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1951-11-15 第12回国会 衆議院 文部委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十一月十五日(木曜日) 午前十一時六分
開議
出席委員
委員長
長野
長廣
君
理事
岡延右エ門
君
理事
佐藤 重遠君
理事
若林 義孝君
理事
松本 七郎君
甲木
保君 鹿野 彦吉君 小西 英雄君 坂田
道太
君 平島 良一君
井出一太郎
君 渡部
義通
君 浦口 鉄男君
出席政府委員
文部政務次官
水谷 昇君
文部事務官
(
大学学術局
長) 稻田 清助君
委員外
の
出席者
文部事務官
(
大臣官房人事
課長) 岡田 孝平君 参 考 人 (
全日本高等学
校
教職員
組合
執
行委員長
)
坂本
勝元
君 (
全日本高等学
校教職員組合書
記長
)
中谷
盛国
君 専 門 員 石井つとむ君
横田重左衞門
君 ――
―――――――――――
十一月十三日 六・三
制教育施設整備
に関する
請願
(
野村專太
郎君
紹介
)(第一一五六号)
学校給食継続実施
に関する
請願
(
久野忠治
君紹 介)(第一一五八号)
学校給食継続実施
に関する
請願
(
小澤佐重喜
君
紹介
)(第一二〇七号)
小学校舎改築費国庫補助
の
請願
(
小澤佐重喜
君
紹介
)(第一二〇八号)
教職員
の
結核対策強化
に関する
請願
(
倉石忠雄
君
紹介
)(第一二〇九号)
寒冷地帯
の
学校
に
屋内運動場建設
に関する
請願
(
稻田直道
君
紹介
)(第一二五九号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した
事件
六・三
制教育制度
の
実施
に関する件
京都大学事件
に関する
報告聽取
の件 ――
―――――――――――
長野長廣
1
○
長野委員長
開会いたします。 前回の
委員会
におきまして、六・三
制教育制度
の
実施
に関連する
教育公務員
の
給与
問題に関して、
参考人
を招致して
意見
を聴取することに
決定
いたしましたが、この際
全日本高等学校教職員組合執行委員長
の
坂本勝元
君及び同
書記長
の
中谷盛国
君の両名を
参考人
に指名いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
長野長廣
2
○
長野委員長
御
異議
なしと認めます。
坂本勝元
君及び
中谷盛国
君を
参考人
に指名いたします。 ――
―――――――――――
長野長廣
3
○
長野委員長
これより六・三
制教育制度
の
実施
に関する件を議題とし、
教育公務員
の
給与
問題について
参考人
より
意見
を聴取いたします。
坂本勝元
君。
坂本勝元
4
○
坂本参考人
ただいま
委員長
から御
紹介
のありました私が
全日本高等学校教職員組合
の
執行委員長
である
坂本
であります。一緒に参りましたのが同じく
中谷書記長
でございます。
ちよ
つと御
紹介
いたしておきます。 私
ども
は
全日本高等学校教職員組合
というものを、昨年の四月八日につくりまして、当時は
一道
七県の
高等学校
にすぎませんでしたが、その後私
ども
の
組合
に参加する県が漸次ふえて参りまして、現在私
ども
の
組合
は
一道
十八県に擴大されております。本日は
参考人
として喚問を受けまして、
教育者
としての視野、観点から把握いたしました私
ども
の気持を、あるいはいろいろな
意見
を開陳いたす
機会
を得ましたことを心より喜んでおります。
文部委員
の
先生方
には、連日政務御多端の折り貴重なる時間を私
ども
のためにさいていだだきまして、ほんとうにありがとうございました。私
ども
が要望いたしたい事項につきましては、
書記長
の方から詳しく御
説明
をいたすことにいたします。そしていろいろ御
質問
に対してお答えを申したい、このように思
つて
おります。何分よろしくお願いいたします。
長野長廣
5
○
長野委員長
中谷盛国
君。
中谷盛国
6
○
中谷参考人
私は
書記長
の
中谷
と申すものであります。六・三・三・四の
教育制
を円満に発育成長させるために、
教職員
の
給与制度
という
立場
からの
参考事情
を申し上げさせていただきます。 私
ども
は、
教育職員
には
特別俸給表
というものを
制定
していただきたいということを、
文部省並び
に
人事院
に要望して参りました。しかるところ、両
官庁
におかれましても、その
必要性
を、
立場
は異なりますが、おのおの認めていただいております。そうして着着
研究
が進められ、今日ではほぼその
結論
が出ているように、私
ども
は観測いたしておるわけでございます。これは深い喜びと存じております。せつかくここまで
官庁
が乗り出していただいたものでありまするが
ゆえ
に、何とか全
国民
の
代表
であられます
皆様
のお力によ
つて
、ぜひこれを完成さしていただきたいとお願いする次第であります。 ところが、この
別表制定
を絶好の
機会
としまして、長年私
ども
が待望いたしておりました
教育職員給与制度
上の規模、すなわちその内容は、
大学
が一、
高等学校
が一、
義務教育
が一と、こういう
三つ
の
職域
の
おのおの個性
に相応立脚いたしましたところの
給与体系
を確立していただきたいという
悲願
がございまして、この
悲願
をこの
機会
に実現していただきたいという
希望
を持
つて
おる次第であります。私
ども
はこれを普通三本
建給与制度
と俗に申しておる次第であります。
一般
に
教員
の
給与制度
は、一本建がよいという
意見
もございますけれ
ども
、たとい一本建であ
つて
も、結局は三大
職域
におのおの顕著なる
個性
が存在しておりますが
ゆえ
に、結局取扱いによ
つて
、また
三本建
と
実質
上同じ規定を
決定
せねばならぬことになるわけであります。これから短かい時間の間に私
ども
の把握いたしております
教育職員
の
給与制度制定
上の
事情
並びに
意見
を申し述べさせていただきます。 私
ども
は、
教育職員
の
給与制度
には、
三つ
の
要素
がぜひ必要であるというふうに存じておるものでございます。
三つ
の
要素
と申しますのは、
一つ
は
生活給
でございます。
一つ
は
学歴給
でございます。
一つ
は
職域給
、この
三つ
の
要素
が円満に織りなされ、含まれて理想的な
給与制度
である、かように考えます。
生活給
と申しますのは、これはもう申し上げるまでもなく、生活せねばならぬための
必要最低措置
でありますから、人間である以上平等であるべきであるというのが当然でありまして、
従つて小
、中、高、
大学
どこに勤務される
教職員
でありましても、その
水準
は一貫した同一
水準
が規定せらるべきであるというのは当然でございます。
しの生活給
の
基礎概念
というものは、
給与制度
上の基底、奥底に織り込まれなければならないという点では、私
ども
は
日教組
とも
意見
を同じくするものであります。しかし、わが日本の国が
極貧状態
である現在、将来まだ十年や十五年は
生活給一本やり
で行かなければならぬというような
意見
に対しては、私
ども
は同感できないわけであります。
終戦
後六年を経た今日は、ある
程度
の
学歴給
、
職域給
の
添加措置
が断行せられることが、
社会活動
の停滞を打開するために絶対必要なことであると存じます。 さて
学歴給
に関しまして申し上げますと、これには若干
一般社会
と
教育界
と異なる
事情
がございます。
教員
の
世界
には、あたかも
一つ
の
通門券
が必要であるというようなわけであります。すなわち小、中、高にあ
つて
は、
免許状
というものが必要であります。
大学
の
教職員
ですと、
論文審査等
によ
つて講師
であるとか、助
教授
、
教授
などというふうにきまるわけであります。すなわち何かの証書を持たなければ
教員
になれない。それ
ゆえ
この
免許状
とか
学歴
を、
給与
上全然無視することはできないわけであります。それ
ゆえ
にこの
学歴給
の
概念
を、
給与制度
において
生活給
にプラスして織り込んでいただきたいわけでありますが、ここに
一つ
の
意見
があるわけであります。それは
学歴給
は
教員
の
世界
にすでに入
つて
おるという
意見
であります。これは
教員
の
給与
が、今まで
学歴
、
勤続年数別
、紋別推定表なるものによ
つて昭和
二十三年一月一日以降規定せられておりますから、
学歴給
が明確に入
つて
おるではないか、かように申す
意見
があるのでございます。この
意見
については、正しいとも申されますし、また正しくない、妥当でないとも申されるのであります。このような
意見
は、真相はどうであるかと申しますと、例をあげますと、旧
中等学校
を出た者と
旧制大学
を出た者が、十五年ぐらいも勤続して、ようやく一
号俸程度大学
を出た者が高くなるわけであります。一方は一号でも
学歴給
がちやんとついておるではないか、という
意見
がある、一方では一
号俸
ぐらいなら、ついていないも同様であるというわけで、ついていると言う者と、ついていないと言う者があるということになるわけであります。うつかりいたしますと、
大学
を出た者で、中学から
旧制高校
、
高校
から
大学
と
入学試験
でまごつきまして、浪人などの経験を持
つて
いる者なんかは、一
号俸
はおろか、
田中等学校
を出た
人たち
よりも下まわ
つて
おることがずいぶん多いのであります。さらに
大学
を出て
民間会社
などに勤務しまして、その後
高等学校
などの
教員
にな
つて
来た者は、まつたく旧
中等学校
などを出た者よりも、はるかに下まわ
つて
おるのが実際でございます。それ
ゆえ
われわれが申し上げたいところの
学歴給
は、今日
学歴給
がついておると申しても、実際は形式的であ
つて
、ついておらぬも同然である。そこである
程度
つけていただきたい。どれくらいつけていただきたいと、具体的に申すわけではありませんが、すなわち将来
上級学校
に入学する
希望者
がだんだん減
つて
くるとかいうことがないように、
就学意欲
が停滞しない
程度
には、
給与
上
学歴給
を残していただきたい、かように存ずるわけであります。
三つ
の
要素
のうち、
生活給
と
学区給
について申し上げましたが、最後に
職域給
について申し上げます。第三番目の
給与制度制定
上の大切なる
要素
としての
職域給
であります。これが私
ども
がいわゆる
三本建給与体系
と申しておる部分でございます。その
三本建
の区分は、現在としては大羊を
一つ
の
職域
、
高校
を一、
義務教育
を一という三大
職域
にわかつのが妥当であると考えるわけであります。この
職域給
という点では、不幸にして
日教組
の
趣旨
と私
ども
とは見解を異にするわけであります。
日教組
の
趣旨
は、
三本建
の
職域給
が
実施
された場合は
教育
が破壊せられる、かように言うのであります。私
ども
は逆に
現行
のように
大学
だけ別としても、
新制高校
までを同一
水準
に一本にして置くということこそ、
教育
