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1951-11-10 第12回国会 衆議院 内閣委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十一月十日(土曜日) 午前十時二十六分
開議
出席委員
委員長
木村
公平君
理事
青木
正君
理事
江花 靜君
理事
船田
享二
君 大内
一郎
君
鈴木
明良君 松本
善壽
君
山口六郎次
君
金子與重郎
君 村瀬
宣親
君 松岡 駒吉君
松澤
兼人
君 加藤 充君 小平 忠君
出席国務大臣
国 務 大 臣
橋本
龍伍
君 農 林 大 臣
根本龍太郎
君
郵政大臣電気通
信大臣
佐藤
榮作君 労 働 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
行政管理庁次長
大野木克彦
君
農林政務次官
島村 軍次君
委員外
の
出席者
文部事務官
(
大臣官房総務
課長) 相良 惟一君 専 門 員
龜卦
川 浩君 専 門 員 小關 紹夫君
—————————————
十一月十日
委員千葉三郎
君及び
鈴木義男
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
金子與重郎
君及び
松澤兼人
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員松澤兼人
君
辞任
につき、その
補欠
として川
島金次
君が議長の
指名
で
委員
に選任された。 十一月九日
恩給法
の一部
改正
に関する
請願
(
鈴木義男
君紹 介)(第八二五号)
水産省設置
に関する
請願
(
圖司安正
君外三名紹 介)(第八五四号) 同(
石原圓吉
君外一名
紹介
)(第九〇一号)
皇居再建
に関する
請願
(
庄司一郎
君
紹介
)(第 八八五号) の審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一八号)
—————————————
木村公平
1
○
木村委員長
これより
会議
を開きます。
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。本案について
自由党青木正
君及び
国民民主党
の
船田享二
君よりそれぞれ
修正案
が提出されておりまするから、この際両
修正案
について順次
提出者
の
趣旨弁明
を求めます。まず
青木正
君。
青木正
2
○
青木
(正)
委員
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、
自由党
より提出いたしました
別紙修正案
について、その
理由
を御
説明
申し上げたいと存じます。
原案
の
定員
は一応米の
統制撤廃
を明年四月一日から実施するということを
前提
としておるのでありますが、
政府
は先般米の
統制撤廃
を実施する
方針
ではあるが、その時期は供出の
状況
及び米の
輸入状況等
を十分に勘案して決定することにな
つたの
であります。よ
つて附則
第三項を削り、
食糧庁
の
定員
に七千九百六十一人を増加するとともに、
船用米配給
の
関係
で運輸省において二百人を、
労務加配米
の
関係
で
労働省
において九百七十九人を加えることにいたしたのであります。簡単でありますが、以上をも
つて
修正案提出
の
理由
といたします。
木村公平
3
○
木村委員長
次に
船田享二
君。
船田享二
4
○
船田委員
ただいま
議題
とな
つて
おります
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、
国民民主党
を代表してこの
修正案
の
提案
の
理由
を
説明
申し上げたいと存じます。まず
修正案
の
案文
を申し上げます。
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
の一部を次のように
修正
する。 第二条第一項の表の
農林省
の項中「二〇、五四八人」を「二四、五一一人」に、「一五、二四二人」を「二九、四五四人」に、「五八、五一四人」を「七六、六八九人」に、同表の
合計
の表中「八〇二、七四〇人」を「八二〇、九一五人」に改める。
附則
第二項中「二万千五十五人」を「二万五千十八人」に改める。
附則
第三項を削り、
附則
第四項中「(前二項の
規定
が適用される場合においては、これらの
規定
によ
つて
置くことができる
定員
とする。)」を「(
農林省
の
本省
の
職員
については二万五千十入人、通商
産業
省の
本省
の
職員
については八千八十四人)」に改め、同項を
附則
第三項とし、以下一項ずつ繰り上げる。 これが
案文
でありますが、以下少し
提案
の
理由
を
説明
申し上げたいと思います。
政府
はこの
法律案提案
の
理由
として
行政事務
の
簡素化等
に伴い各
省庁
の
定員
を
改正
する必要を生じたと
説明
するのでありますが、そのいわゆる
行政事務
の
簡素化
とか、
合理化
とかの実態はほとんどまつたく明らかにされておりませんし、また
地方行政
の
機構改革
とか
事務
の
簡素化等
との関連もはなはだしくあいまいなのでありまして、本
法律案
はむしろ
天引式
に
人員
の
整理
を
行つて
、それによ
つて
しいて
行政事務
の縮減を求めようとするものといわなければならないのであります。かつまたその
天引式
の
整理
の基準はきわめてあいまいなものであるばかりでなく、各
省庁
の間の
均衡
を無視しているのであります。のみならず、こういうような
政府
の
整理案
によ
つて
生ずる
犠牲者
の数は、
最少限
に見積りましても六万ないし六万五千に及ぶと
説明
されるにもかかわらず、こういうような
犠牲者
に対する
政府
の
対策
は、
退職金
を多少多額に支出するという以外にはほとんど見るべきものもないのであります。さらに
政府
は、今度の
整理
にかかわらず引続いて大幅に
行政機構
の
改革
を行おうとする態度を示しているのでありまして、その
機構改革
にあた
つて
たまたま
人員整理
の行われるおそれが十分にあるのであります。こういうような
方法
をも
つて
する
行政整理
によりましでは、いたずらに公務員に不安を与え、公務に専念することを妨げますとともに、大きな社会不安をかもすにすぎないとしか考えられないのであります。われわれはもとより、
行政機構
を
簡素化
し、
行政事務能率
を高め、
国民負担
の
軽減
をはかるという
趣旨
の
行政整理
をできるだけ早く断行すべきことを常に主張して来たのであります。
従つて
、
行政
を
簡素化
し、
現下
の
わが国力
にふさわしい
行政体制
を樹立するという
政府
の
方針
それ自体に対しましては、賛意を惜しむものではありません。けれども、この
法律案
によ
つて
示されるような
方法
をも
つて
する
行政整理
によりましては、
政府
の
趣旨
とするところは実現されることを得ず、むしろ逆の効果を生ずるおそれが十分にあるものといわなければなりません。こういうような本
法律案
の欠点は、ことに
農林省
に関する
部分
において強く現われ、ここに集中されていると思われるのでありまして、
政府案
は、
農林省
の
統計調査部
及び
統計調査事務所
の現在
定員
一万四千九百四十二人のうち六千五百二十人を
整理
して、八千四百二十二人の
定員
とし、また
食糧庁
の現在
定員
三万一千二百五十六人のうち一万六千十四人を
整理
して、一万五千二百四十二人の
定員
としようとしております。その
整理率
は案に前者において四三・六%、後者において五一・二%の高きに達しておりまして、二人のうちの一人は必ず
整理
されるというような
状態
でありまして、その結果、この
法律案
による
整理全員
の約三分の一に上る多数の
整理人員
を
農林省
一省が引受けなければならないということにな
つて
おります。ことに
統計調査関係
の
定員
は最近千五百名
減少
せしめられたばかりでありまして、その上にこういうような大幅な
削減
をあえてしようとするそういう
整理
の率は、他の
省庁
における
統計関係職員
の
整理率
に比べてみましても、著しく
均衡
を失するものであります。たとえば
総理府統計委員会
の
整理率
は一〇%、
総理府統計局
の
整理率
は一六・三%にすぎませんし、最も高い大蔵省の
統計関係職員
の
整理率
も二八・六%にとどまるのであります。こういうような大幅な、ほかの
省庁
との
均衡
を無視した
整理
をあえてする
理由
として、
政府
は米の
統制撤廃
を
前提
とするという
説明
を加えたのであります。しかし米の
統制撤廃
に関する
政府
の
方針
は、まつたく明らかにされませんうちに、
政府
はその
言明
をひるがえしてしま
つて
おるのであります。
統計調査関係
においても、
食糧庁
についても、
統制撤廃
を
前提
とする
整理
ということは、これを行い得ない
状態
にな
つて
おりますことは言うまでもありません。のみならず、
統計調査関係職員
の
定員
にせよ、
食糧
の
管理
及び
検査関係
の
職員
の
定員
にせよ、現在の
定員
は必ずしも主食の
統制
のためにのみ必要なものとして定められてあるものではないのでありまして、大
部分
は
統制
の有無にかかわらず必要な
定員
といわなければならないのであります。言うまでもなく、きわめて表面的に見ますと、
農林省
の
統計調査関係職員
の
定員
は、ほかの
省庁
の
統計調査関係
の
定員
に比べて一著しく多数に上
つて
おりますけれども、
農業
とか、林業とか、
畜産業
、
水産業
に関する
統計調査
におきましては、
生産
なり、流通なり、消費なり、労働なり、
耕地
なり、経営規模なり、その他の
生産要素
、あるいは
経済
、家計、
価格
、
生産費等
、これらすべてを
農林省統計調査関係職員
が担当しておるのでありまして、ほかの
産業部門
におきまして、
生産
とか、
価格
とか、労働とか、工場とかいうものを、通産省とか、
労働省
とか、厚生省とかいろいろの省が分担しておるのとは非常に趣を異にしております。また
農業
などが
わが国
の
産業
において占める重大な地位にかんがみ、さらにその
調査
がきわめて困難でありまして、各町村、各
耕作者
についてこれを行わなければ、精密な
統計
をとり得ないということを考えますと、
定員
が他の
省庁
の
統計調査関係職員
の
定員
に比べて多数に上ることは当然と言はなければならないのであります。ところが
政府案
によりますと、第一に
農作物調査
の中で、
米麦
については、
米麦生産統計
を
府県別段階
の推計にとどめることとなるのでありまして、
従つて水稲
について、
作付面積調査
において、
作付歩合
の
現地調査
の
標本数
を本
年度
よりも六七%
削減
することになりますし、また
耕地
のなわ延びあるいはなわ縮みと申しますか、なわ延びなどを調べるための
平板測量
を全廃するということになるのでありますが、これらはいずれも、どんなことがあ
つて
も現在の二〇%
程度
の
減少
にとどめる必要があるのであります。また
収量調査
におきましても、
予想収穫高調査
及び
推定実収高調査
を、いずれも本
年度
の半分以下、四四%ぐらいに
削減
しなければならなくなるのでありますが、これまた約倍の八八%
程度
に維持する必要が認められるのであります。 次に陸稲とか
麦類
につきましては、
作付歩合
の
現地調査
の
標本数
及び
平板測量
の
標本数
の
削減率
は、本二十六
年度
に対しまして四三%に上ることとなるのでありますが、これもまたせいぜい二〇%
程度
の
減少
にとどめる必要がありまするし、また
収量調査
につきましても、
予想収穫高調査
及び
推定収穫高調査とも
に本
年度
に比して約四分の一、二五%
程度
の
削減率
となりますけれども、これも
削減率
は一〇%
程度
にとどめる必要があると思われるのであります。 さらに同じ
食糧
の中でも、菜種とか大豆その他の
作物
の
実測調査
は、
政府案
によりますと、まつたく不可能となるおそれがあるのでありますが、これらに関するものはむしろ現在よりも強化する必要があると思われるのであります。 第二に、
農林経済調査
、
農林統計
、
水産統計
につきましては、
人員
の不足によりましてその
正確度
は相当に低下するおそれがあるのでありまして、
政府案
による二〇%
整理率
をせいぜい半分の一〇%にとどめる必要があることは明らかであります。 また
管理事務
につきましては、
地方統計調査事務所
について、
政府案
は二〇%の
整理率
を適用しているのでありますが、これらの
事務所
は、
政府
のつく
つた政令改正諮問
のための
委員会
の
行政制度改革
に関する
答申
にも言われております
職員
百人未満の小
行政機関
に当るものでありまして
従つて
これまた一〇%
程度
にとどめる必要があるのであります。 次に
食糧増産対策
とか
土地
の改良、
耕種
の改善、
農業災害補償制度
による
農業共済
、
単作地帯振興等
、
各種
の施策のため、あるいは
農業経営指導
の
基礎資料
の作成のためというようなことを考えますと、
統計
は、少くとも
米麦
について県内の
農業地帯別
のものたるということを必要とするのに、
政府案
によりますれば、これらをまつたく廃止する必要が起きて来るのであります。 また
最後
に
政府案
によりますと、一昨二十四
年度
から五箇年
計画
で始められた
耕地面積調査
を放擲しなければならないことになるのでありますが、こんなことをいたしますと、すでに実現されておりますこの
計画
をまつたく無効なものにしてしまいまして、明治初年に早々の間に行われた
調査
による、あの頼りない
土地台帳
を唯一の頼りとしてや
つて
行くというような、
文化国家
にあるまじき野蛮な
状態
をこの先なお続けなければならないこととなるのでありまして、かようなことは、われわれの断じて認めることのできないところであります。のみならず、
農業統計
に関しましては、今度の
平和条約
における宣言におきまして
わが国
は一九二八年十二月十四日にジユネーヴで署名された
経済統計
に関する
国際条約
及び
議定書
、並びに一九二八年の
経済統計
に関する
国際条約
を
改正
する一九四八年十二月九日パリで署名された
議定書
に加入する意思を表明しておるのでありまして、そうしてこの
経済統計
に関する
国際条約
及び
議定書
は、第一に
主要作物
に関する
栽培面積
の分布、それから第二に
作物
の
収穫高
、これに関する毎年の
統計表
を提出すること、それから完全な
統計表
を提出することができないときは、その不完全の
程度
を示すべきこと、これが約されておるのであります。
政府原案
によりますと、こういうような
国際条約
上要求される
正確度
の
農業統計
をつくり得るかいなか。おそらく
府県段階
において三%の誤差が現われて来るものではないかと予想されるのでありまして、きわめて疑わしい
状態
に陥るおそれがあるのであります。今や
平和条約締結
とともに、
わが国
が
国際経済
に復帰するに従いまして
国際農業機構
とか、
国際統計機構
へ、
統計
を通じて協力し、また
海外
の
農業事情
、
海外
の
農業統計
をできるだけ早く的確に把握する必要がいよいよ強くな
つて
来ておるのであります。さらにまた国内の
主要食糧
が絶対的に不足しております今、どうしても外米、
外麦
を輸入しなければならない
状態
のもとにおきまして、国内産の
食糧
が一体どれだけ不足するのかをあくまでも正確につかんで、
輸入対策
を講ずる必要がいよいよ強くな
つて
来ておるのであります。
従つて農林統計農産物調査
の
事務
はいよいよ拡充することを要するのでありましてこれを逆に、しかも大幅に
整理
するというようなととはまつたく考えられないことといわなければなりません。 次に
食糧庁関係
についてみますと、
政府案
は
食糧統制業務
の
職員
六千八百八十二人の
定員
のうち、六〇%に相当する四千百二十九人を
整理
することとしておるのでありますが、これは
食糧統制撤廃
を
前提
としたものでありまして、
