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1951-11-26 第12回国会 衆議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十六日(月曜日)  議事日程 第十八号     午後一時開議  第一 図書館運営委員長国立国会図書館法第十一條第二項による審査の結果報告     ————————————— ●本日の会議に付した事件  運輸審議会委員任命につき同意の件  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出)  文化財保護法の一部を改正する法律案参議院提出)  社会保險危機に関する緊急質問岡良一提出)  無畜農家解消に関する決議案小笠原八十美君外二十二名提出)     午後二時四十七分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、運輸審議会委員三村令二郎君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて同意するに決しました。      ————◇—————
  5. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出物品税法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  6. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  物品税法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事奧村又十郎君。     〔奧村又十郎登壇
  8. 奧村又十郎

    奧村又十郎君 ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法案は、物品税課税物品米国に輸出する場合に、現行米国関税法規定によつて生ずる不利な状態を避けるため、物品税課税物品消費者負担する建前のものであることを規定上明確にし、これに伴いまして、課税物品国内取引におきましても、製造者及び販売者に対し物品の価格と税額とを区別して表示する等の義務を課そうとするものであります。  十一月十四日、政府委員提案理由の説明を聽取して審議を重ねましたが、本日質疑を打切り、ただちに討論を省略して採決に入りましたところ、起立総員にて可決いたしました。  以上御報告申し上げます。
  9. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  11. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、参議院提出文化財保護法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  12. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  文化財保護法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。文部委員会理事岡延右エ門君。     〔岡延右エ門登壇
  14. 岡延右エ門

    岡延右エ門君 ただいま議題となりました文化財保護法の一部を改正する法律案につきまして、その審議経過並びに結果に関する概要を簡単に御報告申し上げます。  本法案参議院文部委員全員の発議にかかるものでありますが、その目的といたしまするところは、従来その必要を痛感せられておりました京都国立博物館及び奈良文化財研究所昭和二十七年度から新設いたしますとともに、同法の公布施行後の実情にかんがみまして、国宝その他の重要文化財の所在の変更にあたりましては事後届出制でありましたものを、これが保護の必要上、事前の届出を要することといたしたのであります。さらに史跡名勝天然記念物現状変更に関する許可権限都道府県教育委員会に委任し得る道を開き、かつ都道府県の区域内の文化財保存及び活用に関し文化財保護委員会に対し意見具申を行い得るものとする等、その権限責任を広め、あるいは文化財專門委員を置き得ることといたしたものであります。その他国庫補助に伴う保存行政の完遂を期するために必要なこと及び若干の事務的整備規定を加えようとするものであります。  次に審議経過及び結果につきまして申し上げます。本法案は、去る二十一日、参議院より予備審査として付託されましたもので、本委員といたしましては愼重検討を盡して参りましたところ、本日本付託となりましたので、討論を省略いたしまして、ただちに採決の結果、全会一致をもちまして可決いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  17. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、岡良一提出社会保險危機に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