が漸次、物が融ばまれるがごとく破壊せられて行くと申すわけでありまして、まつたく逆なような
結論
が両
組合
から出ておるのでありますが、これは不幸なことであるとか、感傷的なことを申してもいたし方がないわけであります。
組合
として自己の所信を述べるということは、また当然でありますから、ただ
二つ
の相反するような
主張
の相剋というものは、そのままに放置をしておきますと、おそらく永遠に続くものと考えられます。私
ども
はこの
二つ
の
主張
のいずれを選ぶのが
教育
のためであるか、
教育
の
興隆
になることであるかということを、
国民
の
代表
であります。
皆様
の
裁断
におまかせいたすよりほかはないわけであります。
従つて
、ここで私
ども
は、三大
職域
の
個性
に立脚した三
本姓給与体系
を
制定
せられねばならぬ
理由
を簡単に申し述べます、 その
理由
は、
価値評価
の点から申しますと、
義務教育
、
両校教育
、
大学教育
というものに、
価値
の
上下
のあるはずはありません、また
上下
をつけても無
意味
であります。すなわち言いかえれば、
義務教育
、
高校
、
大学
の
教育
に
価値
の
上下
は、まつたくないというのが、そのまま妥当であります。ところが、
価値
の
上下
がないから、
給与
も
小学校
から
大学
まで、そこに勤務している
教職員
が同一
水準
の
俸給
であるべきであると言うことは、できないわけであります。その
理由
は、端的に申し上げますと、
義務教育
、
高校
、
大学
と、
上級学校
に進むにつれまして、
生徒
の
肉体的年齢
が高まります。それと同様に、
精神的年齢
も同まるわけであります。言いかえれば、
生徒
の
教養
、
識見
が漸次高ま
つて
参ります。それであるが
ゆえ
に、それを指導する
教職員
も、それを上まわつた
教養
、
識見
、
能力
のある者が
教育
に当たらなければ、
教育
はやりおおせぬわけであります。それ
ゆえ
に、
義務教育
、
高等学校
、
大学
を通じて考えるならば、
義務教育
諸
学校
にあ
つて
は、
教育
をするという真心と申しますか、つまり
誠実味
のある人ならば
教員
として勤まるわけであります。ところが、
高校
、
大学
と行くにつれまして、単にまことと申しますか、
誠実味
だけでは、
教員
は勤まらないのであります。
誠実味
にプラスする
能力
というものが、漸次必要にな
つて
参ります。もしここに仮定が成り立
つて
、すなわち
学校卒業生
が、工場で主産される
規格品
のように、同一
能力
を持
つて
卒業して来るものならば、話はまた別でありますが、事実は不幸にして
学校事業者
が同一
能力
ではないのであります。それ
ゆえ
、どうしても
能力
を必要とする場所には、
能力
のある人がまわ
つて
もらわなければならぬということになるわけであります。このように申しますと、
義務教育
には
無能力着
が勤めてもよろしいかということに相なるわけでございますが――むろん有能に越したことはないのでありますが、前に申し上げたような
事情
から、
義務教育
に
大学
を出た
有能者
がそろ
つて
上級学校
が手薄になるというようなことでは、六・三・三・四
教育制
というものの円満なる発展は望まれないわけであります。私
ども
が三大
職域
にわかれた
三本建給与体系
の
制定
を
希望
するところの
理由
の最も大いなるものを端的に申し上げれば、以上の
通り
であります。 ところが、現在この
職域給
が全然無視されておるかというと、そういうわけではありません。すなわち
大学
だけが別に
一つ
の
職域
に考えられておる。
従つて職域給
もある
程度
見られておるということになります。すなわち、
大学
と
新制高校
以下の二本建というのが、
現行
の
体系
であります。私
ども
は
大学
に
職域給
を認めたことを、どうのこうのとい
つて
非難するわけではございません。ただ、何が
ゆえ
に、
高等学校
にもこの
職域給
を
実施
上なかつたということを、民心に存じておるわけであります。これが
現行給与制度
上の
一つ
の盲点となりまして、過去数ヶ年間いろいろな
教育
上の問題を惹起して参つたことを、遺憾に存じておるわけであります。このような跛行と申しますか、私
ども
から見ますと、
一つ
の跛行的の
給与制度
が
昭和
二十二年に
決定
を見て、
昭和
二十三年一月一日より施行せられた足跡、
歴史
を考えますと、
ちようど昭和
二十二年
片山内閣
の当時、
社会情勢
は
終戦面
後の混乱でありまして、また
教員組合
は、
日教組
のみでありまして、まだ私
ども
の
組合
はできておりませんでした。それに
組合
には
罷業権
、
正式団体交渉権等
もあつた当時であります。またこの
決定
に参画いたしましたものは、
官側
では
文部省
、
大蔵省給与実施本部
の
二つ
でございました。
組合側
は
日教組
、この三
者合同協議
によ
つて
決定
せられて
行つた
というのが実際でございます。
官側
は大体小、
中学校適用
一表の
級別推定表
、
高等学校適用
一表、
大学適用
一表という三表の
級別推走表
を原案として提案したようであります。これに対して
日教組
は小・中・高・
大学
一本、ただ
一つ
の
級別推定表
を
制定
する力がよろしい。かように
意見
が一応
対立
したわけでありますが、遂に
妥協点
として
現行
のよりに二本建の
給与制度
と相
なつ
たわけであります。そういうわけでありますが、このように
決定
しました
事情
を考えますと、
現行
の二本
建給与制度
というものが、それほど神秘的な
理由
をも
つて
決定
されたというわけではないのであります。それに
教員
の
職名
も昔は訓導、教諭、
教授
というふうにあつたわけですが、これも民主的にもとるというわけで、
教員
に統一せよという声があつたわけでありますが、これも
教授
の
職名
のみが残ることに
なつ
たわけであります。私
ども
は別に
職名
などにこだわ
つて
おるわけではありません。またついでに申し上げますと、
文部省
の局も、
大学学術局
が
残り
まして、
初等中等教育局
に一本にして、
高等学校教育局
というものはないわけであります。それでどうも
高等学校
の方が忘れられるわけではありませんが、
実質
上は忘れられる場合もありまして、
産業教育振興法
などで、ようやく
実業学校
に筋金が入るようにわれわれは期待しておるような実情でございます。これは余談でございますが、以上ただいままで約半歳にわたりまして、
人事院
、
文部省
に
教育職員特別俸給表
というものを
制定
していただきたい。そうしてこの
制定
を
機会
に、
給与体系
も六・三・三・四全
教育制
が円満に成長するような政策に立つたものを
決定
していただきたいということを要望して参りました。すでに両
官庁
においても、この
研究
はかなり進捗しておると存じます。どうぞ
職域給
を認める、もう
一つ
は認めず、この
二つ
の
主張
の流れにつきましても、国会においてぜひとも二者択一の御
裁断
をいただきまして、
教育界
の
興隆
が跛行的に陥ることなく、円満なる成長がなされますように実現していただきたく、切なる
希望
を申し述べる次第であります。
長野長廣
7
○
長野委員長
何か
参考人
に対して御質疑がありますか。
井出一太郎
8
○
井出委員
ただいまお二方の御
説明
を
伺つたの
でありますが、この問題につきましては、
日教組側
とまつたく真正面から
対立
をされておるようでありまして、われわれとしても、これが
裁断
をただいま要請されたのでございますが、十分慎重に
研究
をしてみなければならぬと考えております。私はそういう
意味
においては、
教組側
ばまつたくニュートラルな
立場
でございますが、ごく基礎的に一、二点伺つでおきたいと思います。と申しますのは、全高教という
団体
は、発足してまだ
歴史
も浅く、現在では
一道
十八県というように承りましたが、まだ参加されておらない都道府県においては、
高等学校
の
教職員
の諸君は、現在やはり
日教組
に所属をされておるのでございましようか、まずその点を伺いたい。一部三府四十何県をいうものから見ますと、まだ
皆さん
のお
立場
というものは、
一種
の
少数意見
のような
感じ
もするわけです。
皆さん
の組織が漸次拡大されつつあ
つて
、そういう点で
日教組側
とやはり同じ
職域
に
おいで尖鋭
な
対立
をされておるのか、こういう点を
基礎的知識
として
伺つて
おきます。
中谷盛国
9
○
中谷参考人
今の御
質問
について申し上げさせていただきます。現在は約三分の一が全高教――私
ども
の
組合
に入
つて
おるわけでありまして、
残り
の約六割は
日教組
に加入しておりますが、それ以外に、どちらにも加入しておらぬところがあるのでございます。私
ども
が明確に知
つて
おるところを申しましても、鹿児島県、滋賀県、栃木県、和歌山県、茨城県、これは県全体がどちらにも入
つて
おりません。そのほかまた
一つ
の県内でもいろいろなところがありますが、大体において三分の一は私
ども
のところに入
つて
おり、
残り
の三分の二のうち約六割ぐらいが
日教組
に入り、はなはだ概数でありますが、あとはまだどちらにも入
つて
おらぬという数字にな
つて
おります。そういう点からいたしますと、私
ども
が三分の一の
少数意見
であるということは、確かに形式上はそう言われるわけであります。また
実質
上は、境い目もございませんから、確実なことを申し上げるわけには行きませんが、大体
意見
は私
ども
のようである。そこで漸次私
ども
の
組合
が年に五県、十県ぐらいずつふえておるのでありまして、このごろは一月に一県、二県というような割合でふえて行くようになりました。
そこらあたり
が、私
ども
の方に
賛成
があるという
一つ
の証拠であります。まだ加入しておらぬ方から、
署名運動
が展開されまして、大いにや
つて
くれという
署名捺印書
がたくさん来るところから見ましても、加入しておらぬ
高等学校
でも、かなり私
ども
の方に
賛成者
が多いということがよく察知されます。また
高等学校
の
校長協会
は、全部私
ども
の方の
意見
を支持し、同じように
運動
しておりまして、これも
日教組加入
の
人たち
という
意味
において、私
ども
に加入しておらない
日教組関係
の
人たち
の中にも、われわれと同様の
意見
を持つ人が非常に多いということの
一つ
の証左であると存じます。
井出一太郎
10
○
井出委員
もう一点。
現行
の二本建というものが、
一種
の
妥協
によ
つて
生れた、ただいまあなたから沿革その他を
伺つて
そういう
感じ
もいたしたのでございますが、これを徹底するならば、一本建という
主張
も
論拠
がありましようし、
皆さん
の御
主張
になるような
三本建
ということにも、
論拠
があると思うのです。そういう点は、われわれも今後十分
研究
をさせていただきますが、従来、新
教育
が発足する以前は、
小学校
の
先生
というものは、何とか検定でも受けて
中等学校
の
先生
になりたいというような、
一つ
のはしごを登
つて
行くといいましようか、上の
学校
になるほど、それが社会的にも偉いのだというように思
つて
いた。これは
