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1951-11-27 第12回国会 衆議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十七日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君       阿左美廣治君    今泉 貞雄君       小川 平二君    神田  博君       澁谷雄太郎君    中村 純一君       南  好雄君    西村 榮一君       風早八十二君    河口 陽一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       首藤 新八君         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    小出 栄一君         專  門  員 谷崎  明君     ————————————— 本日の会議に付した事件  企業合理化促進法案(小金義照君外三十四名提  出、衆法第七号)     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  昨日本委員会に付託せられました企業合理化促進法案を議題といたします。本案につきましては、昨日提出者より提案理由説明を聴取いたしましたので、本日はただちに質疑に入ります。質疑は通告の順に従つてこれを許します。今泉貞雄君。
  3. 今泉貞雄

    今泉委員 私も本法案の定業者の一人でありますが、この法案内容について二、三疑義がありますので、本法立案者並び関係政府当局の方々に御質問を申し上げたいのであります。  まず第一に、本法の第二條についてでありますが、この第二條本法適用対象となる業種を指定する、本法案のうちで最も重要な要素を含んだ條文と解釈しますが、事業者内容についてきわめて漠とした感じを與えられておると思うのであります。「この法律において「事業者」とは、工業鉱業電気事業ガス事業運輸業土木建築業水産業その他政令で定める事業を営む者をいう。」というのでありますが、この「政令で定める事業」とは、ここに示された事業以外の業種をさしていつておるのであるか、あるいはまた例示せられた事業内容を限定せんとするのであるか、この点をはつきりさせていただかなければならないと思うのであります。たとえて申しますならば、工業といつて範囲はきわめて広いのでありまして、鉄鋼とかあるいは化学工業とか、さらにまた化学工業の中でもセメント工業は含むとか含まないとかいうように、特定業種のみを本法対象としておる関係上、その内容政令で限定せんとするのであるか、もしも政令でその内容を限定せんとする意図であるといたしましたならば、あまりにも重大なる事項政令にゆだねる結果となり、非常にこの結果を危ぶむものでありまして、かような重要事項はこれを政令にゆだねることなく、むしろ堂々と本法案の中に明示すべきものではないかと考えられるのであります。この点に関し、まず提案者並び関係政府当局から所見を承りたいのであります。  なお具体的の実例として、自動車裂造工業、紙、パルプその他化学繊維工業等は、この第二條事業として指定せられる範囲なのかどうかこの点についてもあわせて明快な御答弁を承りたいのであります。
  4. 石原武夫

    石原説明員 私から便宜御答弁申し上げたいと存じます。ただいま御質問のございました第二條は、以下この法律に出て参ります「事業者」という用語を使いました場合の定義を書いたのでございまして、ここに掲げております事業者について、以下各條全部に適用があるというわけではございませんので、たとえば八條とか十條、十一條、十四條等事業者という字句が出て参りますが、その場合には二條に掲げておるようなものをいうのだという意味定義でございます。それでただいまお尋ねのございました政令で定める事業というのは一体何を政令で定めるのか、何か業種を限定するのかというお尋ねであつたと思いますが、第二條に書いておりますように、以下この事業者が出て参ります場合に適用しようと予想しております事業については、工業鉱業電気事業、以下ほとんど全部法律で書いておるつもりであります。ただ一応これに水産業まで例示いたしました点で、何か漏れておるものがあれば政令追加をいたしたいという趣旨で念のために入れておりますので、今ただちに政令でこの法律施行と同時に追加をする予定をしておるものはございません。今列挙しておるもので一応十分と考えておりますが、将来もしある事業が漏れておりまして、その関係條文適用をした方がよろしいという場合には、政令追加をいたしたい、さような意味で念のために一応規定しておるものであります。  それから次にお尋ね自動車工業とかパルプとかいうものは、従来の用語インダストリーというものの中に当然入るという解釈をとつております。
  5. 今泉貞雄

    今泉委員 ただいまの御答弁によりまして、私がお尋ねしました自動車製造工業、紙、パルプその他化学繊維工業等がこの内容の中に含まれておるということを承りまして、私としても一応安堵いたした次第でございます。私が申し上げたいのは、この化学繊維工業あるいは自動車製造工業等は、わが国現状にとりましてまことに重要な産業であり、この企業合理化促進法案内容にマッチするきわめていい例であると、かように考えておるのでございます。特に自動車製造工業等は、わが国にとりましては重要工業であり、またわが国の現在の自動車が果しておりまする輸送上の役割、あるいはまた戦前から戦後にかけて長い間この自動車製造工業を育成して参りました点から考えてみましても、これらの工業に対して十分なる保護を加えて育成強化に努めるということは時宜に適した手段である、かように考えまして、私はなお一層この法案適用にあたつてはかかる重要産業保護育成に十二分なる考慮を拂われ、わが国企業合理化促進のために役立つことができますように本法の活用をお願い申し上げる次第であります。
  6. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は本法提案者でありますので、こまかいことについての質問を申し上げることは少し筋違いでありますが、私が提案者なつ理由一つは、今後日本国民経済が迎えなければならぬものは、生産においてはこれは当然窮乏インフレーシヨンに直面するのであります。財政においては講和條約によるところの財政膨脹からインフレーシヨンが来る。この二つのインフレーシヨンは、ともに生産を増強するというところに関連しておるのでありまして、同時にわが国においては今企業合理化あるいは能率化をもつて国際競争に耐えられるときに、ともすれば従来の通産省が、率直に申しますると、大蔵省に押えられて、手も足も出ないという現状は、外から見てまことに歯がゆく感じておるのでありまして、冒頭に通産省の各位においてはもう少し筋骨を持つてしつかり立ち上らないと、窮乏インフレーションにますます拍車をかけるという苦言を呈しておきたい。  そこで私はこの中で一つお尋ねしたいのは、中小企業に対する診断並びに助成方法というのがある。この法律立法化に対して私は責任を持つものでありますが、しかしその具体的な運用は通産省がおやりになるので、この中小企業に対する診断及び勧告というものは、まず第一にどういうふうな基準でこれをおやりになるのか、いわゆるどのレベルでこれが健康な産業組織である——労務管理並びに生産工程販売経理等はどの基準をもつて診断されるか、その取扱いについて承つておきたいと思います。
  7. 首藤新八

    首藤政府委員 西村委員の御指摘になりました、いわゆる生産窮乏インフレーシヨンが到来するおそれがあるという御意見でありますが、御承知通り、昨年来生産状態は非常に向上いたしまして、昨年の六月は、昭和十—十二年を百といたしまして、八十七程度であつたものが、本年の四月には百四十二、その後御承知通り、各産業の事情がかなり悪化いたしましたので多少低下いたしておりますが、なおかつ百三十五、六程度を現在維持いたしております。同時に、現在の国内における各原料の不足並びに今後の輸入の状態を勘案いたしますと、今後におきましても生産が非常に低下いたしまして、それによつてインフレが到来するというようなことはとうてい考えられないことでありまして、そういう憂いは絶対ないと考えておるのであります。  次の中小企業診断の問題でありますが、御承知通り中小企業はきわめて複雑な内容を持ち、多種多様にわたつております関係上、一定の線を引きまして、そしてこの程度中小企業の健全な内容であるという一つの目標をつくりますことがきわめて困難であります。従いまして、通産省といたしましては、大体各産業別に、この産業ではこの程度中小企業としてまず中堅と見ていいのじやないかというような診断をいたしておるのであります。その指導にあたりましても、それぞれの産業の構造を基準といたしまして、しかる後にその産業界における中小工業の地位並びにその中の堅実性を持つておる中小企業はこういう程度のものであろうというような診断をいたしておるのでありまして、それを中心として実は指導して参つておるのであります。ただいまここで各産業中心となる堅実な中小企業標準はどの程度になるかという数字的な資料を持ち合せておりませんので、具体的なお答えはできませんが、そういう心構えで指導いたしておるということを御了解願いたいと思うのであります。
  8. 西村榮一

    西村(榮)委員 窮乏インフレーシヨンの見方については首藤君と幾らか見解が違うのです。私の言うのは、今の生産は非常に跛行的で均衡がとれていない。一部は非常に多いが、一部は減退している。しかも日本の底の浅い産業界においては、国際情勢の急変ということがただちにわが国生産に悪影響を及ぼす。現にあなたは窮乏インフレーンヨシンというものはないということを言われるが、最近において不渡り手形は昨年度よりも三倍に激増しているのであります。これは銀行の取扱いが、従来一回ないし二回の警告で出したものが、今五回くらい、がまんをしても三回くらいになつており、商社の倒産が相次いでいる。これは国内、国外の市場と同時に、わが国生産面均衡がとれていないので、私は商工行政というものの将来を考えていただきたい。これは議論でなしに考えていただきたい。  美に私は、中小工業に対する診断はどこに基準を置くかという質問をしたのですが、それに対しては十分なお答えがないのです。たとえて言えば、アメリカ並びイギリス標準日本中小工業基準とするわけに行かぬと思うのです。イギリス並びアメリカの、労務管理は一体六〇%に置くのか、工員一人頭の能率は、アメリカが四五%なら四五%に置く、その基準従つて日本工場組織というものはどうなるか、労務管理と配給、生産原料仕入れ、金融の問題、そういうようなものはどう、経理の問題はどうなつているか、その基準を一体どこに置いて診断されるか、こういうことなんです。たとえばアメリカに対して四五%、イギリスに対して六一%というような標準で、日本のそのことが国際競争にどう均衡がとれて行くかということについて成案があれば承つておきたい。なければ、ここでこういうふうに中小工業に対する診断並びに勧告というように抽象的にうたつていないで、そういうことを科学的に検討されて取扱われたらどうか。今なければないで、私はあえて追究しているわけではないのですが、そういう取扱いをしてもらいたいのだがどうでしよう。
  9. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほど御答弁申し上げました通りに、御指摘のような労務管理あるいはそれに対する具体的な数字を現在持ち合しておりませんが、大体御指摘通り方針で今日まで指導して参つておるのであります。その御趣旨政府といたしましてもよく体して今日までやつておりまするが、今後もその方針で強力に指導して参りたい、かように考えております。
  10. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、中小企業に対する診断並びに勧告を扱うについては、通産省はどのくらいの予算を見ておられるか。二十六年度はどのくらいの予算で、従つてこれ十分にやろうというのにはどれだけの予算を見ておられるか。
  11. 石原武夫