従つて統制撤廃
が
政府
の
言明
にもかかわらず行えなく
なつ
た限り、かような
整理
を行い得ないことは言うまでもないのであります。 また
農産物検査業務職員
二万三千五百三十四人の
定員
のうち、
ちようど
半分にあたる一万一千七百六十七人を
整理
することとな
つて
おりますが、これまた
統制撤廃
を
前提
とするものでありますが、
農産物検査業務
は
統制
とは無
関係
なのでありまして、
昭和
十七年すなわち
農産物検査
が国営となる
直前
におきまして、すでに
農産物検査関係職員
の数は一万七千七百三十五人、ほかに
臨時検査員
が千五百七十四人あ
つたの
であります上、また
昭和
二十一年
検査品目
の
増加等
に伴いまして、
検査
官を大幅に増員するに至つたあの
直前
におきましては、国費によるもの一万五千九百十二人、
地方費支弁
のもの二千八百二十一人、ほかに
臨時検査員
が千四百六十一人あ
つたの
であります。そうして現在におきまして、
農産物検査法
によ
づて検査
を行うべき
農産物
の、種類も、数量も少しも
減少
はしておりませんし、
減少
する
予定
もないばかりか、
検査技術
はいよいよ精密となりつつあるのであります。
政府
はかような
情勢
にもかかわらず、しいて
検査関係職員
を
整理
しまして、
検査事務
とともに
整理人員
を
地方
の
農業協同組合等
に吸収せしめよう、これは
農林大臣
も
説明
しておられたのでありますが、こういうような
方針
をと
つて
おるのでありますが、申し上げるまでもなく、
検査事務
は、
地方
的、個別的なものから、次第に統一的に、
従つて
中立的に、公平に
国家
が行う方向に発達して参
つたの
でありまして、ようやく現
段階
に達しているのであります。これをとかくの弊害のつきまとつた二十年も三十年も前の
状態
にしいて押しもどそうとするようなことは、われわれどうしても承服することができないのであります。 さらにこれを
整理
の
犠牲者
の
方面
から考えてみましても、
統計調査関係
にありましては、
食糧
の
検査
及び
管理
の
関係
にあるものと同様に、
職員
の多くは
農村出身者
なのでありまして、
従つて
整理
されまして失職した場合には、多くは
農村
に帰らなければならないと思われるのであります。ところが最近
農業
への
就職者数
が著しく
減少
して、非
農業
への
就職者数
が増加したことは、この
委員会
におきまして、
橋本長官
が特に強調された
通り
であります。この現象は、人口過剰に悩む
農村
が、これ以上人口を吸収し得る能力を
失つて
、超
飽和状態
に陥つたことを物語るものなのであります。かような
状態
のもとにおいて、ことさらに
人員整理
を
行つて
、多数の
犠牲者
を
農村
に追い込もうとする
政府案
は、
犠牲者
を死地に陥れようとするものであり、またいたずらに
農村
を混乱に陥れようとするものと言わなければならないのであります。 こういうふうに
農林統計調査関係
と、
食糧
の
管理
及び
検査
の
関係
の
職員
の
定員
を大幅に
削減
しようとする
政府原案
は、いずれの
方面
から見ましても不当なものと考えられるのでありますが、
他方
できるだけ
職員定員
を
削減
して
財政支出
の
軽減
をはかるということも、
現下
の
わが国
の困難な
情勢
のもとにおきましては、ある
程度
までやむを得ないと言わなければならないのであります。よ
つて
わが党は各般の
事情
を勘案しまして、
政府原案
に対して次のような
修正
を加えようとするものであります。 すなわち、
統計調査部
におきまして
管理事務
、
試験
、
中央電気集計
につきましては
原案
の
通り
といたしまして、
農作物調査
については、現
定員
二百四十七人から四十九人を
削減
しまして百九十八人とする。それから
農林経済調査
、
農林統計
、
水産統計
、百三十二人の現
定員
のうちから、
政府原案
は二十六人を
削減
するのに対して、
修正案
は十三人を
削減
いたしまして、新
定員
を百十九人とする。こういうふうにしまして、
合計
現在
定員
四百八十人のうち、七十六人を
削減
して、新
定員
四百四人といたします。 次に
統計調査事務所
につきましては、
試験
に関する
部分
は
原案
の
通り
といたしまして、
管理事務
四百四十一人のうち八十入を
削減
しようとする
原案
に対して、四十一人の
削減
にとどめまして、新
定員
を四百人とする。
農作物調査
におきまして、一万八百九十七人の現
定員
に対して五千七百九十五入を
削減
しようとする
原案
に対し、二千百五十九人を
削減
することといたしまして、新
定員
を八千七百三十八人とする。
最後
に
農林経済調査
、
農林統計
、
水産統計
、現
定員
二千五百人中、
政府原案
は五百人の
削減
をするのに対しまして、
修正案
は二百五十人の
削減
にとどめまして、新
定員
を一千二百五十人とするのであります。かくして計一万四千四百六十二人のうちから二千四百八十一人を縮少いたしまして、新しい
定員
二万一千九百八十一人といたします。これにより
統計調査部
、
統計調査事務所
、
合計
現
定員
一万四千九百四十二人のうち、二千五百五十七人を
削減
いたしまして、新
定員
二か二千三百八十五人とするものであります。すなわち
政府原案
に対しまして、三千九百六十三人を復活せしめまして、これによ
つて原案
が
農林省本省
の
定員
を二万五百四十八人としようとするに対しましてこれを二万四千五百十一人としようとするものであります。 続いて
食糧庁
につきましては、
一般会計
に関する
部分
、それから
食糧研究所
に関する
部分
は、
政府原案
のままといたしまして、
特別会計
の
部分
の
食糧管理
現
定員
六千八百八十二人、これを
政府原案
は四千百二十九人を
削減
しようとするのに対しまして、
修正案
は三百九十人の
削減
にとどめまして、新しい
定員
六千四百九十二人にいたします。
検査関係
におきまして、二万三千五百三十四人の現
定員
中、
政府原案
は一万一千七百六十七人を
減少
せしめようとするのに対しまして、
修正案
は千二百九十四人の
削減
にとどめまして、新
定員
を二万二千二百四十人といたそうとするものであります。このほか
技能関係
につきましては、
政府原案
をそのまま認めることにいたします。すなわち
原案
に対して、一万四千二百十二人を復活して、これによ
つて食糧庁
の新
定員
を二万九千四百五十四人としようといたすものであります。 こういうふうにいたしまして、
農林省
の新
定員
は
原案
では五万八千五百十四人であるのに対しまして、
修正案
では七万六千六百八十九人となります。また第二条第一項の表の
最後
の
合計
が
原案
では八十万二千七百四十人であるのに対しまして、
修正案
では八十二万九百十五入となることは申すまでもありません。その結果としまして、
附則
の第二項、第三項、第四項を、先ほど朗読いたしました
修正案案文
の
通り
に変更することは、一々
説明
申し上げるまでもなく明らかなことと存じます。
最後
に、こういう
修正案
に伴いまして、本
年度補正予算
に計上されました
人件費
の減額は、これに応じて復活する必要がありますけれども、
他方
これにより不必要となるに至る
退職手当
はこれを
補つて余り
があるのでありまして、われわれの
修正案
による
人件費増額
は大体九千百四十四万三千余円であるのに対して、われわれの
修正案
による
退職手当
のいらなくなる
部分
、
退職手当
の
不用額
は七億三千四百五十六万余円に上るのでありまして、差引六億四千三百十一万七千余円が本
年度
においては節約されることとなると思うのでありまして、この点については
予算
上の問題はないと思うのであります。もとより
政府原案
に対しまして、他の
省庁
につきましても
各種
の
修正
すべき点が多々あることは、われわれこれを認めておるのでありますが、われわれは今最も不合理と思われる
農林省
、ことにその
統計調査関係
及び
食糧庁
につきましてのみ、
最小限度
における
修正案
を提出する次第であります。 何とぞ皆さんの御賛同を得たいと存じます。
木村公平
5
○
木村委員長
これにて
修正案
の
趣旨説明
は終了いたしました。 これより
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
及びこれに対する両
修正案
を一括して
議題
に供します。質疑の通告がありまするからこれを許します。
松洋兼人
君。
松澤兼人
6
○
松澤委員
行政管理庁長官
にもいろいろお伺いしたいことがありますが、
ちようど郵政
、
電気通信
の
主管大臣
であります
佐藤
君が来ておられますので、とりあえずそちらについてお伺いしたいと思います。いわゆる
政令諮問委員会
というものが
内閣
におきましてどの
程度
の
重要性
があるか存じませんけれども、この
答申書
によりますと、
行政機構
の
改革
の点につきまして、御承知のように
電気通信事業
の
公共企業体化
に伴い、
電気通信
の監督及び
電波監理事務
と
郵政事務
とを統合して
通信省
を設けるということがあるのであります。最初にこの問題に関連いたしまして、
電気通信事業
の
公共企業体化
というものに対する
大臣
としてのお見通しをまず第一にお伺いしたいのであります。この問題はいつごろから実施される
予定
であるのか、はたして現在におきまして確固たる一つの
方針
淡きま
つて
おるのか、この点についてお伺いいたしたい。
佐藤榮作
7
○
佐藤国務大臣
電信並びに電話を一緒にいたしましての
公共企業体化
の案をいろいろ検討中でありますが、まだ成案を得るというところまで参
つて
おりませんので、お尋ねのような点につきましてはお答えするだけのまだ
段階
にな
つて
おらないのでございます。
松澤兼人
8
○
松澤委員
それでは今回のさしあた
つて
の
整理
につきましては、この問題と関連して
行政整理
は全然行われていない、こう了解してよろしゆうございますか。
佐藤榮作
9
○
佐藤国務大臣
さようでございます。
松澤兼人
10
○
松澤委員
そこで従前からこの
委員会
におきまして
種々論議
があつたところでありますが、
橋本行政管理庁長官
は、今回は
事務整理
を主として
人員
の
整理
を
行つたの
である、今後
行政機構
の
改革
が行われても
人員
の
整理
は行わないということを言
つて
おられるのであります。しかしもし
電気通信事業
が
公共企業体化
されるといたしますならば、そこで当然
人員
の問題は増員されるかあるいは減員されるか、その問題が起
つて
来ると思うのであります。この点につきましては、私どもはやはり諮問
委員会
において
答申
されておりますように、
段階
を設けて、
行政機構
の
改革
、
事務整理
、
人員
の
整理
という
段階
を追
つて
来なければならない、こう考えていたのであります。そこで郵政
大臣
にお伺いいたしたいことは、もし
公共企業体化
ということがあまり遠くない将来において行われるといたしますならば、そこでは郵政、電通
関係
におきまして
人員
の
整理
は行われないものであるか、あるいはそのときになりますならば、
人員
の
整理
ということがまた行われるのであるかという点をお伺いしたい。
佐藤榮作
11
○
佐藤国務大臣
その点は
橋本行政管理庁長官
がお答えいたした
通り
で、同様のことを考えております。
松澤兼人
12
○
松澤委員
そういたしますと、たとい近い将来において
電気通信事業
の企業体化が行われ、しかも
通信省
というものが設置せられることになりましても、
人員
の点につきましては全然変更がないと了承してよろしゆうございますか。
佐藤榮作
13
○
佐藤国務大臣
御承知のように企業官庁でありますので、今
電気通信
省におきましても、新たに交換局を設置いたしましたり、あるいは施設の増備を
計画
したりいたしております。また郵政省の方におきましては、業務量が増加いたして参りますれば、当然
人員
はたくさんいることになるわけであります。従いまして企業官庁といたしましては、今回の
整理
は事業遂行上最大限度のもののように考えますので、今後の需要の拡大強化に対応いたしましては、むしろ将来人をふやして行かなければならない、かような
状況
にあるのであります。
松澤兼人
14
○
松澤委員
私がお伺いいたしたいことは、
電気通信事業
が公共企業体に移行するという場合に、現在の
電気通信
関係
の
職員
をこれ以上減らすような必要はないという点を、はつきりとお答弁いただきたいのであります。
佐藤榮作
15
○
佐藤国務大臣
その点におきましては、私どもいろいろくふうをいたしておりますが、能率向上ができて参りますれば、当然人は減らして参らなければならないと思います。先ほど申しました
行政管理庁長官
のお話は、今回の
行政整理
と同様の
整理
方式を考えるかという点については、
政府
は考えていないということを申されておるのであります。従いまして私どももこれが
公共企業体化
する、その結果当然人が減るというような考え方は毛頭持
つて
おらないのでありますが、事業官庁の特質といたしましては、日々能率の向上をはか
つて
参るわけでありますので、これは今後の研究の問題であります。はつきり申し上げますが、公共企業体に機構がかわ
つて
、それを
理由
にして減員するということが考えられるかというお尋ねでありますれば、さようなことは全然ありません。はつきりお答えいたします。
松澤兼人
16
○
松澤委員
それで大体わかりました。もし
電気通信事業
というものが公共企業体に移行しても、現在の
電気通信
省の
職員
の一部はその方に移行する、そうして監督官庁としての
電気通信
省——今後は
通信省
となるわけでありますが、その監督
事務
を行う者も現在の
定員
よりは減らさない。公共企業体に移
つて
来ても
定員
は減らさない。残る監督
関係
の
電気通信
省、将来は
通信省
になるわけでありますが、その場合におきましても減らさない、あるいは現業官庁である
関係
から、
定員
はかえ
つて
ふえるかもしれない、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
佐藤榮作
17
○
佐藤国務大臣
先ほども申しましたように、
電気通信
省の事業遂行に要します
職員
自身は、この事業を役所とも切り離しまして公共企業体といたしました場合でも、その事業遂行の
職員
にはかわりはないとお考え願
つて
いいと思います。しかし今お尋ねのありました、これが
公共企業体化
した後に監督機構をいかにするかというような問題につきましては、まだ
政府
といたしましても成案を得ておりません。従いましてそれらの部門についてのお尋ねには、ただいまお答えする材料がないわけであります。ただ常識的に考えまして、今お尋ねのような仮定の
状況
にな
つて
来れば、
公共企業体化
した場合に、ある
程度
の監督の局と申しますか、部と申しますか、あるいは課と申しますか、さようなものが必要であろうということは想像がつくわけであります。しかしその所要
人員
を幾らにするかということは、ただいま考えておらない
状況
であります。
松澤兼人
18
○
松澤委員
この点は
橋本行政管理庁長官
のお話では、どんなに今後
行政機構
の
改革
があ
つて
も、
定員
は減らさない。つまりただいまの
行政整理
を第一次のものといたしますならば、第三次の
行政整理
ということは行わない、こういうことを大体承
つて
いるのでありますが、私たちが心配しておりますととは、こういうふうに
人員
の
整理
が最初出て来て、その後に
行政機構
の
改革
が行われる、そういう場合にはどう考えてみても、やはり第三次の
行政整理
といことが必然的に行われるのではないか、こう考えることは決して私は無理ではないと思います。しかしそれは各省のたとえば非現業の方々もそれぞれ融通し合
つて
減員は絶対にしないというお話であれば了解するのであります。しかし常識的に考えてみれば、今まで二つあるいは三つあつた省なりあるいは部なり局なりというものが、
行政機構
の
改革
によ
つて
統合される場合には、どうしてもそこで冗員が出て来るのではないか。冗員が出て来るので、あるいは
