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1951-11-17 第12回国会 衆議院 電気通信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十七日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 辻  寛一君    理事 庄司 一郎君 理事 高塩 三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       岡西 明貞君    關谷 勝利君      橋本登美三郎君    福永 一臣君       椎熊 三郎君    畠山 重勇君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     富安 謙次君         電気通信政務次         官       加藤隆太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (電波監理総局         法規経済部長) 野村 義男君         検     事         (検務局刑事課         長)      神谷 尚男君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  牧野 誠一君         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信事務官         (大臣官房審議         室長)     金光  昭君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君 十一月十六日  委員大西弘君辞任につき、その補欠として平澤  長吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月十五日  日田、小国間電話回線増設に関する請願(松野  頼三君紹介)(第一三一一号)  久慈町にラヂオ中継所設置請願山本猛夫君  紹介)(第一四〇一号)  津賀局集中局とする市外電話回線増設に関  する請願若林義孝紹介)(第一四一八号)  電話私設交換制度改善に関する請願庄司一郎  君紹介)(第一四五六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海底ケーブル線拂下げ事件  国際放送に関する件  電気通信省職員不正事件     —————————————
  2. 辻寛一

    辻委員長代理 これより電気通信委員会を開きます。  電気通信事業に関する件についで調査を進めます。さきに要求いたしました海底ケーブル拂下事件に関する資料が、法務府大蔵省電気通信省よりそれぞれ提出されておりますので、本日はさらに質疑を続行し、検討を加えて参りたいと存じます。まず電気通信省金光審議室長から資料に基いて説明を求めます。金光審議室長
  3. 金光昭

    金光説明員 先般の本委員会におきまして、報告書提出要求がありましたので、電気通信省側といたしまして、青森湾内の海底線盗難事件につきまして調査いたしました概要について、ただいまよりごく簡單に御説明申し上げます。お手元報告書類を差上げてございますので、そのうちで特に重点のみにつきましてお話を進めて参りたいと存じます。  本年の一月二十日十五時四十三分に、青森電話局と対岸の下北半島の脇野沢局間におきます電話通信が突然不通になりましたので、青森電気通信管理所におきまして試験の結果、お手元に差上げました報告書の一番うしろにあります別紙に記載してあります磯野脇野沢間の海底線が断線になつていることが判明いたしました。そこで管理所といたしましては、海底線修理を担当しております東京の本省の海底線工事課の方に連絡をしたのであります。  電気通信省といたしましては、海底線修理布設船は三隻持つておるのでありますが、ちようど一隻は船体修理中、二隻は他の方面ちようど出動しておりましたので、ただちに青森湾の方に回航することができませんので、四月になりまして、やつと他の修理とあわせまして青森の方に派遣いたした次第であります。そういたしまして調査いたしますと、磯野側から約一海里先のところで、海底線を切断された箇所を発見いたしました。その後三日間にわたりまして調査いたしました結果、約十三海里にわたりまして海底線が紛失しておることを発見いたした次第であります。  そこで四月の十八日に海底線工事責任者から、青森市の水上警察署盗難届をしまして、いろいろ捜査いたしましたところ、青森駅の構内海底線の一部が山積みなつているのを発見いたしました。当省職員立会いの上鑑定いたしました結果、ただいま申し上げました磯野脇野沢線であるということが判明いたした次第であります。なおその際に山積みの中に一心入り海底ケーブルが混載されていることを発見いたしました。それも調査いたしました結果、やはり別紙の図に記載してあります磯野大森浜——これは函館でありますが、磯野大森浜線をどうもとられたらしい形跡があるわけでありますので、その後さらに電気測定をいたしました結果、やはり磯野側から約三海里、沖から約十海里半にわたつてやはり海底線盗難にあつていることを発見いたした次第であります。  そこで当省といたしましては、現実に電話通信に使つております磯野脇野沢線の方は別の布設船をさらにさしまわしました、六月の十五日に復旧いたしました。なお磯野大森浜線の方は予備線でございましたので、まだ現在未復旧になつております。  この事件が起りました原因といたしましては、私どもの調査いたしました結果によりますと、大蔵省青森財務部におきまして、東北産業株式会社という会社に、青森湾内の原別大間間、大湊、近川間にある旧海軍所属海底ケーブル引揚げ申請をされ、それに対しましてちようど大体同時期に調査承認をなされておりますので、それによりまして会社引揚げ作業をやつてつた結果、当省のケーブル引揚げた結果が発生したのではないかと認めておる次第であります。  そこでこの事件につきましては、現在青森地方検察庁の方で御調査を重ねておるわけでありまして、この刑事事件と関連いたしまして当省といたしましては、これに対する損害賠償請求をいたすために手続を今進めているわけであります。この損害賠償請求の方は、法務府の方が国の代表に立たれるわけでありますので、その方の主管であります法務府民事訟務局の方と打合せまして、総額等につきましても現在最後的な決定をいたすように準備しておる次第であります。なおもし新しい線で修理するといたしますると、ただいま盗難にあいました二つの区間の線を合計いたしまして約三千万円に相なる次第でございますが、盗難にあいましたケーブルのうち、先ほど申し上げましたように、青森駅の構内で約半量をこちらが発見いたしまして、検察庁の方から仮還付を受けておりますので、大体損害額はそれの半額よりもう少し減る程度に考えておる次第であります。  なお海底線の保護に対しましては、その後本年五月建設省ほか五省の共同通牒で、ことにこの水底ケーブルにつきましての処理方針をさらに明確にいたしまして、当省といたしまして各地方機関に対しまして、その趣旨を周知徹底いたすとともに、海上保安監督官庁であります海上保安庁側にも御協力をお願いいたしまして、取締りの強化、御協力方を依頼しておるような次第でございます。  なお障害発生時におきましては、できるだけすみやかに試験を実施いたしまして、事故の早期発見ができるように、日常の保守につきましても万全の措置をとるようにいたしておる次第でございます。  ごく簡單でありますが、電気通信省側の御報告を終ります。
  4. 辻寛一

