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1951-10-27 第12回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十七日(土曜日)  議事日程 第八号     午後一時開議  第一 電信電話料金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 電信電話料金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣提出)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時五十六分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第一、電信電話料金法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。電気通信委員長關内正一君。     〔關内正一君登壇
  4. 關内正一

    關内正一君 ただいま議題となりました電信電話料金法の一部を改正する法律案につきまして、電気通信委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案内閣提出にかかるものでありまするが、その提案理由とするところは、最近における物価の変動による物件費増嵩及び近く実施を予定せられております給與べースの改訂等に伴う支出の増加によりまして、電気通信事業特別会計損益收支は、定員の縮減その他の経営合理化を行い、経費の節減をはかりましても、なお平年計算において約百二十六億円の收入不足を生じまするので、独立採算制を維持せんとすれば電信電話料金額引上げてこれを補う必要があり、これがため本法律案を提出して現行電信電話料金に所要の改正を加えようするものであります。  本法律案内容は、国際電報料及び電話装置料移転料を除きましてその他の電信電話料金種別のほとんど全般にわたる改訂でありまして、すこぶる複雑多岐でありまするので、ここにはその主要なるもののみにつき簡略に御説明いたしたいと存じまするが、政府におきましては、それら個々の料金額決定にあたつては、サービスの原価、効用度、利用の普及、負担刀等、諸種の要素を総合勘案して、あとう限り合理的に調整し、相互間の均衡をはかることを基本方針といたした旨を言明しております。  まず電信に関する料金につきまして、その第一は、市外電報基本料三十円を五十円とするのほか、市内電報及び翌日配達電報基本料並びに新聞電報及び新聞無線電報基本料及び累加料引上げるものであります。その第二は、特殊取扱い料金につき、留置、局待親展等取扱料を新たに五円と定むるほか、同文料倍率引上げるものであります。その第三は、慶弔電報、翌朝配達配達日時指定取扱いを復活するとともに、諾否報知取扱いを始めることとし、また写真電信模写電信回線専用につき、新たに分岐引込み、二人以上の共用及び電信電話併用の道を開いて、それぞれの加算料金を定めるものであります。電報に関する料金引上率は、かようにして、全体としては約四〇%になるのであります。  次に電話に関する料金につきまして、その第一は、加入電話料金につき度数料の二円を五円とするのほか、電話使用料級別を現在の七段階から十段階に広げ、單独加入及び共同加入料額及びその他の料額引上げるものであります。その第二は、通話料金につき公衆電話料の一円を五円とするのほか、市外通話料に新たに待時通話区間即時または準即時通話区間との区別を設け、その距離区分を現在の二十一段階から二十六段階に改めまして、その間の各種料額及び通話取消料等料金額引上げるものであります。その第三は、専用電話料金につき新聞通信、放送の各事業市外専用料基本倍率及びその他各種料額引上げるものであります。その第四は、簡易共同電話簡易公衆電話等制度を設けるのほか、専用電話につき新たに二人以上の共用及び市外専用線通話以外の用途併用の道を開いて、それぞれの加算料金を定めるものであります。電話に関する料金は、以上のごとくにして、結局市内電話料平均五一%、市外電話料平均一六%、全体としては約三〇%の値上げとなるものであります。  かようにいたしまして、この料金引上げにより見込み得まする收入増加は平年額約百二十六億円となり、冒頭述べました收入不足額はこれによつて補填できることとなるのでありまするが、本法律案の附則に予定しておりまする施行期日の十一月一日以降本年度内の増収見込み額は約四十七億円となるのでありまして、これは別途提出されました補正予算に計上されているのであります。  以上、法律案の概要を申し述べましたが、電気通信委員会におきましては、本月の二十二日、本案の付託を受け、翌二十三日より連日会議を開きまして、まず提案理由を聴取し、政府に対し質疑を行いましたほか、特に本月二十五日には参考人の出頭を求め、各方面意見をも聴取いたしまして、慎重審議を進めたのであります。  質疑のおもなるものといたしましては、一、値上げ基礎理念と新料金決定基本方針、二、改訂額算定根拠並びに大都市と地方との均衡問題、三、警察用専用料倍率すえ置きの是非、四、減価償却費保等改善費との関係、五資材経費節約等経営合理化に対する努力不正事故の防止または善後措置の問題、六、市外通話種別適否等各般に及び、巨細にわたつたのでありますが、これらの質疑応答の詳細及び参考人意見会議録に譲ることといたします。  かくいたしまして、委員会は一昨二十五日質疑を打切り、昨二十六日討論行つたのでありますが、その際自由党を代表して橋本登美三郎君は、電話通信事業收支均衡をはかるため料金引上げは真にやむを得ざるものと認めるが、政府当局においてはなお一層経営合理化不正事故の防遏に努力し、電信電話サービスの向上に努められたい、特に市外通話の特別至急取扱いは早急これを廃止すべきことを希望して賛成意見を述べられたのであります。次いで日本社会党を代表して石川金次郎君は、国営独占事業たる電気通信料金値上げは、あらゆる経営上のむだを省いて後初めて行うべきものであるが、電気通信当局経営合理化に対する努力はいまだ十分でない、またインフレーシヨン再進行のおそれが濃厚なる今日、この種料金引上げはその時期でないものと認める旨の見解を述べて本案反対を表明され、国民民主党を代表して長谷川四郎君は、自由放任政策によつて招来した物価騰貴の結果を大衆課税にひとしきかかる料金値上げに転嫁するを不可として反対意見を述べられ、また日本共産党を代表して田島ひで君は、この料金値上げ一般大衆の利益に反するものと断じて反対意見を述べられたのであります。  次いで採決の結果、多数をもつて本案はこれを可決すべきものと議決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  7. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員会理事岡田五郎君。     〔岡田五郎登壇
  8. 岡田五郎

