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1951-11-08 第12回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月八日(木曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君            棚橋 小虎君    委員            岩沢 忠恭君            大矢半次郎君            栗山 良夫君            小林 孝平君            小林 亦治君            田中  一君            常岡 一郎君            菊田 七平君            竹中 七郎君            石川 清一君            森 八三一君   政府委員    法務総裁官房経    理部長     天野 武一君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   説明員    法務総裁官房経    理部営繕課長  山田明之助君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       大澤  實君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 只今より決算委員会を開会いたします。  本日は引続きまして昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算ほか二件を議題に供します。前回からの大蔵大臣出席の点でございますが、本日は本会その他の諸般の都合によりまして出席ができませんので、次回に出席をいたして頂くことにしたいと存じております。従いまして決算総体に対しまする総体質問はその際にお願い申上げたいと思います。それでは一昨日の委員会に引続きまして法務府所管の質疑をお願いいたしたいと思いまするが、先ず前回委員会において保留になつておりまする答弁を天野経理部長よりお願い申上げたいと思います。
  3. 天野武一

    政府委員天野武一君) 前回は私現職事務不慣れの結果、不用意のために非常に各位の御質問に対しまして明確なお答えを申上げることができなかつたのでございまして、非常に御迷惑をおかけいたしましたことを先ず申訳ないと思つてお詑び申上げます。本日は当時の事情に詳しい営繕課長その他が説明員として参つておりますので、私の言い盡しませんところはこれらの説明員に答えて頂くことをお許し願いたいと思います。  そこで先ず(七)の宮城刑務所の件、つまり出役作業及び製品売渡に当り処置当を得ないものという点でございます。これは一応詳しく申上げますと大分古いことに話が遡りますが、宮城刑務所佐々木という、これは宮城黒川地方薪炭林産組合長でありますが、これが宮城刑務所契約を結びまして、委託構外作業昭和二十年の頃から始めたのでございます。ところがこの佐々木委託賃金をだんだん納めない事情が加わつて参りまして、二十三年の十二月末には未納が二百万円をも超えるというような状況になりましたので、刑務所では二十四年の一月にいろいろ強硬に請求しました結果、いろいろ作業場建物でありますとか、山から伐り出した薪でありますとか、家畜類、或いはトラクター、助成金というようなものを担保にしまして宮城刑務所にこれを入れる約束の証文を書いたのであります。ところがこの組合はほかにいろいろ借金をしておるということが刑務所にわかりましたので、当時刑務所の次長をしております者が作業課長一緒にその組合に交渉に出向きましたところ、只今問題になりました鴫原洋一郎という者がその組合の幹事としましていろいろ説明に当りまして、宮黒林産にも、農林省の仙台木炭事務所にも佐々木借金が相当ありまして、すでに刑務所担保として入れた、そういうような金品もそつちのほうに又担保に入つており、登記も済ましておるということまでわかつたのであります。そこで関係者が集まりまして昭和二十四年二月十二日に刑務所会議室営林署長とか、造林課長とか、それから木炭事務所係官、それから刑務所の者、それから組合の者と全部集まりまして協議をいたしました。結局佐々木というものの借金宮黒林産組合に約百五十万円、木炭事務所に約百五十万円、刑務所に二百五万円、結局五百五万円もあることがわかりました。ところがこの佐々木財産は見積りまして三百五十万円くらいしかない。そこで債権者はお互いに佐々木財産分配争いをしても仕方がないからというので、佐々木営林署から払下げを受けまして事業に着手をしたばかりの岳山というものだそうでございますが、山における薪炭の伐出し事業を続けて行けば事の解決を見るということになるだろうということになり、営林署長も協力しようということになりまして、刑務所のほうでも労力を提供するということでまあ話合いをしたのであります。当日鴫原洋一郎は勿論この事情を知つておるのでありますが、だんだんに最初の話と違うというようなことで、この話合いが実行に移るということについていろいろ文句を言い出した。そこで佐々木のほうは一切をもう全面的にお任せするということになりまして、その組合のほうで借金財産整理をすることになつたのであります。結局佐々木借金とそれから財産整理組合で行うことになり、その指導的立場鴫原が立つたわけであります。丁度その頃でありますか、三月になつて会計検査院から宮城刑務所会計検査に来られるというので鴫原はこの佐々木刑務所に対して穴をあけておるところの未納額のうち百万円を持つて参りましてこれを佐々木未納告知書を納付したわけであります。ところが会計年度整理期間が終りの、四月の末が近付くに至りまして組合としては余りこれに深入りして鴫原だけがうまいことをするのは困ると横槍が又入つたりいたしまして、北沢の山の事業方針がぐらつき出したりいたしまして鴫原のほうとしてはこれ以上佐々木未納残金支払ができないというようことを言い出すということになつたのであります。鴫原はこの佐々木あとを受けましてすでに遠野原作業場事業を継続しておりまするし、それから奥新川作業場事業組合員の一人である佐々木喜一という者が行なつておりましたので、それで結局鴫原のほうでこの佐々木刑務所関係未納分を引受けてこれを払うということで、この事業継続によつて解決したのであります。ところが財産整理のほうは一向に進捗しない。最初の見込よりも非常に財産も少いというようなことで、二十四年十一月になりましてから青木作業場建物とか、奥新川作業場建物とか、それからつるはし、スコツプ等雑品計四十万五千円余りというものを鴫原が讓受けまして、遠野原作業場の一部とか、豚舎の全部、これを佐々木喜一というものが讓受けまして、当事者の間では話がついたのであります。この北沢の山の事業宮黒林産組合の有志が主となりまして、宮城岳山開発林業組合というものを作りまして、そういう規則を作りまして事業を開始したのでありますが、刑務所のほうの労力の使用もしないで今日に至つておるようであります。経営は今は非常に不振になつておるということであります。結局刑務所のほうはこの鴫原が間に立つたので一応佐々木未納分が解決したために、当時の菅野という看守長がこの未納整理に当つてつたのでありますが、非常に鴫原未納処理の恩人のごとくに考え込んでしまいまして、鴫原に公金をも融通してやつてその事業を助けるというような状況になつたのであります。結局これがためにその菅野という者は起訴されまして判決を受けるに至つたのでありますが、そういうようなことから内部でも涜職背任的な行為がわかる、又それから鴫原自身も今度は刑務所関係公文書を僞造しまして起訴もされるというような状況になつたのであります。今日この鴫原という人物は何か自動車の運転手なんかをしておるまでに財産状態が惡くなつたようでありますが、当時は相当の資産を持つてこの事業をやつてつた。そこで只今問題になつておりますのは、こういうふうに薪の代金未納にもかかわらず鴫原に対して立木代金払つたのは非常におかしいじやないかということになるわけです。その点につきましては、この鴫原というのが、実はその立木所有者でございませんで、間に立つて刑務所に売つた形をとりましたので、実際の売主のほうに、刑務所としてはどうしても払わなければならない事態に立ち至りました結果、その金を鴫原に渡し、鴫原から実際の所有者のほうに行つておる、その間に鴫原が儲けておるようなことでありまして、鴫原の薪の代金未納とは別途に立木代を払うような状態になつてしまつたというのが今日わかつておる真相でございます。鴫原に対する措置は刑事問題になつてその判決を最近見ましたが、公文書僞造行使詐欺、それから虚僞有印公文書作成行使詐欺、これで今年の五月一日に仙台の地方裁判所で裁判が確定しております。結果は懲役一年、それから一年間の刑の執行猶予ということになつております。本人がこういうふうな裁判を受け、それから刑務所の中の担当の看守長がそれぞれ二人も処分を受けるというような状況になりました結果、金の催促のほうが非常に進捗いたしませんで今日まで至つたので、八月ですか、仙台の法務局と連絡いたしまして、刑務所長のほうに材料を揃えて鴫原相手に或いは佐々木をも相手にしなければならないと思いますが、訴訟を提起するということで、今手続を進めておるような状況であります。次に問題になりましたのは、この検察庁庁舎の、いわゆる特別調室という問題でございましたが、これは前回申上げましたように、一石二鳥の効果を実は狙つたのでありまして、何分にも宿舎が非常に足りなかつた、それから又一方検察庁の別室も非常に不足しておつた、他面最高裁判所等では数千万円の予算宿舎費として取れております。宿舎が建つて行く。現地検察庁のほうからは非常に宿舎の希望がある。宿舎がございませんと検察官の異動にも大いに関係するというようなことから、両方の効果を兼ねるという意味を以ちまして、かような不始末をいたしたのであります。その後用途を変更して宿舎として使つておる部分が大分あるわけでございます。  それから次の笠松刑務所の問題がございまして、これもいろいろ御説明申上げなければならん事情がございます。初めから申上げますと、最初五百五万で入札いたしました、これには雑工事費をも含んで打合せの上入札したのであります。ところが実際その程度予算がある、配付できると思つてつたところが、工事を施行いたしますというと予算の不足を発見いたしました結果、契約を改めまして三百五万円とした。そして三百五万で施行するところの工事の部門というようなものは、図面上明らかにいたしまして、三百五万に改め、残額は明年度工事に繰入れるということに直したのであります。翌年度になりますと、翌年度工事施工者を指名しまして、大日本土木も入つておるわけでありますが、伝票発行の際には二百万円はすでに完成されておるということを説明し、そしてその落札した者がその分の金を大日本土木に渡すということを條件としまして入札させた。その結果、幸か不幸か大日本土木にその仕事が落ちたということになるのであります。そうして予算的には、これは公共事業費だけであります。雑工事をやつておるということも、これは当時視察に参りました営繕課長なんかの報告によりましても、五十万円以上の雑工事を確かにやつておるということは認められるいうことでありました。ただ公共事業費としては、この公共事業内訳の中にどういうふうな雑工事をやつておるかということをはつきりさせることが必要でありましたが、その証拠書類も取つていないことは、今から考えても意外なことであります。いろいろの原因あとから探りますと、この工事は当時岐阜刑務所において予算関係その他から工事関係を担任しておりました。非常に手が廻りかねておつたから、工事自身が非常に名古屋軍政部から急がれておりました。中央との連絡もなく一々あそこをやれここをやれというような状態にあつたらしいのでありまして、そのためにこういう書類的な処置がぬかつてつたということは誠に申訳ないことと思うのであります。これは現地を責めるのもあれでありますが、中央予算配付の額の検討を誤つてつたということも確かにこういうような原因をなしておるのであろうかと、かように存じます。  それから次の八王子の問題でありますが、工事費部分払に当つて処置当を得なかつたという(一〇)の問題であります。これは当時工事がまだ五五%しかできていなかつた、従いまして繰越手続をすべきものであつたわけであります。ところが実情といたしまして、二十四年度まではこの繰越手続が非常に手間取りまして、予算繰越配付はどうしても七、八月になるというのが実情でございまして、工事はどうしても早くやらなければならん、一方金は非常に遅れるというので、営繕を担当するものとしましては非常に苦境に陷るわけであります。そこでこの場合には、この例は、本件の場合は、年度内に既定の九九%進渉したものと過大に算定いたしまして、部分払したわけでありまして、これは無論中央では知らなかつたことでありますが、事情としては中央においても当然これをもつと注意すべきものであつたろうと、かように考えます。併し幸いにして二十五年度以降は、この繰越手続に手間取ることなく、予算配付も早くなりましたので、さようなことは一切ないつもりでございます。それは若し繰越を必要とすると思うというような場合には、中央からも係官を派して連絡いたしまして、よく随時確かめた上で手続をとるということにいたしております。それからこの点について多分前回お尋ねがございましたが、金はどこで握つておるかというようなお話がありましたが、これは現地支出官、この場合は八王子支出官に金は行つておるのであります。それから……、前回はここまでの説明を申上げたと思います。
  4. 田中一

