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1951-11-10 第12回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十日(土曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 木村 公平君    理事 青木  正君 理事 江花  靜君    理事 船田 享二君       大内 一郎君    鈴木 明良君       松本 善壽君    山口六郎次君       金子與重郎君    村瀬 宣親君       松岡 駒吉君    松澤 兼人君       加藤  充君    小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣 橋本 龍伍君         農 林 大 臣 根本龍太郎君         郵政大臣電気通         信大臣     佐藤 榮作君         労 働 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         行政管理庁次長 大野木克彦君         農林政務次官  島村 軍次君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     相良 惟一君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 十一月十日  委員千葉三郎君及び鈴木義男辞任につき、そ  の補欠として金子與重郎君及び松澤兼人君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員松澤兼人辞任につき、その補欠として川  島金次君が議長の指名委員に選任された。 十一月九日  恩給法の一部改正に関する請願鈴木義男君紹  介)(第八二五号)  水産省設置に関する請願圖司安正君外三名紹  介)(第八五四号)  同(石原圓吉君外一名紹介)(第九〇一号)  皇居再建に関する請願庄司一郎紹介)(第  八八五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一八号)     —————————————
  2. 木村公平

    木村委員長 これより会議を開きます。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。本案について自由党青木正君及び国民民主党船田享二君よりそれぞれ修正案が提出されておりまするから、この際両修正案について順次提出者趣旨弁明を求めます。まず青木正君。
  3. 青木正

    青木(正)委員 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対しまして、自由党より提出いたしました別紙修正案について、その理由を御説明申し上げたいと存じます。  原案定員は一応米の統制撤廃を明年四月一日から実施するということを前提としておるのでありますが、政府は先般米の統制撤廃を実施する方針ではあるが、その時期は供出の状況及び米の輸入状況等を十分に勘案して決定することになつたのであります。よつて附則第三項を削り、食糧庁定員に七千九百六十一人を増加するとともに、船用米配給関係で運輸省において二百人を、労務加配米関係労働省において九百七十九人を加えることにいたしたのであります。簡単でありますが、以上をもつて修正案提出理由といたします。
  4. 木村公平

    木村委員長 次に船田享二君。
  5. 船田享二

    船田委員 ただいま議題となつております行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対しまして、国民民主党を代表してこの修正案提案理由説明申し上げたいと存じます。まず修正案案文を申し上げます。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二条第一項の表の農林省の項中「二〇、五四八人」を「二四、五一一人」に、「一五、二四二人」を「二九、四五四人」に、「五八、五一四人」を「七六、六八九人」に、同表の合計の表中「八〇二、七四〇人」を「八二〇、九一五人」に改める。   附則第二項中「二万千五十五人」を「二万五千十八人」に改める。附則第三項を削り、附則第四項中「(前二項の規定が適用される場合においては、これらの規定によつて置くことができる定員とする。)」を「(農林省本省職員については二万五千十入人、通商産業省の本省職員については八千八十四人)」に改め、同項を附則第三項とし、以下一項ずつ繰り上げる。  これが案文でありますが、以下少し提案理由説明申し上げたいと思います。  政府はこの法律案提案理由として行政事務簡素化等に伴い各省庁定員改正する必要を生じたと説明するのでありますが、そのいわゆる行政事務簡素化とか、合理化とかの実態はほとんどまつたく明らかにされておりませんし、また地方行政機構改革とか事務簡素化等との関連もはなはだしくあいまいなのでありまして、本法律案はむしろ天引式人員整理行つて、それによつてしいて行政事務の縮減を求めようとするものといわなければならないのであります。かつまたその天引式整理の基準はきわめてあいまいなものであるばかりでなく、各省庁の間の均衡を無視しているのであります。のみならず、こういうような政府整理案によつて生ずる犠牲者の数は、最少限に見積りましても六万ないし六万五千に及ぶと説明されるにもかかわらず、こういうような犠牲者に対する政府対策は、退職金を多少多額に支出するという以外にはほとんど見るべきものもないのであります。さらに政府は、今度の整理にかかわらず引続いて大幅に行政機構改革を行おうとする態度を示しているのでありまして、その機構改革にあたつてたまたま人員整理の行われるおそれが十分にあるのであります。こういうような方法をもつてする行政整理によりましでは、いたずらに公務員に不安を与え、公務に専念することを妨げますとともに、大きな社会不安をかもすにすぎないとしか考えられないのであります。われわれはもとより、行政機構簡素化し、行政事務能率を高め、国民負担軽減をはかるという趣旨行政整理をできるだけ早く断行すべきことを常に主張して来たのであります。従つて行政簡素化し、現下わが国力にふさわしい行政体制を樹立するという政府方針それ自体に対しましては、賛意を惜しむものではありません。けれども、この法律案によつて示されるような方法をもつてする行政整理によりましては、政府趣旨とするところは実現されることを得ず、むしろ逆の効果を生ずるおそれが十分にあるものといわなければなりません。こういうような本法律案の欠点は、ことに農林省に関する部分において強く現われ、ここに集中されていると思われるのでありまして、政府案は、農林省統計調査部及び統計調査事務所の現在定員一万四千九百四十二人のうち六千五百二十人を整理して、八千四百二十二人の定員とし、また食糧庁の現在定員三万一千二百五十六人のうち一万六千十四人を整理して、一万五千二百四十二人の定員としようとしております。その整理率は案に前者において四三・六%、後者において五一・二%の高きに達しておりまして、二人のうちの一人は必ず整理されるというような状態でありまして、その結果、この法律案による整理全員の約三分の一に上る多数の整理人員農林省一省が引受けなければならないということになつております。ことに統計調査関係定員は最近千五百名減少せしめられたばかりでありまして、その上にこういうような大幅な削減をあえてしようとするそういう整理の率は、他の省庁における統計関係職員整理率に比べてみましても、著しく均衡を失するものであります。たとえば総理府統計委員会整理率は一〇%、総理府統計局整理率は一六・三%にすぎませんし、最も高い大蔵省の統計関係職員整理率も二八・六%にとどまるのであります。こういうような大幅な、ほかの省庁との均衡を無視した整理をあえてする理由として、政府は米の統制撤廃前提とするという説明を加えたのであります。しかし米の統制撤廃に関する政府方針は、まつたく明らかにされませんうちに、政府はその言明をひるがえしてしまつておるのであります。統計調査関係においても、食糧庁についても、統制撤廃前提とする整理ということは、これを行い得ない状態になつておりますことは言うまでもありません。のみならず、統計調査関係職員定員にせよ、食糧管理及び検査関係職員定員にせよ、現在の定員は必ずしも主食の統制のためにのみ必要なものとして定められてあるものではないのでありまして、大部分統制の有無にかかわらず必要な定員といわなければならないのであります。言うまでもなく、きわめて表面的に見ますと、農林省統計調査関係職員定員は、ほかの省庁統計調査関係定員に比べて一著しく多数に上つておりますけれども、農業とか、林業とか、畜産業水産業に関する統計調査におきましては、生産なり、流通なり、消費なり、労働なり、耕地なり、経営規模なり、その他の生産要素、あるいは経済、家計、価格生産費等、これらすべてを農林省統計調査関係職員が担当しておるのでありまして、ほかの産業部門におきまして、生産とか、価格とか、労働とか、工場とかいうものを、通産省とか、労働省とか、厚生省とかいろいろの省が分担しておるのとは非常に趣を異にしております。また農業などがわが国産業において占める重大な地位にかんがみ、さらにその調査がきわめて困難でありまして、各町村、各耕作者についてこれを行わなければ、精密な統計をとり得ないということを考えますと、定員が他の省庁統計調査関係職員定員に比べて多数に上ることは当然と言はなければならないのであります。ところが政府案によりますと、第一に農作物調査の中で、米麦については、米麦生産統計府県別段階の推計にとどめることとなるのでありまして、従つて水稲について、作付面積調査において、作付歩合現地調査標本数を本年度よりも六七%削減することになりますし、また耕地のなわ延びあるいはなわ縮みと申しますか、なわ延びなどを調べるための平板測量を全廃するということになるのでありますが、これらはいずれも、どんなことがあつても現在の二〇%程度減少にとどめる必要があるのであります。また収量調査におきましても、予想収穫高調査及び推定実収高調査を、いずれも本年度の半分以下、四四%ぐらいに削減しなければならなくなるのでありますが、これまた約倍の八八%程度に維持する必要が認められるのであります。  次に陸稲とか麦類につきましては、作付歩合現地調査標本数及び平板測量標本数削減率は、本二十六年度に対しまして四三%に上ることとなるのでありますが、これもまたせいぜい二〇%程度減少にとどめる必要がありまするし、また収量調査につきましても、予想収穫高調査及び推定収穫高調査ともに本年度に比して約四分の一、二五%程度削減率となりますけれども、これも削減率は一〇%程度にとどめる必要があると思われるのであります。  さらに同じ食糧の中でも、菜種とか大豆その他の作物実測調査は、政府案によりますと、まつたく不可能となるおそれがあるのでありますが、これらに関するものはむしろ現在よりも強化する必要があると思われるのであります。  第二に、農林経済調査農林統計水産統計につきましては、人員の不足によりましてその正確度は相当に低下するおそれがあるのでありまして、政府案による二〇%整理率をせいぜい半分の一〇%にとどめる必要があることは明らかであります。  また管理事務につきましては、地方統計調査事務所について、政府案は二〇%の整理率を適用しているのでありますが、これらの事務所は、政府のつくつた政令改正諮問のための委員会行政制度改革に関する答申にも言われております職員百人未満の小行政機関に当るものでありまして従つてこれまた一〇%程度にとどめる必要があるのであります。  次に食糧増産対策とか土地の改良、耕種の改善、農業災害補償制度による農業共済単作地帯振興等各種の施策のため、あるいは農業経営指導基礎資料の作成のためというようなことを考えますと、統計は、少くとも米麦について県内の農業地帯別のものたるということを必要とするのに、政府案によりますれば、これらをまつたく廃止する必要が起きて来るのであります。  また最後政府案によりますと、一昨二十四年度から五箇年計画で始められた耕地面積調査を放擲しなければならないことになるのでありますが、こんなことをいたしますと、すでに実現されておりますこの計画をまつたく無効なものにしてしまいまして、明治初年に早々の間に行われた調査による、あの頼りない土地台帳を唯一の頼りとしてやつて行くというような、文化国家にあるまじき野蛮な状態をこの先なお続けなければならないこととなるのでありまして、かようなことは、われわれの断じて認めることのできないところであります。のみならず、農業統計に関しましては、今度の平和条約における宣言におきましてわが国は一九二八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際条約及び議定書、並びに一九二八年の経済統計に関する国際条約改正する一九四八年十二月九日パリで署名された議定書に加入する意思を表明しておるのでありまして、そうしてこの経済統計に関する国際条約及び議定書は、第一に主要作物に関する栽培面積の分布、それから第二に作物収穫高、これに関する毎年の統計表を提出すること、それから完全な統計表を提出することができないときは、その不完全の程度を示すべきこと、これが約されておるのであります。政府原案によりますと、こういうような国際条約上要求される正確度農業統計をつくり得るかいなか。おそらく府県段階において三%の誤差が現われて来るものではないかと予想されるのでありまして、きわめて疑わしい状態に陥るおそれがあるのであります。今や平和条約締結とともに、わが国国際経済に復帰するに従いまして国際農業機構とか、国際統計機構へ、統計を通じて協力し、また海外農業事情海外農業統計をできるだけ早く的確に把握する必要がいよいよ強くなつて来ておるのであります。さらにまた国内の主要食糧が絶対的に不足しております今、どうしても外米、外麦を輸入しなければならない状態のもとにおきまして、国内産の食糧が一体どれだけ不足するのかをあくまでも正確につかんで、輸入対策を講ずる必要がいよいよ強くなつて来ておるのであります。従つて農林統計農産物調査事務はいよいよ拡充することを要するのでありましてこれを逆に、しかも大幅に整理するというようなととはまつたく考えられないことといわなければなりません。  次に食糧庁関係についてみますと、政府案食糧統制業務職員六千八百八十二人の定員のうち、六〇%に相当する四千百二十九人を整理することとしておるのでありますが、これは食糧統制撤廃前提としたものでありまして、従つて統制撤廃政府言明にもかかわらず行えなくなつた限り、かような整理を行い得ないことは言うまでもないのであります。  また農産物検査業務職員二万三千五百三十四人の定員のうち、ちようど半分にあたる一万一千七百六十七人を整理することとなつておりますが、これまた統制撤廃前提とするものでありますが、農産物検査業務統制とは無関係なのでありまして、昭和十七年すなわち農産物検査が国営となる直前におきまして、すでに農産物検査関係職員の数は一万七千七百三十五人、ほかに臨時検査員が千五百七十四人あつたのであります上、また昭和二十一年検査品目増加等に伴いまして、検査官を大幅に増員するに至つたあの直前におきましては、国費によるもの一万五千九百十二人、地方費支弁のもの二千八百二十一人、ほかに臨時検査員が千四百六十一人あつたのであります。そうして現在におきまして、農産物検査法によづて検査を行うべき農産物の、種類も、数量も少しも減少はしておりませんし、減少する予定もないばかりか、検査技術はいよいよ精密となりつつあるのであります。政府はかような情勢にもかかわらず、しいて検査関係職員整理しまして、検査事務とともに整理人員地方農業協同組合等に吸収せしめよう、これは農林大臣説明しておられたのでありますが、こういうような方針をとつておるのでありますが、申し上げるまでもなく、検査事務は、地方的、個別的なものから、次第に統一的に、従つて中立的に、公平に国家が行う方向に発達して参つたのでありまして、ようやく現段階に達しているのであります。これをとかくの弊害のつきまとつた二十年も三十年も前の状態にしいて押しもどそうとするようなことは、われわれどうしても承服することができないのであります。  さらにこれを整理犠牲者方面から考えてみましても、統計調査関係にありましては、食糧検査及び管理関係にあるものと同様に、職員の多くは農村出身者なのでありまして、従つて整理されまして失職した場合には、多くは農村に帰らなければならないと思われるのであります。ところが最近農業への就職者数が著しく減少して、非農業への就職者数が増加したことは、この委員会におきまして、橋本長官が特に強調された通りであります。この現象は、人口過剰に悩む農村が、これ以上人口を吸収し得る能力を失つて、超飽和状態に陥つたことを物語るものなのであります。かような状態のもとにおいて、ことさらに人員整理行つて、多数の犠牲者農村に追い込もうとする政府案は、犠牲者を死地に陥れようとするものであり、またいたずらに農村を混乱に陥れようとするものと言わなければならないのであります。  こういうふうに農林統計調査関係と、食糧管理及び検査関係職員定員を大幅に削減しようとする政府原案は、いずれの方面から見ましても不当なものと考えられるのでありますが、他方できるだけ職員定員削減して財政支出軽減をはかるということも、現下わが国の困難な情勢のもとにおきましては、ある程度までやむを得ないと言わなければならないのであります。よつてわが党は各般の事情を勘案しまして、政府原案に対して次のような修正を加えようとするものであります。  すなわち、統計調査部におきまして管理事務試験中央電気集計につきましては原案通りといたしまして、農作物調査については、現定員二百四十七人から四十九人を削減しまして百九十八人とする。それから農林経済調査農林統計水産統計、百三十二人の現定員のうちから、政府原案は二十六人を削減するのに対して、修正案は十三人を削減いたしまして、新定員を百十九人とする。こういうふうにしまして、合計現在定員四百八十人のうち、七十六人を削減して、新定員四百四人といたします。  次に統計調査事務所につきましては、試験に関する部分原案通りといたしまして、管理事務四百四十一人のうち八十入を削減しようとする原案に対して、四十一人の削減にとどめまして、新定員を四百人とする。農作物調査におきまして、一万八百九十七人の現定員に対して五千七百九十五入を削減しようとする原案に対し、二千百五十九人を削減することといたしまして、新定員を八千七百三十八人とする。最後農林経済調査農林統計水産統計、現定員二千五百人中、政府原案は五百人の削減をするのに対しまして、修正案は二百五十人の削減にとどめまして、新定員を一千二百五十人とするのであります。かくして計一万四千四百六十二人のうちから二千四百八十一人を縮少いたしまして、新しい定員二万一千九百八十一人といたします。これにより統計調査部統計調査事務所合計定員一万四千九百四十二人のうち、二千五百五十七人を削減いたしまして、新定員二か二千三百八十五人とするものであります。すなわち政府原案に対しまして、三千九百六十三人を復活せしめまして、これによつて原案農林省本省定員を二万五百四十八人としようとするに対しましてこれを二万四千五百十一人としようとするものであります。  続いて食糧庁につきましては、一般会計に関する部分、それから食糧研究所に関する部分は、政府原案のままといたしまして、特別会計部分食糧管理定員六千八百八十二人、これを政府原案は四千百二十九人を削減しようとするのに対しまして、修正案は三百九十人の削減にとどめまして、新しい定員六千四百九十二人にいたします。検査関係におきまして、二万三千五百三十四人の現定員中、政府原案は一万一千七百六十七人を減少せしめようとするのに対しまして、修正案は千二百九十四人の削減にとどめまして、新定員を二万二千二百四十人といたそうとするものであります。このほか技能関係につきましては、政府原案をそのまま認めることにいたします。すなわち原案に対して、一万四千二百十二人を復活して、これによつて食糧庁の新定員を二万九千四百五十四人としようといたすものであります。  こういうふうにいたしまして、農林省の新定員原案では五万八千五百十四人であるのに対しまして、修正案では七万六千六百八十九人となります。また第二条第一項の表の最後合計原案では八十万二千七百四十人であるのに対しまして、修正案では八十二万九百十五入となることは申すまでもありません。その結果としまして、附則の第二項、第三項、第四項を、先ほど朗読いたしました修正案案文通りに変更することは、一々説明申し上げるまでもなく明らかなことと存じます。  最後に、こういう修正案に伴いまして、本年度補正予算に計上されました人件費の減額は、これに応じて復活する必要がありますけれども、他方これにより不必要となるに至る退職手当はこれを補つて余りがあるのでありまして、われわれの修正案による人件費増額は大体九千百四十四万三千余円であるのに対して、われわれの修正案による退職手当のいらなくなる部分退職手当不用額は七億三千四百五十六万余円に上るのでありまして、差引六億四千三百十一万七千余円が本年度においては節約されることとなると思うのでありまして、この点については予算上の問題はないと思うのであります。もとより政府原案に対しまして、他の省庁につきましても各種修正すべき点が多々あることは、われわれこれを認めておるのでありますが、われわれは今最も不合理と思われる農林省、ことにその統計調査関係及び食糧庁につきましてのみ、最小限度における修正案を提出する次第であります。  何とぞ皆さんの御賛同を得たいと存じます。
  6. 木村公平

