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1951-11-21 第12回国会 衆議院 電気通信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十一日(水曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 高塩 三郎君 理事 辻  寛一君    理事 長谷川四郎君       大西  弘君    小峯 柳多君       關谷 勝利君   橋本登美三郎君       福永 一臣君    森下  孝君       椎熊 三郎君    畠山 重勇君       石川金次郎君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電波監理長官  長谷 愼一君         電気通信政務次         官       加藤隆太郎君  委員外出席者         検     事         (検務局長)  岡原 昌男君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  牧野 誠一君         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信事務官         (大臣官房審議         室長)     金光  昭君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 十一月十七日  委員平澤長吉君辞任につき、その補欠として大  西弘君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  海底ケーブル線払下げ事件  テレビジヨン放送等に関する件   請 願  一 吹田市を大阪通話区域編入請願(淺香    忠雄君外一名紹介)(第九六九号)  二 門司市の電話交換方式改善に関する請願(    平井義一紹介)(第九七〇号)  三 電気通信事業定員確保に関する請願(庄    司一郎紹介)(第一〇八六号)  四 同(成田知巳紹介)(第一〇八七号)  五 小倉村を明盛局通話区域編入請願(植    原悦二郎紹介)(第一〇八八号)  六 内川目村立石及び近郷を大迫局通話区域に    編入等請願山本猛夫紹介)(第一〇    八九号)  七 中野村に電話局新設請願山本利壽君紹    介)(第一二三三号)  八 電気通信事業定員確保に関する請願(松    井政吉紹介)(第一二三四号)  九 日田、小国間電話回線増設に関する請願(    松野頼三君紹介)(第一三一一号) 一〇 久慈町にラヂオ中継所設置請願山本猛    夫君紹介)(第一四〇一号) 一一 津賀局集中局とする市外電話回線増設    に関する請願若林義孝紹介)(第一四    一八号) 一二 電話私設交換制度改善に関する請願(庄司    一郎紹介)(第一四五六号)     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  前会に引続き海底ケーブル線払下げの件について調査を進めます。質疑を続行いたします。石川金次郎君。
  3. 石川金次郎

    石川委員 法務府の方から伺つて参りますが、青森管内海底線盗難事件について捜査を開始されたのでありますが、捜査開始告訴によるものか、告発によるものか聞込みによるものか、その点をお伺いしたいのであります。
  4. 岡原昌男

    岡原説明員 この点につきましては、前々回の当委員会において御説明申し上げたのでありますが、青森地方検察庁においてこの事件を受付けましたのは、最初四月二十九日に青森市の水上警察署より窃盗事件として送致を受けたものが一つ、もう一つ五月三十日に青森海上保安部の方から、航海制限等に関する件第四條違反云々というので送致されたのが一つ、この二件が合併されて受理されたので、それに基く捜査を開始した、かようになつております。
  5. 石川金次郎

    石川委員 そういたしますと、告訴告発も別になかつたのでありますか。
  6. 岡原昌男

    岡原説明員 私ども手元に参ります報舌によりますと、おそらく水上署なりあるいは海上保安部認知捜査事件と考えております。
  7. 石川金次郎

    石川委員 検務局説明書の中に届出があつたと書いてあるのでありすが、この届出というのはどういう意味でありますか。これをお聞きいたしますのは、もし告訴事件であつたならば、告訴を提起いたしました人に対して、捜査の結果をたしか報告しなければならぬかと思うのです。全然單独の捜査を開始したものであれば、その必要はありません。しかし届出という文字を使つております。ところが刑事訴訟法上、届出という文字は現われていかいかに思われます。この点まず聞いておきます。
  8. 岡原昌男

    岡原説明員 告訴と申しますのは、被害者告訴受理官庁、つまり捜査権限のある官庁に対して被疑者の処罰を要望して、捜査を進めてくれというふうな申告をするのが告訴でございます。届出は、單なる被害事実の申告というふうに解されまして、この二つ訴訟法上厳密に区別されておることに相なつております。
  9. 石川金次郎

    石川委員 それでは告訴はなかつたとお聞きしてよろしいわけですか。
  10. 岡原昌男

    岡原説明員 そうでございます。
  11. 石川金次郎

    石川委員 それではこれに関連いたしますから、電通省の方にお伺いいたします。この事件についてわかりました後、告訴をしなかつたのでありますか。どういう処置をなされたか、明らかにしていただきたい。
  12. 金光昭

    金光説明員 お答え申し上げます。電気通信省といたしましては、前回の委員会で御報告申し上げました通り、本年の一月二十日に青森電話局と同県の脇野沢局間の電話通信障害になりましたので、調べました結果、この海底線が断線になつておることが判明いたしたのであります。海底線障害でありますために、管理所等では修理ができませんので、東京の本省の海底線工事課の方に連絡があつたが、海底線工事課の方では、船繰りの都合上、ただちに修理船を回航することができませんので、四月になりまして修理船青森湾の方に回航いたした次第でございます。そこで調べました結果、約十三海里にわたりまして海底線盗難にあつておるということが判明いたしましたので、四月十八日に海底線布設船工事責任者から青森水上警察署の方に盗難属を出したのでございます。それによりまして水上署の方で捜査を進められました結果、ただいま法務府の方から御報告がありましたよらな、検察庁送致と相なつた次第であります。
  13. 石川金次郎

    石川委員 次に検務局にお伺いいたします。この報告書の中に、二十六年の三月二十日東北海運局海面作業許可申請を受けてということがありますが、この三月二十日に海運局海面作業許可申請を受けたという資料がありましようか。電通省ではあと損害賠償準備中だというし、大蔵省では本件契約を解除するという、これはあとで問題になりますが、この点の事実をまず明らかにしていただきたい。
  14. 岡原昌男

    岡原説明員 本件につきましては、記録の詳細を私の方で取寄せて検討しておりませんので、許可証実態は私見ておりませんけれども現地からの報告によりますと、さように相なつておる次第であります。
  15. 石川金次郎

    石川委員 そこで捜査しました結果、三月の二十日に海面作業許可ということになりましたが、許可前にはこの電線引揚げられてはおらなかつたのですか。
  16. 岡原昌男

    岡原説明員 報告によりますると、どうもその以前に引揚げられておつたように考えられるのでございます。
  17. 石川金次郎

    石川委員 許可前に引揚げられておりましたならば、許可前の引揚げに対して何ら刑事責任はないのでありますか。
  18. 岡原昌男

    岡原説明員 この点につきましては、実は海底電線引揚げ作業許可は、航海制限等に関する件の第四條に当るかどうか、つまり許可を必要とするかどうかという問題が一つあるようでございます。なおかりにこれが入るといたしましても、当然許可が予期されるような状況のもとに着手したというふうな事情が、若干出て参つておるようでございます。許可がないから違反である、すぐ起訴しなければならぬという状況には、必ずしもなかつたよう報告されて来ております。
  19. 石川金次郎

    石川委員 調査の結果明らかになられたと思いますが、いつどれほど引揚げたかという事実をお聞きいたします。
  20. 岡原昌男

    岡原説明員 現地からは、何月何日何メーター、何月何日何メーターというふうな詳しい数字は来ておりません。ただ個々のケーブルをまとめて発送した日にちがはつきりしているということでございます。
  21. 石川金次郎

    石川委員 どこにまとめて、いつどこへ発送しましたかを、お伺いしたいと思います。
  22. 岡原昌男

    岡原説明員 その点は報告書にかなり詳しく書きまして、お手元に配つてあると存じます。
  23. 石川金次郎

    石川委員 それは報告書の第五の事実のイ、ロ、ハ、ニでありましようか。
  24. 岡原昌男

    岡原説明員 さようでございます。
  25. 石川金次郎

    石川委員 わかりました。それではお伺いいたしますが、集まつたものを、行つて検査なさつたのでしよう。
  26. 岡原昌男

    岡原説明員 はい。
  27. 石川金次郎

    石川委員 それは一体どこから出て来たものでしようか。あなたは報告書を見ればわかるとおつしやるでしようが、ひとつ説明してくださいませんか。電通省が出しましたのと、あなたがお調べになりましたものとは、出どころがどうも違うようです。ところがずつと見ていると、同じようなことも書いてある。あなたの方でお調べなつたものをお聞きしたいと思います。これは調査なさつたのだから、明らかになつておると思う。
  28. 岡原昌男

    岡原説明員 私が直接取調べに当つたようなお尋ねでございますが、実は私は現地報告を書面で見ているだけごございますので、若干隔靴掻痒の点があるかと存じますが、その点はあらかじめおわびを申し上げておきます。  一月二十日から引揚げ調査と称して、実際は引揚げに着手いたしました。これを逐次被疑者たちの船が陸揚げいたしまして、これをまとめておきました。それで青森財務部並び青森電気通信管理所検査を受けるつもりであつたらしいのでございます。しかるに、この点がおかしいのでございまするが、いろいろ手違いがあつたらしいのでございます。被疑者たちの言うところによりますと、管理所の方から、現在電通省で使用している海底線はこういつた種類のものである、これはよしてくれというので、見本の一部を交付された。それで今度引揚げたものは若干それとは違うような気がした。それで引続き引揚げをやつてつた。また現実に検査に立ち合いました青森財務部の新谷という方の話によりましても、実際に財務部検査はあつたようでございます。ただその検査数量とその後の引揚げ数量とに食い違いがありまして、被疑者の方としては、当時普通に許可手続が順調に進行すれぼ、もうぼつぼつ許可が来そうなものだ、手続の前後はあるけれども、ここ数日中に許可があるなら、引続きあとも発送してよかろう、かように考えたというような辯解が、諸般の情勢上必ずしもただちに排斥しがたい、かような状況が出て参つたのでございます。そこで先ほど申しましたイ、ロ、ハ、ニの四つの事実の全部が全部まで起訴するに至らなかつた、こういう報告に相なつております。
  29. 石川金次郎

    石川委員 このイ、ロ、ハ、ニの物品が、どこから現われて来たかという御認定をなすつたかということをお聞きしたい。
  30. 岡原昌男

    岡原説明員 これは図面があるとよくわかるのでございますが、青森と対岸の函館に対しましては、おそらく二、三十本の海底電線が走つておるのではないかと思います。そこでそれがずつと並行しておりまして、そのうち本件問題になりましたのは、二つの線なのでございます。元の軍用電線もすつとそれに並行しておりまして、根元の方から切つて行けばわかつたのであろうと思いますが、途中で作業を始めたために間違いを生じたのではないか。この点は必ずしも被疑者は、まんざらうそを言つているのではないという状況も見られるのでございます。
  31. 石川金次郎

    石川委員 現地検察庁でお調べの結果は、払下げ調査申請をした会社原別大間、この区間の線のものだと認定されたわけですね。
  32. 岡原昌男

    岡原説明員 その点までの報告は参つておりません。
  33. 石川金次郎

    石川委員 あなたの方の報告書には、大間原別の間の海底線であるということを言つておられます。それなるがゆえにこの引揚げが合法的なのだ。ただしかし、それが保管責任違反するから横領罪が成立するのだ、こういうふうに書かれてある。そこで多分あと大蔵省で説明してくれると思いますが、これが大間原別の間の海底電線であれば、調査及び払下げを受けた者には、何らの責任がないということになるのであります。そこでこれは確かにそう確認したかどうか、確認したならば、何によつて確認したか、一本々々当つたか、電通省のものが入つていなかつたか、これを明らかにしてもらわなければいけない。なぜかというと、国は払下人に向つて損害賠償を請求するということを言つてつた損害賠償の請求はなまやさしいことでは成り立つものではない。ですから十分確実な資料を握つてからやらなければならぬことは申し上げるまでもありません。ほんとうにそうだと確認したか、確認した資料は何か、これをお聞きしたい。
  34. 岡原昌男

    岡原説明員 大間原別間並びに芦崎、近川間といいますか、この引揚げ許可を受けたのは三月二十日でございますが、引揚げまして問題になつた電通省所管海底電線は、ほぼこれに並行しておる線でありまして、区間は確かにお話の通り違いますけれども図面をお目にかけるとすぐおわかりになるのでございますが、今ちよつと図面を持合せておりません。区間は違いますけれども、たいへん近寄つた線なのでございます。
  35. 石川金次郎

