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1951-10-25 第12回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長代理 理事 野村專太郎君    理事 河原伊三郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 藤田 義光君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       鈴木 幹男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方行政調査委         員会議議長   神戸 正雄君         地方自治政務次         官       小野  哲君  委員外出席者         総理府事務官         (地方行政調査         委員会議事務局         第二課長)   小熊  清君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十月二十三日  委員尾関義一君辞任につき、その補欠として玉  置信一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十月十八日  枕崎市の起債増額等に関する請願(上林山榮吉  君紹介)(第一八号)  地方財政平衡交付金増額並びに起債額拡大に関  する請願岩川與助紹介)(第五三号)  同(辻寛一紹介)(第九四号)  地方税制度改革に関する請願辻寛一紹介)  (第九〇号)  県営丹生川防災ため池事業費起債認可に関する  請願志田義信紹介)(第九一号)  自治体警察強化に伴う経費国庫補助請願(辻  寛一紹介)(第九三号)  地方財政確立強化に関する請願辻寛一君紹  介)(第九五号) 同月二十二日  ボート営業に対する入場税免除請願鈴木正  文君外一名紹介)(第一三九号)  映画演劇に対する入場税減免に関する請願(三  宅則義紹介)(第一四〇号)  公職選挙法の一部改正に関する請願辻寛一君  紹介)(第一四二号)  地方自治権の尊重に関する請願辻寛一君紹  介)(第一四三号)  消防吏員に対する行政整理反対に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一四四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十八日  消防捜査権付与に関する陳情書  (第三七号)  平衡交付金配分適正化に関する陳  情書(第  五八号)  地方行政調査委員会議勧告実現地方行政の  確立に関する陳情書  (第七九号)  地方財政確立に関する陳情書  (第九〇号)  地方自治確立に関する陳情書外二件  (第九五号)  地方財政確立に関する陳情書  (第九六号) 同月二十二日  町村自治に関する陳情書  (第一〇二号)  自治体警察費財源措置に関する陳情書  (第一〇三号)  選挙制度改善に関する陳情書  (第一〇六号)  地方財政確立のため根本施策実施促進陳情  書  (第一〇八号)  行政事務配分勧告実施促進に関する陳情書  (第一〇九号)  地方財政平衡交付金増額及び配分に関する陳  情書  (第一一一号)  平衡交付金教育費基準財政需要額増額に関  する陳情書  (第一一二号)  地方財政確立に関する陳情書  (第一二〇号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第一二三号)  市長会法制化に関する陳情書  (第一二四号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第一二六号)  平衡交付金並び起債わく増額に関する陳  情書(第一二八号)  入場税及び遊興飲食税税率引下げ陳情書  (第一二九号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第一三一号)  平衡交付金並び起債わく増額に関する陳  情書(第一三三  号)  平衡交付金並び起債わく増額に関する陳  情書  (第一三六号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第一三七  号)  行政事務配分勧告実施促進に関する陳情書  (第一三八号)  平衡交付金増額及び配分方法改善に関する  陳情書外一件  (第一四三号)  公職選挙関係法令改正に関する陳情書  (第一四七号)  行政事務配分早急実施に関する陳情書  (第一四八号)  地方税法改正に関する陳情書  (第一四九号)  地方財政平衡交付金増額起債わく拡充に  関する陳情書  (第一五二号)  自治体警察に対する平衡交付金増額等に関する  陳情書  (第一五七号)  消防捜査権付与に関する陳情書  (第一六二号)  地方財政確立に関する陳情書  (第一七二号) 同月二十四日  地方行政調査委員会議勧告実現地方行政の  確立に関する陳情書  (第一  八八号)  地方税法改正に関する陳情書  (第一九二号)  教育財政確立のため平衡交付金増額  の陳情書  (第二〇五号)  災害復旧費起債容認に関する陳情書  (第二二〇号)  地方財政強化に関する陳情書  (第二三〇号)  行政事務配分早急実施に関する陳情書  (第二三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 野村專太郎

    野村委員長代理 これより会議を開きます。  まず地方財政に関しまして調査を進めることにいたしますが、ただいま岡野国務大臣が御出席になつておりますので、地方財政平衡交付金に関する問題等につきまして、質疑を行いたいと思います。  審議に入るに先立ちまして、委員諸君の総意を代表する意味をもちまして、私から政府当局一言お尋ねをいたしておきたいことがあるのであります。それは地方財政が著しき窮乏に置かれております上に、現実給与改訂等によりまする厖大な財政需要増加が予想される現状にかんがみまして、政府は、今回提出されております補正予算におきまして、地方財政平衡交付金に百億円の補正を行い、また地方起債におきまして百億程度の増加を認める等の施策を講ぜられると伺つておるのでありますが、これらの施策の詳細な内容につきまして、御説明を願いたいのであります。去る十一日の委員会におきまして、床次君から、平衡交付金補正額並びに地方起債増加額が、地方財政行詰まりを打開するに不足ではないかという問題につきまして質疑があつて地財委当局から一応の御答弁をお聞きしたのでありますが、それらの増加財源をそれぞれの自治体の間にどういうふうな方式で配分されるのでありますか。特に都道府県と市と町村との間の按分をどうするかということをお聞きいたしたい。と申しますのは、先般来の全国知事会議の強い熱望の結果、政府当局道府県の窮状を理解して、平衡交付金百億、起債百億の線を出されたというふうに聞いております。従つて今回増加されました財源は、主として道府県の方に配分されることが、一応予想されるからでありまして、道府県市町村に比べて一般的に一層の窮乏にあることは、私も十分了承いたしておるのでありますが、市町村といども、予想される財政需要増加に対応する財政余力を残しているものは、ほとんどないといつても過言でないと思うのであります。現に市町村側が今回の政府措置に多大の不満を持ちまして、先般の地方財政委員会政府に対する意見書にありました平衡交付金二百億増額の線に沿つて市町村平衡交付金及び起債増額を強力に要望いたしていることは、御承知通りであります。さらに聞くところによりますれば、地方財政委員会からあらためて内閣を経由して、国会宛て意見書をお出しになり、今般の政府措置をもつていたしましては、地方財政都道府県分市町村分を含めて全体として二百三十八億の不足を生ずるとして、平衡交付金において百億、地方起債において五十億の追加増額を要望しておられるようであります。かような事情から判断いたしまして、私が最も心配いたしております点は、政府がさきに御決定なつ措置だけでは、とうてい全体としての地方財政不足を補填することが不可能であり、その結果市町村財政の上に無理がかかつて来るのではないかという点であります。府県に劣らず窮乏している市町村財政に対しまして、別途何らかの施策を講ぜられるお考えがあるのであるか。もしそのお考えがないとすれば、平衡交付金府県市町村との間の配分をいかにされるかは、大きな問題であると思うのでありますが、これらの点について、政府当局の詳細な御説明を伺いたいと思うのであります。
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方財政が非常にきゆうくつであるということは、皆さんも御承知通りわれわれもよく承知いたしております。それにつきまして、先般知事諸公並びに市町村長各位が、財政窮乏に対する平衡交付金増額並びに起債わく拡大ということについて、いろいろ陳情されたことも私承つております。ただいつも申し上げることでございますが、地方における財政窮乏もその通りであります。しかしまた中央から出しますところの平衡交付金も、国家財政の立場から、いろいろな方面検討しなければなりませんので、ただいまのところ政府といたしましては、百億円の平衡交付金並び起債の百億というもので、地方財政を何とかまかなつてつていただきたい、こういう考え補正予算を提出しておる次第であります。その平衡交付金百億は、府県だけに限られるかどうかというような御疑問もございましようが、しかし政府といたしましては、都道府県並びに市町村の全体に対する平衡交付金は、平衡交付金平衛交付金たる性質上差出したものでございまして、これを適当に配分することは、地方財政委員会法律によつてきめられたその規則によつて、各地方公共団体実情に即して適当に配分することにいたしておる次第でございます。先般地方財政委員会から、平衡交付金は合計しますとちようど二百億、起債が合計しまして百五十億、合計三百五十億の地方財政に対する要求額が出ておりますが、私どもといたしましては、政府がぎりぎり一ぱいといたしまして、平衡交付金百億、起債百億、これを地方公共団体全体において、財政委員会に適当に御配分を願うということにいたしておる次第であります。
  4. 野村專太郎

    野村委員長代理 この際どうか皆さんの方から御発言願います。
  5. 藤田義光

    藤田委員 ただいま当委員会を代表して野村委員長質問がありましたが、私はいま少しく詳細にお伺いしたいと思います。毎年平衡交付金起債わくの問題に関しましては、政府部内で相当深刻な意見の対立を来しております。国家財政全般窮乏を告げておりますので、ある程度やむを得ない事態とは思いまするが、あまりに超均衡予算のしわが地方財政に集中されているという感を深うするのでございます。これらの現実事態を解剖してみまするのに、私はこの際一昨年夏のシヤウプ博士勧告というものを、根本的に再検討する必要がありはしないかと考えております。第一次シヤウプ勧告案は、大体において政府国会においても取上げまして、法案化あるいは予算化いたしておりまするが、第二次勧告はほんの一部のみ具体化したにすぎません。しかも当時のシヤウプ博士実情調査と比べて、今日は非常な客観情勢の激変を来しておりますので、われわれはこの際シヤウプ博士勧告とい一つの筋金を一擲いたしまして、新しい構想のもとに地方財政本格的建直しをやる必要がありはしないかということを考えておりますが、この点に関しまして岡野大臣はいかなる御所見でありますか、この際お伺いしておきたいと思います。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。シヤウプ勧告によつてできましたあの画期的の地方税法というものは、その当時これによつて地方財政は自主権を確立したとい考えでできたものでございますが、しかし何にいたせ厖大なるものでございます。また非常に根本的、画期的の改正が行われたものでございまして、これがはたして日本の国情に合い、また現状に即するかどうかということにつきましては、これは社会の推移を見て行かなければならぬものと思いまして、われわれは、この税制ほんとう日本自治確立に役立つものであるかどうか、手直しをしなければならぬことがあるのではないかというようなことも考えまして、その後一年有余の間、実施を見て来たのでございます。ところが税制のうちにも少しは手直しをしなければなりないものもありますし、またその後の社会情勢のかわりました点におきましても考えなければならぬことがございまして、私どもはただいま、この手直しについて相当検討をしておる次第でございます。同時に地方財政がきゆうくつになります一部の原因は、中央において、いろいろ社会施設とか社会福祉とかいうような施設考えて、そうしてこれを地方に委託してやつていただく、こういう意味法律がたくさん出まして、そのために地方財政のしわ寄せをして、シヤウプ税制をつくりました当時におきましては、予想もしなかつた地方における負担が出て来たのでございます。これも地方財政のきゆうくつになつて行く一つ原因でございます。つきましては私どもといたしましては税制に対する相当な修正、手直しというようなものも考えつつ、同時に私は、ただいま地方行政簡素化本部長官をしておりまして、そういうふうな日本財政に対して、あまり負担の多いいろいろな仕事が地方に押しつけられて、そのために地方財政が苦しんでおるといことは、改めなければならぬことと思いまして、事務簡素化に対してせつかく検討中でございます。いつごろそれができるか、時期については、ただいま見通しを申し上げることはできませんけれども、両面から地方財政救済策というようなことについて、いろいろ検討中でございます。
  7. 藤田義光

