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1951-11-01 第12回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月一日(木曜日)    午後一時二十六分開会   —————————————   委員の異動 十月三十一日委員永井純一郎君辞任に つき、その補欠として小笠原二三男君 を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君    委員           池田七郎兵衞君            大矢半次郎君            楠瀬 常猪君            西山 龜七君            廣瀬與兵衞君            小林 亦治君            田中  一君            加藤 正人君            有馬 英二君            菊田 七平君            森 八三一君   国務大臣    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    大蔵省主計局次    長       東条 猛猪君    大蔵省管財局長 内田 常雄君   —————————————    会計検査院事務    総長      綿貫 謹一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵省主計局司    計課長     平井 平治君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十四年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは只今より決算委員会を開会いたします。  本日は公報を以てお知らせ申上げましたように、昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算、これらの三件につきまして全般的な御質疑をお願いいたしたいと存じます。この場合橋本行政管理庁長官もお見えになつておられますので、諸般事情によりまして、成るべく橋本長官に、御質疑のかたは先ずそのほうからお始め願うことが適当だと思いますので、そのようにお願い申上げたいと思います。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 実は本日大蔵大臣会計検査院長行政管理庁長官、並びに官房長官の御出席を求めて、そうして決算委員会が年々やつて参りました決算のやり方について、或いは又昭和二十四年度の決算をやります当初に当りまして、全般的な一つ考え方として、私は当初からこの決算委員としてやつて参りまして、年々この批難事項増加をして参つておる傾向にありますので、そこで一応二十一年から本年までの会計検査院批難事項として国会報告しましたものを見てみますると、二十一年度には百七十五件、二十二年度は約それが倍になりまして三百八十六件の増加を示しておる。二十三年度には又それが倍加いたしまして六百二十三件になつておる。今二十四年度の配付された検査報告を見ますると、七百五十件の多きに上つておる。この調子で行きますなれば、恐らくは我が国会計経理というものがますます乱脈の一途を迫るのではなかろうかということで、非常に遺憾であり、且つ憂慮に堪えない次第であります。そこで一体どうすればこの国費濫費を防ぎ、そうして年々激増して行くところのこの傾向を抑えることができるであろうか。こういう点について我々委員会としては重要な事項として考えねばならないと思うので、そこで私は二十四年度の七百五十件のこの批難内容をちよつと見てみますると、租税に関するところの不当事項が二百六十八件、それから未収金に関するもの四十四件、予算経理に関するもの六十三件、工事に関するもの四十九件、物件に関するものが百二十八件、資金管理に関するものが十三件、財務諸表に関するものが十二件、不正行為によるものが百四十七件、その他二十六件、計七百五十件という報告がなされておるのであります。これを仮に金額の割合から見ますと、大きく割つて参りますと国損を与えたというものが十三億一千百三十四万四千四百八十円、それから経費を節減し得たと認められるもの、これが六億八百余万円、それから徴収措置当を得ないものがこれ又三十億五千余万円、法令又は予算違反経理というものが実に七百六十三億一千六十二万八千六百三十五円、こういう工合概略計算をいたしましても八百十九億七千七百十万五千四百六円というような巨大な金額が、これが批難事項として実は挙げられておるのであります。そこで行政管理庁長官にお伺いいたしたい点は、今回の行政整理で一体どのくらいの金額が、国費が節減されるということになるのか、その点を先ず一遍伺つて見たいと思うのであります。
  4. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 手許に細かい資料を持つておりませんが、平年度で二百七億だつたと思います。七億のところがひよつとして幾らか違うかも知れませんが、多分二百七億だつたと思います。
  5. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで会計検査院長に伺いたいのでありますが、会計検査院の現在の定員はどのくらいで、予算はどのくらいかということについて伺いたい。会計検査院長がまだお見えになつていないようでありますが、事務総長がお見えになつておるそうでありますから、一応その点について事務総長から御答弁願つたらいいかと思います。
  6. 綿貫謹一

    説明員綿貫謹一君) 只今の御質問にお答えいたします。会計検査院の定は幾らかという点でございます。只今千二百五十五名でございます。予算は細かい計数ははつきりいたしませんが、二億五千万円内外だと考えております。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで行政管理庁としては現在の会計検査院人員をこのたびの行政整理増加され得るということになつておるのか、削減するということになつておるのか。削減するとすれば大体どのくらい削減されるという御計画になつておるのか、伺いたいと思います。
  8. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 御承知と思いますが、会計検査院は全然行政管理庁職権の外でありまして、私のほうは全然関与いたしておりません。国会会計検査院、裁判所ともそうであります。それから行政官庁の中では行政管理庁設置法によりまして人事院に対しては何ら関与の職権がないことに相成つております。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういたしますと会計検査院人員についての御計画はどこでなされておるのであるか、長官御存じでありましたら一応お教え願いたいと思うのであります。
  10. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 内閣官房からお答えするほうが筋だと思いますが、会計検査院人員に関しましては、あれは会計検査院法の中に人員がきめられておりまして、むしろ予算のほうで大蔵省が毎年タツチしておるというのが実情であろうかと思いますから、私実は詳しいこと……、人事院のほうは定員法律に書いてなくて、全く予算で行つておりますが、会計検査院のほうも若し人事院と同じように法律定員がなくて予算で行つておりますものか、或いは会計検査院法定員が書いてあるものか私よく存じません。大蔵省のほうで知つておられるかと思います。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私はやはり行政管理庁で何か会計検査院事柄についてはお考えになつておるように考えておりましたのでありますが、そこで行政整理をおやりになる主たる目的行政簡素化と、そうして国民負担を軽減するというところにあろうかと思うのでありますが、この点について政府はどういう工合にお考えになつておるのでしようか。
  12. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 大要は大体今カニエ委員からお尋ねのあつたのが根本の趣旨でございます。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで、これは直接行政管理庁長官所管にないということが今の御答弁でわかつたのでありますが、我々がいろいろ考えて参りまして、そうして如何にしてこういつた年年増加するところの国損を防ぐかということについて考えて参りましたときに、いろいろな方法があろうかと思いますが、さしずめともかく会計検査院拡充強化をするということ、これはどういうわけであるかというと、現在の会計検査院がいろいろと国の財政経理調査いたしておりますが、それは全体の三分の一くらいにしか実際は行われていないのじやないか。であとの三分の二はそのままになつておる、言い換えますと、つまり抜き検査というようなことをやつておられるように了承するのでありますが、この三分の一ほど行き届かない状態において私が先ほど数字を述べましたような結果が現われておるのでありますから、だからこれがもう少し現在の人員を仮に倍加したといたしましても、その倍加したところの予算なり人件費なりを以て、そうして現在批難事項として是正されておるところの金額が、これ以上になるという結果になり得れば私はあえて国損を少くし、そうして経理を正確ならしめることができ得るなれば人員増加をいたしましても、あえて差支えないのじやなかろうかと、こう思うのでありますが、行政管理庁長官只今自分の直接の所管でないと申されますが、国務大臣として一体どういうようなお考えを持つておられるか、この点について伺いたいと思うのです。
