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1951-11-15 第12回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 十一月十四日委員岩沢忠恭君辞任につ き、その補欠として溝淵春次君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            高橋進太郎君            仁田 竹一君            カニエ邦彦君            溝口 三郎君    委員           池田七郎兵衞君            西山 龜七君            廣瀬與兵衞君            田中  一君            赤澤 與仁君            加藤 正人君            鬼丸 義齊君            菊田 七平君            石川 清一君            森 八三一君   政府委員    大蔵省管財局長 内田 常雄君    国税庁長官   高橋  衞君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    国税庁長官官房    会計課長    天野 四郎君    会計検査院事務    総局検査第一局    長       小林 義男君   —————————————   本日の会議に付した事件派遣議員報告特別会計政府関係機関及び終戦処  理費の経理並びに国有財産処理に  関する調査の件  (昭和二十三年度会計検査院決算報  告批難事項第三百九十七号足利工業  株式会社に対する二重煙突代金支拂  及びこれに関連する事項) ○昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) これより本日の委員会を開きます。  本年六月に北海道における郵政省及び電気通信省に関する調査事項について、それと関東及び東北地方における建設省関係事項について、本年九月には国税庁関係事項について第一班は東京、関東、信越及び金沢、第ニ班は名古屋及び大阪、第三班は広島及び高松、第四班は福岡及び熊本へ、それぞれ実地調査議員が派遣されました。右合計六班の調査委員からの報告書委員長に提出されております。それらは謄写刷りにいたしまして、皆様のお手許に配付いたしたはずであります。時間節約のため朗読を省略しまして、そのまま速記録の中に挿入するようにいたしたいと思いますが、どうでございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 異議がないようでありますから、さよう取計らいます。
  4. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大蔵省審議に入ります前に、二十三年度の決算の中の二重煙突に関する結論として、この前の委員会検察当局から説明を聞いたのでありますが、そのときにはこの委員会から検察当局に対して捜査願つたのが確か本年の三月の末であつた。それから四月、五月、六月、七月、八月、九月、十月と、すでに十一月、八カ月にもならんとしておるのに、これだけの捜査が未だにでき得ない、そうして先だつて説明によりますと、他のものは終つたので、ただ大橋君に対しての調査質問書を十項目に亘つて出しておるので、これの回答を得れば報告ができるというようなことであつたのでありますが、そこで委員会として二十三年度の決算の結末の関係もあるし、早く本件に関するものを終えねばならないという関係もあるかと思われるので、委員会から検察当局に対して、速かに調査をして委員会報告のでき得るように促進方委員会を代表されまして、委員長から申入れて頂きたい、ただ期日、期間等をきめてするということにつきましては、委員会としても検察庁のことでありますから如何かと思われるので、ただこの際委員会としては審議の都合もあろうから、速かに一つ報告のでき得るように促進をしてもらいたいということだけの申入れでいいじやないかと、こう思うので、さようにして頂くよう願いたいと思います。
  5. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今カニエ委員からの御意見がありましたが、委員長至極同感であります。つきましては、カニエ委員よりの御意見のような申入れ検察庁に敬計らうようにして、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないと認めます。  それではそのように取計らいます。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 この問題は委員会の決議に基いて委員長が要請をされておる事項であるので、委員長としては委員会にお諮りならなくても、非常に澁滞をしておることについては促進を常時おやり願うということにお願いいたしたいと思います。
  8. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  9. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記を始めて下さい。次に、今日議題に載つております大蔵省関係の中で、先ず最初に国税庁関係のものを議題にいたしたいと思います。その中にはお手許に差上げてあると思いますが、別紙ののうに租税に関するものと租税以外のものとがあります。先ず租税に関するもの、即ち第二十九号から第二百九十四号までを一括議題に供します。
  10. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 質問等関係がありますので、政府当局から現在どなたが見えておるのか。
  11. 岩男仁藏

  12. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは逐條審議に入ります前に、国税庁に対しまして一、二同つて置きたいことがあるのですが、その一点として、二十四年度並びに二十五年度におけるところの脱税が一体どれだけあるものかということですが、極く大ざつぱな推定でいいのですが、一ついろいろ御検討をなさつておられると思うので伺いたいと思うのですが。
