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1951-11-06 第12回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月六日(火曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月二日委員小笠原二三男君辞任に つき、その補欠として永井純一郎君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事      高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君    委員            大矢半次郎君            西山 龜七君            廣瀬與兵衞君            小林 亦治君            田中  一君            加藤 正人君            有馬 英二君            鬼丸 義齊君            菊田 七平君            石川 清一君            森 八三一君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    内閣官房長官 菅野 義丸君    内閣総理大臣官    房会計課長   斎藤 常勝君    全国選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君    法務総裁官房経    理部長     天野 武一君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局司    計課長     平井 平治君   —————————————    会計検査院事務    総長      綿貫 謹一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君   説明員    宮内庁長官官房    主計課長    遠藤  胖君    法務総裁官房経    理部総務課長  大島鏡三郎君    会計検査院事務    総長官房総務課    長       池田 修藏君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       大澤  實君    最高裁判所事務    総局経理局長  吉田  豊君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) では只今から決算委員会を開会いたします。  本日は公報に記載せられております通り昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算昭和二十四年度政府関係機関收支出決算のうち裁判所総理府、法務府所管の部を議題に供します。只今出席されておりますのは岡崎官房長官でありますが、先ず岡崎官房長官に対する御質疑からお願いいたします。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 審議に入ります前に、前回の委員会において官房長官の御出席がなかつたので、官房長官にお伺いする部分を先に御質問申上げたいと思います。  先ず官房長官に対するお尋ねをいたすのでありますが、会計検査院に対するところのいろいろな所管事項は、勿論これは行政府と離れた機関でありますが、併し人員整理或いは又擴充或いは又機構改廃等に対してどこが所管されるのか、先ずその点を承わりたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) ちよつと私今御質問の要点をつかめないのですが、会計検査院に対する人員整理或いは会計検査院そのもの機構收廃等ということでありますならば、人員整理等会計検査院のほうで考えることであろうと思うのであります。但し政府が先般事務の縮小に伴う人員整理を行いましたのは、国全体の財政の状況からも勘案していたしたのであつて、この際政府のみならず地方におきましても、或いは会計検査院とか国会とか裁判所とかいう独立した機関におきましても、同様の趣旨で考慮してもらいたいということは申しておりますが、そのこと自体会計検査院会計検査院考える、こう思つております。
  5. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで私たち決算委員会が年々会計検査院から批難報告書を送られまして、それによつていろいろ審議をいたして参つておるのでありますが、最近における国の会計経理のほうから来るべき国費濫費というものが非常に甚だしくなつて来たという点については、さように官房長官考えになるでしようか、どういうように考えておられるか。
  6. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 国費濫費という点については、私どもはかなり最近においては注意しておりまして、まあ気の付かない点もあるかも知れませんが、そういうことが非常に改善されたと考えております。ただ国費濫費というのは当らんと思いますが、依然として公務員の中に不正な行為をして、公金を着服したり持逃げしたり、そういう事件は依然として、少くはなつておりますが、あとを絶つているというわけじや無論ないのであります。この方面につきましては特に注意はいたしております。それから例えば最近よく出ておりますように公共事業費等の使い方、若しくは例の天狗橋と申しますか、そういうような事件の起つたこと、これも直接ではないかも知れませんが、国費濫費になるわけであります。こういう点はいろいろ考えまして、行政監査の面であるとか或いは安本のほうで調べるとか、いろいろ調べて、できるだけそういうことのないように努めてはおりますけれども、今のところでは調査機関大蔵省検査する安本検査する、或いは会計検査院もやる、建設省もやる、いろいろの方面でやることが、何と申しますか、現地の者には煩雑に堪えないくらいいろいろ検査をしているけれども、外から行つて検査するのでありますから、ともすれば上面に流れて検査の実は挙らない。が、検査される側から見ると、いろいろな者に入れ替り立ち替り検査されるので、却つて仕事の能率が挙らないということがありますので、例えば会計事務のほうの検査はどこか一つでやる、事務のほうの検査はどこか一つでやるというようにして、こういうふうに重点的にもつと徹底した調査をいたしたいというような考案でいろいろ今考えてはおるのであります。私ども国費濫費というようなことはできるだけなくさなければならんと考えると同時に、使い込みとか着服とか、そういうことも是非抑えて行きたいということで努力はいたしております。併しその実が決して完全に挙つたとまだ威張れるところまで行つておらんことは、これは御推察によるよりほかないと思いますこういう状態であります。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今官房長官の御説によると、近時目立つてそういう不正なり或いは又会計法上の違反によるものが殖えたようには思わないというようにまあ申されるのでありますが、併し私たちが年々批難件数を扱つて参りますると、非常に目立つてぐんぐんと殖えて来るのです、傾向から言いますとね。そこで官房長官としてはその専門的に、国のいわゆる税金がどのように使われておるかと、而もその使われた中から一体どれだけの量ほどがその年その年に不正或いは会計法上の違反を犯して国会報告されておるかということを、細かく勿論それは御調査になつておるような暇もなかろうとは思いますが、ここで私たちが年々調べました数字を申上げますと、二十一年度に会計検査院から国会報告をして来ました不正事実というものは百七十五件であつたのであります。それが翌る年の二十二年度には約倍ぐらいになりまして三百八十六件出ておるのです。それから今度二十三年度に参りますと、それが又倍ぐらいになつて六百二十三件に上つておるのですね。そういう工合に年々倍加して来るのですよ。それで二十三年度に調べたときには、恐らく二十四年度は終戰後社会混乱というものもなくなつて、だから二十四年度に来れば大体今度は又逆に二十三年度より減つて来るだろうというような期待を持つてつたのですよ。ところが今度二十四年度が国会書類が提出されて、その書類を見ますと、唖然として驚いたことには七百五十件という工合に又今度殖えておるんです。だから二十一年度を見ますと百七十五件であつて、二十四年度へ来ますと七百五十件に増加しておる。こういうような始末でありまして、而もその七百五十件を今度大別しまして、一体その批難金額というものがどれほどに二十四年度の年間において国家財政にあるかと言いますと、八百十九億七千七百十万五千四百六円という巨額な批難金額というものが現われておるんです。そこで勿論今官房長官が申されました、実際において職員の不正によつて国がいわゆるこの税金から損をしておるというような金額はこれは十三億一千百三十四万七千四百八十円、それからそのほかに国損と見られるものが六億円、そうしますと二十四年度の直接国損とみなされるというものが約二十億はあるんです、二十億くらい。ところがこういつた厖大状態になつて来ますると、これは今の国家財政現状から見ましてどうも捨ておくことのでき得ない重要な問題であるというように我々まあ考えた次第なんです。そこでこれをこのまま放つておいたのでは、これは又恐らくは二十五年度の批難相当額に達し得るかのように考えられるんです。だから何とかこういうことを未然に防ぐことに対して何とか政府でもこれは緊急に考える必要がなかろうか、ただ今までの会計検査院なり或いはいろいろな方法で、これは行政監察委員会とか或いは又各省庁内において自己監査等制度がありましてやつてはおるんですが、現状制度の上からやつて来た結果はかようないわゆる現実を来たして来たわけなんです。そこで我々委員会として年々会計検査院政府のほうの自己監査をやつて参りました報告だけを聞いて、それをここで審議しておることを年々繰返しておつたのでは、何も国民に対するこんな厖大ないわゆる国費の損害を是正するということにはなり得ないように考え得られるので、お忙しいが、特に政府を代表されておられる官房長官の御出席願つて質問と言うよりはむしろ国会が調べて来た結果を申上げて、これを政府施策の上に直ちに考えることなく反映さしてもらいたい。そうして国民に対してこんな厖大損失を防がねばならない、こういうことで、その御相談を申上げると言いますか、そういうことで今日は私は来て頂いたと、こう思うんです。それで私が今申上げました八百十九億なんぼというところの会計検査院批難のほかにまだ驚くなかれ報告は、大蔵省大蔵省会計法の第四十六條によりましてその経理監査しておるのです。これは又これで、大蔵省でその結果相当な件数批難を調べて国会報告しておるんです。それからその検察庁とか或いは又警察あたりで、勿論これは刑法上の問題として摘発されておるものもこのほかにあるかと思うのです。そういうものを総合して合わしますると、実に国損というのは大きなものになつて来るということです。  そこでもう一つ官房長官に聞いて頂きたいのは、会計検査院が毎年検査をやりまして国会報告をして来ております。二十四年度で行きますると七百五十件の批難事項というものは、これは実際は実状を国税庁或いは又各省庁亘つて休会中に我々が実地に当つて現場を調べて見ますると、実際会計検査院報告をしておるのは抜き検査と言いまして、実際手が足りないもんですから全部に亘つて調査をしていないように思うんです。これは一応会計検査院のほうから実情官房長官がおいでになるときにお聞きをすればわかると思うんですが、例えば仮にどうしても国の経理を十二分に目を行届かすように検査をしようと思えば、百カ所なら百の所に行かねばならんというのに、実際はその三分の一の三十くらいしかやつておらんのです。ところがその三十くらいやつた結果というものが、今言つたような批難件数批難金額というものがこう現われて来ておるんです。だからこれを完全にやりますと、これは仮定でありますが、はつきり資料がありませんが、大体において三倍であればこれの三倍と見るんですが、三倍としなくてもやはり倍くらいには行くと思うのです、見えておるものが。不幸にして会計検査院や或いは又検察庁或いは大蔵省等検査等にかかつていないものがあると思うんです。そういうものを想像いたしまして合算いたしますると、非常に厖大国損が現に行われておるというように考えられるんです。そこで政府としてのお考えはどうあろうかということをお尋ねする前に、私たちのやつて来ました考え方を言いますと、自己監査というものは、行政監察委員会とか或いは各省庁においての自己監査がいろいろな機関で行われておるんです。ところがこれによりますところのその成果というものは、やらない場合よりはやつたほうが勿論いいことは、これはわかるんですが、結果におきまして非常に何と言いますか、労の割に功のほうが少いというように感じられるんです。その著しい例といたしましては、今申上げましたように二十四年度のこの批難の七百五十件の件数に関して関係者のその処分の調書というものは実はこれだけの厚みのものがあるんです。これだけの厚みのものがありますが、この中のものというものはこれは殆んど自己監査によるんです、大多数は。ところが自己監査でやられますがためにその処分をされた結果の報告を見ますと、殆んどが嚴重なる注意ということだけで終つておるんです、大部分が。特に犯罪を犯して刑法に問われたような人については、これはもう勿論懲戒とか或いはその他嚴重な処罰はされておりますが、その他の行政上の処理をされた分野に対しましては嚴重なる注意ということのみで年々来ておるのですね。そこでいつぞか、前国会でしたか前々国会かに官房長官にも一度言つたことがありますが、職員のかかる国家に対する損失に対する処分についてかような処分が毎年行われるようなことであつては、少しも官吏が是正をせない。ひどいのになりますと同じことで前年度において嚴重注意を受けた人が、同じ事柄で又嚴重注意を受けていると、こういうような事例がたまに出て参るのであります。だからそういう点から考えまして、自己監査制度もいいですが、併しながら自己監査だけではやはり十二分なる成果を挙げ得るということも非常にむずかしいと、かように思うのです。そこでいろいろ方法はあるのですが、尤もこういう会計法上の違反を犯すということにつきましては、これは会計職員会計法に対して十二分に知識がないといつたような関係から来るべきものもこれはあるのですね。だから金銭を扱う或いは物件を扱う者に対しては特にそういうことの知識を普及するための講習制度であるとか、そういうものも大蔵省でやつておられるそうでありますが、そういうことよりも一番ここでいいと考えられることは、現在のやはり行政機関とは別個に存在をしておるところの会計検査院をもつとこれを政府がけつを叩いて、そして十二分に国の各省庁の実施或いは会計経理検査が行届くようにするということがまあまあ一番手取り早い方法でないか知らんと、こう思われるのです。これは私たちのまあ今までやつて来たことから考えて、そこで政府のお考えはどういう考えであられるかは別といたしまして、かような考え方からいたしまするならば、今回の、先ほど官房長官が申されました行政整理の国の方針というものは、勿論国民の負担を軽減すること、それから行政簡素化図つて、そうして国民に複雑な行政組織をもつと見やすく、たやすくすると、こういうことが主眼であろうかと思うのであります。ところがどうも解せないのは、ただ單に馬鹿の一つ覚えのように、何でもかんでもどの機関でも行政整理だから、国の施策方針だからといつて縮めて行くと、こういうやりかたが私はおかしいのじやないか、こう思うのですね。勿論その必要のある所はうんとやらにやならん。ところが減らしてはならないという個所においては現状、或いは逆に殖やすこともやね、あえて差支えがないのじやないかという考えをするのです。これは官房長官のお考えあとで伺わにやなりませんが、我々の考えるのはそう考えておるのです。そこで会計検査院の場合を聞きますと、会計検査院の現在やつておる仕事のやり方なり量、それから人員、それから予算というものを検討をして見ますると、予算が僅か二億余りであるそうですがね。ところが二億余り予算を仮に四億と倍にいたしましても、その結果よつて出るところの成果というものは、国損がここに百億、二百億、三百億という国損が防げるということになれば、私は国民に対して二億の、何も予算を倍加して四億にしてみたつて一向私は差支えがないのじにないか。そうすることにおいて、今申上げましたように、来年次からは年々こういつた批難が少くなり、そして国損がどんどんと少くなるという結果になるならば非常に好ましいのじやないか、こういうように我々は考えているわけんなであります。  そこで非常に長くいろいろなことを申上げましたが、一々揚足を取るように個々の項目ずつ質問をするよりは、こういつた我々の考え方をざつくばらんに一つ申上げて、政府としてのお考えですね、特に官房長官には閣議等においての一つ御発言の中で認識を、国損に対する最近の傾向ということの認識を新たにしてもらい、至急に何とかの手を打つて頂きたいと、こう思うわけなんですが、一つ官房長官ざつくばらんな、私もざつくばらんに申上げたのでありますから、一つざつくばらんな御見解を承わりたい。