    岡田五郎君 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、本月十八日、本委員会に付託され、翌十九日政府から提案理由説明を聴取いたし、以来委員会を開くこと六回、その間二十五日には学識者及び利害関係者意見を聴取するなど、特に慎重に審査いたしたのであります。  本法案趣旨簡單に申し上げますと、朝鮮動乱以降の資材の高騰及び生計費増加による職員給與ベース改訂等により増加する経費をまかなうために旅客運賃及び貨物運賃引上げを行おうとするものであります。今回の改正案のおもなる点を申し上げますと、まず旅客運賃並びに料金は約二割五分の引上げとなつておりまするが、旅客負担を緩和するため遠距離逓減の強化、定期旅客運賃割引率のすえ置きが考慮せられているほか、二等定期の新設、特別二等車料金に対する法的根拠明確化等措置が講ぜられております。次に貨物運賃は約三割の値上げとなつておりまするが、最低運賃値上率がやや緩和されております。なお貨物運賃引上げについては自動車、海運等運賃との調整をはかり、正常な輸送分野を確立する見地からも検討が加えられております。  さて、本法案審査にあたり熱心なる質疑応答がかわされたのでありまするが、そのおもなるものを申し上げますと、運賃値上げ経済及び民生に及ぼす影響国鉄独立採算制経営合理化並びに人員整理の問題、輸送力の増強と駅頭滞貨の問題、貨物等級改正航路運賃等についてでありまするが、詳細は会議録に讓りたいと存じます。  かくて、二十六日質疑を打切りましたが、自由党岡田委員航路普通旅客運賃に対し修正案を提出いたしました。この要旨は、航路普通旅客運賃一般旅客運賃に比し割高となつているので、その引上率を二割五分ないし三割に引下げようというのであります。  次いで修正案並び修正部分を除く原案について討論に入りましたところ、まず国民民主党原彪君は、その党を代表して反対意見を述べられ、次に自由党岡田委員は、党を代表いたしまして、国鉄輸送力を増強するとともに、その経営合理化を徹底的に行うこと、今回の値上げにより価格に占める運賃割合が割高となり、負担が重いと認められる貨物、すなわち石灰石、煉炭用無煙炭、木材、畜産物及び農水産業関係貨物等に対しては運賃割引その他適切なる措置を講じて負担の軽減をはかること、貨物等級については可及的すみやかにわが国経済の現状に即応するよう根本的な改正を行うこと、北海道その他の地区の滞貨の一掃については特段の措置を講ずるとともに、青函間貨物営業キロ程については海運賃その他との関係をも勘案して再検討を加えること、以上の希望條件を付し賛成意見を述べました。続いて日本社会党淺沼稻次郎君、日本共産党江崎一治君、労働者農民党石野久男君、農民協同党飯田義茂君は、それぞれその党を代表して反対意見を述べられたのであります。  右をもつて討論を終局し、ただちに修正案につき採決の結果、多数をもつてこれを可決し、次に修正部分を除く原案について採決の結果、これまた多数をもつて可決いたしました。よつて法案修正議決すべきものと決定した次第であります。  以上、簡單でありますが、御報告申し上げます。(拍手
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。原彪君。     〔原彪登壇
  10. 原彪

    原彪君 私は、国民民主党を代表いたしまして、ただいま上程に相なりました国有鉄道運賃法の一部改正案につきまして反対意見を表明いたしたいと存じます。(拍手)  本年度予算審議にあたり、わが党は、朝鮮動乱に基因する諸物価値上りが織り込まれていないので、当然補正予算を必要とするに至るであろうことを指摘いたしたのでありますが、大蔵大臣は、本年度予算は超均衡予算であり、デイスインフレ政策確保し得るものであると言明いたしたのであります。しかるに、現在における状態はどうでありましようか。今回提出されておるような厖大予算補正を必要とするに至り、その言明とは逆に、明らかにインフレ助長政策となつておるのであります。(拍手)さきに実施いたしました電力料金値上げのごとき、今回改正せんとする郵便料金電信電話料金のごとき、またこの国有鉄道運賃値上げのごとき、いずれもその政策の現われであると申さねばなりません。しかも、このたびの鉄道運賃値上げが、物価体系の一環として何らその料率が算出されていないところに首肯しがたいものがございます。  今回の国鉄運賃改正趣旨は、政府のいうところによりますれば、主要貨物物価に占める運賃割合は、昭和十一年度においては四・六一%であつたのが、現在二・六八%にすぎず、運賃を三割値上げしても、わずかに三・五二%になるので、わが国経済に及ぼす影響は僅少であるというのでありますが、何をもつてか十一年度を基準として今回の三・五二%が妥当であるという結論を出したのか、われわれの首肯しがたいところでございます。むしろ、われわれに言わしむるならば、国鉄国民鉄道であり、わが国最大国家企業であります。従いまして、国鉄に対しては法人税固定資産税も課せられておりません。そればかりではなく、幾多の国家の庇護がなされておるのでありまして、その本来の使命から申しましても、最低運賃をもつて国民サービスするのが当然の姿であります。(拍手)またこれが国有鉄道の名にそむかざる義務であろうと存ずるのでございます。従いまして、物価に占める運賃割合最低でなければならぬと思うのでございます。  また一方、政府は、今回の値上げに際しまして、経営合理化経費節約に努めたにもかかわらず、なお経費増加を来したので、やむを得ず最小限度値上げをすると言つておるのでありますが、これは、終戰以来今日まで運賃値上げを五回いたしました、その五回にわたる値上げに際して常にいうところの常套語であります。私は、はたして政府及び国鉄が真劍に経営合理化を行い、また行わんとする意思があるかどうかを疑うものでございます。(拍手)たとえば経営合理化と表裏一体をなすところの国鉄機構改革のごときは、自由党運輸委員諸君もすでに十分御承知でありましようが、委員会において再三の決議にもかかわらず、今や一年になんなんとしておりますが、何ら機構改革はなされておりません。(拍手)その他内部を見まするのに、交通公社の未拂い運賃の問題、あるいは滞貨の処理の問題、あるいは不用物件拂下げの問題、あるいは国有鉄道所有物件貸付料の問題、あるいは国有鉄道公入札制度改善の問題、あるいは国鉄サービス改善、あげ来れば枚挙にいとまなく、われわれをして納得せしめざるものが多々あるのであります。(拍手)  わが党といたしましては、今回の改正原案に対して、諸物価値上り政府政策のいかんにあるとしましても、実際物価値上りになつていることは現実であり、しかもこの物価値上り国鉄従業員給與と関連いたしまして、また先般行われました国鉄裁定のべース・アツプの線もございまするし、全面的に反対することは快しとないところでございますので、これを最も合理的なものに修正して、しかも国民生活負担を幾分なりと軽減せんと試みました。従いまして、わが党は、原案貨物運賃三割を二割五分に、旅客運賃二割五分を二割に、それぞれその料率を引下げ、従いまして、これによる收入不足額は約三十億でありまするが、この財源に充当するのには、国鉄従業員給與には全然手を触れずに、動力費とか、修繕費とか、あるいは国鉄交際費を含む業務費等、いわゆる物件費は総額が九百三十億円ございまするので、それを三%削りまして、この不足財源に充当しようとする修正案を立てたのでございます。この修正によりまして、国鉄はいやおうなしに経営合理化経費節約の徹底をはからなければならなくなるでございましよう。これがわが党のねらいでございます。しかしながら、この修正案も、十一月一日から運賃値上げを実行しようとして政府がこの法律案審議を急いでおりましたので、関係方面との折衝に時間がかかつて間に合わなかつたのでございます。かくのごとくにして、わが党の意見がいれられない以上は、過大なる国民負担増加を来し、わが国経済再建に悪影響を及ぼすおそれのありまする政府原案のごとき高率運賃値上案をそのまま国民に押しつけることは、とうていできがたいところでございます。(拍手)これが反対理由でございます。  なお最後に一言申し上げたいことは、このたびの政府原案に対して、自由党諸君は、いわゆる青森と函館の間の青函連絡船、また宇野・高松の間の連絡船、この連絡船の船賃について、大体わが党の線に近い二割程度の引下げ修正案を出しております。連絡船は、御承知のごとく列車列車との間の連絡区間であつて、ほんとうの最短区間でありますので、むしろ、かような末節的な修正をして、厖大列車運賃修正をしないところに本末転倒があると私は思います。これはおそらく自由党諸君もこのたびの運賃値上げに対しては賛成していない、お茶を濁す証左ではないかと私は思います。(拍手)  以上のごとき理由をもちまして、わが党は、このたびの政府原案並びに修正案に対しまして反対意見を表明するものでございます。(拍手
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 川島金次君。     〔川島金次登壇
  12. 川島金次