  14. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今日いろいろ部面におきまして行政各部、或いは又行政各部でない、むしろ裁判検察関係方面にまでいろいろな不正問題が起つておるのは御指摘通り誠に何とでもして速かに是正をしなければならないことでありまして、この具体策をどうするかということについては、私もいろいろに職責考えておるところであります。只今お話のございました会計検査院の問題につきましても只今お話のあつた行政、その他政府機構全体に亘つて規律を保持する大きな要めとして、どういうふうにやつたら一番能率的に行くかということを考えております。御指摘のように会計検査方面拡充するというほうも一つ考えでありまするし、又会計検査院としては経理が確かであるかどうかという点が一番の主眼点でありまするし、何と言つて総体的に調べて国会報告をするという職責を持つておる関係上、特別に機動的に或る部分だけをやつて粛正の実を挙げるという方向の仕事以外に、大きな重責を持つておる関係もありまして、会計検査院方面の充実のほうが有効であるか、或いは又、会計検査院のような特別機関でない行政官庁の中に何らかの意味における監察機関拡充、例えて言えば今の経済調査庁のやつているような仕事、あれは経済統制の残りが済んでしまつたあとで、或る意味で片手間の仕事がだんだんに発達した恰好でしようが、ああいうようなものをしつかりつかんで制度化したほうが有効じやないかという意見もあり、今折角検討中のところでございまして、御意見の点につきましては、私も十分、直接の職責じやありませんけれども、関連を持つて如何にしたら有効かということは今後も十分考えてみたいと思います。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで只今会計検査院そういつた国経理について調査をし、国会報告をしておるほかに、そのほかに又大蔵省では会計法四十六条の規定に基きまして監査を行なつて、そうして又、我々のほうに不正事実を報告をしておる件数がかなりこれ又あるのでございます。そこで多少意味会計検査院の場合とこの場合とは違い、又今申されました経済調査庁の場合も多少は違うと思うのでありますが、併し大体におきましては同じような目的のために行われておる。ところが現地に参りまして検査を受けるほうの側からしばしば非難言つておるのは、そういつた同じ会計経理検査のために会計検査院が出て来る、それから大蔵省は今言つた大蔵省が又帳面をひつくり返しに来る、経済調査庁調査庁で又出て来る。こうやられると、実際国の仕事をしておる末端の役所としては実に困るんだ、何とかこれを一つにまとめてもらいたいという要望が非常に強いのでありますが、これらに対して行政管理庁としてはどういうように処理をしたらよかろうとお考えになつたか、その点承わりたいと思います。
  16. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は会計検査院仕事は何といつて政府機関全体の経理についてこれを検査いたしまして、そうして法律上正確であるかどうか、勿論これに関しては若干正確不正確のほかに適当であるか、どうだろうか、節約の可能性があるかどうかということも、一つ関係があるかも知れませんが、まあ問題は確かかどうかということに主眼点を置いて、総体検査をしておる方針だということで、これはもう会計検査院の大事な職責として必要であろうと思います。なおそのほかにそういう面からも機動的に問題のありそうなところを深く調べるのに、更にこれは一つの行き方であろうと思います。そのことは別といたしまして行政組織の中にある監察機構というものは私は成るべく一つに統合するほうがよろしいと思つております。自分の一系統の省なり庁なりというものの中の経理が間違いなく、そうして又能率的に行われるということは、私は原則としてその省なり庁なりの中の上命下服関係で、上司が下僚を監督するという形で行くのが筋であつて、その一つの省なり庁なりの中で一般行政をする、そのほかに又監察機構一つ別に置くといつたような形は、郵政のような大きな所でそういう機能はありますけれども、特殊の例外を除いては私はもうやらんで行つたらどうだと思つております。ただ側面的にこれを監察する機能があちらこちらに分れております。これも何とか一つ統合を図つて行きませんと効果もありませんし、却つて間違いのもとになると思うのは御指摘通りであります。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今長官が述べられましたような弊害が、過日私たち国税局調査いたしました際に、国税局長が全般を監督しているほかに、国税庁から直接に監督官室というものを設けて、それが来ているということで、非常にこの責任所在が、監督責任所在一つの局の中ではつきりしないというような点があつて、甚だこの点は是正すべきでないかというように実は考えられたので、この点については一応十二分にお考えを願いたいと思うのであります。ただ最後に、私はこの委員会がしばしばこの事犯について調査をいたして参りますると、その最後に、どの結末を見ましても相当なる国に損害を与えているというものの責任者処分の問題でありますが、これが一律に厳重なる注意で大多数が終つてしまつているのです。ところが厳重なる注意というものは正規処分では我々ないと思つているのです。ところがこの正規処分でないというところの厳重な注意が大多数であるということ、だから年々一つの厳重な注意を受けた人がその年にも又やつている。甚だしいのは同じような事犯について又ぞろ違反を犯しているというようなこともたまにあり得るのであります。こういつた点について何とかこれはお考えを願わなければ、この調子ではうまく行かないのじやないかということが一つと、それからもう一つ責任所在が現在の制度によりますと、現場の係長から課長課長から今度は又部長局長というように繋がつてつているのです。従つて上から下まで全部が一律に厳重注意処分を受けているのです。こういつた面から考えて見まして、今まで我が国そういつた経理に対する責任というものについての責任所在を、もう少し明確に下なら下、上なら上に下して、そして大体監督の権限を先ず十人なら十人程度にして、その長が絶対責任を持つというような制度にでもなれば、もう少し会計経理に対するところの考え方が違つて来るのじやなかろうか。こう思われるので、処分の点、それから責任所在をもう少し少く、明確にしたらどうか。こういう点について伺いたいと思つております。
  18. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 御尤もであると思います。これについて私の所見を一つ聞いて頂きたいと思うのであります。これに私は実はお話のスタートがむしろ監督的な機能のことについてお話がありましたので、私もそれで申しましたけれども、いろいろ考えて見ますのになかなか以て監督だけをやつてつても実効果を挙げることは私は相当むずかしいと思つております。で、終戦以来いろいろな法律が出まして、日本の国情に合わないようなものもまああるわけでございます。例えて申しましても、税法のようなものでも、到底まともに適用したら税の負担に堪えきれないような税法を実施するということは、これは脱税のもとでありまして、同じような問題がないだろうかと思つております。財政法規に関しましても、若干理窟にとらわれ過ぎたのじやないかと思われるようないろいろな規定がございまするが、到底七面倒くさくて、守り得ないような経理規定というようなものは、自然々々の間に、まあ能率的に仕事をやつて行く上にはいいころ合いに、経理規定も扱わなければやれないのだということで、まあ半分は守つても半分は守れないのが当り前だといつた風習ができる。そうすると初めの頃には、守らないのが尤もな範囲だけ守らないのが、そのうち守らなければいけない範囲まで守れない癖が出て来るというような面、そうしてその範囲を越えた部分について追及をすれば、ほかにだつて法律違反はあるじやないかと言つて、それらの法律違反をなぜ追及しないのだといわれて見ると、物の道理は肚の中でお互いにわかつていても、表の法律違反はどつちも違反に違いなくても、片一方だけ首にするとか左遷するというようなことをする。併しながら片一方法律違反は放つておくということはなかなかむずかしいというような面が私はあるのじやないかと思つております。非常に詳しく検討いたして見ませんから、財政法規の中のどの部分がそういうふうに当るかということを、私は本日具体的に指摘できないのは残念に思いますが、そういう面がそのほかの面に関しましても、やはり凡そ今日会計経理という面で真に守れないのは嘘で、守らなかつた人間は極く軽微な法規違反であつても、厳罰に値いするような実情に即した規定ができておるかどうかということに関しましては、どうか一つ決算委員会におきましても十分に御検討を私は願いたいと思います。なお又、人事の問題に関しましても、若干終戦後その人の誠実さだとか、能力だとかいうものに報いるにふさわしいだけのいろいろな処遇の制度というものが、若干悪平等に流れ過ぎておる点がありはしないかと実は思つております。実際問題として問題が起つて参りますときに、ここは十二分な処罰をするとか、何とかいうことが大事なことでございましようけれども、ここまで総体気風が乱れて来た場合において、非常に問題のある度にこれを罷免するとか、或いは左遷するとかいうことは、これは国民からいつて当り前のことでありましようけれども、えてしてなかなかやりにくいものであります。そうして又、とかくそれほどひどいことをせんでもいいじやないかといつたような非難すら起る。そうして見ますと、むしろ私は終戦後今日までいろいろなことで行政制度人事制度も、動揺しながらだんだん固まつて来ましたから、いいほうには向つておるとは思いますが、私はもう少し公務員としての平素の勤勉さだとか、誠実さだとかというふうなものによつて、或いは賞与なり昇給なりに影響があるとか何とかいうことは、もう少しあつたほうがいいのじやないか。そうすれば何かあつたときに首にするとか何とかいうような、がくんと来る問題でなしに、平素、自然と間違いのない、まじめな人が遇せられて、とかくぐうたらな心配な人間平素から皆がいろいろ監督し合うというふうな気風が出て来る。私はでき上つた問題について会計検査だとか、或いは行政監察でそれを調べてつかまえるということ、それからつかまえた後において、責任者をはつきりしてこれに十分な処分をさせるということは大切なことではありまするけれども、それだけではなかなか私は問題は解決できないと思う。もう少しやはり基本的な面に向ける必要があるのではないかと考えております。ただ責任の問題にいたしましてもお説の通りに誰の責任かわからんような部面も非常にございまするが、これは行政機構の改革に当りましても責任所在を明確にする方式は是非織込んで行かなければならないと思つております。