  8. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 大変有益な御意見で非常に恐縮いたしました。実はいちいち項目についてお答えするよりも、一般的に申上げたほうがいいと思いますが、吉田総理もこの国費濫費と言いますか、これについては特に気にしておりまして、機会あるごとに監査嚴重にしなければならんということを始終言つておるわけです。我々のほうでもいろいろ総理の意も体しまして、或るときは特別の機関を設け、或るときは今までの報告を徴してちやんとやつているかどうかを調べるというようなことをやつております。例えば公共事業については総理の特別の希望で公共事業監査委員会というのを作りまして、これに一つ各地公共事業実地に当つてもらつて会計がうまく行つているか、金が無駄に使われていないかどうかということを専門家に見てもらおうといつてお願いしたこともあるのですが、不幸にしてその専門家としてお願いをした人たちは、会計検査をするほうは苦手だから技術上のことだけをやりたいということで目的は十分達しなかつた、そういうような例もありました。今でもそういうふうに考えておりまして、実はこれも率直に申しますと、気は焦つておるのですが、実はこれはという名案はないのです。若し何かこれをやつたらいいというお考え、例えば会計検査院お話が出ましたが、お考えがあれば、これはもう淡白に頂載して、これを十分研究して見たい、こう思つているのです、会計検査院お話ですが、会計検査院の今までのあり方は、現状は十分……これは極端なんですが、そうでなくつても、例えばもつと人員を充実するとかやり方を変えるとかしましても、官庁で行なつた会計の終了したのを待つてそれを検査して行くのでありまして、ですから不正を摘発することはできるけれども、不正を未然に防ぐには今の会計検査院では十分これは……無論できるのですが、十分とは行かないのじやないかという気がいたしております。例えば今でも二年前のものを出して来られるということになります。これは早くやつても、未然に防ぐというときには仕事をやつているときに行かなければならんのですから、これには何とかもつと簡單で実効の挙る方法がありはせんかというので考えたのです。一つの案は、例えば特別調達庁に設けて今もありますが、名前は何と言いましたか、特別に検査官のような者を設けまして、これは特別調達庁の中にはいるけれども、全然別個の、例えば政府機関の中でも会計検査院というものは別個のもので、それでどこへでも、各部局へ行つて帳簿を調べて抜打ちに検査をやるというような人間を作つております。やつて見ましてから、まだやり立てで、そう長くなりませんから、どのくらい実効が挙るかわかりませんけれども、これも或る程度はよさそうにも思いますけれども、やはりどうも今度は皆敬遠されてしまつて思うように検査ができないということもあるらしいのです。それから会計検査院人員の問題につきましては、こういうどうも今度の事務整理に伴う人員整理ということにつきましても、必要な所をむやみに減らすということではないのでありまして、必要があれば殖やしてもよろしいという趣旨で行つておりますから、現に今度定員法が出ればおわかりになると思いますが、外務省のごときは今度は海外とのいろいろな交渉もありますので、これは殖やさなければならない、減し得る所は減すけれども、別に殖やす所もある。それで現在の定員としては殖えることになると思います。会計検査院の内部でも、例えば人事院との関係上、人事については非常に複雑な報告をしたり許可を得たり、承認を得たりしなければいかん事項があります。会計検査院自体会計事務につきましては大蔵省との関係報告したり書類を作つたりいろいろあります。こういう所は今度人事院にも話をし大蔵省にも話をしまして、手続きをかなり簡素化したわけであります。そうすると一般にはその方面の人については最小限度五分ぐらいは減らせるだろうということになつております。この分などは会計検査院実体には影響しない、間接に多少あるかも知れませんけれども、とにかく実体には影響しない、実際にそういう大蔵省人事院等事務がやさしくなつたので人がそれだけ要らなくなる、こういうような点もありますので、我我としては会計検査院実情はむしろ人間が足りないほうだろうと思つております。思つておりますが、全体の財政の規模から考えまして、会計検査院だけをどんどん殖すというわけにも行きませんからして、何か特に若しあなたのおつしやるようにこれで以て国費損失が相当減るという見込のつく案ができますれば、それに要する人間を殖すことには勿論やぶさかではないのです。我々のほうも全く今おつしやつたような税金が無駄に使われるというようなことに対しては国民にも申訳ないし、又政府としてもだらしのないことであります。何とかしてこれを防ぎたいということは率直に我々認めておりますから、若し完全な案でなくても、こう行つたらいいというような思い付きでもおありのかたは教えて頂くと非常に参考になると考えております。大体我々の考えていることはそういうことであります。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでですね、今申されました会計検査院をやはり擴充強化をしたほうがいいのじやないかと、それはそれだけがいいとは申上げないのですがそのほうが一番差詰め手取り早い方法じやないかということが思われますのはですね、今申上げました七百五十件の批難、全額八百十九億何がしというところの厖大な金の中から、税金で言いますなれば当然これは取るべきはずのものでないかということを指摘されて、さようでございます、それじや取りますと言つて取る。或いは又今度支拂うほうでは、それは君、これは不必要に拂い過ぎているのではないかということを指摘されて、いや尤もでございますと言つてそれを是正して、拂い過ぎを直しておるというような是正された金額というものが、二十四年度において十九億一千九百五十一万五千五百十二円というものがやつぱり是正されているのですね、是正されているのです。ところがこの是正されておるというのは、仮にこの会計検査院検査が全然こういう制度がなくてですね、ただ自己監査だけでやつておりますということになりますと、ここで十九億、二十億近いものがやはりそのままに流れてしまうのですね、そのままになつちやうのですよ。そこで片一方会計検査院のやつておる仕事の内容なり行届き方をですね、嚴重我我が地元に対して当つて調査をして見ますと、先ほども申上げました通り大体において三分の一くらいしか行つていないのです。実際はあとは行かずに放つたらかしているのですよ。会計検査院は私から言わせればけしからんと思う。いい加減に放つたらかしておいて、三分の一行つただけの成果が今申上げますように是正されたものが十九億ほどあるのです。だから私はこれは十九億だけだが、これが全般に行き亘りますと、恐らく是正される金というものはやはり五十億程度ぐらいまでは二十四年度にも出て来るのではないかと、こう思うのです。五十億程度は……そうしますとですね、仮に国の予算が非常に窮窟であつたといつたしましても、二億の元入れを、極端に言いますと、商売人のようなことを言いますが、二億の元を入れてそうして二十億儲けるやつが、今度は四億の元を入れてですね、五十億助かるということになつて来れば、私はそのほうが国民に対していいのじやないかと、こう思われるのですね。今言われますように最もまあ一番二十二年度でこの委員会でやかましく調べられたものはやはり終戰処理費であつたのです。終戰処理費がやかましく調べられた結果、特別調達庁にそういう自已監査のような、行政機関とは全く離れたようなものをこしらえられたという官房長官の今のお話でありますが、私はまあそれも一つの手としては必要な手だろうと思うのです。併しながらやはりその行政機関とは独立しておりますところの会計検査院機関擴充強化をしてですね、やるということのほうが一番ですね。仮に明年度なら明年度予算で殖やして、そして一つ会計検査院のけつを叩いてしつかれやれと、そうして成るべく未然に防げと、こういうことのほうが成果が挙るのじやないかとこう思うのです。それからもう一つ官房長官が申されました中に、やつたことを批難して結果を探り出すということよりも、未然に防ぐことのほうがと言われたことですが、これは最も一番重要なことだろうと思うのです、その点は。ところがですね、会計検査院のやつておりまする仕事というものは、勿論そのやつた会計経理検査するということもありますが、現在行われつつあるところのいわゆる経理なり工事なりの状況に対して支拂われる金を検査すると、今のことを検査すると、これが、最も重要になされればその点は解消して来るのじやなかろうかと、こう思うのです。ところが一例を申上げますと、最近非常に海上保安庁の汚職事件でやかましく言われておつたので、海上保安庁の実情を調べて見ますると、実際燈台なら燈台、二十五年度あたりは燈台の建設費用が割に国の費用として多く使われておるのですが、燈台の場合で申しますると、建設費の大部分のものは基礎工事にあるらしいのです。だから地の下、燈台の土台の地の中に埋まつておるところの部分に金を相当食う、そこで工事を仮にその下にどれだけの厚みのコンクリートを、どれだけの高さのものにするのであるという仕様書があつて、それに基いて請負業者がやるのでありますが、併しながらそれを往々にしてその企画通りにやらずに、半分くらいの金で工事人が仕上げてしまつて、そうしてあとを儲けておるというような事例がやはりたくさんあるのです。そこで会計検査院が若しも手がありますと工事をやつております中途において行くことができるのです。そうすると工事をやつております中途に行つて検査をすればそういうことはなくなるのです。ところが手が足りないために勢い工事をやつてしまつた後から行つて検査をするために、実際それが本当であるかないかということは土を掘り返して見なければわからない。こういうことで誠に困つておる。こういうようなことを検査に行つて現場員から聞いたのでありますが、これは單なる一部分の中の又一部分の事例に過ぎないのでありますが、さように考えて見ますると、やはり私は少くとも一つ政府のお考えとして、会計検査院擴充強化いたしまして、そうして官房長官が先ほど何かで言われました技術家の専門家、そういう者を、会計検査院の中にも専門家はおりますが、もつと擴充強化してやつて、建築なら建築の専門家を三名でも五名でも殖やしてやつて、そうしてそういう機関をしてやはり検査せしめる。そうして第一番に未然に防ぐということを主力にやる。そうして会計検査院本来の会計検査ということをやらしめるというようなことになれば非常に私は減るのではないか、こういうようにまあ実は考えておるので、これは官房長官並びに大蔵省に、来年度予算で非常に国家財源の乏しいとき二億、三億と言いますと、これは国民に対して大きな金であろうと思いますが、私たち会計批難事項検査して参りました上から見ますと、二億、三億という金が実に無駄に湯水のように流されているのです、実際は……。だからそういう金が予算の中に織り込まれて、それが殆んど水のように流れておる金があるのですから、どこからか一つ絞り出してそうして一応やつて見られたらどういう結果が出てくるか、そうして一年なり二年なりやつて行くなれば、何もこれでやつて見ていかんければ、二億なら二億殖やした予算を又それは削られても私は一向差支えないと思うのですが、先ず先ず我々が考えて参りました結果は、さような方法一つ政府に進言申上げて、御採用になるかならんかはわかりませんが、一つ十二分に御検討の上施策のほうに反映されたなれば、必ずや私の考えでは二十五年度は今現在やつておりますが、二十六年度、七年度の予算は非常に少くなるのじやないか、かようなまあ考えを持つ次第でありますが、まあ一つその点について官房長官の簡單な一つ御答弁を願いたいと思います。
  10. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) お話の点はよく了解しました。そこで只今ここですぐにどうするということを申上げられませんが、会計検査院のほうの係の人とよく相談しまして、どういうことになるか、早速調べてみたいと思います。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから最後にお願いを特にしておくのですが、官房長官からこういう委員会一つ空気というものを、機会がありましようから閣議等におきまして一応御発言下さいまして、そうして何とかこういつた年々数字から見ても件数から見ても倍々に上つているので、非常に参議院の決算委員会としては事態の重大さに関心を持つて、こういうような意見も言つてつたがということを政府部内に反映を是非一つさして頂きたいと、こう思います。
  12. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) では官房長官は二時半から衆議院の本会議に出席されるはずになつておりますので……。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで簡單に。会計検査院が来ていると思いますから…。
  14. 長谷山行毅