    石川委員 それはわかりますが、私のお伺いしたいのは、大間原別間軍用線であつた認定を後になされたか、またなされた資料をお伺いします。
  36. 岡原昌男

    岡原説明員 その点はおそらく、報告の中には入つておりませんけれども被疑者たちの自白並びにその後の電通省関係調査に基くもの上推察いたします。
  37. 石川金次郎

    石川委員 電通省所管海底電線ではなかつた、こういうことを認定せられるために、この報告書によりますと、見本を照合して引揚げ作業をやつたのだからということで、電通省所管電線でなかつたと認められたようでありますが、そこでお聞きしたいのは、それだけの資料によりましたか、見本をいつから提供されて、だれが引合わせたか、いつでもあなた方の方では鑑定をなさるのでありますが、鑑定したのか、電通省とどういうような話合いをしたのか。ただ一つこれだけによつて――引揚げ現場にはいずれの機関も携わらなかつたが、見本を交付されてあり、見本と異なる海底線引揚けてもさしつかえない旨の回答があつた。そこで見本と照合して引揚げ作業をやつたのだから、引揚げたものが電通省所管電線でないと検察庁認定されておる。これだけで事実認定資料なつたかどうか、お伺いしたい。
  38. 岡原昌男

    岡原説明員 先ほど申し上げたのは、電通省所管電線でないと申し上げたのではございません。先ほど申したのは、被疑者犯意認定するについての資料、つまり犯意の問題で申し上げたのでございます。この電線電通省のものではないというふうに被疑者たちが考えたことについて、無理がなかつたということが証拠立てられた、こういうふうに申し上げたつもりであります。なお実際の見本として交付されたケーブルというものは、私の方から調査に行きました者の話によると、なかなかそう簡單に軍用電線と見わけがつかぬような場合があり得る。修復を何度もやりまして、似たようなところもあるし、違つたところもあるというふうなことであつたということとございます。
  39. 石川金次郎

    石川委員 結局こう解してよろしいか。引揚げたものは電通省所管のものであるかどうか、元の軍用であつたかわからない。しかしながら捜査の結果は、犯意がなかつたのだから、盗品としての責任は負わなかつたと、こうお解しになりますか。
  40. 岡原昌男

    岡原説明員 結局捜査いたしました結果、これは電通省所管であるということにほぼ確定したように、私は聞いております。電通省所管のものであるということに確定したように聞いております。ただ問題は、先ほど申し上げた通りに、被疑者たち犯意を持つてこれを引揚げたという点についての証拠が不十分だつたというふうに御了承願いたいと思います。
  41. 石川金次郎

    石川委員 そうなると、また明らかにしなければなりませんが、先ほど問題になりました報告書の中にイ、ロ、ハ、ニと書いてありますが、この物件電通省のものですか、それともそうでないのですか。
  42. 岡原昌男

    岡原説明員 いずれも電通省所管ケーブルでございます。
  43. 石川金次郎

    石川委員 そうなりますと、これは結局業務横領ということでやつておりますが、もう少し捜査の方法を改めなければならぬのじやないですか。その点はどうですか。
  44. 岡原昌男

    岡原説明員 この点につきましては当委員会の御趣旨もあり、実は当委員会において問題になります前に、検察庁はすでに捜査を続けておつたようでございますが、時あたかも当委員会で問題にされたときは、ちようど捜査のまつ最中でありましたので、実は私の方からも、特に念を入れて調べるようにといつたよう趣旨のことを申しておいた次第でございます。従つて現地におきましても、事の重大性にかんがみまして、相当大事をとつて捜査をいたしました。最高検との間にも若干法律問題、事実問題につきましての打合せもあつたように聞いております。従つて本件捜査段階一つ一つにつきましては、私ども詳細には存じませんけれども、との裁定そのものについては、検察庁においてはかなり自信を持つて処理されたことと存じておる次第でございます。なお法律問題といたしまして、横領になるか窃盗になるかという点でございますが、これは当初私が当委員会におきまして、事件の内容は捜査中であるから詳しいことは申し上げかねるけれども、法律問題としてこれを考えるときには、こういう諸点が問題になるというふうに、問題を摘示して申し上げましたように記憶しておりますが、その点があたかも捜査の結果、ちようど問題になつたようでございます。そうしてその点が諸般証拠上、結局横領として一部起訴されたというふうになつたのでありまして、私どもが当初予想したような諸般の困難な事情が、やはり本件については伏在しておつたということが、捜査上明らかになつたようでございます。
  45. 石川金次郎

    石川委員 青森検察庁の見解がどうか、あなたにお尋ねいたしますことは無理かもしれませんが、イ、ロ、ハ、ニとありますね。このうちロだけを業務横領の嫌疑ありとした。ところがイ、ハ、ニの保管責任者はだれなのか。ずつと読んでみると、ロの被疑者村越市郎現地において引揚げ作業運搬作業をやつた、こういうことであります。他の人々は全然関與しなかつた。しかしイ、ハ、ニにも、引揚げ作業をやつた人と保管をやつた人と出て来なければならぬのじやないか。ロのみに保管責任者があつたとして、イ、ハ、ニには保管すべき責任者がなかつたのか。
  46. 岡原昌男

    岡原説明員 その点につきましては、法律上だれが保管責任者であるかということが問題になつて来ると思いますが、これは当時の東北産業株式会社契約の当事者として、その調査引揚げあるいは払下げ等に関與しておるのでございますから、会社そのものが第一に責任を負うべきものである。但し刑事上の責任ということに相なりますると、実際にその会社の社長なり、取締役あるいはそれに雇われて事実その場において働いた者がその責任者になるというのが、一般刑法理論になつて来るわけでございます。
  47. 石川金次郎

    石川委員 そうすると少しわからなくなる。ロの事実においては、会社村越市郎という人に保管責任があつたのだから、業務横領が成り立つ。そういうことでなければ、刑法上の理論として犯罪構成が成り立たないかもしれぬ。ところがイ、ハ、ニは保管者認むるものがなかつたというのでしようか
  48. 岡原昌男

    岡原説明員 ロの事実につきましては、村越ではございません。諸泉正士でございます。
  49. 石川金次郎

    石川委員 間違いました。諸泉正士でございます。
  50. 岡原昌男

    岡原説明員 その他の三つにつきましても、それぞれ責任者はその当時の状況に応じ、諸泉であつたのではないかと想像されます。この辺、実は報告が詳細に参つておりません
  51. 石川金次郎

    石川委員 もう一つお聞きしますが、盗難事件告訴がありましてから、だんだん捜査して行つた。ところが盗難という事実は、犯意がなかつたから認められない。捜査進行中に横領の事実があがつて来た、こういう御報告である。それが十月である。私は検察廳が非常に忙しいこと、人手が足りないこと、いろいろな他の犯罪も出て来る等の関係で、捜査を一生懸命にやりましても、世間で言うようになかなか進捗しないことはわかりますけれども、少し長過ぎるのではないか。告訴があつた四月から、どうして十月までこう全貌がわからないでしまつたか、だれがどういうようなことをしたかわからないでしまつたというのでは、一般の方ではちよつとひどいと思いますが、その経過をひとつお知らせ願いたいと思います。
  52. 岡原昌男

    岡原説明員 本件につきましては、受理当初ただちに相当厳重な捜査をいたしたように報告が参つております。しかるに御承知地方選挙がございまして、おそらくそのためだろうと思いますが、大体選挙関係を四箇月ぐらい全国的にやつておりましたので、その取急ぐ事件処理に專念されたために、ついかような事件につきまして――事の重大なることはもちろんでございますが、手遅れになつたように考えられる次第でございます。しかし何分にも検察廳といたしましては、全般的に御承知通りたいへん多忙をきわめておりまして、昭和十七、八年ごろ年末未済一人平均二、三十件というところが、現在では百件を越すというような状況に相なつておる次第でございます。本件につきましても、おそらく当初青森検察廳としては、なるべく早く片づけたいという意向のもとに、相当事件捜査したことは報告にも明らかになつておりまするけれども、その後かようなほかの事件処理に忙殺されましたために、これがあとまわしになつて、十月になつて初めて終局的な判断をしたのではないか、かように考えられる次第であります。なお本件につきましては、実際に問題になりました引揚げ物件東京に持つて来られまして、その後ブローカーを転々といたしまして処分されておるのであります。そこでこのブローカーを次々とその先々を調べて、ものの実態をつかむという点について、相当の日時を費したように考えられます。
  53. 石川金次郎

    石川委員 大蔵省にひとつ聞いておきたいと存じますが、椎熊さんがお急ぎになるそうですから……。     ―――――――――――――
  54. 關内正一

    ○關内委員長 それでは電波管理に関する件について調査を進めます。
  55. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいま石川委員質問の最中ですが、大蔵省の方に別個に質問をする、それが相当長時間を要するのだそうで、私は他の委員会等がありまして、そう長くここにおられませんものですから、はなはだ失礼ですが、質問者の了解を得まして、先般の委員会の継続の質問をしたいと思います。  そこでお伺いしたいのは、先般お預けしておきました放送局予算関係の問題であります。先般は準備がなかつたために満足な御答弁を得られなかつた、私もそれを追究することを差控えて今日に至つたのであります。従つて本日は政府委員の方は十分なる資料、十分なる準備を整えて御出席のことと存じまするが、なるべく詳細に率直に具体的に明確に御答弁を願いたい。  第一の問題は、進駐軍関係放送契約による料金、これが私ども手元にありまする本年度の予算書の中には計上されておりません。まつたく不明になつております。そこで進駐軍関係放送による終戦処理費から払われておる放送局收入はどれだけあるのかお伺いしたい。
  56. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいまの御質問に対しまして、御報告申し上げたいと思います。進駐軍関係予算につきましては、過般当国会の御承認を得ました日本放送協会の二十六年度の收支予算の上には、数学的には載つておらないのでございます。しかしこれは予算総則のうちにはつきりとその関係條文がございまして、それを御参考に読上げてみますと、予算総則の八條に、「連合軍の要求に基いて、諸施設及びその維持運用並びに役務を提供したときはこれに対する契約金はこれを引当てとして諸施設維持運用並びに役務関係ある各項に増額し使用することができる。」こういう條文によつて処理をするという考え方になつております。それならばなぜそんな考え方をとつたかというところに問題があると思いますが、進駐軍の関係の仕事は、進駐軍のそれ自体の都合によつてときどき変更がある、あるいは非常に急な請求等があつたりいたしまして、的確にあらかじめ見積るということが困難でございます。そういうような状態でございますから、その予算額におきましても、的確に数字をつかむことができないという形になつておりますし、一方特別調達庁との契約におきましては、原価計算によつてやるというような建前になつておりますので、今御説明申し上げましたように、総則にうたいまして、こういう仕事が放送協会として予定はされておるが、しかし予算書の上には数字的に表わさない。もちろんこれは決算の面にはつきり出て参ります。従つてその内容等につきましては、会計検さ院で明細な検査を受けることになつておりますが、予算にはそういう経緯と考え方で数字は省略してある次第でございます。  なおただいま御質問のうちにもございましたので、終戰後におきます進駐軍の、主として放送関係の経緯と、二十六年度は一体どのくらいの金額になつておるかという点を、大体申し上げてみたいと思います。いわゆるAFRSという呼出しで放送されております進駐軍向けの放送は、昭和二十年の八月に命令がございまして、その施設を始めたのでございまして、その後次第に方々に拡張になりまして、今日に至つたのでございます。最初は終戰連絡事務局が主管庁となりまして、経費を進駐軍当局に要求をし、受領しておつたのでございますが、二十二年から逓信省がその契約担当官庁となりまして、また二十三年四月以降は特別調達庁と契約を締結しておるというぐあいに変更しております。二十六年度におきましては、契約の金額が大体一億四千万余円になる見込みでございます。
  57. 椎熊三郎