一種
の謬見だと思うのですが、それと同じような考えで、
高等学校
の
先生方
が、過去の
特権意識
とでも申しましようか、そういうものを温存されるような
方向
に向
つて
おるようなにおいが――こう言うことは、あるいは失礼かもしれませんけれ
ども
、そういう感がないでもないのですが、そんな点はどう考えておられますか。
中谷盛国
11
○
中谷参考人
簡単にお答えします。今まで幾たびか私
ども
三本建
を
運動
しておりますと――まあ露骨に申し上げますと、君ら偉いと言うのだろう、偉いから高くせいと言うのだろう、そんなことははやらないよというようなことで、ずいぶん罵倒されたことが何べんもございます。それは当然さような印象を与えられるが、しかし、私
ども
は今申しましたような、偉いからそうせよというこであるならば、はずかしくて本日ここにかようなことは申し述べられませんし、このような
運動
を長い間継続することはできないわけでございます。偉いからというのは、何かの感情の問題でありますから、それをがまんしておれば、――実際
教育
上の悪い影響が出て来なければ、何年でもがまんしておられるわけでありますが、実際上、
高等学校
の
教員
にだんだん人が来なくなりまして、あたかも虫ばまれるごとく漸次破壊されて行く姿を、中でも
学校
の
校長
が一番よく知
つて
おります。そこで
校長協会
は、熱心に支持しておるわけであります。そういうことがありますと、さような、たとえば誤解とか誹謗がありましても、なおかつこの
運動
を続けるということになるわけであります。
井出一太郎
12
○
井出委員
これで私は打切りますが、今お話になりましたところの、
高等学校教育
が虫ばまれて行く、いい
先生
がだんだん
職域
から去
つて
行かれる、こういうようなことについて、何か数字的な
資料
が――あるいはここに
ちよ
うだいしたものの中にあるかどうか存じませんが、ここには何か具体的なものがございますか。
中谷盛国
13
○
中谷参考人
ここにはございません。
井出一太郎
14
○
井出委員
そういうようなものがあつたら、
参考
に
ちよ
うだいできれば、
資料
として非常に貴重なものと存じます。
岡延右エ門
15
○岡(延)
委員
この
別表
の問題は、諸般の
状況
を勘案いたしまするに、私が属しております自由党の
政調会
の
文部部会
におきましては、これは
三本建
にすべきものだということの
結論
に、大体において達した
状況
でありまして、でき得る限りそういうような
方向
に運んで行きたいというような
希望
を持
つて
いるのでありますが――実は、この
給与
に関することだけに限定したいということでございますけれ
ども
、
ちよ
つと
参考
のために伺います。御承知の
通り
、
日教組
というものは、思想的に非常に左翼である。両條約に対しましても、いわゆる青々である、両方とも反対である。要するに、
社会党
の
左派
と
共産党
の
中間あたり
を行
つて
いる。ということは、初代の
日教組
の
委員長
が、推されて当選しまするや
共産党
に入党した。これは岩間君です。それから次代ですが、――その間に何かあつたか知りませんけれ
ども
、その次の荒木君は
社会党
の
左派
に
なつ
たということで、
日教組
の
思想的指導精神
は、大体
社会党
の
左派
と
共産党
の
中間
を彷徨しているのではないかというふうに、われわれは今想像しおるのであります。またそういうような材料もあるわけであります。青々であ
つて
、
委員長等
は、そういう
方向
に行
つて
おるということにかんがみましても、それが一応言えると思うのでありますが、あなたの高教組の方は、どの辺にあるのですか。あなたとしては、あるいは言いにくいかもしれませんけれ
ども
、われわれはいろいろのことを
決定
する上において、やはりそれが
参考
になるのですから、
ちよ
つとその点をおつしや
つて
ください。
中谷盛国
16
○
中谷参考人
それについては、つい最近中央
委員会
で
決定
した内容が、一番最近の新しいことですから申し上げます。不偏不党であります。ただ不偏不党と申し上げましても、漠然としておりますけれ
ども
、つい先日の中央
委員会
で、
日教組
の平和
運動
に対して、われわれはどうすべきであるかという
一つ
の提案がなされました。それに対して皆が審議
決定
した内容あたりが、今の御
質問
に答えるべく一番機微に触れているかと思います。それは、今までは戦争への
教育
であつたと考える、これからは平和への
教育
を
教育者
として推進しなければならない。この点については、われわれは大いに
賛成
であり、努力をすべきことであるが、それ以外に、現在の講和條約、安保條約に対する批判もしくは賛否、さような内容を含むところの平和
運動
の雲行に対しては、私
ども
はいたさない。こういうような決議がなされました。大体ここらで御了承願います。
岡延右エ門
17
○岡(延)
委員
今一番端的に思想傾向のわかるのは、ここに
一つ
のテスト・ケースがある。両條約に対してどうであるか。平和
運動
云々というのは、
日教組
あたりの言
つて
いるのは、妙な平和
運動
です。また
世界
の現状を全然認識しないところのいわゆる平和
運動
です。これは
共産党
あたりのあれにカムフラージされている
一つ
の平和
運動
であると思うのです。
ちよ
うどここに試験台があるのです。ですから、今のは抽象的でわかりませんから、両條約の問題に対して、あなたはどういう態度をとられたか、――そういうことが論議されなかつたはずはない。どういうものであるか、
参考
のために承りたい。
中谷盛国
18
○
中谷参考人
それは早く申し上げますと、平條条約と安保條約の両方に反対するという
立場
からの平和
運動
というものは、実行はいたさないという決議だけが、私たちの機関にはかつたものとして申し上げられるわけであります。そのときに、
賛成
してどのように持
つて
行くというようなことは、別に話がなかつたものですから、申し上げられません。ただ私は、
組合
の役員として今日までや
つて
おりますが、平和條約と安保條約に反対せよというお話を、一度も
組合
員から聞いたことがないということを申し上げます。
岡延右エ門
19
○岡(延)
委員
大体の傾向はそれでわかりました。それ以上は、あなたの苦衷をお察ししますから、申し上げません。そこでもう
一つ
お聞きしたいのは、逐次、あなた方が指導しているところの高教組の加盟県が非常にふえつつある。一箇月に
一つ
くらいずつふえつつあるというのですが、これは何かえさでつるというような――
ちよ
つとおかしいのですけれ
ども
、あなた方の
組合
に加入する県がだんだんふえて来る。県によ
つて
は
学校
単位にな
つて
来る。そういうような傾向が、もつと顕著にな
つて
来れば、それらの
学校
あるいは県も、だんだんとあなた方の方へ加盟して来るという可能性がありますか。見通しとして、その点を伺います。
中谷盛国
20
○
中谷参考人
これにつきましては、このようにお答えさせていただきます。私
ども
の
組合
に今加入しておらぬ県におきましては、確かにあまり力がないし、ああいう小さい
組合
は何も仕事ができなかろう、それで入
つて
も役に立つまいというわけで、入
つて
くださらない県が相当多いわけで、あります。そこで何か仕事をすれば、その仕事に期待を持
つて
、加入する者が多くなるであろうということは申し上げられます。確かに多くなると、はつきり申し上げるわけに参りませんが、まず普通の推定では、力が弱いということをたよりなく思
つて
、入らないところもたくさんあるという点からいえば、何事かを、もしかりにしたとすれば、加入者が多くなるだろうということは、われわれの
立場
から推察することができるわけであります。
浦口鉄男
21
○浦口
委員
きようは
給与
問題が主になると思いますので、
参考人
になるべく論争しないように、質疑を二、三いたしたいと思います。それに先だちましてまず高教組といたしましては、
現行
の六・三・三・四制をあくまで守り抜くための
給与
ベースの改訂である。こういうふうに考えていいと思いますが、その点を一応念のためお聞きしておきます。
坂本勝元
22
○
坂本参考人
その
通り
であります。
浦口鉄男
23
○浦口
委員
先ほどお話がございました、二十二年に従来の
給与
ベースが改訂されましたときに、その当時の模様のお話が
ちよ
つとあつたのであります、この間も東北の同等
学校
長会議の方がお見えになりました陳情の中にも、当時
高等学校
側としては反対したが、数が少いために、遺憾ながら
日教組
に押し切られた、こういう御
意見
の開陳があつたわけですが、その当時
高等学校
側といたしましては、具体的に何か
日教組
に対して、別な
給与
の具体案を持
つて
おられたかどうか、その点をお聞きしたい。
中谷盛国
24
○
中谷参考人
それについては、私その当時日改組の役員をしておつたわけではありませんから、よく知
つて
おりませんが、ただ今まで聞き及んでおつたことを申し上げます。やはりその当時、
高等学校
の
教員
出身である
日教組
の役員が、さような二本建になるということは困る、やはり
三本建
にしてほしいということを、確かに申し入れたそうであります。申し入れたそうでありますが、十分に
意見
が開陳された後、すべてのことは最後に表決によ
つて
その結果
日教組
の一本線というものが要望線と
なつ
たということであります。それからさらに
文部省
で、その当時参画した人が現在でもおりますが、さような人のお話を
伺つて
も、やはり同様でありまして、
高等学校
から、その後直接に
文部省
へ出向く人も、ずいぶんあつたそうでございます。
日教組
の
意見
とは異な
つて
おるけれ
ども
、みな
日教組
に加入しておつたわけであります。加入しておりながら、
日教組
の
意見
に反対しておるという矛盾をあえてしておつたわけでありまして私
ども
は、今回脱退して申すが
ゆえ
に、さような
意味
では矛盾がかいことになるわけであります。
浦口鉄男
25
○浦口
委員
そういたしますと、そのときの
三本建
の案と、現在高教組で立案をされて実行を考えておられる
三本建
の案は同じだ、こういうふうに考えてようございますか。
中谷盛国
26
○
中谷参考人
そつくり同じというようには考えられないと思いますけれ
ども
、基本的な考え方としては、一致したものがあると思います。
浦口鉄男
27
○浦口
委員
次に、この問題では、われわれ
委員
の
立場
といたしましては、
日教組
、高教組両方の風から、個々の問題についてお聞きをしているわけでありまして、先ほどお話があつたとこるによりますと、この
三本建
の案については、
日教組
とまつこうから
対立
をしているというふうにも考えられるのでありますが、われわれの経験するところでは、必ずしもまつこうから
対立
をして、
妥協
の余地がないというふうには考えられないのであります。ただ
三本建
というふうな言葉の問題であるとかいうことに、幾分疑義があるようでありますが、内容においては、必ずしも
妥協
と申しますか、歩み寄りというか、解決の点は決して困難でないというふうに考えているのでありますが、そういう点の現段階における高教組としての見通しを、お聞かせ願いたいと思います。
