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1951-11-14 第12回国会 衆議院 通商産業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十四日(水曜日)     牛後二時十三分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君    理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       永井 要造君    中村 純一君       福田  一君    南  好雄君       風早八十二君    高田 富之君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君     ————————————— 十一月十四日  委員中西伊之助君辞任につき、その補欠として  高田富之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月十三日  鉱毒対策費国庫補助に関する請願小澤佐重喜  君紹介)(第一二一六号)  鉱山資源開発道路開設費国庫補助に関する請願  (中村幸八君紹介)(第一二一七号)  電力危機突破並びに電源開発に関する請願(上  林與市郎紹介)(第一二一八号)  同(勝間田清一紹介)(第一二一九号)  同(田中織之進君紹介)(第一二二〇号)  同(八百板正紹介)(第一二二一号)  同(成田知巳紹介)(第一二二二号)  同(佐々木更三君紹介)(第一二二三号)  同(青野武一紹介)(第一二二四号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第一二二五号)  同外一件(赤松勇紹介)(第一二二六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  輸出信用保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二二号)  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(  小金義照君外十八名提出衆法第二号)     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  この際委員の変更についてお知らせいたします。本日委員中西伊之助君が辞任せられまして、高田富之君が補欠選任せられました。なおこれに伴いまして、小委員もそれぞれ高田富之君に補欠選任いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議ないようでありますから、そのように決定いたしました。
  4. 小金義照

    小金委員長 まず輸出信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては、昨日をもつて質疑が終局いたしておりますので、引続き本案に対する討論に入ります。討論通告の順によつてこれを許します。小川平二君。
  5. 小川平二

    小川(平)委員 議題となつておりまする輸出信用保険法の一部改正案につきまして、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  輸出信用保険制度は、昨年六月実行に移されましてから、すでに一年有半をけみしておるのでありまして、その間朝鮮事変以来の複雑多難な国際市場の動向に対処いたしまして、わが国輸出促進伸張するための画期的な方策として顕著な効果を上げて来たのであります。講和條約もすでに調印を見、自立態勢の急速な整備が要請されます今日、輸出振興のための方策が一層強化されねばならないことは言をまたざるところと申すべきでありましよう。ことに東南アジア地域開発が喫緊の課題として要請されておる。しかしてすでにその緒についております現在の段階において、この地域に対する機械設備、その他資本財輸出促進することは、さしあたつて急務でありますことは、いわば衆目の認めるところと申すべきであると思うのであります。この意味におきまして、今日さしあたつて措置として長期信用供参与が、ほとんど絶対の要件となつておるところのプラント輸出に関しまして、取引に伴う危険を救済するための改正を提案せられましたことは、まことに時宜を得たことと思うのであります。  輸出信用保険制度につきましては、現行の制度そのものについても、あるいはまた運営の面においても、将来さらに改善、改正を要する点が少からずあると思うのでありまして、少くとも見込み生産に伴う危険を填補するための保険、あるいは広告、宣伝等市場組織的な開拓のために要する費用に関する保険のごときは、ぜひとも近い将来において実現をしていただくよう切望にたえない次第なのであります。申すまでもなく輸出信用保険制度は総合的な輸出促進方策の一環なのでありまして、輸出促進のために必要ないろいろな條件が充足されまして、初めてこの制度も十分にその効果を発揮し得るものなのでありますから、それらの点につきましても十分慎重な検討を遂げられまして、この制度が所期の効果を満足に達成し得るようにしていただきたい、このことを強く希望申し上げる次第でございます。ことにプラント輸出に直接関連をいたす問題としては、鉄鋼価格の引下げが今日急務中の急務として強く叫ばれておるわけでありまして、この点に関しまして有効適切な方策をすみやかに講じていただきたい、この点を強く要望申し上げまして賛成討論といたします。
  6. 小金義照

  7. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 ただいま議題と相なつております輸出信用保険法の一部を改正する法律案については、私は国民民主党を代表して二、三の希望條件を付して賛成意見を述べるものであります。  まず希望條件として本改正案乙種保険を設け、政府自体保険契約者)なり、輸出業者政府との間になれ合い的な契約が行われる傾向が見受けられます。この点については、十分監督すべき政府がみずから監督不十分というそしりを今日受ける危険があるように考えられますので、かくのごときことのなきよう、この際十分注意していただきたいと思うのであります。ま輸出業者に対するサービスが悪くなり、せつかく乙種保険制定がかえつて悪評を受けるがごときことのないよう十分措置をとられることを希望しておきます。  次に本改正案の適用に相なつております外国為替相場変動による損失拙償、キャンセル品目等についても、将来の問題ですが、特別の行政措置、または行政措置のできざる場合においては立法措置を考慮していただくこ、の希望條件を付して、私の討論を終ることといたします。
  8. 小金義照

    小金委員長 次は高田富之君。
  9. 高田富之

    高田(富)委員 ただいま議題となりました輸出信用保険法の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意見を申し述べたいと思います。  第一に占領下におきまして、わが府の貿易はまつたく自主性を奪われて品ります。最近のドル不足、ポンド過剰といつたような傾向にも明らかに現われているように、今後単独講和におきまする新たな情勢の展開によりましては、急速にわが国貿易は破局に向つて進んで行くのではないかと憂えられているのであります。歴史的にも経済的にもわが国と切り離し得ない中国ソ同盟その他善隣諸国との貿易が禁止され、遠く米国その他の国から高価かつ平和産業その他に必ずしも緊急でない物資が押しつけられているような状態であります。これでは貿易が行詰まるのは根本的な点から行きまして当然でありませ。しかるに政府は根本的な原因についてはあくまで目をおおい、いたずらに末梢的な点にのみいろいろ構想を凝らしているということでは、事態を改善することはできないと考えるのであります。結局このようなことでは、特定国戦争準備態勢に奉仕するための貿易のために、国民の税金を浪費する結果に終るのみであります。特に東南アジアにおけるプラント輸出促進ということのねらいはここにあることは明瞭であつて、このプラント輸出でさえも現在不振を伝えられております。その原因のおもなものは中国との貿易の禁止による鉄鋼の高価格にあるという、このような矛盾を露呈しているのであります。  さて第二に改正案の内容を見ますと、補償の対象となる損害の発生事由の中に、日本貿易目王性がない結果生じて来るキャンセル国際価格変動などによる損失、これらの、業者の最も関心を有している点が除かれているのであります。  第三といたしまして、本改正法案によりましてその運用の実権が一層政府官僚によつて掌握ざれることになり、やがて官僚統制弊害を現わすであろうことは明らかであります。  以上簡単でございますが、わが党の反府理由を申し述べる次第であります。
  10. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  11. 今澄勇

    今澄委員 ただいま議題と相なつておりまする輸出信用保険法の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表して賛意を述べる次第でございます。しかし政府は現在の貿易市場ドル不足ポンド激増貿易方式の不均衡をいかにして解決するかという点については、十分なる対策を考慮して日本貿易振興のために一段と努力せられんことを希望いたします。
  12. 小金義照

    小金委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。引続きまして輸出信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に御賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  13. 小金義照

    小金委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成の件につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小金義照

    小金委員長 それでは御「任願つたものと決します。
  15. 小金義照

    小金委員長 次に商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。質疑通告の順によつてこれを許します。小川平二君。
  16. 小川平二

