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周東国務大臣 井上委員の御
質問はまことにごもつともであります。私どもも八月の下旬から九月にかけての、まつたく二十年来ない異常渇水によ
つて、起つた
電力の不足が、ことに水力
電気において二〇%の減にな
つておる。これを埋めることは、ざつくばらんに申しまして私は相当に困難だと思います。実は今年の
電力の
計画としては、豊水時なんということは考えたことはないので、やはり平水時を目標において、しかもなおかつ火力発電というものの補いをなさなければならぬ。石炭の総数量は上下合せて、たしか六百二、三十万トンだつたと思います。そのうち下期渇水期に充てられるものは、これははつきりしておりますが四百七万トン、これで進んで参
つておつたわけでありまして、その間御
指摘のように、こういう
條件で行けば二億五千万キロワットの出力を充てて十五万トン
増産をしたい、それで十万トン出したいという
計画でありました。ところが先ほど申しましたように、水力によ
つて二〇%の減ということになりましたので、それを全部火力で補うということにつきましては非常な困難があります。と申しますのは実は下期充当の四百七万トンの火力石炭というものは実にありがたいことでありまして、今年の石炭の
増産計画の四千五百万トンというものは非常にその成績をあげて、おそらくそれを上まわるであろうという成績であります。
従つて電気における四百七万トンは充足できますが、二〇%の減を補うということになれば、やや無理に近いものがあるわけです。これをやれということはなかなか困難です。ことに石炭が、今申し上げたように昨
年度はたしか三千九百二十三万トン、約四千万トンくらいの
生産実績でありましたのを、今年は四千五百万トン
計画で、それが上まわろうというところまで、約一割三分の
増産計画の達成を見ておる。その上に出せというのですからなかなか困難です。しかしそんなことは言
つておられぬので、非常時は非常時としての協力を求めておるのであります。ただいま
内地における石炭に対する金融措置をことに急いでやる場合においては、中小炭鉱の方面に対して約十五億円を開発銀行、市中銀行と半々に出すことによ
つて、大体三十万トンといいますが、私はしつかり踏んで二十万トンと
思つております。またインド炭二十万トンを大体外貨を組んで、その上になお五十万トン近くほしいと
思つております。しかしこれはざつくばらんに言うて、場所なり船なりの
関係で、この下期の三月までに確かに入るかどうかということについては、私どもやや心配しておりますが、内輪に見て十万トンくらいのところと考えております。それよりも一番手取り早いところがやはり重油の転換であります。これについては、この前非常に乱れましたときに、約十万五千キロリットルだけは、
電力用重油としての輸入を追加して認めてもらつたのですが、それでも実は足らぬので、今考え方といたしましては、もう二十万キロリットルほどほしいということも折衝を始めております。こういうようなものができれば、重油は効果において、トン当りちようど石炭の二、三倍になります。そういう
関係で非常に効果が上ると思いますが、こういう
関係を総合いたしましても、二〇%減をそのまま取返すことはなかなか骨が折れる。これは明らかに申し上げた方がよいと思います。
従つて今私どもが考えておりますことは、最小限度の応急処置としてこれを考えた場合において、はたしてどれだけは確保できるかということは、もう少し時間的に待
つてもらわなければならぬ。品の上で何万トン入れたから、何万トン出るということは少し早過ぎる。これは机上の空論にな
つてはいけませんので、それらを確定させた上で、重要産業
——もちろん
肥料もその中に入りますが、全体を見て、減に
なつたところをどういうふうに補
つて行くか、そこにも重点産業に対する分配問題が起ると思います。その際におきまして、私どもは
肥料についての問題は、でき得る限り有利な
立場に立
つて、配分について努力いたしたい。かように考えております。ただいまの
井上さんの御
質問はごもつともでありますが、今すぐ何ぼという形で、いいかげんな
数字を申し上げることは控えまして、今
計画は実体的に進めておりますので、もう少した
つて、どのくらい減に
なつたものを取返せるかという見通しがついたときに、さらに報告をする機会があろうかと思います。御了承を願いたいと思います。