○位
野木政府委員 それでは第三章以下の概略の御
説明を申し上げます。
第三章は、
更生手続における最も重要な機関であります管財人について、その選任、
会社の
財産関係の訴訟についての当事者適格、職務執行の
方法、注
意義務等、基本的な事項について
規定いたしております。なお管財人の職務権限等は、他の章において
規定されておるものが多いことを御承知願います。
第九十四條、これは管財人に関する基本的な
規定でございますので、
説明申し上げますと、本條は、管財人の資格要件、その他管財人の選任について定めたものであります。管財人は、
会社の業務及び
財産の管理または
更生計画案の作成及び遂行に当るものでありますから、そのような職務を行うに適した、しかも利害
関係のないもののうちから選任すべきことを原則としております。ただ
会社の取締役とか、大口
債権者等を管財人に選任する特別の必要があるというふうな場合におきましては、例外を認めております。
法人の中でも、信託
会社や銀行には管財人として適当なものがございますので、これらも管財人に選任できることといたしてあります。またこれらの
法人が管財人に選任された場合には、事務処理の責任を明らかにするために、代表者のうちから管財人の職務を行うものを指名して
裁判所に届出させるというようなことにいたしてあります。
次に第九十五條から第百
一條までは、管財人の職務執行の
方法等について
規定してありますが、これは
説明を省略いたします。
第四章に移ります。第四章は、
更生債権及び
更生担保権の
意義、
更生債権者、更正担保権者及び
株主の
権利並びにその届出、更正債権及び更正担保権の
調査及び確定、代理委員の選任、相殺権等について
規定いたしております。
第百二條でございますが、これは
更生債権の
意義を定めたものであります。内容は大体和議債権等の例になら
つております。
次に第百三條から第百十
一條まででございますが、これは
更生手続開始前後にわたる
権利関係、または数人の債務者のうちの一人について、
更生手続が
開始された場合等の
更生債権について
規定いたしております。詳細の
説明は省略いたします。
第百十二條でございますが、これは
更生債権及び
更生担保権の弁済の禁止等について定めてあります。なお国税徴収法または国税徴収の例によ
つて徴収することができる請求権について、特別の例外を認めております。
第百十三條でございますが、これは
更生債権者の参加の
権利及び議決権等について定めたものであります。
次に第百十四條から第百十八條までは、議決権の額の算定の
方法について
規定いたしております。これも詳細の
説明を省略いたします。
第百十九條、これは
更生手続開始前に生じた一定の租税債権、及び
会社の使用人の給料並びに預かり金、身元保証金の返還請求権等を共益債権として認めとるいうふうにいたしまして、これらの債権の保護をはか
つたものであります。特に給料債権等の保護については相当画期的な内容、
意義を有するものと
考えております。
第百二十
一條でございます。本條は更正債権のうちで劣後性を有するものを定めたものであります。
第百二十二條、これは租税等の国税徴收法または国税徴収の例によ
つて徴収することのできる請求権については、徴収権者の同意がなければ減免等の定めをすることができないというふうなことにいたしたわけであります。
第百二十三條は
更生担保権の
意義等について
規定いたしております。
次に第百二十五條及び第百二十六條、これは
更生債権及び更正担保権の届出について
規定いたしております。
次に百二十九條でございまするが、これは
株主がこの
更生手続に参加することを
規定したものであります。なお議決権についても
規定いたしております。
次に第百三十條はその株式の届出について
規定いたしております。
第百三十二條は
裁判所が届出のあ
つた更生債権、
更生担保権及び
株主権について、それぞれ
更生債権者表、
更生担保権者表及び
株主表を作成して、一定の事項を記入すべきことを定めております。
次に第百三十五條以下第百五十六條までは、
更生債権及び
更生担保権の確定の
手続について
規定いたしております。これらはこの
手続において
実体的にその存否が
規定されることになるわけであります。
次に第百五十九條でございます。本條は
更生債権者、
更生担保権者及び
株主の分類について
規定いたしております。これらの
権利者はそれぞれその
権利の性質及び利害の
関係が異な
つておりますので、これをここに掲げておりまするような組にわけて、
更生計画案について決議をさせることにな
つております。その決議のため及び計画案作成のために分類をすることをここで
規定いたした次第であります。
裁判所はこれらの分類を適宜変更することができるわけでありますが、
更生債権者と
更生担保権者及び
株主、これはそれぞれ別々の組にしなければならないというふうにな