    川島金次君 私は、ただいま上程になりました日本国有鉄道運賃改正に関する法律案に対し、日本社会党を代表して反対討論をなそうとするものであります。(拍手)  端的に、冒頭結論から申し上げますならば、この国民生活にきわめて重大な関係を持つ鉄道運賃の今回の引上げをもつて政府経済政策中最も重大な根底をなす物価政策について、この運賃引上げを終点として物価が安定し、国民生活が安定するとともに、この改正案の一部の目的である国鉄四十数万諸君ベース引上げによつて、今日及び将来ともこれら諸君生計の安定が確保されるという有力な裏づけがあれば、あえてわれわれもこの問題に云々をいたそうとするものではございません。しかるに、この運賃引上げを契機といたしまして政府経済政済の破綻の端緒をつくり、国民生活並び国鉄四十数万諸君生計確保は断じて得られないであろうという見通しがきわめて明瞭でありますので、われわれはあえて本案反対をいたすのであります。(拍手)  政府は、この法案提出理由の一として、朝鮮事変以来の物価の暴騰、第二には、国鉄四十数万職員諸君生計費を補うことをもつてその目的とするというのでございます。しかるに、朝鮮事変以来今日に至るまで、およそ重要資材においては三十割、一般物資においても、驚くなかれ十四、五割の物価騰貴を見ておるということは、諸君も御存じの通りであります。しかし、この物価騰貴は、必然的な物価騰貴ではなくて、政府朝鮮事変以来の日本経済の前途に対する見通しを誤り、そり物価政策に対する基本的な確固たる政策がなかつた無能の結果であると、われわれは断ぜざるを得ないのであります。(拍手)この政府物価政策経済政策に対する無能と無策による日本国有鉄道内の経理上における赤字を、われわれ国民生活に重大なる関連を持つた運賃引上げ——これを言いかえれば、国民大衆犠牲において、おのれの経済政策失敗国民に転嫁いたそうとする、この傲岸無比政策に対しましては、われわれ日本社会党は、国民の名において断固反対せざるを得ないのでございます。(拍手)  日本国有鉄道経理内容について、政府は、本年度このままで経営をいたすならば、およそ五百億の赤字が出るのだと説明をいたしております。しかも、その赤字のうちに、物価騰貴によるものの赤字補慎が八割強を占めており、国鉄職員のべース・アツプによる歳出増加は、わずかにその総予算の中での二割弱にすぎないのであります。この事実にかんがみ、ややもすれば政府異常の諸君は、この国鉄運賃値上げ国鉄職員ベース・アツプ最大理由であるかのごとく吹聽するに至りましては、おのれを欺き国民欺ぐのはなはだしきものといわなければならないのであります。(拍手)  しかも、一歩退いて、政府の今回の値上げをいたそうとする理由の中の一つである国鉄職員給與増額に伴うところの歳出増加はわずかに九十億円内外であるのでありまするが、これをどうしてもやらなければならないといたしますならば、政府財政の中には、これを補つてもなお余りある財源が十分にあるのであります。たとえてこれを申し上げるならば、諸君も御承知の二十六年度予算の中には、驚くなかれ、実に七百五十四億に上る見返り資金勘定経済再建費が、いつの間にか国民の目をかすめて大蔵大臣のポケツトの中に隠されておるのであります。さらにまた、はなはだしきに至りましては、今回の補正予算の上にまたしても顔を出しました外為特別会計の三百億円のほかに、本年度当初予算から引続いてため込まれました外為特別会計の総予算額は、実に驚くなかれ数百億円に上つており、この厖大国民の税金であるところの経済再建費、あるいは外為の数百億円に上るこのポケツト・マネーは、繰返して申すまでもなく、ことごとく国民血税結晶であるのであります。従つて、この国民の尊き結晶である財源は、国民生活を安定し、また政府事業に挺身精励いたしておるところの職員諸君生計に充てることこそが、すなわち経済財政政策の根本的に必要なる政策であるといわなければならぬのであります。  しかるに政府は、かくのごとき根本的な政策を無視し、国有鉄道のいわゆる独立採算制に名をかりて、あえて国民生活を不安に陷れ、しかも国有鉄道に携わる職員諸君ベース・アツプを暫定的にいたしても、今後の物価の事情、今後の政府の誤つた政策に伴うインフレへの過程とあらしの中において、今回行わんとするわずかなベース・アツプをもつてしては断じて国有鉄道諸君の将来の生計確保は不可能であるということは、きわめて明白な事実であるのであります。ゆえに、私どもは、もし一歩退いて国有鉄道経理の完全を期そうといたしますならば、以上私が申し上げた、ポケツト・マネーであるところの厖大血税が、ひそかに政府のふところにしまい込まれてあるのでありまするから、この方の財源国有鉄道経営面に投資いたすことによつて、この政府経済政策失敗による日本国有鉄道赤字補償の方法はあるではないかということを、われわれは強調いたさなければならないのでございます。  池田大蔵大臣は、今回の補正予算説明の前提において、この補正予算を通ずる吉田内閣財政経済政策の根本は安定であり、能率化であり、繁栄であると誇称いたしておりまするが、われわれの立場からこれを冷静に通観いたしますならば、この補正予算、なかんずく鉄道運賃値上げ郵便料金引上げ、さらにさかのぼつては八月一日から実施した米価の引上げ、さらにまたガスあるいは電気料金引上げ等、陸続と国民生活を圧迫せんとするインフン助長政策によつて、この補正予算を通じて、日本経済の将来は、安定どころか不安に突進し、能率化どころか、日本国民経済は思わぬ混乱に巻き込まれ、国民経済繁栄どころか、勤労大衆はこの吉田内閣経済政策、誤つた物価政策犠牲にあつて、いよいよますます窮乏の底に追いやられるであろうということをわれわれは明言いたしまして、遺憾ながら本案反対を表明するものであります。(拍手
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 江崎一治君。     〔江崎一治登壇
  14. 江崎一治

