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1951-11-26 第12回国会 参議院 外務委員会 第5号 公式Web版

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  1. 講和に関連する諸問題並びに国際情 (会議録情報)

    昭和二十六年十一月二十六日(月曜 日)    午前十時四十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     有馬 英二君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            團  伊能君            野田 俊作君            加藤シヅエ君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君   事務局側    常任委員会専門    員       坂西 志保君   説明員    大蔵省理財局外    債課長     上田 克郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件講和に関連する諸問題並びに国際情  勢等に関する調査の件  (調査報告書に関する件) ○オーストラリアマヌス戰犯者の内  地送還に関する請願(第九七五号) ○戰犯者助命等に関する請願(第九  七六号) ○全戰犯被拘禁者赦免外交措置に関  する請願(第一一七五号) ○全戰犯被拘禁者赦免外交措置に関  する陳情(第三六号) ○比島戰犯者日本内地移管等に関す  る陳情(第一七六号) ○奄美大島諸島日本完全復帰等に関  する請願(第一二四五号) ○千島列島日本復帰に関する請願  (第一一八〇号) ○千島列島日本復帰に関する陳情  (第一二五号) ○南洋群島グリニッチ島りん鉱採掘促  進に関する請願(第七八二号) ○講和後における接収地の処理問題の  請願(第一〇五六号) ○講和会議協力国代表を貴賓として招  請するの請願(第一一七二号) ○外国人登録令改正等に関する陳情  (第一一五号) ○平和外交に関する請願(第六四四  号) ○平和条約および日米安全保障条約に  関する請願(第七一九号)(第八五  四号) ○平和条約および日米安全保障条約に  関する陳情(第七五号) ○講和条約および日米安全保障条約反  対に関する陳情(第一二六号) ○盗難漁船返還に関する請願(第六六  一号) ○台湾引揚者接収財産返還に関する  請願(第八九二号)(第一一八六  号)(第一二一二号)(第一二六一  号) ○在外資産補償等に関する請願(第  七〇四号) ○在外資産補償に関する請願(第一  一〇六号) ○調整金付送金小切手の処理に関する  請願(第二〇号)   ―――――――――――――
  2. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 只今から外務委員会を開会いたします。  先ず講和に関連する諸問題並びに国際情勢等に関する調査議題といたします。本件につきましては、すでに前国会以來議長許可を得て調査に当つて参り、未だ結論を出すに至つておりませんが、今期国会における平和条約等審査の上にも寄与するところが多大であつたと存じます。一方第十二回国会の会期も余すところ僅かになつて参りましたので、一応調査の未了の報告議長に提出いたしたいと存じますが、報告書の提出を委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 御異議ないものと認めます。それではこの報告書に添附するために御賛成の諸君の御署名を願います。   多数意見者署名     徳川 頼貞  曾祢  益     團  伊能  加藤シヅエ     野田 俊作
  4. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れはないと認めます。   ―――――――――――――
  5. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 続いて本委員会に付託されておりまする請願及び陳情書を順次議題といたします。専門員をして趣意の説明をいたさせます。
  6. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) この表にあります請願第九百七十五号からであります。請願第九百七十五号、オーストラリアマヌス戰犯者内地送還に関する請願でありまして、請願者山梨中巨摩郡源村町河西豊一郎外六百八十五名、紹介議員小宮山常吉さんであります。山梨中巨摩郡源村出身元陸軍大尉飯野茂は、昭和十七年予備役にて召集を受け大隊副官として南方從軍中俘虜輸送中の責任を問われて終戰後戰犯者として重労働十年を宣告され、現在オーストラリアマヌス島において服役しておりますが、留守宅は老母と妻子の四人暮しで悲惨な生活を続けておりますから、本人が一日も早く内地送還されるように万全の措置を講ぜられたいという請願であります。  請願第九百七十六号、戰犯者助命等に関する請願でありまして、請願者山梨県東山梨郡日下部町小原、内田幾久江さんでありまして、紹介議員小宮山常吉氏であります。講和条約の調印も終了し、批准も間近かに控えている折柄、未だ外地服役中、或いは巣鴨に収容されている戰犯者及びその家族心晴は察するに余りあるものがありますから、これら戰犯者助命嘆願内地送還大赦、恩赦等寛大な処置がとられるよう取計らわれたいという請願であります。  次に請願千百七十五号でありまして、全戰犯被拘禁者赦免外交措置に関する請願請願者東京千代国区九段三ノ二清瀬一郎君、紹介議員中川以良さんであります。対日平和条約第十一条に、日本国極東国際軍事裁判所並びに連合国軍事裁判法廷戰犯に関する判決を受諾することを確認すると同時に、日本国は現在拘禁中の者の赦免申出ることができ、かかる申出のある場合は国際軍事裁判所判決にあつては同法廷代表者を出した政府の過半数により、又連合国軍事裁判法廷にあつて当該政府決定により赦免が実行できることとなつておるのでありまするから、条約批准と同時に全戰犯被拘禁者赦免のできるよう外交処置を講せられたいといろ請願であります。  次は陳情第三十六号でありまして、全戰犯被拘禁者赦免外交措置に関する陳情陳情者東京郡渋谷区千駄谷二ノ四五六、鵜沢総明外十一名であります。対日平和条約第十一条に日本国は、極東国際軍事裁判所連合国軍事裁判法廷戰犯に関する判決を受諾することを確認すると同時に、日本国は現在拘禁中の者の赦免申出ることができる規定があります。ついては戰犯被拘禁者赦免は、条約の効果の発生する日に行われるのが最も赦免の目的に沿い、且つ効果的であると考えられるのでありますから、批准書寄託と同時に条約第十一条による勧告の書面を極東国際軍事裁判所関係国並びに軍事裁判所構成国に送付して、これらの諸国が条約批准と同時に赦免決定をされるよう措置せられたいとの陳情であります。  次に陳情第百七十六号、比島戰犯者日本内地移管等に関する陳情でありまして、陳情者東京都世田谷区松原町三ノ一〇九三、横山美佐世外一名であります。対日平和条約第十一条に「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戰争犯罪法廷裁判を受諾し、且つ、日本国拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府決定及び日本国勧告に基く場合の外、行使することができない。」とありますので、内地服役戰犯者国内において大赦その他の特典の恩赦に浴し得る場合があるのでありますが、比島における戰犯者はその望みは頗る少ないのでありますから、条約第十一条を最も有利に解釈運用できるよう取り計られ、死刑囚は減刑の上戰犯囚全部内地帰還服役せられるよう取り計らわれたいとの陳情であります。
  7. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 以上五件についてそれでは説明を……