    石原説明員 中小企業診断のことにつきましては、政府から各府県補助として出しておりますのは、二十六年度にたしか千四百万円と記憶しております。これらは府県補助として出しますので、府県自分の職員及び第三者を委託して診断をいたしておるわけでありますが、その他の部分はおのおのの府県が負担して診断を実行している状況であります。
  12. 西村榮一

    西村(榮)委員 来年度はそれに対して何か具体的な方針がありますか。今政務次官が述べられた政策に基いて行政はどうされるのですか。
  13. 首藤新八

    首藤政府委員 まだ来年度の予算大蔵省との折衝途上にありまして本格的に決定いたしておりませんが、通産省として現在構想しておりますのは、中小工業合理化の一環といたしまして設備の移転あるいは改善等合理化に沿うような態勢を整えるためには相当の補助金を出す。これは全部の産業ではありません。現在交渉いたしておりますのは、自転車産業あるいはそれに関連する産業というような特定のものになつております。そういうことを中心といたしまして、全般的にそういう方向で進みたいというふうに考えております。
  14. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、いわゆる中小企業に対する診断及び勧告というものは、来年度もやはり各府県にまかしてやろう、こういうことですか。
  15. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。中小企業診断やり方は、一応都道府県及び五大都市、これを実施機関としてそこが責任を持つてつていただく、こういう考え方で進めて参つておるのであります。将来もそういうふうな考え方で進めたい、こう考えております。
  16. 西村榮一

    西村(榮)委員 通産省はそういうふうなことで、中小工業に対する診断勧告の目的を達し得る、同時にそれが将来日米経済協力の路線、あるいは国際競争にたえ得られるだけの中小工業の育て上げができるとお考えになるのか。
  17. 小笠公韶

    小笠政府委員 現在の中小企業のいろいろな問題の中で基本的な一つは、中小企業に対しまして合理的な経営態勢をとらせるということであると思うのであります。その科学的、合理的な経営態勢をとらせるのに、一般的な方法で抽象的に指導する方法もございましよう。しかし具体的に個々の実際の状況を科学的に判断をして、ここをこうすればいいとうふうな指導をして行くことが、中小企業経営合理化促進に実際的な効果が上るものだと考えておるのであります。中小企業の数が非常に多い中で、そういふうな形で行きますと、相当時間がかかるようでありますが、そういう診断を受けてよくなつた工場ができることによつて、これがモデルケースとなり、順次その風潮が及んで参りますので、日本中小企業が、海外との競争態勢を培養して行くという上においてこれはじみちではありますが、最も確実な方法だと考えておるわけであります。
  18. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は何もあなたを追究しようというわけではないのだが、昨年度の予算を千四百万円と見て、それを府県にまかしておるというふうなこと、それから今あなたが合理的な経営云々という、抽象的な議論を述べられたが、結局おちつくところは、この経費範囲内と、府県にまかせるというようなことは、中小企業に対する統計をとるという程度にすぎないのじやないですか。ここに銘打つような中小企業に対する診断並びに勧告というような項目は、あなたの説明つたら、少くとも企業合理化促進法案の中に織り込むほどのものではないのではないですが。この企業合理化促進法案の中に織り込むというからは、もう少し明確な方針がなければならぬ。それには予算も伴うだろうし、いろいろなものがある。あなたの説明を聞いていると、單に中小企業に対する統計調査する以外にない。それならば、ここに統計調査に要する費出というようなくらいでやつたらどうか。私がそれを言うのは、それならそれでとめておいて、中小企業に対する診断並びに対策ということは、別な法案を作成しなければならぬと思う。なまじつかそこにあるばかりに、中小企業対策というものがぼやかされてしまうという危険を生ずる。そこを憂えておる。私はあなたを追究しようとしておるのじやないから、率直にお答え願いたい。
  19. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。この診断指導制度が、現状をもつてすると、統計資料をとるにひとしいじやないか、こういう御意見でありますが、私はそうじやないと思うのであります。これは実際から申し上げますと、本年の三月までの実績で、二年ばかりに五千五百ばかりの工場診断いたしております。この五千五百の工場が、各府県によりまして平均してはおりませんが、相当それに見習つてつて行こうというふうな空気が強くなつてつておるのであります。合理化の線を指導して行くということは、私はこういうふうな新しい診断制度をなるべく法規に根拠を持つてつて行くということが適当だ、こういうふうに考えまして、合理化促進法案の中に入つておるというふうに考えておるわけであります。  それからもう一つの点は予算の問題であります。実は千四百万円という数字は非常に少いのでありまするが、実際に各府県で使つておりますのは、この予算の倍あるいは三倍という額になつておるのであります。政府からできるだけ助成の額を多くして行くという方向に私ども進めて参りたいと考えておるわけであります。
  20. 西村榮一

    西村(榮)委員 先ほどちよつとお尋ねしたのですが、あなたは専門家だからお尋ねいたします。中小企業に対する診断基準は、一体どこに置かれるのですが。労働者一人当りの生産能力はどこに、それから労務管理はどこに置くか、仕入れはどうする、販売組織は一体どうする、経理は一体どういうふうにして行くのがいいかというようなことは、具体的に何か診断基準がありますか。
  21. 小笠公韶

    小笠政府委員 現在診断をやるにあたりましてのやり方を簡単に御説明申し上げれば御了解を得るのじやないかと思います。まず第一に診断をやるにあたりましては、ただいま業種を一応ピックアップいたしておるのであります。その業種を選定いたしまして、たとえば手すき和紙なら手すき和紙工業というものをとりまして、和紙工業の專門家を集めまして、現状をまず一般的に調査いたします。それをどの程度にまで現状から見て引上げて行くのがいいかというふうな、いわゆる指導基準というものを業種別につくります。その業種別につくつた指導基準根拠にいたしまして、まず具体的な企業——これは向うからの申入れに応じてやるのでありまするが、その申入れのあつた工場について具体的にまず予備調査をいたします。予備調査は、その工場におきまする計数的な資料その他をとり寄せまして、大体におきまして一つ見当をつけます。見当をつけた上で、本診断に移るわけであります。本診断は、長いのは一週間くらいかかりますが、普通三、四日で大体済ますわけであります。それで具体的に予備調査指導基準と照し合せて現実の工場について当る。当つた上で、診断員は大体二、三人参りますので、あとでその二、三人が会議の上で一つ勧告書をつくる、こういうふうな順序で実はいたしておるのでございます。  そこで指導基準考え方といたしまして、どういうことを考えておるかと申しますと、これは業種によりまして違います。またやり方によりましていろいろございますが、まず技術の面が一つ技術の面の中で、いわゆる作業工程関係一つ、それからいわゆる工場管理の面が一つ、それから経理の面が一つ、それから労務管理理の面というふうに大体わけた、わゆる指導基準をつくつておるわけであります。ただ中小企業現状から申しますると、生産管理の問題と経理の問題は、比較的——ずさんだと申し上げると言葉は悪いのでありますが、そういうことを指導基準にして詳しい一つのわかりやすい方法をつくつておるわけでございます。  なおそのほかにあらかじめ業種ごと事項診断要領というものを、実は問題をあげて答えを書いて行くというような、簡単なパンフレットをたくさんつくつておる。いわゆる診断を受けないところでは、自分で参考の資料を配付しておる、こういうふうな状況で実はやつておるわけでありまして、以上申し上げましたところで、診断やり方について御了解を願いたいと思います。  それからもう一つの問題は、勧告したあとどうするか、いわゆる診断後の措置をどうしているかという問題でございます。診断後の措置につきましては、極力あとしばらく見てやらないと、なかなかうまく行かない。ところが、この面について率直に申し上げますと、人手が足りないという関係があつて診断後のいわゆる指導というものが不十分だというところから、成果が減殺されている面もございますが、極力診断後半年ぐらい折々行つて見てやるという工場が非常に成果を上げている、こういう状況であります。
  22. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はその診断指導の結果、優等生優等生のように伸ばしてやり、それからどうもぐあいが悪いというのは、そのレベルまで行くだけの治療方法を講じてやらなければならぬ。診断のしつぱなしではいかぬ。そこでさつき言うように、大体千四百万円の予算で、現在の規模で、将来国際競争に耐えられるだけのわが国中小工業者を育成して行くことがこれでできるのかどうか、ここをお尋ねしているのです。あなたの考え方はどうなのですか。
  23. 小笠公韶