  15. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) じや退席してよろしうございますか。
  16. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) ええ。……御質疑の途中でありまするが、今大蔵省の平井司計課長から臨時軍事費の経理について発言を求められておりますので、これを許可することにして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 御異議ないと認めます。  先ずこの問題につきまして森専門員から一応説明をいたさせます。
  18. 森莊三郎

    ○専門員(森莊三郎君) 只今大蔵省関係政府委員のかたら御説明になろうといたします事柄は、従来のいきさつを一応申上げませんと、突然のことでおわかりにくかろうかとも思いますので、極めて簡單に従来の経過を申上げます。  もと臨時軍事費の特別会計というものがありまして、それは戰争終了後ほどなく打切りになりました。そのあとの始末が残つておりまするので、それについては昭和二十一年の勅令第百十号というものがありまして、毎年その歳入歳出は一般会計の中に繰入れて整理すべきものであるというふうに規定されておるのであります。ところがそういうふうに文字通りやりますると多少工合の悪い点が出ますので、政府はこれを一般会計決算から一応切り離しまして、すぐそれにくつつけて附記する、附加えて記すというような方法をとつておられるのであります。その方法は悪いというわけじやありませんけれども、とにかく勅令の規定に違反しておるものでありまするので、決算委員会といたしましては昭和二十一年度の決算の審査報告においてもこれが勅令違反であるということについて警告をいたして置きました。それから二十二年度の決算報告の場合にも同じことを警告いたしまして、政府は重ねて勅令違反の行為を繰返さないように嚴重注意すべきである。若しも勅令の規定が実地の運用に工合が悪いならば先ず勅令のほうを改正するのが至当であつて、勅令をも改正せずにおいて、わざと勅令違反の行為を繰返しておるのは甚だ適当でないということを内閣に向つて委員会から意思表示がされておるのであります。そういう経緯で参りましたものを、この際政府におきましては何らかのあと始末を適当につけて、参議院の意思表示に副うようにいたしたいという御意向と私は存じております。その点について実は只今政務次官の西川さんから御説明になる御予定になつておりましたけれども、衆議院の本会議の関係がありまして、只今御退席になりましたので、平井課長から代つて御説明になることと存じます。
  19. 平井平治

    政府委員(平井平治君) 只今お話がございました通りもと臨時軍事費特別会計所属の歳入歳出を当時の勅令によりまして、一般会計に繰入れて整理するということになつておりましたのですが、実際問題といたしますというと、もと臨時軍事費特別会計系統の赤字が只今約二百億円、そのほか戰時未整理のものが約二十億円、そのほか戰地におきまして軍事郵便所で貯金を預りまして内地に送つたものがこちらに来ておるかどうか判明しないものが二十数億円、その他判明いたさないものがあちらこちらにございまして、只今のところこれを一般会計に直ちに合算経理するということが非常にむずかしいのでございまして、只今お話がある通り決算のほうに附記しておつたのでございます。ところがそれは勅令違反だという当委員会からのしばしばの御注意を頂きまして、これにつきましてはその後関係方両に交渉を要する事項でありますので、関係方面にしばしば交渉いたしておつたのであります。ところが関係方面の担当官がたびたび交替いたしまして話がなかなか進行いたさなかつたのであります。そうしてだんだん遅れまして今日に至つたことは誠に申訳ない次第でありますが、今回ポツダム政令関係整理をいたすことになりましたので、この際これを合法化することといたしまして、大体成案を得ましたのでこの国会にその法律案を提出いたしまして御審議を願うことになつております。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸法令の改廃に関する法律案、こういうものを提出する予定でございます。その中で臨時軍事費特別会計の終結に関する件、只今お話のありましたもとの政令でございますが、これを廃止することにいたしまして、同時に当分の間旧臨時軍事費特別会計所属の歳入金又は歳出金を大体従来のまま据置くことに規定を設けまして、そういうふうに当分の間処理いたして行かざるを得ないということに相成つております。
  20. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 只今の件について何か御質疑がありますか。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ちよつと今の件で私が聞き方が悪かつたかもわからんですが、当分の間据置くということにせなければならないということの理由は一体どういうような点でございますか。大きな要点は……。
  22. 平井平治

