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1951-11-20 第12回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十日(火曜日)    午後一時四十三分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十一月十六日委員小林孝平君辞任につ き、その補欠として岡田宗司君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君    委員            大矢半次郎君            楠瀬 常猪君            溝淵 春次君            廣瀬與兵衞君            赤澤 與仁君            小林 亦治君            鬼丸 義齊君            菊田 七平君            竹中 七郎君            森 八三一君   政府委員    大蔵省管財局長 内田 常雄君    国税庁次長   正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵省管財局総    務課長     小林 英三君    会計検査院事務    総局検査第一局    長       小林 義男君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       小峰 保榮君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) これより委員会を開きます。  本日は前回で国税庁関係租税の一部を審議したのでありまするが、その残りの部分二六二号から二九四号、それから同じく租税以外の部で二九五号から三〇一号と、少し号は飛びますが三六一号から三八六号と、これは職員不正行為により国に損害を與えたものとこうなつておりますが、これを一括して議題に供します。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで、この二九五から二九七までのものと、それからその後の二九八から二九九までと、これについて検査院から簡單説明でも願つたらどうですか。
  4. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 小林局長どうですか、今のカニエ君の……。
  5. 小林義男

    説明員小林義男君) 二九五号は、国税庁酒類密造取締をするわけでありますが、その際に警察関係当局にいろいろ手数をかける。それに対して国税庁予算の中からその謝礼というものも含めて費用警察に渡すということを指令したわけであります。その際に国税庁におきましては、自動車借上料といふ証明会計検査院のほうへは提出いたしておるのですが、実際はそうでなくて警察関係費用に使用した。これは証明上そういうことは面白くない、こういう事項でございます。  それから二九六号でございますが、これは織物消費税が撤廃になつたのでありますが、その残務整理のために費用が要るといろ理由がありまして予算が積算されているわけですが、出しました金は実際上は補助員表彰経費に充てるという指示をいたしました。そうして実際税務署においてはこれを織物査定上の借上料ということで証明をしておるのでありまするが、実際は織物査定補助員表彰式と申しますか簡單な式をやりまして、そこで一応のお祝と申しますかそういうものを催した経費に使つてあるという問題でございます。  二九七号でございますが、本件名古屋国税局外六カ所で、印刷製本代、或いは自動車借上料ということで証明をしておるのでございますが、この使途を検査院会計検査の際に調べてみますと、それは食糧費とか接待費というようなもの、そういうものに使用しておるというのでありまして証明上甚だ面白くないという問題でございます。
  6. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 引続いて二九八から二九九の説明を願つたらどうですか。
  7. 小林義男

    説明員小林義男君) 二九八号は関東信越国税局税務署庁舎購入したわけでございます、八百八十万円、ところが購入しましたということにして支出をしておるのですが、六百四十万円で別に新築工事をさしているものがあるわけです。新築工事をさしておつてその新築工事の内拂い金を、買つた金のうちで留保しておいて内拂金に渡してやつたということが前段のほうです。それから又留保した金で以てほかの宿舎購入をしたというような次第でございまして、これはまあ国税庁としては予算が足りないものでありますから、そうして一遍に宿舎設備は成るべく多く着手する。そうして予算が来たらあとからそれで正しい経理をするという関係考えられるのでありますが、経理上はそういうことは認められないのでありまして遺憾であるという問題でございます。  それから二九九号は庁舎購入費として二十四年度支出しているんでありまするが、実際はその購入した建物の手直しをする必要がありまするんで、その買つた金のうち現金を留保しておきまして百五十六万円ですがそれを修繕費に使つておるのであります。  それから本件につきましてもやはり留保した金のうちで以てほかの庁舎購入費に一時使用している、そういう現金を持つてつて経理するというのがよろしくないという趣旨のものであります。  それから三〇〇号は二十四年度予算から二百万円で旭税務署分室或いは大津税務署分室というようなものの改造補修済建物購入した、こういう証明なんでありますが、この分室と申しますのは職員の寮でございますが、そういうものを支出しておるのでございますが、これは実際は二十五年の十月末回收工事の未完成建物でありましたので、又泉大津税務署のほうは七月改修工事を完了したとこういうようなんでありまして、年度が違つておるというのが違憾である、こういう問題です。
  8. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今検査院からの御説明によりますと二九五、二九六、二九七いずれも自動車の借上料とか或いは又その印刷製本代であるとか、或いはその織物査定表彰であるとか、こういうことに名を借りて巨額な金が飲み食いに使われておる。この酒類密造に関しての取締では四百四十一万九千二百五十円、又織物消費税特別整理に関しては六百三十万円余、そのほかに名古屋国税局ほか六カ所では三百七十七万九十六百八十三円と、この三つを合せただけでも一千四百万円以上になるのでありますが、かような飲み食いをせなければ国税庁仕事ができないという事情があるのかどうか、この点について国税庁から御説明を願いたいと思うのであります。
  9. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今カニエ委員から御指摘の点につきましてお答えを申上げます。その前に御質問につきまして一言私のほうから事実関係を御説明申上げたいと思いますが、密造取締につきまして先ほど会計検査院の第一局長の御説明にありましたように、自動車借上料等の名義で警察に金を支拂つておるのであります。これは飲み食いというお話でございましたが、実は御承知のような終戰後の日本の警察機構の改正に伴いまして、自治体警察というふうなものができておるのでありまするが、こういう自治体警察酒類密造の非常に危險仕事に応援を願うような場合におきましては、我々として特にその御協力に対してやはり謝意を表する、こういうことが実際問題として必要な場合があつたのであります。これは併しながらだんだんと社会が落付きまして最近ではさような現象もだんだん減つておるのでございまするが、御承知のように終戰後は非常にそういう事態がございまして、本件は二十五年度でありまするが、やはり相当危險事態がありました。これらには警察官の諸君にいわゆる挺身御奉公を願つたようなわけであります。本来私どもはこういう警察に対して協力をして頂くような場合には、正当な予算科目を計上してここから出したかつたのであります。併しこれはいろいろな関係上許されなかつた次第でございまして、その結果止むを得ずしてかような予算の、いわば一種のやりくりをせざるを得なかつたのでございまして、この点は誠に検査院の御指摘通り経理の法規その他に照しますると違憾なのでございまするが、併し他方におきましては、密造取締ということが非常に重要な、国のいわゆる税收確保の面から見ましても、又当時の非常に貴重な主食が密造に流されるというようなことを防止する点から申しまして、全く一種緊急事態なのであります。こういう緊急事態に処するためにはやはり我々としても止もを得ずしてかような措置を講ぜざるを得なかつたのでありまして、この点につきましては何とぞ御了承願いたいと存ずるのであります。  なお二九六の織物消費税の件でございますが、これ又飲み食いと申しますよりはむしろ織物消費税のために多年非常な功積のありましたかたがたに対しまして、正当な報奨費を計上いたしまして報奨を行いたかつたのでございますが、これが許されず止むを得ずしていわゆる残務整理費の一部を流用いたしまして表彰行なつたような次第であります。従いましてこれ又単なる飲み食いということではないのであります。ただ二九七につきましては御指摘通りこれは食糧費接待費等に使用したものでありましてこの点は誠に遺憾であります。併しこの点につきましても一言まあ私どもの立場を御同情願う意味におきまして御説明を申上げるならば、これ又社会状態改善伴つてだんだんさような必要が減少しておりまするが、曾つては反税運動というふうな非常に好ましからざる事態もございました。他面歳入確保ということが非情に我々にとつては絶対至上命令であつたのであります。そこで止むを得ずかような経費支出せざるを得なかつたのでありまして、然らばこれを正当にいわゆる接待費食糧費として予算計上してやるべきであつたではないかという点を御指摘になるのでありますが、これは全く私ども同感であります。でどうか今後におきましては我々はかような社会一般情勢改善伴つて、かような経費必要性が減少することをひとえにこい願つております。同時に併しながら最小限度必要な費目は是非とも予算に御計上願いまして、そして堂々と必要な方面支出するようにして行きたい、これが私どもの念願でございます。過去につきましては我々はひたすらそのときの事態必要性とは申しながらかような経理をしたことにつきましては深く反省をしておるのであります。この点は検査院に対しましても関係者の処分を遺憾なく実行いたしておるような次第であります。将来につきましては我々はかようなことの繰返されないように一般的な條件改善とともに、予算の何と申しましようか我が国実情に即応したところの費目の計上ということにつきまして一層努力してもらいたい、かように感じておる次第でありますので、何とぞよろしく御審議を願いたいと思います。
  10. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういたしますと密造関係の四百四十一万九千二百五十円という支出は、警察関係費用として自治体警察予算に組入れられておるという性質なものか、或いは又個々のそのときに出動をした警官に対して頭割に給與性質として渡されたものか、その点はどうなんですか。
  11. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは遺憾ながら予算にはつきりと計上されておりませんでございまして、ここにも書いて説明を別途提出いたしておりますように、関係警察当局責任者に一括して交付したものでございます。
  12. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうするとその一括してもらつた警察責任者がそのお金を何に使つておるか、公明正大に警察内部收入となつて出ていない限りにおいては極めて不純な形で使途されるという可能性が非常に多いと思うのですが、その点はどういう格好になつておるのか、御承知であればお聞かせ願いたいと思うのですが。
  13. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 個々のケースについて御説明を申上げる資料を持合わせないのでありますが、ここにも書いておりますように、いわゆる最小限度を我々としては積算いたしております。と申しますのは密造取締カニエ委員も御承知通り大体明けがたをついて出動するのであります。大体炊き出しとかそれから終りましたときに御苦労であつたということで署長が署員を激励する、こういう経費最小限度交付しておるわけであります。
  14. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それならそれではつきりわかつたので、私が飲み喰いだということを言つた飲み食いでないというような御答弁のように聞こえたから、それであれば明らかにやはり慰労の意味飲み食いをしたんだということでそれでいいと思います。  それから二九六号のこの六百三十万円余というものは、これは表彰者に対して現金でお分けになつたのかどういう形のものでありますか。
  15. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは相当数補助員その他功労者に対しまして記念品を、極めて我々としては軽少な記念品を出しました。その功積を記念したのであります。
  16. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからその他の未完成建物購入費等支出に関して現金を一時流用したもの、これはまあ二九八、二九九ですが、これに対するお考えは今後どういうようにこれを是正して行こうというお考えなのか、その点を承わつておきたいのであります。
  17. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど検査院の第一局長さんから御説明のありましたような事態でありまして、私どもとしては誠に遺憾に感じております。ただ御承知のように只今行政整理税務職員を減らす段階に来たことは私は国のために喜ぶのでありますが、曾つて徴税強化のために職員をどんどん殖やさなければならんような悲しむべき事態があつたのであります。従いまして税務署庁舎にいたしましても、職員宿舎にいたしましても、特に戰災を受けました都市等におきましては非常に逼迫した状況でございました。然るに予算が十分……、先ほど検査院の一局長からも非常に御同情ある御説明つたのでありますが、職員をとにかく早目に、例えばここにあります関東信越地区でありますが、これはやはり田舎の税務署あたりから早目に集めまして、そうして徴税事務に間に合うようにやらなければならん。又庁舎につきましても同じなのであります。こういう客観的な実情のために止むを得ずして行なつた措置であります。幸いその後国家公務員宿舎法というふうな法律も制定されまして、公務員宿舎につきましては大藏省管財局が一元的にこれを処理することになつたことは私は非情に喜んでおるのでございまして、今後は我々としては宿舎等につきましては管財局国家公務員宿舎整備を切に促進して頂くようにお願いしておるわけであります。又庁舎につきましても幸い職員を或る程度減少するような段階に来ております関係上、われわれとしては今後はむしろ古い庁舎整備ということが主な仕事になろうかと存じます。従いまして新らしく税務署を作る、或いは増築をするというような必要性はだんだんとなくなる見込でございます。そういう点からいたしましても、私どもとしては今後におきましてはさような支庁というものは相当事前計画も立つのでございますから必要なだけの予算を計上いたしまして、これを正規方法によつて整備して参りたい、かように考えております。
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 続いて三〇一の点についての御説明を願いたい。
  19. 小林義男

