○
カニエ邦彦君
只今の
官房長官の御説によると、近時目立
つてそういう不正なり或いは又
会計法上の
違反によるものが殖えたようには思わないというようにまあ申されるのでありますが、併し私
たちが年々
批難の
件数を扱
つて参りますると、非常に目立
つてぐんぐんと殖えて来るのです、
傾向から言いますとね。そこで
官房長官としてはその専門的に、国のいわゆる
税金がどのように使われておるかと、而もその使われた中から一体どれだけの量ほどがその年その年に不正或いは
会計法上の
違反を犯して
国会に
報告されておるかということを、細かく勿論それは御
調査にな
つておるような暇もなかろうとは思いますが、ここで私
たちが年々調べました数字を申上げますと、二十一年度に
会計検査院から
国会に
報告をして来ました不正事実というものは百七十五件であ
つたのであります。それが翌る年の二十二年度には約倍ぐらいになりまして三百八十六件出ておるのです。それから今度二十三年度に参りますと、それが又倍ぐらいにな
つて六百二十三件に上
つておるのですね。そういう
工合に年々倍加して来るのですよ。それで二十三年度に調べたときには、恐らく二十四年度は
終戰後の
社会混乱というものもなくな
つて、だから二十四年度に来れば大体今度は又逆に二十三年度より減
つて来るだろうというような期待を持
つてお
つたのですよ。ところが今度二十四年度が
国会に
書類が提出されて、その
書類を見ますと、唖然として驚いたことには七百五十件という
工合に又今度殖えておるんです。だから二十一年度を見ますと百七十五件であ
つて、二十四年度へ来ますと七百五十件に増加しておる。こういうような始末でありまして、而もその七百五十件を今度大別しまして、一体その
批難金額というものがどれほどに二十四年度の年間において
国家財政にあるかと言いますと、八百十九億七千七百十万五千四百六円という巨額な
批難金額というものが現われておるんです。そこで勿論今
官房長官が申されました、実際において
職員の不正によ
つて国がいわゆるこの
税金から損をしておるというような
金額はこれは十三億一千百三十四万七千四百八十円、それからそのほかに
国損と見られるものが六億円、そうしますと二十四年度の直接
国損とみなされるというものが約二十億はあるんです、二十億くらい。ところがこうい
つた厖大な
状態にな
つて来ますると、これは今の
国家財政の
現状から見ましてどうも捨ておくことのでき得ない重要な問題であるというように我々まあ
考えた次第なんです。そこでこれをこのまま放
つておいたのでは、これは又恐らくは二十五年度の
批難は
相当額に達し得るかのように
考えられるんです。だから何とかこういうことを
未然に防ぐことに対して何とか
政府でもこれは緊急に
考える必要がなかろうか、ただ今までの
会計検査院なり或いはいろいろな
方法で、これは
行政監察委員会とか或いは又各
省庁内において
自己監査等の
制度がありましてや
つてはおるんですが、
現状の
制度の上からや
つて来た結果はかようないわゆる現実を来たして来たわけなんです。そこで我々
委員会として年々
会計検査院や
政府のほうの
自己監査をや
つて参りました
報告だけを聞いて、それをここで
審議しておることを年々繰返してお
つたのでは、何も
国民に対するこんな
厖大ないわゆる
国費の損害を是正するということにはなり得ないように
考え得られるので、お忙しいが、特に
政府を代表されておられる
官房長官の御
出席を
願つて、
質問と言うよりはむしろ
国会が調べて来た結果を申上げて、これを
政府の
施策の上に直ちに
考えることなく反映さしてもらいたい。そうして
国民に対してこんな
厖大な
損失を防がねばならない、こういうことで、その御相談を申上げると言いますか、そういうことで今日は私は来て頂いたと、こう思うんです。それで私が今申上げました八百十九億なんぼというところの
会計検査院の
批難のほかにまだ驚くなかれ
報告は、
大蔵省は
大蔵省で
会計法の第四十六條によりましてその
経理を
監査しておるのです。これは又これで、
大蔵省でその結果相当な
件数の
批難を調べて
国会に
報告しておるんです。それからその
検察庁とか或いは又
警察あたりで、勿論これは
刑法上の問題として摘発されておるものもこのほかにあるかと思うのです。そういうものを総合して合わしますると、実に
国損というのは大きなものにな
つて来るということです。
そこでもう
一つ官房長官に聞いて頂きたいのは、
会計検査院が毎年
検査をやりまして
国会に
報告をして来ております。二十四年度で行きますると七百五十件の
批難事項というものは、これは実際は実状を国税庁或いは又各
省庁に
亘つて休会中に我々が
実地に当
つて現場を調べて見ますると、実際
会計検査院が
報告をしておるのは
抜き検査と言いまして、実際手が足りないもんですから全部に
亘つて調査をしていないように思うんです。これは一応
会計検査院のほうから
実情を
官房長官がおいでになるときにお聞きをすればわかると思うんですが、例えば仮にどうしても国の
経理を十二分に目を行届かすように
検査をしようと思えば、百カ所なら百の所に行かねばならんというのに、実際はその三分の一の三十くらいしかや
つておらんのです。ところがその三十くらいや
つた結果というものが、今言
つたような
批難件数と
批難金額というものがこう現われて来ておるんです。だからこれを完全にやりますと、これは仮定でありますが、はつきり資料がありませんが、大体において三倍であればこれの三倍と見るんですが、三倍としなくてもやはり倍くらいには行くと思うのです、見えておるものが。不幸にして