  18. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  社会保險危機に関する緊急質問を許可いたします。岡良一君。     〔「大臣がいないじやないか」「大臣を出せ」と呼ぶ者あり〕
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御静粛に願います。大臣はただいま盛んに出席要求中でありますから、ちよつとお待ちを願います。     〔「休憩休憩」と呼ぶ者あり〕
  21. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 厚生大臣は御承知のように足が不自由ですから……。     〔岡良一登壇
  22. 岡良一

    岡良一君 私は、日本社会党の立場から、現在きわめて深刻な危機に陷つておる社会保險、なかんずく医療保險制度について、政府がこの危機打開に対していかなる具体的な方途を有せらるるや、総理大臣大蔵大臣並びに厚生大臣にただしたいと思つたのでありますが、ただいま厚生大臣が見えましたので、特にその所管の点について重点的にお伺いをし、なお他の部面にわたつては、後刻においてでも、責任ある政府所信を伺いたいと思うのであります。  現在社会保險、なかんずく医療保險が非常な危機に陷つておるというその現実の理由財政赤字にあるので気りまするが、しかしながら、毎年毎年の深刻な財政赤字からいたしまして、あるいは被保險者負担が非常に高くなる、あるいは医療内容に対して天くだり的な制限を付したために、保險診療差別診療になり終つておる、あるいはきわめて不当なる医療報酬のために、医療担当者も良心的な治療をすることができなくなつておる、こういうような事情が山積いたしまして、今日医療保險制度というものが非常な危機落ち込んでおることは、いうまでもないのであります。保險料率に至りましては、昭和二十三年には千分の三十二であつたものが、わずか二年有余の間に、その倍の六十に引上げられておる。健康保險国民健康保險においても、一部負担が五割はおろか、七割というようなところで、辛うじてやりくりをやつておる。これに反しまして、医療報酬至つては、昭和二十三年に現在の医療報酬の一点単価が決定せられたのでありますが、これを米価に比較いたしますると、昭和九、十、十一の三年の基準年次米価におけるパリテイ指数が二四七であるときに、医療一点単価の倍数というものはわずかに七十にすぎない。こういうことからいたしまして、医療担当者は、来る十二月一日を期して、全国各府県において保險担当医たることを辞退しようという決意を明確に表明しつつある。  このようなわけで、現在医療保險が非常に深刻な危機に見舞われておる。独立日本が真に経済自立をはかり、また生活の安定を期さんとするならば、狭い国土に厖大な生産年齢人口を擁し、主要食糧おろか、重要な資源もその大半を国外に仰いでおるわが国といたしましては、経済自立も、生活の確保も、その原動力は生産年齢人口勤労によるのみである。その勤労を病気から守らんとするところの医療保險制度というものが、今日このように音を立てて崩壊せんとしておるのであります。かかる観点からいたしまして、四、五の点について政府責任ある所信を承りたい。  その第一点は、一昨年のこの議場において、やはり保險財政危機を訴えまして、医療給付費大幅国庫負担を強調いたしましたるところ、内閣総理大臣は、この議場において、総合的に社会保障制度審議会勧告を待つて善処する旨を言明せられておる。ところで、総合的な勧告は、すでに昨年の十月政府に寄せられておる。その後何ら政府施策においては誠意の見るべきものがなく、従つて社会保障制度審議会はたまりかねて第二次の勧告を発しておるのであるが、一体吉田内閣は、社会保障制度審議会勧告を尊重して、具体的にいかなる責任ある措置を講ぜんとするのであるか、勧告の取扱」について、またその見通しについでの明確なるお答えを、総理大臣みずからお伺いしたい。然諾を重んぜられるならば、この席上において、はつきりその勧告をまつて善処すると言われた以上、その点についての明確なる御所信を伺いたいのであります。  第二点は大蔵大臣にただしたい。もちろん社会保障制度審議会の第一次、第二次の勧告において主として強調しておるのは、現在の医療保險制度財政にかんがみて、医療給付費の二割国庫負担実現を強く要望しておる。とろが、今日までの経過を見るに、大蔵官僚は、健康保險における收支というものは保險料收入を基礎として收支の、バランスを合すようにという考え方をもつて、われわれの要求を、審議会勧告を無規し、回避しておるのである。憲法に保障されたる国民の健康を、政府がその責任において守らんとする保險制度において、これを営利事業保險経営の観念からして何らの補助をもあえてせず、今日の保險財政赤字を放任し、これを危機のまにまに放任するということは、われわれは納得できないのであります。