    椎熊委員 予算総則の第八條は私の手元にあるのです。これは進駐軍の契約によつて得たる受取金の使途についての規定なんです。そういう一億数千万円という厖大な金が、年度の收入として入つて来るのに、現にあなたが二十六年度は一億四千万円だと明確に言われるほどの問題が、数字として予算書の中に組まれて来ないというところに、私は納得のできない点がある。これは第八條とは何らの関係はない。第八條はその入つて来た金をこういうところに使えるということを言つておるだけで、收入と支出とが予算の面に出なければ完全な予算場とは言えないそれが私とあなたと見解が違うところである。あなたはそれをどう考えるか。
  58. 長谷愼一

    長谷政府委員 御趣旨の点ごもつとで、よく了解いたすのでございますが、先ほど申しましたように、ただいま申し上げました一億四千万円というのも、まだ二十六年度は完了いたしておりませんので、今までわかつた数字でございまして、今後どういうぐあいに変更して行くか、われわれも予測できないのでございます。なお先ほども申し上げましたように、進駐軍の要求というものが初めからはつきりわかることならば、私どもといたしましても、予算に堂々とあげて御審議を願うのが建前だと存じておるのでございますが、何しろ計画そのものが相当変更される、過去におきましても相当の変更がございました。また向うの事情によりまして、たとえば今まで放送協会の施設を提供しておつたものが、向うの都合によつて突然中止をしたり、あるいは進駐軍みずからの施設で仕事を始めたりするようなことがあつたりいたしましたために、予算に的確な数字を載せるととが困難であるという考え方から、この総則の八條によつて、その予算からは別わくにして、しかもこれは実費計算によつておりますから、ただトンネルになつてつて行くという形とも考えられますので、別個に取扱うという考え方でこういう取扱いをしたものでございまして、その点を御了承願いたいと思います。
  59. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうも私はわからないのです。進駐軍の命令等によつて、たとえば朝鮮でこういうことがあるからこういう放送をせよという、突然の場合も多かろうとは思います。そういうことは想像できるのだが、常時やつておるものなどは計画の中に入り得る。しかもそれが実費計算なら明確に出て来る問題である。そういう明確なものを――予算は必ずしもその通りに入つて来るというものではないでしよう。現に国家の予算つて、国家の剰余金というのがあるのです。年度の決算と予算とがぴつたり合わなければ予算でないと言うのではないのです。予算は要するに予算なんです。あらかじめ予見することができる收支なんです。すでに一億数千万円、年度末になつたら二億円を越すという大金、それが全然予算の面に現われずして第八條によつてどつかへ使うことができる、そういうことがほんとうに予算の建前として許されるものでしようか、別途の予算というものがあり得るのでしようか。私はそうではないと思う。これはまつた放送局收入たることには間違いない。それも厖大なる收入で、雑收入等の問題ではない。そして原価計算でちやんと算出できる数字のものである。突然の注文があれば予算外の收入であつて、それは剰余金となつても何でもいい。それだけ金の使途を明らかにしない收入を見せておるという不明確なことが、どうして許されるのでしようか。それをもつと探求して行けば、当委員会の粗漏も私はあると思う。われわれ自身の罪もあると思う。なぜこれが発見できなかつたか。それは私どもも不明であつた。不明であつたがゆえに、その点私は慙愧にたえないと思います。しかし気がついた以上、国民のためにこれを無視することはできない。しかも終戦処理費です。日本の国民の膏血をしぼつた税金によつてまかなわれている、アメリカから来る金ではい、われわれの金なのです。その厖大な金を一放送局がやみからやみに、どう使われて行くかわからないような状態において、どうしてそれを黙過することができるか。第八條はそんなものを隱しておいていいという規定ではない。入つて来た金は、その役務施設のために使つていいということをきめてある、その使い道を明らかにしなくてはだめだ。こういうことを五年も六年もやつているのですから、年度の收入はこのくらいある予定だ、その收入についてはこれこれの方に使うのだ、そういうことを区わけして明確にしなければ、予算というものではないでしよう。別途の予算だということを初めてわれわれは知つた。知らずにいたら二億何千万の金がやみからやみへ消えて行つて、どうにもならぬことになる。計算を見ればわかるけれども、計算は二年後でなければわからない。そういうようなことをしておいていいのだろうか、私はその点非常に不明朗だと思う。あなたはそれでよろしいという確信があるのでしようか。
  60. 長谷愼一

    長谷政府委員 御趣旨の点は万々拜聴いたしまして、ごもつともと存ずる点も多々ございます。われわれとしても将来の場合に十分御意見のほどを体しまして、善処したいと考えておりますが、ただ先ほど申し上げたように、進駐軍関係のものは大部分が役務の提供でございまして、従来何を見ましても、そのために入つて来た金が、その方面の役務関係あるいは維持運用というようなところだけにしか使われておらないのであります。しかも放送協会の本来の事業そのものとは関係がないという考え方から、一応放送協会の毎年計上の予算とは別個に取扱うという考え方をとつております。また考え方にもいろいろあると存じますが、今御意見の点はわれわれといたしまして十分研究いたしまして、善処いたしたいと考えます。
  61. 椎熊三郎

    椎熊委員 ますます私は不可解であります。この問題は放送局本来の仕事と違うようなことを言うが、そうじやない。放送局という電波放送をする機構を持つているかち、それを進駐軍が使用するのです。電波放送をするということが、放送局の本来の仕事でなくて何なんです。これを本来の仕事でないと考えられることは間違いじやないですか。電波放送をするという仕事が放送局にないなら頼みはしません。日本唯一の機構を持つておる放送局を使用する以外に、進駐軍は他に使用する道はない。これこそ本来の仕事を利用されておるということなんだ。それなるがゆえに高価なる契約金を払つておる。それをまつたく本来の仕事でないという考え方が、そもそも私どもとあなた方との意見の違う点だ。どうして本来の仕事ではないのですか。もう一ぺん明瞭にお答えを願いたいと思います。
  62. 長谷愼一

    長谷政府委員 私が申し上げました点は、放送協会はみずからが法律に認められたところによりまして、放送事業を行うのが本来の仕事でございまして、もちろん放送関係のないことを頼む人はだれもないと思いますが、そういう役務を人に提供するということは、本来の仕事でないものだとわれわれは考えて今申し上げたのでございます。
  63. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうも根本的にあなたと私は意見の食い違いがあつて、私は満足いたしません。そこでこれをもう少し明確にするために資料を要求いたします。今年度現在までどれだけの役務を提供し、どれだけの使用料をとつたか、それはいかなる項目にどれだけ支払われておるか、明確なる計算書をこの委員会に提出願いたい。
  64. 長谷愼一

    長谷政府委員 私ども手元にはございませんから、放送協会と連絡いたしまして、できるだけ早くお手元にお出しいたしたいと思います。
  65. 椎熊三郎

    椎熊委員 この問題は私は後に残しておきます。これで打切つたのではありません。私は納得行くまでこれを追究したいと思います。  関連してお伺いいたします私ども手元にある放送局予算書の中にない問題で、放送局收入のある問題があるが、これはどの項目に入つているかお聞きしたい。放送局が間々地方に参りまして、のど自慢大会などを実施しております。その際に入場料などをとる。これは放送局の何の項目の收入になつておりますか。
  66. 長谷愼一

    長谷政府委員 私ども承知している範囲におきましては、放送協会がみずから、たとえば今例にお引きになりましたのど自慢大会とかその他をやつた場合に、何らの名義においても入場料をとつた例はないように存じております。しかしときどきほかの地方において、ほかの団体と共同でのど自慢大会などをやることはしばしばあるようであります。そういう場合にその共同者側が場内整理の名目で料金をとつておるようでありますが、それは放送協会としては一文もそれに関係のないものと承知いたしております。
  67. 椎熊三郎

    椎熊委員 これはわれわれの社会通念から言つて、のど自慢大会などは放送局の事業だと思うのです。入場料をとれば、それは放送局がとつておると常識上では考えられる。それは実際は競合してやつた団体がとるのであつて放送局でとるのでないというならば天下に明確にしておかなければならぬ。放送局主催の事業で、放送局の事業で、そうして放送局が入場料をとるのだということを、一緒に事業をやつた人がとつておるのだと言葉の上では言われても、これはわれわれの社会通念上許さないのですが、どうですか。
  68. 長谷愼一

    長谷政府委員 放送協会みずからの主催の場合には、料金をとつたという例を私承知しておらないのであります。ただ共同主催の場合に間々そういう例があつたようでございますが、これは片一方の協力者の都合でそういうことをやつたのだと存じております。
  69. 椎熊三郎

    椎熊委員 これは小さな收入があるにしても、雑收入という項目があるからそういうものがあるかもしれませんが、これはごく軽微な問題ですからこれ以上追究いたしません。  そこで放送局関係しておる問題ですから、私はテレビジヨンの問題に移りたい。これは電波監理委員長もいらつしやるし、皆さん責任のある方ですから、ひとつ的確に、率直にお答え願いたい。今テレビジヨンの許可申請が、先般の説明によると四件あるということです。これは審査して何らかの形で許可するとか不許可にするとかいうことになるのだが、現行法規上、テレビジヨン実施を許可する権限はどこにあるのですか。
  70. 富安謙次

    ○富安政府委員 テレビジヨンの請願に対してこれを許可いたします権限は、電波監理委員会にあるわけでございます。
  71. 椎熊三郎

    椎熊委員 電波監理委員会の決定に基いて、電波監理委員会許可、不許可をきめるのですか。それには電通大臣は何らの関與をしないわけですか。
  72. 富安謙次

    ○富安政府委員 電気通信省との関係について申し上げますれば、テレビジヨンはその性質上、電気通信省所管の仕事とも関係をいたしますので、その関係をいたします必要に応じて、政府部内におけにる関係官職として十分なる連絡をとることは、他の行政おける場合と同じであると考えております。
  73. 椎熊三郎

    椎熊委員 現行法親出は、電波監理委員会許可申請者に対して許可、不許可を決定する権限を持つておるということは明確なのですが、現在テレビジヨンに関してどの程度のことを許可されたか。たとえばNHKに対して実験放送局の開設を許可されたようですが、これはいつ許可して、その他にそういうテレビジヨンに関する許可、不許可を決定した事項があるか。
  74. 富安謙次

    ○富安政府委員 テレビジヨンに関係して許可処分をいたしましたのは、ただいま御発言のありましたように、日本放送協会に対して実験局として許可をしただけでございまする。
  75. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこで現在は、電波法施行規則第四條の「科学又は技術の発達のための実験を行うために開設する無線局であつて、実用に供しないものをいう。」という明文に基いて許可して、現に実験に供されておるということなのですが、最近この実験がしばしば行われておるようです。私どもの観察からすると、電波法の規定による実験局の開設の趣旨に逸脱しておるような状況に今日はあると思います。それはプログラム的に世間に発表して、多数の観覧者を予定しつつ、定期的に週二回七時間、しかもこれには芸能人などを動員して、本格的な放送をやつておる。ことに今月などは、たしか六日だと思いますが、芝の某小学校では、生徒、職員、PTAの会員等を数百名集めて観覧に供し、しかもますますこれを盛んにやるんだという。そうするとこれはもう電波法に規定しておる実験局の開設を認可した意味とは違つて、社会に及ぼす印象は、実験局開設の認可をとつたNHKが、さらに進んで全国的放送をやり得るのかということを宣伝するがごとくに、私どもには感ぜられてならない。そこで私が聞くのは、今日許しておる実験放送なるものは、実験の域を逸脱しておると思うが、あなた方委員会ではこれをどう観察せられておるか。
  76. 富安謙次