    江崎一治君 結論を先に申しましよう。私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されましたところの国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案並びにその修正案、すなわち国鉄運賃値上げ法案に絶対に反対するものであります。  今回の国鉄運賃値上げ問題は、一パブツク・コーポレーシヨンであるところの国鉄部内に限られた問題ではなく、最近の主食の値上げを筆頭とするところの電力料金値上げ、肥料の値上げ、さてはガス電信電話郵便料金値上げ等とともに、現吉田内閣の許すべからざる反人民的政策の現われの一つであると考えるのであります。(拍手)試みに、これら一連の値上げ問題の理由を個々別々に政府にただしてみると、彼らは異口同音に朝鮮動乱以来の物価値上りを云々するのでありまして、まつたくこれはやむを得ないことだと弁明するばかりでありますが、この際、真の政治的責任の所在と、よつて来る原因を明確にする必要があるのであります。そのためには、朝鮮動乱勃発後一箇年間に、アメリカの大資本と融着した日本の独占資本がいかに巨大な利潤を得たかを明らかにするとともに、平和的中小企業者並びに労働者がいかに破滅的な打撃を受けたかを明らかにする必要があるのであります。すなわち、朝鮮動乱直前の昭和二十五年三月、四月を基準としまして、一年後の昭和二十六年同期における日本の大資本の得た利潤率を比較いたしますと、次のごとくなるのであります。紡績は、これは大会社十社平均でありますが、七・五倍の利潤率を收めている。セメント会社は三社平均四・四倍、鉄鋼は六社平均、驚くなかれ十七倍であります。石炭は四社平均一・九倍、非鉄金属六社平均三・六倍、銀行は六社平均三・五倍になつているのであります。  以上のように、独占資本は朝鮮動乱による戰争景気で巨大な利潤を保証され、ますます物価高に拍車をかけたのでありますが、これが今回の国鉄運賃値上げの直接の原因であつて、一口でいえば、今回の国鉄運賃値上げ法案は、米国の大資本と手をつなぐ独占資本に対し巨万の戰争利潤を保証するために、貧困な人民大衆から、なけなしの生活費まで奪い去る法案である、ということができるのであります。(拍手)  日本国は憲法によつて戰争を放棄した、特に侵略的戰争行為はまつたくこれを放棄したはずであるのに、吉田内閣は帝国主義者の下請を好んで引受け、昨年六月以降は、実質的に朝鮮戰争に介入したのであります。朝鮮人民━━のための武器、兵器の製造はもちろんのこと、日本人を朝鮮━━に参加させておいて知らぬ顔しているのであります。特に許すべからざることは、吉田首相が何ら法的権利能力がないにかかわらず、明らかに国際條約に違反して米国中心の單独講和を強行し、特に重大なことは、だれにもはからず、内容不明のまま、日米安全保障條約、すなわち中華人民共和国並びにソビエト同盟を━━━━とする日米軍事同盟に調印したことであります。かくて、戰争の危機は、われわれ日本民族に時々刻々近づきつつあるのであります。  朝鮮戰争以来、国内には、打続く失業のあらしと、とめどもない物━価高の前に打ちひしがれた、その日の生活にも事欠く失業者、半失業者の数が実に一千数百万に達しております。新聞紙は、連日のように一家心中や人身の売買を報道しておるのではありませんか。政府は、みずからの手で首を切つた数十万の公務員に対してさえ、きわめて冷淡であるではないか。二言目には、自由党諸君は、自由にして民主的な政府だとうそぶくのであるが、自由にして民主的な政府とは、人民に対してかくも無責任な政府のことか。また諸君が、何かの一つ覚えのように、対外的には━━━であり、対内的には自由のない━━政治だと━━━ところのソビエト同盟や中華人民共和国には、今やどこを探しても、一家心中や人身売買は薬にしたくともないのであります。根本的に侵略を必要としない社会主義制度の国、すなわちソビエト同盟や中華人民共和国をつかまえて━━━━━━を押し、いわゆる真空状態に対する国民的危機といつたような仮裝の幻想を人民に與え、戰争準備を合理化し、人民を失業と低賃銀と苛酷な税金に苦しめ、憎むべき帝国主義者に奉仕するあらゆる政治方針反対するものであります。  この政治的観点から、国民生活に重大なる比重を持つところのこの国鉄値上げ法案に対しましては、わが共産党は断固反対するものであります。(拍手
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 石野久男君。     〔石野久男君登壇
  16. 石野久男