    田中一君 笠松刑務所の問題ですが、この証拠書類がないというのは、取らないのですか、取つたけれども無くなつたのですか、それとも金の支払をしなかつたのですか、どちらですか。
  5. 天野武一

    政府委員天野武一君) 取らなかつたようであります。
  6. 田中一

    田中一君 少くとも大日本土木に一括して金を支払つた場合に取らなかつたということは、どう考えてもわからんのですが、若しこの支払状況がどういう形で払つたか、或いは完成して一括して払つたのか、この五十二万八千六百四十円というものは、一応の検査後に廻りの仕事としていわゆる細かいあつちこつちという手当をしなければならない仕事残つたというわけで別途に支払つたものですか、その点はどうですか。
  7. 天野武一

    政府委員天野武一君) その点営繕課長からお答えしてよろしうございますか。
  8. 山田明之助

    説明員山田明之助君) 私営繕課長山田と申します。その点につきまして少し事情を述べさして頂きます。勿論かような始末に終つたことは重々お詫びしなくちやならんと思います。実はこの施設について笠松女子收容所を設けて取りあえず暫定的に收容を開始するということで工員宿舎の曲つたようなところに五十名ほどの女子收容したのであります。炊事場等は小屋のようなものを暫定的に充て、浴場についても本当にお湯が沸く程度施設をし、職員事務室とても殆んど既存の建物をそのまま使うという状況で開所したのであります。その後名古屋軍政部から視察に来られまして、工員宿舎收容されておる約五十名の收容者状況を見て、これは実にひどいではないか、こんな状況にして置いてはこれはいかん、而も炊事場浴場などこんなことは以てのほかだ、早速これを是正せよ、特に職員の寄宿舎どもちやんと疊が敷いてあつて建具があるというのではなく、疊をそこに置いて住つておるというような状況でありましたために、早急にこれが改善を要求されました。特に收容施設だけは本年二十三年の十二月までに造り上げろという固いお達しでありましたので、現地の当時笠松刑務所予算その他の関係を担当しておりました岐阜刑務所長松富氏から連絡がございまして、取りあえずこの收容施設二百五十坪ほどのものを造つて欲しいというようなことでありましたので、もともと私どもとしては翌年度笠松刑務所予算を要求する予定でありましたから、勿論この笠松刑務所については予算的措置はとつてございません。そこで各所の予算を掻き集めて見ましたところが約五百万余りのものがあるということがわかりましたので、大体二百五十坪の範囲工事を始めようというので、私どものほうで早急に設計を進めまして、設計をやらせまして、これも大体技官を督励して晝夜兼行でやつたように思つております。日の点ははつきりわかりませんが、九月に技官現地にやりまして業者を集めて五、六社指名したように思います。それで指名競争入札の結果、大日本土木に落ちたわけであります。これは十二月までという突貫工事でやりましたために、そういう條件で早急に資材その他を掻き集めて着工させたわけであります。ところが私ども予算配付する段になりまして予算係官のものが金が二百万足らないというような申出がありましたので、もうすでに入札もやつてしまつたことだから、何とかどつからかやり繰りをするようにということで随分刑務所関係予算の面を検討さしたのですが、どうしても二百万足らん、それではしようがないから本年度はその三百万の範囲工事を打切るようにということで現地指令を出した。ところが無理をしても集めて欲しいというようなことを二、三回現地から言つて参りましたが、それはどうしてもやれんということで、その後に現地松富所長が上京して、実は業者のほうも突貫工事であるために資材その他の手配は全部終つてしまつた業者のほうが実は予算がないことならば、これはまあ私たちのほうとしては本年度やらしてもらうほうが非常に工合がいいし、国家的に見ても経済的だから、この分は来年度予算でも結構だから是非やらして欲しいというところまで言つて来ている。この工事が中途半端で終るというと軍政部のほうの関係工合が悪いから何とかこれでやらして欲しいというふうな申入がありましたので、止むなくそれでは翌年度に亘る工事をするということは重々悪いとは思いましたけれども、今申上げたような事情でありましたために、そのことを認めまして実際工事は五百五万をやつております。契約面では三百五万ということでやつてつたわけであります。ところが今御質問の点でございますが、その当時今申上げたような施設でやつてつて、ために浴場炊事場職員事務室宿舎、便所、それから仮の塀でございますが、その他たくさんのものを整備しなくちやならんということもございましたので、実は当時は私ども営繕その他修繕に関する予算公共事業費補修費、二本に分かれておつたわけであります。補修費は私どもの全国の所管の各庁舎を維持するには実に少い補修費でございますので、この補修費をぎりぎりに配付しても雨漏りその他の庁舎を維持するには誠に不足しているという事情にあつたので、一方新営費に充てる公共事業費も十分ではありませんでしたが、こういう予算がありまして現地配付するのには、中共としましては公共事業費に入つているところでも修繕費は別途に補修費というものを出さなくちやなりませんが、新営費に入つているところの補修費をやつていたのでは新営費の入らない、公共事業費の入らないところに補修費が廻りかねるというような事情にあつたために工事のやり方としては新営費公共事業費の入つているところは多少の補修の問題はその公共事業費範囲内でやれというような指令を出しておつたのであります。従つて国のためにはいいことなんですが、まあ私どものほうとしては百坪の囚房を造るということならば百坪分の金しかこれをやつてはいけないんですが、ただ現場説明の際にはこれだけの補修があるがこれも一緒にやつて欲しいというような現場説明をしてその中に入れてやらせる。まあその際でも内訳としてははつきり出すのが本当と思うのでありますが、いや慣例でありましたが、まあ本件についてはさような工事があつてそこへ入れるということは私は承知しておりました。その内訳についても当然内訳書の中に出ているものと思つておりましたところが、たまたまお調べを受けた際にはそういう内訳が出ていなかつたということについてもう誠に申訳ないと思うのであります。これについては当時岐阜刑務所が自所の会計を担当しているだけでも相当手に負えなかつた。そこへ笠松刑務所の、殊に突貫工事である工事を背負わされて、事務職員が絶えずブーブー言つてつたことを私記憶しております。そのために手が届かないで、そういつた予算関係事務整理が十分に行つていなかつた。これは誠に申訳ない、私ども指導監督が行届かなかつたとは思いますが、いずれにしてもそういうような状況にあつたために漠然とこれだけの仕事をやるということで請負わした。そのためにかような結果になつたものと思われるのであります。
  9. 田中一

