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1951-11-22 第12回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十二日(木曜 日)    午後一時十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十一日委員カニエ邦彦君辞任 につき、その補欠として上條愛一君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            前田  穰君            小泉 秀吉君    委員            仁田 竹一君            高木 正夫君            早川 愼一君            村上 義一君            内村 清次君            小酒井義男君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    運輸大臣官房長 荒木茂久二君    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君   事務局側    常任委員会專門    員       古谷 善亮君    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○小委員長報告通訳案内業法廃止反対要望に関す  る申入れの件   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは本日の委員会を開会いたします。  先ず日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。速記をとめて下さい。    午後一時二十分速記中止    ——————————    午後三時四十八分速記開始
  3. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて下さい。次に観光事業に関する小委員会調査経過について小委員長より御報告を願います。
  4. 前田穰

    前田穰君 それでは私から観光小委員会におきまして審議いたしましたことの御報告を申上げます。  観光小委員会におきましては、定足数を欠きましたために懇談会といたしまして、最近の観光事情について政府からの説明を聞き審議をいたしたのであります。その取上げました事項は 一、通訳案内業法に関する事項 一、ホテル整備状況に関する事項 一、右に関しまして接収ホテル解除に関する事項 一、海外宣伝についての補助に関する事項 一、観光道路に関する事項  これだけでありますが、先ず通訳案内業法に関する事項について申上げますと、最近同法につきまして、地方行政事務簡素化立場から政府において同法を廃止しようという意向を有しておられるやの噂を耳にいたしますので、その件を観光部長に質しましたところ、観光部長答弁では、地方行政簡素化趣旨から最初地方で行うガイドの免許を廃止する方針と聞いておつたのであるが、その後全般的に同法を廃止することに方針が変つたように聞いておる、こういうことでありましたが、なお観光部長としてもガイド向上は、殊に我が国のような特殊な言語と文化とを有する国では是非必要であり、外国におきましてもガイド取締の規則を有する国が多いので、目下観光部として同法の存置について意見を上申中であるということでありました。委員の間におきましても、ガイドは單に語学に長じているのみならず、我が国文化経済につきましても知識を持つており、又外国の慣習も知つてつて外人に対して惡印象を与えないものであるこもを必要とするので、ガイド試験制は廃止すべきものでなく、同法を廃止するという噂については反対であるという意見が非常に強く述べられたのでありますので、本日この件に関しまして幸い大臣も御出席でありますので、小委員会としては篤と政府の御意見伺つて、我々の意見を必要に応じてきめて参りたい、かように申合せました次第であります。  次にホテル関係でありますが、現在でも外人に対しまして、ホテルが非常に不足しておりまするので、講和後來訪する外人が増加することを考え合せますと、何よりホテル整備を必要といたしますので、この点に関し観光部長に質しましたところ、その答弁ホテルの不足は東京附近において特に痛感せられることであり、現在バイヤーのホテルとしては、ホテル帝都ホテル東京。八洲ホテル芝パークホテル雅叙園ホテル。アンバサダーホテル。がありますが、宿舎や事務所の払底の関係からホテルを宿舎代り、オフイス代用として長期滯在をいたす外人が多く、最近の調べで、六カ月以上の滯在者は百八十名以上に上つているという実情であり、從つて観光団が來てもホテルを利用することが不可能の場合が多く、過般長崎のザビエル祭のときにも列車中に宿泊してもらつた例があるとのことでありました。