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1951-11-14 第12回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十四日(水曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       大泉 寛三君    尾関 義一君       門脇勝太郎君    川本 末治君       吉田吉太郎君    鈴木 幹雄君       藤田 義光君    宮腰 喜助君       久保田鶴松君    立花 敏男君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十一月十四日  委員河野金昇君辞任につき、その補欠として宮  腰喜助君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月十三日  地方公務員給與改訂に伴う財源付與に関する  請願久野忠治紹介)(第一一四七号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願(  飯塚定輔紹介)(第一一五三号)  同(福田喜東紹介)(第一一五四号)  同(渡邊良夫紹介)(第一一五五号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一一九三号)  同(大西正男紹介)(第一一九四号)  同(畠山重勇紹介)(第一一九五号)  同(佐伯宗義紹介)(第一一九六号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一九七号)  同(田中不破三君紹介)(第一一九八号)  同(黒澤富次郎紹介)(第一一九九号)  同(小川平二紹介)(第一二〇〇号)  同(土倉宗明紹介)(第一二五五号)  同(田中重彌君紹介)(第一二五六号)  同(中垣國男紹介)(第一二五七号)  同(佐瀬昌三紹介)(第一二五八号)  六・三制整備起債額に関する請願久野忠治君  紹介)(第一一五七号)  地方財政特別平衡交付金増額請願(上林山榮  吉君外九名紹介)(第一一八〇号)  地方財政平衡交付金増額に関する請願外二件  (大石ヨシエ紹介)(第一二四五号)  地方財政平衡交付金増額並びに起債額拡大に関  する請願大石ヨシエ紹介)(第一二四六  号)  売春取締に関する請願井出一太郎紹介)(  第一二四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二九号)  地方自治に関する件     —————————————
  2. 龍野喜一郎

    ○龍野委員長代理 これより会議を開きます。  昨日に引続き地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の両法律案を一括して、議題として質疑を続行いたします。
  3. 立花敏男

    立花委員 地方行政整理の問題を少し聞いておきたいのです。この問題は、この間も委員長に、特別にこれを委員会で扱うようにしていただきたいということをお願いしておいたのですが、まだはつきり日がさまらないようですが、せつかく鈴木君がおいでになつておりますので、この地方行政整理の問題をお聞きしてみたいと思います。  この間岡野国務大臣にお尋ねいたしますと、まだ案がきまつていないというようなお話であつたのですが、私ども新聞紙上で、再三地方行政整理については発表されているのを承つているわけであります。また地方職員組合あるいは労働組合などとの折衝においても、相当具体的な案を自治庁の方でお漏らしになつておられますので、必ず案ができていると思つております。もちろんそれは確実的な案ではないかもしれませんが、試案は相当程度進んだものができているのじやないか。特に第一次案というようなものが、はつきりできておりまして、それによつて各省との自治長に対する回答も、月末ごろまでには出そろうのではないか、それによつて一応の行政整理の案が、まとまるのではないかというふうに承つております。これはまあ簡素化本部責任者である岡野さんにお聞きするのが、一番適当かとも思いますが、おいでになりませんので、鈴木君あるいは政務次官おいでになりましたから、政務次官からでもけつこうですが、地方行政整理の具体的な案の内容、それからできますならばその基準等をお示し願いたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政整理の案の具体的な内容を示せというお話でありますが、行政整理という言葉政府は申しておりませんで、地方行政簡素化という言葉で申しているのでありますが、これは地方行政簡素化本部というものをつくりまして、そこで岡野国務大臣本部長になつて先般来鋭意立案をいたしておりますが、最近国会がだんだん御審議が進んで参りましたような関係もございまして、なかなか全部員が会合いたすことが困難のような状態でございますので、審議を一応ストップいたしているよろな状態でございます。政府の段取といたしましては、通常国会関係法案その他提案ができますことを目途といたしまして、準備を進めておりますので、まだ具体案と申すほどのものは何もできていないというのが、実情でございます。
  5. 立花敏男

    立花委員 岡野さんと同じような何もできていないという御答弁なんですが、火のないところには煙が立たないと申すように、再三新聞紙上に発表されておりますし、責任のある方がやはり自治労連あたりに、案の一端をお漏しになつておられますので、案がないとは私決して申されないと思うのです。さいぜん申しましたように、確定的な決定案であるというような意味の案をお聞きしておるのではございませんので、どういう方針でどの程度のことを考えておるのかということでもけつこうだと思う。そういう意味でひとつお漏し願いたいと思うのです。たとえば教職員に対しては六万八千ですか、それから消防職員に対しては一万六千、一般行政職員は十一万、合計十九万幾ら、約一五%ないし二〇%というような具体的な数字まで、巷間には流布されておりますが、これは決して一般国民が根も葉もないものを、でつち上げたものではないと思います。こういうことがうわさされております以上は、やはり一応自治庁でお考えのことを漏らしていただく必要があると思う。通常国会に出すから、臨時国会で言う必要がないのだというようなお話のようでございますが、定員の増減の問題は、平衡交付金とも大きな関連がありますから、通常国会が始まりまして、平衡交付金が決定されました後におきまして、この問題が起つて参りますと、また非常に複雑になりますので、私どもといたしましては、来年度の地方予算がきまります前に、こういう予算関係のある問題は、その概略を承知しておきまして、来年度の地方予算の編成の途上において、いろいろな変更が生じないようにして行きたいと思うのです。そういう意味で、概略のものでけつこうでございますが、お示しを願いたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政簡素化の大体の考え方を申し上げてみたいと思いますが、大体の作業考え方といたしましては、地方行政機構簡素化するということが第一の問題であります。第二の問題といたしましては、現在地方で処理しております行政事務内容を圧縮して行く、少くして行くということであります。それからさらにそういう機構により行政事務を処理して行く、その仕方を能率化して行くということが、第三の問題であります。この第一ないし第三の機構簡素化事務処理能率化、こういうような結果からいたしましてどの程度人員が縮減できるかということが、第四番目の問題であります。  要するにそういう四つの前提からいたしまして、地方行政全体として、どういうふうに簡素化できるか、こういうことを検討いたしておる次第であります。それを一つ一つ法律なり、命令なりあるいは予算なりで定められております各種機構事務につきまして、逐一検討を進めておりますような次第でございまして、作業具体的内容につきましては、いまだこういう具体案ができ上つたということを「お示しする段階になつていないのであります。
  7. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、巷間に流布されております教職員パ—セント、あるいは一般職員何パーセント、平均一五%ないし二〇%の整理という考え方は、今自治庁あるいは行政簡素化本部で全然持つていないというふうに、断言されたと考えてもよろしゆうございますか。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 何パーセントという二、三の新聞に出ました記事がございますが、これは地方行政簡素化本部として、あるいは政府といたしまして公式に発表いたしました数字では全然ございません。従いまして新聞記者の方々がそれぞれの情報活動によりましていずれかの方面からお聞きになつたことを整理されて、記事とされたものと思うのでありまして、政府といたしましては、むろん個々の人としてはいろいろの意見がございますから、たとえばこういう仕事については、この程度事務を縮減してよいであろうというような意見のあるものも、もちろんあるわけでありまして、それで何パーセント事務整理される、従つて人も何パーセント整理されるというような意見が出て、世上に流布されるというようなこともあろうと思いますけれども地方行政簡素化本部として、具体的にまとまりました案というものは、いわば第一次の案というような名前のものでさえも、まだでき上つておらないという状態でございます。
  9. 立花敏男

