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政府委員(
天野武一君) これらの不正事件の出ておることは御指摘の通りでありまして、誠に恐縮に考えるところでございます。事件は
検察庁に非常に多いのであります。これは保証金とか、或いは罰金、そういうようなものを横領したり、或いは人から預
つておる物を外から行
つて取
つて来る、窃盗、横領とかいうようなものが大
部分でありまして、法務局が一つございますが、法務局のはこれは昔からなかなか絶えない例でございますが、すでに貼
つてある印紙を剥奪しまして他の書類に貼りまして、その分の現金を取
つてしまうという例の方法でございます。
刑務所が二つございます。これは横浜と広島でございます。これは日銀に納付を依頼された者が預
つた金を使い込んでしま
つた。或いは囚人と共謀して
作業場の品物を盗んだという例であります。本当の泥坊のようなことをや
つておるのであります。そこでかような事件が多い、殊に
検察庁において非常に多いということについては、前々から非常に頭を悩ましておりまして、いつも検察官の
会議があるたびにこの点はいつも問題になるのでございます。
検察庁は御承知の通りの性格の役所でありまして、少しでも非違があると徹底的に追究いたします。従いまして又非常に発覚或いは検挙率が上
つておるということも確かに言えると思うのです。この前そういうことがあ
つた場合に、その者に対する処分は、ここに挙げましたものなどは皆起訴し公判に事件を廻しておりますし、監督官自身、検事正みずから部下を起訴して、自分自身も減給の処分を受けるということで実は処理しております。つまり監督官がみずから率先して責任を負うという態勢をとることによ
つて引締めるということはどうしても必要だろうということを検察官自身実践しておるのでありますが、大きな監督官庁などの人の目の多いところでは事件は起きませんが、地方の支部とかいうことになりますと、
会計検査院が御指摘になりました通りにいろいろどうもその跡が絶えないで、不正行為が起
つておるのでございます。これは小さい役所になりますと人の数が非常に少いのでございます。
事務を一人の者がいろいろと
つております。本来ならば別の人がやるべき、分担してやるべきものを一人の者が兼ねてや
つておるというところから、どうしても悪いことをしがちである。人の目が届かないという欠点もありまして、そういう
事務の分担ということを考え、人手を殖やすということはとてもできませんから、何か監督官の目の立つような
事務の分担を考えようということでいろいろ考えております。すでにいろいろ創意工夫によ
つて、事故のあ
つたところは監督官が考え、それを又他の庁に参考として送
つたりしておりますが、やはり
中央からいろいろ出て参りまして監査を頻繁にするということが一つの防止方法であろうと存じます。ところが
中央の監査の費用というものは実は出張旅費を伴うのでありますが、それがないのでありまして、どうしても出先の静岡県管内のことは静岡の地方
検察庁に見てもらう、或いは地方
検察庁のことは高等
検察庁に見てもらう
程度の内輪の監査にな
つてしま
つておりまして、どうも十分徹底いたしておりませんので、この点は今年からいろいろ細かく計画をいたしまして、何とか工夫して本部から、殊に大きい所でなく小さい所から先に出て行
つていろいろ
会計の監督もするし監査もしようというようなことで、すでに実施して
措置しております。
それからこの事件を起した人たちの処分でありまするが、これの統計をと
つて見ますと、採用後間もない者が殆んどでございます。二十四
年度の法務府におきまして、
検察庁関係だけでとりまして、懲戒処分に付した者は五十九名でありますが、この五十九名のうち八〇%は採用後三年に至らない。一番多いのは一年から二年という
程度の者でありまして、どうしてもこの終戰後非常に人の異動が多うございまして、どんどん外から入
つて来る人を受け入れる、或いは民間と官界との人の交流が非常に
事務職員に激しか
つたというふうなことから、その人が庁の空気にしみていないという結果、監督の目が届かないとすぐそういうことが起りそうな、そういう地方構成を持
つておるということが確かに
原因として考えられますので、人の問題を考えるということで私はこれを防ぎたいと考えておるのであります。事故があ
つた場合に処分と責任の追及という点につきましては、これは法務府の性格、
検察庁という性格、
刑務所という性格からいたしまして、非常に嚴しくや
つておるつもりでございます。従いましてむしろ監督官などにかわいそうな人もございますが、それでないととてもその態勢は整わないのじやないかということでや
つておりますが、そういう主観的な処分だけでなく、何か機構の上で欠点があろうと思います。それでも何とかして法律を扱う所に不正が多いということがないようにいたしたい、かように念願いたしておる次第でございます。