中谷盛国
28
○
中谷参考人
それは私役員の一人ですから、ここで申し上げるということも、若干都合の悪いこともあるのですけれ
ども
、しかし、この世の中に全然
妥協
ができないというようなものは、珍しいと思います。そういう
意味
で、
妥協
ということも、両方の
組合
がもつともと感ずるような、さらに前進したりつぱなプランというものが、全然できないとは考えられないのであります。
従つて
さようなプランがある一方で考えられたときは、それが悪く言えば
妥協
、よく言えばさらにたくさんの者から支持を受けるようなプランができたということになるのでありまして、そのようなプランができることをむしろ望むのであります。
浦口鉄男
29
○浦口
委員
これは文部当局にお尋ねいたしておきますが、先ほど
参考人
の御
意見
にもありましたように、現在
高等学校
が、
初等中等教育局
の中に包含されているということに対する
一つ
の御不満、それからいま
一つ
は、教師の省称であります。これは必ずしも名称にとらわれないという御
意見
もあつたわけでありますが、所管の問題と教師の名称の問題について、
文部省
は何か今お考えにな
つて
いることがありますか。
水谷昇
30
○水谷政府
委員
高等学校
ということは入
つて
おりませんが、
初等中等教育局
が所管しておるのでありまして、具体的に名前が出ておらぬだけであります。それから教諭、
教授
の名称につきましては、ただいまのところでは、
大学
は
教授
、
高等学校
以下は教諭、こういうことにな
つて
おります。
浦口鉄男
31
○浦口
委員
政務次官のお話は、事務的には
高等学校
の仕事もや
つて
いるから、名称にとらわれることはないだろう、こういうふうな御
意見
であります。これは一応御
意見
として承
つて
いいとは思うのでありますが、しかし、先ほ
ども
参考人
の御
意見
にあつたように、何か
高等学校
を軽く扱われているというふうなことから、
給与
問題などに対する
文部省
の熱意と、
高等学校
に対する理解というふうなものが、やはり低くなる
一つ
の原因ではないか。これは非常に
一般
論になるわけでありますが、そういう点について
文部省
で何かお考えにな
つて
おりましようか。
水谷昇
32
○水谷政府
委員
もう一回お答えいたしますが、中等
教育
というのは中
学校
と
高等学校
の
教育
である。高等
教育
というのは、
大学
の
教育
ということにな
つて
おるのでありますから、この点御了承いただきたいと思います。それからなお、こういう点から
高等学校
に対する
文部省
の認識、あるいは態度が低くなるのではないかいうようなお話でありますが、そういうことは全然ありません。その
給与
におきましても、高教組等の
主張
せられる点は十分了承いたしまして、私
ども
の計画しておることは、
職域
の点において、明らかに
職域給
としてはおりませんが、
学歴
、それから資格というものについては、十分認めまして、その点において
給与
の点を引上げるような考慮をいたしております。
岡延右エ門
33
○岡(延)
委員
今政務次官もお答えになりました
通り
、いわゆる
高等学校
までを中等
教育
というふうに考えて、分課規定におきましても、
初等中等教育局
の中に中等
教育
課というのがあ
つて
、その中に押し込んでしま
つて
いる。こういう考えは非常にいかぬと思う。要するに、
高等学校
の
教育
は、
高等学校
の
教育
として一本建にして、プライドを持たせなければならぬ。給料等においても、その
通り
と私は思うのであります。どうかその点は、
高等学校
の振興のために、そういう考えを一瞬してもらいたいということを、私は強く申し上げまして、要望いたします。これは張合いを持たせなくてはならぬ。やはり今の
中等学校
というのは、昔の中
学校
と違うのです。
義務教育
で、全部が行く。卑近な言葉で言うと、権兵衛もだれでも行くところだ。胸を張
つて
教育
を受ける選ばれたチャンピオン、これは
高等学校
から上であるのですから、これをまつたく一緒くたに考える思想から、今の
高校
の問題が出て来たのじやないか。これはきわめて重大だと思う。
高等学校
の
程度
が非常に低いことを、われわれは嘆いております。実力がいかに低下したかということも、私はやつぱりここに根本があるのじやないかと思う。そういう
意味
におきまして、そういつたような
文部省
の考え方、分課規程の問題、そういうことからこの
高校
の問題も解決して来るのではないかと確信するものでありますが、どうかひとつ
文部省
はそういう考えを一擲して是正してもらいたいということを要望しております。
浦口鉄男
34
○浦口
委員
給与
問題については、
人事院
でも
三本建
に、たいへん理解のある立案がなされているということは聞いておりますが、
文部省
と
人事院
とは、現段階において、どんな連繋のもとに立案されているか、その経過をひとつお聞きしておきたいと思います。
岡田孝平
35
○岡田
説明
員 この問題につきましてはかねてから
人事院
といろいろ協議いたしておりますが、
人事院
といたしましては、すべて新しい
俸給
制度につきましては、
給与
準則というものを法律でつくりまして、それによ
つて
新しい
給与制度
をつくることにな
つて
おります。この
給与
準則と言いますのは、通常国会に出す予算でありますが、その中にいろいろ
俸給
表がございまして、
一般
行政職員
俸給
表、あるいは船員
俸給
表とか、あるいは現業職員
俸給
表とか、いろいろございますが、その中に
教員
特別俸給表
というものが出て来るわけであります。これは
人事院
がつくるわけでありますが、
文部省
といたしましては、かねてから
教員
の優遇につきまして
意見
を申し上げ、具体的な
資料
もたびたび提出いたしまして、その促進をはか
つて
おる次第でございます。大体におきまして、
人事院
と
文部省
とは、何ら
意見
の食い違い等はございません。まだ具体的な案はできておりませんが、いろいろと試案をつくりまして、それについて両方で
研究
をいたしております。 先ほど問題になりました
高等学校
の
先生
の
給与
の問題でございますが、これにつきましては、
高等学校
教員
会議の御
意見
は、十分に私
ども
了承いたしております。また別に
日教組
の方の
意見
もありまして、これも
伺つて
おるのでありますが、われわれといたしましては、
高等学校
の
先生
も、それから中
学校
、
小学校
の
先生
、みんなが満足が行くような、そういう案をつくりたいということで、各方面から、またいろいろな角度から
研究
いたしております。一方は満足するが、一方は満足しないということではいけない。いろいろな点から、いかにしたらその処置をとり得るかということで苦慮いたしておりますが、大体
高等学校
の方の御
希望
は、十分に満足できるようなぐあいにつくりたい。二本建、
三本建
というような話もございましたが、そういう形式そのものにはとらわれませんで、内容的に
高等学校
の
先生
が
実質
的に有利となるような
俸給
表をつくりたい、こういう考えで努力しておる次第でございます。どうかそういうみんな満足するりつぱなものをつくりたい、かように念願しておる次第でございます。
浦口鉄男
36
○浦口
委員
地財委が見えておりませんので――これは地財委の
意見
を聞くことがほんとうだと思うのでありますが、
文部省
に
ちよ
つとお聞きしておきたいと思います。それは今度のベース・アップでも、結局地方
教職員
については、財源の問題で非常に困難な場面に行き当
つて
おるわけであります。今度の
給与
改訂も、結局地方財源を圧迫するというふうな問題にな
つて
来ると思うのであります。それは現在の
給与
より下らないということは、これは最低の線であるということを承知しておるか。地財委の方の問題であると思うのでありますが、その辺地財委の
意見
がどの
程度
表明されておるか、
文部省
の御答弁を
伺つて
おきたいと思います。
岡田孝平
37
○岡田
説明
員 ただいまのところでは、
俸給
表の原案について、従来いろいろ
研究
いたしておりますので、まだその案ができません関係上、財政方面の折衝は、あまり進んでいないのであります。
浦口鉄男
38
○浦口
委員
三本建
にするか、あるいは
実質
的にそれはふさわしい
給与
を与えるか、これは非常に形式の問題になると思うのでありますが、われわれの聞くところでは、こういう
意見
も出ているのであります。これをどちらにするかということは、われわれとしても非常にむずかしい問題で、まだ
結論
も得ていない問題でありますが、たとえば
三本建
といたしまして、
大学
教授
を一本にし、
高等学校
の現在教職にある人を一本、それから初等中等の職にある人を一本、こういうふうに現職を基礎として現実的に
給与
をきめるというのが、大体高教組の
希望
のようにも考えている。ところが、一面には
学歴
を主に置いて、たとい現在初等
中等学校
の教職にあ
つて
も、たまたまそれが
大学
あるいは新制
大学
の
学歴
を持つた人であれば、その
学歴
を重点に置いて
給与体系
をきめるべきだというふうな
意見
もあるように聞いているのであります。その点に対して、高教組の
参考人
の御
意見
をまずお聞きして、あとで
文部省
でもし
意見
があればお聞きしたい。
中谷盛国
39
○
中谷参考人
申し上げます。私
ども
が今まで申し上げましたのは、
職域給
でございます。そして
学歴給
も中に入り込む必要がある。
職域
一本やりであるというのには、
ちよ
つと
教員
の
世界
は困る
事情
がある、ほかの社会でありますと、たとい
小学校
しか出ない人でありましても、たとえば会社の社長にな
つて
さしつかえないわけでありますが、
学校
の
教員
は、
学歴
とか
免許状
とかいうものがないと、いかに実力のある人でも、昔は代用
教員
と申しましたが、今ですと助教とか、そういうものにしかなれないわけであります。それほど
学歴
とか
免許状
をやかましくいう以上は、
職域
一本やりではいかぬ、
学歴
も含まなければならぬと、こう申したのであります。
学歴
一本で行くならば、これは私
ども
が先ほど申し上げましたような
意味
合いから、必ず欠陥が生じて参ります。
学歴
は、むしろそれに必要な措置だけして純粋の理論的には、やはり
一般社会
と同じように、
職域給
で行かなければ、
教育
上の文化は向上しない、かように考えるわけであります。
浦口鉄男
40
○浦口
委員
最後に、これは議題の本筋ではないかもしれませんが、われわれが聞くところによりますと、高教組はこのたびの数職員の首切りに対して、あの首切りを肯定するから、交換條件で
三本建
をひとつ通してくれ、こういうふうな
運動
をしているといふことをほかから聞くのでありますが、おそらくこれはまあデマだろうとは思いますが、いかがですか。
中谷盛国
41
○
中谷参考人
それは多分、
日教組
から出ております。機関誌である「
教育
新聞」というのがございます。あの中にさような記事があつたわけであります。あの新聞が相当流布されておりますから、
従つて
そういうことが広まつたと思います。あれは
ちよ
うど古典の「徒然草」という書物がありますが、うわさというのは、