簡素化
が行われるという
趣旨
であるならばそこで何か機構の
改革
から当然生じて来るところの
人員整理
というものが行われるのではないか、こういうことを私たちは心配しておるのであります。ところが先ほど
行政管理庁長官
はそういうことは絶対にやらないというふうにおつしや
つて
いる、この点が私にはどうものみ込めない。その点に関する
橋本行政管理庁長官
の御答弁をお願いいたします。
橋本龍伍
19
○
橋本
国務
大臣
前々から申し上げた
通り
であります。まず今
電気通信
省のことを問題にしておられますから、そのことをお話申し上げます。機構については今
電気通信
大臣
からお話のありました
通り
、きま
つて
おりませんから、お話をするところまで参
つて
おりませんけれども、公社になりました場合に監督機構が必要であろうというお話については、若干そういうものが必要であろうと思います。その場合には、今の人たちが公社に移
つて
、監督機構のためまた人をふやすというようなことにならないように、現在
定員
法でねらつた範囲内でさばき得るようにいたしたいとむしろ考えておる次第であります。 一般的な問題といたしまして、たとえば機構を
改革
して統合した場合に、人が余りはしないかという問題でありますが、これは今日の
定員
法で基礎にいたしましたところの
事務
というものがこれだけ必要だという考えであります限り、
人員
が
省庁
の間で異動いたしましても、格別人が余るというふうなことは原則として起
つて
参りません。松沢
委員
の御指摘は、むしろ
管理
要員の庶務、会計みたような者が余りはしないかというようなお話であろうかと思いますが、これも人数が多くなればそれだけ人が必要でありますし、総体の
合理化
という点はこれはあるかと思います。今回の
人員
の
整理
でも人事、会計、庶務等は仕事を
簡素化
しながら相当減らしておりますので、今後機構の
改革
に伴いまして、実質的な
人員
の
減少
というものは、原則として出て参らないと考えております。
松澤兼人
20
○
松澤委員
どうもその点がはつきりわからないのです。大体今回の
行政整理
は
事務
の
整理
というところから来ているのであ
つて
、その
事務
の
整理
は、現在の
行政機構
を基礎としてつくられているものである。現在の
行政機構
の中において、あるいは
簡素化
を行つたりあるいはその他
合理化
を行つたりして、所要の
人員
はこれだけで済むという点から
人員
の
整理
というものは来ているものである、こう私は思う。それよりももう一つ根本的な
行政機構
の
改革
が行われれば当然
事務
の問題にしても、あらためて検討しなければならないし、その
事務
の規模がかわ
つて
来れば、当然
定員
についてはかわ
つて
来なければならない。これがどう考えても私は常識的な結論だろうと思うのであります。ところが
行政機構
の
改革
はあとまわしにして、
事務整理
の点から出発して
人員整理
をや
つて
おる。そうして
行政機構
の
改革
が今後行われるとするならば、当然それは
事務
にも
関係
して来るし、
定員
にも
関係
して来る。こう考えることが当然じやないかと思うのでありますが、どうもその点は何度
橋本
君にお伺いいたしましても、われわれの納得が行かないのであります。重ねてその点を了解の行くように御
説明
願えればけつこうであります。
佐藤榮作
21
○
佐藤国務大臣
私からお答え申し上げます。私の方の
電気通信
省が公社に
なつ
た場合に、その
機構改革
の後にどうなるかというお話でありますが、これは二、三年前に公社になりました鉄道の場合をお考えになれば、容易に御納得が行くのではないかと思うのであります。と申しますのは、鉄道自身は公社になりましたが、あの運輸省の中から、国有鉄道に
関係
しておりました
職員
をあげて公社
職員
にした。そうしてその
職員
のうちから一部の人を
管理
要員の方へ振り向けて参
つて
いるのであります。先ほどの
橋本
管理
庁長官のお話をその例にと
つて
考えてみますると、
電気通信
省が公共企業体に
なつ
た場合におきまして、少数と申しましても所要の数にはなるわけでありますが、
管理
機構を考えたときに、やはり相当監督機構を考えて行かなければなりませんが、その
管理
要員をどこに求めるかという問題があるわけであります。そうしてそれは在来あります役所の
定員
でなるべくまかないたいというのが、先ほどの
橋本
君の
説明
ではないかと思うのであります。かように考えてみますと、この
機構改革
にあたりまして、さらに
人員
を縮減するということはまず考える要がない。だからこれは先ほど来私が申し上げているような
方針
で参
つて
さしつかえないものである、かように私どもは考えているのであります。これはもう専売におきましても、鉄道におきましても、公社になりました際にさらに減員を
計画
したという事例もありませんから、同様のことが今回においても考えられてしかるべきだと思いますので、私重ねてつけ加えた御
説明
を申し上げます。
松澤兼人
22
○
松澤委員
まず今後
整理
することがないという「まず」はちよつと不安心でありまして、私としては、絶対に再
整理
をする必要はない、こういう御答弁がいただければけつこうなんですが、まず再
整理
をする必要はないというお言葉に信頼いたしまして、次の質問に移ります。 郵政省の問題につきましては、郵政省は運輸省などと違いまして、省自身が現業的な色彩を非常に持
つて
いるのではないかと思うのでありまして、この現業的な
部分
と、それからいわゆる監督官省としての郵政省というものと、省内におきましてどういう比重にな
つて
おりますか。一応その間の
事情
をお伺いいたしたい。
佐藤榮作
23
○
佐藤国務大臣
郵政省の仕事は、ただいまいわゆる監督的な業務は実はないのであります。あげまして御指摘のごとく事業官庁としての仕事をいたしているわけであります。従いまして、
管理
だとかあるいは現業だとか申しまするが、本来は郵政省全体が一つの企業体であると考えるべきものだと思います。ただ内部的に申しまして、
予算
査定上の場合においてあるいはまた今回のような
定員
縮減の場合におきまして、そのや
つて
おります仕事の立場から、あるいは
管理
部門については
定員
を大幅に縮減しても可能ではないか、あるいは準現業の部門におきましては、その仕事の量から見まして高率の
定員
縮減は不可能だろうというようなことで、くふうをいたして参
つて
いるのであります。従いまして御質問の点はちよつと私つかみかねておりますが、郵政省としてはこれは上
大臣
から下用員、若い
職員
に至るまで、一体の企業体として考えていただきたいのであります。
松澤兼人
24
○
松澤委員
省内における比重をお聞きいたしたいと申しましたことは、配付されております資料によりますと、
管理事務
は七千八百九十四人、それから現業
事務
が三千六百七十七名というふうにな
つて
いるのであります。この
管理事務
の七千八百ということは少し大きい数字ではないか、むしろ現業
事務
というものの方がもつと大きい比重を占めているのではないかということをお伺いしたが
つたの
でありますが、その点につきまして再度御答弁を願います。
佐藤榮作
25
○
佐藤国務大臣
この
管理
要員と現業要員をいかにしてわけるか、これはいろいろなわけ方があるのであります。たとえば
本省
にいる
職員
は全部
管理
要員だ、あるいは
地方
の郵政局におります
職員
も全部
管理
要員だ、あるいはまた現場におきましても現場の局あるいは貯金局なり郵便局等におきましても、局長なりあるいは人事等を扱
つて
いる者は
管理
要員だとか、こういうような
説明
をされる人もあるわけであります。そういうような観点から見まして、今まで
予算
査定上から見ますと、大体全
職員
の一割見当が
管理
要員だと見られるのが普通の考え方であります。従いまして、在来から
予算
編成の際におきましては、現業
職員
は九割であり、
管理
要員は一割だということを実は申しているのであります。しかし今回のような
定員
縮減という問題では、これを
予算
査定の際のような考え方で実施適用するわけには実は参らないのであります。と申しますのは、
本省
の中にも準現業をや
つて
いる人がおりますし、
地方
の郵政局の中にもはつきり現業をや
つて
いる者もいるわけであります。
従つて
今回
本省
や郵政局、比較的
管理
機構と考えられるその機構に勤務しております中から準現業に属する者を除いたことが一点であります。さらにまた末端の貯金局なり郵政局等におきましての局長だとか、あるいは人事を扱
つて
おります者を
管理
要員として、
本省
勤務の局課長あるいはそこらの
職員
と同様な扱い方をすることは実情に合わないと思うのであります。と申すのは、末端の機関はそれこそ局長は当然必要でありますし、そこの人事なりあるいは会計をやる人も必要でありますので、末端機関は全部あげてこれを現業要員としての取扱いをした。かような観点で現在おります
人員
を割振りいたしますと、先ほど言われた数字とちよつと違うようでありますが、
最後
の数字が実はぎまつたわけであります。従いまして私どもは勤務箇所いかんによらず、また仕事の性格というような立場で考えないで、実際に現業遂行上に必要だというような考え方で、特別な観念をひとつこの際打立てまして、そうして現業と
管理
、こういうふうに二つにわけたわけであります。
松澤兼人
26
○
松澤委員
私が申しました数字は現在
定員
であ
つて
、この現在
定員
を一定の基準に
従つて
整理
をする、その現
定員
を大体
本省
関係
におきましては一万一千五百九十四人ということにな
つて
いるのですが、この内訳を
管理事務
に約八千人、それから現業
事務
に約四千人というわけ方の比重が比較的
管理事務
に重きを置いているのではないかという点をお伺いしたわけであります。
佐藤榮作
27
○
佐藤国務大臣
御承知のように郵政省は現在おります総
人員
は二十五万九千八百七十四各でございます。そのうち
本省
に勤務しておりますのが一万一千五百九十四名なんです。だからその
本省
のうちは、普通ならば
本省
勤務だということで全部
管理
要員だという見方もされるわけですが、
本省
に勤務しております者の中におきましても準計算をや
つて
いる者がおりますし、あるいは切手の販売をしている者がおりますし、あるいは倉庫手なりあるいは守衛なり運転手等がおりますので、そういうものを全部現業
事務
として除いたわけであります。その数が今御指摘のように、
管理
関係
の
人員
が七千八百九十四名、現業
事務
が三千六百七十七名、こういうことに
なつ
たわけであります。これは仕事の性質によりまして、非常な厳正な区分をいたしました結果、こういうような数字が出たわけでございます。
松澤兼人
28
○
松澤委員
その点
予算
の場合には、こういう
整理
の場合のような考え方もできないというようなことで、
本省
関係
における
管理事務
と現業
事務
は明確に区分できないということはよくわかります。その点を私は言うのではなくて、
整理
の都合上現業に比重を置いて、現業か非現業かわからないという場合に、
整理
のわくをもら
つて
、そのわくに当てはめるために、実は現業の仕事をや
つて
いるんだけれども、これは
管理事務
として二五%の
整理
をする。そうして
整理
のわくの中に当てはめるということを故意にや
つて
いるのではないかということを実はお聞きしたが
つたの
であります。
佐藤榮作
29
○
佐藤国務大臣
実はその点はまつたく逆の考え方で
整理
がされております。従いまして、この表でごらんに
なつ
たらおわかりになるように、
本省
職員
としては一万一千五百九十四名おりますが、この一万一千五百九十四名に高率の二割五分の標準を適用いたさないで、これをさらに小わけいたしまして、そのうちの
管理事務
の七千八百九十四名に対しましては約二割五分を適用して
定員
減をはじき出し、現業
事務
としての三千六百七十七名に対しては、五%の標準で
定員
減を
計画
したということでございます。これは
本省
についてでありますが、逆に現業部門につきましては、現業部門からは
管理
要員というものを出しておらない。これらの点は、今の御心配と逆の方向に、いろいろ今回の
定員
減にあた
つて
くふうをいたしておるわけであります。これは何がねらいかと申しますれば、事業官庁でありますので、どこまでも事業遂行に重点を置いたのであります。
松澤兼人
30
○
松澤委員
もう一つ、どんなに
政府
あるいは
橋本
さんが言
つて
も、できるだけ
整理
はしたくないというお考えをもし
大臣
が持
つて
おられれば、この一万一千人のうち、なるべく
整理
のパーセントの低い現業官庁にたくさんなものを移して、これだけは現業要員なんだから、ここは五%の適用を受ける。そしてできるだけ
管理
要員を少くすれば、二五%の適用を受けても、結果においては非常に少い
人員
で済むということを考えれば、この七千八百ということと三千六百ということは、せめて半々にでもすれば、数がもつと減
つたの
ではないか。少し
管理
要員の方によけいに繰込んでいるのではないかということを考えているわけであります。
佐藤榮作
31
○
佐藤国務大臣
私ども別に非常にすき好んで
定員
縮減を
計画
するわけでもなければ、また
定員
縮減に特に反対するわけでも実はないのであります。問題は、私どもの扱
つて
おります郵政省にしても、
電気通信
省にいたしましても、事業官庁であり、国民からお預りしている事業でありますので、この事業の遂行にあたりましては、国民の期待に沿うように最善の努力をするのは当然だと思うのであります。その観点に立ちまして、いろいろ小わけをいたしまして、今回の
定員
縮減を
計画
し、またその実施を考えておるわけでありますので、りくつといいますか、理論のないような
方法
で
整理
数を左右するわけには実は参らないのであります。この点
本省
職員
を切半すればいいではないかということでは、実は納得が行きかねるのであります。ここに私どもの責任があるわけであります。
松澤兼人
32
○
松澤委員
そこで最初私が、郵政省は大体において監督官庁でなく現業官庁であるということについてお伺いして、
大臣
もその
通り
であるとおつしや
つたの
であります。でありますから監督官庁であるところの役所よりも、むしろ郵政省におきましては現業要員の比重がもつと大きいのではないかということをお伺いしたわけなんで、私へりくつを言
つて
おるわけではない。郵政省は現業官庁であるという
前提
から出発して私はお伺いしておるのです。
佐藤榮作
33
○
佐藤国務大臣
その点は私先ほど申し上げました
通り
の考え方を持
つて
おりますし、その意味において
行政
管理
庁におきましても特に事業官庁の特殊性を考えて参
つて
くれたわけでありまして、一般官庁の
定員
縮減の標準率よりも低い二割五分というものを実は採用しておるわけであります。総体が企業官庁であるならば、かような率を適用するのは無理ではないかという御意見もおありかと思いますが、私の過去の経験から申しまして、企業官庁と申しましても、
本省
や
地方
局等の
職員
は、主として、一線で国民公衆と接するわけでもないのでありますし、いろいろ
計画
なり、部下
職員
の監督なり、事業運営上の面を担当いたしておりますので、その意味におきましては、他省の仕事と仕事のしぶりにおいてあまり大差はないわけであります。従いましてこの面においての圧縮と申しますか、くふうをいたしますことは当然のように思うのであります。
行政管理庁長官
から御
説明
があつたことだと思いますが、人事
関係
の
事務
にいたしましても、あるいは会計
事務
にいたしましても
簡素化
されまして、各省とも思い切つた
定員
の縮減を
計画
するというような際でありますれば、そういう
事務
は企業官庁と申しましてもやはりあるわけでありますから、ことに現金出納などをいたしております
関係
から申せば、特に
改正
をいたそうとする経理
事務
あるいは人事
関係
の仕事が縮減されて参りますれば、
管理