  5. 牧野誠一

    牧野説明員 青森県の青森港湾内の海底ケーブル線につきまして、大蔵省の方といたしまして御説明申し上げます。  大蔵省の方といたしましては、報告書を本日委員会に提出しておきましたが、われわれの方といたしましては、昭和二十六年一月の七日に東北産業株式会社というところから、津軽郡の原別沖合い下北郡の大間との間にある、旧陸軍省指揮連絡用使用していた海底ケーブル線の、拂下げ申請があつたわけなのです。それでそのときに一月の十八日に、調査青森財務部許可をしております。許可條件としては三つつけておりますが、この物件調査する場合には、事前海運局許可を受けること、二番目として他官庁所管ケーブルと混淆しないように事前調査を十分して作業に当るごと、三番目に引揚げたケーブル財務部の定める場所に集積して係官の検査を受けることというような、三箇條條件をつけて許可をしております。その後会社から、その物件ブイをつけたから、立ち会つてくれという申出があつたわけであります。二月の二十六日でございます。浅虫沖合い作業線にブィをつけておいたから、立ち会つてもらいたいという申出がございました。それで立会いをすることにいたしまして、浅虫の駅で待ち合せようということで、浅虫の駅に二月の二十七日に財務部の者が参りました。その前の目に電通省電気通信部というところへ電話連絡をいたしまして、一緒に立ち会つてもらいたいという連絡を、財務部の方からいたしました。電気通信省の方からは、電気通信省で使つている海底ケーブルは、こういうものであるという見本財務部が受取りました。それは約五十センチくらいの長さの見本、こういうものが電気通信省所管のものであるというのでいただきました。立会いには電気通信省としてはちよつと忙しいので、行けそうもないというようなお話つたそうでございます。それで浅虫の駅へ青森財務部技師が参りましたところが、約束の時間に東北産業の者が見えませんで、四時間待つたそうでございますが、遂に来ませんもので、役所へ帰つて参りました。そうしますと午後になりまして——朝から行つてつたわけですが、午後になりまして、申請会社である東北産業社長役所へ参りまして、きようは天気が悪かつたから、出港の見込みがなかつたので行かなかつたという話だつた。そうしてその際に財務部としては、電気通信省からもらつた見本の一部を切つて、こういうものが電気通信省ケーブルであるから、間違わぬようにということで、申請会社社長に交付いたしました。それから次に三月の十四日になりまして、申請者から旧軍施設——申請者の言によれば陸軍の施設したものである。そのケーブル引揚げたから、検査してもらいたいという連絡がありました。そこで海上保安部の船を頼みまして、財務部技師現場へ参りまして、現物を検査したわけなのでございますが、電気通信省から頂戴していた見本とは違う。それからまた非常にいたんでおつて、スクラツプにひとしいものであるというようなふうに認定いたしました。そして一応数量を調べまして、それからその引揚げてあつたもののうち、二十センチ程度切取つて帰つて参りました。それで帰つて来てなお調査したところ、見本とは違うということで、三月の二十日に青森財務部は、七万八千四百四十五円で売拂い許可しております。会社は即日代金を納入して物件の引渡しを完了したということに相なつております。  ところが三月二十九日になりまして、申請者東北産業株式会社から、青森駅の西のホームに売拂い物件、前に申し上げました青森財務部が売り拂つた物件以外のケーブル線を集積してあるという連絡が、申請者からありました。これに立ち会つてもらいたいというような話だつた。それで青森財務部から課長技師と二人が参りまして、その集積物件を見たところ、前の売り拂つた物件とは少し違うようである。それでこれは青森財務部としては売拂い契約というようなものはしておりません。それから四月十七日になりまして、電通省の側で不通箇所調査をしたところ、切断されておるということがわかつたという事実が、財務部の方に通知されております。次に四月十八日になりまして、青森電気通信部から青森水上警察署盗難届が出ておるということを、財務部の方で承知しております。次に翌四月十九日になりまして電気通信部から、先般東北産業許可をした調査あるいは売拂いのそういうような許可をして作業しておるという、その作業を中止してもらいたいという連絡が、電気通信部から青森財務部にありました。それと同時に青森駅の貨物ホームに集積されておつた財務部が売り拂つた物件以外の物件については、水上警察署に押收されまして、捜査本部水上警察署に設けられたということになつております。次に四月二十日になりまして、水上警察署の方から売拂いの一件書類を届けるようにという連絡がありまして、財務部の方から届けました。それからその次の日になりまして、電気通信省から正式に作業を中止してくれという公文書が参りましたので、財務部としてはただちに作業中止の命令を、申請会社である東北産業株式会社に発しております。  大蔵省といたしましては、ただいま申し上げましたような経過で調査許可し、それから現場立ち会おうといたしましたけれども、そのときはブイをつけておつた現場立ち会えなかつたわけであります。それから引揚げたものについては、電気通信省見本と照し合せた結果違うということで、旧陸軍のものであろうということで、売拂い許可した。それでわれわれの方としては、今後検察当局調査にまつわけでございますが、もしこれが旧陸軍のものではなく、電気通信省のものであるということが、事実によつてはつきりいたしました場合には、大蔵省としては、売買契約を解除して、その代金については、事件の解釈まで保留しておきたいというふうに思つております。なお電気通信省の方から先ほど申し上げました通り、本年の五月以降さようなことがないようにということで、建設省その他各省の共同通牒によりまして、海底ケーブル処理の問題が起きた場合は、電気通信省事前連絡を密にしてあやまちなきを期するように、下部機構に厳重に通牒孝発しております。  簡單でございますが、大体以上であります。
  6. 辻寛一

