○横田
委員 われわれの期待は裏切られた。多数
講和の
審議のために召集された
国会に提出された
自由党の政策の内容は、何もなかつた。
従つて申訳がないので、ここでやじ
つて騒ぐだけが国民への申訳であつた。現に今日の
予算審議の例から見たところが、それを明らかに立証しておるのであります。
野党が
最後に申し入れましたところの、
総理にもう一回来てもら
つて総括的な
質問をしたい、二番目は、
定員法に関し、内閣
委員会と合同の審査をしたい、第三に、
給与法が上程れさておるのでありますが、
給与法の問題を解決をつけたい、米の問題、供出の問題については
答弁があいまいである、これをもつとはつきりすべきであるということを
要求したのであります。米の問題は今日は解決ついておるけれども、昨夜は解決がついておらなかつた。このついておらないところをごまかすために、無理やりに
暴力的に打切つた結果が、き
ようの混乱を招いたのであります。特に平衡交付金をたくさん出してもらわなければならないというのが、地方財委の
要求であり、これがために全国の市町村の
責任者がこぞ
つて国会に
要求し、
自由党さえもこれを認めいれざるを得ないのであります。これをわれわれが
要求した。これの
審議を今日やられては困る。と打切つた。それがためにき
ようこんなに混乱させた。結果から見ればどうなんだ。き
よう一日
総理を呼んで
質問させたところで、それがどうして時間的にずれがあるのだろうか。それをやれないところに
自由党の貧困な政策があるのだ。ここで
自由党の
諸君に特に申したいのは、
自由党のこの貧困な政策に対しまして、
野党各派が根掘り葉掘り
質問し、
自由党の政策の貧困な大臣諸公が
答弁に困
つて、そして窮地に陥つたところが、うしろにはドツジ氏がおられるし、ダレス氏がおるし、トルーマンは━━━━━━━━として待
つておるのである。
アメリカの考えとしては
自由党政権は見放さないのだから、安心してやらせるべきだ。そうであるにもかかわらず、こんなにあわてふためいて打切るところに、
自由党のあせりがあるということを、われわれははつきりと知
つたのであります。
占領下の日本の国政には日本を憂うるところの何ものもない。敗戰下、きのうがあ
つて、あすがない日本は、非常に暗黒な形におけるところの政治の中にあえいでおります。日本の
政府の政策は、━━━━━━にのみ終始し、
アメリカの━━━━━━━━━日本を貧困化し、暮しに困つた日本の国民を、男女ともに
アメリカの━━━━にのみし
ようとしておるのであります。その例として女は━━━━であり、男は警察予備隊と名づけられ、予備隊という名でありながら、警察より苛酷な━━━━を受け、━━━━━━━━━━━━━━━━━、そのための準備のみが、
アメリカの今度の政策であります。特に和解と信頼と賠償のない
講和だと言つたところの、その多数
講和の結果はどうであつたか。そういうことを言つたダレスさんは、日本ではない、
アメリカの統治しておつた比島において、おのれの肖像を焼かれてしまつた。その結果として比島から勘定書がつきつけられた。その勘定書は、東南亜全部合せまして六兆七千億ときめつけられている。これではお先まつ暗にな
つてしまつた。
講和はまつたく
講和ではなかつた。
講和は世界各国との国交の回復であるにもかかわらず、事実においては回復でないということが言われるのであります。現に米の
統制撤廃問題に対して、
自由党の農林大臣は農林省の役人を全部集めて、りつぱに立てたところの
自由党政府の政策であり、この米が日本の米でありながら、日本の
政府がか
つてにできないという売国性は、これを明らかに立証しておるのであります。その売国
講和、これこそが一言にいうところの事実でございます。町には三百二十五号違反という罪名が多くて、これによるときには、常に人民の家は侵入され、日本人民の人権は剥奪せられるのであります、国政にはまつたく自主権がない。
経済的な圧迫は実にひどいものである。それさえもごまかそうとしておる。
ここに
簡單な事実があります。これは新大阪新聞に出た事実でありまして、
アメリカよりタクシーがたくさん日本に入
つて来る。こういう形で
経済的に━━して行くのであります。近く日本で最初の外人経営タクシーが東京の町々を流すことに
なつた。この社は
アメリカの資本会社であ
つて、自動車は去る二十一日北米定期航路浅香山丸がニユーヨークから三十台積込み、横浜に陸揚げした。この値段は