    藤田委員 今回の補正予算に入りました平衡交付金増額に関しましては、委員長も御質問、御答弁がありましたが、現に全国町村長約八千名が東京に集結しつつありまして、明日の町村長会結成三十周年記念という名目のもとに、危局に直面しております町村財政更生策を、政府国会に迫ろうといたしております。町村財政現状に関しましては、大蔵省当局とわれわれ、あるいは地方財政委員会自治庁見解が完全にわかれております。大蔵省積算によれば、町村平衡交付金は市を加えまして昨年度三百七十億でございました。それを本年は七十億減額いたしまして、二百億の配分が行われようといたしております。大蔵省の計算によれば、七十億減額したのにもかかわらず、町村にはさらに四百億の余裕財源があるという認定をされております。この積算の基礎に関しましては、幾多の資料を大蔵省当局から拝借いたして見たのでございまするが、全然われわれと見解の相違を来たしております。現に島根県のある村のごときにおきましては、本年度平衡交付金配分決定の通知を受取りましたが、昨年に比べて実に八割近い減額をやられまして、役場の職員の月給はもちろん、村の財政そのものが壊滅しつつあるとのことを、昨日拝聴いたしております。全国平均二割以上の減額でございまして、事は非常に重大であると私は感じております。先般、全国知事が数回集りまして、日本知事としては前例のないようなすわり込み戦術という、おもしろからぬ交渉をやつて、今回の補正予算が追加されたといううわさも聞いておりますが、もし町村長八千名がかかる事態を再現するようなことがありましたならば、両条約の批准を前にしまして、国際的にも相当おもしろからぬ影響を与える危険がございます。私たちはこの際現実に、机上の計画でなくして、市町村財政が困つている幾多の事例を取上げまして、あくまでも地方財政委員会意見書を採用して、平衡交付金の百億、起債の五十億の即時増額は絶対に必要であるというふうに考えておりますが、もし最悪の場合、平衡交付金増額できないということになれば、現在遊んでいる大蔵省預金部資金で、地方債増額をあくまで断行していただきたいと思います。現に二十五年度におきましては、二十六年度起債三十億繰上げ流用していることは、大臣御存じ通りでございます。本年度もし平衡交付金増額なくんば、百五十億の地方債即時増額をやる必要があると思います。これは前例もあることでございますし、二十七年度以後の地方財政国家財政に対する関係方面の容喙ということもなくなると思いますから、これは岡野国務大臣決断一つで実現し得るのじやないかと思います。平衡交付金増額を、かりに断念するという、一歩退いたこの起債の百五十億の即時増額ということに関しまして、大臣はいかなるお考えでありますか、この際伺つておきたいと思います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。町村に対する平衡交付金の第三次の仮決定につきまして、私も各方面から電報を受取り、また町村長陳情もいろいろ受けておりまして、非常に少くて困るというようなことを承つておりますが、これはこういうことでございます。ただいまもちよつと藤田委員からお触れになりました通りに、三百七十五億の市町村にわけました平衡交付金を、三百億で市町村は足りるのじやないか、あとの七十五億を府県にまわしたらいいじやないかという説が大蔵省にあつたのでございます。けれども私はそうは認めない。財政委員会のいろいろな数字を取寄せましても、そういうわけに参りません。でございますから、私は、市町村に対しては前年度通り配分をすることを、財政委員会で依頼しております。また実現させることを私は確信を持つております。ただ問題は、府、県が非常に困るものでございますから——ただいまのところではまだ補正予算をお通し願えないものでございますから、千百億のわくの中で、非常に困つて予算も組めないというような府県に対して、一応もとの数字平衡交付金から融通をしておるわけでございまして、ただいままでに府県には平衡交付金の四分の三を割当てておりますが、しかし市町村に対しては、まだ四分の二すなわち二分の一しか与えていない、このあとの四分の二の、すなわち半分の半分、四分の一に当る額を、実はこの十一月ごろに御配付申し上げようと思いまして、仮決定したわけでございますが、現実において金が足りませんから、非常に少い。けれども今回補正予算をお通し願えるならば、百億の平衡交付金が出て来ますから、その中からまだ繰りもどしまして、市町村に対しては穴埋めをして、少くとも昨年度通りに配付していただくということに腹をきめております。また起債わくを、もう五十億ふやせということでございますが、政府といたしましては、ただいまのところは、どうしても平衡交付金百億、起債わく百億以上は、どんなに考えても出ないという結論に到達したわけでございますが、私の考えといたしましては、もし地方団体がどうしてもやつて行けぬという場合には、ある金融上の措置によつて起債わく平衡交付金増額ということなしに、ある程度の援助を地方団体にして行くとい一つの道を私は考えております。それはただいま公式の会場において御言明申し上げるわけには参りませんから、御了察願つて、私におまかせくださることを希望いたします。
  9. 藤田義光

    藤田委員 現在のところ起債百億、平衡交付金百億以上の増額は、双方とも絶望のような御答弁でございます。ある金融操作考えられておるようでございます、つなぎ資金的なものを研究中であるやに私たちも拝承いたしておりまするが、何とかひとつ、隠れたる彌縫策でなくて、正々堂々と、起債あるいは平衡交付金増額によつて地方自治体窮乏を救つていただくように、この際特にお願いたしておきたいと思います。大臣のねばりによりまして、おそらくまだ絶望ではないのではないか、私は幾多の証拠を持ちまして、この際お願いいたしておく次第でございます。  次にお伺いしたいのは、給与ベースの問題でございます。今度の補正予算書の中には、国家公務員に関しましては、一人当り千五百円の給与ベース改訂が見込まれておることは御存じ通りでございます。ところが今度の百億の平衡交付金増額の中を解剖してみますると、地方自治体に関しましては、低きは七百円、教職員のごときが最高で千三百円の給与改訂を見込んでおります。ところが御存じ通り地方公務員国家公務員よりも平均給ではずつと上になつております。この上であることがけしからんというような大蔵省の一部の説に対しまして、われわれはまつこうから反対であります。根拠を持ちまして反対いたしておるのであります。従いましてもし現在の国家公務員地方公務員給与の懸隔からすれば、当然千九百円の引上げが必要でございます。国家公務員が職務に熱心なるために、千五百円引上げまして、地方公務員が働きがないためにその半分近い引上げしかできないのかどうかというような説が行われております。全国一万一千の自治体公務員は、この引上げの成り行きに関しまして、非常な関心を持つて国会審議を注目いたしておりますが、この点に関しましては、国家公務員に比較いたしまして、あまりに不公平なことになりますると、民主主義の基盤である地方自治体公務員が、非常に意気沮喪するのじやないかということを、われわれは憂慮いたしております。地方公務員の構成は、御存じ通り学歴の高い人が多くてしかも勤続年数が非常に長いわけでございます。こういう点から見ましても、この際地方自治体に活を与えるために、国家公務員よりも引上げを低くするというような財政上の措置によりまして、自治体の発展を阻害するという結果を招来しましたならば、悔いを長く残すわけでございますから、この点に関しましては、大臣はどういうお考えでおられますか、私はこれは大蔵大臣予算委員会で詳細にお伺いするつもりでございますが、この際、町村というものを将来どういうふうに持つて行くか、現在の町村に対する財政措置を静かに見ておりますると、自然に町村というものを押しつぶすのじやないか、言葉をかえれば、昔以上の中央集権がこの際でき上つてしまうのじやないかというふうなことを憂慮するのであります。この際給与ベース改訂をめぐりまして町村の行方を深刻に憂慮する人が各方面に出ていることは、すでに大臣もお聞き及びと思いますが、この際べース改訂問題と、これに関連して町村というものを将来どういうふうに持つて行くか、大臣の御所見がありましたならば、お伺いいたしておきたいと思います。町村をどういうふうにするかということは、かねての大臣の閣議その他における言動を拝聴しまして、むだな質問かもしれませんが、この際改めてお伺いしておきたいと思います。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。給与べースの点につきましては、実は非常に困つた問題でございまして地方公務員給与が高過ぎて、そして中央公務員給与がそれに比較して低い、それで今回中央におきましては、千五百円上げるけれども地方は少し下まわつたらいいじやないかというような議論がありまして、いろいろやつておるのでございますが、その点につきまして、どうも大蔵省地方財政委員会、並びに文部省との間に、意見がまだ完全に一致してはおらないので、まだ決定版まで行つておりません。これは地方財政委員会の方で、極力これに対して研究を続けて、そして適当に手配しようと、こう処置しつつある次第でございます。ただ私の意見を率直に申し上げますれば、かつてこういうような議論が出たのでございます。小学校の校長が、南原東京大学総長よりも給料が上な人があるということが、地方の教員の給与の高いという例に引出されまして、やかましい論議があつたのですが、私はその点にはまつこうから反対なのであります。と申しますことは、義務教育も大事であるし、また国家大学教育も大事であることはむろん承知しておりますけれども日本が今後ほんとう文化国家平和国家として国民のカルチユアをうんと上げて行こうということにつきましては、義務教育の方が先行すべきものである、これが義務教育が大事だということの、私の考え一つ。それからもう一つ、教員の給料が高いとか少いとかいいますけれども、今の俸給制度と申しますものは、学歴がどう、それに対して初任給が幾ら、そうして年数を経て少しずつ上つて行くという、機械的なものになつております。もしそうであるとするならば、大学卒業後小学校教員になつて、そして三十年一日の、ごとく義務教育に一生懸命になつている。そういう人が順々に、ちつとも中断せずに行つたら、おそらく最高の俸給を得ることになるだろう、これが不合理であるかどうかといえば、私は不合理ではないと思います。でございますから、小学校の校長が南原総長より上の月給をもらう人がたくさんあれば、あるほど、私は義務教育に熱心な教員が長年勤めて、国家のために役に立つておると、こう考えますから、その点においては、私はむしろそういうことがあつてしかるべきだ、またあるのが望ましいことだ、こう考えております。しかし給与ベースの基礎の給与地方のものが高過ぎるとか、中央のものが安過ぎるということに対しては、まだ結論は出ておらぬ次第でございますから、結論が出ました上で、考えたいと思います。  それから町村の自治のことを、今後どういうふうに岡野考えているかという御質問でございますが、これはもう私、就任以来一年半になりますが、私は就任当時マッカーサー元帥から、地方自治確立ということが、すなわち民主主義確立の一番大事なことであるということを、ホイツトニー将軍お立会いの上で言われた。そしてもつぱら地方自治確立のために努力して来た次第でございます。でございますから、町村というものが今後ますます自治を確立して行くという、この根本方針をどこまでも私は、自分自身が地位におる間は、努力して行きたいという決心を持つておることは、終始かわらない次第でございますから、これを御承知おき願いたいと存じます。
  11. 藤田義光