一つ
できると次々に伝わるものである。そのうちには、確定したもののように伝わる。
ちよ
うどそれと同じようなものであろうと、われわれは考えております。今まで私たちは、
三本建
の
給与体系
の
制定
を御
希望
申し上げると同時に、
教育職員
の行政整理についても、乙号表、基準を決して割
つて
はいけない、甲号表を基準に一日も早くや
つて
いただきたいということを、各所で
運動
しておる次第でございます。以上でございます。
若林義孝
42
○若林
委員
さきに
日教組
から、
教育
関係者は
一つ
の
組合
で、日本の
教育
なり、またお互い関係者が生活を保障せられて行くということについても、
組合
として一本であるのが私たちは理想のように思うのでありますが、今日、
大学
の
先生
たちは、これには関与せぬ、また
高等学校
の関係者が離脱をしているということについては、大いにお互いに反省もあり、また別の
希望
もあるからであろうと思うのであります。おそらくこの
三本建
であるとか、一本建であるとかいうことで、分離をしたのではなかろうと思うのでありますが、この分離をせられました
理由
、これを簡明率直に
参考人
から承りたいと思います。
中谷盛国
43
○
中谷参考人
簡単に申し上げますと、六・三・三・四という四つの
教育
というものができました。
大学
は
大学
として学術専門
教育
いろいろありますから、世間の人は忘れないのであります。また
義務教育
は、基礎であり根本であるというようなことで、どなたもお忘れになられないようであります。ただ
高等学校
は、忘れるということで意識してお忘れになるわけではありませんが、その点六・三・三・四の円満なる発展という点から見ますと、
高等学校
のように欠くるところが、悪意ではないが、結果として出て参りました。さような
意味
合いから、
日教組
は
義務教育
を中心に、われわれは
高等学校
中心に、
大学
は、南原東大総長あたりが、常に
大学
の
教育
の振興ということを考えておられるようでありますが、
大学
は
大学
として中心に、そうして六・三・三・四の円満なる発展が期待できるということから高教組というものをつくつた、これが真実な、全般的な御
説明
になるかと思います。
若林義孝
44
○若林
委員
あるいは
参考人
からは言いにくいかもしれぬと思うのでありますが、われわれひとしく
教育
に関心を持
つて
おります者から、
日教組
の活動というものを考えてみまするときに、私はこの
組合
というものは、あまり政治的に、政党に利用されるような
組合
であ
つて
はならぬと思う。そうすると、たつといところの
教育
というものが、政党によ
つて
毒されるおそれがあるのであります。過般
免許状
の法案についてのときであつたと思うのでありますが、本会議において
社会党
のある議員が、自由党がこれに反対するというのは、
日教組
が
社会党
に属しておるところのものであるからであろうというようなことで、いかにも
日教組
が
社会党
の手足に甘んじておることを誇らしやかに述べられたのであります。私は、そのあとに立ちまして、やはり大会議場において、これは
教育
を冒涜するところのも
つて
のほかの言辞であろということを述べて、その後地方行政
委員会
でありましたが、やほりこの
意味
において述べておいたのでありますが、やはりこの言葉が、本会議で述べたにもかかわらず、
日教組
の方は何の抗議も出て来ない、甘んじてこの政党の手足にな
つて
いるという、このことを認めておるということ自体が、不可解きわまるものだと私は考えているのであります。すべての行動を、選挙その他に関連いたしましても、中央から一本で発せられる指令のまま、外部の第三者の目から見ますならば、自分がたつとい教職に携わ
つて
おるということさえ忘れたような行動をあえてし、香川県のごとき餐盛を買うておるというような事柄があるのであります。これは私は決して
社会党
を責めておるのではございません。
日教組
の指導者が誤つたため、かくのごときたつとい使命を持
つて
おる
日教組
みずからが墓穴を掘
つて
おるのではないかという気持で慨嘆にたえぬのであります。岡山県のごときは――私直接関係があるのでありますが、かくのごとき政党の手足に
なつ
たことも、ときにはあつたでありましようけれ
ども
、それは偶然そう
なつ
ただけである。常に
教員
というものの良識によ
つて
行動いたしておるのでありまして、私はこれには敬意を払
つて
おるのでありますが、今私が述べましたような事柄が、やはり分離の原因に拍車をかけるのではないかという気持がするのであります。そこでこのお気持が分離の
理由
の中に入
つて
おるかということが一点と、なお
希望
として、幸いもしそういう気持が分離する
理由
に
なつ
たといたしますならば、この高教組というものは、これまた政治的活動においても、あるいは日常の経済面の
運動
においても、教職というたつとい職務に携わ
つて
おる者の
組合
であるということを自覚せられて――政党は利用してよろしい、自分たちの目的達成のために政党を鞭撻して行くということは大いに望ましいことであるけれ
ども
、一もなく二もなく無條件に政党の手足にな
つて
、しかも、随喜の涙をこぼすがごとき行き方で行くというようなことのないようにしていただきたいと
希望
をするのであります。少くとも良識を備えた
国民
の師範となるところの者の
組合
である。だから、各労働
組合
あたりをも、ほんとうにリードして行くものであ
つて
ほしい、こういうように思うのであります。先ほど首切りと交換に云々というようなことがあつたようでございますけれ
ども
、これはためにすることである。私たちはこの見地に立
つて
、ほんとうに模範的な労働
組合
に高教組がな
つて
行くのだという決意で行かれますならば、われわれといたしましても、政党政派を超越して、正しき要望はひとつ貫徹さすべく努力をすべきであるというような気持が起るのであります。由来文部関係というものは、特に
文部委員
会は、参議院はともかくといたしまして、各政党的の色彩を持つた
人たち
の集まりではありますけれ
ども
、この
委員会
の空気というものは、事文教に関することに関しましては、おそらく政党政派を超越して――ときどき
共産党
の
委員
は、良心には反するけれ
ども
、やむを得ず指令を受けた者の言辞は弄せられますけれ
ども
、腹のうちはわれわれと同じ心持ちでおられることはありありと見られるのであります。ここにおられます
社会党
の松本七郎
委員
のごときも、口には出されぬかもしれぬけれ
ども
、おそらく
日教組
が今までとりました態度は、苦々しく思われておることが多々あると思うのであります。少くとも本
委員会
は、政党政派を超越して、文教政策の推進をして来たつもりであるのであります。にもかかわらず、何かといえば、
日教組
というものがへんぱな行き方になろうとすることは、先ほど岡
委員
の言われたようなことがありますが、この点高教組は、われわれが一生懸命に
なつ
たから、自由党の手足にならなければならぬというような考えは毛頭お持ちにならないよう、またいわゆる政党的な色彩を帯びないで、真に日本の
教育
を推進して行く、また
大学
の
教育
に関しましても、これは無関係ではないので、やはり連関を持ちつつ国会にその正しい輿論を反映するものであ
つて
ほしい、こういう
希望
を申し述べておきたいのであります。申せばいろいろたくさん言いたいこともございますけれ
ども
、
日教組
が今までとりました政治活動について、先ほど岡君は平和條約と安保條約についての態度で表明をされておつたようでありますが、私は
日教組
が悲しいかなみずから墓穴を掘りつつあるように思
つて
寒心にたえないので、その点ひとつ高教組関係の
皆様
方の
意見
を承
つて
おきたいと思います。
中谷盛国
45
○
中谷参考人
これにつきましては、私たちの正式な機関で正式に決議したということは、今まで不偏不党ということだけであります。あとは正式な会議でなく、役員が個人的に、
組合
員が個人的にお話した空気ならば申し上げることができます。正式に
決定
したことは不偏不党ということでありますので、空気を申し上げます。
従つて
空気でございますから、これは
決定
というのとは違いますが、それは確かに今若林
先生
が言われましたような、社会に存在意義の深い
組合
でありたいという
希望
は、どなたも抱いておるというふうに私は確認しております。それから政治活動につきましても、ともかく
国民
である以上、政治に無関心であ
つて
はいけないということは承知しております。ですが、ともかく行
つて
ならないところまで行き過ぎたりするとか、さようなことについては、みな良識をも
つて
判断した行動をとりたいというふうに、各
組合
員の意向をわれわれは聞いております。機関にはかつた
決定
ではございませんが、私がとらえた人人の空気をお伝え申し上げて、お答えとさせていただきたいと思います。
松本七郎
46
○松本(七)
委員
文部当局に
ちよ
つと
伺つて
おきたいのです。文部当局の御
説明
では、何か
職域
の建前は
現行
通り
として、
学歴
を加味することによ
つて
両方が満足するようなものにしたい、このように私は理解したのでありますが、そう了解してよろしゆうございますか。
水谷昇
47
○水谷政府
委員
それでけつこうでございます。
松本七郎
48
○松本(七)
委員
そうすると
参考人
の方に
伺つて
おきたいのですが、高教組としてはそれを改めて、いわゆる
職域
別をもう少しはつきりして
三本建
にするということを第一條件にしてその上に
学歴
を加味するという行き方をしたいというわけでありますか。
中谷盛国
49
○
中谷参考人
そうであります。
岡田孝平
50
○岡田
説明
員 ただいまの
職域
別云々というお話は、厳密にいいますと、職階制の問題にな
つて
来るのでありますが、
教員
の職階制ということは、
一般
の行政職員の職階制とは違いまして、むずかしい問題だと思
つて
おります。
小学校
の職員が一番下であ
つて
、その上が中
学校
、それから
高等学校
というふうに、はつきり職階制上の区分があるということは、なかなか言いにくいのじやないか、普通の
意味
の職階制ということは、なかなか言い切れないと思う。むしろ
教員
のいわゆる職階制につきましては、幾多の問題と、また疑問を持
つて
おるのでございまして、その
意味
で、はつきり職階制を打立てて
上下
の関係をつくり、たとえば
高等学校
の
先生
から中
学校
にかわつた場合は降任だ、中
学校
から
高等学校
にかわつた場合は昇任になる、そういうようなことは
ちよ
つとまずいのであります。
従つて
、
教員
の場合の職階制といいますのは、われわれのような普通の行政職員の場合とは違
つて
、これは職種の
一つ
の代名詞、たとえば
校長
であるとか、あるいは教諭であるとか、そういうような職種の代名詞というふうにわれわれは考えておるわけであります。そういろ関係もありますので、なかなか
職域
別に、
学校
体系
別に載然と職階をつくつということは、問題があるわけであります。しかしながら、そうかと申しまして、全然
職域
の別がないとはいえないのでありまして、現実的に見まして、
高等学校
と中
学校
とは、明らかに職務内容も違いますし、
