○根本国務大臣 お答えいたします。この点は御
指摘のように、実は農林
委員会において詳細にわた
つて審議されたものでございまして、特別会計法は糸価安定法にな
つておるのでありまするが、その基礎法であるところの法は繭糸価需給調整というような形にな
つていまして、繭価、糸価両方含んでおるのでございます。これはすでに衆議院におきましては、幾たびか決議をなされ、繭糸価の安定を期すべしという要請があ
つたのでありまするが、今日まで実は予寡的
措置ができないために、その上程を見るに至らなか
つたのであります。今回幸い大蔵省、
関係方面との了解も得ましたので、三十億の
資金をも
つてこれを運営することに
なつたのであります。繭糸価格安定法とうた
つておる
通り、これは糸価、繭価ともにその安定を期する方針でございます。ただこれにはいろいろ
方法がありまして、繭価と糸価と別々に立法し、また別々の
方法をとるべきだという御議論も、ごく一部にはあ
つたのでありまするが、繭価を安定せしむる夫めに同様なる
措置を講ずるとしますれば、厖大なる
資金と
設備がいるのであります。繭価そのものを直接安定するためには、
政府が乾繭倉庫
なりその他の
設備を持ちまして、また厖大なる、しかも変化の多い繭を買
つてやるということに
なりますと、これは数十億では足りないのであります。そういう観点から、いろいろと
関係議員の方々とも相談の上、糸価を安定せしむることによ
つて繭価の安定も相当
程度なし得る、運営の
方法によ
つてそれがなし得る、こういう結論に達したのであります。その
方法の詳細は繭糸価格安定法をごらん願うことといたしまするが、御承知のように現在繭価、糸価の両方面の変動の多いのは、一にかか
つて海外の需要
関係の変化が、非常に大きな
影響をいたしておるのであります。本年におきましても、非常な糸価の暴騰暴落に刺激されまして、繭価の暴騰暴落を続けておるのでございます。そういう観点からいたしまして、糸価をまず安定せしむるということが、糸価の大きな構成要素であるところの繭価の安定の
方法になる、こういう
考え方であります。そうしてこの安定法におきましては、最低値段をどこに置くかということが、いろいろと議論があるところでありまするが、その際におきまして、実は審議会
においてそれを審議の上きめるのでございまするが、その際標準糸価をきめる場合におきまして、繭価と
加工賃、こういうものが大きな要素とな
つてそれが計算されるのであります。この
意味におきまして、実は繭価が大きな要素とな
つておりまするために、糸価の安定によ
つて繭価の安定を期することができる、こういう解釈をいたしておるのであります。しかしこれでも非常に不安な点がなきにしもあらずで、現在におきましては、実は製糸業者の繭に対する需要は非常に多いにもかかわらず、供給源が少いので、むしろひつぱりだこのような形でありまするから、当分の間繭価が暴落するという心配はございません。しかしながら、この繭糸価格安定法は恒久法であるから、ある場合
においては相当暴落する心配がありはしないか、こういう過去の経験からの心配に基きまして、そのために実は最初の原案にはなか
つたのでありまするが、第十條に繭価の安定のために必要なる
措置を講ずることができる、こういう一項を入れたのであります。これは非常に抽象的ではないか、またはなはだ間に合せの、言いのがれのような感じがするという御意見もありましたが、御承知のように、繭価を安定せしむるためにはいろいろの手段
方法があるのでありまして、過去におきましては、繭価を安定せしめるために、乾繭保管を奨励しまして、これに奨励金をつける、あるいはまた補助金をつける、あるいは融資のあつせんをする、こういうような
方法もと
つたのであります。またある場合におきましては、委託
加工を養蚕家にいたさせまして、その金融のあつせん並びに利子補給をするというような、いろいろの
方法があるのでございます。繭価を安定せしむる
方法は、その場合々々におきまして、いろいろと講ぜられ得るのでありまするので、その
意味におきまして、そうした固定したところの
方法を
考えず
においた方がよろしいということで、さようにいたしたのであります。またごく特殊のやむを得ない場合
においては、繭そのものを買い取るということもあり得るではないか、こういうふうなことで、その
意味におきましてこれは諸般の
事情全部を総合いたしまして、糸価と繭価を両方安定せしむるという方針に立
つておるのでございます。なおまた養蚕家の保護のためには、この糸価の安定の
方法以外に、どうしても相当増産をいたさなければ
なりませんので、増産のための必要なる桑園の復旧あるいは拡張、これに伴う予算的
措置をも講ずる。また一面におきましては、養蚕技術あるいはまた養蚕経営の合理化によりまして、できるだけ生産費を安くする、こういうような
方法も
考えられますので、そうした方面は
一般農業政策としてそれを
実施いたしたい。なおまたもう
一つは、御承知のように養蚕の天候によるところの災害というか、減収がときどきありまするので、そうした病虫害に対するところの予防
なり、あるいはまた災害が桑苗に起きたために、非常な減収を来すというような場合におけるところの養蚕における共済の問題、こういう問題はすでに内藤さん御承知のように、着々整備いたしておる次第でございます。
ただ今回繭糸価格安定法という
法律をもちながら、特別会計は糸価安定法にな
つておる、このように実はちぐはぐでございまするが、予算を出すときには糸価安定法で出ておりますので、その印刷物にもありますように、表題は糸価安定法でありますけれ
ども、これは繭糸価格安定法を母体としてできたものであるということを、御了承をお願いいたしておきます。