさん作りたいという事情がありますので、そこに国有財産で移築する建物があるというところには優先して配るというような事情にありましたので、大体二百四十万円程度ならはやるというようなまあ甚だ政治的と言つては変ですが、必ずしも科学的な計算根拠では配つておらなかつたように承知いたしております。
  45. 田中一

    ○田中一君 私が伺つているのは、でき上つた五棟延二百六十四坪の建物の設計は誰がやつたかというのです。
  46. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) これは福岡財務部でいたしたものでございます。
  47. 田中一

    ○田中一君 そうしますと、この建物の売却は請負人に売却方を依頼して、請負人がそれを売つてそうして丁度五百四十万円の建築をしたと、こういうわけですか。
  48. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) この建物を移築して作るとなりますと、本来移築といいますと、あり姿の場合もありますが、この場合には甲という建物を取壊しまして運搬して、乙の地で建てます場合はまるつきり変つた形になりますので、中間においては物品みたいな形になる。一遍は建物がなくなるというので、これは法律的にはおかしいのでありますが、現地の解釈では建物を業者に提供した、それを持つて来るのだという、屁理屈かも知れませんが……。そうしてですから役所が直接に売つたという形になつておらんのです。従つて業者がその財産処分して業者が三百万円の現金を取得して、その現金を二百四十万円と合わした五百四十万円の予算の建物が実質的にはできた。従つて実質的には、形式的には現地では移築と初めは言つたのですが、実質的には明らかにこれは歳入歳出を混淆したものであります。
  49. 田中一

    ○田中一君 私はこれは歳入歳出を混淆したものだというような簡単な割切つた犯罪じやないと思うのです。これは立派な犯罪と思うのです。そうしてもう一遍伺いたいのですが、国有財産として登録してある金額が、評価してある金額が幾らになつています。
  50. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 台帳の価格ですか。
  51. 田中一

    ○田中一君 国有財産として評価されておるところの金額は幾らになつています。庁舎が五棟延二百六十四坪のものが国有財産としては一応評価されておりますね、これが幾らになつておりますか。
  52. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 現在手許に持つておりません。併し恐らくこれは私の推察でありますが、二百四十万円という価格で記載されてあると思います。……二百四十万円とですね。以前の財産の台帳価格の合計額で書くのが常識じやないかと、こう思うのです。
  53. 田中一

    ○田中一君 それをもつとはつきり明確にですね、台帳の写を頂戴したいと思います。それからこれに対する処分はどうなりましたか、伺いたいのですが。
  54. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 本件につきましては実際にこの事件に当つた長崎の財務部の支部長を戒告処分にいたしました。そうして福岡の部長、即ち支出官並びに当時の経理課長であつた支出負担行為担当官二名に対しましては訓告処分をいたしました。
  55. 田中一

    ○田中一君 私はこの問題はですね、福岡の財務部長なり、少くとも長崎の支部の者の責任でなく、福岡財務部のほうの責任と考えられるのです。
  56. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 本来の会計法の立場から言いますと、契約というものは契約担当官、認証官並びにそれに対する支払関係の支出官という者が負うべきでありますが、本件は事情調査をしたところ、これは長崎の部長が何といいますか、主になつて、むしろ福岡の部長は巻添を食つたというような実態でありますので、実態に即して、形式的には長崎県支部長にはまあ会計法的な意味の責任はございませんが、実態に即して長崎の部長に対して戒告処分をさせたわけであります。
  57. 田中一

    ○田中一君 この長崎建築工業が三百万円で売つたというような何か証拠書類があるのですか。
  58. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 現在持つておりません。
  59. 田中一