    藤田委員 九月初めのサンフランシスコ会議におきまして、トルーマン大統領は、日本の去る四月の地方議会、首長の選挙の投票率を取上げまして、日本が民主化されておる一つの大きな証拠として、全世界の代表に長々と力強く呼びかけております。従いまして、もし日本政府施策が、地方自治というものを軽視するようなけはいを示しますと、国際的にも重大な事態を招来することを、われわれはおそれるのであります。おそらくあと、詳細な数字は持ちませんが、三十億ないし四十億あれば、給与ベース引上げは、完全にできるのじやないかと思います。これだけの金によりまして自治体の勤務員に志気沮喪せしむるようなことが絶対にないように、この際岡野国務大臣の善処を特に要望いたしておきます。  次にお伺いしたいことは、平衡交付金の問題でございまするが、私が質問を独占するわけに行きませんから、簡単にお尋ねいたしたいと思います。平衡交付金わくに関しましては、年々いろいろな問題が発生しおりますので、この際早急に制度的保障をいたしまして、平衡交付金わくというものを固定したらどうかとい税制審議会の意見を早急に具体化する方が、至当ではないかというふうに考えておりますが、この点に関して大臣の御所見を伺いたい。  もう一つ、機構問題に関しまして、現在地方自治に直接間接関連のある官庁が各所に分散しておりますが、この際これを集中せしめまして、一つの強力な自治体の相談相手たる助言機関でもある中央官庁を打ち立てる必要があるんじやないかと思います。幸い政府におきましては、機構の全面的な改革を計画中でありますので、この点は強力に推進していただきたいと思うのでございますが、大臣のお考えはどうでありますか、お伺いしておきたいと思います。
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金を固定したらどうかという御意見でございますが、私も昨年以来、本予算を組み、また補正予算を組むたびごとに、平衡交付金では実は疲れ切つておりますので、こういうようなめんどうな制度があつては、地方自治確立にはなはだしい支障を来す、こう私は考えておりますので、平衡交付金をいかにすべきかということに対しては、いろいろ考えを持つております。ただ私といたしましては、平衡交付金を固定いたしますについては、その代償としまして、地方に十分なる独立財源を与え、そうして地方平衡交付金にあまり頼らなくても、十分やつて行けるというような根本的の税制確立して行きたい。そうして平衡交付金の問題に触れたい、こういうような考えを持つております。しかしそれはまだ具体案ができておりませんし、また税制懇談会の答申も正式には出ておりませんので、その税制懇談会の答申あたりも参考にいたしまして、それに対しては善処したいと考えております。  それから機構の問題でございますが、これはただいま政府部内において研究中でございます。いずれ近いうちにその全貌も現われるかと思いますが、ただいまは研究中でございまして、いかに機構を改正して行くかについては、ただいま御言明申し上げるわけに参りませんから、御了承願いたいと存じます。
  13. 立花敏男

    ○立花委員 大臣に最初にお伺いして、おきたいのは、先般の本会議で、議員の方から、地方財政に関する質問がありました場合、所管大臣である岡野国務大臣がお答えにならないで、大蔵大臣がお答えになつておりますが、私どもはぜひやはり岡野国務大臣にあの場合お答えが願いたかつた。どういうわけで地方財政に関する質問に対して、所管大臣であるあなたがお答えにならないで、大蔵大臣がお答えになつたか。岡野国務大臣地方財政に責任をお持ちにならないのかどうか。そういうことはないと思いますが、ひとつはつきりお伺いしておきたいと思います。
  14. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。本会議答弁は、衆議院の事務局から御指名がありまして、お呼出しがあつて初めて答弁するわけでありまして、当時私はお呼出しがあるつもりでおりましたけれども、お呼出しがございませんから、御答弁できなかつたわけであります。
  15. 立花敏男

    ○立花委員 大臣は決して衆議院の事務局のさしずによつて動くような立場にはおありにならないと思う。特に地方財政の窮迫して、おる今日、問題がそういう形で本会議まで出て来る場合には、たとい事務局の何がなくとも、みずから発意によつて発言をお求めになる、あるいは議長の了解のもとに、進んで答弁に当られるという方法も開かれておりますので、そういう方法をおとりにならなかつたことに対しまして、私は岡野国務大臣地方財政に対する熱意が非常に足りないのじやないか、私ども大蔵省がたびたび地方財政に関する圧迫をやつておるのを知つておりますので、大蔵大臣答弁ではもの足らない、ぜひ岡野国務大臣の御答弁を承りたい、またその熱意も披瀝していただきたいと思つておりましたので、どうかああいうことが再びないように、敢然としてやはり地方財政確立を、先頭に立つてひとつ守つていただく熱意を示していただきたいと思います。  そういう意味で、もう一つお尋ねしておきたいと思いますのは、これはもう新聞に発表されておるのですが、地方財政委員会から、さらに百億の平衡交付金増額意見書が、すでに出されておるということを私ども承知いたしております。ところがそれがまだ国会の方へ出て参らない、一体これはどこでとどまつておるのか、今日のようなこの委員会平衡交付金の問題、地方財政の問題を取上げます場合に、なぜそれを問に合せていただけないのか。大臣として私非常にこれは怠慢じやないかと思う。今度の国会が開かれておりますが、地方財政の問題、特に平衡交付金の問題をこの委員会で取上げますのは、今回が最初だといつてもいいくらいの委員会でございます。今後再びこういう委員会が持てるかどうか、今のところ見通しがないわけでございまして、こういう機会になぜ地方財政委員会意見書、それも地方財政委員会法に基くところの、はつきりした法的の根拠のある、権威のある意見書が、すでに出ているのに、なぜ委員会にお出しにならないのか、これも岡野国務大臣地方財政に対する熱意の欠如と、私どもは解せざるを得ないのでありますが、なぜお出しにならなかつたのか承りたいと思いますし、今後お出しになるのであれば、いつお出しになるか、それも承りたいと思います。またそれに対しまして、委員会にお出しにならない、国会にお出しにならない何か内閣での意見のが齟齬あつたのであれば、それもひとつ明白にしていただきたい。同時に財政の責任にあられる岡野国務大臣として、意見書そのものに対する見解をどのようにお持ちなのか、この四点をひとつ承りたい。
  16. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。意見書がまだ国会へ出ないということは、これは何か手続の問題でございます。私は意見書が出された以上は、内閣として国会へ出すべきものだ、それに対して手続をしておることと考えております。私が熱意があろうがなかろうが、そんな問題じやないと思う。  それからもう一つ、先ほどから私に対して地方財政地方自治に対して、何か熱意がなさそうな前提のもとにお話になつておりますが、これは立花さんよくごらんになれば、昨年以来私がいかに熱意を持つてこれに当つているかということは、十分御承知だろうと思います。
  17. 立花敏男

    ○立花委員 もつと具体的な御答弁を願いたいと思うのです。その御答弁では熱意があると、いくらあなたが口先で言われても、熱意がないということに解せざるを得ない。私どもは単に臆測で申し上げているのではない。最初に申し上げましたように、本会議でも地方財政質問がありました場合に、主管大臣のあなたが答弁なさらずに、大蔵大臣答弁する、あるいは地方財政委員会の適法な意見書が出ているのに、まだお出しにならない。どこかそこらで手続をしているんだろうということでは、私は答弁にならないと思う。それでは熱意がないと、私どもは具体的なそういう事実に基いて推測せざるを得ない。だからそういう熱意がおありだとおつしやるなら、私どもも一応信用いたしますから、今私が出しました問いに対して熱意のある具体的な答弁をひとつお願いいたします。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 熱意をお認めくださいまして、まことにありがとうございます。意見書国会に提出するのには、閣議で決定をしまして、その上で内閣官房において国会へ出す手続をするのでございます。われわれは閣議におきましてあれを認めて、そうして国会に出すことに決裁をしておるわけでございます。ただ出ませんのはどういう都合か、これからまた内閣官房に聞いてみることにいたします。しかし手続が遅れておることは、あるいは事実かもしれません。しかし物には順序がございまして、そう簡単にすらすらと行くものでもありませんから、あまり少しの、二、三日の手違いでわれわれの熱意を疑われては困ると思います。
  19. 立花敏男

    ○立花委員 できるだけ早く国会にお出し願いたいと思いますが、国会にお出し願つてやはり正式に委員会で取扱う機会をつくることに、御協力願いたいと思います。  それからもう一つ質問の要点でありました、閣議ではあの意見書に対してどういう御決定があつたのか。地方財政委員会の、百億さらに増加しろとい意見に対して閣議ではどういう討論が行われ、どういう結論が得られたか、これをひとつ聞かしていただきたい。
  20. 岡野清豪

    岡野国務大臣 閣議の内容を申し上げるわけには参りませんけれども意見書が出ましたときに、私どもといたしましては、こういう意見書が出ているから、再考の余地はないかというような意味のことで、いろいろ検討いたしましたけれども、もうすでに今年度補正予算に対しては、平衡交付金百億、起債百億、それ以上はどうしても出ないということになつておりますので、いたし方ないからそれじや国会に出そうじやないか、そうしてこれは平衡交付金制度の趣旨でございますので、政府地方財政委員会意見が食い違いましたときには、国会においてこれを協議をしていただいて、そうして国会で予算はおきめくださることでございますから、国会の御意思にまつということにいたしております。
  21. 立花敏男

