○
立花委員 現在
追放の問題が問題にな
つておりまして、
国民は非常に関心を持
つているわけなんですが、
国民が
追放の問題に関心を持
つておりますのは、ただいまお出しにな
つております
改正案によ
つて、現在残
つております一万八千名、すでに
追放令を
適用されております者、この大部分の者は、数回の
追放解除にも漏れましたところの重要なる戰争犯罪人を多分に含んでいると思うのですが、
追放を
解除されていない残りのこの一万八千名が、
国民の関心の的ではなくて、実は
国民は
追放令の問題がどうなるかというところに関心を集めております。焦点は最近
政府が
追放に関する
覚書の
精神をか
つてに拡張
解釈いたしまして、
国民の基本的人権あるいは
日本の民主化を阻害しようとするところの誤つた
追放に関する関心だと思うので、その誤つた
追放が今後どれだけ拡大されて行くか、
日本の民主団体にどれだけ誤つた
追放令の
適用が行われるか、あるいは卑近に申しますと、いつ自分の頭の上に誤つた
追放令の
適用が行われて来るか、あるいは
国会の問題にいたしますと、いつわれわれ
国会議員の上にもこの誤つた
追放が加えられるか、九月六日の
共産党三名の
国会議員を含みますところのむちやくちやな
追放、こういう形がいつわれわれ
国会議員の上にふりかか
つて来るかわからない。そういう危惧こそが、今
追放に関する
国民の関心だと思うのです。そういう
意味におきまして、私
どもは
追放の問題を
国会で問題にする場合は、どういたしましても
政府の
追放に対する態度、これをまず第一に問題にしなければいけないと思う。しかも
政府は今まで
追放の
解除によりまして、たくさんの者を
解除いたしました中から、警察予備隊に編入し、あるいは警察に採用いたしまして、最近の弾圧機構を強化いたすことに努めておるのは周知の
通りです。すでに
解除されました者のうち、元の陸軍あるいは海軍の佐官級四百名を神奈川県で再訓練いたしまして、予備隊あるいは海上保安庁に吸収する、あるいはさらに尉官級四百名ばかりを再訓練して、同じく予備隊あるいは海上保安庁に採用する。そういうようなことを行
つておりまして、むしろ
国民は
追放の
解除ということに対しましては、喜びの念よりも恐怖の念を抱いておる。
日本の
政府の最近のフアッシヨ化の方向あるいは再軍備の方向に、この
追放解除が非常に悪用されておるということに
疑惑を持
つておるわけです。また一面先ほど申しましたように、新しい
追放令の
解釈によりまして、全
国民が新しいこのフアツシヨ化の機運に脅え、またそれがいつ自分の身に振りかか
つて来るかわからないということで、危惧を持
つているわけです。だから私
どもといたしましては、
政府の方で
考えております
追放令のこの問題も、そういう観点から検討しなくてはならないと思いますし、ただ單に今度の
改正案に盛られておりますような
訴願委員会をつくるというような形では、決して
追放の問題は解決されないのではないか、そういうふうに
考えます。特にこの
質疑の中で明らかになりましたように、
政府は明らかに、この
歴史的な
法律でありますところの
追放令を非常に拡張
解釈いたしまして、
戦時中の
軍国主義的な要素、あるいは
日本国民を欺いて侵略
戦争にかり立てたような
勢力、そういうものに対する
追放の処分であるという
精神を逸脱いたしまして、戰後におきましても、現在におきましても、あるいは将来におきましても、單に反
民主主義的という名目のもとに、あらゆる者が
追放できるというような拡張
解釈をや
つているわけなので、これはわれわれとしては断じて許すことはできないと思います。しかもすでに
追放令の施行に伴いまして
規定されておりました
資格審査委員会というものも、大体これはもう新しい
追放該当者はないだろう、新しい
追放令の
適用の場合はもうないだろうという
建前から
廃止されまして、現在では
総理大臣に一任されておりまして、
総理大臣は何らこの
審査の特別な
手続もやらないで、
追放を行
つているわけなのでありますが、そういう場合に
政府がこの新しい
追放令の拡張
解釈をやりまして、現に九月六日には
共産党の
幹部と称しまして、多数の
国会議員を含む者を
追放しておるのであります。こういう形でやられて参りますと、私