  13. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 脱税が幾らあるかというお尋ねでございますが、これは調査をして見ました結果、どの程度調査によつて、いわば更正決定等によりまして税が殖えたかということから或いは推定するのかとも思いますが、実はそういうふうな統計を余りとつておりません。又脱税摘発のためには特に査察制度昭和二十四年から開始いたしておるのでありますが、この結果は、たしか二十五年度におきまして、査察による増産税額四十億程度数字を出しておると思いますが、これは僅かな件数調査によるところの成果でありますので、全体としてどの程度脱税があるかという問題については余り根拠のある資料にはなりがたいと思うのであります。又特に査察関係につきましては、御承知通り相当に内偵と申しまするか、予備調査をいたしまして、この法人なり、個人については確かに相当漏れがあると思われる、その見込みを付けたもののみについて本格的な摘発をいたしております。従つてそれらのものについて、例えば申告額について二倍三倍という、数字が出る場合が相当ございますけれども、これを以て全般を推すということは、これはもう当を得ない問題でありまして、従つてどもとしましては、どの程度脱税があり得るかという問題については、数字的な推定も実は立て得ないような状況でございます。併しながら勿論年々の調査によりまして現われましたところから想像いたしましても、或る程度漏れが存在するということは十分に承知いたしております。調査をいたします際には、特に調査をする対象の選定というものに気を配りまして、それらのかたの調査に力を入れて、以て脱税が少くなる、できるだけ少くなるという方向努力をいたしておる次第であります。
  14. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今査察関係調査をなさいました数字というものが出ておるのですが、この査察関係調査をされましたのは、全体の調査をすべきものの、全体を一〇〇とするなら、一体何%ぐらい調査されていることになつているのか。
  15. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 昭和二十五年度を例にとつて見ますると、昭和二十五年度で査察いたしました件数が九百九件であります。ところがこの二十五年度における所得税納税義務者の数は四百三十万人、又法人税法人の数は約三十万に近い数であります。従つて四百三十万のうち僅かに九百九件の査察関係調査した程度でありまして、パーセントにはとても乗り得ない数字もございます。
  16. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、大体あの数字は、今お述べになつたその脱税数字というものを、そういう点から比較検討いたしますと、およそ我が国の脱税額は、正確なものでなくても、このくらいあるのじやないかということがわかるのではないかと思うのですが、その点どうなんでしようか。
  17. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 御承知通り所得調査は全納税者について行うことは、これは不可能でございます。従いまして、例えば昭和二十六年度におきましても、私どもはこれは目標を立てておるわけではございませんが、大体の見通しといたしましては、納税者について二割近くまでぐらいの調査はできるのではなかろうかという見通しを立てておるのであります。それで問題はその調査をする対象をどうして選ぶか、全部丁寧な掘り下げた調査ができないとすれば、調査をする相手方をできるだけ漏れの多うそうな人に集中するということは、これは当然であります。又何と申しましても、所得の多い階層のかたに力を集中するということが、全体の税收を挙げる上からも、又公平の見地からも必要であります。いろいろな観点から納税者を分類いたしまして、そして最も多うそうなかたに対して二割の実額調査と申しますか、收支並びに基本調査相当掘り下げていたすというやり方をいたしておるのであります。只今の御質問の、こういうふうな査察数字等から見て、どの程度脱税があるか、こういう推定をしたことがないかというお話でありますが、実はそういう追及をしておりません。非常に誤差の多い、本当の見当の付かない数字でございますから、この数字というものはちよつと判定が付きかねるのでございます。
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから現在の納税状態はどうかということですが、特に申告納税ども非常に悪いというようなことをしばしば司令部あたりも言つておるようですが、実情はどういう現状にあるのかということと、それから特に悪い、そういつたものはなぜ悪いのかという点について御説明を願いたいと思うのであります。
  19. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 十月末までの国税收入実績は、十月末におきまして二千八百二十二億に相成つております。当初予算でありまする四千四百四十五償に対して六割三分、六三・五%というふうになつております。今度補正予算で以て御審議を願つておりまする予算によりますると、これが五千六百八償という数字に相成つておりまするが、この五千六百八億に対しましても五〇・三%という割合に相成つております。昨年の同期が補正後の予算に対して四四・四であり%ますから、全体の收入といたしましては、本年のほうが幾分成績がよくなつて来ておる、こう申上げていいと思うのであります。ところが上告所得税につきましては、只今も御指摘のように、当初予算に対しましては一七・六、補正によりまして、少し減額いたしました補正予算に対しましても、二〇・二%でありまして、昨年の同じときにおきまして二八・五でありました。従つて昨年よりも更に低調であるというふうに数字の上からはとれるのであります。併しながら御承知通り所得税法におきましては、予定申告段階において、先般の法律改正によりまして、前年の所得金額予定申告をすれば、仮更正決定を行わないという建前に相成つておるのであります。従つて、この七月の予定申告におきましては、大体前年程度所得額基本にした予定申告が行われました。これを免税額にいたしますると、二十六年度の減税の結果といたしまして、免税額にして五百十四億円にしか相成つておらんのであります。従つて勿論七月一日の現況において、その年の所得を正確に計算してお出しになれば、この税額がもつと予算額程度に上るはずでありまするけれども法律が要求しております最低限度が前年の所得金額ということに相成つておりまするので、こういうふうに五百十四億という数字が出ておるのであります。而してこの五百十四億の第一回の納期は七月でありますが、第二回の納期が今月ということに相成つておるのであります。従つて今日までこの程度しか收入がないということについては、そういうふうな法律税法の上におけるところの理由に基くのでありまして、必ずしもこれを以て申告所得税が今日非常に悪いという批判をするのは当らないというふうに私ども考えておるのであります。問題はむしろ来年の二月にありまするところの、確定申告がどういうふうになるかということであります。こういうふうに予定申告段階において五百十四億であり、而も予算補正後におきましても千二十二億という数字になつておりますから、従つて第一回、第二回のお納めになるときは非常に少い金額もあり、第三回の確定申告の際に非常に大きな税金を一度にお納めにならなければいかんという事情がございまするから、これは今から相当準備をして頂くのでなければ、なかなかそのときに一時に納めることが困難ではないかということを私ども懸念しておるのであります。従つて一方におきましては、調査相当に充実して参りますると共に、他方納税者皆様に対しては何とか準備をして頂くようにということを只今からお願いしているような状況もございます。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 国税局の関係で、年々この当委員会報告されますところの税務官吏の不正による国損というものが非常に多い。且つ又それが年々やはり絶え間なく出ておると、こういう実情なので、この点についてはどういうようにお考えになつておるか、又これを是正するためには、どういうような方法をとられておるかということ等について御意見を承わりたいと思うのですが。