    ○立花委員 もちろん最終決定国会でやるのは、これはあなたに教わらなくても、当然なことでわかつておるのですが、閣議としてどういう意見が出されたのか。あるいはもう一つつつ込んでお尋ねいたしますと、地方財政の担当者であるあなたは、あれに対してどういうふうな御意見をお持ちなのか。特に地方財政委員会といたしましては、あなたが主管しておられますので、そこから出て参りました意見書に対しては、あなたとしてはどういうふうな見解をお持ちになり、またそれの実現に対してどういうふうな努力なり、その推進をなさるおつもりなのか。また今までなさつて来られたのか。そういうことをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  22. 岡野清豪

    岡野国務大臣 昨年以来意見書政府所見との食い違いに対しては、私はたびたびこの席上並びに本会議において申し上げておる通りであります。財政委員会において出した数字というものは、私は地方財政担当といたしましては、十分検討して、しごくごもつともでござるとい意見を持つて、閣議に臨んでいるわけでございます。しかしながら、また国務大臣といたしましては、国家財政全体に対してやはり参加するだけの資格がありまして同時にそれを検討しなければならぬ。そういたしますと、国家財政の点から行きますと、これだけしか出せない、こういうことになる。それではいたし方がない。それでもともと、あなたはいろいろそうおつしやるけれども平衡交付金ができた由来、並びに地方財政委員会を置いた由来なんかを、よく御検討くださればおわかりになるように、地方財政委員会がある一つ数字を出し、これが地方に対する一番いい意見であるということになり、同時に政府がそれに対して所見を異にするという場合を予想して、初めて意見書を出させることになつております。ということは、地方財政委員会意見と、政府意見とが食い違つておる、それは国会がこれを裁断して、そうして国会においてこれをきめる、こういうような方式でできておるものでございますから、意見書はそのうちこの委員会並びに国会に出ることと思いますが、その上で皆様方の御検討を願つて、そうしてわれわれ政府職員といたしましては、国会がおきめになつ通りに、いかようともいたします。
  23. 立花敏男

    ○立花委員 それはたびたび伺つおりますが、あたりまえのことです。国会がきめたことを政府がやつてくれなければ、政府は何のためにあるのかわかりませんので、それをお聞きしたのではございません。あなたは地方財政の責任者として、閣議の内部におかれましても、それぞれ担当の部門があられますので、そのお立場から、どういう主張をなさつたのか。あなたは国家財政の立場から平衡交付金増額も困難である、地方財政委員会が出した数字はなるほどもつともと思うが、国家財政の立場からこれを支持できない、こういうふうに言われておるやにお聞きするのですが、それだけだとこれは非常に抽象的なんで、納得ができません。あなたがせつかくこの数字が正しいとお認めになつているのに、ただ単に国家財政の立場からというだけのことで、その正しいと信じたる数字をそれ以上御推進にならないのは、私ども不可解であります。だからその正しいと思われておる数字、百億さらに増額せよとい数字が、どういう具体的な根拠で、あなたが積極的に推進できないのか、国家財政の立場からと言われますが、どういう具体的な国家財政の状態からこの百億が推進できないのか。私どもはそれをつつ込んでお聞きいたしたいと思うのであります。私どもといたしましては千三百数十億に達します補正予算の中におきまして決して百億の余地がつくれないとは考えません。特にあなたも正しいとおつしやつておられますように、地方財政委員会が出しております百億の数字は、非常に内輪に見積りました。危急存亡に瀕しております市町村財政が、これがなくてはとてもまかなえないというような、ほんとうに命を救うか救わないかの金なんでございまして、この金の要求がいれられないということにつきましては、それ相当のはつきりした具体的な根拠がなければ、これはとうてい納得することはできないと思うのです。だからそれをあなたがどのように閣議で御主張なさり、また大蔵大臣あるいは総理のどういう説明によつてあなたは納得されたのか、それをひとつ具体的に承らしていただきたい。そうでありませんと、単に国家財政の立場からとだけの、簡単なる言葉で片づけられるのでありますれば、地方財政委員会意見書も一片のほごでしようし、また地方財政委員会の厖大な機構も不必要でしようし何のために今までそういう努力をして来たのかわかりませんので、ぜひひとつ具体的に御返事を願いたい。あなたが努力されて来たことは私どもといたしますが、その努力の具体的な内容がわかりませんと、国民あるいは地方自治団体があなたと協力して地方財政確立して行くという具体的な方向がわかりませんので、もつと詳細に具体的にどういう観点からこの不可欠な百億円がいれられないのか、こういうことをお聞かせを願いたい。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 詳細に申し上げるわけに参りませんから、どうぞこの点で国会で御決定を願いたいと思います。
  25. 野村專太郎

    野村委員長代理 ほかの質疑内容にかえてひとつ……。
  26. 立花敏男

    ○立花委員 詳細に申し上げるわけに行かないというのでは、これは秘密政治なんで、そういうことであなたが幾ら地方財政に熱意を持つているとか、地方の民主化とか申されましても、財政自体の根本的な決定が、そういう秘密的な形でやつておられて、財政の民主化、あるいは地方行政の民主化はあり得ない、閣議の決定は、決して私はこれはこの問題に関する限りでは、発表できないような内容では断じてないと思います。もしこれが発表できないような閣議のあり方であり、日本の政治のあり方であれば、その政治のあり方自身、閣議の持ち方自身が根本的に間違つておる、それは民主日本の政治の行政の最高機関としてはふさわしくないあり方だと私は思う。だからそういうふうな逃げ口上ではなしに、問題を真剣にほんとうに解決して、地方自治地方財政確立なさろうとするのであれば、もつと民主的な、もつとフランクな、もつと人民に答えるような具体的な御答弁が私は望ましいと思います。委員長の注意もありますので、これ以上は申し上げませんが、そういう態度ではこの窮迫いたしました地方財政を解決する、何の頼りにもならないと思いますので、大臣の根本的な態度に対する反省を促しておきます。  それから百億の増加されました分についての問題ですが、これは数日間にわたる知事会議との折衝で、ようやく政府が了承いたしました数字でございますが、これの配分について、具体的にどういうふうにお考えになるか承らせていただきたい、それからそれに参考になりますように、つけ加えて申しておきますが、おとといの新聞には、千百億の平衡交付金府県別、市町村別の配分決定して、大体の数字が発表されておりますし、千百億の配分は、すでに政府の方でもきまつておると思うのでございますが、附加されました百億円に封ずる配分を、どういうようにお考えなのか、聞くところによりますと、大部分が府県に流れるというようなことを承つておりますし、また今岡野大臣の御説明によりますと、従来におきましても、府県の方は四分の三出ておつて市町村において四分の二しか出ていない、そういうことになつておりまして、市町村配分いたします平衡交付金が、まだ多分に政府の方に残つておるわけなんで、それの配分と合せて今度の配分も行われるのであろうと思いますが、その計画を具体的にお聞かせ願いたい。
  27. 岡野清豪

    岡野国務大臣 地方財政委員会の存在をもう少し御認識願いたいと存じます。平衡交付金は御承知通りに、政府国家財政から出しますけれども、これは地方財政委員会という独立した機関があつて法律によつて定められた方法によつてこれを配分するのであつて、これは政府といども干渉はできない立場になつております。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 独立した機関と、大きなことを言われますが、独立した機関が独立した法律に基いて出した意見書を、今までたびたび無視して来ておりますので、勝手なときにだけ独立したもので、政府の干渉を受けないと言われたつて、私どもは納得することができない、また答弁は非常にピントがはずれておりますので、私が申しておりますのは、新しく附加されました政府が予定しております百億の配分の内容です。計画と申してもいいと思いますが、その内容。それからさらに今までのうち、市町村への平衡交付金が多分に残つておるのですが、——あなたのお言葉によりますと、半分残つておるわけなんですが、これの配分の方法をお聞かせ願いたい。私ども一番公平な配分の方法だと考えられますのは、附加されました百億につきましても、千百億の配分率、府県市町村との配分率に従つて百億をわけるのが、一番妥当だと思いますが、どういうふうな配分方法をお考えになつておるかお聞かせ願いたい。
  29. 小野哲

    ○小野政府委員 私からお答えをいたします。ただいま立花さんから平衡交付金配分、特に増額される予定になつておるところの百億の配分をどうするか、こういう御質問でございますが、この点につきましては、大臣から答弁がありましたように、地方財政委員会で、せつかく検討をいたすべき問題になつておりますので、この際ここで申し上げる段階には至つておらないわけでございます。従つてこの点につきましては、他日機会を得て説明をいたすことになるのではないかと思いますので、御了承願います。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 それなれば、おそらくそういうことはないのですが、できないとなればしかたがありませんから、今回お出しになりました地方財政委員会意見書説明と、つけ加えまして、なるべく最近のうちに政府の方で用意をされて、委員会にまわしていただいて、はつきりした御説明を願いたいと思います。  それからベース問題と平衡交付金の問題ですが、二十六年度予算が組まれます場合にも、地方財政委員会の方から意見書が出ました。そのときにすでに千二百九億必要だとい意見書が、地方財政委員会から出たことは御承知通りです。ところが今回百億附加されましたけれども、まだわずか千二百億なんで、当初予算のときの地方財政委員会の要求いたしました数字から、まだ九億ばかり下まわつております。わずか百億ばかり増加いたしまして、これではたしてベース・アツプがカバーできるのかどうか、これをひとつ詳細に承りたい。  それと合せて岡野国務大臣は、地方の職員のべースの問題に関しては、どういう根本的なお考え方を持つておられるか、この間の本会議で、池田大蔵大臣は、地方公務員よりも、国家公務員の方が給与が悪いのだから、中央で千五百円上つても、地方で千五百円上げるわけに参らないというような意味のことを、御答弁なさつたのですが、これを岡野国務大臣は了承なさつたのかどうか、ただいまの岡野国務大臣の御答弁では、その点はまだ詳細にわかつていない、結論は出ていないと言われるので、おそらく池田大蔵大臣のように、地方公務員の方が、はつきり給料がいいのだというお考えにはまだ到達していないというふうに承つたのですが、それであれば私はあくまでもやはり地方公務員に対しましても、中央と同じように千五百円のべース・アツプはすべきだと考えますが、その点どういうふうな具体的のお考えをお持ちなのか承りたい。
  31. 小野哲