    ○富安政府委員 日本放送協会がただいま許可に基いて行つておるテレビジヨンの実験が、規定の範囲を逸脱しておるのではないか、もつとこれを拡大するようなことを言うておるとかいう意味の御発言のように承つたのであります。電波監理委員会としては、與えた許可趣旨従つて、その趣旨を逸脱したような放送の仕方をさせてはならないということについては、監督官庁として十分の関心を持つて注意をしておる次第でございます。ただいまのお言葉によると、もつとこれを拡大して行こうとする意図を持つているとかいうようなことでありましたが、しかしさようなことでありますならば、これも程度、範囲をどういうことを考えておるのか、希望しておるのかということにもよりまするけれども、いやしくも與えられた実験という趣旨を逸脱したと認められる程度になりまするならば、監督官庁としてこれを職観するつもりは決してございません。ただここで申し上げておきたいのは、実験と申しましてもいろいろあるわけであります。実験室内の実験もありましよう。またテレビジヨンのごときは、これを受信する設備を一方に持ちまして、送信と受信と相まつて、初めて実験という目的が遂げられるという性質もあるわけであります。従つて受信の設備を、送信の場所から離れて他に置かなければならないのでありますので、テレビジヨンをNHKが放送しておるということの宣伝的な効果が、反射的に現われて起きるということは考え得ると思うのであります。しかしながらそれを宣伝の目的に使うという意図であつて、またその意図に基いて動いた、その許可を利用したということでありますならば、これは許可趣旨に反するものでありまして、その辺はきわめて微妙で複雑で、むずかしくはありましようけれども、観念としてははつきりとそこに区別を立て、これは実験の趣旨を逸脱しないのである、この程度はまだ実験としてするのは穏当であるというところに、常に深い注意を払つて電波監理委員会としての職責を果して行かなければならない、かように考えております。
  77. 椎熊三郎

    椎熊委員 おつしやる通り微妙で複雑であることは、私も想像いたします。それなるがゆえに、電波法ではこういうことをこまかく規定しておる。実験局とは何ぞやという定義をこの法律はきめております。すなわち科学または技術の発達のための実験を行うということなのです。これがもしも逸脱しておれば、ちやんと罰則規定があるのです。その程度は微妙にして複雑ではありましようけれども、定義ははつきりしておるのです。逸脱しておるかどうかということは、かかつて認定の問題になりますが、宣伝に使つておるかどうかという事実が明確になつたら、これは逸脱に違いない。たとえばNHKが地方において專売公社などと協力して、これの宣伝をも兼ねて、こういうことを実施しておるという事実、これなどはまつたく実験の域を逸脱して、NHKが本来禁止されておる広告事業にまでも立ち入つておるかの観を呈する。諸君はそういうことをお調べなつたことはあるのですか。これは嚴密に御調査願いたい。なぜ私はこういうことを言うか、今日日本がテレビジヨンを実施するかどうかということは、日本の学術界にも、経済界にも、文化の上にも、これは非常に大きな問題として浮び上つておるのです。この際に電波監理委員会なるものは、いまだに標準方式の確定をも見ず、これを許可認可する最高の権威を持つておる人が、現に競争してこれだけの認可申請あるにかかわらず、いまだにその意思決定を見ないというあやふやな状態に置かれておつて、そうしていつ日本人がテレビジヨンをほんとうに実用化してこれを活用することができるかわからぬような、非常に重大な岐路に立たしめておくめは、私は一面においてそれだけの最高の権力を握つておる電波監理委員会なるものの、大きな責任でもあると考える。しかもこういう状態のときにおいて、ただ一つの独占企業みたいなNHKに対しては、一方的に実験放送局を許し、その実験放送局なるものは、現に大衆を集めて週に二回七時間定期的に、宣伝をしつつ娯楽の対象としてやつておる。これは学術、技術の研究対象としての実験放送の域を逸脱しておることは、われわれしろうとが見ても明らかである。それを今日までなお複雑微妙の一語に隱れて、諸君はこのことを取上げないというのは何たることですか。これだけの事実でもただちにわかることです。これを逸脱しておると思わないですか。週に二回七時間づつの放送を、あらゆる場所を借りて、大衆を集めるたあの宣伝をして、やつておることが、これは学術、技術の実験だという範囲を越えておるのだという考え方にはなれないのですか。もう即答できる問題です。これはよいのか悪いのか、あなたはどう思うか、率直にお答えなさい。あなたがそれを知らなかつたというならば、電波監理委員会責任であります。
  78. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えします。ただいま送信もし、また受信の設備が一方に置かれて、テレビを見たい人は見れるようになつておりますが、その事実につきまして、許可を與えられて実験をしておる放送協会として、どういう方法をもつてこれを宣伝に利用しておるかということにつきましては、具体的にどんなことをしておるかということによるのでありまして、私などの知り得た範囲におきましては、まだ私どもが職責、権限に基きまして関與する程度にまで達しているようには、私のただいまの知識をもつてしましては、なつていないと存じているのであります。しかしなおそういうふうな行き過ぎた、明らかに宣伝の用に免許というものを利用しているということを、はつきり認識するような段階に達する事実があるということになりますならば、それは十分に、どんな方法で、どんなことを言つて、どんなことをしておるか、調べなければならないと存じます。
  79. 椎熊三郎

    椎熊委員 私に指摘されるまで、あなた方はそれを調べもしなかつた、そんなことを関知もしなかつたということは、はなはだ不親切なやり方で、不公平なやり方だと私は思う。権威ある委員会が、これたけ世間の関心の的となつている大問題について、私に指摘されるまでそんなことをやつているか、やつていないのか知らなかつた、そういう答辯は私は心外です。あなたの言われるように、こういうこともこういうこともやつておることは委員会は知つておる、知つておるが、これは試験の範囲と認めるのだ、こう言われれば、私はあなた方に信頼感が持てる。私の指摘した事実さえ知らなかつたとなれば、うかつ千万だと言わざるを得ない。  もう一つ具体的の事実をあげましよう。これはNHKが最近テレビジヨンを全国に宣伝するために、專売公社の援助を得て、巡回展覧会をやつておる。これはどうなんです。これは試験ではないでしよう。他の外郭団体から物質的な、あるいは精神的な援助を受けて、それをも広告しつつ、場所を定めて、全国的にテレビジヨンはNHKの專売だと言わんばかりのことをやつておる。これが宣伝でなくして何であるか。これが技術の実験だとはだれも思わぬ。あなたはそれをしも技術の実験だと認定せられるかどうか。これは即答できる問題です。
  80. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えします。ただいま御指摘になりました事実については、私も聞いております。しかしそれは有線をもつてつておるのでありまして、テレビの無線の場合とは違うと私は了解しておりました。しかしその点につきましては、なお技術的にこまかく他の者からお答えいたしますが、それはずつと前からやつていることであり、何條でありましたか、放送法の規定に基く周知宣伝のための活動をやつておるものと認めまして、さしつかえないものと考えておる次第であります。
  81. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたはようやくこれらの具体的事実に対して、それはもはや実験の域を逸脱しておるということを、当委員会において認められた。認められた以上、法規にはあなた方にいろいろ罰則等の権限も與えてある。少くともただちにこれは停止命令を出すぐらいのことをやつていただかなければならない。本日電波監理委員長が、このNHKの私が指摘したような行動は、逸脱行為であつたということを、率直に言明されたことを、事態の真相を明確にするために、私は喜びといたします。これは速記録にも明らかに残ります。  さて私はなぜこういうことをしつこくお伺いするかというと、NHKが一週間に二度も、七時間ずつもやるということが世間に伝播されまして、珍しいことでもあるし、金のある者などは、もう寄り寄り受像機を買い求め、て、ひそかにこれを活用しておる者などもあるということです。私は文化の向上上、こういうことは決して悪いことではないと思う。皆がそういうことを望んでくれるならば、日本の科学の発達から見ても、工業力の発達から見ても、文化の向上の上から見ても、教育上から見ても、非常によいことではありますけれども、標準方式が決定しておらぬのに、今NHKの放送に合うような機械をこしらえておつて、もしあなた方の標準方式がこれと違つた方式に決定された場合は、何万という損失を受けなければならぬ。私どもの聞くととろによると、東京都内にはすでに数百戸の機械を持つ者があるだろうと想像されておるという。これが今日、日本の製造のものだと一台が十七万円からかかります。それがあなたの粗漏なる取締りの結果として、何百とかつてにやつている。最近の機会において、必ず標準方式を決定しなければならぬが、その時分のこれらの人の迷惑はおびただしいものだ。そとで私の先般来主張しておるのは、一日も早く標準方式を確定してもらいたい。それが日本の電波に関する最高の権威たる諸君の今與えられた使命だ。今現にせり合つて、四つも許可してくれというものがあるのですから、これらについても、嚴正公平な立場に立つて一刻も早く確定してもらいたい。まつたくこういう大問題になると、今の放送法によつて、電波局だけがそういう重大な許可権を持つてるることに、私ははなはだ不安を感ずるので、できるならば諸君は来るべき通常国会などには、テレビジヨンに関する單行法でも出したらどうすですか。そしてその法規に基いて、あなた方もちやんとりつぱに責任を全うできるように、公平にやつて行くことができるようにしておかないと、何か質問をしても、複雑怪奇で微妙だなんてことでやられたのではとてもたまりません。そういう不見識なことをおつしやらずに、ととに電波監理委員会は学者のグループです。複雑怪奇を恐れてはいかぬ。複雑怪奇の点を明確にすることが、科学の力じやないですか。そんなことを恐れて手を触れておらぬということは、私はあなた方を非難するのははなはだ残念ではありますが、怠慢のそしりを免れません。そういうことではいかぬと私は思うのです。複雑でも微妙でももつと掘り下て、親切に、国民のためになるような御活動あつてこそ、初めて電波監理委員会はわれわれの尊敬の的にもなりましよう。今のような、めんどうだからほつておいたというような答弁をされたのでは、私は今日まで常にあなた方に協力的な立場に立つて来ましたけれども、それじやあまりたよりないじやありませんか。しかも私はそういう答弁は、当委員会を侮辱するものだと思う。そういうことではいけません。あなた方権威ある学者が集まつて、そんな卑怯な答弁をしてはいけません。私は露骨に事実を指摘して、あなた方の見解を聞いて、現在やつておるNHKの行動は、私の指摘した点においては、逸脱だということをあなた方が明言されただけでも、本日は非常な收穫だしと思う。逸脱だと明確に答弁された以上、これに対する善後処置は、あげて諸君の良心に訴えたい。私の質問はこれをもりて終ります。  なおこの問題については、私はもうこれでテレビジヨンのことを質問しないというのではないのです。多々ますます弁じたい。次から次と私の手元に材料が山積して参ります。委員会のあるたびごとに私はその材料を整理しつつ、諸君にお伺いしたい。そうして不明確な点を全部明確にしていただきたい。
  82. 長谷愼一

    長谷政府委員 先ほど電波監理委員会委員長が御説明になつた点を、推熊委員が誤解されているのではないかとおそれる点がありますから、はなはだ失礼でございますが、有線を使つてつておるので、無線ではないということを、念のために申し上げます     ―――――――――――――
  83. 關内正一

    ○關内委員長 再び海底ケーブル線払下げ事件について調査を進めます。石川君。
  84. 石川金次郎

    石川委員 それでは大蔵省にお伺いいたします。青森湾内海底線盗難事件についてお伺いしたい。それはあなたの方で調査許可して、あと払下げ許可しておりますところの電線です。原別大間間の元軍用海底線でありますが、これが現に存在しておることが明らかになつたので、払下げをしたのでありますか。現存するかも不明で、なおかつ許可をしたのかどうか、お伺いしたい。
  85. 牧野誠一

    ○牧野説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。大蔵省青森財務部調査並びに引揚げ許可を出しております。その出しておりますときは、原別大間の間に現存するということを確認した上ではございません。まだはつきりしなかつたわけで、電通省から見本をもらいまして、その見本と違うものがあつたら、電通省以外のものがあつたのであろうということで、許可した次第であります。
  86. 石川金次郎

    石川委員 この許可の意味をお聞きしたいのですが、報告書によりますと、払下げ申請があつたから、調査許可したというのでありますか。調査許可というのは、どういうことでありますか。
  87. 牧野誠一