  7. 神谷尚男

    神谷説明員 法務府から、現地の青森地方検察庁が、本事件についてとりました捜査及び処理の状況につきまして、御報告申し上げます。  青森地方検察庁といたしましては、本事件を本年の四月二十九日に青森水上警察署から送致を受けまして、捜査に着手いたしたわけであります。送致事実といたしましては、東北産業株式会社社長である村越市郎及び専務取締役である諸泉正士両名の共謀で、本年一月二十日ごろから四月二十日ごろまでの間に、電気通信省施設部海底線でありますところの青森磯野浜から青森下北脇野沢間に、現に使用中の海底通信線二十一海里のうち約十三海里余り及びもう一件の海底電信線約十海里余りを、人を使用してこれを切断して引揚げて窃取した、こういう事実が主になつておるのであります。  その当時この事件を受理いたしまして、捜査いたしました結果、これが電気通信省施設部管理にかかる電線があつて本人らが財務局から許可を受けて引揚げ承認を受けましたものではないということは、明らかになつたのでありますけれども、しかし本人らが窃盗犯意をもつてこれを引揚げたということにつきましては、十分な証拠がなかつたわけであります。その理由といたしましては、青森財務部を通じまして電気通信省の方から、現に使用中の方の海底電線の一部を見本として交付を受けまして、これをたよりに引揚げておりまして、現に引揚げたものは、その見本と照して相当違いがあるというようなところから、同人らにつきまして窃盗犯意というものを、断定することは、結局むずかしかつたわけであります。なお引揚げましたものを後に拂下げ許可を受けて、これを売るということになつております関係もありまして、これを窃盗として取上げるということは、ちよつとむずかしかつたわけであります。しかしながらこの窃盗事件捜査中に、窃盗の方はむずかしいけれども、これを業務上横領したという事実につきましては、若干嫌疑を生じておつたのであります。ただ当時青森地方検察庁といたしましては、ほかにいろいろ事件がございまして、ただちにこれを継続して捜査することがむずかしい状態にありましたために、一時捜査の方は、この事件につきましては、捜査が若干中絶されておつた感があつたのでありますが、また本年九月ごろからさらに捜査を進めまして、当時の村越社長専務の諸泉及び現社長である一色希平という三人のものを逮捕いたしまして、さらに捜査を進めたのであります。  その結果は、一応嫌疑事実といたしましては、三月の二十七日と四月十四日までに、四回にわたりまして、会計二十九トン余りのものを、当該官庁拂下げ許可を受けずに、これをほしいままに売渡し先の方に発送いたしまして、横領したという嫌疑事実につきまして、捜査を進めた次第であります。捜査を進めた結果につきましては、結局この中の三月二十七日に日本通運の古間木支店野辺地営業所を通じて、野辺地駅から発送人松井一郎荷受人東京都西多摩郡の山田市太郎あてに八トン九百六十キログラムを、拂下げ許可を受けずに発送して横領したという事実につきまして、当時の専務取締役である諸泉正士について犯罪の嫌疑が濃厚になりましたので、本年十一月十二日に、同人につきまして右の事実によつて青森地方検察庁としましては、青森地方裁判所に起訴いたしておる次第であります。ほかにも嫌疑対象になつた事実はございますが、はつきり横領したという範囲を、この三名のいずれかの者について認定することがむずかしかつたわけで、結局一つの事実についてだけではありますが、起訴した次第であります。検察庁といたしましては、はつきり犯意がなければ起訴することができないわけでありまして、結局刑事事件観点から御報告申し上げたわけであります。民事事件として損害賠償対象になります場合には、故意ばかりでなくて、過失による行為も、当然損害賠償対象にされるわけでありまして、民事上の観点からいたしますならば、また別個の結論が出るのではないか、おそらく検察庁の方で嫌疑をかけて取調べた事実については、過失という観点からいえば、相当に濃厚なものがあるように聞いております。なお捜査に着手いたしましたのは、本年四月十八日に被害届が出てからでございまして、海底線が切断されたと推定される時期は一月二十日ごろからでありましたので、その当時すみやかに被害届がありましたならば、あるいは捜査の方ももつと円滑に行つたのではないかということが考えられる次第であります。  以上で法務府からの御報告を終ります。
  8. 辻寛一

    辻委員長代理 質疑の通告がありますのでこれを許します。松井政吉君。
  9. 松井政吉

    松井(政)委員 ちよつと先に委員長にお願いを申し上げておきますが、大蔵省関係資料はただいまいただいたばかりでありますので、電通省並びに法務府及び大蔵省関係資料を、三つ全部検討をしておらないのであります。従いまして本日だけじやなくて、さらにこの問題について委員会を後日続行していただきたいことを、最初に希望申し上げておきます。それで本日はとりあえず一、二点だけお伺いをしたいと思うのでありまするが、第一番にこの前の大蔵省の方はおいでになつておりますか。
  10. 辻寛一

    辻委員長代理 参つております。
  11. 松井政吉

    松井(政)委員 この前の大蔵省関係の方の説明では、許可したものは大体金額にして七万円程度だ、こう確かにおつしやつたと記憶いたしておるのであります。ところが電通省関係資料で見ますると、新しくとりかえる場合は三千万必要だ、こう言う、それから法務府資料によりますると、二十九トン九八〇でありますから約三十トン、東京方面において売買しておる、こういうことであります。そうしますると大蔵省の方で許可をいたしました七万円程度金額というものは、法務府調査でも、電通省調査でも、根本的に数量くずれて来ております。そうなりますと、大蔵省関係は一体どこの部分をどの程度トン数、あるいは金額と見て、調査許可拂下げ許可行つたのか、この点をまず大蔵関係の方からお答えを願いたいと思います。
  12. 牧野誠一

    牧野説明員 お答えいたします。大蔵省最初調査並びに引揚げという許可をいたしたのは、電通省の先ほどの御説明と地域が多少違つております。大蔵省として許可いたしましたのは、原別沖合い青森下北郡の大間との間にある線だけでございます。その点が一つ違つているのではないか、電通省の方の御説明によりますと、一箇所あるように承知しております。  それからただいまのトン数金額の点でございますが、大蔵省で売り拂いました物件は、三月二十日に売拂い許可しております。そのトン数は総重量にいたしまして約十七トン強になつております。そのうちには鉄線くず銅線くずというものが中に含まれております。鉄線くずが十三トン強、銅線くずは二百キロ入つております。それでその鉄線くず十三トンと銅線くず二百キロを、鉄線は当時の公定価格、当時まだくず鉄について公定価格がございましたのでその公定価格、それから銅線については市場価格を、当時の市場価格トン当り十八万円と見まして、評価をいたしております。それで大蔵省の方で、こういうような地下に埋まつていたもの、あるいは水底にあつたもの、そういうようなものを売り拂います場合に、引揚げ費用というものを控除することにいたしております。大蔵省評価としまして、総合計価格としては引揚げた物件は十四万七千円になると評価しております。その総評価額から七万円弱の経費がかかつておるということで、それを引いております。その結果、売拂い価格が約七万八千円になつております。それでそれは三月の二十日に売拂いをいたしましたのですが、その後申請者から三月二十九日になりまして、前に売拂いを受けた物件以外の物件を、青森県の青森駅の西のホームに集積してあるから、これを見て立ち会つてくれという連絡がありまして、それでその物件については、当時三月の二十九日で、大蔵省といたしましては年度末で、非常に多忙をきわめておりましたので、十分にその物件について検討を加えておりません。駅へ財務局の第二課長と技官が二人参りまして、一応物件は見たそうでございます。しかしこれは前のように売拂いをするというところまで行かずに、これは忙しいせいもあつたかと思いますが、少しおかしいと思つただろうと思いますが、そのまま帰つて参りました。それでこれについては売拂いをしておりません。七万八千円の中に入つておりません。前に申し上げました十数トンのトン数の中にも入つておりません。それで電通省あるいは法務府の申されるトン数との間に、かなり開きがあつたのじやないかというふうに思つております。
  13. 松井政吉

