○
平川委員 国民民主党を代表して、両案に反対の意を表明する次第であります。
その反対の理由を申し上げます。第一に
給与の体系についてでありますが、
人事院はさきに四千二百円を十八歳成年男子の標準としてと
つておるのに対し、今回減税分等を見込みまして三千九百九十九円と
政府が見込まれ、この点は大体
人事院と
政府の間に
意見の一致があるようであります。この限りにおきましては私
どもなるほどと思わざるを得ないのでありますが、実際の
生活実態を
考えてみますときに、とても十八歳男子が四千円で
生活はできない
実情である。
従つてこの
人事院案においても、あるいは
政府案におきましても、いずれの案における基準も、これは低過ぎるというのがわれわれの見解であります。かつその上に組み上げられました
カーブというものを
検討いたしてみまするのに、
人事院の案は一応
民間給与の実態というものに即してや
つておられるのであるが、
政府の方は、その最終の帰結点としていわゆる取締役級の平均給というものを出されまして、そこにおいてそれを大体等比級数的につないでおられる、そこらに何らの理論と実態の裏づけが見られないのであります。大体このようなことは当初から千五百円というものを固定して予想しておられて、それに合せたような数字、つまり
人事院案よりも一割二分だけ少いものを出すような
カーブを、人為的におつくりに
なつたとしか、われわれは了解できないのであります。ただいま
藤枝委員から
民間給与の一万六百円におおむね一致しておるように言われておるのでありますが、これは
政府当局がお話になりましたように、この
民間給与の実態というものは、数字のとり方で違うということを、明らかに
政府当局も言
つておられるのであります。一万六百円というのが必ずしもこれは確実な数字とは、われわれは思わないのであります。でともかくも今度の
補正予算におきまして、いまだか
つてない千五百九十二億七千万円に達する大膨脹が行われたのでありますが、それに対して
一般会計に
関係する
給与引上分というものは、わずかに八十七億円であ
つて、これは全体の六一四%にすぎないのであります。他の
政府機関等におきましても、大体これは同様なことが言えると思う。一体このような
状態で
財政的な理由をも
つて、このような
給与にすえ置かなければならないのだといわれるのは、私
どもはりくつが立たないと思う。予算案の批判のようなことになりますから多くはこの際申しませんが、ともかくも六・四%のみ与えるということでは、私はもつと余裕があるのではないかというふうに思うのであります。かような点から申しまして、この
政府案の
給与体系というものは、
生計費とも見合わないし、
民間給与との均衡も十分にとれておらないように思うのであります。ことに重大に
考えなければならないことは、
公務員の大多数を占めております五級、六級、七級というようなところが非常に低位に置かれて、上級者に行くほど急激に
カーブが上昇しておる。これは
人事院案におきましても同じ
傾向なのであります。現在私
どもは、ただいまのごとき経済事情、
一般の国民の
生活の水準にあ
つては、かような
カーブをとることはやはり間違
つておると思うのであります。
生活給と同時に
能率給というものを、漸次見込んで行かなければならぬことはわれわれも同感なのであります。しかし現在におきましては、
生活給的な
考え方というものが、もつと行われなければならない、こういうふうにわれわれは
考えるのであります。この点につきまして、
人事院においては最低の
給与一級一号、最高の十五級四との開きが約十五倍である。それから
政府案においては十四倍であ
つて、
人事院の案より低いということを、
政府当局は呼号せられるのでありますが、これは目くそ鼻くそを笑う程度であ
つて、決して私
どもの納得し得ないところであります。
次に
勤務地手当の問題でありますが、大体昨年五月の資料に基きまして、五月に
勧告せられたものが、
政府の不手ぎわから今日まで、これが延引いたしたことにより、実態からずれておるということが出て来ておるのであります。最近のCPSなんかを見ましても、非常に大きな変動がありまして、ところはさしませんが、たとえば五級地に指定をせられております所が、もうすでに級地の指定を危ぶまれるような
状態で数箇月続いて来ておるというような例もあるのであります。このような点につきまして、何らかの
改訂をして今度は
政府が案を出されるものと、われわれは思
つてお
つたのでありますが、
人事院の
勧告をそのままここに載せられたということは、非常に誤つたやり方であると思うのであります。昨年の五月のものがやつとこの十月から支給せられる、その間実際から非常に大きなずれがあるということを、指摘しなければならぬと思うのであります。それからこの
勤務地手当が、最初は本俸に対して一割とか一割五分という比率をかけたことに、そう大した誤りはなかつたろうと思うのでありますが、最近の
給与は、ただいま申しましたたように、下に薄く上に厚いような急激な
カーブをとるような体系が、ずつと続いて参ましたために、このような比率を乗ずるやり方は、本来の
生活給的な本質をなくいたしまして、今では奇妙なものにな
つてしま
つておるのであります。また
人事院の
勧告は、過去に大蔵省の
給与局にありました時代の
地域給とそのまま妥協しておる点などから、きわめて合理性の乏しいものにな
つて来ているのであります。ことに
給与総額のうち、おおむね二割を
地域給、
勤務地手当の額が占めるというに至
つては、これは
給与体系を混乱させ、遂には破滅させるものではないかと思うのであります。しかるの本
委員会においてただしたところによりますと、そうした将来に対する計画がない。ご承知のように、与党、野党を含めまして、この
勤務地手当の問題は、実はそれほど重大でないにもかかわらず、頭を痛めるほど政治的な問題になりつつあります。かような点から
考えますときに、当然
政府当局も計画を持
つておやりにならなければならぬと思うのでありますが、
勤務地手当の問題が、ますます
給与体系を混乱させる
状態を強めるだけの
傾向にあると思われるのは、はなはだ遺憾にたえないのであります。年末
手当につきましては、
人事院は六月、十二月の両期に定期的に与えることを、はつりと
給与法の中にうたおうといたしたのでありますが、
政府はこれを十二月のみとし、かつ〇・八程度にこれを押えているが、私
ども十分と
考えることはできないのであります。
大体以上が各
法案の重要な点についての反対の
意見でありますが、ことに私は、
政府の持
つております
給与政策というものについて根本的に疑惑を持ち、反対せざるを得ないのであります。先ほ
ども申しましたように、今度の
補正予算は、大蔵大臣の言葉によりますと、安定と
能率と発展を目ざす、はなはだりつぱなもののように言われるのでありますが、この
給与法を見、最近の米の問題なんかを思い合せますときに、
政府がかりにも発展ということを
考え、安定と
能率ということを
考えるならば、そのしわ寄せを低米価政策と低賃金政策へ持
つて来ている、こうしか断定することができないのであります。かような
給与政策は、私はとらるべきでないというふうに
考えるのであります。ことにしばしば申し上げるように、最近
公務員の素質の劣悪という問題があるのでありますが、特に
給与の問題は重要視して行かなければならない。
能率というものをこの点から
考えます場合に、
政府の現在と
つておりますのは、ただ首切りがあるだけであります。
能率ということについて、それを裏づけるだけの十分な
給与政策というものが、どこにも見当らないのであります。かような意図を持ちましたところの
給与政策というものについては、われわれは根本的に反対せざるを得ないのであります。
以上概略でございますが、われわれがこの
給与法並びに年末
手当の
法律に反対をする理由のおもなる点をあげまして、ここに国民民主党は反対の意向を表明する次第であります。