    小笠政府委員 現在のいわゆる助成規模、それから専門的な診断員の数、府県におきましする診断員の整備の状況から申し上げますと、率直に申し上げまして、いまだ不十分であります。不十分でありますが、そういう面を順次整備するごとによつて、私は日本中小工業のいわゆる経営レベル・アップして行くことができると思つております。予算の問題につきましては、極力これをふやして行くという方向に努めたいと実は考えております。
  24. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は通産省にひとつお尋ねしたい。今大体もうわかつておるので、これ以上は長官のあげ足をとろうと思わないが、私は結論すれば、露骨に言えば、今の経費規模では、統計をとつて印刷物を配つて、これで中小工業対策はやつておりますということを言訳するのにすぎないのであつて、私はそういう経費はむだだと思う。むしろ竿頭一歩を進めて、抜本的な中小工業対策国際競争に耐えられるだけのレベル引上げて行く。診断の結果、やはり治療方法も講じてやらなければならぬ。奨励すべきものは奨励してやらなければならぬ。そこで本企業合理化促進法案に関連して、ここには設備改善その他についてのいろいろな方法はやや講ぜられておるようでありますけれども、これと関連して中小企業に対しては、今言うような観点から、私は相当力を入れなければならないのじやないかと思う。特にわが国中小企業というものは、欧米と違いまして、御承知通りわが国産業の中核をなすもので、工場数においても、雇用人員についても、生産能力についても、これが健全にならなければ、わが国産業のいわゆる柔軟性と、基盤は確立しない。そこで通産省におかれては、今中小企業庁なんかでおやりになつておるような、失礼だが千四百万円くらいの予算で、統計とつたり、パンフレットをつくつたり、それから診断はするが、診断のしつぱなしである。私も大体において診断状況は知つております。一々実例をあげることは不愉快であるから私は言わぬだけで、小笠長官より私の方が現状に即してよく知つているかもしれない。あえて言わぬだけなんです。そこでそういうふうなお互いに不愉快なことはこの時節に言わぬことにして、一体中小企業対策というものは、別に私は拔本的な方針をとらなければならぬ、こう思うのですが、通産省の御意見はどうですか。
  25. 首藤新八

    首藤政府委員 御指摘通り中小企業盛衰いかん日本経済盛衰を左右すると申してもあえて過言でないほど、中小企業役割というものは重要性を持つておることはよく認識しておるわけであります。従いまして、これが振興につきましては、今日までいろいろの面から格段の熱意を持つておるものですが、帰するところは金融であります。結局金融を十分につけるということが中小企業指導の最も効果的な対策だと考えまして、今日まで御承知通り中金あるいはまた国民金融公庫その他一般市中銀行に対しましても、信用保險あるいは見返り資金というふうな融資によりまして、できるだけ円滑にこれが運びまするよう勧告をして参つておるのであります。しかしながらこれも程度の問題でありまして、これが全般的に中小企業全部が金融に困らないというようなことになりますれば、一つは国家的財政のインフレを起すおそれもありますし、またそれによつて生産が非常に上昇いたしますれば、これが輸出の方に消化いたしますればともかくでありますが、さもない限りはかえつてそれによつてデフレを起すというふうな関係もありますので、そういう点を兼ね合せまして、愼重に検討いたしまして、できるだけ金融の面を促進いたすような方針を進めて参つておるのであります。ただしかし何分にも中小企業企業体の数が非常に多いのと、しかも業種が多岐多端にわたつておりますので、全般的に考えますと、中小企業は依然として中小企業レベルを出ないというような感じがいたしておりまして、非常に遺憾に存じておりまするが、以上申し上げたような趣旨によりまして中小企業の振興に対しましては、今後も格段の対策を講じて参りたいというふうに考えております。
  26. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は本法自分提案者でありますから、本法の細目について質問しようとは思いませんが、行政庁がこれを取扱われるについて、取扱い基準についてこれから詳しい質疑をなしたいと思つたのですが、共産党の諸君からひとつわれわれにやらせろ、こういうわけですから、あとは共産党の諸君の激しいところにお譲りして、ひとつ眠けをさますのもよろしいと思います。ただ今政務次官は、中小企業の問題は金融の問題だと言われたのでありますが、これは御存じの通り金融も大切ですけれども、金融専門店をせつかくつくつても、実情は預金の吸収機関で貸付機関にならぬ。これはまた市中金融機関としては、窓口で受付けて、窓口で拂つておるこのやり方は、預金の性格からいつて、信用力と経営能力について疑問を持つものに対して、政府の保証がない限りは実際は困難なんです。それで私は本法が制定されて、幾らか助かるところは、設備の問題だと思うのです。私は特に政府におかれて考えておいてもらいたいこと、また立法府においても、考えておきたいと思うことは、中小企業に対する別な対策を拔本的に立てておく必要があるのじやないか、その形が中小企業庁行政を委任するということであつても、別な機関でも、それは少しもさしつかえないが、とにかく中小企業というものはきわめて大切だ、この点をひとつあなた方においてよく考えておいていただきたい。立法府においてもよく考えてみますが、とりあえずそれができるまで、中小企業に対する診断並びに勧告というふうなものが、今の千四百万円くらいの予算規模で能事終れりとせずに、少くとも私は中小企業の問題は、十億や二十億の予算をもつて抜本的な解決をしなければならぬ。これはひとつ行政を担当しておられるあなた方において考えていただきたい。私どももよく実情に即して考えて、いずれ立法府と行政府と協議することがあると思う。  あと詳しい取扱いについてひとつ質問して、将来遺憾なきを期したいと思いますが、風早君の御質問があるようですからお譲りして、私の質問は留保しておきます。
  27. 中村幸八

    中村(幸)委員 ちよつて関連して、ただいま中小企業診断の問題につきまして、いろいろ西村委員からご質問があつたのでありますが、私はこれに関連いたしまして、原單位の改善の問題でありますが、第十一條を見ますると、企業合理化促進するために原單位の改善に関し必要な指導あるいは勧奨を行うという規定がありまして、たいへんけつこうと思いまするが、この原單位の改善を進めて参りまするには、その前の十條の原單位に関する報告を事業者から徴する、こういうことはぜひとも必要となつて来ると思うのであります。ところが事業者といたしましては、いろいろ事業上の秘密もあり、あるいは競争意識というようなものもありまして、はたして円滑にこの報告を徴することができるかどうか、この点をたいへん憂えるものであります。何かこの点について適当に業者を指導するなり、報告の円滑なる施行についてお考えがあるかどうか、この点を提案者でもまた政府側でもよろしいが、御答弁願いたいと思います。
  28. 石原武夫

    石原説明員 十條に今お話がございましたように、原單位の報告を徴する規定を設けておりますが、これの運用といたしましては、さしあたりは重要な基礎的な産業から始めて行きたいと考えておりますが、御承知のように従来から通産省合理化審議会というものを設けまして、主要な業種につきまして過去一年半以上にわたりまして、いろいろ業界の関係者にお集まりを願つて問題を検討いたしておりますが、そうした機会もございまして、主要な産業につきましては、その会合の都度におきましても、いろいろ現在日本における原單位がどうなつておるか、あるいは海外における事情はどうなつておるか、従つてそれを改善するのには、いかにすべきかというようなことを従来から研究しておりますが、その実例に徴しましても、主要な産業につきましては、さしてかような原單位を出していただくことは困難ではないだろうというふうに考えております。従来合理化審議会等におきましても、業界に非常な御協力を得ておりますので、さしあたりわれわれが予定しておりますような主要業種につきまして原單位を出していただくということは、円滑に行き得るというように考えております。
  29. 小金義照

    小金委員長 それでは午前中の審査はこの程度にいたしておきまして、休憩いたします。午後は大体二時ごろから再開いたす予定でございます。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時四十四分開議
  30. 小金義照

    小金委員長 ただいまより休憩前に引続いて会議を開きます。質疑を継続いたします。風早八十二君。
  31. 風早八十二

    ○風早委員 本法案は時節柄きわめて重大なる意義を持つておるものでありますが、この法案作成にあたつてどういう経過があつたかはわかりませんが、提出者の顔ぶれを見ますと、自由党、民主党並びに社会党右派のそうぞうたる幹部の諸君の顔ぶれが並んでおります。しかしながらこれには社会党の左派、労農党及びわが日本共産党は全然入つておらない。これはどういういきさつだかよくわかりませんが、社会党の左派や労農党等に対してこの法案の作成なりにあたつて御相談なすつたのでありますか。この点をちよつとあらかじめお尋ねしておきたいと思います。
  32. 中村純一

    中村(純)委員 ごの法案は実は自由党といたしまして、かねがね相当以前から研究を進めて参つてつたのであります。その途中から民主党、社会党からもお話がありまして、御相談申し上げたわけであります。当時社会党は一本であつたわけでありますが、途中において二つにわかれた。本委員会といたしましては、いわゆる右派の方が委員に出ておられるのでありまして、左派の方面にも、当時一本であつた委員会の社会党の委員の方からも御連絡があつたことと推察いたしておる次第であります。
  33. 風早八十二

    ○風早委員 あまりこの問題で時間をとるつもりはないのでありますが、この提出者の顔ぶれを見ますと、必ずしもこれは通産委員というような狭いものではないのでありまして、それぞれの党の最高の幹部の人たちが相当並んでおるわけであります。社会党の右派の諸君は相当これは網羅されておる。しかるに社会党の左派、これは分裂後の社会党の左派に対しまして、どうも働きかけがあつたとは今の御答弁からしても認められない。また労農党については御返事がないところを見ますと、やはり別に申入れもなかつたように思われる。もちろんわが党に対しては何ら聞いておらない。これはきわめて重大なる関心を持たなければならない法案でありまして、われわれも議員提案となればあらかじめ何らかの御相談があつてしかるべき問題であると思います。内容いかんによつてはわれわれはこれに対してまた協力するにやぶさかでないことは実績が示しておると思うのであります。おそらくこれは社会党の左派や労農党あるいは日本共産党、こういういわゆる青々票組の連中は、どうせこれを話しても聞いてはくれまい、もう最初からおそらくこれに反対を予想して提案されたものというように考えることもできる節があるのであります。そういう点についてはひとつざつくばらんに、なぜそれらの政党に対して——特に労農党や共産党もおります。またその他の小会派もおります。こういう顔ぶれの並べ方から見ますと、これは相当全会一致的な、つまり各党の責任ある幹部諸君を網羅される形をとつておられるところから見て、ちよつと片手落ちのように考えられるのでありますが、このこはこの法案の実際の審議にあたりまして——皆さん方は、ほとんどここにおられる実際の顔ぶれは、全部この法案には今まで関係しておられた。しかるにこういう人たちが主として御質問に当つておられる。実に珍妙なる光景を午前中は拝見したわけです。われわれきよう初めてこの法案を受取つて、きよう初めて説明を伺つて質問しなければならない、最も質問しなければならない不審だらけの者が、質問の機会がなかなか出て来ない。こういつたようなことでありまして、これは大体提案者としては本気でこの国会を通されるつもりであるのか、もちろんすでに絶対多数を持たれる自由党がさらに民主党なり社会党右派なりの協力を得ておるわけでありますから、数からいえばもちろん問題はありませんが、どうせ出すならば、もう少し議員提出としてはお考えがあつてしかるべきではなかつたかと思うのでありますが、こういう点については、提案者は別に何ら御所見はないでしようか。
  34. 中村純一