    小川(平)委員 午前中大蔵委員会との連合審査におきまして、主たる論点がすでに出尽してしまつておるように思いますので、比較的軽微な問題につきまして、二、三補足的にお尋ねをいたしたいと思います。  第一に、今回の改正法はいつから実施されるお考えであるか伺いたい
  17. 中村幸八

    中村(幸)委員 今回の改正法は、附則に、公布の日から施行することになつております。この法案が両院を通過いたしましたら、でき得る限り早く公布いたしますように政府を督励するつもりでありまして、目下年末金融が逼迫いたしておりまする関係で、極力急ぎたいと存じております。
  18. 小川平二

    小川(平)委員 第二十八條の三あるいは二十九條の四号の大部分を削除された理由を伺いたい。
  19. 中村幸八

    中村(幸)委員 二十八條の三や二十九條の四号のごときは、実は戦時中の統制のために強制的に組織を創設したり、あるいは改廃いたしましたので、その場合の救済規定として、こういう條項が起されたのでありますが、今日自由経済に復帰いたしましたこの際といたしましては、これは必要がなくなりましたので、削除することにいたしました。
  20. 小川平二

    小川(平)委員 要するに、存在の意義が消滅したという理由で、削除されたのだろうと思うのですが、それならば出資に関する規定、あるいは債務発行限度に関する規定のように、必ずしも現状に即しておらないと思う規定を削除されずに、存置しておやりになるその理由は、どういう点でありますか承りたい。
  21. 中村幸八

    中村(幸)委員 二十八條の三や二十九條の四号は、ただいま申しましたように、現在におきましては存在価値がなくなり、しかもその規定は臨時的な必要に基いてつくられたのであります。そういう関係で今回削除いたしたのでありまするが、資本金に関する規定あるいは債券発行に関する規定は、この商工中金法の基本的な性格を持つておるものでありまして、しかもこの規定を残して置くことによりまして、従来の経過も明瞭になりますので、これはこのまま存置した方がよろしいじやないか。これを存置することによつて何ら弊害も起りませんので、これは削除しないことに一応いたしておるのでありますが、お話のように現状には即しておりません。この点は十分承知いたしまして、残しておいたのであります。
  22. 小川平二

    小川(平)委員 ご説明了承しました。最後にこれもはなはだ軽微な問題ですけれども農林中金商工中金との所属組合の業種の限界は、どういうことになつておるのか、御説明を願いたい。たとえば、製粉事業農林中金、バンをつくるのは商工中金、あるいはまた植林事業農林中金だが、製材商工中金ということになつておるようであります。これはいかなる基準によつてこういう区別をなさつておるのですか、この点を承つでおきたい。
  23. 中村幸八

    中村(幸)委員 商工中金の方は中小企業等協同組合の方を今までその取引対象としておりました。それで製材業あるいは虚業、そういつたものが中小企業等協同組合法組合になつておりますので、そういう方面にはこの商工中金から資金の貸出しもでき、預金もできるという関係になつております。
  24. 小川平二

    小川(平)委員 了承いたしました。
  25. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  26. 今澄勇

    今澄委員 私は商工中金法改正法律案は、中小業者金融としてまことに時宜に適した改正であると思いますが、一、二点当面の年末金融のことついて中小企業庁長官にお伺いをしておきたいと思います。中小企業等協同組合法による中小業者組織化と、これが金融裏づけ商工中金をおいてないのでありますが、現在の国民金融公庫あり方あるいは今の信用金庫あり方等を通じて、商工組合中央金庫査の前途と年末金融については、この程度で十分やつて行けるかどうかというして、非常にいろいろな問題を予想されておるのであります。私どもといもしましては、どうしても商工中金その他中小企業金融をしておるところへ何らかの手を打たなければならぬではないかというような考え方をいたしております。それである程度金額をそういう方面に流すというふうな考えももちまして、目下政府部内におきましてもあるいは日銀の政策委員会というようなところにいろいろ話を持ち込んで、話を進めておる現状でございます。ただいまお尋ねの、そういうふうな年末金融に関連して流して行くパイプの問題もございますが、商工中金資金源をふやすことができますれば、本法の改正と相まつて、より深く浸透して行けると考えまするが、本年末に際して今日の日本中小企業組織化進捗状況から見て、それで全部カバーできるとは私は考えられません。従いまして、その他の地方銀行であるとか、あるいは信用組合というふうなものにも、できるだけ御協力を願う。またできればそれに必要な資金を流して御協力を願うというようにしなければならぬかと考えておるのであります。  公庫につきましては、御承知通り、別途十億の出資増加法案を御審議願つておるはずでありますが、その十億のほかに、資金運用部から二十億出ることに大体予定されておりますので、その資金を早急に出すことによりまして、零細部門の年末金融に私は相当役立つのではないかと考えておるわけであります。
  27. 今澄勇

