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池田国務大臣 私に対しての御
質問ではありませんが、皇室再建の問題が起りましたので、
大蔵大臣としても
関係のあるとでございますから一言申し上げておきたいと思います。
平和回復後におきまするわが皇室と外国との
関係は非常に密接にな
つて、
お話のように外国使臣の謁見その他のことがあるのであります。私は前から
考えておりましたが、幸いに先般、二週間ほど前に、陛下に大蔵省
関係、ことに
予算等の
関係を言上いたします機会に、侍従長と会いまして、たまたまこの問題に触れたのであります。侍従長の
意見では、先ほど
宮内庁次長の言
つておられるようなことを申し述べられましたが、私は今宮内庁の
考えられておりまする今の宮内庁の改造に対しまして御検討を願いたい。また国会も
関係がございますが、東宮御所が今国会図書館に使われております。あれを改造することはできないか御検討願いたい、こういう問題に触れたのであります。たまたま庄司
委員の
お話がございまして、私も非常に感激するところがあります。また、ただいま
委員長よりこの問題につきまして、調査をなさるということを聞きましたので、
大蔵大臣といたしましても、十分庄司
委員のお
考えを頭に置きまして、今後善処いたしたいと
考えております。
次に、貧乏人は麦を食え、金持ちは米を食え、こういう
言葉で表現せられておりまするが、そういうことは言つたことはございません。しからばどこからそれが出たかと申しますると、昨年の暮れでございましたか、参議院の
予算委員会におきまして、木村禧八郎
委員より、米、麦の価格につきまして
質問があ
つたのであります。御
承知の
通り、
予算上従来米に対しまして外米は一〇〇%、麦は九五%あるいは九〇%の比率で
行つてお
つたのであります。それを
昭和二十六年度から、米と麦との比率をかえまして、米に対しまして麦を安くいたしたのであります。これは米、麦を
統制しております間におきましても、私は
国民の嗜好その他消費の
状況から
考えまして、米と麦との差を多くすることが必要であると
考えておるのであります。私がそのとき申しましたのは、
自由主義経済になりまして米、麦の
統制を撤廃した場合において、
国民生活におきまする主食費の増高を極力防止しようとするならば、米の値が上つた場合に麦の値は下げなければならない。こういう場合におきまして所得の多い人は高い米が食えましよう。所得の少い人は安い麦でがまんしてもらわなければならぬ。これは米、麦の
統制を撤廃したときの
経済の原則であるのであります。もちろん麦がからだによくて米が悪いとか、こういう栄養上の問題は別といたしましてわが国におきましては、昔から米が不足でございまして、戰前におきましては、朝鮮、台湾から千数百万石を
輸入いたしてお
つたのであります。しかるところ終戰後は、内地米と同じ品質の朝鮮、台湾米が参りません
関係上
——日本人の嗜好として、
日本の内地米に執着があるのはやむを得ません。従いまして
統制撤廃後におきしましては、内地米が相当上りましよう。そこで内地米が上つた場合におきしましては、
国民の主食に対する出費を少くするためには麦を安くしなければならぬ。みんながみんな同じような所得ではないのでありますから、高い米は所得の多い人が食べられるし、所得の少い人は麦でがまんして、だんだん所得を多くして米にするということにする。これは
経済の原則でございまして、だれから言われても誤りはない。ことに
統制撤廃、自由主義の建前をと
つております自由党の党員といたしましては当然のことであ
つて、何と言われてもこの説は改める
気持はございません。私はそういう
気持で答えたのであります。米と麦とを
国民全部が同様に食わなければならぬということは社会主義
経済のもとにおきましてもやり得ないことであります。今のように米と麦とを
統制しておりましても、東京都の方々は十五日米、十五日麦、半半であります。米の産地の新潟県等に、おきましては、二十五日米の配給があ
つて、その他は五日であります。こういう
状態がいいか悪いかは別問題といたしまして、私は
自由主義経済、主食
統制撤廃後におきましては、高いものは所得の多い人が食べる上、所得の少いものは安いものを食べて行くということが、当然の
経済原則であると信じておるのであります。米を食うことがいいか、麦を食うことがいいかどうかという問題は、一般的にいえば、世界の一等
国民は麦を食べるのを原則としておる。
アメリカにいたしましても、
イギリスにいたしましても麦が主食であります。
フランスもそうである。ドイツは麦や米ではありません。じやがいもが主食であります。貧乏人は麦ということは言つたことはございません。所得の多い人、少い人。
——麦を食いますにしてもおのずから食い方がある。
アメリカなんかにおきましては、小麦の消費は、人間が食うのは二割でございまして、八割は鶏や豚や牛が食
つております。そして麦を食つた牛や豚や鶏を人間が食べておる。私は今の世界の情勢から申しまして、
日本人も麦と蛋白質の牛肉や卵が食えるようになりたいものだと思うのであります。しかしこれは長い歴史から申しまして、なかなか困難であります。
経済原則といたしましては、主食
統制撤廃後は安いものは所得の少い者が食い、所得の多い人はうまいものを食うということは原則であります。どこかの講演会でこの話が出ましたとき、私は所得の多い人が米、所得の少い人は安い麦ということがもし誤
つておるとすれば、汽車の一等、二等、三等が走るのはいけない、全部一等にしなければならない、これは理想でありまするが、そうは行かないということを述べたことがあります。私は決して階級闘争的な
気持でそういうことを言
つたのではなくて、
経済の原則を言
つたのであります。繰返して申しますが麦と蛋白質が世界一等
国民の常食であると
考えておるのであります。
経過的にはいろいろな問題がありますが、私も庄司さんと同じように子供のときは麦で育
つておりまして、今日こういうからだにな
つておるのであります。