    説明員小林義男君) 三〇一号は金沢国税局で二十四年の十二月に辰村組というものが二百七十九万六千円で庁舎購入したというふうな支出になつておるのでありまするが、実際はこの金で庁舎増築工事行なつた、或いは旧庁舎の模様替その他附帶工事を三名ばかりのものに請負わしたというので遺憾であるというのが前段でございます。なおこの庁舎工事を請負わせるに当りまして、いわゆるフロワリミツトを設けまして或る予定額に達しなかつたものを排除いたしまして、二番札の二百三十一万二千円で契約を結んだのは当を得ないという問題でございます。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これに対する国税庁答弁一つ
  21. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 事実は只今検査院局長さんからの御答弁通りであります。この点につきましても私どもは本来ならば建物購入費を一応請負費に流用する手続をとらなければならないのでありますが、当時におきまして請負費というものが非常に厳重に予算を査実されておつたのであります。そこで実質的には目的を達する意味において余り弊害もないというふうな、これは責任者の判断で購入費費目から結局工事費といいましようか、新らしく増築工事をしたり或いは電燈給水等設備整備をする費目支出しておるのであります。これは是非とも我々としては今後はやはりさようなものは流用の承認の手続或いは当初から先ほど申しましたように事前計画を立てまして請負費として必要なものは請負費として計上してもらつて出す、こういう方針に改めたいと考えております。  なおフロワリミツトの問題でございますが、これはやはり当時余り安い入札者に請負わせますと、結局途中で投げてしまうというふうな事態もあつたので止むを得ずこういうふうな措置をとりまして、いわゆる工事の万全を期したい、こういうことであります。かようなことは一般経済界改善に伴いまして、われわれとしては正規方法でやつていけるというふうに考えておるわけであります。今後は十分これらの点につきまして改善を加えて参りたいと考えております。
  22. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 次に三六一号から三九二号までの間における国税庁職員不正行為により国に損害を與えたものという頃を一括して会計検査院から簡單に御説明を願いたいと思います。
  23. 小林義男

    説明員小林義男君) 三六一号から三八七号まではいわゆる職員不正行為によりまして国に損害を與えた問題でございまして、これらのうちには歳出金もございますし歳入金もございますわけですが、主として不正行為の大要を申上げますと、大部分のものは收税官吏徴收に当りまして金を受取りましてそれを政府拂込まずに自分で業務上横領するとか或いは横領でなくても領得、横領でない罪名のものもございます。大体横領に凖じたことをして国に損害を與えたというものが大部分なのでございます。そのうちでちよつと金額の大きいのは三六一号の東京国税局の一千万円でございまして、これは部下の不正行為によりまして歳出金横領された問題でございます。なおこういうふうにたくさん不正行為がありますのは、どういうふうにして防ぐかとか、発見できないかというような問題で我々も苦心はいたしておりますが、大部分のものが先ほど申上げましたように徴收いたしました金を政府拂込まずに横領してしまうというようなものは、非常に書面検査等におきましては発見が困難であるという状況だけを申し加えておきたいと存じます。以上簡單でございますが。
  24. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この国税局の二十四年度職員の不正による金額総計幾らになるのですか、今検査院がお述べになつた
  25. 小林義男