    今澄委員 午前中の合同審査で大蔵省に聞きたいと思つたのですが、私は少くとも商工中金についてはもう少し強力に、金融債引受けその他をやつて、これが年末金融の具体的な面に間に合うようにしなければならぬと思うがです。まずこの法律が通れば、一応商工中金に、三十億の金融債引受けをやるというふうなお話でございましたが、商工中金向けの、金融債引受けその他のわくは、大体それ以上には広がらないものかどうか。  第二点は、今の日本の全般的な問題ですが、経済は、物資の面でいわゆる優先出荷もやらなければ、何もやらないで放任されて、金融の面だけで日本のインフレを食いとめ、金融統制で現在の日本経済規模まである程度規格統一しようというような政府の方針のもとでは、中小企業だけを特に何とかするということはいかぬと思いますけれどもう金だけで一切の問題が解決するという現在のあり方を続けておつたのでは、中小企業は非常に困るので、この中小企業の苦しさを打開するために、できれば私は物資資材の面からする中小企業者救済に関する中小企業庁としての一応のお考えをお伺いいたしたい。たとえば電気の問題でも、中小企業の工場に対する電力わくの設定とか、あるいは無警告の停電を食いとめるような何らかの施策をするとか、あるいは石炭入手難に伴い、石炭をどうしても使わなければならぬ中小企業については、石炭入手をはかり得るような方途も中小企業庁考えておられるか。  第三点は、少くとも現在の中小企業金融機関というものは、国家的な国民金融公庫中小企業等協同組合法裏づけとする今の商工中金、それから信用金庫を発足した残りの府県知事認可信用組合相互銀行等、あるいはコマーシャル・ペースに乗る金融機関等、国家的なもの、さらに半官半民的なものというような雑然たる中小金融機関の並立がありますが、それらのも  のを一応中小企業庁としては筋の通つた金融機関体系をつけて、明確に中小企業金融が行えるようにされる御意思はないかどうか。この三点をひとつお伺いいたします。
  28. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。第一点の問題につきましては、午前中に河野政府委員からお答えいたしようでありますが、私ども中小企業立場考えているものといたしましては、ぜひ早急に商工中金割引商工債券資金運用部引受けてもらうということを要求いたしているのであります。これは私率直に申し上げますと、三十億といわなくても、十億でも二十億でも早く引受けてもらう、しかも現実に現なまを早くつかむということを実は念願して、いろいろお願いをしているわけであります。そういう事情でありまするが、事務的な状況けさ河野銀行局長お話のような状況でありますので、私どもといたしましては、できるだけこれの実現に努力を続けて参りたいと考えております。  それから第二点の問題であります中小企業対策考え方でありまするが、金融だけで片づかぬじやないかということですが、私もその通りだと思うのであります。中小企業の問題の一つの問題は、中小企業が弱いがゆえに経済的に遅れている、あるいは社会的に弱いというところがありますので、それを補強してやるというようなことを考えなければならぬと思うのであります。たとえば御指摘の電気のような問題が起つて参りましたときに、私どもが今でもとつております措置を申し上ますと、一つ電気全体の増量をはかつて行く。これは当然考えなければいかぬし、それに対しまして石炭優先的確保の問題であるとか、あるいはいわゆる自家発の動員とかいうような一連の全体増強の問題があると思うのでありますが、それと並行して、中小企業部面の問題といたしましては、どうしても、全体の量が少くても効率的な電気を送つてもらう、いわゆるほたる送電でなしに、計画送電をしてもらう。すなわち大企業では二日停電であるが、中小企業はところによれば三日停電というようなことが行われておつたのであります。これらの点につきましては、私どもといたしましては公益事業委員会委員長あてに、われわれの主張を強く正式に申し出ているのであります。そうして公益事業委員会といたしましても、できるだけその趣旨に沿つてつていただくことになつております。そういうような点で公益事業委員会の力を借りてわれわれ中小企業立場はつきりさせて行く、あるいは要望をはつきりさせて行くという手は打つているのであります。つきましては、全体的な電気の量が御承知のような状況にあり、しかもこの期間が少し続きそうだというようなことで私どもが今やつております一つの点は、これは量的に見ますると小さいのでありますが、中小企業向け電気の大体一割見当増強する予定をもちまして、いわゆる石油発動機の活用ということをいたしているのであります。石油発動機は、現在生産能力が非常に少いのでありますが、これの遊休のものを活用する。それから農村の脱穀調製が済んだ場合にこれを借りるという手を打つて、農林省の農政局長と私どもの方との連名通牒で各府県お願いをしております。これに対しましてガソリンの配給をやらなければならぬので、これは特別のわくを実は安本とも相談してもらつているのであります。そういうふうな形で、少しでも中小企業電力の、いわゆる消極的な増強ということになるかと思いますが、やつているわけであります。大体私どもの方では、今のところ十六万バーレルぐらいそれによつて増強をやつて行きたいと考えております。ただ問題になりますのは、その際に値段が少し高くなる。大体七円五十銭から八円見当になるのであります。これも水力よりは高いが、火力料金を払うとすればあまり違わないという採算に立ちまして、やつているのであります。同時に新しく自分のところで石油発動機を買うとすれば、その資金をできるだけ援助する、いわゆるあつせんをするというな手を各都道府県お願いして、そ占ういう線で進めているわけであります。  以上申し上げましたのは電気の例でありまするが、そのほかの物資問題場につきましても、できるだけ私どもといたしましては——この前鋳物屋に対する銑鉄の場合に、できるだけわれわれが大きな製鉄会社と約束をして特別のわくをもらつている。これは技術上の問題で、行政的措置でありますが、品わくをもらう、あるいは手すきの紙に対して、わずかながらもパルプをとつてやるというような手を打つているのであります。まだやつていることは小さいのでありますが、できるだけ中小企業対策としては、現実に困つて、るところをできるだけ政府の力で世話してやる、こういうような考え方で進めているわけであります。  経済全体をどう持つて行くかというような問題につきましては、私の答弁の限りではありませんから、ひとつそういことでお許しを願いたいと思います  それから中小企業金融体系をどうするかという問題が第三点のお話のようでありましたが、中小企業金融体系はつきりつけて行くということは、私も必要だと実は考えているのであります。中小企業金融をできるだけ円滑にして行くという意味におきまして、いろいろなパイプをつくることも必要でありますが、そこに中心的な体系というものを持つて行かなければならぬ、こういうようなことを考えているのであります。その体系中心をどこに置くかという問題になりますと、いろいろな御議論があると思います。政府部内におきましてもあるのでありますが、一つ考え方といたしましては、商工組合中央金庫というものを体系中心にして、この性格を、現在のような民間的な組織考え方というものをもう少し政府機関的な考え方に切りかえて行くという問題が、一つ考え方であると思います。それからもう」つの問題は、別の考え方、別の組織をつくつてわれわれが一時考えておりましたような中場小企業金融金庫という——仮称でありますが、そういう制度をつくつて、それを根拠にして下部の各種のハイプを総合指導して行く、こういう行き方も考えられると思うのであります。いずれにいたしましても、そういうような形におきまして何らかの基本的な体系を樹立して行く時期に今来ているというふうに考えておるわけであります。
  29. 今澄勇

    今澄委員 時間もないようですから、私は今の中小企業対策については、現下の中小企業の年末金融、それから資材問題等々非常に困難が山積しておる時期でありますから、ぜひひとつ御善処を願いたい。  なお提案者中村議員にお伺いしたいのは、現在の中小企業金融の中で、商工中金がいろいろ努力しておる。その不便といわれた点がこの改正法案によつて大分除かれて、大いに中小業者に便益を供すると思われますが、この改正された法律のもとにおいては、どの程度中小企業金融として商工中金が貸出しをし得る大体の見通しをつけられたか。その商工中金が今預かつている百数十億を、どの程度まで今後扱えるか。だからもし国家資金並びに預金部資金さえあれば、この程度商工中金で扱えるのだという金額の目安があれば、これをひとつお聞かせ願いたい。  もう一つは、この問題になるところの中小企業協同組合の方から、今度は預金商工中金が預かるわけであるがそうなると信用金庫その他に集まつて来る預金商工中金に流れるわけで、他の中小企業のそういつた団体には、どれだけの打撃を中小企業金融機関に与えるかという点についてお見通しがあればひとつお聞かせ願つておきたい。私どもは大体この法律には賛意を表し、しかしてこれは将来商工中金の機能を大きく進めて行く上に非常な前進であると思うのでありますが、いろいろの議論が出ておりますので、念のためにその二点を一お伺いしておきます。
  30. 中村幸八

    中村(幸)委員 今回の改正によりまして、従来中小企業等協同組合にしか貸出しができなかつたものが、その所属の組合員にまで貸出しができる、こういうことになります。そういたしますと、どの程度貸出しがふえるかというのが第一の問題であります。ところが現在におきましても、実は組合員に対する転貸の形で、組合員が商工中金から借り受けているものがあるのであります。それが中金の貸出し総額の大体三割程度が転貸の形で組合員に流れております。では今後どの程度組合員へ直接の貸出しがふえるかという問題でありますが、今申しましたような、すでに転貸の形で組合員にも流れておりますので、今後そう急に多額にふえるということも想像できないのでありまするが、最近の中金の業績を見ますると、毎月新規な貸出し額の中から回収高を引きました純貸出し増というものが十億くらいあるように聞いております。この十億の純貸出し増の三割あるいは五割程度は貸出しがふえるんじやないか、かように考えております。そこでこの新しく貸出しがふえる、それをどういうふうにまかなうか、その資金繰りをどうするかという問題でありまするが、これにつきましては、今度の改正によりまして、従来中小企業等協品組合、あるいはまた銀行以外からは預金が集められなかつたのでありまするが、新しく中小企業等協同組合組合員からも預金ができることになるのでありまして、この面からいたしまして預金が相当ふえるのではないか、かように考えまするが、ただ残念ながら商工中金は現在店舗をたくさん持つておらないのでありまして、全国に四十二箇所の店舗と、それから五箇所の駐在員事務所があるだけでありまして、このわずかな店舗によりまして組合員の預金を吸収するということは相当困難じやないか。従つて先ほど申しましたような、新しく貸出しがふえる、これに対して預金でまかなうということはちよつと困難でありますので、どうしても政府資金を新しく導入する必要があると考えるのであります。そこで政府資金をどういうふうにして導入するかということでありまするが、現在商工中金の債券の発行に余力がまだ相当あるのでありまして、銀行等の債券発行に関する法律によりまして、商工中金債券発行額は、資本金と積立額の二十倍、この二十倍から預金の現在高と債券の発行高の合計を差引いたものが、債券の発行ができるのであります。そういたしますと、今日におきましては、さらに百五十億円以上の債券発行余力がある、この債券発行の余力を利用いたしまして、資金運用部資金をもつて商工中金の債券を引受けてもらう、こういうことをしたいと考えておるのでありまして、われわれといたしましては、早その点につきまして全力をあげて政府を督働いたしておる次第であります
  31. 今澄勇