  21. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 税務官吏相当多数の汚職者を出して、年々皆さんに御迷惑をかけておる次第でございまして、この点は私どもも甚だ遺憾に存ずるところであります。併しながら漸次社会も安定して参りまするし、又税務関係におきましても、税務官吏訓練又はこれが予防措置について非常な努力をいたして参りました結果、最近においては、この計数も非常に少くなつて参つております。それで税務官吏横領等によつて、国庫に損失を及ぼしました金額は、累計いたしまして、この九月末までの総累計において一億一千二百万円という非常に大きな金額に相成つておるのであります。ところがこの金額を発生した年度別に見ますると、二十二年度が四百五十万円、それから二十三年度が七千二百万円、それから二十四年度が二千七百万円、二十五年度は七百十万円、二十六年度が百万円ということに相成つておりまして、発生したのは二十三年度が最も多かつたのでございます。その後漸次減少して参りまして、なお二十六年度においては、すでに百万円の金額に上つて参つておるのであります。ただこれが発覚しました時期として分類してみますると、実は昨年の四月から監察官に対しまして警察権を賦与いたしまして、そうして税務官吏の不正の摘発国税庁みずからの監察官によつて相当積極的に摘発されて参つたのであります。従来ややともすれば臭いものに蓋をするというふうな傾向がありましたのを、全然方針を一擲いたしまして、もうすべて摘発をし、内部的な粛正をどんどん行つて行くという方針をとつたのでございます。従つてその発覚しました年度別に見ますると、二十四年度が二千五百万円、二十五年度が六千六百万円、それから二十六年度が千二百万円と、そういうふうに相当最近になつて発覚したものが非常に多いのでございます。ただその発覚しました内訳の発生したときを調べてみますると、最近になるほど非常に少くなつて来ておるということは、一方において又税務官吏教育相当訓練効果が現われて来たということと、いま一つはいろいろな予防的な措置が漸次非常に効果を現わして来たというふうに考えておるのであります。勿論私どもはこれで満足することなく、今後更に教育の徹底と取締りの強化ということ、並びにいま一つ考えておりまするのは、内部事務を組織化することによつて内部監査を完全に自動的になし得るという制度を導入いたしまして、それらの方策によつて今後これが絶滅を期して行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 総括的な問題でお伺いしたいと思うのですが、二十四年度の検査院決算報告により薮すると、徴收不足のものが一億八千万円是正され、源泉徴收関係におきましても一億一千余万円が是正をされておるというような、非常に厖大数字報告があるのであります。これは只今汚職事件に関連して、長官からお話がありましたように、この仕事に携わつていらつしやいまする多数の職員の素質が十分でない、これを改善して行くことによつてこういう問題を防いで行きたいというお話、御尤もでございまして、十分御努力を願つて頂きたいと思いますが、一面私どもが、決算関係でなくて、大蔵関係等におきまして、現地に参りまして、いろいろ事情調査いたしますると、非常に手不足で夜業をし、超勤をやりましても、なかなか仕事処理ができないということから、つい思わざる関係において、こういうようなことに陷つて行くということもあるのではないかというようにも思うのであります。なお更に北海道について見ますると、そういうようなことから職員相当数の人が健康的に非常にまずい状態になつてておる、端的に申上げますれば、職員の三〇%も結核要注意者になつておるというような状況もあるやに伺うのでありますが、そういうような状態を放つて置きましたのでは、到底ただ訓練をいたしますということだけでは実効が挙つて来ないのではないか。そこで今度の整理関係で、昨日も大蔵委員会で問題になつたのでありますが、国税関係についても相当整理を計画されておるということと、今申上げましたように、こういうような徴收不足のものが相当あるということは、職員徴税に対する機能がまだ十分でない訓練過程にあるということから起きて来る。更にそれは非常に事務的に過重なことを強いているというところにも原因が一部ある。更にそれが健康の問題にまで及ぼして来てうまく行つておらんということも想像せられるというように考えまするというと、相当修練を積んだ優秀な経験者は残して置くということを十分考えて行かなければならんと思いますが、今度の整理関係と今までの徴税の実態とを総合観察いたしまして、今度の整理というものが所得税徴收その他に更に欠陷を生じないという確信が持てる程度のものかどうかという点を一つお伺いしたいと思います。
  23. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 税務職員の手不足によつてこういうふうな徴收漏れのものが出て来るのじやないかという御質問であり、又同時に今後の税務行政上今回の行政整理が支障がないかという御質問だと存じますが、その中でお触れになりました長期欠勤者、いわゆる結核性長期欠勤者の数は実は税務関係は約千九百人余りであります。これは九月二十日現在、それでパーセントにしますと、三%ちよつとでありまして、大体他の官庁とそれほど差はないのでございます。勿論非常に最近健康の管理をやかましく言いまして、始終健康診断等をやらしております。その際に注意を要する者は十分に例えば軽業の命令を出しましたり、又は休養の命令を出しましたりしてやつておる次第でありますが、その結果として現われましたところの長期欠勤者の数は、これは1カ月以上のかた全部をとつておりますから、千九百数十名という数字になつております。