    説明員小林義男君) 総計二千二百八十九万二千円余、七十六頁の二行目のところに計がございます。その金額総計です。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 国税局だけでこういつた不正があつて、而も年々絶間なく前年度も前々年度もこういつた不正があるのですね。逐年こういう状態では国民に対して非常に遺憾に思うのですが、これらのよつて立つ原因並にそれに伴う国税庁として一体これをどうやつて防ぐかというお考えがあれば一つお聞かせ願いたいと思うのですが。
  27. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今カニエ委員から御指摘のように毎年々々かような不正事件が出ておる。これでは国民に対しても信頼を得られないじやないかという御意見、私どもも全く同感であります。我々としてはその点について非常に万全を盡しておるのでありますが、なおこういう不祥事件の出て来ることにつきましては本当に責任を感じております。  でこれにつきまして、よつて来たる原因考えてみたいのでありますが、先ず第一にはこの税務が非常に混乱をしておつたのであります。でいわゆる歳入目標を指示いたしましてとにかく予算に定めた税收を挙げるようにと、そのためには相当犠牲を出してもやむを得ないというふうな事態昭和二十四年度までの我が国税務の実相でございました。歳入確保のためには相当程度犠牲もやむを得ないというふうなことでやつて来た結果、いわゆる納税者のかたからも割当課税というふうな非難も受けたのであります。そこで勢いこの部内が非常に乱れたのであります。税をとるためには会計経理、或いは徴收面内部整理ということを或る程度犠牲にしても、とにかく外へ出て集金する、こういう気分が税務部内に瀰漫しておつた。これが私は一番のこういう不祥事件の根源であつた考えます。  それから第二に、我々としてはやはりそういう至上命令によりまして歳入確保しなければならん、そこで税務署定員は六万一千幾らというふうな厖大な定員を頂いたのでありますが、これの充員でございますがこれ又いわば混乱しておりました当時の状況におきまして、或る程度身許の、人物の選考をいたしましたが、併しなかなか多数のことでございまするので一々間違いのない人物ということもできなかつた。そうして紛れ込んだ者がついさようないわゆる歳入確保に追われておるような事態につけ込みまして、かような不正を働いたのであります。で私どもは従いましてこの過去の状況を深く反省いたしまして、昭和二十五年度におきましては御承知のように更正決定をできるだけ避ける、即ち内部整理を十分にやりまして納税者のかたとは十分署長以下話合いをいたしまして、今までの歳出関係を正常な関係に切替えることに非常な努力を拂つたのであります。そこで昭和二十五年度におきましては国税事務はいささか面目を一新したかと考えております。併しながら二十四年度決算只今審議中なのでございまして、二十四年度までは我我はまさに税務混乱の職場であつたと、かような事態を遺憾ながらこれは認めざるを得ないのであります。  で今回我々は昭和二十五年度一つの転換期にいたしまして、内部事務整備に万全を期しておるのでありますが、その方式としてこれは関係方面特断の御指導によりまして、インターナル・コントロール・システム、何といいましようか内部管理方式とでも申しましようか、そういう新らしき方式税務署に適用いたしております。これは各納税者ごとにすべての問題を一括いたしまして、署長課長がじきじきに納税者に接触するというやり方でございます。従来ともすると先ほど申しました歳入確保に追われるあまり、各納税者もとへ若い者がばらばらと出かけて行つて集金をして来たのであります。そういうことをやらしておつたのではどうしてもこれは間違いを起すというので、今申上げたようなインターナル・コントロール・システムを各納税者ごとに案件をまとめまして、誠に納税者のかたには御迷惑でございますが、事前に日時を指定して署にお出でを願つておるわけであります。そうして幹部がみずから当りましていわゆる納税計画を御提出願つて、そのときにちやんと予定通りに納めて頂く、それによつて帳簿整理現金收受を明確にしておるわけなんであります。かような方法によりまして、事務のとり方の方式からも不正を防止して行きたいと思つております。で誠にこれは驚くべきことでありますが、このインターナル・コントロール・システムを実施いたしますと、却つて今までこの税務職員がやつてつた不正がだんだんと明るみに出て参ります。これは今までは個人個人がばらばらに納税者もとへ出て行つてつて、その間に少し自分の金に流用するといつたようなことをやつてつたのがみんな出て参るのであります。従つてこれによつてどもは過去の不正を一掃いたしますと共に、将来の不正の防止にも役立たせたい、かように考えております。更に私どもは併しながら結局税務はその税務に携わる人の如何によるというふうに信じておるのであります。幸い今回この行政整理によりまして、相当退職金も計上せられるような機会でありまするから、私どもは日頃監察官等を動員いたし、又検査院の検査の結果等によつてどの税務署にどういう不正をした人間がおるかというふうなこともわかつておりまして、その許すべからざるものは直ちに懲戒処分をしております。併しながら情状によつて或る程度将来改峻の情ありとみなされるものも中にはあるのでありますが、さようなものも今回退職金等が相当程度計上せられました機会に、我々としては税務部内の粛正を行いまして、いわゆる量よりも質ということを是非とも実現いたしたいと考えております。多少税務職員が数が減りましても立派な職員税務部内を受持ちまして、又これらの職員につきましては常に再教育をやりまして、事務についてはもとよりその人格の陶冶というふうなことも極力実行して参りたいと考えておるのであります。  なお又税務職員は今まで平均年令が非常に低いのでありますが、これはいろいろな面からなかなか税務部内相当の年輩者を入れるということが困難であつたのでありますが、最近は相当の高い教育を受けられたようなかたがどんどん税務を志望して見えております。我々は将来さような新しい血液を税務部内に注入することによりまして溌剌たる税界というものを築き上げて行きたい、そうして明朗な気分で先ほど申したような新らしい執務方式を実行するということによりまして、今後はさような不正事件相当程度に我々は防止して行くことができるのではないかというふうに考えておるような次第でございます。併し結局これは人に帰するのでありますから、優秀な人材を確保することを根本の方針として進んで参りたいとかように考えておる次第でございます。
  28. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 只今局長からこのような不正事件の発生原因を除去する方針について伺いましたし、又先般我々が決算委員会として広島管内、それから高松管内に出張していろいろかような不正事件の発生を防止する方策について局長以下幹部のかたがたが非常に意を用いておることを伺いまして、今後はこういう事件余りないとは思いますが、併しかような大きな国損を生ぜしめるようなことは誠に遺憾なことでありまして、この三六一号のこの案件等は一件で一千万円を越すというふうな事件ですが、これは一体この白井某というのはどんな地位の人なんですか。
  29. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは東京局のこの会計課におりまして議員に給料の支給の事務をやつておる係の次席でございます。それで給料を要するに二重拂をしたような恰好になつておるわけでございます。源泉徴收その他の事務をやつてつたのでありますが、いわば納税者のかたに対する仕事ではなくて、部内職員に対する給與の支拂と同時に、源泉の税の徴收をやつておる、こういう仕事に携つてつた者でございます。
  30. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 そうすると横領罪で起訴されておりますが、遊興費とか何かに使つたわけですか。犯罪の形態はどういうようになつておるのですか。
  31. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これはやはり今申しましたような仕事をやりながら、この給料のいわば相当二重に拂つたようなことで整理をいたしまして、そのうちの半分くらいを三人で共謀をしておつわけであります。そうして一時或る事業の何かにも金を出しておつたようでありますが、それが失敗いたしましてそれから足がつきまして警察に引つ張られたわけなんです。まだ年は若いのでありますが非常に巧妙なやり口をやつておりまして、ほかのほうの事業の関係で犯罪捜査が行われましたときに一緒に発見された、こういうふうなことであります。
  32. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 このうちの弁償された額はこの報告書によると百五十二万円ですか、そのあとはどうなつているのですか。
  33. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは只今まだ裁判が継続中でありますが、この関係者に対しましては私どもは別途民事訴訟を提起いたしましてその賠償請求の手続を進めているわけでありますが、まだ、今日までのところは百五十二万二千円以上のものは出ておらんのであります。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この中の三七四についてでありますが、先だつて国会から私ども名古屋並びに近畿、大阪財務局を親しく調査に廻りました際に、大阪局の中でこの中京税務署というところの堀ほか一名に対する不正事件に対する実地の調査を行なつたのでありますが、その際にこの批難事項に上つておりますところの三十五万一千七百十九円という額と、それから税務署現場の末端で出しました数字との間に三千円の喰い違いのあることを発見をいたしまして、その後検査院のほうにもお願いをいたしまして、どこで間違つているのか、裁判所の判決に間違いがあるのか、或いは検査院のほうに間違いがあるのか、或いは国税局に間違いがあるのかどこかに間違いがなければならないということで、今調べているのでありますが依然としてわからない。これは僅か事は三千円でありますが、私たち実地調査をいたしました結果感じますことは、現地の第一線のこの現場のそのままの姿がなまで国会に通つて来ていないという感じを受けたのであります。それは事実が局に行きますといささか局で修正をされまして、そうして検査院のほうに報告をされるというようなことがあるやに見受られるので、これは実際の第一線の実情そのままのもが反映されないという点において非常に遺憾に思つている次第であるので、この点につきまして国税局で御調査になつてわかつておれば今答弁を願えれば結構であるし、そうでなければ早速調べて御答弁願いたいと、こう思つております。
  35. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今カニエ委員の御質問誠に御尤もです。私ども税務署の計数は局を通じ本庁に参りますような場合に、昔は日本の税務署ほどこの計数の確かなところはなかつたのであります。全くこの頃はなつていないのであります。その点は我々はもう実は慨欺に堪えません。ですから猛烈にこれは叱りつけております。併し又御承知のように非常にこれは卒直に申しまして現在の所得税の納税者数は千四百万、べらぼうな数字であります。そういう所得税を扱つておるような税務署でございまするので、一方では叱咤勉励しながら一方には我々も非常にまあ第一線の苦労ということについては心中深く感謝をしておるような次第でございます。併しだんだんとその点はまあおかげさまで改善をしておるのでありますが、先ほど指摘の中京のケースにつきましては、実はまだ局のほうから正式にあれは参つておりません。大体私どももこれはよほど念査をいたしましたのでありますが、この報告に拳げたところは間違いないと思つておりますが、併し第一線にそういう数字が出ておるのであります。我々としても計数を合わせないと本当に夜も眠れないような風習で育てられておるものでありますから、是非ともその点はぴたりと合せたところを御報告申上げたいとかように考えておりますから、暫く御猶予を願いたいと思います。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは三七四は追つて明確になると思うのでこの点は留保いたしまして、なほ最後にお願いしておきたいことは、年々かような職員の不正なり或いは予算経理を乱つたものがあるので、これらについて国税局としてはこれらの事案を撃減するためには一体どうすればいいのかという点について具体的且つ可能ないわゆる方途を考えられまして、それを文書にして本委員会のほうに後日御提出を願いたいと思うのであります。以上私の質問はこれで打切りたいと思います。
  37. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 正示局長に申上げますが、今カニエ君から希望が出ております。委員長全く同感でありして、どうも近頃官紀が非常に弛緩しておる。これは従来とてもそういう声はあつたのでありますが、特に近頃は官紀が弛緩しておる。これは国民一般も認めておりますが、又権威ある新聞が官紀について論調を揃えて掲げております。我々決算をやつておるうちに特にその感を深くするのでありますからして。何とかしてこれを根絶したい。殊にこの税に関係のある国税庁関係において、或いは公務員の金銭に関する不正があるとか、或いは経理会計に関する、法律に違反する事故がたくさんあるということは、これは国民の信頼を恐らく失つてしまうことに結果はなると思うのでありまして、ひいては納税の面において非常に悪い影響を及ぼすということを痛感いたしております。何とか今カニエ君の希望もありましたし、委員長もそういう希望を持つておりますので、これが根絶についての方途を講じて頂きたい。これをお願いしておきます。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今委員長並びにカニエ委員から誠に税務につきまして適切な我々に対する非常な御叱責であります。国民の極めて重大なる権利義務に関係のある税務に携わるものがかような不正を働いておるようでは誠に国民の信頼に副わないわけであります。納税の成積にも直接私は関係があるというように考えまして誠にその点につきましては、責任の重大なることを自覚するのであります。先ほども申上げましたように、我々は事務処理につきましても新らしい方式を実施し、又根本でありますところの人の素質、職員の素質の改善につきましてもいろいろ施策いたしております。これらを併せまして具体的に記述しましたものを、時間の関係もございますから本日はここで長々と申上げずに、別途文書にして本委員会に提出いたしたいと考えます。
  39. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) これより国有財産関係の問題に入ります。何か御質問はありませんか。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 国有財産の拂下の審議に当ります前に一、二点伺つておきたいと思うのであります。それは終戰後陸海軍等の厖大なる国有財産の拂下に関しまして、特に大きな不正が随所に行われておるというような点に鑑みまして、私は最近新らしい問題を耳にしておるので、これについて又々疑獄或いは不正が行われ得るような懸念があると思うので、かような結果が起きないように国税庁責任者に対して御所見を承わつておきたいと、こう思うのであります。  そこで案件は播磨造兵廠の拂下をめぐつて行われておるところの問題でありますが、聞くところによれば、八月十五日旧海軍のこれらの拂下は一応打切りになつておるかのように聞いておるのでありますがこの点はどうであるかとこういうこと。併しながらこれは早晩講和後においては拂下実施になることは、これは確定的でありまして、従つてこの拂下をめぐりまして暗躍というものが相当行われるのではなかろうか。播磨造兵廠拂下問題は、大谷重工業と神戸製鋼の猛烈な争奪戰になつておるのでありますが、大谷方は社長大谷米太郎が、廣川弘禪氏と東京市会議員時代に特に懇意であつたというような関係から、廣川氏を通じましてそうして首藤通産政務次官、永山通産省官房長と結び、更には廣川の口ききで白洲次郎氏を動かし、白洲が関係筋に工作を行い、永山官房長と関係筋との間にほぼ大体これの拂下の了解まで漕ぎつけておると、ところがこれに反して神戸製鋼側は、大谷氏に先手を打たれたので狼狽をいたしまして、横尾君、或いは佐藤榮作のこの線で政治工作を強め、高橋通産大臣等を味方に引入れた。そうして更に元正金重役であつた西山某、元満洲銀行の総裁が関係方面にまで手を伸して、そうしてこれを顧問に迎え入れると、そうして直接折衝に当つておるというような情勢である。そこで廣川派は拂下決定の引延し作戰に出て来たと、そうして條約発効後政府の独善的な措置によつて、そうしてこれを強引にやろうと考えておると、こういうように聞くのでありますが、実際こうやつた大きな拂下げ問題をめぐつて、而も同一自由党内部において二つの抗争が展開されておるというようなことは実に遺憾に堪えないので、こういうような拂下につきましては極めて公平且つ妥当に行われなければならないと思うのでありますが、播磨造兵廠のかような争奪戰の起るところのよつて立つ原因はどんなものであるか播磨造兵廠とは一体どういうような規模のものであつて、どういうような内容のものを持つておるかというような点についても、これについて卒直に一つ御意見を承わりたいと思うのです。
  41. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) カニエさんの尋ねの第一点でありますが、国有財産の処理等につきましても職員不正事件等が若干ございますのは私ども最も遺憾とするところでございまして、如何にたくさんの国有財産、複雑な国有物件を処理する状況にあるとは申せ、いやしくもその衝に当る職員から不正を出すというようなことは私どもとしても最も恥ずべきことであり、且つ国民にも申訳ないことでありますから、事あるごとにかかる事態を惹起しないよう十分訓戒をし又その内部監督等の処置につきましても努力を続けておるところでございます。幸いにして国税関係とはいささか趣さを異にいたしまして、近来職員の大きな事件というものは私の在職いたしております最近の間におきましてはないようでありますが、現場の監視員等が、工場内部のスクラツプ或いは所在の軍施設等を処分します際に、それらの引取人が一緒に売渡しておらないスクラツプ或いは内部物件等をちよろちよろと持出す、そそを見あ見ぬ振りをしたというような事件はなお最近でもちよいちよいございますようであります。これらのものは大蔵省その他の職員ではなしに、全く現場的な昔から引継いだ地位の低い職員のなすこととは申しながら、私ども深く恥ずるところでございまして、今後も一層取締等を嚴重はいたしまして、さような持出等の事態が起らないように考えておる次第であります。  第二点の播磨造兵廠の拂下と申しますか、一時使用に関する諸般の問題でありますが、この施設は正確には大阪造兵廠播磨製造所と申しまして、大阪造兵廠の一単位工場になつております。兵庫県の加古川市附近に所在するものでありまして、私も一度一カ月ほど前に見て参りました。この地域は恐らく空襲を受けなかつたために軍時代の施設がおおむねそのまま所在いたしておりまして、殊にプレストとか或いは平爐、電気爐、ハンマー等の製鋼鍛造関係の一連の施設がそのまま残つておりますから、今後賠償等が解除せられた場合には相当大規模の機械工場等に適するもののようであります。尤も現在その主たる部分は国有鉄道が一時使用をいたして参つておりまして、国有鉄道が貨車の修理をいたしておるようであります。国有鉄道は今後も引続いてその施設を使いたいという希望を表明いたしておりますけれども、今まで使つてつた部分を集約してできるだけ他の余地を残しまして、他の残つた余地即ち平爐、電気爐等の製鋼もプレス等の鍛造というものも、国有鉄道以外の一般の製鉄機械関係における日本経済の復興のために使うというような方面に廻したいと私ども考えております。これに関して只今お話がありましたように神戸製鋼所、大谷重工業とかその他二、三の有力の会社から一時使用の申請がございます。併しながらそれらの一時使用先を決定するまでに至らない間に、只今カニエ委員からお話がありましたように一時ストップというような事態になりました。一時ストップと申しますのはこれも正式なものではありませんが、現在は賠償指定施設になつたままでありまして、今後平和條約の発効に伴いまして賠償が解除されれば日本側の使用処置が認められるわけでありますが、それまでの間占領軍の関係におきましても今後の駐兵関係、或いは駐兵に伴うみずからの機能充実等の関係もありまして、更に又現在の占領軍が駐屯軍の形に変ることに応じまして、いろいろ国内においても所在地の移動等があることと察せられるのでありますが、それらに関連して一つのまとまつた施設として賠償を指定されておるものは暫くの間はその使用を認めない。場合によるとアメリカ側等において駐屯のためにそれら使用する場合等も一般的にはあるために諸般の調査をしておるようでありまして、それらの米軍の移動に関連する調査の終るまでは日本側が使用先を決定して申請して参つても押える、こういう趣旨のようであります。そのために現在はどこに使用先を決定するかということはきめてございません。その間各申請会社には大蔵省或いは現地の財務局等に対しましても事業計画なり施設の使用計画なりにつきまして熱心な説明なり陳情が各社からございます。而して現在このような施設の取扱、又将来における取扱も同じでありますが、取扱に当りましては大蔵省は財産の所有官庁でありますから、それらを処分確定をいたします場合には財務の見地から十分相手方を選ぶ立場にあるのでありますが、併しこのような大きな施設は直接日本の産業政策、各産業分野のあり方等にも関係を持つものでありますから、大蔵省がみずからイニシアチブをとつて決定するという立場をとらないで、常に事業を所管する官庁、大蔵省等なり運輸省なり、そういう官庁から推薦を求めまして、それらの推薦の範囲に合致する限りにおいて大蔵省が相手方を選ぶ、こういう建前をとつております。現在一時使用に関しまして司令部に日本側の申請書賠償庁を通して出します際には、大蔵省省と通産省その他の産業所管官庁との関係は、單に国内の関係官庁の連絡調整という実際上の問題ばかりでなしに、司令部に対する一時使用申請書を出す書類の作り方、そのものにも直接関連いたしておりまして、賠償庁は大蔵省からの使用承認書と同時に必ず事業所管官庁の推薦書というものを賠償庁を通して司令部に出さない限り一時使用の許可にはならない建前になつております。そこでこの問題に関しましても私どもは財務官庁としての立場からむしろ一歩を退きまして、他の関係官庁における産業政策の立場から最も適当であるとするものをきめられた場合において、大蔵省としてその会社の支拂能力、資金調達計画等の面から十分な検討をいたしまして、その面において満足すべきものであるならば事業所管官庁のできるだけ意見に副いたい、こういう考えでおりますが、現在までのところ通産省からは通産省としての意思決定の通報に接しておりません。従つてそのままになつておるのであります。以上お答えいたした次第であります。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今通産省としての意思決定はない、これはないのが当然なんで、今申上げましたような内部で対立、暗躍、抗争が続けられておるのですから、意思決定のあろうはずはないと思います。併しながらいずれにしても講和後において処分をなさねばならないということは、これは必然的であろうと思われるのでありますが、その場合においてこれの決定権は管財局自身が決定権を持つておるのか、それとも他官庁から要請に支配されてやむなくそういうようなことにせなければならないのかということは、これは今も私が申しました通りです。自由党の内部において廣川派とそれから横尾派と言いますか、或いは大谷派と神戸製鋼派において対立しておるのでありますから、その点について最後の決定的なものはどういう形においてなされるのか、はつきり承わつておきたいと思いますが。
  43. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 現在賠償指定になつておる状態におきましては、先ほども御説明いたしましたように、一時使用に関する司令部に対する手続書類には、これは大蔵省と通産省、或いは事業所管官庁の推薦書というものが、全く同じ資格において両方面から出されることが手続上の必要として要請されております。併しながら平和條約に関連いたしまして賠償指定が解除せられた後におきましては、これの処分権は全く国内の権限のみによりまして、処理せられることになりますので、国有財産の処分権として大蔵省の所管するところに相成ります。併しながらさような場合におきましても、私ども考えといたしましては、單に個々の財産としての価値を持つにとどまらず、本件のごとき施設は直接産業政策遂行上の施設と考えられますので、通産省その他転用に関する事業所管官庁の意見を十分聞きまして、意見の整いましたところで大蔵大臣の名前を以て処分する。こういうことに最後的にはいたすつもりでございます。
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで一時使用のお話がありましたが、一時使用ということを許される場合、勢い法的には一時使用は一時使用であり、拂下であるということにはなるのでありますが、実際問題といたしましては一時使用をして、そこでやつておるということはすでに拂下を受けるところの要素が多分にそこに内在するという結果になるのでありますから、その点について一時使用を許されるときも十二分に考慮さるべきではないか、かように私は思つております。なお本件拂下に関しましては恐らくや会計検査院からも相当な目を以て見ていることはこれは当然でありますし、我々国会といたしましても、又国民としても公正且つ妥当なる拂下が如何にして行われるかということについては、各方面から非常な興味を以て見られておることであろうと思うので、その点は十二分に留意されまして、そうして拂下に関する措置を万全を期して頂きたい、とこう思います。なお私はこの件につきましては、後日通産省当局の意見をも質してみたいと思うのでありますが、これは後日適当な機会に、委員長から機会を与えて頂いたら結構だと思います。  次はやはり同じく管財局の問題でありますが、東海財務局、近畿財務局のこの最近の汚職に関しまして、スクラツプ等の拂下に関しまして、種々文書或いはその他でいろいろなことが私の耳に入つておるのでありますが、恐らく管財局としてもこの点について御調査をなさつておることと思いますので、この機会これらの真相について一応御説明を願いたいと思うのであります。
  45. 小林英三