つております。
第百六十
一條でございまするが、これは代理委員というものを
規定いたしております。
更生手続には多数の利害
関係の異なる
権利者が参加しまして、
更生計画案の作成及び決議等のために、相互に折衝を行うようなことが多うございますので、このような機関を設けまして、
手続の円滑迅速な進行をはかることができるようにする
趣旨であります。
第百六十二條は社
債権者に関する特則を定めたものでございます。
第百六十三條及び第百六十四條、これは相殺権について
規定いたしたのであります。原則として
破産法で認められておりまする相殺権と同様でございまするが、ただその相殺を許す範囲が相当制限せられております。
次に第五章に移ります。第五章は
関係人集会について
規定いたしております。
関係人集会は
債権者、
株主、その他の
関係人の集会でありまして、
更正手続開始後の
会社の業務及び
財産の管理並びに
更生計画案について審理し、または
更生計画案について決議する等の権限を有しております。本章はこの
関係人集会の招集
手続、期日及び議決権に関する事項等、
関係人集会の通則的な事項を
規定いたしております。本章の各條の
説明は省略いたします。
次に第六章に移ります。第六章は
更生手続開始後の
会社の業務及び
財産の管理、管財人等の一定の事項についての
調査及び報告の義務、審査人の選任、
更生計画案の作成から議決に至るまでの
手続、共益債権等について
規定いたしております。第百八十條から第百八十三條まで、これは管財人等が一定の事項を
調査いたしまして、
裁判所に報告すべき義務を
規定いたしております。
第百八十六條に移ります。第百八十六條は管財人がない場合の
更生事務の処理及びその責任について定めたものであります。この場合におきましては、
会社は本来管財人の処理すべき事務である
更生事務を処理すべき義務がありますので、
裁判所の監督に服することといたしております。そうして注
意義務を管財人と同様といたしております。注
意義務違反の責任は
会社自身のほか、任務を怠
つた取締役も負うというふうなことにな
つております。
次に百八十九條でございますが、これは
更生手続中といえども、
会社は原則として営業を
継続すべきものでありまするが、特別の場合には許可を得て休止ができるというふうなことを定めたものであります。
第百九十
一條は審査人について
規定いたしております。審査人は
会社が
更生事務を処理する場合に、管財人を置くほどのこともないが、
会社に
更生事務の処理をまかせてしまうことも適当でないというふうな場合に選任するものでありまして、審査人は
裁判所の命ずる事項を行うことになるわけであります。ただ管財人と異なりまして、
会社の業務及び
財産の管理をさせることはできないというふうにいたしてあります。
次に第百九十四條であります。本條は、
更生事務の処理については
法律知識を必要とすることが多いので、常設の
法律顧問を置くことができるものといたしたことであります。
法律顧問は費用の前払い及び報酬を受けることができることにな
つております。
次に第百九十五條及び第百九十六條でございます。これは第一回の
関係人集会についての
規定であります。第一回の
関係人集会は
更生手続開始後
会社の今後の管理の方針を検討するための集会であります。
次に第百九十七條及び第百九十八條であります。これらの條文は
更生計画案の作成及び提出について
規定いたしたものであります。管財人等は
更生計画案の作成及び提出の義務があります。しかしながら
更生債権者、
更生担保権者及び
株主はそのような義務はありませんが、任意計画案を作成して提出することはできるというふうにいたしております。なるべくよい案を求めるという
趣旨であります。
次に第二百條及び第二百
一條であります。これは
更生計画案審議のための
関係人集会について
規定いたしたのであります。
次に第二百二條は、
裁判所は必要なときには、
会社の業務を監督する行政庁等から
意見の陳述を求めることができるというふうなことを定めております。また二百三條におきましては、
更生計画案については労働組合等の
意見を聞かなければならないというふうなことを定めております。これは計画案が使用人に重大なる利害
関係を持つものであるからであります。
次に二百七條でありますが、これは提出された計画案が結局において認可できないようなものでありますれば、せつかく
手続を進めてみてもむだでありまするので、
関係人集会の審理または決議に付さないでもよい場合を認めたわけであります。
次に第二百八條であります。本條は
更生計画案決議のための
関係人集会の招集、及び
関係人に対する
更生計画案の写し等の
送達について定めたものであります。案の写し等を
送達することにいたしましたのは、事前に
関係人に案の内容を知らせまして、決議に便利ならしめるようにする
趣旨であります。
