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1951-10-24 第12回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十四日(水曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    大上  司君       佐久間 徹君    島村 一郎君       清水 逸平君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮腰 喜助君    高田 富之君       深澤 義守君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         日本輸出銀行専         務理事     山際 正道君         日本輸出銀行理         事       高橋  一君         日本輸出銀行営         業部長     立明  正君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十月二十二日  連合国財産補償法案内閣提出第五号) 同月二十三日  会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案(  内閣提出第七号)(予) 同月二十四日  所得税法臨時特例に関する法律案内閣提出  第一〇号)  財産税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一二号)  一般会計歳出の財源に充てるための資金運用  部特別会計から  する繰入金に関する法律案  (内閣提出第一三号) 同月二十二日  革製手袋に対する物品税免税点設定に関する  請願天野公義紹介)(第一五二号)  金庫等に対する物品税撤廃請願三宅則義君  紹介)(第一五三号)  水あめ、ぶどう糖に対する物品税撤廃請願(  本多市郎紹介)(第一五四号)  人形及び玩具等に対する物品税撤廃請願(西  村直己紹介)(第一五五号)  照明器具に対する物品税撤廃請願天野公義  君紹介)(第一五六号)  公務員の新退職給與制度確立に関する請願(石  田一松君紹介)(第一五七号)  同(河野金昇紹介)(第一五八号)  同(並木芳雄紹介)(第一五九号)  同(船越弘君外九名紹介)(第一六〇号)  退職金に対する所得税免除請願辻寛一君紹  介)(第一六一号)  未復員者給與法適用患者に対する療養期間延  長に関する請願外三件(苅田アサノ紹介)(  第一六二号)  同(福田昌子紹介)(第一六三号)  特別未帰還者給與法等廃止反対に関する請願(  福田昌子紹介)(第一六四号)  たばこ小売人利益率引上げに関する請願外一  件(岡田五郎紹介)(第一六五号) の審査を本委員会付託された。 同日  医師に対する課税に関する陳情書  (第二八五  号)  税制改正に関する陳情書  (第二八七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本輸出銀行法の一部を改正する法律案(内閲  提出第三号)  連合国財産補償法案内閣提出第五号)  所得税法臨時特例に関する法律案内閣提出  第一〇号)  財産税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一一号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一二号)  会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案(  内閣提出第七号)(予)     ―――――――――――――
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  一昨二十二日本委員会付託になりました連合国財産補償法案、及び昨二十三日予備審査のため付託になりました会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案、さらにまた本日付託になりました所得税法臨時特例に関する法律案財産税法の一部を改正する法律案、及び法人税法の一部を改正する法律案、計五法律案一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨説明を求めます。西川政務次官
  3. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました連合国財産補償法案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、連合国との平和條約第十五條規定に基き、連合国または連合国人開戰時日本国内に有していた財産について、戦争の結果生じた損害補償を行うために、必要な事項規定するものであります。従来この種の補償は、平和條約上の義務とせられるのが例であり、イタリア、ブルガリア等平和條約におきましても、これに関する詳細な規定が條約中に設けられているのでありますが、対日平和條約におきましては、條約の條項をなるべく簡潔ならしめて、その成立を促進する趣旨をもつて、條約中には補償原則のみを規定し、その細目は日本国内法によらしめる形がとられたわけであります。しかしながら、事柄そのものは條約の内容をなすべき性質を持つております関係上、連合国側十分協議を遂げて法律案を作成したものでありまして、この法律案は、條約中にも引用されており、実質上は條約と一体をなすものと申すべきであります。  次に、この法律案内容につき、おもな点を申し上げますと、まず第一は、條約第十五條趣旨沿つて補償原則を定めたことであります。補償原則としましては、連合国または連合国人開戦時において本邦内に有していた財産について、戦争の結果損害が生じたときは、日本政府は、その損害補償するものといたしております。すなわち、補償を受ける主体は、連合国または連合国人に限られ、補償の対象となる財産は、開戦時において、平和條約の規定により、日本国の主権が回復される地域にあつた財産に限定されることになつております。また補償される損害は、戦争行為に基因する損害戦時特別措置に基因する損害など特定の原因に基く損害に限定されております。なお返還できる状態にある財産については、正当の事由なくして所定の期限までに返還の請求がなかつたときは、損害補償はされないことにいたしました。  第二は、損害額算定について規定、したことであります。損害額算定方法につきましては、助産の種類ごと規定を設けてありますが、原則としては、財産開戦時の状態に回復するため必要な金額によることになつております。また連合国人がすでに利益を受けているような場合には、損害獺からこれに相当する金額を差引いて補償金額を定めることとし、日本側負担が公正なものとなるように措置いたしてあります。  第三は、補償金支拂い方法について規定したことであります。補償請求手続及び期限といたしましては、請求権者が、その所属する国の政府を経て、平和條約の発効時から十八月以内に、日本国政府に対し、補償金麦拂い請求書提出することを要するものとし、この期間内に提出がないときは、補償金支拂い請求権を放棄したものとみなされることにいたしてあります。補償金支拂いは、原則として円貨をもつてし、また一会計年度における支拂いの限度を百億円に限定する等、わが国財政状態及び為替状態になるべく困難な影響を與えぬよう、配慮いたしてある次第であります。  最後に、日本国政府の決定した補償金額に対して、異議がある場合の解決方法としては、一定期間内に再審査請求をすることを認め、これを審査するため連合国財産補償審査会を置くこととしておりますが、なお連合国との間に特別の協定がなされる場合には、その協定に定める手続によるべき旨の規定が設けられております。  以上申し上げましたように、この法律案は、対日平和條約に基き、かつ條約と一体をなす補償事項について、その実施方法規定したものでありまして、わが国平和條約上の義務を履行するために、ぜひとも必要なものであります。  次に会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  会社利益配当等臨時措置法は、終戦後わが国経済が不安定で企業経理内容もきわめて弱体であつた時期において、利益配当を規制し、会社経理健全化をはかることを目的としたものでありますが、その後わが国経済は、漸次安定を回復し、企業経理内容も充実して参り、この法律制定当時の状況とは、相当趣を異にするに至つて来ているのであります。もちろん今後も利益配当の適正を期し、社内留保の蓄積をはかることが必要であることは申すまでもありませんが、配当規制に関するこの法律趣旨は、先般施行された改正商法によつておおむね取入れられておりますので、この法律廃止後も、配当適正化に関する法的措置に欠けるところはないものと考えられるのであります。  右のような状況にかんがみまして、会社利益配当等臨時措置法を廃止するため、この法律案提出いたした次第であります。  次に所得税法臨時特例に関する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  政府はすでに昨年及び本年の二度にわたり減税を断行し、国民租税負担軽減合理化に努めて参つたのでありますが、わが国経済は昨年勃発した朝鮮動乱と、変転する国際情勢との影響をきわめて強く受けるに至り、一方において生計費増高を通じて国民生活影響を及ぼすとともに、他方において法人収益の異常な上昇を来す等、租税負担の配分上考慮すべき問題を生ずることとなつたのであります。  しかして本年度租税その他の歳入におきましては、当初予算に比し相当多額に達する自然増牧が見込まれ、また昭和二十七年度におきましても、本年度以上の收入を見込むことがで寺、今後における歳出の増加を考慮しても、なお相当減税を実行し得る見通しを得ましたので、政府国民生活の安定に資するため、所得税軽減合理化か行うとともに、法人収益状況にかんがみまして、法人税につき若干の増徴を行うこととし、ここに関係法律案提出することといたしたのであります。  所得税につきましては、最近における物価の動向と国民租税負担の現状にかんがみましてその負担の一層の軽減合理化、特に低額所得者負担軽減をはかることといたしました。  すなわち、まず基礎控除につきましては、現行三万円を五万円に引上げ扶養控除につきましては、現在扶養親族一人につき一律に一万五千円となつておりまするのを、扶養親族三人までは一人につき二万円に引上げるとともに、また税率につきましては、現行課税所得五万円以下百分の二十に始まり、百万円を越える金額に対する百分の五十五に至る税率適用上の階級区分の刻みをゆるやかにし、八万円以下百分の二十、八万円を越え、十二万円以下の金額百分の二十五、以下順次逓増して最高二百万円を越える金額百分の五十五と改めることにしたのであります。以上の改正は、さきに行われました主食価格引上げ等を考慮して、おおむね本年八月にさかのぼつて実施することとしたのであります。  しかして、給與所得者に対する源泉徴収については、本年十一月一日以降支給される給與から、改正後の控除税率によることとし、八月から十月までの間の源泉徴收税額の過納額は、本年の年末調整において調整することとしております。また申告納税所得者については、右の改正を本年八月にさかのぼつて実施する結果、本年分の基礎控除を三万八千円に、扶養控除扶養親族三人まで一人につき一万七千円にそれぞれ引上げるとともに、税額計算は本年八月にさかのぼつて改正税率を適用したものとして作成した簡易税額表によるものといたしております。  なお不具者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除につきましては、現在一万五千円を所得から控除することにいたしておるのでありまするが、今回その性質及び税額計算上の便宜を考慮して、これを税額控除に改め、年四千円を税額から控除することといたしました。この結果、低額所得者については、現在の所得控除よりも若干有利となるのであります。  次に退職所得につきましては、昭和二十五年度における改正により、収入金額から十分の一・五を控除した上、変動所得として平均課税を選択し得ることとしているのでありますが、今回その税負担軽減課税簡素化をはかることといたしました。すなわち、昭和二十七年一月一日以後支給される退職所得については、他の所得と総合せず分別して課税し、その收入金額から十五万円を控除した後の金額半額課税所得として、一般税率を適用することとしているのであります。これにより退職所得に対する税負担は、相当大幅に軽減されることとなるのであります。なお、本年中に支給される退職所得に対しては、平均課税方式はそのままといたしますが、控除金額を十分の一・五から十分の三に引上げ、経過的に負担の緩和をはかることとしているのであります。  次に、昭和二十七年一月一日以後支拂いの確定する配当所得に対しては、新たに百分の二十の税率により源泉徴収を行うこととし、もつてその課税の適正を期することといたしております。この配当所得につき源泉徴収した税額は、申告の際現在の配当控除のほかに、総税額から控除することといたしているのであります。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  法人税につきましては、最近における法人収益状況、個人の負担との関係等を考慮して、若干の増徴をはかるとともに、法人税の円滑な納付に資するために、徴収猶予制度を設ける等、所要改正を行うことといたしたのであります。  まず税率につきまして申し上げますと、普通法人におきまして現行の百分の三十五を、二割方引上げて百分の四十二とし、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度分法人税から、適用することといたしております。なお、協同組合等特殊法人及び公益法人収益事業に対する税率につきましては、その実情にかんがみ、現行税率通りすえ置くことといたしております。  次に法人税については、新たに徴収猶予制度を設けることとしたのであります。すなわち、現在法人税納期限事業年度終了後二箇月以内となつておりまするのを、最近の金融及び取引の実情にかんがみまして、法人税額半額につき、現行納期限からさらに三箇月以内を限つて、申請によりその徴收を猶予することといたしております。  なおこのほか法人税に関しまして、別途退職手当引当金について、一定の基準のもとにこれを損金に算入することを認め、また重要産業設備近代化を一層促進するために、緊急に設備合理化を必要とする事業機械等について、その取得の年に取得価額半額を、特別償却することができる等の措置を講ずる見込みであります。  次に、財産税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  財産税法昭和二十一年十一月二十日施行されたことは御承知通りでありまして、本年十一月十九日以降は、財産税については課税を行うことができないこととなつているのであります。しかるに財産税課税財産うち賠償指定施設等については今日まで課税を延期して参つたのでありますが、今日においてもなおその帰属が確定いたしませんので、これらの財産に限り、さらに今後三年間においてその帰属が明らかになつた際に、課税し得ることといたしたのであります。  以上三法律案につきましてその大要を申し上げましたが、これらの改正措置により、所得税においては源泉徴収所得税で三百六億八千三百万円、申告納税所得税で百億八千九百万円、合計四百七億七千二百万円の減収を生ずる見込みであり、法人税においては二億六千二百万円の増収となる見込みでありまして、差引四百五億一千万円の減税となるのであります。  以上、五法案について御説明申し上げました。何とぞ御審議の上すみやかに賛成せられんことを、切望いたしてやまない次第であります。     —————————————
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次に前回の委員会におきまして提案趣旨説明を聴取いたしました日本輸出銀行法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑に入ります。
  5. 小山長規