アメリカの金にして二百六十ドルである。これは日本で修繕すれば二十万円かかる。そういたしますと、二百六十ドルは九万三千円であり、日本の修繕費二十万円を入れまして、これで二十九万三千円になる。こういうふうな中古車がどんどん入
つて来る。この車はそのまま自動車の形で積む必要がない。
アメリカの使い古しの古であるがために、これを縦に績んで持
つて来て、日本のタクシー業者を圧迫し
ようとしておる。しかも
最後の言いぐさが振る
つてる。「車より一足先に日本に飛来した同社マツクス・ビユーゲル社長は、この次の船便では約百台送りたい、
アメリカで二百六十ドルも出せばりつばな中古車があり、日本での改修も一台二十万円もあれば済む、どうせ中古車だから車を縦に積んで満載するほど送りたい、と語
つている。」これはこんな形において入りて来たならば、日本の自動車産業とその経営がどうなるかということを考えていただきたいのであります。こういう形において圧迫しておる。減税々々と言つたところが一体何だ。減税は世界に逆行すると言
つて池田蔵相がしかられたのだ。池田蔵相は、ドツジ氏は銀行家である。おれは政治家だと言つたところが、米の問題において銀行家のドツジ氏に一本やつつけられて、いまだに何とも言えないという事実が、大臣はいかに
アメリカ・ドルの━であつたかということがはつきりわかるのであります。
それからこの現状を打破するためには、われわれは真剣な
質疑をやらなければならないのです。そうしてわれわれは
予算を
審議するところの心構えをはつきりしなければならないのであります。ところがその
予算を
審議する心構えが、はつきりしておらない。どういうところがはつきりしておらないかといえば、われわれは戰前の盛んであつたときの日本を例にとりまして、それまでの日本の生産が上つたということが、唯一の原因であり、池田蔵相の数字は、全部そこから出ておるのであります。ところが考えていただきたいのは、負けた日本が
アメリカ軍の占領下に長い間あえいでいるときにおいて、世界は大発展をしておるのであります。特に中国とソビエトの発展はものすごく、ドルの王者
アメリカは、これがために原子爆弾をこしらえて、何十万人くらい人を殺すかということに汲汲としておるのであります。この世界現勢下で日本が戰前の水準に回復したところが、それさえも近代国家としては役に立たないボロ日本であります。従いまして、日本が戰争以前の生産数字を凌駕するところのものを常に論点の中心にし、それを実現するために政策を向けなくてはならないにもかかわらず、つぶれた日本が悪かつたときよりかよく
なつたという
ような、数字をもてあそぶ
ような池田
大蔵大臣は、もう一度数学学校に入
つて、数字の扱いを
根本的に頭からやり直すべきであるということを言いたいのであります。(
笑声)それから
自由党は、特にこの
予算審議に際しまして、聞くにもたえない自由ということを口にしました。その自由とま一体何だ、米を自由にするといつたところが、この間の
審議からもはつきりわか
つている
ように、ならなかつた事実から、これにけちをつけ
ようとはしませんが、しかしながら
自由党の池田蔵相は、確かに米と石油だけが自由でないということを言われたのであります。ところがわれわれがはつきりと言いたいのは、もし
自由党が真に自由だということを言うのであるならば、労働者の給与ベースをどうして撤廃しないのか。日本の労働階級は最低賃金制を
要求しているのであります。日本の農民も最低米価の支持制度、最低麦価の支持制度を
要求しておるのであります。ところが
政府は値打ちのあるものを高く売
つてはいけないというところのパリテイによるところの低米価を
要求し、これを強要しているのであります。賃金もこれでは食
つて行けないという人々に対しては、ストライキはや
つてはいけないとい
つて、日本の勢力で押えられなかつたときに、
アメリカのタンクをも
つてこれを押えさした例があるのでありますが、最低賃金を
要求するところの日本の労働者に対して、真に自由ということを唱えるところの勇気があるのであるならば、どうして
自由党政府は労働者を困惑に導き、日本を混乱に導くところの給与ベースのインチキ計算をやめさせないのか、労働者の争議の自由をどうして認めないのか、ここに
自由党の自由でないところの不自由さがあるのであります。特に中小企業に対して金を貸す貸すといつたところが、中小企業は金を借りられないで困
つておる。こういう金融引締めをうんとや
つておきながらも、これをさえも忘れたかのごとくにごまかしている。米の問題で自由、そして石油さえ放せばすべて自由だという