    中村(純)委員 いろいろ関係方面との折衝その他に手間どりまして、しかもどたんばにおいて急に決定をみたような関係もありましたために、時間的にいろいろ不十分な点もあつたかと思いまするが、各派の反対を予想して云云ということは毛頭ないのでございまするから、何とぞ愼重御審議をいただきまして、すみやかに御賛成いただくことをお願い申し上げる次第であります。
  35. 風早八十二

    ○風早委員 この法案作成の過程について吟味することは、これ以上は差控えたいと思いますが、われわれとしては、はなはだ遺憾に考えております。これは非常に重大な関心があることで、われわれもかねがね電力その他についてその合理化問題については考えており、所見も述べておるはずでありまして、その内容は非常に重大な関係のある問題であります。これについて何かそつと、数は多数であろうとも、一部の方々だげがどこかで相談されて出て来たということについては、はなはだ遺憾の感情を持たざるを得ないわけであります。しかし内容の審議にあたりましては、もちろんそのことは私は別に頭に置くようなけちなつもりはない。これは問題はそういうような形式の問題ではないのでありまして、やはり内容自身が、そういう手続の一つの抜けがあるというところと関係しておるということだけは、これは争えないことであると考えます。  そこで内容についてまず第一にただしたいことは、大体この法案趣旨によれば、技術の向上なりあるいは機械設備等の近代化というようなこと、あるいは原單位の改善、いずれも抽象的に、みなきわめてけつこうな趣旨でありまして、抽象的にはこういうことは日本に最も欠くべからざることであつて、われわれも同感でありますが、ただ現実に今のあらゆる他の條件と、総合して、はたしてこの趣旨従つてつたことが、今日いかなる結果を持つかという観点から、二、三質問をしてみたいと思います。  まず軍需産業と民需産業——これはもちろん個々の工場について両者をかねておるのが普通でありますから、抽象的にしかわけられません。しかしながら抽象的には軍需向きと民需向き、あるいは特需といつてもいいでしよう。新特需といつてもいいでしようが、そういう軍需とほんとうのそれ以外のものとの区別はあるわけであります。同一経営の中でもこの二つの区別はあるわけであります。その見地から見まして、はたしてこの法案がそのいずれをねらつておるか、もちろん差別はしないと言われるでしようが、実際問題として、これは今日の日米経済協力の大きな線を、もしも提案者が前提とせられる限りは、これらの差別が重大な問題になると考えるのであります。そういう点でどういう保障が平和産業の面に対して與えられておるか、この点をひとつ答弁願いたいと思います。
  36. 中村純一

    中村(純)委員 今御質問の中のお言葉にもあつたように、実はむろん軍需物資とか平和産業とかという区別は毛頭考えておらないのであります。要するにこの日本産業が特に技術とか機械設備等の面において、過去数年間の空白期間のために、世界的な水準から見まして、はなはだ老朽しかつ非能率的なものになつておるのでありまして、私どもはこの講和條約の成立に伴いまして、どうしてもこの日本の経済が世界的な水準において十分に自立し得る態勢を確立することが絶対に必要であると考えておる次第でありまして、その目的を達しまするために、日本の重要なる、いわばキー・インダストリーとでも申すべきものにつきまして、すみやかに日本産業の若返りと申しますか、近代化と申しますか、その目的達成をはかりますために、かような法案を考えたわけでありまして、軍需物資とか何とかいう事柄を特に考慮しておることは全然ございません。
  37. 風早八十二

    ○風早委員 提案者の一人である中村さんは、もちろんそういうお考えであるかもしれませんが、実際において、これは客観的に冷静に見まして、今日成行きにまかせれば、特別な措置を講じない限りは、日米経済協力というものが今日の経済政策の根幹をなし、これが至上命令として出て来ておることは御承知通りです。その立場から見ますと、どうしても軍需産業にすべてが偏重する。これはすでに軍需産業に対する特典は、融資を初めいろいろな形で出ておる。見返り資金の運営の実情を見れば一目瞭然であります。そういう点から見て、さらにまた積極的にその施設改善の名において、またまた事実上軍需産業にのみその特典が付與せられるという結果になるという危険性は多分にあるわけです。あなたが提案者として主観的にはどう考えられようとも、そういう危険性は多分にあるわけです。そういう点で平和産業に携わる者として、あるいはその労働者として、あるいは日本全体の産業の将来の行き方を平和産業に求めなければならぬと考えておる国民の部分としては、これは重大な深い関心を持たざるを得ない。そういう危険性は少くともある。これは私は危険性という非常に控え目な言葉を使つておりますが、事実ある。その点についてもやはり法文上の保障がなければならないと思うのでありますが、そういう点については御考慮はないわけでありますか。
  38. 中村純一

    中村(純)委員 私の主観的な意見というふうにお話がございましたが、私はこの法律提案者の一人として、この法律の解釈に関しまする客観的な考えを申し述べたつもりでございまするが、ただいまの御質問の御趣旨の点は、これは広い問題としてそれを考えます場合は、ひとりこの法律のみに関する問題ではないと思われるのでありまして、もつと広い立場と申しますか、見地からの日本産業指導上の方針に触れて来る問題であると思うのであります。従つてその点については、あるいは政府当局から話をされることが適当かと思うのでありますけれども、私の考えまするところでは、政府としましても、また與党である自由党といたしましても、決してさような軍需偏重とか何とかということは毛頭考えていないと私は考えるのであります。わが国の経済全般の向上発展を目的とした経済政策をとり、また本法律の運用もさような見地からされるものと私は確信をいたしておる次第であります。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 これについては今日今後の質問の中で、さらに詳しくお聞きしておきたいと思いますが、少し具体的に問題を出してみたいと思います。この試験研究者に対する補助金の交付等という項目で、第三條以下規定がありますが、この試験研究を行う者の範囲、その適用基準、これをどこで一体取扱うかという点はどういうふうになつておりますか。
  40. 中村純一

    中村(純)委員 この第三條に掲げておりまする内容といたしましては、この技術の研究また工業化試験、さらにまた新規の機械の試作等のことがその対象となつておるのでございますが、これは今日でも実はすでに実行いたしておることでありまして、今後この法律根拠を置きまして、さらにこの技術の研究、工業化試験、また新規機械の試作、かような方面を推進をいたして参りたいという考えで、この條文が制定をせられておるのでありますが、今日やつております実情等につきましては、政府側からお答えをした方が適当かと思います。
  41. 石原武夫

    石原説明員 試験研究の補助金につきましては、この三條に書いてございます鉱工業等に関する技術の研究と、それから工業化試験、この二項目につきまして、二十六年度につきましても合計四億五千万円の予算をもちまして補助金を交付しております。これが交付をいたします場合に、各民間からの申請を集めまして、いろいろ検討して出しておるわけでありまするが、そういうものを出します基準と申しますか、かような試験研究につきましては、各製品の質の問題、いかなる質ができるか、あるいはコストの低下の問題でありますとか、そうしたいろいろ研究の内容につきまして十分検討いたしまして、通産省といたしまして、各それぞれ担当のところで検討いたしました結果に基きまして、具体的な申請に基いて補助金を出すという方法でやつておりまして、今後も同じような方法によりまして、補助金を継続して、新しい研究の助成をはかつて行きたいというふうに考えております。
  42. 風早八十二

    ○風早委員 試験研究者の解釈いかんによりまして、幾らでもこれで減価償却なりあるいはその他固定資産税についても、所得税についても、いろいろな特典がそこから生れて来るわけであります。これは非常に重大な本質的なかなめがあると思うのです。そういう点で、その基準たるべきものが、私ははなはだ明確を欠いておるのではないかと思う。先ほど軍需と民需というふうなことを申しましたが、これもこういうところでやはりけじめけじめでもつて、その基準について客観的に明確なものが示されなければ、非常な不安定な——不安定という意味は、平和産業にとつては非常な不安定な法案になつて来る、非常に不安定な結果が生れて来るということになると思うのであります。そういう点で、一つ一つこのけじめになる規定について、そういう平和産業に対する保障というものがわれわれは望ましい、そういう点では政府としてはどういう基準をとつておられるのか、これはこの際もう少し客観的にわかるように説明をしていただきたい。
  43. 石原武夫

    石原説明員 先ほど言葉が足りませんで、はなはだ恐縮でございますが、今やつております補助金基準について少し具体的になりますが、御説明を申し上げたいと思います。基準といたしまして、第一には、試験研究の成果が新しい技術を生み吊し、それが従来の技術水準を凌駕しておるかどうかということの判断をいたします。しかしてその次にその新技術わが国の立地條件あるいは資源その他に適応しておるか、日本のいろいろ與えられおる條件にそれが合つておるかという点を一つ内容といたしております。それからその次にその新技術につきまして、さらにそれの基礎となるべき研究というものが十分にできておるかどうか。従つてそれに基く新技術というものが十分成果が上り得るかどうか、それからその次は試験の計画あるいは試験の方法というようなものが妥当であるかどうか。その次に実施をする側の條件といたしまして、そうした試験をいたしますのに技術的な陣容がそろつており、従つてその試験を完成する能力が十分あるかどうか、さらに試験をいたすにつきまして、相当の経費が必要となる場合が多いのでございますが、それらを自己で負担すべき能力があるかどうか、それから試験の遂行をいたします期間の問題で、非常に長期間かかるものではなく、相当の期間内にその成果が上り得る見込みがあるかどうかというような点を一応の基準にいたしまして、具体的な判定の審査に当つておるわけであります。
  44. 風早八十二