    説明員小林英三君) 只今カニエ委員の御質問の東海財務局と近畿財務局の汚職事件のことでございますが、この真相と申しましようか、事実といたしまして先ず近畿財務局におきまして大阪陸軍造兵廠の枚方製造所でございます、ここでは被害の物件といたしましては鋼屑、スクラツプでございますが四十三トン余、価格にしまして八十七万円でございます。これが事件がそういう被害があつた日は本年の四月二十四日から五月十六日に亘つております。で、その内容といたしましては日鉄工業株式会社というものがこのスクラツプの拂下で、これはもう競争入札できめたのでございますが、この日鉄工業株式会社というものが落札しましたそのスクラツプを搬出すると、そのときにその会社の代行業者があつたわけですが、これが株式会社豊円鋼管製造所、この代行業者がそこにございまする管財局の出張所の雇いをしております山田豊治というのでございますが、これと共謀いたしまして契約の物件以外に四十三トン余スクラツプを不正に持出したと、こういう事件でございます。でこの措置といたしまして、私どものほうといたしましては、被害物件のうちの二十八トン余につきましては、代行業者の豊田のほうから返還して来たのでございまするが、残りにつきましても、これは適正な価格でそれだけを取戻すということをやろうということになつております。  それから名古屋の問題につきましていろいろ複雑な問題があるわけですが、大体の犯罪の概要を申上げますと、先ず鑄鉄管その他のスクラツプでございますが、これを数量にいたしますとまあ約十トン程度でございますが、これを太洋工業株式会社久野英雄と申しますが、これがやはり売沸われたスクラツプを搬出する場合において、余計にその物件を搬出して取つたという事件でございまして、これは今年の五月頃でございます。ですでに起訴になつておりますが、私のほうといたしましてこれを適正な価格で計算しまして弁償金を取ろうと、こういうことにしております。  それからやはり同じような問題でございますが、これも太洋工業の今申上げました久野というのでございますが、これがこのスクラップを今申上げた不正搬出するというために、財務局の雇いをしております小嶋某に贈賄したと、こういう事件でございまして、昭和二十六年三月十日でございますが、その時に調停いたしました拂下の鑄鉄管百トン、それからガス管六十五トン、金額にいたしまして約八百七十一万円、でこの価格で実は拂下たのでございますが、この会社はその代金のうち二百万円を拂込んだだけでございますので、私どものほうとしては金額が入らないのでその後搬出をとめたのでございます。でとめられたために会社といたしましては小嶋に取入りまして、そうして実際の搬出した数量は百二十五トンでございますが、これを少く報告させるということにしたわけであります。これが百二十五トンを搬出したにかかわらず九十五トンということにまあ報告させた、こういうようになつております。この未納の金額はまだあるわけでございますが約六百七十万円でございます。これについては契約を取消しまして、すでに搬出済みのものにつきましてはその分だけ更に取るということにしております。これが不正持出しの收賄関係になつております。  それから又同じような問題になるわけですが、ケーブル屑を株式会社の佐藤電気商会という名義で指名競争によつて入札受拂いしたものでありますが、この金額が二十六万三千円と調定したわけであります。この調定して売拂いましたケーブルを搬出するというときに、先ほど出ました財務局の雇い即ちそこにおりました小嶋某と、それから更に大蔵事務官になつておりますが奥村某にやはり贈賄をいたしまして、搬出量が実際六十九トンであつたものをこれを四十一トンということで少く報告させるというようなことでやはり不正に持ち出し、同時に贈賄したという事件でございます。でこのうち四十トン分につきましては代金はすでに完全に入つております。私どもといたしましては、更にこの今計算いたしました残りのものを更にこれから取るというように考えておりますが、なかなかこの問題も複雑なようになつております。  それからその次の問題は四級機械の屑、その機械をスクラツプとして売つたわけでございますが、この買受人が川崎製鉄でございますが、これの代行会社が中京金属ということになつております。でこの中京金属がやはり余計に搬出しようということでございますが、この搬出する際に同じようにそこの小嶋に金をやりまして、不正な報告をさせたという事件でございます。  それから次はやはり同じようなケースでございますが、同じ財務局の小嶋と奥村が国有の屑鉄を五トンばかり売りまして、その代金を著服したという事件でございます。  それから次に機械のやはりスクラツプでございますが、これを奧村、小嶋が同じように近藤何がしに売りまして代金をやはり著服したとこういうケースでございます。大体今申上げたのは名古屋のうち千種の製造所の事件でございます。  それから次に鷹來製造所の事件でございますが、これは川崎製鉄代行会社といたしまして中京金属が当つておりますが、これに拂下を内定いたしまして四級機械の、スクラツプでございますが二百二十四トンの拂下げにきめましたそれに乗じまして、余計なやはり予定数量以上のものを搬出してその代金を会社のほうで贈賄に使つたのでございます。いずれもその役人関係は全部起訴されておりますが、なお次に起つておりますのは豊川にありました旧海軍工廠でケーブルの屑等の二件の問題でございまして、これはいずれもそこに監視をしておりました者が国有の今申上げたケーブルの屑を、ほかの音羽電気商会というものに売りましてその代金を横領したということでございます。で、会社のほうにはその贈賄收賄関係があつたわけであります。それからなおこのほか直接そうしたケーブル等に関連いたしませんでしたけれども、なお名古屋、東海財務局の管財部第三課長をしている小山傳藏そのほか賠償第一係長とか賠償第二係員、賠償係員、文書係員という者がいずれも收賄の関係で起訴されております。この相手の会社といたしましては、小山傳藏につきましては中京金属関係でございまして、このスクラップの搬出の問題に関連がございます。それからなお音羽電気商会に売つた問題にからみましてこれはやはり收賄しているということになつております。なお賠償第一係長の鬼頭でございますが、これは丸繁産業のほうからやはり金を受取つておるようでございます。それから杉山六藏も丸繁産業から金を受取つておるようであります。なおそのほかのものにつきましていろいろ壽産業や或いはいろんな所から金を受取つておるようでございます。なおいろいろなこれは財務局でございまするが、そのほか熱田出張所、豊橋出張所の管財の者が所長以下やはり中京金属以下から饗応、接待、收賄を受けております。東海財務局と近畿財務局の汚職事件の概要は以上の通りであります。
  46. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今概略の説明でございましたが随分多数の犯罪不正事実があるのでちよつと今お聞きしただけではよく頭に入りませんので、一つ何か資料を提供してもらいたい、ありませんですか。
  47. 小林英三