    ○牧野説明員 調査許可と申しますのは、海の中へ沈んでいるものとか、あるいは土地の中へ埋まつているものとか、そういうものだけに起り得るのでございます。財務部許可したという言葉は、少し不適当かと思いますが、あらかじめ知つてつて申請者の申請するような事実が存在する場合は、その者にあとで随意契約で売わ払う、競争入札にしないで、その者に売り払うという意味でございます。
  88. 石川金次郎

    石川委員 この調査ということは、現存するかどうかということの調査ではないのでありますか。
  89. 牧野誠一

    ○牧野説明員 現存するかどうかということの調査許可し、その調査をした結果、現存するということが明らかになつた場合は、随意契約で売り払うということでございます。
  90. 石川金次郎

    石川委員 調査した結果が、どういうことであつたかという報告がなければなりませんが、それがこの事件ではいつあつたのですか。
  91. 牧野誠一

    ○牧野説明員 二月の二十六日に、申請者から再森の財務部に、浅蟲の沖合いの作業船にブイをつけておいたから、立ち会つてもらいたいという申出がございました。それで翌日の二月二十七日に財務部の方では青森の電気通信部の方へ連絡をいたしまして、浅蟲駅で待ち合せて、翌二十八日に現場で立ち会つて、ブイをつけてあるものが、はたして電通省のものであるかどうかを一緒に調べたいという申出をいたしております。それで電気通信部の方では見本を渡してあるし、忙しいから、一緒に行けないということで、二月二十八日に財務部から新谷という技官が行つております。しかしそのときは天気が悪かつたという理由で、財務部のものは駅で四時間待つてつたそうでありますが、待ちぼうけを食いまして、申請者の会社村越という八は来なかつたそうであります。その後財務部へ現われたそうであります。従つて報告というのは、ブイをつけて置いたから、立ち会つてもらいたいという連絡が口頭によつてなされて、現場を検査しようといたしましたが、その当日はそういうような都合で、四時間待ちぼうけを食つて、帰つて来たということになつております。それから三月十四日に、申請者はすでに引揚げてしまいまして、駅に集積してあるから来てもらいたいという口頭の連絡があとでございました。それで海上保安部の船でそこへ行きまして、調べてみた結果、電通省からもらつておる見本と違うから、これは元軍用のものであろうということで、売払いをしたということになつております。
  92. 石川金次郎

    石川委員 調査許可だけで、引揚げ作業ができますか。ブイをつけてあつたというのは、現存のままブイをつけてあつたということでありますか。
  93. 牧野誠一

    ○牧野説明員 現存のままでブイをつけて浮き上がらしてあつたというふうに、報告を受けております。ただそれは今申し上げましたように、確認をしておらなかつたのでございます。それから調査しただけで、引揚げができるかという御質問でございますが、実は青森財務部許可いたしました許可証がございます。それに調査承認についてという表題で調査許可しております。調査承認という表題になつておりますが、いろいろ條件をつけて、よそのものと間違わぬようにしろ、あるいは他の官庁とよく連絡をしろということで、すでに承認しておつたということが、この書面の上から明らかになつておると思つております。
  94. 石川金次郎

    石川委員 調査許可ということは、條件づきで、引揚げも、それから切断して引揚げて、スクラツプとすることも許した、こういうことになりますか。
  95. 牧野誠一

    ○牧野説明員 調査許可いたしますと同時に、いろいろの條件をつけて、その條件に合致しておれげ、引揚げてよろしいということも許可し、引揚げたケーブルは指示した場所に集積しろということも、指示しております。
  96. 石川金次郎

    石川委員 あなたの方から参考に出ております別紙第八、青管二第二九四号、昭和二十六年四月二十一日の文を読んでみますと、「当該財産の管理庁の承認を受けてその現状を調査したものに売り払う」こうなつておるのでありますから、一応調査の結果を聞いて、それを調べてみて、その後に売渡しの処分がなされなければならぬかのごとき通達でありますが、そうでないのでありますか。
  97. 牧野誠一

    ○牧野説明員 お答えいたします。当該財産の管理庁の承認を受けて、その現状を調査したものに売り払うということが、別紙第八で明瞭になつております。それでわれわれの方としては、青森財務部から東北産業に出しますときに、本物件調査事前において、本承認書を海運局に提示して、作業面の許可を得るものとするということで、作業面の許可を得ろという條件をつけております。この点がちよつとはつきりいたしませんが、作業面の許可を得てやつたものではないかと思つております。それは海運局に提示して作業面の許可を得ろということで、作業自身の許可ということになつておる。これは旧陸軍の海底ケーブルであつたというふうに申請者も申し、青森財務部の方も陸軍のものではないかということを前提にして考えておつたのだと思つております。
  98. 石川金次郎

    石川委員 陸軍のものであることを前提として、存在不明のものを調査したならば許可を與える。もしあつたならばという條件付で、こういうことをやり得るわけです。ところが昭和二十五年十月五日に大蔵省管財局長から各財務局長に出した通牒を読んでみますと、存在するかどうかわからないものを売買することに対する通達がないのでありますが、これはどうなりましようか。
  99. 牧野誠一

    ○牧野説明員 ただいま御質問の点につきましては、大蔵省の管財局から出先機関である財務局財務部に対する通達に不完全な点があつたというふうに私どもの方は考えております。これは旧特殊物件と申しますか、陸海軍の兵器類というようなものが、旧内務省の所管であり、現在は建設省に移つている。それから土地、建物、国有財産法にいわゆる国有財産と称し得るものには工作物とか機械が入りますが、そういうものについては大蔵省所管である。それからさらに海底ケーブルなどについては、ほとんど大部分のものを大蔵省から当時の逓信省に所管がえを済ましているという事情がございますので、海の中に沈んでいるもの、あるいは土地の中にもぐつているもの、そういうもので各省多少ずつ権限の境界線が終戦以来ぼけていたというようなことについては、われわれの方の通達も必ずしも完全ではなかつたというふうに思つております。それで五月以降はこの点は各省いろいろ相談いたしまして、各省連名の通知を出しまして、こういう海底ケーブルその他のものについても、誤りないように処置したつもりであります。
  100. 石川金次郎

    石川委員 次にあなたは電通省盗難事件についてという書面をごらんになりましたか。ごらんになりましたならば第三項に、当省出先機関と関係機関との連絡状況という項が書いてあります。イ、ロ、ハ、ニとありまして、大蔵省との折衝を済ました事実を書いてあるのでありますが、これを読み上げますよりも、大蔵省関係する部分においてこういう事実があつたかどうかを確かめておきたい。
  101. 牧野誠一

    ○牧野説明員 今御指摘になりましたが、実はまだ読んでおりません。ちよつとお待ち願いたいと思います。――ただいまの御質問でございますが、このロの事実は、大蔵省財務部とは関係がなかつたと思います。イ、ハ、ニ、ホについては、事実かようなことがあつたというふうに報告を受けております。
  102. 石川金次郎

    石川委員 イの事実があつたというのでありますが、海図を示されて、電通省所管海底線の敷設状況を明らかにされたのでありますから、大蔵省調査及び払下げをしたのは別の線なのでありますから、これとこの電通省の線と抵触しないために、電通省の線をこわさないためにどのような方法をとられましたか。
  103. 牧野誠一

    ○牧野説明員 青森財務部許可いたしましたのは、原別大間の間でございます。それで大蔵省といたしまては見本を受取りまして、その見本を示しまして、この見本と合つているものがあれば、これは電通省のものであるということで説明をいたし、これは引揚げてはならぬ。それからさらに関係当局に、お前の方もよく連絡をしろという指示を発しております。
  104. 石川金次郎

    石川委員 そこでお聞きしたいと思つたのでありますが、イ、ロ、ハ、ニと見本を示されたときに、電通省が財務局の係員に対してこの見本だけで――見本というのは一部の見本なのだ、浅いところと深いところがあつて、これは異なつているという注意があつたか。その見本は浅い方の見本を與えているのであります。それと異なるからといつて、深い方のものはどうなるかということを、細心の注意を求むるべきではないか。ことに引揚げて来ましたときにすでに海図を見ておつたのでありますから、未確定のものを大蔵省では売却処分までやるのでありますから、その示された海図に反した売り方というものはできないと思うのです。いわんや大蔵省が他のケーブル線とこの契約書にあります、調査許可書にあります他の官庁線と混同しないように、間違いがないようにと注意してあるくらいで、他の線と誤まるかもしわぬということは予見してあつたことでもあり、それに対して万全の注意をして、大蔵省が何をおやりになつたかをお聞きいたしたい。ただ見本一つを示した、これだけではあなた方の万全の注意がなるでしようか。
  105. 牧野誠一

    ○牧野説明員 われわれの受けております報告では、その見本を受取りますときに、この見本のものが電通省所管のものであり、この見本と違うものは電通省のものではない。それでその後立会いを求めましたときも、すでに見本を上げてあるのだから、それと違えば電通省のものではないからよろしいのだという意味で立会いが願えなかつた。忙しいせいもあつただろうと思いますが、そういう報告を受けております。それでわれわれの方は見本と比べてみれば十分わかるのではないかというふうに解釈をしたと思います。
  106. 石川金次郎

    石川委員 大蔵省のこの説明書によりますと、他の官庁とも十分連絡をとつた、海上捜査についても海運局とも密に連絡をとつた、こう言つておられますが、現に海上捜査をやりましてこの線を引揚げましたときに、どれほどの注意をなさいましたか。
  107. 牧野誠一

    ○牧野説明員 この点こまかい報告が来ておりませんので、ちよつとわかりかねます。
  108. 石川金次郎

    石川委員 それから業者に対して再三の注意を與えたということでありますが、いついかに注意したかというのであります。大蔵省では電通省から一月二十日に電線が切れた、不通になつた、何とかならないかと問合せを受けております。一体どういう注意を與えられたのでありますか。
  109. 牧野誠一

    ○牧野説明員 一月の当初、許可をいたしますときに注意を與えましたことは、いろいろ資料に書いておきました通りであります。それから一月二十日に電通省の方から、不通になつたという意味の連絡がございました。ただちにこの東北産業の本社に電話で連絡をいたしまして、お前の方で何かやつたのではないかということを問い合せておちます。東北産業の方では、本社ではわからないから、現場に問い合わせるという回答があつて、すぐあと会社の方ではまだ作業は開始しておらない、不通になつておるという問題は別ではないかという回答がございました。
  110. 石川金次郎

    石川委員 あなた方の調査したところでは、一月二十日に断線して不通になつたということは、東北産業の仕事の意味ではないというふうに御了解になりますか。
  111. 牧野誠一

    ○牧野説明員 青森財務部の方では、その会社について調べた結果、まだ作業は開始しておらぬということで、東北産業の仕事の結果切断したとしても、その結果ではないというふうに解釈しております。
  112. 石川金次郎

    石川委員 引揚げたものはあなたの方で査定したのでありますが、それはいつなさいましたか。
  113. 牧野誠一

    ○牧野説明員 三月十五日にいたしました。
  114. 石川金次郎

    石川委員 そういたしますと引揚げを開始いたしましたのはいつですか。
  115. 牧野誠一

    ○牧野説明員 作業を開始したのはいつかというはつきりした日時は聞いておりません。
  116. 石川金次郎

    石川委員 それで海運局海面作業許可をいたしましたのは、三月の二十日だということです。その前に引揚げになつておるのであります。海面作業許可しないで引揚げたものに対して、大蔵省ではすでに払下げ処分することについて、これは何も違法な点はないのでしようか。
  117. 牧野誠一

    ○牧野説明員 大蔵省の売払い処分としては、これが陸軍のケーブルであるか、電気通信省ケーブルであるかは、問題があると思いますけれども、かりに陸軍のケーブルであるとすれげ、違法ではなかつたというふうに思います。
  118. 石川金次郎