    ○田中一君 どうも不思議なもので、国有財産を勝手に長崎建築が売つて、その金を福岡財務部がもらつて建築をした。庁舎を作つたから金はもらわんでしようけれども、併し三百万円で売つたか五百万円で売つたかもわからずに、ただ物をもらつた。で、会計検査院に伺いますが、こういうことはただ単に行政処分のみで解決すべきものじやないと思うのです。会計検査院のお考えはどうでございますか。
  60. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この案件でありますが、これは実は先ほども申上げましたように二百四十万円しか金は使わない。それで三百万円の建物を川棚から長崎へ移築したと、こういう正式な書類が出ていたわけであります。検査に参りまして、その三百万円の建物を壊してこちらへ持つて来る経費、これが二百四十万円であります。そして、検査に参りますと非常に立派な建物が建つておるのであります。古材を使いました建物というのは実はどつかに疵があるのでありまして、なかなか古い物を表に出すような下手なことはいたしませんが、少し細かく見ますと、少くとも古材を使つた建物はわかるのでありますが、これは全然古材を移築したような形跡がないというので、細かく調査を始めたのであります。なかなかわかりませんで、向うで默つておられますとなかなかその真相かつかめないわけでありますが、いろいろ調べまして、結局ここにありますように三百万円で実は建物は置いたまま売つてしまつて、その三百万円を二百四十万円に合わして五百四十万円で長崎で新しい庁舎を建てたと、これがわかつたのであります。この三百万円は果して、実は田中さんの御疑問御尤もなのでありまして、これは検査に参りました者も当時のあれを聞きますと、非常にこれに疑問を持つたようであります。ところが私どもはなかなか関係者の家へ行つていろいろ調べることも実はできませんので、一応形式的に或る書類で三百万円ということを承認せざるを得なかつたわけでありまして、これに対しましては当時検査に参りました者も相当疑問を持つて細かく調べたということを報告を受けております。
  61. 田中一

    ○田中一君 会計検査院ではその三百万円で売つたという証拠書類はお持ちなんですか。
  62. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これは先ほど申上げましたように、売つたという形にはなつていないのであります。終始移築したということになつておるのでありまして、売つた証拠書類というものは、正式に会計検査院に証明される性質のものじやございません、売つた形は全然とつておりません。  それから先ほどの御質問にお答えを落しましたのですが、戒告くらいでいいか、犯罪ではないか、こういう御質問がありましたですが、これは犯罪とまでは、文書偽造と申しますか、そういうことにはなりますが、従来これを犯罪というふうには検察庁のほうでも扱つておりません。
  63. 田中一

    ○田中一君 請負人、長崎建築工業に対してはどういう処分をいたしましたか。
  64. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 請負人を処分といいますと、これはもう犯罪ということになつて検察庁にお願いするほかないのでありますが……。
  65. 田中一

    ○田中一君 国有財産を一人の会社が勝手に売却した、事実売却したのです。これは地元の学校なら学校に、そういう行為が犯罪でなくて何でしよう。ただそれをそうしろと言つたのが福岡財務部かもわかりませんが、管理しておる者が、お前にそれをやるから売れ、こう言つたのかも知れません。これはやはり少くとも国有財産を個人が、私人が勝手に処分をするということは犯罪以外に何物でもない、殊にそれを使嗾し或いは教唆したのは福岡財務部又は長崎支部ではなかつたかと思うのですが、会計検査院の見解はどうですか。会計検査院の場合としては書類調べ以外にできないから、その範囲で一応納得したのでしようが、事実そのものを見る場合には、私はそういう考え方を持つのは当然じやないかと思うのですが、如何でしようか。
  66. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の御質問でありますが、実はこの国有財産を勝手にこわして持つてつてしまつたり、例えば簡単な例で申しますと、屋根のトタン板を剥がして持つてつた。こういうので国有財産の窃盗ということで検察庁起訴をする場合は相当例がございます。検査報告にも載つておりますが、併しこの本件のように管理者、これは国の、権限を持つておる国の役人でありますが、その人が、これを何と申しますか、三百万円で売れということになりますか、そういう処分を暗默に、表向きではありませんが、ともかくもそういう権限を持つておる者がそういう処分をしろと言われまして、その言われた通りに実行したわけであります。それを犯罪として扱うのは今まで実は例がございません。これを犯罪とまでは私は言えないのじやないか、横領とも言えないのじやないだろうかと考えております。
  67. 田中一

