○佐藤国務大臣 特にお許しを得まして、この機会に最近起りました電気通信研究所
関係職員の犯罪容疑等の概要を御
報告を申し上げ、同時にあわせて当局のこれに対する処置並びに今後の方針等を
お話いたしたいと思います。
すでに電気通信研究所の職員の犯罪容疑につきましては、新聞等でしばしば報道されておりますので、
委員各位におかれましても、その概要は御存じのことだと思いますが、
事件といたしましては、二十五年度並びに二十六年度の当初の期間中におきまして、一部予算の使途が不明確であるとか、あるいは不要物品の
拂下げにつきまして、その処置が不当であるとかあるいは不正であるとか、あるいはまた他の官庁から委託されました研究費等の使途が、不当に使われておるとかいうような問題でありまして、本年の九月または十月時分から
検察当局の取調べが進行し、すでに十一月までに起訴された者が三名あるわけであります。
その概要を申し上げますと、この研究所の職員の事務部の会計
課長をいたしておりました横山末広という者は、
昭和二十六年十一月十日、大森警察署に検挙されまして、十一月十二日に業務上横領罪で起訴されたものでありまするが、容疑の内容といたしましては、
昭和二十五年あるいは二十四年中に、研究所が国家地方警察本部から委託を受けた超短波無線
関係の研究に充当すべき委託経費のうちから、約百万円を横領して、グリーンパーク株式
会社の株券を他人名儀をも
つて購入したという
事件が
一つであります。
また事務部の会計課の器材
契約主査である榊原誠治、これは
昭和二十六年九月十六日に大森警察署に検挙されまして、十月十日に收賄罪で、また十月十二日には業務上の横領罪で起訴されたものであります。容疑の内容は、
昭和二十六年三月末研究所の不要物品売却処分を行うに際し、買受人である中野某から十万円を收受し、また同年八月同買受人から約七十五万円を借用の形で收受し、次に申し上げます新垣隆雄と共謀して、
昭和二十六年三月以降六月までの間において、運送業者、建築業者等に対する未拂金、研究所職員に対する旅費、その他前記の不要品の
拂下げ代金の中から約二百二十万円を一時横領したものであります。
三番目に御
報告いたしますのは、事務部の会計課の出納主査新垣隆雄でありまするが、これは
昭和二十六年九月二十一日に大森警察署に自首し、十月十二日に業務上横領罪で起訴されたものであります。容疑の内容は、前記の榊原誠治と共謀して
昭和二十六年三月以降六月までの間において、運送業者、建築業者に対する未拂金、研究所職員に対する旅費、不要品
拂下げ代金の中から、約二百二十万円を一時横領したものであります。
この三名につきましては、ただいま御
報告申し上げましたように、それぞれ起訴されておるわけでありまして、当省といたしましては、休職あるいは休職の手続をそれぞれと
つておるような次第であります。ところがこれらの
事件に
関係いたしまして、昨日来本省の施設局長、前電気通信研究所長であります吉田君が、留置取調べを受けているような次第であります。
当
委員会の皆様におかれましては、かねてより
電気通信事業の運営について格段の御理解を賜わり、同時にまた官紀の粛正、綱紀の振作という点につきまして、格別な御高配を賜わ
つておるのでありまするが、さような際におきまして、この種の
事件が出て参りましたことは、私ども
責任者といたしましてまことに遺憾に存じておる次第であります。私どもといたしましては、かねてからこの事業体といたしましては、何と申しましても事業規律を立て、綱紀を粛正するということが根本であるように考えますので、この
事件がかような事態になりますまでもなく、省の監査室あるいは会計監査等を督励いたしまして、この種の事故の発見に努め、同時にまた将来に対しまする十分の戒め並びに方針等を指示して参
つてお
つたのであります。一部は当省の方におきましても、
調査にかかりかけたようなものもあ
つたのでありますが、今回警察当局の手が入りまして、先ほど申し上げたような三名がすでに起訴されて、ことにまた前所長とは申せ、現在の本省の幹部である施設局長自身が、これらの
事件に
関係あるということで
調査を受けているような次第でありまして、まことに残念に思
つておる次第であります。私就任いたして以来、省の幹部ともいろいろ相談をいたして参り、特に終戰直後の混乱から、各省等におきましてもいろいろの疑惑を持
つて見られ、また一般からも官紀の粛正を特に叫ばれておる際でありますので、幹部諸公に対しましても、綱紀の粛正を積極的に部下従業員に浸透するように指示いたしてお
つたやさきであります。この種の
事件が明るみに出ましたことは、ただいま申し上げましたごとくまことに残念に思うのでありますが、あります事態はどこまでもこれを追究いたさなければならないと考えております。
本人を憎む、あるいは恨むというわけではありませんが、罪、この犯罪事実そのものは、何といたしましても絶滅しなければならないのであります。この気持、この決意につきましては、一層強いものを感ずる次第でありまして、この種の事故が明るみに出ました、これまたこれを他山の石と申しますか、あるいは今後の私どもの戒めといたしまして、一層部内を督励いたしまして、この機会に綱紀の粛正に強く乗り出して参る決意でおるのであります。
以上
簡單な御
報告を申し上げた次第でございます。