  8. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 請願戰犯者に対する案件でございますが、現在戰犯関係におきまして、十一月二十五日現在巣鴨服役いたしておりまする者が千三百八十六名ございます。外地におきましてはフイリツピンに百十三名、濠洲マヌス島に二百三十四名、この二カ所でございまするが、合計いたしますると千七百三十三名と相成る次第であります。これらの部分はいわゆる同胞でありますが、その一部分には朝鮮台湾等の人も幾分含んでおると存じます。これらの同胞軽減につきましては、この留守家族並びに国民熱望と共に政府の強い関心と、これが軽減のための処置從來ともとつて参つてつたのでありまして、從いまして、第一には外地服役同胞内地送還という点について、從來ともいろいろな立場を以ちましてこれが実現方を促進して参つたのでございます。從つて今後におきましても、この点に対しましては許されまする最大の方法を以て進みたいと存じておりまするが、現在の大よその見通しといたしましては、濠洲関係マヌス島の関係は大体近く内地送還等の明るい見通しが持ち得るのではないかと存ぜられておりまするが、マニラの関係におきましてはフイリツピン関係におきましては、この百十三名のうちに死刑執行者が六十名含まれておるのでありまするが、この六十名に対しましては留守家族等の強い陳情等もありまして、再審査を大統領によつてなされつつあるやに承わつております。表面から申しますると、これらの外地にありまする服役者に対しましては、日本政府がこれにかれこれ申出る正式な筋合いではないと存じまするけれども、併しこの点に対しましては只今申上げましたように、許されたるあらゆる方法を以て進めて参つたのでありまするが、フイリツピン関係におきましては、今後の点についてはつきりした見通しを持ち得ない次第でございまするが、この二カ所の外地服役に対しましては、今後政府は勿論でありまするけれども、從來とも国会等におきまして強い御活動を願つておりまする関係からも成果が相当挙つたことと私どもは感じます。從いまして、政府は勿論でございまするが、今後ともこの件については皆様がたの御努力をお願い申上げる次第であります。勿論政府におきましても、從來以上の方法を以ちまして進めて参りたいと存じております。内地服役巣鴨の問題につきましては、これは法務府等におきましても、平和条約発効関係いたします軽減等処置を十分とられるような具体的な方法を進める所存を以ちまして、現在検討をされておると承知いたしております。又対外的な方面におきましては、外務省におきましても関係各国との間に強い要請をいたしまして、これが実現方をいたして参りたいと存じております。
  9. 曾祢益君(曾禰益)

    曾祢益君 私この請願並びに陳情賛成でありまするから、決定をされたい。それから次に進んで頂きたい。
  10. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それではこの請願陳情は議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは御異議なければさよう決定いたします。  次に請願第千二百四十五号。
  12. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 領土に関する請願三つまとめて申上げます。  請願第千二百四十五号、奄美大島諸島日本完全復帰等に関する請願であります。請願者は埼玉県浦和市岸町六ノ九五西田当元、紹介議員前之園喜一郎氏、木内キヤウ氏、佐多忠隆氏、徳川宗敬氏、黒川武雄氏、草葉隆圓氏、石川榮一氏で、奄美大島が一日も早く日本完全復帰されるよう措置せられると共に完全復帰が実現される前の緊急措置として、一、日本奄美大島間の交通貿易の自由を認め、又、為替送金を即時実施すること、二、教育制度日本と同様充実強化し、日本への進学及び転学の自由を認めること、三、戰争犠牲者日本同様の保護を与えること、四、奄美大島特産物の輸出に対し関税をかけないこと、五、その他補助金の交付、公務員の人事交流不法入国取締撤廃等措置を講ぜられたいとの請願であります。  次は請願第千百八十号、千千島列島日本復帰に関する請願であります。請願者北海道議会議長蒔田余吉であります。紹介議員有馬英二氏、木下源吾氏、東隆氏、堀末治氏、岡村文四郎氏であります。日本は、平和条約第二条C項により千島列島に対する主権放棄したが、同列島歴史的にも国際的にも我が国伝統的領土であることは全世界の公認するところであるから、同列島日本復帰に関して適切有効な措置を講ぜられたいとの請願であります。  次は陳情第百二十五号であります。千島列島日本復帰に関する陳情陳情者北海道知事田中敏文ほか二名であります。日本国平和条約第二条C項により千島列島に対する主権放棄したが、同列島歴史的にも国際的にも日本国伝統的領土であることは全世界の公認するところであり、我らの祖先が長きに亘る血と汗の努力によつて開拓した日本民族伝統的領土であるから、これが復帰に関して適切有効な措置を講ぜられたいとの陳情であります。
  13. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 以上三件を一括いたしまして、政府当局から何か……
  14. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 奄美大島諸島日本完全復帰に関しまする請願につきましては、趣旨誠に同感に存じます。実は北緯二十九度以南平和条約第三条によりまして分離地区と相成つておりまするが、併しこの地区におきまする主権並びに国籍等日本にあるものといたしまして、今後交通の問題、為替送金の問題、教育或いは産物等の交易の問題等におきましても、十分現在の住民の意思並びに請願趣旨を体しまして、今後折衝を続けて参りたいと存じております。  又千島列島日本復帰に関しまする請願は、これは平和条約におきまして、この領域の権利、権原、請求権日本放棄をいたしたのでありまするから、從いまして平和条約における日本立場といたしましては、これらの今後の帰属の問題は日本政府の容喙すべき立場にはないと存じております。但し千島列島歴史的な、或いは地理的なあらゆる観点から、從來何らこれは日本が略奪し、或いは奪取したような地域ではなしに、歴史上からも日本領土でありましたことは、サンフランシスコ会議におきまする吉田首席全権から日本人としての心情を縷々申述べた通りであります。從いまして平和条約におきましては、これらの領土権放棄をいたしましたものの、今後におきまする千島列島に対しましては、歴史的には只今申上げたような状態である次第でございます。  以上を以ちまして、請願に対します政府の見解を申述べた次第でございます。
  15. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 只今政務次官の御説明で、これらの奄美大島及び千島問題につきまして、この請願決定いたしまして、内閣に送付することは賛成でございますが、この際に政務局長からも御説明を承わりたいと思いますが、只今政府次官お話で、吉田首席全権からもこの問題は講和会議において表明せられたということを承わりました。外務省においては、この問題につきましてはすでに米国その他各国にその從來の経緯につき御説明になつておるというお話は承わりましたが、事実只今政務次官の、この請願にありますように從來千島列島、殊に千島列島帰属歴史的根拠条約関係等は甚だしく説明されていない状態にあると思います。各国議会におきまして、只今批准に関していろいろこの問題が取上げられていると思いますが、これらにつきまして少くとも日本がこれに要求をするという立場ではないとしても、これらの歴史的な基礎について十分なる説明を徹底するような努力をしておられますか、その点について承わりたいと思います。事実この問題は非常に複雑な問題でございますが、これらの基礎となるものは安政元年神奈川条約とか、明治八年の交換条約とかいうものがはつきりと認識されることが、これに対する各国意見の立て方の基礎になるものと思いますから、これらの資料を徹底させるという点の政府の御尽力、御努力について現在のところを説明して頂きたいと思います。