    木村委員長 これにて修正案趣旨説明は終了いたしました。  これより行政機関職員定員法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案を一括して議題に供します。質疑の通告がありまするからこれを許します。松洋兼人君。
  7. 松澤兼人

    松澤委員 行政管理庁長官にもいろいろお伺いしたいことがありますが、ちようど郵政電気通信主管大臣であります佐藤君が来ておられますので、とりあえずそちらについてお伺いしたいと思います。いわゆる政令諮問委員会というものが内閣におきましてどの程度重要性があるか存じませんけれども、この答申書によりますと、行政機構改革の点につきまして、御承知のように電気通信事業公共企業体化に伴い、電気通信の監督及び電波監理事務郵政事務とを統合して通信省を設けるということがあるのであります。最初にこの問題に関連いたしまして、電気通信事業公共企業体化というものに対する大臣としてのお見通しをまず第一にお伺いしたいのであります。この問題はいつごろから実施される予定であるのか、はたして現在におきまして確固たる一つの方針淡きまつておるのか、この点についてお伺いいたしたい。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 電信並びに電話を一緒にいたしましての公共企業体化の案をいろいろ検討中でありますが、まだ成案を得るというところまで参つておりませんので、お尋ねのような点につきましてはお答えするだけのまだ段階になつておらないのでございます。
  9. 松澤兼人

    松澤委員 それでは今回のさしあたつて整理につきましては、この問題と関連して行政整理は全然行われていない、こう了解してよろしゆうございますか。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 さようでございます。
  11. 松澤兼人

    松澤委員 そこで従前からこの委員会におきまして種々論議があつたところでありますが、橋本行政管理庁長官は、今回は事務整理を主として人員整理行つたのである、今後行政機構改革が行われても人員整理は行わないということを言つておられるのであります。しかしもし電気通信事業公共企業体化されるといたしますならば、そこで当然人員の問題は増員されるかあるいは減員されるか、その問題が起つて来ると思うのであります。この点につきましては、私どもはやはり諮問委員会において答申されておりますように、段階を設けて、行政機構改革事務整理人員整理という段階を追つて来なければならない、こう考えていたのであります。そこで郵政大臣にお伺いいたしたいことは、もし公共企業体化ということがあまり遠くない将来において行われるといたしますならば、そこでは郵政、電通関係におきまして人員整理は行われないものであるか、あるいはそのときになりますならば、人員整理ということがまた行われるのであるかという点をお伺いしたい。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は橋本行政管理庁長官がお答えいたした通りで、同様のことを考えております。
  13. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、たとい近い将来において電気通信事業の企業体化が行われ、しかも通信省というものが設置せられることになりましても、人員の点につきましては全然変更がないと了承してよろしゆうございますか。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように企業官庁でありますので、今電気通信省におきましても、新たに交換局を設置いたしましたり、あるいは施設の増備を計画したりいたしております。また郵政省の方におきましては、業務量が増加いたして参りますれば、当然人員はたくさんいることになるわけであります。従いまして企業官庁といたしましては、今回の整理は事業遂行上最大限度のもののように考えますので、今後の需要の拡大強化に対応いたしましては、むしろ将来人をふやして行かなければならない、かような状況にあるのであります。
  15. 松澤兼人

    松澤委員 私がお伺いいたしたいことは、電気通信事業が公共企業体に移行するという場合に、現在の電気通信関係職員をこれ以上減らすような必要はないという点を、はつきりとお答弁いただきたいのであります。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点におきましては、私どもいろいろくふうをいたしておりますが、能率向上ができて参りますれば、当然人は減らして参らなければならないと思います。先ほど申しました行政管理庁長官のお話は、今回の行政整理と同様の整理方式を考えるかという点については、政府は考えていないということを申されておるのであります。従いまして私どももこれが公共企業体化する、その結果当然人が減るというような考え方は毛頭持つておらないのでありますが、事業官庁の特質といたしましては、日々能率の向上をはかつて参るわけでありますので、これは今後の研究の問題であります。はつきり申し上げますが、公共企業体に機構がかわつて、それを理由にして減員するということが考えられるかというお尋ねでありますれば、さようなことは全然ありません。はつきりお答えいたします。
  17. 松澤兼人

    松澤委員 それで大体わかりました。もし電気通信事業というものが公共企業体に移行しても、現在の電気通信省の職員の一部はその方に移行する、そうして監督官庁としての電気通信省——今後は通信省となるわけでありますが、その監督事務を行う者も現在の定員よりは減らさない。公共企業体に移つて来ても定員は減らさない。残る監督関係電気通信省、将来は通信省になるわけでありますが、その場合におきましても減らさない、あるいは現業官庁である関係から、定員はかえつてふえるかもしれない、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほども申しましたように、電気通信省の事業遂行に要します職員自身は、この事業を役所とも切り離しまして公共企業体といたしました場合でも、その事業遂行の職員にはかわりはないとお考え願つていいと思います。しかし今お尋ねのありました、これが公共企業体化した後に監督機構をいかにするかというような問題につきましては、まだ政府といたしましても成案を得ておりません。従いましてそれらの部門についてのお尋ねには、ただいまお答えする材料がないわけであります。ただ常識的に考えまして、今お尋ねのような仮定の状況になつて来れば、公共企業体化した場合に、ある程度の監督の局と申しますか、部と申しますか、あるいは課と申しますか、さようなものが必要であろうということは想像がつくわけであります。しかしその所要人員を幾らにするかということは、ただいま考えておらない状況であります。
  19. 松澤兼人

    松澤委員 この点は橋本行政管理庁長官のお話では、どんなに今後行政機構改革があつても、定員は減らさない。つまりただいまの行政整理を第一次のものといたしますならば、第三次の行政整理ということは行わない、こういうことを大体承つているのでありますが、私たちが心配しておりますととは、こういうふうに人員整理が最初出て来て、その後に行政機構改革が行われる、そういう場合にはどう考えてみても、やはり第三次の行政整理といことが必然的に行われるのではないか、こう考えることは決して私は無理ではないと思います。しかしそれは各省のたとえば非現業の方々もそれぞれ融通し合つて減員は絶対にしないというお話であれば了解するのであります。しかし常識的に考えてみれば、今まで二つあるいは三つあつた省なりあるいは部なり局なりというものが、行政機構改革によつて統合される場合には、どうしてもそこで冗員が出て来るのではないか。冗員が出て来るので、あるいは簡素化が行われるという趣旨であるならばそこで何か機構の改革から当然生じて来るところの人員整理というものが行われるのではないか、こういうことを私たちは心配しておるのであります。ところが先ほど行政管理庁長官はそういうことは絶対にやらないというふうにおつしやつている、この点が私にはどうものみ込めない。その点に関する橋本行政管理庁長官の御答弁をお願いいたします。
  20. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 前々から申し上げた通りであります。まず今電気通信省のことを問題にしておられますから、そのことをお話申し上げます。機構については今電気通信大臣からお話のありました通り、きまつておりませんから、お話をするところまで参つておりませんけれども、公社になりました場合に監督機構が必要であろうというお話については、若干そういうものが必要であろうと思います。その場合には、今の人たちが公社に移つて、監督機構のためまた人をふやすというようなことにならないように、現在定員法でねらつた範囲内でさばき得るようにいたしたいとむしろ考えておる次第であります。  一般的な問題といたしまして、たとえば機構を改革して統合した場合に、人が余りはしないかという問題でありますが、これは今日の定員法で基礎にいたしましたところの事務というものがこれだけ必要だという考えであります限り、人員省庁の間で異動いたしましても、格別人が余るというふうなことは原則として起つて参りません。松沢委員の御指摘は、むしろ管理要員の庶務、会計みたような者が余りはしないかというようなお話であろうかと思いますが、これも人数が多くなればそれだけ人が必要でありますし、総体の合理化という点はこれはあるかと思います。今回の人員整理でも人事、会計、庶務等は仕事を簡素化しながら相当減らしておりますので、今後機構の改革に伴いまして、実質的な人員減少というものは、原則として出て参らないと考えております。
  21. 松澤兼人