    ○小野政府委員 お答えいたします。給与ベース改訂の問題につきましては、地方財政委員会からのかねてからの意見書の提出、その他があつたわけでありますが、これはただいま御指摘の通りであります。今回政府考えております給与べースの改訂と相まつて地方公務員給与ベース改訂をいたして行かなければならないということも、これは私から申し上げるまでもないわけでありまして、ただこの場合において職員構成、その他国家公務員地方公務員との間において比重、均衡その他の点から研究をいたさなければならない要素があるであろうと思うのでありまして、これらの点が先ほど大臣から説明がありましたように、関係各省間においてよく十分に研究を加えた上で、決定をいたすべき問題であるということになつているわけであります。私どもの立場としては、もちろん国家公務員給与ベース改訂に伴う地方公務員給与ベース改訂につきましては、できるだけの措置を講じて参りたいというふうな考え方から、政府としては、平衡交付金増額もいたしたいとい考えで、補正予算の中に織り込んでおるような状態でありますので、これらの問題が十分に解決の見込みが立ちましたあかつきにおきましては、地方公務員給与べースの改訂についても、できるだけの措置を講じて参りたいという心組みを持つておりますことを申し上げておきます。
  32. 野村專太郎

    野村委員長代理 立花さんにお願いしたいのですが、ほかにまだ質疑者がおりますから、なるべく簡潔に……。
  33. 立花敏男

    ○立花委員 もう一つだけ、今のに補足して御質問いたしたいと思いますが、できるだけということじやないと思うのです。政府ははつきり百億とい数字補正予算でお組みになつておるのだから、百億とい数字がどこから出て来たのか、ベースを幾らに見積つて百億になつたのか、これは御答弁いただけないはずがないと思う。具体的な数字でやはりべースの増加を見込み、千五百円上げる、あるいは千円上げる、あるいは二千円上げる、とのはつきりした根拠が出て来て、はつきりした数字が出て来たと思う、だから私の質問に対しましては明確な答弁ができるはずと思う。そうでなければ政府のお出しになりました百億とい数字は、まつたく根拠のないでたらめな数字なんだ、給与ベースもきまつていない、中央と相まつてやる、研究中だということでは話にならぬと思う。特に中央では現在十月二十五日、十月から上げるベースが大体決定いたしております。地方でもこの問題は職員にとりまして大問題なのである。これに対しまして今のようなあいまいな御答弁では、どうしても納得できません。これはひとつ明白に御答弁願いたい。今日できませんならば、さいぜん申しました意見書の御説明、あるいは平衡交付金配分説明をいただきます場合に、ぜひこれは御説明願いたいと思う。  それから岡野国務大臣に最後に御質問しておきたいのは、あなたは地方行政簡素化本部の仕事を所管しておられますが、この補正予算の問題と行政簡素化の問題は、どういうふうな関連があるのか。また行政簡素化と結びつきましての地方の行政整理、これとどういうふうな関係があるのか。聞くところによりますと、地方の行政整理で約五百億の金を浮かす、行政整理によりまして人件費を大幅に削減するということを承つておりますが、平衡交付金と今度の補正予算と、地方の行政簡素化の問題、行政整理の問題とはどういうふうに関連しておるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  34. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。行政簡素化本部は、恒久的の地方の行政並びに財政を指示するためにやるということになつておりますから、補正予算と関係が出て来るかもしれませんし、また出て来ないかもしれません。
  35. 立花敏男

    ○立花委員 それはおかしいと思うのですが、補正予算をお出しになつておいて、補正予算と関係が出て来るかもわからない、出て来ないかもわからないというのでは、これはまつたく補正予算数字というものは、でたらめだといわざるを得ないと思うのですが、一体出て来るのか出て来ないのか。出て来るということを見通してお出しになつ数字なのかどつちなのか。これはおかしいと思いますからはつきり御答弁願います。  それからもう一つ最後に聞いておきますが、神戸先生がおられますので、行政簡素化本部の地方行政簡素化に対する方針と、この間神戸議長がお出しになりました地方行政のあり方の根本理念とに、根本的な食い違いがあるように私ども見受けられますので、この間神戸議長にお話を承つたのですが、簡素化本部もできたから、この地方行政調査委員会議勧告を出した線に従つてつていただくのが、望ましいというふうにとられるのですが、この問題に関しまして岡野国務大臣はどういうふうにお考えか、念のためにひとつお聞きしておきます。
  36. 岡野清豪

    岡野国務大臣 第一点といたしまして、簡素化本部でやつておりますところの事務簡素化ということは、もしこれが今年度に間に合いますならば、今年度の予算がそれだけ減ることになります。でございますから、ふえることにはなりません。それから、行政調査委員会議がお出しになつ意見書に対しましては、われわれこれを念頭に置きまして、簡素化本部の仕事を進めておる次第であります。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 今岡野さんは、もし簡素化が本年中にやれれば予算が減るとおつしやつたのですが、それは行政整理のことを意味しておりますか。首切りをやればそれだけ人件費が減るということ、従つて平衡交付金が減るということを意味しておられるかどうか。
  38. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今の地方財政現状は立花さんよく御存じでございますが、結局いろいろ行政整理をしまして、経費が出ることが少ければ少くなるだけ、やはり財政が助かるわけでありまして、平衡交付金を減らすとかなんとかいう問題は、少し論理が飛躍します。
  39. 野村專太郎

    野村委員長代理 あと時間がありましたらまたお聞きしてください。大矢君。
  40. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど藤田君並びに立花君から詳しくお尋ねしたのですが、今度の地方財政平衡交付金起債わくについてお聞きしたいと思います。地方財政委員会勧告は、これは了承した、しかしながら国家財政の上でいたし方なかつたのだ、こういうふうな答弁でありました。地方財政委員会勧告は正しいが、ないそでは振れないということでありますが、他の委員会において、捻出の方法があつて大蔵省の方で、国家財政の上からこれだけは出してもらえるとい財源の元が見つかれば、それで増額ができることになる、この点でずいぶん検討されておると思いますが、実際に、ないそでは振れない、そういう国家財政の状態かどうか、これをお聞きしたいと思います。
  41. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、今度の補正予算に組みましたのには、いろいろあちらこちらから各省の意見も出まして、そうしてあそこでおちついて、これが一番国家財政のやり方としては妥当なことだろうというので、地方財政については平衡交付金起債わく百億ということになつております。しかしながらこれは政府見解でございます。でございますからそこで初めて地方財政委員会が出した意見と、それから政府がこれに対して御答弁申し上げた意見というものが、とにかく両方とも国会へ出されることになり、国会で——国会は最高機関でございますから皆様方の十分御研究を願いまして、政府としてこれだけのことをやつておるけれども、しかしここをこうしたらまだ地方へまわせるじやないかという御意見が出ることになりましようし、またそういうことに国会が御決定くだされば、われわれはそれに従うことになります。また地方財政委員会意見書が出まして、そして私は地方財政委員会意見がいいと思つておるけれども国家財政の立場上それができない、こう思つております。またかりに国会でこう言つておるけれども、これは少し無理じやないかとい意見があるかもしれません。でありますから、両方の意見国会に提出されまして、国会で最後の御判定を願うという仕組みになつておるのでございますから、いろいろ御納得の行かないような点もたくさんおありだろうと思いますが、その点のことは委員会並びに国会で御審議願いたい、こう私は思つております。
  42. 大矢省三

    ○大矢委員 それから地方財政の行き詰まりの原因もいろいろ答弁がありました。その他事務簡素化とかいろいろなことが考慮されております。さらに第二次勧告として地方行政事務配分に関する勧告が行われておる。そこでこの事務配分と、それから地方財政との関係はこれは不可分であつて、当然税制改革と並行して行かなければならないことは申すまでもないことであります。その第二次勧告によりますると、特に第一に都市に対する事務配分、二重監督を排する、府県から大都市に向つて相当大幅の権限委譲といいますか、事務配分が行われておる。勧告によりますると、これは単に大都市のみならず、自主的な地方の発展のために事務地方に委譲される。そうするとますますこの地方財政が行き詰まつて来ることになる。従つて今申しましたように税法の改正、収入面と事務とのバランスをとらなければならぬというので、いろいろ税制改革もあわせて勧告になつておるのであります。そこでこの勧告によりますると、特に酒税、専売益金、タバコ消費税、それから入場税遊興飲食税市町村に移譲するということが勧告にある。こういうことは政府で、少くとも今度の通常国会において税制改革を具体化するかどうか。こういう機会はないと思いますから、このことを、特に地方に関係の深い岡野国務大臣から、直接お聞きしたいと思います。
  43. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。行政調査委員会議の勧告に従いまして、われわれは今それを検討中でございまして、勧告にも書いてあります通りに、事務の再配分をいたしますれば、当然地方財政に対して影響を来すことでございますから、税制の改革も同時にこれは並行して行わるべきものでございます。でございますから、あの勧告を実現いたしますについては、税制改正も同時にあわせ行うということにしようと思つております。そういたしますと、非常に大きな根本的の——根本的でもございませんが、改革になるものでございますから、できるだけ本国会に何とか御審議を願うようにいたしたいと思つて極力努力いたしておりますけれども、はたして今国会に間に合いますかどうかということまでは、まだはつきりいたしませんというような情勢が、今の実情でございます。
  44. 大矢省三

    ○大矢委員 これから研究するということでございますが、第一次勧告が依然として実施されておらないということを、この劈頭に書いておるのですが、第一次勧告がどうして行われないかということの原因調査されたことがあるか。大臣はそれに対してどういう考えを持つておるか。私が今申しましたように、事務配分だけはしきりにやるが、それを裏づけする財政確立がないから、依然として勧告実施できない。従つてむしろこれは逆に財政面の方を先にやつてから、事務をやるべきで、逆じやないかと思うのです。その点がいつも財政が行き詰まつておるにかかわらず、それに対する処置たる税法の改正あとからくつついて行く。事務だけはしきりに指令しますけれども、そういう関係について勧告通り実施されておらない。いわゆる遅々として進まないという面が、そこにあるのではないかと私は思いますが、この機会に大臣から御答弁を願いたいと思います。
  45. 岡野清豪