    ○石野久男君 私は、労働者農民党を代表して、ただいま上程されておりまする国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案反対の意思を表明するものでございます。  今回の運賃改正に伴う直接の原因は、国鉄経営の中に約五百三十三億の赤字が出た、その赤字をどのようにして埋めるかということから発しております。しかも、これに対しては、国鉄及び運輸省の当局においてもそれぞれ頭をひねつた後に、百七十二億がどうしても処理できない。そこで、運賃値上げとしての旅客二割五分、貨物三割の値上げになつて来たのであります。この問題を私たちが処理するにあたつて、ここに出ておる赤字を、はたして国民大衆が責任をもつてカバーすべきものであるかどうかということが、第一に問題になるのであまりす。  われわれは、この赤字が出ることについての直接の当局である国鉄そのものについて考えをいたさなければいけません。日本国有鉄道公社が発足したときに、すでに国有鉄道それ自体の性格が非常にゆがめられました。そうして、鉄道の持つ公共性と営利性の問題が矛盾するままに今日の公社制度に移行したのでございます。この矛盾する性格の中から、赤字の克服の方策がどうしてもまかえないものが出て来たとわれわれは見るのであります。山崎運輸大臣の言葉をかりていえば、今日の国有鉄道のあり方というものは、ちようど中二階の暮しのようなものだ、こういう発言をされております。まさにその通りの性格をもつて今日の国有鉄道が運営されているのでございます。  われわれは、この問題を解決するためには、どうして国鉄の持つ公共性をもつと率直に認めなければいけない。そうして、今日ある国有鉄道法の改正が、根本的にコーポレーシヨンの性格から国営への形に移行されなければならぬと考えるのでございます。この公共性を積極的に推進することによつて、私たちはこの赤字克服の問題を考えて行く。  津田局長が、今回の運賃値上げ法案の提出にあたりましての説明に、このようなことを言つておる。貨車の輸送効率においても、石炭の消費量においても、あるいはまた職員数においても、それぞれ国鉄内部においては合理化が行われた、それは戰前のそれに匹敵するまでに合理化が行われておる、しかるに、この合理化でもまかない切れないものが朝鮮事変以後の資材の騰貴となつて現われ、そしてこれが今日のこの運賃値上げの要因であるということを説明しておるのであります。私どもは、この運賃値上げの問題の直接の要因である朝鮮事変そのものは決して日本国民大衆の責任であるとは考えていない。この問題こそ、われわれは政府がとる施策の中から出て来た大きなあやまちの結果であると信じておるのであります。従つて、われわれは、この運賃値上げの問題を考えるにあたつても、さきに言つたように、国鉄の持つ公共性の問題と、しかもそれの直接の要因である朝鮮事変とからみ合せても、この赤字の補填は、今日生活に苦しんでおる国民大衆の責任に帰すべきものではない。それはすべて政府の責任において行うべきである。これは明らかに一般会計の責任において処理すべきものであるということを断ずるものであります。  昭和二十六年度補正予算を見ると、その中には、財政法の二十五條に基く翌年度繰越しの財源がいろいろと組まれておる。警察予備隊の金として三百十億、あるいは平和回復善後処理費としての百億、その他等々数百億の金が、あるいはインヴエントリーフアイナンスとなり、その他いろいろとして残つておるのでございます。私どもは、今日のこの国鉄赤字を補填するための運賃値上げということについては、ただいま申し上げました、一般会計の中に腰だめされておる、もつと端的に言えば翌年度繰越しとなつておりまする数百億の金、池田大蔵大臣がそのポケツトに握つておるこれらの金が、率直に言つて、この赤字補填のために使用されてしかるべきものであると信ずるものでございます。(拍手)  今日われわれは、このような苦しい中から、国民経済に圧迫を加え、しかも国民生活に非常な苦しみを與えるような値上げに対しては反対せざるを得ない。津田局長は、国鉄運賃改正というこのパンフレツトの中において、われわれに対し、日本の現在の国民生活の中においては、これだけの運賃値上げをカバーするだけの負担能力を持つておるといつておる。しかし諸君、はたして国民生活の中にそれだけの負担能力を持つだけの国民の実態があるか。今日至るところに餓死者が出、至るところに失業者がたむろしておる。この実態の中から、はたしてこの運賃を背負つて行くだけの力が出て来るのであるか。その力を持つ者こそ、朝鮮事変によつてもうけをなした人々よりほかにはないのである。われわれは、このような国民生活に圧迫を加える運賃値上げに対しては反対するものである。  また輸送内容改善が行われたということを、しばしば当局は言つておるのでございます。しかしながら、輸送内容改善されていながらも、今日なお二百数十万トンに及ぶところの滞貨日本の国内にたむろしておるのである。諸君はこれを何と見るか。国鉄経営の中におけるところの改善合理化、そしてこの輸送内容改善は、いずこの面において行われたかということを、もう一ぺんしつかり考えなければならない。われわれは、この改善こそ軍需輸送のためにのみ改善されていると信じているのである。諸君は、二百数十万トンの滞貨が今各地にあるという実態を知つているはずである。この滞貨は民需品の面においてあるのだ。そして改善されたのは、ただ單に進駐軍列車としてのみ改善されておるだけである。われわれは、今日出ている赤字はすべからくこうした非常に大きく利用されておる面において背負わされるものであると信じております。これはすべて政府が行える政治の結果として出て来ているものでございます。  私どもは、この滞貨の実態が、日本国民生活の上に、国民経済の上に與えている影響と、そしてそのことが、今日の日本生活国民生活を圧迫しているという事実に基いて、この運賃値上げ負担をすべき責任は、すべて政府と、その列車を利用するその部門においてのみ持たるべきものであると信じております。しかるに、われわれは軍需輸送についての多くの資料を要求したけれども、政府当局は、占領下においてであるから、その事情を公表することができないと言つております。私どもは、このような事態の中において、すべてその負担を、負担すべき者の中からとることなく、国民大衆の中からとるやり方については絶対に反対するものであります(拍手)  いずれにいたしましても、今日行われようとするこの運賃値上げは、日本におけるところの多くの働く大衆を圧迫し、しかもこれによつて日本国民経済に非常に悪い影響をもたらすものであると信じております。三木経理局長の話によれば、この運賃値上げによつておのずから他の企業にも影響する、私鉄運賃はどうなるか、おそらく旅客においては三〇%以上の値上げを必至とするであろうということを言つております。国鉄におけるところの二割五分が、私鉄においては三割以上の値上げになつて行くという事実こそ、国民の足を奪うものである。われわれは、このような影響の中から、今日以後におけるところの日本物価が一層強く悪い方面に発展して行くことを信ずるのである。しかも、そのことがわれわれの生活を圧迫する。私どもは、このような理由によつて、絶対にこれに賛成することはできない。この運賃値上げは、すべからく政府の責任において、一般会計の中から、その責をもつて処理せらるべきものであると信じております。  労働者農民党は、以上のような理由によつて、今日上程されておりまするこの運賃値上げに対しては絶対に反対するものであります。(拍手
  17. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  19. 倉石忠雄