    松澤委員 どうもその点がはつきりわからないのです。大体今回の行政整理事務整理というところから来ているのであつて、その事務整理は、現在の行政機構を基礎としてつくられているものである。現在の行政機構の中において、あるいは簡素化を行つたりあるいはその他合理化を行つたりして、所要の人員はこれだけで済むという点から人員整理というものは来ているものである、こう私は思う。それよりももう一つ根本的な行政機構改革が行われれば当然事務の問題にしても、あらためて検討しなければならないし、その事務の規模がかわつて来れば、当然定員についてはかわつて来なければならない。これがどう考えても私は常識的な結論だろうと思うのであります。ところが行政機構改革はあとまわしにして、事務整理の点から出発して人員整理をやつておる。そうして行政機構改革が今後行われるとするならば、当然それは事務にも関係して来るし、定員にも関係して来る。こう考えることが当然じやないかと思うのでありますが、どうもその点は何度橋本君にお伺いいたしましても、われわれの納得が行かないのであります。重ねてその点を了解の行くように御説明願えればけつこうであります。
  22. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私からお答え申し上げます。私の方の電気通信省が公社になつた場合に、その機構改革の後にどうなるかというお話でありますが、これは二、三年前に公社になりました鉄道の場合をお考えになれば、容易に御納得が行くのではないかと思うのであります。と申しますのは、鉄道自身は公社になりましたが、あの運輸省の中から、国有鉄道に関係しておりました職員をあげて公社職員にした。そうしてその職員のうちから一部の人を管理要員の方へ振り向けて参つているのであります。先ほどの橋本管理庁長官のお話をその例にとつて考えてみますると、電気通信省が公共企業体になつた場合におきまして、少数と申しましても所要の数にはなるわけでありますが、管理機構を考えたときに、やはり相当監督機構を考えて行かなければなりませんが、その管理要員をどこに求めるかという問題があるわけであります。そうしてそれは在来あります役所の定員でなるべくまかないたいというのが、先ほどの橋本君の説明ではないかと思うのであります。かように考えてみますと、この機構改革にあたりまして、さらに人員を縮減するということはまず考える要がない。だからこれは先ほど来私が申し上げているような方針で参つてさしつかえないものである、かように私どもは考えているのであります。これはもう専売におきましても、鉄道におきましても、公社になりました際にさらに減員を計画したという事例もありませんから、同様のことが今回においても考えられてしかるべきだと思いますので、私重ねてつけ加えた御説明を申し上げます。
  23. 松澤兼人

    松澤委員 まず今後整理することがないという「まず」はちよつと不安心でありまして、私としては、絶対に再整理をする必要はない、こういう御答弁がいただければけつこうなんですが、まず再整理をする必要はないというお言葉に信頼いたしまして、次の質問に移ります。  郵政省の問題につきましては、郵政省は運輸省などと違いまして、省自身が現業的な色彩を非常に持つているのではないかと思うのでありまして、この現業的な部分と、それからいわゆる監督官省としての郵政省というものと、省内におきましてどういう比重になつておりますか。一応その間の事情をお伺いいたしたい。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 郵政省の仕事は、ただいまいわゆる監督的な業務は実はないのであります。あげまして御指摘のごとく事業官庁としての仕事をいたしているわけであります。従いまして、管理だとかあるいは現業だとか申しまするが、本来は郵政省全体が一つの企業体であると考えるべきものだと思います。ただ内部的に申しまして、予算査定上の場合においてあるいはまた今回のような定員縮減の場合におきまして、そのやつております仕事の立場から、あるいは管理部門については定員を大幅に縮減しても可能ではないか、あるいは準現業の部門におきましては、その仕事の量から見まして高率の定員縮減は不可能だろうというようなことで、くふうをいたして参つているのであります。従いまして御質問の点はちよつと私つかみかねておりますが、郵政省としてはこれは上大臣から下用員、若い職員に至るまで、一体の企業体として考えていただきたいのであります。
  25. 松澤兼人

    松澤委員 省内における比重をお聞きいたしたいと申しましたことは、配付されております資料によりますと、管理事務は七千八百九十四人、それから現業事務が三千六百七十七名というふうになつているのであります。この管理事務の七千八百ということは少し大きい数字ではないか、むしろ現業事務というものの方がもつと大きい比重を占めているのではないかということをお伺いしたがつたのでありますが、その点につきまして再度御答弁を願います。
  26. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この管理要員と現業要員をいかにしてわけるか、これはいろいろなわけ方があるのであります。たとえば本省にいる職員は全部管理要員だ、あるいは地方の郵政局におります職員も全部管理要員だ、あるいはまた現場におきましても現場の局あるいは貯金局なり郵便局等におきましても、局長なりあるいは人事等を扱つている者は管理要員だとか、こういうような説明をされる人もあるわけであります。そういうような観点から見まして、今まで予算査定上から見ますと、大体全職員の一割見当が管理要員だと見られるのが普通の考え方であります。従いまして、在来から予算編成の際におきましては、現業職員は九割であり、管理要員は一割だということを実は申しているのであります。しかし今回のような定員縮減という問題では、これを予算査定の際のような考え方で実施適用するわけには実は参らないのであります。と申しますのは、本省の中にも準現業をやつている人がおりますし、地方の郵政局の中にもはつきり現業をやつている者もいるわけであります。従つて今回本省や郵政局、比較的管理機構と考えられるその機構に勤務しております中から準現業に属する者を除いたことが一点であります。さらにまた末端の貯金局なり郵政局等におきましての局長だとか、あるいは人事を扱つております者を管理要員として、本省勤務の局課長あるいはそこらの職員と同様な扱い方をすることは実情に合わないと思うのであります。と申すのは、末端の機関はそれこそ局長は当然必要でありますし、そこの人事なりあるいは会計をやる人も必要でありますので、末端機関は全部あげてこれを現業要員としての取扱いをした。かような観点で現在おります人員を割振りいたしますと、先ほど言われた数字とちよつと違うようでありますが、最後の数字が実はぎまつたわけであります。従いまして私どもは勤務箇所いかんによらず、また仕事の性格というような立場で考えないで、実際に現業遂行上に必要だというような考え方で、特別な観念をひとつこの際打立てまして、そうして現業と管理、こういうふうに二つにわけたわけであります。
  27. 松澤兼人

    松澤委員 私が申しました数字は現在定員であつて、この現在定員を一定の基準に従つて整理をする、その現定員を大体本省関係におきましては一万一千五百九十四人ということになつているのですが、この内訳を管理事務に約八千人、それから現業事務に約四千人というわけ方の比重が比較的管理事務に重きを置いているのではないかという点をお伺いしたわけであります。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように郵政省は現在おります総人員は二十五万九千八百七十四各でございます。そのうち本省に勤務しておりますのが一万一千五百九十四名なんです。だからその本省のうちは、普通ならば本省勤務だということで全部管理要員だという見方もされるわけですが、本省に勤務しております者の中におきましても準計算をやつている者がおりますし、あるいは切手の販売をしている者がおりますし、あるいは倉庫手なりあるいは守衛なり運転手等がおりますので、そういうものを全部現業事務として除いたわけであります。その数が今御指摘のように、管理関係人員が七千八百九十四名、現業事務が三千六百七十七名、こういうことになつたわけであります。これは仕事の性質によりまして、非常な厳正な区分をいたしました結果、こういうような数字が出たわけでございます。
  29. 松澤兼人

    松澤委員 その点予算の場合には、こういう整理の場合のような考え方もできないというようなことで、本省関係における管理事務と現業事務は明確に区分できないということはよくわかります。その点を私は言うのではなくて、整理の都合上現業に比重を置いて、現業か非現業かわからないという場合に、整理のわくをもらつて、そのわくに当てはめるために、実は現業の仕事をやつているんだけれども、これは管理事務として二五%の整理をする。そうして整理のわくの中に当てはめるということを故意にやつているのではないかということを実はお聞きしたがつたのであります。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 実はその点はまつたく逆の考え方で整理がされております。従いまして、この表でごらんになつたらおわかりになるように、本省職員としては一万一千五百九十四名おりますが、この一万一千五百九十四名に高率の二割五分の標準を適用いたさないで、これをさらに小わけいたしまして、そのうちの管理事務の七千八百九十四名に対しましては約二割五分を適用して定員減をはじき出し、現業事務としての三千六百七十七名に対しては、五%の標準で定員減を計画したということでございます。これは本省についてでありますが、逆に現業部門につきましては、現業部門からは管理要員というものを出しておらない。これらの点は、今の御心配と逆の方向に、いろいろ今回の定員減にあたつてくふうをいたしておるわけであります。これは何がねらいかと申しますれば、事業官庁でありますので、どこまでも事業遂行に重点を置いたのであります。
  31. 松澤兼人

    松澤委員 もう一つ、どんなに政府あるいは橋本さんが言つても、できるだけ整理はしたくないというお考えをもし大臣が持つておられれば、この一万一千人のうち、なるべく整理のパーセントの低い現業官庁にたくさんなものを移して、これだけは現業要員なんだから、ここは五%の適用を受ける。そしてできるだけ管理要員を少くすれば、二五%の適用を受けても、結果においては非常に少い人員で済むということを考えれば、この七千八百ということと三千六百ということは、せめて半々にでもすれば、数がもつと減つたのではないか。少し管理要員の方によけいに繰込んでいるのではないかということを考えているわけであります。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私ども別に非常にすき好んで定員縮減を計画するわけでもなければ、また定員縮減に特に反対するわけでも実はないのであります。問題は、私どもの扱つております郵政省にしても、電気通信省にいたしましても、事業官庁であり、国民からお預りしている事業でありますので、この事業の遂行にあたりましては、国民の期待に沿うように最善の努力をするのは当然だと思うのであります。その観点に立ちまして、いろいろ小わけをいたしまして、今回の定員縮減を計画し、またその実施を考えておるわけでありますので、りくつといいますか、理論のないような方法整理数を左右するわけには実は参らないのであります。この点本省職員を切半すればいいではないかということでは、実は納得が行きかねるのであります。ここに私どもの責任があるわけであります。
  33. 松澤兼人

    松澤委員 そこで最初私が、郵政省は大体において監督官庁でなく現業官庁であるということについてお伺いして、大臣もその通りであるとおつしやつたのであります。でありますから監督官庁であるところの役所よりも、むしろ郵政省におきましては現業要員の比重がもつと大きいのではないかということをお伺いしたわけなんで、私へりくつを言つておるわけではない。郵政省は現業官庁であるという前提から出発して私はお伺いしておるのです。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は私先ほど申し上げました通りの考え方を持つておりますし、その意味において行政管理庁におきましても特に事業官庁の特殊性を考えて参つてくれたわけでありまして、一般官庁の定員縮減の標準率よりも低い二割五分というものを実は採用しておるわけであります。総体が企業官庁であるならば、かような率を適用するのは無理ではないかという御意見もおありかと思いますが、私の過去の経験から申しまして、企業官庁と申しましても、本省地方局等の職員は、主として、一線で国民公衆と接するわけでもないのでありますし、いろいろ計画なり、部下職員の監督なり、事業運営上の面を担当いたしておりますので、その意味におきましては、他省の仕事と仕事のしぶりにおいてあまり大差はないわけであります。従いましてこの面においての圧縮と申しますか、くふうをいたしますことは当然のように思うのであります。行政管理庁長官から御説明があつたことだと思いますが、人事関係事務にいたしましても、あるいは会計事務にいたしましても簡素化されまして、各省とも思い切つた定員の縮減を計画するというような際でありますれば、そういう事務は企業官庁と申しましてもやはりあるわけでありますから、ことに現金出納などをいたしております関係から申せば、特に改正をいたそうとする経理事務あるいは人事関係の仕事が縮減されて参りますれば、管理部門におきましても相当の縮減は可能なんであります。かような観点に立ちまして、今回の基本的な考え方を決定いたしたわけであります。その点は御指摘になりましたような構想と全然同様の構想であります。ただ御希望の縮減標準率は、それぞれの見方がありますので相違があると思いますが、ものの考え方といたしましては、御指摘になつたと同じような考え方で計画を進めておるのであります。
  35. 松澤兼人

    松澤委員 本省関係は一応それくらいといたしまして、次に現場業務と申しますか、郵便局関係につきましてお伺いいたしたいと思います。これは現業部門といたしまして、整理も五%というふうになつておるのであります。しかし同じ郵便局でありましても、非常に大きいところと小さいところとがある。つまり管理的な事務をやつておる郵便局もあるだろうし、まつたく現業的な郵便局もあるだろうし、これが一律に五%ということになりますと、中には小さい局ではほとんど事務をやつて行くことができないというところも生じはしないかということを心配するのでありますが、郵便局関係におきます整理方針をお伺いいたします。
  36. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御指摘の通りに、ただいまの郵便局は、一口に郵便局と申しますが、非常に現在員の少いところもあります。また相当の数をかかえておるところもあります。それで一例をとつて申しますれば、五人くらいのところで、これの五%と申せば〇・二五、こういうものは減らしようがないじやないかというようなお話もあるだろうと思います。そういう点は、総体の定員といたしまして私ども考えて参りますので、いろいろそこに実施上のくふうを要するのであります。これまた別な例でありまするが、五%と申しましても、これを各職別に平均的に割当てるわけには参らない。これははつきりいたしますのは、局長の数を総体の五%減らせるかというような問題にもなるわけであります。これは手をつければ、その局自身を廃止することにもなるわけでありまして、かような人員整理計画できないわけであります。従いまして、今回の定員法の縮減におきましても、これは一本でいただいておりますので、その一本定員を今後皆様方の御賛成を得まして、法律が制定されますれば、その線で実施をいろいろ立てて参るわけであります。そういう際におきましては、ただいま御指摘になりましたような不都合を生じないように、くふうをいたして参る考え方でおります。
  37. 松澤兼人