    小山委員 質疑に入る前に、輸出銀行から専務理事が見えておるようでありますから、その運営状況その他について説明を求めたいと思います。
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは輸出銀行の方から説明を願います。
  7. 山際正道

    山際説明員 私は日本輸出銀行専務理事をいたしております山際であります。お申しつけによりまして、日本輸出銀行の最近の状況について御説明申し上げます。  日本輸出銀行は、御承知通り昨年の十二月制定せられました日本輸出銀行法に基きまして、機械設備車両船舶など、いわゆるプラント輸出に伴いまして、比較的期間の長い、すなわち期間六箇月以上にわたる運転資金を供給することによりまして、金融面からプラント輸出を促進する目的をもつて設立せられたものでございます。設立を見ましたのは昨年の十二月二十八日でございましたが、ただちに開業準備に着手いたしまして、政府予算上定められました定員、すなわち総裁以下実際の従事員を加えまして総員四十余名の小規模をもつて、丸の内の興業銀行ビル内において、去る二月一日より営業を開始いたしたのでございます。  本行の資本金全額政府出資金でございまして、百五十億円でございます。開設の当初一般会計から二十五億円の拂込みを受けまして、三月末にさらに見返資金特別会計から二十五億円、九月の初めに一般会計より再び二十五億円の拂込みを受けまして、現在では拂込済み資本金は七十五億円、残余七十五億円は未拂込みのまま存在しておる状況なつております。しかして本行は、債雰の発行はもとより、借入金を行いますることも一切認められておりませんので、本行の運用し得る資金は、右政府出資金以外にはないわけでございます。本行の行います業務につきましては、その大綱は法律において定められておるのでございまするが、こまかい資金融通條件などは、本行が独自に定めまするところの業務方法書に従つて行うことと相なつております。  まず本行の行います業務の範囲でございますが、それにつきましては、さきに申し述べました本行設立目的に照しまして、きわめて局限されたことになつております。すなわち本行の業務は、設備船舶車両並びにその部分品及び付属品、すなわち俗にいわゆる。プラントものの輸出、並びにこれに伴つてなされる技術の提供のために必要なる、期限六箇月以上にわたる長期運転資金を、供給することに限定されておるのであります。しかして本行が右の長期運転資金融通を行うにつきましては、法律は次の三つ要件規定いたしております。その第一は、普通の銀行通常條件によつて資金の供給を行うことが困難であるということであります。その第二は、輸出契約がすでに締結されておるか、またはその締結されることが確実であるということであります。その第三は、輸出契約に基く債務の履行及び融通金回収が、確実と認められることでございます。本行は右の要件を遵守いたしまして、資金融通に当つておるわけでございまするが、その融通方式につきましても、法律規定があるのでございまして、それには次の三つのものが定められております。  すなわちその第一は、国内輸出業者または輸出品製造業者に対する資金貸付でございまして、しかもその場合には、普通の銀行とのいわゆる協調融資方法に限られておるのであります。その第二は、普通の銀行プラント輸出のために、国内輸出業者または輸出品製造業者に対して、まず手形割引をいたしまして、その割引いた手形をさらに本行が再割引することによりまして、資金融通を行う方式であります。第三の方式は、外国政府銀行商社等に対して、わが国からプラント設備を買い付けるための資金として、直接円資金を貸し付ける方式でございます。  以上法律に定められました三つ方式の中におきまして、現在本行が取扱つておりまするのは、その第一の協調融資と、第二の手形の再割引の二つでございます。第三の直接外国政府等に対して貸付をいたしますことは、いまだ奥行をいたしておりません。しかして現在は業務方法書の定めるところによりまして、協調融資の場合におきましては、本行が所要資金の八割、普通の銀行が二割の割合でこれを分担することといたし、利率につきましては、協調融資の場合も手形割引の場合も、本行の取得せる金利は年利にして七分五厘、日歩にして二銭三毛を徴しております。また融通期限法律の定めるところによりまして、六箇月以上原則として三年以内、特別の必要ある場合に限つて五年以内といたしております。担保につきましては、資金性質上、通常の場合は物的担保を徴することが困難でありますので、これはむしろ特別の場合に考慮いたすことといたし、通常の場合におきましては、輸出信用保険をつけること、代金受領の委任を受けること、人的保証をとることなどによりまして実情に即した取扱いをなすことといたしております。  本行開業以来今日に至るまでに、すでに九箇月余りも経過いたしたのでありまするが、その間における本行の業績について御説明を申し上げますると、便宜上先般お手元に配付いたしました融資状況と申す謄写版刷りがございまするので、それについてごらんをいただきたいと思います。その最初のページは「月別貸出状況」と記してございますが、一番左の欄をごらんいただきますると、そこに融資承諾の欄がございます。すなわち本行開業以来今日まで資金融通を承諾いたしましたものでございまするが、件数にいたしまして、その欄の一番右の方に累計がございまするが、五十一件でございます。その下に括弧書きして七件とございまするのは、五十一件のうち手形割引方法によりまして、資金融通いたしたものの内書きでございます。しかして融資歩承諾いたしました金額は、そこにございまする通り累計五十四億六千三十八万七千円、その下に括弧書きいたしまして、再割引に属する分一億八千八百十八万二千円ございます。その次の欄の「月中貸出金額」と申しまするのは、現実に資金を貸し出しました額でございまして、その額は累計五十億四千五百五十五万一千円、うち割引に属するものが一億七千九百三十万八千円でございます。その次の欄の「月中回収金額」と申しまするのは、開業以来すでに回収をいたしました金額を記してあるのでございまするが、累計四億三千二百二十万七千円でございます。差引きまして月末残高といたしまして、十月二十日現在において件数は五十件、すなわち一件はすでに全額償還なつておるために減つております。その金額は四十六億一千三百三十四方三千円、うち割引に属する金額が一億七千九百三十万八千円でございます。第二の表をごらんいただきますると、ただいま申し上げました金額品目別仕向地別に、輸出契約に対しまして協調融資並びに手形割引をいたしました状況を、一覧表として差出してあるのでございます。一番左の欄は品目の欄でありまするが、電気機械、これが仕向地といたしましては、ここにございまする通り、アルゼンチン二件、沖縄七件、フイリピン一件、インド一件、台湾三件、タイ国が一件、合計いたしまして、電気機械関係は十五件、これに対しまして、そのもととなりました輸出契約全額は、次の欄の三十五億八千二百万円、そのうち輸出銀行融通を承諾いたしました金額が三十億二千万円となつております。