    松井(政)委員 そうすると、こう了承してよろしゆうございますか。電通省のいわゆる被害をこうむつたトン数並びに金額電線キロ数、それから法務府調査をいたしました東京方面に四回にわたり三十トンを売却したというトン数、それから金額、それから大蔵省の方の関係における許可をしたトン数とは、まつたく異なつておることは明らかでありまするが、この異なつておるトン数については、東北産業がかつて電通省のものを引揚げたと仮定いたしました場合には、大蔵省の方はそれに対しては、許可をしていないものをかつて契約者が切断をして引揚げたのであり、売却したのであるから、大蔵省財務部としては責任がない、こういうことになるのでございましようか。その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  14. 牧野誠一

    牧野説明員 法務府でおつしやられるトン数というものは、大蔵省が売り拂いした物件の中に全然入つていないので、これは全然別個のものであるというふうに思つております。それから電通省のおつしやられるトン数は、これもはつきり申し上げられませんで、検察当局の御調査の結果をよく承らないとわからないと思いますけれども、われわれの想像では、大蔵省が売り拂つた物件と、それからそれ以外にかつて引揚げあるいはかつてに発送し他に転売したというような物件と、両方が合さつておるのではないかというふうに考えております。ただいまの大蔵省として責任がないかあるかという点につきましては、これはわれわれ今ないとは申し上げられないと思います。これは検察当局でいろいろお調べになつた結果、これによつて事情が判明して来るのではないかというふうに考えております。
  15. 松井政吉

    松井(政)委員 もう一、二点お伺いしておきます。電通省の方から先にお伺いしたいのですが、電通省の方の調査資料によりますと、電通省電線見本を先に見せて、そうして契約者の方はその見本を見て買い込む、こういうことが調査資料の中に書いてあります。しかも引揚げられて停車場に積んでおるところを見たところが、まつた電通省のものと同じであつたという資料を提出されております。ところが大蔵省の方の資料によりますと、電通省から指示をされた見本と異なつたものであると、はつきり調査資料には書いてあります。この点について電通と大蔵省の、その電線見本として提示したものと同じであるというのと違うという二つの見解が出ておりますが、この点の経緯と実際を両方から明らかにしていただきたいと思います。
  16. 金光昭

    金光説明員 電通省側の調査の結果を申し上げます。お手元にお配りいたしました報告書の中に書いておきましたが、表紙から三枚目に「当省出先機関と関係機関との連絡状況」のイにあります。一月十六日に青森財務部とそれから東北産業の係員の方が青森の電報局に来られたときに、青森湾内における電気通信省海底線の布設状況はどうなつておるか、それからその型態、線種はどういうものであるかという説明を求められたのであります。そこでその際に東北産業会社の持参しました海図により、磯野脇野沢及び磯野大森浜線その他の布設状況を説明し、それから海底線見本をその当時電報局では持つておりませんので、電信工学という書籍の中に海底線の断面図が出ておりますが、その断面図の写真版を見せて説明をしております。  それから次に二月二十七日に、青森財務部の方が青森管理所に来られまして、さらに見本の提示を求められましたが、そのときに見本として出しましたのは、磯野脇野沢間に敷いてある四心入りの海底線で、浅いところに敷いてありますのを浅海線と私ども称しておりますが、浅海線の見本しかなかつたものですから、浅海線の見本を渡したのです。ただそのときに私の方の局員のその後におきまする調査書によりますと、この磯野脇野沢間の海底線は何回となく修理しておりますから、その区間によつて新しかつたり古かつたりして、相当の違いがある。それから海底線は海の深いところと浅いところとその太さが違うわけでありまして、浅いところにある線の方が太くて、深いところの方に入れてあるのは細いのであります。そういう点があるので、必ずしもこの見本と同一ではないというようなことは注意したということを申しておるのであります。もちろん引揚げられましたのは浅海線でなしに、深海線が引揚げられております。そういう点で、おそらくその見本とほとんど同一でなかつたということは言えるかもしれませんが、そういう注意だけは申し上げたということを、私の方の局員が申しております。
  17. 牧野誠一

    牧野説明員 お答えいたします。大蔵省の方の調査によりますと、先ほど申し上げましたように、電通省から見本をもらいまして、この見本の一部を青森財務部に残し、一部を申請者である東北産業に当初渡しまして、そうして間違いのないように、こういう見本であるということで説明をして渡してございます。それで売拂いいたしました部分は、申請者引揚げ浅虫の海岸に集積した分でございます。これについてはわれわれの方の調査では、電通省からもらつた見本とは違つておるということは、のこ調査報告書に書いてある通りでございます。それからその他の青森駅に集積されておつたというものについては、財務部の者が駅へ行つて三月の二十九日見たところ、これは明瞭に電通省のものとは前と同じように違つてつて電通省のものではないというふうに言い切れなかつたために、それについては売拂いをしておらぬということに相なつております。青森駅の中にあつたものについては、三月二十九日で年度末なので忙しかつたせいもあつたでしようけれども、そごに行つて見た結果、どういうものであつてどういうふうに違つてつたかという点について、われわれの方から行つた者が十分明らかにしておりませんでしたが、前に電通省からもらつてつた見本とは少し違うじやないか——少し違うじやないかというより、少しおかしいぞ、これは妙なものを揚げたんじやないか、大蔵省としてはこういうようなものは揚げろとも言わぬし、売るとも言つておらぬということで、売拂いをしておらぬということになつております。
  18. 松井政吉