部門におきましても相当の縮減は可能なんであります。かような観点に立ちまして、今回の基本的な考え方を決定いたしたわけであります。その点は御指摘になりましたような構想と全然同様の構想であります。ただ御希望の縮減標準率は、それぞれの見方がありますので相違があると思いますが、ものの考え方といたしましては、御指摘に
なつ
たと同じような考え方で
計画
を進めておるのであります。
松澤兼人
34
○
松澤委員
本省
関係
は一応それくらいといたしまして、次に現場業務と申しますか、郵便局
関係
につきましてお伺いいたしたいと思います。これは現業部門といたしまして、
整理
も五%というふうにな
つて
おるのであります。しかし同じ郵便局でありましても、非常に大きいところと小さいところとがある。つまり
管理
的な
事務
をや
つて
おる郵便局もあるだろうし、まつたく現業的な郵便局もあるだろうし、これが一律に五%ということになりますと、中には小さい局ではほとんど
事務
をや
つて
行くことができないというところも生じはしないかということを心配するのでありますが、郵便局
関係
におきます
整理
の
方針
をお伺いいたします。
佐藤榮作
35
○
佐藤国務大臣
御指摘の
通り
に、ただいまの郵便局は、一口に郵便局と申しますが、非常に現在員の少いところもあります。また相当の数をかかえておるところもあります。それで一例をと
つて
申しますれば、五人くらいのところで、これの五%と申せば〇・二五、こういうものは減らしようがないじやないかというようなお話もあるだろうと思います。そういう点は、総体の
定員
といたしまして私ども考えて参りますので、いろいろそこに実施上のくふうを要するのであります。これまた別な例でありまするが、五%と申しましても、これを各職別に平均的に割当てるわけには参らない。これははつきりいたしますのは、局長の数を総体の五%減らせるかというような問題にもなるわけであります。これは手をつければ、その局自身を廃止することにもなるわけでありまして、かような
人員整理
は
計画
できないわけであります。従いまして、今回の
定員
法の縮減におきましても、これは一本でいただいておりますので、その一本
定員
を今後皆様方の御賛成を得まして、法律が制定されますれば、その線で実施をいろいろ立てて参るわけであります。そういう際におきましては、ただいま御指摘になりましたような不都合を生じないように、くふうをいたして参る考え方でおります。
松澤兼人
36
○
松澤委員
大臣
にお伺いしたいのですが、もう少し詳細にお話願えないものでしようか。私も別に局長一人に対して五%かけるというようなことは毛頭考えておりませんが、しかし
地方
の特定局などにおいて、
定員
は絶対に減らせないところも出て来るかもしれない。そうすると、その分はどこかでひつかぶらなければならない。そのひつかぶるところがだんだんたくさん集ま
つて
来れば、五%以上の
整理
というようなことも当然考えられる。どういう
段階
で、どういう順序で、この五%の
整理
をなさるのかということを、もう少し具体的にお示し願いたい。
佐藤榮作
37
○
佐藤国務大臣
一口に申し上げまして、たとえば二人だとか三人のところは、はつきり申しまして、これに手をつけるわけには参らないと思います。しかしいろいろくふうをいたして参りますれば、局長自身も、これはもう金然同じような考え方で
事務
を処理していただかなければならない場所も幾つもあるわけでありまするし、また
事務
の
整理
等も、いろいろくふういたして参りますと、その負担があまり重くならないような
方法
での
整理
も、また可能ではないかと思うのであります。問題は、現在ございますいろいろな欠員なり、あるいはまた長期欠勤なり、その他をいろいろ勘案いたしまして、実施案をつく
つて
参るわけであります。今お尋ねの点につきまして、どういうお尋ねか、具体的な実施の全貌を
説明
しろというようなお話だろうと思いますが、実施の全貌と申せば、それぞれ
管理
系統として総体としての
計画
を立てまして、それを
地方
々々にわけて実施
計画
を立てて参るわけであります。そういう際におきまして、御指摘のようなことのないようには十分くふうして参るつもりでおります。
松澤兼人
38
○
松澤委員
しかし
整理
の
人員
がきま
つたの
ですから、この
整理
の
人員
はどこからどういうふうにして
整理
するかという、そういう
調査
の上で、この
整理人員
がきま
つて
おるはずなんで、逆に言
つて
、これだけの
整理
はこういう
方法
でやるのだということが出て来なければならない。そうでなければ、私たちが言
つて
おりますように、天引き
整理
であるということを言われても仕方がない。ですから順々にどういうふうにして
整理
して行くかということを積み上げて来て、この数字が出て来たものと思う。だからこれだけの数字はこういうふうにして
整理
するのだ、たとえば大都市の中央郵便局にはどの
程度
、あるいはまた特定局においてはどういうふうにするかという、そういうあらかじめのお考えがなければ、こういう数字は生れて来ないはずである。もしそうでないとすると、いわゆる上からおつかぶせた天引き
整理
であるということになるわけであります。
佐藤榮作
39
○
佐藤国務大臣
御承知のように、郵政省はいろいろの仕事をいたしております。郵便
事務
もありますし、簡易保険、貯金、あるいは年金等、幾つもの分野にといいますか、
特別会計
もできておりますので、それぞれの
特別会計
の実態に即応して、
整理
の具体案を立てて参らなければならないわけであります。そういう際の全貌といたしましてのものは別といたしまして、ただいま御指摘になりました郵便局の
整理
方法
について考えましても、やはり小局は今まで扱
つて
おります
通り
の
事務
で縮減を考えましても、これは不可能だろうと考えます。やはり小局なり、あるいは指定局制度なり、あるいは大局なり、中局というような制度があるわけでありますので、それらの制度を生かして、この
整理
方法
を具体的に立てて行かなければならないのであります。もう少し言えば、たとえば小局で扱
つて
おります庶務、会計等の仕事にいたしましては、これを指定局に集中するというようなことも、これは考案して行かなければならないだろうと思うのであります。そのような点はだんだんこまかくなりますので、
説明
を省略いたしますが、考え方といたしましては、それぞれの
特別会計
の部門で一応の
計画
を立て、また末端のところにおきましては、現行の制度をできるだけ生かして参りますが、その場合において
事務
の
整理
統合を
計画
して参りまして、そうして指定局なり、あるいは中局なり、大局なり、それぞれの機能を発揮するような
方法
にいたしまして、
整理
の実施案を立てて参りたい、かように考えておる次第であります。
松澤兼人
40
○
松澤委員
そういたしますと、もう一度念を押しておきたいのでありますが、いわゆる郵便局その他の現業官署におきまして、おつかぶせて五分という
方針
はとらない、それぞれ現場々々に
従つて
、五分
整理
をするか、あるいは
整理
をしないでも済むか、そういう問題は個々の実情に印してやるというお考えでありますか。
佐藤榮作
41
○
佐藤国務大臣
さようでございます。
松澤兼人
42
○
松澤委員
郵政
大臣
に対する質問はこれで終ります。
木村公平
43
○
木村委員長
加藤充君。
加藤充
44
○加藤(充)
委員
このたびの
行政機関職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案
理由
説明
なるプリントを拝見いたしますと、国力にふさわしい
行政体制
の確立とか、あるいは
行政事務
の能率化とか、あるいは
行政事務
の簡素
合理化
とか、あるいはまた
国民負担
の
軽減
とか、不急または不要と
なつ
た
事務
の
整理
というような
理由
が、そういう文字で述べられておるのであります。その事柄につきまして、全般的に
橋本長官
に質問をいたすものであります。大体このたびの補正
予算
を見ますと、その総額千三百六十二億円とかのうち、私どもの見方に立ちますれば、軍事費及び
産業
の軍事動員化に要する費用がこの大
部分
だと思うのであります。拾い上げてその内容を一瞥しまするならば、直接軍事費と明らかに見られるものは、警察予備隊の百五十億、海上保安庁の一億七千万、特別調達回転資金七十五億、これは米軍の駐屯費であります。そのほかに
国家
警察二十六億五千万、刑務所が一億四千万、特審局が大体十億、間接に軍事費と見られるものの中には、いわゆるリザーヴ・フアンドとして外国為替
管理
特別会計
への
一般会計
よりの繰入金三百億、それから食管
特別会計
への繰入金百億、そのほか国際通貨基金並びに国際復興開発御行出資分担金二百億、平和回復善後処理費百億、そのほかにさらに日米
経済
協力費としてあげられているもの、すなわち開発銀行資金が七十億、輸出銀行資金百十億、糸価安定
特別会計
三十億、輸出信用保険十億、以上の
通り
でありますが、こういうような反面には、文教施設が八十六億四千万、学童給食費が四億一千万、国立学校施設ぶ三億四千万などで、計百六億の要求が文部省から出ておりましたのに、九億五千万ぐらいに
削減
しておりますし、また
地方
平衡交付金は知事
会議
などで五百億の要求が出されておるのに、百億ちよつぴりしか出しておりません。私はそこでお伺いするのです。また私の発言の中で十分
橋本
さんに聞いておいていただかなければならないことは、機関銃一挺が十坪の住宅費に相当したり、重爆撃機一台が実に九十万の公務員に対して総当り二千円の手当支給額に相当する、ライフル銃二十箇師団分を用意するとするならば、結核病床二十六万ベツトの資金に相当するというような事柄であります。この金はいずれにしても
国家
国民の負担するところなのでございますけれども、こういうような莫大な資金をこういう
方面
に使いながら、今年の十二万と言われ、あるいは九万と言われ、実質出血は六万前後だろうと言われるような、こういう苛烈な大量首切りをやりましで、結局において今配付されました資料を見ても、四十一億八千万円ほどの節約しかできないのであります。私はこの点で、まずこういうことになれば、低いベースの押しつけも、首切りがなされるということも、結局はこういうような
方面
の費用を節約しさえすればまずやらなくてもいいものではないか。それをあえてやらんとする
橋本長官
にこの点の見解を明らかに承りたいと思うのであります。
橋本龍伍
45
○
橋本
国務
大臣
お答えを申し上げます。国の現状から申しまして、
行政
費の節約をできるだけはかることは、もうくどくど申し上げる必要もないことであろうと思います。特に公務員の給与ベースを改訂いたしましたり、また国民の租税負担を
軽減
いたしますためには、
行政
費の節約ということはぜひ必要であろうと考えておるのであります。今回の
行政整理
につきましても、くどく申し上げる必要もないと思いますが、
行政事務
を
簡素化
し、
人員
を
整理
いたします場合におきましても、一面においてこれによる待遇の改善及び減税ということを実行いたしております。
加藤充
46
○加藤(充)
委員
橋本長官
は昨日の連合審査の際に、税金の負担
軽減
のために
行政整理
をやらなければならない。しかしまたソ同盟あたりが侵略するから、治安
対策
費としてはたくさんの費用を使
つて
もやらなくてはならぬ。首切りと低賃金、低ベースの原因がソ同盟にあるような口吻で言われたのでありますが、私はこの点について、日本に今日の悲劇をもたらしたそもそもの原因を振りかえ
つて
みますならば、共産主義の撲滅というような仮面のもとに、実は特に一九一七年以来企てられ、遂行されて来た帝国主義的な日本の侵略政策に起因するものであるということを知らなければならないと思う。反共とかあるいは国民精神作興運動とかいうものの正体は、実はその当時の支配階層が、その腐敗と、そしてとことんまで追い詰められた自分たちの特権的な地位を維持するために、そして崩壊の寸前に来ておつたこの政治
経済
をいつまでも温存し、それを維持しようしておつたその手段にすぎないということを、今私どもはつくづく振りかえさせられるのでありますが、そういう実態、本質というものを、あの当時の国民が知ることができたならば、またこれを知らせるいろいろな宣伝あるいは運動が公然と許されておつたならば、日本は今の悲劇を見ずに済んだではないかと思います。
木村公平
47
○
木村委員長
加藤君、
定員
法と直接
関係
のあることに限局して質疑を続けていただきたい。まくら言葉や宣伝はなるべくこの際慎んでいただきたい。
加藤充
48
○加藤(充)
委員
本質の問題です。
委員長
の御
趣旨
に沿うような配慮をいたしながら質問を続けます。 こういう点から考えますと、これはへりくつでもまくら言葉でもございません。日本の歴史の、しかむ数年前われわれが経験した歴史的な厳粛な事実であります。それらを振りかえ
つて
見ただけでも、その惨禍の跡は町の至るところにころが
つて
おります。しかるに何ぞやであります。ちよつぴりばかりの税負担の
軽減
というものを
行政整理
の面でこま切れに計算し、こういうような補正
予算
の八割境上のものをこれに投ずるというようなべらぼうな再軍備費、そうしてソビエト同盟やあるいはそういう侵略に対する対抗のための軍備費を求めなければならぬのだというようなことになりますると、もう一回その志気旺盛な
橋本
さんの見識、自己批判、さらにそのほか反省された
最後
の発言を求めたい気にな
つて
やまないのであります。 それで第一段にお尋ねするのであります。これは
橋本
さんが同じく長官をや
つて
おられる厚生にも
関係
あることだと思うのであります。それにまだ労働
大臣
がお見えにな
つて
おりませんので、
行政整理
の
主管大臣
としての
橋本
さんに質問するようになるわけであります。今度の首切りでどれだけの
対策
を
政府
が持
つて
おるかといえば、大体において四千万円ほど
政府
が金を出して、そしていわゆる職業補導に関する
計画
をやるということでありまするが、私はこの失業地獄の中に、そして肉体労働をいたすのにも、強健な肉体は長い間の公務員の仕事の間にそういうかい性もなく
なつ
た人々、
事務
系統の人々に、技術とてはさほど大したものを持たないという人々、この人たちを落し込んで、その妻子のことを考えると涙が浮ぶのでありますが、こういうような者に対して職業補導というようなやり方、十分でないのは明らかだがやらぬよりはましだとおつしやるかもしれませんが、こういう手口の中にあの企業整備、あるいはとうとうたる失業者の中で
政府
がやつたものば何か。職業補導であり、あるいは訓練所だとかいいまして、その失業者の大群を、あしたの米びつを憂えながら、その就職先の判定の余地もなく
なつ
た人々を狩り立てで
行つたの
は、結局軍事的な直接の動員であり、あるいは軍需工場その他の
方面
への失業者群の狩立て動員ではなかつたか。このたびのちよつぴりの失業
対策
の性格の中にこういうことがあ
つて
はならないし、そういうようなきつかけをその企ての中に私は見取らざるを得ないのであります。しかも今まで申し上げたことは別といたしまして、ここで訓練され指導された者に対して、
政府
はどれだけの失業救済の実績を持ち得ると、責任を持
つて
胸をたたいて引受けることができるか。私どもはここに、しかも学校の卒業生がたくさん送り出される四月を控えて、ここに送り込まれて、半年なり一年なりの間のつなぎの生活維持すらここに収容される人には保障されていないと思うし、またそこから送り出される人々の九〇%が、今までの経験によると、口の先が見つかつたというけれども、見つかつた口の先で一体その人たちはどんな仕事をすることができたのか。職業補導所に収容された人々が、その看板にあこがれて、せめてもの期待を持
つて
集まつた人ちたが、
最後
までその職業補導所で終りを全与して卒業することができただろうか。行つた先で生活給与を自分の労働で保障されるだけの裏づけがあつたか。またそこに収容された人の就職したパーセンテージは出たが、そこに収容された人たちの年齢、家族の実態、あるいはそこから送り出されて再就職をすることのできた人の年齢、家族の実態、こういうふうなものを考えてみまするならば、私どもの調べましたところによると、職業補導所に入れられた人の八十何パーセントしか終りを全うしなかつたし、しかもまたせめて就職をした人たちの総人数は三千百九十二人にすぎないというような数字もあるのであります。この点、こういうような失業