    立花委員 自治庁責任ある方が、やはり具体的にお話なつた中に、はつきりこういう数字なり人員なりが出ておりますので、全面的に今の政府のお言葉を信用するわけに行かないのですが、そういうことがないということであれば、一応そういうことにしておきたいと思いますが、なるべくこういう問題は、フランクにお話願うようにしていただきたいと思います。  それから簡素化の問題でありますが、私どもが一番懸念に思いますのは、今言われました三つの問題は大したことはないわけでありますが、中央から地方への事務委譲です。こういうことを考えておられるのかどうか。これが多分に含まれているではないかと思いますが、こういうことが今度の簡素化の中に含まれていないのかどうか。あるいは今度の機構改革に含まれていないのかどうか。当然こういう簡素化勧告によりまして実施される時期が来ると思いますが、そういう場合には簡素化本部でお考えになつている簡素化とは別にやるのか、これをひとつ承つておきたい。何となれば、この問題は地方財政あるいは平衡交付金等にも、非常に関係して参ります。平衡交付金が非常に減額されて、来年度の平衡交付金の減額が、今から相当予想されるわけなんですが、こういう場合に、中央から地方への事務委譲が多量になりましては、とんでもないここになりますので、こういう問題をどういうふうに処理されるか承りたい。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政事務地方団体に対する委譲の問題を、行政簡素化の案をつくる際に考えているかどうかというご質問ですが、行政事務の再配分ということにつきましては、神戸委員会から政府に対しまして勧告がなされておるわけでございまして、この神戸委員会勧告趣旨は、政府としては十分尊重して参りたいと思うのであります。勧告の中で地方委譲される予定になつております仕事につきましても、むしろこの際かような仕事委譲しないで、廃止できるのではないかというようなものもあり得るわけでありまして、そういう観点から委譲せらるべき一部を、廃止してしまうというようなものも、出て来るのではないかと考えておるのであります。そういうふうにいたしまして、できるだけ地方分権趣旨は、尊重いたしたいと思いますけれども、国が行政簡素化をする一つの手段といたしまして、地方仕事を押しつける、そういう意味事務委譲ということは、極力これを避けて参りたいというふうに考えております。
  11. 立花敏男

    立花委員 はつきりした御答弁ではありませんので、地方委譲の問題は、今度の簡素化実施一緒にやるかどうかという点を、もう一度明確にしていただきたい。神戸勧告事務配分と今度の簡素化の問題を別にやるのか、一緒にやるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。  それからもう一つ事務の再配分を含まない場合でも、簡素化の問題が問題になるわけですが、何を一体簡素化されようとしているのか、簡素化対象になるのは一体何であるか。今問題になつております中央行政整理におきましても、民生安定に必要な事務が、非常に人員が縮減されてまして、逆に人民の収奪、弾圧の人員が非常にふえているということは、これは数字上明白なことでありますが、地方におきましても、簡素化の場合に一体何を対象として簡素化されるのか。たとえば聞くところによりますと、衛生事務などは、全部廃止と申しますか、警察に委讓いたしまして、前に警察でやつておりましたものが市役所なり何なりでやるようになりましたのを、今度また逆に警察に還元するという形が非常に現われて参つておることが、今度の簡素化の中にあることを承つております。その他にも、保健所というような、民生に直接関係のある事務が、簡素化という名前によつて切り捨てられる傾向があるのですが、一体どういうものをどの程度簡素化されるか、これも基本的な方針けつこうですから、ひとつお答え願いたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 神戸委員会勧告は、地方行政簡素化の具体的な案をつくります場合におきまして、同時にこれを考慮して行く考え方であります。  それからその次に行政簡素化内容として、何か衛生事務警察機能の中にまたつけ加えて行くというような説、あるいは民生関係事務を極端に圧縮するというような説がある、あるいは保健所機能を押えて行くというような説があるという点についてのお尋ねでありますが、これらの社会福祉、あるいは保健衛生という事務は、終戦後非常に進展をして参りまして、事務分量またその内容におきましても、非常に飛躍的な発展を遂げた事務であることは、まさにその通りであると思うのでありますが、行政簡素化内容といたしましては、どういう点を行政簡素化するか申しますならば、比較的多くの経費を要するのにかかわらず、それに応じてあまり効果が期待できないといつたような種類の事務、あるいは非常に水準が高く、それが理想的に行われますならば、非常にけつこうなことではあるけれども、なかなか今の地方財政力、ひいては日本の国力をもつてしては、こなして行けるだけの段階のものでないといつたようなものなどにつきまして、一つ一つ検討をして参りまして、採否を決定して行きたい、こういう考え方で進めておるわけでありまして、ただ終戦後膨脹したから、すべてそういうものは昔の姿に返してしまうのだというような、単純な考え方で事に当つておるのではないのであります。
  13. 立花敏男

    立花委員 今の鈴木君のお答えで、非常に重大な問題が出て来ると思うのです。鈴木君のお言葉によると、行政簡素化事務配分一緒にやることだと受取つたのですが、そうでございますと、現在中央でやつております行政整理、これは一応事務の再配分とは別にやると申しておりますので、そうなりますと、地方行政簡素化をやります場合に、どうしても中央行政整理を、もう一度やらなければいかぬということが起つて来るわけですが、こうなつて参りますと、現在の数万の首切りの上に、さらに地方行政整理がある、第二次の行政整理があるというふうに理解しなければいけないのですが、その点は、地方行政簡素化中央行政整理と、どういうふうに関連しているのか、これを承りたい。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 中央自体行政事務簡素化の問題は、今回の政府定員法改正案を用意いたしました際におきまして、どの程度これを簡素化するかということを同時に考慮をして、決定せられたものだと思います。地方行政簡素化の問題に対しましては、中央行政簡素化の際において、あるものは地方に将来委譲されるかもしれない、そういうような形のものもあるわけでありまして、そういうものはそういうものとして予定しつつ、地方行政簡素化の案を、考慮いたしておるような次第であります。
  15. 立花敏男

    立花委員 鈴木君の考え方は、中央の現在の行政整理考え方とは少し違いますので、中央は明らかに天引の行政整理だということをお認めになつておられます。行政機構改革あるいは行政事務の再配分とは一応別個に、今度の行政整理考えておるのだ、この原則は橋本さんもたびたび言われておりまして、明白なので、鈴木君は、今度の中央行政整理は、簡素化と合せて考慮しているのだと言われますが、これは重大な食い違いではないかと思うのです。だから鈴木君の言われるような地方行政整理簡素化をお考えになつておられますならば、どうしても中央では第二次的の行政整理がなければならないと思うのですが、その点をひとつ明確にしていただきたい。たとえば職業安定所府県への移管あるいは労働基準事務地方への移管、こういう問題がその他にたくさんありますが、その問題が出て参りますと、どうしても中央でもこれに関連のある機構改革なり、行政整理が必要になつて参りますので、あなたのお言葉と、現在やられておる中央行政整理、あるいはその考え方とに矛盾があるのではないか、その点を明らかにしてもらいたい。     〔龍野委員長代理退席野村委員長代理着席
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 中央のことを私、よく存じませんが、しかしながらたとえば終戦処理関係仕事でございますとか、その他いろいろ仕事があるわけでありますが、そういう事務整理される、従つてそれに関する各種法令等も、将来改廃されることを予定をいたしまして、中央定員法改正案ができておるわけであります。従つて次通常国会等におきましては、そういう中央の問題に関しましても、行政事務整理に関する法案が、あるいは用意されるのではないかと思いまするし、また行政機構改革につきましても、何らかそのようなことが行われるであろうと思うのであります。もしもそういうふうに行政事務整理あるいは中央行政機構改革というようなことが行われますならば、それに関連をいたしまして、定員法に関する改正も当然に行われるであろう。またそれと関連をいたしまして、地方行政事務簡素化という面においても、当然に影響が参るであろう、かように考えておるわけであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、現在行われておりまする定員法改正のほかに、地方行政簡素化実施伴つて中央でも新しい定員法改正も行われるであろうというお見通しをお持ちになつておる、こういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私がその点を言明いたすことは、立場上適当でないと存じますから、その関係の当局から直接お聞き願いたいと思いますが、ただ、中央地方を通じまする行政簡素化という政府方針から申しますると、そういうようなことが行われるのではないかと考えておるわけであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 これは重大問題でありますので、次官にお伺いいたしますが、鈴木君は立場答弁ができないと言つておられますので、地方行政整理に伴うて、中央でももう一度定員法改正をやるという鈴木君の意見について、次官立場から御答弁願いたい。
  20. 小野哲

    小野(哲)政府委員 大体行政簡素化の問題につきましては、ただいま鈴木君から答弁をいたしましたので、私からさらに申し上げることはないと思いますが、中央における行政簡素化の問題は、なお将来行政機構の問題を伴つて来ることとなるわけであります。さような場合において、これをどういうふうにやつて行くかということは、その場合において考えなければならぬ問題も起つて来るかとも思いまするけれども、ただいまのところでは、別にこの問題について、さらに再び人員整理等を行うかどうかということを、この際申し上げる段階にはまだ至つておらない、かように考えております。
  21. 立花敏男