    今澄委員 そこで最後に提案者中村委員中小企業庁長官にお伺いしておきたいのでありますが、当面の具体的な問題として、私どもは商士中金はもとより、信用金庫とか、相互銀行とか、あるいは府県設立の信用協同組合というような、いろいろな中小金融機関があるのでありますが、地方自治団体、すなわち府県知事並びに市町村長等が所管するそれらの地方自治団体の預託金というものを、年末金融を具体的に助けるためには、銀行ばかりに預けないで、商工中金の四十何箇所の支所あるいはその他の中小金融機関へ預ければ、必ず流れるから、これらの中小金融機関へ預託することが必要であると思う。そこで私どもは、いろいろ検討の結果、昨日社会党の県知事並びに市町村長その他に対しては、年末金融中小企業金融を具体的に援助する実際的な動きとして、これらの市町村長は商工中金なりその他の中小金融機関へ来年一月終りから二月の初めごろまで現在ある市町村の金を中小機関の中でも非常にあぶなくてはしかたがたいが、みずから見て安定性のあるものについては預け入れろという指令を出したわけであります。提案者中村委員はこの年末金融に対してそういつた措置をどんどんやつて商工中金なりその他の預金の年末の急速な獲得を片かられてはどうかと思いますがこれについての御見解やいかに。また中小企業庁長官も、政府としてはそのようなことを考えられておやりになる意思はないか。少くともこれは商工中金に対する先ほどの十億その他の預金は、金融債引受けよりもさらに科学的な実際的な効果が上ると思うが、これについての見解を承つて私の質問を終ります。
  32. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいま今澄委員へらたいへんけつこうな御意見を承りまして、非常に喜んでおります。現在実は中金へ各府県からそういつた府県の財政資金を預け入れておりまして、これは各府県といたしましても、管下の中小企業金融を円滑にするため、直捜に中小企業に流さないで、一応商工中金に預け入れまして、それをまた管下の中小企業に還元するという方法をとつております。現在商工中金預金総額六十四億円のうち二十一億か、二十二億程度の金が各府県から預託されているような次第でありまして、今度一層そういうような面を指導させるように政府を督励いたしたいと存じております。
  33. 小笠公韶

    小笠政府委員 私も中村さんのお話と同じように実は考えております。特に別途に御審議を願いまする中小企業信用保険法の改正によりまして、信用保証協会の再保証ができますと、いわゆる地方公共団体といたしましても、比較的安心して預託ができる。しかし短期のものを今度扱いますので、御協賛を願いまして、できれば年末金融は御指摘の分と合せてうらはらになつて活用し行きたいと考えております。
  34. 小金義照

    小金委員長 澁谷雄太君
  35. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 午前中は大蔵省の銀行局長が見えておりましたが、午後の委員会にはおいでになつておりませんので、中小企業金融問題についてお聞きしたいのですが、お見えにならないとすれば私の質問のほとんど全部が消えてしまうようなわけでありますが、中小企業金融問題は、いまさらあまり長々しく申し上げてもいたしかたのないことですが、小笠さんあたりが中小企業庁として考えておられることが私たちから言わせると、ちよつと姑息ではないかと考えているのですが、現在ばかりでなく、従来からの日本の国情から考えまして、中小企業に対する金融措置の問題は今のような、状態でなく、もつともつと飛躍的な考え方をなさなければいかぬのではないか。戦時中にたまたま産業の合理化という名目のために企業整備をやつて、中小の企業を大企業に合併させたという考え方から、とかく中小企業に対する観念が現在でもやはり薄れておるということが強くわれわれに響いおる。従いまして現在やつておりまする中小企業対策の問題が、非常に国全体として消極的ではないか、こういうふうに私は考えるわけでありまして、中小企業庁の長官としてもつともつと大きな考え方でもつて、この問題を推進して行かなければならぬのじやないかということを考えるのですが、長官はこの問題についてどういうふうな腹をもつて進んでおられますか。現在のような、つまり小さい問題については、もちろん大いに御心配を願はわなけれなりませんが、大局的の問題から考えて、どういうふうな考え方で進んでおられるか、まず先にその点を一つお尋ねしたいと思います。
  36. 小笠公韶