    ○倉石忠雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出郵便法の一部を改正する法律案郵便為替法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  20. 林讓治

    議長林讓治君) 倉石君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  郵便法の一部を改正する法律案郵便為替法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。郵政委員会理事風間啓吉君。     〔風間啓吉君登壇
  22. 風間啓吉

    ○風間啓吉君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案並びに郵便為替法の一部を改正する法律案に関しまして、一括して委員会における審議経過並びにその結果について御報告申し上げます。  まず郵便法の一部を改正する法律案提案理由でありますが、郵政事業特別会計における赤字に対処し、その收支の均衡をはかりますために、郵便に関する料金の全般にわたつてこれを改正するとともに、通常郵便物の種類体系等につきまして、一般利用の実情に沿うよう改正することを目的として、政府は本法案を提出するに至つたものであります。すなわち、昭和二十六年度予算におきましては、郵便事業收入の不足額三十四億円を一般会計からの繰入金によつてまかなうこととし、ようやく予算の成立を見た次第でありますが、朝鮮動乱勃発以来の物価高騰等によりまして、右予算は早くも年度当初すでに実情に沿わなくなつていたような状況であります。しかして、さらに近く実施予定の給與ベース引上げ、諸物価の高騰による郵便事業用品の値上り及び陸上運賃値上りに伴う郵便物運送費の増加等を見込みますときには、極力経費の節減をはかるとともに、一方郵便事業の收入面において、予定外收入であるおよそ十七億円程度の自然増收を見込みましても、差引本年度内三十四億円、平年度において五十四億円程度の赤字を生ずる結果と相なるのであります。しかも、この平年度における五十四億円の不足額は、一般会計からの三十四億円の繰入れを受けた上での不足額でありますがゆえに、郵便收入の実際不足額は、実に現行料金による收入見込額の五割程度に相当し、金額において八十八億円の巨額に上る次第であります。しかるに、来年度以降におきましては、諸般の状況にかんがみ、一般会計からの繰入れはこれを期待することがきわめて困難な事情にあるので、ここに收支の均衡をはかるため、郵便に関する各種料金につき、全体として五割程度の引上げは真にやむを得ないところであるというのが、政府提案の理由でございます。  次に、法案の要点について簡單説明申し上げます。本法案は、前にも申し述べた通り、全体として五割程度の増收を見込んでいるものでありますが、個々の改正料金額決定につきましては、料金相互の均衡、郵便の持つ公共性等の点をも考慮に入れて、それぞれ引上げの割台を定めておるのであります。  今、改正料金のおもなものを申し上げますと、第一に、通常郵便物の料金におきましては、第一種書状を現行の八円から十二円に、第二種通常はがきを現行の二円から四円に、第三種のうち発行人等の差出す新聞を現行の八十銭から一円に、雑誌を現行の三円から四円に、第五種の印刷物、業務用書類等を現行の六円から十円にそれぞれ引上げようといたしておるのであります、右のうち、はがきの料金につきましては、前回の改正の際すえ置きとされたこと及び第一種書状の料金との均衡、はがきの取扱いに要する経費等の点をも考慮し、特に大幅の引上げを見た次第であります。なお右のほか市内特別郵便制度を設け、同一市町村内等のみに発着する第五種郵便物を同時に百通以上差出す場合には、その料金を現行の六円から逆に四円に引下げたこと、及び年賀郵便に関し特別料金を定め、年賀状として差出されるはがきにつきましては一般料金より低料の三円としたほか、特にその料金を本年度に限り二円にすえ置いておることをつけ加えて申し上げておきます。  第二、小包郵便物の料金につきましては、小包と同種の鉄道小荷物運賃の予定引上げ率をも考慮し、おおむね三割程度を引上げておるのであります。  第三に、特殊取扱い料金につきましては、現行料金が相当高額となつており、引上げの余地が少いので、おおむね五円程度引上げることといたしておるのであります。  次に通常郵便物の種類体系の改正でありますが、現行の種類には、第四種の印刷物、業務用書類、商品見本等のように認定の非常に困難なものがありまして、利用上にも取扱上にも支障が少くないので、これらの認定を容易にするように、種類の区別を整理いたしておるのであります。  その他郵便の取扱い方法につきまして、郵便利用の実際に適合せしめるため、現金等を郵便で送る場合に、これを書留にするかいなかは差出人の任意とすることに改めましたほか、特殊取扱い郵便物の転送、還付の際の取扱い方、料金不足の速達郵便物の取扱い方及び損害賠償の免責範囲等につきましても、実情に沿うように改正しておるのでございます。  以上、郵便法関係説明を終りまして、次に郵便為替法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本法案は、通常為替と小為替制度の統合、郵便為替証書の金額の制限額の引上げ並びに料金の不均衡の是正等により事務の簡素化をはかろうとするものでありまして、その内容は次の通りでございます。  第一は、通常為替及び小為替の制度を統合し、普通為替制度を新設したことであります。すなわち、現行郵便為替のうち通常為替は、案内式であるため複雑な手数を要するとともに、その利用度も低いので、事務の簡素化をも考慮し、通常為替と小為替を統合して小為替制度に類似の普通為替制度を設け、普通為替におきましては、受取人の指定を差出人の任意事項といたしておるのであります。  第二は、郵便為替証書の金額の引上げであります。現在郵便為替証書一枚の金額制限は、通常為替証書及び電信為替証書が一万円、小為替証書が二千円であるのを、普通為替証書及び電信為替とも五万円に引上げておるのであります。  第三は、郵便為替証書の金額制限の引上げに伴いまして料金段階に変更を加え、これに対応する新料金を設定したことでございます。しかして、右料金決定にあたつては、他の送金機関における送金料をも考慮し、かつ高額送金に対し不当の料金を課していた不合理を是正しておるのであります。  以上、政府提案にかかる両法案の概要につき御説明申し上げたのでありますが、両法案の付託以来、委員会は数次にわたり会議を開き、まず提案の理由を聞きました後、引続き政府との間に、両法案施行期日と利用者に対する周知に要する期間との関係、郵政事業の公共性にかんがみ、郵便料金引上げと、そのとらんとする独立採算制との関係等につき詳細な質疑応答を重ねましたほか、昨二十六日には、法案の重要性にかんがみまして、特に学識経験者及び利害関係者等をお招きいたしまして、参考意見を聴取いたしたのであります。その詳細につきましては会議録に譲りたいと存じますが、ただ前に申し述べました参考人におきましては、おおむね今回の値上げ案をやむを得ないものとして是認する立場をとりながらも、郵政事業の性格上、それに対し独立採算制を堅持しようとすること及び第一種書状と第二種はがきの料金の比率等については疑問の余地が少くない旨の発言が多かつたことだけを申し添えたいと存じます。  かくして、委員会は本日両法案質疑を終了いたしましたが、その後自由党を代表いたしまして、不肖私より、郵便法の一部改正案中、第一種の書状の料金を十円に、第二種のうち通常はがきを五円に、往復はがきを十円に、小包はがきを六円に、年賀はがきは今年度はすえ置きとし、来年度よりこれを四円にそれぞれ改めるとともに、第五種の料金を八円に、市内特別郵便物の料金を五円に改めたいという修正意見を述べました。次いで討論省略の上、ただちに採決に入りまして、郵便法の一部を改正する法律案につき、私の提出の修正案に対し賛否を諮りましたところ、多数をもつてこれを可決、引続き右修正案修正部分を除く残余の原案も同じく多数をもつて可決すべきものと議決いたしたのであります。すなわち郵便法の一部を改正する法律案修正議決を見た次第でございます。次に郵便為替法の一部を改正する法律案につき採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  23. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。受田新吉君。     〔受田新吉君登壇
  24. 受田新吉