なお税務官吏の数がどの程度がいいかという問題は、これは非常にむずかしい問題でございまして、いずれ程度の問題だと考えるのでございますが、極端にいえば納税者各個に一人ずつ要るというような議論もできるかと思いますが、まあ先ほどちよつと申告所得税につきまして、どの程度調査するかということになりまして、大体今年度は二割近く本当の堀下げた調査ができるのではないかというお答えをいたしましたが、実は米国におきましては、これを四%程度調査をして、それで大体十分であるというふうに結論を下しておるのであります。日本といたしましても、できるだけ全体に亘つて調査をしたいことはやまやまでございますが、やはり僅かの人について調査をして行き、それによつて全体の水準を保つて行くというふうな、いわゆる進んだ科学的なやり方というものを今後どんどん進めて行かなければならんというふうに考えておるのであります。人が少いことによつて過労に至らしめるということは、又事実問題としてちよいちよいども報告を聞いておるのでありますが、これはやはり仕事をやる計画なり、その他方法等についてもう少し研究して、そうしてそれほど過労にならずに、而も十分に実績を挙げるという方向に持つて行きたいというふうに考えておる次第もあります。なお先ほどちよつと納税者お話に触れましたが、納税者の数は二十四年度におきましては、申告所得税におきまして八百万人ちよつとでありまして、八百二十万人程度でございまして、二十五年度におきましては、減税の結果といたしまして四百三十万人程度に減少したのであります。而して先般の七月の予定申告の際におきましては、これが更に二十六年度から本格的な前の税法改正効果を現わしておりましたものですから、これが二百六十万人というふうに相当大幅に減少して参つたのであります。勿論今年度の所得の上昇の割合等をいろいろ検討してみますると、恐らくは二十六年度におきましても、三百九十万から四百万程度納税者になるのではないかというふうに考えておりまするが、併し二十七年度になりますると、更にこの基礎控除の五万円なり、三人までの家族の控除の二万円というものが本格的に効果を出しまするので、二十七年度にはやはり或る程度納税者の減少を見るのではないか。そういたしますれば、現在の職員を或る程度減らしましても、現在程度調査の充実さは十分に保持できるのではないかというふうに私どもは考えておる次第であります。
  24. 森八三一

    ○森八三一君 今長官お話で一応は了解できると思いますが、この検査の結果に現われております検査院指摘によつて是正をされる金額相当南厖大に上つている、これは恐らく全部ではなくして、このほかにもまだこういう状態に取残されているのが相当あるだろうと想像されるのであります。そこで私の申上げているのは、是正をさせずに、そのまま見逃しになつているというものがありますることは、これは却つて納税思想に悪影響を及ぼす非常に大きな原因になつて来ているのではないか、うまいことをしているが、税務署見逃しているということで、見逃しになつているということが非常にまずい結果に陥つて行く大きな原因ではないかと思います。そういう状態が、即ち検査院指摘によつてわかりたというようなものが相当にあるということは、これは不正ということに関連がないので、私の申上げるのは、事務的な欠陥があるからそういうことになつておると、私は善意にこれを解釈しておるのであります。そういうことであるといたしますれば、更に一層職員訓練をすることも必要ではありまするが、今現地税務署に行つて見ますると、お話にあつたように長期欠勤者は全国で千何百名かも知れませんが、それは現実にもう療養状態に入つたものはそういう数である。事実療養状態に入らなければならないほど病状は進行しておりましても、税務署仕事が非常に多忙であるということから、良心的に休むということもできなくて無理をして勤めている、こういうのが相当数ある。そういう要注意者というものも引くるめて、現在勤務はいたしておりますけれども、そういうものも引くるめて考えますというと、地域によつて職員の三〇%近くまでそういうものがあるというところもあるように私は聞いておるのであります。そういうような現況のときに、今まで程度のことはできるからということで済まされているということは、更に将来に非常に大きな長期欠勤者が出て来るということも考えなければならん。今申上げましたような漏れているものが、今後国民全体の納税思想の上に非常な悪影響を及ぼして行く害因を包蔵しつつ進んで行くという結果になりはせんか、そこで今まで訓練をせられた優秀な税務官吏の諸君は、不正な人は別ですが、こういう人は十分これを擴充して行くべき段階ではないか、そうして本当に青色申告が全部に徹底をして、真に手数が省けるという段階なつたときこそ、徹底的な整理が行われるべきときである。今はまだそういう段階ではないのじやないか、むしろ積極的にやるべきときではないかという感じを持つのであります。今まで程度できればそれでよろしいと言われる。むしろ私が申上げるのは、こういう指摘によつて是正をされるというものが多数にあるという現状を考えますると、まだまだそいううような段階ではないのじやないか、こう考えるのですが、今まで程度のことができれば、それで今後国民の納税思想というものは間違いなく涵養されて行くのだというふうに考えてよろしいかどうか、その点をもう一遍一つお伺いしたいと思うのであります。
  25. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 先ほどの御説明をもう少し補足さして頂きますが、昭和二十四年の更正決定と申しますか、確定申告の際におきましては、即ち昨年の一月の確定申告の際におきましては、実は政府は八百三十万人の納税者に対して四百十三万人の人に対して更生決定の通知を差上げたのであります。その結果としてその約半数に及ぶ人が審査の請求をお出しになり、その処理に実は二十五年の十月頃まで税務署が殆んどそれに没頭せざるを得なかつたのであります。ところが二十五年度、つまり今年の二月の確定申告の際におきましては、納税義務者の数は四百三十万人に減りましたのが大きな原因でありますが、いま一つ更正決定の数は僅かに十一万七千件という殆んど僅かの数字にすることができたのでございます。これはどうしてもこういうふうな悪循環を断ち切つて、そうして調査を充実するということが絶対に必要であると考えまして、いわば調査に基ずかないところの更正決定はやめるという方針と共に、税務官吏にも随分努力をして頂いたのでありますが、その結果としてとにかく政府は過去の悪循環を断ち切ることによりまして、そうして更正決定の審査の数を少くすることができた。従つて二十六年度におきましては、年度当初から二十六年度の仕事に従事することができたのであります。それで上半期におきましては、私どもはそれまでの暫らくの期間でありますが、それまでの所得調査をいたしまするとか、主として又資料の收集、整理という面に非常な努力をいたして参つたのであります。