    立花委員 通常国会もすぐでございますし、地方予算等を組まなければならぬ関係もありますので、地方機構改革行政整理の問題をもう少し明確に、なるべく近いうちにそれをやつていただきたいことを要望しておきます。  それから、最後に、地方行政簡素化の問題で、もう一点聞いておきたいと思いますのは、たとい簡素化本部で案をおきめになりましても、これは地方に対してどういう拘束力を持つのかという問題なんです。私どもこれは拘束力を持たないと考えますが、政府はそれに拘束力を持たすために、特別の法律をおつくりになる御用意があるかどうか、あるいは監督権を含む立法をなさるということが言われておりますが、こういうものをおつくりになつて地方に対する定員中央における統制をおやりになるお考えがあるかどうか、これをお伺いいたします。
  22. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御質問は、今回の地方行政簡素化に伴うて、政府地方公共団体に対して、これが実施の場合において、何らか法制的な措置をとるかどうか、こういうことであろうと思いますが、政府としては目下のところさような考えは持つておりません。
  23. 立花敏男

    立花委員 法制的措置をやる考えはないとおつしやられますが、そうしたらどういう形で簡素化本部でおつくりになつた案を、実現に移すお考えなのか。法的措置をやらないで、何ら拘束力のないものを中央でおつくりになる必要は別にないと思うのでありますが、この点をひとつお答え願いたい。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政簡素化の案と申しますのは、先ほど来申し上げましたように、一つ機構簡素化なんでございます。府県あるいは市町村等條例だけでつくつておりますものは、これは中央でどうするということは考えておりませんが、御承知のように、地方自治庁でありますとか、教育委員会法でありますとかいうように、法律あるいはこれに基く命令におきまして、各種機構を定めておりまするから、かような機構をどういうふうに簡素化するかということになりますので、勢いこれは法律案改正という問題になるわけでございます。また行政事務整理につきましても、これはいずれもいろいろの特別法によつて行政事務内容が定められ、それを府県市町村が行うように要求をしているわけでございますから、もしそういう事務整理縮小するということになりますと、これもまた法律改正することになるわけでございます。そういうふうに機構簡素化にいたしましても、行政事務整理の問題にいたしましても、法律案によつて最終的にはきまつて来る。また人員整理の問題にいたしましても、法律によつて直接一定の基準を定めて、どれだけの職員を必ず市町村に置かなければならない、府県に置かなければならないというふうにきめているものもあるわけでありまするし、あるいは各省の通牒とか通達等で、設置基準というようなものを設けまして、職員設置基準を定めておるようなものもあるわけであります。こういうようなものは、やはり中央で何らか改正するということが行われなければ簡素化ができないわけであります。なおそのほかに補助職員とか委託費によつて置かれておりまする職員、あるいは補助費委託費で処理しておる事務があるわけでありますが、こういうようなものは、中央がみずからそういう事務をやめるということになりまするならば、それに伴うて予算も減つて参ります。事務もおのずから廃止されるということになるわけであります。要するに中央法律なりあるいは通達命令なり、あるいは予算なりにおきまして、中央段階で事柄が定まつておりますものについて、今の地方行政簡素化本部で、いかにこれを処理するかということを、第一次的に考えておるわけでありまして、地方の全然純然たる機構、あるいは事務というようなものにつきましては、中央が特にその事務はどうせよとか、その機構はどうせよとかいうようなことを、積極的に勧告するというようなところまでは考えておりません。
  25. 立花敏男

    立花委員 御承知のように、地方定員地方の定数條例によつて決定されておるわけでありますが、それに中央から特別の法令をつくつて、干渉なさるおつもりはないのかどうか。今お述べになりました、関係の法令の改廃は考えられると思うのですが、根本的に人員の問題につきまして、定数條例で決定いたしておりますのを、特に中央地方人員に関する特別な法制的措置をおとりになつて、これに関與なさるおつもりがあるのかどうか。これを聞いておきたいと思うのです。これをおやりにならない場合には、地方定員の問題は、あくまでも地方の自主性が生きておると思うのでありますが、この場合には地方の議会が、やはり定数の問題は自主的に決定できる権限がある。また地方職員の組合と理事者との折衝によつて、実質的な定数が決定されるのだと思うのですが、この点をひとつ御解明願いたい。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方におきましても定数條例が、それぞれの地方団体で定められておるわけでありますが、この定数條例は、いわば国の委任に基きまして処理しなければならない事務、そういう事務を処理する職員と、それから純然たる地方の創意によつて処理しております事務、事業というようなものを処理する職員と、大ざつぽに申しますと、その二通りあるわけでありますが、そういうようなものをひつくるめて、定数條例で規定をいたしておるのが多いと思うのであります。前段の、国が各種基準を定め、あるいは処理の方法等を定めておりますような事務に従事いたします職員につきましては、これはおのずから一定の基準というようなものが、定まつて来ると思うのであります。後段の純粋の地方事務というものにつきましては、これはそれぞれどういう種類の事務地方が取上げて行くかということによつて、そこに伸縮——幅が相当に出て来るのは、当然であろうと思うのであります。従いましてそういう両点をにらみ合して、それぞれの地方団体で、自己の処理すべき事務を処理するのに、どれだけの人が必要であるかということを、合理的にきめて行かなければならぬわけでありまするし、そういうことについて、中央が指示をするとかいうようなことはもちろん考えておりません。ただ今のように、大体七、八割の仕事というものが府県におきましても、市町村におきましても、中央でわくを定めたような種類の事務でございまするので、同じような状態にある地方団体といたしましては、その間にはなはだしい職員の不均衡があるということは、これはやはり事務処理の方法なり、組織の立て方なりにおいてあるいは不合理の点がある結果ではないかというふうにも考えられるわけでありまして、一体全国の府県なりあるいは市町村の間におきまして、職員の配置、定数の配置というものが、現在どういう状況になつておるかということを、いろいろの参考資料によつて、もし府県なり市町村に示すことができまするならば、そういうような竜のを示したい。そういうものを参考にいたしまして、各地方団体において、自主的に定数を決定してもらうようにしたい、かように考えてるのであります。
  27. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと立花委員にお願いしたいのですが、この地方公務員に関する問題は、非常に本委員会の関心を持つていることですが、ひと  つ今上程になつている法律案に直接の問題について、他にまた機会を設けたいと思つておりますので、それを含んで御質疑を願います。
  28. 立花敏男

    立花委員 きようの公報によりますと、平衡交付金地方税法のほかに、地方自治に関する件というのがありますので、特に鈴木君に出てもらつておるわけであります。この問題は私は委員長に要望しておきましたので、こういう形をおとりになつたと思います。
  29. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 今上程になつておるのは両法律案なんですから、残余の時間があれば別ですが…。
  30. 立花敏男

    立花委員 この問題について、最後にもう一つ聞いておきたいのですが、今の鈴木君の御答弁で、大体法制的な措置考えておるということが明らかになつたのではないかと思う。私どもが聞いておりますのは、やはり自治庁で今あなたの言われた標準定員法律をおつくりになつて、不均衡の場合には不均衡であるぞ、改めろという勧告をお出しになるという権利を地方でお持ちになる、こういう法制的な措置をお考えになつていると聞いておる。今の鈴木君の答弁はその通りお答えになつておりますので、こういうふうなもものをお出しになると考えていいのだと思うのですが、あなたはそういう標準的なもの、不均衡にならないようなもりを参考に示すと言われましたのですが、私はやはり法制的な手続の上でお示しになるのだろうと思いますが、そう理解してよろしいのですか。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私が今申し上げましたのは、一つ考え方を申したわけであります。中央におきましてはつ予算当局が予算を編成をいたすわけでありますが、一万有余の地方団体においては、それぞれいかに予算を編成するか、職員配置をいかにするかこいうことは、一万有余のそれぞれの独立の意思が決定するわけでございますから、その間にやはりいろいろとアンバランスがある。全国平均的に考えてどういうふうなことになつているかということを、やはり各員万の意思が独立に決定をいたします場合の参考として、何らかそういうようなものを示して、地方行政全体として合理的な動き方ができるように考えて行つたら、どうであろうかという考え方を申し上げたのであります。これは決してそういうことを法律化いたしまして、強制をするとかいうような考えは毛頭持つておりませんただそういうようなことを“一つ考え方の目途として持つているということを申したわけで、ただそういうものを府県あるいは市町村考えます場合の二つの参考に、技術的な助言という意味において、提供して行つてみたい、かように考えておる次第であります。
  32. 立花敏男