    説明員小林英三君) 追つて提出することにいたします。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件のこの説明は一応今承わつたのでありますが、私の考えるところではほんのこれは表に出ました氷山の一角でなかろうかという感をいたしますのでありますが、これらについてはなお委員会として詳細に調べる必要はあり得るとこう考えております。併しそれはさておきまして本件に関して検査院のほうもかなりお調べになつておるかと思いますのですが、余り事が新しいので検査院のほうではお調べになつておらないかもわからないのでありますが、一応お調べになつておるとすれば、検査院局長のほうから一つ本件に関するお調べになつた程度についてでいいのですから御説明を願いたいと思うのですが。
  49. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 只今カニエさんのスクラツプについての犯罪についての、検査院は現在どういう調査をしているかというこういう御質問にお答えいたします。実はスクラツプにつきましては昨年朝鮮事件が起きましてから非常に世間の貴重品になりまして相当問題が多いのであります。価格の点とか搬出量の点とか相当に実は問題が多いし又重大なあれになつております。会計検査院といたしましてはスクラツプの処分全般につきまして今年度の重要案件の一つとして実は調査しております。その中で今御質問のありました不正搬出、これが一番多いのは今いろいろ細かい御説明がありました東海財務局でありますが、大体今御説明のありました程度のものは会計検査院としてわかつております。それで東海財務局では事件によりましては局の課長が連座しているというような相当重大なあれもございます。最近の監視員とかそういう小ものだけでなくて、小ものと申上げちや失礼ですが局の課長というような人々が連座しているような案件もあります。大体全貌がわかつておりまして、今盛んに私ども毎日作つております二十五年度の検査報告、これに載せて御報告できると存じております。一つ一つの案件の御説明先ほど政府から説明がありましたので省略いたします。私も実は今日一々の案件の資料を持つておりませんのですが、先ほど伺いました名前は、実は私皆案件の審理で知つておる名前であります。これだけ御説明いたします。
  50. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今検査院からのお答えによりますと相当調査をしておると、且つ国有財産の拂下に関して特にスクラツプに関しては如何わしいものがあるようであるから全般的に調査をしておると、こういうような話でありますが、今の問題につきましては官財局から説明になつたのは、私が先ほど申上げました通り極く一部分の、新聞に出ておつて誰もが知つている程度のものでありまして、私はかような程度のものを聞いておるのでなく、もつと根に何があるかということを伺つておるのであります。従いまして本件に関しましては会計検査院から詳しく一つ資料等を出して頂きまして調査をしたいとこう思つております。なお我々委員会としては前々国会から絶えず余りにも決算の出て参りまする内容がずれておりますので、事実の真相或いはこれらの問題を事前に防止するということについては何もならならというようなことにもなりやすいので、そこで当委員会としては現在行われておるところの国の財産の売拂或いは歳出について力を入れようではないかというのが参議院決算委員会の申合せの要、且つ又これが方針になつておるように思つておるのでありますから、かような意味からいたしまして過ぎ去つた二十四年度決算も必要ではありますが、現在行われつつあるものに対して未然に防止するとこういうような観点に立つて一つ十二分に本問題についても糾明をする心要があるとこう思うので、その点につきましては委員長において適当にお計らいを願い、且つ国民の前に明確なる結果を出したいとこう思つております。そこで会計検査院先ほど申しましたようにこの件に関する報告は後日に讓りまして、次に私は二十四年度本件に入りたいとこう思つております。
  51. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 カニエ君の御発言私も同感でありまして、やはり余り古いものばかりやつたのでは決算委員会の実際の趣旨に副わない点もありますので、成るべく今頃二十五年度分がやれる程度にいたしたいと思うし、それであつてこそ初めて決算委員会の意義もあると思いますので、今カニエ君の御意見のように委員長において然るべく早い機会にその問題も取上げてここで審査したいというふうに考えますから然るべくお取計らいを願います。
  52. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) よろしうございます。
  53. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本日は国有財産の売拂について審議を行うことになつておるのでありますが、順位を一時御変更を下さいまして、三三三号の国有地、国有財産の拂下に関しまして先ず会計検査院から御説明を願いたいと思います。
  54. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 三三三号これだけこれは二十四年の三月に社会事業を営んでおるということで聖十字学園、これに対しましてもとの厚生省の衛生試験所、これは神田の和泉町であります、秋葉原から少し向うに行つた所であります、ここの土地を三千二百坪余り、いたんでおります建物そういうものを合せまして、特に社会事業を営むというわけで特別な扱いをいたしまして、随意契約でこれを九百十五万円で売拂つたわけであります。そうしてその売りました土地建物を担保として代金の延納を認めた、非常に相手が社会事業団体というわけで丁重な扱いをして売つたわけであります。売つてつたものを担保にして延納を認めるというわけで、結局何にもなくて土地は一応自分で利用できる、こういふ状態になるわけであります。そうして代金の延納を認めておりましたところが、この聖十字学園というのが、今売りましたのが三月でございますが、十一月にこの土地の三千坪余りのうち約千百坪、約三分の一であります、これに建物を若干付けまして四百二十二万余りで太洋自動車株式会社、これは日本通運との関係会社であります、これに転売いたしまして三百五十万円を国に納めたのであります、九百十五万円のうち三百五十万円、後はそれ放しに実はしてしまつたのでございます。その上に店舗を作り建物を建てましてこれを転売し相当な権利金を取つておりましたが、国に納めたのは今の太洋自動車に売つた四百二十二万円の中から三百五十万円を納めた、こういうことになつておるのでございます。丁度二十五年の二月でございましたか或いは三月だつたかと思いますが二月三月頃のことですが、会計検査院から実地検査に参りました、まだこの代金を拂つていないというので現場に参りましたところがこういう事実がすぐわかりまして、それでここに今問題になつたわけであります。検査院が取上げましていろいろ当局にも御注意申上げる、こういうような手段をとりまして、その後転売いたしました太洋自動車の分などは土地の値段を改訂いたしまして、これは最初は実は相当安いのでありますが、最初の売拂は土地が坪千七百円でございます、千七百円で売りましたのを聖十字学園は千七百円で買いまして、それを半年ばかりたちまして坪三千八百円で実は転売したわけであります、その表通りは四千二百円、中は四千円ということで改訂いたしまして差額を直接に太洋自動車とかほかにも若干転売を受けた人がございますが、差額を国が直接取る、そうして聖十字学園は直接使つている土地だけを聖十字学園に売るという、こういうようにその後是正しております。
  55. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件会計検査院のほうの御説明はそんなところでしよう。併しながら私の本件に関する調査をしたところでは実に何といいますか、不道徳極まる事件であろうと思うのであります。それはどういうことであるかというと、国有財産をこの聖十字学園という社会事業団体に、今会計検査院が言われたように非常な話にならない條件で売拂つておる。こういうことは勿論これは批難としては当然でありますが、それよりも名前からして聖十字学園と如何にも聖人のような名前を付けて、そうして而も社会事業であるという仮面をかぶつて、そうして国から尨大な資産を安く拂受けしてですよ、そうしてそういつたいろいろな利得で妾を囲つてみたり或いは又一般が乗れないような三万台の自動車を購入して乗り歩いてみたりやつておると、これは社会的にいつても実に由々しい許しがたいところのものである。而もこれが国有財産をめぐつてかような悪徳が行なわれておるということについては、本委員会としては徹頭徹尾これを追求しなければならないのではないか。そこで私は過日専門員波江野、森両氏と共に自動車で現地に参つて簡單ではありますがその施設の概要を本当に一時間ほどの間にざつと三人で見て来たのであります。その見て来た点から言いましても、先ず第一簡易宿泊所というような施設は、成るほどこれはございます。併しながらこの施設たるや別個のいわゆる人間に経営を委ねて、そうしてその経営者から多額なる月々の家賃というか寄付金というか金をせしめると、そうして而もそれを始めるときには巨額な権利金をとつておると、又その周囲にあるところの何十軒かの住民からはそれぞれ高価な金を巻上げて、そうしてその巻上げたのが国から拂下を受けていないのにかかわらずその金を巻上げた。そうしてそれらの住民がその事実を知つてそうして関係官庁なり、或いは又聖十字学園の磯川某に対してつめ寄つたときには、その金はないというし、住民は大蔵省から拂下げてもらつたのにはそれぞれ大蔵省に対して金を支拂わにやならんと、すでに聖十字学園に対してはおれのほうからやるからと言つて金はとられておると、二重に金を支拂わねばならないというような実情で、これ又一つの問題を起しておるということ。それから成るほど母子寮等の施設も書いておりますがこれについては殆んど簡易アパートのようなものを改造して、そうしてそこへ相当多額な家賃をとつて、又これたりとも今言つたように別途な経営をやらして、その経営者から金を巻上げておる、或いは又簡易食堂の施設にいたしましても全く同様手段である。その他機械工場の一部のごとき施設に対しましても何ら自分の事業としてなしておるもの殆ど見当らないという実情である。而もこういうことは私たちが一時間自動車で附近に行つて聞いてでもはつきりと窺えることなんであります。それを管財当局が知つて知らない振りをして、そしてかようなことを行なつたという点については、私はその裏には何かやはりあるのではなかろうかと、かように考えて行くならば、私は本件がただ單にこの批難事項の一片として簡單に済まして行くということは、一般社会人に対する影響も堪だ遺憾なのではないかと思われるので、先ほど申しました通り徹頭徹尾委員会としては調査をし、そしてこれの結果を明白にして頂きたい、こう思うのです。  なお本件に関しまして何故一体かようなことを行なつておつたのかという、概略的な説明でいいのでありますが大蔵当局から一つ承わりたい、こう思つております。
  56. 小林英三