    政府委員(平井平治君) お答えいたします。このもと臨時軍事費特別会計の歳入歳出系統でございますが、これに赤字が約二百億円ございます。これを一般会計に繰入れますというとそれだけ一般会計で赤字公債を出すか、さもなければほかの歳出を切るかしないというと整理ができないわけでございます。ところがそれだけではございませんので、日本銀行に戰時未整理勘定というものがございまして、それはだんだん減つて来ておりまするが、只今まだ二十億円ございます。これは戰争当時日本銀行に金がございましたのですが、それがどこの会計に属するものか、或いは歳入のものか歳出のほうのものかわからないといつた金が約二十億円ございます。そのほかに戰地で郵便貯金を預りまして内地のほうに送つたという金で、こちらへ届いているかおらんか、或いは届いておつても戰時未整理勘定の中に入つているかも知れません。そういつた証憑書類となる書類がございませんのでわからないものが約五十億円くらいございます。そのほか外地銀行で決済したもので不明になつているものもまだ相当ございますので、それから朝鮮、台湾、関東州、樺太等の外地の特別会計決算只今まだできずに、終戰当時のものが決算できずにございますので、それと一般会計とのからみ、そういうものがありまして、今直ちにこれを一般会計に繰入れて決算してしまうということが技術的にも実際的にもむずかしいのであります。そういうことで別経理にいたしておくほうが工合がよろしい、こういうことに相成つているわけでございます。
  23. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますとそれを何年くらいその状態でおいておくと整理がつくことになるんですか。
  24. 平井平治

    政府委員(平井平治君) お答えいたします。これは平和会議が済みまして、現地におきまして司令部のほうに証憑書類を、司令部と申しますか、現地の連合軍のほうに証憑書類を相当提出してございますので、これらがこの平和会議が済みまして、それらの資料が見せて頂くようになりますことを期待しております。そのほか只今でも当時の外地に勤務しておつた人たちのだんだん資料を集めまして、何とかしてこの外地の決算、それから臨時の決算を一緒にいたしたいと、かように考えておるのでありまして、只今何年度に決算ができるかということは申述べられませんが、これはやつぱり平和会議が済んで、少くとも二、三年のうちには何とかしなければならない、かように考えております。
  25. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) では総括質疑を続けたいと存じますが、ほかに御質疑はございませんですか。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで大蔵大臣か次官かお見えになつてつたようですが、委員大蔵省からどなたか見えておりますか、責任者……。
  27. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 西川政務次官がお見えになつておりましたが、今衆議院の本会議のほうで呼ばれまして、それに出席しましたので、只今のところでは平井司計課長だけが御出席になつております。
  28. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは平司計課長で。今官房長官に我々が言つてつた趣旨は、大蔵省として予算の面でありますが、会計検査院擴充強化に要するところの費用の二億や三億を増加して見ても、それによつて国損が二百億なり三百億なり防げるという結果になり得れば、他の予算を多少削つてもそうすべきでないかというように考えておるのでありますが、それを大蔵省の意見として、司計課長が代表して御答弁を願えるかどうかということと、願えるならば大蔵省を代表した意見を一つ述べて頂きたい、こう思うのであります。
  29. 平井平治

    政府委員(平井平治君) この前の当委員会におきましても東條次長がお答えした通りでございまして、私責任を以て御答弁いたしかねるのであります。
  30. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこの点については後日又委員会の続行中に大蔵大臣の御出席を求めて明らかにしたいと思います。  重ねて会計検査院のほうに、これはお尋ねをするというよりも、むしろ今官房長官委員会として又我々としての過去においてやつて来た結果から見ての意見を述べておいたのでありますが、官房長官の言われるのには、それは会計検査院とよく一つ懇談をしてみて、でき得れば善処をする、こういうように申されておるのでありますが、会計検査院として積極的に擴充強化をして、そうして国民に対して国損のいわゆる防止と、そうして会計経理の健全化ということに対してなされる御意思があるかどうかということ、それから擴充強化をすれば今私が述べたような線でもつと効果が挙り得ると思われるかどうか、自信があるかどうか、こういうことについて会計検査院長或いは会計検査院を代表してどなたからでも御答弁をして頂きたいと思います。
  31. 綿貫謹一

    説明員(綿貫謹一君) 只今の御質問でございますが、いろいろ検査院に対して非常に御同情のある御意見を拝聽いたしまして、我々としては非常に喜んでおります。お話のように私ども会計検査院職員といたしましては、只今十分な検査が行届いておるとは考えておりません。カニエ議員のお話の点もございます通り全くの抜き検査であり、ざつと申しますと今年度実施いたしました災害補助工事が建設省関係で推定四万個所くらいございます。その実地検査を、現場を見ましたのがうち三千そこそこでございます。それでも相当のつまり補助超過と見られる部分等もございます。又各経理をやつておる者についても相当全国で金額ははつきりまだ固つておりませんが、約四億くらいあるのじやないかというふうに見ております。従いましてこれは人員が充実いたしますれば、相当の効果が挙るのじやないかというふうに考えております。併しながら御承知のように検査でございまして、人間を倍にすればすぐその日から倍の能力が出るかと申しますると、どうもそういうわけにはちよつと参りませんわけでございます。いろいろ御意見もございまして何でありまするが、二十一年以来年々検査報告件数が殖えておるということも、だんだん我々としては、二十二年度に定員を増加いたしまして現在の千二百名になつたのでございまするが、その間非常に職員の養成、訓練をいたしまして、最近順次軌道に乗りつつあり、その結果検査のやり方もだんだん徹底して来た。つまり現在ある人間の能力を相当効率的に発揮し得る状態になりつつある、こういう状態でございまして、予算を殖やして人間を倍にしたから明日からすぐ能力が出るかと申しますると、その点については我々としてもすぐにそうなるということをここで申上げかねると思います。併しながらこれを年を逐うて幾らかずつでも増員いたしまして、順次訓練いたして参りますれば、相当の効果が挙るであろうということは申上げ得ると考えております。只今二十二年以来増員になりました者がやつと軌道に乘りつつあるということでありまするので、一遍に殖やして頂いてもこれは到底今すぐに効果を挙げるということはちよつと確たる御返事はできないと信じておりまするが、順次やはり程度のいいと申しますか、つまり質のいい職員を得ますれば相当の効果があるものと、かように考えておる次第でございます。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 重ねて積極的に政府と話合いをして、資料等を出して、そして話合いをして逐次擴充強化をし、一日も早く国費濫費を防ぎ、そうして経理の正常化ということに努力されるようにせられんことを希望いたします。
  33. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) それではほかに線括的な御質疑はないようでありまするので、総括的御質疑はこれを以て打切りまして、各省所管別の質疑に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 御異議ないと認めます。  それでは本日は先ず裁判所総理府、法務府、につき審議を行います。重点的に審議するという申合せによりまして、先ず専門員をして批難事項の重点なものにつきまして簡單に説明いたさせます。
  35. 森莊三郎

    ○専門員(森莊三郎君) 先ず最初は裁判所でありますが、これはただここに二件、職員の不正行為に因り国に損害を与えたものとありまするが、別段変つた問題ではなかろうかと思つております。  その次に総理府の三号と四号、やはり職員の不正行為に因り国に損害を与えたものと出ておりまするが、これも特に取立てる内容を持つたものとは思われないのであります。従いまして重きを置いて頂きまするのは第三の法務府、それの五番と六番でありまするが、問題は登録税をかけるに当りまして船の評価が低きに失するという会計検査院批難が出ておるのであります。これに対する当局からの答弁といしましては、海運局などから資料を得て、適正な価格の認定に注意をしておるというふうに答えられてあります。でこれにつきまして果してこの問題をどういうふうに見たらよいのであろうか、実は各地方の法務局におきまして統一的に課税の標準は決定されておらないのであります。おのおの別々に調べておられます。従つて例えば東京と神戸とを比べますると、どちらが高いとかどちらが安いとかというような点もあるのであります。それから又考えなければならないことは、余りこの税が重過ぎては、海運政策という観点から問題が起るのではあるまいか、或いは税率が高過ぎるかどうとか、船の値を安く見ておいて或る税率をかける、それとももつと税率のほうは低くしても般の値は正当な値をそこへ持出さなければいけないというような問題も起つて来るのだろうと思います。根本的な問題がここに取上げられているのでございます。なおこれにつきましては同様の問題が二十一年度及び二十二年度にも問題が起つてつたことがあるのであります。  その次の七番というのは、別段取立てて申上げるほどのことはないかと思いまするが、次の八番、これは検察庁におきまして、全国数十カ所でありまするが、庁舎とか分室などの名義で新築をした或いは増築をした。とにかく予算の目的外に経費を使つたわけでありまするが、その検査院からの批難に対して当局では、これは検察事務に必要な施設であるというふうに答えられております。併し検査院の報告によりますれば、実際は職員の住宅に当てておるのだということでありまするが、果してそれはどちらが本当なのであろうか、本日この席で法務府から配付されました昭和二十四年度決算説明書の六枚目の裏のほうを見ますると七行目の所からでありますが、かような計画の下に新設された特別調室は各種被疑事件関係人、知名人多数の取調に各検察庁とも寧日なき有様でありますというような工合に、なお一層強く説明を加えられておりまするが、果してその通りであるかどうか、会計検査院のほうのお調べを伺つたらどうかと思います。それからこれも偶然かくのごとき行為が行われたのならばとにかくでありまするが、そもそも当初からの計画であるとしますれば、予算制度を紊つておるという点においては單に末端の係員だけが注意処分を受けるというようなことでよいのかどうだろうかという点も一つは問題になるのではあるまいかと思います。  それからその次に九番であります。これは二十三年度に予算の不足のままで笠松女子職業学園、実は女の囚人を收容する場所でありますが、その工事を行いまして足りなかつた金額を二十四年度に笠松刑務所の工事費で支弁をしたという事件でありますが、検査院は全体としてのその行為が悪いことは勿論であるが、最後にその総額の五十余万円の使い途が不明だと言われてあります。これに対して当局からの答えでは、雑工事の費用及び支拂の遅延による單価増などに使用したと弁明しておられる事件があります。なおこれに関する処分調書を見ますると、笠松の刑務所関係者だけが注意処分を受けておりますが、本省の経理官は全然関係がないのかどうか、本省からの指図でこういうふうなことができたのではないのかということが一つの問題かと思われます。  次の十番、十一番、十二番は特に内容的に問題があろうとは思われませんが、十三番につきましてはこれも事柄自体は單純な事柄でありますが、その政府からの説明書をよりますると、再三本省からは指示をしたにもかかわらず、こんなことを重ねてやつて申訳がないというふうにありまするが、再三本省からの指示があるにもかかわらず、出先でこういうことを繰返し繰返しやつておるというような場合に、單純な注意処分でよいかどうかということもちよつと感ぜられまするので、それをも御参考に申上げたわけであります。  それから十四番から二十八番までは職員の不正行為に因り国に損害を与えたものとたくさん並べてありまするが、これもただ事件がこういう悪い好ましくないことが行われたということでありまして、特に時間をかけて内容を一々詮議するまでのことはあるまいかと思われるのでございます。  以上簡單に申上げました。
  36. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) では裁判所の分について何か御質疑がありませんですか。
  37. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 一、二は職員の不正行為に因り国に損害を与えたもので、恐らくこれは処分もされ、相当その後の措置も行われておるものであろうと思われます。三、四も同じような事柄であろうと思います。それから五、六でありまするが五、六について一応会計検査院のほうから御説明を願いたいと思います。
  38. 大澤實