    ○田中一君 それでは今日国有財産として台帳に載つておるものは二百四十万と、曾てあつたところの建物、これを合わせたところが登録された金額になつておりますね、財産の評価額に。その場合ですね、五棟二百六十四坪の実際の評価というものとの差異はどうなりますか。
  68. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 先ほど申しました台帳価格につきましては、実は私手許に持つておりませんので、普通そういう場合には従来の台帳価格にその後価値を附加したコストをですね、加算する。大体建物につきましては原価主義というような評価法になつておりますので、恐らくそういうふうに書いてあるだろう、こう私は思いまして申上げておるのであります。それから現在の値段はどうであるかという点につまして、現地からの報告によりますと、現実にでき上つた建物の評価については日本勧業銀行に評価をして頂きました。これは四百八十九万一千円、括弧して整地費を含まずとなつております。整地費の所要額三十九万七千三百七円を加えますと五百二十八万八千三百七円となりますので、十一万一千六百九十三円の開きがございます。
  69. 田中一

    ○田中一君 この売つた建物の評価は幾らになつていますか。
  70. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 売つた建物は……。
  71. 田中一

    ○田中一君 国有財産の原簿の評価額……、私が伺いたいのはこの建物は幾らで売つたかですね、従つてその国有財産としては幾らの売却、つまり収入があつたかということが一つと、それから二百四十万円支出してですね、今の評価の五百何万の家ができたということですね。これはあなたの言つている歳入歳出の混淆という意味からいつてどういう工合に分類されておるかということです。国有財産を売却したという収入が幾ら、それを改めてこの建築費に織込んで評価額をつけると、二百四十万円の支出に対する五百何万というものが若し台帳に登録されているならば、何と言いますか、財産を水増したというような感じしか受けないのです。書類上、数字の上で……。
  72. 太田源蔵

    説明員(太田源君) 川棚会館の台帳価格……、もう一遍申上げますと、国有財産台帳の建前は原価主義となつております。従来あつた建物を移築して建てたとなりますと、元の台帳にそのとき移築に要した経費を加算した額で書くのが国有財産法上の建前になつております。従つて時価がもつと高くつてもこれは改訂していない。本来から言えばこれは三百万円で売れば三百万円の歳入が立つ、で二百四十万円ではできませんので、追つて予算を配付して、それで初めて台帳価格が二百四十万円プラス三百万円、五百四十万円と記帳されるべきであります。ところが今言いましたように書類の整理の形式が飽くまでも移築という形になつておりますので、時価と台帳が違つてつております。本来から言えばこれはけしからぬから歳入は歳入で取るべきである、歳出は歳出で挙げるべきであるということになれば、これは一番はつきりいたしますが、甚だ手前勝手でございますけれども、本処置は大蔵省としては甚だ遺憾な措置であります。まあ事務処理のほうは御勘弁願いたい。こういう考えで実は答弁をしておるわけであります。
  73. 田中一

    ○田中一君 今の課長の御説明会計検査院は了承しておるのでございますか。
  74. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これは実は年度を経過いたしまして検査をいたしました。一応嘘の経理ではございましたが、それで固まつてしまつてつたわけであります。改めて予算を三百万円取りましてそして請負人に払つてやる代りに金を納めさすという手続をとるのには、特に予算もなければいけませんが、三百万円という予算はそう簡単にも捻出できません。検査院としても当局が遺憾の意を表されたのを、これを了としてそのままにしておるわけであります。
  75. 田中一