故にホテルの建設につきましては、すでに昨年度におきまして、神戸と名古屋の観光ホテルに対し、それぞれ四千万円ずつ見返資金から融資の許可がありまして、鋭意ホテルの増設をやつているのでありますが、最近は講和を機として、接収ホテル解除を期待することができるのではないかというようにも存ぜられますので、ホテル事情は漸次好転するものと思われるということであります。なおこの点に関し、ホテル審議会におきましては、会長の名を以てリツジウエー連合軍司令官並びにその他の要路に対しまして、接収ホテル全面解除ホテル施設提供の場合にも最小限度にとどめてもらいたいこと、ホテル全館接収ということは成るべく避けてもらいたい。殊に観光地においてこの点を考慮せられたいこと、これらの趣旨の陳情をしたそうでありまして、これに対してリツジウエー司令官はこの趣旨は了承されたそうでありまするが、なお占領目的のため必要があるときは必ずしも希望通りに進行しかねる場合もあろうということを申添えられているそうでありまするので、接収ホテル解除最初は十月、十一月頃から始まる見通しもありましたが、その実現は年が明けてからではなかろうかということに想像せられるそうであります。  次に、日本旅館整備につきましては、融資順位も甲に準ずるものに引上げられ、融資斡旋を続けておりまして、一昨年から本年九月まで市中銀行からの融資実績件数で九十三件、金高で三億一千六百万円、又中小企業融資からの融資実績件数で十一件、金高で三千百円に上つているとのことであります。又登録ホテル旅館につきましては、税制上の利益の点もありますので、その資格に合致するよう設備整備しておりますが、只今のところホテル登録ホテルとなつたもの四十七件、旅館登録を受けたもの二十三件であります。  以上観光部長からの説明の大要でございます。ホテル関係につきましても、委員の間において急速に整備の要ある旨意見の開陳がありましたが、なお接収解除後における補償の問題、又は接収中施行せられた設備改良に対する改良費支弁の問題につき意見の交換があり、接収解除後もこれらの点について若干問題を残すのではないかという見解でございました。  次は、海外宣伝費補助の問題でありまするが、観光部長説明によれば、本年度三千五百万円でありまして、うち日本交通公社へ二千三百万円、全国観光連盟に千二百万円ということでありまして、日本交通公社は嚴重な会計経理の下にパンフレツト、ポスター等によりまして、海外宣伝業務に從事しておるとのことでありました。更に進んで観光関係在外事務所開設の問題でありますが、講和後は特にその必要があると思いまして、観光部長にその点を質しましたところ、観光部長外国の商社においても日本のインホーメーシヨシを得るため、日本観光関係在外事務所要望しておりますので、外務省在外事務所内に併託することなく、事情が許せば独立在外事務所を設けたく、目下外務省折衝中で、その予定地はニヨーヨーク及びサンフランシスコで、予算は四千九百二十二万円を計上したいということでありました。委員独立在外事務所を持つことにつきましてはいずれも賛成でありまして、一日も早くその達成を希望いたしました。  最後に観光道路についてでありますが、折角日本に來られた外人日本道路が粗惡なため、観光目的を達し得ないという非難を耳にいたしておりますので、すでに観光審議会におきまして、主として観光地に至る道路の急速な整備計画を立てておりまして、これらを通称観光道路と呼び慣わしておりますが、前回この小委員会で伺いましたところでは、東京——日光京阪——奈良富士——箱根六甲——志摩半島小田原——熱海等が問題になつておりましたが、そののちの整備状態につきまして観光部長に質しましたところ、観光部長説明は、観光道路と称しても特別の予算があるわけではなく、一般公共事業費道路費の中より賄われておるので、本年度は全体で六十七億に過ぎないため、急速な整備はなかなかむずかしい。併し昨年も五十億余り予算のうち十億余り観光上主要なものに向けられておつたと思う。なお東京——日光京阪——奈良富士——箱根は右のうちでも順位から言つて上のほうであるということでありました。観光道路の問題につきましては、委員の間でも関心が多く、将來の自動車交通普及発達に関連し、道路改良ひとり観光上のみならず、産業の上から見ても必要があるので、急速な整備が望ましいということでございました。  以上のようなことで審議終つて今日に至つておるわけでございます。御報告申上げます。
  5. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今報告に対しまして、小委員長又政府に対して御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  6. 村上義一