    説明員(大澤實君) 只今のカニエ委員の御質疑の五、六は、つまり登録税のことと思われますので御説明申上げたいと思います。ここに掲げましたのは東京と神戸の法務局の船舶の登録税の問題でありますが、従来登録税というのは御承知の通り船舶なら船舶の価格に対しての五%とか、パーセンテージによつて賦課して行く、その元になる価格というものは飽くまでもその船舶の価格、つまりそのものの時価でなければならない、こう検査院としては考えているのでありますが、実際の賦課状況の課税標準価格を見ますると、それが非常に低いということで二十一年度以降検査報告に数回掲載したわけであります。これもその一例でありまして、船舶の、これは鋼船でありますが、それのトン当り価格がここに書いてありますように一万円からまあ二万円程度である。実際の建造価格はどれくらいかといつて調べて見ますると、これがなかなか建造価格を調べる資料が手に入りがたいのでいろいろ苦心したのでありまするが、ここに掲げましたのはたまたま船舶公団が建造いたしまして、そして船主と共有契約を結ぶ、そのときの共有のときの価格、つまりそれまでの建造価格でありますが、それが一つのデータとしてありましたので、それを見ますると、ここに書いてありますように少くとも三万六千円から多いのは九万円ぐらいになる。こういうように平均しましても六、七万円に当時においてもなつておる。これを二万円程度のトン当りの課税標準価格とするのは何分にも低過ぎるのではなかろうか、こういう感じを持ちまして検査報告に掲げた次第でございます。尤もいろいろな船舶に対しまして登録税を賦課されるのでありますから、必ずしもここに掲げましたように船舶公団の実際の建造価格そのものを絶えず把握される、これは船舶公団の例でありますが、そのほかの船におきましても実際の建造価格をその都度把握されるということは或いは困難かと思われますが、趨勢といたしまして今日の新造船ならばトン当りどのくらいだということは相当な推察がつくはずであります。余りにも低過ぎるという見地からここに掲げてある次第であります。
  39. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) これに対しまして政府のほうから御答弁願いたいと思います。
  40. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 登記所におきましては、船舶の価格を認定いたします場合に各法務局、それから各地方法務局ごとに一定の認定基準というものを持つておりまして、それによることにしておるのであります。今回御指摘の東京と神戸の場合においても、登記所はその認定基準に従いまして船舶の価格を認定しておるのでありまして、ほかの登記所の場合に比べまして特に船舶の価格を低く認定したかどうかということは、私のほうとしてはまだ確実にこれを認める材料を持つていないのであります。従いまして本件の場合の船舶の価格の認定が御指摘の通り低過ぎたということが事実だとすれば、それはその船舶の価格が他の同種の船舶の価格に比べて高価なものであつたか、或いはその当時における東京法務局、それから神戸の地方法務局の船舶の価格の認定基準が低過ぎる基準を持つてつたか、いずれかの理由によるものだろうと考えられる次第でございます。ところが問題の船舶の価格がほかの船舶の価格に比べて高価であつたかどうかというようなことは、單に登記所としましては登記申請書類の上から船舶の価格を認定しなければならない立場にありまするので、容易にこれを知ることができない実情でありまして、又こういうような特殊な事情を考慮に入れまして船舶の価格を認定するということは、現状においては不可能と言つてよい実情でございます。この船舶の価格の認定基準は、従来法務局それから地方法務局がこれをきめるにつきましては、登記所が知り得たところの実際の船舶取引の実情、それから関係官庁或いは民間団体等から集めた資料、これも当然基礎といたしますし、それから物価事情の変動に応じまして逐次その改訂を行なつて基準を作つてつておるのでありまするから、その認定基準が実際と甚だしく遊離しておるということはちよつと考えられないのでありまするが、何分にも実情に疎い困難な仕事でありまする上に、関係官庁或いは民間団体等の専門家に例えばその価格を見て頂くというようなことについては当然予算措置がこれに伴わなければなりませんが、これが欠けておつたというようなことで、どうも認定基準が十分実際に即してはいないという御批難が起るのだろうと考えるのであります。  そこでどういうふうにしたら全国的に統一した、或いは実際と懸け隔てのない認定基準が作れるかどうかということをまあ私どもとして当然考えて参つて来ておるのでありまするが、そうしていろいろ会議などの場合にはそのことを実際と懸け離れない基準を作るように注意しておつたのでありますが、最近地方財政委員会におきまして船舶に対する固定資産税の課税標準決定の指針というものを作られまして、これを全国一律に船舶の評価基準として各地にお配りになつたようでありまするので、これはいい参考であるということを私ども考えました結果、これを頂きまして、そうして法務府から全国の登記所に参考としてこれを配ることにいたしまして、この結果登記所におきましては認定の適正と、それから各法務局或いは地方法務局間の認定の不均衡の是正ということが相当になされることになるんじやないか、かように期待しておるわけであります。事実非常に不当な認定があつたということは誠に申訳ないわけでございまして、今後私どもといたしましては予算の上にも正しい評価のできるような措置を講ずるつもりで大蔵省に要求を進めておりますると共に、只今申したような固定資産税の課税標準というようなものも、若干の統一したものを基準として用いることにしたい、かように考えております。
  41. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) ほかに御質議がなかつたら……。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今の五、六ですが、法務府に伺うのですが、会計検査院のほうでは船舶公団におけるところの価格のトン当り基準というものから見てというのはこういうことですか、この答弁書によりますと、「海運局より船舶価格算定標準等を求め、」こういうことを言つておられるのですが、船舶公団のそういつた資料をこの場合には考慮に入れてかようなものを考えたのかどうかという点と、それからこの船舶公団とそれから海運局のきめられた価格との開きが余り甚しいように思うのですが、この間の関係について何かお調べになつたかどうか、この二点について……。
  43. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 当時のことを只今調査しましたところによりますると、船舶公団のほうはこちらから資料として見に行つたのでありますが、見せてくれなかつたそうでございます。認定基準としましては海運局とそれからその土地の造船所、それから船舶検定協会等の資料によつて基準の作成をしておるということでございます。
  44. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 五、六の点についてまだ質疑がありますか。ほかに御質疑がなかつたら七の点に移りたいと思いますが……。
  45. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで一々検査院のほうからお伺いするのも何でありますから、七、八、九、十と、こう四件に亘つて検査院のほうから御説明願いたいと思います。
  46. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) それでは七、八、九、十、この四件につきまして先ず会計検査院のほうから御説明願いたいと思います。
  47. 大澤實