  16. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 実は從來からアメリカとの平和条約関係の交渉を進めて参りました際から、これらの両地域、一方は現在三十度以南でございますが、平和条約におきましては二十九度以南、それから千島、これらの両地域に対しまする資料その他は最大漏らさず実は提出いたしておるのでありまして、第一回、一月、二月にダレスさんが参りました際におきましても、この点につきましては、領土の問題は実はポツダム宣言の受諾によりまして一応或る意味において決定をしておるという意味でありましたが、更に総理からも国民熱望を縷々申し伝えておつた次第でございます。併しお話のようにこれがアメリカ理論を動かすような資料を今まで日本政府は作つておるかどうかという点になりますると、恐らくその点が團先生のおつしやる点じやないかと思うのです。そういう点になりますると、実は從來立場もありまして、或いは十分でない点も多々あるのではないかと存じます。正式な折衝等におきましては、十分資料等の用意をいたしておりまするが、併し只今申上げまするように、全般的な関係国民理論日本政府資料によつて満足せしめるという点につきましては、十分を欠いておる点も或いはなおあるかと思うのであります。
  17. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 只今草葉政務次官から非常に御丁重な御返事がありましたが、これにつきまして輿論を動かすというところまで参ることは、勿論これは現下情勢として、又日本立場としてもなかなか困難と存じますが、直接この問題が討議されますのは各国国会であるかと存じます。その方面に対して在外事務所その他が基礎のある、根拠のある材料の下に相当働らきかけて頂くという余地がまだあるようにも考えますので、この点におきまして、在外事務所その他を通しての政府の御活動を一層希望する次第でございます。
  18. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) これはちよつと速記を一つやめて……。
  19. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  20. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 速記を始めて下さい。  千島列島復帰に関しましては、只今承知のように北海道は特にこの点について非常な熱望を持つておりまして、全道民四百数十万の人が、特に又千島と相対しておる根室地方人たちが、これは自分たちの死活に関するような大問題として非常な熱意を持つてこれを望んでおるような次第でありますからして、勿論条約においては何ともこれは今のところ手は付けられんことを皆承知しておるのでありますけれども、とにかくこれは御承知のように歴史的にも千島の南のほうは我が国に属しておつたということは明らかなことでありますので、何とかして政府におきましても、講和批准後この点について特段に御活動願いたいということを要望しておるのでありますから、特にその点を私は要望しておきます。  それではこの請願並びに陳情採択いたしましようか。如何いたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは採択することに決定いたします。  次は請願第七百八十二号であります。
  22. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 次は請願第七百八十二号でありまして、南洋群島グリニツチ島りん鉱採掘促進に関する請願であります。請願者東京都大田区調布嶺町二ノ六二南洋殖産株式会社常務取締役中原善之助紹介議員高橋進太郎氏であります。平和条約の締結によつて、旧委任統治領は新たに米国信託統治領となり、旧委任統治領における企業開発は、日本政府米国占領軍特別協定によつて行われる由でありますが、我が国現下肥料事情早急解決が望まれておるのでありますから、南洋群島グリニツチ島における燐鉱石採掘が速かに実現するよう善処せられたいとの請願であります。
  23. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 請願の御趣旨御尤もと存じます。こういう点につきましては、十分請願趣旨を体しまして、政府も進みたいと思います。
  24. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 これにつきまして、今専門員から御説明されましたが、もう少しどういう只今法律的関係にありますか、お知らせ頂きたいと思います。
  25. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) これは南洋委任統治地域はすでに安全保障理事会によりまして決定しまして、從つてアメリカ信託統治下に置かれておる、これを今度は日本が正式に平和条約によりまして承認いたした次第でございます。從いまして、從來からの日本委任統治領としての性格は失つたわけでございます。今後産業的な從來関係におきましては、アメリカ日本との相談の余地があろうと存じます。そういう意味におきまして、從來から関係しておられました産業についてのこのような事件解決には、十分政府努力して参らねばならないと考えております。
  26. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 そうすると、今アメリカ許可を受けて採掘しておるわけではないというのですか。
  27. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) これは現在はやつていないと思います。恐らく請願もそうだろうと存じます。
  28. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) よろしゆうございますか、採択に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 御異議ないと認めます。それでは採択決定いたします。  次は請願第千五十六号であります。
  30. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 請願第千五十六号でありまして、講和後における接収地の処理問題の請願であります。請願者神奈川県知事内山岩太郎外五名、紹介議員稻垣平太郎氏であります。横浜市は約二百十万坪の市内中枢地区を始め港湾施設、公私の建造物接収されているため、本市の経済活動に大きな影響を及ぼし、特に港湾施設の九割が軍の管理に置かれているため、民間貿易は極度に抑制され、本港の将來に多大の不安を与えているのでありまするから、この際接収地解除について最善の策を講ぜられたいとの請願であります。
  31. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 講和後におきましては、一応は現在の接収地平和条約効力発生後九十日以内において解除をするという建前になつておりまするが、引続いて起りまする日米安全保障条約によりまするいわゆる行政協定によつてどうなつて來るかという問題に関連して参ろうと存じております。併し横浜市の市街地の中枢地にありまする二百十万坪の地域等横浜市の発展上最も大きな関連を持つものと存じまして、從來ともこれが解消と申しまするか、移転等につきましては政府としましても随時連絡をして参つておりまする関係から、相当了解を得ておると存じまするが、その他の全般的な問題につきましては、行政協定等と十分睨み合せまして、請願趣旨の徹底しまするように努力をいたして参りたいと存じております。併し解決行政協定の問題と関連して來る問題だと存じております。
  32. 曾祢益君(曾禰益)

