○山崎国務
大臣 お答えいたします。総括的に私から一応お答えいたしますが、ただいま御指摘のうちには、
事務当局に私にかわ
つてお答えさせたい点もありますので御了承を願います。
第一にサービスの改善、これはきわめて広い
意味のサービスの改善ということで御指摘のように拜聽いたしました。それには一応今日の
日本国有鉄道のあり方を申し上げる必要があると思うのでありますが、御
承知の
通りに、国有鉄道の線路の延長は一万九千キロ余り、約二方キロでありますが、その六割は赤字線でありまして、四割が黒字線であり、四割の黒字線をも
つて、六割の赤字線をあわせてまかな
つておるよなう現状なのであります。その上に鉄道全体としては、戰争以来使いつぱなしで酷使をしたまま、十分な修繕もできずにおるような形でありますので、ごらんの
通り、いまだに地方支線に参れば、窓がガラスにあらずして板、腰かけも板というような点も明らかにお目にとまると思うのでありますが、そればかりではなくして、線路のごとききわめて重大な施設が、
相当の年数を経て、当然取りかえられなければならないものもあるようなわけでありますが、それらをもできるだけ危險線に到達せざる手前で、注意をしつつ、ようやくささえて来ておるような形なのであります。従いまして、国鉄全体を見ますと、サービスの向上には相違ないのでありますけれども、向上というよりも、どうやら維持をして、あるいは低下しないように努めるというのが、正直なありのままの表現であろうかと私は
考えるのであります。そういう中での国鉄の運営でありまするのみならず、またばかばかしく
経済を度外視した形で、今日の姿からいえば、鉄道の線路が長過ぎてしまつた。その上に独立採算制で押し切
つて行かなければならないということになりますので、前に申し上げたように、六割の赤字線を四割の黒字線でささえるというようなことにも相な
つておるのであります。八方に気を配
つて、そして願わくは事故を起さしめないように、せめてその点を第一線として重点を置いて経営いたしておるようなわけでありますので、大きな声でサービスの向上改善に努めるとは、正直のところ申し上げかねるのであります。しかしながら、できるだけ維持、そうして低下しないように
努力するという
段階に現在あることを繰返して申し上げるわけであります。東北、ことに北海道、こういう方面の線に対して、もう少し便利な快適な施設に直してもらうわけに行かないかというお尋ねでありますが、国鉄の当局はもちろん、運輸省としましても、この点は全然御同感でありまして、できるだけ
やりくりをして、そういう東北、北海道のごとき、ややともすれば置いて行かれた形にあるような地方には、十分の考慮を拂
つて行くべきであろうと
考える次第であります。のみならず、四つの島に八千何百万の
国民が押し込められて、人口が寄る所にばかり寄
つて、片寄
つたような姿にある
日本の現状としては、東北、北海道のごときところにこそ、開拓的な
意味において鉄道をかけて
行つて、人口の疎開をし、天然資源の開発をはか
つて行くということは、鉄道政策の大きな見地からは意を注がなければならないことと
考えるのであります。その前提として、御指摘のような東北線、北海道等にかけて急行列車というようなものについて、できるだけ早い機会に、御希望に沿うようなサービスの向上に向けたいということは、運輸省としては国有鉄道か督励して、その方向に進めたいと
考える次第であります。幸い
ちようどきのうきようから一番機が飛んだかと思いますが、飛行機も札幌に一応直通で通ずるようなことに相
なつたわけで、地上の交通を空から補うというようなことにも相
なつたわけであります。それから客車ばかりでなしに、貨物のサービス向上でありますが、この春の終りごろは二百万トンの滯貨と称せられたのであります。夏枯れどきにな
つて、百五十万トンぐらいに一時減
つたのでありますが、さらにまた秋の季節とな
つて荷物の出まわりが多くなり、最近百五十トンを越えてますます上りつつあるような
状態であります。滯貨の一掃は、何よりも貨車の新造あるいは列車キロの
上昇をはかること、その他輸送上のいろいろな施設を
伴つて整備することでありますが、貨車につきましては、本
年度は五千七百両の新造の
予算計画をもちまして、現在においてはすでにその半ば以上はでき
上つて、活動をいたしておる現状なのであります。さらにまた列車キロは前年に比して一〇%くらい、
努力によ
つて上昇を示しております。さらにまた、貨車をつくつたばかりでもいけないのでありまして、貨車の回転率を上げなければ、
能率の増進ができないのでありますから、貨車の回転率の増進というようなことにも、
相当力を入れて成績も
上つております。こういうことによ
つて滯貨は完全無欠とまでは参らないまでも、
財政の許す限りを盡して滯貨の一掃に
努力をして、
産業生産の向上に伴う施設を進めて行きたい、こういうふうに国有鉄道は
努力しておるのであります。
北海道の滯貨が多いがどうかという御指摘でありました。どうもこれはできるだけの配車は、国鉄としてはいたしておるのであります。むろん全国の均衡をにらみ合せつつ配車をいたしておるのでありますが、私どもから
——ごく大局から見て行くと、もう少し荷物の種類によ
つては、船便によ
つて出してもらいたいものだと思うのでありますけれども、これはやはり荷主の希望が汽車便による方が便利なのでありましよう、運賃
関係もあろうかと
考えますが、陸上の方がこれまでは非常に船便に対して割安の採算になるようであ
つたのであります。のみならず汽車便ならば発送地から到着地まで何の世話なしに到着するというような便宜があ
つて、荷主がこれを選ぶのであろうかと
考えますし、待
つておればそのうち貨車が、きゆうくつながらまわ
つて来るだろうというような
考えからか、荷主も貨車の配給を一面において催促しながらも、しかも船便によらずして貨車の来るのを順番を待つというような現状であります。今度御審議を願
つて御協賛を得れば、運賃の改訂もできるのでありますが、それらによ
つて幾分貨車の方の運賃が
上つて来れば、船運賃と近寄
つて来るのであります。沿岸の便利な海国のことでありますから、この沿岸の荷物を沿岸航行船に託するという方法を、うまくや
つて行かなければならないのではないかということを、汽車と同時に、運輸省としては船のことをも
考えて、両面の
対策を考慮いたしつつあるような次第であります。
それからあとは荷物がなくなるという
お話であ
つたのでありますが、これらの
事情は、かえ
つて事務当局から具体的に
お話を申し上げた方が、適当かと
考えますので、それらの点は
事務当局からお答えいたすことにいたします。