    説明員(大澤實君) それでは七番について御説明をいたします。これは宮城県刑務所で鴫原某というのから委託を受けて受刑者を出役させまして、それの賃金として鴫原某から受取るべきものが五十八万四千円あつた。それが入つていなかつた。そうしているうちに今度はその同じく鴫原某から立木を買うことになつた、そして五十九万円を支拂つた。そしてその次には今後立木で作つた薪を鴫原某に売つて、そしてその分の代金が百五万円、これがまだ入つていない。だから売つたほう、或いは出役さしたほうの代金は入つていなくて、買つたほうの代金だけを支拂つて来た。こういう状況になつているのでありまして、検査院といたしましては先ず賃金の末收が五十八万四千円あるということを知つて後に立木を購入したのでありますから、まあその間におきまして相殺の仕組を行うなりいたしまして、過云の未收金の回收を図るべきではなかつたろうか。なお且つこうした前の賃金も支拂つていない、收納に至つていないものに対しまして、又薪を売つて、それも代金を取らずに薪を売つてしまうということで未收金がますます増加した。こういうことは経理上適当ではない。こういう次第で掲載してあるわけであります。  次の八番の分は、全国高等検察庁八カ所、それから地方検察庁三十数カ所でございますが、大体その中の全部で約三十カ所の検察庁実地検査いたしました結果、ここに掲げてありますように庁舎と分室と特別調室というような名義で購入され、或いは新築されたところの建物が現地に行つて見ますと職員の宿舎に使われておる。これはこうした名義でやつたところが実際は宿舎に使つたものであつて、この一般公共事業費に積算されているところの庁舎新設、その他の予算の目的外に使用したものではなかろうかというので掲げた次第であります。なおこれに関しましては二十五年度になりまして法務府のほうでもこの中の大半は、国有財産は宿舎のほうに種目変更といいますか、組替えられて整理されていると承知しております。  次に九の問題でありますが、これは少し記述がごたごたしておりますので、或いはおわかりにくいかと思うのでありますが、終極しますると、二十三年度において余分の仕事をやりまして、その穴埋めを二十四年度の工事に請負人と協議の上二百万円というものを余分につけて契約をしました。そしてその二百万円で二十三年度にやつた工事の代金支拂に充てた、こういう趣旨でありますが、その場合に勿論そうしたことは妥当でないことは言うまでもありませんが、更にその内容を見ますると、二百万円というものを引いてあるのでありまするが、二十三年度に余分にやつた仕事というものは百四十七万円、結局その間に五十数万円というものが浮出しておる。これを何に使つてるかということを更に調べましたところが、当時この検査報告を作成する当時にはなかなかそれがはつきりしなかつたのであります。その後いろいろと法務府のほうのお調べもありまして、この内容の報告も求めたのでありますが、又これは検察庁に対する説明書としまして法務府から提出されておる分にも記述されておるわけでありますが、その後更に現地へ参りまして見ましたところが、この残額の五十二万八千円のうち十数万円はいわゆる価格の増として請負人にくれてやつたというお話であり、あとの四十数万は別の仕事をやつたのだ、こういう御説明がありましたので、四十数万は現存しているかどうかということを現地について見たのでありますが、これは丁度改築しましたものですから、過去にやつたものが取拂われてしまつた。これが事実であるかどうかという確認はしかねる点があるのであります。ただそのうち工場の附属便所を作つたり或いは構内の道路を舗裝したり、運動場を整地したというのがあるのでありますが、そうしたものは成るほど行つて見ますれば確かに舗裝された跡があり、整地された跡がある。残つておるものから推断すれば大体御説明のようにほかの雑工事に使用されたものだと思いますが、この検査報告作成の頃はそうしたことのはつきりしたデータがつかめなく、又現地を再び見るということができませんので、結論といたしましてその事実の確認ができないと、こういう言葉で結んでおる次第であります。  次の十番の点は、八王子の刑務所で工事を請負わしまして、その代金を支拂います場合に九九%できたというので部分拂いをしたわけでありますが、年度末に九九%できたというので部分拂いしているのでございますが、実際に調べてみますると、年度末の出来高は五〇%程度である。そしてそれは九月頃になつて漸く完成しておる、翌年度の九月に漸く完成している。決して年度末に九九%できたということは事実でない。そうすると結局そうした部分拂いというものは過当な、多過ぎる部分拂いになつた結果になつておるというので妥当でない、こういう趣旨であります。
  48. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) それでは天野経理部長
  49. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 只今お話の点につきまして申上げますと、先ず最初の七の点でございますが、例の出役作業及び製品売渡に当り処置当を得ないものというのでございます。これは誠に当を得なかつたものでありまして恐縮に存じます。この鴫原某に対します作業賃金、それからそれに売つたところの薪の代金、これは未納でありましたにかかわらず、立木を買つてこれを拂つたということは、この契約書によりまして立木を購入する場合は、この鴫原某が斡旋するということになつておりましたので、形の上では本人が購入の手続きをとつたのでありまするが、実際はこの者からもとの山の所有者にこの金を拂わなきやならないために、すぐにこの金を納めることができなかつたわけでございます。それから又未納金につきましては、確かにこれは相手方として不始末でありまするから、本人も出向きましたり或いは本人を呼び出しましたいろいろ嚴重に督促中でありますが、何分にも破産に近い状態になつておりますためにまだ未完納になつております。そこでいつまでもこういうことではなりませんので、目下国として本人を相手に訴訟提起の準備を進めております。今後はかようなことのないようにいたしたいと思います。  それから次の八の予算の使用当を得ないものという点、これは従来検察庁におきましては事件を捜査する場合にいろいろな方法をとります。勿論検察庁に出頭を命ぜられたということだけで、人その者の名誉に関する場合も多いのでございまして、そういう場合には、或いは従来の例によりましても検事正の官舎にひそかに出頭を求めて、或いはその他の場所を見つけまして捜査をするということはよくあることでございます。そこでこの問題になりましたいわゆる特別調室につきましても、そういう趣旨でこれを作つたのでありまするが、同時に又検察官或いは検察事務官が住居が非常に拂底しておつたことは御承知の通りでありまして、こういうものについて予算の上で官舎というものを認めることができない関係上、まあ一石二鳥を狙つたというのがざつくばらんな実情でありまして、それに宿直の意味をかねて住居をしておつたというのが、そういう使用をしておつたということが実情であります。これはその後いつまでもこういうままではいけませんので、只今会計検査院のお述べになりました通り予算上の使用当を得ないものというふうにいたしました。  それからその次の工事費の経理当を得ないものこれは笠松の刑務所の問題でありますが、この当時は今と違いまして非常に刑務所の收容人員が多く、非常な過剰拘禁の状態にありました。これを少しでも緩和して、收容を図るということが非常に急な要請であつたので、GHQのほうから盛んにその点を注意されますので、舎房二百四十八坪それから雑工事を年度内に実施することになりまして、五百五万円余り予算を予定したのでありますが、非常にその工事を急ぎ、早く着工しなければならんということでありました結果、予算のほうは五十坪取得して、取あえず指名競争入札によつて工事を着工ということで、仕事を始めたわけであります。ところが実際予算の配付に当りましては、事務が輻輳しておつた関係上、現地との連絡も円満に行きませんので、三百五万余りの配付をし、二百万円ほどの不足を生じたわけであります。急に又これを補填する予算もございませんでした結果、工事打切りの指令を発しようとしたのでありますが、工事の実情は全工事が着手しておりまして、それから又関係筋からもいろいろ要請がありました結果、業者から、工事不足の分は次年度支拂を承知の上で継続ということにいたしましたのであります。それでその工事は年度内に完成しましたけれども、こういうような事情でありました結果、その金額に相当する部分は二十四年度において完成したものとして、そうして二十四年度の公共事業費に含めて他年度において支拂つたのであります。年度区分を紊つたことは相違ないのでありまして、誠に遺憾であります。それで問題は金の始末ということになりますが、二百万円と七十坪余の工事費の差額の五十二万八千六百四十円の中には、只今会計検査院のほうでもお述べになりました四十一万七千九百円の雑工事が含まれております。それからあとそれでもなお十一万余の差額が残るわけでありまして、これが不正なことにでもなりはしないかということいろいろ心配された点でありますが、これは当時材料の割当券の交付が遅れました結果、業者に支拂いましたのは一年ほどあとになつて……、そういうようなことで業者に対する損害の補填というような意味でこれを渡しておるのであります。決して不正の用途には使われておらないのでございます。  それから次の十の問題でありますが、この工事費は当然これは繰越手し続をなすべきものでありますが、予算繰越しの配付は遅れるのが例でありましたために、悪い癖ですが、繰越し後の工事の遅延を恐れまして、これを年度内に既定の九九%進捗したものと過大に算定いたしまして部分拂いをしたわけでありまして、誠に遺憾であります。勿論こういうようなことはないように今後嚴重注意して参りたいと思います。
  50. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 御質疑のあるかたはどうぞ。
  51. 田中一

    ○田中一君 今御説明願つた九の点ですが、五百万円の工事を入札する場合に、図面なども全部附けて指名入札さしたのですか、或いは図面は抜いてさしたのですか、その点明確に御説明願いたいと思います。
  52. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 実は当時の本当の実情を知りませんので、今調べました結果、図面など全部附けて指名入札いたしました。
  53. 田中一

    ○田中一君 そうしますと、これは指名競争という形になつておりますが、この問題は恐らく話合いで、指名競争という形式を以て大日本土木株式会社に落札させようという意図の下にやつたのじやないのですか。まあ見積りの基準を求めるにしても、五百万円分の工事があつたものを三百三十万円で以て請負わすということはあり得ないと思うのです。従つて指名競争という名目によつて大日本土木に落札させようという話合いがあつてつたのでございますね。  それからもう一つは二十四年度においてはこのあとの残つたところの笠松刑務所の新営ですね、これに対してもこれは継続工事としてやつたのか、或いは新らしく指名競争入札によつてこれを請負わされたのか、この場合には指名競争とは書いてありませんけれども、指名競争によつてつた場合にはやはり大日本土木に大概落札させようという意図の下でやつたのか、これはどういう形で二十四年度の継続工事、継続工事と言つても継続工事というものはありませんが、この新工事を指名競争でやつたのか、或いは随意契約でやつたのか、その点明確に御説明願いたいと思います。
  54. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 只今お尋ねの点についてお答えいたします。これは文字通り指名競争でございまして、指名競争の結果大日本土木に落札させたというのでありまして、初めから随意契約でやつたものではございませんです。
  55. 田中一

    ○田中一君 二百円も違うものがあとで追加をすると、追加工事として出るという場合ですね、このあとの二百万円分のものが包含された図面並びに仕様書が出ているはずです。指名競争の場合には……それを金がないから、予算がないから二百万円分だけを来年度に廻して契約しようという話合いはいつ頃したものでしようか。この当時は物価も非常に高低がありまして、三千万円のうち二百万円の差金は入札の上においてはもう常識なんです。丁度一割未満です。一割未満の入札価格の違いは指名入札を受けた者の、業者のうちそれぐらいの見込違いは出て来るはずですが、それをあえて次の継続事業において二百万円を出さなければならないというのは、その工程の中のいつ頃その話が出てやつたのか、最初から金額の見積りを出しておつたのか、仕様書を出しておつた、その見積りをしたものなら業者は業者の名譽にかけてもこの金額においてやるのが常識なんです。途中においてあなたがさつきおつしやつたようにGHQから或いは関係筋から注文があつて止むを得ず造築したというなら、これは最初の契約とやはり違うのです。最初の契約と違う。請負人の責任においてやつておいてくれということでありますが、予算がない場合にはそういう工事の継続が相当ありますが、そういう措置をやつたのか、そういう措置をやつたならば二百万円というものを出す理由がないのです。若しもあとで以て価格に、最初見積つた以後に二百万円の工事を出したものなら、それは当初からそういう仕様書並びに契約書が作成されてないということになるのですが、その点はどうなんですか。
  56. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 只今お尋ねの点につきましては、入札金額は五百五万四千四百五十七円三十銭でありました。ところが予算が結局足りない、足りないが工事だけは急ぐということになりました結果、大日本土木株式会社のほうでも予算のない分、つまりそれが二百万円の分でありますが、これだけは来年度成るべく早い機会に支拂いを受けたいということで、この最初の計画通り工事を進めたわけでございます。
  57. 田中一