    ○田中一君 そういうような事務上の処理会計検査院は常にやつていらつしやるのですか。若しもそうならば我我はもうあえてあなたの御報告を受けないでもう結構なんです、実際は。そういうものがあなたがたの……。会計検査院の役目はそうしたものを是正するのが役目じやないかと思うのです。その点どうですか。
  76. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 例えば高い物を買つたとかそういうような案件につきまして回収するとか、できるだけの措置は実は講じております。この検査報告、たくさんございますが、大体において直すという方向に向つておるわけであります。この次にたくさん出て参ります国有財産の売払代金を取つていない、こういうような案件につきましては直ぐに取るように御注意しまして、これは大部分が実は入つております。只今案件になりますと、三百二号でありますが、これは三百万円というものが妥当かどうかという点が残りますのと、それからあとは会計法違反、こういう問題が残るわけであります。これは文書偽造とか何とかいろいろ問題がございますが、一応会計という面から参りますと会計法違反、こういうことになるのであります。三百万円の予算をわざわざ取りまして、そして歳入、歳出両建に改めてさせるということも、実は国会の議決を経なければ三百万円の予算もございませんし、なかなか大変なのでありまして、これはここで強く検査報告で批難いたしまして国会に御報告する、これで将来こういうことをやらないということがむしろ大切なことじやないかと思うのであります。経済的な問題になりますと、検査院のほうからできるだけ是正する方向に参りますが、これのようにむしろ会計法違反という、何と申しますか、形式的な案件と言うとちよつと言過ぎですが、私ども大蔵省が、いわば会計法の番人である大蔵省が会計法に真正面からぶつかるようなことをしたということが実はこの批難の重点になつております。損をした得をしたという問題とはちよつと性質が違うのです。その点で御了承願いたいと思います。
  77. 田中一

    ○田中一君 私は単純な損得の問題よりも智能的な、こうして福岡財務部長というのは相当の地位の公務員と思います。そういうかたがたが総掛りで共謀してこうした措置をしたということが甚だこれは不問に付すわけにいかんと思うのです。これはもう末端の立場の低い公務員はよく懲役何年何カ月と単純な犯罪で食つています。こういうものは、そこに三百万円が妥当なる金であつたか、どういう支出をしたか、五百万円で売つたか四百万円で売つたかということもお調べにならずに、ただ数字面だけを糊塗するという行き方は、これは会計検査院としてとるべきじやないと思う。それを単純な犯罪を常に懲役とか何とかで以て縛つておりながら、このように多勢の者が、恐らく多勢の者がかかつて証拠湮滅をしたのかわかりません。部長以外全部の者が集つて会計検査院としては結果においてはただ数字上の歳出歳入の処理にはなりますけれども、その間に金が、現金というものが動いていたのですから、第三者長崎建築を通じて金が動いているから、その金が三百万円か五百万円か、四百万円であつたか、それをお調べにならずして、大掛りなこうしたような批難事項をそのまま看過するということはどうかと思うのです。今後とも会計検査院はこういう点については、無論年度決算が済んだあとの問題ですからなかなかやりにくいでしようけれども、こういう点をこそ十分突つ込んで、一つの事例として突つ込んでお調べ願いたい、又是正して頂きたい、こう希望いたします。結構でございます。
  78. 太田源蔵

    説明員(太田源蔵君) 最後に二言ばかり言わせて頂きます。一つ検査報告でございますが、ここに建物を現存のまま三百万円で会社をして売渡させ、こういう表現方法になつております。私のほうといたしましては、最後に行きまして歳入歳出を混同する結果を来たしているという点について御尤もであるという御答弁をしたのでありまして、現地の部長、支部長の意見も、大蔵省としては肩を持つと言いますか、実はその移築のことにきまつていたものに対して、特にカトリツク教会からそれを教会並びに学校に使いたいという希望と、川棚地方民の、特にあそこは工廠がありまして初めてでき上つた町であります。従つて工廠がさびれてしまいますともう何もなくなつてしまう。従つて努めて現地で使える財産は残して欲しいという希望があります。たまたま業者からも三百万円ならむしろ移築するよりも新築したほうがいいのではないかというような話があつてつたのだという話でありまして、初めから二百四十万円もらうときの話も、もう第一番に三百万円で売つてしまうのだというそういうような考えではないと言つておりますし、私としても大蔵省の部下がそこまで出過ぎた考えを持つているとは思つていない。一つ弁護させて頂きます。  第二点は、大蔵省国有財産を管理する、従いまして若しこれが問題にならないことになりますれば、ほかでもまねをする危険が十分にあります。非常にいい点を初めてでありますが、お衝き願いまして、私どもとしては今後とも、特に大蔵省はこういう面につきましては絶対に過ちがないように篤と監督し、又ないことをお誓いしたい、こう思います。
  79. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 異議ないものと思いまして、散会いたします。    午後三時四十三分散会