    説明員小林英三君) 只今御質問の点でございますが、私のほうといたしましてはこの財団法人が厚生省のほうで認可いたしました立派なものということで特にいろんな拂下の申請事由その他を見まして、これに公共事業をやる者、公益事業をやる者ということで拂下をしたわけであります。ただ私のほうのうかつと申しますか、実際この拂下げたあとの措置、拂下げを受けた者がどう使つているかということについて十分調査もしなかつたために、こういう問題になつて申訳けなかつたと思つております。私のほうといたしましては、国有財産法の規定によりましてこういうような随意契約をするような場合におきましていろいろと條件をつけるわけでありまして、特に用途指定をいたしまして、例えば売拂の條件におきましてこの物件を十年間は公益事業の施設の用に使用するという條件をつけてございます。なおこの條項に違反した場合におきましては、私のほうはこの契約を解除するという解除権も利用しまして実は売拂つたわけであります。その間何か暗いことはないかというようなことでございますが、私のほうとしてはそういうものはなかつたというように報告も受けておりますし、又実際ないというように考えております。  なおこのあと始末の問題を簡單に申上げますと、転売したところは全部解除いたしまして、解除利用者即ち日本通運のほうには、この代金も六月十一日に売拂いまして七月の十日に全部收納いたしました。その他の分につきましては、現在問題になつておりまする二件、土地といたしまして約三十七坪ばかりございます、これを除きました以外のものにつきまして今年の八月、九月にかけまして全部売拂いたしましてこの金ももうすでに入つているのじやないかと思いますが、納入のことになつております。
  57. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 非常に簡單な御説明でありますが先ず伺いたいのは、これを二十三年の春にはすでに該土地に入つてそうして建築の申請をし、二十三年の六月には建築の許可をもらつてそうして修築にとりかかつている、こういう実情なんでありますが一体この使用がいつ許されたのか、そうして許されたとすればその間尨大な地域によるところの使用料は幾らつておつのか、その点について御説明願いたい。
  58. 小林英三