対策
で
橋本
大臣
は足れりとするのか。また足れりと信ずるならば、言葉だけでなしにいかなる保障を現実に考えておられるのか、その点を承りたいと思うのであります。
橋本龍伍
49
○
橋本
国務
大臣
前々から何べんも申し上げたのですから、おわかりだと思うのですが、無理に御質問があるようでありますから、重ねて答弁をいたします。ただその前に心境のお尋ねがありましたからお話を申し上げたいと思うのでありますが、先ほど加藤
委員
からお話がありましたような、農民の利益をはかるためにまゆの値段の変動を防ぐための経費でありまするとか、あるいはまた日本の輸出を伸ばし、あるいは貿易に携わる人々の損失を避けるための輸出信用保険の経費などは、軍事費であるといつたような学説を考えておる人は、八千三百万の国民の中でも私はほとんどないと思うのです。どうかひとつ加藤
委員
の方の心境ももう一ぺん考え直していただきたい。これは討論にわたりますから、私は質問の答弁をいたしますけれども、先ほどお話のありましたことは、私が最初から繰返して申し上げまするように、加藤
委員
の話し方の筋が私はおかしいと思
つて
おります。実は私ども考えておりますのは、この
行政整理
をすることにして、それから失業
対策
を考えるというようなことを考えておりませんということは初めから申し上げておる。われわれはまず第一に国の
産業
を振興するということが非常に大事だと考えまして、資源の開発、貿易の振興という面、あるいは電源の開発、あるいは造船に、あるいは
土地
改良に、その他の面についていろいろな施案をいたしております。財政面及び金融面を通じて数千億の投資及び流通資金を動かしておるわけであります。その結果といたしまして国の
産業
が振興いたしまして、
生産
力が拡大しておりますることは、私がわざわざ数字をあげて申し上げるまでもないことであります。さきにも申し上げましたが、その結果が労働力の質的向上にも現われまして、昨年七月から今年六月に至る間に、農林業から非農林業に約二百万の労働力の転換が行われておる。今後におきましては、この質的改善によ
つて
日本の基礎工業がさらに振興して参ると思うのであります。そこで今考えておりまするのは、
行政整理
してから失業
対策
を立てるというよりも、むしろその先に、つまり
行政整理
による国民
経済
内におきまする人の配置転換が行われる
前提
としての
産業
の振興ということ、つまり今申し上げました意味におきまする財政及び金融を通ずる数千億の施策というものがまず第一に立てられて、その上に私どもはこの
行政整理
を考えておるわけであります。さきにもお話を申し上げました
通り
、こういつたような方たちをそういうような自然に振興して行く仕事の間に受入れて行くことが大事でありまして、従いましてまずやめられた直後の生活は困らないように、手当をできるだけたくさん上げることと、それに税金がかからないようにしますことと、それからあとは元の自分の勤めておつたところ、あるいは
労働省
の職業安定機構を通じて就職のあつせんを極力や
つて
いただくこと、従来の実例から見ましても、大体は元の省の人たちのあつせんで普通六、七割方片づいてしまうものであります。その上に、さらに
労働省
の職業安定機構を通ずるものにつきまして、その間職業補導をやつた方がスムーズになるものにつきまして、職業補導というような方式を考えておるのであります。何か軍需
産業
に動員するとかなんとかいうようなお話がありましたが、さようなことはまるきり考えてみたこともございません。
加藤充
50
○加藤(充)
委員
実は私が言
つたの
はりくつじやなくて、これは明らかに
調査
をしていただきたい。そういうことがあればたいへんなので処置をしていただきたい。また、そういうことが現実になされておるとするならば、
橋本長官
の今のお説は偽りだということになります。大阪の特別調達局で、これは六百人ほどの
人員
がいるようでありまするが、最近庶務課から日本帝国軍人で尉官級の経歴を持つた
職員
に落して、この際警察予備隊の幹部にな
つて
行くつもりはないか。希望退職ということが今度の
行政整理
についておるようでありまするが、そういう希望者の申出を勧告するような処置がなされたということであります。 もう一つは先般、これは
橋本
さんも御承知の
通り
、先月の十月十日ごろだつたと思うのでありますが、数寄屋橋の上でこのたびの戦争の
犠牲者
、傷痍軍人が数日間にわたる悲壮なハンストをやりました。私はここに十月十八日付の朝日新聞の一片を持
つて
いるのですが、「この断食運動がはじめられた土曜日は警官隊との間に、一もめあつた。」それはいいのですが、「そのなかで、一人が鉄の義手をふりあげて「皆さんの肉親をふたたびわれわれのようなみじめな姿にしないで下さい」と叫んだ。この言葉はさすがに集つた群衆に感動を与えたと見えて、その瞬間、一帯の空気に異様などよめきが起つた。」「この鉄の手の叫びも、政治家をふくめて国民全体がよくかみしめて見る必要があろう」という記事であります。こういうような事柄は、今国民全体がひしひしと、単に飛び上つたり、共産党の一部の者の考え、感じであり、御訂正を願わなければならぬと
橋本
さんに言われるまでもなく、国民全体の不安となり、危惧の中にこういう事実が行われているのであります。そういう点で、この傷痍軍人あるいは戦争
犠牲者
に対しては、一億くらいのいわゆる
調査
費というようなことではとても足りないのです。この点についても、ひとつ
橋本
さんの御意見を聞いておきたいと思うのであります。
橋本龍伍
51
○
橋本
国務
大臣
定員
の御審議に傷痍軍人の援護
対策
というものは
関係
がないと思いますから……。
加藤充
52
○加藤(充)
委員
これは失業
対策
に重大な
関係
を持
つて
いるのですから……。
木村公平
53
○
木村委員長
加藤充君にお願いをいたしますが、
定員
法と直接
関係
ある質疑をお続け願いたいのであります。ただいまの質疑のごときは、
定員
法と直接
関係
ありとは
委員長
において認めがたいのでありまするから、今後は特にその点お願いをいたします。
加藤充
54
○加藤(充)
委員
わかりました。私もそこで公平
委員長
にお願いがあるのですが、今申し上げたようなものが失業
対策
の一
部分
として、重大な問題としてお考えにならないで、これが
行政整理
と全然
関係
がないというふうにお考えにな
つて
、大なたの首切りをおやりになるというのは、これはたいへんな問題です。そういう点で、あらためて私の方からもお願いいたします。
委員長
初めひとつそういうふうな気構えにお考えくださるようにお願いいたしたいと思うのであります。 次にこれは先般来お尋ねいたして、途中で
予算
委員会
の
関係
で
大臣
がお立ちに
なつ
たりしたために、こま切れにな
つて
しまつたことなのでありまするが、大体これ以上の首切りをやれる余地があるとお考えにな
つて
いることが、そもそも御反省を願いたい第一段であ
つて
、人手をふやさなければならないような
状態
であるのではないか。これは私がなまいきに数字をあげるまでもなく、はつきりしていることであります。先般私が
橋本長官
にお尋ねをいたしました際に、そういうふうな脱法的ないわゆる非常勤
職員
の待遇、こういうようなやみ給与の支給に対しては厳重に取締るというような御答弁をいただいたのでありまするが、私は質疑が途中で打切られたことにもよるのだと思うのでありますが、そういう御答弁をいただいて満足するつもりで質疑をしたのではありません力繰返して言うようですが、常動
職員
九十万人に対して、非常勤
職員
は四十八万と数えられておりまして、そのうちでこの数字のあげ方には問題がありましようが、常勤的な者が二万三千人あるというのが公的な数字でありまして、その人たち全体の公務員の実働の超過勤務手当一割ないし三割しか支給されていない実情で、しかもその起動手当の
予算
額が九十億に達するというようにも聞いておるのであります。私はここに端的にこの数字が首切りなどはやる余地がないことを語
つて
いるのではないか。すなわち
事務
総量というようなものも、これから減ることはないのであります。それを
簡素化
するとい
つて
も、
事務
総量の
簡素化
はできません。それは社会、
経済
、政治の必要上、当然にふえて来る
事務
総量、業務総量なのでありまして、その業務総量の点から考えましても、これを扱う
人員
の、いわゆる
定員
の面から言いましても、今申し上げたような数字がある以上は、これを
地方
に委譲してみたり、いくら
簡素化
してみたところで、労働強化以外にこれを解決する道はないのであります。きのうも運輸
関係
方面
で、駅頭に積み重ねられた莫大なトン数に達する滞貨が、どこから来ているかというような質疑がなされましたけれども、こういう点で非常勤
職員
の中の常動的な
職員
は、少くとも
定員
のわくにはめ込まなければならないのではないか。そうしてそれをはめ込まずにやるというならば、これは労働強化である。このたび、これはあとでも質問いたしますが、あたたかいはからいとして、長期欠勤者はこの
定員
のわくの外にはめて、今度の
整理
の首の犠牲には載せないとおつしやられましたけれども、長期欠勤はそもそもいかなるところに原因して出て来るか。これは公務員だけの肉体の破壊になるばかりでなく、十一月九日の朝日の記事を見ますと、長期欠席者がふえて、長らく学校を休む子供がふえて来たという。そして結核の猛威は恐るべきものだということを言
つて
おります。しかもその原因はいろいろあげられておりますけれども、家庭の貧困、働いても給与が少い、収入が少い、あるいは働きたくても百を切られているというような家庭の児童が、やがては学校に対する興味も失い、肉体的にも遂に登校することができないというような
状態
にな
つて
行つて
、公務員の低ベースと労働強化から来る長期欠勤のこの事実は、遂に子供まで、家庭まで破壊してしまうことになりはしないか。私はこういう点を憂えて、
定員
の増員こそ今必要なのではないかということを一つお尋ねし、そういう施策を
橋本長官
に要望する次第なのであります。その点いかがでありましようか。
橋本龍伍
55
○
橋本
国務
大臣
国の仕事は、御存じのように何千何万という種類があるわけでありまして、毎日いろいろ動いております。先ほど郵政
大臣
が、たとえば電話の交換局をふやせば人がいるということを申されましたが、そういうようなわけでありまして、どうもやみくもに、国全体、しかも地域的に北海道から鹿児島までの間に、ただ漫然と人をふやす必要があるとかなんとかいうふうなことは、およそちよつと考えられないと思います。今日考えてみましても、たとえて申しまするのに、現在の
行政機構
の中で、
昭和
十五年ごろに比べまして、絶対数として減
つて
おりますのは外務省たけであります。これなどは、日本が独立をいたしまして外交が再開されて、在外公館の一つと
つて
みても、確実に今をふやす必要のあるのは当然の話であります。総体的に考えてみました場合には、ふえるのもあり、減るのもあります。国全体の
行政
組織から見まして、戦時中の総動員体制から特殊な占領下の体制と引続いて、ずいぶん
行政機構
も膨脹した。その間に国の現状は、日本が前より貧乏に
なつ
た結果、テープ・ガヴアメントの必要がありますので、今回
行政
運営の能率化をはかるべく
行政整理
を
提案
したわけであります。減るとかふえるとかいう問題とは別に、これは個別的の
事務
の内容で申し上げなければ申し上げられないと思います。 先ほど戦傷者の援護
対策
などについてお話があ
つて
、これは
定員
法の審議について
関係
のないことでありますが、ただ私厚生
大臣
として聞捨てならない言葉がありましたから、私の立場だけ申し上げておきます。先ほど加藤
委員
は、この戦傷者の援護のようなものは失業
対策
として一番大事なものだというような御発言がありましたが、共産党のお考え方はどうか知りませんが、私どもは、戦傷者及び遺族の問題は、極東
委員会
の御存じのような指令でまことに気の毒な
状態
にありましたので、これを何とか援護しなければならないという努力を就けて参
つたの
でありますが、今日講和条約が結ばれて、やつと日本としてもやれる時期になりましたので、真剣に同胞愛の見地からや
つて
おりまするので、これを失業
対策
の一環だなどと考えたことは毛頭ございませんので、誤解のないように一言申し上げておきます。
木村公平
56
○
木村委員長
午前の
会議
はこの
程度
とし、午後は本
会議
の
関係
もあり、二時より
委員会
を開き、質疑を継続いたします。 この際暫時休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 ————◇————— 午後二時十九分
開議
木村公平
57
○
木村委員長
これより
内閣
委員会
を再開いたします。 午前中に引続き質疑を行います。加藤充君。
加藤充
58
○加藤(充)
委員
先ほど質疑の途中で、
橋本長官
が、たまたま私がそれは直接
行政整理
に
関係
がないからという御注意があ
つたの
に応じて発言を省略した言葉じりをつかまえて、遺家族
調査
費一億は失業
対策
という性格のものであ
つて
はならないというお話があ
つて
、これは聞捨てならぬとおつしや
つたの
であります。私もそのことについて一言釈明をいたし、それこそ聞捨てならない問題を含んでいるということを指摘して、次の質問に移
つて
行きたいと思うのであります。私は今
行政整理
をやるにしても、失業
対策
の重要な意味づけということを真剣に考えてなさるべきではないかという意味合いから、遺家族の生活の問題、特に数寄屋橋でハンストをやつた傷痍軍人そのものの生活について社会保障の裏づけを真剣に考えなければならない。社会保障の裏づけの一部としての失業
対策
ということを問題にしたのでありますが、聞捨てならないと言われたことについて私が聞捨てならないと考えておる点は次の
通り
であります。社会保障の万全な裏づけなくしてああいうふうな
状態
に放置し、ハンストをするのやむなきに至らしめた、今に至
つて
この失業策対よりもはるかに高い国民的な尊敬を払うべき生活の保障がなされなければならないと言
つたの
ですが、それはそれなりの御論拠といたしまして、こういうふうな施策の
方針
が、靖国神社の例祭り復興やあるいは君が代教育の復興とあわせて、とうとうたる失業地獄の中に職を失い、路頭に迷う人々が、狭い失業安定の門よりも戦争でもやつた方がましだ、こういうあたたかい処置も受けるというような形で、戦争への狩立ての心理的な基礎づけをそこにねらうようなことになれば、そのやり方はきわめて欺瞞であり、卑劣であるということを指摘したいためであります。 次に私は不急不要の問題について、関連してお尋ねしたい。それは特別調達庁
関係
の問題であります。両条約の批准後といいましても、調達業務は全面的に終了しないことは、日米安全保障協定に基いた米軍の引続き駐留によ
つて
明らかであります。この監督、清算支払いのために現
定員
をも
つて
しても、これを今たな上げされてしまえば残務に数箇年を要するほどあるということであります。この詳細については先般参考人の供述のときにそれに附帯して申し上げましたから、ここではその数字を繰返しませんけれども、こういうふうなものが山積しております。一面においては外国人の財産補償等に関しましても、万全の措置を急速にと
つて
おりますが、特別調達庁の大量の首切りというようなことをやりますれば、日本人に対するアメリカの占領政治にあるいは今後の駐留の間に受けまするいろいろな意味合いで当然補償を受くべき筋合いのものが、あとざりにな
つて
しまうのではないか。外国人の補償もさることながら、日本人に対して当然受くべき補償の支払いこそまつ先にやられるべきではないか。そういうような補償業務を一日も早く切り上げるということが、いつまでもあとを引いて確かに不愉快な原因にな
つて
おりまする過去の占領の跡始末を早くつけるという意味合いにおいて、当然なさるべき筋合いのものではないかと存ずるので、この点をお伺いしたいと思う。
橋本龍伍
59
○
橋本
国務
大臣
特別調達庁の仕事につきましては、まだはつきりしないところがあるのであります。今加藤