    立花委員 行政制度の問題はこれで打切りまして、次にはペースの問題ですが、聞くところによりますと、六日の閣議で地方の公務員のベースの決定が大体了解得られた、中央の千五百円に対して、地方府県が九百七円、教員が千三百二円、市町村が七百二十六円、たとえば市町村あたりは半分にも達しないのですが、こういうようなものを閣議で了解を得られたことがあるのかどうか、政務次官にひとつお尋ねいたしたい。
  33. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方公務員の給與の改訂につきましては、閣議において検討いたしまして、一応政府考え方をきめ九わけであります。
  34. 立花敏男

    立花委員 その閣議の決定されました数字を、ひとつお示し願いたいと思います。
  35. 小野哲

    小野(哲)政府委員 閣議では数字自体を決定したわけではないのでありまして、地方公務員の給與の改訂につきましての財源措置等に関しまして、政府考え方をきめたわけであります。
  36. 立花敏男

    立花委員 それは少しおかしいのですが、財源をお考えになります場合に、一人当りの数字をお考えにならないで、財源が決定できますか。
  37. 小野哲

    小野(哲)政府委員 閣議決定の内容と申しますか、それ自体におきまして、ひとつ数字を取上げて各地方公共団体職員の給與は、これこれにするのだというふうなことを決定したわけではないのであります。
  38. 立花敏男

    立花委員 だから具体的にひとつ数字を承りたいと思います。財源の措置と申されましたが、財源の措置ならば、幾ら幾らにこの財源を地方公務員のベース・アップに支出するのだという御決定があつたと思う。その場合の財源の数字は、あくまでもこの地方公務員のペースの具体的な数字から算出されるのが当然だと思いますので、ベースに対する具体的な数字の御決定がない以上は、財源の数字も根拠がないわけですが、どういうおうな閣議の決定であつたのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  39. 小野哲

    小野(哲)政府委員 もちろん財源措置をして行きますためには、その計算上の基礎は考えなければならぬと思います。私が申しましたのは、立花さんの御質問が、具体的に地方公共団体の個々の職員の給與についての決定をしたのかと、こういうような御質問のように承りましたので、さような質問に対する答弁をしたわけであります。ただ財源措置についての、計算上とるべき基礎となるべき資料につきましては、もちろんこれによらなければならぬことは申すまでもないわけであります。
  40. 立花敏男

    立花委員 そういうりくつの上での言訳はもう聞きたくありませんので、どういう数字をどういうふうにおきめになつたのか、これをひとつ数字でお答え願います。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どういう数字で決定したかというお話でありますが、これは地方財政委員会なり、文部省並びに大蔵財務当局との間において、計算の基礎として使うことにいたしました数字でありまして、教員については三百七十五円、市町村職員については五百七十六円、府県職員については四百六十二円、国家公務員の給與基準に比較して上まわつているということを前提にいたしまして、計算をした数字であります。
  42. 立花敏男

    立花委員 その数字自治庁はお認めになつたのかどうか、あるいは地方財政委員会でこの数字をお認めになつたのか、これをひとつ承りたい。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この数字平衡交付金の財源の総体計算をいたします場合に、現在の状況におきましては、比較的新しい数字であり、比較的信用し得る数字であつて政府としてはこれによつて財源計算をいたすほかない、こういうことで各関係当局の間で、意見の一致を見た数字であります。もちろん個々の数字自体につきましては、なお再検討を要する余地があると思いますけれども、先ほど申し上げました総体の数字につきましては、一応今の段階においては、これによるほかない、かように考えた次第でございます。
  44. 立花敏男

    立花委員 今の数字を確認しておきたいと思うのですが、三百七十五円とのいうは府県職員ですね。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教員です。
  46. 立花敏男

    立花委員 三百七十五円上まわつて  いるのですね。それから市町村が二百六十七円ですか。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教員につきましては三百七十五円、それから都道府県職員につきましては四百六十二円、市町村職員につきましては、五百七十六円上まわつておるのであります。
  48. 立花敏男

    立花委員 これだけ上まわ一つておるというわけですね。だからこれを差引いて、給與に対する平衡交付金の支出を決定するというわけだと思うのですが、平衡交付金は幾らにおきめになつたのですか。
  49. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 平衡交付金の、計算につきまして、給與改訂後の計算の仕方はまだ確定いたしておりませんけれども、ただいま国家公務員の給與を上まわつておるという分を引下げて改訂を行つた場合には、どのような単価になるかというものを基礎にして、計算せざるを得ないというふうに考えております。
  50. 立花敏男

    立花委員 さいぜん小野さんのお言葉では、財源について閣議決定をやつたのだとおつしやられましたから、もうその財源についての具体的な数字の閣議決定があつたはずで、今奥野さんの言われたような、こういう上まわつた数字を引いた、非常に切下げられた地方の公務員のベースで、財源の措置の決定がなされておるわけですから、これはあるはずで、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  51. 小野哲

    小野(哲)政府委員 それにつきましては、地方財源の措置をする場合の一応の基礎数字としましては、先ほど鈴木君から申し上げた通りであります。
  52. 立花敏男

    立花委員 奥野さんにお聞きいたしますが、これだけ上まわつたものを地方の千五百円のへスアップから引くわけであります。そうしたら今度の地方公務員のペースアップはどれほどになる見込みであるか、ひとつ数字をお示し願いたいと思います。
  53. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 平衡交付金配分にあたりましては、各行政項目につきまして、単位費用をきめるわけであります。その単位費用の基礎につきましては、行政項目ごとにどの程度の員数を、どの程度の給與の人について必要とするかということを計算して行くわけでありますが、その際に各地方団体の実績にはとらわれませんで、一応平均した給與の額を基礎にして、計算して行くわけであります。そのうちには地方団体ではもつと高い給與の人を使つている場合もございましようし、あるいはもつと低い給與の人で、仕事をして参つていあ場合もあるだろうと思います。そういうことにはとらわれないで、ある一定の平均的な給與額を基礎にしてきめて参るわけであります。その結果十月一日から切りかえられた後の単価が幾らであるかということを申しますと、道府県職員では九千六百四十六円、教員では一万一千三百六十一円、市町村一般職員では九千五百四十五円、この数字を基礎にして参りたいと思つております。
  54. 立花敏男

    立花委員 これは国家公務員と同じように、千五百円ベースアップした場合より幾ら下まわつているか、その数字を出していただけばはつきりするのですから、それをひとつ……。
  55. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 ただいま申し上げました金額は、改訂前の金額と比較いたしますと、府県一般職員で九百七円、市町村一般職員て七百二十六円、教員で千三百二円だけ給與の額が引上げられたということになるわけであります。
  56. 立花敏男

    立花委員 改訂前じやなしに、これは千五百円上げないで、非常に低目に上げた場合の数字だと思いますが、千五百円上げた場合の比較です。
  57. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 現状のままで切りかえいたしました場合には、府県一般職員は千四百七十九円引上げになり、教員は千七百八十一円、市町村一般職員は千四百九十六円、従つてその差額は、府県一般職員にあつては五百七十二円、教員にあつては四百七十九円、市町村一般職員にあつては七百七十円であります。
  58. 立花敏男