    ○受田新吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられておりまする郵便法の一部を改正する法律案に対し、その原案並びに修正案のいずれも反対討論を試みんとするものであります。(拍手)  私がまず申し上げたい点は、その反対理由の第一といたしまして、郵便事業というものの公共性を著しく阻害するという点でございます。そもそも郵便事業を官営といたしました理由の根本的なものは、この郵便の公共性であり、大衆サービス機関としての郵便事業であつたのであります。この重要な基本を失うごとくにして、今や郵便事業に対し、その独立採算制的の立場から、従業員の待遇改善その他の費用に対しては郵便事業の收入で自給自足体制をしけという烙印を押そうとした法案が、この改正法案なのであります。私は、この問題に対しまして、少くとも従業員の待遇改善という点は、いわんや民主国家として重点的な施策でありますけれども、この待遇改善に名をかりて、今まで郵便事業の公共性を重視して一般会計から本年度三十四億を繰入れていたこの政府事業国家的な保護を、今や独立採算の立場から利用者の負担に帰せしめようとしている点が、まことに官営事業の本質を失うものといたしまして、遺憾この上ないのでございます。(拍手)  皆さん、本日上程せられているこの郵便法改正、その奥にひそむものは、かつて郵便事業と対応してやつておりました簡易保険、郵便貯金、郵便年金等の積立金の運用権を、大蔵省が資金運用資金としてひつぱつて帰りまして、この大衆の零細資金を一部の特権階級に利用させるごとき、国家資金統一の美名のもとに資本主義的な財政資金として流用している点、こういう大衆の零細資金をその方面へ持つてつておきながら、特別会計、一般会計の区別はありますけれども、一般会計から官営事業としての繰入金を押えんとし、今回種々なる理由によりまして繰入金は不可能となりましたによりまして、と提案理由説明されたるごときは、現在の政府の魂胆が、大衆の零細資金を資本主義の立場に利用すると同時に、官営事業そのものを、公共企業体でもない郵便事業を独立事業を独立採算の立場に追い込んで、従業員の苦しみの中に、あるいは大衆の郵便料金値上げ負担という圧力の前にこの当面の問題を糊塗しようとする政策のほかの何ものでもないと思うのであります。(拍手)  次に、この問題の反対理由の第二といたしまして、国全体の経済政策の立場から、物価体系の立場から、今や漸次進行しつつあるインフレを助長するごとき諸般の値上げがなされておりまして、わけて電気料金、水道、ガス料金、またコーポレーシヨンの立場に立つて、先ほど上程、議決されました国鉄運賃値上げのごとき一連の値上げ態勢がとられまして、最後に残るたつた一つの官営事業といたしましての郵便料金値上げまで手をつけたという問題であります。この点におきましては、現在のインフレの進行状況から見て、ある程度の値上げやむなしといたしましても、少くとも国営事業であり、直接国家が担当する公共事業、公共性ゆたかなこの郵便料金値上げは、最後に取上げらるべき問題ではなかつたでございましようか。この物価体系をこわし、インフレを助長し、池田さんがしばしばこの席で述べられまするごとき、現在経済は安定したと大みえを切られる面が続々とこわされて行き、今や祖国再建の新たなる希望の経済政策に対して、この郵便料金値上げを通じて、大衆がその生活に重圧を感じ、インフレ進行に一役買うという恐るべき結果の起ることを、心より憂うるものでございます。(拍手)  皆さん、この意味におきまして、二点を中心といたしまして、日本社会党勤労大衆の立場から、従業員の待遇改善国家みずからが国家財政のもとでなすべきであつて、大衆の負担に帰するような、利用者負担本位の政策をとるということに非常な予盾のあることを鋭く追究いたし、ここに断固として本法案反対をいたしまするとともに、わけて郵便はがきのごとき、二円より一躍五円という、いまだかつて見ない二倍半という高率の値上げが断行されるというごときは、まことにインフレ進行に徹底的拍車をかける立場から、自由党諸君も猛烈に反省をせられまして、本法案に対し、諸君も少くとも反対の意思表示をされんことを要望いたし、ここに討論を終りたいと思うものでございます。(拍手
  25. 林讓治