    ○田中一君 どうもその点が、あなたは当時の契約を担当なすつたかたにしては甚だ明瞭でないと思うのです。最初から全工事、全設計、全仕様書によるところの価格で入札したものなら、それは妥当だと思います。併しながら恐らく指名競争という形において最後は随意契約をしたのじやなかろうかと私は思つておるのです。指名競争をするにしても七人なり八人を指名して指名落札した。併し予算にはない、だから結局最後においては随意契約によつて話合いをしたのじやなかろうかと思う、私はそう思うのです。例えば図面も仕様書も全部終りのほうが予算に合わない、予算に合わないから止むを得ず随意契約で以て相手と話をして、なおそれでも合わないものだからその二百万円分は次の工事でお前のほうにやるからお前のほうでそのときに何をしよう、こういう形になつたのじやないか、こういうことを伺つておりますがね。
  58. 天野武一

    政府委員(天野武一君) この笠松刑務署に関する契約の問題は、私は契約の事情を存じておりませんので、残つております当時からの書類によつて御説明申上げております。私としてはそういう仮想の契約があつたものとは信じたくありません。
  59. 田中一

    ○田中一君 これは仮想の契約を言つておるのじやないのです。例えば五百万円の工事で出すと、ところが成るほど指名入札して七人なり八人なりが入札をした。併しながらどうしても法務府が持つている予算では追付かない、みんな高い、法務府としてもそれをいろいろ検討してみると予算がない、物価が値上りをしておる、而してその最低の落札価格では契約ができないのだから、あなたがたも十分お調べになつて、成るほどこれは二百万円くらいは妥当だと、正しいのだと、二百万円というものは物価の値上り料金の値上りで以て正しいのだと、そのために最低入札として話合いをしまして、随意契約ですね、話合いをして一応これを受けてくれと、これはちつとも不正でも何でもないのです。受けてくれと、本当ならばその当時は工事は二百万円の分だけは残してくれというのが正しいのです。これは来年度の新規に契約を出すのが正しい、妥当なものを、それを関係筋から急がれたために、それも頬被りでやつてしまつた。そういうことは決して不正事実、帳面の間違いでも何でもない。現にほうぼうで行われておる契約方式です。随意契約による……、ただあなたのほうが関係筋からそういう施設を早くやれというので、止むを得ず請負人の責任において立替させたというのが真相じやないですか。
  60. 天野武一

    政府委員(天野武一君) ここのところはまだはつきり申上げる材料を持つておりませんので、後に詳しく御説明申上げます。
  61. 田中一

    ○田中一君 若しも私の申上げたような形でやつたならば、二十四年度に笠松の新営工事、これは指名入札をやつたのか、随意契約をやつたのか、この点は如何ですか。
  62. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 当時の事情については大島説明員から説明することにいたします。
  63. 大島鏡三郎

    説明員大島鏡三郎君) 余りよく知りませんが、初めはこれは指名競争で以てやりました。ところが予算がないために二百万円ばかり減らした。ところがそのうちに業者が折角やりかけておるのであるから、これを今後も進めてもらいたいというようなお願いがありました。それでその後進めたわけです。それで二百万円というものは翌年度の工事のときにやはりこれの指名競争をやつた、そして二百万円はこういうふうであるということを含めてそうして指名競争をやつた。たまたま幸いに前の業者に落札した。こういういきさつであります。
  64. 田中一

    ○田中一君 筋はよくわかりました。よく分りましたが、二十四年度の入札の場合には、確かに指名競争でありますか。
  65. 大島鏡三郎

    説明員大島鏡三郎君) 指名競争であります。
  66. 田中一

    ○田中一君 若しもこれが大日本土木に落ちないで、よその組に落ちた場合は二百万円をどうするつもりであつたのですか。
  67. 大島鏡三郎

    説明員大島鏡三郎君) 結局二百万円はその者に拂わない。前の者に拂う、そういう條件附でやつたわけです。
  68. 田中一

    ○田中一君 会計検査院に伺いますが、今日継続工事はございませんから、打切り予算ですから、そういう形で以て当然二十三年度に出るところの大日本土木に支拂うべき金、これが幸いか不幸か大日本土木に落ちたから大日本土木に二百万行つたけれども、これが他の業者に行つた場合は、これは契約の相手方は他の業者ですから、この面から二百万円がその相手を通じて大日本土木に行くということがあり得るかどうか、ちよつと伺いたいのです。
  69. 大澤實

    説明員(大澤實君) 会計検査院といたしましてもそういうことをやつたのは不当であるというのでここに掲げた次第でありますが、実情は先ほど大島説明員からもお話がありましたように、入札の場合に実に奇妙な條件を附けたのです。お前は幾らか自分で請け負うつもりで入札しろ、そうしてそれに二百万円だけ開けた値段で入札しろ、その代りに二百万円はお前の仕事に対する支拂いに充てているのではないからそれはこちらへ出せという、こういう実に奇妙な條件で入札をさしたのであります。実に会計法を無視した入札でありまして、その点もここに書いてあります。二百万円を落札後、差引くことを條件とし、二十三年度施行の工事費に充てたというように書いて、その点も不当であるということを示しておる次第であります。
  70. 田中一

    ○田中一君 これは法務府を責めるのじやないのですが、そういう形の入札方法ですね、これはまあ三歳の童子でも業者であるならば知つているのです。今後もそういうような事例がたくさん出るかもわかりませんけれども、私はここでその営繕部というのですか、営繕課というのですか、常識を疑いたくなるのです。実際こういうことがなぜあえて行われるか、こういう点について、この問題を知りたいのは、二十四年度において確かに指名入札をしたものかどうか、これには恐らく談合、業者との話合いですね、談合というのは権利金の談合ではない、話合いによつて決定されたものだと思う。大体において法務府におけるところの工事はやや特定の業者にのみ落札させておる現状です。又指名されるかたがた、業者もやはり或る範囲を出ないというような現状をよく承知しております。こういう点については十分法務府としてもお考えになつて、今後とも門戸開放、如何なる営繕部との関係の業者があるかも知れんけれども、これは無論お互いに理解し合つた業者が、ピントを外れないような仕事をやつてくれるということが望ましいのですが、法務府としては十分に門戸を開放して、多くの業者、有資格の業者を入れるように、又今次建設省が行なつたところの階級的な入札方法、そういうものをとつて頂くということに一つ考え願いたい、こう思うのです。打切ります。
  71. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の田中君の件ですが、これは重要な件だと思うのだが、法務府に伺うのですが、さような入札のやり方というものは一種の談合入札でないかというような感じられるのですが、その点はないと言われるのか、そうだと言われるのか、その点はつきり答えてもらいたい。
  72. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 談合は我々としてもむしろ排斥しておるところでありまして、法務府において談合入札をしたということはございません。
  73. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると二百万円を差つ引くというさような変てこな入札方式というものが、併しあるのですか。その点どうなんですか。
  74. 天野武一

    政府委員(天野武一君) かようなことは非常な異例でありまして、勿論あつてはならないことであろうと存じます。
  75. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすれば結局今言われたように談合でないと言われれば、話合いの上でなければかようなことができ上らないのでは、やはりこれは一種の談合入札の一部類であるとまあ考えられるのでありますが、その点はこれはまあ水掛論でありますが、差額の五十二万八千六百四十円のうち四十一万七千九百円は雑工事費であるとしておるが、この架設費その他が含まれておるのですが、それらの証憑書類関係のものが判明せないと……而も雑工事の設計図面を見ますると、実際にない建物があるというようなことであるように聞くのでありますが、その点会計検査院がお調べになつてどのような実情であつたか、一つ御答弁を願いたいと思います。
  76. 大澤實

    説明員(大澤實君) 先ほどちよつと申上げたのでありますが、四十一万七千九百円の内訳は何に使つたかという調書を法務府のほうから提出して頂きました。その内容が十数件に亘つておりますので、一々は省略いたしまするが、これを以ちまして現地のこの刑務所の庁舎ができておりまして、いろいろな形は変つておりましたですが、その現地へ着きまして、ここに書いてあるその施設雑工事というものの形跡があるかどうかということを一応当つてみたところが、そのうち工場附属便所というのが二万四千円でできたということになつておりますが、これはあつた。私が参つたわけではございませんが、検査院の職員検査に参りまして、現存しているのを確認して参りました。それから構内道路の整地といたしまして六万八千九百円投じておるということになつておりますが、これは確かに整地の跡が見られる。それから運動場の整地としまして一万五千というのを投じてありますが、運動場は確かにきれいに整地されておつたというので、この三件合わしまして約十万円というものは確認したわけでありますが、あとはつまり架設物を作つた。それがこの庁舎を新営するために全部又撤去してしまつたというので、参つたときはそのものはもう見当りませんでした。併しながらまあ類推的に考えまして、まあ十万円程度のものは現存しているということから見て、そうした架設物を作られて撤去されたということが必ずしも事実ではないとこちらは断言するほどの資料はないわけであります。恐らく作られたであろうという一つの心証は、実地検査に参りました者も得て帰つた次第であります。書類その他は詳しいものは当時もなかつたそうであります。
  77. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 では法務府のほうに伺うのですが、その当時詳しいそういつたような資料、証憑等が会計検査院に行つてもなかつたということはそれは一体どういうことか。
  78. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 只今カニエさんの御指摘の点誠に御尤もと存じます。ところが当時のことを聞きますと、現地におりましたその工事担当者は非常に不慣れでありまして、そういうものは残しておらなかつたのであります。
  79. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 工事の担当者がそういう不慣れであつたという理由では、こういう重大な金銭の支拂いについての書類がないということは、これはそのまま委員会としては捨置くわけには参らんのであります。従つてこれらのものについて辻褄の合うように、なければないように何とか御説明を願いたいと思います。その点どうですか。
  80. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 今の雑工事の内訳は、只今現存しているものにつきましては会計検査院からお述べになりました。そのほか取拂いました架設工事につきましては一々その名称と工事量と單価、金額等は内訳はできておりますが、その証憑書類というお話でございますが、そういうものは作らなかつた、こういうことでございます。
  81. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから会計検査院に伺うのですが、十一万円ほどの書類は、建物等の材料の当時割当切符が六カ月ほど遅れたためにそういつたものの差益金というような意味で使われたのかどうか、その点御説明願います。
  82. 大澤實