次の品目繊維機械でございまするが、台湾向けが三件、パキスタンへ七件、ベルギー領コンゴへ一件、インドへ一件、合計十二件、その輸出契約金額が三十四億三千四百万円、それに対しまして輸出銀行融資を承諾いたしました金額が、十五億七千二百万円であります。その次は鉄道車両でございますが、これは、パキスタンに対して二件であります。輸出契約金額で十一億六千九百万円、融資を承諾いたしました金額は五億四千四百万円でございます。  次に船舶でございますが、パナマヘ向けて二件、リベリアへ一件、タイへ九件、沖繩へ一件、朝鮮へ一件、合計十四件、輸出契約金額ぶ二十八億六百万円、本行が融資を承諾いたしました金額が、九億九千五百万円でございます。  その他といたしましてインド向けが一件、これはデイーゼル・エンジンでございますが、輸出契約が一億五千六百万円で、本行が八千八百万円を融資いたしております。その次のビルマ、これは浮桟橋でございますが、一件で一億一千百万円の輸出契約に対して、五千二百万円を融通いたしております。それから沖繩へ向けまして、これは軍の関係の施設でございますが、六件、輸出契約が十二億一千五百万円、これは全部手形割引でいたしておりまして、一番右の欄をごらんいただきますと、一億三千万円を再割引いたしております。その他の部類に属するものが合計いたしまして八件、輸出契約金額が十四億八千三百万円で、本行が融資を承諾いたしましたのが一億四千万円と、再割引をいたしましたのが一億三千万円。  以上を合計いたしまして、件数において五十一件、輸出契約金額において百二十四億七千大百万円、これに対しまして協調融資方法によつて融資を承諾いたしました金額が五十三億七千百万円で、手形割引において放出いたしました金額が一億八千八百万円、これを合計いたしました五十四億六千万円が、先ほど申し上げました十月一十日現在の残高になつております。  なお最後のページをごらんいただきますと、これは「借入申込状況」でございますが、この申込みのうちには、まだ正式の申込みというには至りませんが、あらかじめ商談が進行中でありまして、大体契約ができそうだというところで、あとのことのためにあらかじめ打合せに参つておる金額を含んでおりますが、それを内訳いたしますと、電気機械関係が五件で、その次に金額とございますのは、輸出契約見込み金額でございます。これが五億八千六百万円。繊維機械が十件で十三億五千八百万円。船舶車両は七件で百四十四億三千六百万円。その他の機械類が四件で二十一億四千六百万円。総計二十人件で、輸出契約見込み金額は百八十五億二千六百万円と相なつております。なおこれらの融資に関しまして、その一件当りの金額並びに期限を申し上げますと、融資金額といたしましては一価最高のものは四億六千四百万円でございます。最低のものは五百六十三万円になつております。平均いたしまして一件当り一億七百万円となつております。また融資期限は最長十七箇月、最短六箇月、平均ば約九箇月と相なつております。  本銀行開設以来今日までの融資の実績は、以上申し上げました通りでございますが、以上の数字は昨年の秋本銀行法を御審議いただきましたころの予想に比較いたしますと、やや輸出不振の情勢を示しておることは、いなみがたいところであると存じます。何ゆえに予期の数字を示さなかつたかと申しますと、昨年の上半期中は、わが国プラント物の輸出は、比較的順調に漸次増大の趨勢をたどつてつたのでございますが、昨年六月朝鮮動乱の勃発とともに、形勢一変いたしまして、その後におけるわが国の原材料価格の、ことに鋼材の価格の高騰とかつその価格の不安定ということが、輸出契約の長期にわたる見積りをほとんど不可能にいたしまして、原材料の将来の値上リを考慮いたしまして見積りをいたしますと、とうてい諸外国と競争し得ないような高値にならざるを得ない状況に陷りまして、これがために昨年末以後におきましては、プラント輸出の新規契約はまことに少い状況になりまして、その結果がただいま申し上げましたような数字として、今日に及んでおるのでございます。ただ最近に至りましては、国際的に見ましても、また国内的に見ましても、物価の状況がやや安定の度を増して参つたようにも思われまするせいか、幾分プラント輸出の取引も活気をとりもどし始めたような気がいたします。ことに最近注目を引いておりまするところのいわゆる東南アジアの経済開発が、今後具体的に進行するように相なり、あるいはまた最近しきりに伝えられておりまする米国からの各種工作機械類の注文が、現実に発注を見るように相なりまするならば、今後は相当の成績を上げることができるのではないかと、ひそかに期待をいたしておるような次第でございます。  なおここで最近の情勢として注意を要しますることは、最近話ができて参りまする輸出契約は、その條件が、たとえば輸出後一年とか二年とか、または物によりましては三年、五年の比較的長期の支拂いを要求して参つておる傾向が、漸次濃厚となつておることでございます。この支拂い條件が長引いて参りますことにつきましては、すでに他の競争国においても、ある程度この種の條件に応じて輸出をいたしておるような状況が見受けられまするために、わが国といたしましても、漸次これに同調せざるを得なくなるのではないかと思うのでございます。そうなつて参りますと、本銀行の貸出し條件も、勢い今後は漸次長期化せざるを得ないと思われるのでございまして、その結果といたしまして、資金の回転がおそくなりまして、より多くの資金量を必要とすることに相なるのでございます。私どもといたしましては何どきでも資金の需要に応じ得るように、極力銀行の資力を充実いたしまして、万全の備えをはかりますることを望んでおつたのでございますが、幸いにここに、本年度内において、資本金をさらに二十億円追加いたして、百七十億円とする法律案並びに予算案が提案されておりますることは、本銀行といたしましては、大いに喜んでおる次第でございます。  なお本銀行の業況を御説明いたしまする機会に、一言つけ加えさせていただきたいと思いますことは、日本輸出銀行の運営に関しましては、皆さま御承知通り法律の定めるところによりまして、広汎なる権限を銀行当事者に御一任くださつておるのでございます。われわれ当事者といたしましては、業務に十分愼重を期しまするために、設立と同時に、非公式な会合ではございますが、輸出金融懇談会なるものを設けまして、大蔵省、通商産業省、日本銀行の代表の方々並びに輸出品製造業表、貿易業者、普通銀行の東西のそれぞれの代表の方々に御参集いただきまして、毎月少くとも一回以上御会合を願いまして、本行の行いまする業務に関して忌憚なき御意見、御批判等を承りまして、運営の参考といたしておるのであります。いやしくもその運営が独善に隔り、過誤を犯すがごときことのないよう十分留意をいたしまして、運営に当つておるつもりでございます。  以上をもちまして一応私の御説明を終りたいと思います。
  8. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御質疑はありませんか。——深澤君。
  9. 深澤義守