    松井(政)委員 本日はもう一点だけで、次会に延ばさせていただきますが、法務府の方にお伺いいたします。これは調査資料に基くものではございませんが、うわさに聞きますと、当初この事件を担当いたしました青森検察庁関係の検察官が、その後二回、三回にわたつてかわつておる。こういうような話をお伺いしておるのでありますが、これが事実であるかどうか。それとも全然この事件関係なくかわられたのであるか。この前法務府の方がおつしやいましたように、この事件関係者において、非常に長期にわたつておることは明らかであつて、その長期にわたつている理由については、この前明確にお聞きすることができなかつたのでありますが、この事件大蔵省側の方では、明瞭に拂い下げたもの以外のものを揚げておるということは認めておるようであります。電通省側から行けば、完全に電通省が現在使つているものを揚げたということも、これまた明瞭であります。そうしますと東北産業そのものが、大蔵省から拂下げ手続において是か非かという問題は、法律あるいは省令によつて取扱われることでありますから、これはおそらく一日あれば調べがつくものであります。あとは刑事上の問題についての罪状をいかような理由にするかということが、一番重要な問題になつて来ておるのじやないかと思います。そうしますと、電通省が実際上使つておるものが切断せられたということは明らかであります。しかもそれが東北産業であることも、大体調査資料によつて明らかであります。この事件をなぜ遷延したかという理由と、担当係官が二回、三回にわたつて交代した理由についてお伺いしたいと思います。
  19. 神谷尚男

    神谷説明員 担当検事がかわつたということは事実のようでありますが、それが何人にわたつてかわつたということについては確かめておりません。今度この事件捜査して起訴した検事は次席検事でありまして、次席検事はたしかこの事件最初起きた後に、交代しておるはずであります。従いまして本事件関係があつて、故意に本事件のために検事を交代したということはないものと承知いたしております。  なお本事件が遷延した理由についてお尋ねがあつたわけでありますが、最初警察からは窃盗という罪名で送致されて参りましたので、当初検事といたしましては、これが窃盗になるかならぬかという点に捜査の重点を置きまして、その点について主として捜査いたしたわけでありますが、その点が結局明瞭にならなかつたということで、一応その当時そのうちの一名をたしか逮捕して調べておつたのでありますが、しかし結局法律が定められた勾留期間中に、窃盗の範囲というものをはつきり認定するまでに至らなかつたので、当時一応釈放したわけであります。そういう関係もございまして、引続いて捜査しなければならなかつたのでありますが、その後ちようど本年の四月に地方選挙が行われまして、選挙違反が相当続出いたしましたために、青森地方検察庁といたしましても、一時この事件捜査を中絶するのやむなきに至つたわけであります。青森地方検察庁は検事の数も多くありませんので、選挙違反が続出などいたしますと、どうしても全員が選挙違反にかからざるを得ないといつたような実情から、やむを得ず中絶せざるを得なかつた。ほかにもいろいろ事件がございまして、これだけの事件というわけでもございませぬので、故意に延ばしたというのではなくて、やむを得ず捜査が延びてしまつたというのが真相のようであります。
  20. 松井政吉

    松井(政)委員 さらに大蔵省関係調査資料をただいまいただいたばかりでありますから、これをよく全部検討をしてみるため、次会にこの委員会を続行していただきたいと思います。     〔辻委員長代理退席、高塩委員長代理着席〕
  21. 高塩三郎

    ○高塩委員長代理 おはかりいたします。国際放送に関する件を日程に追加し、調査を進めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 高塩三郎

    ○高塩委員長代理 御異議なしと認め、日程を追加いたします。質疑を許します。橋本君。
  23. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 前回の委員会において、国際放送の再開についての当局からの説明があつたようでありますが、それについて二、三の簡單質疑をいたしまして、内容についての詳しいことをお聞きしたいと思うのであります。  せんだつての監理委員長説明によりますれば、十二月中旬より北米、中国、比島、インドネシア及びインドの四地区に対して、国際放送を再開することに決定した、こういうようなお話でありました。これについて二、三お聞きしたいことは、使用国語が英語及び日本語となつておるようでありますが、これに対して特に中国、あるいは比島、インドネシアにおきましても、中華民国の有力な人々がたくさんおるのでありますから、特にこれに中国語を加える必要があるのではないか、こう考えるのでありますが、これに対する英語、日本語と限定せられた事情をお聞きしたいと思うのであります。
  24. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えを申し上げます。国際放送の用語につきまして、英語、日本語に限らず、他の中国の国語等を何ゆえ加えないかというお尋ねは、まことにごもつとものことと存ずるのであります。私どもの方といたしましても、なるべくそういうふうにありたいと種々検討を加えたのであります。この英語と日本語だけに限ることとなるに至りますまでの経緯を申しますと、実は関係の向きといろいろ交渉をいたします過程におきましては、使用国語はまず八箇国語ぐらいにしたい、日本語、英語、マレー語、華語、韓国語、スペイン語、ヒンズー語、ウルズー語、これくらいでせめて放送を開始したいということをもつて、種々検討を加えたのであります。しかし何を申しまするにも、これがために要する経費の問題でありまして、お手元に差上げました資料にありますように、国の負担する金額としては、一千万円という程度のものでありましては、経費の関係からいたしまして、どうしても日本語と英語くらいに限るほかやむを得ないということで、残念ながらさしむきのところは、この二国語くらいで始めたい、将来の計画といたしましては、なるべくこれを拡張して参るという方向に進みたいというので、ただいまのところはこの二国語をもつて開始するという目途をもちまして、進んでおる次第であります。
  25. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの御答弁によりますと、関係筋の方面において、特に英語及び日本語と限定しておるのではなくして、費用の点からして、多数の言葉を使うことができない、こういうことでおきめになつたようなお話でありますが、しかし国際放送を行うということは、放送法の第五條にもありますように、国際親善を目的としておるのでありますし、特に現在の日本としては、中国並びに南方諸国に対しては、いろいろの誤解の点もあるようにわれわれ拝聴するのであります。そういう点から申しましても、もちろん英語は必要でありまするが、これは中国語を加えて、そしてアジアの、誤解されておる有力なる民族に対して、その誤解を解く、こういう意味におきまして、費用の点において困難がありましようが、この点は何とか再考慮を願いたいと私は考えるのであります。  なおプログラムの内容でありますが、この内容については、大きな原則からいえば国際親善、あるいは文化の交流、わが国の復興、こういうような三つの内容が盛られると思うのでありますけれども、この運用については結局放送法の第三十三條によつて電波監理委員会は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会に国際放送を行うべきことを命ずることができる。」この條文によつて行われると思うのであります。そうしますとプログラムの編集方針あるいは事項、こういうものは電波監理委員会の所管事項と考えるのですが、それともプログラムの編成については、全面的に日本放送協会におきまかせになるつもりか、あるいは特にこれがために電波監理委員会として何らかの考慮をしておられるのか、その点を承りたいのであります。
  26. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えいたします。お尋ねの放送する事項の内容につきましては、日本放送協会の権限、性格等にかんがみまして、大体におきまして自主性を認めまして、放送協会において諸般の状況を考慮いたしまして、愼重に検討の上に番組を組むということにいたしたい、そういう建前をとるつもりであります。
  27. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そうしますと第三十三條に「電波監理委員会は、放送区域、放送事項」と、放送事項ということを書いてありますが、この放送事項を指示するということはしないという意味でありますか。
  28. 富安謙次