    松澤委員 大臣にお伺いしたいのですが、もう少し詳細にお話願えないものでしようか。私も別に局長一人に対して五%かけるというようなことは毛頭考えておりませんが、しかし地方の特定局などにおいて、定員は絶対に減らせないところも出て来るかもしれない。そうすると、その分はどこかでひつかぶらなければならない。そのひつかぶるところがだんだんたくさん集まつて来れば、五%以上の整理というようなことも当然考えられる。どういう段階で、どういう順序で、この五%の整理をなさるのかということを、もう少し具体的にお示し願いたい。
  38. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一口に申し上げまして、たとえば二人だとか三人のところは、はつきり申しまして、これに手をつけるわけには参らないと思います。しかしいろいろくふうをいたして参りますれば、局長自身も、これはもう金然同じような考え方で事務を処理していただかなければならない場所も幾つもあるわけでありまするし、また事務整理等も、いろいろくふういたして参りますと、その負担があまり重くならないような方法での整理も、また可能ではないかと思うのであります。問題は、現在ございますいろいろな欠員なり、あるいはまた長期欠勤なり、その他をいろいろ勘案いたしまして、実施案をつくつて参るわけであります。今お尋ねの点につきまして、どういうお尋ねか、具体的な実施の全貌を説明しろというようなお話だろうと思いますが、実施の全貌と申せば、それぞれ管理系統として総体としての計画を立てまして、それを地方々々にわけて実施計画を立てて参るわけであります。そういう際におきまして、御指摘のようなことのないようには十分くふうして参るつもりでおります。
  39. 松澤兼人

    松澤委員 しかし整理人員がきまつたのですから、この整理人員はどこからどういうふうにして整理するかという、そういう調査の上で、この整理人員がきまつておるはずなんで、逆に言つて、これだけの整理はこういう方法でやるのだということが出て来なければならない。そうでなければ、私たちが言つておりますように、天引き整理であるということを言われても仕方がない。ですから順々にどういうふうにして整理して行くかということを積み上げて来て、この数字が出て来たものと思う。だからこれだけの数字はこういうふうにして整理するのだ、たとえば大都市の中央郵便局にはどの程度、あるいはまた特定局においてはどういうふうにするかという、そういうあらかじめのお考えがなければ、こういう数字は生れて来ないはずである。もしそうでないとすると、いわゆる上からおつかぶせた天引き整理であるということになるわけであります。
  40. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように、郵政省はいろいろの仕事をいたしております。郵便事務もありますし、簡易保険、貯金、あるいは年金等、幾つもの分野にといいますか、特別会計もできておりますので、それぞれの特別会計の実態に即応して、整理の具体案を立てて参らなければならないわけであります。そういう際の全貌といたしましてのものは別といたしまして、ただいま御指摘になりました郵便局の整理方法について考えましても、やはり小局は今まで扱つております通り事務で縮減を考えましても、これは不可能だろうと考えます。やはり小局なり、あるいは指定局制度なり、あるいは大局なり、中局というような制度があるわけでありますので、それらの制度を生かして、この整理方法を具体的に立てて行かなければならないのであります。もう少し言えば、たとえば小局で扱つております庶務、会計等の仕事にいたしましては、これを指定局に集中するというようなことも、これは考案して行かなければならないだろうと思うのであります。そのような点はだんだんこまかくなりますので、説明を省略いたしますが、考え方といたしましては、それぞれの特別会計の部門で一応の計画を立て、また末端のところにおきましては、現行の制度をできるだけ生かして参りますが、その場合において事務整理統合を計画して参りまして、そうして指定局なり、あるいは中局なり、大局なり、それぞれの機能を発揮するような方法にいたしまして、整理の実施案を立てて参りたい、かように考えておる次第であります。
  41. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、もう一度念を押しておきたいのでありますが、いわゆる郵便局その他の現業官署におきまして、おつかぶせて五分という方針はとらない、それぞれ現場々々に従つて、五分整理をするか、あるいは整理をしないでも済むか、そういう問題は個々の実情に印してやるというお考えでありますか。
  42. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 さようでございます。
  43. 松澤兼人

    松澤委員 郵政大臣に対する質問はこれで終ります。
  44. 木村公平

    木村委員長 加藤充君。
  45. 加藤充

    ○加藤(充)委員 このたびの行政機関職員定員法の一部を改正する法律案提案理由説明なるプリントを拝見いたしますと、国力にふさわしい行政体制の確立とか、あるいは行政事務の能率化とか、あるいは行政事務の簡素合理化とか、あるいはまた国民負担軽減とか、不急または不要となつ事務整理というような理由が、そういう文字で述べられておるのであります。その事柄につきまして、全般的に橋本長官に質問をいたすものであります。大体このたびの補正予算を見ますと、その総額千三百六十二億円とかのうち、私どもの見方に立ちますれば、軍事費及び産業の軍事動員化に要する費用がこの大部分だと思うのであります。拾い上げてその内容を一瞥しまするならば、直接軍事費と明らかに見られるものは、警察予備隊の百五十億、海上保安庁の一億七千万、特別調達回転資金七十五億、これは米軍の駐屯費であります。そのほかに国家警察二十六億五千万、刑務所が一億四千万、特審局が大体十億、間接に軍事費と見られるものの中には、いわゆるリザーヴ・フアンドとして外国為替管理特別会計への一般会計よりの繰入金三百億、それから食管特別会計への繰入金百億、そのほか国際通貨基金並びに国際復興開発御行出資分担金二百億、平和回復善後処理費百億、そのほかにさらに日米経済協力費としてあげられているもの、すなわち開発銀行資金が七十億、輸出銀行資金百十億、糸価安定特別会計三十億、輸出信用保険十億、以上の通りでありますが、こういうような反面には、文教施設が八十六億四千万、学童給食費が四億一千万、国立学校施設ぶ三億四千万などで、計百六億の要求が文部省から出ておりましたのに、九億五千万ぐらいに削減しておりますし、また地方平衡交付金は知事会議などで五百億の要求が出されておるのに、百億ちよつぴりしか出しておりません。私はそこでお伺いするのです。また私の発言の中で十分橋本さんに聞いておいていただかなければならないことは、機関銃一挺が十坪の住宅費に相当したり、重爆撃機一台が実に九十万の公務員に対して総当り二千円の手当支給額に相当する、ライフル銃二十箇師団分を用意するとするならば、結核病床二十六万ベツトの資金に相当するというような事柄であります。この金はいずれにしても国家国民の負担するところなのでございますけれども、こういうような莫大な資金をこういう方面に使いながら、今年の十二万と言われ、あるいは九万と言われ、実質出血は六万前後だろうと言われるような、こういう苛烈な大量首切りをやりましで、結局において今配付されました資料を見ても、四十一億八千万円ほどの節約しかできないのであります。私はこの点で、まずこういうことになれば、低いベースの押しつけも、首切りがなされるということも、結局はこういうような方面の費用を節約しさえすればまずやらなくてもいいものではないか。それをあえてやらんとする橋本長官にこの点の見解を明らかに承りたいと思うのであります。
  46. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 お答えを申し上げます。国の現状から申しまして、行政費の節約をできるだけはかることは、もうくどくど申し上げる必要もないことであろうと思います。特に公務員の給与ベースを改訂いたしましたり、また国民の租税負担を軽減いたしますためには、行政費の節約ということはぜひ必要であろうと考えておるのであります。今回の行政整理につきましても、くどく申し上げる必要もないと思いますが、行政事務簡素化し、人員整理いたします場合におきましても、一面においてこれによる待遇の改善及び減税ということを実行いたしております。
  47. 加藤充

    ○加藤(充)委員 橋本長官は昨日の連合審査の際に、税金の負担軽減のために行政整理をやらなければならない。しかしまたソ同盟あたりが侵略するから、治安対策費としてはたくさんの費用を使つてもやらなくてはならぬ。首切りと低賃金、低ベースの原因がソ同盟にあるような口吻で言われたのでありますが、私はこの点について、日本に今日の悲劇をもたらしたそもそもの原因を振りかえつてみますならば、共産主義の撲滅というような仮面のもとに、実は特に一九一七年以来企てられ、遂行されて来た帝国主義的な日本の侵略政策に起因するものであるということを知らなければならないと思う。反共とかあるいは国民精神作興運動とかいうものの正体は、実はその当時の支配階層が、その腐敗と、そしてとことんまで追い詰められた自分たちの特権的な地位を維持するために、そして崩壊の寸前に来ておつたこの政治経済をいつまでも温存し、それを維持しようしておつたその手段にすぎないということを、今私どもはつくづく振りかえさせられるのでありますが、そういう実態、本質というものを、あの当時の国民が知ることができたならば、またこれを知らせるいろいろな宣伝あるいは運動が公然と許されておつたならば、日本は今の悲劇を見ずに済んだではないかと思います。
  48. 木村公平

    木村委員長 加藤君、定員法と直接関係のあることに限局して質疑を続けていただきたい。まくら言葉や宣伝はなるべくこの際慎んでいただきたい。
  49. 加藤充

    ○加藤(充)委員 本質の問題です。委員長の御趣旨に沿うような配慮をいたしながら質問を続けます。  こういう点から考えますと、これはへりくつでもまくら言葉でもございません。日本の歴史の、しかむ数年前われわれが経験した歴史的な厳粛な事実であります。それらを振りかえつて見ただけでも、その惨禍の跡は町の至るところにころがつております。しかるに何ぞやであります。ちよつぴりばかりの税負担の軽減というものを行政整理の面でこま切れに計算し、こういうような補正予算の八割境上のものをこれに投ずるというようなべらぼうな再軍備費、そうしてソビエト同盟やあるいはそういう侵略に対する対抗のための軍備費を求めなければならぬのだというようなことになりますると、もう一回その志気旺盛な橋本さんの見識、自己批判、さらにそのほか反省された最後の発言を求めたい気になつてやまないのであります。  それで第一段にお尋ねするのであります。これは橋本さんが同じく長官をやつておられる厚生にも関係あることだと思うのであります。それにまだ労働大臣がお見えになつておりませんので、行政整理主管大臣としての橋本さんに質問するようになるわけであります。今度の首切りでどれだけの対策政府が持つておるかといえば、大体において四千万円ほど政府が金を出して、そしていわゆる職業補導に関する計画をやるということでありまするが、私はこの失業地獄の中に、そして肉体労働をいたすのにも、強健な肉体は長い間の公務員の仕事の間にそういうかい性もなくなつた人々、事務系統の人々に、技術とてはさほど大したものを持たないという人々、この人たちを落し込んで、その妻子のことを考えると涙が浮ぶのでありますが、こういうような者に対して職業補導というようなやり方、十分でないのは明らかだがやらぬよりはましだとおつしやるかもしれませんが、こういう手口の中にあの企業整備、あるいはとうとうたる失業者の中で政府がやつたものば何か。職業補導であり、あるいは訓練所だとかいいまして、その失業者の大群を、あしたの米びつを憂えながら、その就職先の判定の余地もなくなつた人々を狩り立てで行つたのは、結局軍事的な直接の動員であり、あるいは軍需工場その他の方面への失業者群の狩立て動員ではなかつたか。このたびのちよつぴりの失業対策の性格の中にこういうことがあつてはならないし、そういうようなきつかけをその企ての中に私は見取らざるを得ないのであります。しかも今まで申し上げたことは別といたしまして、ここで訓練され指導された者に対して、政府はどれだけの失業救済の実績を持ち得ると、責任を持つて胸をたたいて引受けることができるか。私どもはここに、しかも学校の卒業生がたくさん送り出される四月を控えて、ここに送り込まれて、半年なり一年なりの間のつなぎの生活維持すらここに収容される人には保障されていないと思うし、またそこから送り出される人々の九〇%が、今までの経験によると、口の先が見つかつたというけれども、見つかつた口の先で一体その人たちはどんな仕事をすることができたのか。職業補導所に収容された人々が、その看板にあこがれて、せめてもの期待を持つて集まつた人ちたが、最後までその職業補導所で終りを全与して卒業することができただろうか。行つた先で生活給与を自分の労働で保障されるだけの裏づけがあつたか。またそこに収容された人の就職したパーセンテージは出たが、そこに収容された人たちの年齢、家族の実態、あるいはそこから送り出されて再就職をすることのできた人の年齢、家族の実態、こういうふうなものを考えてみまするならば、私どもの調べましたところによると、職業補導所に入れられた人の八十何パーセントしか終りを全うしなかつたし、しかもまたせめて就職をした人たちの総人数は三千百九十二人にすぎないというような数字もあるのであります。この点、こういうような失業対策橋本大臣は足れりとするのか。また足れりと信ずるならば、言葉だけでなしにいかなる保障を現実に考えておられるのか、その点を承りたいと思うのであります。
  50. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 前々から何べんも申し上げたのですから、おわかりだと思うのですが、無理に御質問があるようでありますから、重ねて答弁をいたします。ただその前に心境のお尋ねがありましたからお話を申し上げたいと思うのでありますが、先ほど加藤委員からお話がありましたような、農民の利益をはかるためにまゆの値段の変動を防ぐための経費でありまするとか、あるいはまた日本の輸出を伸ばし、あるいは貿易に携わる人々の損失を避けるための輸出信用保険の経費などは、軍事費であるといつたような学説を考えておる人は、八千三百万の国民の中でも私はほとんどないと思うのです。どうかひとつ加藤委員の方の心境ももう一ぺん考え直していただきたい。これは討論にわたりますから、私は質問の答弁をいたしますけれども、先ほどお話のありましたことは、私が最初から繰返して申し上げまするように、加藤委員の話し方の筋が私はおかしいと思つております。実は私ども考えておりますのは、この行政整理をすることにして、それから失業対策を考えるというようなことを考えておりませんということは初めから申し上げておる。われわれはまず第一に国の産業を振興するということが非常に大事だと考えまして、資源の開発、貿易の振興という面、あるいは電源の開発、あるいは造船に、あるいは土地改良に、その他の面についていろいろな施案をいたしております。財政面及び金融面を通じて数千億の投資及び流通資金を動かしておるわけであります。その結果といたしまして国の産業が振興いたしまして、生産力が拡大しておりますることは、私がわざわざ数字をあげて申し上げるまでもないことであります。さきにも申し上げましたが、その結果が労働力の質的向上にも現われまして、昨年七月から今年六月に至る間に、農林業から非農林業に約二百万の労働力の転換が行われておる。今後におきましては、この質的改善によつて日本の基礎工業がさらに振興して参ると思うのであります。そこで今考えておりまするのは、行政整理してから失業対策を立てるというよりも、むしろその先に、つまり行政整理による国民経済内におきまする人の配置転換が行われる前提としての産業の振興ということ、つまり今申し上げました意味におきまする財政及び金融を通ずる数千億の施策というものがまず第一に立てられて、その上に私どもはこの行政整理を考えておるわけであります。さきにもお話を申し上げました通り、こういつたような方たちをそういうような自然に振興して行く仕事の間に受入れて行くことが大事でありまして、従いましてまずやめられた直後の生活は困らないように、手当をできるだけたくさん上げることと、それに税金がかからないようにしますことと、それからあとは元の自分の勤めておつたところ、あるいは労働省の職業安定機構を通じて就職のあつせんを極力やつていただくこと、従来の実例から見ましても、大体は元の省の人たちのあつせんで普通六、七割方片づいてしまうものであります。その上に、さらに労働省の職業安定機構を通ずるものにつきまして、その間職業補導をやつた方がスムーズになるものにつきまして、職業補導というような方式を考えておるのであります。何か軍需産業に動員するとかなんとかいうようなお話がありましたが、さようなことはまるきり考えてみたこともございません。
  51. 加藤充