会計検査院や或いは又
検察庁或いは
大蔵省等の
検査等にかか
つていないものがあると思うんです。そういうものを想像いたしまして合算いたしますると、非常に
厖大な
国損が現に行われておるというように
考えられるんです。そこで
政府としてのお
考えはどうあろうかということをお尋ねする前に、私
たちのや
つて来ました
考え方を言いますと、
自己監査というものは、
行政監察委員会とか或いは各
省庁においての
自己監査がいろいろな
機関で行われておるんです。ところがこれによりますところのその
成果というものは、やらない場合よりはや
つたほうが勿論いいことは、これはわかるんですが、結果におきまして非常に何と言いますか、労の割に功のほうが少いというように感じられるんです。その著しい例といたしましては、今申上げましたように二十四年度のこの
批難の七百五十件の
件数に関して
関係者のその
処分の調書というものは実はこれだけの
厚みのものがあるんです。これだけの
厚みのものがありますが、この中のものというものはこれは殆んど
自己監査によるんです、大多数は。ところが
自己監査でやられますがためにその
処分をされた結果の
報告を見ますと、殆んどが
嚴重なる
注意ということだけで終
つておるんです、大
部分が。特に犯罪を犯して
刑法に問われたような人については、これはもう勿論懲戒とか或いはその他
嚴重な処罰はされておりますが、その他の
行政上の処理をされた分野に対しましては
嚴重なる
注意ということのみで年々来ておるのですね。そこでいつぞか、前
国会でしたか前々
国会かに
官房長官にも一度言
つたことがありますが、
職員のかかる
国家に対する
損失に対する
処分についてかような
処分が毎年行われるようなことであ
つては、少しも官吏が是正をせない。ひどいのになりますと同じことで前年度において
嚴重な
注意を受けた人が、同じ事柄で又
嚴重な
注意を受けていると、こういうような事例がたまに出て参るのであります。だからそういう点から
考えまして、
自己監査の
制度もいいですが、併しながら
自己監査だけではやはり十二分なる
成果を挙げ得るということも非常にむずかしいと、かように思うのです。そこでいろいろ
方法はあるのですが、尤もこういう
会計法上の
違反を犯すということにつきましては、これは
会計職員が
会計法に対して十二分に
知識がないとい
つたような
関係から来るべきものもこれはあるのですね。だから金銭を扱う或いは物件を扱う者に対しては特にそういうことの
知識を普及するための
講習制度であるとか、そういうものも
大蔵省でや
つておられるそうでありますが、そういうことよりも一番ここでいいと
考えられることは、現在のやはり
行政機関とは
別個に存在をしておるところの
会計検査院をもつとこれを
政府がけつを叩いて、そして十二分に国の各
省庁の実施或いは
会計経理の
検査が行届くようにするということがまあまあ一番手取り早い
方法でないか知らんと、こう思われるのです。これは私
たちのまあ今までや
つて来たことから
考えて、そこで
政府のお
考えはどういう
考えであられるかは別といたしまして、かような
考え方からいたしまするならば、今回の、先ほど
官房長官が申されました
行政整理の国の
方針というものは、勿論
国民の負担を軽減すること、それから
行政の
簡素化を
図つて、そうして
国民に複雑な
行政組織をもつと見やすく、たやすくすると、こういうことが主眼であろうかと思うのであります。ところがどうも解せないのは、ただ單に馬鹿の
一つ覚えのように、何でもかんでもどの
機関でも
行政整理だから、国の
施策、
方針だからとい
つて縮めて行くと、こういうやりかたが私はおかしいのじやないか、こう思うのですね。勿論その必要のある所はうんとやらにやならん。ところが減らしてはならないという個所においては
現状、或いは逆に殖やすこともやね、あえて
差支えがないのじやないかという
考えをするのです。これは
官房長官のお
考えは
あとで伺わにやなりませんが、我々の
考えるのはそう
考えておるのです。そこで
会計検査院の場合を聞きますと、
会計検査院の現在や
つておる
仕事のやり方なり量、それから
人員、それから
予算というものを検討をして見ますると、
予算が僅か二億
余りであるそうですがね。ところが二億
余りの
予算を仮に四億と倍にいたしましても、その結果よ
つて出るところの
成果というものは、
国損がここに百億、二百億、三百億という
国損が防げるということになれば、私は
国民に対して二億の、何も
予算を倍加して四億にしてみた
つて一向私は
差支えがないのじにないか。そうすることにおいて、今申上げましたように、来年次からは年々こうい
つた批難が少くなり、そして
国損がどんどんと少くなるという結果になるならば非常に好ましいのじやないか、こういうように我々は
考えているわけんなであります。
そこで非常に長くいろいろなことを申上げましたが、一々揚足を取るように個々の
項目ずつ
質問をするよりは、こうい
つた我々の
考え方をざつくばらんに
一つ申上げて、
政府としてのお
考えですね、特に
官房長官には
閣議等においての
一つ御発言の中で
認識を、
国損に対する最近の
傾向ということの
認識を新たにしてもらい、至急に何とかの手を打
つて頂きたいと、こう思うわけなんですが、
一つ官房長官の
ざつくばらんな、私もざつくばらんに申上げたのでありますから、
一つざつくばらんな御見解を承わりたい。