委員
から日米合同
委員会
云々というお話がありましたが、これはどういうことになるかならぬかわからぬことでありますし、その機構がどうなるかということもわからないことであります。今日この
定員
法の中に掲げました特別調達庁の
整理
は、特別調達庁はあくまでも占領軍の特別調達業務をやるという建前で、その仕事が終
つて
行くという建前でこれだけの
整理
をしたのであります。いろいろ内容につきましての——家の返還のときのごたごたといつたような問題はあると思いますが、これは十分内部で仕事のやり繰りを考えて行きたいと思
つて
おります。
加藤充
60
○加藤(充)
委員
やはりわけのわからないうちに首を切るということになれば、
橋本長官
も予想されておるような問題がさしあたり業務の渋滞を来し、日本人として戦争を通じて残つた財産等の接収あるいは漁業場の立入禁止から来る生活の問題、あるいは農地解放で受けた
土地
はわずかではありましようが、これら生活の基礎に対する補償の問題があとに残されてしまうのでありまして、仮定の上に立
つて
日本人としては面目としても根性としても忍びがたいもの、あるいはさらに進んで面目や根性は第二段に置いても、日常の生活でぜひとも早いこと解決してほしい人たちが残されてしまう。そういうことについての配慮が私は十分でないと思うのでありますが、なお仮定の上に立
つて
やられる問題として、
食糧
の
統制撤廃
に関する
行政整理
がございましたけれども、それに関連しまして石油製品の
統制撤廃
というような不安定な条件の想定のもとに
行政整理
が行われておる向きが、
自由党
あるいは民主党から出た
修正案
の中に払拭し切れずに残
つて
おるものを私は指摘せざるを得ないのであります。たとえてみればガソリン
統制
がなぐなるという想定に立ちまして、毎月毎年非常な勢いで自動車などがふえて参り、それに関連する業務がますますふえて行きますのに、ガソリンあるいは石油製品の
統制撤廃
という想定のもとにそれらを首切るということ自体は、や
つて
はならない首切りをやる類に明らかに帰属すると私は思うのでありますが、この点はいかがでありましようか。
橋本龍伍
61
○
橋本
国務
大臣
ガソリンの
統制撤廃
の問題は、米と違いまして法令整備といつたような問題もありませんし、それからまた今日ただいま何らかの措置がいるといつた問題でもありません。大体来年四月前後において物調法に基くところのガソリンの
統制
を撤廃するつもりであります。構えてそうする建前で、しかもこれは
政府
限りでできることでありますから、腹をきめて
定員
法の
改正
をいたしているのであります。 なお特別調達庁の問題についてはまだわからないというふうに言われましたが、そうではないので、要するに本来の特別調達庁の先行きがわかればもつとたくさん減してもよいだろうと思うのでありますが、今日の
状態
においても少くとも三割減らしてよろしいということであります。つまり日米合同
委員会
云々といつたそんなことは特別調達庁の仕事ではありません。それは将来合同
委員会
なら合同
委員会
というものができたときに、そこの
事務
局なり何なりという
関係
で起
つて
来るのであ
つて
、今日特別調達庁というものは占領軍のサービスをするための役所で、これは講和条約を結んで独立をすれば、明らかに用がなくな
つて
行きますので、少くとも三割
整理
をしてよろしいということであります。その残りの七割で解除の善後処置ということは十二分にできるのであります。
加藤充
62
○加藤(充)
委員
労働
大臣
が見えましたから、労働
大臣
に問題の中心を移したいと思うのでありますが、ただ一点、
橋本
さんが日米合同
委員会
の問題を出したので、私は
橋本
さんにその点についてお尋ねをしなければならなく
なつ
た。
大臣
は行かれましたけれども、二十四
年度
の
行政整理
、あのときには審議会、
委員会
というようなものがたくさんできました。今度はそれが全面的に縮小され縮減されて
行つたの
であります。そういう点で前の
行政整理
と今度の
行政整理
とが、この点において非常に特徴を持
つて
いると私は思うのであります。それでなお今の
橋本
大臣
の答弁の中に日米合同
委員会
の問題が——私がそういう言葉は使わないのに御答弁の中にそういう言葉が出て参りましたので、実ばそれに関連して今の点を
橋本
大臣
に聞きたか
つたの
であります。これは当
委員会
の質疑が終了されるまでの間には、再び当
委員会
に
橋本
大臣
が御出席になるようおはからいくださるように強く希望いたします。 それでは労働
大臣
にお尋ねいたします。前の
委員会
のときに、私が労働基準法と労働基準
行政
との関連でいろいろお尋ねをした点を今思い返すのであります。それはあのときに問題になりましたように、この十月十一日付で
労働省
の労働基準局長から
地方
基準局長あてに通達を出しております。通達の番号は基発第六九六号だと私は記憶しております。これは最近の電力
事情
の問題に関連して賃金不払い等労働時間の延長の点に関する通達だと私は理解いたします。しかもその第六項に、基準法第三十三条及び第六十二条の問題について、わざわざ電力問題と直接
関係
のない問題、また
関係
があ
つて
もそういうところにねらいを置いてはならないと思うようなものが、相当挿入されているのであります。それは三十三条の災害その他避けることのできない事由によ
つて
労働時間の延長という問題に関連し、六十二条の女子及び年少者の深夜業に対する制限に関する問題でありまするが、これは進駐軍から緊急作業が要請された場合の措置が電力問題に関連してたくみに挿入されているのでありまするが、日米安全保障協定、あるいはこのたびの対日講和条約、あるいは先般来言われており、そして着々進行しております日米
経済
協力、こういうような問題と関連して、りくつばかりではございません。最近問題に
なつ
た電力の問題でも、結局特需あるいは大きな軍需
生産
企業工場に電力が配分され、中小企業、とりわけ平和
産業
というものには電力はまつ丸く無残な姿でこの配給がとめられたり、あるいはまつたくお話にならないようなごま切れ配給をや
つて
おる。ために業者は倒産、店じまいしなければならないという惨状は、関西あたりではもう顕著なる事実でありますが、こういうような
状態
のときに、ほとんど日本の気のきいた企業というものは、いわゆる特需
産業
、軍需
産業
中心にな
つて
行くことは明らかなことであります。そこに働く労働者というものが、今後の日本の労働
行政
なり、労働政策の中心課題にならなければなりません。そこにおいてこそいわゆる労働基準法その他労働三法というものがやはり守られなければ、憲法に示されております平和も、あるいは基本人権というものも無に帰してしまいます。このときに特需、軍需工場におきましては、もう賃金不払い、労働時間の延長等々により、これは重要な労働契約の内容をなすものでありますが、その点が労働基準のわくからはずされるということになりますれば、一体日本の労働者なり、日本の労働者階級というものは……。
木村公平
63
○
木村委員長
加藤君に御注意申し上げます。
定員
法の審議と直接
関係
なき御議論はおやめ願いたいのであります。
加藤充
64
○加藤(充)
委員
あとまで聞いておれば
関係
があることがわかります。
木村公平
65
○
木村委員長
直接
関係
のない、御議論はやめられたい。間接的には全部
関係
があるということができるでしよう。
加藤充
66
○加藤(充)
委員
それでお尋ねをいたすのでありますが、このたびの
行政整理
で当然に基準
行政
の場面、あるいはその他労働
行政
の場面でたくさんの首切りがなされました。先般読み上げましたようなあのわずかなはがきにつづられた文字の中にも、それは
部分
的ではあるが、本質的なものがえぐり出されて訴えられております。大体今申し上げましたような通牒の問題、今述べましたような日本の労働基準法というものはどこにまず適用されなければならないか、どこで基準
行政
の万金を期さなければならないかというようなことと関連いたしまして、このような多数なあなたの所管の首切りがやられるということは、大体において労働基準
行政
というようなもの、特に保護
行政
の場面をや
つて
行くつもりがないのではないか、これは先般参考人の供述にも——井上君という毎日新聞の論説
委員
であられる方が、意見の中に明らかに述べておることであり、表から基準法、労働三法にさわらずして、
定員
の面から労働基準法をつぶすというような批判もなきにしもあらずということを訴えておりましたが、この点いかがでございますか。
保利茂
67
○保利国務
大臣
お尋ねの点は先般の本
委員会
におきましても、昨日の連合審査会におきましても申し述べました
通り
、労働
行政
を後退する意思は毛頭ございません。
加藤充
68
○加藤(充)
委員
後退するかしないかの意思もお尋ねしなければならないのですが、意思と離れて、こういう事実が出て参りますと、あなたがどう思われようとも、これは後退せざるを得なくな
つて
、もう崩壊してしまわざるを得ないのではないか。私は事実をも
つて
お尋ねしているのであります。従いましてあなたはこういう実情に対して、これで労働
行政
、保護
行政
がやれると御判断にな
つて
おられるのか。おられるとすれば、その根拠を明らかに指摘して御返答願いたいと思うのであります。
保利茂
69
○保利国務
大臣
先般お答えいたした
通り
でございます。
加藤充
70
○加藤(充)
委員
いろいろ聞きたいことがあるのですが、労働
大臣
からは先般来答えた
通り
だというような御答弁しかいただけないのですが、これはまことに無責任な話だと思う。そういうことではわれわれは得心できないから聞いているのですが、そういう御答弁でつつぱねるならば、私は今後こういう首切りをやつたあとの現実の進行が、どういうものになるかという事実の問題でお目にかかる以外にないのであります。これはきのうもちよつと問題に
なつ
た点ですが、長期欠勤者とこのたびの
整理
とは
関係
がない、わく外だと言われるならば、そのわく外にはずして、現実にどういう処置をするのか、成田君から過日の連合審査会で御質問があつたようでありますが、この点についてお尋ねしておきたいと思います。
保利茂
71
○保利国務
大臣
主管大臣
からひとつお聞きとりいただきたいと思います。
加藤充
72
○加藤(充)
委員
それでは大蔵
大臣
が来なければ話がわからないということにな
つて
しまうのですが、大蔵
大臣
なり、大蔵
関係
の
政府
委員
を呼んでいただきたいと思います。 それから先ほども指摘しましたように、
橋本長官
が見えなければ私の質疑は全体として関連しませんし、先ほどお願いした希望のことを
委員長
においておはからいくださることを期待して、
大臣
が来ないのですから、私の質疑はこれで一応中止して、質疑を続けることを留保させていただきたいと思います。
小平忠
73
○小平(忠)
委員
根本
農林大臣
にお伺いいたします。
行政機関職員定員法
の一部
改正
を行います
政府
の考え方、これに対しまして
農林大臣
は、
農林省
所管の
職員
整理
という考え方に対しまして今日の
状態
において従来の
職員
整理
の
原案
を堅持されようというお考えでありますか、それとも一部
修正
をされようというお考えでありますか、お伺いいたします。
根本龍太郎
74
○根本国務
大臣
この問題は昨日の連合審査会において御答弁した
通り
であります。
小平忠
75
○小平(忠)
委員
そういたしますと、実は本日
政府
の与党たる
自由党
から本法
改正
案に対する
修正案
が出されて、その
趣旨
の
説明
があ
つたの
であります。これによりますと、
農林省
所管のことで、特に
食糧庁
で従来の
整理
原案
たる一万五千二百四十二人に対してさらに二五・七%の
修正
を行う。すなわち七千九百六十一人の復活をされようとしておるわけであります。この
自由党
の
修正案
に対して
農林大臣
はいかようにお考えになりますか。
根本龍太郎
76
○根本国務
大臣
国会の審議権を尊重する建前で、議員の各位がいかなる
修正案
を出しましても、それは議員の立場においてやられることでありますので、私がそれに対してかれこれ申す
段階
ではないと思います。
小平忠
77
○小平(忠)
委員
しからば
農林大臣
は、今回の主食
統制撤廃
の時期が、かねて論議せられておりますように、明年四月一日以降実施したいという考え方が、客観的
情勢
によ
つて
、一時その期限を延期するというような事態に、立ち至
つて
おりますが、その際
食糧庁関係
、特に
食糧
検査関係
の
検査
員の
整理
に対しまして従来のごとき
統制
方式を行う場合と、
統制
を撤廃する場合との
検査
員の任務とか、
定員
とかいうような問題についてどのようにお考えにな
つて
おりまするか、
農林大臣
の所見を伺いたい。
根本龍太郎
78
○根本国務
大臣
この点についても、昨日は大分時間を費して詳細にお答えしたのでありますが、その
通り
であります。
小平忠
79
○小平(忠)
委員
もちろん昨日の連合審査会で
説明
されておるのでありますが、事態が違うのであります。昨日は
自由党
の
修正案
というものがまだ正式に出ていないのであります。公にされましたのは本日てあります。本日この
内閣
委員会
において、
自由党
から正式に
修正案
を提出され、
説明
を受けたわけです。
従つて
少くとも本院におきましては絶対多数を持つ
自由党
でありますから、
自由党
の党議によ
つて
修正案
を出すならば、これは通るのが常道であります。かような観点からこれを考えます場合に、私は率直に、もつと懇切な御
説明
を願いたいのであります。 そこでさらにつつ込んでお伺いいたしますが、特に
行政
管理
庁の方から示されておりまする
整理案
によりますると、
食糧庁関係
で
検査
の方に一万千七百六十七人、
食糧管理
の方で四千百二十九人、技能の方で二十七人ということに相な
つて
おるのであります。そこでかりに
自由党
修正案
が国会を通るといつた場合に、七千九百六十一人という
人員
が従来の
政府原案
よりも復活増員されるわけでありますが、
農林大臣
はこの
修正案
が通
つて
、実際に
食糧庁
の七千九百六十一人を増員せられる場合に、その増員率は各部門の実際の
人員
の率によ
つて
考えますか。それともそれは
農林省
の
食糧庁
において適切に勘案して、
検査
の方に重点を置くか、あるいは
管理
の方に重点を置くか、お考えを伺いたい。
根本龍太郎
80
○根本国務
大臣
復活した場合における
人員
の配置の問題をお尋ねのようでありまするが、
定員
法は御承知のように
食糧庁
一本にな
つて
おります。また閣議におきましても、省内における一つの
定員
内における運営はまかされておりまするので、御指摘のように仕事の繁閑、性質に応じて
修正案
によ
つて
きめられた数そのままでなく、
事務
の繁閑によ
つて
若干勘案することは当然あると存じます。
小平忠
81
○小平(忠)
委員
次にお伺いいたしたい点は、この
整理案
に対しまして、
農林大臣
に特に私がお伺いしたい点は
検査
員の制度であります。それを全国一律に行う考えでありますか、それとも地域によ
つて
は考慮される考えでありましようか。
根本龍太郎
82
○根本国務
大臣
これは公団でや
つて
来たように、実情に即して配置することが必要であると考えております。
小平忠
83
○小平(忠)
委員
ただいまの
農林大臣
の御答弁で大体わかるのでありますが、特に私はこの機会に、すでに
委員会
でも連合審査会でも論議されておりますが、この点は非常に重要な点であります。
農林大臣
も十分御承知のように、かりに申し上げますと、東北なり、あるいは北海道、特に北海道の場合に、根室の別海のごときは、香川県よりも大きいということ、村内に小学校が三十六もあります。さらに一つの村に省線の駅が十ないし十五もあるというところがたくさんあるのであります。従いまして、本州、四国、九州あたりの郡と匹敵するような町村が多いのであります。現在、本州、四国、九州並の
整理
をされた場合に、これは非常に重要な問題として申し上げなければならないのは、これは今申し上げたように、地域が非常に広いために、当初の