ような、この
ような自由は実にばかげ切つたことであるということが言われるのであります。それから貿易の問題でもそうであります。日本は
アメリカのおかげで東南亜からいろいろの物を買い、そうして向うに売出させるというけれども、硫安の問題は農林
委員会の大問題であり、
自由党の農林
委員さえが、肥料問題で吉田政権を、これは蒋政権につながる売国政権だといつた記録があるのであります。その例から見ますれば、台湾に硫安を出す。石灰窒素を出す、その結果として何を入れているのだろう。これは二十六年十月十二日の新大阪新聞の記事であります。台湾からバナナ五十万ドルを買うておる、これは一・四半期のできごとであります。これを
簡單に要約いたしますと、「近ごろくだもの屋の店先や高級料理店で盛んに求められているバナナは全部台湾からの輸入で、日本のドル不足が問題にな
つている折柄、第二・四半期中(七—九月)にバナナ買入れに約五十万ドルが使われたことがこのほど明らかになり、これはぜいたくなドルの浪費だと非難されている。五十万ドルといえば、先ごろ識和
会議出席のため渡米した全権団一の費用がしめて五十万ドル、本年の冬季オリンピツク大会への選手派遣費用が三十万ドル、また近く来訪する
アメリカプロ野球の招待費九万ドルに比べると、バナナのお金もばかにはできない。五十万ドルで輸入したバナナは約二千五百万本と計算されており、今後もこの
程度の輸入が予定されているが、外貨節約の
立場から、一部ぜいたく階級が食べるだけの不要不急の輸入はなるべく見合したい。………バナナ輸入に対する反省が高ま
つて来た。但しバナナの輸入は
簡單に契約でき、またもうけもボロい、そこで中小の貿易業者が競
つて輸入契約を取結び、それにかなりの密輸入もまじ
つて、一番手取早い貿易品目とな
つており、
簡單にはとめがたい、また台湾との貿易協定正もあ
つてバナナにかわる品物を輸入しない限りは、バナナ輸入を押えるわけは行きそうもない。」
ここにいうところの貿易協定というものをはつきり覚えておいていただきたい。これで無理に買わせられるのだ。「大阪、神戸あたりのくだもの卸商などが、期初めにはバナナの輸入外貨を申請して為替銀行の窓口に列をなすという現状である。」バナナの事実をあげたのは
自由党にはお笑いぐさかもしれませんが、硫安をなぜ出すのだ、石灰窒素をなぜ出すのだ、これを出したら日本の農村が困るではないかという論争が、衆議院の農林
委員会、参議院農林
委員会の中心課題であります。そうしたときに、日本では米が足りないから東南アジアから米を買うんだ、小麦を買うんだと言
つてだましてこの硫安を出しているのではないか。それに対してこの日本の硫安で日本人の食う米が入らないで、バナナが入
つてこれでごまかされている。この一つの形から見ても日米
経済協力下のこの貿易は実にインチキであ
つて、こんな條件のもとに日本がゆたかになるということは、あきれ果てたことであるということが言われるのであります。
こういうふうに国内の貧困は
——貿易のあり方、内政のあり方は、日本の国内を貧乏にするという━━━━━━━━であります。日本に食糧がないとか、土地が狭いとかいうけれども、日本を開発すれば十分なる土地かあり、十分なる食糧がとれるのであります。それに対する努力が少しもないのであります。ただ池田蔵相が今次の
予算説明において何回も申しました、非常に生産が盛んになり、特需のために税金かふえた、こういうふうに言いますが、ふえたのは困つた殺人産業かふえたのであ
つて、国内の開発は━━━━━━━のための軍事生産の下請工場、殺人兵器の生産のみであ
つて、これを裏づけさせるための日本国民の━━━━━━
経済的條件を整えただけが、政治と
経済のやり方であつたということが言われるのであります。これがために日本を貧乏にし
ようとしているのであります。それから特にわれわれは
予算審議においてもつと時間をいただいて、そうして十分に
審議をしたがつたというのは、これは池田
大蔵大臣自身が言われた
ように、日本の官庁には非常に白いありがおり、これが
予算のむだ使いをしている、地方の自治体は腐敗している、こういうことをはつきり言われたのであります。これにあわてふためいて、民主主義の中に日本人をおつぱなしたなれば、これは困る、道徳の基準がなくなるというので、はやらなく
なつた天皇をかつぎ出して、道徳の中心は天皇であるという
ようなことを言われ出した、はやらない前世紀的な哲人文相がいるのであります。この文相が給食費はどうしてもとらねばならぬと言
つておりながら、その給食費を