    ○富安政府委員 ただいま私は番組の自主性ということについて申し上げたのでありますけれども、法律に規定しております事項ということでありますならば、これはやはりお言葉にもありました通り、番組ということでなく、こういうような性質の事柄という意味におきまして、その法律を読んでおるのであります。さしむき開始いたします国際放送におきましても、その事項といたしましてはニユース、解説、音楽、そういうようなものを、法律にうたつております事項として考えておる次第でございます。そういうような事項のさらに番組ということについては、大体において放送協会の自主性にまかしたい、こういうような心組みであります。
  29. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの委員長の御説明で大体了承しましたが、この際私はある程度これを広く解釈してよろしいのではないか。いわゆる放送協会のやつておる編集番組というものに対しては、もちろん自主性を持つて、これに対しては何ら干渉してはならない、こう法律でも明らかにしておりますから、その点についての疑義はないのでありますけれども、国際放送について、特に第三十三條で「放送事項その他必要な事項を指定して」ということは、相当番組の内容に至つて、ある程度までは政府がこれを考える、こういうように解釈してよろしいのではないか。今言うように、ニユースあるいは産業復興とか音楽とかいうものを指定するというように、あまりに狭義に解釈するのではなくして、もう少し具体的に放送番組の内容になるべきものを指示する、こういうことにわれわれは解釈しておるのでありますが、その点に関する委員長の御答弁を願いたいと思います。
  30. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えいたします。御意見といたしましてはまことにごもつともと存ずるのであります。法律は、一面におきまして放送の番組にタツチしてはならないということを申しておりますと同時に、国際放送のごとき、関係のきわめて複雑であり、また重要な事柄につきましては、国内放送の場合とまた違つて考えなければならぬということもなくはないと思うのでございまして、そういう点につきましても、法律の面とまた実際の重要性と両面から考えまして、その運用におきまして遺憾なきを期するという建前をとりまして、私どもといたしましてはこの点に処したい、かように存じております。要するにこれは法律を活用と申しまするか、運用と申しまするか、その点におきまして、事柄の重要性に考えて、どういう点から見ても、十分遺憾のないようにこれを動かして参るべきではないか、かように存じておる次第でございます。
  31. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 次にもう一つ、放送法の第三十五條で、国際放送に関する費用の分担の問題ですが、これは第三十五條に国際放送については「協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」こう明らかになつております。なおその二項においては、この場合は国際放送の場合ですが、「前二條の命令は、前項の規定により国が負担する金額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。」この「こえない範囲内でしなければならない。」という條項は、厳格に考えて、この国際放送に要する人件費あるいは設備費一切を含めたものを考えているのか、それとも日本放送協会のそうした一面の人件費程度の、ことに何といいましようか、雑用的な人件費程度のものは、あえて放送協会が負担しても、この命令に違反しない、こういう解釈をするのか、それとも全面的に一切の費用を国が持たなければならぬ、こう解釈をするのか、その点の解釈についてお伺いしたい。
  32. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えいたします。この法律によりまする協会の業務に要する費用は国の負担とするという、その負担の意味は、全面的にと申しまするか、一切の費用を国で持つのであつて、これに関係するところの費用全体が国の負担でなければならない、言いかえまするならば、国際放送に関しましては、放送協会は自分の経費で持つべき部分は少しもないという建前であるのかというお尋ねの趣旨と了解いたしたのでありまするが、その点につきましては、立法のときにもいろいろ論議をされたかのように私伺つておりまするが、電波監理委員会の解釈といたしましては、これは一切の費用という意味が厳格に読まれるべきではないのであつて、言いかえまするならば、これに関連いたしまして、ただいまのお言葉の中にもありましたような費用を、国際放送に関連いたしまして放送協会が持つてもいいんだ、持つべきなのであるという趣旨に解しまして、この規定を運用いたしておる次第でございます。従いまして本件につきましても、一千万円は国の負担であります。予算といたしましては一千万円でしまするけれども、国際放送に関連いたしまして、放送協会がこれに関連する他の経費を持つということも当然あり得るのであつて、一千万円だけでもつて一切の経費がまかなえるものとは考えておらない次第でございます。
  33. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 この法律の趣旨は、監理委員会委員長の趣旨と、私少し解釈を異にしておるのであります。なぜこういうぐあいにわれわれ国会において、放送法第三十五條で、その全額は国会の議決を経た予算の金額を越えない範囲内でしなければならない、こういう強い語調を用いたのは、現在のNHK、いわゆる日本放送協会は、国の補助によつて行われている機関ではなくして、法律上公共企業体にはなつておりますが、その運用費というものは、一切が聴取者の受信料によつてまかなわれておる。従つてその受信料は、その受信者に対する利益の増進にのみ使われることが原則である。従つて国際放送のごとく、国の行為を行う、あるいは民族全体といえばいえましようけれども、少くとも国家の仕事であるべきものに対しては、当然国が原則として大部分を持つべきであつて、日本放送の協会はこれがために雑用程度の費用が出ることはやむを得ない。同じところでやるのでありまするから、ある程度実際上の区分がつきませんから、その区分がつきません程度のものは、もちろん日本放送協会が負担することはやむを得ないのでありまするが、その他の明らかである部分に対しては、番組編成費用とか、それに雇うべき人の人件費、あるいは直接それにかかる費用というものは、一切を国家が負担しなければならない、こういうふうにわれわれは解釈いたして参つておるのでありますが、この点に対しての御意見をお伺いしたい。
  34. 富安謙次