    田中一君 いろいろ御説明を聞いて事情はわかりましたけれども、ちよつと伺うのですが、この金が四十一万七千九百円というものは領收書をもらわずに払つたのか、それとももらつてから払つたのですか、どういう形式で支払つたのかということをお伺いしたい。
  10. 山田明之助

    説明員山田明之助君) お答えいたします。前年度、二十三年度雑工事の二百万円分の中に、トータルいたしますと、五百五万円の中にそういう雑工事を入れて工事をやらしたわけでありまして、結局結論的に考えますと、そういつた雑工事がそれらの工事の單価の中に單価増みたいな恰好で入り込んでしまつたように思われるのであります。
  11. 田中一

    田中一君 そうしますと、二十四年度分の二百万円、これは相手は同じ大日本土木ですが、別々の工事となつておりますので、その二百万円というものを支払つたものの受取はあるのですか。
  12. 山田明之助

    説明員山田明之助君) はあ。翌年度のその他の工事もございまして、それと一緒にして二百万円を含めた分の受取はあるわけであります。
  13. 田中一

    田中一君 そうしますと、五十二万八千六百四十円というものの証憑書類がないということは言われないわけですか、領牧書はあるのですね。その内訳がないというわけですか。
  14. 山田明之助

    説明員山田明之助君) そうでございます。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 (七)の分でお伺いしますが、検査院報告によりますると、宮城刑務所鴫原との間に立木買受に関する契約ができておつたというように示されておるのであります。鴫原とその次の間にどういうことがあろうとも政府関係があるのでございまして、鴫原との契約であれば鴫原に当然立木代金支払つて然るべきものと思われますのに、全然実態はどうあろうとも形式的に全然関係のない人に金を支払うということが行われておるように只今説明では伺えるのでありますが、かように理解してよろしいかどうか、これを先ず一点……。
  16. 天野武一

    政府委員天野武一君) お答えいたします。これは契約者がやはり鴫原でございますから、鴫原のほうに小切手を切つて渡しております。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 鴫原小切手を切つて支払うということでありますれば、当然その際に鴫原から徴收すべき薪の代金というものの未收について考慮が同時に払われなければならんということは、これは常識的に当然と思うのでありますが、それを分離して考えられたということについては非常に重大な手落ちがあつたように思われますが、どう考えられますか。
  18. 天野武一

    政府委員天野武一君) それは確かに御説の通り重大な手落ちであつたと思います。ただ先ほど申上げましたように当時の管理庁が、これは名前は鴫原にないておつても、その裏に何人かの立木の持主があつて、その立木刑務所に売られておるということがわかつておるものですから、鴫原の個人の債務とは別に考えて簡單に処理してしまつたかと思われるのでございます。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 それから(八)のもので御説明がありましたように、非常に心を配つて取調をされるという点については、十分理解はできまするが、すでにその当時これは宿舎を造るという目的でお造りになつたものであつて特別調室と一石二鳥を狙つたということはおつつけられた説明であつてはつきりされたほうがいいと思うが、本当の真相はどうであつたのか。
  20. 天野武一

    政府委員天野武一君) お答えいたします。真相は特別調室という調室のみを狙つたことは一つもございません。一石二鳥もございますが、そのほかに先ほど申上げましたように宿舎が足りない一方、裁判所のほうには数千万円の予算があつて宿舎費として入つている。実際上検察官や検察事務官の人事異動等で宿舎の必要が検察庁には多いが予算が入つていない。窮余の策といたしまして、特別調室というようなことで説明もできる余地があるのだからということで、宿舎特別調室名義の宿舎と言いますか、そういうものを造つたの実情でございます。
  21. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、御説明はいろいろありますが、結局宿舎を造つたということであると理解されていいと思いますが、如何でありましよう。
  22. 天野武一

    政府委員天野武一君) そういう分もありますが、宿舎ばつかりでないところもあります。実際特別調室として、現に使つておるところもあります。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 検査院のほうにお尋ねいたしますが、一応御調査になつた真相を一つお話願いたいと思います。
  24. 大澤實

    説明員(大澤實君) ここに法務府外四四箇所で一六七棟とありますが、このうち会計検査院として実地に建物を見ました個所ははつきりしませんが三十数個所百二十棟程度建物の現場を実地に見て参りました。それは構造は住宅であるということは確認いたしました。そしてそこにそれぞれ職員のかたが住まつておられるということも確認をしました。ただそれが実際に特別調室、いわゆるそこで特に検察庁などへ呼出せない人を呼んで来て調べたかどうかということになりますと、これはちよつとこちらとして今調べようがございませんので、恐らくそういうものが御説明のようにあつたと思いますが、とにかく現状は宿舎として使用している。だからそれから推論して只今の御説明にありましたようにまあ一石二鳥でもございましようが、宿舎を補充したいという御意向が強くてこういうことになつたのではないかと、こういうように認識した次第でございます。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 次に(九)についてお伺いいたしますが、先刻の説明によりますと、最初は五百五万円の設計を示して競争入札をせしめた。ところが工事の進行中に配付し得る予算額は三百五万円よりどうしても工面がつかないことになつたので、二百万円だけを打切りをしろという指令をした結果、進駐軍のほうからも来られるということもあり、業者の請負人のほうからも突貫作業のこととも関連のある工事であるから同時にやらして欲しい、金の支払は翌年度繰越されてもよろしいという申出があつたので、そういうような措置を講じたというお話であつたと思いますが、その話の中に、又その二百万円分については業者は招致して競争入札をせしめたというお話でありますが、すでに工事の済んでしまつたもの対して競争入札やらせたというように理解してよろしいかどうか、その点一つはつきり説明して頂きたい。
  26. 山田明之助