    曾祢益君 私この請願の受理に賛成しますと共に、今政府委員から御説明があつたわけでありまして、平和条約によれば解除されることになつておるわけですが、実際問題としてこの駐留軍がおるということと、殊に朝鮮動乱の継続というような関係から、その睨み合せによつて非常に接収解除の範囲というものが制約されるのじやないかという心配を持つておるわけですが、政府の御答弁はこういう問題に関すると常に行政協定がまだできないから、関連あることは事実なんですが、行政協定というものは日本側がやはり自主的に経済回復上、民主安定上必要なものは必要なものとして、十分に事を分けてその主張を通す。他面駐留軍がおるという事実は否定できないのでありまして、殊に朝鮮動乱の継続しておるような惡い事態になれば、一時的には少くとも国連軍に対する協力の見地から、かなり大きな埠頭なり倉庫なり、その他の地域建物等返還が制約されるということも事実でありますが、政府の態度としては、行政協定にからむからまだわからないというのではなくて、日本側としてはやはり最小限度のものは要求する、返還を当然に要求するという自主的な計画性を持つて、そうして行政協定というものに盛り上げて行くということに努力願いたいと思うのです。なおこれに関連いたしまして、政府に希望を申上げておきたいのですが、非常にこれに関連した問題は多々ありまして、講和後の問題と、いま一つはいわゆる講和に至る間に現に新たなる工場等接収が起つた、同じく神奈川県にもその例があるのでありまして、これはたしか衆議院のほうですか、或いは本院におきましても他の委員会陳情請願があつたと思うのですが、横須賀市の一部である追浜地区の軍需と申しますか、兵器工場でありまするが、それが民需に転換を許されておる。それで民生復興のために非常な努力をしているにかかわらず、最近におけるアメリカの軍事上の必要から、即ち占領下におきましてこれは接収しようと思えば命令的に接収できるわけです。その接収問題が起つておる。ところが何といいましても今や平和条約ができ、そうしてそういうような命令的な接収というようなことでは民心は必ずしも満足しない。現に一旦民需転換を許された工場が再び取上げられるというようなことは、非常に地方的にも産業の萎縮を來し、労働者は失業する、又企業家も非常に困るというような事態が起つておるのです。そこで私も条約委員会においても政府に質問し、善処を促したのでありますが、かような事例は決して單一な事例でないのでありまするので、講和後における何でも行政協定ができてからだというような態度でなくて、一つは先ほど申上げたように、行政協定の中に日本側として合理的なものは要求するのだということが一つ、第二は行政協定ができる占領後の事態と、只今の過度時代におけるこの種の問題の取上げ方にもつと自主性を持つて国民の要望を積極的に取上げてもらう、他面、占領軍が現在においており、将來においては駐留軍が残るということは事実なのであつて、その調整は事件が起つたからそれを取上げる、その都度取上げて行くというのではなくて、もつと計画性を持つて政府がこの事態に対処することが、日米国交上も非常に必要な、心理的にも非常に重要な問題だと思うので、この点についてはもつと積極的、自主的な、建設的なプランを以てやつて頂くことを特に要望したいと思います。なおこれに関連いたしまして、政府から伺うことがあつたならば、この際伺つておきたい。
  33. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 只今の御質問のように、横浜地区或いは横須賀地区を含めましては、こういう接収物件と申しますか、それが相当広範囲に現在なりまして、ここの請願にありまするように、市街の一番の目抜の場所の二百数十万坪が現在施設を接収されておる、或いはデパートとか或いはその他横浜にはいろいろな様相があり、殊に大きい問題として市街の中心地にある二百数十万坪、それから港湾施設、更に最近は追浜地区におきまする新らしい様相が生れて來て、從つて從來から平和産業に転換して漸くその緒についた人たちが大変な脅威を感じておるという事態がありますることはお話通りでございます。從つてこれらの問題につきましては、実はいろいろ具体的に違つて参りまするので、その具体的な状態から、例えば市街中心地なり、或いはデパートの問題なり、或いは港湾、或いは横須賀の新らしい現象なりという点につきまして、実は具体的に詳細に折衝を続けて参つております。物によりましては、平和条約批准を終りまして効力発生の段階に進みましたので、相当理解ある考え方を持たれておると存じております。併し全体といたしますると、やはり次の段階と睨み合せて來なければならんのでありますから、從つて先にああいう報告をいたしましたような次第でありますが、具体的にはすでに最後の仕上げという点において十分な了解を求めるように、政府におきましても連絡に手抜りのないような方法を進めておりまするから、なお今後とも私ども不十分な点がある場合には、十分一ついろいろ御指導等もお願い申上げたいと思います。今後十分この点につきましては努力いたしたいと思います。
  34. 曾祢益君(曾禰益)

    曾祢益君 もう一言ちよつと希望を申上げておきたいのですが、どうしてもかような問題は物件的には、或いは政府の公有財産であるから大蔵省の管財局が主管する、事項的には接収の問題であるから特別調達庁が関与する、それから事業的には通産省等が関与するというようなわけでありまして、非常に国民のほうはどこに訴えたら総括的にかようなものを見てくれるかということが非常にあいまいなんです。特にこれは外務次官にお願いしたいのは、かような問題をやはり総括して、外務省には国際協力関係の、言い換えるならば、占領から駐屯に移行するのに当つての総括的な問題を見る部局ができるはずなんでありますから、さような問題については特に外務省が中心になつて国民がそこに來さえすれば、すべてのことはとにかく十分に連絡して、且つ強力に政府部内における事務をとりまとめて、一本に占領軍或いは駐留軍折衝できるような機構と運用を切にお願いしたいと思います。これだけ御注文申上げておきます。
  35. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 只今曾称君から御質問にありましたところでございますが、追浜地区は曾つて外務委員会として現地調査をいたした所でありまして、非常に広大な地域に亘るもので、実はこれはなかなかこの企業体として個々に運営することは非常に場所が遠く、都市から遠い関係で相当支障があつたのを、いろいろな通産省なんかの御斡旋で甚だ使いにくい工場を無理に使つてもらつておるというような事情もありましたので、又それが転換されるということになれば、それらの事業者に対する相当の補償のようなことも外務省でお考え頂くのが当然かと思います。なお国民一般として考えておりますのは、駐留軍が今後存在するとしても、一応はこの從來接収解除せられて、そうしてもう少し日本の民意を入れた契約の形において次に來たる契約が更新されるという工合な期待を持つておりますが、只今次官の御説明でございますと、或いはこのままずつと駐留軍に移管されて行くというようにも承われますが、その点は如何でございますでしようか。
  36. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) これはまだ実は本当に具体的な話はきまつておりませんけれども、併し平和条約の本質からいたしまして、当然今までのは一応は強制と申しまするか、接収という形になつておる。今度は純然たる主権国家と主権国家の間における或いは契約という形になつて現われまするので、いわゆる民意を圧迫するというような形ではない形において現われて來ると期待しております。又そういう交渉の方針でいわゆる正当に支払うべきものは支払うという形をとつて來なければならない問題だと存じております。
  37. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 委員長からちよつと伺いますが、この接収の土地或いは建物等についても今度は解除只今お話がありましたが、解除の範囲とか、或いは程度とかいうことを大体でも御調査になつておりますか。或いはそういうことが少し大よそでも御報告になることができましようか。
  38. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) これは条約日本が承認をいたしました件は、從來のものは少くとも特別な取極というものがあつて或いは支払をやつておるというようなものを除きましては、九十日以内に返還をする、併しそのの次に直ちに日本の独立後に起つて來日米安全保障条約によりまする現実の米軍の駐留というものがありまするから、これは現実の問題として当然そこに施設なり、或いはこれに必要なものが生じて参る次第であります。從いまして民間の所有等に関しまするものは只今お話にありましたように、一応はこの占領下と独立後の駐兵の場合と形態が変つて來るということは当然だと考えて、そのような考え方で進んでおります。
  39. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) この請願につきまして如何取扱いましようか。これを了承することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それではそういうふうに取計らいます。  次は請願千百七十二号に移ります。