どもは
追放令そのものに重大なる
疑惑を持た
ざるを得ませんので、單に
訴願委員会ができたからとい
つて、こういうふうな
政府の弾圧の機関になり、反
民主主義的な、人民を抑圧するところの機関にされようとしております
追放令そのものに、私
どもは重大なる
疑惑を持た
ざるを得ませんので、この法案には賛成できないわけであります。
しかも
政府は、今度の
改正案によりまして、六・六
追放あるいは九・六
追放の
該当者も
訴願の道が開かれておると言われますが、私
どもは
訴願の道自体が問題ではございませんので、こういう六・六の場合あるいは九・六の場合のような問題に
追放令を
適用すること自体が問題ではないかと思う。しかも岡崎
官房長官はそこにいらつしやいますが、どういう理由で
追放令をこれらの
共産党の
幹部に
適用したか、その具体的な
根拠は何らお示しにな
つていない。当時私
どもに約束されました追
つて発表するということも、今に至
つてなおこれが発表されてない。そういう不明瞭な形のままで、この
追放令による具体的な行政が行われますことは、私
どもはどうしても納得できません。しかもだんだん追究いたしますと、いや
追放令でや
つたのではないのだ、六・六
追放の場合の
覚書の拡張
解釈によ
つてや
つたのだ、あるいはいやそうではないのだ、
団規令の場合の
覚書の
精神に基いてやつたと言う。一体何が
根拠で、何に基いて
追放が行われておるのか。
国民はもう五里霧中だといわ
ざるを得ないと思うのです。そういう形で
国民に不明朗なもの残しながら、しかも
国民に恐怖の念を與えて、五里霧中のうちに、人心を不安動揺にからしめているようなこの
追放令の
根本的な処理なしには、私
どもは単なる
追放令の部分的な修正に対しましては、どうしても賛成することができないわけです。
この際
政府はよろしくこの
追放令に対する
根本的な
考え方を明確にし、そうして最近行われました六・六
追放あるいは九・六
追放に対する具体的な
根拠と、具体的な、法的な
根拠を明確にいたしまして、民主化を要望します
国民の期待にこたえるところがなければならないと存じます。しかし最近の傾向といたしまして、
政府は
団規法を準備いたしまして、ただいま私が指摘いたしました、新しい拡張
解釈をされました
追放令を、
団規法の中に盛り込もうとしておられます。
公職追放という言葉では出ておりませんが、
就職禁止あるいはその他の名前で、
政府が今まで拡張
解釈を専断的にや
つて参りました
追放令の
精神を、今後の新しい事態における
団規法に織り込もうとしておるわけなので、これに対しましては、全
国民が治安維持法の復活といたしまして、重大なる関心を持
つております。またこれに対しましては、今や全国のあらゆる労働組合あるいは民主団体がこぞ
つて反対をいたしておりまして、悪法反対の運動がほんとんどすべての
日本の労働組合の、最近の主たる闘争の目標にな
つております。国鉄労働組合におきましても、悪法反対の闘争を宣言いたしておりますし、あるいは
日本で今一番大きな組合であります総評におきましても、非常事態宣言を発しまして、
政府が企てておりますところの労働組合法の改悪、あるいはゼネスト禁止法の制定、あるいは終局的には
団規法の制定、こういうものに対しまして一齊に反撃に立ち上
つておりますし、また最近ストライキを断行いたしました炭鉱労働組合、いわゆる炭労と言われております組合におきましても、この総評と同じような
趣旨から、
団規法を先頭といたします
日本の現在の
政府のフアツシヨ的な諸立法に対しまして、断固闘うということを非常事態宣言の中で言
つておるわけなんです。あるいは最近の輿論の動向に見ましても、あらゆる新聞、商業新聞までも加えまして、プレスコードの復活を含みますところの最近の一連のいろいろな弾圧法規、こういうものに対しましては、輿論の大きな反撃があるわけなんです。そういう観点からいたしまして、私
どもは
政府が單に
公職追放の問題に対して
訴願委員会を設けるというふうな
ごまかしの法案は、われわれはのむことができませんので、
政府が大衆の圧力によ
つてこの一連の弾圧法規を撤回なさるまでは、われわれはこういう
ごまかしの法案には賛成できないことをここに明確にいたしておきまして、反対の言葉にかえます。