そういたしまして、九月頃から本格的に各納税者実額調査に従事したりでありますが、数字の上では二十五年度におきましても、実額調査が一割六分出たという形になつておりますが、実はその内容を質的に見てみますと、非常にお恥かしいような調査でありまして、そういうふうな、つまり質の面において非常によくない調査が幾らパーセンテージが上つても、これはちつとも改善にならないのでございますが、今年度におきましては、当初からそういうような何割調査するというような目標は作りませんで、とにかく計画的に無理のない程度においてどんどん調査を進めて行くということを指示いたしまして、同時に調査する対象を選定するということに意を用いたのであります。言い換えまするならば、正直なかた、十分に信頼できるかたは調査対象から省きまして、漏れの多うそうなかたに調査を集中するということによつて今年は相当に昨年とは、これは数字では申上げかねますけれども、恐らくは比較にならん程度調査の充実をなし得るというふうに考えておるのであります。今日までの仕事の進行の状況を見ましても、その点は十分に私ども自信を以てお答えできるのでありまして、こういうふうな調査が今後この程度に続けて行かれますれば、相当税務行政というものが改善できるというように考えておるのであります。二十三年度、二十四年度の頃は、これは納税義務者の数が非常に多うございましたし、而も終戰後の新らしく採用した非常に若い税務官吏が大部分でございましたので、訓練が余りできてないというふうなことから、汚職の面におきましても、甚だ恥かしい状態でございましたし、又調査の面におきましても、実に粗漏な面が相当つたのでございます。従つてこういうふうな状況のままでは、本当に国民の御協力を頂いて納税の完遂に当つて頂くという面において遺憾である、何とか改善を図る必要があるというので、方針の転換をいたしまして、非常な努力をいたしました結果といたしまして、本年は非常に自信が持てるという結果に相成つたのであります。而して来年度におきましては、現在の減税計画が進行いたしますれば、納税者の数も相当減りますから、従つて現在計画されている程度税務官吏を減らしましても、この程度の税務調査を継続して行けるならば、この二、三年のうちに相当改善されはしないかと期待しているのであります。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今長官は森君の質問で、現在の人員で十二分にやつて行けると思うというようなことを言われておるのですが、私は十二分でないという考えを持つておるのです。これは議論はいたしませんが、二十四年度の会計検査院が国会に報告しておりますところの税金の取り足らぬところの一億八千余万円と未徴收分の一億一千六百万円余のものを合計いたしますと、三億余万円になるのでありますが、この三億余万円というものが一体どういうような然らば調査によつて出たのであるかと言いますと、全国に税務署が、間違つておれば是正して頂きたいと思うのですが、たしか五百三税務署があるが、その五百三税務署のうち、会計検査院調査に行きました箇所は二百三十七カ所になつております。そういたしますると、三分の一強だけしか行つていない、実際は……。そうすると、あとの半数以上というものは全然調査にも行つておらねば、さわつて見てもいないという実情なんですね。そこでそういうような調査で出て参つたものが三億なんです。だから本当に全部の五百三の税務署調査をすれば、この三億の三倍なるところの九億というものになるか、ならないかは別としまして、とにかくそういうような大きな数字がまだ出て来るのではなかろうかと思われる。それから今度、それはそれといたしまして、二百三十七の税務署を今度一体調査をしておる実情を見ますると、一つ税務署に二人ほどの検査員が行きまして、そうして三日から多いところで一週間ぐらい調査をしておるのですね、これはまあ極く簡單に書の間だけやつているので、夜も寝ずにやつたというわけではないのであります。ところが僅か三日かそこら、一つ税務署に三日かそこら行つてつたのが三億余万円という数字が出て来ておる。だから本当一つ税務署にがつちりと腰を下して、そうしてもつと詳細に調べたなれば、一体どれだけの額が出て来るのであるかというと、これは恐らく私は厖大数字になつて来るのではなかろうかと思われるのです。ところが今度調査やり方ですね、やり方を見て見ますると、税務官吏がやつた仕事を会計検査院本当に拔打的な、拔打検査的な恰好で調べているのです。そういう調べ方で出て来たのがこういう数字なんですね、だから結局今言われるように間單に検査の人員を減らしてでも行けるというようなことは、どうも了解に苦しむと思うのですが、この点については一体どうなのかという点、それからもう一つは、会計検査院が簡單に三日ほどおつて、これだけ一つ税務署で調べ上げて是正さしている。それをなぜ本職の税務官吏がわからないのか、それほどむずかしいことじやないと思うのです。調べた経過なり、実体を我々が調査して見ますと……。何でもないところから、これはどうだということを言われて、これは当然そういうことですということになつて直しているのですね、だからこういつた会計検査院が僅かの日にち行つて、而も拔打的にぱつぽつと見た程度でこれだけあるというのですから、而もそういうことでわかる事柄がなぜわからないかということですね。この点については一体どうにも……。私は行きましておかしく思うのです、了解に苦しむのですよ。それが金然税務に明るくない者が、素人がやつたというのならば、これは全然素人だから、さような手落ちもありますということは肯けるのです。ところが本職がやられておつて、そうしてそういうことがなぜ起きるのか、而もこういつた厖大徴收不足なり、或いは是正される金額が出て来るかという点です。で、この点について長官としてなぜそんなことになるかということについて一つお話を願いたいと思うのであります。
  27. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 御承の通り二十三年度、二十四年度の頃は税務も相当仕事が手に余ると申しますか、仕事に追われ通しでありますために、振返つて自分のやつた結果を再検討するという時間にも能力にも恵まなれかつたのでございます。従つて例えば法人税課と所得税課と相互の連絡、又はその他資料の照合というふうな事柄が余り行われなかつたということが、こういうふうな誤まりを来たしました一番大きな原因であると考えておるのであります。昨年度来そういうような点を痛感いたしまして、先ず二十五年度の徴税の際におきましては、資料事務の充実ということに相当なる力をいたして参つたのであります。それから今年度に入りましてからは、これは米国を非常に成果を挙げておる制度でございますが、事後審査の制度を本庁並びに各国税局でいたすことにいたしております。これはランダムに税務署が決定しましたケースを抜き出して参りまして、そうしてそれが果して誤まつてないかどうかということを各国税局並びに本庁において決定いたしまして、その結果によつて誤まりのあるものは勿論訂正いたしますが、大体どういうふうなところに誤まりが起りやすいかというケースを抜き出して、そうしそういうふうな誤まりやすいほうのケースに専ら注意を集中させるということによつて全体としての誤まりを少なからしめるということに努力をいたしておるのでございます。又どうしても法人税課は法人税課だけで以てやつておりましたような昔の時代におきましては、例えば法人税において重役に対する賞与の認定をしたという場合には、当然に個人のほうに廻つて、その賞与に対して個人の所得税を課税しなければならないのであります。そういう場合に連絡が悪いと、ついその法人税課でその通報を所得税課のほうに連絡することを忘れるということが間々あり得るのでありますが、そういうふうな点につきましても、相互の連続を緊密にやられるということを励行をして参りましたのも、今後漸次こういうふうな傾向は少なくなるというふうに期待をいたしておるのであります。