    小笠政府委員 非常にむずかしい御質問でありますが、私は中小企業対策一つの前提として、日本の産業構造としての中小企業をどういうところに位置させて行くかということを十分に考えなければいかぬと考えております。特に日本の人口、資源という観点から見まして、結局日本の今後の動き方として、また輸出というふうなことを考えまして、中小企業の振興というものが、日本の産業の一つの中核になつている。これはいろいろな見方はありましようが、基礎産業を別にして、やはりそこに重点を置いて行かなければならぬというふうに実は考えておるのであります。そこでそういう日本の産業の大きな部分を占めなければならぬ、数だけでなしに質的にも占めて行くという中小企業対策として、私は、どうしてもいろいろな政策の基調を、もう少し中小企業に重点を置いた形に持つて行く必要が事実あると思う。そこで具体的な手の打ち方としましては、どうしても中小企業自体がよくなつて行く方策をやつて行かなければならぬ。現実に起つた問題をおつかけて行くということも大事でありますが、それ自体がもう少し強く行くという方向に重点を置いて行く。そのために必要な資金は国がどうしても出して行くような方向に持つて行つたらどうかと私は考えておるわけであります。しかしながらそういう考え方を持ちながらも、現実日本の財政その他の関係から考えますと、なかなか思うように動いて参りません。しかし多くの人々がそういう考え方に行くような形に持つて行くことが、中小企業対策のまず前提だというふうに私は考えておるわけであります。現実の問題として打つ手はいろいろございやするが、一つでも多くの手を打つておきたい。私はさしあたり実際問題として打つて行くよりいたし方がないというふうに実は考えておるのであります。  澁谷さんのお話にそぐわないかと思うのでありますが、考え方としては同じで、やはり大きな構想を持ちながら、現実は打てる手を一刻も早く着実に打つて行くというように持つて行きたいと考えておる次第であります。
  37. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 大体お話はわかりましたが、私の言おうとするところは、たとえば戦争終了後の日本の産業復興の問題につきましても、他に基礎産業その他大企業に対する対策は相当早くから手を打つておられたと思うのです。実際におきまして中小企業に対する復興の手の打ち方は非常に少く、かつ貧弱であると思う。ところが中小企業はほとんど自分の力でもつてある程度まで更生して今日に至つておると思うのです。しかし企業の数あるいは生産額あるいは輸出の数量とか、従業員の数とか、いろいろな問題から考えましても、大企業に対する中小企業の占める地位は相当大きなものでなければならぬ。ただ重要であるとか、重要な地位を占めておるとかいうのではなく、もつと具体的に数字を現わしてみても、それは相当大きな部分を占めておると思う。ところが、あなたの方からの報告にも書いてある通りに、預金の状態とかあるいは貸出しの状態とかいうような問題を考えますと、企業数だけは多くても金額が非常に低い。もつとも事業が比較的に小さいのですからそういう結果になると思いますけれども、その差はだんだんと大蔵大臣がやかましく中小企業に対する金融措置を構ずると言つていながら、三月か四月に出た中小企業庁の報告から今度新しく出ておりまする報告を見ても、日本金融状態全体から考えてみますと、大企業に対する中小企業のパーセンテージは逆に下つて来ておる。たしか四月の報告でしたか、その月には三一%であつたと思う。今度の報告によると二八%となつておる。結局私たちが言わんとするところはそこにある問題はそこにあると思うのです。この前私は輸入物資の引取り資金の問題と輸出滞貨の問題でもつて金融措置のことについてかなりやかましくお話をした。結局その当時の大蔵当局なり日銀当局が打つた手というものは、大体において表向きはいわゆるケース・バイ・ケースでもつてやるのだからということでやつておつたが、それは大企業に対する問題だけを処理しておるのであつて、実際においてはめんどうな中小企業に対するケース・バイ・ケースの問題は、要するにコマーシャル・ペースに乗らないということのために顧みられていないというのが現実の姿であることは、出ておりまする表を見てもはつきりわかるわけであります。こういうふうな点から申しまして、私は一番先にお尋ねしたように、中小企業に対するもつともつと根本的な考え方を持つてすべての問題を解決して行かなければ、この問題は解決できないのではないか、こういうふうに考えるわけなんです。ちようど銀行局長もおいでになりましたからお尋ね申し上げておきたいのですが、この中小企業庁から出ております資金の貸出しの状況を見ますと、金融が比較的に大企業にばかり片寄つて中小企業に対する金融措置が非常におろそかにされておるのではないか、もつともつと大企業から中小企業の方にまわすような方法をとらなければならぬということになつておりますが、三月の末か、四月の報告によりますと、大企業と小企業に対するパーセンテージは、小企業は四一%何がしかになつております。今度の九月でしたか、十月でしたかの報告を見ますと、二八%何がしかに中小企業の方が減つております。一体これはどういうところに原因しておりますか。そういう点をひとつ銀行局長から御説明を願いたいと思います。
  38. 河野通一

    河野(通)政府委員 遅れましてはなはだ申訳ありませんでした。今お尋ねの点は、銀行の中小企業に対する金融の割合が従来より減つて来ておるという点のように伺います。この資料を私あまりよく見ておりませんが、私どもといたしましては、先般来から普通の銀行にいたしましても、できるだけ大企業に偏倚することのないように、中小企業に対する金融促進に積極的に当るようにということで、金融機関、ことに銀行については強力な指導をいたしておるであります。ただこの数字は、割合がだんだんに減つてつておりまして、銀行の中小企業に対する努力といいますか、そういう点の促進が非常になおざりになつておるような数字になつております。どうしてそういうことになつておるかという点につきましては、特別な理由はないのじやないかと思います。全体としてはもちろん中小企業に対する金融もふえておりますし、中小企業に対する金融をできるだけ大口に偏倚いたさないように今後も指導して参りたいと思います。ただいまのところ、従来四一%かでありましたものが、二八%に下つておるという点は、特別な理由といつて気のついたことはございませんけれども、あるいは各銀行の立場から、やはり中小企業に十分努力を傾けるという熱意の程度が十分徹底いたしておらぬという点も、おそらく一つ原因であろうかと思います。これらの点につきましては、さらに詳細に理由及び実績を検討いたしまして、中小金融に対する市中銀行の活動ぶりをさらに促進して参るように努力いたして参りたいと思います。
  39. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 その問題は、ちようど銀行局長が参ります前に言いかけておつたのですが、やはり中小企業に対する市中銀行あるいは一般銀行の熱意の足らないことは確かだと思いますが、政府並びに日本銀行あたりの考え方に、非常に大きな食い違いがあるのではないかと私は思うのであります。現実の姿から見ますと、三つ、四つ、あるいは六、七の銀行が一緒に固まつてある大企業に貸し付ける。その大企業の会社は、実際においてはもう自分の力では手を打つことができないという場合に、それをほつておいたのでは、遂に破産状態に陷らなければならぬから、それらの業者が集まつて何とか救済策を講ずるという手も打つておる。現実にそういう問題があるのですから、これはその通りです。それにもかかわらず、中小企業の場合においては、自分の力だけでもつて取引銀行の一、二を相手にして交渉をする道があるにもかかわらず、それに対して市中銀行なりその他の銀行が十分な手を差延べなかつたというような場合がかなり多かつたと思います。この前私がしつこく質問したのはそれなのです。それれが現実の姿で現われて来ておるのではないかと思う。必ずしも中小企業庁から出した数字に大きな間違いがあるとは私は考えません。しかしこれは私たちがこれから先いろいろな問題を精細に検討して行かなければならぬ関係上、できる限り一ぺん大蔵省において御調査を願つて、数字を委員全体でなくてもけつこうですが、私だけにでも手元までひとつお出しを願いたいと思います。  それからいま一つお尋ねをいたしますが、せつかくこの前中小企業のために、市中銀行に中小企業金融の専門店をおつくりになつた。ところが中小企業預金はふえておりますが、貸出しの金額は実際において預金金額の三分の一しか貸し出されていない。これではせつかく大蔵省が中小企業金融の専門店をつくつても、中小企業金融措置については実際に役に立つていないのではないか、むしろ中小企業から資金を吸い上げて、それを大企業金融面にまわされているのではないかという、ふうにわれわれには響くのであります。これは現実の姿を私たちはまだはつきり把握ができませんから断言はできませんけれども、表に現われている数字ではそういうことになつております。これはやはり大蔵当局あるいは金融当局の中小企業に対する関心が非常に足りないのではないかというふうに私は考えるわけでありまして、先ほど中小企業に対する当局の考え方はどうかということを一番先に小笠さんに伺つたのはそのためなんです。そういう問題について、もう少し具体的にわれわれの納得の行くように御説明を願いたいと思います。
  40. 河野通一