    石川委員 引揚げ作業許可がなければ、作業ができないだろうと思うのです。調べた結果、作業許可が三月二十日に出ておる。三月十五日に現場を見たならば、あなた方は当然契約のときの第一項について、海運局から作業については許可をとると言つておるのでありますから、いつ許可をとつたか、許可をとつた後において引揚げをしたかということについて、十分調べなければならぬと思う。いつ許可をとりましたか。あなた方大蔵省では、本契約を解除するというが、解除する條件が備つているかどうかを吟味しないで、契約を解除になりますか。そういうことが許されるかどうか、大蔵省ではどう措置をとられたかをお伺いしたい。
  119. 牧野誠一

    ○牧野説明員 三月の十五日に会社側が引揚げたという現場に、財務部の者が出向いております。その際に海上保安部の船をお願いしてそこへ行つております。それで形式上引揚げ作業許可が、運輸省系統から三月二十日に出たというお話でございますが、財務部の方としては、三月十五日に海上保安部の船まで頼んでその現場まで行つておりますので、一応海上保安部とのお話はついておると解釈したのではないかというふうに思われますが、その点詳しくはつきり報告を受けておりませんので、ちよつと申し上げられませんけれども、そういうふうにわれわれは考えております。  それから今の解除の件でございますが、これは……。
  120. 石川金次郎

    石川委員 それはあとでお聞きします。  それではひとつお伺いしますが、大蔵省が提出されました資料の別紙の五、この表でありますが、被害数量が四万三千六百十三メートル、九十五トン六百九十キロとなつておりますが、これはあなたの方で調べられた電通省被害数量なのでありますか。
  121. 牧野誠一

    ○牧野説明員 これは大蔵省調査したものではございません。
  122. 石川金次郎

    石川委員 それでは大蔵省調査許可をして払下げをしたものは、これは原別大間間のものでありますが、この海底電線はどうなつておりますか。引揚げになつたのですか。あなた方が調査許可をし、払下げ処分をやつておるこの線はどうなつておりますか。
  123. 牧野誠一

    ○牧野説明員 青森財務部としては、原別大間間の一部が引揚げられて、それを三月十五日に現場を見て、数量を確認した上で、三月二十日に売払いの処分を完了したと思つておりますが、一部が売り払われて、あとの部分は残つておるというふうに解釈しております。
  124. 石川金次郎

    石川委員 どこに残つておるのですか。
  125. 牧野誠一

    ○牧野説明員 原別大間間の中途で引揚げられており、両端が残つておるのではないかというふうに思います。
  126. 石川金次郎

    石川委員 そうすると電通省所管の磯野と脇野沢間の電線については、大蔵省は何も知らないのですか。
  127. 牧野誠一

    ○牧野説明員 磯野、脇野沢間の電線については、大蔵省としては売払いの申請を受けておりませんし、調査申請も受けておりませんし、許可もいたしておりません。
  128. 石川金次郎

    石川委員 結局大蔵省ではどうなるのですか。電通省のことについては知らないということになるのですか。
  129. 牧野誠一

    ○牧野説明員 電通省海底電線がそのほかにあるということについては、大蔵省の管財局としてはちよつとわかりかねることでございます。それで大蔵省としては、陸軍のものがかりにあつたとすれば、それを売り払つたということでございます。
  130. 石川金次郎

    石川委員 なお念を押しますが、電通省のものは、あなたの方で売り払つておらないし、調査許可しておらないのですから、どうなつたかわからないということになりままね。現在問題になつておるものと、あなた方の調査許可したもの、払下げ決定したものが、同一であるかどうかということはわからない、こういうことになりますか。
  131. 牧野誠一

    ○牧野説明員 大蔵省が売り払つたものは、大蔵省の方としては旧陸軍のものであると信じて売り払つた電通省のものが引揚げられておるかどうか、この事実は大蔵省としてはちよつとわかりかねます。電通省のものを売り払つたという意思は、少くとも青森財務部に全然ございません。かりに検察当局の御調査の結果が、大蔵省のものではなく、電通省のものを売り払つたということに、結果においてなつたといたしますれば、これは大蔵省が誤りであるというふうにわれわれ考えております。
  132. 石川金次郎

    石川委員 それではかりにということでお伺いします。かりに電通省所管のものであつたとすれぼ、末項に書いてありますように、契約を解除し、代金はとどめ置く、こういうことになりますか。
  133. 牧野誠一

    ○牧野説明員 大蔵省としましては、売り払つた物件電通省のものであり、大蔵省としては、人の財産を売り払つたのであることが、事実において確認された場合には、われわれとしては売買契約を解除するのがほんとうじやないか、その代金は事件解決のときまで保有しておきたいというふうに思つております。
  134. 石川金次郎

    石川委員 契約解除の原因は、どういうふうになつておりますか。
  135. 牧野誠一

    ○牧野説明員 かりに今申し上げたようなことになつたとすれば、全然所有権なきものを売ら払つてしまつたということになる。大蔵省のものでなかつた。人のものを売り払つてしまつた。それが解除原因になると思います。
  136. 石川金次郎

    石川委員 そういう御見解ならそれでいいかもしれません。それではもう一つ念を押したいのすでありますが、電通省所管のものでないという確信を持つて売られたのでありますか。
  137. 牧野誠一

    ○牧野説明員 確信を持つております。
  138. 石川金次郎

    石川委員 電通省にひとつお伺いします。今お聞きのように、電通省の説明と、大蔵省の説明と、検察庁の説明と、大分異なつて来るのでありますが、まず一番お聞き申したいことは、説明書の第三項に書いてあります先ほど問題になりましたイ、ロ、ハ、ニという他の官庁との連絡の状態でありますが、この状態をお調べになりましたしときに、この通りの事実が確かにあつたのでありますか。
  139. 金光昭

    金光説明員 お答え申し上げます。私の方の報告書に出しました三のイ、ロ、ハ、ニにつきましては、青森地方検察庁に当省の出先機関の関係のものが供述書として出しました中から拔萃して書いたものでございます。
  140. 石川金次郎

    石川委員 そうすると、実際あつたどうかということはわからぬのですか。食い違つて来ますれば、さらに吟味して調査なさるでしようが、たとえば損害賠償を請求いたしますときには、非常な材料がいると思います。その材料をそろえるために、大蔵省では正当なものを売つた言つている。電通省のものかどうかわからない、こう言つておる。買つた方は自分の払下げを受けた原別大間間のものを切断した、こういうふうに言つている検察庁の方でも、先ほどは電通省のものであるというふうに認めると言われましたけれども報告書には大間原別間電線を運搬したものである、こう説明しておるのであります。そうしますとあなたの方の言われた電線は、だれが出してどこへ行つたか不明になつてしまう。それでこれがどこへ行つたかということは、あなたの方で明らかになつておりますか。切られた電線はどこへ行つたか明らかになつておるかどうか。たとえば返つたものがありますが、返つたものはどこから持つて来たものか、返還を受けたと言つておりますが、返還はどこから受けておりますか。
  141. 金光昭

    金光説明員 私の方で調査いたしました結果によりますと、被害数量は、全部でトン数にいたしますと九十五トンでございます。そのうち還付を受けましたものが五十四トン、これは青森の貨物駅の構内にございましたものを、地方検察庁の方から仮還付を受けたものでございます。  それからただいまの前段の御質問でございますが、私たちの方といたしましては、ただいま申し上げましたようにこの事件が起りまして、本庁といたしましても、現地調査員を派遣いたしまして、当時のこの事件関係の担当者に、いろいろとその当時の模様を聞きまして、そうして調査を進めたわけでございまして、現在一方において、検察庁の方で刑事事件としてお取上げになつておりますが、損害賠償といたしましての民事事件は、また刑事事件と別途でございますので、私の方としては別途損害賠償の請求をすべく、法務府の民事訟務局とも連絡をとりまして、訴額の決定をいたすと同時に、近い将来におきまして、損害賠償の請求を正式になしたいと考えておる次第であります。
  142. 石川金次郎

    石川委員 五十四トン返されたというのは、これは確かに電通省所管海底線であつたのですか。
  143. 金光昭

    金光説明員 私の方の海底線の担当者が、貨物駅に青森水上署員と参りまして鑑定いたした結果、磯野、脇野沢にあります四心入りの電線と、それから磯野、大森浜にあります一心入りの電線であつたということを確認しております。
  144. 石川金次郎

    石川委員 そうするとこの電線引揚者はだれですか。
  145. 金光昭

    金光説明員 私たちの調査しました結果によりますと、東北産業株式会社であると存じております。
  146. 石川金次郎

    石川委員 東北産業に交渉しましたか。
  147. 金光昭

    金光説明員 私の方でも東北産業株式会社の方に、いろいろと折衝はいたしました。
  148. 石川金次郎

    石川委員 東北産業は、返還を受けた線について、どうして入手したかということについて、どういう説明をしておりましたか。
  149. 金光昭

    金光説明員 東北産業株式会社では、これは自分らの方が財務部から認可を受けた原別大間間の線であるというように申しております。
  150. 石川金次郎

    石川委員 折衝しました結果は、それはそうでない。電通省所管のものである。これは原別、脇野沢間の海底線であつたと説明した結果、相手は何と言つておりましたか。
  151. 金光昭

    金光説明員 私の方といたしましては、磯野、脇野沢及び磯野、大間間のものが現在なくなつていると申したのでありますが、会社側の方といたしましては、正式に許可を受けて引揚げた海底線であると思つていると言つております。
  152. 石川金次郎

    石川委員 見本を渡してあるのでありますから、その際その見本と対照して見られましたか。
  153. 金光昭

    金光説明員 この報告書にも書いておきましたが、見本として渡しましたものは、海の浅いところに敷きます浅い線でございます。実際に引揚げましたものはもつと深いところにあります、專門用語で中間線と言つておりますが、その深いところに入つている線を引揚げておるのでありまして、外側が少し小さいのでございますが、中は同じものでありますから、その断定について、会社側が海底線についての專門的な知識を持つているとすれば、私どもとしてはわかるのではないかと推察いたします。しかしその点は会社側がどう断定したか、これは向うの方としては見本と違うから、揚げたのだと言つているのだと存じます。
  154. 石川金次郎

    石川委員 大蔵省にお聞きしますが、見本と同一でなかつたという点は、どういうような経路でわかつたのですか。
  155. 牧野誠一

    ○牧野説明員 見本と同一でなかつたという点は、東北産業がそう判断したことが第一、それから大蔵省の技官が引握げてある現場へ参りまして、見本と同一でないということを認定いたしました。今の五十四トン云々というのは、私の方の数字とちよつと合いませんで、われわれの方で売り払つた物件は約十七トンでございます。それについては見本とは違うということを、私どもの方でも認定しております。
  156. 石川金次郎

    石川委員 あなたの方の売り払つたのは、この表にあります十七トンだけですね。
  157. 牧野誠一

    ○牧野説明員 はい。
  158. 石川金次郎

    石川委員 この十七トン以外に、調査した結果が、あなた方の調査表によると百二トンであるとありますが、十七トンしか売らぬのに、百二トン運び出したというのはどういうわけでありますか。
  159. 牧野誠一

    ○牧野説明員 この百二トンの調査は、大蔵省としてはあとになりまして、運気通信省あるいは検察当局から承つた被害数量調査でございます。大蔵省として売り払つたものは、この中の三にあります十七トンでございます。
  160. 石川金次郎

    石川委員 大蔵省で売りましたのは十七トンたけでありますが、それ以外のものはあなた方の調査許可払下げ許可によつてつてつておるのでありますから、どうして持つてつたかという原因を確かめましたか。
  161. 牧野誠一

    ○牧野説明員 財務部としましては、その点までは――これは検察局にお願いして、そこの報告を受けるということでございまして、その犯罪事実と申しますか、どういうことが東北産業によつて行われておるか’いうことの調査はいたしておりません。
  162. 石川金次郎

    石川委員 しかし先ほど言つた五十四トンを堆積しておつたところに、青森財務部の係員が会社に言われて出張して見た。見たところが見本と同一のようなものであるから、これは怪しいぞと思つてつて来たというこの前の御説明であつたかのように記憶しております。だからこれも東北産業が払下げを受けたものとして引握げたのだということを、検査に行つたその上きから怪しいと思いませんでしたか。
  163. 牧野誠一