    村上義一君 只今観光小委員長から御報告がありましたごとく、政府はこの通訳案内業法を廃止するということにほぼ決定せられたということを伺いまして、観光小委員会においていろいろ検討を重ねた次第であります。観光事業発展の上から見ましても、この通訳案内業法を廃止するということは、観光事業発展を阻害すること頗る大なるものがある、延いては貿易、外貨の獲得の見地から見ましても、由由しきこれは問題であるという考えから種々論議を重ねた次第であります。そうして結論としまして、若しそういう意図が政府にあるとするならば、この法律廃止は甚だ不適当であるという意見を速かに政府に表明すべきであるということに相成つたのであります。併し極めて最近に仄聞いたしまするところによりますると、この通訳案内業法を廃止するということは、政府におかれてもその後取りやめられたことを承わつたのであります。この法律廃止取りやめということは果して事実であるかどうか、一つ運輸大臣から最近の本法に関する事情をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  7. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) お答えいたします。只今前田委員長より委員会の御報告の中にも通訳案内人の問題が第一に取上げられて、存置すべしという小委員会の御意向のように拝聴したのであります。又村上委員よりも同一の趣旨において案内通訳者が今後の日本においてますます必要であり、特殊の使命を持つておるものである、これを廃止するということに反対の御意向に立つてお尋ねがあつたのであります。運輸大臣といたしましてはこの小委員会の御意向村上委員お尋ねになつた趣意全然同感なのであります。このたびの政府におきまする人員整理の問題に関して、地方自治庁関係する事項の中にこの問題が現われて参りまして、一応お尋ねのごとく全廃せんとする計画意向の下に取り進められつつあつたことは事実であります。併し運輸大臣といたしましては、前に申上げました通り各位お尋ねと同意見であります立場から、これは容易ならざることと考えまして、岡野国務大臣にこの議は考え直してもらいたい。そうして存置するように取計つてもらいたいということを申入れた次第であります。これに対しまして岡野国務大臣は、御趣意はよくわかつた。併し只今各般事項について調査取りまとめをしておる最中であるから、十分御趣意を体してその線に沿うて考慮を加えるということにいたしたいというはつきりした返事があつたのであります。で私は重ねて折り返して、ただ了解をした、考慮するというだけでは困るのであつて、存置するという方針の下に考慮するということに願いたいということを申入れた次第であります。これを岡野国務大臣は十分了承して、御趣意に副うて善処しますからというはつきりした回答を与えておるような次第であります。で、私としては、案内通訳者というものは、できることならば案内通訳ではなくして、同時に進んで日本を紹介する重要な任務だとも考えられまするので、この案内通訳者は慾を言うならば、もつと教養のある人が欲しい、丁度小委員長の御報告の中に文化経済政治、社会、あらゆる面をよく心得ておつて、それを間違いなく伝え得るような人でなければならないというお話がありましたが、この点も誠に御同感なのであります。この意味においては、むしろこの試験制度を更に一層引上げるとか、或いは案内人AクラスBクラスに分けるとか、いずれにしても相当人物がなつていわゆるガイド言つて道案内というような感じのものでないものにして行つて相当の教養ある人物が喜んでこの仕事をされる、これによつて日本を紹介する、積極的に日本をよく知らしめるというところまで行かせたいものだというような心持を運輸大臣として持つておる次第であります。いわゆるただ買物案内をするとか、名所旧蹟をお座なりに案内するという程度では、どこの国にもある例でありますが、波止場の附近にさまようておるもうろう案内者があり得るのでありまするから、日本の場合には一地方の例でありますが、捉えて見たならばもうろう者ではなくて、免状を持つてつた人であつたというような実例もあると聞いておるのでありまするからむしろ一層これは向上せしめて、この目的を達するようにすべきではないかと考えておるような次第であります。お尋ねの点に対しては全然同感であるのでありまするから、今後ともこの目的を貫徹するように岡野国務大臣と遅滯なく折衝をいたしたいとかように考えておる次第であります。  それからお尋ねではございませんでしたが、丁度小委員長の御報告の中に相当重要な点もありまするので、一言お答えを申上げて……お答えというよりも所見を申述べておきたいと考えるのであります。それはホテル整備充実の点であります。
  8. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  9. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記開始。他に御質問ございませんですか。
  10. 村上義一