  41. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 次に請願千百七十二号、講和会議協力国代表を貴賓として招請するの請願でございます。請願者東京都杉並区和田本町一〇八一、講和促進連盟総本部内倉特高之進、紹介議員は溝淵春次氏であります。満六年の被占領日本も、米英を初め国連諸国の深い理解の下に、九月八日桑港において講和条約締結調印を見たことは日本国民の喜びに堪えないところである。而して条約批准後にこれら各国代表者東京に招請して、国民感謝の意を示し、国情の全貌を認識させ、以て国民交流の基盤を作ることは誠に意義のあることであるから、講和会議協力国代表者を貴賓として招請するよう考慮せられたいとの請願であります。
  42. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 御質問はござませんか。
  43. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 これは時期も過ぎておりますし、又こういうような実行上只今として実現の可能性が余りないものと思いますので、これを内閣に送付しても処置をとりにくいかと存じますので、これを否決するか、審議未了にするかしたら如何でしようか。
  44. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 只今の團委員の御意見如何でございましようか。……これは只今の御意見通り一応保留にしておいたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは保留といたします。  次は陳情第百十五号に移ります。
  46. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 次に陳情第百十五号、外国人登録令改正等に関する陳情でありまして、陳情者は京都市長高山義三氏外四名であります。外国人登録事務はその本質上国の事務に属し、又諸外国の例によつても国の機関である外務省が直接取扱うべきであるにもかかわらず、現在に至るまで政令を以てこれを市町村長に委任し、而もこれに相当する所要経費の予算措置が殆んど講ぜられず破綻に瀕した大都市財政に不当な圧迫を加えているから、この不合理を是正し速かにこれが本然の姿に復帰するよう法令を改正せられたいとの陳情でございます。
  47. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) これは外国人登録令の施行につきまして市町村長の手を煩わしておる次第であります。從いましてこの政令を改正して直接外務省でやつたらどうかという陳情だと存じます。現在大体六、七十万程度のいわゆる日本人以外の人たちがおりまして、その大部分は朝鮮人でございますが、これらの登録を市町村長にお願いして、その費用の極く一部分ではありまするが、国費を市町村に配分をいたしております。昭和二十五年度は二千二百万円、二十六年度は二千五百万円、二十七年度はまだ未定でございまするが、この程度の極く微々たる費用を差上げておりまする程度にしか過ぎませんので、市町村によりましては相当費用不足を來たしておる意味におきまして、このような陳情も出て來るものと思います。併し現在におきましてはその多くが、外国人と申しましても日本の実情におきましては特殊な状態にありまするので、今後は市町村の負担の軽減には努力をいたして参りたいと存じまするが、根本的に今後これらの取扱の本質をきめまして、それから進んで行くべき問題だと存じておりまするから、それまでは一つ從來通りにして、いずれこの平和条約発効後にはもつと整備して参らねばならんものと存じておりまするから、この点を御了承頂きたいと存じております。
  48. 曾祢益君(曾禰益)

    曾祢益君 これはこの前に当委員から私が九州地方に視察に参りましたときにも、報告書の中に指摘しておいたのでありますが、主として今外務次官も言われたように対象は朝鮮人になると思うのですが、これが又密入国なんかとの関係がありまして、市町村の登録令の実行、從つてその密入国の取締は非常に市町村の財政的並びに人事的な基盤においては困難であるということで、從つて本問題の中央の主管庁を明らかにすると共に地方に対するもつと十分なる国の援助が必要であることを指摘しておいたのでありまするが、只今お話のごとく今や講和後の外国人の問題をどうするか、これに関連しまして日本におりまする朝鮮人の問題をどうするか、その国籍の問題をどうするか、かような大きな問題に帰着すると思うのであります。そこでこの陳情趣旨は諒としてこれを受諾すると共に、速かに外務省においてこの朝鮮人の問題をどういうふうにするかという基本的な態度も打立て、その下に必要とあらば市町村に対する非常な貧弱な予算で殊にトラブルの多いこの問題を市町村に押付けることは適当でありませんので、基本的な国籍の問題に対する態度をきめ、もとより一方的にのみきめられる問題でありませんから、それに基いた日本並びに韓国間の十分なる外交を行うことが第一でありまするが、それに伴うて外国人として残るこれらの外国人の取扱の基本態度をきめ、それに対処すべき中央の機構、官庁をきめた上に、更にそれに基きまして市町村に対する十分なる保護並びに指導を機構並びに予算的に見て行くということを私の希望といたしまして、この陳情受理に賛成いたします。
  49. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 只今曾祢君の御発言の中にこの朝鮮人の密入国、密出国の問題がございましたが、少し本論を離れるかも知れませんが、講和後における日本の外交として最も重大なものの一つは日韓関係の調整にあると思いまして、これは各種の産業的な方面、漁業の関係その他と共に、この日本内地にいる朝鮮人の籍の取扱の問題は非常にデリケートな問題を含んでいると思いますが、最近に韓国から参りました使節団と外務省との折衝もあり、内容については詳しく存じませんが、それが不調に終つて韓国の代表が帰国いたしたようなことも聞いております。その際にこれは最初の会議の一つでございまして、非常に韓国人の感情からも大事な問題と思いますから、韓国の代表は前駐米公使でありました人が主席代表として來ておりましたように聞いております。外務省のほうでお出になつたのは次官以下局長でこれを御折衝なつたように伺つておりますが、その辺のところの御説明も併せて伺わして頂けたらと思います。
  50. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) お話のようにこの朝鮮の問題の解決の準備といたしまして、朝鮮並びに日本との会談を進めて参つた次第であります。先方の代表もお話通りであります。これは朝鮮の問題は平和条約発効と同時に種種な問題が介在いたしておりまする関係上、これが円滑なる解決は大変望ましいことでありますると同時に、相当これは細部に亘つて簡單には片付きにくい問題もたくさんあろうと存じます。殊に本質的な問題としましては、内地に大体登録されておりまする朝鮮人だけで五十数万ありまするし、これらの問題、それから日本領土でありました間に日本人の有しておりました財産、或いは日本国の持つておりました財産等の問題、或いは漁業の問題、漁船の問題、さまざまな経済的、人的あらゆる問題がありまするから、これが解決しますのには一つ一つをよく納得の行く方法で進めて來なければならない次第であります。從いまして、殊に平和条約の発効後取急いでの問題が二、三にとどまらずありまする、中にも外国人、朝鮮人の国籍の問題等は両方の国におきまして相当了解をすべき点の協議をし、これが処置等におきましても万全を期して参らねばなりませんので、話合いを進めて参つてつたのであります。決して特別に決裂したという意味ではありませんが、只今申上げましたようにいろいろ根本的な問題、又具体的な問題がありまするから、これらを十分資料を収集して、そうして暫らく休会をして、次に又集まつて進めて行こうと、こういう段取りで現在進めておりまするから、この朝鮮解決は一方から申しますと、簡單に一カ月かそこらで片付きそうでありまするけれども、簡單にはちよつと参りにくいのじやないか、又十分技術上に即したやり方をしませんと、無理な協定を結びますと、きつとそこには将來にトラブルを起しまするから、慎重を期して行くほうがいい、そういう意味で進めております。こういう話合いが具体的に実は進められまして、大体の基本ができましてから、むしろ正式な代表によつて話を進めて來るほうがいいのじやないかというような考え方を以て進んでおりましたのが現在までの状況でございます。從いまして、最初から余り大きい全権団で話合うよりも、実際の具体的な問題を事実をつかんでおる人たちによつて話を進めて行つて、そうして大体の基本ができましてから、今度は具体的な両国代表が正式に話をまとめて來るという行き方がいいのではないか、こういう点におきまして少し話が連絡が不十分な点があつたかと存じまするが、今後十分連絡をとつて参りたいと思います。