    ○風早委員 今基準を示されたので、大体のことはわかりましたが、ここに示された基準というのは、直接その技術面における、あるいは経費面における基準でありまして、その前に、私が先ほどから問題にしておりますのは、軍需と民需との区別を前提として申しておるのであります。民需産業についてもまつたくこれらの基準に合いさえすれば軍需とは何らの差別はないのだ、先ほどの提案者の御趣旨はそうであると思うのでありますが、しかし実際問題として、少くもこういうものが競合した場合、いずれをとるかということについては、他のいろいろな面ではおのずから順位ができておる。そういう点で、特に平和産業をあとまわしにしないのだというような点に関して、その基準のもう一つ前の基準というようなものについてはどうお考えになるか、またそれについては、どういうところでこれがはつきりしておるということを、この法案そのものについて示してもらいたいと思う。
  45. 石原武夫

    石原説明員 今のお尋ねは、先ほど申しました基準のもう一つ前というお話でございますが、その点につきましては、先ほど中村委員からお話がございましたように、一応わが国産業の発達をはかるために、国内資源の活用でございますとか、産業の発展あるいは貿易の進展、国民生活の同上というような見地から、どうした試験研究に補助金を出すのが最も適当かという判断でやつておりますので、その内容が平和産業的であるか、あるいは軍需産業的であるかということは別に考えておりません。これは先ほどお話のありました通りで、そうした点によつて区別はいたしておりません。  なお今申しましたような点に関しまして、本法律上その点がどこかに何か明らかになつておるかという点につきましては、ただいま保障という意味のお話でありましたが、何か法案としてそれらの点について明確になつている点があるかどうかというお尋ねであるといたしまするならば、今申しました基準等につきましては法案には書いてございませんので、これは従来やつておりましたような運用と同じような方法でやつて行きたいというふうに考えております。
  46. 風早八十二

    ○風早委員 そういう基準のもう一つ前の基準と私が申しましたことについては考えていないという御答弁でありますが、考えていないというのは、そういう差別は最初から考えていないという意味だろうと思いますが、しかしそれは一見公平なるかのようにして、事実はまつたくその逆なんです。われわれは率直に言つて日本産業一般ということが今日問題になるのではなくして、いかなる方向日本産業構成を持つて行かねばならないか、いかなる方へ助成をしなければならないかということが、同じ産業の復興にしても合理化にしても問題になると思うのです。そういう点でいくら合理化をやるといつても、やれ大砲をつくる、軍艦つくる、またいろいろな爆薬物をつくる、そういう点にいくらこれで金を投じ、技術の改善をしても、その結果は結局日本にとつて利益じやない、非常な危険である。こう考えておる者は国民の中にも相当あるわけです。そういう立場からすれば、それを全然やめるということは一応言わないにしても、それに対して考えていないということは、結局事実はそういうことになるわけです。それに対して平和産業は十分に保障するという一札がなければ、これは一見そういう点に触れないという形において、事実は平和産業は無視せられるという結果に陷らざるを得ないと思う。そういう点について提案者並び政府はどう考えておられるか。
  47. 中村純一

    中村(純)委員 先ほどからの御議論によりますと、軍需産業、平和産業というはつきりした区別が何かあるような前提でのお話のように承れるのでありますが、わが国といたしましては、今武器をつくつておるわけではございませんので、軍需産業というものがあるのかないのか私にはよくわからないのであります。さらに言いかえれば、私はわが国には平和産業があるだけだと思うのでありますが、ただつくりました品物が国内において需要せられるものもあるし、あるいは外国に輸出せられるものもあるかと思うのであります。日本の経済自立ということから考えますならば、国内の需要に応じますることもに、輸出品の製作ということは、これは非常に重要な題目であると思います。内外の需要に応じて優秀なる製品を廉価につくつて行くという見地におきまして、この法律の運用をはかつて行くものとわれわれ提案者は考えておりますし、政府も同様な考えだろうと考えるのであります。
  48. 風早八十二

    ○風早委員 政府が答えられるのをまたないで私は今提案者答弁に対してさらにお尋ねしたい。一体今日本で軍需品をつくつていない、軍需と民需との区別が、区別にならない、そういう認識でこの法案を提案されたとすれば、これはゆゆしき問題だ。たとえばビクター・オートは何をつくつておるか、東日本工業は何をつくつておるか、あなたはそれを御承知ないのか、その辺の江東地区あたりの町工場もナパーム爆弾くらいはつくつておる。これは軍需品でないでしようか。その他日本の大機械メーカはいくらも軍用機の部品をつくらされている。これは軍需品でないのですか。今日これという目ばしいところではほとんど軍需品をつくつておる。ことにいわゆる戦略物資、これはたとえば中国などに送つてはならないといわれる物資ですが、輸出貿易管理令の附則についておるあの実に数え切れないほどの戦略物資、それが直接たまになるとか爆弾になるとかいうことを意味するものではありませんが、ほとんどすべてがやはり軍需品に準ずるものなんです。こういうものが日本でどんどん今つくられておる。そういうものをつくるためには合理化の名においてそれに対する設備資金には補助金が與えられる。しかしながらそうでない、日本の国民が必要であるものをつくる群小の工場におきましては、そういうふうな便宜はないということになつては困る。私はそういうことについてももちろんこれはやめてもらいたいという意見を持つておりますが、これを一応預かつても、とにかく平和産業も少くとも対等にこの基準に照して当然その恩典にあずかるべきであるが、その点について安心の行く規定がここにないのであるが、これはどうしたのか。これはぜひほしいものだということをいつても、今日軍需品がないとか、そういう御認識で提案されたとすれば、これはまた話は別なんで、もう少し認識を改めていただいた上で、今の点についてどういう——それはとにかくいいから、平和産業についてはつきりした保障を與えるというように、そういう御趣旨條文をこの法規の中に入れられるだけの誠意があるかどうかということについて御答弁願いたい。
  49. 中村純一

    中村(純)委員 先ほどから政府側から申しておりまするように、一定の基準をもちまして、これに該当するかどうかの判断を下して行くわけでありまするが、できまする品物は国内に需要せられるものもありましようし、あるいは輸出向きになるものもあるかと思うのであります。しかし私どもは政府としても同様だろうと思いますが、先ほど申し上げましたような基準根拠いたしまして、具体的適用の判断をいたして行く考えであるのであります。
  50. 風早八十二

    ○風早委員 その点に関する御答弁がこれは最も大事な点でありますが、まつたく不満足であることだけを申し上げて次に移りたい。  「国の所有に係る機械設備等を国有財産法の定めるところにより貸與することができる。」ということになつておりますが、ここにまた非常に問題がある。これもまた私が令出した第一の問題、軍需と民需の問題に至大な関係がある。日本産業をこれから合理化し、優秀なものにして行くということは、抽象的にはきわめてけつこうなんです。われわれもまたその点では賛成なんだ。しかし現実においてどういう方向にこれが持つて行かれるか、この根本が間違つて来ていてはそれに金をつぎ込めばつぎ込むほどとんでもないところに日本産業が持つて行かれるというようなふうでは、その結果は実に恐るべきものである。この「国の所有に係る機械設備等を国有財産法の定めるところにより貸與する」、この問題の実例として、たとえば軍工廠などの拂下げ問題が現に起つている。四日市の燃料廠、これの拂下げ問題などについては一種の争奪戰が起つている。こういうふうな点で通産当局としても何かお考えがあると思うのであまりすが、これはどういうことになつておるか、まずこの四日市の燃料廠の拂下げ問題などについての現状です、どこにこれはおちつくことになつておるかこういうことをまず通産当局からお答え願いたい。
  51. 石原武夫

    石原説明員 ただいまの御質問は四日市の旧海軍燃料廠、それが今拂下げ例題等がどういう経過になつておるかということだと思いますので、その点についてお答え申し上げます。四日市り海軍燃料廠は目下たしか七社か八社かと思いますが、全部石油会社でございますが、石油会社からあの施設を借り受けて石油の精製に利用したいという希望が出ております。今拂下げ問題というお話でございましたが、御承知のように現在まだ賠償指定になつておりますので、ただちに現状においては拂下げという問題が不可能でございますので、現在としては借り受けるという申請になつております。それで今たしか七社前後と思いまするが、それの申請が出ておりますので、大蔵省及び通産省でどこにその施設を貸與すべきかということを愼重に検討中だという段階でございます。
  52. 風早八十二

    ○風早委員 この種の問題はこれとまつたく類似した関係が今度のこの試験研究等についてもやはり出て来るわけでありまして、それでありますから試験研究を行うものの範囲適用基準というものが依然として問題になるわけです。この点で結局先ほどの通産当局から示された七つの基準を見ても、大体われわれは想像がつくのでありますが、これらはきわめて大きな企業、相当の巨大な資本を持つた大きな企業に限られる。しかもこれが現実においてみな軍需的な任務を持つている。この拂下げ問題などは、おそらくこれからはどんどんと起つて来ると思います。そういう点について非常な疑問というか、いろいろ危慎を抱かざるを得ないのでありますが、われわれはどうしても通産当局としてはもしもほんとうに公明正大であるならば、進んでこの平和産業の確保ということについては格段の優位性を認めるというような一札を入れる必要があると思うのでありますが、こういう点についてさらにはなはだくどいようでありますが、通産当局の率直な御意見を伺いたい。
  53. 石原武夫