    ○牧野説明員 三月の二十九日に、今お話のありました青森の駅に、前回売り払つた物件と違うのが集積してあるということで、財務部の者が見に行つております。そのとき財務部としましては、三月三十一日がちようど年度末になりますので、非常に忙しかつたということで、ただ会社の方からうるさく言うので行つて見た。ところが少し見本と違うような――よく見なかつたそうでございます。前の物件のように確信を持つて売り払うというところまで至らなかつたもので帰つて来て、売り払うに至つておらなかつたということになつております。そのときに多少おかしいとは思つたと思いますが、その点これは怪しいぞと思つたかどうか、その辺まではちよつと申し上げかねる次第でございます。
  164. 石川金次郎

    石川委員 その技官という人は、どういう技術を持つておる人ですか。
  165. 牧野誠一

    ○牧野説明員 どういう技術系統の技官であるか、ちよつとただいまはつきりいたしません。
  166. 石川金次郎

    石川委員 海底電線検査に行つたのでありますから、海底電線については明るい人であると思いますが、そういう人は財務部におるのでありますか。
  167. 牧野誠一

    ○牧野説明員 ただいま大蔵省財務部あるいは財務局あるいは本省の管財局系統でもそうでございますが、技官という人は何人かずつおりますけれども、電気あり、機械あり、建築あり、土木あり、いろいろなものがございまして、必ずしもあらゆる面についてのエキスパートがそろつておるということには行つておりません。それからまたそろえようと思いましてもそろいませんし、取扱う物件としてはいろいろなものがございますので、專門外にわたる仕事を担当しておるということも、ずいぶん方々の財務部で行われておると思います。ただ新谷という、本件について関係のある技官が、海底電線にどの程度明るかつたか、あるいは何が專門であつたかということは、ちよつと申し上げられないのであります。かかりません。
  168. 石川金次郎

    石川委員 検査しますには專門の人をやるべきだと思うのですが、この払下げの決定には、大蔵省で少し手落ちがあつたのではないでしようか。そう思いませんか。
  169. 牧野誠一

    ○牧野説明員 われわれの方の受けております報告では、大蔵省としては、專門でなかつたかしれませんけれども、少い人数でできるだけのことをやつたというふうに思つております。專門の人をやるべきではないかというお話でございますが、われわれの方で取扱つておりまする物件は、いわゆる国有財産法に掲げられております物件で、土地、建物、機械――機械にもいろいろございます、それから工作物、いろいろございますので、とうてい全部についての專門家は充足できないというふうに思つております。
  170. 石川金次郎

    石川委員 しかし電通省からは、一月二十日に電線が切れて困つたと、大蔵省財務部の方に言つておるのです。それで怪しいと思つてやらなければならぬのを売り払うというのですから、最善の注意を用いなければならないわけですが、大蔵省としては、それでもなお最善の注意を用いられたわけでしようか。
  171. 牧野誠一

    ○牧野説明員 一月二十日に切れておるという報告は、電通省の方から明瞭に受けております。その後、しかるにもかかわらず今御指摘のありましたように売り払つた。これについて、最善の注意を用いたということは、大蔵省の方についても私は申し上げられません。最善の注意を用いたということは言い得ないと思います。多少手落ちがあつたのではないかというふうに思つております。
  172. 石川金次郎

    石川委員 ちよつと電通省にお伺いしますが、損害賠償の訴訟を準備中である、こう言つておられるのでありますが、損害の額は幾らになりますか。報告書は見ました。三千万円と書いてありますが、請求せんとする損害額は幾らでありますか。
  173. 金光昭

    金光説明員 お答え申し上げます。法務府の民事訟務局と打合せました結果、訴額といたしましては九百二十六万八千円を請求することにいたしております。
  174. 石川金次郎

    石川委員 三千万円の損失に九百二十六万円の請求を、相手はだれにやるのか。その額で復旧ができますか。それからどういう事実に基いて損害請求をするのか、その請求原因をお伺いしたい。
  175. 金光昭

    金光説明員 損害額の算定につきましては、ただいま御指摘のありましたように、この報告書には一応三千万円とお書きしてございますが、これは被実を受けました区間全部にわたりまして、新しい線で修理するということにすれば、約三千万円になろうというふうにお書きしたのでありまして、そのうち先ほど御報告申し上げましたように、約半分に当けます五十四トンというものは、こちらの方に還付を受けております。そういうものを差引きますと、また必ずしも修理の場合に新しい線をもつて修理をするわけでもないので、それらのものを勘案いたしまして、今申し上げましたように大体九百二十六万円という算定にいたしたわけであります。それからこれの相手といたしましては、私の方としては東北産業株式会社を相手とするということにいたしております。それからその請求原因と申しますのは、こちらの方といたしましては、刑事事件はどうなるかしれませんが、一応やはり東北産業株式会社が、たとい他の引揚げ商人によつてつたといたしましても、結果的に、電通省の線を引揚げたという結果になつておりますので、結局そういうふうに電通省の線が盗難にあつたといいますか、引揚げられたということを原因とするというふうに考えております。
  176. 石川金次郎

    石川委員 この切断されましたために、電報の事業には困難を来しておらないですか。
  177. 金光昭

    金光説明員 これの切断によりまして、青森、脇野沢間の電話線が不通になつたわけでございます。脇野沢と申しますのは、青森湾のちようど対岸にあたります下北半島にある町でございますが、陸上線で他の局を中継いたしまして通話はできておりますので、全然通信の道が杜絶したわけではございません。それからもう一方の磯野大森浜間の線は予備線でございますので、実際の通信にはただちに支障は来しておりません。
  178. 石川金次郎

    石川委員 争訟いたしました結果、かりに勝つたといたしましても、判決だけ勝ちましては何にもならぬのでありますが、その争訟のときの保全の方法もすでに講じましたか。
  179. 金光昭

    金光説明員 お答え申し上げます。損害賠償としての訴訟の提起はまだいたしておりませんが、その事前にただいま御指摘のような財産保全のための仮差押えは、現在すでに執行しております。
  180. 石川金次郎

    石川委員 訴訟の結果、請求額全部が補填されそうでありますか。
  181. 金光昭

    金光説明員 その点につきましては、正確なお答えはできないのでございます。全額がとれるかどうかという点については、若干の疑問があるのではないかと考えております。しかしこの点ははきりそうだというふうには、ちよつと今のところお答えできません。
  182. 石川金次郎

    石川委員 争訟の進行の状態によつて電通省が当事者間に和解をやるという考えは持つておらぬのですか。
  183. 金光昭

    金光説明員 その方法につきましては、必ずしも正式の裁判による損害賠償だけでなしに、当事者間の和解でもけつこうだと存じております。
  184. 石川金次郎

    石川委員 非常に損害賠償が困難ではないかということを感ずるのであります。実は今まで私自身お聞きしておつて、一向要領を得ません。皆さんにも何を聞いているのか要領を得なかつたかもしれませんが、本件などは国の重要な財産でありますし、国民生活の福祉の上にもなくてはならぬ一つ施設なのであります。これを守つて行きますることが、公務員としての責任だと思います。これを今侵害せられたのでありますから、この回復に向つては万全の力を盡さなければならぬと思うのであります。ですからこの回復に向つて電通省が極力最善を盡されると同時に、大蔵省もまた少し責任を感じなければならぬと思う。あなたの方で払下げとか処分した結果が、このようになつたのであります。本来ならば電通省よりも大蔵省損害賠償を請求してしかるべき、そのくらいな事件だと思うのです。契約を解除して代金を押えて、それで終るという責任ではなくして、国家国民の財産を侵害したのでありますから、公務員が誠実懸命にやらなければならないという公務員法の規定をごらんになれば、責任を感じなければならない。十分の御注意御反省を願いたいと思います。
  185. 關内正一

    ○關内委員長 他に御三名の質疑の通告がありますが、御三名とも御出席がありませんので、海底ケーブル線払下げの件につきましては、質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 關内正一

    ○關内委員長 ではこの件につきましては、質疑を打切ることにいたします。     ―――――――――――――
  187. 關内正一

    ○關内委員長 次に請願の審査に入ります。紹介議員の御出席がありませんので、便宜高塩委員にその趣旨を説明していただくことにいたします。  日程第一、吹田市を大阪通話区域編入請願、淺香忠雄君外一名紹介、文書表番号第九六九号を議題とし、その趣旨の説明を求めます。高塩君。
  188. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者吹田市長木村熊次郎外一名、本請願の要旨は、吹田市の電話方式は一応自動式になつているが、通話は吹田市から大阪市内には直通通話ができるにかかわらず、大阪市内からの通話は一々交換局を通じてのみ通話することになつているので、その時間の空費と経済的損失は多大であわ、都市の発展に大なる支障を来している。ついては吹田市の電話を大阪市の区域内に編入されたいというのである。
  189. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。
  190. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 大阪市内より吹田市の通話を直通とするためには、現在の吹田局のダイヤルを六数字に改善する必要がありますが、これを実施するには、相当大規模な中継ケーブル及び局内施設増設等を要しまして、これに伴う経費は莫大となりますので、目下のところただちに実施することは困難でありますが、その必要性は十分に認められますので、なるべく早い機会に実現をはかるように努力いたします。なお両市間の通話の疏通を改善するために、本年度におきまして大阪発信十五回線、吹田発信十五回線を、それぞれ増設するよう取運び中であります。これが開通いたしますれば、両市間の通話は相当改善されるものと信じておる次第でございます。     ―――――――――――――
  191. 關内正一

    ○關内委員長 日程第二、門司市の電話交換方式改善に関する請願平井義一紹介、文書裏第九七〇号を議題とし、その趣旨の説明を求めます。
  192. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者門司市議会議長末松喜一、本請願の要旨は、門司市は西日本における海陸交通の要衝を占め、海外貿易においてはもちろん、戰後産業経済の急激なる復興と相まつて国家の再建に大なる役割を果しているが、戦時中当市の電話は甚大な損害を受け、今日なお十分な復旧の域に達せず、常に故障続出し、ことに大里地区は降雨の際は大部分通話不能となり、しかも電話局の能力もまた飽和点に達し、新規加入の余地はほとんどなく、諸産業の発展を阻害することはおびただしいものがある。ついてはこの際門司市の電話交換方式を自動式に改善されたいいうのである。
  193. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。
  194. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 門司局の電話交換方式の自動改式及び北九州各主要都市との即時通話方式の実施につきましては、当省といたしましてもその必要性を認め、北九州地方の総合的な電話施設整備計画の一環として、なるべく早い機会に実施いたしたいと考えておりますが、何分にも現在の予算状況でありましては、既定計画さえも遷延を余儀なくされる実情にありますので、本件は二十八年度以降において、御要望の御趣旨に沿うよう努力いたします。なお市内電話の保守につきましては、目下工事中でもありまするし、今後もさらに一層努力いたしたいと思います。     ―――――――――――――
  195. 關内正一

    ○關内委員長 日程第三、電気通信事業定員確保に関する請願、庄司一郎紹介、文書表第一〇八六号を議題とし、その趣旨の説明を求めます
  196. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願東京都千代田区大手町二丁目一番地、全国電気通信従業員組合中央執行委員長久保等、本請願の要旨、は今回政府は非現業二五%の行政整理を決定したが、電気通信事業の本年度定員は、第十回国会において八千二百三十二名の増員を可決され、その後事業の拡張と通信の需要増はとうていこの定員でさえ負担し切れず、約三万余人の増員を必要としているのであつて、これが実施は従業員の労働強化をさらに深め、事業のサービス低下を来すことになる。ついては電気通信事業に最も適合した定員の確保をはかられたいというのである。
  197. 關内正一