    ○加藤(充)委員 実は私が言つたのはりくつじやなくて、これは明らかに調査をしていただきたい。そういうことがあればたいへんなので処置をしていただきたい。また、そういうことが現実になされておるとするならば、橋本長官の今のお説は偽りだということになります。大阪の特別調達局で、これは六百人ほどの人員がいるようでありまするが、最近庶務課から日本帝国軍人で尉官級の経歴を持つた職員に落して、この際警察予備隊の幹部になつて行くつもりはないか。希望退職ということが今度の行政整理についておるようでありまするが、そういう希望者の申出を勧告するような処置がなされたということであります。  もう一つは先般、これは橋本さんも御承知の通り、先月の十月十日ごろだつたと思うのでありますが、数寄屋橋の上でこのたびの戦争の犠牲者、傷痍軍人が数日間にわたる悲壮なハンストをやりました。私はここに十月十八日付の朝日新聞の一片を持つているのですが、「この断食運動がはじめられた土曜日は警官隊との間に、一もめあつた。」それはいいのですが、「そのなかで、一人が鉄の義手をふりあげて「皆さんの肉親をふたたびわれわれのようなみじめな姿にしないで下さい」と叫んだ。この言葉はさすがに集つた群衆に感動を与えたと見えて、その瞬間、一帯の空気に異様などよめきが起つた。」「この鉄の手の叫びも、政治家をふくめて国民全体がよくかみしめて見る必要があろう」という記事であります。こういうような事柄は、今国民全体がひしひしと、単に飛び上つたり、共産党の一部の者の考え、感じであり、御訂正を願わなければならぬと橋本さんに言われるまでもなく、国民全体の不安となり、危惧の中にこういう事実が行われているのであります。そういう点で、この傷痍軍人あるいは戦争犠牲者に対しては、一億くらいのいわゆる調査費というようなことではとても足りないのです。この点についても、ひとつ橋本さんの御意見を聞いておきたいと思うのであります。
  52. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 定員の御審議に傷痍軍人の援護対策というものは関係がないと思いますから……。
  53. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは失業対策に重大な関係を持つているのですから……。
  54. 木村公平

    木村委員長 加藤充君にお願いをいたしますが、定員法と直接関係ある質疑をお続け願いたいのであります。ただいまの質疑のごときは、定員法と直接関係ありとは委員長において認めがたいのでありまするから、今後は特にその点お願いをいたします。
  55. 加藤充

    ○加藤(充)委員 わかりました。私もそこで公平委員長にお願いがあるのですが、今申し上げたようなものが失業対策の一部分として、重大な問題としてお考えにならないで、これが行政整理と全然関係がないというふうにお考えになつて、大なたの首切りをおやりになるというのは、これはたいへんな問題です。そういう点で、あらためて私の方からもお願いいたします。委員長初めひとつそういうふうな気構えにお考えくださるようにお願いいたしたいと思うのであります。  次にこれは先般来お尋ねいたして、途中で予算委員会関係大臣がお立ちになつたりしたために、こま切れになつてしまつたことなのでありまするが、大体これ以上の首切りをやれる余地があるとお考えになつていることが、そもそも御反省を願いたい第一段であつて、人手をふやさなければならないような状態であるのではないか。これは私がなまいきに数字をあげるまでもなく、はつきりしていることであります。先般私が橋本長官にお尋ねをいたしました際に、そういうふうな脱法的ないわゆる非常勤職員の待遇、こういうようなやみ給与の支給に対しては厳重に取締るというような御答弁をいただいたのでありまするが、私は質疑が途中で打切られたことにもよるのだと思うのでありますが、そういう御答弁をいただいて満足するつもりで質疑をしたのではありません力繰返して言うようですが、常動職員九十万人に対して、非常勤職員は四十八万と数えられておりまして、そのうちでこの数字のあげ方には問題がありましようが、常勤的な者が二万三千人あるというのが公的な数字でありまして、その人たち全体の公務員の実働の超過勤務手当一割ないし三割しか支給されていない実情で、しかもその起動手当の予算額が九十億に達するというようにも聞いておるのであります。私はここに端的にこの数字が首切りなどはやる余地がないことを語つているのではないか。すなわち事務総量というようなものも、これから減ることはないのであります。それを簡素化するといつても、事務総量の簡素化はできません。それは社会、経済、政治の必要上、当然にふえて来る事務総量、業務総量なのでありまして、その業務総量の点から考えましても、これを扱う人員の、いわゆる定員の面から言いましても、今申し上げたような数字がある以上は、これを地方に委譲してみたり、いくら簡素化してみたところで、労働強化以外にこれを解決する道はないのであります。きのうも運輸関係方面で、駅頭に積み重ねられた莫大なトン数に達する滞貨が、どこから来ているかというような質疑がなされましたけれども、こういう点で非常勤職員の中の常動的な職員は、少くとも定員のわくにはめ込まなければならないのではないか。そうしてそれをはめ込まずにやるというならば、これは労働強化である。このたび、これはあとでも質問いたしますが、あたたかいはからいとして、長期欠勤者はこの定員のわくの外にはめて、今度の整理の首の犠牲には載せないとおつしやられましたけれども、長期欠勤はそもそもいかなるところに原因して出て来るか。これは公務員だけの肉体の破壊になるばかりでなく、十一月九日の朝日の記事を見ますと、長期欠席者がふえて、長らく学校を休む子供がふえて来たという。そして結核の猛威は恐るべきものだということを言つております。しかもその原因はいろいろあげられておりますけれども、家庭の貧困、働いても給与が少い、収入が少い、あるいは働きたくても百を切られているというような家庭の児童が、やがては学校に対する興味も失い、肉体的にも遂に登校することができないというような状態になつて行つて、公務員の低ベースと労働強化から来る長期欠勤のこの事実は、遂に子供まで、家庭まで破壊してしまうことになりはしないか。私はこういう点を憂えて、定員の増員こそ今必要なのではないかということを一つお尋ねし、そういう施策を橋本長官に要望する次第なのであります。その点いかがでありましようか。
  56. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 国の仕事は、御存じのように何千何万という種類があるわけでありまして、毎日いろいろ動いております。先ほど郵政大臣が、たとえば電話の交換局をふやせば人がいるということを申されましたが、そういうようなわけでありまして、どうもやみくもに、国全体、しかも地域的に北海道から鹿児島までの間に、ただ漫然と人をふやす必要があるとかなんとかいうふうなことは、およそちよつと考えられないと思います。今日考えてみましても、たとえて申しまするのに、現在の行政機構の中で、昭和十五年ごろに比べまして、絶対数として減つておりますのは外務省たけであります。これなどは、日本が独立をいたしまして外交が再開されて、在外公館の一つとつてみても、確実に今をふやす必要のあるのは当然の話であります。総体的に考えてみました場合には、ふえるのもあり、減るのもあります。国全体の行政組織から見まして、戦時中の総動員体制から特殊な占領下の体制と引続いて、ずいぶん行政機構も膨脹した。その間に国の現状は、日本が前より貧乏になつた結果、テープ・ガヴアメントの必要がありますので、今回行政運営の能率化をはかるべく行政整理提案したわけであります。減るとかふえるとかいう問題とは別に、これは個別的の事務の内容で申し上げなければ申し上げられないと思います。  先ほど戦傷者の援護対策などについてお話があつて、これは定員法の審議について関係のないことでありますが、ただ私厚生大臣として聞捨てならない言葉がありましたから、私の立場だけ申し上げておきます。先ほど加藤委員は、この戦傷者の援護のようなものは失業対策として一番大事なものだというような御発言がありましたが、共産党のお考え方はどうか知りませんが、私どもは、戦傷者及び遺族の問題は、極東委員会の御存じのような指令でまことに気の毒な状態にありましたので、これを何とか援護しなければならないという努力を就けて参つたのでありますが、今日講和条約が結ばれて、やつと日本としてもやれる時期になりましたので、真剣に同胞愛の見地からやつておりまするので、これを失業対策の一環だなどと考えたことは毛頭ございませんので、誤解のないように一言申し上げておきます。
  57. 木村公平

    木村委員長 午前の会議はこの程度とし、午後は本会議関係もあり、二時より委員会を開き、質疑を継続いたします。  この際暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  58. 木村公平

    木村委員長 これより内閣委員会を再開いたします。  午前中に引続き質疑を行います。加藤充君。
  59. 加藤充

    ○加藤(充)委員 先ほど質疑の途中で、橋本長官が、たまたま私がそれは直接行政整理関係がないからという御注意があつたのに応じて発言を省略した言葉じりをつかまえて、遺家族調査費一億は失業対策という性格のものであつてはならないというお話があつて、これは聞捨てならぬとおつしやつたのであります。私もそのことについて一言釈明をいたし、それこそ聞捨てならない問題を含んでいるということを指摘して、次の質問に移つて行きたいと思うのであります。私は今行政整理をやるにしても、失業対策の重要な意味づけということを真剣に考えてなさるべきではないかという意味合いから、遺家族の生活の問題、特に数寄屋橋でハンストをやつた傷痍軍人そのものの生活について社会保障の裏づけを真剣に考えなければならない。社会保障の裏づけの一部としての失業対策ということを問題にしたのでありますが、聞捨てならないと言われたことについて私が聞捨てならないと考えておる点は次の通りであります。社会保障の万全な裏づけなくしてああいうふうな状態に放置し、ハンストをするのやむなきに至らしめた、今に至つてこの失業策対よりもはるかに高い国民的な尊敬を払うべき生活の保障がなされなければならないと言つたのですが、それはそれなりの御論拠といたしまして、こういうふうな施策の方針が、靖国神社の例祭り復興やあるいは君が代教育の復興とあわせて、とうとうたる失業地獄の中に職を失い、路頭に迷う人々が、狭い失業安定の門よりも戦争でもやつた方がましだ、こういうあたたかい処置も受けるというような形で、戦争への狩立ての心理的な基礎づけをそこにねらうようなことになれば、そのやり方はきわめて欺瞞であり、卑劣であるということを指摘したいためであります。  次に私は不急不要の問題について、関連してお尋ねしたい。それは特別調達庁関係の問題であります。両条約の批准後といいましても、調達業務は全面的に終了しないことは、日米安全保障協定に基いた米軍の引続き駐留によつて明らかであります。この監督、清算支払いのために現定員をもつてしても、これを今たな上げされてしまえば残務に数箇年を要するほどあるということであります。この詳細については先般参考人の供述のときにそれに附帯して申し上げましたから、ここではその数字を繰返しませんけれども、こういうふうなものが山積しております。一面においては外国人の財産補償等に関しましても、万全の措置を急速にとつておりますが、特別調達庁の大量の首切りというようなことをやりますれば、日本人に対するアメリカの占領政治にあるいは今後の駐留の間に受けまするいろいろな意味合いで当然補償を受くべき筋合いのものが、あとざりになつてしまうのではないか。外国人の補償もさることながら、日本人に対して当然受くべき補償の支払いこそまつ先にやられるべきではないか。そういうような補償業務を一日も早く切り上げるということが、いつまでもあとを引いて確かに不愉快な原因になつておりまする過去の占領の跡始末を早くつけるという意味合いにおいて、当然なさるべき筋合いのものではないかと存ずるので、この点をお伺いしたいと思う。
  60. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 特別調達庁の仕事につきましては、まだはつきりしないところがあるのであります。今加藤委員から日米合同委員会云々というお話がありましたが、これはどういうことになるかならぬかわからぬことでありますし、その機構がどうなるかということもわからないことであります。今日この定員法の中に掲げました特別調達庁の整理は、特別調達庁はあくまでも占領軍の特別調達業務をやるという建前で、その仕事が終つて行くという建前でこれだけの整理をしたのであります。いろいろ内容につきましての——家の返還のときのごたごたといつたような問題はあると思いますが、これは十分内部で仕事のやり繰りを考えて行きたいと思つております。
  61. 加藤充