    河野(通)政府委員 中小企業専門店舖におきまして、預金額が貸出しの額をはるかに超過しているが、この預金は大企業にまわつているのではないかという御意見であります。この点は、まさに預金の方が貸出しよりも超過いたしております。この点は私どももかねがね実は気がついておるのでありまして、銀行当局者に対しては、常々そういうことでなしに、できるだけここへ集められた預金は中小金融の方にまわすようにということで指導はいたして参つておりますが、遺憾ながらまだ改善の跡が出ておりませんので、今後もさらに一層この問題については促進をいたして参りたいと考えております。これは大した影響はございませんが、ただ一部につきましては、中小企業店舗で貸し出しております貸出金の残高と、実質的に中小企業店舗で貸出しをいたしておりますものとは必ずしも一致いたしておりません。と申しますのは、大体五百万円くらいで切つておりますが、だんだん中小企業者が、状況がよくなつて来て、金額が少しかさみまして、五百万円を越えるような場合、相当大きな金額になりますと、中小企業金融店舗の貸出しから落して、それを本店なり、あるいは他の一般の支店の貸出しに振りかえるというような事例も、相当とまで行くかどうかは知りませんが、あることは事実であります。従いましてそういうものは実質的には中小企業専門店で貸出しておつたわけであります。だんだん育つて参りまして、資金量がふえて参りますに従つて、形式上専門店の貸出しから落ちて、その他の一般の支店の貸出しに、勘定が移つたというようなものもあるかと存じます。そういうことがどの程度影響しておるか、実は私どもにはわかりませんが、御指摘の点はまことにごもつともなこでありますから、なお実情をよく調べまして、十分御趣旨のように促進して参りたいと考えております。
  41. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 今の御説明のように、確かにある程度までは専門店から親銀行に流れるということはあると思うのですが、中小企業の専門店をつくつてからまだ日が浅いのに、そのわくではもう用が足りないほど、すぐに親銀行に移らなければならないというほどに中小企業が発達しておるとは私には考えられない。ですからこの問題はもつともつと別な角度から考えなければならぬ。たとえば今まで金融わくを小さくしてあつたものも、その専門店である程度まで順調な取引ができるようなものであつたものに対しては、ある程度までの取引ができるような方法を講じてやらなければならぬと考えるわけであります。  そこでこの問題を論じておりますと、非常に長くなりますから、今日はその問題でなく、商工中金の問題に関連して来るのですが、午前中の質問は大体大蔵委員の方々が質問をされましたから、私たちは遠慮しておつたのですが、先ほど一番初めに質問がありましたように、商工中金が大蔵省と通商産業省の共管であるがために、ややともすれば大蔵省の熱意が足らぬではないかという御質問に対して、そういうことはないという御答弁であつたのですが、われわれから見ると、どうもそういう感じが依然として深いのです。これはひが目ではないかとも考えるのでありますが、何と申しましても、先ほど数字をあげました通りに、中小企業金融が非常に不円滑なのであります。この前のときにも引取り資金の問題で大分申し上げましたが、そういう問題から考えましても、中小企業に対する資金運用の問題については、いつも相当に手きびしいわくをつくつておる。たとえば、新規に制定されました預金部資金運用法律におきましても、産業方面には資金をまわさぬ。これは大蔵省の考え方ばかりではなく、外からのお考えが入つておつたかもわかりませんけれども、大体から申しますならば、ああいう預金部資金のようなものは、私たちの見るところでは郵便貯金なり、あるいはそのほかのいろいろな資金も、大体中小企業者の金が相当多くあそこに入つておると思うのであります。そういう金は、もちろん債券の引受けだけは許されておりまして、極力やつておられると思うのですけれども、実際問題としては私はああいうふうな金はもつともつと産業方面にまわつてしかるべきではないかと思うのです。これに対しては、あの法案改正する意志があるかどうか、改正しないとすれば、さしあたり債券の引受けに対してもつともつと積極的な手を打つ考えがあるかどうか、この問題について特にお考えのほどをひとつつておきたい。けさほどのお話ではきわめてあいまい模糊の答弁であつたように私は承知しておるのです。あいまい模糊でなく、どのくらいのものは引受けてやつてもいいというような、もう少し具体的な考え方を率直にお話願いたいと思います。
  42. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。第一点は資金運用部資金運用方法をさらに緩和して、産業資金として活用できるような道を開いてはどうか、そのために、必要であれば法律を直したらどうかというお話の点であります。この点は資金運用部自体の運用計画からいいまして、現在のところ金融債の形でもつて間接に産業資金に出ておるわけであります。そのほかには、御承知のように地方債、地方財政に対する資金として相当出ております。それから国鉄であるとかあるいは電気通信等の特別会計、あるいは公社、そういつた一種の財政資金的な方面へ相当使われております。これらは大体全体として資金運用部資金の収支と申しますか、收入の金額を押えまして、これから大体来年度へ繰越すべき金額はまず押えられるわけであります。これはそんなふうに押えなくてもいいじやないかという御意見はもちろんあろうと思います。傾聴に値する御意見だと思いますが、その点についてはけさほども申し上げたのでありますが、一般会計、見返り資金資金運用部資金、この三者を総合して、結局資金の需給を立てて行く今度の場合には、具体的に申しますと見返り資金が相当程度支払い超過になる、そうした場合に、それでは資金運用部の方である程度資金を持ち越すといつたような見返り資金は今一例にすぎませんけれども、見返り資金資金運用部資金と一般会計とを合せて総合的な資金需給の立場から、何と申しますかインフレにならないようにして行くという観点から、総合的ににらんでああいう計画が実はできておる。そのしりが五百三十億ばかり来年に繰越すというその結果が出ておるのであります。その範囲内において、收入の増加見積りの範囲内においては五百三十億を除いては全額今申し上げましたような方向へ適当にばらまいて行く。地方債につきましては、これはさらに地方財政の現況からいいまして、さらに起債をふやすべきであるという非常に強い御要望が実は出ておるのであります。その点につきましても、若干の程度を起債としてふやしただけであります。全体の資金から来年に持ち越す金額をまず押えて、そのあとを全部適当な方法でもつて需要とにらんで配分する、こういうことに相なつておるわけであります。従いまして現在のところでは、この資金運用部資金からさらに債券の引受けを商工債券なら商工債券の引受けのための資金を追加いたしますためには、今申し上げました全体の資金繰りを、さらに運用計画を直して行かなければならない。直します場合には、今申し上げましたように一般会計の資金繰り収支繰りと、見返り資金資金繰りと、資金運用部資金資金繰りと、全体を総合的ににらんで、またこの問題をはじいて行かなければならない。これはごく事務的な話を申し上げて恐縮でありますが、そういうような段階になつておるわけであります。お叱りを受けることになるかと思いますが、そういつた観点もありまして、今さらに商工債券の引受けを拡充して参ることができるかできないかという点については、現在検討を重ねておるわけでございます。はなはだ残念でありますが、まだ御質問にお答えするまでに至つておりません。なおこういうような問題につきましては、かねがねからの大きな問題でもありますので、私などから申し上げますよりも、大蔵大臣から直接お聞取り願つた方があるいはいいのではないかと考えております。  なお法律改正の問題につきましては、現在のところでは今申し上げたような金融債引受けなら引受け資金が十分にあれば金融債引受けを通して産業資金に間接に資金がまわるという方途でもつて十分に足りるのではないか、結局資金運用部資金全体としての資金の需要と供給との関係があまりきゆうくつであるという点に問題があるので、法律改正しなくても、資金さえ十分に、あれば商工債券の引受けという形で、産業資金には相当出て行くことになる。問題は結局限られた資金のうちで何に重点を置くか、その優先順位ということに帰着するのではないかと考えます。
  43. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員 まだ検討中だということですから、これ以上申し上げてもむだなることでありますが、御承知通り商工中金資金源というものは、今日までいろいろ調べてみましたが、政府にたよるよりほかに方法がないのです。今度議員提出商工中金法の方を改正しようというのは、これは相当前からの議論でございまして、中小企業に対する金融措置をもつと円滑にやつて行きたいというのが根本の趣旨だと考えます。これはよくおわかりのことと思うのであります。それについてはもちろん私は賛成でありますが、大多数の賛成を得られることと思います。そしてこのような措置を構じましても、やはり同じようなことで資金源が得られなかつたならば、せつかく仏をつくつても魂が入らないような法案になつてしまうのじやないかと思う。その点につきましては、特に中小企業の実態を大蔵当局、金融当局がもう少しつかんでいただきたい。これを私は特に強調したいと思うのでございます。この前のお話の、輸出物資の引取り資金の問題のときにあれほど声をからして騒ぎましたが、あのときから今日までどうやらこうやら切り抜けて来ておるそのほんとうの姿は、やはり中小企業が一番力強くやつております。まじめな経営をしておる中小企業はちやんと切り拔けて来ておる。そういう状態から考えますと、私たちから見ればむしろ大企業の方が非常に大きな痛手を受け、ミスをやつておるような場合が多いと思います。そういう点から考えまして、私は金融措置の問題に対して特別な考慮を払うことを切にお願いいたします。あとに御質問の方があると思いますから、あとの問題はいずれ機会を見て大臣その他にも十分お願いしたいと思います。これで私の質問を終ります。
  44. 小金義照