現にイギリスのナシヨナル・ヘルス・サービスにおいても、その当初の二億万ポンドの予算のうちで、一億六千万ポンドは国庫補助金をもつてまかなつておるという実情は、明らかに日本大蔵大臣にとつても教訓的であろうと思う。この点について、今日のこの深刻なる危機における医療保險制度のために、大蔵省当局は、少くとも医療給付費の二割国庫負担実現すべきものと信ずるのであるが、その点に関する明確なる所信を伺いたい。  第三には厚生大臣に伺いたい。保險財政赤字を切り抜けんとして、まことに天くだり的なる保險診療制限が、最近においては特に頻繁に医療担当者を拘束しておる。その結果として、保險診療内容は低下し、被保險者自身保險制度にたよることによつて差別的な待遇を受けるというがごとき、制度そのものに対する不信が生れつつあるのであります。現に、あるいはペニシリンにしても、パスにしても、ストマイにしても、良心的な医者が良心的にこれを使用することの自由が剥奪されておる。われわれは、日本医療保險制度におけるところの診療内容というものは、日進月歩の日本の医学の最高水準にこれを維持することを念願するものであるが、かかる観点からいたしましても、結核治療指針を初めとする一切の診療に対する不当なる拘束はこれは撤廃し、診療担当者が真に良心をもつて診療に従事し得るがごとき診療内容の新たなる規定をなすべきであると思うが、厚生大臣の所見を承りたいと思う。(拍手)  次にはBCGの問題であります。保險財政にとつては、結核に対する支拂いが四〇%を越えておるのであつて、その意味から、結核予防ということは、保險財政とは密接不可分の問題である。ところが、この結核予防において最も直接的な武器BCG強制接種である。このBCG強制接種に対して、一部学閥の説に耳を傾けた厚生大臣が、その効果をきわめて疑問とせらるるがごとき不用意なる発言があつたために、現在においては、地方庁においてもBCG取扱いに困惑を来し、その強制接種は停頓の状態にあるのである。われわれが過ぐる国会において画期的な結核予防法を制定し、この法のままに執行の責任あるところの厚生大臣が一部学閥の論説に惑わされて、その最も直接的な予防武器であるBCG強制接種というものをそのままに停滯せしめ、放任をせられるということは、われわれは納得できないのであつて、しかも公的な結核予防審議会はつきりとBCGが有効無害であるといつておる以上は、当然この席上において厚生大臣は自己の不用意なる発言を謝し、あらためてBCG強制接種の遂行を言明せられたいのであるが、厚生大臣の所感を承りたいと思う。(拍手)  第四には健康保險担当医辞意表明の問題でありまするが、わが国における健康保險制度は、国保といい、健保といい、長い歴史を持ち、その制度においても、実に世界的な水準行つておるものである。しかも、この発展は実に医療担当者の犠牲的なる努力にまつところが多いのであるが、現在の医療報酬といい、診療制限といい、もはや責任ある良心的な医療に耐え得ないとして、保險担当医辞意を表明しつつある。もし健康保險制度担当医師がみずから辞職するというがごときことがあれば、実に文化国家一大名折れであるといわねばならないのであるが、しかもその期日は十二月一日に迫つておるのである。厚生大臣としては、すみやかにこれに対する適当なる措置を講ずべきものであると思うが、いかなる対策を用意しておられるか。これまた責任ある所信を承りたいのであります。  以上の諸点について、関係大臣あるいは代理者の御答弁を願いたいと思います。(拍手
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 内閣総理大臣に対する質問の点につきましては、適当な機会答弁を願うことにいたします。     〔国務大臣池田勇人登壇
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。医療保險給付費国庫負担の問題でございまするが、御承知通り、今までは事務費につきましてだんだんふやして行つて事務費全額国庫負担になつております。しかるところ、今の状況からいつて給付費までも国が負担する、すなわち二割というお話でございまするが、二割負担することになりますと、百四、五十億円を要するのであります。国の財政上から申しまして相当の金額でございますので、私はただいま検討を続けておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣橋本龍伍登壇
