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根本国務大臣 お答えいたします。ただいま勝間田さんから言われた
通りでございまして、現行の食管法に基いて、来年の三月三十一日までは現行
通りにやるという建前でございます。なお麦については、すでに先般の国会において衆議院は通過し、参議院においては、これは通過いたしませんでしたけれども、麦についての
統制解除は、現在
政府もその
通り実施したいと考えております。来年の四月以降につきましては、すでに本
会議その他で申し上げました
ように、これは全然の自由放任ではなく、食管法に
かわりまして、需給調整法を考慮しておるのであります。その根幹は、今後の
日本の食糧の絶対の量がどうしても足らないのでありまするので、相当部分
輸入食糧に依存しなければなりません。この
輸入食糧の管理が結局需給の調整と
価格に対する最も大きな役割を演じまするので、これにつきましては従前
通り、国家がこれを管理するという建前をとる構想でございます。この外国食糧の操作によ
つて需給並びに
価格の調整をいたすという考えでありまするので、従いまして現在の国際物価の
状況から見ますれば、小麦協定の部分については大分安値になりますけれども、外米並びに外麦については、やはり依然として補給金をつけて行くということが前提でございます。
〔
委員長退席、苫米地(英)
委員長代理着席〕
この補給金に裏づけされたところの外国食糧の量と放出
価格によ
つて、
日本の内地産米並びに
日本産の麦の
値段並びに
数量の需給を調整する、これが構想であります。
そうした場合に一面において農村で心配しておるのは、あるいは国際
情勢の変化、特に急激なる外米の増産あるいはまた外麦の増産によ
つて、安い食糧が
日本にどんどん流れて来るということによ
つて、あるいは農業恐慌に襲われはせぬか、こういう心配がありますので、これに対しましては、われわれの
見通しは、当分そういうことはないとは思いまするけれども、万全の
措置として、また農村の心配をなくする
意味において、これについては
価格支持政策を
実施する、すなわち再
生産を可能にする
程度の
価格を算定し、これに近い線で
政府が無制限買上げすることによ
つて農村の不安をなくして行く、こういう
考え方でございます。
そういう一応の
措置はできましても、結局
生産者としては、他の工業
生産品と違いまして、時期的に非常に集中して出て来る、そうした場合に、国全体としては一年を通じては足らないけれども、一時需給の面が実際の購買力と供給力との間においてアンバランスになるために、結局非常に安値で買いたたかれはせぬか、この心配が出て来ます。これにつきましては、構想といたしまして農林中金を通じまして、
政府の財政資金等もこれを通じて流すことによ
つて、農業協同組合に共同集荷、共同販売ができる
ような集荷資金を融通する、こういう
考え方であります。また一面におきましては、現在農林中金がございまするけれども、これによる
生産資金の供与は必ずしも十分ではない。そこで現在は
供出制度におきまする
供出量を担保とした
ような形において農業手形を出しておるのでありますが、これがもし
統制撤廃になるならば、その
条件がなくなり、農業手形がだめになるだろう、この心配があるのでありまするが、これにつきましては農業協同組合と
生産者との間に売買契約等を締結した場合、しかもそれが共同
責任で保証するという場合に限
つて、これに対しては農業手形を改良して存続せしめる、こういうことによ
つて生産者に対しては安定感を与える。それから
消費者につきましても、これまた十数年にわたる
政府の国家管理でありまするために、米穀商というものの資金の裏づけがございません。卸売についても小売についても、現在のところは、
政府の管理米を借りて売
つてその口銭をと
つておるという現状でありますので、現実の売買力は都市にありまするけれども、それを仲介する商業機関が整備していないために、
生産地にはたくさん品物があり、これを持
つて来ることもできるのであるけれども、現実に
消費者の手に入るところの中間機関がない。それがたといあ
つたにしても、それを確保するところの資金の裏づけがない。ここに不安があるのではないかと思います。そこでそのためには、この農業協同組合に融資したと同じく、買取販売
業者につきましても融資の裏づけをする。これについて今その
数量並びに具体的な信用供与の
方法を
検討いたしておるのであります。こういうふうになりますれば、
生産者、
消費者の間の不安がなくな
つて来る。
そこで問題にな
つて来るのは、先ほど以来すでに問題になりました
価格の問題になると思います。この
価格の問題は、結局
生産者よりも主として
消費者の問題で出て来るのでありますが、その観点からいたしますれば、これは非常に複雑な要素がたくさんございまして、これをどの
程度の目安で
価格操作をするかということが、先般から問題に
なつたのでありまするが、
統制撤廃が究極において
生産者に対しても不安なく、
消費者にも不安なからしめて、全体の安定経済を確保して行くという前提に立ちますれば、どうしても目安は現在の実効
価格を目安にしなければならぬというのが私の構想であり、
政府の構想であります。これに持
つて行くためには、しからばどういう
条件が必要であるかというならば、先ほど来
川島さんその他から問題になりました外国
輸入の
数量をどの
程度持
つて来るか、それに対してどの
程度の補給金をつけることによ
つて可能であるか、あるいはまた二重
価格制度、いわば内地産の麦についても補給金を出す必要があるかどうか、この問題も出て来るのであります。そうして一応の
価格操作ができるという前提においてのみ、初めて具体的にわが党が言うところの
撤廃ということが総合的な判断として可能であり、またこれが善であるという結論が出て来るのであります。ところがこれは非常に複雑な要素が今出て来ておりまするので、構想はできておりまするけれども、その裏づけとなるところの前提
条件について、まだ関係筋との完全なる一致を見ないというところが現状なのでございます。従いましてわれわれは決して単なる思いつきによ
つてや
つておることでもなく、また非常に早くやれやれという
ような
意見もございまするけれども、この問題は実にわが国の財政経済並びに
国民経済に及ぼす
影響が非常に重大でありまするので、これはある
意味では多少早ま
つたと言われるかもしれませんけれども、やはりこういう問題については、あらゆる
方面の
意見が大衆的に論議されることが必要であろうと存じますので、すでに
方針だけは示しておりますが、しかしたとい
実施するにしても、一番早く
実施しても来年の四月で、まだ半年の時間があるのであります。その間十分にわれわれは
政府としての施策も講ずるとともに、
国民の批判をも聞き、そうして最善の道を実現したい、か
ように考えておる次第でございます。ただいまその
方針についてのみ議論されておるわけでございます。具体的な問題については、しばしば申し上げました
ように、われわれとしましてはあらゆる
データと、われわれの結論いたしたところの前提
条件についても十分に
資料を整えて、それに基くところの行政
措置あるいは立法
措置について提案し、そして御
審議を願いたい、こう
思つておる現状でございます。