    説明員山田明之助君) お答えいたします。先ほど申上げたような事情で、翌年度にすでにやつてしまつた二百万円競争入札の中に入れるということを私ども当時非常に悩んだのであります。私は営繕課長になりまして約三年八カ月になりますが、すべて国の工事は法律上随契を認められるものでも、できれば指名競争入札を行うべきものだということを考えて実際にそういう方法をとつておりましたので、これは役所として業者と集めて実はこういう工事があるのだがこの分はどの社が取つてもその工事をした大日本土木に渡してくれということは実は忍びなかつたのでありますが、併し随契をするというのはほかの工事もございまして額にして千万円を超える工事でありましたために、これはどうしても指名競争にせよということを技官に申しまして、その現場説明の際に既存部分の二百万円のものがあるということを説明して、その上で入札を励行したのであります。若しほかの業者がこの工事を取つた場合には二十五年度にできたものでありますが、すでに二十四年度にできたものとして、取扱つて頂きたい。従つてその二百万円分は大日本土木に渡して、前の年が二十三年ですから二十四年度でございます。二十四年度にその工事をやつたこととしてもらいたいということを説明いたしまして入札を施行したわけでありますから、実際にはできておるものを翌年度に取つた業者が施行したこととして扱つて頂きたい、こういうことでやつた次第であります。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、先日他の委員からも御質問があつたのでございますが、競争入札であつたのが実際は形式をそう整えただけであつて、内容的には随意契約であるという実体を持つてつたのじやないかという御質問に対しまして、飽くまでも競争入札でありまするという御答弁であつたように記憶しておりますが、只今の御説明を承わりましても、私は競争入札ではなくて実体的には随意契約であるというように解せざるを得ないと思うのですが、と申しますのは、若し真に競争入札であるといたしますれば、実際は二百万円で工事が済んでおることを改めての入札の際にはそれが二百五十万円なるか二百六十万円になるか、そのときの経済情勢に応じての入札があるべきでありますが、価格が変つて参りました場合にはどういう措置が講ぜられるかということを考えまする場合に、恐らく講じようがないのじやないかと思われますので、実体的には随意契約であるというように理解してよろしいのではないかと思いますが、その辺御説明願いたい。
  28. 山田明之助

    説明員山田明之助君) お答えいたします。その点の御疑問があることは誠に御尤もと思いますが、只今申しましたように、その二百万円についてはすでに工事ができてしまつて値段については異同はないわけであります。二百万という額は確定しておりますからその部分だけは動くとは考えられませんので、そのことを含めての入札をすればできるのだが、それ以外の工事については翌年度の積算によつて業者が結論を出せるわけでありますからその点は心配はないと思つたわけであります。なおこの点について御質問のような疑いがありますことは誠に御尤もだと思うのですが、私が営繕を担当しまして飽くまでそういう行き方をせよと言つておりましたので、私のほうの側においては業者を指名して、そういう條件入札をしたことは実際でありまして、ただ指名した業者の側においてどういうことがあつたか、又業者のほうにどういう慣行があつてつているか、その点については私は実際には與り知らないわけであります。ただまあ業界の慣例として継続工事のような場合にはほかの業者が大体遠慮するのだということは聞いて知つておりました。ただそんなことのために高いものになつちやいかんと思いまして、私どもは最近ではそういう、国に損害を與えるようなことのないように常に継続工事でも業者を嚴選しまして競争をやつておりますし、事実継続工事についても別の業者工事を取つているのは私どもの所管にかなりございます。又談合といいますか、私ども入札の結果どうもこれは話合つているのじやないかと思われるものにつきましては大体私どものほうでは業者を全部改めまして、改めて別の業者を指名して入札を施行するとか、早くから業者に指名しておきますといろいろ打合せをするだろうというので前には業者を一人一人呼んで面接をして、入札の後に初めて顔を合わすというような方法で入札をしたような例もございます。本件についてはそういう條件入札を施行したことだけは事実なのでありまして、その点御了承願いたいと思います。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 只今の御説明によりますると、法務府のほうからお出しになつておる説明の中に、單価増を認めたというようなことで十一万余円の支払がなされておるというのでありますから、すでに工事が進んでおつて確定しておるものに対して更に單価増を認めなすつたということは一体どういうことなのですか。済んだ工事で、形式的に除外をして競争入札をせしめた工事であつて、その支払のときに十一万円單価増を認めたということはおかしいじやないかと思うのですが……。
  30. 山田明之助

    説明員山田明之助君) その点は誠に申訳ないと思うのです。私は業者が好意的にかような申出をしても、そうかと言つてその金額に対して利息をつけるとか、切符が遅れたからそれだけのものを見てやるとかいうことは私は全然考えていないのであります。本件の場合についても勿論さようなことは考えておりません。ただ先ほど申上げるように翌年度の、二十四年度工事で全面的に架設工事が、修繕工事が取払われてその内訳はつきりしないということで、私は勿論はつきりしていると思つておりましたのが、調べた結果ははつきりしておりませんので、たまたまそういう食い違いが出てしまつたためにまあ辻褄を合せるためにさようなことを申上げたので、私としてはそういう額は全部修繕工事に費した金というように記憶しておりますので、その点はこの機会に改めてお詫びいたします。
  31. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 或いは議事進行に関しての発言かもわかりませんが、この(九)の問題についてまだ私も恐らく森委員もいろいろ疑義のある点があるのではなかろうかと思つております。そこで(九)の問題の質疑はこの程度にいたされまして、これを留保されまして、その他の案件について全部進めさせて頂きたいと、こう思います。
  32. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 ちよつと一点だけお聞きしたい。私は会計検査院のほうにお伺いしたいのでありますが、ここにありまするところの(八)の検察庁庁舎を造るとか、或いは倉庫を造るとかいうようなことで四千どれだけ使われたというやつで宿舎を造られた、そういたしますると、あなたがたがお調べになりまして、又(九)の問題でもそうでありますが、大体指名競争というような形でこれは私も普通の競争でありまするというと、ろくでもない、何と言いましようか、請負業者がありまして損害をかけるということがありまして、先ほど営繕課長が言われたことはこれは認めますが、実際單価というものは適正であつたかどうか、こういうことですが、その点をお調べになつておられますかどうですか、これを伺いたい。
  33. 大澤實

    説明員(大澤實君) 只今の御質問はこれは(八)の百六十七棟の分の御質問かと思いますが、この分は勿論ただ建物の用途ということだけでなくて、その建物の請負が正規な契約をやつているかどうか、或いはその価格がどうであるかということはここに検討はいたしております。その結果特にこれが高価であるとか、或いは特に随意契約でやつているというようなものは私の報告を聞いておる範囲においてはなかつたのであります。それから一般的に言いまして勿論会計検査院といたしましては会計法、予算決算及び会計令の規定に従つて契約が行われておるかどうかということを絶えず検査しておるのでありまして、随意契約以外により得る場合に随意契約によつている場合がありますれば、その理由を質して、それが納得が行かなければ、それを不当として談ずるという方法をとつております。それから大体においてそういうわけでありますから、指名競争或いは一般競争になるのでありますが、営繕工事に関しましては一般競争ということは勿論その業者のいろいろな資産、信用の問題がありますから、殆んど行われてなくて、全部指名競争で殆んど行われていると思うのであります。その指名競争の入札の経過はどうであつたかは書類を徴しましてそれぞれ検討はいたしております。
  34. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 そういたしますというというと、今の二十二、二十三、二十四年とだんだん世の中は平静になつておりますが、結局いろいろの問題で資本その他の問題もありまして、資本のない或いは信用のない者がこれを請負いましても必ずしも遂行できない、こういうわけで指名競争をされましたが、その点につきまして、各指名されたるいろいろな請負業者がやりました問題について会計検査院は適正であつた、單価などは適正であつたと、こういう今の(八)の問題などを見ますというと、全然別なものを造つておるのですから、実際はおかしな問題でございますけれども、あなたがたが見られて、專門家が見られて適正であつたとお認めになりますかどうか。
  35. 大澤實