  19. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 長官はほかの委員会等支障もあるようでありますから、別に御質疑がないようでありますれば、これで御退席願いたいと思いますが、よろしうございますか。……では甚だ御苦労様でございました。  それから官房長官が本日は諸般事情によりまして出席しがたい事情にありまするので、来週の火曜日ならば約束ができる、こういうことなのでございますが、どのように取計らいましようか。来週の火曜日を約束しておくほうが結構でありますか、一つ……。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 火曜日でいいと思います。
  21. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは官房長官は来週の火曜日に御出席を願うということにいたしたいと思います。なお管財局長只今大蔵委員会のほうに出席しておりますので、向うのことが済み次第に本委員会のほうに出席願うように連絡してあります。その他総括的な御質疑がありますれば続行をお願いいたします。主計局のほうは主計局次長、司計課長、それから国税庁からは国税庁税部長会計課長消費税課長、こういうかたたちが御出席になつておられます。検査院は前に申しました綿貫事務総長
  22. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大蔵大臣が来ておられないのでありますから、主計局のほうに伺いたいと思うのですが、先ほど私が行政管理庁長官説明を当初いたしました事柄をお聞きになつてつただろうと思いますので、その点を省略いたしまして、年々激増して行くところの国費濫費を、如何にしてこれをできるだけ少くし且つ又是正をするか。こういう点について今行政管理庁長官も言われたようないろいろな方法もあろうと思われるのでありますが、差しずめ手つ取り早く考えられることは、現在の会計検査院機構をもう少し十二分に検査が行届いてでき得るという体制に拡充強化するということによつて、なお一層かかる傾向が防げるのではないかと思われるのでありますが、今会計検査院から聞いて見ますると、人員も僅かであり且つ又会計検査院予算にいたしましても二億ばかりである、仮にこの予算を倍にいたしまして四億といたしましても、片一方において何百億というところの国損が防げるという結果になり得れば、あえて私はこの拡充強化をすることによつて何ら支障がないのではなかろうか、こういう考えを持つのでありますが、大蔵当局としては一体どういうふうな考え方をしておられるのか。またこういう考えに対しては一体反対なのか賛成であるのか、その点を主計局次長から伺いたいと思います。
  23. 東条猛猪

    政府委員東条猛猪君) 主計局次長東条でございます。局長予算委員会出席いたしておりまして、伺いかねますので、代りましてお答え申上げます。先ほど来の御質疑の模様を拝承いたしておつたのでありますが、只今の御質問にお答えいたします前に、ややそれとは外れますが、私のほうといたしまして只今指摘になつておりますところの会計経理紊乱に対しましてどういうような考え方を持ち、如何なる対処策を講ずべきであろうかというようなことにつきまして、極く一端を申さして頂きたいと思います。先ほど来御質疑のありましたことはいろいろ御尤もでありますし、橋本行政管理庁長官からお答えになられておりましたことも、私ども最高責任者の極めて適切なるお言葉と拝承いたしておつたのであります。私どものほうも昭和二十四年度の決算国会でいろいろ御審議を頂くにつきまして、最も憂慮し又これが対策といたしまして遺憾なきを期さなければならないと思つておりますのは、先ほど来御指摘不正事件が非常に殖えており、会計経理内容が非常に紊乱を来たしておる件数が殖えておるという事柄であり、又この対処策が最も我々といたしまして考えなければならんということが、実は非常に苦慮しております事柄であります。私から申上げるのも恐縮でありますが、こういう事態が生じました原因はもとより一つや二つの原因ではなくて、相当長期に亘り又多岐な原因に亘つておるというふうに考えております。物心両面に亘つて非常にたくさんの複雑した原因が相重なり又相伴いまして、このような結果になつておる。私どもが、最近小切手の不正事件について数十件程度の問題でありますから、それを以て全般を推すことは如何かと思うのでありますが、犯罪人の種類を分析して見ますと、比較的年の若い人に犯人が多い。それからどういう目的のために、この不正によつて得た金が如何なる人に向けられておるかという点を調べて見ますと、直接生活の資にしたいというのも勿論ございますが、より多くのパーセンテージは遊興に充てたとか、直接の生活でなく、贅沢な面、そういうことに充てた事例があるのであります。それから如何なる原因によつて生じたかというのを見て見ますると、比較的多くは監督者が不行届き、監督者が行届かなかつたという事例が多く現われております。つまり会計経理に当りまする者の道義の頽廃、或いは官紀の紊乱ということもございましようし、或いは最近における一般公務員の給与水準が必ずしも十分でないという経済的な原因ということもございましよう、或いは会計経理に当つておる者が比較的少数である、いわゆる手不足の関係で極く少数の担当者ということから、不正事件が行われるという、手不足という点もあろうかと思います。又手不足と表裏するかと思いますが、又上のほうの監督者の目が行き届きかねているという、監督不行届きということもあろうかと思います。又非難すべき事柄内容といたしましても、実質的には本当の意味においてけしからんことをやつておるということもございましようし、又先ほど来お話の出ました形式的な手続にやや落ちているという点もあろうかとも考えるのでありますが、勿論今申上げましたことがすべての原因ではないのでありますが、いろいろな原因が錯綜して参つている。従いまして給与の問題も大事でございましようが、給与の問題につきましては逐次給与改訂も行われておる。又先ほど申上げました実例から見ましても、消費せられた金額の相当多くが、生活費の面に向けられたのでなくて、費消せられた金はむしろ遊興とか、贅沢面に費消せられている例が多いというようなことから、この金銭面、経済面の問題もございましようけれども、それが最も有力な原因ということは申上げかねる。それから官紀の問題にいたしましても、一部において非常に頽廃した現象が見られるということは遺憾でありまするが、それらの点も逐次私どもは改善いたしておるということを私自身は考えるのでありまするが、まあそれに対する対策といたしましては、各行政官庁或いは各庁で、部内のいろいろな規律を引締めることをやつておる。例えて申しますと、会計法規の例を申しますれば、会計法規の内容を十分わからせる。又再教育の手段を通じまして、官紀の粛正を図るということが行われている。それから先ほどお話の出ました会計法規の改正の問題でありますが、私ども主計局におりまする者も、現在の会計法規が形式的に過ぎておるという点がないとは存じておりません。法規の全般を仔細に検討いたしまして、やや形式的に堕しておる。徒らに煩雑な手数をかけておるという点につきましては、再検討の上是正をいたしたい。それから予算の執行にいろいろの不便を生じまするのは、裏から申せば、予算の組み方に必ずしも実情に副わない点がありはしないかということを十二分に反省する必要がある。つまり実行可能な予算ということが遺憾なく行われているかどうか。御承知の通りに単価その他に、予算金額予算単価というものがありまするが、そういうものに余りに不自然な点がありはしないかというようないろいろな点につきまして、及ばずながら我々といたしましても苦慮を重ねておる次第であります。大変蛇足なことを長々申上げて恐縮でありますが、会計検査院の問題につきましてのお尋ねの点でございまするが、過般政府が、行政整理の問題が行われました際に、会計検査院に御相談をいたしまして、一般行政機構はかくかくの人員簡素化を行う、ついては検査院のほうにおかれましても御協力を願いたいという趣旨のことをお願いをいたしました次第であります。その結果目下御審議を願つておりますところの補正予算の案におきましては六十二人の定員の減少を昭和二十六年度のこの補正予算案に織込んでいるわけであります。検査院と御相談を重ねた過程におきまして、この人員の削減によりまして検査院検査機能というものが落ちるということは非常に大切な問題でありまして、今回のこの六十二人の定員の減少も管理要員と申しますか、つまり人事でございますとか会計でありますとか、庶務でありますとか、そういう専ら管理要員のほうにおきましても一般行政官庁と歩調を合せて削減をお願いいたしたいという御相談をいたした結果、検査院当局でも随分と慎重に御検討御相談に相成りまして、折角の政府側の行政整理のことであるから、この際まあ難きを忍んで協力をいたそうということで、この六十二人の人員の削減が補正予算に計上されたことに相成つております。従いまして私どもといたしましては、この六十二人の人員の削減ももとより非常に困難なわけでありますので、こういう結果に相成りましたことは検査院側の大変な御協力によることではありますが、専ら管理要員の人員の縮減が行われました関係上、これによつて検査機能に障害が起きるというようにはならないであろうし、そういうふうに是非検査院に御尽力を頂きたい、かように存じておる次第であります。検査院予算は二億円程度であると、それを思い切つてもう少し増額をするということが適当ではなかろうか、こういうお話でございます。