    ○深澤委員 本法案が成立するときにも大分問題になつたのでありますが、大体輸出銀行の果す役割は、一般銀行融資し得ないものを引受けるということになつて来るのでありますが、これは質的に量的に、その限界ははなはだ困難であるというようなぐあいに考えるわけであります。従つて法案の場合においては議論が抽象化して来るのが当然でありますが、さていよいよ輸出銀行が具体的にその業務を行う場合においては、この限界や認定がまことに具体的になつて来ると私は思うのであります。その問題について輸出銀行が今までやつて参りました実績に基いて、一般銀行が引受けることのできないものを、どういう基準によつて輸出銀行がやるのだという見地からおやりになつておるか。その点をお伺いしたいと思います。
  10. 山際正道

    山際説明員 ただいまお尋ねの点は、お話にございました通り、抽象的には申し上げ得ますものの、具体的な案件につきましては、その判断はなかなかむずかしいことでございます。普通銀行が普通の條件融通し得ないと申します内容は、量的方面もございますし、また質的方面もございます。量的の方面におきましては、ただいま御説明申し上げました通り協調融資方法によります場合は輸出銀行が八割、市中銀行等が二割を限度といたしまして、その運営に当つておるのでございますが、場合によりましては、あるいはその二割をもう少し詰めなければ、市中銀行負担に耐えないという場合も起り得ると思います。その点に関しましては、現在まで取扱つて参りました範囲におきまして、この二割をさらに減らしてもらいたいという具体的要求に、遭遇いたした事例はございません。私どもといたしまして、この量の点に関しましては、今後ももちろん十分留意いたしまして、もし真に融通をすべきものと思われるにかかわりませず、ただいまの八割、二割の限度は無理だということに相なるものがございましたならば、その際に十分検討いたしたいと思つておるのであります。何も二割に固着して、いつまでも二割ということを考えておるわけではございません。  さらに質の点でございますが、これは先ほども申し上げました通り法律上掲げられました要件といたしましては、債権の回収が確実と認められるということが條件なつております。債権回収が確実と認められるものであつて、しかも普通銀行が質的に十分その負担に応ずることがむずかしいというもの、と言いますのは、その範囲が非常にデリケートでございます。しいて申しますならば、全額は負担できないけれども、その半額なり、二割程度の危険ならば普通銀行も背負い得るという範囲が、おのずから狭いながらもあり得るわけでございます。私どもは、その範囲において、なるべく市中銀行負担に無理をかけることのないように、わずがな幅ではありますけれども、実情に応じた危険負担の割合を誉めて行きたい、こういうふうに考えておるわけでございます。お尋の点はなかなか抽象的で答えしにくいのでありまして要は法律趣旨を体して、一件々々具体的に判断をして参るより、しかたがないと考えております。
  11. 深澤義守

    ○深澤委員 輸出銀行は、政府が今強調しております東南アジア開発という問題と、非常に密接な関連があると思うのであります。日本の財界も、この財界の行き詰まりで、東南アジア開発に大きな期待を持つているやにわれわれは聞いているのでありますが、今の御説明によりますと、昨年六月以来原材料の価格の騰貴のために、はなはだ困難な状態なつており、最近はこれが回復の傾向にあるということを言われているのであります。しかし日本の原材料の価格は、依然として国際価格の中において高価であります。従つて国際市場においても、はなはだ困難な状況に当面していると考えているわけであります。輸出銀行もおそらくその点では、非常に困難を来されていると思うのであります。そこで私のお伺いしたいことは、この東南アジア開発という方針に基くプラント輸出というものは、希望的には何とかなりはしないかとお考えになつておつても、事実上原材料が国際価格よりも高いという、この現実を解決しない限りは、なかなか困難であると私は考えるわけであります。そこで輸出銀行といたしましては、軍に銀行の事務的整理ということばかりでなしに、大きく東南アジアの開発という問題を国際的な見地からお考えになり、あるいは御研究になつていると思うのでありますが、この東南アジア開発の前途に対して、どういう見解をお持ちになつているか。ひとつその点をお伺いしたいと思います。
  12. 山際正道