次に第二百十三條でございます。本條は
更生計画案の可決の要件を
規定いたしております。
権利者の頭教は考慮しないことにな
つております。各組において、法定の額または数以上の決議権のある者の同意を得られないと案は可決されないことになります。しかしながら和議等の場合に比して可決の要件は緩和されております。清算を内容とする
更生計画案というものがございます。これは
説明が落ちましたが、その場合には
更生担保権者については全員の同意を要するというふうにいたしてございます。これは
破産手続及び特別清算
手続との均衡を考慮したものであります。
順序がいささか逆になりまするが、第百九十九條に清算を内容とする計画案という
規定がございます。これは
会社の維持
継続を前提とする計画案ができない場合に、本来ならばこの
手続を廃止して、あらためて
破産手続あるいは特別清算
手続等をやる必要があるわけでありまするが、せつかく進めた
手続をやめて、また別の
手続に移すという
手続のむだを省く
意味で、この
手続の内容において清算を内容とする計画の作成もできるというふうな特別の場合を認めたわけであります。これは
更生手続開始当時は、もちろん企業の維持存続が可能であると認められた場合でありまするが、
手続の進行中に事情が急変いたしまして、
更生が困難な事態に立ち至
つたというふうな場合の特別の措置を認めたわけであります。しかしながらそういうふうな場合におきましては、これは
更生担保権者は
破産等の場合に比べまして特に不利な立場に立たないように全員の同意を要することといたしたわけであります。
次に第二百十六條から第二百十八條であります。これは共益債権について
規定いたしております。共益債権は
破産の場合の財団債権に準じて認めたものであります。共益債権相互の間には
破産と異なりまして特に順位を認めておりません。なおここに
規定するもののほかに、各條に特に共益債権とするという
規定がほかに設けられておる場合がございます。たとえば先ほどの使用人の給料等の
規定であります。
次に第七章に移ります。第七章は
更生計画の必要的及び任意的な條項並びに計画の
條件に関する原則等について
規定いたしております。第二百十九條、これは
更生計画案に関する原則的な
規定であります。本條は
更生計画に関する総括的な
規定でありまして、第一項は
更生計画の必要的條項を
規定いたしております。第二項は任意的な條項を
規定いたしたのであります。任意的な條項を定める場合におきましても、特に重要な事項につきましては、一定の要件を具備すべきものとして計画の内容を明らかにさせ、またあわせて計画遂行の場合における
商法その他の法令の
適用の排除が可能なようにいたしてあります。たとえば新
会社の設立というものを、
更生計画案において
規定いたしたという場合におきましては、一定の要件を備える場合におきましては、
商法の
規定する
会社設立に関する諸要件を備えなくても、定款を作成して討議するという程度の簡單な
手続で、新
会社の設立はできるというふうなことも
規定いたしております。これは従前の
債権者等にその債権にかえて新
会社の株式を與えるという場合でございます。
次に第二百三十四條に移ります。これはただいま申し上げました新
会社設立についての計画案の記載事項の
規定であります。第一項は
更生債権者、
更生担保権者または
株主に対して、元の債権、株式等のかわりに、新しい株式を與える、これらの
株主のみで新
会社を設立する場合の要件であります。第二項はそれ以外の
方法によ
つて新
会社を設立する場合の要件であります。この場合におきましては、
更生債権者、
更生担保権者または
株主に対して、新たに払込みもしくは現物出資をさせ、またはさせないでその株式を引受けさせる場合も含んでおります。たとえば従前五十円の額面の株式を持
つてお
つた株主に対して、新
会社の額面五十円の株式を二十五円だけ新たに払い込めば與えるというふうなことができるわけであります。なお計画においては新
会社の取締役及び監査役の選任についても定めるべきものといたしております。この計画において
規定した新
会社設立についての効果の
規定は、二百六十七條及び二百六十八條に
規定いたしております。
次に第二百三十六條でございます。これは
更生計画に関する重要な
規定でありまして、
更生手続に参加する
権利者の
権利には、その性質に差違があり、その差違を無視するときは、不当な
権利の侵害を生ずるということもありますので、
権利の性質に応じて必ず計画の
條件に公正、衡平な差等を設けなければならないことを
規定いたしたのであります。この順位を無視した計画、たとえば
株主の
権利を
債権者の
権利よりも有利に取扱うような計画は不適当でありまして、たとい可決されましても
裁判所はこれを認可することはできません。また第二項は、罰金、科料等の請求権及び租税等の請求権は、特別の性質を有するものでありますので、第一項の