    立花委員 この場合非常に困りますことは、昇給が非常に下の方に少くて、ある個々の場合によりますと、降額される場合があるわけであります。これは地方公務員法によりまして、その人の意思に反して降額できないという規定があるのに反することになりますが、こういう場合をどういうふうに処理なさるのか。それからより根本的三な問題は、先般この委員会におきまして、地方財政委員長地方の公務員の給與は、国家公務員より上まわつているとは思わないということを断言なさつております。ところが今承りますと、こういうふうな閣議決定に際しまして、自治庁はこれを了としたと、小野政務次官も言つておられるのですが、そうしたら、この間の野村地方財政委員長のお言葉は、一体われわれはどう解釈していいのか。野村地方財政委員長は、明らかに地方の公務員は、決して国家公務員より上まわつていないということを明言されております。この点非常に政府内部に意見の食い違いがあると思います。大蔵省がそういうことを言われるならわかるのですが、鈴木さんあるいは小野政務次官あたりが、なぜそういうことを言われるのか、私どもは理解に苦しむのですが、この野村地方財政委員長言葉を、どういうふうにあなたたちはお考えになつておるか。野村地方財政委員長言葉が間違つておるのか、大蔵省の意見の方が正しいのか、ひとつ明確にしていただきたい。
  59. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府が今回地方公務員の給與の改訂について、閣議決定をいたしましたのは、先ほど来いろいろお話がございましたように、総体の計算といたしまして、国家公務員の給與基準に比較いたしまして今申し上げました程度に高い、こういうことを認めざるを得なかつたわけであります。政府関係諸当局においては、こういうことが地方公務員給與の実情であろうというふうに一応認めざるを得なかつたので、そういう数字によつて財源計算をいたしたわけでありますが、もちろん大蔵省の調査をいたしました数字というものは、抽出調査でございますから、個々の具体的の例を拾つてみますと、必ずしも適正なもののみではない、私どもから見ましても、若干疑問に思われる点もないわけではございませんが、総体計算としての三百七十五円あるいは四百六十二円、こういつたような数字につきましては、それでは三百七十五円を上まわつておるというのは、これは見方が多過ぎるのであつて、実際はちつとも上まわつていないとか、あるいは二百円ぐらいしかしまわつていないとか、あるいはもつと上まわつておるとか、こういうような具体的の根拠のある、確信のある数字が、実は他に得られなかつたのであります。地方自治庁におきましてはへ今年の給與の切りかえ前の状況の数字等は、若干調査したものがあるのでありまするけれども、給與切りかえ後におきましては、遺憾ながら全国の地方公務員全部を通じての基準となり得るような資料がなかつたのであります。大蔵省のこの調査は、最も新しい時期において、大蔵省の出先機関である財務局なり、地方の財務部を通じまして、一応全国的に、組織的にとりました資料でありまするので、今回としてはこの数字によるのほかなかつたという実情にあるわけであります。政府としてはそれによつて計算をいたしておるという次第であります。
  60. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 まだ大分続きますか。ほかにまだ質疑者もあるものですから、なるべく要点についてどうぞ。
  61. 立花敏男

    立花委員 なるべく切り詰めます。  これは自治庁の怠慢なんで、大蔵省の数字に疑問がある、しかし確信のある数字がないから、やむを得なかつたのだ、こういうことでペースを決定されてはたまりません。ペースとは単なる机上の数字ではなしに、個人々々にとりましては、生活費なんです。家族を養つて行き、自分が生きて行かなければならない数字でございまして、疑問がある、確信の持てないものによつて生活費を切り下げるとは言語道断だと思う。しかも地方財政機関の責任者である地方財政委員長が、地方の公務員のベースは必ずしも中央より高いと思わないといこの聞この委員会で断言されたのです。しかるにこういう不確実な、確信の持てない数字にたよつてベースを切り下げ、それによつて平衡交付金を減額するというようなことが許されていいのかどうか、これは私重大問題だと思いますので、小野さんの責任のある御答弁を承りたい。
  62. 小野哲

    小野(哲)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、政府といたしまして今回の地方公務員給與改訂についての財源措置を講じます場合におきましては、他に適当な資料等につきまして、いろいろと関係諾機関において討議をいたしたわけでありますが、結局におきまして、大蔵省によつて調査されました数字によらざるを得ないという結論に相なりましたので、今回の財源措置につきましては、この数字をとりまして決定をいたすように、相なつた次第であります。
  63. 立花敏男

    立花委員 そうしたら、一体自治庁とか地方財政委員会とかいうものは、日常何の仕事をしているのですか。大蔵省が直接責任があるのじやなしに、自治庁なり地方財政委員会がペースの問題では、毎日々々仕事の上で接触されておるはずなんです。そこが何らの具体的な数字がなしに、疑問を持ちながら、不確定ではあるが、この数字にたよらざるを得なかつたというようなことでは、その職責は十分果されていないのじやないかと思います。特に問題は、多少大蔵省の数字でこういう数字が出ましても、中央の公務員と地方の公務員は全然性格が違うわけなんで、地方はいわば全体として現業官庁であり、現業関係仕事が非常に多いわけです。水道とか、市電とかあるいは衛生とか、非常に現業関係仕事が多い。それから勤続年限が長い。扶養家族の数は、数字の上ではつきり地方の方が多い、あるいは年齢も上まわつておる。こういうような形で、大蔵省の数字の上でのこういうものが出ましても、具体的な問題からいたします。と、決して地方中央を上まわつておるのではありませんので、この点をお考えになりましたならば、単なる大蔵省の数字的な魔術によりまして、こういうベースの引下げをするということは、自治庁の方々に対して、非常に不満を抱かざるを得ないと思うのでありますが、閣議ではたしてどの程度自治庁立場を御主張になつたのか、地方の公務員の立場を御主張になつたのか、ただ唯々諾々として大蔵省のこういう欺瞞的な、信用のできない数字に屈服なさつたのかどうか、これをひとつ承りた。
  64. 小野哲

    小野(哲)政府委員 閣議の内容についての御質問でありますが、私から御答弁することはいかがかと思いますし、また事実どういうふうな内容によつて協議をされましたかは、私も十分には承知しておりませんので、御答弁はいたさないことにいたしたいと思います。要は、政府の財源措置として、一応総体的に考えまして、この数字によつた、この数字によらざるを得ないような実情にあつたということを申し上げておきたいと思います。
  65. 立花敏男

    立花委員 ほかに質問者もありますので、もう終りたいと思います。最後に聞いておきたいのは、来年度の平衡交付金が非常に大幅に減額されるということは、ほとんど既定の事実になりつつあるようです。この問題を自治庁はどういうふうにお考えになつておられますか。しかも今承るところによりますと、ベースの問題でも、平衡交付金を削減される、しかもそれが不確定な数字に基いて、これを承認せざるを得ない形で、平衡交付金の切下げが行われる、あるいはその前に問題にいたしました地方行政事務簡素化の名目のもどに行われます行政整理におきましても、やはりその定員の減少の結果平衡交付金の削減が行われる。こういうふうにもう着々と平衡交付金の削減の準備がなされつつありまして、しかも一般巷間には、来年度の平衡交付金は非常に大幅に削減されるのだ、関係方面からの要請も非常に強いの芝ということを承つておりますが、はたして来年度の平衡交付金を減額なざるおつもりかどうか、これをひとつ承りたい。
  66. 鈴木俊一

    ○鈴天(俊)政府委員 平衡交付金は、要するに地方財源の一つであるわけでありまして、政府地方税制あるいは平衡交付金制度につきまして、今後検討を加えて参りたいと思つておりまするけれども、ただ単に平衡交付金の額を減らすというよなことだけを、もちろん考えているわけではないのでありまして、地方財源の総体をにらみ合せまして、自主的な財源である地方税源の方に、地方平衡交付金を若干振りかえで行たいという考え方を持つておるわけでありまして、單に平衡交付金を減らすというような考え方をとつておるものではないのであります。それから行政簡素化の問題にいたしましても、それによつて真に事務整理せられ、それだけ経費が圧縮されるというところをよく見きわめまして、それと地方の総体の財源との関係考えて行こうという考え方でありまするので単に平衡交付金を減らすことだけを考えておるわけでは毛頭ございません。
  67. 立花敏男

    立花委員 平衡交付金を減らすことだけを考えなくて、それを埋め合せるための税源をお考えになつておるとおつしやるのですが、そうしたら来年度は地方税を、増税なさるおつもりか、どの程度平衡交付金を減らして、どれだけ増税をなさるおつもりか、これを承つておきたい。
  68. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方税の改革の具体的の案につきましては、まだここで明言をいたす段階ではございませんが、要するに国税等と地方税との振りかわりというようなことによつて地方の自主的な財源を強化して参りたい、かように考えておるわけであります。
  69. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、やはり振りかわりましても、地方の税金としてふえる、それだけ平衡交付金を減らすというふうに考えてよろしゆうございますか。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方の自主的な租税財源がふえて参りまして、それに応じて平衡交付金が減る、こういう関係に立つと思います。
  71. 立花敏男