  51. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) ほかにございませんか。――ございませんければ如何いたしましようか。採択に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それじや採択することに決定いたします。  では次に移ります。
  53. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 平和条約及び安全保障条約について請願が三つ陳情二つございまするが、これを一括して申上げます。請願第六百四十四号、平和外交に関する請願でありまして、請願者東京都北多摩郡清瀬村野塩六八〇上宮教会清瀬療園内佐藤己未夫外百三十三名でありまして、紹介議員は羽仁五郎氏であります。我々日本人は、人類最初の原子爆彈を蒙り、その惨禍を身を以て知つたので、これが禁止を各国に要求する義務があり、又世界に率先して軍備を捨て、ひたすら平和を希望している。朝鮮動乱もトルーマン大統領は休戰の条件を発表して、その終結に努力し、ソ連、中国もこれに応ずる動きの見られる際、日本人として世界平和のために、米、英、ソ、中四大国の協調によつて朝鮮動乱の終結が一日も早いことを望むとともに、この最も好ましい形で講和が実現するよう、四大国の話合いを念願してやまぬから、適当な外交的措置を講ぜられたいとの請願であります。  次は請願第七百十九号でありまして、平和条約および日米安全保障条約に関する請願請願者東京都千代田区神田一ツ橋教育会館内日本教職員組合中央闘争委員会内、岡三郎外五十万九名、紹介議員は小笠原二三男氏、若木勝藏氏の両氏であります。政府は、勤労大衆の全面講和と安全中立、非武装等の主張を無視して、第三次大戰誘発の原因となる対日講和条約及び日米安全保障条約に調印したが、これら両条約が如何なる問題をはらむものであるかを十分論議し、労働階級を含む国民大般の期待に応え、両条約批准に反対せられたいとの請願であります。  次は請願第八百五十四号、平和条約および日米安全保障条約に関する請願請願者東京都北多摩郡清瀬村野塩六八〇上宮教会清瀬療園内佐藤己未夫外八百十二名、紹介議員は羽仁五郎氏であります。中国ソ連が参加せず、フイリツピン濠洲等が不満を表明した対日講和条約は、世界平和に寄与せず、かえつて米ソの対立を助長し、日本がその渦中に入ることは日本及び世界の平和のため憂うべきことである。又日米安全保障条約は、日本の再軍備と自主権の喪失となる可能性が十分にあるから、平和条約及び安全保障条約に反対せらたれいとの請願であります。  次は陳情第七十五号、平和条約および日米安全保障条約に関する陳情陳情者東京部文京区東富士町東京大学内自治会中央委員会内中山武敏。  現存のあらゆる国際協定を破つて行われた対日講和条約は、日本民族の独立と世界の平和を熱望する国民多数の意思に反するものであり、又日米安全保障条約は、我が民族の独立を有名無実のものとし、日本を満州第二号とするものであるから、講和条約並びに日米安全保障条約に反対されるとともに、再軍備のための法案及び一切のフアツシヨ化法案に反対されたいとの陳情であります。  次は陳情第百二十六号、講和条約および日米安全保障条約反対に関する陳情陳情者は茨城県日立市大字助川二〇日立製作所日立電線工場労働組合内鷹箸春吉外二名であります。和解と信頼の条約と称して進められた講和条約日米安全保障条約は、日本将來に暗い影を残したまま吉田全権によつて遂に調印されたが、この二つの条約は対立した二つの世界の中において日本が西欧陣営の中に身を投じ、みずからその特定国の軍隊を駐留させ、国内に再軍備を行い、その結果アジア諸国との提携を阻害し、中ソ両陣営からは依然として敵国扱いを受け、再び戰争に巻き込まんとするものであるから、このような条約には反対であるとの陳情であります。
  54. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 以上五件、請願三件、陳情二件を議題といたします。御発言を……。
  55. 曾祢益君(曾禰益)

    曾祢益君 この五つの請願陳情のうちで、四つは平和条約及び安全保障条約に関する反対してくれという請願並びに陳情なんですが、これは本委員会といたしましては、この条約に関する措置はとつてあるので、実は本日ここに受付けてもこれは時期遅れなんです。從つてこれは受理すべきものではない、これは私はさように考えるのです。それから第一の平和外交に関する請願でありまするが、これはこの前にも本委員会において同様な請願がありました。これは何びとも平和外交そのものに反対はないわけですが、この請願趣旨は要するに原爆の禁止と、四大国による平和会議というような一つの特定の陣営のいわゆる平和攻勢の線にそのまま乘つておるような感じがありまして、かような特定な政治的な意味を持つた平和に関しては意見の分れるところでありまして、私自身は反対でありまするが、かような請願については先般もこれは保留するという先例もありますので、これは保留が然るべきである、かように考えます。
  56. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 曾祢君の意見賛成いたします。
  57. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) ほかに御意見はございませんか。――それではこれは一応採択を保留いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 御異議がなければさよう決定いたします。  次に移ります。
  59. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 請願第六百六十一号、盗難漁船返還に関する請願でありまして、請願者は京都府熊野郡久美浜町二九〇七番地、袖長光治外五十一名であります。紹介議員は大野木秀次郎氏であります。請願者所有の大型漁船第二伏見丸は、終戰後の食糧事情逼迫の折、熊野郡町村民の要望と協力により、復金融資を得て建造され、就航後は同地方の漁業進展に大きな役割を果していた。然るに昭和二十四年九月兵庫県において盗難にかかり、その後水産庁、海上保安庁、占領軍司令部等に連絡八方手段を尽した結果、同船が朝鮮にあることが判明したにもかかわらず、いまだに返還されないため、所有者の損失はもとより、関係者は悲嘆にくれているから、同船の返還が速かに実現するよう尽力せられたいとの請願でございます。
  60. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 本請願、これについて御説明はございませんか。
  61. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 実はこれは運送船であり漁船であるようでございますが、漁船の盗難と申しまするか、いわゆる第三国に抑留されたり、或いはつかまえられて行つたりした事件が相当多くありまして、その中で朝鮮関係、殊に南関係のはだんだんと解除してくれたのであります。又くれつつあるのであります。從いまして、只今請願によりますと、朝鮮関係のようでありまするが、朝鮮関係におきましては、從來ともそうでありまするし、又今後におきましてもかような問題がありまする際は、具体的に折衝を進めまして、早く解除してもらう方法をとつて参りたいと思います。実は具体的の事実は農林省その他関係省とよく連絡をいたしまして、処置をいたして参りたいと存じます。
  62. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) ほかに御意見はございませんか。
  63. 團伊能君(團伊能)