要求し、やつととれたと思
つているときに、給食品目であるところの豆をごまかし、金をごまかし、量もごまかしたところの悪徳官吏が、この哲人文相の監督下にすわ
つておつたというところの事実があるのであります。町におきましては、公用族が徘徊し、社用族が徘徊し、衆議院の行政監察
委員会は大にぎわいであ
つて、篠田君は大奮闘であります。これは
自由党の党員であるということを特にはつきりと御記憶を願いたいのであります。
自由党さえが不正を云々しなければならないところの日本のこの現状は、一体何であるかということを考えていただきたいのです。今まで
アメリカが世界に親交を求めるところのものは、国を売る政治家のおるところであ
つて、六十億ドルの金を
アメリカの命ずるままに使わずに、自国を自由に、自国民を解放し
ようとする中共共産軍を断圧する
ような蒋介石、あの腐敗した名うての売国奴のいる政権、であるにもかかわらず日本においては、吉田
自由党政権は綱紀の粛正まで叫んだこともあるのだから、これは少しは正しいだろうと思
つてお
つたのてすが、以上あけましたこの事実で、蒋介石に劣らず、李承晩につながるところの腐敗ぶりには実にりつぱな日本の
自由党政権が台頭したことは、
アメリカの政治家も非常に御満足であろうと私は感じております。
それから
最後に特に申し上げますのは、非常に矛盾した政策の一端が、この事実に現われております。大橋法務総裁が政治的に好まない連中を再び日本の政治舞台に出して来たその反面、戰後において日本民主化のためにがんばつた、日本の民主主義の最も純正なるところの共産党の指導者を追放した事実があるのであります。そして追放したにもかかわらず、
政府はどうしてもつかまえられない。これで
自由党さえがあわてふためいている。よく世相をえぐつたところの雑誌を見ますと、表の政権の王者は
自由党内閣、ワンマン
総理であるにもかかわらず、土の中には徳田球一が現われている。裏の世界に徳田球一が現われている。これは朝日新聞、毎日新聞にさえ漫画にな
つて出ておる世相を調刺した有力な、代表的な日本の真相であります。これをつかまえなければならないというので、あせつた
政府が十万円の金を出して探したが、つかまらない。百万円に上げてみたところがつかまらない。これではいけないというので、警察予備隊をこしらえ、治安立法をこしらえて、これでもいけないというので、治安費百五十億をでつち上げ、今度こそはと騒いでいるけれども、いまだにつかまえられない。ここで
政府にはつきりと警告をしておきますが、共産党の政策は人民の
要求であります。徳田、野坂のつかまらないのは、金と飛行機が足りないからではなしに、
政府の政策が反国民的であり、売国的であ
つて、国民が協力しないからつかまらないということを、はつきり御記憶を願いたいのであります。日本の政治が
アメリカの政治であり、
アメリカが日本を
アメリカ化そうとする政治であるがために、ますます
自由党は苦しい
立場に追い込まれるでありまし
よう。このときに臨みまして、
自由党は間接防衛、これは内の危険を除くためだ、また外からのややこしいやつに対する直接防衛だ、こういうことを唱えている。このために
講和というものを出して来た。これで国民をだまかして、この條約を義議させるために今われわれを集めて
いる。
審議の事実から見ると、
アメリカの国防の中に━━━━━━━━━━━しまつただけで、決して
政府自身で日本共産党弾圧ができるものではないのであります。ここでわれわれは
政府に対して、この
予算編成が非常に間違
つているということを、この治安の一事から考えまして、
最後に
結論したいのであります。共産党は決して人民から離れたところの政策をや
つているのではない。人民の
要求によ
つてや
つているものであ
つて、言うまでもなく、われわれは弾圧に対して屈服するものではない。それであるがために、日本共産党を弾圧し、迫害し
ようとしてもそれは徒労に終
つておる。ただ警察予備隊で整理がつかずに、
講和條約でだまして、安全保障條約のもとに
アメリカ軍を長く日本にとどめて、それのみでなく
アメリカから軍隊を持
つて来て、原子爆弾を背負わして、日本全体を朝鮮の二の舞にさせ
ようとする
ようなこの政策の破綻、それはこの
補正予算を
自由党が多数をも
つて押し切り、これを実行する過程においてはつきりと現われて来る事実であります。
この点をはつきりいたしまして、私は今度提出されました
補正予算に共産党を代表いたしまして、絶対に反対するものであります。