先ほど事務総長からも御答弁がございましたのでありますが、補正以後におきまする検査院の歳出予算金額は二億七千九百六十万円と相成つております。この検査院の経費におきましても今回の補正予算におきましては給与改訂その他におきまして追加すべき部分は追加を計上いたしまして、その金額は三千四百万円余でありまするが、特に物件費等におきまして節約をお願いいたしますものは節約いたしまして三百八十万円の減少となつております。その結果が二億七千九百万円になつておる次第であります。検査院のこの金額一般行政官庁に比べまして必ずしも多くないという点は、一つはこの検査院人員が先ほど来お話になつております人員になつておりますことと、検査院の必要とせられます経費はおおむね実地検査の旅費が、人件費以外は実地検査の旅費がその大宗をなしているわけであります。従いまして、その他のいろいろな事業と申しますか、そういう事柄の行われておりますところの官庁に比べますと、この金額は必ずしも多くはない、絶対額におきましては多くはないのでありますが、私ども毎年この会計検査院予算金額会計検査院と御相談をいたしますときには、もとより私どもの立場上検査院に対しまして経費の削減節約をお願いはいたしまするが、検査に必要な旅費につきましては検査院の御当局も極めてこの熱心な主張は当然のことでありますが、持つております。又私どもも経費節減が無理と存じつつも、この旅費につきましては、検査院御当局とできるだけ御協力をいたし、又検査院の必要な検査には可及的支障を来たさないような線に落ちつけたいということで、毎年御相談をやつている次第であります。これを思い切つて倍にする、或いは人員を思い切つて倍にするというようなことが果してよいかどうか、又それによりまして非常に人員が増し、経費が嵩ばり、それだけ十分の人員ができ、十分の検査を実施する旅費が行われるわけでありますから、より分量におきましても、或いは又、その質におきましても従来以上の検査が行われることは、これはもう何人も疑いのない事実でございますが、私どもといたしましては従来検査院にお願いいたしておりますことは、いろいろ情勢に鑑みまして、この程度の人員を以てし、この程度の旅費を以て何とか会計検査院としての使命を達成願いたいということで御相談を重ねたわけであります。会計紊乱を防ぐという点につきましては、仰せのように会計検査院の働きに待つところ多大であると共に、政府部内におきましても、或いは予防的な意味において、或いは事後監査的な意味におきまして、いろいろ政府部内自らも努力しなければならない点もありまして、これは先ほど来お話の出ましたように、ひとり会計検査院のみにお願いいたさず、政府部内でも十分の努力をいたすべきものであるというふうに私どもは見ている次第でございます。大変長広舌を申しまして却つて失礼でございますが、お答え申し上げます。
  24. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) この機会に申上げておきますが、大蔵省管財局長がお見えになりましたから、一応御報告申上げておきます。
  25. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今の御答弁ですが、私のお伺いしている点は、現在拡充強化をすれば国に対するところの損害がどれだけ一体防げるか。それが予算を倍加することにおいて、二億増加することによつて十億も二十億も経費の節減が可能であるという場合においては、何も倍加しても差支えないのじやないかという点を先ず聞いておつたのでありますが、今の御答弁によつて重ねてお伺いしたい点は、大蔵省としては現在会計検査院がやつているところの仕事が、現在の予算人員を以て、どれくらいの全体のパーセンテージが実施されているのかという観点に立つて、さようなことを言われているのか、その点について聞きたいと思います。簡単でいいです。
  26. 東条猛猪

    政府委員東条猛猪君) 検査院検査内容は、私が御答弁申上げるのは或いは適当でないかと思いますが、いろいろ院法の命ぜられるところによりまして、検査内容も一通りでないと思います。ただ各省の行いますところの正式の決算書、これにつきましては全部行われております。それからこれに附属いたしますところの、一例を申上げれば検査証明規定でありますとか、そういう非常に広汎多岐に亘る面につきましては、全部行われておるというところまでは現在の人員を以ては行つていないと思います。具体的にどの程度の割合が行われておるであろうかということは、検査内容、種類が私必ずしも一様でないと考えられますので、一概に申上げることは困難であると思うのでありますが、重要な、どうしてもやらなければならん検査につきましてはほぼ行われておるのではなかろうかと、さように考えます。
  27. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 会計検査院に伺うのですが、私はこの前に国税局の二十四年度の批難事項に対して各末端の税務署を調査をいたしましたが、その際において殆んど会計検査院検査が行われていないという税務署が相当全国に亘つてつたように思います。たまたま批難されておるところの税務署は、批難事項に上つておるところの税務署は検査を受けておる。そこで一体、会計検査院が君のほうは来たか、君のほうは来なんだかということを確かめて見ると、そうすると全然会計検査院が個々の末端の税務署まで調査に来ていないというほうが相当多いのであります。又過日海上保安庁の事件が続発をして参りました際にも、運輸関係検査課長から資料を求めて見ますると、大体においてこれ又三分の一ぐらいしか実際に実地検査をやつていないというような実情である。こういうように聞いておる。又その他に各部局におきましても殆ど末端まで行届いて検査ができておるというようには見受けません。そこで検査院としては、一体現在やつておる二十四年度批難事項として挙げている七百五十件の検査批難というもの、これが全部に亘つてそうして行なつた結果出て来たものか、或いは私が今言つたように、抜き検査的なものによつて出て来たものが七百五十件であるのか。その点を一つ明確に伺いたいと思います。
  28. 綿貫謹一

    説明員綿貫謹一君) 只今の御質問にお答え申上げます。検査がどの程度行き亘つておるかという点でございます。これは只今お話のごとく、結局人と金の問題がありまして、お話のように全般を行なつて検査報告が出たとは申上げかねるのであります。大体先ず主として検査報告に出ます問題は実地検査をいたしました面が主でございます。中には書面を見まして摘発する事項もございます。併しこれは極めて全体から言つて寥々たるものであります。従いまして実地検査が主となつて検査報告はできております。細かい検査箇所を申上げますと、大体私ども検査をいたすべき箇所といたしましては一万二千前後でございます。そのうち二十五年度中に実地検査をいたしましたのが三千五百箇所ぐらいでございます。四分の一ばかりでございます。  それからなお、この際、ついでを以て行政整理の点で先ほど御質問ございましたので、自分検査院のその折衝に当りました者といたしまして申上げます。それは先ほど東条次長から二十六年度の補正予算で六十二名の減員を要請したわけであるということでございます。これはいろいろの経緯がございまして、政府で以て行政整理をやるからということで、官房長官が協力方を申出られました。書面を持つて来たのであります。それには参考として独立機関は三割ということで参りました。ところが、我々としては三割ということは到底協力することができない。それから政府部内のあれを見ましても三割というのは非常に少いのでありまして、我々としては非常に大きな割合が示されたのであります。併しこれは参考でございます。従いまして我々はこれは誠に協力しかねる、併し政府の方針としておやりになるのであるから、全然協力せんというわけには参りません。できるだけ御協力申上げて行くというところに持つて来ているのであります。実は話は前後いたしまするが、各省は各省設置法がございまして、法律定員をきめております。私のほうは会計検査院規則で以て定員を定めておるのでございます。従いまして定員法律上は定まつておりません。主としてこれは予算で抑えられる形になるのであります。会計検査院規則で定員を定めておりましても予算がそれだけもらえなければ実行不可能ということになりますわけであります。そこで大蔵省側からその後一割五分余の削減を要求されましたのであります。これは予算上それだけ積算する、予算でそれだけ積算するから承知してもらいたい、こういう話であつたのであります。併しながら私としてはそういうことでは検査はできなくなるということで、再三大蔵省と交渉いたしまして、まあ各省並のと申しますか、先ほど申しました通り私のほうの現在の定員が千二百二十五名でございます。その一割百二十四名、一名欠けますが百二十四名というところまで私のほうとしてはぎりぎりで、実はこうまでしてはどうかということまで考えましたのでありまするが、大蔵省でも予算上そう積算するのだというお話でもございましたし、結局百二十四名というところ、そのうち年度内半分ということで先ほど御説明のあつた六十二名ということになりました。それから先ほど大蔵省東条次長からお話がありましたように、管理要員を専らやつたというお話でございますが、これは私のほうとしては管理要員としては約二割近いものでありまして、検査要員のほうで約一割弱なのでありまして、結局政府部内とほぼ、と申しますか、やや似たところで承諾と申しますか、予算にそういう積算をするということに大蔵省の御了解を得たわけであります。我我としても実は二十七年度予算としては三十一名ばかり増員を要求のつもりであつたのであります。これは御承知の通り単に検査だけでなしに、予算執行職員等の責任に関する法律、これで予算執行職員等が不正な、国に損害を与えた場合に弁償を命ずるということを検査院仕事に命ぜられておるのでありますので、その法律に基く仕事や、各般の何かございますので、どうしても人が足りないということで、実は二十七年度の予算としては増員を要求するつもりであつたのであります。従いましてこれは一応私の考えといたしましては一応二十六年度の予算としては政府の御方針によつて御協力申上げて、一応は別といたしましても又二十七年度の予算としては改めて大蔵省の御了解を得て、予算上の増員が可能であればやつて頂きたいという考えを持つておる次第であります。先ほどの御質問に関連いたしまして申上げます。