  25. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいまの御質問お答え申し上げます。内閣総理大臣及び大蔵大臣質問部分につきましても、私としても一言申し上げておきたいのでお答えを申します。  社会保障制度審議会勧告につきましては、第一次の勧告を昨年いただきました。これは内閣全体に関係いたしまするが、厚生省関係する部分が最も多いのであります。第一次の勧告の中でできるだけこれを実現いたしたいと思いまして、社会保險事務費の増額でありまするとか、そのほか社会保險充実、ストレプトマイシン、パス人工気胸等に対しまする国庫補助等結核対策、それから社会福祉事業法の制定というような点を、第一次の勧告の中で今日まで実現いたして参りました。第二次の勧告につきましては、いろいろなこまかい項目がございますが、大部分の点につきましては、厚生省としてやりたいと思つて目下努力中の問題であります。  医療費の一部国庫負担につきましては、ただいま大蔵大臣から話のありましたように、国庫財政の上においていろいろな問題はございまするが、ぜひ実現をしたいと思つて協力をいたしておるのであります。  なお保險財政の問題につきまして、診療内容制限お話がございました。医療内容制限というのは、どういう意味かよくわかりませんが、保險診療については、常に必要で十分な治療水準を目途として実施いたして参つたつもりでございます。診療報酬単位について種々問題がございまして、どうしてもある程度の診療指針というものは示す必要があるのでございます。これとの関係につきましては、ただいま社会保險医療協議会において、せつかく検討中でございます。  それからBCGの問題について御質問がございましたが、これはちようど本日厚生委員会が開かれることになつておりまして、前回委員会の関連で私が答弁いたそうと思つて用意しておるものがございますから、これをお話申し上げます。この際BCG予防接種の問題に対して、元来私の考えて参りましたところを要約してお話いたしたいと思います。  BCG予防接種については種々疑問があるから、なお研究調査を要するということを学術会議から進言を受け、また社会保障制度審議会からも、この予防接種については愼重を期すべきであるという勧告を受けたことについては、御承知通りであります。これに関しまして、もし有害の疑いがあるならば強制接種を廃止するのか、あくまでも強行するのかということを記者諸君から尋ねられましたので、有害の場合もあるという疑いが明らかならば強制を停止することを考えねばなるまいが、とにかく資料を受取つてなお検討せねばならないと答えたことは事実でありまして、私はこれを職責上当然のことと考えております。前回委員会におきましても、委員から詳細な質問がありましたが、その要旨は、一には、接種対象者の中でツベルクリン反応の疑陽性者に対する取扱い改善、二には、BCG独占的製造の再検討と、BCG改良に関する研究の推進、三には、BCG接種最終段階に至るまでの保存方法改善充実による力価の保持、四には、接種方法接種技術改善向上による局所副作用の防止または軽減、大体以上の諸点であつたのであります。そうして、この委員の考えの根本趣旨とするところは、品質が優良でかつ均等なBCGを確実に陰性な者だけに接種するという結核予防法の行き方自体は誤つていないと思う、要はこの行き方が確実に実施されるように改善すべきだということにあつたと存じます。  学術会議から指摘された幾つかの疑問があるのでありまするが、その一つは、現行乾燥BCGというものを法律で使つているのは日本だけであります。フランス等も、従来研究されておる液体BCGしか使つておりませんが、現行乾燥BCGは、すでに長い間実験されて参つたところの液体BCGと同様の優良かつ均等な品質を持つていないのではなかろうかまたこれを持たそうとしても持たすことがむずかしいのではなかろうかという点にあると思われます。従つて、もしこうした品質を持たすことができるならば、有効無効問題の大きな部分解決されるわけであります。また幾つかの疑問の一つは、現行ツベルクリン反応ほんとうに正確であるかどうか、それによつて一応陰性または疑陽性なつた人の体内には、ほんとう結核菌が活動していないと言えるかどうか、特に小兒科の領域においては、すでに結核にかかつておる人にこのBCGを接種する心配があるという点にあると思われるのであります。従つて現行ツベルクリン反応が正確であつてほんとう陽性である者に誤つて接種することが決してないというのならば、有害問題の大きな部分解決されるわけであります。従いまして、前回委員会で指摘された諸点について行政的措置においてなるべくすみやかに解決をして、法律規定されておる疑陽性の場合についても至急研究して、現行法が予想した條件々整えて運用のできるように改善し、推進して行くことが当面の責務であると思つています。これと並行しまして、さらに根本的な問題についても検討を進めて参るつもりであります。  以上が今日私の考えておるところでありまして、委員会で指摘された諸点解決についても、また根本的な学術検討につきましても、さらに省内において相談し研究しました上、結核予防審議会にも諮問しますし、また広く学界の意見も徴して、急速に措置すべきものは措置し、長く研究を続けるべきものはこれを続けて、遺憾なきを期したいと考えておる次第であります。  それから今日問題になつておりまする社会保險医診療辞退の問題についてお話を申し上げます。この社会保險医者が総辞退をすると言つたというようなことにつきましては、これはまことに遺憾なことであります。