    ○富安政府委員 お答えいたします。だんだんとお話を伺いましたが、国際放送につきましては、二つの場合があると考えております。一つは、第三十三條によりまして、国が国際放送を放送協会に対して命ずる場合もありまするし、また第九條の規定によりますると、国際放送を放送協会が自主的に開始するという権限も與えられておるのでございまして、前に申しました場合、すなわち国において国際放送を放送協会に命じたという場合でありまするならば、この所要の経費は国が負担すべきことになるのでありまして、本件の場合のごときにおきましても、国が国際放送を命じた場合でありまするので、三十五條の方に従つて、大体はその経費は国の負担でなければならぬと思うのであります。しかしながらこれに要する間接的の経費も当然あるのでありまするから、そういうような間接的な経費までも一々計算をいたしまして、商業計算において、何か帳簿を整理するような意味におきまして、一切の経費を国が負担するのだということは、三十五條の場合におきましても、これは負担すべき法律の趣旨ではない、かように考えております。
  35. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大体委員長の御説明によつて了承することができましたが、国際放送は、われわれ国会において二国の決議がありまして、今回これが実現を見ることになりましたことについては、まことに当局の御努力に対して御礼を申し上げる次第であります。ただ予算の措置が、御承知のようにわずか一千万円、こういうような非常に僅少な金額でありますために、せつかくの国際放送が、はたして十二分のことができるやいなや、こういうことについては、われわれ非常に疑念を持つておるわけでありまするが、もちろん期間も短かいことでありまするからして、あるいはできるだけのことが行われるとは思うのでありまするけれども、なお当局においては、国際放送は、機関としては日本放送協会が責任を持つて行うのでありますけれども、それはあくまでも国の名誉において行うのでありますからして、その点において遺憾のないように、できるだけお骨折を願いたい。なお将来、二十七年度の予算には、日本の国際放送が他の国に対して何らひけをとらないようなりつぱな放送ができるように、十二分に御努力を願いたいと思うのであります。
  36. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちよつと今の橋本君の質問に関連しておる事項で、御質問したい。これは国際放送ではなく、国内放送なんでしようが、進駐軍の放送、進駐軍関係に聞かせるための放送ですね。あの放送の料金というものは、どういうことになりますか、そういうものはないのですか。進駐軍向けの放送というのは、進駐軍でやつているのだろうと思うのですが、そういうものはどういうことになりますか。
  37. 富安謙次

    ○富安政府委員 お許しを得まして、説明員からお答えをいたします。
  38. 野村義男

    ○野村説明員 進駐軍の放送につきましては、進駐軍の使用した設備に対しまして、設備の使用料というものを得ております。
  39. 椎熊三郎

    椎熊委員 その使用料というのは、日本政府が拂つているのですか。終戰処理費でやつておるのですか。
  40. 野村義男

    ○野村説明員 そうであります。
  41. 椎熊三郎

    椎熊委員 それは放送局の予算の收入でございますか。收入の中に計上されておりますか。
  42. 野村義男

    ○野村説明員 收入の中には別わくとして計上してあります。
  43. 椎熊三郎

    椎熊委員 私の手元にある二十六年の收支予算書の中にはないのですが、どういうことになつておりますか。放送局の收入であることには間違いないのでしよう。
  44. 野村義男

    ○野村説明員 收入として計上してあります。
  45. 椎熊三郎

    椎熊委員 私の手元に二十六年度の收支予算書というものがあるのですが、それの中にはないのですが、これはどういうことになるのですか。
  46. 野村義男

    ○野村説明員 ちよつと資料を持ち合わしませんので……。
  47. 椎熊三郎

    椎熊委員 この点で世間に非常に物議をかもしている問題があります。私はもつとつつ込んで聞きたいのですが、あなたの方に資料のお持合せがないということであれば、きようはこの程度で留保いたします。継続せられる次の委員会におきましては、この点を明確にしてもらいたい。そのためには放送局の理事者等もお呼びになつて、明確にしていただかなければならない。今の関連質問はこれにて終ります。
  48. 高塩三郎

    ○高塩委員長代理 この際電気通信大臣より特に発言を求められておりますので、これを許します。佐藤電気通信大臣
  49. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 特にお許しを得まして、この機会に最近起りました電気通信研究所関係職員の犯罪容疑等の概要を御報告を申し上げ、同時にあわせて当局のこれに対する処置並びに今後の方針等をお話いたしたいと思います。  すでに電気通信研究所の職員の犯罪容疑につきましては、新聞等でしばしば報道されておりますので、委員各位におかれましても、その概要は御存じのことだと思いますが、事件といたしましては、二十五年度並びに二十六年度の当初の期間中におきまして、一部予算の使途が不明確であるとか、あるいは不要物品の拂下げにつきまして、その処置が不当であるとかあるいは不正であるとか、あるいはまた他の官庁から委託されました研究費等の使途が、不当に使われておるとかいうような問題でありまして、本年の九月または十月時分から検察当局の取調べが進行し、すでに十一月までに起訴された者が三名あるわけであります。  その概要を申し上げますと、この研究所の職員の事務部の会計課長をいたしておりました横山末広という者は、昭和二十六年十一月十日、大森警察署に検挙されまして、十一月十二日に業務上横領罪で起訴されたものでありまするが、容疑の内容といたしましては、昭和二十五年あるいは二十四年中に、研究所が国家地方警察本部から委託を受けた超短波無線関係の研究に充当すべき委託経費のうちから、約百万円を横領して、グリーンパーク株式会社の株券を他人名儀をもつて購入したという事件一つであります。  また事務部の会計課の器材契約主査である榊原誠治、これは昭和二十六年九月十六日に大森警察署に検挙されまして、十月十日に收賄罪で、また十月十二日には業務上の横領罪で起訴されたものであります。容疑の内容は、昭和二十六年三月末研究所の不要物品売却処分を行うに際し、買受人である中野某から十万円を收受し、また同年八月同買受人から約七十五万円を借用の形で收受し、次に申し上げます新垣隆雄と共謀して、昭和二十六年三月以降六月までの間において、運送業者、建築業者等に対する未拂金、研究所職員に対する旅費、その他前記の不要品の拂下げ代金の中から約二百二十万円を一時横領したものであります。  三番目に御報告いたしますのは、事務部の会計課の出納主査新垣隆雄でありまするが、これは昭和二十六年九月二十一日に大森警察署に自首し、十月十二日に業務上横領罪で起訴されたものであります。容疑の内容は、前記の榊原誠治と共謀して昭和二十六年三月以降六月までの間において、運送業者、建築業者に対する未拂金、研究所職員に対する旅費、不要品拂下げ代金の中から、約二百二十万円を一時横領したものであります。  この三名につきましては、ただいま御報告申し上げましたように、それぞれ起訴されておるわけでありまして、当省といたしましては、休職あるいは休職の手続をそれぞれとつておるような次第であります。ところがこれらの事件関係いたしまして、昨日来本省の施設局長、前電気通信研究所長であります吉田君が、留置取調べを受けているような次第であります。  当委員会の皆様におかれましては、かねてより電気通信事業の運営について格段の御理解を賜わり、同時にまた官紀の粛正、綱紀の振作という点につきまして、格別な御高配を賜わつておるのでありまするが、さような際におきまして、この種の事件が出て参りましたことは、私ども責任者といたしましてまことに遺憾に存じておる次第であります。私どもといたしましては、かねてからこの事業体といたしましては、何と申しましても事業規律を立て、綱紀を粛正するということが根本であるように考えますので、この事件がかような事態になりますまでもなく、省の監査室あるいは会計監査等を督励いたしまして、この種の事故の発見に努め、同時にまた将来に対しまする十分の戒め並びに方針等を指示して参つてつたのであります。一部は当省の方におきましても、調査にかかりかけたようなものもあつたのでありますが、今回警察当局の手が入りまして、先ほど申し上げたような三名がすでに起訴されて、ことにまた前所長とは申せ、現在の本省の幹部である施設局長自身が、これらの事件関係あるということで調査を受けているような次第でありまして、まことに残念に思つておる次第であります。私就任いたして以来、省の幹部ともいろいろ相談をいたして参り、特に終戰直後の混乱から、各省等におきましてもいろいろの疑惑を持つて見られ、また一般からも官紀の粛正を特に叫ばれておる際でありますので、幹部諸公に対しましても、綱紀の粛正を積極的に部下従業員に浸透するように指示いたしておつたやさきであります。この種の事件が明るみに出ましたことは、ただいま申し上げましたごとくまことに残念に思うのでありますが、あります事態はどこまでもこれを追究いたさなければならないと考えております。本人を憎む、あるいは恨むというわけではありませんが、罪、この犯罪事実そのものは、何といたしましても絶滅しなければならないのであります。この気持、この決意につきましては、一層強いものを感ずる次第でありまして、この種の事故が明るみに出ました、これまたこれを他山の石と申しますか、あるいは今後の私どもの戒めといたしまして、一層部内を督励いたしまして、この機会に綱紀の粛正に強く乗り出して参る決意でおるのであります。  以上簡單な御報告を申し上げた次第でございます。
  50. 高塩三郎