    石原説明員 ただいまの和話は、あるいは多少今後の問題として危惧があるというふうにもちよつと承りましたが、現状におきまして先ほど来問題になつております補助金を出しております品目は、これはあとで資料として差上げてもけつこうでありますが、それをごらん願えますればはつきりいたしますように、今御懸念がありましたような軍需的なものには出ておりません。一例をあげますれば、第一に載つておりますが絹、人絹の自動織機の製造、発電用ガス・タービンの製造でありますとか、あとたくさんありますので一々申し上げませんが、あと資料でごらん願えればおわかり願えると思います。いわゆる今お話のような平和産業的なものに全部出しております。今後の問題にあるいは危惧があるのだという御説かとも思いますが、その点につきましては、われわれとしても特に従来やつておりますように、日本産業全体が発展向上すると輸出も増進するというような見地から、今後の運用をもちろん考えて行くつもりでありますので、さよう御了承願いたいと思います。
  54. 風早八十二

    ○風早委員 その点は政府としては懸念はないというような趣旨の御答弁でありますが、実際懸念のない、その保障が與えられておらないということは依然としてまだ解決しておらない。  そこでその問題は一応頂けて次に進みますが、この予算範囲内で、これは第三條でありましたか、予算範囲内において補助金を交付するというのがあるわけです。これは大体どこもそういうふうな規定になつておりますが、その予算範囲内という、その予算はどういう予算であるか、これは中央予算だけのことですか、あるいは特定の省の予算でありますか、通産省なら通産省予算であるか、あるいは特定費目のここであがつておるだけの四億五千万円なら四億五千万円の範囲内というだけの意味であるか、この点はいささか明確でないと思うのでありますが、その点はひとつはつきり……。
  55. 石原武夫

    石原説明員 今の予算範囲内という字句は、これは例文でみなこうなつておりますが、第三條は、頭が主務大臣と書いてございますので、国の出します補助金で、国の予算に限られるわけでございます。この規定といたしましては、国の予算というふうにお考えを願いたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたように二十六年度といたしましては合計四億五千万と申しましたが、本年度といたしましては四億五千万の範囲内ということでございます。明年度予算がどのくらいになりますかまだわかりませんが、明年度につきましては、きまります明年度予算範囲内というふうになりますので、費目は現在はたとえばここに書いてありますように、鉱工業等に関する技術の研究のためとか工業化試験の補助金というような現在の予算費目に載つている費目に該当するわけであります。
  56. 風早八十二

    ○風早委員 現在までのこの技術科学研究費のような費目はこれとは別になるわけですか。
  57. 石原武夫

    石原説明員 お尋ねの科学技術に関する補助金で、他の省、たとえば厚生省でございますとかいうところに予算として計上されているものにつきましては、そのうちここに書いてありますように鉱工業等に関する技術の研究とか工業化試験とか、こういうようなものに該当しますものがあれば当然この中に入りますし、基礎研究的なもので、鉱工業技術に関するというようなものとまつたく関連のないものは入らないということに相なると思います。
  58. 風早八十二

    ○風早委員 今日大学の科学技術の諸研究室であるとかあるいはまたいろいろな試験場であるとか、こういうところで幾多の優秀な科学技術者の研究が金のないためにできない。もう電力料金でも上れば、なおさらもうそれですつかり一年分がふいになるというような、そういう状態で非常に困つているわけです。そういう点で、学術研究会、日本学術会議などからも常に強硬な予算の要求があるわけですが、そういうのはいつもなかなか実現しない。そういつたような基礎的な研究がまず私どもは先決問題ではないかと思う。ほんとうに日本工業の基礎を固めて行くためには、そういつた基礎的研究が必要じやないかと思う。また産業の面にしましても、たとえば蚕糸試験場というふうなところで、これは本国会に対してもいろいろな陳情も常にあるわけですが、そういうところで人員をさらに減らすとか——これはもう蚕糸試験研究などは、どんな若い人でも五年、六年たつている。五年、六年くらいはあそこでみつちりやらなければ少しもものにならない。しかも世界的に見ても、これはもう最高度な試験研究の水準に達している。この上これをさらに突破して優秀なものにするためには、そうしてナイロンなどに対抗するためには、どうしても新しく金をもらつて設備を充実しなければ、自分らの力があつて技術能力があつても、事実設備がないためにやれない。こういうふうなことで非常な苦痛を訴えている状態なんです。そういうところに対して、やはり当然研究費というようなものが補助費なり何なりの名目で與えられてしかるべきだと思うのですが、そういう点とこの予算とがどういう関係にあるかということを、私はもう少しその関連をはつきり聞きたい。つまりこれらの方へ直接——私から言わせれば、一つ日米経済協力の線に沿つたという企業合理化なる補助金の支出が、かえつて今までの基礎的な諸研究の機関に対する補助というふうなものに対してマイナスになるということであつては、これは何もならないと思うのですが、そういう点については、その関連はどうなつているか。もう少し明確に御説明を煩わしたいと思う。
  59. 石原武夫

    石原説明員 こうした試験研究に関するような、あるいは学術研究等に関していろいろ国の予算補助金が計上されておりますが、それはおのおの各省の所管に応じて計上されております。たとえば文部省でありますとか厚生省あるいは通産省、農林省というように、おのおの所管に応じて予算が計上されているわけでありまして、その間の調整は、これは大蔵当局が予算を編成される関係はもちろんあるわけでございますが、総理府に科学技術行政協議会というのが設けられておりまして、そこでこの各省にわかれております、あるいは内容等もわかれております各種の補助金について調整をしているわけであります。ここでこの法律で取上げましたのは、そのうち企業合理化関係のある部分だけを取上げましたわけで、その以外に今お話のような基礎的研究というようなものは文部省予算に載つておりまして、それぞれその省の所管に応じて補助金が出ているわけであります。ここで申し上げましたのは、企業合理化に関する部分について法的根拠を與えるという意味でここで取上げたというわけであります。
  60. 風早八十二

    ○風早委員 さらに今の予算範囲内という点について、予算範囲の許す限りにおいては、合理化理由として、それに関連する道路であるとかあるいは港湾であるとか、これが事実は軍用的な道路になり、あるいは軍港の施設に関連して来る、たとえばドック方面の設備というような場合にはこれがすぐ現実問題になると思いますが、そういつたようなところまでこの範囲が——今度は内容の問題でありますが、範囲が広がり得るのか。こういう点はすでに土木建築と書いてありますが、非常にこれは広い産業の名称でありますが、具体的に言つてそういうものにまで補助金がまわつて行くという可能性は当然與えられているわけですか、実際問題としてどうお考えになりますか。
  61. 石原武夫

    石原説明員 ただいまの御質問は、この法律案の第四章第八條でございますが、「産業関連施設の整備」というのがございまして、ここに道路港湾等が載つておりますが、これに関する御質問かと思いますのでそういう趣旨で御答弁を申し上げてよろしいですか。——これは八條に規定を見ておりますように、企業合理化に必要な道路、港湾施設あるいは漁港というものの整備に関するものでございまして、これは従来とも国の公共事業費で道路港湾を整備いたしておりますが、その際に一部こうした産業的な見地からも道路港湾についての国の補助を出しているわけです。それに関する規定をごとに設けましたので、ここに出ております部分は産業的な見地からそうした港湾の整備あるいは道路の整備が必要だという場合に限られるわけでございまして、一般的に軍需関係の道路とか軍港というようなものは当然関係がないことになります。現に道路等は一番産業的という意味で国が補助しておりますのは、主として鉱山の道路でございます。これは石炭初め各鉱山の道路というものは非常に辺鄙な所にありますので、その開発の関係上必要な道路には補助を出しているというようなことで、産業と密接な不可分の関係にある特別のものに限るというような趣旨でございます。
  62. 風早八十二

    ○風早委員 それは一応御説明としては承つておきますが、実際問題として、それが産業道路であるといつても、それは必ずしも、そういう名称をつけられて、それで産業道路になるわけではないのでありまして、その点は非常に問題があるのでありますが、とにかくここでは、道路というようなものについても、その基本的な補助すべき施設に関連のある限りはそれに対しても補助を及ぼして行くという内容であるということを一応了解しておきます。  それから次に試験研究を行う者に対する補助金の問題に関連して、現在これも日米経済協力の一環でございますが、技術提携の名において外国から盛んにパテント——をこれはむしろ押しつける。あるいはその他技術を売り込むというような事実が至るところで現われておる。これが実際外資の導入の主要な一つの形になつておる。そういう技術研究に関しても、もちろん本法案はこれを対象にしておられると了解してさしつかえありませんか。
  63. 石原武夫

    石原説明員 ただいまお話がありましたような、外国との提携で新技術を入れるというようなケースはいろいろございますが、さような場合は、そうした技術を新しく研究するのじやなくて、外国の技術を導入するということでやつておりますので、さようなものにはこういう補助金は全然出しておりません。
  64. 風早八十二

    ○風早委員 本法案に関して言つておるわけでありますが、具体的にそういうものはこの法案の第二章の中には含まれておらない、除外されておるということはどこではつきりさしたらいいのですか。今除外されておるというような御趣旨であつたのですが、今まではそういうものには出しておられなかつたことはこれは一応了解しますが、ここでは何らそういつたような区別は認められない。のみならず、先ほど補助金基準として上げられた七つの項目を見ましても、これもまた基準の前提がはつきりしないので、やはりこれは不明のままで残されておるわけです。そういう点で、いわゆる技術提携で向うから押しつけられたような技術、これをさらに実際工業化するために施設がいる。いろいろ金がいる。それに金を出されるということは今までなかつたと言われますが、今後この補助金がそちらの方へもまわるということがあるのかないのか。ないとすればその保証はどこの條文でわれわれは確認したらよろしいのか。
  65. 石原武夫