政府原案
によりますと、五〇%減であります。かりに
自由党
の
整理案
にしましても、二五・七%の
整理
になる。これを全部一律に行いました場合に、ただちに
食糧
検査
というものにおいて大きな支障を来すことは事実であります。それは単に
食糧
検査
に従事をしている
職員
が、今国会なり、あるいは
政府
当局に要請しているだけでなく、あらゆる
農業
団体、農民の真の声として、今強く訴えられておるのであります。従いまして私は、これは実際に
整理
をする際においては、本州、四国、九州の府県と、その実情を異にする北海道のような場合においては、十分に考慮を願わなければならないと考えるのであります。かりに本州の府県において村の中心に一人の
検査
員がおれば間に合うところもありましよう。北海道はそういうわけには参りません。結局
検査
をするために、一々何十里もバスに乗り、馬車につけ、トラツクにつけて持
つて
来る、あるいは道がなくて鉄道で行かなければならぬというような場合、駅を五つも六つも乗
つて
検査
をするというような場合には、これは重大なる支障が起ると考えるのでありますが、この点について
農林大臣
はいかようにお考えになりますか、御所見を伺いたいと思います。
根本龍太郎
84
○根本国務
大臣
御指摘のように、実情に即して
人員
の配置をいたしたいと存じます。
小平忠
85
○小平(忠)
委員
そこで私は
橋本行政管理庁長官
もお見えになりましたので、あわせてお伺いいたしますが、今回の
政府
の
整理案
に対しましては、私は根本的にこの
整理
というものは、いわゆる
行政
改革
と同時に並行して行わなければならないと私は考えておるのであります。しかしその問題につきましても、ある
程度
ことはただちにそれに着手するためにはいろいろ検討もしなければならぬ、また十分
調査
もしなければならぬというような点から、同時に行かなかつたことはやむを得ない事実として認められるのでありますが、しかしそのように一方
行政
改革
をあとまわしにされていて、今日
職員
整理
を行うということは、きわめて慎重 に行わねばならぬと思うのであります。われわれの考え方は、ある
程度
の
職員
整理
はやむを得ないと思う。またあえて
政府
に協力をしないものでもないのでありますが、一つの例を取上げてみますと、今回の
農林省
所管で
食糧庁関係
のいわゆる五〇%の
職員
の
整理
というものは、まつたく現状を無視したやり方ではないかと思うのであります。従いましてこの際いよいよ質疑も打切ろうという
段階
でありますから、
橋本長官
にお伺いいたしたい点は、あくまでも
橋本長官
は当初考えられた
政府原案
の線をあくまでも堅持される御
方針
であるかどうか、まず承りたいと思います。
橋本龍伍
86
○
橋本
国務
大臣
さきにも申し上げました
通り
、
政令諮問委員会
の
事務整理
に発足をいたしました線でまとめて参つたわけでありまして、こういう線で終始一貫まとめて参りたいと思います。
小平忠
87
○小平(忠)
委員
きわめて率直な
橋本行政管理庁長官
としての御所見を承れないのを、遺憾に思います。しかしただいま
農林大臣
に承
つたの
でありますが、
農林省
の
食糧庁関係
の問題と、さらに運輸省のいわゆる船用加配米、
労働省
関係
の労働加配米等と
関係
をいたしまして、今回の主食の
統制撤廃
の時期を一時延期するということから、
自由党
は
食糧庁関係
において七千九百六十一人、運輸省
関係
において二百人、
労働省
関係
において九百七十九人の、いわゆる
政府原案
に対して増員の
修正案
を出されております。これは本日出されたのであります。これは
政府
与党たる
自由党
の
修正案
でありますから、
橋本長官
は御存じないはずはないと思うのであります。そこで私が疑問に思いますのは、今回の主食
統制撤廃
というものは、補正
予算
に、また今回の
行政整理
にも何ら影響ないのか。
政府
の
原案
においては毫もこの法律の一部
修正
につきましては、何らの意思表示もされておりません。一方与党たる
自由党
はこれに
修正案
を出されている。従いましてこういう点について疑問があるように感ずるのですが、
橋本長官
はいかようにお考えになりましようか。
橋本龍伍
88
○
橋本
国務
大臣
昨日の合同
委員会
でも申し上げましたように、
定員
法を
修正
いたしましたときから、なお
関係
方面
とも折衝が継続中であるということを承知の上で
附則
をつけたわけであります。それが御審議中に、四月一日までに
統制
を撤廃するのがむずかしいということになりましたので、二十七
年度
に入
つて
からの
食糧
の配給に関する
人員
を、むしろ
附則
というよりは本文に加えた方がよろしいということにな
つて
、昨日も申し上げました
通り
、一度国会に提出いたしました法案でありますから、国会の御審議過程における意見を尊重して善処いたしたいと思
つて
おります。与党から
修正
が出て参りましたが、私はもともと
附則
をつけました
趣旨
からい
つて
、方一の場合の必要があると考えてお
つたの
で、四月までに主食の配給
統制
を撤廃するに至らないことがはつきりいたしましたから、本文に加えるという与党の
修正
をのんで参りたいと思
つて
おります。
小平忠
89
○小平(忠)
委員
最後
に一点お伺いいたしたいのでありますが、今回の
職員
人員整理
というものは、いわゆる
行政機関
職員
にとりまして重大問題であります。
整理
された
職員
に対しましては、特に失業者の処置については労働
大臣
もたびたび本
委員会
なり連合審査会において、あるいは本院の本
会議
においても
説明
をされておるのでありますが、私は今回の
整理
に関するところの処置は十分であるとは思えないのであります。同時にこのことは次の
行政
改革
におきまして、さらに
人員整理
等の問題もあるであろうと思うのでありますが、そういう点を考えてみますると、単に人が余るから、むだがあるから
簡素化
をするのだ——それはけつこうでありましよう。しかし少くとも人権を剥奪し、あるいは生活権を脅かすようなことをしてはならない。私は、
政府
におかれてはこれに対する十分なる処置をしなければならぬと思う。もちろん
行政管理庁長官
の立場におかれては、そういうことについても万々考慮の上、また実情を十分
調査
の上、
国家
行政事務
を執行する場合支障のないようにお考えにな
つて
おると思うのであります。しかし、特に私は先ほども
農林大臣
に指摘を申し上げたように、
農林省
所管
食糧庁
の
検査
員の五〇%減員のごときは、まつたく実情を無視しているものであると思うのであります。かりに
統制
をはずすからと言
つて
も、
食糧
検査
というものは、品位の向上、商取引の円滑あるいは優良品の
生産
というような見地から見まするときに、自由
経済
にな
つて
も
検査
の
重要性
はますます認められるのであります。私は一つの例を申し上げたのでありますが、そういうような実際
行政
面に支障のないような
整理
のやり方をや
つて
いただくことを私は特に希望するのであります。私は今回のこの
検査
員の減員については、これは絶対現状を維持してもらう。場合によ
つて
は若干の増員をお願いしなければならぬと考えておつたときに、この減員は絶対にまかりならぬと考えておるのであります。この一点を
最後
に
橋本行政管理庁長官
にお伺いいたして、私の質問を終ることにいたします。
橋本龍伍
90
○
橋本
国務
大臣
御意見は十分承りました。たが人権云々というお話がございましたが、
国家
公務員というものは、あくまでも国民のために国の
行政
を運営するというその必要のためにあるのであ
つて
、そういう面から見まするならば、当然仕事をする奉仕者であると同時に、それだけ国民に負担をかけておるわけでありますから、
政府
といたしましても、公務員自身としても、できるだけ少い人数で国民へのサービスのできるように心がけるのが当然であると思
つて
おるのであります。従いまして仕事の繁閑に応じまして、できるだけ少い
人員
で措置をするということは、決して人権の剥奪というような問題になるとは私は思わぬのであります。もちろんただ
理由
もなしに、気に食わぬから首を切るということでありましたらそうでありますが、そういう意味ではまつたくないのでございます。 なお
食糧
検査
の問題に関しまして一は、これは先般来
農林大臣
からるる御
説明
のございました
通り
、仕事のいろいろなしぶりを考えまして閣議全体で相談の上、
農林大臣
も十分御納得の上きめられたものでありまして、その仕事の仕方につきましては、先般来
農林大臣
のお答え申した
通り
であります。
木村公平
91
○
木村委員長
松本
善壽
君。
松本善壽
92
○松本(善)
委員
私は今般
提案
にな
つて
いますところの
定員
法の一部を
改正
する
法律案
の
政府原案
について、
農林大臣
にただしたいことがあります。ただいま
提案
にな
つて
おりますところの問題を取上げてみます場合においては、
食糧庁関係
、特に
検査
員の
定員
でございまするが、
農産物
の
検査
法というものは、われわれが承認して通しておるということは御承知の
通り
であります。従いまして全国における
検査
員の配置
状況
というものは、専門家である農林次官もよく御存じであられると思いますが、全国には九千八百七十町村、あるいはこれを
人員
でまとめていうならば一万三百六十五名の
人員
があるはずにな
つて
おりまするが、今回の
整理案
から申し上げますならば、約三町村に二人弱——一人半ぐらいの所もあれば二人の所もあるが、三町村に二人弱というような割合になりはせぬか、かように考える次第であります。今後
検査
というものは、御承知のように雑穀類あるいはその他強制
検査
をわれわれが実施している限りにおいて、その仕事の分量というものは当然滅らないと私どもは考えますが、まずその一点をただしたいと思います。
島村軍次
93
○島村
政府
委員
米麦
の国営
検査
が本年の春の国会できまりまして、お話の
通り
にますます国営
検査
の充実を期する必要は認めておるのでありますが、今回の
定員
法
改正
によ
つて
検査
員の数が減じますことは、
検査
の執行上あるいは支障があるのではないかという御懸念でありますけれども、もちろんこの点についてはたびたび
農林大臣
から申し上げておりますようにできるだけ能率を上げるとともに、さらに
事務
の執行におきまして従来の
事務
の範囲をなるべく
簡素化
いたしまして
検査
員の負担になる点を
軽減
いたしたいという考え方が一つと、それと同時に、
検査
の執行は御承知の
通り
に時期的にも繁閑があるのでありまして、非常に出まわりの忙しいときには相当の手数を要するのでありますが、これらの執行にあたりましては、あるいは他の
方法
で
臨時検査員
等を設置してやる道もありますし、あるいはまた共同出荷等の道によ
つて
、その手数をできるだけ省くという方策もあるわけでありまして、それらの点を勘案いたしまして先ほど
農林大臣
から
説明
申し上げました
通り
に、できるだけ実情に即して、支障のないようにいたしたいと存じておる次第であります。
松本善壽
94
○松本(善)
委員
私も努めて簡単に質疑をいたしますから、簡単にお答え願いたいと思います。次に
統計調査
事務
についてただしたいと思います。御承知であるがごとく、今日やりておりますところの
統計
というものは、われわれも世界的なる水準に一歩足を印しようというような姿で、過去において三年間進んで参
つたの
であ
つて
、もう一息で
統計
が完成し、また役に立つときが参るときにおいてその
統計
が現実の場合においてまだいい悪いという結論が出ていない途上において御破産になるような、この
人員整理
案は、まことに嘆かわしい次第でありまするが、この点について私どもは、でき得べくんば、
検査
員はさるこながら、
統計
においても
農村
、いわゆる農家経営の一助とせんがためにも、あるいは
農業共済
関係
、あるいはまた
農業
の災害
対策
の補強の施策としても、かようなものは助成金を出してまでもや
つて
もらいたいと思うのでありますがごの
整理案
をながめますると、かような点についてまことにさびしいものがあるのであります。
従つて
これもまた町村別に言うならば四町村または三町村以内に一人というような割合になり、あるいはまた
統計調査
から言うなれば、府県単位にもなりはせぬかというような面が現われておるようでありまするが、この点についてはどうお考えであるか。
島村軍次
95
○島村
政府
委員
この問題につきましても、たびたび
農林大臣
からお答えを申し上げました
通り
に、
統計
そのものの基本的な考え方は、従来の考え方をさらに一層強めまして、農林政策の基本を出す上に必要なる資料の収集に対しては、できるだけ正確に、しかも国際
会議
等において信用のある点にまで進みたいという念願を持
つて
おるのでありますが、ただ御承知の
通り
に今日の
統計
は大体町村単位であり、しかもその内容が他の
統計
と違いまして、すこぶる広汎にわたつた
調査
をや
つて
おるのであります。そして町村等の
調査
そのものに対しては、正確を期する意味からい
つて
抽出
検査
を主体に置いておるのであります。もちろん抽出の箇所数が減員とともに減
つて
来ることはやむを得ないことでありますが、これもできるだけ能率を上げまして、
調査
の
方法
についてもなお農林政策の基本線を害さない範囲において、できるだけ正確のものをやる、さらに
調査
の
方法
について創意とくふうを加えて、
調査
の簡素と、しかも正確なものを期するという考え方でやりたいと考えておる次第であります。
松本善壽
96
○松本(善)
委員
それから食管
特別会計
のあり方から考えてみまするならば、そこに手数料という問題が期せずして出て来るはずであります。
政府
がや
つて
おりまするところの手数料は、現在年間どのくらいであるか、昨
年度
産米の例を一応お示しいただきたい。
島村軍次
97
○島村
政府
委員
現在は御承知の
通り
に手数料は徴収をいたしておりません。今後
統制
の緩和に伴
つて
漸次手数料制度が考えられるものだと存じております。ただ国営
検査
も
米麦
以外の——つまり
統制
のありまする
政府
の買上げについては現在はと
つて
いないのでありますが、委託によ
つて
の品物については手数料をと
つて
おるのであります。その手数料の額はただいまはつきり記憶いたしておりませんが、必要でありますればあとからお届けいたします。
松本善壽
98
○松本(善)
委員
その手数料については、私も数字を持
つて
おりますから聞く必要はありません。 次にただしたいことは、輸入
食糧
関係
でありまするが、輸入
食糧
はあるいは三百二十万トンないし三百七十万トン輸入しなければいかぬではないかというような
情勢
が一たびある場合において、これに対するところの
検査
員というものに対する
政府
の施策いかんをただしたいのであります。
島村軍次
99
○島村
政府
委員
輸入
食糧
は積上げの際に抜取りで
検査
をや
つて
おる実情であります。
松本善壽
100
○松本(善)
委員
政府
としては
統制撤廃
を目標にしておる
関係
上、一般農家の
米麦
に対して輸入
関係
の抜取り
検査
のようなことが行い得るかどうか。ことに米に対してそのようないわゆるさし米的な
検査
方法
をも
つて
これがなし得るかどうかというようなことも、科学的に是非は論断せられるのでありますが、今後行われる
検査
方法
についてもむしろ俵別の
検査
を目標とされるのではないかということになりますれば、さような点に立
つて
検査
員の必至性を考えますが、その点について
政府
の施策いかんをただしたいのであります。
島村軍次
101
○島村
政府
委員
輸入
食糧
につきましては、買付の場合に引合いをいたしまして、かくかくかような品物をということが建前にな
つて
おります。
従つて
エジプト米あるいはビルマ米というようなものを輸入する場合においては、およそこれらの国において一定の規格のものを入れるという条件のもとにや
つて
おるのであります。今後
統制
が揺和されるというような場合におきましては、また別途のことも考え得るのでありますけれども、今の買付の
