○北澤委員 守島委員それから船田委員からいろいろ御
質問があ
つたのでありますが、いよいよ講和條約の
効力が発生するのが来年の二、三月ごろということにな
つておる。條約の
効力発生によ
つて、
日本は完全に
外交権を回復するわけであります。のみならず総
司令部からの覚書によりまして、現在でも
外務省は、
日本にある各国の代表と交渉ができる、また
日本の
政府の在外
事務所も、各国の
政府と交渉炉できるということで、いわゆる
外交権の
相当の部分はすでに回復されておるということでありまして、この
外務省の仕事は非常に多くな
つておるというわけであります。従いまして
終戦以来非常に圧縮された
外務省の組織は、新しい事態に対処して
相当拡充しなければいかぬ。特に戦争前の
日本は
外交と武力と両方によ
つて、
日本の対外発展をしてお
つたのでありますが、現在のように完全に武力のない
日本におきましては、この
日本の将来の発展を期するためには、結局
外交ということが私は最も大きな部分を占めるものだと思います。そういう
意味におきまして、現在の事態に対しまして、
外務省の
機構あるいは人あるいは予算、こういうふうな
関係において、
外務省の組織を格段と拡充しなければいかぬと思います。今回の
設置法案は
外務省の
機構でありますが、この
機構におきましてもさしあたりのところはこれでもいいと思うのでありますが、そういうふうな
外務省に大きな使命にかんがみまして、この
機構の点も
考えなければいかぬと思う。次にお伺いしたいのは人の問題であります。
終戦以来
外務省の人を非常に圧縮しまして、また
外務省の人を各省に配属さしたのでありますが、
外務省が非常に大きな使命を持
つて立ち上るためには、
外務省の人の問題も
相当大きな問題だと思うのであります。それからもう
一つ予算の問題、いかに
機構があり人があ
つても、活動するには、どうしても先立つものは金であります。予算の問題も思い切
つてとらなければいかぬ。もちろん
日本の財政の現状から見ますると、いろいろ問題はありましようけれ
ども、この
外交の機能を大いに発揮するためには、予算の面においても
相当とれないと、
外務省に期待され得る使命というものが
遂行できない、こう思うのであります。そういうわけで
外務省におきましては、
機構の問題、人の問題、予算の問題、この三つをひとつ関連させて十分に
考えてもらいたい、こう思うのであります。
そこでこの
機構の問題について伺いたいのでありますが、戦争前に
日本の
外交におきまして、二つの大きな欠点があ
つたのであります。
一つはいわゆる二重
外交であります。
外交というものが一本でなくて、片方には軍部がある。軍部のいわゆる
外交、
外務省の
外交、霞ケ関の
外交と三宅坂の
外交、そのほかにも商工省とかあるいは大蔵省とか、こういうふうに
外交というのがいろいろにわかれてお
つた、多元的にな
つてお
つたために、
日本の
外交の機能が十分に発揮されなか
つたことは、これは世間周知の事実であります。ことに軍部の
外交と
外務省の
外交というものが矛盾したがために、二重
外交というようなことで、非常な問題を起したわけであります。こういうわけでありまして、これが
一つの欠点、もう
一つは先はど守島委員から
お話があ
つたのでありますが、
外務省の
外交はいわゆる霞ケ関の
外交であ
つた。
外務省だけの
外交であ
つた。国内のほかの各省とか、あるいは議会とか、輿論、こういうものと遊離した
外交だけであ
つた。いわゆる霞ケ関
外交と言われたところである。こういうことでありますから、特に今後講和條約以後の
外務省におきましては、二つの欠点を一掃してもらいたい。従来のような二重
外交はやめて、
日本の
外交というものは完全に一本にな
つてもらうということで、先ほど申し上げましたように、
外務省だけの霞ケ関
外交ではなくて、
日本の各
方面と密接な
連絡をと
つて、
日本の総力を背景にした
外交をしてもらいたいそこに初めて強力な
外交ができる。従来のような戦争前の霞ケ関の
外交ではなくて、
日本の国内の全部の総力を発揮した
外交をするという
意味で、ひとつ国内あるいは議会あるいは各省あるいは輿論というようなものと、
外務省との
関係を密接にして、ほんとうに
日本の
外交というものが、国の輿論あるいは国のほんとうの総意を発揮するようにしてもらいたい、こう思うのであります。そういう点から
考えますと、この
設置法は必ずしも十分でないというふうに私は思うのであります。第一点の二重
外交の点でありますが、今回の
設置法におきましても、この点は十分注意されたようでありまして、たとえば
設置法の第三條におきまして、「
外務省は、左に掲げる国の行政
事務を一体的に
遂行する責任を負う」こういうふうに
外交というものが、一元的に行かなければいかぬというふうにも書いてあります。それからまた第三條の十号には、「対外
関係事務の処理及び総括」は
外務省がするというふうにも書いてあります。それから、また先ほ
ども政府当局からも御
説明がありましたが、
在外公館——この
在外公館というものは、これは完全に
外務大臣の
監督下に置くというふうにな
つておるのでありまして、こういうふうに
外交が二元的に出ないように、
外務省が留意された点はわかるのであります。ところが先ほ
ども問題に
なつたのでありますが、こういう点で今後最も問題になるのは、
外務省と通産省であると思うのであります。通商
関係の仕事というものは、従来
外務省と商工省あるいは通産省の間にいろいろな問題があ
つた。一時は貿易省というような問題も起きたのでありますが、この
外務省、通産省との間の通商
関係事務に関する問題、これがなかなか従来大きな問題にな
つてお
つたのであります。従いましてこの通産省と
外務省との
関係をどう調整するかということが、今後に残
つておる大きな問題であると思うのであります。ここに通産省の
設置法がありますが、これによりますと、「通商に関する協定その他の取極に関すること。」こう書いて、あります。ところが
外務省設置法にも「条約その他の国際約束の締結」と、こういうふうにな
つておるのでありまして、通商に
関係する協定などにつきましては、
外務省と通産省と両方に
権限があるように書いてある。それからまた、これは通産省
設置法の通商局の
権限ですが「通商に関する政策、計画及び手続を立案し、並びにこれらの実施の総合調整を図ること。」こういうふうに書いてあります。ところが
外務省設置法の第三條第一号には「
外交政策の企画立案及びその実施」とある。そうすると、いわゆる海外通商政策というものと、一般的な
外交政策との
関係はどうなりますか。どうもこの点が、ともすると
外務省と通産省との間に、こういう問題について二元的に相なりはせぬかというふうな心配を、われわれは持つのであります。こういうわけでありまして、私
どもは今回のこの
設置法におきまして、特に
外務省と通産省との間の国際通商に関する仕事の分担と申しますか、限界と申しますか、そういう点についてひとつはつきり伺
つて、こういう問題が一糸乱れず、一本の線でいろいろの政策が立てられ、一本の線で交渉が行われるというふうにしてもらいたいと思うのであります。
以上の点について伺いたいと思います。