    議長林讓治君) 柄澤登志子君     〔柄澤登志子君登壇
  26. 柄澤登志子

    ○柄澤登志子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、郵便法の一部改正法案並びに郵便為替法の一部改正法案に対し反対意見を申し上げるものでございます。  昨日まで、政府は、この修正案の提出につきましては予想だにしなかつたのでございます。しかるに、委員長の選ばれました参考人——委員長に一任して招集されましたところの参考人各位が、今度の改正法案、いわゆる郵便料金値上げに対しまして、まことに妥当なものではないという立場から、むしろ反対意見が場内を圧したのでございます。今日に至りまして、急遽委員長はこの修正についての意見をまとめ、自由党内はこのためにまことに混乱したということを聞いております。私どもが、この反対討論の草稿を書くこともできずに、社会党並びに共産党の委員の代表としてここへ上つて参りましたのは、つい数十分前までこの委員会での採決がなかなかまとまらなかつたからでございます。このような経過は、今度の補正予算審議にも関係いたしまして、さすがに與党内部にも妥当でないという空気のあることは当然なのでございます。  しかも、特に郵政省関係予算におきましては、衆議院並びに参議院をあげまして、院の決議としてたびたび繰返しておりましたところの、あの運用権の問題を無視することができないのであります。私ども共産党といたしましては、第一には、公共事業の建前から低廉であるべき、郵政者の管轄でございますこの郵便料金が、従業員の給與値上げということを口実にいたしまして、それに便乗してここに上程されたという、この態度でございます。しかも、一般会計からはまつたく繰入れる余地がないということになりまして、予算審議もまだ十分盡されておりませんうちに、これがここに上程されているという、この状態でございます。予算委員会におきまして当然論議さるべきところの、あの預金部資金の運用権の問題、あるいは一般会計から当然繰入れるべき予算があるかないかという審議を抜きにいたしまして、郵政委員会だけの審議でこれが上程されることは、まことに当を得ないことなのでございます。(拍手)少くとも運賃に関しましては、予算委員会で特に取上げまして、動乱以後の資材値上りその他につきましても十分検討し、どこに赤字の原因があるかということが、総合的に国の財政全体の立場から検討されているのでございます。しかるに、国民大衆に最も密接な関係を持つております郵便料金は、その手続すらとられていないのでございます。  時事新報社の重役として参考人に呼ばれましたところの有竹という参考人は、国家予算の中には含み予算があつて、明らかに予備の予算があるということを言つておる。しかも、自然増收で税額は上るということも言われておる。含み予算というものがありながら、なぜこの郵政予算の方に一般会計から繰入れることができないかということは、これは明らかに日本吉田内閣財政方針が大衆を犠牲にいたしまして、一路軍事的な予算の編成方針によつておるからであります。  この問題になつております運用権の問題でございますが、これはいかに従業員が犠牲になつて、そうして従業員の血と汗によつて築かれているかということは、数字の上でも示されているのでございます。資金運用部の原資の中には、郵便貯金といたしまして、補正における増減の中に六十億計上され、簡易保險は三十億計上されております。補正後の額と合計いたしますと六百九十億、約七百億に上るところの巨額な額が、あの郵便従業員の血と汗とによつて国家財政に寄與しているのであります。しかも、それがいかに使われているかと申しますれば、軍事的な再編成になつておりますところの電通に百六十億、さらに金融債、軍事公債なども復活いたしまして、特需会社等に対する金融債の発行ということが問題になつておりますけれども、これらに対して二百九十七億、このように巨額なものを、六百億近い、全従業員の血と汗によるところのあの集結をもつて政府は独占資本並びに軍事的な特需会社等の利益に運用しておるのでございます。  もし吉田内閣が言うように、日本の独立という建前が真の独立であり、アメリカ帝国主義の手先としてでないならば、この運用権の問題等々も本国会におきましては当然問題にし、そうしてこの運用権を郵政省に返し、国民大衆のために使うという、この建前にもどるのが当然なのであります。それにもかかわらず、かかる理由をもつて一般会計から繰入れることは相ならぬとして、審議もせずに郵便料金値上げを断行し、しかも恥知らずにも、今度選挙を前にいたしますところの年賀郵便、これだけは二円をすえ置きにいたしております。ある選挙運動の代議士の話によりますと、数万円というものがこれで浮くだろうということで、なかなか党内の意見がまとまらなかつた。このような恥知らずな状態が現在院内に行われておるのであります。
  27. 林讓治

    議長林讓治君) お約束の時間が経過いたしました。結論をお急ぎ願います。
  28. 柄澤登志子

    ○柄澤登志子君(続) 私どもが、給與ベース値上げ理由にしておりますところの全逓従業員の実情を見ますれば、給料が上りましても、ベースが上りましても、超過勤務手当も拂われないで労働強化に苦しむところの状態は少しも改善されず、これに対する補正予算の裏づけは一文たりともない。さらにあの健康保險の保障もない、また共済組合の保障もない、常勤的非常勤というような状態に苦しんでいる人々を……
  29. 林讓治

    議長林讓治君) 時間が経過いたしておりますから……。     〔発言する者多し〕
  30. 柄澤登志子

    ○柄澤登志子君(続) 定員に繰入れるというような措置を講じていない本法案に対しまして、まつたく欺瞞的なものであるという建前から、大衆を犠牲にし、軍事的に奉仕する本法案趣旨に対しまして反対の意思を申し述べるものでございます。(拍手
  31. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  まず郵便法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り決しました。(拍手)  次に郵便為替法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  33. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十八分散会