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椎熊委員 あなたはようやくこれらの具体的事実に対して、それはもはや実験の域を逸脱しておるということを、当
委員会において認められた。認められた以上、法規にはあなた方にいろいろ罰則等の権限も與えてある。少くともただちにこれは停止命令を出すぐらいのことをや
つていただかなければならない。本日電波監理
委員長が、このNHKの私が指摘したような行動は、逸脱行為であ
つたということを、率直に言明されたことを、事態の真相を明確にするために、私は喜びといたします。これは速記録にも明らかに残ります。
さて私はなぜこういうことをしつこくお伺いするかというと、NHKが一週間に二度も、七時間ずつもやるということが世間に伝播されまして、珍しいことでもあるし、金のある者などは、もう寄り寄り受像機を買い求め、て、ひそかにこれを活用しておる者な
どもあるということです。私は文化の向上上、こういうことは決して悪いことではないと思う。皆がそういうことを望んでくれるならば、日本の科学の発達から見ても、工業力の発達から見ても、文化の向上の上から見ても、教育上から見ても、非常によいことではありますけれ
ども、標準方式が決定しておらぬのに、今NHKの
放送に合うような機械をこしらえてお
つて、もしあなた方の標準方式がこれと違
つた方式に決定された場合は、何万という損失を受けなければならぬ。私
どもの聞くととろによると、
東京都内にはすでに数百戸の機械を持つ者があるだろうと想像されておるという。これが今日、日本の製造のものだと一台が十七万円からかかります。それがあなたの粗漏なる取締りの結果として、何百とか
つてにや
つている。最近の機会において、必ず標準方式を決定しなければならぬが、その時分のこれらの人の迷惑はおびただしいものだ。そとで私の先般来主張しておるのは、一日も早く標準方式を確定してもらいたい。それが日本の電波に関する最高の権威たる諸君の今與えられた使命だ。今現にせり合
つて、四つも
許可してくれというものがあるのですから、これらについても、嚴正公平な立場に立
つて一刻も早く確定してもらいたい。ま
つたくこういう大問題になると、今の
放送法によ
つて、電波局だけがそういう重大な
許可権を持
つてるることに、私ははなはだ不安を感ずるので、できるならば諸君は来るべき通常国会などには、テレビジヨンに関する單行法でも出したらどうすですか。そしてその法規に基いて、あなた方もちやんとりつぱに
責任を全うできるように、公平にや
つて行くことができるようにしておかないと、何か
質問をしても、複雑怪奇で微妙だなんてことでやられたのではとてもたまりません。そういう不見識なことをおつしやらずに、ととに
電波監理委員会は学者のグループです。複雑怪奇を恐れてはいかぬ。複雑怪奇の点を明確にすることが、科学の力じやないですか。そんなことを恐れて手を触れておらぬということは、私はあなた方を非難するのははなはだ残念ではありますが、怠慢のそしりを免れません。そういうことではいかぬと私は思うのです。複雑でも微妙でももつと掘り下て、親切に、国民のためになるような御活動あ
つてこそ、初めて
電波監理委員会はわれわれの尊敬の的にもなりましよう。今のような、めんどうだからほ
つておいたというような
答弁をされたのでは、私は今日まで常にあなた方に協力的な立場に立
つて来ましたけれ
ども、それじやあまりたよりないじやありませんか。しかも私はそういう
答弁は、当
委員会を侮辱するものだと思う。そういうことではいけません。あなた方権威ある学者が
集まつて、そんな卑怯な
答弁をしてはいけません。私は露骨に事実を指摘して、あなた方の見解を聞いて、現在や
つておるNHKの行動は、私の指摘した点においては、逸脱だということをあなた方が明言されただけでも、本日は非常な收穫だしと思う。逸脱だと明確に
答弁された以上、これに対する善後処置は、あげて諸君の良心に訴えたい。私の
質問はこれをもりて終ります。
なおこの問題については、私はもうこれでテレビジヨンのことを
質問しないというのではないのです。多々ますます弁じたい。次から次と私の
手元に材料が山積して参ります。
委員会のあるたびごとに私はその材料を整理しつつ、諸君にお伺いしたい。そうして不明確な点を全部明確にしていただきたい。