    石原説明員 第三條で書いてございますように、技術の研究でございますとか、工業化試験あるいは新規の機械設備等の試作というのが対象になつておりますので、外国技術が入つて参ります場合には、これらの段階はすでに過ぎております。そして今入つております外国技術につきましても、もちろん生産に直結しておるものでありまして、日本国内でかような研究をする場合に補助金を出すということになりますので、外国技術の場合はこの辺の段階はすでに通り過ぎて、ただちに生産に直結するような技術が入つております。ですから当然これの対象にならない、かようにお考え願いたいと思います。
  66. 風早八十二

    ○風早委員 私どもこの法文を見ますと、必ずしもそういうふうには理解できない。技術の研究、工業化試験または新規の機械設備等の試作、これは向うから。パテントが入つて来るだけの場合があるわけです。あるいは単に青写真だけが来るということもあるわけです。そういうものを実際にもう一ぺんここで試験をなさる。あるいは今度はそれに今までの機械設備をみなかえなければならぬという場合がある。むしろまたその機械設備を売り込むために実は青写真が送られて来るのでありまして、その場合にこの新規の機械設備等の試作という規定が十分に当てはまり得ると思うのでありますが、それはどういうわけで除外されておるというように断定されるわけですか。
  67. 石原武夫

    石原説明員 現在外国技術が入つて参ります場合に、パテントもございますし、それからお話のように青写真もございますが、それらが現実に入つて参りますのは、たとえばパテントならばパテントで、そのパテントだけが入れば日本生産ができるとか、あるいはパテントと同時に向うとの技術提携ができておりまして技術者が来てやるとか、あるいは青写真の場合には、青写真さえもらえば国内生産ができるとか、あるいはそれらの製作について、向うの技術者あるいは技術指導があるとかいうことで、純然たる試験研究の段階を経ないとまだ製品にならぬというようなものは実は外国技術としては入つておりません。それは、そういう相当の労賃を拂うか何かしております場合には、必ずそれが十分生産に乗るというような技術が入つておりますので、先ほど申しましたのは、外国から技術が入る場合には、かような段階のものは現在も入つておりませんし、将来ももう少し進んだものが入る、従つてかような適用はない。かような趣旨で申し上げたのであります。
  68. 風早八十二

    ○風早委員 大体通産当局の方針が明確にされたことは十分に了承しました。しかしながら、方針方針として、実際問題としてそういう場合が起り得る。この法文そのものから見ましてもこれは起り得るわけであります。もしもそういう合弁会社なり合弁経営なりが、この條文をたてにとつてそういう申請をした場合に、できないという、そういう保証はないのです。そういう点は法文としてのちやんとしたけじめをもう少し明らかにされる必要があると思うのですが、どうもこの議員提出の法案にはそういうことがえてして多いのではつきりしないのです。そういう点はとにかくこれで大丈夫だというだけでは安心できないわけです。と申しますのは、大きな傾向として、むしろそういうところに重点があるわけですから、そういうところにいろいろの名目で補助が出る。見返り資金が出る。いろいろな国家援助が出る。結局国民負担の増加というものがそういうところへ集中されるという傾向が一般的になつているわけですから、その中で私は論議している。ですから、そういうことがないと言われることは、日本の自立のためにそれこそ文字通りはなはだ喜ばしいことなんですから、その点は、そういうものはこの限りでないとかいうようなことを堂々とはつきり言われることは何でもないと思うのでありますが、それだけの熱意はおありにならぬですか。これは提案者からでもけつこうですからお答え願いたい。
  69. 石原武夫

    石原説明員 ただいまの御心配の点は、われわれとしては従来の例を見ましても、外国技術の導入という場合には試験研究というような段階で入つて来る。あるいは日本において試験研究あるいは試作をやらなければ製品ができぬという段階で入つて来る場合は一応予想されないというふうに考えますので、法文としては一応これでよろしいのではないかと考えております。もし万一かりにそういう場合があるといたしましても、十分今後の運用で、——先ほど来問題になつております基準等で、この辺は同じ問題として考えまして、そういう外国技術が入つて来ながら、なお試験研究をする場合に出すということは、いたさないようにいたしたいと考えております。
  70. 風早八十二

    ○風早委員 では最後に中小企業に対する問題について、一つだけ質問して終りたいと思います。先ほども西村委員が聞いていまして、これは提案者がずいぶんいろいろ聞いておられるので、おかしなことだと思つていたのですが、私がお尋ねしたいのは、中小企業に対する診断という問題です。この診断のための費用というものがここで考えられておる。これは中小企業補助を與えるということとは、おのずから別なんです。ちようど遺家族援護費というものが予算に出ておりますが、これは遺家族の援護とは別ものなんです。大いに援護をするかのごとくににおわした。そしてこの調査というものは、何を目的にするかは別ものなんです。考え方が実によく似ておるのです。中小企業診断といいますが、実際に診断の結果、はたして中小企業に対してもやはり補助金が與えられるのかどうかということについては、何らここでは保証がない。先ほどの政府の御答弁では、業種の選定ということが問題になつておりましたが、申入れのあつた工場予備調査、これは計数の資料をとつて、本調査をして、そうして三、四日これで診断をしてみるのだというお話がありましたが、その診断後の措置、そういつたものが何を意味するのか、私どもにはピンと来ない。しかもこの調査というもの自身が、人手が不足だし、また実際調査をする職員が、行政整理になつてますます人手が不足になる。こういうような、一方で矛属したような政策が、事実政府によつてとられているわけでありまして、そういう現状で、調査そのものもおぼつかないのだが、その調査した結果、はたしてどういう保障が與えられるのか、その先がわからないのであります。その点については、なお政府の御説明を願いたいと思います。
  71. 小出栄一

    ○小出説明員 ただいまの中小企業診断に関する御質問でございますが、ここに中小企業対策の中で、診断に関する部分だけを取上げて、この法案の中に善いてあるのでありますが、今のお話のように、診断をいたしましただけでは、もちろんそれは中小企業対策としては完了しないのでありまして、私どもの方でただいま実施いたしておりまする企業診断と申しますのは、御承知のように、中小企業経営状況をよく調査いたしまして、どこに不合理な点があるか中小企業合理化をどういうふうにやつたらいいかという、一つの健康診断みたいなものをいたしまして、そこに一つの勧吉書、いわば診断書みたいなものをつくるわけでございます。そういたしましてその診断書に基きまして、あとその中小企業合理化なり、あるいは助成をどういうふうに実施して行くかということにつきましては、また別の対策を持つておりまして、たとえば予算上におきましても、補助金といたしまして、中小企業の協同組合の共同施設に対する補助金というものも、約二億円ばかり計上いたしております。また診断それ自体につきましては、この法案にも書いてありますように、予算範囲内におきまして、各地方公共団体に対しまして、中小企業診断指導費というものを、大きな金額ではございませんが、本年度におきまして千四百万円ばかり一応計上いたしております。そういたしまして、中小企業対象となりますものは、今お話のように非常に広汎でございまして、もちろんわずかな人間と経費をもつて、できるだけ能率を上げてただいまやつておるわけでございますが、それにいたしましても、すでに約七千の工場につきまして診断を完了いたしました。この診断を完了いたしました場合以後におきまして、勧告をやつただけで、勧告のしつぱなしにしておるわけではございませんので、その以後におきましてはたしてその企業がどういうふうに立ち直つておるかということにつきましては、随時指導をいたし、また調査をいたしまして、たとえば勧告に基きまして、こういうふうな共同設備が必要であるとか、あるいはこういうふうな金融の道をつける必要があるというような面が出て参りますれば、それぞれ共同施設の補助金という道もございますし、あるいは金融機関に対するあつせんというふうな金融施策の面からいたしましても、いろいろあつせんをいたしておるわけでありまして、それらのいろいろな対策を総合いたしておるわけでございます。ただこの企業合理化促進港案という形におきまするこの法案内容といたしましては、企業合理化という点に重点がございます。関係上、中小企業に関する面といたしましては、ここに診断という面だけを実は取上げて、條文に表わした、こういう関係になつておる点を御了承いただきたいのであります。
  72. 風早八十二

    ○風早委員 たいへんけつこうなお話、なんですが、しかしながらそういうことであれば、これは大企業についても同じであろうと思う。大企業については、中小企業とは比較にならない、手厚い金融その他の措置は別に講じてあるわけです。特別に補助金を出す必要も何もないわけです。むしろ中小企業こそは、そういう道がふさがれておる。あなたが何と言われようと、商工中金があつても、あるいは国民金融公庫があつても、その他保険制度があつても、そういうものはたかが知れておることは、百も御承知だろうと思う。これは中小企業庁長官もおられますから、十分に確認されるところだと思います。あれで日本中小企業が何らの解決を見ないことは明らかである。むしろその中小企業に対してこそ、実際にその技術改善のために——診断は必要でれるかもしれませんが、診断後においと、その必要である資金に対する補助が必要になつて来るわけです。先ほど補助金基準と言われたのを見ましても、試験方法が妥当であるか、あるいは基礎とする研究が十分できておるか、こういつたようなことは、これはいずれの場合でもあり得るわけでありますが、それから先が問題である。技術的な陣容があるか、あるいは経費があるか、つまり資金上能力があるかどうか、あるいはそれが最後には相当短期間にやれる見通しがあるかどうか、こういう結果、ちやんと資格が必要になつて来る。こういう資格のあるところへ補助金をやる。事実は中小企業こそはこういう資格がないのです。しかしながらそこには熱心な経営者、あるいはまた技術者がおつて、そうしてどうにかして立ち直りたい。これは最近私ども実例を知つておりますが、名前はちよつと一応控えますが、東京でも優秀な科学技術者が集まつて、そうして共同経営を始めたようなところがあるわけです。そういうふうな人たちが、十分な高度な能力を持ち、技術を持ちながら、事実は設備が足りないというので、中小工業の悲しさ、どこからも金を借りられない。われわれのところに来て、国民金融公庫から金を借りられる方法はないか、商工中金から何とかしてもらえないかというふうなことを、わが党にまで来なければならないような、中小町工場がたくさんあるわけです。そういうところにこそ技術改善、さらに進んでは補助金ということが必要ではなかろうかと思うのですが、先ほど言われた基準には、これは合わぬのです。合わぬところが問題なんです。合うところは資力もあるし、技術的な陣容も整つているし、短期にやれる見通しがある。そういうことろへさらに補助金を加えるというこの法案のねらいが、われわれには了解ができない。どうしてもこれは大企業に対するいたずらなる偏重、そして中小企業との間のハンディキヤツプをいよいよ大きくして行くという結果に陥る危險があるということを考えるわけでありますが、そういう点についてはこれで十分だと考えておられるのですか。
  73. 石原武夫