    山際説明員 ただいま御指摘の点は、非常に広範囲にわたる大きな国の政策に関する部分が多い問題でございまして、もちろん私どもも十分にお答えすべき、またその立場でもないのでございまするが、輸出銀行として考えております範囲のことを申し上げますると、輸出銀行といたしましては、その使命でありますところのプラント輸出の増進という見地から考えまして、どうしても輸出のもとになりまする原材料の確保ということに関心を拂いませんことには、あとの輸出が続かぬということになります。原材料は御承知のように世界的に非常にきゆうくつになつておりまして、ことに現在は多くのものをアメリカ大陸から供給を受けておるのでございまするが、アメリカ方面におきましても、原材料の配給は非常にきゆうくつになりつつあるやに伺つております。従いまして、日本が使いまする軍工業の原材料を他の地域に求めることは、非常に大事なことと考えるのでございます。その一つといたしまして、東南アジア地区にその場所を求めるということは、プラント輸出を将来増進する上において、きわめて重要なことと考えまして、私どもその方面の御需要なり御計画に対しては、できるだけの御援助をいたすべきだと考えております。最近新聞紙上で御承知かと存じまするが、インドにございまするゴアに鉄鉱石を開発いたしまして、その開発用の資材をこちらからプラント輸出いたしまして、その代金に相当するものは、開発の結果得られたる鉄鉱石をもつて返済するという話が成立いたしました。私どももこの銀行としてまさになすべき事業の一つと考えましたので、当初からそれの相談にあずかりまして、諸般の準備も大体順調に進行いたしまして、間もなくその実現を見るに至るであろうと考えております。かくのごとくいたしまして東南アジア各方面に同様なお話がだんだんできて参りまするならば、日本が使いまする重工業製品の原材料の価格におきましても、好影響があろうかと思いますし、これらを促進して参りますることが、今後のプラント輸出増進上大いに有効なことであろうと存じますので、なお一層銀行といたしましては、御盡力を申し上げたいと考えているのでございます。
  13. 深澤義守

    ○深澤委員 東南アジア関係は、御承知のようにスターリング地域であります。このスターリング地域の貿易に関しては日英協定が成立して、その前途に何らか期待が持てるようなぐあいに考えられたのでありますが、最近イギリスは、この東南アジア諸国のスターリング地域に対しまして、日本の原材料確保のための輸入に対しては、何らかの警告を発しているやにわれわれは承つているのであります。従つて、この日英協定の前途というものが、スターリング地域における日本の貿易の関係が、非常な困難に遭遇しているというぐあいに、われわれは聞いておるのであります。そういう点については、輸出銀行業務に非常に大きな関係を持つていますが、何かお考えになつておりますか。
  14. 山際正道

    山際説明員 スターリング地域も、私どもの扱います仕事の上から申しますると、今後大いに努力して開拓をしなければならぬ地域であると考えておりますが、その際におきまして、もし御指摘のような事態がありますると非常に困難を感ずるわけでございます。政府御当局の方におかれましては、あるいはその辺いろいろ御事情も御判明かと思いまするが、私どもの銀行に関しまする限りは、日本の取引の増進に関しまして、これに対していろいろ政策的にどうというようなことがあるという事実は、実はまだ承知をいたしておりません。ちよつと私としては、それ以上お答えいたす材料を持つておりません。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題なつておりまする日本輸出銀行に関しまして、二、三の質疑をさしていただきたいと思います。今回輸出銀行資本金を二十億円増資されまして、今年度百億を百二十億に改められたわけでございますが、これによりますと、ただいまの御説明にもありました通り、重点的に基礎産業あるいは重工業に属するようなものが多いと思うのでありますが、軽工業等につきましても輸出の奨励等について、この銀行を利用することができましようか。それとも今のような電気とかあるいは鉄道とかいうような、大きい問題を中心に考えておられまするか。その辺をひとつ承りたいと存じます。
  16. 山際正道

    山際説明員 現行法に関する限りにおきましては、取扱いまする業務の範囲は、先ほども申し上げました通り法律上限定されておりまして、品物から申しますると設備船舶車両等、いわゆるプラント輸出に関するもののみに限られておりますことと、かつまたその融資期間は六箇月以上にわたつて資金を必要とするものということに定められておるのでございまして、これらの両條件から申しますると、軽工業方面への輸出増進のための資金は、当行といたしましては放出し得ざる立場に置かれておるのでございます。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの御説明でよくわかつたわけでございますが、むしろ日本の今後の産業情勢から考えますると、これと関連を持ちまして何らかの方法を講じたいと思います。それについて今重点的に説明されたわけでありますが、なおこの際承りたいと思います。この輸出関係が、アルゼンチンとかフイリピンとかいうようになつておりますが、ただいまの御説明によりまして、さらにインド方面等にも推むるように考えられておるのでありまして、今後役務賠償あるいは技術賠償等と関連いたしまして、相当行くのではないかと思いますが、その辺についての構想がありましたら承りたいと存じます。
  18. 山際正道

    山際説明員 御指摘のようなインド方面は、プラント輸出の将来の重要な市場であることは、私どもも同じように考えておりまするために、先方の槽勢につきましては常時調査を怠らず、何時お話が出ましても、ただちにこの商取引に御協力申し上げるように、平時調査を怠らぬようにいたしております。なお今後の賠償関係云々ということは、実際まだ何らお話を承つておりません関係上、銀行としての立場も申し上げかねる立場にございます。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 もうしばらく聞きます。この電気機械繊維機械船舶車両その他でありますが、その明細書がありましようか。ありましたら参者資料として御提出願えれば幸いに存じます。
  20. 山際正道

    山際説明員 ただいまのお尋ねはそれほど複雑なことではございませんから、この際申し上げます。今電気機織についてお尋ねがございましたと思いますが、私の申し上げますことは、どういう品物が出ておるかということでありますが、御承知のように個々の取引の会社関係におきましては、貿易の仕事というものは、それぞれ貿易会社とメーカーとの間のいろいろな密接た関係がございまするし、それがまた対外関係において、こちらの商取引の何と申しますか、一つ一の手のうちになりますので、それを公表するということは、実は私どもとしては避けておりますことなのでございまして、何か特に御必要がございましたならば、別途またさしつかえない節囲で申し上げることに、お許しをいただきたいと思います。
  21. 小山長規

    小山委員 輸出銀行金融機関でありますし、財源の確保については万全の策を持つておられると思いますが、信用調査は一体輸出銀行の責任においてやつておられるのか。あるいは協調融資を、やつておる銀行がやつておるのか。どういうふうになつておりますか。それを伺つておきたい。
  22. 山際正道

    山際説明員 業務を行うにあたりまして、取引先の信用調査と申しますものは、私どもの最も電点を置いておるところでございます。しこうしてこの銀行の構想といたしまして、非常に小規模な人数をもつて仕事を行うという前提といたしましては、その大事な信用調査の仕事も、なるべく市中銀行その他の機関を煩わしまして、その資料によつて判断をするという建前と承知いたしておるのでございます。現に市中銀行その他者極の信用調査機関等にお願いをいたしまして、できるだけの材料をその判断の基礎としていただいております。しかしながら判断そのものはどこまでも輸出銀行の責任でございますので、それらの材料に基きまして独自の判断を下し、それと協調銀行の御判断と照し合せまして、いろいろ御相談をして融資の実行に当つている次第でございます。
  23. 小山長規