    説明員(大澤實君) この(八)の分は請負に付しますときには名前は特別調室でありますが、それぞれ構造はいわゆる住宅の構造で仕様書を作りまして、そうしてそれによつて積算いたしまして予算価格を造つて、そうして契約される。この中にはたしか購入されたものもあると思いますが、例えば倉庫の仕様書で、そうして造つたというのではなくて、もうちやんと名前は倉庫であつても内容は住宅のような仕様書でやつておりますから、それに基いて検討いたした次第であります。
  36. 田中一

    田中一君 今の(八)の問題ですが、これはいずれも住宅であるということになつておるのですが、現在は何に使つておるのですか。会計検査院に伺うのです。
  37. 大澤實

    説明員(大澤實君) 現況、最近の調べはそれぞれ全部廻つておりませんのではつきりいたしませんですが、このうちのたしかもう七〇%ぐらいだつたと思いますが、これは法務府のほうでもいわゆる国有財産宿舎として、もう住宅に組替えまして、もうこれをやつております。一部はもう住宅になつております。あとも恐らくそうであろうと思つております。個々の点に関しましては処分が済んでおることは確認しておりますからあれでありますが、まだ特別調室という看板でやつておられるかどうかはちよつと今のところはつきりいたしません。
  38. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) お諮りいたしますが、カニエ君から、(九)だけを留保して置いて、ほかの議案に入つてはどうかという話があるのでありますが、如何計らいしようか。折角もう二日に亘つてこの問題をいろいろ審議しておりますので、私どもとしては、できるならば一つ引続いてこの問題の解決をつけて先に進むほうが適当なように思いますが、皆さんの御意見で……。
  39. 田中一

    田中一君 (九)の問題も一応了解しましよう。
  40. 森八三一

    ○森八三一君 まあいろいろお伺いをいたしましたが、まだ多少不明な点もあるように思いまするが、もう少し他のほうを進行して行きまして、その上で決定されてもいいように思いますので、一応留保して置いて御進行願つたらどうかと思いますが……。
  41. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) どういたしましようか。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 重ねて言いますが、従来この決算委員会の進行のやり方は、一批難事項が複雑であり、且つ又委員等においてもなお時間を取つて検討したいというものは留保をして来ておるので、別にこれが今ここで直ちに上らなければ全体の審議に大なる支障を来たすというようなこともないのでありますから、だからこれは私は一応やはり(九)の、こういつた検討を要するというものは一応留保して他に進行されることが適当であろうと、かように思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  43. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) カニエ君のは法務府全体ですか、或いはそのうちの(九)だけを……、
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私の申上げておるのは、特にこれはもう一つ釈然とせないという部分だけでありますから、私の申上げておるのはこの(九)だけでございます。
  45. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 只今法務府関係の(九)だけを留保して、他は質疑を一応終了するというふうにいたしたらよかろうという意見がありますが、如何計らいましようか。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 (九)だけでいいのですが……まだ先に一つ伺いたいことがあるのです。(一一)(一二)についてはまだこれは御説明を願つていないのではないかと思うので、この点については一応検査院のほうから御説明を願いたいと思うのでございます。
  47. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) (九)は留保いたしまして、次は(一一)(一二)につきまして大澤検査第二局長から一応の御説明を願いたいと思います。
  48. 大澤實

    説明員(大澤實君) (一一)の問題も(一二)の問題も経費の年度区分をみだつた点を指摘しておるのでありまして、(一一)は府中刑務所で関東医療少年院というのを年度内に完成したとしまして千三百九十万円の全額を出しておるのでありますが、実地を検査しますると年度末の出来高というものは七〇%程度でまだ三〇%できていない。できていないけれども全額できたとして払つてしまつている。勿論翌年においてはできまして、二十五年の六月に完成しておりますですが、できない先に整理したのが妥当でないというのであります。次の名古屋刑務所の分はさく泉工事、井戸掘工事をこれを年度内に完成したとしまして百五十五万円出しておるのでありますが、現地を見ますると年度内の出来高というのは三八%程度でありまして、これはたしかその後十月頃だつたと思いますが、とにかくその後完成はいたしておりますが、とにかくこうした年度末にできていないのを書類を作成しまして、できたとして全額の金を支払うということが従来からも相当行われておるのでありますが、こうしたことを矯めなければ書類の正確性というものは期し得ないという点もありますし、又会計年度区分をみだつたという点もありますので、検査報告に掲げた次第であります。
  49. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) (一一)、(一二)につきましての御質疑はございませんか。……別に御質疑ないようでありますから、(一一)、(一二)は終了したことにいたします。  次は(一三)に対して大澤検査第二局長からの御説明をお願いいたします。
  50. 大澤實

    説明員(大澤實君) この(一三)の件は札幌高等検察庁と、それから函館少年観護所というのがあります。その二カ所で苫小牧区検察庁、静内区検察庁、それから函館少年観護所、こうしたものの書物を請負わしたのでありますが、その場合に予定価格を作成いたしまして、それから一割程度を引いたものを一つの最低価格としまして、それ以下の入札は除外する、こういう條件を付しまして入札をいたしました結果、最低落札者があつたのにもかかわらず、それはいわゆる制限以下になるからそれを除外しようというので、二番札の者を以て落札さした、こういう事件でありまして、いやしくも指名競争入札に付するということは、先ほどもお話がありましたが、なぜ指名競争という制度をとるかと言いますれば、一般競争に付すればいわゆる資産の信用の不確実な業者が介在する虞れがある。であるから資産信用確実な業者を指定しまして指名競争入札に付するのであります。いやしくも指名競争入札に付しておいて、而もそのうちから或る程度の価格以下に入札した者はこれを除外するということは競争入札の実を失しておる、そうして会計法規の規定にも反しておる妥当な処置でないというので掲げておる次第であります。
  51. 田中一

    田中一君 大澤局長に伺いますが、局長はこの最低価格というものを立法化されていないということをおつしやるけれども、あなたは道路法の第三十一條に基くところの道路法施行令というのを御存じですか、御存じでないですか。
  52. 大澤實

    説明員(大澤實君) 内務省令で出ました道路法施行令というのは承知しております。
  53. 田中一

    田中一君 これには一応の最低価格というものが抑えられておるのも御存じですか。
  54. 大澤實

    説明員(大澤實君) 承知しております。
  55. 田中一

    田中一君 今ここでお話になりましたこの報告を見ますると、最低制限価格を定めたと書いてあります。一応これは幾らを最低制限価格としたか明記してありませんから論じませんが、少くともこれが道路法施行令に基くところの三分の二以下を下らざるようにという規定に合つておるものならば、これを戒告する必要はないと思うのですが、如何ですか。あなたはおつしやらなかつたが……。
  56. 大澤實

    説明員(大澤實君) 道路法施行令そのものの規定を検査院としては非常に疑義を以て現在検討しておるのでありますが、あれは御承知の通り、道路の工事について、いわゆる県が行う主として道路の工事についての規定でありまして、本件は建築の工事であるから勿論道路法施行令の適用がないのは当然でありますし、又こつしたものに対しましては特にいわゆるローア・リミツトを設けるということはどこにも論じていないというので、こうした取扱は会計法規に反している、こういう結論に達した次第であります。
  57. 田中一

    田中一君 昨年特別調達庁で最低制限価格入札制をとつておることは御存じでしようか。
  58. 大澤實

    説明員(大澤實君) 特別調達庁のはたしか見積合せ、つまり正規の入札でなくて見積合せをやつたと思いますが、或いは私の勘違いかも知れませんのですが、特別調達庁のは所管外になりますので詳しい事情只今存じません。
  59. 田中一