一つ
の
職域
とみなすこともできるのであります。また一方
学歴
、それから資格、
免許状
の関係、これにつきましても非常に大きな関係がありまして、
学歴
の高い方は、大体
上級学校
へ行
つて
いるのが普通であります。
免許状
の高いものを持
つて
いるのが、上の方へ行
つて
おるのであります。
学歴
、それから一方勤続年数、資格、そういうような関係等、いろいろな面を総合いたしまして、
一つ
の
体系
をつくりたい。まだはつきり具体的にはな
つて
おりませんが、大体の考え方といたしましては、かように考えております。
従つて
、
三本建
というふうに、はつきり
体系
そのものを形の上に現わして示すということは、いろいろ問題がありますので、そういう形の問題でなしに、内容的に
学歴
あるいは資格というものを中心にいたしまして、それに
学校
の区別を考えて加味して行くというふうに行きたい、かような考えで、
人事院
にも
意見
を申し上げております。
長野長廣
51
○
長野委員長
参考人
に対する質疑はこの
程度
でよろしゆうございますか。――それでは
参考人
よりの
意見
聴取は、本日はこの
程度
といたします。 この際私より
参考
に対して一言お礼の言葉を申し上げます。
参考人
の方には、御多忙中にもかかわりませず、当
委員会
の
審査
のために貴重なる御
意見
を承りましたことを、厚くお礼申し上げます ――
―――――――――――
参考人
の方には、御多忙中にもかかわりませず、当
委員会
の
審査
のために貴重なる御
意見
を承りましたことを、厚くお礼申し上げます
長野長廣
52
○
長野委員長
これより政府当局にする質疑を許します。渡部君。
渡部義通
53
○渡部
委員
大学学術局
長が見えておるので、
ちよ
つとお尋ねいたします。十二日の京都
大学
学生
事件
について、
大学
事務局長が何か書類を携えて上京しているということが新聞に見えましたが、そのことによ
つて
、
事件
の内容なるものが、どういうものであるという点が明らかにされたのか。これに対して京都
大学
当局が、どういう考えでどういう処置をとられようとするように見えるか、さらにまた文部当局はこの
事件
をどういうふうに処理をしようという相談をしておるのか、考えられておるのか、その点をできるだけはつきり、具体的に御
説明
願います。
稻田清助
54
○稻田政府
委員
お話のごとく、京都
大学
の事務局長が参りまして、当日の
事件
の経緯につきまして聴取いたしたのであります。お話の第二の点であります、
大学
当局の措置につきましては、目下
大学
当局が検討中でございまして、その
結論
はいまだ聞き得ないのであります。従いまして、その措置に対しまする文部当局としての考えも、まだきま
つて
おりません。
渡部義通
55
○渡部
委員
第一に、経緯はどのようなものであつたのか、詳細に御
説明
願います。
稻田清助
56
○稻田政府
委員
大学
当局から聞きますところによりますれば、当日、十二日午後、陛下が京都
大学
に着御せられまして、学長室にお入りになり、学長から
大学
一般
の
状況
を御
説明
申し上げてその後各
教授
から
研究
の結果につきましていろいろ御
説明
申し上げ、その御
説明
が長引きましたし、御下問もありましたような関係で、予定よりも約十一分遅れて御還幸に
なつ
たわけでございます。この行幸に際しまして、京都
大学
及び府、市の警察当局と万般の手配をいたしておつたのでありますが、お帰りに際しまして、学生の一部及び学外から参つたと考えられまする学生、その他の人々が、陛下の歯簿の通路に、以前は整列いたしておつたのが、だんだん出て参りまして、自動車が進行いたしますに支障を来すという
状況
がありましたので、
大学
当局がそれを制止いたしましたけれ
ども
、
大学
当局としては制し切れない
状況
に立ち至りましたので、警察に依頼いたしまして、その辺を整理いたしたわけでございます。その整理によりまして歯簿は通過せられたのでありまするが、その間におきまして、学生の一部はプラカードを立てましたり、あるいは平和を守る歌等を歌
つて
、相当混乱の情勢を示したというような
状況
であるのでございます。これにつきまして、学生がどういう順序においてこういう行動に出たか、また取締り手配等についての職員の措置責任等がいかようであつたかというようなことにつきまして、さらに詳細に事実をきわめるとともに、
大学
自体の措置を講ずるということにな
つて
おります。
渡部義通
57
○渡部
委員
新聞によりますと、
事件
発生前に警官をして警備させておけばよかつたというふうな大橋総裁の答弁が、参議院において行われておりますが、
事件
発生前において、
学校
当局と警察当局との間に、
事件
を予想してか、あるいは
一般
警備の問題としてか、何か打合せがありましたか。
稻田清助
58
○稻田政府
委員
大体
大学
当局と警察当局と打合せましたことは、学内は
大学
自身において秩序を維持する、正門外については警察官が秩序を維持する、これを建前としながら、なお少数の警官を学内に配置しておつたわけでございます。
事件
が起りまして、
大学
当局としては警察官の応援を頼む以外に、秩序を維持することができなくなりまして、その時期において警察官が多数入
つて
参りまして、秩序を維持するに至つたのであります。
渡部義通
59
○渡部
委員
警察官が多数入
つて
と言われましたが、どのくらいの警察官が入り、またどのような形で秩序の維持がなされたのか、その点詳細にわかりますか。
稻田清助
60
○稻田政府
委員
事件
前から配置いたしましたのは、二十名以上の警官であつたと聞いております。
事件
が起りましてから入りました警察官の数は、私
ども
つまびらかにいたしておりません。
大学
職員が制止するのとともに警察官において歯簿の進行路の整頓をしたということを聞いております。
渡部義通
61
○渡部
委員
その後の
学校
当局の方針はまだ
決定
していないと言われているが、いろいろ新聞では、厳重な処置をとるか等々のことが伝えられております。現に考えられているところは、どういうふうにされるつもりなのですか。
稻田清助
62
○稻田政府
委員
前申し上げましたように、目下
大学
当局において検討中でございます。
渡部義通
63
○渡部
委員
検討中というだけの報告を受けられたのか、大体こういう事柄について検討しつつあるという報告を受けられたのか、その点を伺います。
稻田清助
64
○稻田政府
委員
報告としては検討中という報告でございますが、この事態を見ますれば、あらかじめ
大学
において、集会をする、あるいは示威行動に出るというような場合におきましては、
大学
の許可なくしてやり得ないことにな
つて
おりますから、こうした事態が発生いたしますれば、そうした行動を起した個人あるいは学生の
団体
に対しまして適当な措置を必要とすると考えられます。
渡部義通
65
○渡部
委員
文部当局としては、大臣もその他も、非常に遺憾であるということを強調されておりますが、しかし、単に遺憾という問題だけじやなしに、この種の問題についての当局の考え方と、さらにまた起きた事態についての収拾処理の方法については考えられつつあると思うし、
一般
的には考えられておると思うのですが、その点について
説明
してください。
稻田清助
66
○稻田政府
委員
学生の自治活動につきましては、もとより学生自身の覚醒と、そうした
団体
の健全なる運用についての進歩に期待するのが第一であるわけでございますが、遺憾ながらその間常軌を逸脱するような行動に出ました場合におきましては、
大学
当局において断固たる処置をとられることを、
文部省
としては期待いたしております。
渡部義通
67
○渡部
委員
この種の問題が、天皇でなかつたならば、もちろんさほどの大きい問題じやなかつたと思うのですが、天皇であることのために、この事態があたかも民族や国家の重大
事件
であるかのような口吻をも
つて
大臣も本会議に報告されており、当局も考えられているようですが、天皇であることがなぜこの種の問題をこれほどの大きな問題として取上げなければならなかつたのか、
大学
局長としての考えを
伺つて
おきます。
稻田清助
68
○稻田政府
委員
憲法に規定いたしておりますように、国家の象徴、
国民
統合の象徴であります天皇陛下を
大学
に迎えます場合におきましては、迎えるにふさわしき
大学
の学生の態度があるべきものと考えております。
渡部義通
69
○渡部
委員
私は、根本問題については大臣にお尋ねしたいと思うのですが、ただ
ちよ
つと考えを申し上げておきますと、
事件
の内容は、学生諸君が平和と民族の問題に関連して、あるいは
二つ
の條約問題に関連して天皇の考えを知りたい、あるいは学生諸君の考えているところを天皇に伝えたい、こういう事柄であつたわけです。この事柄について、日本の青年として自分たちの考えているところ、切望しているところを、ほんとうに天皇にも訴えたい、こういう見地からなされたようにわれわれは、新聞紙上でありますが、見受けているわけです。先日衆議院で承認されました
二つ
の條約が、日本民族に対する隷属的な條約であるということ、またその結果が戦争を促進するような内容を持つものであるということについては、多くの方面に懸念があるわけです。これは日本の
国民
の非常に多くの中にも、また
世界
の民主的な平和勢力の中にも、このことを非常に懸念する空気が強い。これはだれも御存じの
通り
でありますが、こうした
国民
的な空気を鋭敏に
感じ
ている学生諸君が、日本の民族の独立を考えたり、戦争の危機を防がなければならぬと考えて、また戦争が起つた場合には、みずからがその戦争のために動員せられなければならないかもしれないような状態に置かれている学生諸君が、非常にこれらの問題を重大視することは当然のことであり、
従つて
これをその行動に現わすことも、当然のことだと考えられるわけです。第一に、その点が当然のことであるし、さらに――天中は日本の
国民
統合の象徴であ
つて
、政治的な存在でないから、この政治的な存在でないものに政治問題を訴えるというのは、非常識でもあるというふうな
意見
があるようでありますが、しかし天皇は明らかに、単に憲法の紙の上に伝えておる
国民
統合の象徴であるというだけではなくて、はつきり政治的な存在であるということが言えると思う。ごらんの
通り
たとえば国会の…。
長野長廣
70
○
長野委員長
渡部君、御
質問
はあまり討論的にならぬように…。
渡部義通
71
○渡部
委員
質問
の内容です。――だから国会における開院式の勅語を読んでも、はつきり一定の政治的の性質を示しておる。この一定の政治的な性質を持
つて
いる天皇であるから、その点、
国民
としてその
意見
を聞くということも当然のことであるし、さらにまた、この天皇の場合には、太平洋戦争のとき、日本帝国主義が東洋を侵略した場合にも、この侵略や戦争について非常に大きな責任があつたと思うのです。この責任があつた天皇についてその考えを聞くことも、これは学生としてわれわれは認めなければならない。こういうふうな……(「主権在民だ」と呼ぶ者あり)在民論じやなくて、そういう天皇に現実的な政治的な色彩を持たせており、また現に持たせようとしておる支配階級の意図があるので、この問題がこういう大きな問題としてことさらに取上げられているのじやないかとわれわれは考えざるを得ないわけです。つまりこの空気は、天皇制を復活さようとする