    立花委員 大体その額をお示し願いたいと思うのです。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、まだ具体的な案をごごで申し上げる段階に至つておりませんので、従つて額等につきましては申し上げかねます。
  73. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、地方税法改正は、いつごろまでにお出しになるのですか。これは非常に重大な問題でございまして、いつも中央予算がきまります前に、こういう問題はきめておかなければいけないのですが、中央予算委員会と、地方の税法の関係などがばらばらに行われまして、非常に困ります。今言いましたように、平衡交付金を減すことが予算できまりまして、それを埋め合せます地方の税法の改正が、まだ別に審議されておらぬということになりますと、困りますのは地方なんでございまして、いつごろこの地方税法改正案をお出しになるのか。もうすぐ通常国会でございます。通常国会が始まりますと、中央予算が出て参るのですが、その予算に減額されました平衡交付金が出て参りまして、まだ地方税法改正案が出て来ないとなりますと、これは大問題である思いますが、これはぜひにらみ合せてやつてもらいたいと思うのですが、どういうふうにお考えか、承つておきたいと思います。
  74. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま鈴木君から申し上げましたように、種々政府といたしましては研究をいたしておるわけでありますが、できますならば次の通常国会に成案を得て、提案をするように努力いたしたい、かように考えております。
  75. 立花敏男

    立花委員 委員長大分お急ぎなのでこれで最後にいたしたいと思いますが、この間、御承知のように平衡交付金増額決議案が満場一致で、本会議を通過したわけであります。しかも平衡交付金の問題にさからわれました自由党が提案なさつて通過したのでありますが、これに対して自治庁はどういうふうにこの問題を処理されようとされておるか。この間岡野国務大臣にお伺いいたしますと、善処するということだけなんでございますが、善処されるということだけでは、この決議案が通らない前からおつしやつておられましたことなので、決議案が通りましてあとの態度は、おのずから別のものがあり、もつと具体的な方法をお考えだと思うのですが、どういうふうな案を持つておられるか、これをひとうお聞かせ願いたい。
  76. 小野哲

    小野(哲)政府委員 政府といたしましては、すでに国務大臣からも答弁がございましたように、国会の決議を尊重いたしまして善処するように努めたいと考えております。
  77. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 立花さんの質疑は盡きておるようですから、門司亮君。
  78. 門司亮

    ○門司委員 それではごく簡単に御質問いたしたいと思います。いろいろ問題があるようでありまするが、さつき立花君も聞いておりました給與の問題ですが、大蔵省の方の答弁をまだ十分聞いておりませんので、はつきりしたことはわかちぬのでありますが、ただ今の鈴木さんの答弁の中に、ちよつと聞き捨てにならない点がありますので、これは関連してはなはだ恐縮ですが、一応はつきり聞いておきたいと思います。それは、大蔵省の出した資料以外に、的確な数字といいますか、最近の数字というか、そういうものが見つからなかつたから、大体大蔵省の意見にまとまつたという答弁でありますが、これは非常に大きな問題だと思います。御存じのように大蔵省の給與ベースの算定の基礎というものは、どこまでも基準賃金であります。大蔵省は基準賃金を標準にして調査をいたしておりますので、実態の調査をしていないのであります。今私の手元にあります調査表を見ますと、これはごく最近の調査表でございますが、はつきり申しますと、これは保安官吏の移譲が地方の自治体になされましたので、当時中央におりました職員の俸給と、それを自治体に引継ぎます場合の俸給の差でありますが、基準賃金から行きますと、なるほど大蔵省あるいは運輸省その他におりました諸君の給料の方が安いのであります。そうして号俸で大体二号俸ないし三号俸はどうしても上げなければならないような形になつて来たのでありますが、この基準賃金をなぜ一体地方の公共団体は上げなければならなかつたかということであります。これについては、扶養手当であるとか、あるいは勤務地手当であるとか、それから超過の手当であるとか、ことに奇怪なのは、定額旅費の平均支給でありますが、地方の公共団体には定額旅費の支給なんということはないのであります。これは基準賃金から離れておる。その次に、中央の役所の諸君はおのおの公舎を持つておりますが、地方の自治体では公舎をあてがつておりません。従つて本人の実質賃金というものは非常に大きな開きを持つておる。これを大蔵省はどこまでも実質賃金を算定しないで、そうして基本賃金のみによつて算定をいたしておりますから、大蔵省の言うことが一応理論的には正しいかのよのように聞えておりますが建除にはそうではないのであります。この点が議論されなかつたということを、私どもは非常に遺憾に考えておる。  それからもう一つは、御存じのように地方の公共団体というのは一つのサービス団体でありまして、権力庁といいますか、権力を持つ役所ではありません。従つて、権力庁に属しております諸君の俸給と、サービス団体であります地方の自治体におります者の給料とは、そこにおのずから開きがあることは、従来の日本の考え方からいえば当然だと私は考えておる。こういう経緯を持つておりますところに、大蔵省が基本賃金のみによつてきめられたもので、これに自治庁が同調するというようなばかばかしいことは、自治庁としては言い得ないことだと私は考えておる。一体何のために自治庁があるのか、自治庁は一体何をしているのか、そうなつて来ると、わからないのであります。この点は、一体自治庁はこういう基本賃金だけで調査をされたのか、あるいはさつき私が申し上げましたような——これはおかしなものでありますが、定額旅費の月平均額なんというものがありますが、地方自治体にはこういうものもはありません。あるいは公舎の有無というようなものが実際考えられておつだかどうか。もしそういうことは考えていなかつたとすれば、大蔵省の算定されたものは一つの誤りだと思う。自治庁意見はどうでありますか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  79. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大蔵省の給與の調査の在方、これは先ほども申し上げましたように、地方財務郎等の職員を動員いたしまして、全国約七万余の者について、一々履歴書等に当りまして調査をして得た結果であります。従つてそれから出丁参りました数字は、やほり一応の合理性を持つた数字と見ざるを得ないのであります。もちろん、いかなるものを抽出するかという、その抽出の仕方によりまして、そこに開きが出て来ることは当然でありますから、この数字を全体として絶対に信憑すべきものであるとは言えないわけであります。総員についての計算ではないのであります。それから他面、比較をいたします国家公務員の給與基準というものの取り方に関しましても、これもまた非常に問題があるわけであります。私どもはそういうような点につきましては、いろいろと関係事務当局の間で論議をいたしたのであります。先ほどもいろいろお話のありましたように、地方公務員の方が概して勤続年数が長い、あるいは扶養親族も多いということも事実であります。そういうふうな事実を事実として要素の上で計算して行きまして、なおかつ先ほど来申しましたような程度に高い、こういうふうなことに最後の結論としておちつかざるを得なくなつたような次第なのであります。しかしながら、今申しましたようなそういう前提を容認する限りの数字でありますので、将来もつと徹底的な、明確な基礎に立つ計数を得られますならば、その計数によつて、交付金その他も計算をし直さなければならぬ、かように私どもは了解をいたしておるのでありまして、そういうことを大蔵事務当局とは話合いをいたしておるような次第であります。
  80. 門司亮

    ○門司委員 どうも私はその点はわからないのでありまして、ただ私が聞いておりますのは、大蔵省はどこまでも、さつきの鈴木さんのお話の中にもありますように、基本賃金を主として、実態調査も行われていない。これと、実質賃金、生活賃金との開きがこういう形で出て来たと思う。一体自治庁はどつちをとられたかということであります。
  81. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先ほどいろいろ御指摘のありましたよらな、国の場合に、あるときは定額旅費があり、あるいは公舎があるというようなことも、もちろんあるわけでありますが、地方公務員の場合におきましても、たとえば税務職員などにつきましては、一般の俸給表を通用いたしませんで、定額旅費というような方式をとつていただくものもありまするし、その他管内出張を建前といたしまするようなものにつきましては、定額旅費の方式をとつておるものもあるわけであります。それからなお公舎につきましては、これは御指摘のように一部の上級職員以外につきましてはない場合が多いと思います。門司さんのお話のごとく、総体の一切の地方公務員なり、国家公務員のふところに入るところの実質の給餌を比較いたしますということが一番正しい判断になるであろろと思いますけれども、いかんせんそのようなものを一つの基礎の上に乗せて比較をいたすということは、事実不可能でございます。従つて給與の問題といたしましては、やほり基本的なるものを相互に検討を加えて行くというのほかない次第であります。
  82. 門司亮