    ○高塩委員長代理 椎熊君。
  51. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいま大臣から御報告がありまして、まことに残念な事態でございます。最近官紀の紊乱と申しましようか、綱紀の弛緩と申しましようか、ひとり電気通信省のみではございません。現に国会におきましては、行政監察委員会において、建設省関係その他取上げて目下審議中であります。各省にわたつて、連日の新聞に官吏の收賄事件の載つておらない日はまれであるというような事態は、実に終戰後の日本としては遺憾千万なことなのであります。国会におきましては、最近頻発するこれらの事態を黙視することができないので、本日実はただいまも運営委員会から連絡に参つておりまするが、官紀粛正に関する決議案が、本日の運営委員会で論議されることになつております。私はこれを本会議に上程して論争するそれ自体が、わが国会の不名誉であるとさえ思つております。しかしながらかくのごとく底止するところを知らざる状態の不正事件を、国家最高の機関たる国会は黙認するわけにも行かぬのであります。しかるに吉田内閣は成立当初におきましては、ことに吉田総理大臣はこの点には深い関心を持たれておつたかのように私は考えられます。当初内閣総理大臣は法務総裁を兼任せられておつたと私は記憶する。そうして法務総裁就任のあいさつに、法務府行つてのごあいさつの中には、たとい一国の総理大臣といえども、そこに何らかの不正があるならば、断固としてこれは糾彈すべし、わが吉田内閣においては、断じてかくのごとき不正の事実があらしめてはならぬのだ、そういう悲痛な決意をもつて、みずから法務総裁を兼任するの意気込みをもつて、この内閣を組閣された。以来今日に至る吉田内閣の業績、いろいろございましようけれども、日に日にこの状態が増大して行くという傾向は一体何であるか。私はひとり今日の官吏の心がけのみを責めようとするものではない。国家全体に何らかゆるみがあるのではないか。こういうことはことに講和会議もできて、自主独立の国家となろうとする日本にとりましては、非常なる遺憾な点であるのであります。佐藤大臣は就任以来、御熱心に事務の研究をなされ、部下を監督し、就任日浅くしてこの不祥事件を見たことは、はなはだ遺憾でございましよう。心中察するにあまりあるものがございます。どうかできた問題、はなはだ遺憾ではありまするけれども、これらは徹底的に処理せられまして、今日以後においては断じて、せめてあなたの就任中はそういうことはなかつたというくらいなことにしていただかなければならぬと思います。ことに本省における局長中でも重要な立場にあられる吉田君が、あるいは疑惑でございましよう、私は疑惑であるということを、單なる疑いであるということに終つてもらいたいと念願いたしますが、今日なお留置せられて取調べられておるという現実は、まことに残念しごくでございます。われわれは当委員会としては、特にこの問題を取上げてどうするというようなことはいまだ相談しておりません。やがてはこれは行政監察委員会等において取上げられるでございましよう。それに先だつてただいま申し上げましたように、本日ただいま開かれんとする運営委員会では、これらのことをも含めて、官紀粛正の決議案が上程せられるかどうかというせとぎわにあるのであります。この際において大臣以下責任ある役所の方々には、特にその点に御留意を賜わりたい、警告を発しておく次第であります。
  52. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 さきに私が青森湾内の海底電線の売拂い事件が提出されましたときに、官側の不正が相当行われておるから、それとの関連もあるやに存じまして、資料の提出をお願いしたのでございますが、この問題は未定でございますけれども、最近の吉田内閣の不正は、今椎熊さんの言われた通りでございまして、ここに現われて参りましたのはおそらく氷山の一角で、運の悪いところが現われて参つた程度だと思います。もちろん私はこれを現在の吉田内閣では、この腐敗し切つた官側の根本を直すというようなことは不可能だと思いますが、事件はこれだけではございません。地方的には相当こういう問題が出ております。電話の工事にからまつた不正は、至るところで行われております。名古屋にも先日新聞に出た事件もございますし、こういうような事件が全国的に今まで相当出ておりますが、それらを全部提供していただきましたところで、私はこれはほんの一部分だと思いますが、そういうものの電通関係でお調べになつておられます資料を、二、三これも私は御提出願いたいと思いますから、このことを一言つけ加えておきたいと思います。
  53. 高塩三郎

    ○高塩委員長代理 政府の方で資料の御提出を願います。次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十九分散会