○
政府委員(
東条猛猪君)
主計局次長の
東条でございます。
局長が
予算委員会に
出席いたしておりまして、伺いかねますので、代りましてお答え申上げます。先ほど来の御
質疑の模様を拝承いたしてお
つたのでありますが、
只今の御
質問にお答えいたします前に、ややそれとは外れますが、私のほうといたしまして
只今御
指摘にな
つておりますところの
会計経理の
紊乱に対しましてどういうような
考え方を持ち、
如何なる
対処策を講ずべきであろうかというようなことにつきまして、極く一端を申さして頂きたいと思います。先ほど来御
質疑のありましたことはいろいろ御尤もでありますし、
橋本行政管理庁長官からお答えになられておりましたことも、私
ども最高責任者の極めて適切なるお言葉と拝承いたしてお
つたのであります。私
どものほうも
昭和二十四年度の
決算を
国会でいろいろ御審議を頂くにつきまして、最も憂慮し又これが対策といたしまして遺憾なきを期さなければならないと思
つておりますのは、先ほど来御
指摘の
不正事件が非常に殖えており、
会計経理の
内容が非常に
紊乱を来たしておる
件数が殖えておるという
事柄であり、又この
対処策が最も我々といたしまして
考えなければならんということが、実は非常に苦慮しております
事柄であります。私から申上げるのも恐縮でありますが、こういう事態が生じました
原因はもとより
一つや二つの
原因ではなくて、相当長期に亘り又多岐な
原因に亘
つておるというふうに
考えております。物心両面に亘
つて非常にたくさんの複雑した
原因が相重なり又相伴いまして、このような結果にな
つておる。私
どもが、最近小切手の
不正事件について数十件程度の問題でありますから、それを以て全般を推すことは
如何かと思うのでありますが、犯罪人の種類を分析して見ますと、比較的年の若い人に犯人が多い。それからどういう
目的のために、この不正によ
つて得た金が
如何なる人に向けられておるかという点を調べて見ますと、直接生活の資にしたいというのも勿論ございますが、より多くのパーセンテージは遊興に充てたとか、直接の生活でなく、贅沢な面、そういうことに充てた事例があるのであります。それから
如何なる
原因によ
つて生じたかというのを見て見ますると、比較的多くは
監督者が不行届き、
監督者が行届かなか
つたという事例が多く現われております。つまり
会計経理に当りまする者の道義の頽廃、或いは官紀の
紊乱ということもございましようし、或いは最近における
一般公務員の給与水準が必ずしも十分でないという経済的な
原因ということもございましよう、或いは
会計経理に当
つておる者が比較的少数である、いわゆる手不足の
関係で極く少数の担当者ということから、
不正事件が行われるという、手不足という点もあろうかと思います。又手不足と表裏するかと思いますが、又上のほうの
監督者の目が行き届きかねているという、
監督不行届きということもあろうかと思います。又
非難すべき
事柄の
内容といたしましても、実質的には本当の
意味においてけしからんことをや
つておるということもございましようし、又先ほど来
お話の出ました形式的な手続にやや落ちているという点もあろうかとも
考えるのでありますが、勿論今申上げましたことがすべての
原因ではないのでありますが、いろいろな
原因が錯綜して参
つている。従いまして給与の問題も大事でございましようが、給与の問題につきましては逐次給与改訂も行われておる。又先ほど申上げました実例から見ましても、消費せられた
金額の相当多くが、生活費の面に向けられたのでなくて、費消せられた金はむしろ遊興とか、贅沢面に費消せられている例が多いというようなことから、この金銭面、経済面の問題もございましようけれ
ども、それが最も有力な
原因ということは申上げかねる。それから官紀の問題にいたしましても、一部において非常に頽廃した現象が見られるということは遺憾でありまするが、それらの点も逐次私
どもは改善いたしておるということを私自身は
考えるのでありまするが、まあそれに対する対策といたしましては、各
行政官庁或いは各庁で、部内のいろいろな規律を引締めることをや
つておる。例えて申しますと、
会計法規の例を申しますれば、
会計法規の
内容を十分わからせる。又再教育の手段を通じまして、官紀の粛正を図るということが行われている。それから先ほど
お話の出ました
会計法規の改正の問題でありますが、私
ども主計局におりまする者も、現在の
会計法規が形式的に過ぎておるという点がないとは存じておりません。法規の全般を仔細に
検討いたしまして、やや形式的に堕しておる。徒らに煩雑な手数をかけておるという点につきましては、再
検討の上
是正をいたしたい。それから
予算の執行にいろいろの不便を生じまするのは、裏から申せば、
予算の組み方に必ずしも
実情に副わない点がありはしないかということを十二分に反省する必要がある。つまり実行可能な
予算ということが遺憾なく行われているかどうか。御承知の
通りに単価その他に、
予算金額は