  29. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで大蔵省に伺うのですが、大蔵省では一律に行政整理を三割なら三割と、まるで馬鹿の一つ覚えのように何でもかでも、味噌も糞も一緒くたにして、減せばいいと、六十人でも百人でも削ればいいと、こういう考え方なのか、それともやはり国に損害を大きく与えるという者を防止するための措置となり得るものであるか、それとも逆に殖やしてもいいという考え方を持つておるのか、この点について先ず承りたいと思います。
  30. 東条猛猪

    政府委員東条猛猪君) 今回実施されました行政整理の率は、只今お話のようにすべてが何割という一律のものではございませんで、事務の内容機構内容に応じまして異なる率が適用されております。それから私どもといたしましては何もかにも一律の率をとつてやるということは右申しましたような、実際そういうことも行われておりませず、又そういうことはやるべきでないと、併しながら機構簡素化人員簡素化ということはできればやはりこれは行うべきものである。と同時に、お話のございまする国損如何に防ぐべきか、不正を如何に絶滅すべきかということも併せて考えなければならないことであると考えております。
  31. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 国損の防止をするためには必要な経理であれば、それは合せて考えねばならないということであるなれば、今お聞きのように会計検査院の二十五年度の検査をやつておるだけですらも十二分に行き届いていないということを言つておられる。又我々国会が現地において調査をいたしました結果からいたしましても、十二分でないということ又あなたのほうが私のほうにお出しになつた昭和二十五年度において実施した会計法第四十六条の規定に基く監査の結果不適正と認められた経費の主な事例について」というもので、ここに報告が参つておりますが、この報告の中を見て参りますると、二十三年度或いは二十四年度或いは遠くは二十二年度に至つたもののいわゆる不正事項大蔵省として摘発され報告をされておるのです。ところがこれらの事項に対しましては、それは会計検査院批難に載つておりません。会計検査院が洩らしておるのであります。言い換えるならば、この会計検査院が洩らしておるということは、これはやはり手が足りないという悩みを物語つておるものでなければならないと思うのであります。そのように現在のこの二十四年度の報告に出て参りました計数から言いましても、是正をされたところの……不正支出の批難から是正をされましたものだけでも十九億一千九百五十一万五千五百十二円というものが会計検査院の今の足りない数でですよ、これが是正をされておるのであります。そういたしますると、今会計検査院から、あなたもお聞きになつてつたでありましようが、この四分の一強に当るところの実地検査実情を倍化したならば一体是正されるものがどれだけできて来るか、又最近やかましく言われておるところの国費濫費というものがどれだけ防げるかということを考えてみますときに、あなたの言われるように人員を削減し、或いは予算を削減するというような理論的根拠は出て参らないかと私は考えるのでありますが、大蔵省としてはその点どうお考えになつておるか、御説明を願いたい。
  32. 東条猛猪

    政府委員東条猛猪君) お答え申上げます。私ども従来会計検査院と毎年度予算の御相談をいたします場合におきましては、勿論人員にいたしましても、旅費その他の経費にいたしましても、検査院の御要求に完全に副い得たとは思つておりません。ただおこがましい申し分でございますけれども、できるだけ一定の人員なり一定の経費で効率を遂げて頂きたい。で、これは会計検査院の御職掌ではありまするけれども検査方法でありまするとか、そういう点についても又いろいろと御検討を願いまして成るべく効率を挙げて頂きたいという観点から、毎年検査院の御要求に対しましてあえて一部削減をお願いいたしておるような次第であります。只今仰せのように勿論検査院人員、旅費を増額いたしまするならば、それは検査院検査件数にいたしましても、範囲にいたしましても拡がりましようし、その結果公務員が行なつておりまするところの不正事件はより数多く、これは検査でございますからやつてみなければわかりませんけれども、今の計数の常識的な判断といたしましては、不正事件はもう少し上るということは、これは事実だろうと思います。ただ私どもは従来行なつて来ておりますることは、成るべく少い人員で以て、成るべく少額の旅費で以てできるだけ効果的に検査をお願いいたしたいと、こういう趣旨を以ちまして従来とも検査院とは御相談をいたし、又明年度以降も御相談を重ねる、こういうことになろうかと思つております。
  33. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今年度はそういうことですでに大蔵省予算としてもう御決定に相成つておりまして、如何ともいたし方がないと思うのでありますが、少くとも我々委員会といたしましてはそういう点を考えまして、でき得る限り行届いた検査をし且つ未然にこういつた事項を発見し、是正せしめることが最も今のこの現状に鑑みまして緊急な要務でなかろうかと、こう考えられるのでありますが、大蔵省としては来年度予算からは十二分にこういつた点を考慮に入れてですね、主計局としては検査院とよく一つ話合をして十二分にそういつた我々国会の意思が反映され且つその結果年々激増して行くところのこういつた国費濫費を少くすると、こういう考え方に沿つて頂きたい。こう思うのでありますが、その点について明年度からの今後のお考えについて一応承りたいと思います。
  34. 東条猛猪

    政府委員東条猛猪君) お答え申上げます。本日当決算委員会カニエ委員からそういう大蔵省に対する御注意なり御要望のございましたことは、十分私ども上司にも話をいたしまして、来年度以降の予算の事務的作成に当りたいと思います。ただお言葉を返すようで恐縮でございまするが、冒頭申上げましたように、私ども会計経理紊乱件数を少くせんがためには、各方面でいろいろの対策を講じなければ、ならんというふうに考えておる次第であります。二十七年度予算は、カニエ委員御承知の通り講和条約の発効に伴いまして、今までの歳出予算には見られなかつたような性質なり或いは金額の新たなる経費の必要性がまあ必然的に出て参ると思つております。一面国民負担の観点から明年度の予算は、本年度の予算と大差ない金額にとどめたいという大方針もとられておる次第でありまして、その意味合に基きまして一般の普通経費、既定経費の系統におきましては相当の圧縮を加えざるを得ないというような情勢に立至るのではなかろうかと私ども存じておる次第であります。本日の御注意は有難く拝承いたしまするが、全般的に明年度予算の置かれておりまする立場なり、又各種経費が節約を加えざるを得ないという情勢にございますることもすでに御承知のことではございまするが、何とぞ御了承を頂きたいと思います。
  35. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ちよつともう一言附加えて御質問申上げておきたいのですが、来年度の予算においては今言つたような御事情もわかるのでありますが、併しながらこのままでこういつた状態で置きますと、恐らく私は来年度の決算批難はこれ以上増加して、全く持ちも下げもならないような事態に追込まれて行くのではないか、こういうことを実は憂慮しておるのであります。従つて私が今日大蔵省に対して申上げますことは、非常に国の予算の遣り繰り上非常にむずかしかろうが、会計検査院予算を倍にしても一億や二億であります、従つてこの一億や二億の予算を盛ることにおいて何百億というところの国損が防げるというのであれば、他の予算を削つてでもそうすべきでないかということ、その点については一体どうお考えになるかという点と、それからもう一つは、ただ会計検査院拡充強化だけでこれは防げるとは思えないということはあなたが申された通り私も同感であります。併し、そうかといつて今ここでこういつた乱脈な状態を防ぐのには差し詰め会計検査院拡充強化をやつて末端までの検査を充実するという以外には適当な差し詰めの方法として見当らないから、私はさように申上げておるのであつて、勿論各所におけるところの事故監査或いは又それぞれの出納管理に対するところの経理の知識の普及、質の向上ということもこれは勿論必要であります。併しながら差し詰め、とにかくそうするよりほかに途がなかろうかということ、この点についてもう一度よく一つどうお考えになつておるかということと、それから若しも私が今申上げましたことが大蔵省において実行なされずして、私の言いましたような結果が、事態が今後一年後において又ぞろ生まれて来るということに対するところの、大蔵省予算を編成される立場の主計局責任のほどを、一年以前の今日から一応その決意のほどを承わつておきたい、こう思うのであります。
  36. 東条猛猪

    政府委員東条猛猪君) お答え申上げます。重ねて同じことを申上げるような結果になりまして大変恐縮でありまするが、勿論会計検査院機能が充実いたされまして、いろいろの不正事件その他がはつきりいたしまして、一般の会計職員、一般公務員の大いに反省、粛正に資するということになりますれば、それが延いては国損の防止に役立つということはお説の通りであると思います。ただそれが金額的に二億が倍になつても、それが何百億を賄うではないかというような計数上の問題に亘りますると、これは又いろいろな見方、考え方もある問題でありまして、計数的にさような原因結果、かく相成るというような御高説でございますと、どうも私ども計数的には必ずそうなるかという点につきましては、今少しく勉強さして頂かないと御答弁できかねるかと思います。それから若し主計局或いは大蔵省検査院の増員なり、経費の増額を認めないと二十五年度の決算は非常に殖えるぞ、そのときの責任をどうするのだという御趣旨のお言葉であつたかと思いまするが、これ又お言葉を返すようでありますが、来年度予算如何にかかわらず、二十五年度の決算に含まれまするところのいろいろの不行届き、不正事件といいますものは、いわば検査院が事後的に監査なされる問題でありまして、二十七年度以降の予算がどうなつたということと、必ずしも二十五年度の批難事項件数が殖えたということとは直接の繋りもないかと心得まするので、この辺のところは又来年度以降、予算がこうなつてけしからんというお叱り、御注意は私どもその都度頂戴をいたしまして、常に反省を重ねたいと存じまするので、余り直接予算編成の金額の問題と過去の不正事件件数の問題と結びつけまして御注意を頂かないように、その辺のところは御了承頂きたいと存じます。