規定の
適用がないことを明らかにしたのであります。
次に第二百三十七條、これは平等の原則について
規定してあります。
更生手続は各
権利者が公正、衡平に満足を得ることを本質といたしておりますので、本條は、同じ性質の
権利者に対する
條件は原則として平等でなければならないことを定めたのであります。しかしながら形式的に平等は、必ずしも実質的な衡平をもたらすものではございませんので、少額債権等については例外を認めることにいたしております。
次に第二百三十八條でございます。これは取締役及び監査役の選任等に関する計画の定めが衡平であ
つて、
債権者等の一般の利益に合致するものでなければならないということがいわれております。
次に第八章に移ります。本章は
更生計画認可の要件及びその効果、
更生計画の遂行及びその遂行に関する他の法令の
規定の特例、
更生手続の終結等について
規定いたしております。
第二百四十
一條は
更生計画認可の要件を
規定いたしております。第一号から第三号までは一般的な要件でありまして、第四号及び第五号は特別な場合の要件であります。
裁判所は可決された計画がこれらの要件を具備しているかどうかをあらためて審査いたしまして、要件を満たしていると認めた場合に限り認可の決定をすることができます。ただ
手続上ささいな欠陷があるような場合で、諸般の事情から見て、計画を認可しないことが不適当と認められるときは、認可の決定ができるごとといたしております。
次に第二百四十二條であります。本條は同意を得られない組のある場合の認可について
規定いたしております。
更生計画案について同意を得られない組がある場合でも、その組の
権利者の
権利を第一項に掲げるような
方法で十分保護してやるような場合には、その同意がなくても計画の認可をすることができるというふうにいたしたのであります。第一項は計画案を
関係人集会の決議に付して不同意の組があ
つた場合、第二項及び第三項は決議前に同意を得られないことが明らかな組がある場合の
規定であります。この
規定はこれらの組の者の
権利を保護しつつ、
更生計画の
成立を容易ならしめるようにした
趣旨の
規定であります。
次に第二百四十四條であります。本條は
更生計画の
効力はその認可の決定のときに生じ、決定の確定を待
つて発生するものでないことを明らかにしたものであります。確定を待
つて効力を生ずることといたしたのでは、計画の遂行に時宜を失するおそれがあるからであります。
次に第二百四十九條に移ります。本條は
更生債権等の免責等について
規定いたしております。この免責等の
効力を認めましたのは、
更生後の
会社の
法律関係を明確にし、かつ
更生を容易にするためであります。届出のなか
つた債権とか、届出があ
つても異議のあ
つた債権で確定
手続をとらなか
つたようなものは、
会社は認可決定があ
つた後はその債権の弁済をする責任がなくなるわけであります。罰金等の請求権及び租税の一部につきまして例外を
規定いたしましたのは、罰金につきましては性質上免責を許さないものであるからでありまして、租税の一部、これは脱税犯が後に発覚したというような場合の特別の場合でございまするが、そういうふうな場合には免責を認めない。これは不適当であるからであります。
次に二百五十
一條であります。これは
更生債権及び
更生担保権については、届出をして一定
手続がなされた場合に初めて
更生計画による
権利のわけ前をもらえるということにいたしたわけです。和議なんかと違いまして、参加しないものには
権利が認められないわけであります。
それに反しまして第二百五十二條におきましては、
株主につきましては届出をしなくても計画において認められました利益のわけ前にはあずかれるというふうなことにいたしました。これは株式の性質上、この届出の有無によ
つて取扱いを異にすることは不適当であると認められるからであります。
次に二百五十四條でありまするが、これは
更生手続開始によ
つて中止した
破産手続等の執行について
規定いたしたものであります。
第二百五十五條は、
更生計画遂行の責任者について
規定いたしております。第二項は管財人がなく
会社による遂行が適当でない場合に、計画の遂行に当らせるために整理委員を選任することができることとしたものであります。
第三項は、計画遂行の確実迅速を期するために管財人等に発起人または設立委員の職務を行わせることとしたものであります。また第四項は、
調査委員及び管財人に関する
規定を整理委員に準用したものであります。
第二百五十六條におきましては、
更生計画の遂行について
裁判所は必要な命令をすることができる、こう定めてあります。
次に第二百五十七條から第二百六十九條までは、これは先ほど申しましたこの計画案の遂行についての
商法等の
規定の特例を定めたものであります。これによ
つて計画の遂行が簡易迅速にできるようにいたしたものであります。