予算単価というものがありまするが、そういうものに余りに不自然な点がありはしないかというようないろいろな点につきまして、及ばずながら我々といたしましても苦慮を重ねておる次第であります。大変蛇足なことを長々申上げて恐縮でありますが、
会計検査院の問題につきましてのお尋ねの点でございまするが、過般
政府が、
行政整理の問題が行われました際に、
会計検査院に御相談をいたしまして、
一般の
行政機構はかくかくの
人員の
簡素化を行う、ついては
検査院のほうにおかれましても御協力を願いたいという趣旨のことをお願いをいたしました次第であります。その結果目下御審議を願
つておりますところの補正
予算の案におきましては六十二人の
定員の減少を
昭和二十六年度のこの補正
予算案に織込んでいるわけであります。
検査院と御相談を重ねた過程におきまして、この
人員の削減によりまして
検査院の
検査機能というものが落ちるということは非常に大切な問題でありまして、今回のこの六十二人の
定員の減少も管理要員と申しますか、つまり
人事でございますとか会計でありますとか、庶務でありますとか、そういう専ら管理要員のほうにおきましても
一般の
行政官庁と歩調を合せて削減をお願いいたしたいという御相談をいたした結果、
検査院当局でも随分と慎重に御
検討御相談に相成りまして、折角の
政府側の
行政整理のことであるから、この際まあ難きを忍んで協力をいたそうということで、この六十二人の
人員の削減が補正
予算に計上されたことに相成
つております。従いまして私
どもといたしましては、この六十二人の
人員の削減ももとより非常に困難なわけでありますので、こういう結果に相成りましたことは
検査院側の大変な御協力によることではありますが、専ら管理要員の
人員の縮減が行われました
関係上、これによ
つて検査機能に障害が起きるというようにはならないであろうし、そういうふうに是非
検査院に御尽力を頂きたい、かように存じておる次第であります。
検査院の
予算は二億円程度であると、それを思い切
つてもう少し増額をするということが適当ではなかろうか、こういう
お話でございます。先ほど
事務総長からも御
答弁がございましたのでありますが、補正以後におきまする
検査院の歳出
予算の
金額は二億七千九百六十万円と相成
つております。この
検査院の経費におきましても今回の補正
予算におきましては給与改訂その他におきまして追加すべき
部分は追加を計上いたしまして、その
金額は三千四百万円余でありまするが、特に物件費等におきまして節約をお願いいたしますものは節約いたしまして三百八十万円の減少とな
つております。その結果が二億七千九百万円にな
つておる次第であります。
検査院のこの
金額が
一般行政官庁に比べまして必ずしも多くないという点は、
一つはこの
検査院の
人員が先ほど来
お話にな
つております
人員にな
つておりますことと、
検査院の必要とせられます経費はおおむね実地
検査の旅費が、
人件費以外は実地
検査の旅費がその大宗をなしているわけであります。従いまして、その他のいろいろな事業と申しますか、そういう
事柄の行われておりますところの官庁に比べますと、この
金額は必ずしも多くはない、絶対額におきましては多くはないのでありますが、私
ども毎年この
会計検査院の
予算の
金額を
会計検査院と御相談をいたしますときには、もとより私
どもの立場上
検査院に対しまして経費の削減節約をお願いはいたしまするが、
検査に必要な旅費につきましては
検査院の御当局も極めてこの熱心な主張は当然のことでありますが、持
つております。又私
どもも経費節減が無理と存じつつも、この旅費につきましては、
検査院御当局とできるだけ御協力をいたし、又
検査院の必要な
検査には可及的
支障を来たさないような線に落ちつけたいということで、毎年御相談をや
つている次第であります。これを思い切
つて倍にする、或いは
人員を思い切
つて倍にするというようなことが果してよいかどうか、又それによりまして非常に
人員が増し、経費が嵩ばり、それだけ十分の
人員ができ、十分の
検査を実施する旅費が行われるわけでありますから、より分量におきましても、或いは又、その質におきましても従来以上の
検査が行われることは、これはもう何人も疑いのない事実でございますが、私
どもといたしましては従来
検査院にお願いいたしておりますことは、いろいろ情勢に鑑みまして、この程度の
人員を以てし、この程度の旅費を以て何とか
会計検査院としての使命を達成願いたいということで御相談を重ねたわけであります。会計
紊乱を防ぐという点につきましては、仰せのように
会計検査院の働きに待つところ多大であると共に、
政府部内におきましても、或いは予防的な
意味において、或いは事後監査的な
意味におきまして、いろいろ
政府部内自らも努力しなければならない点もありまして、これは先ほど来
お話の出ましたように、ひとり
会計検査院のみにお願いいたさず、
政府部内でも十分の努力をいたすべきものであるというふうに私
どもは見ている次第でございます。大変長広舌を申しまして却
つて失礼でございますが、お答え申し上げます。