    岡野国務大臣 行政調査委員会議の勧告をいろいろ検討してそれを実行しようと思つておるのでございますが、御承知通り各省にわかれましたいろいろな法律によつて地方事務ができておるのでございますから、その地方事務をいろいろ再配分いたしまするについては、各省ごとにたくさんの法律を全部改廃しなければこれが実行に移せない。そのいろいろな研究と手続が遅れておりますために、まだ実行ができておらないということでございます。ですから、やることは一生懸命やつておるのでございますけれども、厖大なる、数の多い各省にわかれた法律検討して、そうしてこれを一々きめて行くのは相当骨が折れることでございまして、非常に時間がかかつておることを御了承願つておきたいと思います。
  46. 大矢省三

    ○大矢委員 事務簡素化地方財政確立の上に重大な影響があるし、今大臣が申されているように、今研究して、次の税制の改革についても考慮中だ、こういうお話でありますが、事務簡素化、それから機構改革をしきりに叫ばれておりますが、先ほど藤田君も言われるように、日本の民主化というものは、地方自治体の、すなわち市町村の完全なる自治完成によつてなされることは、申すまでもないのであります。そこでその基礎をなす財政面において、絶えずこういうふうに政府に向つて平衡交付金なり、あるいは起債拡大を力強く運動した方が、ふやされるというような不安定な状態でなくてこれを確立するために私が見ておるところによると、ずいぶんむだがあると思う。国が主としてとる。そうしてそのあと府県がとり、市町村は一番かすをとるということになる。私はまず市町村財政確立のために一本にして市町村にとらせる。そうして国は主として消費税を中心にし、府県税は市町村から府県に渡す、あるいは連絡する。そうすれば大体国税庁もなくなるし、あるいは府県の徴税署もなくなるのでありますから、これは事務の人だけでもうんと違う。また納める方も、どうせ出すなら二所も三所も出すというのは不便でもあるし、不経済であるから、市村町で一本でとつて府県へ幾ら渡す、そういうふうにすれば事務も至つて簡素になる。こういう根本的なことをねらわないで、小さなところばかりいじくるようなことでなく、日本の真の民主的な自治を完成するためには、私はそこまで考える必要があるのではないか。私は税制改革のときにそう言つたことがあります。ことに四、五日前に新聞に出ましたが、大都市の財政が窮迫し、濫費をしておるといつて警告を受けておりますが、私は必ずしも濫費だけではないと思う。小さな町にも、それから県よりもさらに数倍するような京都、大阪のような大都市に対しても、同じ画一的な税制を定めて、そうして足らぬのだ、足らぬのだ、お前ら濫費しておるというようなことを言つている。しかも二重監督の弊は大臣よく知つておられる。これは発展を阻害し、自治の本質にもとりますから、私は中央集権の弊を廃し、しかもそれは単に行政上の立場ではなく、税制の上にも具体化しなければ、私は真の日本の民主化はできないと思う。この点税制改革について、そこまで根本的に考える御意思があるかどうかということをこの機会に——これは非常に縁遠いような質問かもしれませんが、私はそこまで考えなければ、日本の民主化というものは成らぬと思います。また財政の裏づけのない地方自治の民主化完成ということはほんとうに成らないと思うから、そこまで政府考えておるかどうか、特に大臣からお聞きいたしたいと思います。
  47. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大矢委員の御説しごくごもつともでありまして、私完全に同感でございます。それを実現するためには、私非常に苦労しております。けれども、お説の通りに、やはり市町村財政確立して、そうして市町村というものがほんとう自治体として、りつぱにやつて行けるんだというふうにやつて行くことが、結局日本の民主化の一番最後のことだと思います。ただ今までの長い伝統がありまして、私が悪戦苦闘しておることはお察しくださると思いますが、御趣旨はまつたく同感で、そういう御趣旨を胸に置いて、私が地方自治のために闘つておることを御了承願いたいと存じます。
  48. 大泉寛三

    ○大泉委員 この機会にちよつと伺つておきたいと思います。再々聞くようですが、政府として府県税の附加価値税を実施する覚悟がおありになりますかどうか、その点を伺いたいと思います。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。附加価値税は、もうできた最初からいろいろ問題がありまして、これをやめたらいいだろうとか、延ばしたらいいだろうとか、いろいろの説がありまして、実は困つておりますが、実際の附加価値税を納める立場の人からも、いろいろ意見を聞いておりますし、また地方公共団体の徴税の立場からも、どうしたらいいかということを検討いたしておりますが、ただいまのところでは、これは私の心づもりでありますが、来年の一月からぜひ実施して行こうということに、少し自信を持つようになつております。そうして何とか考えなければならぬと思つておりますが、まだ結論に到達いたしておりませんから、ただいま申し上げることはできませんが、少くとも附加価値税に対しては早急に——ほとんどわれわれ毎日のように、あの研究をいたしておる次第でございます。追つて結論が出ましたら皆さん方の御意見を伺い、御指導を得たいと存じております。
  50. 大泉寛三

    ○大泉委員 政府でそういうふうな腹では、私は地方が迷惑するじやないかと思う。やはり今の状態では行政整理と並行して、それをにらみ合せる場合には、何といつても附加価値税を実施するということは、相当徴税機構が拡充されなければならない、あるいは手をふやさなければならぬ。しかも地方府県においては、そうした技術的な点においては、どうも国税庁の機関から見るときわめて劣弱である。こういう一つの準側もあるでしようから、政府としては、早く腹をきめてかからなければ、地方は大いに迷惑すると思う。どうか政府としてはやると一旦国会決定した以上は、これは公正なる一つの行政である、こういうふうに考えます。また附加価値税のいいことについては、私は再々申し上げておる通りで、今日のようなただ国税庁の査定に便乗する、裏づけするような地方税では必ずしも公正とはいえない。一たび間違つたら、間違つたなりにそれはやつてしまうといううらみがある。いわゆる附加価値税は市町村税の固定資産税と並行して、一体不可分の関係にあるものだ、私はこう考えますから、やはりこれは実施してもらいたい。これはむろん国会できめておるのだから、政府はやらなければならぬと思いますが、政府はそういうあいまいな態度でなく、それを実施するとい考えで、地方にもその腹構えを促されるように私はお願いしたい。それから今衆議院の行政監察委員会でも問題になつておりますが、不正手段によつて政府の補助金その他平衡交付金等を多額に要求しようとしたような地方府県に対しては、地方財政委員会を通じて自治庁として何らかの措置をとられるかどうかあるいはまた平衡交付金その他の補助金に影響があるかどうかをお伺いしたい。
  51. 岡野清豪

    岡野国務大臣 遺憾なことでございますが、新聞に最近出ますように、ある地方におきましてはいろいろのことがございまして、これはわれわれとしてまことに恐縮に存じておる次第でございます。地方財政委員会といたしましても、今後一般の国民から顰蹙を受けるようなことのないように要望をし、同時にあるものはこれを明らかにして、そして善後策を講じたい、こういうことに実は没頭しておる次第でございます。よろしく御了承願います。
  52. 野村專太郎

    野村委員長代理 地方財政に関しまする質疑はこの程度で終りたいと思います。     —————————————
  53. 野村專太郎

    野村委員長代理 次は地方自治に関する件につきまして調査を進めることにいたします。前回の委員会において、行政事務配分に関する第二次勧告について神戸政府委員より説明を聴取し、質疑を行つたのでありますが、これより残余の質疑に入りたいと思います。
  54. 立花敏男

    ○立花委員 地方財政質疑は一応終つたのでありますが、つきましては委員長にお願いがあるのであります。地方財政委員会意見書がまだ政府の手元で迷つておりまして、国会へ出て来ておりませんので、委員長から国会へすぐ出すように御促進願いたい。それからそれに基いて至急地方行政委員会でその意見書審議をやつていただきたい。そのためにやはり政府で資料なり説明なりの準備をしていただきたい。それを委員長から政府に督促願いたい。それから地方財政の問題につきましては、私ども本日この席でも、全国市長会から平衡交付金増額陳情書を受取つております。また書類ではなくても、個々面接なりあるいは知事会議なりで、自治団体から強い要望があることを承つております。しかもその額の開きが、たとえば府県側の要望と、政府がお認めになつたのとは五分の一にも達していないとい実情でございますし、この問題はひとつ至急に公聴会をもつて地方側の意見を十分聴取する必要があるのではないかと思う。これをひとつ至急やつていただきたい。と申しますのは、ただいま予算委員会が開かれておりまして、おそらくもう数日中に上るのではないかと思いますから、この委員会の開催と意見書の提出、それから公聴会をできるだけ近いうちに、急速にひとつお運び願いたい。これを委員長にお願いしておきたいと思います。
  55. 野村專太郎

    野村委員長代理 理事の諸君とよく御相談いたしまして善処いたしたいと思います。  それでは神戸政府委員に対しまして、先般の委員会の残余の質疑をこれからいたしたいと思います。  皆さんの御質疑に先だちまして、私から二、三お尋ねをいたしたいと思います。     〔野村委員長代理退席、大泉委員長代理着席〕
  56. 野村專太郎

    ○野村委員 今度の第二次勧告で、東京都の特例のうち二十三の特別区、これは先般の委員会において、委員各位の御質疑によつて説明もいただいておるのですが、二十三区の特別区は、いわゆる自治法によつて市制に準ずる、こういうことになつて、今度の勧告も自治区であることを委員会もお認めになつておるようですが、これは過去における二十三区の歴史なり、実績なり、これらの上に立つて勧告がなされたと思うのですが、これに並行して、いわゆる自治区ということにお認めになりますならば、いわゆる自治区である以上は人事権は特別区が持つべきものではないか、かように考えられるのですが、この点はいかがでございますか。
  57. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 二十三区が特別区でありますこと、ことにそれが制限された自治区であるということは、先般の御説明でいたしました通りであります。むろん完全な自治区ではありませんので、制限をされておる自治区であるということが前提であります。そこで人事権についてはどうかというお尋ねでありますが、自治区である以上は人事権を全部特別区で持つべきものであるのではないか、こういうお疑いのようでありますが、あの勧告の中には、事務につきまして二十三区というものに大都市としての統一性を持たせなきやならぬ点もありますし、しかしまた自治区として独立の権能を与えなきやならぬ。そこが一つはつきりしないので、多少混成的なものと相なりました結果といたしまして、人事権は一本になつておらぬのであります。すなわち都知事が二十三区というものの首長というような性格から、おのずから仕事を区の方に委任する面がありますが、そういう委任する仕事と、区が独自の権能によつて行います事務と二種類あるわけでありますから、特別区である自治区に属するところの吏員も存在の余地はあるわけであります。ただ都知事から委任されますような仕事を担当する吏員につきましては、これは都の方でもつて、よくまとめるということになりまして私ども勧告では、人事権は完全に都に統一されたのでなく、若干区の方にも残されておる、こういう少しずつきりしない考え方をとつておるような次第であります。
  58. 野村專太郎