  28. 森八三一

    ○森八三一君 長官にくどく質問しますが、納税者の減少と、今お話なつたようないろいろの基礎的な資料の收集整備等によつて、こういうような不正ということではなくて、事務的な手続の粗漏から起きるようなことはなくするのだという御確言でありますので非常に安心をいたすのでありますが、私の考えでは、そういうような納税義務者の減少もあるとか、今までの資料の不備な点を是正するとか、先進国における徴税技術の進んだものを取入れてやつて行くということによつて、今までございましたような、こういう事務的な欠陥から生ずるところの徴收不足補正をされ、それによつて生ずる国民全体の納税思想の弛緩ということを防いで行くという結果にはなると思いますが、そういうような事務簡素化その他のことが行われるから、それに照応する人員は減らしてもよろしいのだということになりますれば、やはりこれは算術的に申上げておるのでありまするが、欠陥は依然として残つて行くのではないか、そういうようなことによつて欠陥を補い得るという状態にまではなるけれども、それで又減らして行けば事務過重とか、或いは注意の十分に行き届かないとかいう面が起きて来て、やはりこの検査院指摘されるような、極めて簡單な欠陥というものが今後にも残つて行くのではないか、そういうようなことによつて能率が上る、上ることによつてこういうことがなくなるのであつて、上るから又人を減らして行くということになれば欠陥は将来残つて行くと私は考えますが、長官はそれがなくなるのだという確言でありますので、行政整理もでき、国民の負担も軽減できて、そうして税務行政がうまく行くということならば一石二鳥でありまして非常に有難いのでありまして、それは感謝いたします。私はどうもそういうふうに相成らんのではないかという感じを持ち、それが国民全体の納税思想に悪い影響を持つと、つまり税務署のほうの手続の不正とか、そういうことではなくて、知らず知らずに見逃しを受けてうまいことをしたということによつて、却つて全体の納税を低下せしめて行くという、非常に大きな害因を作つて行くというように思いますので、心配の余り御質問いたすものでありますが、そういう御心配が絶対ないと言えますれば非常に結構ですが、その点もう一遍一つはつきりお伺いしておきます。
  29. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 税務官吏をどの程度必要とするかという問題は、先ほども申上げましたように非常に困難な問題でございまして、現在の人員が戰前等に比べまして非常に多くなつておることと、それから今一つは、米国では所得税納税義務者の数が五千二百万人になりますが、それほど厖大納税者層を持つておりながら、人間の数は僅かに五万三千、日本は四百三十万の納税義務者に対して、とにかく六万一千二百という数を持つておる、従つて徴税費におきましても、米国においては〇・五%であるのに対して、日本においては二・八%を要しておる。それらの諸種の観点から考えまして、我々としても何とか仕事の合理化並びに科学的な能率化を行いまして、そうして徴税費も減し、又税務行政も改善して行き、双方の目的を達して行くというふうに念願しておるのであります。勿論この原因につきましては、私ども税法改正も同時に前提として考えておるのでございます。と申しますのは、先ず第一に、今般の税法改正にも提案されておりまするが、確定申告の際において、今までは扶養控除によつて失格になるかたも、どうしても申告書をお出しにならなければ扶養控除が受けられないという関係上、それを失格にできないというふうなことがあつたのであります。併しながら実態的に出せば納税義務者でなくなるというかたに、お出しにならんからと言つて更正決定で以て税をとるということは如何にも我々の常識から考えまして苛酷であるという感じがいたしますために、そういうかたにつきましては、無理にお願いをして申告書をお出し願つて、そうして納税義務をなくするという非常な手数をかけておつたのであります。そういうふうな制度を今回の改正法律案では改めまして、扶養控除によつて失格になるかたは申告をしなくてもよろしいという建前に変更いたしたのでございます。こういうふうなことによつて相当大きな事務の簡素化もできまするし、又これは只今研究中でありまして、通常国会においてお願いいたしたいと思つておる問題でありますが、現在の制度では七月の予定申告というものをやはりお出し願うことになつておるのであります。ところが前年の所得金額もお出しになれば更正決定をしないという法律の建前になつておりますから、結局前年の所得金額に対して新らしい税率をかけた税金の三分の一をそのときに納められればよいという簡單なことであるのにもかかわらず、是非とも申告書を出して頂くという非常な努力が拂われなければ、税務行政が非常に困るという現在の情勢になつております。これも改めまして、七月の場合におきましては、税務署から税の通知を差上げる、あなたの第一回分の予定納税として納めなければならん金額はこの程度もある、これだけであるという通知を差上げて、それで納めて頂くというふうな簡素化をやりたいというふうに考えております。その他税法相当納税者にも又税務署にも負担になつている点をできるだけ簡素化いたしまして、それによつて納税に余裕を持たせ、人員を減らしてもなお且つ税務行政も改善できる、幾分でも改善の方向に向けて行けるということを是非いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからもう一つですね、我々このたびいろいろ各末端の税務署をお邪魔に上つていろいろ調査して見たんですが、検査院から批難を受けまして、そうしてその批難をされた事柄について回答をして、結末が付けばそれでもう事足れりというような考え方の所が非常に多いように思うのですね、末端で……。そうでなくして、検査院で批難された事柄についてはもつと関心を持つて考えてもらわなければならないということ、従つて末端の税務署税務官吏がその税務署で一度批難を受けたことについては二度とそれを繰返さない。こういうようにならなければならないと思うのです。