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説明員(上田克郎君) 外
債課長の上田でございます。
草葉政務次官から御
説明ございましたことに附加える何ものもないのでございますが、在外財産の
補償の問題につきましては極めて政策的な面が強うございますので、私からは極く技術的な点だけを申上げて御参考に供したいと思います。
在外財産の
補償に関しましての要求は終戰後引続きあるのでありますが、皆さんの考えでは、いわゆる
陳情者の考えでは私たちが気付きました一つの考え方というのは、終戰の年に大蔵省令九十五号というのでGHQ、CPCの命令で取りました在外財産の
報告というものがあります。その
報告書を提出していなければ
補償されないのじやなかろうか、そういうような疑問が一般にあるようでありますが、その点につきましては、これはいつか大臣からも御
説明申上げたと思いまするが、大体シベリアの引揚者が三百五十万或いは三百七、八十万と言われておるのでありますが、その
人たち一
家族三人と平均いたしましても約百万通、或いはもう少し四人というふうにいたしましても約七、八十万通、それくらい來てもよさうちである
報告書が実は四十八万通しか來ていないのであります。從いまして残りの約三十万通ばかりの
人たちが、
講和会議が開かれまして一応の
見通しが付きますとともに、在外財産に対する
補償が
政府からやられるものとして、
從つて今まで出してない人の
調査をや
つてもらいたい、そういうふうな要求があるようであります。併しこの
補償の問題は今政務次官がおつしやいましたように、どうするかということは今研究中でありまして、CPCの命令で出しました
報告書の提出、未提出によ
つてその取扱が異なるということはないと考えております。それで今日四件ほど台湾の引揚者の
接収財産についてと書いてございますが、これを
補償するとか或いは
返還という言葉を使
つておりますが、台湾当局から
返還されるかどうかということは
将來の問題でございまして、イタリー
条約の例なんか見ますと、原則的にはその等価物を持
つて帰られるようにな
つてお
つたと思いまするが、対日
条約によ
つて、或いは
将來中国が対日
条約に参加することによ
つてそれがどういう方針でやられるかということは
将來の問題に属すると思います。台湾の点で特に申上げておきたいことは、台湾の財産の引渡しは極めて整然と行われたように聞いております。それで台湾から引揚げられたかたは、一番信頼するにたるこの財産目録書をお持ち帰りでございます。
從つて台湾のかたが一番財産に応じた
補償をして頂きたいとおつしやる物理的な
根拠と申しますか、そういうものが一番あるように考えております。併しすべての
地区が台湾のようにできたかと申しますと、御
承知のような状况で台湾はむしろ例外でございます。いわゆる財産に応じた
補償をやるためにはどうしても
調査の完璧を期さなければなりませんが、前に取りました
調査では極めて不十分で、例えば積極財産については書いてありますが、消極財産の負債というようなものについては極めて不明瞭で、むしろ書かないだろう。それで
条約の清算の精神から申しますと、現地で債権債務共に一応その主体別にまとめてみて、それによ
つて残
つたものだけが、そのネツトが向うの歳入になりますか、なりませんか、そういう形で取上げられるというのが清算の普通の方式でございますが、そうい
つた場合に財産に応じた
補償を若し
将來やるといたしますると、その点がよくわからないと、ただ積極財産の
調査だけで
補償するわけには参らんと私は考えております。それらの批判に対し得るものは台湾以外に余りないのじやないか、併しこれは尤も債務については割に少うございます。積極財産は割にあるが、債務については台湾もかなり疑問がある、そういうふうに我々は考えておるわけでございます。引揚者団体等から
政府の費用で再
調査なり、或いは
日本側の
調査の
努力をしてもらいたい、そういうような要望もございますが、
只今の事務的な進行から申しますと、來年度の予算、或いは本年度の補正予算の要求としてともかく引揚者の実態、例えばその
家族数とか現地での滯在期間であるとか、そういうようなものについて先ず一回はつきりした
調査を作るべきじやなかろうかというような方針の下に予算を要求している程度でございまして、全般的な
調査をやるとかいうようなところまでは今のところ考えておりません。最高の方針が
決定いたしました暁、その方針に
從つて調査方法なり何なりを考えてや
つてみたい、さように考えておるような次第でございます。
それから調整金付の送金小切手の問題はこれは政務次官もおつしやいましたように、
外務省で在外公館借入金に該当するかどうかということを鋭意
調査中でございます。直ちに今まだ結論が出てないというように政務次官
お話になりましたが、私の聞いておりますところによりますと、先週でございましたか、大体これは在外公館借入金に該当しないというような、
委員会の
決定としては調整金は公館借入金ではない、併し事情が事情であるから、
政府としてはよく考えてもらいたいというような附帯決議的なもので
決定に
なつたように聞いておりますが、大体そういうような状況でございます。それから附加えまして、この小切手が現在どうな
つているかといいますと、大体最高三万円で小切手を持
つて來られたかたが多いのでございます。調整金付とい
つてこうや
つて請願をなされるようなかたにつきましては、そういうかたの小切手は一般的に向うのほうからの仕向送金の小切手が、終戰の年の十二月の外国とのいわゆる資金交流に関する一切の禁止というスキヤピンに基きまして禁止されたまま現在も為替管理法に受継がれて
解決されておりません。これは
日本側の金融機関の再建整備等にも関連いたしますので、実は銀行局と現在研究中でございまして、できれば
講和条約もはつきり効力を発生するようになりますと、この点を何とか
解決してやらないとお気の毒な状況にあるということは十分
承知しているところであります。