  45. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 私は二点について簡単にお伺いしてみたいと思います。  今度の改正によりまして、構成員の直接貸付及び預金受入れの改正が、銀行業と抵觸せずという法律的説明を承りたいと思います。いわゆる商工中金としての特殊性を今度の改正によつてつて、混乱に陷るようなおそれはないかという点をお伺いいたします。
  46. 中村幸八

    中村(幸)委員 今度中金法を改正いたしまして、中小企業等協同組合所属組合員にまで取引ができるようになるのでありますが、これはあくまでも組合員に限るのでありまして、一般の中小企業者まで拡張する考えはないわけであります。従つて総合主義の理念に基く中小企業等協同組合の系統的金融機関という性格には何ら変更はないと考えております。
  47. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 次にお伺い申したいのは、今年度中に中小企業に対する資金の流用をすべき必要額は一体どの程度であるか。ことに商工中金の場合、大体五十億必要とされておりますが、この金額は本改正案でまかない得るかどうか、何らかこれに対して政府において考えがおありになるか、その所見を承りたい。
  48. 中村幸八

    中村(幸)委員 組合員にまで貸出しができることになると、相当資金の需要があるわけであります。最近の実績によると、毎月商工中金の貸出しの純増は十億程度あるのであります。そういたしますと、それだけでも十一月、十二月で二十億程度あるわけであります。それが新しく組合員にまで貸出しの範囲を拡張するということになりますと、さらに三十億くらいの必要があるのではないか。その上にさらにまた年末に際しまして特殊な資金の申込みが二十億程度出来ておるように聞いております。合せて五十億程度の需要があると考えますが、これを今度組合員からの新しくふえる預金でまかなうことはとうていできない。従いまして先ほど申し上げますように、政府資金を導入するということを早急に実施しなければならないと考えております。その点については先ほど銀行局長から答弁がありましたが、われわれはもつと銀行局においても真剣にこの問題を考えてもらいたいということを強く要望しておるわけであります。委員各位におかれても何とぞ政府当局を一段と御督励をお願いするわけであります。
  49. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 先ほど銀行局長に対して、政府資金のことについて澁谷委員からもお尋ねがあつたようでありますが、銀行局長といたしまして大体どのくらい政府資金を中金の方に持ち出すか、私見でもいいからお漏らしを願えれば仕合せだと思います。
  50. 河野通一

    河野(通)政府委員 きよう午前中に申し上げた程度のこと以外には私の私見もまだ固まつておりません。
  51. 高橋清治郎

    高橋(清)委員 午前中は私は欠席していたので……。
  52. 河野通一

    河野(通)政府委員 ではななはだ重複して一部の方には失礼でありますけれども申し上げます。まずお答えしておきますのははなはだ不十分でありますので、この点お叱りを受けざるを得ないのでありますが、現在までのところは、年末の商工中金資金の不足をできるだけ緩和する方策として、第一にはこの八月に政府の一般会計の予備金を指定預金といたしまして、それが今明日中に期限が来て、みな引揚げることになつております。銀行等については全額引揚げます。ただ商工中金については十三億指定預金がありますが、今申し上げました資金の不足を緩和するために、これを引揚げることを延期いたしまして、十三億全額を年内は出さないで、来年に持ち越すということにいたしたのであります。  第二点は災害関係でありますが、政府の指定預金をさらに災害関係地域における中小金融の円滑化に資するために、十数億指定預金を追加いたしました。このうち相当部分が商工中金の方にまわる予定であります。大体二億四、五千万円くらいになるのではないかと思いますが、商工中金に対しましてはその程度を追加いたしたいと思つております。  第三は、やはりこれも災害関係でありますが、今申し上げました指定預金と同じような趣旨をもつて日本銀行の中小金融に対する別わくの融資を追加いたしたい、金額はつきりいたしませんが、数億になると思います。これは大体商工中金と勧業銀行とがこれを取扱うことになります。商工中金が、どの程度その中から出て参りますか、まだ具体的にははつきりきまつておりませんで、日本銀行の方で今検討しておりますが、その程度のところまでは現在お話できるわけであります。はなはだ金額としては少額でありまして、皆さん方の御期待には沿い得ないと思いますが、それ以外の点については、先ほど来申し上げましたように検討はいたしておりますが、具体的にどの程度どうするということは、まだ私自分の考え方もきまつておりません。
  53. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私は午前中の大蔵委員会との連合審査におきまして、またただいまの同僚議員の質疑応答によりまして大体は了承することができましたが、ただ一言お尋ねをいたしたいと思うのであります。何と申しましてもわが国中小企業者というものは、もとより弱い団体でありますから、これを強めるのには、お互いに団結する以外に道はないと考えるのでございます。今回の改正法によりますと、一応わくを広げられましたことはまことにけつこうなことでございまして、組合の構成員まで貸出しの対象になることには一応私も同意をする次第でありますが、ただこの改正法によつて、あるいはその親心に反するような結果が生れるのではないかということを私は心配をいたすのでございます。なぜかと申しますと、ただいまの組合一つ経済中心になつて結成せられておるのでございまして、組合対象としてでなければその融資が受けられないというところに一つの魅力があるわけであります。これが一般にわたつて組合員個々に借入れができるということになりますと、組合の影というものが自然に薄くなるのではないかということを考えます。従つて今後組合の運営に非常な支障を来すのではないか。現在組合が中金より借入れをいたしましても、なかなかその借入れのペースに乗らないのであります。よほど有力な組合とか、あるいはまたその役員の個人保証とか、担保とかいうようなものによつて、この組合が借入れをなすのでございまして、現在一般の組合員の心理状態を伺つておりますと、組合員中の有力な者はとかく個人で動きたがる、組合協力するということよりも、個人の立場において動く、こういうような行き方に走りつつあるのでございまして、それがやはり現在組合員は対象にならぬ、組合がやはり借入れの対象だということで、かろうじて、まとまつているのでございますが、組合員にまで広げられるということになると、有力な組合員は個人で動く、あとへ残されたところの弱小の組合員がやはり組合を結成するというようなことになりはしないか。御承知通り現在の協同組合法は加入、脱退が自由でございまして、これを強制するわけには参りませんで、加入するのも脱退するのもその意思によつて動いているのでございますから、個人で動ける人は組合に加入しない。またその借入れが済みますれば脱退をするというような動きが今後起るのではないかということを、私は老婆心ながら心配いたしておるのでございます。これらに対しまして、何らかの内規によりまして、業務の運営上に処置を講ずる必要があるのではないか、こういうふうに考えるもので、この点に関しまして提案者、また政府当局者の御意見を伺いたい。
  54. 中村幸八