ところがそれがなぜ年々ならないかというと、まるで検査が済んでしまえば、それでもういいんだというような観念でおられるということです。それはどういうことでそういうことが窺われるかというと、検査済になつた批難事項の個々の件について、資料なり或いはその他のことを質問しても根つから資料や何かの整備ができていない、たまたま税務署によりましては、きちつと批難に関する一件書類が一貫してまとめて整理されている所もあるんですね、ところがそういう工合に整理されていない所が多い。そういうことは一遍検査が終つたら、今私が申上げたように、もうしまいだという観念が強いんではないか、そういうことのないように、一つ改めて来年度の実地調査のときには、さようなことのないように、従つて会計検査院の批難に対してはもつと慎重な態度で善処されるということ。それからもう一つは処分の点でありますが、これは非常に忙がしいのに、手が足りないために僅かな手落ちで国に損害を与えておるというような人たちに対して、処分ということは我々もお気の毒に思うのでありますが、併しながらこの処分がやはりされるものははつきりとされなければならないんではないか、ところがその処分については、一応全部処分でないような、申訳のような、嚴重なる注意を与えたというようなことで皆済まされておるんですね、この点についてはもう少し責任のある処分を行なつて頂きたいということ。それからもう一つは、税務署の内部の組織機構でありますが、これが非常に複雑なように思うのです。監督官というのがあつたり、それから監察官があつたり、それから調査察官があつたり、それから苦情処理というような部屋があつてみたり、まあ一つの局に行きますと、実に複雑なんです。それでこういつたような複雑なものが要るのかどうか、これについては十二分に検討する余地があるのではなかろうか。例えば監督官のようなものでも、現段階においては私はああいつたものはもう要らんのじやないか、本署との連絡なら連絡官というものを総務課なら総務課の中に置かれて、それでやられればいいということ。従つてこういうようなものが独立してあるために、国税局長のいわゆる責任ですね、それから監督官の責任、行政上の責任が両方で何か譲り合うような結果になりはせないか。かかる二重的な監督行政というものは、やはりこの際今日の段階ではやめられていいのではないかという感じ、それからその他のもろもろの機関もこれをでき得る限り簡單にされてはどうかということ。こういう点を我々実地調査の上で気付いたのでありますが、そういつた点について長官としてお考えがあれば承わつておきたいし、なお今申上げたような点は、末端にまで一つ滲透をさして頂きたい、こう思うのです。
  31. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 過ちを再び繰返さないために、十分にそういうふうな事柄について検討をし、反省をし、そうしてやつて行くという点につきましては、只今指摘通りに私どもも考えておりますから、何とかそういうふうな方向努力さして行きたいと考えております。なお監督官又はその他のいろいろな仕事につきましての御質問でございますが、実は昭和二十四年度頃までは相当に税務も混乱しておりまするし、各税務署にときどき突発的ないろいろな事件が迫つて参つたのでございます。そういうふうな関係からいたしまして、税務の相当の長老と申しますか、経験の豊かな人たちを監督官にして、三、四人ずつ各局に置いておりました。そうしてそういうふうな税務署長、税務署の幹部に対するアドヴアイザーと申しますか、要するに助けをして行く、全体としての統轄的な、どういうところに税務署としての欠陷があるだろうか、どうしたらよいかということについて仔細に調査をして行くということをいたさせたのであります。これはその当時において相当功績を挙げ得たと私ども考えておるのであります。而して局の仕事としては、勿論局におきましても、幹部はそれらのことを当然すべきはずでございますが、大体のやり方といたしましては、むしろ個々の仕事について、例えば所得税仕事法人税仕事、滞納処分の仕事、個々の仕事を事務の面から指導するということをいたしまして、そういうふうな双方の面からの監督と申しますか、指導というものがあつて、それぞれ相補つて成果を挙げ得たというふうに感じて参つたのであります。ところが漸次社会も安定を収戻して参りましたし、又税務自身につきましても、先ほどお話をいたしましたように、漸次円滑な方向に改善されて参りましたりで、私どもといたしましても、監督官は従来のやり方と少し変つた仕事やり方をしたいというふうに考えまして、従つて人数も今年の八月からもう六十人の定員を四十人に減少いたしまして、同時に今度は監督官の主たる仕事の目標を局の監督におく、局自体の監督におくという方向に切替えて参つておるのでございます。而うして従来税務署の全般的な総合監督は各局によつて相当行われて参つておるのでありますが、局の監督を総合的に行うということは殆んど今まで例がないのでございますが、今年度から改めて局自体の総合的な見地からの監督をして行きたいということで、すでに東京国税局、大阪国税局、名古屋、只今福岡をやつておるのでございますが、そういうふうに局の全体としての総合をいたしまして、どこに改善すべき点があるか、どうすればもつと能率が増進できるかという点についての指導をして参つておる次第であります。非常に一見複雑なように見えるのでありまするが、これらのそれぞれの職員が相互に相補うことによつて今後も相当な成果を挙げて行けるものであろうかと考えておる次第でございます。勿論人数その他仕事の具体的なやり方等につきましては、今後人員の減少に伴いまして、或る程度やはり変化を要する点もあろうかと思いますが、今後のやり方といたしましては、方針といたしましては、やはり監督官の制度を存置して行きたいというふうに考えております。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この前の委員会にもたしか長官に来て頂きまして、税の徴收状況について一つの資料を出して頂きたいということでお願いして、未だに出て参つておりませんが、この年に我々のほうに廻されております検査院の批難事項もありますが、この批難事項は勿論御承知のように非常な不正或いは不当なことが行われて、そうして出で来ておるのであります。従いましてこれらの案件の裏には相当なやはり脱税があるというように我々も考えておるのですが、これは全体から見れば、極くそれは国税庁から見られれば問題にならない数字かもわかりませんが、そういつた点について、一応こういう不当に取得されておるものの税金の状態はどうなつておるかということを実は我々は知りたかつたわけなんですが、たとえて一例を申上げますと、批難事項の中に三百三十三号というのがありますが、これらは厚生省の国の施設を拂い下げを受けまして、そうしてそこに社会事業を作るということで拂下げを受けておる。    