    ○加藤(充)委員 やはりわけのわからないうちに首を切るということになれば、橋本長官も予想されておるような問題がさしあたり業務の渋滞を来し、日本人として戦争を通じて残つた財産等の接収あるいは漁業場の立入禁止から来る生活の問題、あるいは農地解放で受けた土地はわずかではありましようが、これら生活の基礎に対する補償の問題があとに残されてしまうのでありまして、仮定の上に立つて日本人としては面目としても根性としても忍びがたいもの、あるいはさらに進んで面目や根性は第二段に置いても、日常の生活でぜひとも早いこと解決してほしい人たちが残されてしまう。そういうことについての配慮が私は十分でないと思うのでありますが、なお仮定の上に立つてやられる問題として、食糧統制撤廃に関する行政整理がございましたけれども、それに関連しまして石油製品の統制撤廃というような不安定な条件の想定のもとに行政整理が行われておる向きが、自由党あるいは民主党から出た修正案の中に払拭し切れずに残つておるものを私は指摘せざるを得ないのであります。たとえてみればガソリン統制がなぐなるという想定に立ちまして、毎月毎年非常な勢いで自動車などがふえて参り、それに関連する業務がますますふえて行きますのに、ガソリンあるいは石油製品の統制撤廃という想定のもとにそれらを首切るということ自体は、やつてはならない首切りをやる類に明らかに帰属すると私は思うのでありますが、この点はいかがでありましようか。
  62. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ガソリンの統制撤廃の問題は、米と違いまして法令整備といつたような問題もありませんし、それからまた今日ただいま何らかの措置がいるといつた問題でもありません。大体来年四月前後において物調法に基くところのガソリンの統制を撤廃するつもりであります。構えてそうする建前で、しかもこれは政府限りでできることでありますから、腹をきめて定員法の改正をいたしているのであります。  なお特別調達庁の問題についてはまだわからないというふうに言われましたが、そうではないので、要するに本来の特別調達庁の先行きがわかればもつとたくさん減してもよいだろうと思うのでありますが、今日の状態においても少くとも三割減らしてよろしいということであります。つまり日米合同委員会云々といつたそんなことは特別調達庁の仕事ではありません。それは将来合同委員会なら合同委員会というものができたときに、そこの事務局なり何なりという関係で起つて来るのであつて、今日特別調達庁というものは占領軍のサービスをするための役所で、これは講和条約を結んで独立をすれば、明らかに用がなくなつて行きますので、少くとも三割整理をしてよろしいということであります。その残りの七割で解除の善後処置ということは十二分にできるのであります。
  63. 加藤充

    ○加藤(充)委員 労働大臣が見えましたから、労働大臣に問題の中心を移したいと思うのでありますが、ただ一点、橋本さんが日米合同委員会の問題を出したので、私は橋本さんにその点についてお尋ねをしなければならなくなつた。大臣は行かれましたけれども、二十四年度行政整理、あのときには審議会、委員会というようなものがたくさんできました。今度はそれが全面的に縮小され縮減されて行つたのであります。そういう点で前の行政整理と今度の行政整理とが、この点において非常に特徴を持つていると私は思うのであります。それでなお今の橋本大臣の答弁の中に日米合同委員会の問題が——私がそういう言葉は使わないのに御答弁の中にそういう言葉が出て参りましたので、実ばそれに関連して今の点を橋本大臣に聞きたかつたのであります。これは当委員会の質疑が終了されるまでの間には、再び当委員会橋本大臣が御出席になるようおはからいくださるように強く希望いたします。  それでは労働大臣にお尋ねいたします。前の委員会のときに、私が労働基準法と労働基準行政との関連でいろいろお尋ねをした点を今思い返すのであります。それはあのときに問題になりましたように、この十月十一日付で労働省の労働基準局長から地方基準局長あてに通達を出しております。通達の番号は基発第六九六号だと私は記憶しております。これは最近の電力事情の問題に関連して賃金不払い等労働時間の延長の点に関する通達だと私は理解いたします。しかもその第六項に、基準法第三十三条及び第六十二条の問題について、わざわざ電力問題と直接関係のない問題、また関係があつてもそういうところにねらいを置いてはならないと思うようなものが、相当挿入されているのであります。それは三十三条の災害その他避けることのできない事由によつて労働時間の延長という問題に関連し、六十二条の女子及び年少者の深夜業に対する制限に関する問題でありまするが、これは進駐軍から緊急作業が要請された場合の措置が電力問題に関連してたくみに挿入されているのでありまするが、日米安全保障協定、あるいはこのたびの対日講和条約、あるいは先般来言われており、そして着々進行しております日米経済協力、こういうような問題と関連して、りくつばかりではございません。最近問題になつた電力の問題でも、結局特需あるいは大きな軍需生産企業工場に電力が配分され、中小企業、とりわけ平和産業というものには電力はまつ丸く無残な姿でこの配給がとめられたり、あるいはまつたくお話にならないようなごま切れ配給をやつておる。ために業者は倒産、店じまいしなければならないという惨状は、関西あたりではもう顕著なる事実でありますが、こういうような状態のときに、ほとんど日本の気のきいた企業というものは、いわゆる特需産業、軍需産業中心になつて行くことは明らかなことであります。そこに働く労働者というものが、今後の日本の労働行政なり、労働政策の中心課題にならなければなりません。そこにおいてこそいわゆる労働基準法その他労働三法というものがやはり守られなければ、憲法に示されております平和も、あるいは基本人権というものも無に帰してしまいます。このときに特需、軍需工場におきましては、もう賃金不払い、労働時間の延長等々により、これは重要な労働契約の内容をなすものでありますが、その点が労働基準のわくからはずされるということになりますれば、一体日本の労働者なり、日本の労働者階級というものは……。
  64. 木村公平

    木村委員長 加藤君に御注意申し上げます。定員法の審議と直接関係なき御議論はおやめ願いたいのであります。
  65. 加藤充

    ○加藤(充)委員 あとまで聞いておれば関係があることがわかります。
  66. 木村公平

    木村委員長 直接関係のない、御議論はやめられたい。間接的には全部関係があるということができるでしよう。
  67. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それでお尋ねをいたすのでありますが、このたびの行政整理で当然に基準行政の場面、あるいはその他労働行政の場面でたくさんの首切りがなされました。先般読み上げましたようなあのわずかなはがきにつづられた文字の中にも、それは部分的ではあるが、本質的なものがえぐり出されて訴えられております。大体今申し上げましたような通牒の問題、今述べましたような日本の労働基準法というものはどこにまず適用されなければならないか、どこで基準行政の万金を期さなければならないかというようなことと関連いたしまして、このような多数なあなたの所管の首切りがやられるということは、大体において労働基準行政というようなもの、特に保護行政の場面をやつて行くつもりがないのではないか、これは先般参考人の供述にも——井上君という毎日新聞の論説委員であられる方が、意見の中に明らかに述べておることであり、表から基準法、労働三法にさわらずして、定員の面から労働基準法をつぶすというような批判もなきにしもあらずということを訴えておりましたが、この点いかがでございますか。
  68. 保利茂

    ○保利国務大臣 お尋ねの点は先般の本委員会におきましても、昨日の連合審査会におきましても申し述べました通り、労働行政を後退する意思は毛頭ございません。
  69. 加藤充

    ○加藤(充)委員 後退するかしないかの意思もお尋ねしなければならないのですが、意思と離れて、こういう事実が出て参りますと、あなたがどう思われようとも、これは後退せざるを得なくなつて、もう崩壊してしまわざるを得ないのではないか。私は事実をもつてお尋ねしているのであります。従いましてあなたはこういう実情に対して、これで労働行政、保護行政がやれると御判断になつておられるのか。おられるとすれば、その根拠を明らかに指摘して御返答願いたいと思うのであります。
  70. 保利茂

    ○保利国務大臣 先般お答えいたした通りでございます。
  71. 加藤充

    ○加藤(充)委員 いろいろ聞きたいことがあるのですが、労働大臣からは先般来答えた通りだというような御答弁しかいただけないのですが、これはまことに無責任な話だと思う。そういうことではわれわれは得心できないから聞いているのですが、そういう御答弁でつつぱねるならば、私は今後こういう首切りをやつたあとの現実の進行が、どういうものになるかという事実の問題でお目にかかる以外にないのであります。これはきのうもちよつと問題になつた点ですが、長期欠勤者とこのたびの整理とは関係がない、わく外だと言われるならば、そのわく外にはずして、現実にどういう処置をするのか、成田君から過日の連合審査会で御質問があつたようでありますが、この点についてお尋ねしておきたいと思います。
  72. 保利茂

    ○保利国務大臣 主管大臣からひとつお聞きとりいただきたいと思います。
  73. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それでは大蔵大臣が来なければ話がわからないということになつてしまうのですが、大蔵大臣なり、大蔵関係政府委員を呼んでいただきたいと思います。  それから先ほども指摘しましたように、橋本長官が見えなければ私の質疑は全体として関連しませんし、先ほどお願いした希望のことを委員長においておはからいくださることを期待して、大臣が来ないのですから、私の質疑はこれで一応中止して、質疑を続けることを留保させていただきたいと思います。
  74. 小平忠

    ○小平(忠)委員 根本農林大臣にお伺いいたします。  行政機関職員定員法の一部改正を行います政府の考え方、これに対しまして農林大臣は、農林省所管の職員整理という考え方に対しまして今日の状態において従来の職員整理原案を堅持されようというお考えでありますか、それとも一部修正をされようというお考えでありますか、お伺いいたします。
  75. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 この問題は昨日の連合審査会において御答弁した通りであります。
  76. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、実は本日政府の与党たる自由党から本法改正案に対する修正案が出されて、その趣旨説明があつたのであります。これによりますと、農林省所管のことで、特に食糧庁で従来の整理原案たる一万五千二百四十二人に対してさらに二五・七%の修正を行う。すなわち七千九百六十一人の復活をされようとしておるわけであります。この自由党修正案に対して農林大臣はいかようにお考えになりますか。
  77. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 国会の審議権を尊重する建前で、議員の各位がいかなる修正案を出しましても、それは議員の立場においてやられることでありますので、私がそれに対してかれこれ申す段階ではないと思います。
  78. 小平忠

    ○小平(忠)委員 しからば農林大臣は、今回の主食統制撤廃の時期が、かねて論議せられておりますように、明年四月一日以降実施したいという考え方が、客観的情勢によつて、一時その期限を延期するというような事態に、立ち至つておりますが、その際食糧庁関係、特に食糧検査関係検査員の整理に対しまして従来のごとき統制方式を行う場合と、統制を撤廃する場合との検査員の任務とか、定員とかいうような問題についてどのようにお考えになつておりまするか、農林大臣の所見を伺いたい。
  79. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 この点についても、昨日は大分時間を費して詳細にお答えしたのでありますが、その通りであります。
  80. 小平忠

    ○小平(忠)委員 もちろん昨日の連合審査会で説明されておるのでありますが、事態が違うのであります。昨日は自由党修正案というものがまだ正式に出ていないのであります。公にされましたのは本日てあります。本日この内閣委員会において、自由党から正式に修正案を提出され、説明を受けたわけです。従つて少くとも本院におきましては絶対多数を持つ自由党でありますから、自由党の党議によつて修正案を出すならば、これは通るのが常道であります。かような観点からこれを考えます場合に、私は率直に、もつと懇切な御説明を願いたいのであります。  そこでさらにつつ込んでお伺いいたしますが、特に行政管理庁の方から示されておりまする整理案によりますると、食糧庁関係検査の方に一万千七百六十七人、食糧管理の方で四千百二十九人、技能の方で二十七人ということに相なつておるのであります。そこでかりに自由党修正案が国会を通るといつた場合に、七千九百六十一人という人員が従来の政府原案よりも復活増員されるわけでありますが、農林大臣はこの修正案が通つて、実際に食糧庁の七千九百六十一人を増員せられる場合に、その増員率は各部門の実際の人員の率によつて考えますか。それともそれは農林省食糧庁において適切に勘案して、検査の方に重点を置くか、あるいは管理の方に重点を置くか、お考えを伺いたい。
  81. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 復活した場合における人員の配置の問題をお尋ねのようでありまするが、定員法は御承知のように食糧庁一本になつております。また閣議におきましても、省内における一つの定員内における運営はまかされておりまするので、御指摘のように仕事の繁閑、性質に応じて修正案によつてきめられた数そのままでなく、事務の繁閑によつて若干勘案することは当然あると存じます。
  82. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次にお伺いいたしたい点は、この整理案に対しまして、農林大臣に特に私がお伺いしたい点は検査員の制度であります。それを全国一律に行う考えでありますか、それとも地域によつては考慮される考えでありましようか。
  83. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは公団でやつて来たように、実情に即して配置することが必要であると考えております。
  84. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの農林大臣の御答弁で大体わかるのでありますが、特に私はこの機会に、すでに委員会でも連合審査会でも論議されておりますが、この点は非常に重要な点であります。農林大臣も十分御承知のように、かりに申し上げますと、東北なり、あるいは北海道、特に北海道の場合に、根室の別海のごときは、香川県よりも大きいということ、村内に小学校が三十六もあります。さらに一つの村に省線の駅が十ないし十五もあるというところがたくさんあるのであります。従いまして、本州、四国、九州あたりの郡と匹敵するような町村が多いのであります。現在、本州、四国、九州並の整理をされた場合に、これは非常に重要な問題として申し上げなければならないのは、これは今申し上げたように、地域が非常に広いために、当初の政府原案によりますと、五〇%減であります。かりに自由党整理案にしましても、二五・七%の整理になる。これを全部一律に行いました場合に、ただちに食糧検査というものにおいて大きな支障を来すことは事実であります。それは単に食糧検査に従事をしている職員が、今国会なり、あるいは政府当局に要請しているだけでなく、あらゆる農業団体、農民の真の声として、今強く訴えられておるのであります。従いまして私は、これは実際に整理をする際においては、本州、四国、九州の府県と、その実情を異にする北海道のような場合においては、十分に考慮を願わなければならないと考えるのであります。かりに本州の府県において村の中心に一人の検査員がおれば間に合うところもありましよう。北海道はそういうわけには参りません。結局検査をするために、一々何十里もバスに乗り、馬車につけ、トラツクにつけて持つて来る、あるいは道がなくて鉄道で行かなければならぬというような場合、駅を五つも六つも乗つて検査をするというような場合には、これは重大なる支障が起ると考えるのでありますが、この点について農林大臣はいかようにお考えになりますか、御所見を伺いたいと思います。
  85. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように、実情に即して人員の配置をいたしたいと存じます。
  86. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そこで私は橋本行政管理庁長官もお見えになりましたので、あわせてお伺いいたしますが、今回の政府整理案に対しましては、私は根本的にこの整理というものは、いわゆる行政改革と同時に並行して行わなければならないと私は考えておるのであります。しかしその問題につきましても、ある程度ことはただちにそれに着手するためにはいろいろ検討もしなければならぬ、また十分調査もしなければならぬというような点から、同時に行かなかつたことはやむを得ない事実として認められるのでありますが、しかしそのように一方行政改革をあとまわしにされていて、今日職員整理を行うということは、きわめて慎重  に行わねばならぬと思うのであります。われわれの考え方は、ある程度職員整理はやむを得ないと思う。またあえて政府に協力をしないものでもないのでありますが、一つの例を取上げてみますと、今回の農林省所管で食糧庁関係のいわゆる五〇%の職員整理というものは、まつたく現状を無視したやり方ではないかと思うのであります。従いましてこの際いよいよ質疑も打切ろうという段階でありますから、橋本長官にお伺いいたしたい点は、あくまでも橋本長官は当初考えられた政府原案の線をあくまでも堅持される御方針であるかどうか、まず承りたいと思います。
  87. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 さきにも申し上げました通り政令諮問委員会事務整理に発足をいたしました線でまとめて参つたわけでありまして、こういう線で終始一貫まとめて参りたいと思います。
  88. 小平忠