    小山委員 そうしますと、あなたの方の判断はあなた方でされるが、その資料は市中銀行が出すのであるということになつて来ると、非常に国家機関として不安はありませんか。
  24. 山際正道

    山際説明員 今申し上げましたのは、この銀行設立の際にとられました構想でございまして、今日までわれわれはそれを実行いたしておるのでございますが、それらの資料においてなお十分でないと判断いたしました場合、また一旦融資をいたしましても、なおその管理上必要であると思いますような場合に、直接調査をするということもぜひやらねばならぬことと考えまして、現に今日までの実績におきましても、みずから出張その他の方法によりまして、直接調査をいたしました分も相当でございます。これは今後もどこまでも責任をもつて融資を実行いたします以上は、やはり重要なる調査部門として増えて行きたいと思つております。
  25. 小山長規

    小山委員 私が伺つたのは、その取引先、つまりプラント輸出をつくろうとするこちら側の信用、これは割合にわかりやすいと思いますが、問題は外国の注文主の信用調査をしないでやつておるのか、それもあわせてやつておるか、あるいは在外事務所等はそれに協力しておるのか、それを伺つたのであります。
  26. 山際正道

    山際説明員 その点も重要な調査事項と考えてやつておりますが、実際の方法といたしましては、在外事務所を煩わすこともございますし、外国銀行その他の金融機関を煩わしておる実例もございますし、またこちらのメーカーなり、貿易業者の手元にある調査の資料を提出してもらいましてそれによつてその相手方の信用状態を調査するという方法もあわせ用いております。その場合場合信に応じまして、それらの方法をとりまぜまして判断をいたしております。
  27. 小山長規

    小山委員 次に、先ほどの説明を伺いますと、七十五億円の拂込みに対して貸出し四十三億で、三十二億ばかりまだ資金の分量が残つておりますし、またさらに拂込みをすべきものが七十五億ありますと、全体でまだ百五億ばかり金があるわけであります。そこで今度の二十億と合せると百二十何億、回収金まで入れておそらく百三十億ばかりの資金量になるかと思うのでありますけれども、これは大体今年度中、つまり昭和三十六年度中に使い果すというようなおつもりで考えておるのか。それとも来年度の何月かまでの分も考えておられるのか。そういう資金の使用計画というようなものは、どういうふうにお考えになつておりますか。
  28. 山際正道

    山際説明員 現在相当資金の余裕を持つており、かつもし本案を成立させていただきまするならば、御指摘のような資金の余裕が生ずることはその通りでございまするが、先ほども申し上げました通り、最近に至りまして業績がやや好転に向いつつあるように考えておるのでございます。この上半期中はまことに業績、不振でございましたが、ここに至りまして物価の関係、その他現実に引合い関係が多くなつておるという事実が、将来に仕事の増大を相当約束できるのではないかという感じを抱かせておるものでございます。しからば先ほども申し上げました通り、現に参つておりまする話だけでも相当な額に上つておりますので、この余裕の資金年度内に相当貸出しに充てられるということを信じておるのでございますが、しからば全部年度内に融通し盡されるかというお尋ねに対しましては、この表にも一応表われておりまするが、私どものやり方は一応わくを承諾いたしまして、資金の実際の貸出しは工事の進行に伴い、またその会社の資金繰りに応じまして、極力資金を倹約して、適時適量に出すということに努力をいたしておるわけであります。従いまして承諾額と現実の融通額との間には、何がしかの融通の残が常に残つて参るわけでございます。しかしながら承諾をいたしまするにつきましては、私どもの方に資本金の拂込みがございませんので、責任を持つてその承諾に応ずることができないわけでございまするから、その意味におきましては、どの程度に相なりまするかわかりませんが、来年度に繰越される資金の余裕は、相当残らざるを得ないかと実は考えております。ただ具体的に何億でどうということになりますると、なかなか事柄が事柄でございまるので、計画というものが立ちにくいのでございまするが、相当部分のものがこの年度内に、現実に融通される分に充てられるだろうと考えております。
  29. 小山長規

    小山委員 従来の実績によりますと、輸出契約金額の大体四〇%が、あなたの方の貸出しの金額なつておるようであります。現在申込みを受けておられる金額は百八十五億、これは必ずしも貸出し適格の輸出契約ではなかろうと思うのでありますが、そうするとかりにこれ全部としましても四〇%ということになると、せいぜい七、八十億円、あるいはもつと少い金額で済むのかもしれません。しかるに政府の未拂込みなり、あなたの方の貸出しの額その他を見ると、まだ百億見当の余裕金があるように見受けられる。そうすると二十億今度増資しなければならぬということは、今までの説明で聞くと、何か大して急ぐ金ではないようなふりにも聞くのでありますが、どうしてもこの二十億がいるのだという積極的な説明をまだ聞いていない。その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  30. 山際正道

    山際説明員 先ほども申し上げました点でございますが、今後におけるプラント輸出支拂い條件といたしましては、漸次その代金回収の年限が延びる傾向にございます。ごく最近の事例を申し上げましても、インドネシアで車両関係の入札がございまして、今月の初めでございましたか、相当大きな入札がございましてそのうち約五百万ドルばかりは、日本が入れました札が最低でございましたので、当然日本へ来るものと思つておりましたが、いざ契約の段階になりまして、インドネシアの方では六年間四分利で代金の延納を認めろ、こういう條件を申して参つたのであります。インドネシアに対しまして六箇年間四分利で、その代金の延納を認めるということにつきましては、こちらの業者にもその準備がございませんために、せいぜい勉強いたしまして三年ではどうだということで折衝いたしたのでございますが、オランダ、オーストリアあたり六年の條件を承諾いたしましたために、多少日本よりは高値でございましたが、そちらに参つてしまつたような状況でございます。そのほか南米難から参つておりまする引合いも、原則として五年ぐらいの延拂いを要求して参つております。それらのことを考えますると、だんだん資金の回転もおそくなるのではないかというふうに思いますので、私どもの方といたしましては、大事なプラント輸出に、資金がないから応じ切れないという状態に極力置かないようにという意味で、万全の備えとしてぜひお願いいたしたいと考えております。
  31. 小山長規

    小山委員 それは期限も長期になりましようが、ただ私の聞いておるのは、現在話合い中のもので百八十五億、この中には適格でないものもありましようから、ほんとうに適格者としてあなたの方でお認めになるのはせいぜい百三、四十億であろう。従来の実績によりますれば、それの四〇彩くらいは協調融資によつてあなたの方で出されておるのであるから、現在これくらいのものはまかなえるのではないか。さらに二十億増資する積極的理由というものをまだ聞いていないが、一体数字上積極的理由というものはどこでお出しになるのか、こういうことを聞いておるのです。ただ抽象的に今後契約が長くなるとか、あるいは一件の金額が大きくなるとか、そういうことでなしに、二十億増資しなければならぬほんとうの緊急の必要があるのであるという説明をまだ聞いていない。そういうことを言つておるのであります。
  32. 山際正道