次に第二百七十條であります。本條は
更生計画の定めによりまして新らしく
更生される
会社または新らしく設立される
会社の
株主または
債権者と
なつた者が、
権利者とな
つてから三年間も何らの請求をして来ないというふうな場合には、これはその
権利を失うというふうなことにいたしまして、従来の
権利関係を整理して、
会社または新
会社の
更生を容易ならしめるようにいたしたものであります。
次に第二百七十三條から第二百七十七條までは私的独占の禁止及び公正
取引の確保に関する
法律すなわち独禁法の特例その他他の法令の特例について
規定いたしております。特に申し上げたいのは第二百七十七條の税法の特例であります。本條は
更生手続に関する税法の特例を認めたものでありまして、第一項は新
会社の租税債務の承継について
規定いたしております。また第二項は
会社の
事業年度の特例を
規定いたしております。第三項に至りまして、これは
更生計画による
会社の
更生を容易ならしめるために租税の軽減をはか
つたものであります。
更生手続によりまして
会社財産の評価がえをした場合、あるいは
更生手続によ
つて会社の債務が消滅したというふうな場合には、本来ならばこれは益金として算入されるわけでありますが、この場合におきましては特にこれを従前の繰越し損金の限度においては益金と見ないというふうにいたしまして、
更生を容易ならしめるような処置を
とつたものであります。これはせつかく
更生計画において債務をうんとまけてや
つたところが、その大半を税金にとられるということでは困るというふうなことが
考えられるからであります。それから第四項、これは
法人税の中間申告等に関する
規定の特例であります。
法人につきましては、六箇月ことでございましたか、中間申告というものをする義務があることにな
つておりますが、
更生手続中はそのような義務を課さないというふうなことにいたしたわけであります。次に第五項及び第六項でありますが、これは
更生手続に関する一定の
登記及び登録についての登録税の減免について
規定いたしております。第五項の場合には登録税を全然課さないわけです。第六項の場合にはこれは軽減するわけです。これも
更生を容易ならしめるための処置であります。
次に第二百七十九條であります。
更生計画の変更について本條は
規定いたしております。
更生計画の認可決定後はもとよりその計画の変更を許さないのが原則でありますが、経済事情の変動等によりまして、やむなくその計画を変更しなければならないような場合も生じないとは限らないわけであります。本條はこのような場合に計画の変更を許しまして、計画の瓦解による
手続のむだを省くことができることといたしたものであります。
次に第二百八十條であります。
更生計画の確実な遂行をはかるために、計画の遂行が終了した場合または計画遂行の見込みが確実についた場合に、初めて
更生手続終結の決定をすべきものといたしております。従前の
手続等と異なりまして、
手続の内部におきまして計画の遂行をすべきものといたしたのであります。この二項は準用
規定であります。本條の第一項はその
趣旨を明らかにしたものであります。
次に第九章に移ります。第九章は
更生手続の廃止について
規定いたしております。決議に付するに足りる
更生計画案が一定の期間内に提出されない場合、または
更生計画案が
関係人集会において可決されない場合、また
会社が届出をしたらすべての
更生債権者及び
更生担保権者に対する債務を完全に返済することができるような
状態に
なつた場合、こういう場合は稀有だと思いますが、万一そういうふうなことがあ
つた場合とか、あるいは計画認可決定後におきまして、計画の遂行の見込みがないことが明らかに
なつたような場合、こういうふうな場合には、もはや
更生手続を続行する必要がございませんので、
手続を廃止すべきものといたしたのでございます。個々の條文の
説明は省略いたします。
次に第十章であります。本章は
調査委員、管財人、審査人、整理委員、
法律顧問及び管財人代理に対する報酬、また
更生債権者、
更生担保権者、
株主、代理委員及び代理人に対する報償金等について
規定いたしております。管財人等につきましては、その職務と責任にふさわしい報酬を與えなければならないというふうなことを特に
規定いたしております。十分なる報酬を與えて、十分なる働きをしてもらうというふうなことを期しておるわけです。また
更生債権者またはその代理人等が、その本来の立場以上に
更生手続に盡力して、その人の努力のために
会社の
更生ができた、
更生計画が
成立したというふうな場合におきましては、特にそのような人にも
会社から報償金を與えるというような
規定にいたしたのであります。
次に第十一章であります。これは
更生手続に関する罰則について
規定いたしたのであります。各條の
説明は省略いたします。
以上で概略の御
説明を終ります。