    中村(幸)委員 お説ごもつともと存じます。今後組合員にまで取引対象を拡張する場合に考えなければならないことは、中小企業等協同組合の結合を弱めることになりはしないか、とかく中金の貸出しが放漫になりはしないか、この二点につきましては十分今後気をつけなければならないと考えるのでありまして、われわれといたしましては一定の基準を設けて貸出しをさせる、こういう考えでございます。それではどんな基準を設けるかというわけでありますが、さしあたり私の考えておりますることは、貸出しにあたりましては、組合の承諾を得るということを條件といたしまして、組合の結合を弱めないようにいたしたい。また一件当りの最高限度を定めまして、あまり個人には巨額な資金が流れないような注意も必要じやないか。さらにまた、中小企業信用保険法の保険がついているとか、あるいは信用保証協会の保証がついているとか、こういう場合に限るという條件を定めまして、この基準に従つて貸出しをするようにいたしたいと思つております。中金法の第四十四條の監督規定によつてこの必要を満たして参りたい、かように考えております。
  55. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいま中村さんから御答弁がありましたが、要するにこの制度によつて組合の結合を弱めることのないような手だてをぜひくふうして塗りたい。道が開かれたからといつて、すぐ全部の者が普通の金融機関に行くようなぐあいには、私は実際問題としてなかなか参りにくいのじやないかと実は考えております。その結合を弱めない一つの方法といたしましては、今中村さんからお話のありましたような点も十分考えまして行つて行きたいと考えております。
  56. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 ただいまの御説明で大体了承いたしましたが、個人に貸し出す最高限度は大体どのくらいのお見込みでございますか。
  57. 小笠公韶

    小笠政府委員 それはまだ十分に考えておりませんが、まず金の性質、用途というものを私は考えて行きたい、いわゆる合理化資金であるとか、運転資金であるかというような場合によつておのずから違つて来ると思います。従いましてできるだけいわゆる合理化資金というものを優先さして行く。その際にある程度の、たとえば中小企業金融一般の政策として五百万円あるいは三百万円で頭を切つておるようでありますが、この際それも参考にして、大体そこらできめて行きたいというふうに考えております。
  58. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 御答弁によりまして大体了承をいたしましたが、私は今回のこの改正に対しましては、まことに敬意を表するものでございますが、この運営を誤りますと、確かに今後組合の支障になるおそれがあると存ずるのでございますから、どうかこの点に対しましてはとくと御注意を願いまして、私の意見は終ることにいたします。
  59. 小金義照

    小金委員長 次は高田富之君。
  60. 高田富之

    高田(富)委員 ただいまの阿左美委員の質問に関連する内容でありますから、簡単に一点だけお伺いしておきたいと思います。大体この案を出されましたのは、どうもちよつと考えますと、企業組合の今までの発展の状況、内容の充実状況というものが思わしくない点があるやに考えられる。なぜかといいますと、ただいまの質問にもありましたように、こういうことをやりますれば、ますます組合の本来の共同体としての機能は弱まつて来ますから、それを犠牲にして、個々の組合員に直接こういうことをやつて行くということになれば、むしろ組合運動を少しあきらめたような実情に即して、どうもこれはいかぬというような点に立つて改正案を出されたのではないかと考えられるのです。企業協同組合の運動というものが、そういう点からいつて、今までの経験から本案提案者はこういうものを出さなければならないような思わしくないものがあつたかどうか、その点をちよつと伺いたいと思うのです。
  61. 中村幸八

    中村(幸)委員 商工中金の経営が、今まで思わしくなかつたのじやないかというようなお尋ねでありまするが、私どもは決してそうは考えておらないのでありまして、むしろ中・小企業金融のために商工中金が従来非常に活躍をした。非常な努力をした。その効果がてきめんに現われておると考えるのでありまして、一例をあげますると、昭和二十三年ごろ十二億程度の貸付金があつたわけでありますが、今日におきましては百七十億の貸付があるのでございます。そういうように、商工中金の業績は非常に上つております。であるから、今までの経理状態がとかくどうも、うまく行かなかつたからというのではなくて、今度の改正は、さらに一層運営をうまくして行こう、こういう考えから、従来の組合に対する取引をさらに組合員にまで拡張する、あるいはさらにまた業務の範囲を拡大して行く、こういうようなねらいがあるのであります。
  62. 高田富之

    高田(富)委員 そうではなく、その対象になつている企業協同組合の方の今までの全般的に見た運行の状態とか、そういうものから見て、それが満足すべきものであるならば、どんどん組合自体の協同事業を拡充強化する方向に行くのが自然なわけです。そうでなくこういうふうに出て来られたということは、今までの協同組合運動に対して非常に批判的な面があるというふうに考えざるを得ないので、その協同組合の運営が、今までの実際の経営から見まして思わしくない点があるのではないかということをお伺いしておるのです。
  63. 小金義照

    小金委員長 それでは私からちよつとお答えいたしますが、そういう批判から実は出発したのではなくして、協同組合が活動するのに、資金の借り方にいろいろな方法というが、範囲、種類があるわけです。それでほんの組合の限られた人が、合理化資金とか運用資金に金がほしい場合に、単位組合でそれを是なりと認めても、今のままでは一応組合が借りてまたその組合員に貸し付けなければならないという手数があるから、これを省いて、直接そういうような者だけをよつて、単独に貸し付けてやろう、あるいは預金も受入れよう、こういう趣旨でやつたのであなたの御心配なる点も、われわれもちろん考えましたけれども、決して批判的に、組合運動がもうあまり活発でないから直接取引をさせようという意味ではございません。
  64. 高田富之

    高田(富)委員 そういうふうな場合であれば、まだいろいろほかに提案されておる一般的な金融機関の中小企業に対する融資の方も、もつと合理的にやる方法信用保証協会の拡充とか強化とかいろいろな方法で個々の業者に対しては別途に考えるべきであつて、特に組合員個人に対してそういうふうな特別の融資をするということになりますと、そういうことが今度主になつて来れば、さつきも疑問が出ましたけれども、非常に一部の者に濫用されるおそれが大きい結果、かえつて協同組合運動の今後の発達にはマイナスになりはせぬか。むしろ組合員の中での無力なといいますか、ほんとうに協同でなければやれないために、その必要によつて集まる中小企業者の方はそういうことを利用する機会が非常に少いというようなことから、協同組合の将来の発達に対してマイナスになるのではないか。この点はどうですか。
  65. 小金義照

    小金委員長 そういう問題に関連しては、これでは組合の構成員のうちのボスだけがうまいことをするのではないかといつたようないろいろ御心配がけさほども出ました。しかしこれは手数を省いたり、あるいは何といいますか、組合活動を妨げない方法を講ずる、すなわち組合の構成員に貸し付ける場合には、当該組合の承諾を得るとか、あるいはその推薦をまつとか、そういう方法をとつて組合活動のじやまはしないという方法をとらせるつもりなのですから、御了承願いたいと思います。  ほかに御発言はございませんかほかに御発言がなければ、本案に対する質疑は以上をもつて終了いたしたものといたします。討論採決は次会にいたします。次会は明十五日午後一時よりと予定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時九分散会