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1951-11-16 第12回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十六日(金曜日)     午前十一時五十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 押谷 富三君    理事 北川 定務君 理事 田嶋 好文君    理事 中村 又一君       鍛冶 良作君    佐瀬 昌三君       高橋 英吉君    花村 四郎君       牧野 寛索君    松木  弘君       山口 好一君    田万 廣文君       世耕 弘一君  出席政府委員         法務政務次官  高木 松吉君  委員外出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 本日の会議に付した陳情書  一 横川町の簡易裁判所並びに検察庁設置に関    する陳情書(第二五号)  二 暴力者根絶に関する陳情書(第三二号)  三 司法事務改善に関する陳情書(第四八号)  四 不良文化材取締法制定に関する陳情書(第    一五四号)  五 国民身分登録証制定に関する陳情書(第二    四五号)  六 所有権移転登記による地方税徴収阻害    防除に関する陳情書外一件(第二六一号)  七 治安態勢強化に関する陳情書(第四〇五号    )  八 荻原法務局出張所存置に関する陳情書(第    四一二号)  九 国家安全保障法案反対に関する陳情書(第    四一三号) 一〇 石川町に簡易裁判所並びに検察庁設置に関    する陳情書(第四五五号) 一一 行政機構改革に伴う地方法務局出張所等の    閉鎖反対に関する陳情書外十六件(第四九    二号) 一二 小泊登記所存置に関する陳情書(第四九六    号) 一三 青森地方法務局原子出張所存置に関する陳    情書(第五一八号) 一四 法務局高須出張所存続に関する陳情書(第    五三九号) 一五 高須町に簡易裁判所設立に関する陳情書(    第五四〇号) 一六 高知地方法務局出張所存置に関する陳情書    外六件(第五四一号) 一七 死刑廃止に関する陳情書(第六三一号) 一八 金沢地方法務局志雄出張所存続に関する陳    情書(第六三二号) 一九 盛岡地方法務局世田米出張所存置に関する    陳情書(第六三三号)     —————————————
  2. 押谷富三

    押谷委員長代理 これより会議を開きます。  まず陳情書の審査を行います。本日の陳情書日程中、日程第一、第一〇、第一五の簡易裁判所及び検察庁設置陳情書、並びに日程第八、第二ないし第一四、第一六、第一八、第一九の地方法務局出張所存置陳情書は、昨日審査いたしました請願と同一趣旨でありますので、政府よりの意見の聴取はこれを省略いたします。     ―――――――――――――
  3. 押谷富三

    押谷委員長代理 次に日程第二、暴力者根絶に関する陳情書議題といたし、政府意見を求めます。高木法務政務次官
  4. 高木松吉

    高木政府委員 暴力によつて犯罪を敢行する者に対しては、従来より厳重な処罰方針をもつて臨んでいるのであつて、こういつた暴力者の存在を公然と認めているような事実はないと考える。今後もこの種暴力事犯に対しては、取締り機関が一致協力して厳重な取締りを励行し、これによつて社会秩序を確保し、この種犯罪根絶を期する所存であるが、これらの犯罪は往往その立証に困難を感ずる事例が少くないから、そのためには一般国民の勇気と協力を切にお願いする次第であります。
  5. 押谷富三

    押谷委員長代理 御質疑はありませんか。     ―――――――――――――
  6. 押谷富三

    押谷委員長代理 次に日程第三、司法事務改善に関する陳情書議題といたし、政府意見を求めます。高木法務政務次官
  7. 高木松吉

    高木政府委員 ただいまお申述べになりました司法事務改善に関する陳情に対する政府意見を申し上げます。  まず第一の点でありますが、民事訴訟における訴訟書類送達料を低廉にすることは、国民権利の保全を容易にするために訴訟費用の軽減をはかるという問題の一環としまして、まことに必要性のある問題と存じますが、最近における物価の高騰等の事情からいたしまして、その送達料を現在以上に安くするということは、国家財政上の見地から見ましても、相当困難ではないかと存じます。しかしながらこの問題は重要な問題でありますので、なお将来十分研究してみたいと存ずる次第であります。  第二点につきましては、司法修習生簡易裁判所刑事事件につき、国選弁護人に使用してはどうかという御趣旨かと存じますが、国選弁護人は、刑事訴訟法第三十六条及び刑事訴訟規則第二十九条によりまして、弁護士の中から選ぶことになつており、特に簡易裁判所における事件につき司法修習生の中から選任するということは、国費の節減等見地から研究すべき問題とは存じますが、他面憲法第三十七条第三項の規定により、国選弁護人資格を有する弁護人でなければならないことになつておりますので、一般弁護人たる資格のない司法修習生を、国選弁護人に選任することといたすことは困難かと存じます。  次に第三点でありますが、新刑事訴訟法におきましては、裁判所の裁量による保釈のほか、いわゆる権利保釈制度が新設されまして、保釈の請求があつたときは、裁判所は一定の除外事由に該当する場合以外は、当然保釈を許さなければならないことになつております。従つて裁判所がいかに保釈決定について慎重でありましても、必ず保釈を許可しなければならない場合があるのであります。政府におきましても、新刑事訴訟法実施以来の実績に徴しまして、この権利保釈の範囲の適否について、目下検討を加えている次第であります。なお保釈について保証人を要するとする点は、保釈中の被告人が逃亡した場合等に、保証人は何等かの責任または制裁を科することになるのでありますが、このような制度の効果につきましては、なお検討の余地があると存ずる次第であります。  最後に第四の点につきましては、司法書士法におきまして、裁判所書記官等の職に三年以上あつた者のほか、これと同等以上の教養及び学力を有する者も、法務局または地方法務局の長の認可を受けて司法書士となることができることとなつており、実際におきましては、前者に該当する者より、後者に該当する者の方が、より多く認可を受けて司法律上となつている状態でありますので、まさに御趣旨の通り運営されておるものと考えております。
  8. 押谷富三