    ○門司委員 これ以上私は議論いたしません。とにかく不当な実質賃金で生活しておりましたけれども基準賃金で生活しておるわけではございません。その点はひとつはつきりしてもらいたい。基準賃金だけで生活できるのなら、何もこういう問題は起らぬと思います。われわれも議論する必要はないのであります。自治庁はどこまでも自治庁としての役所の性格から、地方の公務員の実態の生活というものを考えられないと、こういう実質上の大きな間違いが出て来ると思います。従つてすべてがこういう形で出て来て、地方財政委員会意見と、大蔵省の意見との間に非常に大きな食い違いができておる。全体の財政の面を見てみましても、地方財政委員会では四百何十億かの金が足りないと言つておりまするし、大蔵省では七十七億の金が余ると言つておる。これはやはり実態と単なる理論との間の開きが、こういう問題をこしらえて来たと思います。これ以上この問題で私は議論はいたしませんが、やはり自治庁は、早くこういう問題をはつきりさせてもらつて、そうして今非常に問題になつております平衡交付金などにも関連いたしますので、どこまでも実質賃金の建前で調査するというようなことでなく、生きておる人間でありますから、実際の問題を建前として調査を進めてもらいたいといううことを申し上げておきます。  その次に聞いておきたいと思いますことは、地方税の改正に対する政府の態度並びに構想、それから具体的な進行状態をもしおわかりでしたらこの際御発表願いたいと思います。
  83. 小野哲

    小野(哲)政府委員 地方税が改正されまして実施いたしました結果、いろいろ検討も加えなければならぬ点も見受けられております。また一面税の懇談会等におきましても、議論があることは御承知の通りでございまして、できるだけ合理的な税制にいたして参りたいという考えを持つております。従いましてこれら各方面の意見を十分に参考といたしまして一政府といたしましては、地方税法の中で是正すべき点につきまして検討を加えまして改正をいたしたい、かような心組みを持つております。
  84. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきますが、それでは現行地方税法改正に終るのか地方財政を中心としての税法改正が行われるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  85. 小野哲

    小野(哲)政府委員 もちろん地方税制だけの問題ではなしに、地方財政全般としても、たとえば地方財政平衡交付金等とも関連を持たせつつさらに研究いたしたい、かような意味合いで何らか改正案茶を得たい、かように考えております。
  86. 門司亮

    ○門司委員 もう少し具体的につつ込んで聞いておきたいと思います。私の聞いておきたいと思いますことは、現行地方税法改正というようなことでなくして、財政全体を考えて参りますると具体的にいえば、たとえば今問題になつておりますガソリン税のごとき、これはガソリン税として国が取上げておりますが、そのガソリシの使用によつてこわされておる道路の補修、維持、管理ということは地方がやつております。これらのものは税の性質から考えましても、地方委譲することが正しいと考えます。そのほかに専売益金でありますとか、あるいは酒の税金であるとかいうような、地方ときわめて密接な関連のある、そうして割合に地方の能力に応じて納税をされているとを、徴収をされているとかいうものについては、やはり地方にその能力に応じて還元するという方が、税の建前からきれいに見えるように思いまするし、またそれが理論的にも正しいと思います。そういうふうにいわゆる国と地方との税法の関係からいいまして、国税の方と地方税の方とを兼ね合せて、それで地方財政をどうするかという研究をされておるのかどうか、その点もう一つ
  87. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お説のように国税と地方税との調査問題は、従来から論議されておるわけでありまして、われわれもこの点につきましては、常に関心を持つておるわけであります。従いまして地方税制の改正にあたりましては、国税と地方税との相関関係において考えて行く必要があるであろうと思います。ただいま御指摘になりましたガソリン税の問題等も、かつていろいろと論議いたした場合もあつたわけであります。あるいはまた地方に対しまして還付するような制度につきましても、地方税源の伸張性を確保するという意味合いから申しまして、国税と地方税を、国と地方公共団体との相互間においての調査という問題からも、考えて行く必要があるのではないか、そういう点につきましていろいろ問題点を取上げまして、実は研究を進めておるわけでございます。
  88. 門司亮

    ○門司委員 それではこの問題はこれくらいにしますが、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、固定資産税の評価の基準であります。これは今出されております法律案の中にも、これらのことに触れておりますが、評価の基準自治庁から示されるということが、実際の問題としていいか悪いかということを、この場合ちよつと聞いておきたいと思います。私がこういうことを聞きますのは、法律には適正なる時価と書いてありますが、実際各地方の公共団体の実情に応じた時価というものが、私は正しい」つの時価だと思う。この時価は賃貸価格を今基準にしておるようでありますが、これがもし賃貸価格が基準になつて参りますと、これは世の中の移りかわりで、賃貸価格自身に相当大きな開きがあると思う。従つて現状に沿わないようなことが私はかなり多いと思う。法律で定めておりますように、適正なる時価ということは、嚴密に調査される基準がきめられて行けば、私は自治庁から基準に対してあまりさしずがましいことをしないで、法律に定めた通り、これにまかした方がいいのではないかと考える。もしそれについて算定の基礎などで、いろいろれ問合せその他がある場合には、その場合だけ自治庁はわからぬものに対し又法律解釈等にさしずといいますか、勧告してもいいでしようが、今の自治庁のものの考え方では、実情に沿わないものができやせぬかと思うのです。この点に対して評価基準政府考え方を、この際承つておきたいと思います。
  89. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 固定資産の価格を評価する場合におきまして、中央地方財政委員会から評価基準その他評価の方法について、技術的な助言とか通知をすることがいいか悪いかという点のお尋ねでありますが、これは現在の地方税法上は、地方財政委員会あるいは都道府県知事が、市町村の評価につきまして助言をする、技術的な援助をする、こういうことが法の上にうたわれておるわけでありまして、そういうことの運用といたしまして、現在地方財政委員会なり府県知事が、市町村の固定資産の評価につきましてそれぞれ技術上の指導、助言をいたしておるわけであります。御指摘のように、時価というものをどういうふうに見るかということ、非常にむずかしいことであり、また時価の最も適正なる測定の方法は、いろいろあり得るわけでありまして、固定資産の対象によつて、さるものは買売価格をとるのが適当であるし、あるものは収益還元方式をとるのが適当であるし、償却資産等につきましては、帳簿価格をそのまま使うか、あるいは再評価価格を使うか、いろいろ問題があろうと思います。やはりそれらの点に関しまして、できるだけ調整のとれた評価の仕方をするということが、結局においてはやはり租税負担の公平を期することになるのみならず、徴税事務の合理化を期するゆえんにもなるわけでございますので、一方において地方財政の調整ということをはかつております以上は、この税務行政につきましても、やはりできるだけ技術的に均衡のとれた方式をとるということが、望ましいのではないかと思います。現行法の趣旨も、そういうところから、地方財政委員会なり、府県知事に評価に関しましての指導、助言の地位を認めておると思うのでありまして、いかなる内容の助言をするかということは重大問題でありますが、しかしそういう調整の方法を存して置くということは、やはり必要なことではないかと思うのであります。
  90. 門司亮