    田中一君 昨年の朝鮮動乱以来あらゆる資材の値上りで各業者、殊に営繕を担当するかたがた、工事を積算するかたがたがその妥当なる価格というものを見出すのに非常に苦労しております。従つて無論それを入札する、競争入札する請負人も非常に困つておる。そのためにどうしても政府の持つておる予算というものに及ばないというので相当各発注官庁というものが苦労しております。それで昨年の五月でしたか、本年の五月でしたか、建設省においては中央建設業審査委員会で答申しております。これには約八割というものを、いわゆる諸経費、利益などを控除したものの実際の工事価格というものは政府の持つておる予算の約八割見当だというようなことを建設省当局も認め、又それを入札の合理化という線において、いい工事をしよう、不正工事を防止しようという面からも各地方庁に流しております。今局長は立法化していない、道路法施行令というものはあるけれども、これは道路だけだというようなお考えのようですが、これも解釈が杓子定規だと思うのです。そこで問題になつておりますところの法務府にしても、各官庁にしましてもいずれも一応最低制限価格というものの抑え方は四分の二と抑えております。いわゆる六割六分六厘というものを抑えております。で今ここで二番札に対して落札さしたという限度は存じません。存じませんが、今日の大体におけるところの趨勢というものは各地方庁においてはことごとく最低制限入札制をとつております。最低制限価格制をとつております。これに対しては局長として今度のこの批難が妥当なものとしたが、これは止むを得んものにしたが、或いは他の官庁でこういう事実があるかもわからんと思うのです。無論予定価格、いわゆる政府の持つておる予算価格に来ない場合には随意契約は認められております。こういうものを批難するということが随意契約を促進する、止むを得ざるものとして随意契約が行われるということになりはせんかということを懸念されるわけであります。こういう点を局長にお伺いする次第であります。
  60. 大澤實

    説明員(大澤實君) ローア・リミツトを設けることの可否というものは只今田中議員のほうからお話がありましたのですが、会計検査院の内部でも設けることの当否ということは相当検討されているのであります。そこで一番問題になりますのはどこに線を引くかということになりますと、いわゆる僅かの差で、折角勉強して請負おうというのが、極端に言えば一円の差でそれを除外するというような、どうしても線を引くとそういう結果になりますので、それはどうも入札ということをやつて、僅か一円は極端でありますが、百円くらいの差でそれが最低制限価格以下であるからそれを除外するということになるのはこれはどうも入札の実を失するのではあるまいか。やはり最低入札、最低制限の入札ということを採用することは妥当ではないのではなかろうか。むしろ指名競争ということは認められているのであるから、その指名する場合に資産信用確実な業者を指定して指名すれば、そういう最低制限価格を設ける必要はないのではなかろうか、というような意見のほうが強いのであります、検査院の内部におきましても……、私もそう考えております。ところで具体的なこの例を申しますると、例えば一つの例、名前も業者名も省きまして申上げますと、二百二十七万円の予定価格を作りまして、その一割を以て最低制限価格とする。つまり二百五万円以下が最低制限価格で、そうして最低の入札が二百万円の入札者をそれを除外してしまつたのであります。それで次が二百十六万五千円で落札しておる。つまり二百二十七万円の一割をとつたので二百万円がおつこつたのであつて、これを一割五分とすれば当然入札になつた。こういうように極めて、ほかの例も殆んど同じように非常に接近した例であります。こういうことはやはりどうも指名競争でやれば……、こうした制限価格を設けた一つの弊ではなかろうか。或いはそのとり方を一割ととるか一割五分ととるかということ、それによりまして二百万円で落ちるところを二百十六万円で落しておる。国としてはみすみすと言いますか、十六万円の損失を與えておる。こういう結果になるのは妥当ではなかろうと、そういうように考える次第であります。
  61. 田中一

    田中一君 ここで所管外の論争は避けますが、大体政府が妥当な予算を組むということですが、妥当な予算というものは少くとも実施に当る前の一年或いは一年半前の物価指数によつての算定が多くあります。おおむねそういう形で以て予算を要求し、且つ計画を立てておるのです。無論指名競争入札の制度が、最低入札制度が正しいと思います。思いますが、一面そういうことによつてあらゆる無法競争、ダンピングのために不正工事が行われるという事実をお認めにならなければならんと思うのです。私はあえて言うならば、ことごとく不正工事です。少くとも国家が意図したところの計画は成し遂げられていないということが断言できるのです。これは無論有能な技術者がおられて予算を組み、実施計画を立てたものが、それを二割、三割、五割、下手すると五割、半分の価格で以て成し得るか、こういうことはたとえ会計検査院の局長としても常識としてお考えになると思うのです。そこに我我は罪人を作るのが、不正工事を作るのが目的ではありません。正しい価格において正しい工事をし、正しい労賃を払つて、正しい資材を購入することが正しい工事であつて、従らにダンピングすることだけが、ダンピングをしてでも安いもので、過剰な労働力を持たしてやるということは少くとも国家の工事の正しさでないと思うのです。殊に道路法施行令があつて、三分の二という点に最低制限価格を抑えることは……これに対しては先ほど局長が疑義があるとおつしやつていましたが、無論局長の言い方は今日の会計法規の上からいつて最低入札制度が正しいのだ。若し強いて言うならば、あなたは公入札が正しいのだ、いわゆる業者に対して機会均等を與えるために、或いは今ここで以て資格はなくても銀行なら銀行が一億の融資をすれば完全に一億の工事はできるのだからこれも入れてよろしいというふうに飛躍すると思うのです。従つて今の最低制限価格の問題は論及しませんが、これは会計検査院としてもあなたの言うような御議論で行きますと、ことごとく国の事業というものは不正工事で行われるわけです。不正工事で行われるときには犯罪が絶えないのです。こういう点に御留意を願いまして、会計検査院としては正しい工事を正しくさせる。正しい報酬を與えるというような考え方に、これからたくさん公共事業費のほうの批難事項がたくさん出ると思いますが、少くともそういう形で考えて頂きたいということを私は希望するわけなのです。この札幌の例は最低価格をどこで抑えたかということが出ていないのは非常に不満と思います。若しできるならば国が幾らの予算を持ち、その最低価格が幾らであつて、落札価格がこの示されておる金であるか、最低価格が幾らであつたかということを資料として御提出願えれば幸いだと思います。私はこれで打切ります。
  62. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の田中君の希望であるか、意見であるか、それに対して、検査院としてはどう考えておるかですね。一応大澤局長からお答えを願いたいと思います。
  63. 大澤實

    説明員(大澤實君) 先ほど申上げた次第でありますが、結局最低制限価格を設けるということは、僅かの、最低制限価格の上になるか下になるかという僅かなところで、いわゆる勉強してやろうというのを除外するということになるのであるから、私といたしましては最低制限価格を設けるということは妥当でないと、こう考えております。特に一割というような最低制限価格を設けるなんということは非常に妥当でないのじやないか、こう考える次第であります。なお只今田中議員のほうから御意見もありましたのですが、三分の二と、或いは半額になつてもいいか、そういう極端な例になりますとちよつとそのお答えに苦しむのでありますが、そうしたことが若しもあれば、これをどうするかということも検査院といたしましては、当然考究しなければならん問題であると思いますが、私はこれは内部でいろいろと論争したところをお話するのでありますが、特に安い資材を持つておる、或いは特に何か非常に有利な立場にあるという人が安い入札をした、それを除外するということは制度としてそういう制度をとることは好ましくないのではなかろうか、そういうようなダンピングをして撹乱しよう、そうして途中で小便にしてでもいいから一応取るだけ取つておこうというような業者でありますれば、最初に指名する場合にそれまでのその業者の経歴から見まして、そういうものを指名競争に参加させないのがいいのではなかろうかと、こう考えます。なおそうした最低制限価格を設けないために工事が疎漏になるという御意見でありますが、これに関しましてはいやしくも工事を監督するところの官庁におきまして監督のほうを嚴重にされればそういう弊は防げるのではなかろうかというように感ずる次第であります。
  64. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題ですね。今までだと入札したのとは、二番札と幾らの差がありましたか。ちよつと伺つておきたいと思います。
  65. 大澤實

