○風早
委員 総理が今のような態度をと
つておられることが、一体何を
意味しておるか、これがすなわちこの
講和條約がま
つたくインチキである、言われるところの
日本の主権の独立は、ま
つたくインチキであるということを明らかに証明しておることになるのではないか。もはや批准も終ろうとしておるそのときに、ドツジ氏の来朝とその言動に対しては全
国民は非常な憤激を持
つておる。戰後六箇年にわた
つて、ことに
吉田内閣にな
つてドツジ氏がや
つて来られ、あらゆる
政策、ことに金詰まりというようなことによ
つてどれくらい
国民は迷惑しておるわからない。自由党の諸君だ
つてそれは
言つておる。しかるに今またドツジ氏がや
つて来て、今の
政府を動揺させ、また国会の予算の審議に対して大きな影響を与える、これは明らかに内政干渉だ。私
どもはこのドツジ氏の言動に対しては、
総理が
日本の
総理であるならば、当然取締る立場にあると思う。これができなければ、結局この
講和がいかにもインチキである。表看板は独立、実際は相もかわらず他国の属国であるということを
意味しておると思う。私は
総理が
お答えがないのでありますから第二問に移ります。
この二つの條約から生れて参りました実に莫大な
国民負担、特に軍事費負担でありますが、これについて
総理はいかなる
考えを持
つておられるか、またどの
程度まで実際責任を持
つてこの財政負担に応じようとせられるのであるか、この條約に対する
国民の関心はこれなんです。もちろんこの條約が
日本の完全な独立を回復するものであるか、あるいはまた相もかわらず、またまた属国にして行くものであるか、あるいはまた戰争へ持
つて行くものであるか、平和を保障するものであるか、こういうことは関心事であります。しかしながら最も深く直接関心を持
つておるのは、この條約がはたしてわれわれの
国民生活をもつとよくしてくれるのか、あるいはもつと苦しくするものであるか、この点が一番問題である。
総理はこの問題につきまして、すでに今までの御
答弁の中では、この費用の分担はきま
つてはいないが、
日本が頼んで軍隊を置いてもらうのだから、できるだけ費用を負担するのが当然であるが、財政上の
制限のあることもやむを得ぬことである、こういう
お話であ
つた。これがそもそもこの莫大なる財政負担を背負い込まなければならなくな
つた一つの根本的な問題であります。
日本側が米軍の駐留を頼んだということから、こういう形式にな
つておる。つまり両條約とも
日本が希望して、
アメリカはその希望を聞き入れたにすぎないのだ、こういう形にな
つておる。この
日本側が希望したということは、これは
一つの法律上の擬制にすぎないのですが、これくらい
日本の
国民を侮辱した言葉はない。(「侮辱ではない」と呼ぶ者あり)侮辱だ。
日本の
国民のだれが希望したか。もちろん希望した者はあります。それは
政府と自由党が希望しておる。しかしながらその希望したという形式が盛られたことがどれくらいひどいことにな
つたかということは、これから逐次ただして行きたいと思います。この形式はむろん保護條約の形式でありまして、今までこの
委員会あるいは平和條約
委員会におきまして、日満の協定あるいはまた日韓の協定になぞられておる。しかし私はこれは條約ではないと思う。この二つの條約というのは、実は形式は條約であ
つても條約ではない。私に言わせれば、これは女郎の身売り証文とそつくりである。これは事実である。その証拠を私はあげてみせる。この女郎の身売り証文というのは、ここにあります。この形式は実に今回の両條約に似ておるのだからしかたがない。「此むめと申す女子当年拾七才に相成候処、我等の実の娘に御座候、年々不如意に付難儀仕候、然るところ貴殿前々より御懇意の好身に付、先般相頼み候処早速御
承知下され御世話を以て舘売下女奉公相済せ前借金御依頼申入候処身代金正拾参両慥に受取申候然る上はむめの一身については如何様なりとも貴殿の御随意たるは勿論横合より故障申す者は一人も御座なく候、若しとやかく申すもの有之候はば我等何方迄も罷出で、きつと埒明かせ、貴殿へは少しも御苦労相掛申間敷候」
これは單にこの両條約の本質を現わすだけではなく、戰後六箇年、占領下において歴代内閣、特に
吉田内閣がや
つて来たその
政策、あの外資導入
政策にしてもそうです。どうかお願いいたします、どうか頼みます、金を貸してください。金を借りる。そのかわり何でもあなたの申入れに応じます。この形でも
つて次々に積み重ねて来たその結果がこれである。この身売り証文とどこが違う。われわれはこのような奴隷條約、このような売国條約に対しては、むろん絶対反対して来たものであるけれ
ども、問題は、こういう売国條約を結ばれたその結果、いかに莫大なる
国民負担を増大させたかということである。
そこで私は
総理にお尋ねします。この條約から出て来る莫大なる財政負担について、一体どの
程度これを見積
つておられるのか、またこれに対してどういう責任を持
つてこれを支拂おうとしておられるのか。この点
吉田総理の責任のある御
答弁を求めたいと思います。