    ○門司委員 この問題は非常に重要な問題でありまして、今鈴木さんが一番あとで言つたことが一番大きな問題であります。助言の内容でありますが、さつき私が申し上げましたように、ただ単なる助言であるというならば、地方でわからないことを聞いたときに助言をし、勧告をするという程度にとどめておいた方がいいと思う。助言が行き過ぎると命令のような形になつて自治庁の建前が何か監督官庁のようなことになりがちであります。従つて地財委その他から出て来るものが、何かそれによらなければ、一方においては平衡交付金を減されるという一つの危険性を持つておりますので、どうしてもそれを強要しながちになるが、これは実情に沿わない実態になつて来るということを、われわれは考えておりますので、この点はなお研究していただきたいと思います。  最後に私は委員長にひとつお願いしておきたいと思います。先ほどからいろいろ議論されておりますように、地方財政に関するいろいろの問題について、まだ調査することがたくさん残つております。従つて地方財政を調査いたしますことのために、でき得るならばひとつ小委員会のようなものを設けていただいて、休会中でもこれの調査ができるような実態にして置いていただ員会を置いて云々というお話でありましたが、この問題は、地方財政を論ずる場合の基本的な問題でありまして、いずれ来るべき予算についても、また問題にしていただかなければならぬごとであります。従つて今日から一日も早く小委員会をつくつていただくことが必要だと思う。すでに昨日以来の当與ベースの問題その他が出ておりますが委員会の質疑をお聞きになつてもおわかりでありましようが、常にこの問題が前提となつて、多数の問答が行われなければならぬという状態は、はなはだ遺憾に思うのであります。ぜひともすみやかに小委員会設置することについての御決定をいただき、そうして小委員会委員に諮られまして、いかにこれを運営するかということについて話合いをされるように、至急おとりはからいを願いたいと思います。
  91. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 今のできればと言つたのを消極的にお考えですが、そういう意味ではないのです。ただ理事会等にも諮かつておりませんものですから、僭越なことであるという意味から、そういう表現を用いたので、明日は本委員会も開催されますので、明日の委員会において設置したいと考えております。  ほかに御質疑がございませんければ、両法律案に対する質疑は、この程度をもつて終了いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  92. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 次にこの際地方自治に関する件について調査を進めることにいたします。  まず私からこの際町村の分離問題につきまして、政府当局のお考えを伺つておきたいと思います。この問題は事柄の性質上非常に困難な問題でありまして、冨山県の新湊市、埼玉県の飯能町の紛擾のごとき、解決がなかなか困難でありまして、要するに相当な時日を費し、関係者の理解と協力によつて、円満な話合いができることが最も望ましいのでありまするが、それがにわかに望めないといたしますると、現在の法律ではいかんとも解決ができないで、対立抗争のままおるわけでありまして、これはまことに遺憾なわけであります。現行法規で解決のつかないこれらの問題を、何らかの立法措置によつて解決、救済する方途はないものであろうか。できれば救済あるいは裁判機関のようなものをつくつて、その解決に道を開いて、町村自治の円満な運営をはかりたいと思うのでありますが、政府当局においてその用意があるか。分村問題についていかが対処されまするか、御所見を伺いたいと思います。
  93. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。ただいま委員長からもお話がございましたように、分村、境界変更等に関する紛争が現在ありますことは、私どもも承知いたしておるわけであります。これらの紛争をできるだけ円満に解決するということは、地方自治の本旨から申しますと、話合いによつて運んで行くということが、最も望ましいと思うのでありますけれども、実際問題としては、これのみにまかせるということもできないような事情にあるものも見受けられるのでありまして、さような場合において、あるいは何らか中正公平な裁定機関を設けるという考え方もございましようし、あるいはまた現行の地方自治法のみによつては解決の方途が発見されないという場合に  おきましては、あらためて何らかの法制的な措置を講ずるというようなことも考え得るかと思うのでありまして、ただいま委員長からお話のあつた点につきましては、われわれもしごくごもつともと考えております。従いまして私どもといたしましては、この点につきましてはよりより研究はいたしておりまするが、今後ただいまの御質疑の御趣旨も十分に尊重いたしまして、積極的に何らかの法制的な措置を講ずるように努力して参りたい、かように考えておることを申し上げておきたいと存じます。
  94. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 この際地方自治に関して御質疑がございまするならばどうぞ。
  95. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいま委員長からもお話のあつたことと関連した問題であります。これはごく最近起つた問題ではありませんが、ごく最近急速に新聞紙上に報道されまして、非常に大きな問題となつて参つたのは、秋出県と青森県の境界線上に存在する久大島という島の問題でありますが、これはもともと青森県と秋田県の漁民が、共同で入り会つて使用しておつたところの漁場であります。その島は、島でなく岩礁でありまして、潮が満ちて来るとほとんど水の中に没してしまつり、なくなつてしまうような状態で、ありますが、非常に漁族が繁殖しまして、漁業家にとつては非常にいい場所であります。そこで青森県では、この地籍は目分のものであるということで、今から十日ばかり前に、青森県の地籍に編入すべきことを県会の決議によつて出しで、この問題を自治庁に言つて参りましだ。ところがこの島がとられるということになれば、秋田県側の漁民も非常に困ります。そこで秋田県側も、これはたいへんだというので、今から三日ばかり前に県会の決議によりまして、この久六島は秋田県の地籍であると、こういうように双方で決議を出しまして、自治庁に交渉して参つたのであります。われわれはこういう問題に関連して、その島はいわゆる岩礁である、それが地籍の対象になるかどうかという疑問も起つて来るのであります。それは十六海里の沖合いにあるところの島でありまして、とうてい行政上の取締り対象になるものでもありません。そして潮が満ちればなくなつてしまうような島を、青森県側では目分の地籍に編入しようということで、今日自治庁を煩わしておる次第であります。きようの午後岡野国務大臣が、両方の県知事、県会議員並びに各県の総務委員を寄せまして、調停しようというお話になつております。しかしこれはわれわれの常識から考えて、地籍に編入すること自体が矛盾するのでありまして、これは地籍に編入しないで、秋田県、青森県双方が共同入会でやれる漁場にしてもらうのが当然である。もしもこのまま地籍の争いが続くと、おそらくは血の雨を降らすような状態に入つて来ることは必至であります。双方非常なる興奮状態で、きよう青森県、秋田県の代表者が上京されまして、猛烈な運動をやつております。  それからこの境界線上にある漁民が秋田県の側は約三千戸ありまして、この人たちの生活問題も重大問題でありますし、及んでは社会問題ともなりますので、この地籍問題は、両県に決定しないで、この岩礁を行政上の対象にしないで、各自この両県の漁民が入り会つて漁場にするような方法をとつて行かなければ、この問題は片づかないと思うのです。こういう意味合いで、この地方行政委員会の問題であると同時に、また水産委員会の問題でもありますが、青森、秋田双方が非常なる興奮状態でおるのでありますから、自治庁のこれに対する見解を伺つておきたいと思います。
  96. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまるるお述べになりました久六島の問題につきましては、ただいまのお話のような経過をたどつておるものと、私も承知いたしております。この問題につきましては、地方官庁という立場におきまして、具体的な実情を十分に調べました上で、何とか結論を出すようにいたしたいと考えておる次第であります、従いまして両県関係者等から実情を十分に聞きまして、その上でいかようにこれを取運んで行くことが最も適当であるかにつきましての結論を出したい、かような心組みを持つておりますので、ただいまのところこの問題について、自治庁の見解を申し上げることは、なお時期が早いかと存じます。十分に事情を調べまして結論を得ました上で、お話を申し上げることが適当ではないかと考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  97. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 先ほども申しました通り、これは地籍に編入するような島ではありません。潮が満つれば全然海の中に没してしまうような岩礁であります。また歴史的に見ますと、明治二十四年の四月に、青森県は自分の方の地籍に編入しようという手続をしまして、実は編入になつたのであります。ところが翌年四月に秋田県側の知事からこの事情を訴えまして、当時の内務大臣、農商務大臣、両大臣のあつせんによりまして、これは地籍から除外されまして、翌年、青森県と秋田県の両方の代表者が、大臣の指令によりまして、双方協定すべく、いろいろ條項を持ち寄つて協議に参つたところ、青森県側は応じない、応じないのみならず、青森県側ではかつてにその漁場を特定の人に指定しまして、漁場を独占さしておる、こういう実例がありまして、今日では秋田県、青森県双方に属しておりませんが、ほとんど青森県側の漁場のようなふるまいを行い、そして監視艇を出して漁民のとつた魚を取上げる、あるいは漁船を拿捕するというような状態にまで立ち至つたのであります。このままで行つてあの漁場に入れないということになれば、約三千戸の漁民は飯を食うこともできないので、最後は命がけででも、お互いに抗争するような段階に入つて行くじやないか。こういう問題は急速に解決をつけていただきまして、どこの県の地籍にも所属させない。十六海里も沖台いにあるところの岩礁を、自分の行政上の対象にするところの地籍は編入することは、まつたく矛盾しておるのではないか。てすから旧例もあります、明治二十五年の四月に、内務大臣、農商務大臣、両大臣から、他籍に編入すべきでない、これは双方入り会つて漁場として使用すべきである、というような決裁を経ておる事実があるのでありますから、ぜひ地籍は双方にやらないで、自由に入り会つて魚をとれるような方法を講じていただきたい、こういうことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  98. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 本日の委員会はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。     午後零時四十八分散会