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八木委員 私は根本
農林大臣にお伺いいたしたい点を二つ持
つて特に出席をお待ちしたわけであります。その
一つは、
国内産業として重要な
蚕糸業の政策に対する
政府の方針であります。その二つは、国際的な世界的な視野において、過去一世紀にわたり発達して参
つたこの
蚕糸業の将来に対する
政府の御方針、この二点であります。
第一点の、
国内産業としての
蚕糸業の重要性については、いまさらここに申し上げるまでもなく、零細な
日本農村振興の上には、畜産とともに
養蚕を取入れなければや
つて行かれない宿命場的な事態に置かれておるという特異性が、世界の産額の七割も八割も占めるまでに発達して参
つた事情であると思うのであります。これが戦争のために、農業経営に必要欠くべからざる桑園を小作零細
農家の経営の中から転換を強要した。終戦以来だんだん食糧事情がかわ
つて来るにつれまして、
農家自身としても、この
養蚕を取入れた農業経営に移
つて来たという事実。また工業面から見ますと、大資本の
製糸が経営しておるといいますが、中小零細工業、家族工業の少し発達した
程度の方々が何百というこまかな工場にわかれて仕事をしておる。ここにもまた宿命的とも言いたいほど
蚕糸業に深い結びつきを持ちまして、困難なる経営の中に
蚕糸業の復興に
努力を払
つておる。原料は
必要量の半分もできていないけれども、なおかつ無理をしてこの経営を続けておるという事実。商業面の
輸出に関しましては、戦時中の盲貿易の間を通して、
輸出第一船を
生糸で送り出してから、困難なる事情はありまするが、長い間の経験に徴しまして、順次
輸出大宗の地位をとりもどそうという意欲、私はこれらの涙ぐましい事実を見合せますると、
日本の民族産業として重要なものはやはり蚕糸である。こういうことを痛感して参
つておりまするだけに、この産業の復興
発展のためには重点的な施策、政策は何であるかということをつぶさにわが自由党政務
調査会等の
調査機構を通じて調べてみますると、
蚕糸業の将来が、人類に流行の二字がある限りその魅力は失われない。また
日本の持つ特異な立地条件がある限り、世界七十民族国家の中に処しても、やはり国際分業として
日本が最適当である。こういう自信を深めまして何としてもこれは復興しなければならないのだという結論に到達し、その具体的な手段として、ここにようやく立法化され、
予算化されて参
つたこの
蚕糸業安定問題であるというふうに感じまして、この
意味が非常に深いということを私自身はまず申し上げて、これに臨む
政府の態度としては、
国内問題は
生産増強に沿うての安定政策でなければならぬと思うのでありまするが、根本
農林大臣は就任早々、農政は
価格政策だけではいけない。
価格政策のみにおいて、万全を期するわけには行かない。
日本農村の実情を認めて、
価格政策に関しては、農産物の
最低価格を何とかして支持するということから、これによ
つて最低価格、てこ入れ
価格、支持
価格という
措置をと
つて参り、その及ばない点は資金的に、農林漁業資金とか、あるいは災害の復旧だとか、あるいは課税の問題だとか、諸般の保護助長の政策を、あたたかい手をさしのべて行くのだ、こういうことを就任早々言われた。そういう大方針に沿うて蚕糸の
国内問題についてはつきりしていただきたいのは、この法律によ
つて最低価格は、合理的な
生産を続けるための最低
生産費は保証をいたして、及ばないところはいわゆる保護助長の政策をも
つて増産を期し、蚕糸の置かれた将来に約束づけたいという方針で臨まれることと信ずるわけであります。そうしますると、
最低価格支持に関する期待は、この法律によ
つて全きが期せられるかどうかという点を
一つ、またそれとうらはらとなりまする保護助長の政策について、何を
考えておるかという点を明らかにしてもらいたい。
以上の点をお伺いしたいと思います。