    團伊能君 この日本近海におきまする漁船の盗難事件は終戰後以來相当大量に行われております。その都度司令部を通していろいろ交渉が進められ、中には返還されたものもあり、返還されないものもあるような事情を聞いておりますが、ちよつと外務省の御意見を伺いたいのでございますが、講和後におきまする海上における漁船の盗難、或いは海賊行為というものにつきましての処理は、具体的に申しましてどういうことになりますか、これは漁民の不安が非常に多いことでございますから、ついでにお伺いさせて頂きたいと思います。
  64. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 実はこれは平和条約の審議にも随分御意見が出た点でございますが、現在は漁船の場合におきましては、御承知通りマツカーサー・ライン内におきましては安全な漁業ができるはずであります。併しいろいろ間違いまして、略奪といつたほうが妥当かとも存じまするが、そういう状態において日本漁船が遭難を受けているのは現実であります。この平和条約の発効後はマツカーサー・ラインは当然解消する。從つて公海漁業によつての漁撈ということに相成つて参りまするから、国際関係においては何ら不安はないはずでありまするけれども、現実の問題としては、或いは中国なり、或いはソ連なりが平和条約署名をいたしておらない、又参加をいたしておりません関係から、或いは一方的な解釈が下される可能性と危険性は相当多くありまするので、これらの問題は今後十分漁撈をいたしまする場合におきましても注意をいたして行かねばならない問題だと存じております。政府のこれらの問題に対しまする態度といたしましては、今後外交権が回復しました後におきまして、これらの問題の防止のために関係諸国を通じ、いろいろと話合う機会も相当頻繁に出て來るはずであるから、それらの場合に十分話合つてこの危険防止に処して行こう、こういう態度を現在とつている次第でございます。現実の問題としましては、漁撈をする人たちのほうでも細心の注意をして頂くことが一方におきましては必要かと存じております。
  65. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) ほかに御質問がございませんか。――ございませんければ、採択につきまして、御異議がございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは採択いたします。  次に移ります。
  67. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 次は台湾の接収財産に関する請願が四通ございますから、これを一括して申上げます。請願第八百九十二号、台湾引揚者接収財産返還に関する請願でありまして、請願者は大阪市北区本幡町八九台湾高雄同志会内、岩佐直則外三名でありまして、紹介議員木内キヤウ氏、紅露みつ氏の両氏であります。台湾引揚者は、多年に亘つて築いた地盤及び資産を残したまま終戰によつて内地に引揚げたのでありまするが、無一物のため、引揚後の生活は、血のにじむような辛苦にあえいでいるのでありますから、講和条約の締結されたこの際、一、在外接収財産を速かに補償返還すること、或いは右価格に相当する国債を交付すること、二、接収財産償還の際当時の貨幣価値を現在の内地の貨幣価他に換算するよう取り計らわれたいとの請願であります。  次には請願千百八十六号、台湾引揚者接収財産返還に関する請願であります。請願者は鳥取県米子市内町一七三長田義治外二十名でありまして、紹介議員は紅露みつ氏、木内キヤウ氏であります。この趣旨は先に読みました第八百九十二号と同じでございますから略します。  次には請願第千二百十二号、台湾引揚者接収財産返還に関する請願三通であります。請願者は大分県別府市大字別府八二四小出陸郎外九名、紹介議員は紅露みつ氏、木内キヤウ氏であります。この請願趣旨は第八百九十二号と殆んど同じでありまするが、もう一度申上げます。台湾引揚者は、多年に亘つて築いた地盤及び資産を残したまま終戰によつて内地に引揚げたのでありまするが、無一物のため、引揚後の生活は血のにじむような辛苦にあえいでおるのでありますから、講和条約の締結されたこの際一、在外接収財産を速かに補償返還すること、或いは右価格に相当する国債を交付すること、二、接収財産償還の際当時の貨幣価値を現在の内地の貨幣価値に換算するよう取り計らわれたいとの請願であります。  次に請願第千二百六十一号、台湾引揚者接収財産返還に関する請願七通でありまして、請願者は山口県阿武郡大井村金子仁吉外二十名。紹介議員は紅露みつ氏、木内キヤウ氏であります。この請願趣旨は第千百八十六号と同じでありますから省略いたします。
  68. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) この四つの件をそれでは一括いたしまして議題といたします。
  69. 曾祢益君(曾禰益)

    曾祢益君 これは私今御説明を伺つて内容がわかつたのですが、返還或いば補償となつておりますから、次の在外資産補償あと二つ、或いは最後の調整金とも関係すると思いますから、全部一括してなさつたらどうですか。
  70. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは一括いたしまして。……
  71. 專門員(坂西志保君)(坂西志保)

    專門員坂西志保君) 請願第七百四号、在外資産補償等に関する請願請願者は徳島市役所内徳島県外地引揚者連盟内国行利雄外二百五十四名、紹介議員は紅露みつ氏であります。引揚以來五年余経た今日、生活に困難している引揚者の命と頼む在外資産補償については、政府にその責任のあることは極めて明白でありますから、速かにこれが補償の実現を図られたいとの請願であります。  次には請願第千百六号でありまして、在外資産補償に関する請願請願者は熊本県議会議長大久保勢輔、紹介議員は内村清次氏であります。終戰によつて長年に亘る資産を海外に残して母国に引揚げた海外引揚者は、敗戰後の困難な社会経済情勢において苦しい生活を送つておるのでありますから、国力の許す限り在外資産補償を実施せられたいとの請願であります。  次には請願第二十号であります。調整金付送金小切手の処理に関する請願であります。請願者東京都台東区浅草柳橋一ノ二十七華鉄互助会内上林市太郎外九名であります。紹介議員は堀木鎌三氏であります。調整金付送金小切手は曾つて中支那在留の邦人が内地に引揚後の生活の資金とするため在外公館の指定に從つて生活必需品まで売払つて調達したもので、実質的には在外公館の借入金であるから、当時の事情を十分調査の上、同切手を在外公館借入金として確認し、速かに支払うよう特別の措置を講ぜられたいとの請願でございます。
  72. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) 御説明ありますか。
  73. 政府委員(草葉隆圓君)(草葉隆圓)

    政府委員草葉隆圓君) 私のほうから簡單に申上げて、後大蔵省から見えておりますので、そのほうから御説明して頂きます。  在外資産補償と申しましても、ここにありまする八百九十二号以下の台湾とか、或いは朝鮮とかいわゆる分離地区在外資産の場合、それから連合国内にありまする日本人の在外資産の場合、中立国にありまする日本人の在外資産の場合、おのおの変つて、変つてと申しまするか、取扱方が違つて参るのであります。從いまして一概には申上げかねると存じまするが、この分離地区の台湾、朝鮮の場合は、今度の平和条約の第四条によりまして当該政府と十分話合いをしてきめたい。朝鮮の場合には朝鮮の米軍司令部におきまして一九四五年の十二月に命令を出しました朝鮮内にある日本人財産権取得に関する件、その後四八年の九月に返還協定によつていたしましたそのことから発足して來る問題でありますし、台湾におきましては四六年に台湾省及び引揚日本人の私有財産処理に関する注意事項というのを出しまして、大体において一切沒収をしたという形になつております。從いまして、これらの分離地区におきまする場合におきましては、おのおの又取扱が違つておりまするので、台湾は台湾の場合、朝鮮朝鮮の場合、併しこのいずれにいたしましても、その所にありまする政府と特別取極の主題としてこれを相談して参るということで進んで参りたいと思います。それから中国の場合、或いは満州その他の地域にありまする場合、それからその他連合国にありまする場合、これらの場合は一切放葉をし、いわゆる先方に与えることになりまするので、從いましてこれらの処置につきましての方法ということになつて來ます。中立国の場合は国際赤十字委員会にこれを委託して処分をするという形に相成つて参ると思うのであります。要するところは、これらの在外資産に対して日本政府がこれを補償するという問題になつて來ると存じまするが、これも実は平和条約の審議の際に十分御検討願いました点でありまして、政府はできるだけの方法を以てこれらの処置には最善を尽したいが、何分いろいろ從來からの取扱の関係もあり、経済的な国内関係もあるからこういう点を十分検討をして、今後善処をいたしたいという方針で、全体といたしましては進んでおる次第でございます。又細かい点は大蔵省のほうから御説明願えると思います。  それから調整金付の送金小切手におきましても、在外公館借入金の処置につきまする法律によりまして、現在在外公館の借入金としてこの調整金付小切手を認めるか認めないかというのが根本的な問題になりますので、御承認を頂きました審査会設置法によりまして、今審査会においてこれを種々審査をいたしておる次第であります。併しまあこれを借入金として当然認むるべきであるという結論までには現在立至つておらない状態であります。今後の審査の結果これをいずれにするかという決定に相成つて來るかと存じます。又十分その点は一つ大蔵省のほうからお答え申上げることにいたします。