    説明員(大澤實君) 三件のうち、まあ名称その他省きまして、第一の分は予定価格を二百二十七万円と組みました。そしてそれの一割引二百五万円を最低制限価格といたしまして、入札の一番低いのが二百万円でありました。そして次のが二百十六万円であります。そしてこの二百万円は二百五万円に達しないというので除外して二百十六万円で契約いたしました。次の分が予定価格を百三十一万二千円と組みました。そしてその一割引を最低制限価格といたしまして百十八万円を最低制限にいたしました。その入札の結果は一番低いのが百十一万五千円、これを除外しまして、次の百十八万三千円、これが契約の当事者になりました。次のは予定価格を百二十七万二千円と組みまして、その一割引百十四万五千円を制限価格といたしまして、入札の結果が百十二万円が一番低かつたのを除きまして百十四万五千円、これを落札者といたした次第であります。
  66. 田中一

    田中一君 今御意見があつたからもう一つ言わして頂きますが、私はこの予定価格から一割を差引いたものが妥当なる最低制限価格と申上げるのではないのです。少くともお説のように、自分がやつている現場のすぐ隣りに新らしく建築ができるという場合には、集めた労務者にしてもそのまま使えるというようなわけで、安い価格で落札されることはあり得るのです。併しながらそういうことも考えに入れまして、一割引が妥当とは考えておりません。大体においてそれが幸いに隣りに現場を持つたために安い価格で入れるというものは、その業者の当然とるべき利益でありまして、当然とるべき有利な條件でありまして、これを勘案する必要は何にもないのです。ただ税金その他諸経費というものを自分の、自己の経営の負担において賄う、労務賃が幾ら、材料が幾らといつて見積られたものも上つている。これは当然発注するほうの官庁の持つておるその数が妥当なる最低制限価格ということを申上げたのであります。一割引がいいとは決して思いません。従いまして、会計検査院がどこまでも最低価格制で行くというならば三割引、四割引、五割引というものはざらにあるのです。若しもあなたがそれを承知したいならば、私はたくさん何百何千という実例をお目にかけましよう。その業者仕事を投げ出したり破産したり逃亡したりした実例をお目にかけます。又それによつてあらゆる労務者が過重労働を強いられる、賃金不払をされる、そうして非常に苦しみを受けておるという実例も申上げます。私は会計検査院が若し毅然として法を守るならば一割引も二割引もありません。指名入札もありません。立派に国民に機会均等を與えて指名入札なんかの必要ない公入札で結構でありますが、会計検査院自体どこまでも法を守るならばその御意見が妥当と考えます。指名入札して、そういう不安心な業者は除外すればいいじやないかという妥協は許されんことと思います。若しもあなたがこの妥協をお持ちになるならば、まだまだ妥当なる方法がたくさんございます。私がお願いしたいのは会計検査院がもつと実情に即した、実態に即したことに対して勉強して頂くことです。法を守るならば立派に機会均等を與えた公入札制をとつて、そうして最低制限価格によるところの入札を奬励して頂きたいのです。それからもう一点伺いたいのは、道路執行令についてです。あなたは御不満だとおつしやいましたが、若しもこれを改正しようというような意図が建設省にあつた場合には、あなたそれを御賛成なさいますか、なさいませんか。これはあなたの、局長の御意見を伺いたい。
  67. 大澤實

    説明員(大澤實君) 改正しようというのはあれをなくそうというのでありましようか、或いはその程度をもつと変更しようというのか、ちよつとわかりかねますのですが……。私個人の意見を言えとおつしやるならば先ほどから申しましたように、いわゆる最低制限価格というのはやめて、指定競争までやめてしまうという御意見でありますが、指名競争というものを設けたのは、いわゆる工事なら工事を資産信用確実な人、そうした人を選んで、そのうちから安くする者を選ぶという制度でありますから、指名競争制度までやめるという気持はありません。それは又妥協ではないと私は考えております。併しながら資産信用不確実な者を入札から除名しろということは、指名に加えるな、こういう気持であります。  以上は私個人の意見でありまして、会計検査院の内部でも先ほど御披露しましたように最低制限価格を設けるほうがいいのではなかろうかという意見も相当あります。それをどこで取るかということは、相当いろいろな論議が出ております。それにはいろいろ考え方がありまして、いわゆる三割引とか、或いは三分の二とかというような一つの率で抑えるというのも一つの方法でありましよう。或いは五人とか十人の入札者の点をグラフに取りまして、これも一定の率で抑えて非常に落ちたものを落すようにグラフで採点をして、そして大体この線は皆各業者が勉強すればここまでは落るだろうと、その線で切る。こういう意見も出ております。只今質問がありましたので私個人の意見を御披露いたしました。会計検査院の意見はどうかということになりますと、そうしたいろいろな意見が出るということを御披露いたしておく次第であります。
  68. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 (一三)の問題につきましては、今会計検査院から出ました三つの事件に対しまして、これは私は会計検査院の意見が正しいと思います。百十二万円の人が落ちて百十四万五千円、こんなのは実際どうかしていると思いますが、二万五千円安くて落札できないという問題は、私は会計検査院処置当を得ないものということに賛成いたします。
  69. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の最低制限価格制がいいか悪いかという議論で、決算委員会最初の本論からずれた感じがいたしたのでありますが、併しながらこれはよほど重要な問題であるので、なお会計検査院においても検討して頂きたいと、かように私は思います。そこで本件に関しましては、会計検査院の批難に対して法務府はやはりその最低制限価格制を設けることが悪いという見地に立つて答弁書を我々に送つておるのでありますが、その答弁書の末尾の言葉でありますが、最低制限価格を設けて入札を施行したものであるが、同府として競争入札施行に当つて会計法の趣旨の通り、最低制限価格を設けてはならない旨、所管各庁及び部内の各課に対して再三再四指示したにもかかわらず、札幌管内の一部に限つてかかる不当な措置をとつたことは誠に遺憾である。なお責任者に対して嚴重に注意を與えた。こういう答弁が出ておるのであります。そこでこういつた嚴重にやつてはならないということを再三再四に亘つて指示しておるにかかわらず、このようなことをやつたのは非常に私はその点においては指示を軽んじた行為であると思う。そこには一体そういうような嚴重な指示があるにかかわらず、やらなければならなかつたという、何か事情があるのではなかろうか、あるとすればこれを一つ法務府のほうから御説明願いたいということ、それからもう一つは、こういうように再三再四注意したにかかわらず責任者がやつたということに対しては、嚴重なる注意というような処分の方法、いわゆる処分でないような処分をしておるということでは、これは困るのではなかろうかと思う。この二点について一つお答えを願いたいと思う。
  70. 天野武一

    政府委員天野武一君) 札幌管内の一部に限つてかようなことがあつたというのはその通りでございまして、会計検査院の申されておる趣旨に則つてどものほうでも従来最低制限価格を設けてはならないという態度をとつておるのであります。ところがたまたま札幌管内にそういうことが起つたのでありますが、これは工事長の会計課長又は現場に出ております、駐在しております技官との間にかような措置が講ぜられてしまつたのでございます。その当時の事情を聞きますると、北海道はあのような地方で、業者が非常に少く、指名に際しましても嚴選という程度までとても行かない、数が少いために……、その上に又業者が非常に仕事を取ろうといたしまして、非常に不当に低い値で引受けて、途中で投出すという例がある。例えば官庁以外の例であつたのでありますが、予定価格の半分以下に札を入れたというようなものもあつたということであり、それから又寒冷地でありますために工期を非常に急ぎまして、それで工事を途中で投出されるということを非常に心配いたします結果、工事完成可能の線を考えて、最低線を引いて工事を進める必要があつたのだというのが当事者の弁解であつたのであります。処分といたしましては、只今カニエ委員のおつしやいます通りかような、処分か何かわからないようなことではいけないというお叱りは御尤もと思うのでありますが、当時はまあ無理もない事情があつたと考えたのでございましよう。嚴重な注意を工事長の会計課長及び駐在の技官に與えたのでございます。
  71. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) いろいろ御議論がございましたが、(一三)に関しましてはこの程度で質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それではこれで打切ることにいたします。  次は(一四)から(二八)まで、「職員の不正行為により国に損害を與えたるもの」、これを一括して上程し御審議をお願いしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは(一四)から(二八)まで一括して御審議を願いたいと思います。
  74. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ず概括的な説明検査院のほうからお願いいたしたいと思います。
  75. 大澤實