    押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ次に移ります。     ―――――――――――――
  9. 押谷富三

    押谷委員長代理 日程第四、不良文化材取締法制定に関する陳情書議題といたし、政府意見を求めます。
  10. 高木松吉

    高木政府委員 青少年に悪影響を及ぼす悪質な出版物については、出版法及び新聞紙法廃止昭和二十四年五月二十四日法律第九十五号)された現在においても、刑法猥褻罪名誉毀損罪信用毀損罪等規定を適用することによつて、相当に取締り成果をあげ得るのであつて、これを励行して参りたい所存であるが、そのほかに特別法制定が必要かどうかについては、さらに研究したいと考えております。  なお不良出版物取締りを実効あらしめるために、民間においても、この種出版物の一掃に協力するような機関の設けられることが望ましいと考える次第であります。
  11. 押谷富三

    押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ次に移ります。     ―――――――――――――
  12. 押谷富三

    押谷委員長代理 日程第五、国民身分登録証制定に関する陳情書議題といたし、政府意見を求めます。
  13. 高木松吉

    高木政府委員 ただいま議題となりました、国民身分登録証制定に関する陳情につきましてお答えいたします。  陳情趣旨のような国民身分登録証制定は、去る六月八日制定された住民登録法が近く実施されるに伴い、同法による住民票記載事項証明書等を利用することによりまして、ある程度その目的を達成することが可能であると考えられます。  しかしながらこの制度とは別個に、国民の全部に身分登録証明書を所持させる制度を、全国的に実施する法律制定することは、財政上の見地その他からみて困難であると考えますので、住民登録法実施とも関連して、慎重に研究したいと考えます。
  14. 押谷富三

    押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――なければ次に移ります。     ―――――――――――――
  15. 押谷富三

    押谷委員長代理 日程第七、治安態勢強化に関する陳情書議題といたし、政府意見を求めます。
  16. 高木松吉

    高木政府委員 終戦以来、わが国再建の努力が漸次その成果をあげつつあることは、御同慶の至りであります。政府といたしましては、新憲法の精神を破壊し、わが国再建を妨げるような治安撹乱行為に対しては、全力をあげて断固秩序を保持する決意のもとに治安対策を練つており、またこれに必要な立法上の措置についても、慎重研究を進めているところであります。  もとよりこれらの治安対策確立にあたつては、正当なる労働運動ないし政治活動については、これに不当な制限を課することなく、わが国民主化確立を一層推進するという点にも、極力意を用いなければならないこともちろんでありまして、政府といたしましては、それらの諸点を十分勘案いたしました上、御要望の趣旨に沿いたいと存じております。
  17. 押谷富三

    押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑なければ次に移ります。     ―――――――――――――
  18. 押谷富三

    押谷委員長代理 日程第六、所有権移転登記による地方税徴収阻害防除に関する陳情書外一件を議題といたし、政府意見を求めます。
  19. 高木松吉

    高木政府委員 仮登記がなされていることによつて滞納処分実行が困難となる場合のありますことは、想像にかたくないところであります。しかしながら、たとえば滞納処分による差押えを免れる目的で、不動産所有者が第三者と談合し、差押え前に所有権移転の仮登記をしたような場合におきましては、国税徴収法第十五条、地方税法第六十一条第一項等の規定により、その原因たる行為を取消した上で、地方公共団体において、仮登記権利者に代位して、仮登記の抹消を求め得ることになつておりますし、また滞納者抵当権または質疑を設定して、その本登記を行わずに、仮登記をしたような場合におきましては、公売処分による所有権移転登記をする際、登記官吏において、不動産登記法第百四十八条の規定により、職権でその仮登記を抹消することになつております。従つて登記があることによつて生ずる滞納処分実行上の困難なるものは、多くの場合、これらの規定の運用によつて除くことができるものと考えます。もし関係法律規定を改正いたしまして、所有権移転の仮登記は、地方税納期限より一年前になされたもの以外は、滞納処分による公売により、その効力を失うものといたしますと、善意の仮登記権利者までも不当に損害をこうむるこことなるおそれがあり、現在仮登記制度が広く利用されていて、経済上重要な機能を営んでおります事実等を考え合せますと、右のように関係法律規定を改正いたしますことは、相当考慮を要する問題であろうと思われまするしかしながら仮登記滞納処分実行を阻害している事実及びその対策等につきましては、当局といたしましても、なお十分に研究いたしたいと存じます。
  20. 押谷富三

    押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑なければ次に移ります。     ―――――――――――――
  21. 押谷富三

    押谷委員長代理 日程第九、国家安全保障法案反対に関する陳情書議題といたし、政府意見を求めます。
  22. 高木松吉

    高木政府委員 現下の国内治安情勢より見て、反民主主義的な破壊的、暴力的な不法活動をなす団体等に対し、必要最小限の規正をなすことは、公共の福祉を維持するためにまことにやむを得ないことであつて政府としてはこの観点より、目下その法律案を立案中でありますが、これはあくまで日本国憲法のわく内において、必要かつ最小限度のものとして立案いたすべきものでありまして、決して国民権利を不当に制限するようなものであつてはならないと考えておる次第でございます。
  23. 押谷富三

    押谷委員長代理 この際お諮りいたします。本日審査いたしました陳情書日程中、第一ないし第四、第七、第八、第十ないし第十六、第十八、第十九はいずれもこれを委員会において了承いたすこととなし、ただその決定を延期いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 押谷富三

    押谷委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時十二分散会