○柄澤
委員 数字がないというお話でございますので、
一つの例を申し上げます。三井上砂川の
炭鉱でございますが、一昨年は一人大体四・五トン掘
つておりましたのが、現在では六・四五トンくらい掘
つておるわけです。一日に二トンくらいよけいの出炭量にな
つております。大体これは
関係方面の指示がございますように、十時間掘らなければ基準量が掘れらないという線が出ておりまして、現場の交代が切羽交代であ
つたものが坑口交代にかわり、休み時間がなくなり、残業は当然だというふうにかわ
つて来ておるわけでございます。ですから基準量を掘らなければ規定の賃金がもらえないわけでございます。きよう賀来さんのお話のございました常磐の妥結の方法でございますが、これがもし伝えられておりますように、今までよりも出炭量が上
つた線で給与が上
つたのでございますと、二月の闘争と同じような
事態が繰返されまして——上砂川という所は共産党員が全部首切られてしま
つた山でございます。そこの山で無
期限ストを大衆が絶対圧倒的な多数できめまして、組合の幹部がびつくりしたというくらいに、大衆の生活が切迫しておる
状態にあるわけでございます。ですからストの
対策をお立てになりますところの通産政務次官は、やはり労働者の賃金と、一人当りの出炭量というようなことをお
考えになりま
せんと、問題の
解決ということはできないと思うのでございます。ですから、ただいま炭労の掲げております賃金の
要求の陰には、血の出るような労働災害が非常にふえまして、
炭鉱労働者の人死にが多くなり、怪我人がふえておるということは、具体的な数字に表われておることが証明しておると思うのでございます。その点につきまして、ぜひ
政府がもつと腰を入れられまして、具体的に基準法が改正される以前に踏みにじられております
炭鉱の賃金問題については、ただ単に五千万トン
増産するんだ、いや四千二百万トンに
なつた、十月に二十万トンふえたというようなことでなしに、実際に当
つていただきま
せんと、
石炭が安く
なつたから統制をしくとい
つて、
石炭が上ると、また
朝鮮動乱のためだというような無責任なことでは、済まない問題であると思うのでございます。このことにつきまして、
増産すれば日本の再建になるんだという意気でや
つて来ました
炭鉱労働者が、次から次へと
増産のたびに裏切られて、生活が苦しくな
つて来た。だから自分たちの掘る
石炭が日本の再建のためになるのかならないのか、どこへ行
つてしまうのかということも大きな疑問にな
つておるわけでございます。ですからその点につきまして、ぜひ
政府は基準法違反とか、労働災害がふえていることに対して、現在の日本の法律のわくの中からだけでよろしいのでございますから、法の実施のために厳重に監督をや
つていただきたい。具体的な基準法違反をやらなければ、基準量が掘れないという
炭鉱の現実の
状態、この
状態につきまして、具体的に
政府はどんなような監督をしておられるか、あるいは
方針を持
つておられるか、承
つておきたいと思います。