    山際説明員 ただいまお手元にお目にかけました申込み状況の処理をいたしますためには、お話のように、おそらくは七、八十億の資金があれば事足りるかと思います。ただ申込みは逐次新しいのが参るわけでございまして、本年度内にはなお相当新しい申込みがやつて来ると思います。その上先ほど申しましたような理由によりまして、私どもとしては資金に万全の備えをつくるという意味におきまして、ぜひとももし政府において余裕がおありになれば、できるだけ充実をお願いしたいということを常時考えております。そういう意味合いにおきまして、今回のこの措置につきまして、私どもは非常に期待いたしておるわけでありますが、具体的にそれを何箇月に幾らいるというふうに示せと仰せられますと、実はちよつと事柄の性質上、それは非常にむずかしいのでありまして、そこは何と申しますか、見込みと申しますといかにも抽象的でございますが、実際の問題といたしまして、一種の見込みということでございますというよりほか、処理の方法がない立場にございます。
  33. 小山長規

    小山委員 あなたの方からは積極的な何がありませんから、どの振合いがどうしたかということは、銀行局長に聞くことにいたします。  次に輸入金融日本輸出銀行でやつたらどうかという話は、これはしばしば問題になるのでありますが、輸入金融をやつた方がいいという理由について、あなた方の方で考えていらつしやるところをひとつ伺いたい。
  34. 山際正道

    山際説明員 輸出銀行に輸入金融業務をもあわせ行わしむるという案は、政府の御当局の方におきましても、いろいろ御検討のことと承つております。銀行の立場といたしましても、これはぜひさような運びにお願いいたしたらと考えている点は、この銀行といたしましては、私どもはどこまでもプラント輸出の増進を中心に考えていることは間違いございませんが、そのプラント輸出の増進をするにいたしましても、先ほども一言申しました通り、その原材料は大部分を輸入にまたなければならぬ立場に置かれておるのでございます。従いまして輸出を増進するという見地において、その原材料たるものを輸入するについて、輸入金融業務をあわせ行いたい。輸出に結びつけた輸入金融業務をもあわせ行いたいというのが、私ども銀行当事者として考えている点でございます。たとえば鉱石の輸入でございますとか、あるいはその他の原材料の輸入につきまして、最近の取引の実情をうかがいまするに、相当長い前の期間において、前金を要求されるのが多いという話でございます。長期に原材料の供給を確保いたしまするためには、どうしても前金を打つて行かなければならぬというのが、漸時一般的になりつつあるやに伺いますので、さような場合におきましては、輸出と結びつく意味において、さような前金の金融業務をこの銀行が受持つということは、意味が多いことじやなかろうか、かように銀行当局としては考えておるのでございます。
  35. 小山長規

    小山委員 これは仮定の問題でありますが、その場合に外国為替の売買も輸出銀行がやらなければ不便でございましようか。それとも外国為替の方は他の金融機関でやつてもよろしゆうございましようか。
  36. 山際正道

    山際説明員 その場合におきまして外国為替業務を行うということは、実は全然私どもの方では考えておりません。
  37. 淺香忠雄

    ○淺香委員 私のお尋ねしたいと思います点は、今小山委員からお尋ねになりましたので、大体私としましては要領を得ておるのですが、ただ一点融資の申込みをしました場合に、非常に調査に手間取る、窓口の方は手不足だからという話をよく聞くのですが、今もお話を伺つておりますと、資金の分量においては相当つておるようにも承りますし、また手不足などによつて調査にひまがかかるということで、結局利用者にとりましては非常に事業上のずれを来すというようなことを、しばしば耳にするのでありますが、そういう点につきましてどういう御見解でしようか
  38. 山際正道

    山際説明員 私どもが融資の対象といたしまして取扱います輸出業務と申しますのは、ただいま御指摘のように、最も敏活処理を要する事柄であろうと思います。私どもといたしましても特にその点を重税しまして、極力すみやかに調査を途げまして、支障を生ずることのないように努力いたして参つたのでございます。ただ銀行開設当初におきましては、何分にも取引をいたす先が全然新しい先でありますし、かつ全然新しい事柄でございましたし、また一面においては大事な国家資金をお預かりしておるから、間違いがないようにしなければならぬという要請もございます。それこれ合せまして、あるいは業者の方に多少の御迷惑をおかけしたようなことがあつたかもしれませんが、最近の状態におきましては、業界においてもこちらの要求するところをよくあらかじめ御了解になり、また私どもの方におきましても、事務の取扱いに非常に習熟をいたして参りましたので、調査に時間を要するために、取引上おさしつかえを生じておるということは、現在はないつもりでおります。しかしこれは大事なことでございますから、今後も十分にその点についてけ注意を怠らぬようにいたしたいと思います。
  39. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この金融の問題の基準の考え方でございますが、金融の仕方としては、おそらく独自の見解で行かれるのではないかと考えられますが、もしも協調融資の場合に、市中銀行がこれは貸してもいいのだ、場合によつて政府の政策において、これは貸し與えなければならないという場合には、政府の拘束を受ける、そういう場合にはどのような御見解でやるのか。それをお聞きしたい。
  40. 山際正道

    山際説明員 私どもといたしましては、どこまでもそれは独自の判断に基くものと考えております。ただ自分の判断が誤りませんために、常に協調融資銀行ともお互いに意見を交換し、政府の御意見も常に承知いたしまして、独善の判断に陷ることのないような配意は、十分にしなければならないと思つておりますが、どこまでも最終の判断は自分の責任と考えております。
  41. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 これは政策問題で、金融とは少し離れるようでありますが、東南アジアのスターリング地域に対する輸出状態が非常に悪いようでありまして、そういうことを英国の代表もはつきり言つておられますし、こういう場合にバーターで、たとえばプラント輸出によつて、ゴアの鉄鉱石が買えるというような場合には、非常に高い鉄鉱石を輸入するような点がないかと思うのでありますが、その場合の決済方法をどういうふうにお考えになるか。それを伺いたい。
  42. 山際正道

    山際説明員 プラント輸出の代金の回収が長期にわたりまするような場合におきましては、もしも何か輸入と結びつけてその代金の回収ができると請う場合がありますと、代金回牧は非常に早く円滑に行くのでありますが、なかなかそういう場合は具体的にはそう起つて来ようとは思われません。従つて、先ほども他の方から御指摘がございましたが、スターリング地域におけるイギリスの政策のために、あるいはプラント輸出が将来影響をこうむるのではないかという点につきましては、ただいまのところそれらの場合を予想して、どうということを申し上げるような何ものも実はないのでございますが、ゴアのような場合におきましては、鉱石代がああいう方式をとることによつて高くつくのではないかというお尋ねにつきましては、その点はああいう方式をとります場合には、最も注意しなければならないと存じますので、これは輸出業者もその結果として輸入するものにつきましては、十分にその辺を検討いたしまして、ゴアの鉄鉱石のごときも、現在アメリカから輸入しておりますものに比較いたしますれば、相当割安に買えるという計算のもとに実行いたしたようなことでございまして、すべての場合がそういう場合ばかりとは限らぬかもしれませんが、採算を無視する輸出計画につきましては、私どもの法律の建前上融資は行えないことになりますので、十分その点は今後注意するつもりであります。
  43. 宮幡靖