    説明員小林英三君) 詳しいことにつきましてはお手許に或いは委員会のほうから御配付下さつたかと思いますが、私のほうで関係書類を一括してお出しをいたしましたが、問題の使用料でございますが、この使用料、只今どの程度とかということははつきりわかりませんか、後ほど又調べてお送りいたします。ただ一般的に申しますと、この場合に当てはまつているかどうかわかりませんが、通常でございますればこの使つたときから使用料をとるわけであります。ただその使用料のとり方といたしまして、場合によつては売拂つたときに弁償金的な形で一括してとるということも通例でございますが、その場合にその使用料がどうなりましたか実は私も十分調べなかつたので後刻又調べて御報告いたしたいと思います。
  59. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の御説明によるとこの転売したものを解除したというお話ですがそれはいつ頃ですか。
  60. 小林英三

    説明員小林英三君) この契約を結んだのが昭和二十四年三月二十五日でございますが、これを解除しそして更改契約をしたのが昭和二十六年二月二十八日でございます。
  61. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の長谷山君の質問ですが、更改契約をしたのは二十六年二月二十八日というとまだ極く最近なのでその間一体何をやつてつたか、こういう点が非常におかしいと思われるのですが、これはまあ長谷山君のほうから御質問があろうかと思いますので、私は今お伺いしている点が実際どうなのか、事実とあなたのほうの措置とが一致しておるのかどうかという点なんです。入り込んですでにどんどんと建築しておつたというのに、すでに二十三年の六月頃からその時分にももうすでにやつてつたのですから、そのときには一体払下をしておつたのかその点について伺いたい。
  62. 小林英三