    ○野村委員 二十三区の性格については、今神戸委員長さんからの御説明通りであろうと思います。しかし自治法によつて市制に準ずるということになつており、勧告も自治区であることを認めておられるようである。自治区ということになりまするならば、何といつても人事権を持たない自治区というのは、およそ意味はないと思う。それともう一つ、自治区ということを勧告されておる反面、固有の財源というものを付与いたしておる。いわゆる完全自治区でなく制限自治区、いわゆる自治区というのは名前だけであつて、実際はやはり行政区たること以上には出ておりません。これはまことにどうもすつきりしないのでして、シヤウプ勧告によつても、まず日本の自治は市町村の線によつてつて行こう。特に区民生活に一番直結する、住民の生活には一番手近にある政治でありますし、むしろこの特別区は東京市に先んじて自治区たる長い歴史を持つているわけです。そういう点から今度は固有の事務と委任事務とこう二つにわけて勧告をされているようですが、やはり自治区として認められた以上は、これに対する財源も付与すべきであると考える。今回の勧告は、その歴史の上に立つて自治区であることを認められることに対しては、非常に私ども現実を見ても妥当であると、かように考えておりますが、財源の点等々制約いたしますと、実態は行政区以上に出ていないと思います。こういう点に対してお考えをさらに伺いたいと思います。
  59. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 自治区と認めました点をよく御了解いただきまして、はなはだ仕合せであります。実は自治区でなくする、完全な行政区にしたいという強力な要望もありましたけれども、私どもといたしましては、東京の二十三区は他の大都市の区とは沿革上違つておるし、急激にこれを行政区にしてしまつてはおもしろくない。どうしてもこれは自治区として残すのが当然であるとい考えで、特に区民生活に身近なところでやつている行政を尊重するということが、民主政治の上においては非常に大事なものであると認めたのであります。でありますが、他の一面におきまして、東京都の二十三区というものは一つの大都市であつて、統一性を持つてやつた方がよく行くという仕事が相当にあります。たとえば水道とか交通等は言うまでもありませんが、屎尿の処置等の関係、これらにおきましてずいぶんいろいろな問題が出て来まして、各自治区でもつてできることもありますが、同時にまた全体としてやらなければ、ほんとうに徹底した糞尿の処分ができないということになりますので、区にはただわずかばかり道路の清掃とか公衆便所という程度のものをまかせまして、あとの始末は一本でやる方が合理的であると思い、この問題等もずいぶんあちらこちら実態も調査しました結果そうなりました。どうも東京都というところは、自治区だけでやるわけにも行かない、全体として一本でやつた方が能率的にも、民衆にも都合のいい点もあるというふうで、結局私どもはこの一つの妥協的な考えにおちついたわけであります。自治区として区でやらすことも一部の人は認めたのです。しかし同時に全体として統一性を持つて二十三区をやる、大都市の性格を都に持たしたということになりました。従いまして人事権におきましても全部を都に持たしたわけではないのでありまして、委任事務等については、都の吏員を区に割当てることもできるということになりましたが、基本といたしましてはやはり自治区にも区長のもとにいる吏員というものはあるわけでありまして、人事権は全部ではありませんが区にも一部あるわけであります。  それから財源の問題でありますが、これも非常にむずかしい問題でありまして、よく調べてみたのですが、区に指定しました仕事をまかなうのにどのくらいいるか、どんな税源が考えられるかということをにらみ合せました結果、区に当てがわれた仕事を支弁するのに小さな税では、一つ、二つ、三つ合せたところでとうてい十分ではない。どうしても大きな重要な税、市町村に割当てました固定資産税とか、住民税というようなものにまで行かなければ十分でないということを見出しました。しかしさりとて住民税なり固定資産税なりどちらかを、すべて区に与えることになりますと、これは少し多過ぎるという結果になりまして、いろいろこれまでの沿革等もありますので、まず住民税というものを、区の主要な財源といたしたわけであります。しかし財源の与え方が普通の市町村と違いまして、区がとつて区が自分ですぐ使つてしまう、とつて使うというような完全な自治的な運用ができないようなことになりまして、結局住民税のうちの一定部分というものを、決して随意でなく、妥協でもなく、法規によつて一定部分だけを残しまして、たとえば三割なら三割というものを残して、あとの七割というものは、各とつた区に還付するということになりました。従つて一部は都が二十三区全体の仕事に充つるために、あるいはそれを各区の費用に充てるといたしましても、どこの区からとつたものはその区に渡すというのでなく、全体として平均的にあるいは均衡的な働きをさせるためにそれを都にとつて、都がそれをかれこれ各区に適当に出す。しかしその一定部分、たとえば七割なら七割というものは、各区からとられたところの住民税というものを還付する、返してもらうということになりますから、住民税というものが完全な区の税ではなくなります。都がとつてそれを一定の部分だけを留保して、残りを区にわけるというのですから、完全な区の税ではありませんが、しかしながらきわめて制限された不完全なる区の独自の税です。還付税というものは御承知のように、とる方ととられる方とその両方に属するわけです。都の税であり、同時に区の税である。還付されたものを元へもどしてもらうのだからして、ある一面においては都の税であるが、同時に区の税でもあると言えるわけでありまして、きわめてあいまいでありますけれども、それをそれなら全部住民税を還付税にしてしまつてはどうか、こういう議論が出て来ましたけれども、しかしそういたしますと区の中でも貧弱な財の乏しいところでは、完全な区税としておいて全部還元されるということになりますから不利益でありまして、やはり弱いところは全部還元してもらうよりはそれを留保しておいて、財力の強いところも弱いところも一緒にして、平均して適当な方法によつて、それを共通な仕事の方に充つるということにした方が都合がいいということで、どちらかといえば貧弱な区の方の立場を考えまして、そのかわりそれだけまたあるいは強力な団体、区の方は少し不利益というのでありますが、それは二十三区というものが一体性を持つている。大都市と同じ性質を持つているということで、しんぼうしていただくよりしかたがない。大都市という性格が都にあり、同時に区においてはまた自治区としてあるということで、さようなわけできわめて徹底しないことになりましたが、とにかくある程度自治区としての区を残す。しかしながらまた、都が大都市としての行政は能率的にやり得て市民、あるいは都民の便宜をはかり得るということにもなりましたわけで、私ども考え方はそういつた順序できめて来たのであります。どうぞ御了承願います。
  60. 野村專太郎

    ○野村委員 この人事権につきましては、現在区長と助役、収入役だけ、それ以外は全部都の公吏、こういうようなことで、自治区というものの、内容は非常に陳腐なものになるわけです。ただ東京都は非常に厖大な都市ですから、現実から見てやむを得ざるところだと思うのですが、しかし過去の歴史なり区民、都民の親しみ、こういう点から自治区ということをお認めになつた以上、人事権については、これは根本の問題だろう、かように考えております。  それから今日の地方財政が非常に困難である。要するに一番能率的な政治が一番住民、に歓迎されるところだろうと思うのであります。そこで今委員長さんからお話のごとく、水道事業でありまするとか、交通事業でありまするとか、また土木事業についても、都市計画ですとか、警察とか、消防とか、こういうものは東京都制によつて行くことは当然でありますが、その他のものは、今度の勧告のうちには相当委任事務が多いようですが、これらはやはり直接窓口を通してやる特別区側に、固有の事務としてやらせることがいいのではないか。今お話にあげられました清掃の問題——根本的の末端の問題は別ですが、厨芥の収集ですとか簡易な清掃事務、あるいはまた保健所ですとか、社会事業的な、直接区民の台所に直結するこういつたような事務に対しましては、委任事務でなく、これは特別区側に、いわゆる自治としてやらせるのがいいのではないか、私はこう考えるのです。また道路の、ごときも、根本的な、大きな計画の事業は都制によつて行くことは当然ですが、維持、管理、こういつたようなこと、あるいは街路、そういうようなことに対しては、とにかくめんどうをみて、できる限り特別区の自治の範囲内においてやることが一番能率的でもあるし、これが一番住民に歓迎されるであろう、かように考えておりますので、これらに関する御感想をもう一回伺いたいと思います。
  61. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 まことにごもつともなお説でありましてわれわれといたしましても十分その点を考慮いたしまして、これまではこの区の仕事と都の仕事との限界がはつきり上ないために、都区調整協議会というものを設けて、都の代表と区の代表と、中立の方と御一緒にして、そしてこれを都にする、これを区にするときめたのでありますが、それさえもいろいろな支障があつてなかなかできないといつたことで、行き詰まつているということを認めましたので、それで私どもといたしましては、そういうやり方はいかぬ、はつきりと法律で、つまり国会のお考え従つて、はつきりと法文化し、この仕事は区にやらす、この仕事は都が持つてつて委任をする、あるいは委任しない、要するにはつきりその線を定める、あいまいにしない、こうして法律でもつて法定化する。これまでは法定化がない、ただ準ずるとか何とかいうことでありまして、はつきりしないのをはつきりしてもらう。そして争いなくやる。分に応じて区にあてがつた仕事は、しつかりやるということになつて行けば、相当に成果が上ると思います。これまでは区にあてがうべきものも何とか言つて都の方で握つてつて、区の方に容易に渡さなかつたのでありますが、われわれの案がかりに実行されるとすれば、これまでよりも多く区に仕事があてがわれまして都区の協議会できめるというようなあいまいなことでなく、法律によつて——いずれ自治法の改正等によつて業務ができると思いますが、業務をおきめになつてやりますれば、争いなく一生懸命に、区は区でもつてやる。都は都でもつて都の責任を持つてやる。おのおの責任を自覚して全うしますれば、おのずから行政はうまく行くと思います。やがて区というものもりつぱな成績をあげれば、また事情がかわれば、制限されたものでなく、完全な自治体になるということもあると思います。今の段階では、過去のいろいろな経過から申しましても、一足飛びに自治区というものが、いろいろな仕事をしよい込んでやるという段階でないと思います。むしろ行政を整理してしまいたいという要求がありましたが、それを押えて、自治区にはある程度、完全な法律によつて守られたところの仕事を与える、それをしつかりやるというようなふうに持つて行つた方がいいのではないか。しかしこういつた問題はすべて焦げついたものでなくて、時の流れによつてきまるものでありまして、今の段階では私どもの提案の程度のもので、まず適当であると考えておる次第であります。
  62. 野村專太郎