    宮幡委員 議事進行についてお願いがあります。きようは輸出銀行のことでありまして、かつて大蔵省の経験を持たれる専務理事さんがおいでになつての御説明があるのでありまするが、それに対してとやかく申すのではありませんが、こういう法案を審議いたしますときに、政府委員が一人も出ておらぬでは大蔵委員会の審議は進まぬわけです。先般の委員会を開く前にあたりまして、委員の有志が集まつた会合におきましても、とかくどうも大蔵省は大蔵委員会を軽視しているという声があつたように聞いている。私どもが長い間この委員会にごやつかいになつている関係上、これはたいへんつらく思われる言葉です。本日あたりも全然政府委員がおらなくて、単に説明員としての銀行当局と話合つている。これも懇談の形でけつこうでありまして、別に大蔵大臣が統制している金融界ではないのでありますから、その形は決して悪いとは申しませんが、大蔵委員会全体としての審議の方法に万全であるようには、残念ながら思えないのです。今後はぜひとも国の政策に関しますることは政府委員、業務の実態につきましては輸出銀行の方に答えていただく。こういう態勢になるように委員長の御配慮をいただき、いろいろ忙しい時期でありますが、繰合せまして政府委員の御出席孝願いたい。先ほど共産党の委員から質問がありました日英金融協定の問題にしましても、金融協定がわずかにできておるのであつて、貿易協定は、これからやるのであります。それを十分御理解の上で質問されたかどうかわかりませんが、これはポンド再切下げということを予想せられての推定であります。こういうような問題は、輸出銀行専務理事さんがかりに御存じあつても、この席上では述べられないはずだと思う。これは大蔵大臣なりあるいは大蔵大臣の代理者におきまして、説明をせなければならないだろうと思う。話が進んで参りまして、はなはだ好むところではありませんが、思わず一言二言いやな言葉も出たわけでありますが、その点十分御留意いただきまして、今後の審議に支障ないように御配慮を賜わりたいことを、議事進行としてお願いいたしておきます。  さらにこの機会にほんとうに事務的なことを、輸出銀行の方にお伺いいたします。業務方法雷の第五條期限が三年となつていることは、前にも御説明があつたと思いますが、一体輸出銀行自体として、プラント輸出融資期限はどのへんが適当だとお考えになつているか。先ほどもインドネシアの事例がありましたが、六箇年間の四分利では受切れないということでは、プラント輸出のほんとうの金融を達成することは困難であろう。これは極端な言い方かもしれませんが、私どもはそう思つております。プラント輸出で三年以上の長期のものが使えないなどというような銀行でありましたならば、これは名目倒れであつて、ないよりはましでありましようけれども、かえつてあつたということの名をはずかしめるきらいがある。そこでいつそ微々たる二十億くらいの資本を増加するなどという問題を取上げて考えるよりも、もつと飛躍いたしましたプラント輸出の真の目的を達するように業務を拡張していただきたい。こういう点についての積極的な御構想があるか。あるいは河上総裁にお伺いするのが適当かもしれませんが、これもおさしつかえがあつたらお話くださらなくてもけつこうであります。おさしつかえない程度におきましてひとつお話をいただきたい。私どもの考えているプラント輸出というものは、今の業務方法書では満足が行かないという前提で、お話をいただきたいと思います。
  44. 山際正道

    山際説明員 業務方法書に掲げました融資期限の点は、法律規定をそつくり移しまして、原則として三年以内、但し特別の場合には五年までということにいたしてございます。御指摘のようにだんだん実はプラント輸出の代金返済の年限が延びつつあるのでありまして、どうもただいま掲げてございますように、五年は稀有の例外ということでは処理し切れない情勢だろうということは、実は仏も考えております。ただ五年をこの際六年、七年、十年と延ばしたらいいかということにつきましては、私どもといたしましては、まず現状といたしましては、五年なら相当行けるのではないかと考えております。むしろ期限のところで今特に研究をいたしておりますのは、六箇月以上という点がどうも実情に適さぬ点があるように思います。御承知通り貿易手形は一応三箇月ということになつております。その三箇月と六箇月のつなぎというのは、金融制度的にちよつと弱い点がございますので、機会がございますれば、むしろ融資期限の方は六箇月をもう少し詰めてはどうか。たとえば四箇月以上とか三箇月以上とかしたらどうだ。それから実際問題といたしまして、五年というのを、ごく稀有の例外とは考えずに、相当これは認めるものというような読み方で、現行法を読んで行くというようなことを考えております。
  45. 宮幡靖

    宮幡委員 もう一つお伺いいたしますが、これはどうもはなはだ自分自身の人格にも関するようなことで、言いにくいことでありますが、しばしば委員会にお越しを願うこともできないかろうから、この機会につい悪口になるかもしれませんが、お許しをいただいて聞いていただきたいことは、今まで見返り資金との協調融資を中小企業の金融やその他でやつております。あるいは造船の金融等も協調融資の形をとつておりますが、どうも協調融資が市中銀行の操作におきまして、必ずしも万人の納得するような方向に行つておりません。利息も、俗な言葉で言えば頭をはねるといいますか、あるいは一種の金融裏街道のような操作が、しばしば話題に乗つているわけです。輸出銀行は発足早々でもありますし、それもりつぱな方々が理事者になつておられるので、さようなことは心配するのは無用かと思いますが、巷間かようなうわさをすることが決してないわけではありません。すでにちらりほらりと耳に入る。ことに輸出銀行の役職員に対しまする待遇等については、非常たよい待遇をしている。しかも利率の点においては、市中銀行よりも若干下まわつているというような点がある等の関係から、さようなことが言われているというようなことが、すでに現存ちらほら聞かれるわけであります。この真偽は私は追究するものではありませんが、どうかさようなことのないようにひとつ殿軍に業務の御執行を願いたい、こう思うのでありますが、今日までの関連におきまして、たとえば市中銀行で、極端な例を申せば、二割の協調融資というようなことの場合に、事実二割を融資せずに、あるいはウインドー・ドレツシングと申しますか、さような方法で自分の方は抱いてしまつて、單に輸出銀行資金だけを利用したというような、こういう疑いのあるようなことはございませんでしようか。これはもし何なら速記録に載せなくてもけつこうですが、ぼつぼつそういうことを耳にしまして、はなはだ不愉快に思つているわけです。この際率直な御説明を願いたいと思います。
  46. 山際正道

    山際説明員 御指摘の点につきましては、輸出銀行に関する限りの側におきましては、まず私どもは御懸念をいただく点はないものという確信のもとにやつております。ただ協調融資銀行側で、私どもの融資をどういうふうに利用されておりますか、その辺は私どもとしても十分に承知はできませんが、ただ考えられるような、ただいま御指摘のございましたような、協調といつても実は融資銀行は別に何も出さないで、輸出銀行だけの資金でやるといつたようなことにつきましては、最初から実はその点は私の方も十分留意いたしまして、厳重なるその会社の資金繰りの表を取りまして、わくは承諾じてもその資金繰りにあわせて、小刻みに資金を出すという方法をとつたのでございまして、御指摘のような懸念は万ないというつもりでやつておるのでございます。具体的に私どもの方で、この融資についてさようなことが起つたということは、実はまだ耳にいたしませんが、あり得ることとは思いまするので、私どもから見ました点におきましても、できるだけの注意は沸いたいと存じます。
  47. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 委員長より銀行局長に申し入れておきます。ただいま宮幡君より、本委員会政府委員が一人も出ていないではないかということで、たいへんおしかりを受けております。その通わであります。常に大蔵委員会は軽視されておるということが問題になつておりますので、今後そういうことのないように警告いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時十一分散会