    ○小平(忠)委員 きわめて率直な橋本行政管理庁長官としての御所見を承れないのを、遺憾に思います。しかしただいま農林大臣に承つたのでありますが、農林省食糧庁関係の問題と、さらに運輸省のいわゆる船用加配米、労働省関係の労働加配米等と関係をいたしまして、今回の主食の統制撤廃の時期を一時延期するということから、自由党食糧庁関係において七千九百六十一人、運輸省関係において二百人、労働省関係において九百七十九人の、いわゆる政府原案に対して増員の修正案を出されております。これは本日出されたのであります。これは政府与党たる自由党修正案でありますから、橋本長官は御存じないはずはないと思うのであります。そこで私が疑問に思いますのは、今回の主食統制撤廃というものは、補正予算に、また今回の行政整理にも何ら影響ないのか。政府原案においては毫もこの法律の一部修正につきましては、何らの意思表示もされておりません。一方与党たる自由党はこれに修正案を出されている。従いましてこういう点について疑問があるように感ずるのですが、橋本長官はいかようにお考えになりましようか。
  89. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 昨日の合同委員会でも申し上げましたように、定員法を修正いたしましたときから、なお関係方面とも折衝が継続中であるということを承知の上で附則をつけたわけであります。それが御審議中に、四月一日までに統制を撤廃するのがむずかしいということになりましたので、二十七年度に入つてからの食糧の配給に関する人員を、むしろ附則というよりは本文に加えた方がよろしいということになつて、昨日も申し上げました通り、一度国会に提出いたしました法案でありますから、国会の御審議過程における意見を尊重して善処いたしたいと思つております。与党から修正が出て参りましたが、私はもともと附則をつけました趣旨からいつて、方一の場合の必要があると考えておつたので、四月までに主食の配給統制を撤廃するに至らないことがはつきりいたしましたから、本文に加えるという与党の修正をのんで参りたいと思つております。
  90. 小平忠

    ○小平(忠)委員 最後に一点お伺いいたしたいのでありますが、今回の職員人員整理というものは、いわゆる行政機関職員にとりまして重大問題であります。整理された職員に対しましては、特に失業者の処置については労働大臣もたびたび本委員会なり連合審査会において、あるいは本院の本会議においても説明をされておるのでありますが、私は今回の整理に関するところの処置は十分であるとは思えないのであります。同時にこのことは次の行政改革におきまして、さらに人員整理等の問題もあるであろうと思うのでありますが、そういう点を考えてみますると、単に人が余るから、むだがあるから簡素化をするのだ——それはけつこうでありましよう。しかし少くとも人権を剥奪し、あるいは生活権を脅かすようなことをしてはならない。私は、政府におかれてはこれに対する十分なる処置をしなければならぬと思う。もちろん行政管理庁長官の立場におかれては、そういうことについても万々考慮の上、また実情を十分調査の上、国家行政事務を執行する場合支障のないようにお考えになつておると思うのであります。しかし、特に私は先ほども農林大臣に指摘を申し上げたように、農林省所管食糧庁検査員の五〇%減員のごときは、まつたく実情を無視しているものであると思うのであります。かりに統制をはずすからと言つても、食糧検査というものは、品位の向上、商取引の円滑あるいは優良品の生産というような見地から見まするときに、自由経済になつて検査重要性はますます認められるのであります。私は一つの例を申し上げたのでありますが、そういうような実際行政面に支障のないような整理のやり方をやつていただくことを私は特に希望するのであります。私は今回のこの検査員の減員については、これは絶対現状を維持してもらう。場合によつては若干の増員をお願いしなければならぬと考えておつたときに、この減員は絶対にまかりならぬと考えておるのであります。この一点を最後橋本行政管理庁長官にお伺いいたして、私の質問を終ることにいたします。
  91. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 御意見は十分承りました。たが人権云々というお話がございましたが、国家公務員というものは、あくまでも国民のために国の行政を運営するというその必要のためにあるのであつて、そういう面から見まするならば、当然仕事をする奉仕者であると同時に、それだけ国民に負担をかけておるわけでありますから、政府といたしましても、公務員自身としても、できるだけ少い人数で国民へのサービスのできるように心がけるのが当然であると思つておるのであります。従いまして仕事の繁閑に応じまして、できるだけ少い人員で措置をするということは、決して人権の剥奪というような問題になるとは私は思わぬのであります。もちろんただ理由もなしに、気に食わぬから首を切るということでありましたらそうでありますが、そういう意味ではまつたくないのでございます。  なお食糧検査の問題に関しまして一は、これは先般来農林大臣からるる御説明のございました通り、仕事のいろいろなしぶりを考えまして閣議全体で相談の上、農林大臣も十分御納得の上きめられたものでありまして、その仕事の仕方につきましては、先般来農林大臣のお答え申した通りであります。
  92. 木村公平

    木村委員長 松本善壽君。
  93. 松本善壽

    ○松本(善)委員 私は今般提案になつていますところの定員法の一部を改正する法律案政府原案について、農林大臣にただしたいことがあります。ただいま提案になつておりますところの問題を取上げてみます場合においては、食糧庁関係、特に検査員の定員でございまするが、農産物検査法というものは、われわれが承認して通しておるということは御承知の通りであります。従いまして全国における検査員の配置状況というものは、専門家である農林次官もよく御存じであられると思いますが、全国には九千八百七十町村、あるいはこれを人員でまとめていうならば一万三百六十五名の人員があるはずになつておりまするが、今回の整理案から申し上げますならば、約三町村に二人弱——一人半ぐらいの所もあれば二人の所もあるが、三町村に二人弱というような割合になりはせぬか、かように考える次第であります。今後検査というものは、御承知のように雑穀類あるいはその他強制検査をわれわれが実施している限りにおいて、その仕事の分量というものは当然滅らないと私どもは考えますが、まずその一点をただしたいと思います。
  94. 島村軍次

    ○島村政府委員 米麦の国営検査が本年の春の国会できまりまして、お話の通りにますます国営検査の充実を期する必要は認めておるのでありますが、今回の定員改正によつて検査員の数が減じますことは、検査の執行上あるいは支障があるのではないかという御懸念でありますけれども、もちろんこの点についてはたびたび農林大臣から申し上げておりますようにできるだけ能率を上げるとともに、さらに事務の執行におきまして従来の事務の範囲をなるべく簡素化いたしまして検査員の負担になる点を軽減いたしたいという考え方が一つと、それと同時に、検査の執行は御承知の通りに時期的にも繁閑があるのでありまして、非常に出まわりの忙しいときには相当の手数を要するのでありますが、これらの執行にあたりましては、あるいは他の方法臨時検査員等を設置してやる道もありますし、あるいはまた共同出荷等の道によつて、その手数をできるだけ省くという方策もあるわけでありまして、それらの点を勘案いたしまして先ほど農林大臣から説明申し上げました通りに、できるだけ実情に即して、支障のないようにいたしたいと存じておる次第であります。
  95. 松本善壽

    ○松本(善)委員 私も努めて簡単に質疑をいたしますから、簡単にお答え願いたいと思います。次に統計調査事務についてただしたいと思います。御承知であるがごとく、今日やりておりますところの統計というものは、われわれも世界的なる水準に一歩足を印しようというような姿で、過去において三年間進んで参つたのであつて、もう一息で統計が完成し、また役に立つときが参るときにおいてその統計が現実の場合においてまだいい悪いという結論が出ていない途上において御破産になるような、この人員整理案は、まことに嘆かわしい次第でありまするが、この点について私どもは、でき得べくんば、検査員はさるこながら、統計においても農村、いわゆる農家経営の一助とせんがためにも、あるいは農業共済関係、あるいはまた農業の災害対策の補強の施策としても、かようなものは助成金を出してまでもやつてもらいたいと思うのでありますがごの整理案をながめますると、かような点についてまことにさびしいものがあるのであります。従つてこれもまた町村別に言うならば四町村または三町村以内に一人というような割合になり、あるいはまた統計調査から言うなれば、府県単位にもなりはせぬかというような面が現われておるようでありまするが、この点についてはどうお考えであるか。
  96. 島村軍次

    ○島村政府委員 この問題につきましても、たびたび農林大臣からお答えを申し上げました通りに、統計そのものの基本的な考え方は、従来の考え方をさらに一層強めまして、農林政策の基本を出す上に必要なる資料の収集に対しては、できるだけ正確に、しかも国際会議等において信用のある点にまで進みたいという念願を持つておるのでありますが、ただ御承知の通りに今日の統計は大体町村単位であり、しかもその内容が他の統計と違いまして、すこぶる広汎にわたつた調査をやつておるのであります。そして町村等の調査そのものに対しては、正確を期する意味からいつて抽出検査を主体に置いておるのであります。もちろん抽出の箇所数が減員とともに減つて来ることはやむを得ないことでありますが、これもできるだけ能率を上げまして、調査方法についてもなお農林政策の基本線を害さない範囲において、できるだけ正確のものをやる、さらに調査方法について創意とくふうを加えて、調査の簡素と、しかも正確なものを期するという考え方でやりたいと考えておる次第であります。
  97. 松本善壽

    ○松本(善)委員 それから食管特別会計のあり方から考えてみまするならば、そこに手数料という問題が期せずして出て来るはずであります。政府がやつておりまするところの手数料は、現在年間どのくらいであるか、昨年度産米の例を一応お示しいただきたい。
  98. 島村軍次

    ○島村政府委員 現在は御承知の通りに手数料は徴収をいたしておりません。今後統制の緩和に伴つて漸次手数料制度が考えられるものだと存じております。ただ国営検査米麦以外の——つまり統制のありまする政府の買上げについては現在はとつていないのでありますが、委託によつての品物については手数料をとつておるのであります。その手数料の額はただいまはつきり記憶いたしておりませんが、必要でありますればあとからお届けいたします。
  99. 松本善壽

    ○松本(善)委員 その手数料については、私も数字を持つておりますから聞く必要はありません。  次にただしたいことは、輸入食糧関係でありまするが、輸入食糧はあるいは三百二十万トンないし三百七十万トン輸入しなければいかぬではないかというような情勢が一たびある場合において、これに対するところの検査員というものに対する政府の施策いかんをただしたいのであります。
  100. 島村軍次

    ○島村政府委員 輸入食糧は積上げの際に抜取りで検査をやつておる実情であります。
  101. 松本善壽

    ○松本(善)委員 政府としては統制撤廃を目標にしておる関係上、一般農家の米麦に対して輸入関係の抜取り検査のようなことが行い得るかどうか。ことに米に対してそのようないわゆるさし米的な検査方法をもつてこれがなし得るかどうかというようなことも、科学的に是非は論断せられるのでありますが、今後行われる検査方法についてもむしろ俵別の検査を目標とされるのではないかということになりますれば、さような点に立つて検査員の必至性を考えますが、その点について政府の施策いかんをただしたいのであります。
  102. 島村軍次

    ○島村政府委員 輸入食糧につきましては、買付の場合に引合いをいたしまして、かくかくかような品物をということが建前になつております。従つてエジプト米あるいはビルマ米というようなものを輸入する場合においては、およそこれらの国において一定の規格のものを入れるという条件のもとにやつておるのであります。今後統制が揺和されるというような場合におきましては、また別途のことも考え得るのでありますけれども、今の買付の方法等から考えますれば、契約の場合における一つの条件としてはつきりしたものをやれば、別に大した機構の改正をやらぬでも、現在の程度でさしつかえないものと考えておりますが、なおこの点については研究を進めてみたいと思います。
  103. 松本善壽

