○佐藤(達)
政府委員 適切なお尋ねであろうと思います。但し今あります
和議法、それから商法にあります
会社の整理に関する条文は、確かに御
指摘のように条文は少いのです。
和議法といえども数十条にとま
つている。ただこれはおそらく鍛冶先生ふだんこれをお扱いになれておられてこれでよくおわかりにな
つているだろうと思いますけれども、私個人のことを申し上げて恐縮でありますけれども、こういう
法律にはふだんあまりなじみがないのであります。このたび
会社更生法を立案いたしますに際しまして、実は久しぶりに目を通したのでありますが、ところがいかにも簡単で、条文と条文とのつながりがあまりに粗雑過ぎて、われわれのような頭の悪い者には非常にわかりにくい感じがしたのであります。そういうことはおなれにな
つているものと、ふだん見なれない立場のものとの違いだと思いますが、まあある種の心理の違いだろうと思います。そこで
会社更生法は洗いざらい筋道を立てて全部書こう、ほかの立法例でありますれば準用で済しておるが、この準用というものは、これはなかなか見にくいものでありまして、一々元の法典の何条というところをひつくりかえして見なければわかりがにくいというような欠陥を持ちますので、なるべく一通り目を通してわかるようにという建前で、実は正直に立案したものでございますからこれほどの大きな法典にな
つてしまいました。しかし結果におきましては、これは忍耐力の問題かとも存じますけれども、お目をお通し願えば、私個人の感覚から言えば、今の
和議法とかあるいは
会社の整理に関する条文よりは、ひとりよがりかもしれませんけれども、すなおに受け取れるのではないか、そういう自信を持つでおるのであります。
それからたくさんのものを一本にまとめたらどうかというお話、これも当然出て来るわけでありますけれども、私どもの
考えは、先ほどもちよつと触れましたように、今ある薬をわざわざやめてしまう必要はない。その薬はその薬なりにちやんときき目を持
つておるものでありますから、それをつぶす必要もないので、またつぶしますと、つぶしたことによ
つてその条文の場所等がかわ
つて来ますので、ごらんになる方もまた御不便を生ずる。またそれについておなれにな
つている方もありますから、今まであるものはそつとしておいた方が、かえ
つて便利だという
考え方も立法技術的にあり得ると思うのでございます。そういう
意味で、全然役に立たぬものならば別でございますけれども、あまり深刻な必要のないものを編纂作業することはどうかというような一面の要請も
考えまして、今まで通りのものはそのままに並べておいて、よりどりで御利用を願うということの方がよくはないかというふうに
考えた次第でございます。
それから、ちよつとお言葉の先をつかまえて恐縮でございますが、向うからの引写しというようなこともございましたけれども、確かに前の
会社法の改正の場合にはそういう場面が相当ございました。ただこの
会社更生法に関しましては、もちろんお手本がありますし、相談に乗
つた向きもありますけれども、これは私の経験では近来にない自主的な立法であると
考えております。そういうことで総合いたしますれば、これが一番適当であるという自信を持
つておるわけであります。