〔委員長退席、理事溝口三郎君委員長席に着く〕  ところが実際は私たちが調べて見ますと、そういうふうなことは殆んどやつていないのです。一角に成るほど風呂屋もあり簡易食堂もあり、又簡易宿泊所もあるわけですが、実際はその個々の人がそういうものを経営しておるのです。そうして国の拂下げた土地の上に賃借りをして、そうして営業を実質的にやつておる。そういうものは明らかに私は税の対象になるのではなかろうか、而もそれが何年も、二年も三年も継続的にそういうことで進んで来てしまつておる。それからこの拂下げを受けた当人のごときは厖大なそこに施設をやるというので、当時非常に入手困難な資材、ガラス、鉄鋼、木材というようなものをもらつてそれを横流しして、そうして巨額な私腹を太らしておる事実がある。ただ批難事項の上では簡單なものでありますが、実態に当つてこの批難に対して、どういう現状であるかということを調べて行きますと、もう想像が付かないような大きなやはり不正があるのではなかろうか、こういうふうに思うのです。これは單なる国税庁としては脱税漏れ一つの参考ぐらいにしかならないかと思われますが、そういう点についても十二分に御調査を願いたい。幸いここに批難事項の資料があるから、こういうものも生かしてもらいたいということと、なおでき得れば、この批難事項を一応御検討下さいまして、これらによつて相当脱税があるというようなことが発見されますれば、委員会に対して御報告願いたいと思います。なお聖十字学園の今の批難については早急御調査の上御報告願いたいと思います。
  33. 高橋衞

    政府委員高橋衞君) 先ほど御説明申上げましたように、昨年度から非常に資料事務に力を入れて参つたということを申上げておるのでございますが、單に資料と申しましても、日本の現状におきましては、政府が一番大きな消費者で、政府関係の資料が相当に中心になります。従つてどもとして契約の都度、又支拂の都度、それらの資料を收集いたしまして、民間関係の資料も一応集めまして、そしてそれを総合的に整理いたしまして、それを調査の必ず資料にいたしておるのであります。従つて非常に細かいものは別といたしまして、いやしくも大口のものにつきましては、漏れなく当つておるつもりであるのであります。勿論完全に行つておるとは必ずしも自負しがたい点はありますけれども、とにかくそういうような点に非常に努力を拂つておるということをこの際申上げておきたいと考える次第であります。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の三百三十三号の批難に対するものは一応調査されまして、これは私のほうでこれから審議にかかりますので、できるだけ資料としてその結果を御報告願いたいと、こう思います。
  35. 溝口三郎

    ○理事(溝口三郎君) それでは総括的な質問はこれで打切ることにいたしまして、二十九から二百六十一まで、「租税徴收過不足を是正させたもの」の各項目を議題にいたします。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ず会計検査院から御説明を願いたいと思います。
  37. 小林義男

    説明員(小林義男君) 二十九から二百六十一までの案件は、徴收過不足の問題でございまして、特に一つ一つの事案につきましては、格別御説明申上げることはございません。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ここに出ておりますのは、一事項五万円以上のものの集計ということになつおてるのですが、会計検査院調査されて五万円以下というものは大体件数にしてどのくらいになつておるのか、或いは金額にしてどのくらいあるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  39. 小林義男

    説明員(小林義男君) 租税徴收過不足につきまして、年間で照会なり、調査事項としてはまあ一万何千件に上つておるようなわけでありまして、その一つ事項調査いたしますにも、何遍か手数がかかつておるようなわけでございまして、その結果これ以外にも、五万円以上でありましても、検査報告として掲載するのはどうかということで、慎重審議した結果の分だけがここに載つておるのでございまして、これ以外の分として五万円未満のもの或いは五万円以上であつて検査報告には掲載を見合せたというものでございます。只今その資料、計数が手許にございませんので正確なことは申上げかねますが、そういう事情でございます。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、五万円以下のものについては勿論この会計検査院の批難には上つておりませんけれども検査院としては調査された資料とか、その結果は残つていないのですか。これに載つておるものだけがつまり検査院としてはわかるのであつて、これ以外に調べたけれども、五万円以下のものは一切、金額にしてどのくらいであるとか、或いは何件あるということははつきり残つていないのですか、数字としては……。
  41. 小林義男

    説明員(小林義男君) その数字は確かに残つつておりますが、ただそれを集計してございません。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこの次のときに集計してお出しを願つたら結構です。
  43. 溝口三郎

    ○理事(溝口三郎君) ちよつと私から申上げますが、速記が三時でなくなることになつておるのでありますが、速記がないと審議いたしましても効果がないと考えますが、今日はこれで散会したら如何かと思いますが、如回でございますか。
  44. 森八三一

    ○森八三一君 この二十九から二百六十一までのところは、内容もわかつたことなんですから、審査をしたことにして進行したほうがいいと思います。
  45. 溝口三郎

    ○理事(溝口三郎君) 森委員から二十九から二百六十一までは審査をこの程度で打切ることにしたらどうかという御発言がありましたが、如何でございますか。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大体これは事実についての争いも何もないのでありますから、私はそれでいいと思います。この審議をこれで打切るということはそれでいいのですが、今先ほど総括的ないろいろの質問の中で申上げておいたように、国税庁長官として、我々委員会の意を十二分に酌まれまして、今後とも一層の一つ努力を願いたい。こういうことでこの件は打切つていいと思います。
  47. 溝口三郎

    ○理事(溝口三郎君) 皆さん御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 溝口三郎

    ○理事(溝口三郎君) それでは二十九から二百六十一までの審議は終了いたしました。本日はこれを以て散会いたします。    午後二時五十七分散会