    ○關内委員長 日程第四、成田知巳紹介は、日程第三と同様でありますから、同時に政府の説明を求めます。
  198. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 両請願につきまして御説明申し上げます。今回の定員縮減は、政令諮問委員会の答申の基礎となつた事務の整理、簡素化と職員の能率の向上とによりまして、整理が可能であるという趣旨従つて行われるものであります。本事業のごとく大部分の職員が直接現業第一線の業務に従事しておる場合におきまして、定員が縮減せられますことは、本請願に述べられた実態に照しても、相当無理な点もあることは認められますが、極力事務の整理、機構、特に管理機構の簡要化、要員の効率的活用等の措置を講じ、また職員の能率の向上にも期待して、定員減のために現業事務に影響を及ぼさざるよう最大の努力を傾注する所存であります。なお今後の施設や取扱い数量の増加に応ずる定員の増加については、合理的基礎の上に立つて極力これを確保するよう努力する所存であります。     ―――――――――――――
  199. 關内正一

    ○關内委員長 日程第五、小倉村を明盛局通話区域編入請願、植原悦二郎紹介、文書表番号第一〇八八号を議題として、その趣旨の説明を求めます。高塩君。
  200. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は長野県南安曇郡小倉村長降幡繁之外二十四名、本請願の要旨は、長野県南安曇郡小倉村は人口多く、主として米、雑穀、大根、果樹、木材等を産出し、豊科町、松本市等に出荷しているが、現在電話加入局である梓局、明盛局までは五キロないし七キロもあり、ことに同村の通話は松本を迂回するため、非常に不便で、急を要する通話でも二、三時間遅れる実情である。ついては小倉村の電話加入局を明盛局管下に編入されたいというのであります。
  201. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。加藤政務次官。
  202. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 現在小倉村には梓局へ三名、明盛局へ二名の加入者がありますが、御請願趣旨は梓局の加入者が豊科と密接な関係があるので、明盛局へ所属が之をしてほしいということであると思います。明盛局へ所属が之をするには、線路の新設等、相当経費を要することと思いますが、現在の加入電話の設置場所等、御地の実情を調査の上、予算その他をも勘案し、できるだけ御要望の趣旨に沿うよう努力いたします。     ―――――――――――――
  203. 關内正一

    ○關内委員長 日程第六、内川自村立石及び近郷を大迫局通話区域編入等請願山本猛夫紹介、文書番号第一〇八九号を議題として、その趣旨の説明を求めます。高塩君。
  204. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は岩手県稗貫郡内川目村長佐々木政鶴外二名、本請願の要旨は、岩手県稗貫郡内川目村立石部落は人口多く、同村の中心地で、商店工場等小町街を形式し、電話の必要に追られて、郵便局に公衆電話所併置を見るに至つたが、県道日詰大槌線が開通すれば、盛岡盛線との中間連絡地点として地方物資の集散地となり、急激に電話の利用度が加わることになり、また近く内川目村役場、最業協同組合が立石に移向することになると思うから、立石を中心とする向村、平蔵附、鈩野以南大迫までの中間部落を近接大迫電話取扱局に特別加入区域として編入し、該局電話三十七番回線を内川目村立石まで延長されたいというのであります。
  205. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。加藤政務次官。
  206. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 大迫局は八級局でありまして、当省の加入区域設定の基準によりますと、八級局の場合は、特別加入区域としては取扱局より直径距離三千メートルまでを基準とし、これを越えるところでも加入者または加入申込者の密度が相当高いときは、交換局からの距離を六千メートルまで延ばし得ることになつております。立石部落と大迫局との距離は約六千メートルでありますが、御請願の地域における加入申込者の数をただいま調査しておりますので、その結果によつて取運ぶことといたします。なお三十七番加入回線を立石に延長することは、電話線路の設備に要する経費を負担してもらえれば、御希望に沿うことができますから、御了承をいただきます。     ―――――――――――――
  207. 關内正一

    ○關内委員長 次は日程第七、中野村に電話局新設請願山本利壽紹介、文書表番号第一二三三号を議題として、その趣旨の説明を求めます。高塩君。
  208. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は島根県邑智郡中野村長児玉哲二外三十七名、本請願の要旨は、島根県邑智郡中野村は、製材、醸造、疊表製造等の主工場があり、近年道路拡張に伴い商店数も増加したが、同村には民間電話の設備なく、隣町石見矢上局の加入として村役場に一個あるのみで、時代の通信文化に惠まれず、電話新設を待望している。ついては中野村に電話局を新設されたいというのであります。
  209. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。加藤政務次官。
  210. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 電話交換事務開始につきましては、現在の方針としてその局への加入希望者数が三十名以上、もより局間の距離が四キロ以上、かついずれの加入区域にも所属しないこと、並びに既設の交換局へ收容することが困難であること等を條件としておりますが、中野局は電話交換局である矢上局から二・六キロ、井原局から一・七キロの距離にありますので、交換事務開始は困難であります。しかし加入希望に対しましては、既設交換局の加入者として、普通加入区域外の場所にわたる場合等には、電話線の設備に要する実費を負担してもらう多数共同加入制度によりまして、できるだけ御希望の趣旨に沿うように努力いたしたいと考えます。     ―――――――――――――
  211. 關内正一

    ○關内委員長 日程第八は、日程第三、第四と同趣旨請願でありますので、省略いたします。     ―――――――――――――
  212. 關内正一

    ○關内委員長 次は日程第九、日田、小国間電話回線増設に関する請願松野頼三君紹介、文書表番号第一三一一号を議題として、その趣旨の説明を求めます。高塩君。
  213. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は熊本県飼蘇郡小国町長河津寅雄外一名、本請願の要旨は、熊本県日田市、日田郡、玖珠郡、阿蘇郡小国町等は森林資源に恵まれ、終戰以来は特需物資として六、七十の製材工場で製材せられ、福岡県各地その他に輸送されている。また日田市は観光都市であり、これら産業、観光の発展は交通関係と相まつて通信機関の完備なくしては期しがたい。しかるに主要地を結ぶ電話回線は、日田、杖立間と日田、鯛生間の二回線であつて、現在通信困難のため、一般に通話は三時間ないし四、五時間を要し、取引や連絡に支障を来し、電話の利用価値を半減させている。ついては日田、小国間電話回線を増設されたいというのであります。
  214. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。加藤政務次官。
  215. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 日田、小国間電話回線増設につきましては、同区間の通話は相当輻湊しておりますので、当省といたしましてもその必要を認め、二十七年度において小国、杖立間および杖立、日田間にそれぞれ一回線増設するよう計画中であります。     ―――――――――――――
  216. 關内正一

    ○關内委員長 日程第一〇、久慈町にラヂオ中継所設置請願山本猛夫紹介、文書表番号第一四〇一号を議題とし、その趣旨の説明を求めます。
  217. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は岩手県九戸郡町村長会長山内堯文君、本請願の要旨は、岩手県九戸郡は、文化向上の一環としてラジオの普及に努めているが、三万山岳に包まれていることと、当地方に広く分布している砂鉄鉱の磁力による電波の妨害等により、一般受信者の廉価な受信機では感度が悪く、聽取困難であり、その健全な発達を阻害し、ている現状である。ついてはすみやかに本郡久慈町にラジオ中継所を設置されたいというのであります。
  218. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。
  219. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいまの御請願に対して答弁申し上げます。岩手県九戸地方はラジオの聽取が困難であるから、久慈町に放送中継所を設置されたいとの請願の御趣旨でございますが、日本放送協会におきましては、本年六月八戸放送局を五十ワットから五百ワツトに増力し、さらにまた近く盛岡放送局を十キロワットに増力することになつておりますので、この地方の聽取状態は、今後相当よくなることと存じます。しかし、日本放送協会におきましては、さらにこのような聽取不良地減を救済するため、全国的な計画を立てて、逐次改善に努めておりまして、久慈町に放送中継所を設置することにつきましても、将来の計画として考慮しているようであります。しかしながら何分にも全国的にはこのような地域が多数ございますし、また、協会の財政上の問題もございますので、早急に御要望に応ずることは困難ではなかろうかと存じますが、請願の御趣旨日本放送協会にもよく連絡いたしまして、同協会において十分考慮してもらうよう措置いたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  220. 關内正一

    ○關内委員長 日程第二、津賀局集中局とする市外電話回線増設に関する請願若林義孝紹介、文書表番号第一回一八号を議題とし、その趣旨の説明を求めます。
  221. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は岡山県御津郡津賀村長藤井繁男外四名君、本請願の要旨は、津賀局の所在地は、岡山県御津郡北部地方の関門に位置し、地方交涌の要衝であり、通信機関の利用度も書く、本郡中北部の通信網の主要地たる特質を具備しているのであるが、同局の通信施設はほとんど不完全であり、岡山市への通話は八時間を経過する状況で、一般電話利用者のこうむる不便は大きく、かつ地方文化の進展に大なる支障を来している。ついては同局に対し円城、下土井、新山各局の電話回線を收容し、津賀局集中局とする市外電話回線増設されたいというのであります。
  222. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。
  223. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 現在津賀局より岡山方面への通話は、金川局を中継しておりますが、金川、岡山間は二回線で相当輻湊しております。これがため津賀局よりの通話も遅延しておる状況でありますので、本年度において金川、岡山間に一回線増設をはかるよう計画中でありますから、これが実現の運びに至りますれば、津賀局より岡山方面への通話は、相当改善されるものと考えておる次第でございます。     ―――――――――――――
  224. 關内正一

    ○關内委員長 日程第一二、電話私設交換制度改善に関する請願、庄司一郎紹介、文書表番号第二四五六号を議題とし、その趣旨の説明を求めます。
  225. 高塩三郎

    ○高塩委員 請願者は東京都千代田区内幸町一丁目二番地電話工事協会長徳田栄太郎君、本請願の要旨は、電話事業は電通省の独占となつているが、PBX(私設電話)を電通省の直営とするために、利用者に過重の負担をかけ、不合理、かつ不便であるのみならず、国費の浪費でもある。ついては当面の措置として、次の事項を認められたいというのである。(一)私設電話の自営を全面的に許可すること、(二)ビルの電話配線は従来通りの供給線制度を認めること、(三)電話設備費負担措置法第五條但書の解釈を広義に運用すること、すなわち増設機械の加入者の機械供給方の復活を認められたいことというのであります。
  226. 關内正一

    ○關内委員長 これに対する政府の意見を求めます。
  227. 加藤隆太郎

    ○加藤(隆)政府委員 本請願に対しまして、当省といたしまして次の各項にわけてお答えいたしたいと思います。  一、PXBの自営を全面的に許可されたいとのことにつきましては、PBXは加入電話に接続されて、電話網の一部を構成するもので、当該施設の良否は当該PXBの加入者に対するのみならず、一般の他の通話の疏通に重大な影響を與えることになるので、一般の加入電話と同様に、当省において原則として一元的にPBXの設備まで維持をすることが、必要かつ適当であると考えますので、PBXの自営を全面的に認めることはできません。しかし保守上危険を伴う施設、保守要員派遣困難な場所にある施設、広大な施設等、加入者において設備保守することが適当であると認められるものについては、自営を認めることにいたしております。  二、ビル内のケーブル配線については、昭和二十三年六月以来当省で行う建前をとつていますが、PBX加入者よりケーブルを供給したい希望がありますので、配線ケーブルの供給制度について検討することといたします。  三、電話設備費負担臨時措置法第五條但書は、加入者が設備し維持するいわゆる自営施設の場合、及び日本電話設備株式会社から保守を引受けたいわゆる保守引受け施設の場合を規定したものでありまして、この規定を広く解釈して一般加入者から機械の供給を受けることは、増設機械の種類が多くなり、保守上困難を来すこと、維持のため附加しまたは取替えた物品の帰属の関係上、料金の計算が煩瑣となり、手続が複雑となること、供給を受ける機械の検査が困難であること等のため、加入者へのサービスがうまく行かない結果となりますので、機械の供給を認めない方針であります。  最後に、自営のPBX設置場所に、在来の工事担当者のほか、事務に熟練した業務長を置くことにつきましては、現在工事担当者の資格を認定する場合におきまして、電気通信技術のほか、必要と認める業務上の知識の有無をも検定しているので、現在その必要は認められないのであります。  以上御請願に対して、当省の見解を申し上げた次第でございます。
  228. 關内正一

    ○關内委員長 以上各請願の採否の決定につきましては、次会にいたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時十九分散会