    村上義一君 只今運輸大臣から、通訳案内業者は本來の通訳案内ということのみならず、我が国の国情についても紹介するということであることが望ましい、從つて通訳業者素質向上必要性を強くお認めに相成りまして、すでに通訳案内業法を廃止しないということについて運輸大臣岡野国務大臣に強く要請をしておつて下さる、誠に感謝する次第でございまするが、観光小委員会におきましては、廃止せざることについての要望書政府に提出伸するということを打合せいたしまして、実は要望書の案を準備いたしておるような次第であるのであります。こういう要望書を当委員会において取上げて政府に送るという必要は全然ない現状でありますのか、誠にくどいようでありますけれども、その点をもう一応伺いたいと思います。
  11. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 只今大変御念の入つた発言であると考えるのであります。運輸大臣といたしましては、先刻申上げました通りで進んでおる次第であります。是非現状維持ということで落着けたいと考えるのでありまするけれども、又民主政治の形から申しまして、委員会におかれまして、そのような要望を強くお持ちになつておるということを御決議なり書面によつて政府にお出し下さるということは、更に百万の味方を得たような強い感じを持ちまして、運輸大臣といたしましては岡野国務大臣にその線を強く押し出したいと考える次第でありますから、各位の御意思を尊重してお受けいたしたい、かように考える次第であります。
  12. 前田穰

    前田穰君 それでは私から提案をしたいと思いますが……。
  13. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  14. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それじや速記開始
  15. 前田穰

    前田穰君 只今大臣の御答弁で非常に我々明るい気持がするのでありますが、なお運輸委員会意見というものをこの際政府へ申入れて置くことがなお適切な処置でないかと考えられますので、小委員会といたしましては、かねて案文を用意いたしておりまするから、それを御審議願いまして、政府要望書を提出したいと考えます。
  16. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今前田委員から御発言がございましたが、一応その案文を御朗読願いましよう。
  17. 前田穰

    前田穰君 それでは朗読いたします。  今般政府においては、行政改革趣旨により通訳案内業法を廃止し通訳案内等自由営業とするやに聞くが、通訳案内業は、單に語学に長じているだけでは足りず、自国の文化産業についても知識を有するは固より外国の習慣、儀礼にも通じ、且つ信用できる人柄であることが望ましく、殊に我が国のごとく特殊の語学文化を有する場合において然りとする。故に通訳案内業法公布以前においてもこれが取締制度があつたのであるが、戰後観光事業振興の要ある現在において特にその要を感じる。若しこの際同法を廃止し、これを自由営業にするときは、戰後語学に堪能なる者の中に人格上好ましからざる者もあり得るので、外国人に対して惡印象を与える虞れなしとしない。  よつて運輸委員会全会一致決議をもつて同法を廃止しない様要望する。  以上であります。
  18. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今前田委員より朗読されました文案を当委員会決議として政府に対して善処要望いたすことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないようでありますから、さように決定いたしました。   —————————————
  20. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  21. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記開始。本日運輸大臣出席でありますので、運輸大臣の御答弁を求めるという意味じやなくして、第七次造船後期建造計画に対しましては、二十六日の締切を控えて折角現在政府においても努力されておるところでありますけれども、巷間伝えられるところによりますと、資金調達等に関しいろいろ困難があるようでありますから、当委員会としてはこの建造計画が完全に円滑に遂行せられますことを希望いたしまして、折角運輸当局善処要望いたしたいと思うのです。なお、できますれば次の委員会等においてその経過の御報告をお願いいたしたいと思うのでありますが、この点運輸大臣において御了承おきを願いたいと思います  他に御発言等ございませんようでありまするならば、本日は当委員会はこれを以て閉会いたしたいと思います。    午後四時二十五分散会