一つ
の空気として諸君肩身が実際つくり出していると思う。……(「ばかなことを言うな」と呼び、その他発言する者あり)たとえば……。
長野長廣
72
○
長野委員長
渡部君簡潔に
質問
を願います。
渡部義通
73
○渡部
委員
つまり文部当局の
教育
方針からいいましても、君が代を奨励じたり、
国民
実践要領をつくろうとすることが、天皇制復活へ向
つて
の
方向
、少くとも
歴史
的な
方向
をつくり出そうとしているのだということを、
委員会
としても認識されなくてはいかぬ。それから国会の中でも、横ばいをしたりするような空気が存在しておる。これはあなた方も横ばいをされておるのですが、そういう形で依然として存在しておるわけです。広くこういう空気をつくり出して行こうとするところに、われわれは今度の問題をことさらに大きく問題として取上げようとする空気があるのではないかというふうに考えておるのです。こういう事柄を、文部当局としては十分判断されて、この問題はそれほど大きな問題ではないのだ、むしろ天皇に対してその
意見
を聞いたり、訴えたりするということは当然であるというような空気をつくり出す必要がある。国会もまたそういう必要があると思う。国会も横ばいというようなことはやめて、今天皇が憲法に認められておる地位にふさわしい形においてのみ考えて、何か神聖不可侵であるというような昔の観念を再びつくり出すことのないようにすることこそが、国会自身も必要であるし、特に
教育
の上では、将来の日本の新しい創造のために、ぜひされなければならない態度であろうとわれわれは考えるわけです。こういう空気をつくり出していること自体が、つまり憲法の中に天皇を象徴として温存させて来た根本の
理由
もそこにあるわけです。こういう空気をつくり出して、やがて日本を軍国主義化して、戦争の
方向
に動員するためには、天皇が必要であつたからこそ、アメリカは日本の憲法をつくるときに、その草案の中で天皇を温存させておる。だからこの観点に立
つて
、今度の問題も、われわれは
文部委員
会としても、
学校
当局としても慎重に考えられなければならないじやないかというふうに考えておるわけなんで、この点についての文部当局の意向を聞きたいと思います。
稻田清助
74
○稻田政府
委員
学生が
意見
を述べたり、あるいは国政運用の動向を知りたいという場合におきましては、これに対すべきいろいろな方法と機関があろうと思います。そこには
大学
当局もあり、行政機関もあり、また国会もあるわけでございます。ああした場合におきまして、天皇陛下に対して、直接こうしたことについての交渉を持ちたいという学生の動向を制止いたしました
大学
当局の措置につきましては、私
ども
は当然だと考えております。制止を聞かずしてある行動に出ました学生に対しましては、
大学
当局において適当な処置があるべきことを期待いたしております。
渡部義通
75
○渡部
委員
それでは、天皇に対する
意見
を聞き、あるいは訴えることのための行動が問題になるのではなしに、
学校
当局の制止を聞かなかつたという点が、学生の処罰上の問題になるのか、その辺はどうなんですか。
稻田清助
76
○稻田政府
委員
具体的な問題といたしましては、その経緯は一連のこととして検討せられるべきものだと考えております。
浦口鉄男
77
○浦口
委員
局長に簡単にお聞きしますが、結局これは方法の問題だということはよくわかる。ところが、先ほど渡部
委員
のお話のような、これは学生が、天皇の憲法上の位置、権能その他の問題は別としての、純粋な、陛下にお聞きしたいという気持からやむにやまれずして出たものか、あるいはその他に何か意図があつたものか、その点
文部省
としては何かお考えにな
つて
おりますか。
稻田清助
78
○稻田政府
委員
行幸の前において、しばしば学生と
学校
当局の間において、学生のこうした
希望
を取上げる取上げないというような点について交渉があ
つて
、制止して参つたのでございます。学生の心のうちにおいて、いかなる動機に発したかということは、なかなかわかりにくい問題だと考えておりますが、ただ表面に現われました要求そのものが不適当であるという点で、
大学
が制止して来たことだと考えております。
浦口鉄男
79
○浦口
委員
今後こうした類似の問題がないとは限らないのでありますが、そういう点について、
文部省
としても慎重に対策をお考え願いたい。 いま
一つ
は、こうした具体的な問題が起きたときに、直接
文部省
に監督権がないということは承知しておりますが、何かそこに勧告というふうな形はなされるとも承知しておりますが、
文部省
として、今度の
事件
に対してこうあるべきであるとか、こうあるべきでないとか、
意見
を発表されたか。あるいはこうしたいろいろな問題について、単なる学生の自治会だけにまかせる、自発的判断成長にまかせるということだけでなしに、指令というふうなやかましいものでなくて、
意見
を発表するつもりかどうか、そういうことに対して局長の御答弁を承りたいと思います
稻田清助
80
○稻田政府
委員
先ほどお答え申し上げましたように、目下
大学
当局において措置を考究中でございますので、その措置の
決定
の線を見まして、もしわれわれとして必要あれば、必要な措置をとりたいと考えております。
浦口鉄男
81
○浦口
委員
それからいま
一つ
は、こういう問題が起るのは、突発的な問題でありますから、たとえば、きのう起きた
事件
をすぐきよう当局の
意見
を聞くというのは、実際むずかしいと思います。しかし今までいろいろ
大学
に起きた問題について、この
委員会
で問題に
なつ
たのでございますが、そのときにまだ全然聞いていないとか、三日四日た
つて
もまだ調査中とかいうこと希非常に多いのであります。一体
文部省
は、こうした具体的な
事件
に対して、どういう方法で連絡されておるのか。そういう
事件
を知るとともに、すぐ電話で聞くとか、あるいは人を派遣するとか、何かそういう積極的な方法を、
つて
おられるか、向うの報告だけ待
つて
おられるのか、全体的の連絡に対して承りたい。
稻田清助
82
○稻田政府
委員
いろいろな問題の起りました場合には、ただちに
大学
当日から
文部省
に報告するようにな
つて
もるわけでございます。また反面文部当局といたしましては、いかなる角度から耳にいたしましても、いろいろな行政
官庁
を通じましてあるいは、また
大学
当局に直接照会する等の方法をも
つて
、すみやかに
事件
の実態を把握することに努めております。ただいろいろ御
質問
のありましたときに、お答え申し上げる場合に、事の的確を期しまするために、いろいろな
資料
の集まるまで御猶予を願うというような場合も、従来相当あつたかと考えております。
浦口鉄男
83
○浦口
委員
最後に
希望
を申し上げておきます。きのう同
委員
からもお話があ
つて
、天野文部大臣も、何かそういう発言をされたのでありますが、現在の文部大臣は、義務はかりあ
つて
権利かない、
大学
管理法を撤回して云云というような御
意見
かあつたわけであります。これも
ちよ
つと問題にな
つて
おるのでありますが、私はそういう法的な措置をする前に、根本はもちろん
大学
の自治を破壊しないという原則に立つとは思うのでありますが、今申し上げたような具体的な問題について、
文部省
はもつと敏速に、的確にひとつ連絡をと
つて
御処置いただきたいということを、要望して、
質問
を打切りたいと思います。
渡部義通
84
○渡部
委員
大学
局長は私の最後の
質問
に対する問題の焦点を、まつたくぼやかしていると思う。私の言つたのは、天皇に対して
意見
を述べたり、あるいは天皇の
意見
を聞いたりするような行動それ自体と、それをやる場合において、
学校
当局の方針に基く学内秩序を保つ問題とは区別して考えらるべきじやないかという点なんです。
稻田清助
85
○稻田政府
委員
学校
当局といたしましては、当日陛下に学生が直接お目にかか
つて
、いろいろ
意見
を申し上げたいという
希望
を、適当ならずと考えて阻止いたしたのであります。また第二攻に、その阻止にかかわらず起しました行動については、遺憾としておるわけであります。
渡部義通
86
○渡部
委員
それはで学生が天皇に対して
意見
を述べたり、その
意見
を聞いたりすること自体は、問題ではないということになるのですか。
稻田清助
87
○稻田政府
委員
先ほど申し上げましたように、学生が直接天皇に対して
意見
を申し上げるということは、私は不適当と考えております。先ほど申し上げましたように、そこには
学校
当局もあり、行政機関もあり、また国会もありますから、いろいろ事の性質によりまして、学生が
意見
を述べる相手は、適当な機関があろうかと考えております。
渡部義通
88
○渡部
委員
従つて
不適当ではあるが、それ自体としては、不敬罪はないはずなんだから、何ら処罰に値するような性質のものではないというふうに考えていいですか。
稻田清助
89
○稻田政府
委員
申入れを
大学
当局が拒絶いたしました場合に、その拒絶に服せば問題はないと思います。
渡部義通
90
○渡部
委員
私はそれを言
つて
いるのじやない。
大学
当局に申し入れて、
大学
当局の意思は従わなかつたということを問題にする前に、天皇に対して
意見
を述べ、天皇の
意見
を聞こうとすること自体が、学生として不適当であると当局は考えたとしても、これは当局から処罰に値するような性質のものとしては、考えられないのじやないかということなんです。
稻田清助
91
○稻田政府
委員
その
意味
でお答えしたつもりでございますが、
大学
当局の制止に従いましたならば、処罰に値しないものだと思います。
渡部義通
92
○渡部
委員
そういうことじやない。ぼくの言
つて
おるのは、
大学
当局に従うか、従わないかという問題を、問題にしているのではない。そうじやなくて、天皇に、いわば昔の直訴をなすことが、不適当ではあ
つて
も、処罰の対象にはならないのじやないか。
大学
当局の
意見
に服するか、服さないかということは、第二の問題であり、そういう問題は一応次の事柄として考えてもいいと思う。
稻田清助
93
○稻田政府
委員
御
質問
の
意味
を、的確に把握しかねるのでございますけれ
ども
、
大学
は
大学
の秩序を、
大学
の責任者において維持いたしておるわけでございます。学生の行動も、
大学
の秩序に
従つて
すべきものである。それを破
つて
学生が行動したとすれば、その
程度
に応じて処置があり得べきものと考えております。
渡部義通
94
○渡部
委員
では、
大学
の秩序との関連においてのみ、これが問題になるのであ
つて
、天皇に対して
意見
を求め、あるいは天皇に
意見
を述べるという行為そのものは問題じやない。
大学
の秩序そのものに関連してのみ、そのことが問題になるのだ、こういう
意見
ですか。
稻田清助
95
○稻田政府
委員
大学
の秩序というものを、具体的の場合に当てはめて考えますれば、その際において、天皇に直接
意見
を述べるということは、いけないと考えたわけでございます。
渡部義通
96
○渡部
委員
いけないと考えたわけだというのは、あなたがいけないと考えたわけですか。