方法
等から考えますれば、契約の場合における一つの条件としてはつきりしたものをやれば、別に大した機構の
改正
をやらぬでも、現在の
程度
でさしつかえないものと考えておりますが、なおこの点については研究を進めてみたいと思います。
松本善壽
102
○松本(善)
委員
予算
のあり方でありますが、現在のあり方で言うならば、インヴエントリー・フアイナンスをも
つて
財政的な援助を百億
予定
してお
つて
、結局米価というものがきま
つて
おると思うのでありますが、今後
統制
が解かれる場合においては、その
価格
をいかに決定されるかということが大きな問題になるのではないか。これを百十円にするとかあるいは百五円にするとかいう案がありますが、財政的な面において百億の計上をいたす。あるいは需給調整によるところの
米麦
の差をも
つて
やつたら
政府
の負担がどうなるか、あるいは国民の直接的な負担においてどうなるか、どつちがいいか忌憚なき政務次官の御意見を承りたい。
島村軍次
103
○島村
政府
委員
実は私の私見は持
つて
おりますが、
政府
の方でいろいろ検討を加えられておるのでありまして、この際は差控えさしていただきたいと思います。
加藤充
104
○加藤(充)
委員
先ほど私の質疑に対しまして、私はそういう言葉を使つたことはなか
つたの
でありますが、日米合同
委員会
云々ということが、今度の
機構改革
人員整理
に関連して
橋本長官
の方から問題に出されましたので、その点についてお尋ねいたします。
昭和
二十四
年度
の
行政整理
のときは、相当な権限を持つた
各種
の審議会、
委員会
、協議会というようなものができたことがたしか一つの特徴であつたと思うのであります。今思い出すままに拾いましても、公正取引
委員会
、
統計
委員会
、人事
委員会
、
地方
財政
委員会
、選挙
管理
委員会
、労働
委員会
、公安
委員会
、農地
委員会
、日本学術
会議
、教育
委員会
、復興金融審議会というようなものが思い出されるのであります。私どもはその当時、こういうような二百になんなんとする大量にして強力な
行政
権限を持つた機関というものは、その構成権限などから見まして、さらにその運営の実態に即して見ましたときに、決してこれは民主的なものにはならない、国民大衆が参加し、その
委員会
を通じ、審議会を通じてその利益が守られておるという意味合いにおきましての民主化にもならなければ
簡素化
にもなり得ないということを申し述べたつもりであります。しかるに今回の
行政機構
改革
あるいは
行政整理
の中には、そういうふうな
委員会
が縮小され、あるいは権限が弱められ、
人員
が少くされるとい汚ような特徴を持
つて
おると思うのであります。これは確かに今回の
行政整理
の特徴だと私どもは見てとるわけであります。先ほども申し上げましたように、あの前にできた
各種
の
委員会
というものは、結局民主的な形態の擬装のもとに、それに強大な権限を持たせまして、そうして憲法上最高の機関であるという国会の権限を巧みにそらしまして、そういうような審議会を日本の実力的な支配者の利益を代弁する者によ
つて
構成して、そこできめられた最高
方針
というものが
行政機関
に移され、その中に国会の介在する余地を少くして、結局国政というものがそういうふうにして行われるような仕組にな
つて
おつたと私どもは思うのであります。これが今回はなく
なつ
た、あるいは縮小された。しかしこの独立の権限や強い権限を持つた
各種
の
委員会
、協議会というものは最高においてどういう構成になるかわからないとおつしやいましたが、日米安全保障協定に基いて全面的にそれに協力すべき義務を日本は仰せつかり、欣然という言葉で引受けまして、それで結局はこの日米合同
委員会
というものが最高の地位に立
つて
最高
方針
を決定し、強力にこれを実行して行くというところに特徴があ
つて
、国政というものはその
方針
に
従つて
すべてが動かされて行かざるを得ないことに
なつ
た。
従つて
今までのカムフラージユした、迂回した各審議会、
委員会
の必要がなくなり、強力な中央集権的な
国家
行政機構
というものがここに確立される必要が出て参つた。これがこのたびの
行政機構
改革
の特徴だと私は思うのであります。たとえて申しますれば、
政令諮問委員会
には何らかの法的根拠があるかといえば何もない。またわが党の同僚であつた川上君たちが追放されましたときに、その追放の手続の中には、適格審査
委員会
というようなものがなければならなかつたはずなのに、こういうのがなく
なつ
た後にも、追放が制度手続を無視して行われてお
つて
、
政令諮問委員会
があるかなきかのごとく、そしてまた強力であるかなきかのままに相当強力な実権を握り、国政の上に大きな作用を及ぼしている。これが中央集権的なものにな
つて
行くのではないかと私は思うのであります。この前人事院総裁にお聞きしたところが、人事院総裁から私の質問と違つた御答弁があ
つたの
であります。人事院は
労働省
、勤労者、公務員の実質的な保護機関の役割を果すことがきわめて少なかつたばかりでなく、その権限を無視して、ずいぶんひどいことを
政府
と一体とな
つて
や
つて
来た。
従つて
保護機関たる実質は事実なくな
つたの
でありますが、このたびの
行政整理
でこの
附則
の中に、せめて公務員に制度として認められました唯一の不利益処分に対する身分の保障の保護的作用を全部なくされているのであります。これはかねぐ新聞に報道されているように、人事院の廃止というような、いわゆる
委員会
制度の廃止という方向に向う線に連なるものではないのかと懸念される点、そしてこういう点はこのたびの
行政整理
の
定員
法の
附則
と関連いたしまして、これは制度として体裁として非常に私は反民主的なものであり、反公務員的なやり方ではないかと思うのであります。
提案
理由
の
説明
の中におきましても、多数の
人員
の
整理
される場合におきましては、この制度を適用するととが実情に即しないために、そういう
附則
で審査請求権を認めないのだとおつしやいましたけれども、基準をきめないでほどらいにやみ打ち的にめつた切りにされる危険性が多い。少くともそういう人たちが多数予想される。これは神ならぬ長官がやるのであります。このときにごそ私は制度として、せめて公務員の保護機関としての不利益処分に対する審査請求、審判というものはこれは認めなければならないのであ
つて
、だから審査請求制度を適用しないことにしたということは、論理が逆にな
つて
いると思うのであります。この点についていかがなものでございましようか。
橋本龍伍
105
○
橋本
国務
大臣
御質問の
趣旨
がよくわかりませんが、お話のございました
各種
の
行政
委員会
に関しましては、
行政機構
改革
の一環として検討中ではございますが、決して加藤
委員
の言われるようには考えておりません。今後におきましても日本の民主主義的
行政
組織を維持するという大
方針
はかわらないのでありまして、ただ戦後のいろいろな行き過ぎもございますので、日本の実情に合つたような、また経費も安くて済むような簡素能率的な運営によりまして
各種
の
行政
委員会
につきましても、特別な意味があるもののほかはなるべく数を減したいと考えているのであります。
機構改革
の問題は、今後の検討の問題でございます。御質問の主眼点は、
人員整理
の場合に不利益処分の訴えの
規定
を排除することがいいか、悪いかというお話のようでありますが、これはもともとが何か
理由
もないのになまけているとかなんとかいうことで、
行政整理
も何もないのに
整理
をするというふうな場合に、この訴えの意義があるのだと思います。国全体のいろいろな
状態
からしまして、独立後の日本の簡素な
行政
運営を
行つて
行くために、なるべく経費も安く、手間もかからずに国民へのサービスをするという見地から、
行政整理
をやるという建前にな
つて
参りました場合には、何ほどかの
人員
をその中から
整理
をする必要があるわけでありまして、これはむしろごく常識的に平静に考える場合には、何ほどか
整理
をする必要があるというときに、その
省庁
の中の
事情
によ
つて
だれだれを
整理
するというのを、一々自分を
整理
しないで他人を
整理
しろというふうなことが訴えの内容になるというのは、非常におかしいのであります。実情に即さないので、訴えは今回の場合に適用しないというふうにしたのであります。
木村公平
106
○
木村委員長
文部省の相良総務課長が来られましたので、松本講評君の質問を許します。松本君。
松本善壽
107
○松本(善)
委員
簡単に質問いたしたいと思います。文部省
関係
の所管におきまして、今回一部の
整理案
が出ております。文部
大臣
も公言せられておりまするがごとく、六・三制というものはどこまでも育成強化して行かれるという
方針
に承
つて
おります。
従つて
中学におきましてもモデル・スクールなどというものがあ
つて
、所々方々にその形と体裁を整えなければならぬという御
方針
と承
つて
おります。小学校教育、新制中学校の教育ということを取上げまする場合において、今回
政府
が企図しておりまするところの
整理
の内容を見ますると、
地方
教官におきましては一律に約一〇%というような数字を見得るのでありまするが、各学校におきまする
地方
教官の数あるいは病欠等によ
つて
、はたして実際の御
方針
とこの
整理
との間にどのような差が出て来るかということを私ども懸念するものであります。一応かような見解に立
つて
説明
をしていただきたいと思います。
相良惟一
108
○相良
説明
員 ただいまの御質問に、
地方
教官というお言葉がございましたが、今回の
定員
法の
改正
では、いわゆる
地方
教官すなわち公立学校の教員の
整理
には触れておりません。
松本善壽
109
○松本(善)
委員
さように私も存じておるものであります。従いましてさような従来の御
方針
通り
に今後進まれるということであれば、私も了といたすものであります。しかしながら現実のこの
整理案
をピラミツド式にながめますれば、結論としてかようなものが出て来るのではあるまいかというのが私の考えでございまするが、さようなことがないということであれば私はただすことがありませんから、まことにも
つて
けつこうなことと思いますので、私の質疑を終ります。
加藤充
110
○加藤(充)
委員
橋本
さんにお尋ねします。先ほどの御
説明
、御答弁によりますれば、これはまつたく切捨てごめんにな
つて
しま
つて
、国の政治のためには公務員は犠牲にな
つて
もしかたがないということになります。これは俗な言葉で言えば、切捨てごめんで
国家
が人民の上に最高の権力を持つという形で、
国家
至上主義に通ずるものだとも思うのであります。切捨てごめんというのは、武家政治時代の武力支配の
なつ
りであります。そこでお尋ねするのですが、憲法三十二条並びに
行政
事件訴訟特例法等の
関係
から見て、何ら救済制度はこのたびの首切りの公務員にはないのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
橋本龍伍
111
○
橋本
国務
大臣
もう格別申し上げることもないのですが、
国家
至上主義とかなんとかいうのは非常におかしな話で、現在憲法下において、四年ごとに、ないし四年よりもつと短かい期間において選挙が行われて国民の総意によ
つて
選挙の結果でき上つた国会が、国権の最高機関として国の運営をつかさど
つて
いることは、加藤
委員
以外の万人の認めているところであります。
国家
というものは抽象的にあるものではなく、国民の自由な選挙を反映して国会を通じて国の政治が行われて行く二とは御承知の
通り
であります。 そこであくまでも申し上げますように、何も公務員というものが、憲法上国民の利害休戚に
関係
なしに置かれているわけでも何でもない。国民のために国の
行政
運営をやるべきであるわけでありますから、
政府
といたしましても、公務員自身といたしましても、できるだけ少い人数で、できるだけ少い経費で、能率的な運営をやるように心がけることは、みなの責任であると常に考えておるのであります。それで今回の
行政整理
が行われるわけでありまして、その場合におきまして、今申し上げましたように、総体の
定員
の中で、なお少い人数で
行政
が行われ得るということで
整理
をいたすわけでありますから、当該省、庁の中でおのずからそのまとまりのよいように
整理
の決定が行われます場合に、それをまた提出してどうこうということは、つまり
定員
の中から自分を落すより他人を落せという話になりますれば、公務員法に定められたところの不利益処分に対する訴えの
規定
の
趣旨
と意味が違うわけであります。公務員法に定められたところの不利益処分の場合に訴えるということは、むやみやたらに、要するに気に食わぬから
整理
をするといつたようなときに訴えができるわけであります。そういつたような場合においては、当然こういう
規定
が行われるのが、常識的に考えて筋であろうと思います。
木村公平
112
○
木村委員長
村瀬
宣親
君から、相良総務課長に質疑があるそうですから、村瀬
宣親
君の質疑を許します。
村瀬宣親
113
○村瀬
委員
ただいま松本
委員
の質問に関連して文部省の
政府
委員
にお尋ねするのでありますが、
地方
の中、小学校の教
職員
に及ばないということは、わか
つて
おることでありますが、御
提案
の内容を調べてみますと、附属教官二百九十三名というものを
整理
することにな
つて
おります。これはおそらく附属の中、小、学校の教官に当ると思うのであります。むろん今度のは
国家
公務員でありまするから、
地方
公務員に触れてないのでありますけれども、これが氷山の一角とな
つて
、
国家
公務員としての附属教官をこれだけ
整理
したということになりますると、これから類推いたしまして、
地方
の公務員である
地方
中、小学校の教
職員
という問題にも相当出て来ると思いますが、この内容はどういうものであるか。またこれは教育実習の対象とな
つて
おるものであ
つて
、教育研究の場所でありますから、これを縮小することは、将来の日本の教育
行政
に非常な禍根を残すと思うのでありますが、いま少しはつきりした御答弁を願いたいと思うのであります。
相良惟一
114
○相良
説明
員 ただいま御指摘の
通り
、国立学校の附属学校であるところの高等学校、中学校、小学校の一応の
整理
予定
人員
約三百名足らずとな
つて
おりますが、これは一応の算定基準であ
つて
、実施
計画
をつくるに当りましては、各省で振りかえを認められておりますので、実験学校であるところの附属学校の特殊性にかんがみまして適当な措置をとるつもりでおります。
地方
の学校につきましては、目下
地方行政
簡素化
本部でも
つて
整理案
を作成中でございます。
村瀬宣親
115
○村瀬
委員
先ほどの御答弁とかわ
つて
はいないにしても、非常に心配な点が生じて参るのであります。別に
整理案
を作成中ということであります。教育の
関係
につきましては、簡単に
整理
をして目的が達し得るものでないと思うのでありますが、これは
地方
公務員のことでありますから、ここでは多く触れないといたしましても、今振りかえ等によ
つて
実際の部面においてはあまり支障は来さないようにするつもりであるという御答弁でありましたが、そういたしますと、この附属教官二百九十三名は、一応数字の上には出しておくけれども、実際は縮小しない、そういう御
方針
であると解釈してよろしゆうございますか。
相良惟一
116
○相良
説明
員 実際に
整理
をしないというのではございませんで、附属学林にも長期欠勤者がおりますし、また欠員もございます。なお附属学校において実際に
整理
可能であるか、目下
調査
中でございますので、実施
計画
をつくるに当りまして、適当に措置をしたい、こういう考えでおります。
木村公平
117
○
木村委員長
通告者の質疑はこれで終了しましたので、本案及び両
修正
宝に対する質疑は、これにて終局いたしました。 次会は明後十二日午前七時より
委員会
を開きます。本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十四分散会