  37. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この点についてはもう少し質疑が残つておりますが、時間も何でございますから、他の委員からも御質疑があろうと思いますので、なお大蔵大臣出席官房長官出席を求めて一応又はつきりしたいと、こう思つております。
  38. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 承知いたしました。ほかに御質疑ありませんか。……ほかに御質疑がないようでございますれば、総体的な質問は一応これを以て終了したものといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 御異議ないものと認めまして、総体的な質問は一応これを以て打切りたいと存じます。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 管財局長見えておるそうでありますから、管財局長に対して少々この際承わつておきたいと思つております。
  41. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) ちよつとカニエ君に御相談申上げるのですが、今総体的な質問は一応打切ることになつておりまするので、ここらの意味をお含み下さつて、適当に御質疑を願いたいと思います。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二十四年度の審議に入る劈頭でも結構でありますし、今でも、どちらでも結構であります。
  43. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 局長さんどうです、折角お見えになつたのでありますから……。
  44. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 総体的の御質問でしたら私のわかる範囲でお答えいたします。
  45. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは一応打切りにはなつておりまするが、そのほかの意味において質疑を願うことにいたしまして、カニエ君の発言を許します。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二十三年度の決算においても、二十四年度の決算におきましても、同じような傾向があるのでありますが、国の財産が管理をされる、この点について金銭におけるところの出納に対しては、各省庁ともなかなか重要視されておるようでありますが、一つこれが物に変りますと、物品に対するところの経理というものが極めて不正確である。従つて公団等による巨額な不正のできて参りまするのも、これらの経理の法的規定が十分でないために、かような結果になるのではなかろうか。極端に申しますると、紙一枚にいたしましても、鉛筆一本にいたしましても、国の財産を消費するに当つても、国の財産を処分するにいたしましても、物品に対する観念というものは極めて薄いと思われるのであります。この点について、大蔵省ではどういうように考えておられるか、又これに対して今後何とか一つ方法があればこういうような方法考えておるということを早急にお聞かせ願いたい。その前において、私が今言いました物品に対する観念というものが極めて各省庁とも薄いという点は、一体どう考えておられるか、先ずこの点から一つ説明願いたいと思います。
  47. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 只今カニエさんからの御発言、私も同感のところがございます。金銭会計につきましては極めて微細な規則がございますが、物品会計につきましては比較的金銭会計ほどなかなか緻密な仕組みができておらん。物品会計規則或いは国有財産法というもので処理いたすのでありまして、法規自体がなかなか金のバランスを合せるより、物のバランスの合せ方がむずかしいものでありますから、法規についても私は若干の欠陥があると思います。尤も只今お話の出ました紙とか、筆とかいうものになりますと、これは物品会計規則で処理されて、私のほうが国有財産として処理をいたすものと、いささか違います。そのことは別といたしまして、国有財産法で処理される国有財産につきましても、私はあなたのおつしやることを率直に認めます。ただこれについて是非御同情、御理解を頂きたいのは、今大蔵省で国有財産として処理いたしますものは、終戦後陸海軍の消滅に伴いまして、非常にどさくさの間に、一時にそれらの財産を大蔵省が引受けた、引受けたと申しましても、通常の国有財産法で規律されるように引渡官庁と引受官庁が帳簿により或いは現物により、帳簿通りの引受けをしたのではなしに、何ということなしに、陸海軍の物が流れ込んでしまい、その間占領軍が来られて旧軍用財産というものはミリタリ・ターゲツトといいますか、占領物件であるというようなことで、国の財産関係が眠らされた状態にある。所有権は国にあるけれども、実際占有権は国にはないというようなことで、進駐軍からしまいには極めて正規な形で引継ぎを受けましたが、初めのうちはどさくさ紛れに返還された物もある。而もその間旧陸海軍等の財産の責任者等がまだ若干残つておりまして、それらが旧肩書を以て現地の人々に管理をいたさせたといいますか、使用さしたといいますか、そういうような形で、すでに国民が入り込んでおる状態で国有財産は大蔵省で管理をしなければならない。又、大蔵省が引継ぎましたものにつきましても、当時、大蔵省はそういう財産を引受け処理する機構を持つておらなかつたために、一時地元の公共団体等に取りあえず管理を委託しておつた。こういうような状態で出発をいたしまして、ここ三、四年の間に逐次その整理をいたして参つております。さような状態の下に、会計検査院批難事項等につきましても、国民或いは企業が現実に使つているにかかわらず、貸付料を取つていないとか、その処理に怠慢であるというような非難をたくさん頂いておるのでありますが、これらは皆あとのことでありまして、右申述べますような事情の下にありまして、当初から整理ができなかつたあとでこれを売払います際に、国有財産法の規定或いは会計法規定によりまして、売払代金を取るほか、遡つてその間の無権限に基く使用の代償として弁済金をあとから取つて参る。こういうような状態で、貸付せざるを得ない面がたくさん出て参つております。私どもの心構えとしては決してその金銭会計よりも物品会計をおろそかにするという趣旨でございませんが、今申すようなことの性質と事情の下に、だんだん御非難が殖えておることを遺憾に私は思います。なお又、国有財産の今後の処理といたしまして、これは私或いは個人の考えかも知れませんが、私が局長でおりますれば、私はこれは会計法等の規定に載せまして、一銭一厘も間違いなく財産的に処理することは、勿論私はいたしますが、それよりもこれは大蔵省が預つている物は、仮に大蔵省が預つているだけで、決して大蔵省がプロパーの財産として、或いは別の行き方として国庫の余裕金、或いは歳入歳出のごとく処理すべきものでなく、国民経済全体或いは社会経済全体として最も適当な活用者が現われるまでの間管理をしておるのであります。これは単に民間の私人、企業等を指すのではなくして、公共団体等の間に、公共団体の固有事務に関連して国が一時、私が申す意味で預つている財産は、或いは公共団体の管理に移したほうがよくはないか。大蔵省が専ら財政的見地のみに立つて、相手が公共団体であつて、而もその目的が公共団体の固有事務のために用いるものであつてもこれを時価で売る。その時価の売り方について高い安い、又その代金の納め方について会計検査院非難事項に載つておりますが、相手の公共団体が金が納められないために、我々が怠慢であるという結果になつて、我々が非難されておるのでありますが、それらが公共団体の固有事務に関係あるものは法規の改正をいたしまして、公共団体に管理を移そうというやり方で以て、現在大蔵省が扱つている事務もその大部分は十分かたずいておりませんが、それらを正当な団体に活用を認めて行く。こういう方向に持つて行くべきではないかと思つております。なお、立ちましたついでに申上げますと、例えば学校とか或いは住宅等につきまして、公共団体が学校、住宅を経営いたします場合には、財政面におきましては公共事業費の補助がございます。六三制に対する半額補助、或いは公営住宅に対する半額補助というようなのがありますが、これは国有財産法上処理いたします場合には、ついこの間までは国有財産を学校目的或いは住宅目的に売る場合においても別に割引補助の規定はない。先般の改正で四割引という規定が設けられました。併しその四割につきましても飽くまでも旧軍用財産を学校目的或いは社会事業目的に使う場合は四割引、住宅についてはまだその規定はございません。旧軍用財産でない裁判所或いは官庁のあとを、学校の目的に使う場合にはどんなにその公共団体が学校の建物に困つてつても別に割引はないという形になつております。これは一方公共事業費の補助と調整をとつて行かなければならないが、同じ思想を以て公共団体の固有事務に使うものは、学校であれ、住宅であれ、社会的の施設であれ、その他の施設にしても、何らか公共団体の固有事務と関連して、公共団体に渡すというような方法をとつてもいいのではないかというように私は考えております。それらの考えを通じまして、現在非常に厖大且つ雑多な財産を専ら大蔵省が財政的見地に立つてやる、我我が皆さんの非難をこうむりながら一銭一厘間違いなくやるということが能でなく、今申すような本来の使命に乗せてやるということに努めて見たいと考えております。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 物品経理に関するいろいろな法令の整備でやる、そうしてもつと現実に即して法令を改正する必要があるかないか。こういう点についてはどういうお考えを持つておりますか。