    ○野村委員 東京の都区間における、今お話の行政協定といいますか、これは非常にまぎらわしい問題でありまして、しかも非常に都民生活に大事な問題であります。今回勧告をいただいたこの機会に、やはり法律でもつて明定をして、法文にすることがぜひとも必要であろう、この点に関しては委員長さんのお話の通りであろうと思います。  それから最後にもう一つお尋ねをいたしたいのは、これは東京都ばかりではありませんが、いわゆる地方議会の議員の定数に関してです。この問題は先般の委員会におきましても、どなたかから質疑があつたようですが、今日地方財政が非常に困難な折柄でこういう点もあろうと思いますが、せつかく日本の政治が民主化された折柄であり、これらの議員はいわゆる公民、住民から選出された、いわば住民の代表者でありますので、今日国においても地方においても、財政の点から行政整理とか、これを非常に簡素にして行かなければならないという点は考えられますけれども、そのことが議員にしわ寄せをするというようなことがかりにあつたとしたならば、私は当らないことだと思う。議員の定数を半数程度に縮減して名誉職にする、こういうような勧告をなされているようですが、この点は、戦争中、戦後においても、いわゆる行政整理の対象になつて来るが、むしろあらゆる委員会制度、こういうものが私は整理の対象にならなければならぬと思うのです。そうして議会政治はその都道府県会なり、市町村会に、あらゆる民主的の要素をぶち込んで、これによつて行くべきであろう、かように考えております。但しこの点に対しましては、公職を持つた議員というものは、地方財政を十分にらみ合せてやつて行かなくちやならぬことは当然でありまするが、そういう点で、今回の勧告案がこれを名誉職にして半数に減らすということは、民主化の途上にあるこれらの今日の情勢下においてこれが妥当であるか、戦前のようなやはり中央集権的な、民主化をはばむようなことになりはしないか、こういうような感じを持つわけですが、この点に対して御所見を承りたいと思います。
  63. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 まことにごもつともなお伺いでして、民主化を促進する、そのためにこそ地方自治というものを強化しなければならぬという立場に立ちまして、民衆の声を、民衆の意見、民衆の感情を十分政治に反映しなければならぬということは当然でありますけれども、しかしまた他の立場に立ちますれば、あまりに多くしたからといつて、必ずしもそれが達成されるものではない。すぐつたところの比較的少い人が出て懸命にやつていただければ、たくさんの人がやるよりも、より多く能率的になりはしないかということを考えたのであります。委員会がそうきめましたから、私としてこれにかれこれ言うわけではありませんが、実際時期が早過ぎるというようなお感じがしたかもしれません。せつかくこう大勢出して、とにかく民衆が政治に参加するということに興味を持つて来たのに、少くされてはまたどうかということですが、しかし考え方によりましては、数ばかり揃えたところでむだであるというか、非能率的になりはしないか、少数にして精鋭を持つてやれば、能率的に、やがて経費の上からいつても、少しでもむだが少くなりはせんか。今地方財政がきゆうくつでありまして、何としてもできるだけの倹約をしなければならぬときに、議員一人当りの費用も、所によつては相当多額に出ておるというようなことも言われておりますから、しつかりとやつてもらうために少くしてやるということは、民衆としても別段にそれに対して反感を持つこともなかろう、かえつて民衆としてもよい感じを持ちはせぬか、こういう気持からわれわれはそういうことに持つて行つたわけであります。考えてみますれば、あるいは少し早計であつたとか、時期尚早であるというような御非難が一部から出ておりますが、そういうのも一つのお考えであります。しかしわれわれといたしましては、数は少くてもりつぱな人が出て来れば、たくさんの人よりもかえつてりつぱな結果を生み出すだろう、能率的にうまく行くだろう、こう考えたわけでありますが、これはいろいろ意見の違いが相当あるだろうと思います。御質問いただきました御趣旨はよくわかつておりますが、われわれとしてはまた別の見地から、こういう結論を出したわけであります。
  64. 大矢省三

    ○大矢委員 ごく簡単に二点だけをお伺いしたいと思います。今度の勧告によりますると、府県並びに大都市の教育委員が、従来の公選を廃して、知事並びに市長の選任にする、但し議会の同意を得て選任するということになつておりますが、この公選を廃止した理由、どこに弊害があつたか。私どもはむしろ教育委員というものは、教育に関心を持つように、一般住民からの投票によつて出た方がいいと考えておる。それが廃止の勧告なつた理由はどこにあるのでしようか。     〔大泉委員長代理退席、野村委員長代理着席〕  それからいま一つは、地方起債の問題、地方起債に対して、公債償還費が歳出の一定割合を超えないという、この一定というのは歳出の何パーセントを示しているのか。これはもちろん大都市その他によつて違いましようが、歳出の云々ということになると、小さな都市はわずかしかやれないことになる。この割合というのはどういうふうに考えておるか。それからそれに引続いて、地方債の発行限度を法定するという、この法で定めるということは、御存じ通り災害復旧公債とか、いろいろな継続事業の公債発行というものは、都市によつて非常に違うので、それを法できめることは、はなはだむずかしいと思いますが、これはどういう基準でこういうふうになるのか、基礎をどこに置いているのか。つまり地方債の発行にあたつて償還の一定割合をきめるということと、それから発行の最高額を法律できめるというこの二点が、割合その他について明瞭でないので伺いたい。
  65. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 教育委員会を公選からのけまして、知事なり市長なりが議会の同意を得て任命するということにかえましたのは、これまで教育委員会委員は公選でありましたが、公選というものは、なるほど市民の皆が参加しまして、いわゆる民主的にきまるのだということにおいて、確かに利点がある。教育の民主化ということにおきましては、まことにそれを認めなければなりませんが、しかし知事なり市長なりがこれを任命しましても、知事なり市長自身がすでに公選されたものであります。しかも知事なり市長が独断専行するのではなくて、やはり府県議会なりあるいは市会なりにかけてその同意を得て任命します結果というものは、結局おちつくところへおちつくわけであつて、公選でなければ民衆の考えが出て来ない、少数の者の考えによつて教育委員がきまるというほどのことはないのであります。従いまして、すでに知事なり市長なり、議員はすべて公選で出ておられますから、それらの意見を総合した結果は、教育委員を公選にしたのとそう違わないというふうに考えたわけであります。選挙費用も相当かかりますから、その選挙費用を少くし、手続を簡素化し、能率化の一端といたしまして、それをそういうふうに持つて行つたわけであります。むろん知事なり市長なり議会なりが、公選とは違つたものを出すというほどのことは、まずないと認めたのであります。極端な場合はどうかしれませんが、それほどむだな公選をしなくとも、簡単な方法でもつて民意を代表するところの教育ができ得るだろう、こういうふうに考えたわけであります。  それから地方起債の場合につきまして、これは償還費が歳出の一定割合を越えないように最高限度をきめるというので、二つでありません。前の句と後の句とは一本でありますから、地方債について最高額をきめるのではありません。最高額というものは、それはいろいろな状況によつて違いますから、それは前の句との関連において最高限度をきめる、つまり歳出の一定割合——一定割合はおよそ私の見るところでは、歳出の一割とか五分とか、何かそこは法律でおきめになるのだから、いろいろなことを参照されておきめになつてよろしいのですが、とにかく公債というものは幾らでも出せるということにしてはいけない。公債はある程度制限しなければならない。公債はあとに元利拂いとい負担を残しますから、従いまして制限しなければならない。何で制限するかという問題で、歳出にするか、あるいは税収入にするかという問題ですけれども、税収入にしますと、今まで地方団体としましては、平衡交付金をたくさんもらつてようやく成り立つておる、平衡交付金の方が税収入よりも多いというようなところもあるのでございますが、それでもその団体としては、全体の歳出額としては、いろいろな行政をするのに必要なのですから、必要なものを確保しなければいかぬ。必要なものを確保しなければならぬという点からいいますと、税収入額の一定割合ではいかぬ、むしろ歳出として全体を見てやつて、その一割なり五分なりというような、利子は別ですが、償還の費用が歳出の一定割合を越えてはいかぬということで、その辺からきめたので、その他の点からはむしろきめなくてよろしい、歳出の一定割合というきめ方で最高限をきめる、こういうわけで、どちらかといえば、地方起債には比較的寛大なやり方で、税収入の一定割合ではどうも気の毒でありますから、やはり歳出の一定額を限度として、それ以上はいかぬ、それ以内なら自由——自由といつても、あまり自由にやるということは、責任者として相済まぬ。しかし市民なり市町村民なり、府県民なり、全部がよろしい、あくまでやるということになれば、それは全体の責任でありますから、よろしいのでありますが、とにかく最高額というのはそういつた関連の最高額で、二つは関連したものとして御了承願います。
  66. 大矢省三

    ○大矢委員 私の聞いているのは、公債の償還費が歳出の一定割合を越えないようにという、その一定割合というのは、歳出に対して何パーセントを認めるのか、その点を聞いているのです。
  67. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 お答えいたします。これは私ども別にどういうふうにしろとい考えはないので、これは国会でおきめになることで、国会でどうおきめになるか、おそらく府県とか市町村とか、市町村の中でも大都市というものと、多少段階をつけて制限されることになるのでありましようが、別にはつきりした数字をきめているわけではありません。ただ何かそういうものがなくてはならぬ。何もなしにほつたらかしてはいかぬ、何かそういうことで制限したい、こういう気持で、別段に一定割合に拘泥しておりません。
  68. 大矢省三

    ○大矢委員 もちろんこれは国会できめるわけですが、これを勧告した場合における、委員会議として考えておられたどれくらいが妥当であろうという、その考えをお伺いしたい。
  69. 神戸正雄

    ○神戸政府委員 それをどういうふうにということは、国会がおきめになることで、とにかく自由にやつてはいかぬ、何か制限しなければいかぬとい意味だけです。ですから、国会でもつて、割合に寛大におきめになつてもいいし、あるいは財政をしつかりやらせよう、緊縮財政をさせようとすれば、それだけ低くおきめになつてもいいし、それはすべて国会の御意見によつてきめられることであります。
  70. 野村專太郎

    野村委員長代理 それでは勧告案に対する質疑はこれをもつて終了いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時二十六分散会