ただこれにつきましては、やはり医者の方の言い分にももつともなところがございまして、今日社会保險医療単価を是正するということは、厚生省としても真劍に考えておるところであります。ただ、これは法律規定がございまして、社会保險医療協議会審議をして、そしてその答申をまつて厚生省がこれをきめるということに相なつておるのであります。今日のこの問題に関しましては、先ほど大蔵大臣からも話がありましたように、社会保險単価を一円上げますと、社会保險及びこれに類似制度におきまして五十四億円の支出の増があるわけであります。もし医師会の要望のように十八円四十銭まで行くならば約四百五十億円ばかりの負担増があるのであります。これはきわめて重大な問題でありまして、これを解決いたしまするために、社会保險医療協議会医療費内容愼重検討して参り、そしてこれを是正する場合においても、これの保險経済に與える影響を愼重に考えておるのであります。私は、この医療協議会答申が早く出ることを望んでおります。おそらくは今後そう長からぬ機会医療協議会から答申が出て参ると思いますが、それを見ました上で、私はこれに対してあらゆる面を冷静に考えて善処いたしたいと思つております。      ————◇—————
  26. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、小笠原八十美君外二十二名提出、無畜農家解消に関する決議案は、提出者要求通り委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  27. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  無畜農家解消に関する決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。小笠原八十美君。     〔小笠原八十美登壇
  29. 小笠原八十美

    小笠原八十美君 私は、共産党を除く各党各派を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました、私外二十二名提出、無畜農家解消に関する決議案に関し、いささか趣旨弁明を行いたいと存じます。  まず決議案文を朗読いたします。   無畜農家解消に関する決議案   農家に対する家畜の導入を促進して食糧の増産、農業経営合理化を図り、併せてわが国民の食生活改善、体位の向上を期するは、経済自立の達成、なかんずく数百万トンに上る外国食糧依存軽減を要する現下の事態にかんがみ、一日もゆるがせにできぬ緊要事である。   よつてこの際、政府全国三百万戸無畜農家中、有畜化容易な百数十万戸を解消して、速やかに有畜農家たらしめるべく、国家資金特別融通による対策を確立し、次期国会においてこれが必要な予算措置を講ずるとともに、これら農家有畜営農基盤を鞏固ならしめるため必要な飼料、改良増殖家畜取引等に関する抜本的施策を講ずべきである。   右決議する。  われわれがあえてここに本決議案提出いたしましたゆえんのものは、まず第一に、現下わが国民の食糧構成検討いたしまして、栄茂質的向上必要性を強調せんがためであります。日本国憲法第二十五條は、すべての国民に対して健康で文化的な最低生活を営む権利を保障しておりまするが、現状はいかがでありましようか。標準的な栄茂水準に対しまして、脂肪、蛋白給源の国内産は、乳において百五十万石、肉六千万貫、卵四十億個の不足を告げ、年々増大する百三十万の人口をかかえ、この情勢はますますはなはだしからんとしております。夫る二十三日、わが国は国際食糧農業機構への参加を認められることと相なつたのであります。この機構は、世界の諸国民栄茂水準向上について勧告することを任務の一つとしておりまするが、わが国民の栄茂水準が、脂肪、蛋白においてきわめて低位にありますることは、これすでに一個の国民常識でありまして、ここに一々栄茂対策審議会研究にかかる結論をあげてみる必要もないのであります。  この事態を改善しまするため、ただいま栄茂強調週間の展開せられておりますることは、端的にこの事実を証明するものでありまして、われわれは心をむなしゆうしてその原因と対策を考えねば相なりません。国際社会での飛躍を要請せられる今後の国民としては、飯とたくあんの世界観を脱却し、総合的な食糧対策を講じまして、高度の合理的栄茂水準を用意し、国民体位の向上をはからねばなりません。  かように国民食糧の問題を質と内容の面から論ずるにとどまらず、さらに「数量の面からも深刻に考えてみる必要があるのであります。年々の主要食糧の需給におきまして、海外領土喪失の結果、二千万石内外の不足を来していることは御承知通りであります。戰後、歴代内閣の重要政策の一つは、これらの不足食糧を、輸入並びに国内自給によりいかにして確保するかということでありました。国内産に比べて割高の輸入食糧国民に配給するために、国はすでに数千億円の国幣を費して参りました。国内食糧の増産のためにも、肥料その他資材の増産、種苗対策、土地改良、病虫害防除等あらゆる施策を講じて参りました。