    説明員(大澤實君) 個々の案件を詳しく申上げますと長くなりますので概括的に申上げますが、大半は検察庁が、罰金とか領置金とかいうものを検察庁に持つて来たのを、検察庁職員が領得したという件が多いのでございまして、而も全体を通じましていわゆる責任のある出納官吏、これの本人が行いましたのは四件程度で、あとは皆その下の補助者が行なつた事件なのであります。そこで、こうした事故の多いのは、結局は出納官吏というものの補助者に対する監督が十分に届いていないのではなかろうか。まあ逆に言いますと、監督のできないような忙しい立場にある人を出納官吏に任命しておるのではなかろうか。どこにこうした事故の出る欠陷があるのであろうかということをいろいろと検査院といたしましても検討しておるのでありますが、まあ結局結論から言いますれば、出納官吏の監督が十分でないのではないか、といいますか、大体これは検察庁会計課長といいますか、庶務課長といいますか、そういう人が出納官吏になつておるのでありますが、検察庁会計とか庶務とかいうお仕事はそれほど朝から晩まで立廻るほど忙しいのではないから、十分な監督ができるのではなかろうか。それはやはり監督の不十分な点が一番大きい原因であろう。それからもう一つは、いわゆる領置金或いは罰金というものを窓口に持つて来ましたときに、すく出納官吏の手に渡るような制度が行われていないのではなかろうか。つまり窓口に事件係といいますか、そうしたところの窓口に持つて来る、それを受取つて向うに受渡す、それを出納官吏に引継ぐのをそのまま引継がずにおる。それでそういう事件が発生する。それでいわゆる罰金とかいうものを徴收するときの手続、これは罰金は検事の納付命令によつてつて来るわけでありますが、それと同時に会計のほうの者もどういう納付命令が出ておるかということを承知して、而も持つて来るときには会計のほうに持つて来て、それを検事のほうに通告して、そうして納付は完了したというような制度に持つてつたならば、この点は軽減できるのではなかろうか。こういうふうに考えておりますが、私自身まだ実は検察庁の内部機構をよく存じませんので、こうした結論は誤つておるかも知れませんが、主任のかたなどともいろいろ意見を聞く必要があるというので聞いておるのでありますが、そうしたことを十分に法務府のほうでも御検討願えればもう少しこうした事件は減るのではないか。こういうふうに考えております。
  76. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 職員による不正によつて国家に損害を與えておるという件は、二十三年度におきましても相当額あり、又二十四年度におきましてもかように出て来る。特に法務府におけるところのかような不正領得というものも前年度もあり、又今年度もある。かようなことでは非常に我々としても遺憾に思う。且つ何とかこれが是正の方途がないのであるかという点に、いろいろ今検査院が言われたような事柄についても検討しておるのでありますが、個々のこういう案件は別として、全体的に見て法務府としては如何なるいわゆる改善の方法を、これらについて行いつつか、又今後如何にしてこれらのものをなくするということについてのお考えを持つておるか。この点について法務府から一つ御説明願いたいと思うのであります。
  77. 天野武一

    政府委員天野武一君) これらの不正事件の出ておることは御指摘の通りでありまして、誠に恐縮に考えるところでございます。事件は検察庁に非常に多いのであります。これは保証金とか、或いは罰金、そういうようなものを横領したり、或いは人から預つておる物を外から行つてつて来る、窃盗、横領とかいうようなものが大部分でありまして、法務局が一つございますが、法務局のはこれは昔からなかなか絶えない例でございますが、すでに貼つてある印紙を剥奪しまして他の書類に貼りまして、その分の現金を取つてしまうという例の方法でございます。刑務所が二つございます。これは横浜と広島でございます。これは日銀に納付を依頼された者が預つた金を使い込んでしまつた。或いは囚人と共謀して作業場の品物を盗んだという例であります。本当の泥坊のようなことをやつておるのであります。そこでかような事件が多い、殊に検察庁において非常に多いということについては、前々から非常に頭を悩ましておりまして、いつも検察官の会議があるたびにこの点はいつも問題になるのでございます。検察庁は御承知の通りの性格の役所でありまして、少しでも非違があると徹底的に追究いたします。従いまして又非常に発覚或いは検挙率が上つておるということも確かに言えると思うのです。この前そういうことがあつた場合に、その者に対する処分は、ここに挙げましたものなどは皆起訴し公判に事件を廻しておりますし、監督官自身、検事正みずから部下を起訴して、自分自身も減給の処分を受けるということで実は処理しております。つまり監督官がみずから率先して責任を負うという態勢をとることによつて引締めるということはどうしても必要だろうということを検察官自身実践しておるのでありますが、大きな監督官庁などの人の目の多いところでは事件は起きませんが、地方の支部とかいうことになりますと、会計検査院が御指摘になりました通りにいろいろどうもその跡が絶えないで、不正行為が起つておるのでございます。これは小さい役所になりますと人の数が非常に少いのでございます。事務を一人の者がいろいろとつております。本来ならば別の人がやるべき、分担してやるべきものを一人の者が兼ねてやつておるというところから、どうしても悪いことをしがちである。人の目が届かないという欠点もありまして、そういう事務の分担ということを考え、人手を殖やすということはとてもできませんから、何か監督官の目の立つような事務の分担を考えようということでいろいろ考えております。すでにいろいろ創意工夫によつて、事故のあつたところは監督官が考え、それを又他の庁に参考として送つたりしておりますが、やはり中央からいろいろ出て参りまして監査を頻繁にするということが一つの防止方法であろうと存じます。ところが中央の監査の費用というものは実は出張旅費を伴うのでありますが、それがないのでありまして、どうしても出先の静岡県管内のことは静岡の地方検察庁に見てもらう、或いは地方検察庁のことは高等検察庁に見てもらう程度の内輪の監査になつてしまつておりまして、どうも十分徹底いたしておりませんので、この点は今年からいろいろ細かく計画をいたしまして、何とか工夫して本部から、殊に大きい所でなく小さい所から先に出て行つていろいろ会計の監督もするし監査もしようというようなことで、すでに実施して措置しております。  それからこの事件を起した人たちの処分でありまするが、これの統計をとつて見ますと、採用後間もない者が殆んどでございます。二十四年度の法務府におきまして、検察庁関係だけでとりまして、懲戒処分に付した者は五十九名でありますが、この五十九名のうち八〇%は採用後三年に至らない。一番多いのは一年から二年という程度の者でありまして、どうしてもこの終戰後非常に人の異動が多うございまして、どんどん外から入つて来る人を受け入れる、或いは民間と官界との人の交流が非常に事務職員に激しかつたというふうなことから、その人が庁の空気にしみていないという結果、監督の目が届かないとすぐそういうことが起りそうな、そういう地方構成を持つておるということが確かに原因として考えられますので、人の問題を考えるということで私はこれを防ぎたいと考えておるのであります。事故があつた場合に処分と責任の追及という点につきましては、これは法務府の性格、検察庁という性格、刑務所という性格からいたしまして、非常に嚴しくやつておるつもりでございます。従いましてむしろ監督官などにかわいそうな人もございますが、それでないととてもその態勢は整わないのじやないかということでやつておりますが、そういう主観的な処分だけでなく、何か機構の上で欠点があろうと思います。それでも何とかして法律を扱う所に不正が多いということがないようにいたしたい、かように念願いたしておる次第でございます。
  78. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) お諮りいたしますが、本日はこの程度で打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは法務府関係のうち(九)の質疑を留保いたしまして、その他の問題は一応質疑を終了いたすことにいたしまして、次回は大蔵省関係に入りたいと思います。次回は大体十三日の火曜日の予定でございますが、確定いたしましたら、いずれ日程は公報によつてお知らせいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後三時二十五分散会