    説明員小林英三君) 売買契約を締結いたしましたのは先ほど申しましたように昭和二十四年三月二十五日でございます。その前におきましては拂下といいますか売拂も何もしていないわけであります。
  63. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういたしまするとそれまで大蔵省としてはああいう尨大な所で、而もそれが路次の隅のほうで内緒でやつているというのでなくて、堂々と而も大通りの中で該建物をなぶつてつた、それを安閑としてなぜ見ておられたのですか。
  64. 小林英三

    説明員小林英三君) その点の御指摘については非常に申訳なかつたと思いますが、私どもといたしましてもこの厚生省のほうから財産の引継ぎがあつたのが二十三年の二月五日でございました。大体財産を引渡を受けますと後私のほうでずつと管理することになりますが、そのときの状況、なぜその間管理を十分しなかつたのかということにつきましては明確な事情は判明いたしませんが、言訳的になりますが、恐らく予算関係、人の関係があつたかと思つております。できるだけ私どもといたしましても東京都内におきましては出張所を設けまして十分財産の管理に当らしているのでございますが、この点について相当不正があつた、不正と申しますか手ぬかりがあつたことについては申訳なかつたと思つております。
  65. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 人の関係によるというようなことを言われておるのですが、小さいものじやないのです。御承知のように相当大きなものであつて、而もこれが管理の行届かない遠隔の地にあつたというならあなたの今言われることも了承される点もあるのですが、而も都内の真中にこういうものがあつて、而も一見表を自動車で通つただけのことでそういうことが明らかに発見されるものを、そういうような理由はどうも我々としては解し兼るのでありますが、これはもう少し明確にあなたのほうで御調査を願つて答弁つたらいいと思います。  次に国が拂下をしない前に他にそれを転売しておるというような事実に対しては一体これはどういうようなお考えであつたか、又そういうような事実について当時どういうような考えをしておつたか、その点について伺いたい。
  66. 小林英三

    説明員小林英三君) 売買契約は先ほど申しましたように正式には二十四年三月二十五日にあつたわけであります、その売買契約が済んで登記も完全に済んでしまうということになりますと、後はこの契約條項に違反しておるかどうかを見るわけであります。この場合に転売したかどうかということにつきましては、売買契約が済んでから転売したのではないか、こういうふうに考えております。この転売されたかどうか或いはその転売の予防的なものにつきましては実は非常にむずかしいのでございますが、私のほうでは他の場合もございますので特に問題になるような所につきましては、極力そうした契約條項通りつておるかどうか嚴重に見て行きたい。こういうふうに考えております。
  67. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 国が拂下をしてから転売することについてはそれは当然何ら異議ないことであると思う。併しながら拂下もしていないし登記もしていないという先に他に転売しておるというような事柄について、あなたのほうでは監督上どういう工合に考えておられておつたか、当時どういう工合にしておつたか、こういうことなのです。
  68. 小林英三

    説明員小林英三君) この土地は国有の土地になつておりますので、転売といつても或いは登記の関係とか何とかありますので、それでできなかつたのではないかと思つております。ただ私も実は事実を余りはつきり今御質問のまだ売らないうちに転売したかどうかということの事実は私のほうとしてはつかんでおりませんのではつきりいたしません。
  69. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この点も明確に知らないという答弁でありますからこれも後日に譲りまして、そこで今言われたように、一旦拂下げたものが契約によると実施されていないということであれば、これは当然解除することになつておると言われておるが、私が調査しただけでも事実拂下の当時の社会施設を行うということの実態とおよそ相反したことが現在行われておるのであるから、それについてなぜ一体正規の契約に基いて措置を今日まで怠つてつたか。この点について伺いたい。
  70. 小林英三

    説明員小林英三君) 何とも申訳ない手ぬかりだと思つております。
  71. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この問題については詳細に私は御質問申上げたいと思うのでありますが、今の答弁の様子から見ますると、核心に触れると明確なる御答弁がされない。むしろされないというよりも答弁される御本人が十二分に実態の調査をされていないかのように思うので、そこで本件に関しましての質疑はこの程度にして、本委員会から小委員会のほうに移して、そうして小委員会のほうでおやりを願つたほうが本委員会審議の進行上適当である、こう思うのでさようお計らいを願つて、そうして他の審議に移りたいと、こう思つておりますが。
  72. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 小委員会に移すかどうかという問題ですが、それは小委員会に移すことに異議ありませんけれども、もう一点だけ御質問したいと思います。これは会計検査院の報告によれば、二十五年の二月に会計検査院で実地検査をされた、そうしたところがこういうふうな契約に遠反した事実があつたので、これは契約の第十條によりて解除すべきであるというふうに認められて注意をしたというふうに報告書になつておりますが、こういう事実はないのでございますか。
  73. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 只今の御質問にお答えいたします。これは二十五年の二月、先ほど三月だつたかも知れないと申上げましたが、これは二月であります。二月に実地検査をいたしまして、前年の九月に売渡の正式の契約がございましたので、私どもとしては現場に参つたわけであります。参りますとこういうことがわかりましたので、三月二十七日付だつたと思いますが、照会を出して……、
  74. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 二十五年の三月ですか。
  75. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) そうでございます。政府の善処方を促したのであります。それの処置が……失礼いたしました、二十四日附で出しております…一年かかつたと、こういうことになるかと思いますが……。
  76. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 わかりました。今会計検査院のほうからお伺いしまして、注意を與え照会したことがわかりましたのですが、さような注意を受けてその後どういう処置をとつたか、管財局のほうに伺いたい。
  77. 小林英三

    説明員小林英三君) 解約いたした後におきまして実はそこに転売をいたしておつた者が入つておりますし、使つてておつたというので、そこにおつた者に売拂うことにしたわけであります。その相手といたしましては日本通運に売つたのが本年の六月でありましてその金額が五百九十二万円余でございます。土地としては千三百二十九坪、建物としては工作物もありますが二百九十一坪であります。それからアジア貿易に対しまして土地が百八十三坪、建物が二百九十四坪、それから藤谷という人ですが……
  78. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それはいつですか、アジア貿易か売つにたのは。
  79. 小林英三

    説明員小林英三君) 売つたのが九月七日に契約をいたしまして、金額にしまして百六十七万六千円でございます。それから藤谷初治という人ですが、これはやはり九月七日でありますが、土地は三十五坪、建物が二十四坪、金額にいたしまして十四万円余であります。それから店舗が三十八件ございますが、この土地が四百十一坪、建物が十八坪になつております。これは八月二十二日でございます。金額にして百七十六万……
  80. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今大体の事件の大略を伺いましたが、先ほどカニエ君がいろいろ推察するような問題が伏在しておるかどうか、この点につきましてはやはり小委員会一つ詳細に調査をしたほうがよいと思います。私の質問はこれで一応打切つておきます。
  81. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) お諮りいたします。カニエ君から小委員会を設けて、三三三号の国有財産の売渡に関し処置当を得たいものという件を堀り下げて一つ審議をするという動議が出ております。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 小委員会を設けるというのは従来からある小委員会に付託するというわけなんでしよう。
  83. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) とにかく国会がもう数日を出でずしてこれは閉幕になつてしまいますから、従つて次の国会の初めにこれを議題にすることが穏当でないか、こう考えますがどうですか。
  84. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 従来の進み方から行きますと、今長谷山君がちよつと言われようとしておつたのですが、現在のある小委員会ですね、あれに付託をされる、こういうことで本委員会としてはいいのであつて、そうしてその小委員会が会期がないということは、いつもこれは手続上の問題でありまして継続審査をいつも出すのでありますから、さように委員長のほうで惜置を講ぜられたら如何かと思いますが。本件に関しましては現在ありまする小委員会に本委員会から御付託をされまして、そうして会期の問題についてはこれは手続上継続審査の形でいいと思います。  なお長谷山君から今話がありましたが、理事会については又の機会に、小委員会の運営についてどうするかということを又理事会で御相談を願つたらそれでいいと思いますので、さよう一つ取計らつて頂いたら結構だと思います。(「異議なし」)と呼ぶ者あり)
  85. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今カニエ君から意見が出ましたが、その通りに計らつてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ではそういうふうにいたします。
  87. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今日は時間もよほど過ぎたようでありますし、なんでありますから委員会はこの程度で本日は終つて頂きまして次に引続いて御審議願うようにお願いしたいと思います。
  88. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後四時七分散会