  49. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 一般の物品会計規則でほぼ十分であろうと思います。金銭会計の関係は、私はそのほうの担当ではありませんのでよくはわかりませんが、物品会計規則というものは物品の取扱に関する限りにおいてまあよくできているのではなかろうか。国有財産等を処理いたします場合には、これは一般会計法、会計規則の、現金化する場合には適用を受けるのでありまして、専ら改正をするとすれば、私は先ほど申しましたような意味において国有財産法自体を改正いたしまして、或いはそれらの臨時特例等を改正いたしまして、大蔵省が仮に預つている国有財産を、正当であるべき使用者に最も合理的に持たせるというふうに改正をする必要が多々あると私は考えております。なお又、先ほどお尋ねがありました公団の処理でございますが、私どもの立場からいたしますと、これも又、現在の私どもとしては誠に苦しい事情にあるのでありまして、公団の処理を受継ぎましたのは、公団の解散になりましたあと大蔵省がこれを受継いで、大蔵省の官吏のうちから清算人を命じて、精算の処理をやつておるのであります。清算の段階においては事すでに遅いのでありまして、清算を結了いたしますために、過去に公団が活躍しておつた時代のいろいろな混乱が専ら精算機関に集まつて来ておるというようなことのために、ここにいろいろな問題が出て参つております。なお又、公団等の売渡債権の代金の処理に関する法律規定というものが、私の考えによりますと十分できておらない。租税その他の徴収権に関しましては国税徴収法その他立派な徴収法規ができておりますが、そうでない国の公団の売渡債権その他の私法上の債権の処理につきましては、必ずしも十分な規定がないのであります。これらの規定は、一つ今後私ども勉強いたしまして何らか整備した法制を作る必要があると、かように考えております。
  50. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから、今お尋ねしたのは大蔵省ですが、出されておる書類の中の「会計経理の適正化について」というところで、「四、その他」の第二項に「物品経理の適正化を図るため、早急に関係法令を整備すること。」というようなことが出ておりましたので、どういつた考え方大蔵省は持つておるのかという、こういつた点について伺つて見たわけですが……。
  51. 平井平治

    説明員(平井平治君) お答え申上げます。物品のこの経理でございますが、金銭会計それから国有財産関係につきましては、まあ法律ができまして一応整備されておるのでありますが、物品会計につきましては、    〔理事仁田竹一君退席、理事カニエ邦彦委員長席に着く〕 今のところ法律がございませんので、物品会計規則という規則によりまして取扱われておるのでありますが、物品会計規則は非常に昔のものでございまして、非常に不備であります。例えば国有財産については大蔵大臣がこれを統轄して見ておりますけれども、物品会計については大蔵大臣がこれを統轄しておりませんし、その経理の統轄というような点が極めて不備な恰好でありまするので、これも予算執行の適正化の見地から物品経理については物品会計規則を作ろうと思いまして、只今一度原案ができましたのですが、まだ国会に出す段取りになつておりませんが、この次の通常国会には出すように折角勉強中でございます。
  52. カニエ邦彦

    理事カニエ邦彦君) そこでこれはお願いしておくのでありますが、只今説明になりました案ができますれば、早急に委員会のほうへ一つ資料でも参考書でも結構ですが、お出しを願えたら結構だと思います。
  53. 平井平治

    説明員(平井平治君) 大体案が内部でまとまりましたら御提出いたしたいと思います。
  54. カニエ邦彦

    理事カニエ邦彦君) それから管財局長にお尋ねするのでありますが、国有財産の管理が、これはいろいろ人員等の御都合がありましてなかなか十二分に行つていない点もあろうかと窺えるのであるが、併し非常に杜撰なというと、言葉が極端かもわかりませんが、十二分でないように考えられるのであります。例えば終戦によるところの旧軍用財産の管理、機械等の管理においても、非常に盗難、或いは又その他の不正による搬出というようなものもしばしば報告されておるので、こういつたものについては、十二分に一つ何とか考えなければならんと思うのでありますが、どういうように一体対策を差しずめ考えておられるのかという点。それからもう一つはこの前も何かの機会に伺つたのでありますが、雑種財産と言いますか、普通財産と言いますか、極めて細かい財産が、それが各府県の財務局あたりで帳簿は成るほど持つておるのです。ところがその帳簿を調べて見ますると、個々の、一つ一つに当つて見ると、その帳簿を持つておる財務局当局も、その物がどこにあるのか、どんな現状にあるのかということを確かめて見たことがないというのです。甚だしいのになりますと、国有財産であつて、確かに何町何番地に何坪の国有財産があるにかかわらず、現地に行つて見ますると、どう探してもそれらしい物が見当らない。よく調べて見ると、その近隣の者がそこにもう十数年も家を建てておるというような事例もあるわけなんであります。これでは全くその国有財産の管理とは名のみであつて実際十二分な実態がつかめていないのじやなかろうか、こういう点についてはどう一体考えておられるのか、一つこの際承わつて置きたいと思います。私のこれは考えですが、こういつた物は、国が持つてつても必要でないというものであれば、もつと早く処理をして、売払うものならもうどしどしと時価の適正価格において希望者に売払つてしまえばいいじやないか、そして帳簿を整理してしまえばいいのじやないか、こういうような考え方を持つておるのでありますが、そういうことであれば一つの方針を立てて早くこういつた物を整理をせなければ、年がたつに従つてますます明確さが失われて行く。従つてその存在があいまいになつて来る、こういつた点が考えられるのでありますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  55. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 御尤ものお尋ねでありますが、私は只今委員長がおつしやるほどひどい状態でもないと思うのであります。何と言いましても人が足りないのは事実であります。私は局長をいたしまして人の足りないことを言い分にいたさないつもりであります。なお且つ行政整理がありましても、管財職員につきましても相当大幅の減員をいたしますが、これについても別段苦情を述べるつもりはございません。この御質問に対するお答えとは逆になりますが、私の考え方といたしましては、委員長が最後におつしやつた処分していい財産は速かに処分する。処分するにいたしましても財産も人間もこれは共に国の所有なり国の職員の中から切つて捨てる、是非そうしたいと思つております。いわば私は管財局長でありましても、私はできるならば臨時管財局長であつて、臨時にこういう職にあるのだ、速かに財産の適正なる所を得しめた後には、大蔵省に管財局がなくても済むように私は私自身もいたしたいし、管下の職員にもそのつもりでやらせるように最近は努めておる、これが真の私の心境でございます。初めに戻りまして、いろいろの財産に関連して不正も出て参りますし、帳簿と実在とが必ずしも明確でないというお話でありますが、今日不正事件が起つておりますものは、本来の国有財産というものは殆んどございません。本来の国有財産として大蔵省が管理すべきものは大体土地、建物、完全な機械、或いは船舶等、こういつたものでございますが、先般もちよつと関連して申上げましたように、軍から引受けました工廠等の中には国有財産であるもののほか、国有財産でない半製品であるとか、原材料であるとか、スクラツプであるとかいうものがたくさんございます。これらは帳簿に載つておりません。ただその軍工廠の構内を全体として大蔵省所管する上に便宜上それらの半製品、スクラツプは大蔵省が所持するのが適当だということでやつておるに過ぎません。尤も暫らく前まではそれらの中の或るものは特殊物件と称しまして、旧内務省、引続いては建設省等が所管しておりました。なお今日でも旧軍工厰、或いは法律上の国有財産である構内以外にあるそれぞれのスクラツプ、埋蔵物件等は現在でも建設省が各府県をして処理せしめておるのでありますが、これらは曲りなりにも大半始末がついたのでありましよう、従いまして建設省の特殊物件の整理は大体終つておりまして、或いは工廠の中にスクラツプとか、或いは壊れかかつた地下のパイプであるとか、帳簿にないものが多いのでございます。これは大蔵省が便宜払下げをいたしますと、これは大変申訳ないのでありますが、払下げした物を、業者が動き出した場合に、帳面に載つておる物でその辺にある物を、一緒にトラツクやリヤカーに載せて、ひそかに守衛等と共謀したり、或いは守衛等をごまかして運び出す場合がしばしば最近各財務局に起つております。これも又、言い訳にならないのでありますが、財務局のほうではわからん場合が多いのであります。帳面に載つてつて帳簿と現物を引合せておるものでございませんので、それはむしろ町のほうで何台かのトラツクでスクラツプ等を屑鉄屋に売渡した。それは大蔵省の財務局から確かに売渡したものであるかどうか、こういう調べ等が参りまして、それはトラツク何台何トンを売渡したということで差額が出て参る。