    説明員(大澤實君) 只今の点は検査院としては事実であるかどうかということを確認する何らの資料も持つていないわけでございます。又若しもそうした事実だとしましても、一応こうした指名競争で契約をいたしました確定的な契約でありますから、その後になつてただ資材切符の遅れたというような理由でやられたとしましても、その値増しは契約上妥当でない値増しではないかと、かように考えます。
  83. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 法務府のかたにお伺いするのですが、十一万円のこういつた額というものが切符の割当の入手が遅れたためにそうなつたというのですが、今会計検査院が言われるように、そういうことの値増しということは考えられないし、又認められないと言つておられるのですが、委員会もさように思う次第です。それはそれといたしまして、その件よりも考えてみますると、この工事は特に事情からして、関係方面からやかましく言われてそうして作つたというように記録にも出ておるのでありますが、当時関係方面から特にやかましく言つておるようなものが業者に対して割当切符が六カ月も遅れるというようなことは殆んどない実情であつたはずだ。それから而もその割当の量は十二分に、特にそういう関係方面の指示による仕事に対しては量の不足もないはずであつたというように私は記憶しているのですが、そういうような点から併せ考えてみますると、ますます不審に堪えないという感を抱くのでありますが、その点についてはどういう実情か御説明を願いたいと思います。
  84. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) ちよつと皆さんに申上げますが、天野経理部長は就任されて間もないので、当時の実情を十分まだ調査していない点があるのじやないかと思いますので、何ならこの次の機会まで実情調査して説明されたら如何かと思いますが。
  85. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いや、そういう御事情であれば今日は留保いたしまして、そういうことでも結構でございます。
  86. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 今カニエさんからお話の切符の点につきましては、二百万円のほうに相当する切符が遅れたというのが実情のようでございます。今委員長のおつしやいましたように当時からのことをよく存じておる者の説明のほうが具体的でいいということになりますれば、次回にでも出席してもらいましてお話をするのが適当だと思います。
  87. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで留保して頂いたらいいのですが、もう一点、その点は今お答えになられると思いますが、本件のこういつたような結果を招いた原因というものは、本所のほうで五万円の工事云々について予算があるからやれということを出先の法務局に言つてそうしてやる。ところがそのやつた結果、実は言つたけれども金が実はないのだというようなことでこういう結果を招いたように聞いておるのでありますが、そういうことが事実あるかないかということ、それからそうだと仮にいたしまするなれば、次に起る問題はこの事件の結末をつけておりまする関係者処分の問題でありますが、この処分を見ますると、笠松刑務所長の藤山さんという人は、これはもう嚴重注意で、退職をしていない、それから刑務所の会計課長嚴重注意、笠松刑務所会計課長の塚本さんというのですか、この笠松刑務所だけが処分を受けて、本所のいわゆる責任者という者は処分を受けてないように見受けられるのですが、そういつた点も併せて一体どういうことになるのか、ただ末端の出先にのみその責任を負わせて、そうして本所の者のそういう失態でかかる事件を起しているということになれば、どうもおかしいじやないか。こういつた二点について、今お答えができなければ次に留保いたしましたから、次の機会にでもはつきりとした答弁を願いたいと思います。
  88. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 只今の細かい点につきましては、資料を一切整えて次回に御説明いたしたいと思います。
  89. 石川清一

    ○石川清一君 本件については先ほど次回にというお話がありましたが、その際に、この予算が確定する以前に、本予算国会で確定する以前に契約がされたのか、確定されたあとで契約したけれども、單価増その他の関係で五百五万円というような予算が組まれたのか、これは日時別に、何月何日どういう形で組まれたというような詳細な報告が願いたいと思います。
  90. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) 一つ調査して次回に御答弁願います。
  91. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 承知いたしました。
  92. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 次に七の件でありますが、この七の項の出役作業及び製品売渡に当り処置当を得ないものという項でありますが、この件について一、二伺つておきたいのですが、この件で先ず第一番に伺いたいことは、鴫原某なる者が先ほどの法務府からの説明によりますと、どうも單なる法務府へ出入をするブローカーのような感じを受けるのですが、これは一体どういう資格でどういうような人であるか伺いたいと思います。
  93. 天野武一

    政府委員(天野武一君) この点も実際どういう人であつたということを私個人的に存じませんので、よく資料を整えてお答えいたします。
  94. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで次に立木を買つてそうしてその代金を支拂つている、ところが今度は買つた立木で作つた品物を売つて、その人間に売つて、その品物の代金はもらつていない、又作業の作業賃ももらつていないと、こういうことですが、結論的に言いますと、国の金をただやつたようなことに結果はなると思うのです。結局は何のことはない、もらうものはもらわずに買つた分だけ金を拂うということをやつているので、どうもこの点は奇怪に思うのです。第一番、薪代の拂い方からいつて見ると、現品を渡したのが二十四年の十月三十一日、それから調停をしたのが二十四年の十一月の二十七日である。併し納期は二十四年の十二月十一日である、第一回そういうことである。その金が六十一万二千八百四十一円ですが、そういうこと、それから第二回の現品渡しは二十五年の三月三十一日になつている、調停は二十五年の三月三十日、一日前になつている。それから納期は、この納期というものは金のつまり代金の拂う日にちだろうと私は解釈しておるのですが、間違つたらそちらのほうで御答弁になつたらいいと思います。そこで二十五年の三月三十一日に支拂うことになつている。こういうような契約の内容から考えて見ると、勿論その前に作業賃を相当額つていないにもかかわらず而も現品を二十四年の十月三十一日に渡しているということすらすでにおかしいのじやないか、これを渡すときにはすでに又その金はもらつてないということがわかつているのですから、すでにそのときには金をもらわなければ現品を渡さないというのが本当なんです。それを渡してしまうという一体何たるやり方であるか。その次には而も二十五年の三月三十一日、今いつたように現品を渡して而も金を拂うのが二十五年の三月三十一日、同日であるという契約をしておるならば、かようなつまり極めて不信極まるところの相手方であるということがはつきりしておるのですから、品物を同日である限りにおいては、渡すときには金をもらわなければその品物を渡さないというのが普通なんですよ。そこでそういうことをあえてして、そうして結果として国に損害を与えるということは、その裏には何物かがあるということを感ぜざるを得ないのです。一体どういうわけでかようなことをやつているのか、一つ詳細に承わりたい。
  95. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 只今カニエさんの御不審に思われた点誠にその通りと思います。これは当時の作業課長、刑務所におります作業課長が非常にその男と馴れ合いまして、その二人の間に非常に背任行為があることがわかりました。そこで作業課長が多少の金をあの男に融通しましたところが、だんだんそれが取れなくなつたというようなところから、だんだん深みに入りまして、事業上の金を融通しまして、少しでもそれを成功させて、今までの貸しを回收しようというようなことをやつたのでありますけれども、結局この作業課長は昨年業務上横領等の罪で公判請求されまして、目下裁判所事件が係属しております。
  96. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほどから会計検査院の答弁並びにそれに対する法務府の答弁の中にさような事実があれば、前以てなぜあなたはそういうことを答弁をしておらなんだか。従つてさような答弁があればかようなことは成るほどと肯けるのでありますが、どうも実際の実情調査して不審だから、突つかれてそういつて御答弁をされることは非常に今後困ると思うので、かような事実があれば、本件に関してはかようしかじかなその後事実があるということを御説明願いたいと思うのであります。  なお併し本件に関してはその後の経過等詳しい顛末については資料によつて御提出願いたい。
  97. 田中一

    ○田中一君 十の問題をちよつと伺いたい。出来高の何分拂いが今日法務府でやつている習慣でございますか。
  98. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 六〇%でございます。
  99. 田中一

    ○田中一君 仮に五百万円のうち百万円出しておるという場合には、百万円に対して六十万円拂うという意味ですか。……契約面においてちやんと支拂條項があるわけです、この契約によつてその場合には例えば棟上げができたならば幾ら拂う、爾後は月末なら月末納めて、月末で百万円までは或いは八十万円拂う或いは九十万円、八〇%或いは九〇%拂う。若干残すものです。駄目工事ができるものですから残すものです。ですから法務府では出来高に対して月々の支拂は何十パーセントずつ拂つておるかとお尋ねしておるのです。
  100. 大島鏡三郎

    説明員大島鏡三郎君) 出来高の十分の九以内を拂う、その出来高はこれが百なら百についてどのくらいできたかというその高はそのときによるわけでございます。出来高の十分の九以内を拂うということになります。
  101. 田中一

    ○田中一君 そうしますとここではこの十のほうは三月三十一日に検査をした場合五五%の出来高、一〇〇%出来ていればこれは完成ですから一〇〇%支拂いをするわけなんです。一〇〇%でき上つたという形でなければ予算を返上しなければならぬから、係官のかたがたが便宜上こういう措置をとつたと、こう見られるのです。これは恐らく單に施行する工事人と法務府の係官とが馴れ合いで以てこの支拂いをすると、こういうふうなところです。継続工事はでありませんから、余れば国に返さなければなりませんから、その意味において年度にぶつかつたからこういうことを強行して、そうして九九%できたと言つてあとの一%は駄目工事や検査や何かの際に支拂うということでやつたものと思います。法務府としては今日までこの工事が不幸にして発見されなかつたが、今言つた年度末というものがあつたために発見された。ましてその後半年も過ぎて八月か九月にでき上つたと書いてありますけれども、こういうことは法務府の営繕部ですか営繕課ですか……、そこでは常にこういうことの形式で以て金の支拂いをやつておるのですか、それともこれは特に年度末だから金を返上しなければならないから、無理にでも出来上つたことにして金を取つておく、支拂つておくという形にしておいたのですか、この金は……。もう一つはこの金は九九%を出来上つたものとしてその出来高に対して請負人に拂つたのですか。その金は法務府が握つてつて、完成した八月乃至九月に支拂つたものですか、その点を明確にしておいて下さい。わからなければこれも何でありますが、工事に関する問題は営繕部長なり労繕課長においで願つてお聞きしたいと思いますから、次回にでも……。
  102. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) それではお諮りいたしますが、本日はこの程度にして、質疑を次回に続行いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 長谷山行毅

    理事長谷山行毅君) それではそのようにいたします。次回は八日、木曜日の午後一時から開会いたします。それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時十四分散会