稻田清助
97
○稻田政府
委員
大学
当局がでございます。
渡部義通
98
○渡部
委員
文部当局はどうですか。
稻田清助
99
○稻田政府
委員
文部当局も、
大学
当局の考えは是なりと考えております。
小西英雄
100
○小西(英)
委員
文部当局に一言お尋ねしたいのですが、このたび京大に起つた騒擾
事件
の学生の一派と、数日前に同僚の水谷議員のところに相当な乱暴をした学生があると伝え聞いておりますが、それと関係があるかないか、一言お伺いしたい。
稻田清助
101
○稻田政府
委員
京都
大学
における学生
団体
たる同学会の構成分子において、両方の
事件
に一連のつながりがあると察しております。
平島良一
102
○平島
委員
学生が京都で騒いだことは、私としては重大な問題だと考えております。ただ学生が憲法も知らなかつたというような
立場
から、軽挙妄動したというだけなら、まだ許すべきであろうと思うのでありますが、現在日本には、この日本の現状をどこまでも破壊しようという危険な思想を持つた人達がおるのでございます。そういう人達が、天皇にかくのごときことをすることによ
つて
、社会への影響を大きくせしめて、自分らの抱懐しております危険なる考えを実現せしめる一歩一歩を歩んで行こうとする計画的のものであろうと、私は考えておるのであります。そういう
意味
合いから考えますと、これはまことに重大なことにな
つて
来るのであ
つて
、
大学
当局においても、文部当局においても、それはどういうものであつたかという原因を、よくお調べにな
つて
、それに対する厳重なる処断をお願いいたしたいと思うものでありますが、それについてどういう御
意見
を持
つて
おられるか。
稻田清助
103
○稻田政府
委員
お言葉のように、事態を検討いたしますれば、相当計画的なものであ
つて
、決して偶発的なもので、はないと考えております。従いましてお言葉のように十分事態を調査いたしまして、適切な処置を慎重に考究いたしたいと思います。
小西英雄
104
○小西(英)
委員
渡部
委員
は、この天皇行幸の際の騒擾
事件
に対して、大した問題ではないじやないか、直訴するくらいのことは、何もいろいろな犯罪に問われぬというような含みの話を絶えずここでされておりますが、数日前すでにそういうふうな厳重な処置が講じられなかつた例が、同僚水谷議員の家の一部を破壊してあのような状態に
なつ
たので、あの際まさに制止の警官隊が少い場合には、あるいは陛下の自動車を破壊して、けが人を出したかもわからぬ可能性があつた。これは数日前の
事件
とつないでみれば、今答弁されたように、一連の
団体
のしわざはかような危険なものであるので、われわれは文部当局並びにそれらに対する処置を厳重にする必要があると考えます。
渡部義通
105
○渡部
委員
今言われたような
意見
が、
一般
にいろいろ行われており、これらの
意見
が、まつたく間違つた
意見
であるということを、はつきり論証できるのでありますが、しかしきようはそういうふうな問題を論議するのではな上に、文部当局の
意見
をこの問題について明確にしておきたい。少くともその情報をはつさりさせておきたいというのが、私のほんとうの
質問
の趣意でありましたから、情報がある
程度
明確になりましたし、さらに今後明確になるでありましようから、私の根本的な考え方――私の考え方だけではなしに、日本の民族として、日本の
国民
として当然こう考えらるべきもあるという考え方については、そのときに大臣と
意見
を交換してみたいと思います。 それから、きようは法務総裁に対して、この問題に関連する他の問題で明らかにしておきたい問題があるので、しばしば
委員長
の了解を得た上で、法務総裁の出席を要求しておつたのですが、その点はどうな
つて
おるか。法務総裁は多忙であるらしいことは了解できるが、参議院の方ばかりまわ
つて
お
つて
、これほど重大なものとして取上げられておる問題、あるいはさらに別個の重大な諸問題があるのに、
文部委員
会の要望を満たさないということについての、はつきりした
説明
を求めてみたいと思います。
長野長廣
106
○
長野委員長
渡部君にお答えいたします。法務総裁は、ただいま参議院の予算総会あるいは、條約問題等につきましてどうしても手が離せないそうでございますが、しかしこの次の会におきましては、相なるべく出席していただくように、一層努力をいたしたいと思
つて
おります。御了承を願います。
松本七郎
107
○松本(七)
委員
さつきの渡部さんの御
質問
に関連した問題で、これは法務総裁に伺つた方がよろしいかと思いますが、文部当局として御存じの範囲でけつこうですから、
伺つて
おきたいと思います。今度の
事件
で、さつきの渡部さんの
質問
に対上、文部当局の方では、要するにあれを
学校
当局の制止、拒否ということと切り離して考えるわけには行かないという建前からの御答弁であつたように思います。渡部さんの方は一応これを形式的に分離して、制止した、としないということは別に、とにかく直接陛下に訴えること自体が――もちろん文部当局の考えでは不当だと言われるけれ
ども
、処罰の対象になるのかならないのか、こういうふうなことを聞いておるのだろうと思うのです。そこで、昔でいえば直訴、陛下に直接そういうふうなことをしようとすることそれ自体が、処罰の対象になるのか、法的なところをひとつ御
参考
までに
伺つて
おきたい。
稻田清助
108
○稻田政府
委員
ただいまの問題につきまして、
一般
論的な法的問題につきまして、われわれといたしましては、言及することをお許しいただきたいと思いまするし、これはひとつ法務府関係におただしいただきたいと思います。
長野長廣
109
○
長野委員長
この際私からひとつお尋ねしたいと思いますが、今春の国会におきまして、本
委員会
では、三
大学
の学長の出席を求めて、学生の思想及び行動に対する問題について、その
参考人
としての
意見
を聴取したことがありました。今回の京都
大学
における
事件
につきましては、当時の学生思想と根本的に、形式の点において相似たものがあると思います。ただいま平島
委員
の述べられたように、これについては、いろいろの観点から考えまして、重大控を感ずるものであります。つきましては、文部当局とせられては、今後あ
つて
はならないことであるが、またこれに似たような問題なりとも発生した場合におきまして、事後に区々の対策を論議するということでは、いかがかと思いますので、この際基本的な対策とでも申しますか、これをひとつ考えて、樹立しておく必要があるのではないかと思うのであります。ただにこの種の問題のみではありません、学生思想に発端する問題及び社会的に関連した複雑な関係よりするところの問題、これらに対していかなる対策をとるかということを、はつきり腹につく
つて
おく必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがでありましようか。またさような点について、今後いかに実行に移されるのでありましようか。これをお尋ねしたい。
水谷昇
110
○水谷政府
委員
すでに大臣も本会議でこれを御報告になりまして、遺憾の意を表せられたのでありますし、この問題は、私
ども
非常に重大に考えておりますから、よくその真相をきわめまして、将来のために備えたいと考えております。よく相談をいたして対処いたしたいと考えております。
渡部義通
111
○渡部
委員
実は提案があるのです。この問題は、ともかくもセンセーシヨナルな形で、国会の中でも、社会
一般
の中でも、問題にな
つて
おると思います。事は天皇に関する問題であり、あるいはまた天皇制に関する問題だと言つた方がいいかもしれませんが、いずれにしても、天皇に関する物の考え方が、こういう問題をセンセーシヨナルなものにしたのだと思います。この天皇に関しての事柄は、憲法にも規定されておるのだが、今後の
国民
の
教育
、今後の日本のあるべき将来を予想した上での、もつと明確にいえば、科学的に検討した上での日本のあるべき
方向
を見出す、それを見出した上で、日本
国民
の
教育
についての方針を立てて行くという上からいえば、この天皇の問題が起つたことは、幸か不幸かは別としまして、非常に重大な関心を新たにするものだと思いますから、この際この天皇に関する問題を明確にするだけではなしに、それと関連しての日本の
教育
方針を明らかにするという見地から、これを広く日本
国民
の良識に問うてみようじやないかという考えなのです。つまり、しかるべき学識経験者、あるいは、できるならば他の階層の
代表
者とか、あるいは学生なら学生たちとか、そういう
人たち
から
意見
を聴取する
機会
を、
委員会
として持つ必要があると私は思う。そういう広い
国民
諸層の
意見
が、天皇に対してどういうふうに持たれておるかということが明らかにされて、さらに日本の
方向
が明らかにされるならば、こうした問題の取扱い方についての、本質的な根本的な点が理解されると思うのです。
従つて
、天皇問題と言う心要は必ずしもないのですが、こうした
事件
を中心として学識経験者その他を
参考人
として呼び、これを
委員会
で聴取するという
機会
を持たれたいと思うのです。これは実は参議院の方では、昨日
国民
実践要領のために、学識経験者の
意見
を聞くというふうに、
委員会
で話がまとま
つて
おるそうであ
つて
、
国民
実践要領というものの中心思想は、天皇は道徳的中心であるという点にあることは、大臣も申しておられますから、いい
機会
であるから、ぜひ衆議院においても同様に
国民
実践要領という今後の文部大臣の方針を明らかにするような問題を検討するために、そういう
機会
を持ちたいと思うのです。これをぜひ提案していただいて、また自由党を初め各党派の御
賛成
を願いたい。
松本七郎
112
○松本(七)
委員
今の問題ですが、実践要領については、この前からも文部大臣といろいろ話し合
つて
いるので、一応
委員会
でこの実践要領の取扱い方とか、そういうものについて至急検討する必要があると思います。それをやつた上で、さらに
参考人
とかいろいろな
意見
を聴取する必要があると認められれば、その上で
決定
したいと思います。
浦口鉄男
113
○浦口
委員
渡部
委員
のおつしやることは、もつともだと思います。これは天皇問題ということに限らず、
大学
の自治全般に国連すると思いますので、京都
大学
の学長なり、当時の関係者を
参考人
として呼んでいただいて
意見
を聞きたいということは、私も
賛成
いたします。 それからもう
一つ
は、この間岡
委員
からお話がありましたが東
大学
長の南原氏の政治的重大発言についても、これは、この春の例もありますし、あわせて
参考
として聞くことができれば、たいへんいいと思いますから、
委員長
にお願いいたします。
長野長廣
114
○
長野委員長
ただいまの諸君の御要求につきましては、ただいまただちに
委員長
が、ここで専断をすることは、いかがかと存じます。それで
理事
会だ円いまして、慎重打合せをいたしました上で、適切に処置をいたしたいと思います。 本日は、この
程度
にて散会いたします。次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 午後一時十三分散会