  74. 説明員(上田克郎君)(上田克郎)

    説明員(上田克郎君) 外債課長の上田でございます。草葉政務次官から御説明ございましたことに附加える何ものもないのでございますが、在外財産の補償の問題につきましては極めて政策的な面が強うございますので、私からは極く技術的な点だけを申上げて御参考に供したいと思います。  在外財産の補償に関しましての要求は終戰後引続きあるのでありますが、皆さんの考えでは、いわゆる陳情者の考えでは私たちが気付きました一つの考え方というのは、終戰の年に大蔵省令九十五号というのでGHQ、CPCの命令で取りました在外財産の報告というものがあります。その報告書を提出していなければ補償されないのじやなかろうか、そういうような疑問が一般にあるようでありますが、その点につきましては、これはいつか大臣からも御説明申上げたと思いまするが、大体シベリアの引揚者が三百五十万或いは三百七、八十万と言われておるのでありますが、その人たち家族三人と平均いたしましても約百万通、或いはもう少し四人というふうにいたしましても約七、八十万通、それくらい來てもよさうちである報告書が実は四十八万通しか來ていないのであります。從いまして残りの約三十万通ばかりの人たちが、講和会議が開かれまして一応の見通しが付きますとともに、在外財産に対する補償政府からやられるものとして、從つて今まで出してない人の調査をやつてもらいたい、そういうふうな要求があるようであります。併しこの補償の問題は今政務次官がおつしやいましたように、どうするかということは今研究中でありまして、CPCの命令で出しました報告書の提出、未提出によつてその取扱が異なるということはないと考えております。それで今日四件ほど台湾の引揚者の接収財産についてと書いてございますが、これを補償するとか或いは返還という言葉を使つておりますが、台湾当局から返還されるかどうかということは将來の問題でございまして、イタリー条約の例なんか見ますと、原則的にはその等価物を持つて帰られるようになつてつたと思いまするが、対日条約によつて、或いは将來中国が対日条約に参加することによつてそれがどういう方針でやられるかということは将來の問題に属すると思います。台湾の点で特に申上げておきたいことは、台湾の財産の引渡しは極めて整然と行われたように聞いております。それで台湾から引揚げられたかたは、一番信頼するにたるこの財産目録書をお持ち帰りでございます。從つて台湾のかたが一番財産に応じた補償をして頂きたいとおつしやる物理的な根拠と申しますか、そういうものが一番あるように考えております。併しすべての地区が台湾のようにできたかと申しますと、御承知のような状况で台湾はむしろ例外でございます。いわゆる財産に応じた補償をやるためにはどうしても調査の完璧を期さなければなりませんが、前に取りました調査では極めて不十分で、例えば積極財産については書いてありますが、消極財産の負債というようなものについては極めて不明瞭で、むしろ書かないだろう。それで条約の清算の精神から申しますと、現地で債権債務共に一応その主体別にまとめてみて、それによつてつたものだけが、そのネツトが向うの歳入になりますか、なりませんか、そういう形で取上げられるというのが清算の普通の方式でございますが、そういつた場合に財産に応じた補償を若し将來やるといたしますると、その点がよくわからないと、ただ積極財産の調査だけで補償するわけには参らんと私は考えております。それらの批判に対し得るものは台湾以外に余りないのじやないか、併しこれは尤も債務については割に少うございます。積極財産は割にあるが、債務については台湾もかなり疑問がある、そういうふうに我々は考えておるわけでございます。引揚者団体等から政府の費用で再調査なり、或いは日本側調査努力をしてもらいたい、そういうような要望もございますが、只今の事務的な進行から申しますと、來年度の予算、或いは本年度の補正予算の要求としてともかく引揚者の実態、例えばその家族数とか現地での滯在期間であるとか、そういうようなものについて先ず一回はつきりした調査を作るべきじやなかろうかというような方針の下に予算を要求している程度でございまして、全般的な調査をやるとかいうようなところまでは今のところ考えておりません。最高の方針が決定いたしました暁、その方針に從つて調査方法なり何なりを考えてやつてみたい、さように考えておるような次第でございます。  それから調整金付の送金小切手の問題はこれは政務次官もおつしやいましたように、外務省で在外公館借入金に該当するかどうかということを鋭意調査中でございます。直ちに今まだ結論が出てないというように政務次官お話になりましたが、私の聞いておりますところによりますと、先週でございましたか、大体これは在外公館借入金に該当しないというような、委員会決定としては調整金は公館借入金ではない、併し事情が事情であるから、政府としてはよく考えてもらいたいというような附帯決議的なもので決定なつたように聞いておりますが、大体そういうような状況でございます。それから附加えまして、この小切手が現在どうなつているかといいますと、大体最高三万円で小切手を持つて來られたかたが多いのでございます。調整金付といつてこうやつて請願をなされるようなかたにつきましては、そういうかたの小切手は一般的に向うのほうからの仕向送金の小切手が、終戰の年の十二月の外国とのいわゆる資金交流に関する一切の禁止というスキヤピンに基きまして禁止されたまま現在も為替管理法に受継がれて解決されておりません。これは日本側の金融機関の再建整備等にも関連いたしますので、実は銀行局と現在研究中でございまして、できれば講和条約もはつきり効力を発生するようになりますと、この点を何とか解決してやらないとお気の毒な状況にあるということは十分承知しているところであります。
  75. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) これに関連しまして伺いますが、在外資産と書いてありますから、ここには出ておりませんけれども、樺太のほうから引揚げたかたの財産もこれに含んでおるのでありますか。
  76. 説明員(上田克郎君)(上田克郎)

    説明員(上田克郎君) 私たちのほうの調査には樺太にも一応ございます。ただ分離地区と申しますか割讓地区の問題がどうなるかということ、それから条約に参加しないところのものはどうなるか、御参考までに申上げますが、大体中国とそれから朝鮮、台湾、樺太それだけあります。積極財産からだけ申しますと、全体の九五、六%はその地区にある。今度の条約ができまして、十四条で書いてございましても、残りの小部分が問題になつているという形になつている次第でございます。
  77. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは別に御発言もなければ採択に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 委員長(有馬英二君)(有馬英二)

    委員長有馬英二君) それでは以上七件を採択いたしまして、内閣に送付することに決定いたします。  それでは全部終了いたしました。本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十六分散会