然らば一台何トン超過ということになりまして、外のほうからその尻尾が出て参つて、かくなる上は私ども責任を逃れるわけには参りませんので、結局それは不正搬出だということで、所在のスクラツプやパイプ等が露見された。そこで私は又一、二工厰等を見て廻つたこともありますが、やはり所々にスクラツプ類似のものがたくさんございます。どうして早く売らんか、スクラツプの値段というものは高かつたり、安かつたりするので、時価で売つたらいいじやないか、今日時価と申しましても大体市場価格で相場はきまつておりまして、大蔵省がやかましく入札しましても、大体スクラツプならトン一万四千円とか、高い場合は二万五千円とかきまつておるので、そう十人も二十人も連れて来て入札の手続のなかなか人の確保できない場合には、見立売りと言いますか、そういうことをやつてもいいじやないかと、私は思うのです。又、法規には違反のようでありますが、やつぱり入札ということでじわじわ片付けておるために、まだいろいろ残つておるようでありますが、私はそれが頭痛の種になつておりますが、何とか早く処分をしたいと思つております。尤もこれを会計手続違反のこともできませんが、他面今日、日本は製鉄何百万トン計画というものをやつておりまして、外国に対する鉄製品の輸出等におきましても日本の鉄が高過ぎる。これは外国から原材料を運んで来るために、石炭なり或いは鉄鉱石が高い、それらのものが原因でありましようが、それで鉄が高過ぎるために船舶機械の輸出に非常に影響がある。その際に国が会計規則だけを楯に取つてできるだけ高くスクラツプを売るというようなことで、只今で申しますとスクラツプの価格等が一時下に下つているというのです。そこで財務当局の者は非常に会計規則に忠実に今売つては国の損になる、そこで局長はそう言われるけれども、又値が出るときに、上に上るときに入札にかければ政府の予定価格を一万五千円と置いても、先を業者は見るから一万八千円、二万五千円で落札を見る。うんと鉄の値段が下つたりしたときに、今の時価を予定価格にして入札すると、業者は先を見るから一人も落札する者がないということで、なかなか売れんということのために、そういう物が今日でもたくさんあるようであります。何とかその間の処理をいたしまして、別に委員長のお言葉に迎合するわけではありませんが、私の考えとしてはそれは早く処分をしたいと考えております。それからなお土地や建物について帳簿にはあるが、所在がわからないという例は恐らく何かの間違いじやないかと思います。そういうことは、而もこれは二十年、三十年前から帳簿に載つてつてわからんということは、ちよつと私にも解せられないのでありますが、最近具体的に聞きました例も、九州等におきまして民間の人がこれは国有財産だと言つて発見して来た。その国有財産を発見した人が何か施設を作る、或いは作りかかつたということで、自分が発見してやつたのだから俺に売れということの申出がある。ところが公共団体がそれには反対で、ごたごたが起つたような例がありますが、同じような例かと思いますが、    〔理事カニエ邦彦君退席、理事仁田竹一委員長席に着く〕 いわゆる脱落地というものがございまして、国有財産の帳面にもなく民有地の帳面にもないのだから、これは国有財産だというので、脱落地発見以来国有財産の登録をして参るこういうものが想像できます。なお具体的なものがございますようでしたら、よく調べまして、恐らくそういうことはない、そういう馬鹿なことはないように督励をいたしたいと思つております。
  56. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからこれは総括的な問題でありませんので、いずれ二十四年度決算の審議に入つてから伺いたいと思つておるのでありますが、船舶等の何は管財局で処理されておるかどうか、船舶の……。
  57. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 船舶の管理をいたしておりますが、二種類ございまして、一種類は船舶公団が船会社と共有しておりましたものが、船舶公団が解散になりましたから、その船舶公団の持分を直接国が引取つて、国と船会社と共有になつておる船舶はおおむね立派な船で走れる船でありますが、これが約三百隻、帳簿価略にいたしまして百億以上、相手方の持合いになつておる船主がこれも百会社以上、こういうのでございます。もう一つは昔の旧軍艦の沈没したものでございます。おおむね二十四年くらいまでに回収いたしまして、浮いて来るものではございませんで、沈船になつているものをその都度総司令部の許可を受けまして、沈船の状態のままで払下げをいたしております。これらは国有財産として船の台帳には載つておりません。第三に賠償の船舶に指定された船がございます。これはいずれも小さい船でございまして、軍工厰等が一括して賠償に指定されておりますが、その工厰所属の船舶で走れる船、若干毀れている船等が約千ぱいくらいございますが、これはいずれも賠償指定のインベントリー・ナンバーがついておりまして、賠価指定解除を待ちまして、これは遊んでいるわけではございませんが、賠償指定のままおおむね海上保安庁が一時使用しておつたり、或いは民間の造船業者等が一時使用しておりますから、現在使用している所に優先払下げということになろうと考えております。
  58. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで先ほど管財局長から話されたように、国有財産として帳面にも載つていないようなスクラツプ、沈没の艦船や何か、これは一応帳面に載つておると思うのですが、いずれにいたしましてもこれらのものを早く処分をせずに、そこに長く置いておくことにおいて、そういうもろもろの不正な間違いが出て来るのではなかろうかと思うのです。例えば山口県沖にあります戦艦陸奥のごときものも非常に地方の警察或いは又国警等でいろいろな捜査が行われ、事件が起きておるようでありますが、これについては又次の機会に詳しく一度伺いたいと思つておるのでありますが、ともかくかようなものが処分をされずに置いておくから、なお更甘いものに蟻がたかるようにたかつて、そうしてとんでもない不正が行われるのじやなかろうか、こういう点について大綱の方針としてどういう考え方で処理されるのか、この陸奥のごときも一体いつまであそこに放つて置くつもりなのか、この点について伺いたい。
  59. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) それは今カニエさんが御不在中だつたかと思いますが、私の管財局長としての考え方、方針を詳しく申述べたのでありまして、御説の通り全く賛成でありまして、私はできるだけそういうものは早く処分する、処分を早くして……、私は現在臨時局長のつもりでおるし、財務局というものも臨時財務局のつもりであつた。ああいう財産を一生懸命引張り合つて楽しむということは決してあつちやいかん。我々の仕事は片付けるための仕事だと思つてつております。私まだ着任しても日も浅うございますが、その方針で任せて頂いております。ただそこにさつきから問題が出ます会計規則であるとか、或いは会計検査院批難事項が実はいろいろ出て参るのでありまして、スクラツプ等につきましても、むずかしい指名競争入札或いは一般競争入札ということで、面倒な手続を踏んで来なければならん。併し私が先ほど申しますように、スクラツプというものは大体時価があるのですから、簡単に売つて差支えないのじやなかろうか。市場価格で一万四千円のものを、国が財政利益を追求して一万八千円で売ることが、果してそれが国家の大局から見て利益でありましようか。日本の国の鉄が高くなるだけであつて、安くてもいいのじやないかという気がいたすので、私が余り会計規則の詳しいことを存じないためかも知れませんが、今のような財産と取組んで不正事件を出したり、国の資材を眠らせておくよりも、少々簡易なる手続を以てしても、できるだけ早く処理すべきであると考えておりますので、そのようにやらせるつもりでやつております。陸奥につきましては、これはあなたに誤解があるのでありまして、これも私が先ほど申上げたことと関連するのですが、陸奥は大蔵省が引受けて国有財産としております。これも正式には国有財産ではございません。帳面には載つておりません。ところが陸奥に積載してある砂糖ですとか罐詰ですとか、そういうものは建設省の所管であるということで、これは建設省は各県を使うのですが、山口県知事をしてその積載物件の売払を契約さしたらしいのです、一昨年ですか昨年ですか。ところがそれを契約した者が沈んで行つて、単に積載物件を引揚げるにとどまらず、海の中のことでわからないから、どこか相当尻尾の部分を剥して、スクリユーをひつ外したり、或いは艦隊の一部分を撤去した。艦隊の中には、これはスクラツプですと値段も張るものでないでしようが、非鉄金属がたくさんあるらしいのです。そういう高い部分を壊して引湯げてしまつたということで、その面から刑事事件が起つておる。大蔵省がこれを売りますときは、全然その状態を見ずに指値をつけるというわけには参りません。予定価格を持たなければならない。そのためにはサルベージ業者等を沈めて、地方の財務当局としては、大体これはこういう状態にあつて鉄が何トン取れる、従つて総価値は幾らという、それのサルベージの費用といいますか或いは、沈んで行く費用というものは、どのくらいかかる。従つて予定価格の、つまりフロアプライスが何ぼということをきめまして入札をする。そのために、今刑事問題に関連して尻尾のほうがあるとかないとかいう問題が起りましたために、先般来何十万円とか使いましてサルベージを雇いまして中の現場調査をさせたようであります。その結果尻尾があるかないかによつて、数千万円でしたか数億円でしたか違うのだそうでありまして、その結果によつてこれは近々入札することになつております。一つこれは陸奥に限らず私ども発見次第、又個々に司令部の許可をとり次第処分をいたすつもりでおります。
  60. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは本日の総括質問に関しまする一切は、これを以て打切りをいたすことにいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時三十四分散会