    石原説明員 ただいまお尋ねがございました補助金の方の関係について御答弁いたしますが、補助金対象としてここに書いてございますうち、今技術研究と工業化試験と二つやつておるわけでありますが、工業化試験の方は、パイロット・プラントをつくりますので、相当貸金がいるわけでございまするが、前の試験研究の方は、それほど多額の資金もなくてできる場合が多いので、現に本年度につきましてはすでに補助金をきめておりますが、これは相当多数の中小企業を取入れてやつておりまして、大企業だけに補助金を出して行くということでは、現在の運用もさようになつておりませんのでできるだけわれわれとしても、中小企業にも、そうした新しい技術研究をやろうという熱意ある者については、補助金を出すことにいたしております。
  74. 風早八十二

    ○風早委員 では最後に、先ほどすでにお申出がありました政府当局から補助金を出しておる品目について、今わかつておるものを若干あげてもらう、そしてこれはあとで資料としてぜひ出してもらいたいのです。これはやはり十分検討しませんと、結論がわれわれとしても出ない。さらに今、実際にこの法案で当て込んでおられる、実際に考えて、おられるこの試験研究なり、あるいは何なりの具体的な経営なり会社なり、そういうものを示していただきたいのです。
  75. 石原武夫

    石原説明員 今御要求がございました工業化試験と、それから技術研究の補助金の、本年度分につきましては、具体的に会社別にどういう研究事項内容だということはできておりますので、これは資料としてさつそくこの委員会が済みましたあとで差上げることにいたしたいと思います。明年度の分につきましては、まだできておりませんので、本年度分でひとつごらんを願いたいと思います。
  76. 風早八十二

    ○風早委員 経営はわかりませんか。
  77. 石原武夫

    石原説明員 経営というのは……。
  78. 風早八十二

    ○風早委員 実際にどこべ出すという……。
  79. 石原武夫

    石原説明員 具体的な何々会社というのは、全部出ております。
  80. 風早八十二

    ○風早委員 そうですか、ではそれを拝見してなお質問したいと思いますが、結局私が先ほどからこれは希望を含めて質問をしておるのは、軍需と民需との公正なる取扱いについての保障があるかどうかという問題であつて、これについてはこれで十分だ、それ以上これに対して保障を與えるような條文をつけ加える必要はないというお答えである。大企業中小企業との問題につきましても、やはり大体特別な御誠意が執る御答弁は得られなかつたと思う。しかしながら問題はこういう法案のただ表面上の條文にうたつてある趣旨ということにあるのではなくして、やはり実際にこれはどう適用せられるかという点について、はつきりした見通しを得ることであると考えるのでありまして、そういう点で提案者の側でも政府の側でも、御答弁がともに非常に不満足であるということを一言して、質問は一応これで打切りたいと思います。  なお今の資料をよく拝見した上で、さらに再質問さしていただきたいと思います。
  81. 石原武夫

    石原説明員 たびたびお尋ねがございましたが、政府といたしましては、軍需あるいは平和産業というような区別はまつたくいたしておりませんし、また大企業中心で、中小企業に非常に薄いのじやないかという点も、まつたくさようなことなく運用いたしておるつもりでございまして、具体的には資料でもう一度よく。こらんを願いたいと思います。念のために申し上げておきます。
  82. 小金義照

    小金委員長 小川平二君。
  83. 小川平二

    ○小川(平)委員 一、二補足的にお尋ねいたしたいと思いますが、この法律によつて技術向上促進のために、三年間の均等の償却、それから機械設備の近代化のために初年度五〇%の償却、いずれも特別短期償却が認められておるわけですが、これによつて生ずる国税収入の減少をどのくらいに予想しておられるか。それからまた地方税の収入に及ぼす影響、すなわち第五條によりまする固定資産税の課税免除及び不均一課税のために生じて来る減収、それから第七條の機械設備等の近代化促進に対する固定資産税の課税免除及び不均一課税のために出て来る減収、これらをおよそどのくらいに予想しておられるか承りたい。  それからあわせて第八條の産業関連施設の整備に対してはどのくらいの予算を計上されるつもりか、さらにただいま風早委員の御質問にもあつたのですが、第三條の試験研究者に対する補助金交付の額、現在において四億五千万円と承つておるのですが、来年度の予算に計上する金額をどのくらい考えておられるか、明確な御答弁がなかつたのでありますが、はつきりした数字を承らなくとも、現状程度で満足をされるつもりか、あるいは大幅にこれを引上げたい、こう考えておられるのか、その点を承らしていただきたい。  それから最後に、これは風早委員質問と重複をすることになるかもしれないのですが、ただいま伺つた二、三の点に関連をして出て来る問題でありますが、この法律案の第二條にいろいろな業種が列挙してあるわけであります。実際に本法適用いたします際には、これらの業種を適当にしぼつて行かなければならぬことになると思うが、どういう基準についてこれをしぼつて行かれるのか、もう一度この点を詳細御説明を願いたい。たとえば午前中に同僚議員から御質問になりました自動車製造工業あるいは紙、パルプ、そういつた化学繊維工業のようなものも、こういう関係において実際問題としては、除外されることになるのではないか、以上一括して御質問いたしましたが、御答弁を願います。
  84. 石原武夫

    石原説明員 お答えを申し上げます。  第一点の御質問の、この法律の施行によります中央地方の税等の減牧がどうなるかという点についてまずお答えいたします。これは一応本法案は一月から施行される、実際に適用になる予定でございまするが、本年度といたしましては、国税で約二千万円ぐらいのところだと存じます。それから明二十七年度につきましては、まだ大蔵当局といろいろ御相談もしおりまして、大蔵当局でもいろいろと今御算定中でございますので、正確な数字はまだちよつと申し上げかねますが、国税の関係で所得税、法人税の減収になりますものは、約十億ぐらいというふうに、一応現在のところ推算をいたしております。なお固定資産税の関係で、地方税の関係でございまするが、これも、ことに固定資産税につきましては、各地方の自治団体が軽減をするかどうかということをきめることが自由になつておりますので、一律にこれはもちろん法律で強制しておりませんので、各地方自治団体がいかに取合せるかによりましてかわるわけでありますが、地方自治団体がこの法律趣旨従つて税を軽減されたと仮定いたしまして、約一億くらいと一応現在のところ推定をいたしております。  それから第八條関係産業の関連施設につきましては、これは二十六年度において国が補助しております金額が、道路につきまして二億九十七百万円、港湾について三億百万円、合計約六億近い数字でございますが、それが本年度の産業の関連施設の補助金の額でございます。それからその次に試験研究の補助金につきまして、本年度工業化試験が二億五千万、それから技術研究が、自動車とか自転車を入れまして二億、合計四億五千万円と先ほど申し上げましたが、明年度はまだ予算がきまつておりませんので、もちろん確定的な数字は申し上げかねるのでありまするが、通産省として今希望しております数字は、工業化試験に五億、技術研究に三億、そのほか自転車、自動車等の技術関係で一億一千万円、合計九億一千万円でありますが、この程度予算を要求しておる現状でございます。  それから、その次に御質問がございましたのは、具体的にこの法律適用範囲がどうなるかという御質問だと思いますが、二條はこの事業者定義を掲げておりますので、これは後の方の八條でありますとか、十一條、そういうところに出て参ります事業者定義で、非常に広いのでございますが、この業種の一番問題となりますのは、六條の機械設備の近代化をいたします場合の五〇%の短期償却の場合の適用範囲がどの程度になるかという点が一番問題だと思うのですが、その点についてお答えを申し上げます。この点につきましては、まだ目下大蔵当局と御相談中で、お打合せをしておりますので、最終的にこれだけの業種ということはまだきまつておりません。それからなお通産省関係以外の業種、たとえば造船でございますとかその他農林関係業種もございますので、さような意味でもちろんまだきまつておりませんが通産省がぜひこの程度のものはこれの対象にしていただきたいというふうに考えておりますところを、大体例示としてお聞き取りを願いたいと思いますが、鉄鋼、石炭、金属工業、非鉄金属関係の一部、それから硫黄、硫化鉱、化学肥料、ソーダ工業、カーバイドの製造事業、それからコールタールの中間物と申しまするか、コールタール製品と申しまするか化学の基礎原料になりますコールタール製品、それから染料製造関係、染色加工業、それから自動車の製造事業、工作機械、ペアリング製造というようなところは少くとも指定業種に掲げていただきたいということで、目下大蔵省と交渉しております。なおこの以外の品目についてもまだ検討しておりますので、最終的にはもちろんまだ何とも申し上げられませんが、今申し上げましたような業種につきましては、通産省といたしまして、少くとも六條の適用を願いたい、かように考えております。
  85. 小川平二

    ○小川(平)委員 けつこうです。
  86. 小金義照

    小金委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑はないと認めます。よつて本案に対する質疑は以上をもつて大体終了いたしたことと了承いたします。但し質問を保留せられた部分がありますので、次会に補充的な質疑はこれを許すことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。次会は明日午後一時よりと予定いたしております。     午後四時十五分散会