しかもなお一方におきましては、人口の増大、災害、つぶれ地等、需給面にマイナスの作用があるとは申しながら、食糧事情は遅々として改善されない実情にあります。  その根因は那辺に存するでありましようか。われわれの見るところでは、化学肥料の濫用による耕地の老朽化がその重大なる要因の一つと見るのであります。世界にまれな多肥集約農業を営む関係上、多收穫を化学肥料の増投によつて求めることによりまして、地方をその根底から荒廃に帰せしめつつあることは、すでに皆様の御承知通りであります。この際農業経営内に家畜の導入を増加せしめることができまするならば、厩堆肥等の有機質肥料の増加が可能となり、数百万石の増收が約束されますと同時に、一面においては肥料生産に余裕を生じて、東南アジア等の最も望む肥料の輸出が可能となり、外米の輸入もそれだけ容易となるし、他面においては、いもち等の病害による減收も防止し得て、一石数鳥の効果を発揮することができるのであります。この妙策は、今日すでに一般の常識となつておりまするがいまだ実現しないのは、これを断行するという気慨に乏しいからであります。われわれが農村を歩きまして農民諸君とひざを交えて語ります場合、その最も強い要望の一つは、家畜導入資金のあつせんであります。  農地改革以後、耕地の零細化が進行し、経営規模の縮小と相まつて、潜在失業人口として農家の二男、三男の問題がやかましく論ぜられるに至つております。都市の工業がこれを吸收し得ないとすれば、この事態は、農業を高度化し、有畜営農によつて救済する以外に方法はないと断ぜざるを得ません。畜産の振興によつて農村における雇用の機会は増大し、いわゆる不燃焼労力の活用ができ、同時に農家收支を著しく改善して強靱なる自作農をつくり上げ得ることは、あらゆる統計数字が雄弁にこれを証明しているのでありまして、ことさら喋々する要を認めないのであります。  以上、種々の毎度より無畜農家の解消、畜産振興の意義を論じて参つたのでありますが、翻つて畜産の現状を見まするに、財政金融上の措置等、これを推進する実質的な措置は真に貧弱をきわめ、慨嘆これ久しゆうするものであります。  畜産局予算は年にわずか十億円内外、しかもその多くがいわゆる庁費に食われ、実際に畜産振興に投下されている経費はその二割前後にすぎず、また六十億円の農林漁業長期融資において、畜産部門に投下せられる額は、設備資金として五億円に満たないというありさまであります。今日急激にその重要性を増大し、しかも最も関心の薄い畜産業に対し、この際確固たる基本政策の樹立を要望いたし、有為転変の国際政局に処して確固不動の農村を築き上げたいと存するのであります。(拍手)  畜産局は、明年度予算要求におきまして、家畜導入に対する利子補給案を提出しておるやに聞いておりまするが、この案をもつてしては、農民の熾烈なる要求をとうてい満足させることはできません。(「その通り拍手)すなわちこの際、まず第一に、全国三百万の無畜農家の相当部分を解消する。第二には、既存有畜農家の経営規模を拡大し、その経営基礎を強化いたしまするために、十箇年程度の計画をもつて、国家みずから低利な家畜導入資金を貸し付け得る措置を講ずべきであります。(拍手)しかして、資金計画の確実なる実行を保障するためには、法律によつて資金融通準則の設定並びに特別会計の設置が望ましいのであります。(拍手)さらに、かような法令の整備、資金の準備と並行しまして、家畜の生産、流通を確保しまするために、政府はよろしく畜産行政を拡大強化し、家畜改良増殖、飼料確保、取引改善に思い切つた施策を実施しなければなりません。(拍手政府が二十七年度の予算の編成にあたつてこれらの方針の具現に必要な資金を計上せられんことを正に要望して、私の趣旨弁明といたします。(拍手)  なお共産党より、横田君を代表として、共産党全部これに賛成の意思表示がありました。(拍手
  30. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)  この際農林大臣から発言を求められております。これを許します。農林大臣根本龍太郎君。     〔国務大臣根本龍太郎君登壇
  32. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) 無畜農家を解消いたしまして、わが国農家の経営の改善食糧合理化をはかることは、目下の国情からして最も緊要なる事項であります。政府もこの方針に基いていろいろの計画を持つておりましたが、本日の決議の御趣旨に基きまして、さらに一段とこの政策を強化して参りたいと存じます。(拍手)なおこれと合せまして、種畜の確保並びに改善、あるいは飼料の手当、さらには家畜の取引市場の合理化等をも考え合せまして、御趣旨に沿うように努力いたす覚悟でございます。(拍手)     —————————————
  33. 福永健司

    福永健司君 日程第一は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  34. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十七分散会