    ○松本(善)委員 予算のあり方でありますが、現在のあり方で言うならば、インヴエントリー・フアイナンスをもつて財政的な援助を百億予定しておつて、結局米価というものがきまつておると思うのでありますが、今後統制が解かれる場合においては、その価格をいかに決定されるかということが大きな問題になるのではないか。これを百十円にするとかあるいは百五円にするとかいう案がありますが、財政的な面において百億の計上をいたす。あるいは需給調整によるところの米麦の差をもつてやつたら政府の負担がどうなるか、あるいは国民の直接的な負担においてどうなるか、どつちがいいか忌憚なき政務次官の御意見を承りたい。
  104. 島村軍次

    ○島村政府委員 実は私の私見は持つておりますが、政府の方でいろいろ検討を加えられておるのでありまして、この際は差控えさしていただきたいと思います。
  105. 加藤充

    ○加藤(充)委員 先ほど私の質疑に対しまして、私はそういう言葉を使つたことはなかつたのでありますが、日米合同委員会云々ということが、今度の機構改革人員整理に関連して橋本長官の方から問題に出されましたので、その点についてお尋ねいたします。  昭和二十四年度行政整理のときは、相当な権限を持つた各種の審議会、委員会、協議会というようなものができたことがたしか一つの特徴であつたと思うのであります。今思い出すままに拾いましても、公正取引委員会統計委員会、人事委員会地方財政委員会、選挙管理委員会、労働委員会、公安委員会、農地委員会、日本学術会議、教育委員会、復興金融審議会というようなものが思い出されるのであります。私どもはその当時、こういうような二百になんなんとする大量にして強力な行政権限を持つた機関というものは、その構成権限などから見まして、さらにその運営の実態に即して見ましたときに、決してこれは民主的なものにはならない、国民大衆が参加し、その委員会を通じ、審議会を通じてその利益が守られておるという意味合いにおきましての民主化にもならなければ簡素化にもなり得ないということを申し述べたつもりであります。しかるに今回の行政機構改革あるいは行政整理の中には、そういうふうな委員会が縮小され、あるいは権限が弱められ、人員が少くされるとい汚ような特徴を持つておると思うのであります。これは確かに今回の行政整理の特徴だと私どもは見てとるわけであります。先ほども申し上げましたように、あの前にできた各種委員会というものは、結局民主的な形態の擬装のもとに、それに強大な権限を持たせまして、そうして憲法上最高の機関であるという国会の権限を巧みにそらしまして、そういうような審議会を日本の実力的な支配者の利益を代弁する者によつて構成して、そこできめられた最高方針というものが行政機関に移され、その中に国会の介在する余地を少くして、結局国政というものがそういうふうにして行われるような仕組になつておつたと私どもは思うのであります。これが今回はなくなつた、あるいは縮小された。しかしこの独立の権限や強い権限を持つた各種委員会、協議会というものは最高においてどういう構成になるかわからないとおつしやいましたが、日米安全保障協定に基いて全面的にそれに協力すべき義務を日本は仰せつかり、欣然という言葉で引受けまして、それで結局はこの日米合同委員会というものが最高の地位に立つて最高方針を決定し、強力にこれを実行して行くというところに特徴があつて、国政というものはその方針従つてすべてが動かされて行かざるを得ないことになつた。従つて今までのカムフラージユした、迂回した各審議会、委員会の必要がなくなり、強力な中央集権的な国家行政機構というものがここに確立される必要が出て参つた。これがこのたびの行政機構改革の特徴だと私は思うのであります。たとえて申しますれば、政令諮問委員会には何らかの法的根拠があるかといえば何もない。またわが党の同僚であつた川上君たちが追放されましたときに、その追放の手続の中には、適格審査委員会というようなものがなければならなかつたはずなのに、こういうのがなくなつた後にも、追放が制度手続を無視して行われておつて政令諮問委員会があるかなきかのごとく、そしてまた強力であるかなきかのままに相当強力な実権を握り、国政の上に大きな作用を及ぼしている。これが中央集権的なものになつて行くのではないかと私は思うのであります。この前人事院総裁にお聞きしたところが、人事院総裁から私の質問と違つた御答弁があつたのであります。人事院は労働省、勤労者、公務員の実質的な保護機関の役割を果すことがきわめて少なかつたばかりでなく、その権限を無視して、ずいぶんひどいことを政府と一体となつてつて来た。従つて保護機関たる実質は事実なくなつたのでありますが、このたびの行政整理でこの附則の中に、せめて公務員に制度として認められました唯一の不利益処分に対する身分の保障の保護的作用を全部なくされているのであります。これはかねぐ新聞に報道されているように、人事院の廃止というような、いわゆる委員会制度の廃止という方向に向う線に連なるものではないのかと懸念される点、そしてこういう点はこのたびの行政整理定員法の附則と関連いたしまして、これは制度として体裁として非常に私は反民主的なものであり、反公務員的なやり方ではないかと思うのであります。提案理由説明の中におきましても、多数の人員整理される場合におきましては、この制度を適用するととが実情に即しないために、そういう附則で審査請求権を認めないのだとおつしやいましたけれども、基準をきめないでほどらいにやみ打ち的にめつた切りにされる危険性が多い。少くともそういう人たちが多数予想される。これは神ならぬ長官がやるのであります。このときにごそ私は制度として、せめて公務員の保護機関としての不利益処分に対する審査請求、審判というものはこれは認めなければならないのであつて、だから審査請求制度を適用しないことにしたということは、論理が逆になつていると思うのであります。この点についていかがなものでございましようか。
  106. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 御質問の趣旨がよくわかりませんが、お話のございました各種行政委員会に関しましては、行政機構改革の一環として検討中ではございますが、決して加藤委員の言われるようには考えておりません。今後におきましても日本の民主主義的行政組織を維持するという大方針はかわらないのでありまして、ただ戦後のいろいろな行き過ぎもございますので、日本の実情に合つたような、また経費も安くて済むような簡素能率的な運営によりまして各種行政委員会につきましても、特別な意味があるもののほかはなるべく数を減したいと考えているのであります。機構改革の問題は、今後の検討の問題でございます。御質問の主眼点は、人員整理の場合に不利益処分の訴えの規定を排除することがいいか、悪いかというお話のようでありますが、これはもともとが何か理由もないのになまけているとかなんとかいうことで、行政整理も何もないのに整理をするというふうな場合に、この訴えの意義があるのだと思います。国全体のいろいろな状態からしまして、独立後の日本の簡素な行政運営を行つて行くために、なるべく経費も安く、手間もかからずに国民へのサービスをするという見地から、行政整理をやるという建前になつて参りました場合には、何ほどかの人員をその中から整理をする必要があるわけでありまして、これはむしろごく常識的に平静に考える場合には、何ほどか整理をする必要があるというときに、その省庁の中の事情によつてだれだれを整理するというのを、一々自分を整理しないで他人を整理しろというふうなことが訴えの内容になるというのは、非常におかしいのであります。実情に即さないので、訴えは今回の場合に適用しないというふうにしたのであります。
  107. 木村公平

    木村委員長 文部省の相良総務課長が来られましたので、松本講評君の質問を許します。松本君。
  108. 松本善壽

    ○松本(善)委員 簡単に質問いたしたいと思います。文部省関係の所管におきまして、今回一部の整理案が出ております。文部大臣も公言せられておりまするがごとく、六・三制というものはどこまでも育成強化して行かれるという方針に承つております。従つて中学におきましてもモデル・スクールなどというものがあつて、所々方々にその形と体裁を整えなければならぬという御方針と承つております。小学校教育、新制中学校の教育ということを取上げまする場合において、今回政府が企図しておりまするところの整理の内容を見ますると、地方教官におきましては一律に約一〇%というような数字を見得るのでありまするが、各学校におきまする地方教官の数あるいは病欠等によつて、はたして実際の御方針とこの整理との間にどのような差が出て来るかということを私ども懸念するものであります。一応かような見解に立つて説明をしていただきたいと思います。
  109. 相良惟一

    ○相良説明員 ただいまの御質問に、地方教官というお言葉がございましたが、今回の定員法の改正では、いわゆる地方教官すなわち公立学校の教員の整理には触れておりません。
  110. 松本善壽

    ○松本(善)委員 さように私も存じておるものであります。従いましてさような従来の御方針通りに今後進まれるということであれば、私も了といたすものであります。しかしながら現実のこの整理案をピラミツド式にながめますれば、結論としてかようなものが出て来るのではあるまいかというのが私の考えでございまするが、さようなことがないということであれば私はただすことがありませんから、まことにもつてけつこうなことと思いますので、私の質疑を終ります。
  111. 加藤充

    ○加藤(充)委員 橋本さんにお尋ねします。先ほどの御説明、御答弁によりますれば、これはまつたく切捨てごめんになつてしまつて、国の政治のためには公務員は犠牲になつてもしかたがないということになります。これは俗な言葉で言えば、切捨てごめんで国家が人民の上に最高の権力を持つという形で、国家至上主義に通ずるものだとも思うのであります。切捨てごめんというのは、武家政治時代の武力支配のなつりであります。そこでお尋ねするのですが、憲法三十二条並びに行政事件訴訟特例法等の関係から見て、何ら救済制度はこのたびの首切りの公務員にはないのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  112. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 もう格別申し上げることもないのですが、国家至上主義とかなんとかいうのは非常におかしな話で、現在憲法下において、四年ごとに、ないし四年よりもつと短かい期間において選挙が行われて国民の総意によつて選挙の結果でき上つた国会が、国権の最高機関として国の運営をつかさどつていることは、加藤委員以外の万人の認めているところであります。国家というものは抽象的にあるものではなく、国民の自由な選挙を反映して国会を通じて国の政治が行われて行く二とは御承知の通りであります。  そこであくまでも申し上げますように、何も公務員というものが、憲法上国民の利害休戚に関係なしに置かれているわけでも何でもない。国民のために国の行政運営をやるべきであるわけでありますから、政府といたしましても、公務員自身といたしましても、できるだけ少い人数で、できるだけ少い経費で、能率的な運営をやるように心がけることは、みなの責任であると常に考えておるのであります。それで今回の行政整理が行われるわけでありまして、その場合におきまして、今申し上げましたように、総体の定員の中で、なお少い人数で行政が行われ得るということで整理をいたすわけでありますから、当該省、庁の中でおのずからそのまとまりのよいように整理の決定が行われます場合に、それをまた提出してどうこうということは、つまり定員の中から自分を落すより他人を落せという話になりますれば、公務員法に定められたところの不利益処分に対する訴えの規定趣旨と意味が違うわけであります。公務員法に定められたところの不利益処分の場合に訴えるということは、むやみやたらに、要するに気に食わぬから整理をするといつたようなときに訴えができるわけであります。そういつたような場合においては、当然こういう規定が行われるのが、常識的に考えて筋であろうと思います。
  113. 木村公平

    木村委員長 村瀬宣親君から、相良総務課長に質疑があるそうですから、村瀬宣親君の質疑を許します。
  114. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいま松本委員の質問に関連して文部省の政府委員にお尋ねするのでありますが、地方の中、小学校の教職員に及ばないということは、わかつておることでありますが、御提案の内容を調べてみますと、附属教官二百九十三名というものを整理することになつております。これはおそらく附属の中、小、学校の教官に当ると思うのであります。むろん今度のは国家公務員でありまするから、地方公務員に触れてないのでありますけれども、これが氷山の一角となつて国家公務員としての附属教官をこれだけ整理したということになりますると、これから類推いたしまして、地方の公務員である地方中、小学校の教職員という問題にも相当出て来ると思いますが、この内容はどういうものであるか。またこれは教育実習の対象となつておるものであつて、教育研究の場所でありますから、これを縮小することは、将来の日本の教育行政に非常な禍根を残すと思うのでありますが、いま少しはつきりした御答弁を願いたいと思うのであります。
  115. 相良惟一

    ○相良説明員 ただいま御指摘の通り、国立学校の附属学校であるところの高等学校、中学校、小学校の一応の整理予定人員約三百名足らずとなつておりますが、これは一応の算定基準であつて、実施計画をつくるに当りましては、各省で振りかえを認められておりますので、実験学校であるところの附属学校の特殊性にかんがみまして適当な措置をとるつもりでおります。  地方の学校につきましては、目下地方行政簡素化本部でもつて整理案を作成中でございます。
  116. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 先ほどの御答弁とかわつてはいないにしても、非常に心配な点が生じて参るのであります。別に整理案を作成中ということであります。教育の関係につきましては、簡単に整理をして目的が達し得るものでないと思うのでありますが、これは地方公務員のことでありますから、ここでは多く触れないといたしましても、今振りかえ等によつて実際の部面においてはあまり支障は来さないようにするつもりであるという御答弁でありましたが、そういたしますと、この附属教官二百九十三名は、一応数字の上には出しておくけれども、実際は縮小しない、そういう御方針であると解釈してよろしゆうございますか。
  117. 相良惟一

    ○相良説明員 実際に整理をしないというのではございませんで、附属学林にも長期欠勤者がおりますし、また欠員もございます。なお附属学校において実際に整理可能であるか、目下調査中でございますので、実施計画をつくるに当りまして、適当に措置をしたい、こういう考えでおります。
  118. 木村公平

    木村委員長 通告者の質疑はこれで終了しましたので、本案及び両修正宝に対する質疑は、これにて終局いたしました。  次会は明後十二日午前七時より委員会を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十四分散会